特許第6294876号(P6294876)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6294876-UBE3A−ATS発現の調節 図000061
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6294876
(24)【登録日】2018年2月23日
(45)【発行日】2018年3月14日
(54)【発明の名称】UBE3A−ATS発現の調節
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/7088 20060101AFI20180305BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20180305BHJP
   A61K 31/712 20060101ALI20180305BHJP
   A61K 31/7115 20060101ALI20180305BHJP
   A61K 31/7125 20060101ALI20180305BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20180305BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20180305BHJP
   C12N 15/113 20100101ALI20180305BHJP
【FI】
   A61K31/7088ZNA
   A61K48/00
   A61K31/712
   A61K31/7115
   A61K31/7125
   A61P43/00 111
   A61P25/28
   C12N15/00 G
【請求項の数】14
【全頁数】95
(21)【出願番号】特願2015-520410(P2015-520410)
(86)(22)【出願日】2013年6月25日
(65)【公表番号】特表2015-529635(P2015-529635A)
(43)【公表日】2015年10月8日
(86)【国際出願番号】US2013047701
(87)【国際公開番号】WO2014004572
(87)【国際公開日】20140103
【審査請求日】2016年6月23日
(31)【優先権主張番号】61/664,083
(32)【優先日】2012年6月25日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/738,959
(32)【優先日】2012年12月18日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/750,939
(32)【優先日】2013年1月10日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/755,617
(32)【優先日】2013年1月23日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/772,925
(32)【優先日】2013年3月5日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595104323
【氏名又は名称】アイオーニス ファーマシューティカルズ, インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Ionis Pharmaceuticals,Inc.
(73)【特許権者】
【識別番号】391058060
【氏名又は名称】ベイラー カレッジ オブ メディスン
【氏名又は名称原語表記】BAYLOR COLLEGE OF MEDICINE
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100128750
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 しのぶ
(74)【代理人】
【識別番号】100198018
【弁理士】
【氏名又は名称】取違 絵理
(72)【発明者】
【氏名】リゴ,フランク
(72)【発明者】
【氏名】ワード,アマンダ
(72)【発明者】
【氏名】ボーデ,アーサー・エル
(72)【発明者】
【氏名】メン,リンヤン
【審査官】 澤田 浩平
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/064806(WO,A1)
【文献】 Hum Mol Genet.,2012年 4月,21(13),p.3001-3012
【文献】 Nature,2012年 1月,481(7380),p.185-189
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K31/33−31/80,48/00,
A61P1/00−43/00,
C12N15/11−15/113,
CAplus (STN),
REGISTRY(STN),
MEDLINE (STN),
EMBASE (STN),
BIOSIS (STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
BE3A−ATSの第1の領域を標的とする修飾オリゴヌクレオチドを含む化合物であって、該第1の領域は、UBE3AのプレmRNAの少なくとも3’末端に相補的な(a)上流領域および(b)下流領域と隣接し、
i)UBE3A−ATSが、配列番号1と同一である核酸配列を含み、UBE3A−ATSの該第1の領域が、配列番号1の核酸塩基997469〜1032966からなり、又は
ii)UBE3A−ATSが、配列番号2と同一である核酸配列を含み、UBE3A−ATSの該第1の領域が、配列番号2の核酸塩基446213〜513602からなり;
該修飾オリゴヌクレオチドが12〜30個連結されたヌクレオシドからなり、
該修飾オリゴヌクレオチドが、その全長にわたり、UBE3A−ATS核酸配列の等長領域と、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%相補的であり、
該修飾オリゴヌクレオチドが細胞内で父方由来のUBE3Aの発現を誘発することができる、
前記化合物。
【請求項2】
前記修飾オリゴヌクレオチドが、一本鎖オリゴヌクレオチドである、請求項に記載の化合物。
【請求項3】
前記修飾オリゴヌクレオチドが、少なくとも1つの修飾ヌクレオシド間結合を含む、請求項に記載の化合物。
【請求項4】
前記修飾ヌクレオシド間結合が、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合である、請求項に記載の化合物。
【請求項5】
少なくとも1つのヌクレオシドが、修飾糖を含む、請求項のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
前記修飾糖が、前記糖の4’と2’位の間に架橋を含む二環式糖である、請求項に記載の化合物。
【請求項7】
前記架橋が、4’−CH(CH)−O−2’、4’−CH−2’、4’−(CH−2’、4’−CH−O−2’、4’−(CH−O−2’、4’−CH−O−N(R)−2’、および4’−CH−N(R)−O−2’−から選択され、式中、各R1は独立して、H、保護基、またはC1〜C12アルキルである、請求項に記載の化合物。
【請求項8】
前記架橋が、4’−CH(CH)−O−2’、4’−CH−O−2’および4’−(CH−O−2’から選択される、請求項に記載の化合物。
【請求項9】
前記修飾糖が、2’−O−メトキシエチル基を含む、請求項に記載の化合物。
【請求項10】
少なくとも1つのヌクレオシドが、修飾核酸塩基を含む、請求項のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
前記修飾核酸塩基が、5−メチルシトシンである、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
前記化合物が共役アンチセンス化合物である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の化合物を含む、療法用の医薬組成物。
【請求項14】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の化合物を含む、アンジェルマン症候群の治療用医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
政府の援助の記載
本発明は、国立衛生研究所より与えられたR01HD037283のもと、政府の援助を受けて行われた。政府は、本発明に関してある特定の権利を有する。
【0002】
配列表
本出願は、電子フォーマットの配列表とともに出願されている。配列表は、BIOL0204WOSEQ.txtという名称で2013年6月25日に作成された、およそ2,672KBのサイズのファイルとして提供される。配列表の電子フォーマットでの情報は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0003】
発明の分野
ある特定の実施形態は、ユビキチンタンパク質リガーゼE3A(UBE3A)の内在性アンチセンス転写物である、UBE3A−ATSを阻害するための方法および化合物を対象とする。そのような方法および化合物は、細胞および動物において父方由来のUBE3Aの発現を誘発するために有用である。
【背景技術】
【0004】
UBE3Aは、ニューロンにおいて母性的に発現され、E6−APと名付けられたE3ユビキチンリガーゼをコードする。UBE3A−ATSと名付けられたUBE3Aの内在性アンチセンス転写物は、ヒトおよびマウスにおいて確認されている。父方由来のUbe3a発現を抑制するUBE3A−ATS機能(Meng et al.,Hum Mol Genet.21:3001−12,2012)。
【0005】
アンジェルマン症候群(AS)は、15q11.2における母方由来のUBE3Aの欠乏に主に起因する神経発達障害であり、一方、父方由来のUBE3Aは、ニューロンにおいてゲノムインプリンティングおよびサイレンシングに供される。アンジェルマン症候群の患者は、発達遅延、発語障害、および痙攣発作に悩まされている。アンジェルマン症候群に対する治療は、限定されており、主に対症的管理に焦点をおいている。(Williams,C.A.et al.,Genet.Med.,12:385−395,2010)。
【0006】
最近になって、癌治療において現在使用されているトポイソメラーゼ阻害剤が、ニューロン培養系およびマウスの両方における父方由来のUbe3a発現を「覚醒させる」ことが発見された。(Huang,H.S.et al.,Nature,481:185−189,2012)。しかしながら、父方由来のUbe3a発現の覚醒の正確な機序は不明のままであり、トポイソメラーゼ阻害剤は、それらが、非特異的であり、一本鎖および二本鎖の切断等のDNA損傷を誘発することができることが知られているため、安全性に対する懸念を伴う。
【発明の概要】
【0007】
本明細書に提供されるいくつかの実施形態は、UBE3A−ATSを標的とするアンチセンス化合物が、父方由来のUBE3A発現を誘発するという発見に関する。いくつかの実施形態は、UBE3Aと重なる領域からUBE3A−ATS上流の領域に位置している予想外のホットスポット内でUBE3A−ATSを標的とするアンチセンス化合物を使用して、父方由来のUBE3Aの発現を誘発するための方法および化合物を対象とする。ある特定の実施形態では、ホットスポットは、HBII−52またはMBII−52等の少なくとも1つの核小体低分子RNA(snoRNA)の配列を含むUBE3A−ATSの上流領域と、UBE3A−ATSの下流領域との間に位置しており、UBE3Aに対して相補的(すなわち、UBE3Aに対してアンチセンス)である。本明細書に記載のいくつかの実施形態では本発見を明らかにする前は、UBE3A−ATSがアンチセンス化合物でうまく標的とされ得るかどうかは不確かであり、UBE3A−ATS内のどこで標的化されるかはさらに一層不明瞭であった。
【0008】
本明細書に記載のUBE3A−ATSのホットポット領域の発見は、センス転写物と重なるか、または重ならない領域のいずれかでアンチセンス転写物を標的とすることで、センス転写発現を上方制御することができると教示しているいくつかの報告を考えると、予測不可能であった。例えば、一方では、BDNFと重なる天然のアンチセンス転写物BDNF−ASの領域に対して設計されたアンチセンス化合物が、BDNF mRNAレベルを増加させることを示している。(Madharessi et al.,Nat Biotechnol.30:453−459,2012)。同様の発見が、p21およびOct4アンチセンス転写物を用いて報告されている(Morris et al.,PLoS Genet.4:e1000258,2008,Hawkins and Morris,Transcription 1:165−175,2010)。他方では、センス転写物との非重複領域で天然のアンチセンス転写物を標的とするアンチセンス化合物が、センス転写発現を上方制御することができることが示されている。(Faghihi et al.,PLoS ONE 5:e13177,2010)。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、抗YFP抗体を使用したウエスタンブロット分析の結果を示す図である。
図2図2は、抗YFP抗体を使用したウエスタンブロット分析の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明はともに、例示的および説明的なものに過ぎず、特許請求される本発明を限定するものではないことを理解されたい。本明細書において、単数形の使用は、別途具体的に指示がない限り複数を含む。本明細書で使用される場合、「または」の使用は、別途指示がない限り「および/または」を意味する。さらに、「含むこと」という用語、ならびに「含む」および「含まれる」等の他の形態の使用も、限定的なものではない。また、「要素」または「構成要素」等の用語は、別途具体的に指示がない限り、1つのユニットを含む要素および構成要素と、2つ以上のサブユニットを含む要素および構成要素の両方を包含する。
【0011】
本明細書で使用する章見出しは、構成的な目的のために過ぎず、説明される主題を限定すると解釈すべきではない。特許、特許出願、記事、書籍、および論文を含むがこれらに限定されない、本出願に引用されるあらゆる文書または文書の一部は、本明細書で考察される文書の一部に対して、ならびにそれらの全体として、参照することによって明示的に本明細書に組み込まれる。
【0012】
本明細書に記載の各配列番号に示される配列は、糖部分、ヌクレオシド間結合、または核酸塩基に対する任意の修飾からは独立していることを理解されたい。したがって、配列番号で定義されるアンチセンス化合物は、独立して、糖部分、ヌクレオシド間結合、または核酸塩基に対する1つ以上の修飾を含み得る。Isis番号(Isis No)で記載されるアンチセンス化合物は、核酸塩基配列およびモチーフの組み合わせを示す。
【0013】
定義
特定の定義がなされない限り、本明細書に記載される分析化学、合成有機化学、医薬品化学、および製薬化学と関連して使用される命名法、ならびにそれらの手順および技法は、当該技術分野において周知であり、一般的に使用されるものである。標準的技法を化学合成および化学分析に使用してよい。許可される場合、あらゆる特許、出願、公開出願、および他の刊行物、米国立生物工学情報センター(NCBI)等のデータベースを通して入手可能なGENBANK受託番号および関連付けられた配列情報、ならびに本明細書において開示全体を通して参照される他のデータは、本明細書で考察される文書の一部に対して、ならびにそれらの全体として、参照することによって本明細書に組み込まれる。
【0014】
別途指示がない限り、以下の用語は以下の意味を有する。
【0015】
「2’−O−メトキシエチル」(2’−MOEおよび2’−O(CH−OCHとも称される)は、フラノース環の2’位でのO−メトキシ−エチル修飾を指す。2’−O−メトキシエチルで修飾された糖は、修飾糖である。
【0016】
「2’−MOEヌクレオシド」(2’−O−メトキシエチルヌクレオシドとも称される)は、2’−MOE修飾糖部分を含むヌクレオシドを意味する。
【0017】
「2’−置換ヌクレオシド」とは、フラノシル環の2’位にHまたはOH以外の置換基を含むヌクレオシドを意味する。ある特定の実施形態では、2’置換ヌクレオシドは、二環式糖修飾を有するヌクレオシドを含む。
【0018】
「3’標的部位」とは、特定のアンチセンス化合物の最も3’側のヌクレオチドに相補的な標的核酸のヌクレオチドを指す。
【0019】
「5’標的部位」とは、ある特定のアンチセンス化合物の最も5’側のヌクレオチドに相補的な標的核酸のヌクレオチドを指す。
【0020】
「5−メチルシトシン」とは、5位に結合したメチル基で修飾されたシトシンを意味する。5−メチルシトシンは修飾核酸塩基である。
【0021】
「約」は、値の±7%以内を意味する。例えば、「化合物は、少なくとも約70%のUBE3A−ATSの阻害に作用した」と記載されている場合、UBE3A−ATSレベルが63%〜77%の範囲内で阻害されることを示唆する。同様に、「化合物は、父方由来のUBE3A発現の少なくとも約20%の誘発に作用した」と記載されている場合、UBE3Aレベルが、13%〜27%の範囲内で誘発されることを示唆する。
【0022】
「動物」は、ヒトまたは非ヒト動物を指し、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ならびにサルおよびチンパンジーを含むがこれらに限定されない非ヒト霊長類が挙げられるが、これらに限定されない。
【0023】
「アンチセンス活性」は、アンチセンス化合物のその標的核酸へのハイブリダイゼーションに起因する、任意の検出可能または測定可能な活性を意味する。ある特定の実施形態では、アンチセンス活性とは、標的核酸またはかかる標的核酸によってコードされるタンパク質の量または発現の低下である。
【0024】
「アンチセンス化合物」とは、水素結合を介して標的核酸にハイブリダーセーションすることが可能なオリゴマー化合物を意味する。アンチセンス化合物の例には、アンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA、shRNA、ssRNA、占有率に基づく化合物(occupancy−based compound)等の一本鎖および二本鎖化合物が挙げられる。
【0025】
「アンチセンス阻害」とは、アンチセンス化合物の不在下における標的核酸レベルと比較した、標的核酸に相補的なアンチセンス化合物の存在下における標的核酸レベルの減少を意味する。
【0026】
「アンチセンス機序」とは、標的核酸への化合物のハイブリダイゼーションに関わるあらゆる機序であって、ここでのハイブリダイゼーションの結果または効果は、例えば、転写またはスプライシングに関与する細胞機構の付随的な停止を伴う、標的分解または標的占有のいずれかである。
【0027】
「アンチセンスオリゴヌクレオチド」とは、標的核酸の対応する領域またはセグメントへのハイブリダイゼーションを許容する核酸塩基配列を有する1本鎖オリゴヌクレオチドを意味する。
【0028】
「塩基相補性」とは、アンチセンスオリゴヌクレオチドの核酸塩基の、標的核酸中の対応する核酸塩基との正確な塩基対合(すなわち、ハイブリダイゼーション)の能力を指し、対応する核酸塩基間のWatson−Crick、Hoogsteen、または逆Hoogsteen水素結合によって仲介される。
【0029】
「二環式糖部分」とは、第2の環を形成するための4〜7員環の2つの原子を接続する架橋を含み、二環構造を生じる、4〜7員環(フラノシルを含むが、これに限定されない)を含む修飾糖部分を意味する。ある特定の実施形態では、4〜7員環は、糖環である。ある特定の実施形態では、4〜7員環は、フラノシルである。ある特定のそのような実施形態では、架橋は、フラノシルの2’炭素を4’炭素と接続する。
【0030】
「二環式核酸」または「BNA」または「BNAヌクレオシド」とは、ヌクレオシド糖単位の4’位と2’位との間の2つの炭素原子を接続する架橋を有し、それにより二環式糖を形成する、核酸モノマーを意味する。そのような二環式糖の例には、以下に示されるような、A)α−L−メチレンオキシ(4’−CH−O−2’)LNA、(B)β−D−メチレンオキシ(4’−CH−O−2’)LNA、(C)エチレンオキシ(4’−(CH−O−2’)LNA、(D)アミノオキシ(4’−CH−O−N(R)−2’)LNA、および(E)オキシアミノ(4’−CH−N(R)−O−2’)LNAが挙げられるが、これらに限定されない。
【化1】
【0031】
本明細書に使用される場合、LNA化合物には、限定されないが、糖の4’位と2’位との間に少なくとも1つの架橋を有する化合物が挙げられ、かかる架橋のそれぞれは、独立して、−[C(R)(R)]−、−C(R)=C(R)−、−C(R)=N−、−C(=NR)−、−C(=O)−、−C(=S)−、−O−、−Si(R−、−S(=O)−、および−N(R)−から独立して選択される1個または2〜4個の連結基を含む。式中、xは、0、1、または2であり、nは、1、2、3、または4であり、各RおよびRは、独立して、H、保護基、ヒドロキシル、C−C12アルキル、置換C−C12アルキル、C−C12アルケニル、置換C−C12アルケニル、C−C12アルキニル、置換C−C12アルキニル、C−C20アリール、置換C−C20アリール、複素環ラジカル、置換複素環ラジカル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、C−C脂環式ラジカル、置換C−C脂環式ラジカル、ハロゲン、OJ、NJ、SJ、N、COOJ、アシル(C(=O)−H)、置換アシル、CN、スルホニル(S(=O)−J)、またはスルホキシル(S(=O)−J)であり、各JおよびJは、独立して、H、C−C12アルキル、置換C−C12アルキル、C−C12アルケニル、置換C−C12アルケニル、C−C12アルキニル、置換C−C12アルキニル、C−C20アリール、置換C−C20アリール、アシル(C(=O)−H)、置換アシル、複素環ラジカル、置換複素環ラジカル、C−C12アミノアルキル、置換C−C12アミノアルキル、または保護基である。
【0032】
LNAの定義に包含される4’−2’架橋基の例としては、式:−[C(R)(R)]−、−[C(R)(R)]−O−、−C(R)−N(R)−O−、または−C(R)−O−N(R)−のうちの1つが挙げられるが、これらに限定されない。さらに、LNAの定義に包含される他の架橋基は、4’−CH−2’、4’−(CH−2’、4’−(CH−2’、4’−CH−O−2’、4’−(CH−O−2’、4’−CH−O−N(R)−2’、および4’−CH−N(R)−O−2’−架橋であり、式中、各RおよびRは、独立して、H、保護基、またはC−C12アルキルである。
【0033】
また、本発明によるLNAの定義には、リボシル糖環の2’−ヒドロキシル基が糖環の4’炭素原子に接続され、それによってメチレンオキシ(4’−CH−O−2’)架橋を形成して、二環式糖部分を形成するLNAも含まれる。この架橋は、2’酸素原子と4’炭素原子とを接続するメチレン(−CH−)基であってもよく、これにはメチレンオキシ(4’−CH−O−2’)LNAという用語が使用される。さらに、この位置にエチレン架橋基を有する二環式糖部分の場合、エチレンオキシ(4’−CHCH−O−2’)LNAという用語が使用される。メチレンオキシ(4’−CH−O−2’)LNAの異性体であるα−L−メチレンオキシ(4’−CH−O−2’)もまた、本発明で使用するLNAの定義に包含される。
【0034】
「キャップ構造」または「末端キャップ部分」は、アンチセンス化合物のいずれかの末端に組み込まれた化学修飾を意味する。
【0035】
「cEt」または「拘束エチル」とは、4’炭素と2’炭素とを接続する架橋を含む二環式糖部分を意味し、この架橋は、式:4’−CH(CH)−O−2’を有する。
【0036】
「拘束エチルヌクレオシド」(cEtヌクレオシドともいう)とは、4’−CH(CH)−O−2’架橋を含む二環式糖部分を含むヌクレオシドを意味する。
【0037】
「化学的に異なる領域」とは、同じアンチセンス化合物の別の領域と何らかの形で化学的に異なる、アンチセンス化合物の領域を指す。例えば、2’−O−メトキシエチルヌクレオチドを有する領域は、2’−O−メトキシエチル修飾を有さないヌクレオチドを有する領域と化学的に異なる。
【0038】
