(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
側面接続口を少なくとも1つ設けた側面、及び外部接続口を少なくとも1つ設けた上面を有し、該側面接続口から該外部接続口まで貫通する接続通路が少なくとも1つ設けられ、該上面はシール面を有する接続コネクタと、
前記接続コネクタの前記側面接続口に連結される創傷部チューブと、
開口孔を有する被覆シートと、
前記接続コネクタの前記外部接続口に連結される外部接続具と、
を備え、
前記被覆シートが創傷部を覆って閉塞部が形成され、
前記閉塞部が形成された時に、前記接続コネクタの前記シール面は前記被覆シートの前記開口孔の周囲を密封し、前記創傷部チューブは前記閉塞部内に配置され、前記接続コネクタの前記外部接続口は該閉塞部の外部と連通可能である、
創傷部治療器具。
前記接続コネクタの前記上面の一部分に上へ突出する凸部が設けられ、該凸部の周囲の上面が前記シール面を形成し、前記外部接続口が該凸部に設けられた請求項1〜7のいずれかに記載する創傷部治療器具。
前記接続コネクタの前記外部接続口に前記外部接続具が連結される際に、前記接続コネクタが前記創傷部に接近することを規制する規制手段を備えた請求項1〜12のいずれかに記載する創傷部治療器具。
側面接続口を少なくとも1つ設けた側面、及び外部接続口を少なくとも1つ設けた上面を有し、該側面接続口から該外部接続口まで貫通する接続通路が少なくとも1つ設けられ、該上面はシール面を有する接続コネクタであり、
前記接続コネクタの前記側面接続口に連結される創傷部チューブが創傷部に配置された状態で開口孔を有する被覆シートが該創傷部を覆って閉塞部が形成された時に、前記接続コネクタの前記シール面は該被覆シートの該開口孔の周囲を密封し、該創傷部チューブは該閉塞部内に配置され、該接続コネクタの前記外部接続口は該閉塞部の外部と連通可能であり、
前記接続コネクタの前記側面が凹部を備え、該凹部に前記側面接続口が設けられた接続コネクタ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、創傷部への設置に手間がかからず、取り扱いが容易で、治療の準備時間を短縮して患者や医療従事者に負担をかけない創傷部治療器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の創傷部治療器具は、側面接続口を少なくとも1つ設けた側面、及び外部接続口を少なくとも1つ設けた上面を有し、該側面接続口から該外部接続口まで貫通する接続通路が少なくとも1つ設けられ、該上面はシール面を有する接続コネクタと、
前記接続コネクタの前記側面接続口に連結される創傷部チューブと、
開口孔を有する被覆シートと、
前記接続コネクタの前記外部接続口に連結される外部接続具と、
を備え、
前記被覆シートが該創傷部を覆って閉塞部が形成され、
前記閉塞部が形成された時に、前記接続コネクタの前記シール面は前記被覆シートの前記開口孔の周囲を密封し、前記創傷部チューブは前記閉塞部内に配置され、前記接続コネクタの前記外部接続口は該閉塞部の外部と連通可能である
ことを特徴とする。
【0009】
側面接続口には、側面に設けられた穴の口部のみでなく、側面から凸形状又は凹形状に設けられた創傷部チューブを接続するための継手形状も含む。また、外部接続口には、上面に設けられた穴の口部のみでなく、上面から凸形状又は凹形状に設けられた外部接続具を接続するための継手形状も含む。係る本発明の創傷部治療器具において、多孔質パッドは必須構成要件ではない。
【0010】
外部接続具には、閉塞部の外部に配置する外部チューブ、及び/又は、外部チューブと接続コネクタとの間に配置される連結コネクタを含む。
【0011】
また、前記創傷部治療器具において、前記創傷部チューブは、前記創傷部側の先端付近を、前記閉塞部内に配置された多孔質パッド内に埋め込んだ状態で配置されることを特徴とする。
【0012】
また、前記創傷部治療器具において、前記創傷部チューブが湾曲又は折曲可能であることを特徴とする。
【0013】
また、前記創傷部治療器具において、前記接続コネクタの前記側面が凹部を備え、該凹部に前記側面接続口が設けられたことを特徴とする。
【0014】
また、前記創傷部治療器具において、前記外部接続口の少なくとも1つが前記閉塞部外の圧力計と連通し、前記圧力計と連通する前記外部接続口と連通し、前記閉塞部内の圧力を測定するための圧力測定口を、前記接続コネクタの下面及び/又は下面以外に、少なくとも1つ備えた
ことを特徴とする。
【0015】
また、前記創傷部治療器具において、前記接続コネクタの前記側面が凹部を備え、該凹部に前記圧力測定口の少なくとも1つが設けられたことを特徴とする。
【0016】
また、前記創傷部治療器具において、前記圧力測定口の少なくとも1つが、前記側面接続口の少なくとも1つに隣接することを特徴とする。
【0017】
また、前記創傷部治療器具において、前記接続コネクタの前記上面の一部分に上へ突出する凸部が設けられ、該凸部の周囲の上面が前記シール面を形成し、前記外部接続口が該凸部に設けられたことを特徴とする。
【0018】
また、前記創傷部治療器具において、前記接続コネクタは、前記閉塞部内に配置された多孔質パッドの上面に配置されることを特徴とする。
【0019】
また、前記創傷部治療器具において、前記創傷部チューブの硬度が、前記外部接続口と連通する外部チューブの硬度よりも低いことを特徴とする。
【0020】
硬度とは、JIS K 6253に基づき軟質物硬さを表すゴム硬度である。
【0021】
また、前記創傷部治療器具において、前記創傷部チューブは、マルチルーメンチューブ、異形断面チューブ又は分岐チューブであることを特徴とする。
【0022】
