(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、本願では、ケーシングの中心軸と平行な方向を「軸方向」、中心軸に直交する方向を「径方向」、中心軸を中心とする円弧に沿う方向を「周方向」、とそれぞれ称する。
【0011】
<1.第1実施形態>
<1−1.内面検査システムの構成>
図1は、本発明の第1実施形態に係る内面検査システム1の斜視図である。
図2は、内面検査装置10の断面図である。
図3は、内面検査装置10の先端側から見た側面図である。
図1に示すように、内面検査システム1は、内面検査装置10、制御部11、ステージ12、エア供給部13、およびモニタ14を有する。
【0012】
内面検査装置10は、基端から先端へ軸方向に延び、少なくともその先端を被検査物8の穴81の内部に配置して、穴81をなす被検査物8の内面の状態を検査する装置である。内面検査装置10は、例えば、電気機器や自動車など種々の装置を構成する、筒状の部材の内面や、部材の有する穴部の内面を検査する。
図2に示すように、内面検査装置10は、ケーシング2、ロッドレンズ3、撮像手段4、および、光源5を有する。
【0013】
ケーシング2は、中心軸9に沿って基端側から先端側へ軸方向に延びる、略円筒形の部材である。本実施形態のケーシング2は、ガラスにより形成されるが、ケーシング2は、アルミニウム等の金属や、樹脂などの他の材料により形成されていてもよい。ケーシング2は、基端部21、円筒部22、および先端部23を有する。
【0014】
基端部21は、ケーシング2の最も基端側に位置する略円筒形状の部位である。本実施形態では、基端部21の内径が、円筒部22の内径よりも大きい。基端部21の内部には、光源5が配置される。
【0015】
円筒部22は、基端部21から先端側に向かって軸方向に延びる略円筒形状の部位である。円筒部22の内部には、ロッドレンズ3および後述する第1エア通路61が配置される。本実施形態では、円筒部22の内周面は円筒状である。すなわち、ケーシング2のうちロッドレンズ3を取り囲む部分の内周面は円筒状である。
【0016】
先端部23は、円筒部22の先端側の開口を、部分的に覆う環状の部位である。先端部23は、円筒部22の先端側の端部から、径方向内側へ向けて延びる。また、先端部23の中央には、ロッドレンズを嵌挿固定する円形の先端孔231が設けられている。
【0017】
ロッドレンズ3は、中心軸9に沿って軸方向に延びる、円柱形状のレンズである。本実施形態のロッドレンズ3は、ガラスにより形成されているが、光透過性の高い材料であれば、樹脂などの他の材料により形成されていてもよい。
【0018】
ロッドレンズ3は、その先端側端面から基端側に向かって凹む凹部31を有する。凹部31は、基端側から先端側に向けて径が拡がる円錐形状に形成されている。凹部31を構成するロッドレンズ3の表面は、研磨されており、径方向外側から入射した光を基端側へ反射するとともに、基端側から入射した光を径方向外側へと反射する反射部32を構成する。
【0019】
なお、反射部32の円錐形状の母線は、中心軸9に対して45度である。これにより、径方向外側から中心軸9に向かって入射した光は、反射部32において、中心軸9に沿って先端側から基端側へと反射し、ロッドレンズ3の外周面で反射することなくロッドレンズ3の基端側端部へと向かう。
【0020】
なお、本実施形態では、凹部31を構成するロッドレンズ3の表面には、鏡面加工が施されている。これにより、反射部32における反射率を向上できる。また、本実施形態では、反射部32が内面検査装置10の最も先端側に配置されている。これにより、被検査物の穴が軸方向に長い場合であっても、奥の方まで検査をすることができる。
【0021】
ロッドレンズ3の基端側の端部は、平面状に研磨された基端面33となっている。基端面33は、中心軸9に対して垂直に配置されている。
【0022】