「キメラアンチセンス化合物」とは、各位置が複数のサブユニットを有する、少なくとも2つの化学的に異なる領域を有するアンチセンス化合物を意味する。
【0039】
「相補性」は、第1の核酸および第2の核酸の核酸塩基間で対合する能力を意味する。
【0040】
「順守する」とは、推奨される療法の個人による厳守を意味する。
【0041】
「含む(comprise)」、「含む(comprises)」および「含むこと」とは、記載されるステップもしくは要素またはステップもしくは要素の群の包含を示唆するが、いかなる他のステップもしくは要素またはステップもしくは要素の群の除外を示唆するものではないと理解される。
【0042】
「連続核酸塩基」とは、互いに直接隣接する核酸塩基を意味する。
【0043】
「デオキシリボヌクレオチド」とは、ヌクレオチドの糖部分の2’位に水素を有するヌクレオチドを意味する。デオキシリボヌクレオチドは、様々な置換基のいずれかで修飾されていてもよい。
【0044】
「設計する」または「〜ように設計された」とは、選択された核酸分子に特異的にハイブリダイズするオリゴマー化合物を設計する過程を指す。
【0045】
「有効性」とは、所望の効果を生じる能力を意味する。
【0046】
「発現」には、遺伝子のコードされた情報を細胞中に存在して作用する構造に変換する全ての機能が含まれる。そのような構造としては、転写産物および翻訳産物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0047】
「完全に相補的」または「100%相補的」とは、第1の核酸の各核酸塩基が、第2の核酸中に相補的な核酸塩基を有することを意味する。特定の実施形態では、第1の核酸はアンチセンス化合物であり、標的核酸が第2の核酸である。
【0048】
「完全修飾モチーフ」とは、本質的に各ヌクレオシドが均一修飾を有する糖修飾ヌクレオシドであるヌクレオシドの連続配列を含む、アンチセンス化合物を指す。
【0049】
「ギャップマー」とは、RNaseH切断を支持する複数のヌクレオシドを有する内部領域が、1個以上のヌクレオシドを有する外部領域間に位置付けられるキメラアンチセンス化合物を意味し、この内部領域を構成するヌクレオシドは、外部領域を構成するヌクレオシド(複数可)と化学的に異なる。内部領域は、「ギャップ」と称されることがあり、外部領域は、「ウィング」と称されることがある。
【0050】
「ギャップ拡張」とは、修飾糖部分を有する1〜6個のヌクレオシドを有する5’と3’とのウィングセグメント間に位置付けられる、12個以上の連続2’−デオキシリボヌクレオシドのギャップセグメントを有する、アンチセンス化合物を意味する。
【0051】
「ハイブリダイゼーション」とは、相補的核酸分子のアニーリングを意味する。ある特定の実施形態では、相補的核酸分子には、アンチセンス化合物および核酸標的が含まれるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、相補的核酸分子には、アンチセンスオリゴヌクレオチドおよび核酸標的が含まれるが、これらに限定されない。
【0052】
「直接隣接する」とは、直接隣接する要素間に介在要素が存在しないことを意味する。
【0053】
「個体」とは、治療または療法に選択されたヒトまたは非ヒト動物を意味する。
【0054】
「誘発する」、「阻害する」、「増強する」、「上昇させる」、「増加させる」、「低下させる」、「上方制御する」、「下方制御する」等は、一般に、2つの状態間の量的な差を表す。
【0055】
「発現または活性を阻害すること」とは、発現または活性の減少、遮断を指し、必ずしも発現または活性の完全な排除を示すわけではない。
【0056】
「ヌクレオシド間結合」とは、ヌクレオシド間の化学結合を指す。
【0057】
「延長」アンチセンスオリゴヌクレオチドとは、本明細書で開示するアンチセンスオリゴヌクレオチドと比較して、1つ以上の追加のヌクレオシドを有するものである。
【0058】
「連結されたデオキシヌクレオシド」とは、リン酸エステルによって連結されたデオキシリボースで置換され、ヌクレオチドを形成する、核酸塩基(A、G、C、T、U)を意味する。
【0059】
「連結されたヌクレオシド」とは、ヌクレオシド間結合によってともに連結された隣接するヌクレオシドを意味する。
【0060】
「ミスマッチ」または「非相補的核酸塩基」とは、第1の核酸の核酸塩基が、第2の核酸または標的核酸の対応する核酸塩基と対合できない場合を指す。
【0061】
「修飾ヌクレオシド間結合」とは、天然に生じるヌクレオシド間結合(すなわち、ホスホジエステルヌクレオシド間結合)からの置換または任意の変化を指す。
【0062】
「修飾核酸塩基」とは、アデニン、シトシン、グアニン、チミジン、またはウラシル以外のあらゆる核酸塩基を意味する。「非修飾核酸塩基」とは、プリン塩基であるアデニン(A)およびグアニン(G)、ならびにピリミジン塩基である、チミン(T)、シトシン(C)、およびウラシル(U)を意味する。
【0063】
「修飾ヌクレオシド」とは、独立して、修飾糖部分および/または修飾核酸塩基を有するヌクレオシドを意味する。
【0064】
「修飾ヌクレオチド」とは、独立して、修飾糖部分、修飾ヌクレオシド間連結、または修飾核酸塩基を有するヌクレオチドを意味する。
【0065】
「修飾オリゴヌクレオチド」とは、少なくとも1つの修飾ヌクレオシド間結合、修飾糖、および/または修飾核酸塩基を含むオリゴヌクレオチドを意味する。
【0066】
「修飾糖」とは、天然糖部分からの置換および/または任意の変化を意味する。
【0067】
「モノマー」とは、オリゴマーの単一単位を指す。モノマーには、天然に生じるか、または修飾されているかにかかわらず、ヌクレオシドおよびヌクレオチドが含まれるが、これらに限定されない。
【0068】
「モチーフ」とは、アンチセンス化合物中の非修飾および修飾ヌクレオシドのパターンを意味する。
【0069】
「天然糖部分」とは、DNA(2’−H)またはRNA(2’−OH)中に認められる糖部分を意味する。
【0070】
「天然に生じるヌクレオシド間結合」とは、3’−5’ホスホジエステル結合を意味する。
【0071】
「非相補的核酸塩基」とは、互いに水素結合を形成しない、あるいはハイブリダイゼーションを支持しない核酸塩基の対を指す。
【0072】
「核酸」とは、モノマーヌクレオチドからなる分子を指す。核酸には、リボ核酸(RNA)、デオキシリボ核酸(DNA)、1本鎖核酸、2本鎖核酸、小分子干渉リボ核酸(siRNA)、およびマイクロRNA(miRNA)が含まれるが、これらに限定されない。
【0073】
「核酸塩基」とは、別の核酸の塩基と対合可能な複素環部分を意味する。
【0074】
「核酸塩基相補性」とは、別の核酸塩基との塩基対合が可能な核酸塩基を指す。例えば、DNAでは、アデニン(A)はチミン(T)に相補的である。例えば、RNAでは、アデニン(A)はウラシル(U)に相補的である。ある特定の実施形態では、相補的核酸塩基とは、アンチセンス化合物の、その標的核酸の核酸塩基との塩基対合が可能な核酸塩基を指す。例えば、アンチセンス化合物のある特定の位置の核酸塩基が、標的核酸のある特定の位置の核酸塩基と水素結合できる場合、オリゴヌクレオチドと標的核酸との間の水素結合の位置は、その核酸塩基対において相補的であるとみなされる。
【0075】
「核酸塩基配列」とは、いかなる糖、結合、および/または核酸塩基修飾から独立した連続核酸塩基の順序を意味する。
【0076】
「ヌクレオシド」とは、糖に連結した核酸塩基を意味する。
【0077】
「ヌクレオシド模倣体」は、オリゴマー化合物の1つ以上の位置において糖または糖および塩基、ならびに必ずではないが結合を置換するために使用される構造体を含み、例えば、モルホリノ、シクロヘキセニル、シクロヘキシル、テトラヒドロピラニル、二環式または三環式糖模倣体、例えば、非フラノース糖単位を有するヌクレオシド模倣体が挙げられる。ヌクレオチド模倣体は、オリゴマー化合物の1つ以上の位置において、ヌクレオシドおよび結合を置換するために使用される構造体を含み、例えば、ペプチド核酸またはモルホリノ(−N(H)−C(=O)−O−または他の非ホスホジエステル結合によって連結されるモルホリノ)が挙げられる。糖代用物は、やや広義の用語であるヌクレオシド模倣体と重複するが、糖単位(フラノース環)の置換のみを示すよう意図されている。本明細書において提供するテトラヒドロピラニル環は、フラノース糖基がテトラヒドロピラニル環系で置換された糖代用物の例を示している。「模倣体」とは、糖、核酸塩基、および/またはヌクレオシド間結合を置換する基を指す。一般に、模倣体は、糖または糖−ヌクレオシド間結合の組み合わせの代わりに使用され、核酸塩基は、選択される標的に対するハイブリダイゼーションのために維持される。
【0078】
「ヌクレオチド」とは、ヌクレオシドの糖部分に共有結合したリン酸基を有するヌクレオシドを意味する。
【0079】
「オリゴマー化合物」とは、核酸分子の少なくともある領域にハイブリダイズ可能な連結したモノマーサブユニットのポリマーを意味する。
【0080】
「オリゴヌクレオシド」とは、ヌクレオシド間結合がリン原子を含まないオリゴヌクレオチドを意味する。
【0081】
「オリゴヌクレオチド」とは、連結されたヌクレオシドのポリマーを意味し、連結されたヌクレオシドの各々は、互いに独立して、修飾されていても非修飾であってもよい。
【0082】
「ペプチド」とは、アミド結合により少なくとも2つのアミノ酸を連結することによって形成される分子を意味する。限定するものではないが、本明細書で使用するとき、「ペプチド」とは、ポリペプチドおよびタンパク質を指す。
【0083】
「ホスホロチオエート連結」とは、非架橋酸素原子のうちの1つを硫黄原子で置換することによりホスホジエステル結合が修飾された、ヌクレオシド間の結合を意味する。ホスホロチオエート連結は、修飾ヌクレオシド間結合である。
【0084】
「部分」とは、核酸の規定の数の連続(すなわち、連結)核酸塩基を意味する。ある特定の実施形態では、部分は、標的核酸の規定の数の連続核酸塩基である。ある特定の実施形態では、部分は、アンチセンス化合物の規定の数の連続核酸塩基である。
【0085】
「領域」は、少なくとも1つの特定可能な構造、機能、または特徴を有する標的核酸の部分と定義される。
【0086】
「リボヌクレオチド」とは、ヌクレオチドの糖部分の2’位にヒドロキシを有するヌクレオチドを意味する。リボヌクレオチドは、種々の置換基のいずれで修飾されていてもよい。
【0087】
「セグメント」は、標的核酸内の領域のより小さい部分もしくは従属部分と定義される。
【0088】
本明細書に使用される場合、「部位」とは、標的核酸内の固有の核酸塩基部分と定義される。
【0089】
「特異的にハイブリダイズ可能な」とは、特異的結合が望まれる条件下で、すなわちインビボアッセイおよび治療処置の場合には生理学的条件下で、アンチセンスオリゴヌクレオチドと標的核酸との間に、所望の効果を誘発するのに十分な程度の相補性を有する一方、非標的核酸に対してはわずかな影響を示すか、全く影響を示さないアンチセンス化合物を指す。「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」または「ストリンジェント条件」とは、オリゴマー化合物がその標的配列にハイブリダイズするが、他の配列にはわずかな数しかハイブリダイズしない条件を指す。
【0090】
「対象」とは、治療または療法に選択されたヒトまたは非ヒト動物を意味する。
【0091】
「標的」とは、調節が所望されるタンパク質を指す。
【0092】
「標的遺伝子」とは、標的をコードする遺伝子を指す。
【0093】
「標的とすること」とは、標的核酸に特異的にハイブリダイズし、所望の効果を誘発するアンチセンス化合物の設計および選択の過程を意味する。
【0094】
「標的核酸」、「標的RNA」、「標的RNA転写物」、および「核酸標的」は全て、アンチセンス化合物によって標的とされることが可能な核酸を意味する。
【0095】
「標的領域」とは、1つ以上のアンチセンス化合物が標的とする標的核酸の部分を意味する。
【0096】
「標的セグメント」とは、アンチセンス化合物が標的とする標的核酸のヌクレオチドの配列を意味する。「5’標的部位」とは、標的セグメントの最も5’側のヌクレオチドを指す。「3’標的部位」とは、標的セグメントの最も3’側のヌクレオチドを指す。
【0097】
「UBE3A−ATS」および「Ube3A−ATS」は、任意の特定の種または相同分子種を参照して、それらの綴りを大文字にすることなく、同義に使用され得る。
【0098】
「UBE3A」および「Ube3A」は、任意の特定の種または相同分子種を参照して、それらの綴りを大文字にすることなく、同義に使用され得る。さらに、「UBE3A」、「UBE3A」、「Ube3A」、および「Ube3A」は、具体的にそれとは反対に示されない限り、核酸またはタンパク質を参照して、斜字体にすることなく、同義に使用され得る。
【0099】
「非修飾」核酸塩基とは、プリン塩基であるアデニン(A)およびグアニン(G)、ならびにピリミジン塩基である、チミン(T)、シトシン(C)、およびウラシル(U)を意味する。
【0100】
「非修飾ヌクレオチド」とは、天然に存在する核酸塩基、糖部分、およびヌクレオシド間結合からなるヌクレオチドを意味する。特定の実施形態では、非修飾ヌクレオチドは、RNAヌクレオチド(すなわち、β−D−リボヌクレオシド)またはDNAヌクレオチド(すなわち、β−D−デオキシリボヌクレオシド)である。
【0101】
「有効標的セグメント」は、アンチセンス化合物が標的とする標的領域の少なくとも8核酸塩基部分(すなわち、8個の連続する核酸塩基)と定義される。
【0102】
「ウィングセグメント」とは、向上した阻害活性、増加した標的核酸に対する結合親和性、またはインビボヌクレアーゼによる分解に対する耐性等の特性をオリゴヌクレオチドに付与するように修飾された複数のヌクレオシドを意味する。
【0103】
ある特定の実施形態
ある特定の実施形態は、細胞内で父方由来のUBE3Aの発現を誘発する方法であって、その細胞をUBE3A−ATSを標的とするアンチセンス化合物と接触させることを含む方法を対象とする。いくつかの態様において、UBE3A−ATSは、配列番号1または配列番号2と少なくとも85%同一である核酸配列を含む。
【0104】
いくつかの実施形態は、細胞内で父方由来のUBE3Aの発現を誘発する方法であって、細胞を、UBE3AのプレmRNAの少なくとも3’末端に相補的なUBE3A−ATSの領域から上流のUBE3A−ATSの領域を標的とするアンチセンス化合物と接触させることを含む方法を提供する。いくつかの実施形態は、細胞内のUBE3A−ATSを減少させる方法であって、細胞を、UBE3AのプレmRNAの少なくとも3’末端に相補的なUBE3A−ATSの領域から上流のUBE3A−ATSの領域を標的とするアンチセンス化合物と接触させることを含む方法を提供する。一部の態様において、UBE3A−ATSは、配列番号1と少なくとも85%同一である核酸配列を含む。同じ態様において、UBE3AのプレmRNAの少なくとも3’末端に相補的な領域は、配列番号1の核酸塩基1032967で開始し得る。別の態様において、UBE3A−ATSは、配列番号2と少なくとも85%同一である核酸配列を含む。同じ態様において、UBE3AのプレmRNAの少なくとも3’末端に相補的な領域は、配列番号2の核酸塩基513603で開始し得る。前述の方法のある特定の態様において、それらのいくつかがプラダーウィリー症候群に関与し、プラダーウィリー症候群に罹患している患者において欠乏していると報告されている隣接する核小体低分子RNA(snoRNA)Snrpn、MBII−85/HBII−85、および/もしくはMBII−52/HBII−52のレベルを低下させることなく、細胞内の父方由来のUBE3A発現を誘発するか、ならびに/またはUBE3A−ATSを低下させる(Sahoo,T.et al.,Nat.Genet.2008.40:719−21;Tsai,T.et al.,Hum.Mol.Genet.Genet.1999.8:1357−64)。いくつかの態様において、細胞を、UBE3AのプレmRNAの少なくとも3’末端に相補的なUBE3A−ATSの領域から上流のUBE3A−ATSの領域を標的とするアンチセンス化合物と接触させることは、約0%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%を超えてSnrpn、MBII−85/HBII−85、および/もしくはMBII−52/HBII−52のレベルを低下させることなく、細胞内の父方由来のUBE3Aの発現を誘発するか、ならびに/またはUBE3A−ATSを低下させる。
【0105】
種々の実施形態は、細胞内で父方由来のUBE3Aの発現を誘発する方法であって、細胞を、UBE3A−ATSの第1の領域を標的とするアンチセンス化合物と接触させることを含み、その第1の領域は、UBE3AのプレmRNAの少なくとも3’末端に相補的な(a)上流領域および(b)下流領域と隣接する方法を対象とする。いくつかの実施形態は、細胞内のUBE3A−ATSを減少させる方法であって、細胞を、UBE3A−ATSの第1の領域を標的とするアンチセンス化合物と接触させることを含み、その第1の領域は、UBE3AのプレmRNAの少なくとも3’末端に相補的な(a)上流領域および(b)下流領域と隣接する方法を対象とする。1つの態様において、上流領域は、少なくとも1つのsnoRNAの配列を含む。同じ態様において、snoRNAは、HBII−52またはMBII−52である。ある特定の態様において、UBE3A−ATSは、配列番号1と少なくとも85%同一である核酸配列を含み、UBE3A−ATSの第1の領域は、配列番号1の核酸塩基997469〜1032966と少なくとも85%同一である核酸塩基から成る。いくつかの態様において、UBE3AのプレmRNAは、少なくとも85%配列番号5と同一である核酸配列を含む。ある特定の態様において、UBE3A−ATSは、配列番号2と少なくとも85%同一である核酸配列を含み、UBE3A−ATSの第1の領域は、配列番号2の核酸塩基446213から513602と少なくとも85%同一である核酸塩基から成る。いくつかの態様において、UBE3AのプレmRNAは、少なくとも85%配列番号6と同一である核酸配列を含む。前述の方法のある特定の態様において、隣接する核小体低分子RNA(snoRNA)Snrpn、MBII−85/HBII−85、および/もしくはMBII−52/HBII−52のレベルを低下させることなく、細胞内の父方由来のUBE3A発現が誘発されるか、ならびに/またはUBE3A−ATSを低下させる。いくつかの態様において、細胞を、その第1の領域がUBE3AのプレmRNAの少なくとも3’末端に相補的な(a)上流領域および(b)下流領域と隣接する、UBE3A−ATSの第1の領域を標的とするアンチセンス化合物と接触させることは、約0%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%を超えてSnrpn、MBII−85/HBII−85、および/もしくはMBII−52/HBII−52のレベルを低下させることなく、細胞内の父方由来のUBE3Aの発現を誘発するか、ならびに/またはUBE3A−ATSを低下させる。
【0106】
ある特定の実施形態は、細胞内で父方由来のUBE3Aの発現を誘発する方法であって、細胞を、UBE3AのプレmRNAと相補的な領域の開始から上流の35498核酸塩基内で、UBE3A−ATSを標的とするアンチセンス化合物と接触させることを含み、UBE3A−ATSが、配列番号1の配列と少なくとも85%同一である核酸配列を含む方法に関する。ある特定の実施形態は、細胞内のUBE3A−ATSを阻害する方法であって、細胞を、UBE3AのプレmRNAと相補的な領域の開始から上流の35498核酸塩基内でUBE3A−ATSを標的とするアンチセンス化合物と接触させることを含み、UBE3A−ATSが、配列番号1の配列と少なくとも85%同一である核酸配列を含む方法に関する。1つの態様において、UBE3AのプレmRNAと相補的な領域は、配列番号1の核酸塩基1032967〜1110944から成る。前述の方法のある特定の態様において、隣接する核小体低分子RNA(snoRNA)Snrpn、MBII−85/HBII−85、および/もしくはMBII−52/HBII−52のレベルを低下させることなく、細胞内の父方由来のUBE3A発現が誘発されるか、ならびに/またはUBE3A−ATSを低下させる。いくつかの態様において、細胞を、UBE3AのプレmRNAと相補的な領域の開始から上流の35498核酸塩基内でUBE3A−ATSを標的とするアンチセンス化合物と接触させること(UBE3A−ATSは、配列番号1の配列と少なくとも85%同一である核酸配列を含む)は、約0%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%を超えてSnrpn、MBII−85/HBII−85、および/もしくはMBII−52/HBII−52のレベルを低下させることなく、細胞内の父方由来のUBE3Aの発現を誘発するか、ならびに/またはUBE3A−ATSを低下させる。
【0107】
ある特定の実施形態は、細胞内で父方由来のUBE3Aの発現を誘発する方法であって、細胞を、UBE3AのプレmRNAと相補的な領域の開始から上流の67390核酸塩基内で、UBE3A−ATSを標的とするアンチセンス化合物と接触させることを含み、UBE3A−ATSが、配列番号2の配列と少なくとも85%同一である核酸配列を含む方法に関する。ある特定の実施形態は、細胞内のUBE3A−ATSを阻害する方法であって、細胞を、UBE3AのプレmRNAと相補的な領域の開始から上流の67390核酸塩基内でUBE3A−ATSを標的とするアンチセンス化合物と接触させることを含み、UBE3A−ATSが、配列番号2の配列と少なくとも85%同一である核酸配列を含む方法に関する。1つの態様において、UBE3AのプレmRNAと相補的な領域は、配列番号2の核酸塩基513603〜615382から成る。前述の方法のある特定の態様において、隣接する核小体低分子RNA(snoRNA)Snrpn、MBII−85/HBII−85、および/もしくはMBII−52/HBII−52のレベルを低下させることなく、細胞内の父方由来のUBE3A発現が誘発されるか、ならびに/またはUBE3A−ATSを低下させる。いくつかの態様において、細胞を、UBE3AのプレmRNAと相補的な領域の開始から上流の67390核酸塩基内でUBE3A−ATSを標的とするアンチセンス化合物と接触させること(UBE3A−ATSは、配列番号2の配列と少なくとも85%同一である核酸配列を含む)は、約0%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%を超えてSnrpn、MBII−85/HBII−85、および/もしくはMBII−52/HBII−52のレベルを低下させることなく、細胞内の父方由来のUBE3Aの発現を誘発するか、ならびに/またはUBE3A−ATSを低下させる。
【0108】
前述の実施形態のうちのいずれかのいくつかの態様において、細胞をアンチセンス化合物と接触させることは、細胞内のUBE3A−ATSのレベルを低下させるか、および/または細胞内の父方由来のUBE3Aタンパク質の発現を誘発する。
【0109】
前述の実施形態のうちのいずれかのいくつかの態様において、細胞は、培養細胞である。同じ態様において、細胞は、動物である。
【0110】
ある特定の実施形態は、動物において父方由来のUBE3Aの発現を誘発する方法であって、動物にUBE3A−ATSを標的とするアンチセンス化合物を投与することを含む方法を対象とする。いくつかの態様において、UBE3A−ATSは、配列番号1または配列番号2と少なくとも85%同一である核酸配列を含む。
【0111】
いくつかの実施形態は、動物において父方由来のUBE3Aの発現を誘発するか、および/またはUBE3A−ATSを低下させる方法であって、動物にUBE3AのプレmRNAの少なくとも3’末端に相補的なUBE3A−ATSの領域から上流のUBE3A−ATSの領域を標的とするアンチセンス化合物を投与することを含む方法に関する。一部の態様において、UBE3A−ATSは、配列番号1と少なくとも85%同一である核酸配列を含む。同じ態様において、UBE3AのプレmRNAの少なくとも3’末端に相補的な領域は、配列番号1の核酸塩基1032967で開始し得る。別の態様において、UBE3A−ATSは、配列番号2と少なくとも85%同一である核酸配列を含む。同じ態様において、UBE3AのプレmRNAの少なくとも3’末端に相補的な領域は、配列番号2の核酸塩基513603で開始し得る。前述の方法のある特定の態様において、隣接するsnoRNA Snrpn、MBII−85/HBII−85、および/もしくはMBII−52/HBII−52のレベルを低下させることなく、動物において父方由来のUBE3A発現を誘発するか、ならびに/またはUBE3A−ATSを低下させる。いくつかの態様において、UBE3AのプレmRNAの少なくとも3’末端に相補的なUBE3A−ATSの領域から上流のUBE3A−ATSの領域を標的とするアンチセンス化合物を投与することは、約0%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%を超えてSnrpn、MBII−85/HBII−85、および/もしくはMBII−52/HBII−52のレベルを低下させることなく、動物において父方由来のUBE3Aの発現を誘発するか、ならびに/またはUBE3A−ATSを低下させる。