マルチルーメンチューブとは、1本のチューブ内に平行する2つ以上の中空部を有する多孔チューブであり、中空部の形状は任意の形状でよい。異形断面チューブとは、チューブの外面と内面の形状が異なるチューブであり、例えば内面に凹凸形状などが設けられたチューブである。分岐チューブとは、入口側と出口側の口数が異なるチューブであり、成型、接着、コネクタ接続などの方法で分岐されたチューブである。
【0023】
また、前記創傷部治療器具において、前記外部接続具が、
前記接続コネクタの前記外部接続口に連結する連結接続口と、外部チューブに連結する外部チューブ接続口と、該連結接続口から少なくとも1つの該外部チューブ接続口まで貫通する連結通路と、を有する連結コネクタであり、
前記閉塞部が形成された後に、前記接続コネクタに連結することにより、前記外部チューブが該閉塞部内と連通可能となり、
前記外部接続口と前記連結接続口との連結部をシールするシール部材及び/又はシール構造を備えた
ことを特徴とする。
【0024】
連結接続口には、穴の口部のみでなく、口部周辺に凸形状又は凹形状に設けられた外部接続口と連結するための継手形状も含む。また、外部チューブ接続口には、穴の口部のみでなく、口部周辺に凸形状又は凹形状に設けられた外部チューブを接続するための継手形状も含む。
【0025】
また、前記創傷部治療器具において、前記接続コネクタの前記外部接続口に前記外部接続具が連結される際に、前記接続コネクタが前記創傷部に接近することを規制する規制手段を備えたことを特徴とする。
【0026】
また、前記創傷部治療器具において、前記連結コネクタを前記接続コネクタに固定する連結固定手段を備えたことを特徴とする。
【0027】
また、前記創傷部治療器具において、前記シール部材及び/又はシール構造が、前記連結コネクタを前記接続コネクタに固定する前記連結固定手段により機能することを特徴とする。
【0028】
また、前記創傷部治療器具において、前記被覆シートの前記開口孔の周囲と前記連結固定手段との間に封止部材及び/又は封止構造を備え、
前記封止部材及び/又は封止構造が、前記連結コネクタを前記接続コネクタに固定する前記連結固定手段により機能する
ことを特徴とする。
【0029】
また、前記創傷部治療器具において、前記接続コネクタが前記接続通路を少なくとも2つ備え、
少なくとも1つの該接続通路から前記閉塞部内の流体を吸引するとともに他の少なくとも1つの該接続通路から該創傷部内へ流体を供給する作動、又は、全ての該接続通路から該閉塞部内の流体を吸引する作動を選択し得る選択手段を備えた
ことを特徴とする。
【0030】
また、本発明の接続コネクタは、側面接続口を少なくとも1つ設けた側面、及び外部接続口を少なくとも1つ設けた上面を有し、該側面接続口から該外部接続口まで貫通する接続通路が少なくとも1つ設けられ、該上面はシール面を有する接続コネクタであり、
前記接続コネクタの前記側面接続口に連結される創傷部チューブが創傷部に配置された状態で
開口孔を有する被覆シートが該創傷部を覆って閉塞部が形成された時に、前記接続コネクタの前記シール面は
該被覆シートの
該開口孔の周囲を密封し、
該創傷部チューブは
該閉塞部内に配置され、
該接続コネクタの前記外部接続口は該閉塞部の外部と連通可能であり、
前記接続コネクタの前記側面が凹部を備え、該凹部に前記側面接続口が設けられた
ことを特徴とする。
【0031】
また、本発明の接続コネクタは、前記接続コネクタにおいて、前記外部接続口の少なくとも1つが前記閉塞部外の圧力計と連通し、
前記接続コネクタの下面及び/又は下面以外に、前記圧力計と連通した前記外部接続口と連通し、前記閉塞部内の圧力を測定するための圧力測定口を、少なくとも1つ備えた
ことを特徴とする。
【0032】
また、本発明の接続コネクタは、前記接続コネクタにおいて、前記圧力測定口の近辺の空間を確保する凹部を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0033】
本発明に係る創傷部治療器具によれば、接続コネクタと、創傷部チューブと、開口孔を有する被覆シートと、外部接続具と、を備え、創傷部チューブを接続コネクタに接続し、接続コネクタを創傷部近辺に配置し、被覆シートにより創傷部、創傷部チューブ及び接続コネクタを覆って閉塞部を形成し、接続コネクタのシール面により被覆シートの開口孔の周囲を密封し、被覆シートの開口孔に配置されている接続コネクタの外部接続口に外部接続具を連結することにより、閉塞部の外部と連通可能とすることができる。このため、創傷部近辺への設置に手間がかからず、取り扱いが容易で、治療の準備時間を短縮して患者や医療従事者に負担をかけることもない。
【0034】
創傷部チューブの先端付近を閉塞部内に配置された多孔質パッド内に埋め込んだ状態で配置されることを特徴とする本発明に係る創傷部治療器具によれば、創傷部が深い場合でも、創傷部チューブを多孔質パッド内に埋め込むことで、創傷部チューブの先端を創傷部に近接させて創傷部の治療を行うことができる。創傷部チューブの先端を創傷部に近接させることにより、創傷部の深さに合わせたより効率的な治療が可能となる。
【0035】
創傷部チューブが湾曲又は折曲可能であることを特徴とする本発明に係る創傷部治療器具によれば、創傷部チューブを湾曲又は折曲することにより、創傷部上の閉塞部内にコンパクトな状態で設置できる。
【0036】
接続コネクタの側面が凹部を備え、凹部に側面接続口が設けられたことを特徴とする本発明に係る創傷部治療器具及び本発明に係る接続コネクタによれば、接続コネクタの側面の凹部に設けた側面接続口に創傷部チューブを連結するため、全体としてコンパクトな寸法とすることができる。
【0037】