ロッドレンズ3の基端側の端部は、基端蓋24により支持されている。基端蓋24は、ケーシング2の円筒部22の基端側の端部に取り付けられる。基端蓋24は、円筒部22の基端側の開口を覆う板状の円板部241と、円板部241から先端側に突出した円環状の基端取付部242とを有する。基端取付部242の外周面は、円筒部22の内周面に嵌挿固定される。また、ロッドレンズ3の基端側の端部付近の外周面は、基端取付部242の内周面に嵌挿固定により取り付けられる。これにより、基端保持部242は、ロッドレンズ3の基端側の端部を保持する。
【0023】
なお、ケーシング2と基端蓋24とは、圧入により固定されてもよいし、接着などの他の方法により固定されてもよい。また、基端蓋24とロッドレンズ3とは、圧入により固定されてもよいし、接着などの他の方法により固定されてもよい。また、ケーシング2と基端蓋24との間、および、基端蓋24とロッドレンズ3との間には、Oリングなどのシール材が介在していてもよい。
【0024】
本実施形態では、ケーシング2の内部において、基端部21の内部の空間と、円筒部22の内部の空間との連通が、基端蓋24により遮断されている。すなわち、基端蓋24は、ケーシング2の内部において基端側と先端側との連通を遮断している。これにより、後述する第1エア通路61の基端側の端部からの気体の漏れが、防止されている。
【0025】
また、基端蓋24は、ロッドレンズ3と一体に形成されていてもよい。すなわち、ロッドレンズ3が、基端蓋24に相当する、ケーシングに対して固定される固定部を有していてもよい。
【0026】
ロッドレンズ3の先端側は、ケーシング2の先端部23の先端孔231の内部に嵌挿固定される。ロッドレンズ3と先端部23とは、圧入により固定されてもよいし、接着などの他の方法により固定されてもよい。また、ロッドレンズ3と先端部23との間に、Oリングなどのシール材が介在していてもよい。本実施形態では、ロッドレンズ3と先端部23との固定箇所において、ケーシング2の円筒部22の内部の空間と、外部の空間との連通が遮断されている。これにより、後述する第1エア通路61の先端側の端部からの気体の漏れが、防止されている。
【0027】
ロッドレンズ3の先端側の端部は、ケーシング2の先端側の端部よりも先端側に突出する。したがって、反射部32の少なくとも一部は、ケーシング2の先端側の端部よりも先端側に配置される。これにより、反射部32は、
図2中に二点鎖線で示すように、ケーシング2の先端側の端部よりも先端側において、径方向外側から入射した光を基端側へと反射する。
【0028】
ロッドレンズ3の内部は、反射部32から基端面33へと軸方向先端側から基端側に向かう光を伝達するとともに、光源5から基端面33へと入力した光を軸方向基端側から先端側に伝達する、光通路30の一部となっている。
【0029】
本実施形態では、ケーシング2の内部に、第1エア通路61が設けられている。また、ケーシング2に、第2エア通路62、エア導入部63、およびエア吹出し口64が設けられている。
【0030】
第1エア通路61は、ロッドレンズ3の外周面と、ケーシング2の円筒部22の内周面との間の空間である。第1エア通路61は、ケーシング2の内部において、軸方向に略円筒状に延びている。
【0031】
第2エア通路62は、円筒部22の内面から外面まで貫通する貫通孔により形成されている。第2エア通路62は、円筒部22の先端側端部付近に配置される。本実施形態の円筒部22は、第2エア通路62を2つ有する。
図2に示すように、2つの第2エア通路62は、同一の軸方向位置に配置される。また、
図3に示すように、第2エア通路62の1つと、第2エア通路62の他の1つとは、中心軸9に対して対称の位置に配置されている。
【0032】
第2エア通路62は、第1エア通路61の先端側の端部付近から、径方向外側に向かって、軸方向に対して略垂直に延びる。これにより、第2エア通路62は、第1エア通路61の先端側の端部付近と、ケーシング2の外部の空間とを連通する。
【0033】
エア導入部63は、円筒部22の内面から外面まで貫通する貫通孔により形成されている。エア導入部63は、円筒部22の基端側端部付近に配置される。エア導入部63には、エア供給部13が接続されている。これにより、エア供給部13からエア導入部63を介して第1エア通路61の内部に気体を供給できる。