【0112】
種々の実施形態は、動物において父方由来のUBE3Aの発現を誘発するか、ならびに/またはUBE3A−ATSを低下させる方法であって、動物に、UBE3A−ATSの第1の領域を標的とするアンチセンス化合物を投与することを含み、その第1の領域は、UBE3AのプレmRNAと相補的な(a)上流領域および(b)下流領域と隣接する方法を対象とする。1つの態様において、上流領域は、最も少ない1つの核小体低分子RNA(snoRNA)の配列を含む。同じ態様において、snoRNAは、HBII−52またはMBII−52である。ある特定の態様において、UBE3A−ATSは、配列番号1と少なくとも85%同一である核酸配列を含み、UBE3A−ATSの第1の領域は、配列番号1の核酸塩基997469〜1032966と少なくとも85%同一である核酸塩基から成る。いくつかの態様において、UBE3AのプレmRNAは、少なくとも85%配列番号5と同一である核酸配列を含む。ある特定の態様において、UBE3A−ATSは、配列番号2と少なくとも85%同一である核酸配列を含み、UBE3A−ATSの第1の領域は、配列番号2の核酸塩基446213から513602と少なくとも85%同一である核酸塩基から成る。いくつかの態様において、UBE3AのプレmRNAは、少なくとも85%配列番号6と同一である核酸配列を含む。前述の方法のある特定の態様において、隣接する核小体低分子RNA(snoRNA)Snrpn、MBII−85/HBII−85、および/もしくはMBII−52/HBII−52のレベルを低下させることなく、動物において父方由来のUBE3A発現を誘発するか、ならびに/またはUBE3A−ATSを低下させる。いくつかの態様において、その第1の領域がUBE3AのプレmRNAの少なくとも3’末端に相補的な(a)上流領域および(b)下流領域と隣接するUBE3A−ATSの第1の領域を標的とするアンチセンス化合物を投与することは、約0%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%を超えてSnrpn、MBII−85/HBII−85、および/もしくはMBII−52/HBII−52のレベルを低下させることなく、動物において父方由来のUBE3Aの発現を誘発するか、ならびに/またはUBE3A−ATSを低下させる。
【0113】
ある特定の実施形態は、動物において父方由来のUBE3Aの発現を誘発するか、ならびに/またはUBE3A−ATSを低下させる方法であって、その動物に、UBE3AのプレmRNAと相補的な領域の開始から上流の35498核酸塩基内でUBE3A−ATSを標的とするアンチセンス化合物を投与することと、を含み、UBE3A−ATSが、配列番号1の配列と少なくとも85%同一である方法を提供する。1つの態様において、UBE3AのプレmRNAと相補的な領域は、配列番号1の核酸塩基1032967〜1110944から成る。前述の方法のある特定の態様において、隣接する核小体低分子RNA(snoRNA)Snrpn、MBII−85/HBII−85、および/もしくはMBII−52/HBII−52のレベルを低下させることなく、動物において父方由来のUBE3A発現を誘発するか、ならびに/またはUBE3A−ATSを低下させる。いくつかの態様において、UBE3AのプレmRNAと相補的な領域の開始から上流の35498核酸塩基内でUBE3A−ATSを標的とするアンチセンス化合物を投与すること(UBE3A−ATSは、配列番号1の配列と少なくとも85%同一である核酸配列を含む)は、約0%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%を超えてSnrpn、MBII−85/HBII−85、および/もしくはMBII−52/HBII−52のレベルを低下させることなく、動物において父方由来のUBE3Aの発現を誘発するか、ならびに/またはUBE3A−ATSを低下させる。
【0114】
種々の実施形態は、動物において父方由来のUBE3Aの発現を誘発するか、ならびに/またはUBE3A−ATSを低下させる方法であって、その動物に、UBE3AのプレmRNAと相補的な領域の開始から上流の67390核酸塩基内でUBE3A−ATSを標的とするアンチセンス化合物を投与することと、を含み、UBE3A−ATSが、配列番号2の配列と少なくとも85%同一である方法に関する。1つの態様において、UBE3AのプレmRNAと相補的な領域は、配列番号2の核酸塩基513603〜615382から成る。前述の方法のある特定の態様において、隣接する核小体低分子RNA(snoRNA)Snrpn、MBII−85/HBII−85、および/もしくはMBII−52/HBII−52のレベルを低下させることなく、動物において父方由来のUBE3A発現を誘発するか、ならびに/またはUBE3A−ATSを低下させる。いくつかの態様において、UBE3AのプレmRNAと相補的な領域の開始から上流の67390核酸塩基内でUBE3A−ATSを標的とするアンチセンス化合物を投与すること(UBE3A−ATSは、配列番号2の配列と少なくとも85%同一である核酸配列を含む)は、約0%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%を超えてSnrpn、MBII−85/HBII−85、および/もしくはMBII−52/HBII−52のレベルを低下させることなく、動物において父方由来のUBE3Aの発現を誘発するか、ならびに/またはUBE3A−ATSを低下させる。
【0115】
前述の実施形態およびそれらの態様のうちのいずれにおいても、アンチセンス化合物は、12〜30個連結されたヌクレオシドから成るオリゴヌクレオチドを含んでもよく、そのオリゴヌクレオチドは、UBE3A−ATS核酸配列に少なくとも85%相補的である。ある特定の態様において、オリゴヌクレオチドは、その全長にわったて、UBE3A−ATS核酸配列の等長領域と、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%相補的である。ある特定の態様において、アンチセンス化合物またはオリゴヌクレオチドは、一本鎖オリゴヌクレオチドである。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、修飾オリゴヌクレオチドである。同じ態様において、修飾オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの修飾ヌクレオシド間結合を含み得る。さらに再び、同じ態様において、修飾ヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合であってもよい。いくつかの態様において、少なくとも1つのヌクレオシドは、修飾糖を含む。同じ態様において、修飾糖は、4’−CH(CH)−O−2’、4’−CH−2’、4’−(CH−2’、4’−CH−O−2’、4’−(CH−O−2’、4’−CH−O−N(R)−2’、および4’−CH2−N(R)−O−2’−(式中、各R1は独立して、H、保護基、またはC1−C12アルキルである)から選択される架橋等の、糖の4’位と2’位との間に架橋を含む、二環式糖である。さらに同じ態様において、架橋は、4’−CH(CH)−O−2’である。
【0116】
修飾糖を含む前述の実施形態およびそれらの態様のうちのいずれにおいても、その修飾糖は、2’−O−メトキシエチル基を含み得る。
【0117】
修飾オリゴヌクレオチドを含む前述の実施形態およびそれらの態様のうちのいずれにおいても、少なくとも1つのヌクレオシドは、5−メチルシトシン等の修飾核酸塩基を含み得る。
【0118】
前述の実施形態およびそれらの態様のうちのいずれにおいても、アンチセンス化合物または修飾オリゴヌクレオチドは、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも110%、少なくとも120%、少なくとも130%、少なくとも140%、少なくとも150%、少なくとも160%、少なくとも170%、少なくとも180%、少なくとも190%、少なくとも200%、少なくとも210%、少なくとも220%、少なくとも230%、少なくとも240%、もしくは少なくとも250%父方由来のUBE3Aの発現を誘発する。
【0119】
ある特定の実施形態は、UBE3A−ATSを標的とするアンチセンス化合物で動物を治療する方法であって、その方法を必要とする動物を選択することと、その動物にUBE3A−ATSを標的とするアンチセンス化合物を投与することと、を含む方法を対象とする。いくつかの態様において、UBE3A−ATSは、配列番号1または配列番号2と少なくとも85%同一である核酸配列を含む。
【0120】
いくつかの実施形態は、UBE3A−ATSを標的とするアンチセンス化合物で動物を治療する方法であって、その方法を必要とする動物を選択することと、その動物に、UBE3AのプレmRNAの少なくとも3’末端に相補的なUBE3A−ATSの領域から上流のUBE3A−ATSの領域を標的とするアンチセンス化合物を投与することと、を含む方法を対象とする。一部の態様において、UBE3A−ATSは、配列番号1と少なくとも85%同一である核酸配列を含む。同じ態様において、UBE3AのプレmRNAの少なくとも3’末端に相補的な領域は、配列番号1の核酸塩基1032967で開始し得る。別の態様において、UBE3A−ATSは、配列番号2と少なくとも85%同一である核酸配列を含む。同じ態様において、UBE3AのプレmRNAの少なくとも3’末端に相補的な領域は、配列番号2の核酸塩基513603で開始し得る。
【0121】
種々の実施形態は、UBE3A−ATSを標的とするアンチセンス化合物で動物を治療する方法であって、その方法を必要とする動物を選択することと、その動物に、UBE3A−ATSの第1の領域を標的とするアンチセンス化合物を投与することと、を含み、その第1の領域は、UBE3AのプレmRNAの少なくとも3’末端に相補的な(a)上流領域および(b)下流領域と隣接する方法に関する。1つの態様において、上流領域は、少なくとも1つの核小体低分子RNA(snoRNA)の配列を含む。同じ態様において、snoRNAは、HBII−52またはMBII−52である。ある特定の態様において、UBE3A−ATSは、配列番号1と少なくとも85%同一である核酸配列を含み、UBE3A−ATSの第1の領域は、配列番号1の核酸塩基997469〜1032966と少なくとも85%同一である核酸塩基から成る。いくつかの態様において、UBE3AのプレmRNAは、少なくとも85%配列番号5と同一である核酸配列を含む。ある特定の態様において、UBE3A−ATSは、配列番号2と少なくとも85%同一である核酸配列を含み、UBE3A−ATSの第1の領域は、配列番号2の核酸塩基446213から513602と少なくとも85%同一である核酸塩基から成る。いくつかの態様において、UBE3AのプレmRNAは、少なくとも85%配列番号6と同一である核酸配列を含む。
【0122】
ある特定の実施形態は、UBE3A−ATSを標的とするアンチセンス化合物で動物を治療する方法であって、その方法を必要とする動物を選択することと、その動物に、UBE3AのプレmRNAと相補的な領域の開始から上流の35498核酸塩基内でUBE3A−ATSを標的とするアンチセンス化合物を投与することと、を含み、UBE3A−ATSが、配列番号1の配列と少なくとも85%同一である核酸配列を含む方法を提供する。1つの態様において、UBE3AのプレmRNAと相補的な領域は、配列番号1の核酸塩基1032967〜1110944から成る。
【0123】
いくつかの実施形態は、UBE3A−ATSを標的とするアンチセンス化合物で動物を治療する方法であって、その方法を必要とする動物を選択することと、その動物に、UBE3AのプレmRNAと相補的な領域の開始から上流の67390核酸塩基内でUBE3A−ATSを標的とするアンチセンス化合物を投与することと、を含み、UBE3A−ATSが、配列番号2の配列と少なくとも85%同一である核酸配列を含む、方法に関する。1つの態様において、UBE3AのプレmRNAと相補的な領域は、配列番号2の核酸塩基513603〜615382から成る。
【0124】
動物を治療する方法を対象とする前述の任意の実施形態のある特定の態様において、動物は、アンジェルマン症候群を有する。ある特定の態様において、本明細書に提供される方法によって治療されるアンジェルマン症候群を有する動物は、不安、学習、平衡、運動機能、および/または痙攣発作の改善を示す。
【0125】
動物を治療する方法を対象とする前述の任意の実施形態のある特定の態様において、提供されるアンチセンス化合物を投与することは、隣接する核小体低分子RNA(snoRNA)Snrpn、MBII−85/HBII−85、および/もしくはMBII−52/HBII−52のレベルを低下させることなく、動物を治療する。いくつかの態様において、本明細書に提供されるアンチセンス化合物を投与することは、約0%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%を超えてSnrpn、MBII−85/HBII−85、および/もしくはMBII−52/HBII−52のレベルを低下させることなく、動物を治療する。
【0126】
ある特定の実施形態は、UBE3A−ATSを標的とするアンチセンス化合物を対象とする。いくつかの態様において、UBE3A−ATSは、配列番号1または配列番号2と少なくとも85%同一である核酸配列を含む。
【0127】
いくつかの実施形態は、UBE3AのプレmRNAの少なくとも3’末端に相補的なUBE3A−ATSの領域から上流のUBE3A−ATSの領域を標的とするアンチセンス化合物を提供する。一部の態様において、UBE3A−ATSは、配列番号1と少なくとも85%同一である核酸配列を含む。同じ態様において、UBE3AのプレmRNAの少なくとも3’末端に相補的な領域は、配列番号1の核酸塩基1032967で開始し得る。別の態様において、UBE3A−ATSは、配列番号2と少なくとも85%同一である核酸配列を含む。同じ態様において、UBE3AのプレmRNAの少なくとも3’末端に相補的な領域は、配列番号2の核酸塩基513603で開始し得る。
【0128】
種々の実施形態は、UBE3A−ATSの第1の領域を標的とするアンチセンス化合物であって、その第1の領域は、UBE3AのプレmRNAの少なくとも3’末端に相補的な(a)上流領域および(b)下流領域と隣接する、化合物を対象とする。1つの態様において、上流領域は、少なくとも1つの核小体低分子RNA(snoRNA)の配列を含む。同じ態様において、snoRNAは、HBII−52またはMBII−52である。ある特定の態様において、UBE3A−ATSは、配列番号1と少なくとも85%同一である核酸配列を含み、UBE3A−ATSの第1の領域は、配列番号1の核酸塩基997469〜1032966と少なくとも85%同一である核酸塩基から成る。いくつかの態様において、UBE3AのプレmRNAは、少なくとも85%配列番号5と同一である核酸配列を含む。ある特定の態様において、UBE3A−ATSは、配列番号2と少なくとも85%同一である核酸配列を含み、UBE3A−ATSの第1の領域は、配列番号2の核酸塩基446213から513602と少なくとも85%同一である核酸塩基から成る。いくつかの態様において、UBE3AのプレmRNAは、少なくとも85%配列番号6と同一である核酸配列を含む。
【0129】
ある特定の実施形態は、UBE3AのプレmRNAと相補的な領域の開始から上流の35498核酸塩基内でUBE3A−ATSを標的とするアンチセンス化合物であって、UBE3A−ATSが、配列番号1の配列と少なくとも85%同一である核酸配列を含む化合物に関する。1つの態様において、UBE3AのプレmRNAと相補的な領域は、配列番号1の核酸塩基1032967〜1110944から成る。
【0130】
ある特定の実施形態は、UBE3AのプレmRNAと相補的な領域の開始から上流の67390核酸塩基内でUBE3A−ATSを標的とするアンチセンス化合物であって、UBE3A−ATSが、配列番号2の配列と少なくとも85%同一である核酸配列を含む化合物に関する。1つの態様において、UBE3AのプレmRNAと相補的な領域は、配列番号2の核酸塩基513603〜615382から成る。
【0131】
前述の任意の実施形態のいくつかの態様において、アンチセンス化合物は、細胞内のUBE3A−ATSのレベルを低下させるか、および/または細胞内の父方由来のUBE3Aタンパク質の発現を誘発することができる。
【0132】
前述の実施形態およびそれらの態様のうちのいずれにおいても、アンチセンス化合物は、12〜30個連結されたヌクレオシドから成るオリゴヌクレオチドを含んでもよく、そのオリゴヌクレオチドは、UBE3A−ATS核酸配列に少なくとも85%相補的である。ある特定の態様において、オリゴヌクレオチドは、その全長にわたって、UBE3A−ATS核酸配列の等長領域と、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%相補的である。ある特定の態様において、アンチセンス化合物またはオリゴヌクレオチドは、一本鎖オリゴヌクレオチドである。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは、修飾オリゴヌクレオチドである。同じ態様において、修飾オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの修飾ヌクレオシド間結合を含み得る。さらに再び、同じ態様において、修飾ヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合であってもよい。いくつかの態様において、少なくとも1つのヌクレオシドは、修飾糖を含む。同じ態様において、修飾糖は、4’−CH(CH)−O−2’、4’−CH−2’、4’−(CH−2’、4’−CH−O−2’、4’−(CH−O−2’、4’−CH−O−N(R)−2’、および4’−CH2−N(R)−O−2’−(式中、各R1は独立して、H、保護基、またはC1−C12アルキルである)から選択される架橋等の、糖の4’位と2’位との間に架橋を含む、二環式糖である。さらに同じ態様において、架橋は、4’−CH(CH)−O−2’である。
【0133】
修飾糖を含む前述の実施形態およびそれらの態様のうちのいずれにおいても、その修飾糖は、2’−O−メトキシエチル基を含み得る。
【0134】
修飾オリゴヌクレオチドを含む前述の実施形態およびそれらの態様のうちのいずれにおいても、少なくとも1つのヌクレオシドは、5−メチルシトシン等の修飾核酸塩基を含み得る。
【0135】
前述の実施形態およびそれらの態様のうちのいずれにおいても、アンチセンス化合物または修飾オリゴヌクレオチドは、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも110%、少なくとも120%、少なくとも130%、少なくとも140%、少なくとも150%、少なくとも160%、少なくとも170%、少なくとも180%、少なくとも190%、少なくとも200%、少なくとも210%、少なくとも220%、少なくとも230%、少なくとも240%、もしくは少なくとも250%父方由来のUBE3Aの発現を誘発することができる。
【0136】
アンチセンス化合物
オリゴマー化合物には、オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオシド、オリゴヌクレオチド類似体、オリゴヌクレオチド模倣体、アンチセンス化合物、アンチセンスオリゴヌクレオチド、およびsiRNAが挙げられるが、これらに限定されない。オリゴマー化合物は、標的核酸に対して「アンチセンス」であってもよく、これはそれが水素結合を介して標的核酸にハイブリダイゼーションすることができることを意味する。
【0137】
ある特定の実施形態では、アンチセンス化合物は、5’から3’の方向で記載したときに、それが標的とする標的核酸の標的セグメントの逆相補体を含む核酸塩基配列を有する。ある特定のそのような実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、5’から3’の方向で記載したときに、それが標的とする標的核酸の標的セグメントの逆相補体を含む核酸塩基配列を有する。
【0138】
ある特定の実施形態では、アンチセンス化合物は、10〜30サブユニット長である。ある特定の実施形態では、アンチセンス化合物は、12〜30サブユニット長である。ある特定の実施形態では、アンチセンス化合物は、12〜22サブユニット長である。ある特定の実施形態では、アンチセンス化合物は、14〜30サブユニット長である。ある特定の実施形態では、アンチセンス化合物は、14〜20サブユニット長である。ある特定の実施形態では、アンチセンス化合物は、15〜30サブユニット長である。ある特定の実施形態では、アンチセンス化合物は、15〜20サブユニット長である。ある特定の実施形態では、アンチセンス化合物は、16〜30サブユニット長である。ある特定の実施形態では、アンチセンス化合物は、16〜20サブユニット長である。ある特定の実施形態では、アンチセンス化合物は、17〜30サブユニット長である。ある特定の実施形態では、アンチセンス化合物は、17〜20サブユニット長である。ある特定の実施形態では、アンチセンス化合物は、18〜30サブユニット長である。ある特定の実施形態では、アンチセンス化合物は、18〜21サブユニット長である。ある特定の実施形態では、アンチセンス化合物は、18〜20サブユニット長である。ある特定の実施形態では、アンチセンス化合物は、20〜30サブユニット長である。言い換えると、そのようなアンチセンス化合物はそれぞれ、12〜30個の連結されたサブユニット、14〜30個の連結されたサブユニット、14〜20個のサブユニット、15〜30個のサブユニット、15〜20個のサブユニット、16〜30個のサブユニット、16〜20個のサブユニット、17〜30個のサブユニット、17〜20個のサブユニット、18〜30個のサブユニット、18〜20個のサブユニット、18〜21個のサブユニット、20〜30個のサブユニット、または12〜22個の連結されたサブユニットである。ある特定の実施形態では、アンチセンス化合物は、14サブユニット長である。ある特定の実施形態では、アンチセンス化合物は、16サブユニット長である。ある特定の実施形態では、アンチセンス化合物は、17サブユニット長である。ある特定の実施形態では、アンチセンス化合物は、18サブユニット長である。ある特定の実施形態では、アンチセンス化合物は、20サブユニット長である。他の実施形態では、アンチセンス化合物は、8〜80個、12〜50個、13〜30個、13〜50個、14〜30個、14〜50個、15〜30個、15〜50個、16〜30個、16〜50個、17〜30個、17〜50個、18〜22個、18〜24個、18〜30個、18〜50個、19〜22個、19〜30個、19〜50個、または20〜30個の連結されたサブユニットである。ある特定のそのような実施形態では、アンチセンス化合物は、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個、31個、32個、33個、34個、35個、36個、37個、38個、39個、40個、41個、42個、43個、44個、45個、46個、47個、48個、49個、50個、51個、52個、53個、54個、55個、56個、57個、58個、59個、60個、61個、62個、63個、64個、65個、66個、67個、68個、69個、70個、71個、72個、73個、74個、75個、76個、77個、78個、79個、もしくは80個の連結されたサブユニット長、または上記の値のうちのいずれか2つによって画定される範囲である。一部の実施形態では、アンチセンス化合物は、アンチセンスオリゴヌクレオチドであり、連結されたサブユニットは、ヌクレオチドである。