閉塞部内の圧力を測定するための圧力測定口を、前記接続コネクタの下面及び/又は下面以外に、少なくとも1つ備えたことを特徴とする本発明に係る創傷部治療器具及び本発明に係る接続コネクタによれば、接続コネクタの外輪郭の中で、多孔質パッドに接する下面以外に、閉塞部内の圧力を測定するための圧力測定口を備えているため、浮遊物又は多孔質パッドの一部が圧力測定口に詰まるのを防止して圧力測定を確実且つ正確に行うことができる。
【0038】
接続コネクタの側面が凹部を備え、凹部に圧力測定口の少なくとも1つが設けられたことを特徴とする本発明に係る創傷部治療器具及び本発明に係る接続コネクタによれば、圧力測定口の近辺の空間を凹部によって確保できるため、浮遊物又は多孔質パッドの一部が圧力測定口に詰まるのを防止して、閉塞部内の圧力測定を、より確実且つ正確に行うことができる。
【0039】
圧力測定口の少なくとも1つが、側面接続口の少なくとも1つに隣接することを特徴とする本発明に係る創傷部治療器具によれば、側面接続口に連結する創傷部チューブによって圧力測定口の近辺に空間が確保され、浮遊物又は多孔質パッドの一部が圧力測定口に詰まるのを防止して、圧力測定を、更に確実且つ正確に行うことができる。
【0040】
接続コネクタの上面の一部分に上へ突出する凸部が設けられ、凸部の周囲の上面がシール面を形成し、外部接続口が凸部に設けられたことを特徴とする本発明に係る創傷部治療器具によれば、被覆シートで創傷部及び接続コネクタを覆う際に被覆シートの位置決めがしやすく、又外部接続口に連結する外部接続具が障害にならず、シール面によるシールを確実に行うことができる。
【0041】
接続コネクタは、閉塞部内に配置された多孔質パッドの上面に配置されることを特徴とする本発明に係る創傷部治療器具によれば、接続コネクタを閉塞部内に配置された多孔質パッドの上面に配置することで全体としてコンパクトにできる。
【0042】
創傷部チューブの硬度が、外部接続口と連通する外部チューブの硬度よりも低いことを特徴とする本発明に係る創傷部治療器具によれば、創傷部チューブの硬度を低くして創傷部への刺激を緩和できる。一方で、外部接続口と連通する外部チューブの硬度を高くして、チューブのねじれや折れによる詰まりを防止できる。
【0043】
創傷部チューブがマルチルーメンチューブ、異形断面チューブであることを特徴とする本発明に係る創傷部治療器具によれば、閉塞部内が陰圧に維持されることで、創傷部チューブが変形しても創傷部チューブの一部に通路を確保することができる。また、創傷部チューブが分岐チューブであることを特徴とする本発明に係る創傷部治療器具によれば、創傷部の大きさに応じて適宜創傷部チューブを配置することができ、効率的な治療が可能となる。
【0044】
外部接続具が、外部チューブに連結する外部チューブ接続口を有する連結コネクタであり、閉塞部が形成された後に、接続コネクタに連結することにより、外部チューブが閉塞部内と連通可能となることを特徴とする本発明に係る創傷部治療器具によれば、外部チューブが連結されている連結コネクタを接続コネクタに連結するため、外部チューブを接続コネクタに連結するよりも、外部チューブの連結が容易となる。
【0045】
接続コネクタの外部接続口に外部接続具が連結される際に、接続コネクタが創傷部に接近することを規制する規制手段を備えたことを特徴とする本発明に係る創傷部治療器具によれば、接続コネクタに外部接続具(連結コネクタ)を連結する時に外部接続具(連結コネクタ)から接続コネクタに押圧力が負荷されても、接続コネクタが創傷部へ接近するのを規制できる。このため、接続コネクタが多孔質パッドを介して創傷部へ刺激を与えるのを防止できる。
【0046】
連結コネクタを前記接続コネクタに固定する連結固定手段を備えたことを特徴とする本発明に係る創傷部治療器具によれば、創傷部の治療中に連結コネクタが接続コネクタから外れて滲出液等の吸引及び洗浄液の供給ができなくなるのを防止できる。
【0047】
シール部材及び/又はシール構造が、連結コネクタを接続コネクタに固定する連結固定手段により機能することを特徴とする本発明に係る創傷部治療器具によれば、連結コネクタを接続コネクタに固定する連結固定手段により連結部がシールされる。このため、接続コネクタと連結コネクタの連結が容易になり、連結操作による傷部へ刺激を与えるのを防止できる。
【0048】
被覆シートの開口孔の周囲と連結固定手段との間に封止部材及び/又は封止構造を備え、封止部材及び/又は封止構造が、連結コネクタを接続コネクタに固定する連結固定手段により機能することを特徴とする本発明に係る創傷部治療器具によれば、接続コネクタと被覆シート間の密閉性を更に高めることができ、安定した閉鎖部を形成できる。
【0049】
接続コネクタが接続通路を少なくとも2つ備え、少なくとも1つの接続通路から閉塞部内の流体を吸引するとともに他の少なくとも1つの接続通路から創傷部内へ流体を供給する作動、又は、全ての接続通路から閉塞部内の流体を吸引する作動を選択し得る選択手段を備えたことを特徴とする本発明に係る創傷部治療器具によれば、1つの接続通路を流体供給通路とするとともに、他の接続通路を吸引通路として、滲出液等の吸引及び供給のできる器具として使用できるとともに、全ての接続通路を吸引通路として、滲出液等の吸引専用の器具としても使用できる。
【発明を実施するための形態】
【0051】
本発明の創傷部治療器具について図面を使用して説明する。
図1〜3において、符号10は本発明の創傷部治療器具を示す。創傷部治療器具10は、接続コネクタ24と、吸引創傷部チューブ26(a)と、供給創傷部チューブ26(b)と、被覆シート30と、連結コネクタ56と、吸引外部チューブ48(a)と、供給外部チューブ48(b)と圧力外部チューブ49とから構成されている。
【0052】
接続コネクタ24は、
図4、
図5及び
図6(b)に示すように、側面14及び上面18を有している。なお、
