【実施例】
【0042】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。なお、実施例において、百分率(%)及び部は、断りのない限り、全て質量基準である。また、付与量は絶乾付与量である。
なお、実施例1−1〜実施例1−5、実施例2−8は参考例である。
【0043】
不織布基材Aの作製
繊度0.06dtex(平均繊維径2.4μm)、繊維長3mmの配向結晶化ポリエチレンテレフタレート(PET)系短繊維40質量部と繊度0.1dtex(平均繊維径3.0μm)、繊維長3mmの配向結晶化PET系短繊維20質量部と繊度0.2dtex(平均繊維径4.3μm)、繊維長3mmの単一成分型バインダー用PET系短繊維(軟化点120℃、融点230℃)40質量部とをパルパーにより水中に分散し、濃度1質量%の均一な抄造用スラリーを調製した。この抄造用スラリーを、通気度275cm
3/cm
2/sec、組織[上網:平織、下網:畝織]の抄造ワイヤーを設置した傾斜型抄紙機にて、湿式法で抄き上げ、135℃のシリンダードライヤー(Cylinder Dryer)によって、バインダー用PET系短繊維を接着させて不織布強度を発現させ、目付12g/m
2の不織布とした。さらに、この不織布を、誘電発熱ジャケットロール(金属製熱ロール)及び弾性ロールからなる1ニップ(nip)式熱カレンダーを使用して、熱ロール温度200℃、線圧100kN/m、処理速度30m/分の条件で熱カレンダー処理し、厚み18μmの不織布基材Aを作製した。
【0044】
不織布基材Bの作製
繊度0.06dtex(平均繊維径2.4μm)、繊維長3mmの配向結晶化ポリエチレンテレフタレート(PET)系短繊維60質量部と繊度0.2dtex(平均繊維径4.3μm)、繊維長3mmの単一成分型バインダー用PET系短繊維(軟化点120℃、融点230℃)40質量部とする以外は不織布基材Aと同様にして、厚み18μmの不織布基材Bを作製した。不織布基材Bは、繊度の小さな繊維分が多いため、細孔径が小さくなり、不織布基材Aと比較して、塗工液が浸透しにくい。
【0045】
塗工液1Aの作製
水酸化マグネシウム100部とポリカルボン酸型高分子界面活性剤0.4部、水120部とを混合して十分撹拌した。次に、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(1質量%水溶液の25℃におけるB型粘度が7000mPa・s)0.5質量%水溶液300部及び、ガラス転移点5℃、体積平均粒子径0.2μmのカルボキシ変性スチレンブタジエン樹脂(SBR)エマルション(固形分濃度50質量%)10部を混合して十分撹拌し、塗工液1Aを作製した。なお、塗工液1AのB型粘度は970mPa・sであった。
【0046】
塗工液1Bの作製
カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(1質量%水溶液の25℃におけるB型粘度が7000mPa・s)0.5質量%水溶液300部を100部にした以外は、塗工液Aと同じようにして塗工液1Bを作製した。なお、塗工液1BのB型粘度は200mPa・sであった。
【0047】
実施例1−1
不織布基材A上に、塗工液1Aを、キスリバース方式のグラビアコーターにて、絶乾付与量が16g/m
2となるように塗工後乾燥し、厚み31μmのセパレータを作製した。
【0048】
実施例1−2
不織布基材A上に、塗工液1Aを、キスリバース方式のグラビアコーターにて、絶乾付与量が8g/m
2となるように塗工後乾燥し、さらに、同じ塗工面に再度、塗工液1Aを、キスリバース方式のグラビアコーターにて絶乾付与量が8g/m
2となるように塗工後乾燥し、厚み30μmのセパレータを作製した。
【0049】
実施例1−3
不織布基材Aに代えて、不織布基材Bを使用した以外は、実施例1−1と同様にして、厚み28μmのセパレータを作製した。
【0050】
実施例1−4