【0139】
ある特定の実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、短縮または切断されていてもよい。例えば、単一のサブユニットを5’末端から欠失させても(5’切断)、あるいは3’末端から欠失させてもよい(3’切断)。UBE3A−ATS核酸を標的とする短縮または切断されたアンチセンス化合物は、2つのサブユニットが、アンチセンス化合物の5’末端から欠失していても、あるいはアンチセンス化合物の3’末端から欠失していてもよい。あるいは、この欠失されるヌクレオシドはアンチセンス化合物全体に分散させてもよく、例えば、アンチセンス化合物中で、5’末端から1個のヌクレオシドが欠失し、3’末端から1個のヌクレオシドが欠失していてもよい。
【0140】
延長されたアンチセンス化合物中に単一の付加サブユニットが存在するとき、その付加サブユニットは、アンチセンス化合物の5’または3’末端に位置していてもよい。2つ以上の付加サブユニットが存在するとき、付加されたサブユニットは、互いに隣接していてもよく、例えば、アンチセンス化合物中で、2つのサブユニットが、アンチセンス化合物の5’末端に付加されていても(5’付加)、あるいはアンチセンス化合物の3’末端に付加されてもよい(3’付加)。あるいは、付加されるサブユニットはアンチセンス化合物全体に分散させてもよく、例えば、あるアンチセンス化合物中で、1つのサブユニットが5’末端に付加され、1つのサブユニットが3’末端に付加されていてもよい。
【0141】
活性を失うことなく、アンチセンスオリゴヌクレオチド等のアンチセンス化合物の長さを増加もしくは減少させること、および/またはミスマッチ塩基を導入することが可能である。例えば、Woolf et al.(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:7305−7309,1992)において、卵母細胞注入モデルで標的RNAの切断を誘発する能力について、13〜25核酸塩基長の一連のアンチセンスオリゴヌクレオチドを試験した。アンチセンスオリゴヌクレオチドの末端付近に8個または11個のミスマッチ塩基を含む、25核酸塩基長のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、ミスマッチを含まないアンチセンスオリゴヌクレオチドよりも程度は低かったものの、標的mRNAの特異的切断を導くことができた。同様に、標的特異的切断は、1個または3個のミスマッチを有するものを含む、13核酸塩基アンチセンスオリゴヌクレオチドを用いて達成された。
【0142】
Gautschi et al.(J.Natl.Cancer Inst.93:463−471,March 2001)は、bcl−2 mRNAに対して100%相補性を有し、bcl−xL mRNAに対して3個のミスマッチを有するオリゴヌクレオチドのbcl−2およびbcl−xL両者の発現をインビトロおよびインビボで減少させる能力を証明した。さらに、このオリゴヌクレオチドは、インビボでの強力な抗腫瘍活性を示した。
【0143】
MaherおよびDolnick(Nuc.Acid.Res.16:3341−3358,1988)は、ウサギ網状赤血球アッセイにおいてヒトDHFRの翻訳を停止させる能力について、一連のタンデム14核酸塩基アンチセンスオリゴヌクレオチドと、これらタンデムアンチセンスオリゴヌクレオチドのうちの2個または3個の配列で構成されるそれぞれ28および42核酸塩基アンチセンスオリゴヌクレオチドを試験した。3つの14核酸塩基アンチセンスオリゴヌクレオチドの各々は、28または42核酸塩基アンチセンスオリゴヌクレオチドよりも軽度なレベルではあるが、単独で翻訳を阻害することができた。
【0144】
ある特定のアンチセンス化合物モチーフおよび機序
ある特定の実施形態では、アンチセンス化合物は、向上した阻害活性、増加した標的核酸に対する結合親和性、またはインビボヌクレアーゼによる分解に対する耐性等の特性をアンチセンス化合物に付与する、パターンまたはモチーフに配置された化学修飾サブユニットを有する。
キメラアンチセンス化合物は、典型的には、ヌクレアーゼ分解に対する耐性の増加、細胞取り込みの増加、標的核酸に対する結合親和性の増加、および/または阻害活性の増加を付与するように修飾された、少なくとも1つの領域を含有する。キメラアンチセンス化合物の第2の領域は、別の所望の特性を付与し得、例えば、RNA:DNA二重鎖のRNA鎖を切断する細胞性エンドヌクレアーゼであるRNaseHの基質としての役割を果たす。
【0145】
アンチセンス活性は、アンチセンス化合物(例えば、オリゴヌクレオチド)の標的核酸とのハイブリダイゼーションを含む、任意の機序の結果であり得、ハイブリダイゼーションは最終的に生物学的作用をもたらす。ある特定の実施形態では、標的核酸の量および/または活性度は、調節される。ある特定の実施形態では、標的核酸の量および/または活性度は、減少される。ある特定の実施形態では、アンチセンス化合物の標的核酸へのハイブリダイゼーションは、最終的に、標的核酸分解をもたらす。ある特定の実施形態では、アンチセンス化合物の標的核酸へのハイブリダイゼーションは、標的核酸分解をもたらさない。ある特定のそのような実施形態では、標的核酸とハイブリダイズされたアンチセンス化合物(占有)の存在は、アンチセンス活性の調節をもたらす。ある特定の実施形態では、化学修飾の特定の化学モチーフまたはパターンを有するアンチセンス化合物は、1つ以上の機序を利用するのに特に適している。ある特定の実施形態では、アンチセンス化合物は、2つ以上の機序を通して、および/または解明されていない機序を通して機能する。したがって、本明細書に記載のアンチセンス化合物は、特定の機序に制限されない。
【0146】
アンチセンス機序には、限定することなく、RNase H媒介性アンチセンス、RISC経路を利用し、限定することなく、siRNA、ssRNA、およびマイクロRNA機序を含むRNAi機序、ならびに占有ベースの機序を含む。ある特定のアンチセンス化合物は、2つ以上のそのような機序を通して、および/またはさらなる機序を通して、作用し得る。
【0147】
RNase H媒介アンチセンス
ある特定の実施形態では、アンチセンス活性は、少なくとも一部は、RNase Hによる標的RNAの分解によって生じる。RNase Hは、RNA:DNA二重鎖のRNA鎖を切断する細胞性エンドヌクレアーゼである。当該技術分野において、「DNA様」である一本鎖アンチセンス化合物は、哺乳類細胞においてRNase H活性を誘発することが知られている。したがって、DNAまたはDNA様ヌクレオシドの少なくとも一部分を含むアンチセンス化合物は、RNase Hを活性化し、標的核酸の切断をもたらし得る。ある特定の実施形態では、RNase Hを用いるアンチセンス化合物は、1つ以上の修飾ヌクレオシドを含む。ある特定の実施形態では、そのようなアンチセンス化合物は、1−8修飾ヌクレオシドの少なくとも1つのブロックを含む。ある特定のそのような実施形態では、修飾ヌクレオシドは、RNase H活性を支持しない。ある特定の実施形態では、そのようなアンチセンス化合物は、本明細書に記載のギャップマーである。ある特定のそのような実施形態では、ギャップマーのギャップは、DNAヌクレオシドを含む。ある特定のそのような実施形態では、ギャップマーのギャップは、DNA様ヌクレオシドを含む。ある特定のそのような実施形態では、ギャップマーのギャップは、DNAヌクレオシドおよびDNA様ヌクレオシドを含む。
【0148】
ギャップマーモチーフを有するある特定のアンチセンス化合物は、キメラアンチセンス化合物と見なされる。ギャップマーでは、RNaseH切断を支持する複数のヌクレオチドを有する内部領域が、内部領域のヌクレオシドとは化学的に異なる複数のヌクレオチドを有する外部領域間に位置する。ギャップマーモチーフを有するアンチセンスオリゴヌクレオチドの場合、ウィングセグメントが修飾ヌクレオシドを含む一方、ギャップセグメントは、一般にエンドヌクレアーゼ切断の基質としての役割を果たす。特定の実施形態では、ギャップマーの領域は、各々異なる領域を含む糖部分の型によって区別される。ギャップマーの領域を区別するために使用される糖部分の型として、一部の実施形態では、β−D−リボヌクレオシド、β−D−デオキシリボヌクレオシド、2’−修飾ヌクレオシド(かかる2’−修飾ヌクレオシドは、とりわけ2’−MOEおよび2’−O−CHを含み得る)、および二環式糖修飾ヌクレオシド(かかる二環式糖修飾ヌクレオシドは、拘束エチルを有するものを含み得る)を挙げることができる。ある特定の実施形態では、ウィング中のヌクレオシドは、例えば、2’−MOEおよび拘束エチルまたはLNA等の二環式糖部分を含む、いくつかの修飾糖部分を含んでもよい。ある特定の実施形態では、ウィングは、いくつかの修飾および非修飾糖部分を含んでもよい。ある特定の実施形態では、ウィングは、2’−MOEヌクレオシド、拘束エチルヌクレオシドまたはLNAヌクレオシド等の二環式糖部分、および2’−デオキシヌクレオシドの種々の組み合わせを含んでもよい。
【0149】
各々の異なる領域は、均一の糖部分、変異体、または交互の糖部分を含んでもよい。ウィング−ギャップ−ウィングモチーフは、しばしば「X−Y−Z」と記載され、ここで、「X」は、5’ウィングの長さを表し、「Y」は、ギャップの長さを表し、「Z」は、3’ウィングの長さを表す。「X」および「Z」は、均一、変異型、または交互の糖部分を含んでもよい。ある特定の実施形態では、「X」および「Y」は、1つ以上の2’−デオキシヌクレオシドを含んでもよい。「Y」は、2’−デオキシヌクレオシドを含んでもよい。本明細書で使用する際、「X−Y−Z」として記載されるギャップマーは、ギャップが5’ウィングおよび3’ウィングの各々に直接隣接して位置付けられるような立体配置を有する。このため、5’ウィングとギャップ、またはギャップと3’ウィングとの間に、介在ヌクレオチドは存在しない。本明細書に記載のアンチセンス化合物のうちのいずれも、ギャップマーモチーフを有することができる。ある特定の実施形態では、「X」および「Z」は同一であり、他の実施形態では、これらは異なる。ある特定の実施形態では、「Y」は、8〜15個のヌクレオシドである。X、Y、またはZは、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、25個、30個、またはそれ以上のヌクレオシドのいずれであってもよい。
【0150】
ある特定の実施形態では、UBE3A−ATS核酸を標的とするアンチセンス化合物は、ギャップが6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、または16個の連結されたヌクレオシドから成る、ギャップマーモチーフを有する。
【0151】
ある特定の実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、以下の式Aによって記載される糖モチーフを有し:(J)−(B)−(J)−(B)−(A)−(D)−(A)−(B)−(J)−(B)−(J)
式中、
各Aは、独立して、2’−置換ヌクレオシドであり、
各Bは、独立して、二環式ヌクレオシドであり、
各Jは、独立して、2’−置換ヌクレオシドまたは2’−デオキシヌクレオシドのいずれかであり、
各Dは、2’−デオキシヌクレオシドであり、
mは0〜4であり、nは0〜2であり、pは0〜2であり、rは0〜2であり、tは0〜2であり、vは0〜2であり、wは0〜4であり、xは0〜2であり、yは0〜2であり、zは0〜4であり、gは6〜14であり、
ただし、
m、n、およびrのうち少なくとも1つは、0以外であり、
wおよびyのうち少なくとも1つは、0以外であり、
m、n、p、r、およびtの合計は、2〜5であり、
v、w、x、y、およびzの合計は、2〜5であることを条件とする。
【0152】
RNAi化合物
ある特定の実施形態では、アンチセンス化合物は、干渉RNA化合物(RNAi)であり、二本鎖RNA化合物(短干渉RNAまたはsiRNAとも称される)および一本鎖RNAi化合物(またはssRNA)を含む。そのような化合物は、少なくとも部分的にRISC経路を通して、標的核酸を分解するか、および/または隔絶するように働く(このため、マイクロRNA/マイクロRNA模倣化合物を含む)。ある特定の実施形態では、アンチセンス化合物は、それらをそのような機序に特に適するようにする修飾を含む。
【0153】
i.ssRNA化合物
ある特定の実施形態では、一本鎖RNAi化合物(ssRNA)として使用するのに特に適しているものを含むアンチセンス化合物は、修飾5’末端を含む。ある特定のそのような実施形態では、5’末端は、修飾リン酸部分を含む。ある特定の実施形態では、そのような修飾リン酸は、安定している(例えば、非修飾5’リン酸と比較して分解/切断に対して耐性を示す)。ある特定の実施形態では、そのような5’末端ヌクレオシドは、5’亜リン酸部分を安定化させる。ある特定の修飾5’末端ヌクレオシドは、当該技術分野において、例えば、国際公開第WO/2011/139702号において見ることができる。
【0154】
ある特定の実施形態では、ssRNA化合物の5’ヌクレオシドは、式IIcを有する:
【化2】
式中、
は、任意に保護されたリン部分であり、
は、式IIcの化合物をオリゴマー化合物に連結するヌクレオシド間連結基であり、
Aは、以下の式のうちの1つを有し、
【化3】
およびQはそれぞれ、独立して、H、ハロゲン、C−Cアルキル、置換C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、置換C−Cアルコキシ、C−Cアルケニル、置換C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、置換C−Cアルキニル、またはN(R)(R)であり、
は、O、S、N(R)、またはC(R)(R)であり、
それぞれR、R、R、およびRは、独立して、H、C−Cアルキル、置換C−Cアルキル、またはC−Cアルコキシであり、
は、O、S、NR14、C(R15)(R16)、C(R15)(R16)C(R17)(R18)、C(R15)=C(R17)、OC(R15)(R16)、またはOC(R15)(Bx)であり、
14は、H、C−Cアルキル、置換C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、置換C−Cアルコキシ、C−Cアルケニル、置換C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、または置換C−Cアルキニルであり、
15、R16、R17、およびR18はそれぞれ、独立して、H、ハロゲン、C−Cアルキル、置換C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、置換C−Cアルコキシ、C−Cアルケニル、置換C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、または置換C−Cアルキニルであり、
Bxは、複素環塩基部分であるか、
またはBxが存在する場合には、Bxは、複素環塩基部分であり、Bxは、H、ハロゲン、C−Cアルキル、置換C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、置換C−Cアルコキシ、C−Cアルケニル、置換C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、もしくは置換C−Cアルキニルであり、
、J、J、およびJはそれぞれ、独立して、H、ハロゲン、C−Cアルキル、置換C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、置換C−Cアルコキシ、C−Cアルケニル、置換C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、もしくは置換C−Cアルキニルであるか、
またはJは、JもしくはJのうちの1つと架橋を形成し、その架橋には、O、S、NR19、C(R20)(R21)、C(R20)=C(R21)、C[=C(R20)(R21)]、およびC(=O)から選択される1〜3個の連結したビラジカル基を含み、かつJ、J、およびJのうちの他の2つはそれぞれ、独立して、H、ハロゲン、C−Cアルキル、置換C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、置換C−Cアルコキシ、C−Cアルケニル、置換C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、もしくは置換C−Cアルキニルであり、
それぞれR19、R20、およびR21は、独立して、H、C−Cアルキル、置換C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、置換C−Cアルコキシ、C−Cアルケニル、置換C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、または置換C−Cアルキニルであり、
Gは、H、OH、ハロゲン、またはO−[C(R)(R)]−[(C=O)−X−Zであり、
それぞれRおよびRは、独立して、H、ハロゲン、C−Cアルキル、または置換C−Cアルキルであり、
は、O、S、またはN(E)であり、
Zは、H、ハロゲン、C−Cアルキル、置換C−Cアルキル、C−Cアルケニル、置換C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、置換C−Cアルキニル、またはN(E)(E)であり、
、E、およびEはそれぞれ、独立して、H、C−Cアルキル、または置換C−Cアルキルであり、
nは、1〜約6であり、
mは、0または1であり、
jは、0または1であり、
各置換基は、独立して、ハロゲン、OJ、N(J)(J)、=NJ、SJ、N、CN、OC(=X)J、OC(=X)N(J)(J)、およびC(=X)N(J)(J)から選択される、1つ以上の任意に保護された置換基を含み、
は、O、S、またはNJであり、
それぞれJ、J、およびJは、独立して、HまたはC−Cアルキルであり、
jが1の場合は、Zは、ハロゲンまたはN(E)(E)以外であり、
そのオリゴマー化合物は、8〜40個のモノマーサブユニットを含み、標的核酸の少なくとも一部分にハイブリダイズ可能である。
【0155】
ある特定の実施形態では、Mは、O、CH=CH、OCH、またはOC(H)(Bx)である。ある特定の実施形態では、Mは、Oである。
【0156】
ある特定の実施形態では、J、J、J、およびJは、それぞれHである。ある特定の実施形態では、Jは、JまたはJのうちの1つと架橋を形成する。
【0157】
ある特定の実施形態では、Aは、以下の式のうちの1つを有し、
【化4】
式中、
およびQはそれぞれ、独立して、H、ハロゲン、C−Cアルキル、置換C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、または置換C−Cアルコキシである。ある特定の実施形態では、QおよびQは、それぞれHである。ある特定の実施形態では、QおよびQはそれぞれ、独立して、Hまたはハロゲンである。ある特定の実施形態では、QおよびQは、Hであり、QおよびQの他方は、F、CH、またはOCHである。
【0158】
ある特定の実施形態では、Tは、以下の式を有し、
【化5】
式中、
およびRはそれぞれ、独立して、保護されたヒドロキシル、保護されたチオール、C−Cアルキル、置換C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、置換C−Cアルコキシ、保護されたアミノ、または置換アミノであり、かつ
は、OまたはSである。ある特定の実施形態では、Rは、Oであり、かつRおよびRはそれぞれ、独立して、OCH、OCHCH、またはCH(CHである。
【0159】
ある特定の実施形態では、Gは、ハロゲン、OCH、OCHF、OCHF、OCF、OCHCH、O(CHF、OCHCHF、OCHCF、OCH−CH=CH、O(CH−OCH、O(CH−SCH、O(CH−OCF、O(CH−N(R10)(R11)、O(CH−ON(R10)(R11)、O(CH−O(CH−N(R10)(R11)、OCHC(=O)−N(R10)(R11)、OCHC(=O)−N(R12)−(CH−N(R10)(R11)、またはO(CH−N(R12)−C(=NR13)[N(R10)(R11)]であり、ここで、R10、R11、R12、およびR13はそれぞれ、独立して、HまたはC−Cアルキルである。ある特定の実施形態では、Gは、ハロゲン、OCH、OCF、OCHCH、OCHCF、OCH−CH=CH、O(CH−OCH、O(CH−O(CH−N(CH、OCHC(=O)−N(H)CH、OCHC(=O)−N(H)−(CH−N(CH、またはOCH−N(H)−C(=NH)NHである。ある特定の実施形態では、Gは、F、OCH、またはO(CH−OCHである。ある特定の実施形態では、Gは、O(CH−OCHである。
【0160】
ある特定の実施形態では、5’末端ヌクレオシドは、式IIeを有する。
【化6】
【0161】
ある特定の実施形態では、ssRNAに特に適したものを含むアンチセンス化合物は、既定のパターンまたは糖修飾モチーフ中に、オリゴヌクレオチドまたはその領域に沿って配置された1つ以上の型の修飾糖部分および/または天然に生じる糖部分を含む。そのようなモチーフは、本明細書で考察される糖修飾および/または他の既知の糖修飾のうちのいずれかを含み得る。
【0162】
ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、均一の糖修飾を有する領域を含むか、またはそれで構成される。ある特定のそのような実施形態では、その領域の各ヌクレオシドは、同じRNA様糖修飾を含む。ある特定の実施形態では、領域の各ヌクレオシドは、2’−Fヌクレオシドである。ある特定の実施形態では、領域の各ヌクレオシドは、2’−OMeヌクレオシドである。ある特定の実施形態では、領域の各ヌクレオシドは、2’−MOEヌクレオシドである。ある特定の実施形態では、領域の各ヌクレオシドは、cEtヌクレオシドである。ある特定の実施形態では、領域の各ヌクレオシドは、LNAヌクレオシドである。ある特定の実施形態では、均一の領域は、オリゴヌクレオチドのすべてまたは本質的にすべてを構成する。ある特定の実施形態では、領域は、1〜4末端ヌクレオシドを除く、全オリゴヌクレオチドを構成する。
【0163】
ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、交互の糖修飾の1つ以上の領域を含み、ヌクレオシドは、第1の型の糖修飾を有するヌクレオチドと、第2の型の糖修飾を有するヌクレオチドとの間に交互に存在する。ある特定の実施形態では、両方の型のヌクレオシドは、RNA様ヌクレオシドである。ある特定の実施形態では、交互のヌクレオシドは、2’−OMe、2’−F、2’−MOE、LNA、およびcEtから選択される。ある特定の実施形態では、交互の修飾は、2’−Fおよび2’−OMeである。そのような領域は、連続していてもよく、または異なった修飾ヌクレオシドまたは複合ヌクレオシドによって断続していてもよい。
【0164】
ある特定の実施形態では、交互の修飾の交互の領域は、それぞれ、単一のヌクレオシド(すなわち、そのパターンは、(AB)であり、ここで、Aは第1の型の糖修飾を有するヌクレオシドであり、Bは第2の型の糖修飾を有するヌクレオシドであり、xは1〜20であり、yは0または1である)から成る。ある特定の実施形態では、交互モチーフ中の1つ以上の交互の領域は、2つ以上の単一ヌクレオシドの型を含む。例えば、オリゴヌクレオチドは、以下のヌクレオシドモチーフのうちのいずれかの1つ以上の領域を含んでもよい。
AABBAA;
ABBABB;
AABAAB;
ABBABAABB;
ABABAA;
AABABAB;
ABABAA;
ABBAABBABABAA;
BABBAABBABABAA;または
ABABBAABBABABAA;
ここで、Aは、第1の型のヌクレオシドであり、Bは、第2の型のヌクレオシドである。ある特定の実施形態では、AおよびBはそれぞれ、2’−F、2’−OMe、BNA、およびMOEから選択される。
【0165】
ある特定の実施形態では、そのような、ある交互モチーフを有するオリゴヌクレオチドはまた、式IIcまたはIIeのもの等の修飾5’末端ヌクレオシドを含む。
【0166】
ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、2−2−3モチーフを有する領域を含む。そのような領域は、以下のモチーフを含む。
−(A)−(B)−(A)−(C)−(A)
ここで、Aは、第1の型の修飾ヌクレオシドであり、