図4は、接続コネクタ24の使用状態を示す。
【0053】
側面14には、2つの凹部38(a)及び38(b)が設けられている。凹部38(a)には、1つの吸引側面接続口(側面接続口)12(a)、及び、1つの圧力測定口42(a)が、隣接して設けられている。凹部38(b)には、1つの供給側面接続口(側面接続口)12(b)、及び、1つの圧力測定口42(b)が、隣接して設けられている。
【0054】
凹部38(a)及び38(b)を設けないで側面14に直接側面接続口12(a)及び12(b)を設けてもよいが、凹部38(a)及び38(b)を設けることでスペースを削減できコンパクトにできる。また、圧力測定口42(a)及び42(b)は、側面14に直接設けても、上面18又は側面14に設けた別の凹部に設けてもよいが、創傷部チューブ26が接続される側面接続口12に隣接して設けることで、閉塞部34内が陰圧状態に保たれた場合に圧力測定口42周辺の空間が確保できる。
【0055】
接続コネクタ24の上面18には、凸部46が設けられている。凸部46には、1つの吸引外部接続口(外部接続口)16(a)、1つの供給外部接続口(外部接続口)16(b)、及び1つの圧力外部接続口(外部接続口)43が設けられている。
【0056】
接続コネクタ24の上面18において、凸部46の周囲にはシール面22が設けられている。シール面22は、中央へいくに従って僅かに高くなる傾斜面から構成されている。側面14に設ける凹部38は側面14の高さ方向全体に設ける必要はなく、側面14の下面側部分のみに凹部38を設けることで、シール面22の面積を大きくし、被覆シート30を密着固定しやすくしてもよい。また、接続コネクタ24のシール面22に両面テープなどの接着層又は粘着層を別途設けておくことで、被覆シート30との密着力を向上させるようにしてもよい。
【0057】
また、接続コネクタ24は、
図4及び
図5(b)に示すように、吸引側面接続口12(a)から吸引外部接続口16(a)まで貫通する吸引接続通路(接続通路)20(a)、供給側面接続口12(b)から供給外部接続口16(b)まで貫通する供給接続通路(接続通路)20(b)、並びに、圧力測定口42(a)から42(b)まで貫通する支流通路62、圧力外部接続口43から下面40まで貫通する圧力接続通路(接続通路)45が設けられている。外部接続口16と側面接続口12は1対1の関係である必要はなく、1つの外部接続口16を複数の側面接続口12に分岐連通するように接続通路を設けてもよい。
【0058】
接続コネクタ24の下面40の中央には、
図4及び
図5(b)に示すように、凹部58が設けられている。凹部58内には、溝60が設けられ、圧力接続通路45と支流通路62を連通している。これにより、圧力外部接続口43が圧力接続通路45及び支流通路62を介して、圧力測定口42(a)及び圧力測定口42(b)と連通しているとともに、溝60が下面40側の圧力測定口としても機能する。下面40の中央に凹部58が設けられているため、下面40は段差を有し、
図3に示すように多孔質パッド36の上面に載置した時に、多孔質パッド36の一部がこの凹部58に入り込むため、接続コネクタ24を安定した状態で多孔質パッド36の上面に設置できるようになっているが、凹部58を設けないで下面40に溝60を直接設けてもよい。多孔質パッド36は創傷惨出液や供給液体の移送を可能とする材料であって、例えばスポンジ等の発泡材料を用いることができる。
【0059】
被覆シート30は、創傷部32を覆い、閉塞部34を形成できる材料であればよく、創傷治療で一般的に知られている裏面に粘着層を有する透明又は半透明の可撓性のフィルムを用いることができる。被覆シート30は接続コネクタに当接させる開口孔28を有しており、開口孔28の形状は接続コネクタ24の上面18の凸部46と略同形状となっている。当接とは、他の部材を介して間接的に当接することも含む。被覆シート30の開口孔28を接続コネクタ24の凸部46に合わせて被せることで、開口孔28の周囲が接続コネクタ24のシール面22に密着固定され、密封できるように構成されている。
【0060】
吸引創傷部チューブ26(a)及び供給創傷部チューブ26(b)は、ポリ塩化ビニル、シリコン、ナイロン、ウレタン、フッ素樹脂、熱可塑性エラストマー樹脂等から構成され、
図3に示すように先端付近を多孔質パッド36内に埋め込んだ状態に維持でき、湾曲又は折曲可能な材質から構成されている。また、創傷部32が大きな場合には、分岐チューブから構成された創傷部チューブ26を側面接続口12に接続してもよい。分岐チューブを用いることで、創傷部32全体に創傷部チューブ26を配置することができ、創傷部の大きさに応じた最適な治療が可能となる。
【0061】
実施例に記載している側面接続口12は、一部に拡径部を備え、挿入する創傷部チューブ26との間に隙間が生じないように構成され、流体が漏れないように構成されている。側面接続口12の形状は実施例の形状に限られず、創傷部チューブ26を直接挿入可能なタケノコ形状、或いは創傷部チューブ26側にも継手を備えた差込み形状又はネジ形状などの既知の接続方法であってもよい。
【0062】
連結コネクタ56は、
図4、
図5及び
図6(a)に示すように、接続コネクタ24に設けた吸引外部接続口16(a)に連結する吸引連結接続口(連結接続口)50(a)と、接続コネクタ24に設けた供給外部接続口16(b)に連結する供給連結接続口(連結接続口)50(b)と、接続コネクタ24に設けた圧力外部接続口43に連結する圧力連結接続口(連結接続口)66と、を備えている。
【0063】
図6(a)に示すように、吸引連結接続口50(a)及び供給連結接続口50(b)の外周には弾性体から成るリング状のシール部材70が設けられている。また、圧力連結接続口66の外周にも同様に弾性体から成るリング状のシール部材74が設けられている。