塗工液1Aに代えて、塗工液1Bを用いた以外は、実施例1−3と同様にして、厚み29μmのセパレータを作製した。
【0051】
実施例1−5
キスリバース方式のグラビアコーターに代えて、含浸式コーターを用いた以外は、実施例1−1と同様にして、厚み31μmのセパレータを作製した。
【0052】
比較例1−1
塗工液1Aに代えて、塗工液1Bを用いた以外は、実施例1−1と同様にして、厚み32μmのセパレータを作製した。
【0053】
比較例1−2
2回目の塗工を、1回目の塗工面とは反対の面に行った以外は、実施例1−2と同様にして、厚み32μmのセパレータを作製した。
【0054】
[Mg/C比]
各セパレータの表裏面におけるエネルギー分散X線分光法(EDS)によるMg及びCの強度ピーク比(Mg/C比)を、電界放射型走査電子顕微鏡(日本電子(JEOL)製、装置名:JSM−06700F)を使用して加速電圧10kV、倍率40倍の視野を3箇所測定し、得られたMg及びC由来の特性X線のピーク強度(特性X線のカウント数)の比の平均値により求めた。
【0055】
[厚み]
各セパレータの断面を、EDSを備えたSEM装置にて観察した。そして、「マグネシウム(Mg)を検出した領域」を「無機顔料」とした。「Mgを検出せず、かつ実体が存在する領域」を「基材繊維」とした。「無機顔料の存在比率が4/1である深さ」を「顔料主体層と混在層の境界線」とした。「無機顔料の存在比率が1/4である深さ」を「繊維主体層と混在層の境界線」とした。
【0056】
これらの「境界線」から、「顔料主体層」、「混在層」、「繊維主体層」の厚みをそれぞれ求めた(I、II、III)。「混在層」が「顔料主体層」の反対面まで到達している場合、「繊維主体層」の厚み(III)は「0(零)」とみなした。
【0057】
<評価>
[電池の繰り返し充放電特性]
各セパレータを用い、正極活物質がマンガン酸リチウム、負極活物質が人造黒鉛、電解液が溶媒:エチレンカーボネートとジエチルカーボネートの7/3(容量比)混合溶媒、電解質:リチウムヘキサフルオロフォスフェート(LiPF
6、濃度:1mol/L)である設計容量が100mAhのラミネート型リチウムイオン二次電池を作製した。なお、電池の組立にあたっては、セパレータの顔料主体層を負極に相対させるようにした。
【0058】
その後、各電池について、「200mA定電流充電→4.2V定電圧充電(1時間)→200mAで定電流放電→2.8Vになったら次のサイクル」のシーケンスにて200サイクルの充放電を行い、[1−(200サイクル目の放電容量/4サイクル目の放電容量)]×100(%)として容量低下率を求めた。容量低下率が低い方が、サイクル特性が良好な電池である。
【0059】
1:容量低下率が10%未満
2:容量低下率が10%以上20%未満
3:容量低下率が20%以上30%未満
4:容量低下率が30%以上40%未満
5:容量低下率が40%以上
【0060】
【表1】
【0061】
表1から明らかなように、顔料主体層、混在層、繊維主体層がこの順に重なって構成され、且つ顔料主体層側の面のMg/C比が4.0以上である実施例1−1〜1−5のセパレータは、繰り返し充放電における容量低下率が40%未満であり、サイクル特性が良好という効果が達成できた。これに対し、繊維主体層がない比較例1−1及び1−2のセパレータは、容量低下率が40%以上であり、サイクル特性が悪かった。
【0062】
また、実施例1−1〜1−5のセパレータを比較すると、繊維主体層側の面のMg/C比が1.0×10
−1以上1.0未満である実施例1−1〜1−4のセパレータは、繰り返し充放電における容量低下率がより小さく、サイクル特性がより良好という効果を達成できた。
【0063】
塗工液2Aの作製