BおよびCは、Aとは異なって修飾されたヌクレオシドであるが、しかしながらBおよびCは、互いに同じか、もしくは異なる修飾を有してもよく、
xおよびyは、1〜15である。
【0167】
ある特定の実施形態では、Aは、2’−OMe修飾ヌクレオシドである。ある特定の実施形態では、BおよびCはともに、2’−F修飾ヌクレオシドである。ある特定の実施形態では、Aは、2’−OMe修飾ヌクレオシドであり、BおよびCはともに、2’−F修飾ヌクレオシドである。
【0168】
ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオシドは、以下の糖モチーフを有する。
5’−(Q)−(AB)−(D)
ここで、
Qは、安定化されたリン酸部分を含むヌクレオシドを含む。ある特定の実施形態では、Qは、式IIcまたはIIeを有するヌクレオシドであり、
Aは、第1の型の修飾ヌクレオシドであり、
Bは、第2の型の修飾ヌクレオシドであり、
Dは、それと隣接するヌクレオシドと異なる修飾を含む修飾ヌクレオシドである。このため、yが0である場合は、Dは、Bと異なって修飾されてなければならず、またyが1である場合は、Dは、Aと異なって修飾されてなければならない。ある特定の実施形態では、Dは、AおよびBの両方と異なる。
Xは、5〜15であり、
Yは、0または1であり、
Zは、0〜4である。
【0169】
ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオシドは、以下の糖モチーフを有する。
5’−(Q)−(A)−(D)
ここで、
Qは、安定化されたリン酸部分を含むヌクレオシドを含む。ある特定の実施形態では、Qは、式IIcまたはIIeを有するヌクレオシドであり、
Aは、第1の型の修飾ヌクレオシドであり、
Dは、Aとは異なる修飾を含む修飾ヌクレオシドである。
Xは、11〜30であり、
Zは、0〜4である。
【0170】
ある特定の実施形態では、上記モチーフ中のA、B、C、およびDは、2’−OMe、2’−F、2’−MOE、LNA、およびcEtから選択される。ある特定の実施形態では、Dは、末端ヌクレオシドを表す。ある特定の実施形態では、そのような末端ヌクレオシドは、標的核酸にハイブリタイズするようには設計されていない(しかし、偶然に1つ以上がハイブリタイズする可能性はある)。ある特定の実施形態では、標的核酸の対応する位置における核酸塩基が何であるかにかかわらず、各Dヌクレオシドの核酸塩基はアデニンである。ある特定の実施形態では、各Dヌクレオシドの核酸塩基は、チミンである。
【0171】
ある特定の実施形態では、ssRNAとして使用するのに特に適しているものを含むアンチセンス化合物は、既定のパターンまたは修飾ヌクレオシド間結合モチーフ中に、オリゴヌクレオチドまたはその領域に沿って配置された修飾ヌクレオシド間結合を含む。ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、交互のヌクレオシド間結合モチーフを有する領域を含む。ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、均一に修飾されたヌクレオシド間結合の領域を含む。ある特定のそのような実施形態では、オリゴヌクレオチドは、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合によって均一に連結された領域を含む。ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合によって均一に連結されている。ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドの各ヌクレオシド間結合は、ホスホジエステルおよびホスホロチオエートから選択される。ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドの各ヌクレオシド間結合は、ホスホジエステルおよびホスホロチオエートから選択され、少なくとも1つのヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエートである。
【0172】
ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、少なくとも6個のホスホロチオエートヌクレオシド間結合を含む。ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、少なくとも8個のホスホロチオエートヌクレオシド間結合を含む。ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、少なくとも10個のホスホロチオエートヌクレオシド間結合を含む。ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、少なくとも6個の連続ホスホロチオエートヌクレオシド間結合の少なくとも1つのブロックを含む。ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、少なくとも8個の連続ホスホロチオエートヌクレオシド間結合の少なくとも1つのブロックを含む。ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、少なくとも10個の連続ホスホロチオエートヌクレオシド間結合の少なくとも1つのブロックを含む。ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの12個の連続ホスホロチオエートヌクレオシド間結合の少なくとも1つのブロックを含む。ある特定のそのような実施形態では、少なくとも1つのそのようなブロックは、オリゴヌクレオチドの3’末端に位置している。ある特定のそのような実施形態では、少なくとも1つのそのようなブロックは、オリゴヌクレオチドの3’末端の3ヌクレオシド内に位置している。
【0173】
本明細書に記載の種々の糖モチーフのうちのいずれかを有するオリゴヌクレオチドは、任意の結合モチーフを有してもよい。例えば、上記のものを含むが、これらに限定されないオリゴヌクレオチドは、非限定的に以下の表から選択される結合モチーフを有してもよい。
【化7】
【0174】
ii.siRNA化合物
ある特定の実施形態では、アンチセンス化合物は、二本鎖RNAi化合物(siRNA)である。そのような実施形態では、片方または両方の鎖は、ssRNAに関して上記の任意の修飾モチーフを含んでもよい。ある特定の実施形態では、ssRNA化合物は、非修飾RNAであり得る。ある特定の実施形態では、siRNA化合物は、非修飾RNAヌクレオシドを含み得るが、修飾ヌクレオシド間結合も含み得る。
【0175】
いくつかの実施形態は、各鎖が1つ以上の修飾または非修飾ヌクレオシドの位置によって画定されるモチーフを含む、二本鎖組成物に関する。ある特定の実施形態では、完全にもしくは少なくとも部分的にハイブリダイズされ、二重鎖領域を形成し、さらに核酸標的に相補的であり、かつそこにハイブリタイズする領域を含む、第1および第2のオリゴマー化合物を含む組成物を提供する。そのような組成物が、核酸標的に対して完全もしくは部分的相補性を有するアンチセンス鎖である第1のオリゴマー化合物と、第1のオリゴマー化合物に対して相補性の1つ以上の領域を含み、第1のオリゴマー化合物と少なくとも1つの二重鎖領域を形成するセンス鎖である第2のオリゴマー化合物と、を含むことが適切である。
【0176】
いくつかの実施形態の組成物は、核酸標的にハイブリダイズすることによって、遺伝子発現を調節し、その正常機能の損失をもたらす。一部の実施形態では、標的核酸は、UBE3A−ATSである。ある特定の実施形態では、標的とされるUBE3A−ATSの分解は、本発明の組成物によって形成された活性化RISC複合体により促進される。
【0177】
いくつかの実施形態は、一方の鎖が、例えば、反対の鎖へのRISC(または切断)複合体の優先的な負荷に影響するのに有用である二本鎖組成物を対象とする。組成物は、選択された核酸分子を標的とし、1つ以上の遺伝子発現を調節するのに有用である。一部の実施形態では、本発明の組成物は、標的RNAの一部分にハイブリタイズし、標的RNAの正常機能の損失をもたらす。
【0178】
ある特定の実施形態は、鎖の両方が、へミマー(hemimer)モチーフ、完全修飾モチーフ、位置的修飾モチーフ、または交互のモチーフを含む、二本鎖組成物を対象とする。本発明の組成物の各鎖は、例えば、siRNA経路における特定の役割を果たすように修飾されてもよい。各鎖中の異なるモチーフまたは各鎖中の異なる化学修飾を有する同じモチーフを使用して、RISC複合体のアンチセンス鎖を標的とし、同時にセンス鎖の取り込みを阻害することを可能にする。このモデル内で、各鎖は、その特定の役割を増強するように独立して修飾されてもよい。アンチセンス鎖は、RISCの1つの領域においてその役割を増強するように5’末端において修飾されてもよく、一方、3’末端は、RISCの異なる領域においてその役割を増強するように異なって修飾されてもよい。
【0179】
二本鎖オリゴヌクレオチド分子は、自己相補的なセンスおよびアンチセンス領域を含む二本鎖ポリヌクレオチド分子であってもよく、そのアンチセンス領域は、標的核酸分子またはその一部分においてヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列と、標的核酸配列またはその一部分に対応するヌクレオチド配列を有するセンス領域と、を含む。二本鎖オリゴヌクレオチド分子は、一方の鎖がセンス鎖であり、他方がアンチセンス鎖である2つの別々のオリゴヌクレオチドから構築されてもよく、アンチセンス鎖およびセンス鎖が二重鎖または二本鎖構造を形成し、例えば、二本鎖領域は約15〜約30、例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、もしくは30塩基対であり、アンチセンス鎖が標的核酸分子またはその一部分のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含み、センス鎖が標的核酸配列またはその一部分に対応するヌクレオチド配列(例えば、二本鎖オリゴヌクレオチド分子の約15〜約25以上のヌクレオチドが、標的核酸またはその一部分に相補的である)を含むように、アンチセンスおよびセンス鎖は自己相補的である(すなわち、各鎖が、他方の鎖中のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含む。あるいは、二本鎖オリゴヌクレオチドは、単一のオリゴヌクレオチドから構築され、siRNAの自己相補的なセンスおよびアンチセンス領域は、核酸ベースまたは非核酸ベースのリンカー(複数可)によって連結される。
【0180】
二本鎖オリゴヌクレオチドは、自己相補的なセンスおよびアンチセンス領域を有する二重鎖、非対称二重鎖、ヘアピン、または非対称ヘアピン二次構造のポリヌクレオチドであってもよく、そのアンチセンス領域は、別々の標的核酸分子またはその一部分のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含み、センス領域は、標的核酸配列またはその一部分に対応するヌクレオチド配列を有する。二本鎖オリゴヌクレオチドは、2つ以上のループ構造および自己相補的なセンスおよびアンチセンス領域を含む基部を有する環状一本鎖ポリヌクレオチドであってもよく、アンチセンス領域は、標的核酸分子またはその一部分のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含み、センス領域は、標的核酸配列またはその一部分に対応するヌクレオチド配列を有し、環状ポリヌクレオチドは、RNAiを媒介することができる活性siRNA分子を生成するように、インビボまたはインビトロのいずれかでプロセシングされ得る。
【0181】
ある特定の実施形態では、二本鎖オリゴヌクレオチドは、別々のセンスおよびアンチセンス配列または領域を含んでもよく、そこでセンスおよびアンチセンス領域は、当分野で知られている、ヌクレオチドまたは非ヌクレオチドリンカー分子によって共有結合的に連結されるか、または代替的にイオン性相互作用、水素結合、ファンデルワールス相互作用、疎水性相互作用、および/またはスタッキング相互作用によって非共有結合的に連結される。ある特定の実施形態では、二本鎖オリゴヌクレオチドは、標的遺伝子のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含む。別の実施形態では、二本鎖オリゴヌクレオチドは、標的遺伝子の発現の阻害を生じる方法で、標的遺伝子のヌクレオチド配列と相互作用する。
【0182】
本明細書に使用される場合、二本鎖オリゴヌクレオチドは、RNAのみを含有する分子に限定される必要はなく、さらに、化学的に修飾されたヌクレオチドおよび非ヌクレオチドも包含する。ある特定の実施形態では、短干渉核酸分子は、2’−ヒドロキシ(2’−OH)含有ヌクレオチドを欠失している。ある特定の実施形態では、短干渉核酸は任意に、いかなるリボヌクレオチドも含まない(例えば、2’−OH基を有するヌクレオチド)。RNAiを支持するために分子内にリボヌクレオチドの存在を必要としないそのような二本鎖オリゴヌクレオチドは、しかしながら、2’−OH基を有する1つ以上のヌクレオチドを含有する、結合したリンカー(複数可)、または他の結合もしくは会合している基、部分、または鎖を有することができる。任意に、二本鎖オリゴヌクレオチドは、ヌクレオチド位置の約5、10、20、30、40、または50%にリボヌクレオチドを含むことができる。本明細書に使用される場合、siRNAという用語は、配列特異的RNAiを媒介することができる核酸分子を記述するために使用される他の用語、例えば、短干渉RNA(siRNA)、二本鎖RNA(dsRNA)、マイクロRNA(miRNA)、短ヘアピンRNA(shRNA)、短干渉オリゴヌクレオチド、短干渉核酸、短干渉修飾オリゴヌクレオチド、化学修飾siRNA、転写後遺伝子サイレンシングRNA(ptgsRNA)、およびその他と同等であることを意味する。さらに、本明細書に使用される場合、RNAiという用語は、転写後遺伝子サイレンシング、翻訳阻害、またはエピジェネティクス等の配列特異的RNA干渉を記述するために使用される他の用語と同等であることを意味する。例えば、二本鎖オリゴヌクレオチドを用いて、転写後レベルおよび転写前レベルの両方で遺伝子を後成的に発現停止させることができる。非限定的な例において、本発明のsiRNA分子による遺伝子発現の後成的制御は、クロマチン構造またはメチル化パターンのsiRNA媒介性修飾により生じ、遺伝子発現を変化させることができる(例えば、Verdel et al.,2004,Science,303,672−676、Pal−Bhadra et al.,2004,Science,303,669−672、Allshire,2002,Science,297,1818−1819、Volpe et al.,2002,Science,297,1833−1837、Jenuwein,2002,Science,297,2215−2218、およびHall et al.,2002,Science,297,2232−2237を参照されたい)。
【0183】
本明細書に提供されるいくつかの実施形態の化合物および組成物は、例えば、自己相補配列を有する単一RNA鎖が二本鎖立体構造をとることができる「ヘアピン」またはステムループ二本鎖RNAエフェクター分子、または2つの別々のRNA鎖を含む二重鎖dsRNAエフェクター分子を含む、dsRNA媒介性遺伝子サイレンシングまたはRNAi機序によって、UBE3A−ATSを標的とすることができると意図される。種々の実施形態では、dsRNAは、すべてリボヌクレオチドから成るか、または例えば、2000年4月19日に出願された国際公開第00/63364号もしくは1999年4月21日に出願された米国第60/130,377号に開示されるRNA/DNAハイブリッド等のリボヌクレオチドおよびデオキシヌクレオチドの混合物から成る。dsRNAまたはdsRNAエフェクター分子は、分子の1つのセグメント中のヌクレオチドが分子の別のセグメント中のヌクレオチドと塩基対をつくるような自己相補性の領域を有する単一分子であってもよい。種々の実施形態では、単一の分子から成るdsRNAは、すべてリボヌクレオチドから成るか、デオキシリボヌクレオチドの領域に相補的なリボヌクレオチドの領域を含む。あるいは、dsRNAは、互いに相補性の領域を有する2つの異なる鎖を含んでもよい。
【0184】
種々の実施形態では、両方の鎖がすべてリボヌクレオチドから成るか、1つの鎖がすべてリボヌクレオチドから成り、かつ1つの鎖がすべてデオキシリボヌクレオチドから成るか、または1つまたは両方の鎖がリボヌクレオチドおよびデオキシリボヌクレオチドの混合物を含む。ある特定の実施形態では、相補性の領域は、互いに、および標的核酸配列に対して少なくとも70、80、90、95、98、または100%相補的である。ある特定の実施形態では、二本鎖立体構造中に存在するdsRNAの領域は、少なくとも19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、50、75、100、200、500、1000、2000、もしくは5000ヌクレオチドを含むか、またはcDNAもしくはdsRNA中に呈示されている他の標的核酸配列中のヌクレオチドのすべてを含む。一部の実施形態では、dsRNAは、一本鎖末端等の一本鎖領域はいずれも含まないか、もしくはdsRNAはヘアピンである。他の実施形態では、dsRNAは、1つ以上の一本鎖領域またはオーバーハングを有する。ある特定の実施形態では、RNA/DNAハイブリッドは、アンチセンス鎖または領域である(例えば、標的核酸に対する少なくとも70、80、90、95、98、もしくは100%の相補性を有する)DNA鎖または領域と、センス鎖または領域(例えば、標的核酸に対する少なくとも70、80、90、95、98、もしくは100%の同一性を有する)であるRNA鎖または領域と、を含み、逆もまた同様である。
【0185】
種々の実施形態では、RNA/DNAハイブリッドはインビトロで、本明細書に記載されるもの、または2000年4月19日に出願された国際公開第00/63364号もしくは1999年4月21日に出願された米国第60/130,377号に記載されるもの等の酵素的または化学的合成方法を使用して作製される。他の実施形態では、インビトロで合成されたDNA鎖は、インビボまたはインビトロで、DNA鎖の細胞への形質転換の前、後、またはそれと同時に、作製されるRNA鎖と複合体化される。さらに他の実施形態では、dsRNAはセンスおよびアンチセンス領域を含有する単一環状核酸であるか、またはdsRNAは環状核酸および第2の環状核酸もしくは直鎖状核酸のいずれかを含む(例えば、2000年4月19日に出願された国際公開第00/63364号または1999年4月21日に出願された米国第60/130,377号を参照されたい)。例示的な環状核酸は、ヌクレオチドの遊離5’ホスホリル基が別のヌクレオチドの2’ヒドロキシル基にループバックをなす様式で連結されるようになるラリアット構造を含む。
【0186】
他の実施形態では、dsRNAは、対応する2’位が水素またはヒドロキシル基を含む対応するdsRNAと比較してインビトロまたはインビボでのdsRNAの半減期を増加させる、糖の2’位がハロゲン(フッ素基等)を含むか、またはアルコキシ基(メトキシ基等)を含む1つ以上の修飾ヌクレオチドを含む。さらに他の実施形態では、dsRNAは、隣接するヌクレオチド間に天然に生じるホスホジエステル結合以外の1つ以上の結合を含む。そのような結合の例として、ホスホラミド、ホスホロチオエート、およびホスホロジチオエート結合が挙げられる。dsRNAはまた、米国特許第6,673,661号に教示される通りに化学的に修飾された核酸分子であってもよい。他の実施形態では、dsRNAは、例えば、2000年4月19日に出願された国際公開第00/63364号もしくは1999年4月21日に出願された米国第60/130,377号に開示されるような、1本または2本のキャッピングされた鎖を含む。
【0187】
他の実施形態では、dsRNAは、それらの教示が参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第00/63364号に開示される少なくとも部分的なdsRNA分子のいずれか、ならびに米国仮特許出願第60/399,998号、および米国仮特許出願第60/419,532号、およびPCT/US2003/033466号に開示されるdsRNA分子のいずれかであってもよい。任意のdsRNAはインビトロまたはインビボで、本明細書に記載の方法、または国際公開第00/63364号に記載されるもの等の標準方法を使用して発現されてもよい。
【0188】
占有
ある特定の実施形態では、アンチセンス化合物は、RNase Hを介する切断もしくは標的核酸をもたらすか、またはRISC経路を通した切断もしくは隔離をもたらすとは予期されない。ある特定のそのような実施形態では、アンチセンス活性は、占有の結果であってもよく、ハイブリダイズされるアンチセンス化合物の存在は、標的核酸の活性を攪乱する。ある特定のそのような実施形態では、アンチセンス化合物は、均一に修飾されてもよく、または修飾の混合ならびに/もしくは修飾および非修飾ヌクレオシドを含んでもよい。
【0189】
標的核酸、標的領域、およびヌクレオチド配列
ある特定の実施形態では、UBE3A−ATS核酸は、ヌクレオチド66484120から67595063に切り詰められたGENBANK受託番号NT_187035.1の補体に示される配列(配列番号1として本明細書に組み込まれる)、またはヌクレオチド25068794から25684175に切り詰められたGENBANK受託番号NT_026446.14に示される配列(配列番号2として本明細書に組み込まれる)を含む。配列番号1は、マウスゲノムの第7染色体からの配列を提供し、配列番号2は、ヒトゲノムの第15染色体からの配列を提供する。これらの配列番号に対応するマウスおよびヒトゲノムの位置は、それらのシンテニー染色体に沿った同じ構造配置においてSnrpn遺伝子、snoRNA、およびUBE3A−ATSを含む、高度に保存されたゲノム構造を共有する。マウスおよびヒトシンテニー位置の高度に保存されたゲノムマップに加えて、ゲノムのインプリンティング機序もまた、マウスおよびヒトにおいて最も多くニューロンが母性的に遺伝する対立遺伝子からのみUbe3aを発現する、この位置に保存される。(Huang,H.S.et al.,Nature,481:185−189,2012)
【0190】
ある特定の実施形態では、UBE3A−ATSは、ヌクレオチド66484120から67595063に切り詰められたGENBANK受託番号NT_187035.1の補体(配列番号1として本明細書に組み込まれる)、またはヌクレオチド25068794から25684175に切り詰められたGENBANK受託番号NT_026446.14(配列番号2として本明細書に組み込まれる)と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%同一である核酸配列を含む。ある特定の実施形態では、UBE3Aは、配列番号1のヌクレオチド1032967〜1110944の逆相補体(配列番号5として本明細書に組み込まれる)、または配列番号2のヌクレオチド513603〜615382の逆相補体(配列番号6として本明細書に組み込まれる)と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%同一である核酸配列を含む。
【0191】
標的化は、所望の効果が発生するように、アンチセンス化合物がハイブリタイズする少なくとも1つの標的セグメントの決定を含む。ある特定の実施形態では、所望の効果は、UBE3A−ATS核酸レベルの低下である。ある特定の実施形態では、所望の効果は、誘発された父方由来のUBE3Aの発現である。
【0192】