【0064】
吸引連結接続口50(a)を吸引外部接続口16(a)に挿入することにより、吸引連結接続口50(a)を吸引外部接続口16(a)に連結でき、供給連結接続口50(b)を供給外部接続口16(b)に挿入することにより、供給連結接続口50(b)を供給外部接続口16(b)に連結でき、圧力連結接続口66を圧力外部接続口43に挿入することにより、圧力連結接続口66を圧力外部接続口43に連結できる。これにより、連結接続口50、66の周囲に設けられたシール部材70、74により、それぞれの連結部で漏れがないようにシールされ、連結コネクタ56を接続コネクタ24へ連結固定できる。本実施例では、連結コネクタ56の連結接続口50、66を接続コネクタ24の外部接続口16、43に挿入することで連結固定しているが、接続コネクタ24と連結コネクタ56を固定するための例えばフック形状などの係合手段(連結固定手段)を別途設けて、創傷部の治療中に連結コネクタ56が外れることを防止するようにしてもよい。
【0065】
また、連結コネクタ56は、吸引外部チューブ48(a)に連結する吸引外部チューブ接続口(外部チューブ接続口)52(a)と、供給外部チューブ48(b)に連結する供給外部チューブ接続口(外部チューブ接続口)52(b)と、圧力外部チューブ(外部チューブ)49に連結する圧力外部チューブ接続口(外部チューブ接続口)78と、を備えている。
【0066】
また、連結コネクタ56は、吸引連結接続口50(a)から吸引外部チューブ接続口52(a)まで貫通する吸引連結通路(連結通路)54(a)と、供給連結接続口50(b)から供給外部チューブ接続口52(b)まで貫通する供給連結通路(連結通路)54(b)と、圧力連結接続口66から圧力外部チューブ接続口78まで貫通する圧力連結通路(連結通路)82と、を備えている。
【0067】
実施例では連結コネクタ56はL字形状からなり、接続コネクタ24の上部に挿入するように構成されているが、連結コネクタ56を直線状とし、接続コネクタ24の凸部46の側面に挿入するような構成としてもよく、コネクタ形状、挿入方向等は特に限定されない。また、接続コネクタ24および連結コネクタ56の通路を3つ設けた形態で説明しているが、通路を1つのみ設けて吸引のみとしてもよく、また4つ以上の通路を設けていくつかの通路が同じ機能をするようにしてもよい。
【0068】
吸引外部チューブ48(a)、供給外部チューブ48(b)、及び圧力外部チューブ49は、ポリ塩化ビニル、シリコン、ナイロン、ウレタン、フッ素樹脂、熱可塑性エラストマー樹脂等の材質から構成されている。また、吸引外部チューブ48(a)及び供給外部チューブ48(b)は、吸引外部チューブ接続口52(a)及び供給外部チューブ接続口52(b)に挿入することにより、外部チューブ接続口52と連結され、圧力外部チューブ49は、圧力外部チューブ接続口78に挿入することにより、圧力外部チューブ接続口78と連結される。外部チューブ接続口52、78の形状及び外部チューブ48、49との接続方法は、側面接続口12と創傷部チューブ26の接続方法と同様に実施例の形状に限られない。また、外部チューブ接続口52及び78と外部チューブ48及び49は接着等の方法で固定するようにしてもよい。
【0069】
外部チューブ48、49は、複数本になる場合には、
図8(b)に示すマルチルーメンチューブや
図8(c)に示す多連チューブなどで構成し、創傷部32から図示しない治療装置への取り回しを容易にできるようにしてもよい。
【0070】
ここで、吸引創傷部チューブ26(a)及び供給創傷部チューブ26(b)の硬度が、吸引外部チューブ48(a)、供給外部チューブ48(b)及び圧力外部チューブ49の硬度よりも低く構成されていることが好ましい。例えば、JIS K 6253に基づくゴム硬度において、吸引創傷部チューブ26(a)等の硬度が、吸引外部チューブ48(a)等の硬度よりも低く構成されている。これにより、創傷部チューブ26(a)等の硬度を低くして創傷部32へ刺激を与えるのを防止できる一方で、吸引外部チューブ48(a)等の硬度を高くして、取り扱い等に起因する折れ、潰れによる通路の遮断を防止し、破損も防止できる。
【0071】
創傷部チューブ26の硬度を低くした場合には、閉塞部34内が陰圧に維持された際に、創傷部チューブ26が押し潰されて変形し通路が確保できなくなることがある。このため、創傷部チューブ26は、
図8(a)に示す異形断面チューブ又は
図8(b)に示すマルチルーメンチューブを用いることが好ましい。
図8(a)に示す異形断面チューブは、内面に凸部88及び凹部90が設けられ、押し潰されて変形しても、凹部90に必ず空間が生じるため通路を確保できる。
図8(b)に示すようなマルチルーメンチューブの場合は、チューブの肉厚を厚くできるため潰れ難くすることができる。また、マルチルーメンチューブでもチューブ内部の仕切り形状を工夫することで、押し潰されて変形しても一部に空間が生じるような断面形状にして通路を確保できるようにしてもよい。
【0072】
このような構成の創傷部治療器具10を用いて創傷部32を治療する作用について、以下に説明する。
【0073】
創傷部32内に、
図2に示すように、創傷部32の全体又は一部を覆うことのできる形状の多孔質パッド36が配置される。多孔質パッド36が配置されると、吸引創傷部チューブ26(a)の先端27(a)及び供給創傷部チューブ26(b)の先端27(b)が、上から、多孔質パッド36に突刺させられ、先端27(a)及び27(b)が創傷部32面の近辺まで挿入される。創傷部チューブ26を多孔質パッドに突刺する作業を創傷部32以外の場所で行い、創傷部チューブ26が突刺された多孔質パッド36を創傷部32上に配置すると、創傷部32への刺激もなく、より好ましい。
【0074】