【0034】
第2エア通路62の径方向外側の端部の開口はそれぞれ、第2エア通路62から外部へ気体を吐出するエア吹出し口64となっている。前述の通り、第2エア通路62は円筒部22の先端側端部付近に配置されるため、エア吹出し口64も、内面検査装置1の先端側端部付近に配置される。
【0035】
上記構成により、エア導入部63に気体が導入されると、当該気体はエア導入部63から第1エア通路61へと供給される。そして当該気体は、第1エア通路61を軸方向に基端側から先端側へと進み、2つの第2エア通路62を介して、2つのエア吹出し口64からそれぞれ径方向外側に向かって吐出される。
【0036】
本実施形態では、ケーシング2、ロッドレンズ3、および基端蓋24は、いずれもガラスにより形成されている。ガラスは加工精度が良く、耐熱性が高く、かつ、膨張しにくいため、内面検査装置10の各部材を構成するのに適している。
【0037】
同一の材料により形成されていることより、ケーシング2、ロッドレンズ3、および基端蓋24の膨張係数は同一となる。したがって、環境温度によらず、ケーシング2、ロッドレンズ3、および基端蓋24の同軸性を確保できる。これにより、ロッドレンズ3内の光通路30と、第1エア通路61との同軸性を確保できる。
【0038】
また、ケーシング2、ロッドレンズ3、および基端蓋24が同一の材料により形成されていることにより、各部材間に隙間が生じにくい。本実施形態の内面検査装置10では、ケーシング2の内部に第1エア通路61が配置されているため、部材間に隙間が生じると第1エア通路61から基端部21の内部や先端孔231の外部へと気体が漏れる虞がある。そのため、各部材が同一の材料により形成されていることが、本実施形態では特に有用である。
【0039】
撮像手段4は、レンズ41を有するCCDカメラである。撮像手段4は、反射部32に対して基端側に配置され、反射部32からの軸方向の光を撮像する。本実施形態では、撮像手段4のレンズ41は、光源5の後述する開口部51の軸方向基端側に配置される。すなわち、レンズ41は、開口部51を介してロッドレンズ3の基端面33と軸方向に対向する。これにより、撮像手段4は、ロッドレンズ3の反射部32に映った反射部32の径方向外側の映像を、基端面33および開口部51を介して撮像できる。
【0040】
光源5は、環状に形成されており、中央に開口部51を有する。これにより、光源5は、ロッドレンズ3と軸方向に重ならない。したがって、ロッドレンズ3の内部から軸方向基端側へ向かう光は、基端蓋24を通って、開口部51を含むケーシング2の基端部21内の空間を通って、撮像手段4のレンズ41へと向かう。これにより、光通路30は、反射部32と撮像手段4のレンズ41との間において、軸方向に延びる。すなわち、ロッドレンズ3の内部と、基端蓋24と、基端部21の内部の空間とが、光通路30を構成している。このように、内面検査装置10では、光通路30および第1エア通路61は、ともにケーシング2の内部に配置される。
【0041】
光源5は、先端側に向かって光を照射する。光源5から照射された光は、
図2中破線で示すように、基端蓋24を介してロッドレンズ3に入射し、ロッドレンズ3の外周面で反射しつつ先端側へ向かって進み、反射部32により径方向外側へと反射する。これにより、光源5から照射された光の一部は、反射部32の径方向外側へ向かい、被検査物8の穴81の内面を照射する。その結果、基端側において、穴81の内面の映像を反射部32を介して撮像できる。
【0042】
図1に示すように、本実施形態では、制御部11はパーソナルコンピュータにより構成される。制御部11は、撮像手段4、光源5、ステージ12、エア供給部13、およびモニタ14と電気的に接続されている。制御部11は、光源5、ステージ12、およびエア供給部13の駆動を制御する。また、制御部11には、撮像手段4から出力される映像S4と、エア供給部13の圧力/電圧変換部132から出力されるエア圧力情報S132とが入力される。制御部11は、エア圧力情報S132に基づいて、穴81の内径S111を算出する。そして、制御部11は、撮像手段4から入力された映像S4と、内径S111とをモニタ14へと出力する。