ある特定の実施形態では、アンチセンス化合物は、ヌクレオチド66484120から67595063に切り詰められたGENBANK受託番号NT_187035.1の補体(配列番号1として本明細書に組み込まれる)、またはヌクレオチド25068794から25684175に切り詰められたGENBANK受託番号NT_026446.14(配列番号2として本明細書に組み込まれる)と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%同一である核酸配列を含むUBE3A−ATSを標的としている。ある特定の態様において、アンチセンス化合物は、UBE3AのプレmRNAの少なくとも3’末端に相補的なUBE3A−ATSの領域から上流のUBE3A−ATSの領域を標的としている。言い方を変えると、ある特定の態様において、アンチセンス化合物は、UBE3Aと重複しているか、またはそこに対してアンチセンスのUBE3A−ATSの領域から上流のUBE3A−ATSの領域を標的としている。例えば、UBE3AのプレmRNAの少なくとも3’末端に相補的なUBE3A−ATSの領域は、配列番号1の核酸塩基1032967または配列番号2の核酸塩基513603で開始することができる。ある特定の態様において、UBE3AのプレmRNAの少なくとも3’末端に相補的なUBE3A−ATSの領域は、配列番号1の核酸塩基1032967〜1110944または配列番号2の核酸塩基513603〜615382で構成されてもよい。
【0193】
ある特定の実施形態では、アンチセンス化合物は、UBE3AのプレmRNAの少なくとも3’末端に相補的な(a)上流領域および(b)下流領域と隣接するUBE3A−ATSの第1の領域を標的している。言い方を変えると、ある特定の実施形態では、アンチセンス化合物は、UBE3Aと重なるか、またはそのアンチセンスである(a)上流領域および(b)下流領域と隣接するUBE3A−ATSの第1の領域を標的としている。ある特定の実施形態では、第1の領域は、配列番号1(ヌクレオチド66484120から67595063に切り詰められたGENBANK受託番号NT_187035.1の補体)の核酸塩基997469〜1032966と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは100%同一であるヌクレオチド配列で構成されてもよい。ある特定の実施形態では、第1の領域は、配列番号2(ヌクレオチド25068794から25684175に切り詰められたGENBANK受託番号NT_026446.14)の核酸塩基446213〜513602と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95、または100%同一であるヌクレオチド配列で構成されてもよい。ある特定の態様において、UBE3AのプレmRNAの少なくとも3’末端に相補的な下流領域は、配列番号1の核酸塩基1032967〜1110944または配列番号2の核酸塩基513603〜615382で構成されてもよい。
【0194】
ある特定の実施形態では、アンチセンス化合物は、UBE3AのプレmRNAの少なくとも3’末端に相補的な領域の開始から上流の35498核酸塩基内でUBE3A−ATSを標的としており、UBE3A−ATSは、ヌクレオチド66484120から67595063に切り詰められたGENBANK受託番号NT_187035.1の補体(配列番号1として本明細書に組み込まれる)と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは100%同一である核酸配列を含む。ある特定の態様において、UBE3AのプレmRNAの少なくとも3’末端に相補的な領域は、配列番号1の核酸塩基1032967〜1110944から成る。ある特定の実施形態では、アンチセンス化合物は、UBE3Aと重複しているか、またはそれに対してアンチセンスであるUBE3A−ATS(配列番号1)の領域から上流の35498核酸塩基内でUBE3A−ATSを標的としている。
【0195】
ある特定の実施形態では、アンチセンス化合物は、UBE3AのプレmRNAと相補的な領域の開始から上流の67390核酸塩基内でUBE3A−ATSを標的としており、UBE3A−ATSは、ヌクレオチド25068794から25684175に切り詰められたGENBANK受託番号NT_026446.14と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは100%同一である核酸配列を含む。ある特定の態様において、UBE3AのプレmRNAと相補的な領域は、配列番号2の核酸塩基513603〜615382から成る。ある特定の実施形態では、アンチセンス化合物は、UBE3Aと重複しているか、またはそれに対してアンチセンスであるUBE3A−ATS(配列番号2)の領域から上流の67390核酸塩基内でUBE3A−ATSを標的としている。
【0196】
ある特定の実施形態では、アンチセンス化合物は、HBII−52またはMBII−52 snoRNAのすぐ下流のUBE3A−ATSからUBE3Aと重複しているか、またはそれに対してアンチセンスである領域までを標的とする。いくつかの態様において、そのようなアンチセンス化合物は、配列番号3の核酸塩基1〜35499の間のUBE3A−ATSを標的とする。いくつかの態様において、そのようなアンチセンス化合物は、配列番号4の核酸塩基1〜67391の間のUBE3A−ATSを標的とする。
【0197】
活性標的領域内におけるアンチセンス化合物の(例えば、UBE3A−ATS核酸レベルの減少割合または父方由来のUBE3A発現の誘発割合で定義されるような)活性には変動が存在し得る。ある特定の実施形態では、父方由来のUBE3A発現の誘発は、UBE3A−ATS発現の阻害を示す。
【0198】
ハイブリダイゼーション
一部の実施形態では、ハイブリダイゼーションは、本明細書に開示されるアンチセンス化合物とUBE3A−ATSとの間で生じる。最も一般的なハイブリダイゼーションの機序は、核酸分子の相補的核酸塩基間での水素結合(例えば、Watson−Crick、Hoogsteen、または逆Hoogsteen水素結合)を含む。
【0199】
ハイブリダイゼーションは、様々な条件下で生じ得る。ストリンジェント条件は、配列依存的であり、ハイブリダイズされる核酸分子の性質および組成によって決定される。
【0200】
ある配列が標的核酸に特異的にハイブリダイズ可能であるかどうかを決定する方法は、当該技術分野において周知である。ある特定の実施形態では、本明細書に提供されるアンチセンス化合物は、UBE3A−ATSに特異的にハイブリダイズ可能である。
【0201】
相補性
十分な数のアンチセンス化合物の核酸塩基が標的核酸の対応する核酸塩基と水素結合することができるとき、アンチセンス化合物と標的核酸とは互いに相補的であり、所望の効果が生じることになる(例えば、UBE3A−ATS核酸等の標的核酸のアンチセンス阻害)。
【0202】
アンチセンス化合物とUBE3A−ATS核酸との間の非相補的核酸塩基は、アンチセンス化合物が標的核酸に依然として特異的にハイブリダイズすることができるのであれば、容認することができる。さらに、アンチセンス化合物は、介在または隣接セグメントがハイブリダイゼーション事象(例えば、ループ構造、ミスマッチ、またはヘアピン構造)に関与しないように、UBE3A−ATS核酸の1つ以上のセグメントにわたってハイブリダイズしてもよい。
【0203】
ある特定の実施形態では、本明細書において提供されるアンチセンス化合物またはその特定の部分は、UBE3A−ATS核酸、標的領域、標的セグメント、またはその特定の部分に、相補的であるか、または少なくとも70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%相補的である。アンチセンス化合物の標的核酸との相補性パーセントは、常法を使用して決定することができる。
【0204】
例えば、アンチセンス化合物の20個の核酸塩基中18個が標的領域に相補的であり、したがって特異的にハイブリダイズすることになるアンチセンス化合物は、90%の相補性を表すことになる。本例では、残りの非相補的核酸塩基は、かたまって存在しても、相補的核酸塩基とともに入り交じっていてもよく、互いまたは相補的核酸塩基と隣接している必要はない。したがって、標的核酸との完全な相補性を有する2つの領域が隣接する4つの非相補的核酸塩基を有する、18核酸塩基長のアンチセンス化合物は、標的核酸と77.8%の全体相補性を有することになり、したがって本発明の範囲に含まれることになる。標的核酸のある領域とアンチセンス化合物の相補性パーセントは、当該技術分野において既知のBLASTプログラム(基本ローカルアラインメント検索ツール)およびPowerBLASTプログラム(Altschul et al.,J.Mol.Biol.,1990,215,403 410;Zhang and Madden,Genome Res.1997,7 649 656)を常套的に用いて決定することができる。相同性パーセント、配列同一性または相補性は、例えば、SmithおよびWatermanのアルゴリズム(Adv.Appl.Math.,1981,2,482 489)を用いたデフォルト設定を使用するGapプログラム(Wisconsin Sequence Analysis Package,Version 8 for Unix,Genetics Computer Group,University Research Park,Madison Wis.)によって決定することができる。
【0205】
特定の実施形態では、本明細書において提供されるアンチセンス化合物またはその特定の部分は、標的核酸またはその特定の部分に完全に相補的(すなわち、100%相補的)である。例えば、アンチセンス化合物は、UBE3A−ATS核酸、またはその標的領域、または標的セグメント、または標的配列に完全に相補的であり得る。本明細書で使用する際、「完全に相補的」とは、アンチセンス化合物の各核酸塩基が、標的核酸の対応する核酸塩基と正確に塩基対合することが可能であることを意味する。例えば、20核酸塩基アンチセンス化合物は、このアンチセンス化合物に完全に相補的である標的核酸の対応する20核酸塩基部分が存在する限り、400核酸塩基長の標的配列に完全に相補的である。完全に相補的はまた、第1および/または第2の核酸の特定の部分に関連して使用することもできる。例えば、30核酸塩基アンチセンス化合物の20核酸塩基部分は、400核酸塩基長の標的配列に「完全に相補的」であり得る。この30核酸塩基オリゴヌクレオチドの20核酸塩基部分は、標的配列が対応する20核酸塩基部分を有し、各核酸塩基がアンチセンス化合物の20核酸塩基部分に相補的である場合、標的配列に完全に相補的である。同時に、30核酸塩基アンチセンス化合物全体は、そのアンチセンス化合物の残りの10核酸塩基も標的配列に相補的であるかどうかに応じて、標的配列に完全に相補的であり得るか、またはあり得ない。
【0206】
非相補的核酸塩基の位置は、アンチセンス化合物の5’末端または3’末端であってよい。あるいは、1つまたは複数の非相補的核酸塩基は、アンチセンス化合物の内部位置にあってよい。2つ以上の非相補的核酸塩基が存在するとき、これらは連続的(すなわち、連結された)であっても、または非連続的であってもよい。一実施形態では、非相補的核酸塩基は、ギャップマーアンチセンスオリゴヌクレオチドのウィングセグメント内に位置する。
【0207】
ある特定の実施形態では、11、12、13、14、15、16、17、18、19、もしくは20核酸塩基長、または最大11、12、13、14、15、16、17、18、19、もしくは20核酸塩基長のアンチセンス化合物は、UBE3A−ATS核酸等の標的核酸またはその特定の部分に対して、4個を超えない、3個を超えない、2個を超えない、または1個を超えない非相補的核酸塩基(複数可)を含む。
【0208】
ある特定の実施形態では、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、もしくは30核酸塩基長、または最大11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、もしくは30核酸塩基長のアンチセンス化合物は、UBE3A−ATS核酸等の標的核酸またはその特定の部分に対して、6個を超えない、5個を超えない、4個を超えない、3個を超えない、2個を超えない、または1個を超えない非相補的核酸塩基(複数可)を含む。
【0209】
提供されるアンチセンス化合物には、標的核酸の部分に相補的なものも含まれる。本明細書で使用する際、「部分」とは、標的核酸の領域またはセグメント内の規定の数の連続(すなわち、連結)核酸塩基を指す。「部分」はまた、アンチセンス化合物の規定の数の連続核酸塩基も指し得る。ある特定の実施形態では、アンチセンス化合物は、標的セグメントの少なくとも8核酸塩基部分に相補的である。ある特定の実施形態では、アンチセンス化合物は、標的セグメントの少なくとも9核酸塩基部分に相補的である。ある特定の実施形態では、アンチセンス化合物は、標的セグメントの少なくとも10核酸塩基部分に相補的である。ある特定の実施形態では、アンチセンス化合物は、標的セグメントの少なくとも11核酸塩基部分に相補的である。ある特定の実施形態では、アンチセンス化合物は、標的セグメントの少なくとも12核酸塩基部分に相補的である。ある特定の実施形態では、アンチセンス化合物は、標的セグメントの少なくとも13核酸塩基部分に相補的である。ある特定の実施形態では、アンチセンス化合物は、標的セグメントの少なくとも14核酸塩基部分に相補的である。ある特定の実施形態では、アンチセンス化合物は、標的セグメントの少なくとも15核酸塩基部分に相補的である。また、標的セグメントの少なくとも9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、またはそれ以上の核酸塩基部分に、あるいはこれらの値のうちのいずれか2つによって画定される範囲の核酸塩基部分に相補的なアンチセンス化合物も企図されている。
【0210】
同一性
本明細書において提供されるアンチセンス化合物はまた、特定のヌクレオチド配列、配列番号、または特定のIsis番号で表される化合物、あるいはそれらの部分に対して、規定の同一性パーセントも有し得る。本明細書に使用される場合、アンチセンス化合物は、同じ核酸塩基対合能力を有する場合、本明細書に開示される配列と同一である。例えば、開示されるDNA配列中のチミジンの代わりにウラシルを含有するRNAは、ウラシルおよびチミジンの両者がアデニンと対合することから、そのDNA配列と同一であるとみなされることになる。本明細書に記載のアンチセンス化合物の短縮型または延長型、ならびに本明細書に提供されるアンチセンス化合物に対して非同一塩基を有する化合物も企図される。この非同一塩基は、互いに隣接していても、またはアンチセンス化合物全体に分散していてもよい。アンチセンス化合物の同一性パーセントは、比較される配列に対する、同一塩基対合を有する塩基の数に従って計算される。
【0211】
ある特定の実施形態では、アンチセンス化合物またはその部分は、本明細書に開示されるアンチセンス化合物もしくは配列番号、またはそれらの部分のうちの1つ以上に対して、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である。
【0212】
ある特定の実施形態では、アンチセンス化合物の部分は、標的核酸の等長部分と比較される。ある特定の実施形態では、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25核酸塩基部分が、標的核酸の等長部分と比較される。
【0213】
ある特定の実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドのある部分が、標的核酸のある等長部分と比較される。ある特定の実施形態では、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25核酸塩基部分が、標的核酸の等長部分と比較される。
【0214】
修飾
ヌクレオシドは、塩基−糖の組み合わせである。ヌクレオシドの核酸塩基(塩基としても知られる)部分は通常、複素環塩基部分である。ヌクレオチドは、ヌクレオシドの糖部分に共有結合したリン酸基をさらに含むヌクレオシドである。ペントフラノシル糖を含むヌクレオシドでは、リン酸基は、糖の2’、3’、または5’ヒドロキシル部分に連結可能である。オリゴヌクレオチドは、互いに隣接するヌクレオシドの共有結合によって形成され、直鎖ポリマーオリゴヌクレオチドを形成する。オリゴヌクレオチド構造内において、リン酸基は一般に、オリゴヌクレオチドのヌクレオシド間結合を形成すると呼ばれる。
【0215】
アンチセンス化合物に対する修飾は、ヌクレオシド間結合、糖部分、または核酸塩基に対する置換あるいは変更が含まれる。修飾アンチセンス化合物は、多くの場合、例えば、細胞取り込みの強化、核酸標的への親和性の強化、ヌクレアーゼ存在下での安定性の増加、または阻害活性の増加等の望ましい特性により、天然型よりも好ましい。
【0216】
化学修飾ヌクレオシドはまた、短縮または切断されたアンチセンスオリゴヌクレオチドのその標的核酸に対する結合親和性を増加させるために利用することもできる。結果として、そのような化学修飾ヌクレオシドを有するより短いアンチセンス化合物を用いて、多くの場合、同等の結果を得ることができる。
【0217】
修飾ヌクレオシド間結合
RNAおよびDNAの天然に生じるヌクレオシド間結合は、3’−5’ホスホジエステル結合である。1つ以上の修飾された、すなわち天然に生じたものではないヌクレオシド間結合を有するアンチセンス化合物は、多くの場合、例えば、細胞取り込みの強化、核酸標的に対する親和性の強化、およびヌクレアーゼ存在下での安定性の増加等の望ましい特性により、天然に生じるヌクレオシド間結合を有するアンチセンス化合物よりも選択される。
【0218】
修飾ヌクレオシド間結合を有するオリゴヌクレオチドは、リン原子を保持するヌクレオシド間結合ならびにリン原子を有さないヌクレオシド間結合を含む。代表的なリン含有ヌクレオシド間結合には、ホスホジエステル、ホスホトリエステル、メチルホスホネート、ホスホロアミデート、およびホスホロチオエートが挙げられるが、これらに限定されない。亜リン酸含有および非亜リン酸含有結合の調製方法は、周知である。
【0219】
ある特定の実施形態では、UBE3A−ATS核酸を標的とするアンチセンス化合物は、1つ以上の修飾ヌクレオシド間結合を含む。ある特定の実施形態では、修飾ヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエート結合である。ある特定の実施形態では、アンチセンス化合物の各ヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合である。
【0220】
修飾糖部分
アンチセンス化合物は、任意に、糖基が修飾されている1つ以上のヌクレオシドを含有してもよい。そのような糖修飾ヌクレオシドは、強化されたヌクレアーゼ安定性、増加した結合親和性、またはいくつかの他の有益な生物学的特性をアンチセンス化合物に付与することができる。ある特定の実施形態では、ヌクレオシドは、化学修飾リボフラノース環部分を含む。化学修飾リボフラノース環の例としては、限定するものではないが、置換基の付加(5’および2’置換基を含む、非ジェミナル環原子の架橋形成による二環式核酸(BNA)の形成、リボシル環酸素原子のS、N(R)、またはC(R)(R)(R、R、およびRは、それぞれ独立して、H、C−C12アルキルまたは保護基である)での置換、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。化学修飾糖の例には、2’−F−5’−メチル置換ヌクレオシド(他の開示されている5’,2’−ビス置換ヌクレオシドについては、2008年8月21日に公開されたPCT国際出願第WO 2008/101157号を参照されたい)、またはリボシル環酸素原子のSでの置換と2’位でのさらなる置換(2005年6月16日に公開された公開米国特許出願第US2005−0130923号を参照されたい)、または代替としてBNAの5’置換(LNAが、例えば、5’−メチルまたは5’−ビニル基で置換される、2007年11月22日に公開されたPCT国際出願第WO 2007/134181号を参照されたい)が挙げられる。
【0221】
修飾糖部分を有するヌクレオシドの例には、限定するものではないが、5’−ビニル、5’−メチル(RまたはS)、4’−S、2’−F、2’−OCH、2’−OCHCH、2’−OCHCHF、および2’−O(CHOCH置換基を含む、ヌクレオシドが挙げられる。2’位の置換基はまた、アリル、アミノ、アジド、チオ、O−アリル、O−C−C10アルキル、OCF、OCHF、O(CHSCH、O(CH−O−N(R)(R)、O−CH−C(=O)−N(R)(R)、およびO−CH−C(=O)−N(R)−(CH−N(R)(R)から選択することができ、各R、R、およびRは独立して、Hまたは置換もしくは非置換C−C10アルキルである。
【0222】
本明細書で使用する際、「二環式ヌクレオシド」は、二環式糖部分を含む修飾ヌクレオシドを指す。二環式ヌクレオシドの例には、限定するものではないが、4’リボシル環原子と2’リボシル環原子との間に架橋を含むヌクレオシドが挙げられる。ある特定の実施形態では、本明細書に提供されるアンチセンス化合物は、4’−2’架橋を含む、1つ以上の二環式ヌクレオシドを含む。そのような4’−2’で架橋された二環式ヌクレオシドの例には、次の式のうちの1つが挙げられるが、これらに限定されない:4’−(CH)−O−2’(LNA);4’−(CH)−S−2’;4’−(CH−O−2’(ENA);4’−CH(CH)−O−2’(拘束エチルまたはcEtとも称される)、および4’−CH(CHOCH)−O−2’(ならびにその類似体、2008年7月15日に発行された米国特許第7,399,845号を参照されたい);4’−C(CH)(CH)−O−2’(およびその類似体、2009年1月8日に公開された公開国際出願第WO/2009/006478号を参照されたい);4’−CH−N(OCH)−2’(およびその類似体、2008年12月11日に公開された公開国際出願第WO/2008/150729号を参照されたい);4’−CH−O−N(CH)−2’(2004年9月2日に公開された公開米国特許出願第US2004−0171570号を参照されたい);4’−CH−N(R)−O−2’、式中、RはH、C−C12アルキル、または保護基である(2008年9月23日に発行された米国特許第7,427,672号を参照されたい);4’−CH−C(H)(CH)−2’(Chattopadhyaya et al.,J.Org.Chem.,2009,74,118−134を参照されたい);ならびに4’−CH−C(=CH)−2’(およびその類似体、2008年12月8日に公開された公開国際出願第WO 2008/154401号を参照されたい)。
【0223】
また二環式ヌクレオシドに関するさらなる報告は、公表された文献において見ることができる(例えば、Singh et al.,Chem.Commun.,1998,4,455−456、Koshkin et al.,Tetrahedron,1998,54,3607−3630、Wahlestedt et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,2000,97,5633−5638、Kumar et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.,1998,8,2219−2222、Singh et al.,J.Org.Chem.,1998, 63,10035−10039、Srivastava et al.,J.Am.Chem.Soc.,2007,129(26)8362−8379、Elayadi et al.,Curr.Opinion Invest.Drugs,2001,2,558−561、Braasch et al.,Chem.Biol.,2001,8,1−7、およびOrum et al.,Curr.Opinion Mol.Ther.,2001,3,239−243、米国特許第6,268,490号、同第6,525,191号、同第6,670,461号、同第6,770,748号、同第6,794,499号、同第7,034,133号、同第7,053,207号、同第7,399,845号、同第7,547,684号、および同第7,696,345号、米国特許公開第US2008−0039618号、同第US2009−0012281号、米国特許番号第60/989,574号、同第61/026,995号、同第61/026,998号、同第61/056,564号、同第61/086,231号、同第61/097,787号、および同第61/099,844号、公開PCT国際出願第WO1994/014226号、同第WO2004/106356号、同第WO2005/021570号、同第WO2007/134181号、同第WO2008/150729号、同第WO2008/154401号、および同第WO2009/006478号を参照されたい。前述の二環式ヌクレオシドの各々は、例えば、α−L−リボフラノースおよびβ−D−リボフラノースを含む、1つ以上の立体化学的な糖立体配置を有するように調製することができる(国際公開第99/14226号として1999年3月25日に公開されたPCT国際出願第PCT/DK98/00393号を参照されたい)。