次に、接続コネクタ24が多孔質パッド36の中央部の上に配置される。接続コネクタ24は創傷部32付近の皮膚84の上に配置してもよいが、多孔質パッド36上に配置したほうがコンパクトになる。その後、吸引創傷部チューブ26(a)及び供給創傷部チューブ26(b)は、折曲されて、吸引創傷部チューブ26(a)の他端が接続コネクタ24の吸引側面接続口12(a)に連結され、供給創傷部チューブ26(b)の他端が接続コネクタ24の供給側面接続口12(b)に連結され、先端27(a)及び27(b)が多孔質パッド36内に埋め込まれた状態で維持される。
【0075】
予め接続コネクタ24に創傷部チューブ26を接続した状態で、多孔質パッド36上に配置し、先端27を多孔質パッド36に突刺するようにしてもよいが、吸引創傷部チューブ26(a)及び供給創傷部チューブ26(b)の吸引側面接続口12(a)及び供給側面接続口12(b)への連結は、多孔質パッド36内に創傷部チューブ26(a)及び26(b)の先端27(a)及び27(b)を埋め込んだ後に行うことで、創傷部チューブ26(a)及び26(b)の長さを適宜調整(切断)してから接続できる。このため、側面接続口12の形状は創傷部チューブ26を挿入することで連結できる形状が好ましい。
【0076】
次に、被覆シート30が、皮膚84、創傷部32、多孔質パッド36、接続コネクタ24、吸引創傷部チューブ26(a)及び供給創傷部チューブ26(b)の上から被覆され、被覆シート30の裏面の粘着層が皮膚84及びのシール面22に粘着固定される。この際、被覆シート30の開口孔28と接続コネクタ24の凸部46の形状が略同形状であるため位置決めも容易であり、接続コネクタ24の凸部46からは周囲に突出物がないため、容易に被覆シート30で被覆することができる。これにより、被覆シート30で創傷部32を覆った閉塞部34が形成されると共に、接続コネクタ24の凸部46に設けられている外部接続口16、43は閉塞部34の外部に配置される。なお、被覆シート30は、予め種々の寸法及び形状のものを準備しておいても、創傷部32の寸法及び形状に応じて切断してもよい。
【0077】
連結コネクタ56には、吸引外部チューブ48(a)の一端が、連結コネクタ56の吸引外部チューブ接続口52(a)に予め連結され、供給外部チューブ48(b)の一端が、連結コネクタ56の供給外部チューブ接続口52(b)に予め連結され、圧力外部チューブ49の一端が、連結コネクタ56の圧力外部チューブ接続口78に予め連結されている。吸引外部チューブ48(a)の他端には図示しない吸引装置が連結され、供給外部チューブ48(b)の他端には図示しない洗浄液供給装置が連結され、圧力外部チューブ49の他端には図示しない圧力計が連結される。
【0078】
閉塞部34が形成された後に、連結コネクタ56が上から接続コネクタ24に連結される。すなわち、連結コネクタ56の連結接続口50(a)、50(b)及び66が、接続コネクタ24の外部接続口16(a)、16(b)及び43にそれぞれ挿入され、連結コネクタ56の連結接続口50、66の外周に設けられたシール部材70、74と接続コネクタ24の外部接続口16、43との間で連結部がシールされると共に固定される。
【0079】
このようにして、創傷部治療器具10が創傷部32の上に配置された状態で、吸引装置及び洗浄液供給装置が作動させられる。吸引装置が作動させられることにより、閉塞部34内が、閉塞部34内の吸引創傷部チューブ26(a)から、
図4に示す吸引側面接続口12(a)、吸引接続通路20(a),吸引連結通路54(a),吸引外部チューブ接続口52(a)及び吸引外部チューブ48(a)を介して、吸引装置により吸引され、閉塞部34内が減圧される。また、閉塞部34内が減圧された状態で、創傷部32から生じた老廃物及び滲出液が、吸引外部チューブ48(a)へ吸引される。
【0080】
また、洗浄液供給装置が作動させられることにより、洗浄液が、
図4に示す供給外部チューブ48(b)から、供給外部チューブ接続口52(b)、供給連結通路54(b)、供給接続通路20(b)、供給側面接続口12(b)、供給創傷部チューブ26(b)を介して、閉塞部34内へ送られる。これにより、吸引創傷部チューブ26(a)は、供給創傷部チューブ26(b)から送られた洗浄液を吸引し、閉塞部34内では、洗浄液が、供給創傷部チューブ26(b)の先端27(b)から吸引創傷部チューブ26(a)の先端27(a)へ移動し、閉塞部34内の多孔質パッド36内で洗浄液が流動し、洗浄液が創傷部32を洗浄する。
【0081】
一方、
図3及び
図4に示すように、圧力測定口42(a)及び42(b)、支流通路62、溝60、圧力接続通路45、圧力連結通路82及び圧力外部チューブ接続口78を介して、圧力外部チューブ49に連通しているため、圧力外部チューブ49に連結された圧力計により、閉塞部34内の圧力を測定できる。
【0082】
ここで、圧力測定口42(a)及び42(b)の周辺は、凹部38及び凹部38の側面接続口12に接続された創傷部チューブ26により空間が確保されているため、圧力測定口42(a)及び42(b)に浮遊物や多孔質パッド36の一部が詰まることがなく、確実且つ正確に閉塞部34内の圧力を測定できる。
【0083】
また、圧力外部チューブ49は、閉塞部34に配置された接続コネクタ24の下面の溝60及び側面の2つの圧力測定口42と連通しているため、いずれか1ヶ所の圧力測定口42が浮遊物や多孔質パッド36の一部により閉塞されても、その他から閉塞部34内の圧力を測定することができる。
【0084】