ベーマイトアルミナ100部とポリカルボン酸型高分子界面活性剤0.4部、水120部とを混合して十分撹拌した。次に、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(1質量%水溶液の25℃におけるB型粘度が7000mPa・s)0.5質量%水溶液300部及び、ガラス転移点5℃、体積平均粒子径0.2μmのカルボキシ変性スチレン−ブタジエン樹脂(SBR)エマルション(固形分濃度50質量%)10部を混合して十分撹拌し、塗工液2Aを作製した。塗工液2AのB型粘度は1020mPa・sであった。
【0064】
塗工液2Bの作製
カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(1質量%水溶液の25℃におけるB型粘度が7000mPa・s)0.5質量%水溶液300部を200部にした以外は塗工液2Aと同じようにして塗工液2Bを作製した。塗工液2BのB型粘度は510mPa・sであった。
【0065】
塗工液2Cの作製
カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(1質量%水溶液の25℃におけるB型粘度が7000mPa・s)0.5質量%水溶液300部を100部にした以外は塗工液2Aと同じようにして塗工液2Cを作製した。塗工液2CのB型粘度は200mPa・sであった。
【0066】
塗工液2Dの作製
カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(1質量%水溶液の25℃におけるB型粘度が7000mPa・s)0.5質量%水溶液300部を200部にした以外は塗工液1Aと同じようにして塗工液2Dを作製した。塗工液2DのB型粘度は490mPa・sであった。
【0067】
実施例2−1
不織布基材B上に、塗工液2Aを、キスリバース方式のグラビアコーターにて、絶乾付与量が5g/m
2となるように塗工後乾燥し、さらに、同じ塗工面に、塗工液1Aを、キスリバース方式のグラビアコーターにて、絶乾付与量が5g/m
2となるように塗工後乾燥し、厚み26μmのセパレータを作製した。
【0068】
実施例2−2
不織布基材B上に、塗工液2Aを、キスリバース方式のグラビアコーターにて、絶乾付与量が5g/m
2となるように塗工後乾燥し、さらに、同じ塗工面に、塗工液1Aを、キスリバース方式のグラビアコーターにて、絶乾付与量が3g/m
2となるように塗工後乾燥し、厚み24μmのセパレータを作製した。
【0069】
実施例2−3
不織布基材B上に、塗工液2Aを、キスリバース方式のグラビアコーターにて絶乾付与量が5g/m
2となるように塗工後乾燥し、さらに、同じ塗工面に、塗工液1Aを、キスリバース方式のグラビアコーターにて、絶乾付与量が1.0g/m
2となるように塗工後乾燥し、厚み22μmのセパレータを作製した。
【0070】
実施例2−4
塗工液1Aに代えて、塗工液2Dを用いた以外は、実施例2−1と同様にして、厚み25μmのセパレータを作製した。
【0071】
実施例2−5
不織布基材B上に、塗工液2Aを、キスリバース方式のグラビアコーターにて、絶乾付与量が2g/m
2となるように塗工後乾燥し、さらに、同じ塗工面に、塗工液1Aを、キスリバース方式のグラビアコーターにて、絶乾付与量が5g/m
2となるように塗工後乾燥し、厚み22μmのセパレータを作製した。
【0072】
実施例2−6
塗工液2Aに代えて、塗工液2Bを用い、さらに塗工液1Aに代えて、塗工液2Dを用いた以外は、実施例2−1と同様にして、厚み24μmのセパレータを作製した。
【0073】
実施例2−7
不織布基材A上に、塗工液2Cを、キスリバース方式のグラビアコーターにて絶乾付与量が5g/m
2となるように塗工後乾燥し、さらに、同じ塗工面に、塗工液1Aを、キスリバース方式のグラビアコーターにて絶乾付与量が5g/m
2となるように塗工後乾燥し、厚み25μmのセパレータを作製した。
【0074】
実施例2−8
不織布基材B上に、塗工液2Aを、キスリバース方式のグラビアコーターにて、絶乾付与量が3g/m
2となるように塗工後乾燥し、さらに、同じ塗工面に、塗工液1Bを、キスリバース方式のグラビアコーターにて、絶乾付与量が5g/m