【0224】
ある特定の実施形態では、BNAヌクレオシドの二環式糖部分には、ペントフラノシル糖部分の4’位と2’位との間に少なくとも1つの架橋を有する化合物であって、かかる架橋が、独立して、−[C(R)(R)]−、−C(R)=C(R)−、−C(R)=N−、−C(=O)−、−C(=NR)−、−C(=S)−、−O−、−Si(R−、−S(=O)−、および−N(R)−から独立して選択される1個または2〜4個の連結基を含む化合物が挙げられるが、これらに限定されず、
式中、
xは、0、1、または2であり、
nは、1、2、3、または4であり、
各RおよびRは、独立して、H、保護基、ヒドロキシル、C−C12アルキル、置換C−C12アルキル、C−C12アルケニル、置換C−C12アルケニル、C−C12アルキニル、置換C−C12アルキニル、C−C20アリール、置換C−C20アリール、複素環ラジカル、置換複素環ラジカル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、C−C脂環式ラジカル、置換C−C脂環式ラジカル、ハロゲン、OJ、NJ、SJ、N、COOJ、アシル(C(=O)−H)、置換アシル、CN、スルホニル(S(=O)−J)、またはスルホキシル(S(=O)−J)であり、
各JおよびJは、独立して、H、C−C12アルキル、置換C−C12アルキル、C−C12アルケニル、置換C−C12アルケニル、C−C12アルキニル、置換C−C12アルキニル、C−C20アリール、置換C−C20アリール、アシル(C(=O)−H)、置換アシル、複素環ラジカル、置換複素環ラジカル、C−C12アミノアルキル、置換C−C12アミノアルキル、または保護基である。
【0225】
ある特定の実施形態では、二環式糖部分の架橋は、−[C(R)(R)]−、−[C(R)(R)]−O−、−C(R)−N(R)−O−、または−C(R)−O−N(R)−である。ある特定の実施形態では、架橋は、4’−CH−2’、4’−(CH−2’、4’−(CH−2’、4’−CH−O−2’、4’−(CH−O−2’、4’−CH−O−N(R)−2’、および4’−CH−N(R)−O−2’−であり、式中、各Rは、独立して、H、保護基、またはC−C12アルキルである。
【0226】
ある特定の実施形態では、二環式ヌクレオシドは、異性体立体配置によってさらに定義される。例えば、4’−2’メチレン−オキシ架橋を含むヌクレオシドは、α−L立体配置またはβ−D立体配置であってもよい。以前は、α−L−メチレンオキシ(4’−CH−O−2’)BNAは、アンチセンス活性を示すアンチセンスオリゴヌクレオチド中に組み込まれていた(Frieden et al.,Nucleic Acids Research,2003,21,6365−6372)。
【0227】
ある特定の実施形態では、二環式ヌクレオシドは、以下に示す通りの、(A)α−L−メチレンオキシ(4’−CH−O−2’)BNA、(B)β−D−メチレンオキシ(4’−CH−O−2’)BNA、(C)エチレンオキシ(4’−(CH−O−2’)BNA、(D)アミノオキシ(4’−CH−O−N(R)−2’)BNA、(E)オキシアミノ(4’−CH−N(R)−O−2’)BNA、および(F)メチル(メチレンオキシ)(4’−CH(CH)−O−2’)BNA、(G)メチレン−チオ(4’−CH−S−2’)BNA、(H)メチレン−アミノ(4’−CH−N(R)−2’)BNA、(I)メチル炭素環式(4’−CH−CH(CH)−2’)BNA、(J)プロピレン炭素環式(4’−(CH−2’)BNA、および(K)ビニルBNAが挙げられるが、これらに限定されない。
【化8】
式中、Bxは塩基部分であり、Rは独立して、H、保護基、C−C12アルキル、またはC−C12アルコキシである。
【0228】
ある特定の実施形態では、式I:
【化9】
を有する二環式ヌクレオシドを提供し、
式中、
Bxは、複素環塩基部分であり、
−Q−Q−Q−は、−CH−N(R)−CH−、−C(=O)−N(R)−CH−、−CH−O−N(R)−、−CH−N(R)−O−、または−N(R)−O−CHであり、
は、C−C12アルキルまたはアミノ保護基であり、
およびTはそれぞれ、独立して、H、ヒドロキシル保護基、共役基、反応性リン基、リン部分、または支持体との共有結合である。
【0229】
ある特定の実施形態では、式II:
【化10】
を有する二環式ヌクレオシドを提供し、
式中、
Bxは、複素環塩基部分であり、
およびTはそれぞれ、独立して、H、ヒドロキシル保護基、共役基、反応性リン基、リン部分、または支持体との共有結合であり、
は、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、置換C−Cアルキル、置換C−Cアルケニル、置換C−Cアルキニル、アシル、置換アシル、置換アミド、チオール、または置換チオである。
【0230】
1つの実施形態では、置換基のそれぞれは、独立して、ハロゲン、オキソ、ヒドロキシル、OJ、NJ、SJ、N、OC(=X)J、およびNJC(=X)NJから独立して選択される置換基で一置換または多置換され、式中、各J、J、およびJは、独立して、H、C−Cアルキル、または置換C−Cアルキルであり、Xは、OまたはNJである。
【0231】
ある特定の実施形態では、式III:
【化11】
を有する二環式ヌクレオシドを提供し、
式中、
Bxは、複素環塩基部分であり、
およびTはそれぞれ、独立して、H、ヒドロキシル保護基、共役基、反応性リン基、リン部分、または支持体との共有結合であり、
は、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、置換C−Cアルキル、置換C−Cアルケニル、置換C−Cアルキニル、または置換アシル(C(=O)−)である。
【0232】
ある特定の実施形態では、式IV:
【化12】
を有する二環式ヌクレオシドを提供し、
式中、
Bxは、複素環塩基部分であり、
およびTはそれぞれ、独立して、H、ヒドロキシル保護基、共役基、反応性リン基、リン部分、または支持体との共有結合であり、
は、C−Cアルキル、置換C−Cアルキル、C−Cアルケニル、置換C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、または置換C−Cアルキニルであり、
各q、q、q、およびqは、独立して、H、ハロゲン、C−Cアルキル、置換C−Cアルキル、C−Cアルケニル、置換C−Cアルケニル、C−Cアルキニルまたは置換C−Cアルキニル、C−Cアルコキシル、置換C−Cアルコキシル、アシル、置換アシル、C−Cアミノアルキルまたは置換C−Cアミノアルキルである。
【0233】
ある特定の実施形態では、式V:
【化13】
を有する二環式ヌクレオシドを提供し、
式中、
Bxは、複素環塩基部分であり、
およびTはそれぞれ、独立して、H、ヒドロキシル保護基、共役基、反応性リン基、リン部分、または支持体との共有結合であり、
、q、q、およびqはそれぞれ、独立して、水素、ハロゲン、C−C12アルキル、置換C−C12アルキル、C−C12アルケニル、置換C−C12アルケニル、C−C12アルキニル、置換C−C12アルキニル、C−C12アルコキシ、置換C−C12アルコキシ、OJ、SJ、SOJ、SO、NJ、N、CN、C(=O)OJ、C(=O)NJ、C(=O)J、O−C(=O)NJ、N(H)C(=NH)NJ、N(H)C(=O)NJ、またはN(H)C(=S)NJであるか、
あるいは、qおよびqは、ともに=C(q)(q)であり、
およびqはそれぞれ、独立して、H、ハロゲン、C−C12アルキル、または置換C−C12アルキルである。
【0234】
メチレンオキシ(4’−CH−O−2’)BNAモノマーである、アデニン、シトシン、グアニン、5−メチル−シトシン、チミン、およびウラシルの合成および調製、ならびにそれらのオリゴマー化および核酸認識特性について記載されている(Koshkin et al.,Tetrahedron,1998,54,3607−3630)。またBNAおよびその調製は、国際公開第98/39352号および国際公開第99/14226号にも記載されている。
【0235】
メチレンオキシ(4’−CH−O−2’)BNAの類似体および2’−チオ−BNAも調製されている(Kumar et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.,1998,8,2219−2222)。核酸ポリメラーゼの基質としてオリゴデオキシリボヌクレオチド二重鎖を含むロックドヌクレオシド類似体の調製もまた、記載されている(Wengel et al.,国際公開第99/14226号)。さらに、新規の立体配置制限された高親和性オリゴヌクレオチド類似体である2’−アミノ−BNAの合成について、当該技術分野で記載されている(Singh et al.,J.Org.Chem.,1998,63,10035−10039)。さらに、2’−アミノ−および2’−メチルアミノ−BNAが調製されており、相補的RNA鎖およびDNA鎖を含むその二重鎖の熱安定性が以前に報告されている。
【0236】
ある特定の実施形態では、式VI:
【化14】
を有する二環式ヌクレオシドを提供し、
式中、
Bxは、複素環塩基部分であり、
およびTはそれぞれ、独立して、H、ヒドロキシル保護基、共役基、反応性リン基、リン部分、または支持体との共有結合であり、
各q、q、q、およびqは、独立して、H、ハロゲン、C−C12アルキル、置換C−C12アルキル、C−C12アルケニル、置換C−C12アルケニル、C−C12アルキニル、置換C−C12アルキニル、C−C12アルコキシル、置換C−C12アルコキシル、OJ、SJ、SOJ、SO、NJ、N、CN、C(=O)OJ、C(=O)NJ、C(=O)J、O−C(=O)NJ、N(H)C(=NH)NJ、N(H)C(=O)NJ、またはN(H)C(=S)NJであり、
およびqまたはqおよびqは、ともに=C(q)(q)であり、qおよびqはそれぞれ、独立して、H、ハロゲン、C−C12アルキル、または置換C−C12アルキルである。
【0237】
4’−(CH−2’架橋を有する1つの炭素環式二環式ヌクレオシドおよび架橋4’−CH=CH−CH−2’であるアルケニル類似体が記載されている(Freier et al.,Nucleic Acids Research,1997,25(22),4429−4443、およびAlbaek et al.,J.Org.Chem.,2006,71,7731−7740)。炭素環式二環式ヌクレオシドの合成および調製、ならびにそれらのオリゴマー化および生化学的研究についても記載されている(Srivastava et al.,J.Am..Chem.Soc.,2007,129(26),8362−8379)。
【0238】
本明細書に使用される場合、「4’−2’二環式ヌクレオシド」または「4’〜2’二環式ヌクレオシド」とは、糖環の2’炭素原子を4’炭素原子と接続するフラノース環の2つの炭素原子を接続する架橋を含むフラノース環を含む二環式ヌクレオシドを指す。
【0239】
本明細書に使用される場合、「単環式ヌクレオシド」とは、二環式糖部分ではない修飾糖部分を含むヌクレオシドを指す。ある特定の実施形態では、ヌクレオシドの糖部分、または糖部分類似体は、任意の位置において修飾または置換されてもよい。
【0240】
本明細書に使用される場合、「2’−修飾糖」とは、2’位で修飾されたフラノシル糖を意味する。ある特定の実施形態では、そのような修飾は、置換および非置換アルコキシ、置換および非置換チオアルキル、置換および非置換アミノアルキル、置換および非置換アルキル、置換および非置換アリル、ならびに置換および非置換アルキニルを含むが、これらに限定されないハロゲン化物から選択される置換基を含む。ある特定の実施形態では、2’修飾は、O[(CHO]CH、O(CHNH、O(CHCH、O(CHF、O(CHONH、OCHC(=O)N(H)CH、およびO(CHON[(CHCHを含むが、これらに限定されない置換基から選択され、式中、nおよびmは、1〜約10である。また、他の2’−置換基は、C−C12アルキル、置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アルカリル、アラルキル、O−アルカリルもしくはO−アラルキル、SH、SCH、OCN、Cl、Br、CN、F、CF、OCF、SOCH、SOCH、ONO、NO、N、NH、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルカリル、アミノアルキルアミノ、ポリアルキルアミノ、置換シリル、RNA切断基、レポーター基、インターカレーター、アンチセンス化合物の薬物動態特性を改善するための基または薬力学的特性を改善するための基、ならびに同様の特性を有する他の置換基から選択してもよい。ある特定の実施形態では、修飾ヌクレオシドは、2’−MOE側鎖を含む(Baker et al.,J.Biol.Chem.,1997,272,11944−12000)。そのような2’−MOE置換は、2’−O−メチル、O−プロピル、およびO−アミノプロピル等の非修飾ヌクレオシドおよび他の修飾ヌクレオシドと比較して、改善された結合親和性を有すると記載されている。また、2’−MOE置換基を有するオリゴヌクレオチドは、インビボ使用のための有望な特徴を有する、遺伝子発現のアンチセンス阻害物質であることも示されている(Martin,Helv.Chim.Acta,1995,78,486−504、Altmann et al.,Chimia,1996,50,168−176、Altmann et al.,Biochem.Soc.Trans.,1996,24,630−637、およびAltmann et al.,Nucleosides Nucleotides,1997,16,917−926)。
【0241】
本明細書で使用する際、「修飾テトラヒドロピランヌクレオシド」または「修飾THPヌクレオシド」とは、通常のヌクレオシド中のペントフラノシル残基の代わりに置換された6員テトラヒドロピラン「糖」(糖代用物)を有するヌクレオシドを意味する。修飾THPヌクレオシドには、当該技術分野でヘキシトール核酸(HNA)、アニトール(anitol)核酸(ANA)、マニトール(manitol)核酸(MNA)(Leumann,Bioorg.Med.Chem.,2002,10,841−854を参照されたい)、または以下に例示されるテトラヒドロピラン環系を有するフルオロHNA(F−HNA)と称されるものが挙げられるが、これらに限定されない。
【化15】
【0242】
ある特定の実施形態では、糖代用物は、式VII:
【化16】
を有するように選択され、
式中、式VIIの当該少なくとも1つのテトラヒドロピランヌクレオシド類似体のそれぞれに関して、独立して、
Bxは、複素環塩基部分であり、
およびTはそれぞれ、独立して、テトラヒドロピランヌクレオシド類似体をアンチセンス化合物に連結させるヌクレオシド間連結基であるか、あるいは、TおよびTの一方が、テトラヒドロピランヌクレオシド類似体をアンチセンス化合物に連結させるヌクレオシド間連結基であり、かつTおよびTの他方が、H、ヒドロキシル保護基、連結共役基、または5’もしくは3’末端基であり、
、q、q、q、q、q、およびqはそれぞれ、独立して、H、C−Cアルキル、置換C−Cアルキル、C−Cアルケニル、置換C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、または置換C−Cアルキニルであり、RおよびRのそれぞれは、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、置換もしくは非置換アルコキシ、NJ、SJ、N、OC(=X)J、OC(=X)NJ、NJC(=X)NJ、およびCNから選択され、式中、XはO、S、またはNJであり、各J、J、およびJは独立して、HまたはC−Cアルキルである。
【0243】
ある特定の実施形態では、式中、q、q、q、q、q、q、およびqが、それぞれHである、式VIIの修飾THPヌクレオシドを提供する。ある特定の実施形態では、q、q、q、q、q、q、およびqのうちの少なくとも1つは、H以外である。ある特定の実施形態では、q、q、q、q、q、q、およびqのうちの少なくとも1つは、メチルである。ある特定の実施形態では、式中、RおよびRのうちの1つがフルオロである、式VIIのTHPヌクレオシドを提供する。ある特定の実施形態では、Rがフルオロであり、RがHである、Rがメトキシであり、RがHである、およびRがメトキシエトキシであり、RがHである。
【0244】
ある特定の実施形態では、糖代用物は、5つを超える原子および1つを超えるヘテロ原子を有する環を含む。例えば、モルホリノ糖部分を含むヌクレオシドおよびオリゴマー化合物におけるその使用が報告されている(例えば、Braasch et al.,Biochemistry,2002,41,4503−4510、および米国特許第5,698,685号、同第5,166,315号、同第5,185,444号、および同第5,034,506号を参照されたい)。ここで使用される場合、「モルホリノ」という用語は、以下の式を有する糖代用物を意味する。
【化17】
【0245】
ある特定の実施形態では、モルホリノは、例えば、上記のモルホリノ構造に種々の置換基を付加するか、またはそこから変化させることによって修飾されてもよい。そのような糖代用物は、本明細書において、「修飾モルホリノ」と称される。
【0246】
また、限定するものではないが、2’−F−5’−メチル置換ヌクレオシド(他の開示されている5’,2’−ビス置換ヌクレオシドについては、2008年8月21日に公開されたPCT国際出願第WO 2008/101157号を参照されたい)ならびにリボシル環酸素原子のSでの置換および2’位でのさらなる置換(2005年6月16日に公開された公開米国特許出願第US2005−0130923号を参照されたい)、または代替として、二環式核酸の5’置換(4’−CH−O−2’二環式ヌクレオシドが、5’位において5’−メチルまたは5’−ビニル基でさらに置換される、2007年11月22日に公開されたPCT国際出願第WO 2007/134181号を参照されたい)等の、修飾の組み合わせが提供される。炭素環式二環式ヌクレオシドの合成および調製、ならびにそれらのオリゴマー化および生化学的研究についても記載されている(例えば、Srivastava et al.,J.Am.Chem.Soc.2007,129(26),8362−8379を参照されたい)。
【0247】
ある特定の実施形態では、アンチセンス化合物は、天然に生じるヌクレオシド中のペントフラノシル残基の代わりに6員シクロヘキセニルを有するヌクレオシドである、1つ以上の修飾シクロヘキセニルヌクレオシドを含む。修飾シクロヘキセニルヌクレオシドには、当該技術分野で記述されるものが挙げられるが、これらに限定されない(例えば、共同所有されている、2010年4月10日に公開された公開PCT出願第WO 2010/036696号、Robeyns et al.,J.Am.Chem.Soc.,2008,130(6),1979−1984、Horvath et al.,Tetrahedron Letters,2007,48,3621−3623、Nauwelaerts et al.,J.Am.Chem.Soc.,2007,129(30),9340−9348、Gu et al.,,Nucleosides,Nucleotides&Nucleic Acids,2005,24(5−7),993−998、Nauwelaerts et al.,Nucleic Acids Research,2005,33(8),2452−2463、Robeyns et al.,Acta Crystallographica,Section F:Structural Biology and Crystallization Communications,2005,F61(6),585−586、Gu et al.,Tetrahedron,2004,60(9),2111−2123、Gu et al.,Oligonucleotides,2003,13(6),479−489、Wang et al.,J.Org.Chem.,2003,68,4499−4505、Verbeure et al.,Nucleic Acids Research,2001,29(24),4941−4947、Wang et al.,J.Org.Chem.,2001,66,8478−82、Wang et al.,Nucleosides,Nucleotides&Nucleic Acids,2001,20(4−7),785−788、Wang et al.,J.Am.Chem.,2000,122,8595−8602、公開PCT出願第WO 06/047842号、および公開PCT出願第WO 01/049687号を参照されたく、それぞれの本文は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)。ある特定の修飾シクロヘキセニルヌクレオシドは、式Xを有する。
【化18】
式中、式Xの当該少なくとも1つのシクロヘキセニルヌクレオシド類似体について、独立して、
Bxは、複素環塩基部分であり、
およびTのそれぞれは、独立して、シクロヘキセニルヌクレオシド類似体をアンチセンス化合物に連結させるヌクレオシド間連結基であるか、または、TおよびTの一方が、テトラヒドロピランヌクレオシド類似体をアンチセンス化合物に連結させるヌクレオシド間連結基であり、かつTおよびTの他方が、H、ヒドロキシル保護基、連結共役基、または5’もしくは3’末端基であり、
、q、q、q、q、q、q、q、およびqのそれぞれは、独立して、H、C−Cアルキル、置換C−Cアルキル、C−Cアルケニル、置換C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、置換C−Cアルキニル、または他の糖置換基である。
【0248】
本明細書に使用される場合、「2’−修飾」または「2’−置換」とは、2’位にHまたはOH以外の置換基を含む糖を含むヌクレオシドを指す。2’−修飾ヌクレオシドには、糖環の2つの炭素原子を接続する架橋が、糖環の2’炭素と別の炭素とを接続する二環式ヌクレオシド、ならびにアリル、アミノ、アジド、チオ、O−アリル、O−C−C10アルキル、−OCF、O−(CH−O−CH、2’−O(CHSCH、O−(CH−O−N(R)(R)、またはO−CH−C(=O)−N(R)(R)等の非架橋2’置換基(式中、各RおよびRは、独立して、Hまたは置換もしくは非置換C−C10アルキルである)を有するヌクレオシドが挙げられるが、これらに限定されない。2’−修飾ヌクレオシドはさらに、例えば、糖の他の位置におけるおよび/または核酸塩基における、他の修飾を含んでもよい。
【0249】
本明細書に使用される場合、「2’−F」とは、糖環の2位にフルオロ基を含む糖を含むヌクレオシドを指す。
【0250】
本明細書に使用される場合、「2’−OMe」または「2’−OCH」または「2’−O−メチル」はそれぞれ、糖環の2’位に−OCH基を含む糖を含むヌクレオシドを指す。
【0251】
本明細書に使用される場合、「MOE」または「2’−MOE」または「2’−OCHCHOCH」または「2’−O−メトキシエチル」はそれぞれ、糖環の2’位に−OCHCHOCH基を含む糖を含むヌクレオシドを指す。
【0252】
本明細書で使用する際、「オリゴヌクレオチド」とは、複数の連結されたヌクレオシドを含む化合物を指す。ある特定の実施形態では、複数のヌクレオシドのうちの1つ以上が修飾されている。ある特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、1つ以上のリボヌクレオシド(RNA)および/またはデオキシリボヌクレオシド(DNA)を含む。
【0253】
アンチセンス化合物中に取り込むためのヌクレオシドを修飾するために使用できる、多くの他の二環式および三環式糖代用環系も当該技術分野で既知である(例えば、総説:Leumann,Bioorg.Med.Chem.,2002,10,841−854を参照されたい)。そのような環系に様々なさらなる置換を行い、活性を向上させてもよい。
【0254】