閉塞部34内は、圧力計により計測された圧力を基に吸引量が調整され、一定の陰圧に維持される。閉塞部34内が陰圧に維持されることにより、創傷部32からの肉芽形成が促進される。また、閉塞部34内には洗浄液が供給され、創傷部32から生じた老廃物及び滲出液とともに吸引され、創傷部32において洗浄液が流動させられる。その結果、創傷部32の周囲の血流が増加して、血行が促進される。これにより創傷部治癒機能が回復し、創傷部32の治癒を促進することができる。
【0085】
図7には別の実施形態の創傷部治療器具10を示している。
図7(a)に示す接続コネクタ24のように、凸部46の両側面に係合溝(規制手段)86を備えてもよい。この場合、係合溝86に図示しないコの字型の板状係合部材を係合することで、接続コネクタ24を保持した状態で、連結コネクタ56を上から接続コネクタ24に連結できる。このため、連結コネクタ56を上から接続コネクタ24に連結する時に、連結コネクタ56からの押圧力によって、接続コネクタ24の創傷部32への接近を規制でき、接続コネクタ24が多孔質パッド36を介して創傷部32へ刺激を与えるのを防止できる。また、接続コネクタ24を手で掴まなくとも連結コネクタ56を接続コネクタ24に連結でき、手の爪等によって被覆シート30が破損するのを防止できる。係合溝86の形状は、凸部46を貫通する穴であってもよく、その場合は棒状の係合部材を用いればよい。また穴は貫通してなくても良く、棒状の係合部材を挿入し、接近を規制する時に外れない深さであれば良い。
【0086】
また、
図7(b)に示す接続コネクタ24のように、側面14の凹部38が1つのみ設けられ、凹部38に、圧力測定口42、吸引側面接続口12(a)及び供給側面接続口12(b)が設けられてもよい。この場合、接続コネクタ24をコンパクトに構成することにより、創傷部32の面積が小さく多孔質パッド36上に接続コネクタ24を配置できない場合に、接続コネクタ24を創傷部32付近の皮膚84上に配置して使用することが可能となる。
【0087】
また、接続コネクタ24の上面18に設ける外部接続口16(a)及び16(b)の配置は、圧力外部接続口43、吸引外部接続口16(a)及び供給外部接続口16(b)の各中心点が、三角形の角部上に配置された構成であってもよい。この場合、圧力外部接続口43、吸引外部接続口16(a)及び供給外部接続口16(b)の各中心点が、三角形の角部上に配置されるため、圧力外部接続口43、吸引外部接続口16(a)及び供給外部接続口16(b)の各中心点が一直線上に配置されるのとは異なり、接続コネクタ24と連結コネクタ56のガタが少なくなり、圧力外部接続口43、吸引外部接続口16(a)及び供給外部接続口16(b)に連結コネクタ56を連結した際のシール性を高めることができる。
【0088】
また、
図7(a)に示す接続コネクタ24のように、接続コネクタ24と連結コネクタ56の合せ面の形状を互いに凹凸形状にすることにより、圧力外部接続口43、吸引外部接続口16(a)及び供給外部接続口16(b)が一直線上に配置された場合でもガタが少なくなるようにしてもよい。
【0089】
また、
図9には更に別の実施形態の創傷部治療器具10を示している。本発明の創傷部治療器具10において、
図9(a)に示すように、接続コネクタ24の上面18に凸部46を備えなくともよい。この場合、被覆シート30の開口孔28は目視により接続コネクタ24の上面18の一部である平面部94へ位置決めされる。
【0090】
また、
図9(b)に示すように、接続コネクタ24と別体の連結コネクタ56を備えず、接続コネクタ24の上面18付近に直接チューブ接続が可能な吸引外部チューブ接続口52(a)、供給外部チューブ接続口52(b)及び圧力外部チューブ接続口78が設けられ、吸引外部チューブ48(a)、供給外部チューブ48(b)及び圧力外部チューブ49を直接に接続コネクタ24へ接続する構成であってもよい。また、凸部46を設けないで上面18に吸引外部チューブ接続口52(a)、供給外部チューブ接続口52(b)及び圧力外部チューブ接続口78を設けて、吸引外部チューブ48(a)、供給外部チューブ48(b)及び圧力外部チューブ49を接続できるようにしてもよい。このような構成の接続コネクタ24においては、被覆シート30を設置しやすくするためには、開口孔28の直径D1に対し、外部接続口の配置スペースを小さくすることが好ましく、実施例の場合では、吸引外部チューブ接続口52(a)と供給外部チューブ接続口52(b)の最も外側の距離D2が開口孔28の直径D1よりも小さくなるように外部接続口を配置することが好ましい。また開口孔28の形状は特に限定されず、外部接続口の配置に合わせて、開口孔28をカッティングしても良く、被覆シート30で被覆する時に、外部接続口が邪魔にならない開口形状であれば良い。
【0091】
また、
図10には更に別の実施形態の創傷部治療器具10を示している。本発明の創傷部治療器具10において、
図10に示すように、外部チューブ48(b)を吸引装置96と連通させるか、又は、洗浄液供給装置98と連通させるかを選択できる選択手段100を備えてもよい。選択手段100は、例えば、ピンチバルブやソレノイドバルブから構成される。この場合、1つの接続通路20(a)から閉塞部34内の流体を吸引するとともに他の1つの接続通路20(b)から閉塞部34内へ洗浄液を供給する作動、又は、両方の接続通路20(a)及び20(b)から閉塞部34内の流体を吸引する作動を選択し得る。前記作動の切換については、選択手段100を用いないでチューブの接続経路の変更により行ってもよい。
【0092】
また、
図11には更に別の実施形態の創傷部治療器具10を示している。本発明の創傷部治療器具は、
図11に示す連結固定手段128を備えた創傷部治療器具10であってもよい。連結固定手段128は、係合凸部120を有し連結コネクタ56に対して回動可能なように連結コネクタ56に設けられた係合部材122と、係合凸部120が係合されるように接続コネクタ24の凸部46に設けられた係合凹部124と、から構成されている。また、連結コネクタ56の下面には、外部接続口16(a)、16(b)及び43と連結接続口50(a)、50(b)及び66との連結部をシールする弾性圧縮可能なシール部材126が設けられている。