2となるように塗工後乾燥し、厚み24μmのセパレータを作製した。
【0075】
比較例2−1
不織布基材A上に、塗工液2Aを、キスリバース方式のグラビアコーターにて、絶乾付与量が1.0g/m
2となるように塗工後乾燥し、さらに、同じ塗工面に、塗工液1Aを、キスリバース方式のグラビアコーターにて、絶乾付与量が3g/m
2となるように塗工後乾燥し、厚み21μmのセパレータを作製した。
【0076】
比較例2−2
不織布基材A上に、塗工液2Aを、キスリバース方式のグラビアコーターにて絶乾付与量が5g/m
2となるように塗工後乾燥し、厚み22μmのセパレータを作製した。
【0077】
<評価>
[Mg/C比、Mg/Al比、Al/C比]
各セパレータにおいて、顔料主体層側の面と繊維主体層側の面のEDSによるMg/Al比、顔料主体層側の面のMg/C比、繊維主体層側の面のAl/C比を、電界放射型走査電子顕微鏡(日本電子(JEOL)製、装置名:JSM−06700F)を使用して加速電圧10kV、倍率100倍の視野を3箇所測定し、得られたMg、Al及びC由来の特性X線のピーク強度(特性X線のカウント数)の比の平均値により求めた。
【0078】
[厚み]
各セパレータの断面を、EDSを備えたSEM装置にて観察した。そして、「マグネシウム(Mg)又はアルミニウム(Al)を検出した領域」を「無機顔料」とした。「Mg又はAlを検出せず、かつ実体が存在する領域」を「基材繊維」とした。「無機顔料の存在比率が4/1である深さ」を「顔料主体層と混在層の境界線」とした。「無機顔料の存在比率が1/4である深さ」を「繊維主体層と混在層の境界線」とした。
【0079】
これらの「境界線」から、「顔料主体層」、「混在層」、「繊維主体層」の厚みをそれぞれ求めた(I、II、III)。「混在層」が「顔料主体層」の反対面まで到達している場合、「繊維主体層」の厚み(III)は「0(零)」とみなした。
【0080】
[ピンホール評価]
作製したセパレータについて、セパレータのピンホールの状態についてA4サイズ1枚を、透過光を用いて目視にて確認し、次の度合いで評価した。結果を表2に記した。
【0081】
1:目視でのピンホールの発生は見られない。
2:うっすらと透過光が観察される部分が存在する。
3:明らかな透過光が僅かに観察される。
4:明らかな透過光が多数観察される。
【0082】
【表2】
【0083】
表2から明らかなように、顔料主体層、混在層、繊維主体層がこの順に重なって構成され、且つ顔料主体層側の面のMg/C比が4.0以上である実施例2−1〜2−8のセパレータでは、ピンホール抑制効果が達成できた。これに対し、顔料主体層側の面のMg/C比が4.0未満である比較例2−1のセパレータ及びMgが検出されなかった比較例2−2のセパレータでは、ピンホールが悪化する傾向が見られた。
【0084】
実施例2−1〜2−8のセパレータを比較すると、顔料主体層側の面のMg/Al比が20以上であり、繊維主体層側の面のMg/Al比が1.0×10
−2以上1.0未満である実施例2−1〜2−7のセパレータでは、繊維主体層側の面のMg/Al比が1.0以上である実施例2−8のセパレータと比較して、より高いピンホール抑制効果が達成できた。
【0085】
実施例2−1〜2−7のセパレータを比較すると、繊維主体層側の面のAl/C比が1.0×10
−2以上1.0未満である実施例2−1、2−
2、2−4及び2−6のセパレータでは、繊維主体層側の面のAl/C比が1.0×10
−2未満である実施例2−
5のセパレータ及び1.0以上である実施例2−7のセパレータと比較して、更に高いピンホール抑制効果が達成できた。また、実施例2−3のセパレータは、顔料主体層側の面のMg/C比が4.1であり、繊維主体層側の面のMg/Al比が1.0×10
−2であり、どちらの値も下限に近いことから、ピンホールの抑制効果が実施例2−7のセパレータと同程度であった。