【0043】
ステージ12は、載置台121およびステージ駆動部122を有する。載置台121には、内面検査装置10が載置される。ステージ駆動部122は、例えば、内部にモータを有する載置台121の移動機構である。ステージ駆動部122は、載置台121のx軸方向(内面検査装置10の軸方向であり、水平方向)、y軸方向(x軸方向と直交する水平方向)、およびz軸方向(x軸方向およびy軸方向と直交する鉛直方向)の位置を移動させる。
【0044】
本実施形態では、作業者が制御部11に指令を入力することにより、制御部11からステージ駆動部122に位置調節指令信号S112が入力される。これにより、ステージ駆動部122は、位置調節指令信号S112に従って載置台121の各方向の位置を調節する。なお、制御部11が、例えば、位置検知センサ(図示せず)からの信号等に基づいて載置台121の各方向の目標位置を算出し、位置調節指令信号S112を出力してもよい。
【0045】
エア供給部13は、エア供給源131と、圧力/電圧変換部132とを有する。エア供給源131は、制御部11から出力される内径計測指令信号S113に基づいて、レギュレータなどの圧力調整手段で一定圧力に調整された気体を、圧力/電圧変換部132を介して、エア導入部63から第1エア通路61内へと供給する。その結果、当該気体が第1エア通路61および第2エア通路62を通ってエア吹出し口64から径方向外側へ向かって吐出する。なお、エア供給源131から供給される気体には、例えば空気が用いられる。
【0046】
このとき、穴81のエア吹出し口64付近の内径に応じて、圧力/電圧変換部132における当該気体の圧力が変化する。圧力/電圧変換部132は、圧力/電圧変換部132を通過する当該気体の圧力を電圧信号であるエア圧力情報S132に変換し、制御部11へと出力する。このように、圧力/電圧変換部132は、エア導入部63における気体の圧力を測定する。すなわち、電力/圧力変換部132は、第1エア通路61に導入された気体の圧力を測定する測定部である。
【0047】
なお、圧力/電圧変換部132に代えて、エア導入部63または第1エア通路61における気体の流量を測定する測定部が用いられてもよい。その場合、制御部11は、エア導入部63における気体の流量に基づいて、穴81の内径S111を算出する。
【0048】
モニタ14は、制御部11から出力される映像S4および内径S111を表示する、ディスプレイである。本実施形態では、モニタ14には、映像S4と内径S111とが同時に表示されるため、映像S4と内径S111とを関連づけて検査することができる。
【0049】
本実施形態では、ケーシング2は、2つのエア吹出し口64を有する。また、エア吹出し口64の1つは、エア吹出し口64の他の1つとは反対の方向に気体を吐出する。すなわち、2つのエア吹出し口64は、ケーシング2の外周面のうち、周方向の互いの距離が最も遠い位置に配置されている。これにより、穴81の内径をより正確に計測できる。
【0050】
<1−2.作業工程について>
続いて、
図4を参照しながら、内面検査システム1を用いた内面検査および内径計測の作業工程について説明する。
図4は、内面検査システム1における作業工程を示したフローチャートである。
【0051】
まず、被検査物8を内面検査システム1にセットする(ステップST101)。次に、作業者が制御部11に指令を入力することにより、ステージ駆動部122が載置台121のx軸方向、y軸方向、およびz軸方向の位置を微調整し、内面検査装置10と被検査物8の穴81の位置合わせを行う(ステップST102)。このとき、内面検査装置10の中心軸9と、穴81の中心軸80とを一致させる。また、内面検査装置10の先端を、穴81の入り口付近に配置させる。
【0052】