【0093】
図11(b)に示すように、係合部材122を回動させて係合凸部120を係合凹部124に係合して連結コネクタ56を接続コネクタ24に連結固定することにより、シール部材126が圧縮され、外部接続口16(a)、16(b)及び43と連結接続口50(a)、50(b)及び66との連結部をシールする。すなわち、シール部材126は、連結コネクタ56を接続コネクタ24に固定する連結固定手段128により機能する。
【0094】
また、
図12には更に別の実施形態の創傷部治療器具10を示している。本発明の創傷部治療器具は、
図12に示す連結固定手段130を備えた創傷部治療器具10であってもよい。連結固定手段130は、接続コネクタ24の凸部46の側面に設けられた雄螺子部132と、連結コネクタ56に対して回動可能に連結コネクタ56に取り付けられた雌螺子部材134とから構成されている。連結コネクタ56の下面には、外部接続口16(a)、16(b)及び43と連結接続口50(a)、50(b)及び66との連結部をシールする弾性圧縮可能なシール部材126が設けられている。また、被覆シート30の開口孔28の周辺上部には弾性圧縮可能な封止部材136が設けられている。
【0095】
図12(b)に示すように、雌螺子部材134を回動させて雌螺子部材134を雄螺子部132に螺合して連結コネクタ56を接続コネクタ24に連結固定することにより、シール部材126が圧縮され、外部接続口16(a)、16(b)及び43と連結接続口50(a)、50(b)及び66との連結部をシールし、同時に封止部材136も押され、接続コネクタ24のシール面22と被覆シート30との間のシール性を更に強固にする。すなわち、シール部材126及び封止部材136は、連結固定手段130が連結コネクタ56を接続コネクタ24に固定することにより機能する。封止部材136を備えない場合は、雌螺子部材134の下部が被覆シート30に接触する位置(圧縮する位置)又はその内側に被覆シート30の開口孔28を配置する構造とすることで、上記と同様に機能させることができる。また、上記構造で被覆シート30の接続コネクタ24側に粘着層を設け、被覆シート30を接続コネクタ24に接着する構造とすることで、雌螺子部材134の下部が被覆シート30を圧縮する面積及びシール面22に接着する面積をより小さい面積で効果的に封止することができる為、シール面22をより小さくでき、接続コネクタ24をよりコンパクトにできる。
【0096】
なお、シール部材126及び封止部材136の両方が、連結固定手段130が連結コネクタ56を接続コネクタ24に固定することにより機能する必要はなく、接続コネクタ24と連結コネクタ56の間のシールはシール部材126とは別のシール手段により行い、封止部材136のみが、連結固定手段130が連結コネクタ56を接続コネクタ24に固定することにより機能するように構成してもよい。
【0097】
また、連結コネクタ56の連結通路は1つの外部チューブ接続口まで貫通することに限定されず、少なくとも1つの外部チューブ接続口まで貫通すればよい。例えば、本発明の創傷部治療器具10において、
図13(a)に示すように、連結コネクタ56の吸引連結接続口50(a)からの吸引連結通路54(a)を分岐通路200へ分岐し、分岐通路200を圧力連結通路82まで貫通させてもよい。すなわち、連結コネクタ56の吸引連結通路(連結通路)54(a)が、吸引外部チューブ接続口(外部チューブ接続口)52(a)及び圧力外部チューブ接続口(外部チューブ接続口)78の2つの外部チューブ接続口まで貫通してもよい。この場合、吸引接続通路20(a)を介して閉塞部34内の圧力を測定でき、圧力測定口又は圧力接続通路等の圧力を測定するための構造を、接続コネクタ24側に設ける必要がない。
【0098】
また、本発明の創傷部治療器具10において、
図13(b)に示すように、連結コネクタ56の供給連結接続口50(b)からの供給連結通路54(b)を分岐通路200へ分岐し、分岐通路200を圧力連結通路82まで貫通させてもよい。すなわち、連結コネクタ56の供給連結通路(連結通路)54(b)が、供給外部チューブ接続口(外部チューブ接続口)52(b)及び圧力外部チューブ接続口(外部チューブ接続口)78の2つの外部チューブ接続口まで貫通してもよい。この場合、供給接続通路20(b)を介して閉塞部34内の圧力を測定でき、圧力測定口又は圧力接続通路等の圧力を測定するための構造を、接続コネクタ24側に設ける必要がない。
【0099】
閉塞部34内の圧力が設定した圧力値よりも負圧(マイナス側)になった際に、閉塞部34内に大気を導入するための大気開放弁が圧力外部チューブ(外部チューブ)49または吸引外部チューブ(外部チューブ)48(a)に設けられる場合がある。その際、
図13(b)に示す創傷部治療器具10の場合には、連結コネクタ56の供給連結接続口50(b)に連通する圧力外部チューブ接続口(外部チューブ接続口)78に接続された圧力外部チューブ(外部チューブ)49に大気開放弁を設け、閉塞部34内に大気を導入するような構成にすることで、大気を導入した場合にも閉塞部34内の流れを乱すことなく圧力を調整することが可能となる。
【0100】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本願発明は上述の構成及び図示したものに限定されない。本発明は、その主旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づき種々の改良、修正、変更を加えた態様で実施できるものである。