次に、制御部11は、ステージ駆動部122を駆動させて、内面検査装置10をx軸方向正方向に移動させつつ、内面検査工程を行う(ステップST103)。すなわち、内面検査装置10の先端を穴81の入り口から奥へと移動させつつ、内面検査工程が行われる。具体的には、光源5を駆動させて穴81の内面に反射部32を介して光を照射し、当該内面の映像を反射部32を介して撮像手段4が撮像する。これにより、x軸方向の位置ごとの当該内面の映像データが制御部11に保存される。
【0053】
続いて、制御部11は、ステージ駆動部122を駆動させて、内面検査装置10をx軸方向負方向に移動させつつ、内径計測工程を行う(ステップST104)。すなわち、内面検査装置10の先端を穴81の奥から入り口方向へと移動させつつ、内径計測工程が行われる。具体的には、エア供給源131から圧力/電圧変換部132を介してエア導入部63に気体を導入し、圧力/電圧変換部132において測定された気体の圧力に基づいて、制御部11が穴81の内径S111を算出する。これにより、x軸方向の位置ごとの穴81の内径データが制御部11に保存される。
【0054】
そして、内面検査工程と内径計測工程とが終了した後、被検査物8が内面検査システム1から取り外される(ステップST105)。
【0055】
本実施形態では、内面検査装置10がx軸方向に1往復する間に内面検査工程と内径計測工程とが行われたが、本発明はこの限りではない。内面検査装置10がx軸方向に1往復する間ずっと内面検査工程が行われ、次にもう1往復する間ずっと内径計測工程が行われてもよい。また、内面検査工程と、内径計測工程とが、同時に行われてもよい。
【0056】
このように、内面検査装置10を用いることにより、内面検査と内径計測とを別々の装置を用いることなく、単一の装置で行うことができる。したがって、ステップST101およびステップST102に相当する被検査物8の装置へのセッティング工程や、ステップST105の被検査物8の取り外し工程を、1度のみにすることができるため、作業効率が向上する。
【0057】
また、上記構成により、本実施形態では、内面検査装置10の光通路30と第1エア通路61とは、軸方向の範囲が重なる。これにより、反射部32の軸方向の位置と、エア吹出し口64の軸方向の位置とを、ともに、内面検査装置10の先端付近に配置できる。その結果、有底円筒形状の被検査物であっても、その穴の底部の近傍まで内面検査および内径計測の双方を1つの装置で行うことができる。
【0058】
また、内面検査工程と内径計測工程とを、位置合わせ工程を挟むことなく連続して行うことができるため、被検査物の穴の内面の映像と、穴の内径とのx方向の位置を関連づけやすい。すなわち、内面検査の結果と内径計測の結果とを容易に関連づけることができる。
【0059】
<2.変形例>
以上、本発明の例示的な実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。
【0060】
図5は、一変形例に係る内面検査装置10Aの断面図である。内面検査装置10Aは、ケーシング2A、反射鏡3A、撮像手段4A、および光源5Aを有する。
図5の例の内面検査装置10Aは、ロッドレンズに代えて、反射鏡3Aを有する。また、内面検査装置10Aは、反射鏡を支持する支持部25Aを有する。
【0061】
反射鏡3Aは、反射部32Aを基端側の表面に有する。反射部32Aは、基端側から先端側に向けて径が拡がる円錐形状の面である。
【0062】
支持部25Aは、ケーシング2Aの先端側の端部に配置され、透明かつ円筒形状の部材である。
図5の例では、支持部25Aは、ガラスにより形成されている。これにより、支持部25Aは、反射部32から径方向外側へ向かう光、および、径方向外側から反射部32Aに向かう光を透過させる。
【0063】
図5の例では、ケーシング2Aの内面が鏡面加工されている。このため、ケーシング2Aの内面が光を効率よく反射する反面、ケーシング2Aは光を透過しにくい。これにより、破線で示すように、光源5Aから照射された光は、ケーシング2Aの内面で反射しつつ先端側へ向かって進み、反射部32Aにより径方向外側へと反射する。当該光が支持部25Aを透過することにより、被検査物の穴の内面を照射できる。
【0064】
また、二点鎖線で示すように、径方向外側から支持部25Aを介してケーシング2の内部の空間に入射した光は、反射部32Aにより軸方向先端側から基端側に向かう。すなわち、ケーシング2Aの内部の空間が、反射部32Aから撮像手段4Aへと光を伝達する光通路30Aを構成している。
【0065】
一方、エア導入部63Aからケーシング2Aの内部に気体が導入されると、当該気体は、ケーシング2Aの内部を基端側から先端側へと流れ、第2エア通路62Aを介して2つのエア吹出し口64Aから互いに逆方向に向かってケーシング2Aの外部へと吐出される。すなわち、ケーシング2Aの内部の空間が第1エア通路61Aを構成している。
【0066】
このように、
図5の例では、光通路30Aと、第1エア通路61Aとは、ケーシング2Aの内部の同一空間である。
図3のように、内面検査装置は、ロッドレンズを有していなくてもよい。
【0067】
図6は、他の変形例に係る内面検査装置10Bの断面図である。内面検査装置10Bは、ケーシング2B、反射鏡3B、撮像手段4B、および光源5Bを有する。また、内面検査装置10Bのケーシング2Bは、ガラスなどの透明な材料で形成されている。ケーシング2Bの内面は、反射鏡3Bの径方向外側を除いて、鏡面加工されている。
【0068】
反射鏡3Bは、反射部32Bを基端側の表面に有する。反射部32Bは、基端側から先端側に向けて径が拡がる円錐形状の面である。光源5Bから照射され先端側へ向かう光は、破線で示すように、反射鏡3Bの反射部32Bで反射され、ケーシング2を介して径方向外側へ向かう。一方、ケーシング2Bの径方向外側から反射鏡3Bに向かって入射した光は、二点鎖線で示すように、反射鏡3Bで反射され、軸方向基端側へと向かう。
【0069】
図6の例のように、ケーシング2Bを透明な材料により形成することにより、反射鏡3Bを支持する透明な支持部を、ケーシング2Bとは別に設ける必要が無い。
【0070】
図7は、他の変形例に係る内面検査装置10Cの断面図である。
図8は、
図7の例の内面検査装置10Cの先端側から見た側面図である。内面検査装置10Cは、ケーシング2C、基端蓋24C、先端蓋26C、ロッドレンズ3C、撮像手段4C、および光源5Cを有する。内面検査装置10Cは、ケーシングの先端部に代えて、先端蓋26Cを有する。
【0071】
先端蓋26Cは、ケーシング2Cの先端側の開口に取り付けられる。また、先端蓋26Cは、ロッドレンズ3Cを固定する固定孔261Cを有する。ケーシング2Cおよび先端蓋26Cは、圧入により固定されてもよいし、接着などの他の方法により固定されてもよい。また、先端蓋26Cとロッドレンズ3Cとは、圧入により固定されてもよいし、接着などの他の方法により固定されてもよい。
【0072】
また、ケーシング2Cと先端蓋26Cとの間、および、先端蓋26Cとロッドレンズ3との間には、Oリングなどのシール材が介在していてもよい。
図7および
図8の例では、ケーシング2Cと先端蓋26Cとの固定箇所、および、先端蓋26Cとロッドレンズ3Cとの固定箇所において、ケーシング2Cと外部空間との連通が遮断されている。
【0073】
図7および
図8の例のように、内面検査装置は、ケーシングの先端部に代えて、先端蓋を有していてもよい。
【0074】
また、上記の実施形態では、反射部に鏡面加工が施されていたが、本発明はこの限りではない。反射部が、径方向外側から入射した光を一定以上の反射率(例えば、60%)で反射すれば、鏡面加工が施されていなくてもよい。
【0075】
光源は、光通路の基端側に配置されなくてもよい。光源として、光通路の基端側に配置されたライトに代えて、ケーシングの先端付近に配置されたLEDライトや、ケーシングの周囲に巻き付けられたフレキシブル有機ELシートなどを用いてもよい。
【0076】
その他、内面検査装置の細部の形状については、本願の各図面と相違していてもよい。また、上記の実施形態や変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に組み合わせてもよい。