修飾糖の調製のための方法は、当業者に周知である。そのような修飾糖の調製を教示するいくつかの代表的な米国特許には、限定するものではないが、米国第4,981,957号、同第5,118,800号、同第5,319,080号、同第5,359,044号、同第5,393,878号、同第5,446,137号、同第5,466,786号、同第5,514,785号、同第5,519,134号、同第5,567,811号、同第5,576,427号、同第5,591,722号、同第5,597,909号、同第5,610,300号、同第5,627,053号、同第5,639,873号、同第5,646,265号、同第5,670,633号、同第5,700,920号、同第5,792,847号、および同第6,600,032号、ならびに2005年6月2日に出願され、2005年12月22日に第WO2005/121371号として公開された国際出願第PCT/US2005/019219号が挙げられ、またそれらのそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0255】
修飾糖部分を有するヌクレオチドにおいて、核酸塩基部分(天然、修飾、またはそれらの組み合わせ)は、適切な核酸標的とのハイブリダイゼーションのために維持される。
【0256】
ある特定の実施形態では、アンチセンス化合物は、修飾糖部分を有する1つ以上のヌクレオシドを含む。ある特定の実施形態では、修飾糖部分は、2’−MOEである。ある特定の実施形態では、2’−MOE修飾ヌクレオシドは、ギャップマーモチーフに配置される。ある特定の実施形態では、修飾糖部分は、(4’−CH(CH)−O−2’)架橋基を有する二環式ヌクレオシドである。ある特定の実施形態では、(4’−CH(CH)−O−2’)修飾ヌクレオシドは、ギャップマーモチーフのウィング全体に配置される。
【0257】
修飾核酸塩基
核酸塩基(もしくは塩基)修飾または置換は、天然に生じるか、または合成の非修飾核酸塩基と構造的には区別可能であるが、機能的にはそれらと交換可能である。天然および修飾核酸塩基の両方は、水素結合に関与することができる。そのような核酸塩基修飾は、ヌクレアーゼ安定性、結合親和性、またはいくつかの他の有益な生物学的特性をアンチセンス化合物に付与することができる。修飾核酸塩基は、例えば、5−メチルシトシン(5−me−C)等の合成および天然核酸塩基を含む。5−メチルシトシン置換を含むある特定の核酸塩基置換は、標的核酸に対するアンチセンス化合物の結合親和性を増加するために特に有用である。例えば、5−メチルシトシン置換は、核酸二重鎖安定性を0.6〜1.2°C増加させることを示している(Sanghvi,Y.S.,Crooke,S.T.and Lebleu,B.,eds.,Antisense Research and Applications,CRC Press,Boca Raton,1993,pp.276−278)。
【0258】
さらなる修飾核酸塩基には、5−ヒドロキシメチルシトシン、キサンチン、ヒポキサンチン、2−アミノアデニン、6−メチル、ならびにアデニンおよびグアニンの他のアルキル誘導体、2−プロピル、ならびにアデニンおよびグアニンの他のアルキル誘導体、2−チオウラシル、2−チオチミンおよび2−チオシトシン、5−ハロウラシルおよびシトシン、5−プロピニル(−C≡C−CH3)ウラシルおよびシトシン、ならびにピリミジン塩基の他のアルキニル誘導体、6−アゾウラシル、シトシンおよびチミン、5−ウラシル(偽ウラシル)、4−チオウラシル、8−ハロ、8−アミノ、8−チオール、8−チオアルキル、8−ヒドロキシル、ならびに他の8−置換アデニンおよびグアニン、5−ハロ、特に5−ブロモ、5−トリフルオロメチル、ならびに他の5−置換ウラシルおよびシトシン、7−メチルグアニンおよび7−メチルアデニン、2−F−アデニン、2−アミノ−アデニン、8−アザグアニンおよび8−アザアデニン、7−デアザグアニンおよび7−デアザアデニン、ならびに3−デアザグアニンおよび3−デアザアデニンが挙げられる。
【0259】
複素環塩基部分はまた、その中でプリンまたはピリミジン塩基が他の複素環で置き換えられるもの、例えば、7−デアザ−アデニン、7−デアザグアノシン、2−アミノピリジン、および2−ピリドンを含み得る。アンチセンス化合物の結合親和性を増加するために有用な核酸塩基には、5−置換ピリミジン、6−アザピリミジン、ならびに2−アミノプロピルアデニン、5−プロピニルウラシル、および5−プロピニルシトシンを含むN−2、N−6、およびO−6置換プリンを含む。
【0260】
ある特定の実施形態では、UBE3A−ATSを標的とするアンチセンス化合物は、1つ以上の修飾核酸塩基を含む。ある特定の実施形態では、UBE3A−ATSを標的とする短縮またはギャップ拡張アンチセンスオリゴヌクレオチドは、1つ以上の修飾核酸塩基を含む。ある特定の実施形態では、修飾核酸塩基は、5−メチルシトシンである。ある特定の実施形態では、各シトシンは、5−メチルシトシンである。
【0261】
共役アンチセンス化合物
アンチセンス化合物は、結果として生じるアンチセンスオリゴヌクレオチドの活性、細胞分布、または細胞取り込みを強化する1つ以上の部分または共役体と共有結合されてもよい。典型的な共役基としては、コレステロール部分および脂質部分が挙げられる。さらなる共役基としては、炭水化物、リン脂質、ビオチン、フェナジン、葉酸、フェナントリジン、アントラキノン、アクリジン、フルオレセイン、ローダミン、クマリン、および色素が挙げられる。
【0262】
アンチセンス化合物また、例えば、一般にアンチセンス化合物の一末端または両末端に結合される1つ以上の安定化基を有するように修飾して、ヌクレアーゼ安定性等の特性を向上させることができる。安定化基に含まれるのは、キャップ構造である。これらの末端修飾は、末端核酸を有するアンチセンス化合物をエクソヌクレアーゼ分解から保護し、送達および/または細胞内局在化を支援し得る。キャップは、5’−末端(5’−キャップ)または3’−末端(3’−キャップ)に存在してもよく、あるいは両末端に存在してもよい。キャップ構造は、当該技術分野において周知であり、例えば、逆位デオキシ脱塩基キャップが挙げられる。さらに、アンチセンス化合物の一端または両端をキャップしてヌクレアーゼ安定性を付与するために使用可能なさらなる3’および5’−安定化基としては、2003年1月16日公開の国際公開第03/004602号に開示されているものが挙げられる。
【0263】
ある特定の実施形態では、ssRNAとして使用するのに特に適しているものが含まれるが、これらに限定されないアンチセンス化合物は、1つ以上の共役基の付着によって修飾される。一般的に、共役基は、薬力学、薬物動態、安定性、結合、吸収、細胞分布、細胞取り込み、電荷、および排出を含むが、これらに限定されない付着されたオリゴヌクレオチドの1つ以上の特性を変更する。共役基は、当化学技術分野において日常的に用いられ、直接または任意の共役連結部分もしくは共役連結基を介して、オリゴヌクレオチド等の親化合物に連結される。共役基には、限定するものではないが、インターカレーター、レポーター分子、ポリアミン、ポリアミド、ポリエチレングリコール、チオエーテル、ポリエーテル、コレステロール、チオコレステロール、コール酸部分、葉酸塩、脂質、リン脂質、ビオチン、フェナジン、フェナントリジン、アントラキノン、アダマンタン、アクリジン、フルオレセイン、ローダミン、クマリン、および色素が挙げられる。ある特定の共役が、既に記載されている、例えば、コレステロール部分(Letsinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1989,86,6553−6556)、コール酸(Manoharan et al.,Bioorg.Med.Chem.Let.,1994,4,1053−1060)、チオエーテル、例えば、ヘキシル−S−トリチルチオール(Manoharan et al.,Ann.N.Y.Acad.Sci.,1992,660,306−309;Manoharan et al.,Bioorg.Med.Chem.Let.,1993,3,2765−2770)、チオコレステロール(Oberhauser et al.,Nucl.Acids Res.,1992,20,533−538)、脂肪族鎖、例えば、ド−デカン−ジオールもしくはウンデシル残基(Saison−Behmoaras et al.,EMBO J.,1991,10,1111−1118;Kabanov et al.,FEBS Lett.,1990,259,327−330;Svinarchuk et al.,Biochimie,1993,75,49−54)、リン脂質、例えば、ジ−ヘキサデシル−rac−グリセロールもしくはトリエチルアンモニウム1,2−ジ−O−ヘキサデシル−rac−グリセロ−3−H−ホスホネート(Manoharan et al.,Tetrahedron Lett.,1995,36,3651−3654;Shea et al.,Nucl.Acids Res.,1990,18,3777−3783)、ポリアミンもしくはポリエチレングリコール鎖(Manoharan et al.,Nucleosides&Nucleotides,1995,14,969−973)、またはアダマンタン酢酸(Manoharan et al.,Tetrahedron Lett.,1995,36,3651−3654)、パルミチル部分(Mishra et al.,Biochim.Biophys.Acta,1995,1264,229−237)、またはオクタデシルアミンもしくはヘキシルアミノ−カルボニル−オキシコレステロール部分(Crooke et al.,J.Pharmacol.Exp.Ther.,1996,277,923−937)。
【0264】
ssRNAに有用なものを含むさらなる共役およびアンチセンス化合物内でのそれらの置換に関しては、例えば、米国出願第61/583,963号を参照されたい。
【0265】
アンチセンスオリゴヌクレオチドのインビトロ試験
アンチセンスオリゴヌクレオチドで細胞を処理するための方法が本明細書に記載され、これは他のアンチセンス化合物での処理のために適切に修正することができる。
【0266】
細胞が培養内でおよそ60〜80%の集密度に達したときに、細胞をアンチセンスオリゴヌクレオチドで処理してもよい。
【0267】
アンチセンスオリゴヌクレオチドを培養細胞に導入するために一般に使用される1つの試薬には、カチオン性脂質トランスフェクション試薬LIPOFECTIN(Invitrogen,Carlsbad,CA)が挙げられる。アンチセンスオリゴヌクレオチドをOPTI−MEM1(Invitrogen,Carlsbad,CA)中のLIPOFECTINと混合して、アンチセンスオリゴヌクレオチドの所望の最終濃度と、アンチセンスオリゴヌクレオチド100nM当たり2〜12μg/mLの範囲であり得るLIPOFECTIN濃度を達成することができる。
【0268】
アンチセンスオリゴヌクレオチドを培養細胞に導入するために使用される別の試薬には、LIPOFECTAMINE(Invitrogen,Carlsbad,CA)が挙げられる。アンチセンスオリゴヌクレオチドをOPTI−MEM1低濃度血清培地(Invitrogen,Carlsbad,CA)中のLIPOFECTAMINEと混合して、アンチセンスオリゴヌクレオチドの所望の濃度と、アンチセンスオリゴヌクレオチド100nM当たり2〜12μg/mLの範囲であり得るLIPOFECTAMINE濃度を達成する。
【0269】
アンチセンスオリゴヌクレオチドを培養細胞へ導入するために使用される別の技法としては、エレクトロポレーションが挙げられる。
【0270】
アンチセンスオリゴヌクレオチドを培養細胞へ導入するために使用されるさらに別の技法としては、細胞によるオリゴヌクレオチドの遊離取り込み(free uptake)が挙げられる。
【0271】
常法によって、細胞をアンチセンスオリゴヌクレオチドで処理する。アンチセンスオリゴヌクレオチド処理後16〜24時間で細胞を採取し、この時点で、当該技術分野において既知であり、本明細書に記載の方法によって、標的核酸のRNAまたはタンパク質レベルを測定する。一般に、処理を複数回実施するとき、データは、その反復処理の平均として提示する。
【0272】
使用するアンチセンスオリゴヌクレオチドの濃度は、細胞株間で異なる。特定の細胞株に最適なアンチセンスオリゴヌクレオチド濃度を決定する方法は、当該技術分野において周知である。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、典型的には、LIPOFECTAMINEでトランスフェクトする場合、1nM〜300nMの範囲の濃度で使用される。エレクトロポレーションを用いてトランスフェクトする場合には、625〜20,000nMの範囲のより高い濃度でアンチセンスオリゴヌクレオチドを使用する。
【0273】
RNA単離
RNA分析は、総細胞RNAまたはポリ(A)+mRNAに対して行われ得る。RNA単離の方法は、当該技術分野で周知である。当該技術分野で周知の方法を用いて、例えば、製造業者の推奨するプロトコルに従ってTRIZOL試薬(Invitrogen,Carlsbad,CA)を用いてRNAを調製する。
【実施例】
【0274】
非限定的な開示および参照による組み込み
本明細書に記載のある特定の化合物、組成物、および方法が、ある特定の実施形態による特異性をもって記載されているが、以下の実施例は、本明細書に記載の化合物を例示するためにのみ提供され、それを制限するとは意図されない。本出願に列挙される参照のそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0275】
実施例1:一次神経細胞におけるユビキチンタンパク質リガーゼE3A(Ube3a−ATS)のアンチセンス配列のアンチセンス阻害
MBII−52 snoRNAのすぐ下流のマウス配列から配列番号1のヌクレオチド997469〜1110944として本明細書に記載のUbe3aアンチセンス配列の開始までを標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドを設計し、インビトロでのUbe3aの父方由来の対立遺伝子の発現の上方制御へのその効果を試験した。
【0276】
表1の新しく設計されたキメラアンチセンスオリゴヌクレオチドは、5−10−5MOEギャップマーとして設計された。ギャップマーは20ヌクレオシド長であり、中心のギャップセグメントは、10個の2’−デオキシヌクレオシドを有し、それぞれ5個のヌクレオシドを含む5’方向および3’方向のウィングセグメントと隣接する。5’ウィングセグメント中の各ヌクレオシドおよび3’ウィングセグメント中の各ヌクレオシドは、2’−MOE修飾を有する。各ギャップマー全体のヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエート(P=S)結合である。各ギャップマー全体のすべてのシトシン残基は、5−メチルシトシンである。
【0277】
Ube3a−YFP雄マウスと交雑させたC57BL/6雌マウスから生じたP0−P2 Ube3a+/YFPから海馬および皮質ニューロンの一次培養物を得た(Dindot,S.V.et al.,Hum.Mol.Genet.Genet.2008.17:111−118)。刻んだ皮質半球を0.25%トリプシンで消化し、機械的に分離した。Neurobasal Medium(Invitrogen,Carlsbad,CA)中でニューロンを培養し、ポリ−D−リジン(Sigma−Aldrich,St Louis,MO)でコーティングしたプレート上でB27(Invitrogen)を補充した。培地の半分を4日目に変え、さらに培養物を37℃、5%CO中でさらに3日間維持した。細胞培養物のセットを、15μMの最終濃度で、グリア増殖を阻害するためのAra−Cの存在下で、遊離取り込みによってアンチセンスオリゴヌクレオチドで処理した。PBSで処理した1組の細胞を未処置対照として使用した。
【0278】
アンチセンスオリゴヌクレオチド処理の3日後、4%パラホルムアルデヒドで1時間細胞を固定した。次いで、細胞をPBSで3回洗浄し、5%ヤギ血清(Sigma−Aldrich,St Louis,MO)を用いて室温で1時間ブロッキングした。加湿されたチャンバ内で、4℃で一晩穏やかに撹拌しながら、1:2,500希釈の抗GFP(NB600−308,Novus Biologicals,Littleton,Co)および1:500希釈の抗NeuN(MAB377,Millipore,Billerica,MA)を用いて細胞を共染色した。0.5%Tween−20を含むPBS中で3回洗浄した後、ともに1:1000希釈である、Alexa Fluor 488に結合された二次ヤギ抗ウサギ抗体またはAlexa Fluor 555(Invitrogen,Calrsbad,CA)に結合されたヤギ抗マウス抗体を用いて細胞を染色した。洗浄後、20倍対物レンズを有するImageXpressUltra共焦点システム(Molecular Device)によって、プレートをTexas RedおよびFITCチャネルを用いて撮像した。試料中の蛍光飽和を避けるために、レーザー出力を各プレートに対して手動で設定した。各ウェルから9個の画像を取得した。次いで、それらのTexas Red陽性細胞におけるFITC強度を定量化するために、画像をMetaXpressソフトウェア(Molecular Device)で加工した。典型的には、1ウェル当たり200〜800個の細胞を点数化し、シグナル強度を平均化し、トランスフェクトされていない対照細胞に対して正規化した。
【0279】
蛍光で定量化されるように、配列番号1のヌクレオチド1032967〜1110944において)Ube3aのプレmRNAに対してアンチセンスである領域内で特有の部位を標的とする43個のアンチセンスオリゴヌクレオチドを、Ube3aタンパク質の発現の誘発へのそれらの効果に関して試験した。これらのASOによる処理後のタンパク質の平均の誘発は、未処置対照を18%上回った。また、表中で「ホットスポット」と名付けられる、MBII−52 snoRNAのすぐ下流およびUbe3aのプレmRNAに対してアンチセンスである領域の上流(配列番号1のヌクレオチド997469〜1032966)のヌクレオチド領域内で特有の部位を標的とする100および76個のオリゴヌクレオチドを、Ube3a−YFPタンパク質の発現の誘発へのそれらの効果に関して試験した。これらのASOによる処理後のタンパク質の平均の誘発は、未処置対照を83%上回った。アンチセンスオリゴヌクレオチドの完全なスクリーニングの結果を表1〜3に提示し、各表は利用された各スクリーニングプレートを表す。「誘発%」は、未処置対照に対するタンパク質の誘発割合として示される。「標的開始部位」は、配列番号1上のギャップマーが標的化される最も5’側のヌクレオチドを示す。「標的停止部位」は、配列番号1上のギャップマーが標的化される最も3’側のヌクレオチドを示す。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【表2-4】
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【表3-4】
【表3-5】
【表3-6】
【表3-7】
【表3-8】
【0280】
実施例2:一次神経細胞におけるユビキチンタンパク質リガーゼE3A(Ube3a−ATS)のアンチセンス配列のアンチセンス阻害
上記の研究から選択されたアンチセンスオリゴヌクレオチドを、インビトロでのUbe3a−ATS mRNAの発現の阻害へのそれらの効果に関して試験した。
【0281】
上記のように、Ube3a−YFP父方+/−マウスからの一次ニューロン培養物を調製した。500μLの培養培地中で、2.5x10細胞/cmの密度でポリ−D−リジンコーティングの24ウェルプレート上に細胞を播種した。4日目に、400μLの培地をウェルのセットから除去し、100μLの新しい培地を10μMのアンチセンスオリゴヌクレオチドおよび2μMのAra−Cとともに添加した。PBSで処理した1組の細胞を未処置対照として使用した。7日目に、セットをPBSで2回洗浄し、RNA単離を行った。
【0282】
総RNAをmiRNAeasy Mini Kit(Qiagen,Valencia,CA)を用いて調製した。オンカラムDNase処理を試料のすべてに対して実施した。製造業者の指示に従って、Illumina mRNA−seq Sample Preparation Kit(Illumina,San Diego,CA)に供給されるオリゴ(dT)ビーズを用いて、総RNAからmRNAを精製した。次いで、SuperScript III First−Strand Synthesis System(Invitrogen)を用いてcDNAを生成し、q−PCRは、Applied Biosystems StepOnePlus Real−Time PCR SystemおよびSYBR Green Master Mix(Applied Biosystems,Carlsbad,CA)を使用して実施した。
【0283】
未処置対照の割合(%)として表した結果を表4に提示する。データは、本発明者らが特定したホットスポット領域を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドでの処理が、Ube3a−YFP−ATS mRNA転写の顕著な阻害をもたらし、対応して父方由来のUbe3a−YFP転写の発現を誘発することを示す。
【表4】
【0284】
実施例3:一次神経細胞におけるUbe3a−ATSの用量依存性アンチセンス阻害および父方由来のUbe3aの上方制御
上記の研究から選択されたアンチセンスオリゴヌクレオチドを、インビトロでのUbe3a−ATS mRNAの発現の阻害および父方由来のUBE3aの発現の上方制御へのそれらの効果に関して試験した。ホットスポット領域付近のsnoRNA遺伝子およびプラダーウィリー症候群に関与するとして示されているそれらの一部(Sahoo,T.et al.,Nat.Genet.2008.40:719−21;Tsai,T.et al.,Hum.Mol.Genet.1999.8:1357−64)への効果もまた評価した。
【0285】
上記のようにUbe3a−YFP父方+/−マウスから一次ニューロン培養物を調製し、39nM、156nM、625nM、2,500nM、または10,000nMの濃度のアンチセンスオリゴヌクレオチドをトランスフェクトした。細胞を、トポイソメラーゼ阻害剤であるTopotecanで、1.17nM、4.69nM、18.75nM、75.00nM、または300.00nMの濃度で別々に処理した。総RNAをRNeasy 96 Kit(Qiagen)を用いて調製した。オンカラムDNase処理を試料のすべてに対して実施した。qRT−PCRは、One−Step SuperScript qRT−PCR Kit(Qiagen)およびEXPRESS One−Step SYBR GreenER Kit(Qiagen)を使用して実施した。
【0286】
未処置対照の割合(%)として表した結果を表5および6に提示する。データは、本発明者らが特定したホットスポット領域を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドでの処理が、Ube3a−YFP−ATS転写の顕著な阻害をもたらし、対応して父方由来のUbe3a−YFP転写の発現を誘発したことを示す。Topotecanでの処理もまた、予想通り、Ube3a−YFP−ATS転写レベルを阻害し、Ube3a−YFP mRNAの発現を誘発した。ISISアンチセンスオリゴヌクレオチドのいくつかは、Ube3a−YFP−ATSを阻害し、Ube3a−YFP mRNAレベルを上方制御した。
【0287】
また、蛍光で定量化されるように、実施例1に記載の方法を使用してUbe3a−YFPタンパク質の誘発に関しても細胞を評価した。結果は表7に提示され、本発明者らが特定したホットスポット領域を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドでの処理が、増加したYFP蛍光によって示されるように、Ube3a−YFPタンパク質レベルの増加をもたらしたことを実証する。Topotecanでの処理もまた、予想通り、Ube3a−YFPタンパク質レベルの発現を誘発した。MBII−85およびMBII−52 snoRNA、ならびにSnrpnの発現レベルもまた評価した。その結果を表8〜10に提示する。データは、ホットスポット領域を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドでの処理が、これらsnoRNA遺伝子の最小の減少をもたらし、その減少はプラダーウィリー症候群に関連する。一方、Topotecanでの処理は、snoRNA遺伝子MBII−52のレベルおよびSnrpnレベルを減少させた。
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【0288】
実施例4:一次神経細胞における父方由来のUbe3a転写物の上方制御への、ホットスポット領域を標的とするASOおよびUbe3aのプレmRNAに対してアンチセンスである領域内を標的とするASOの効果の比較
父方由来のUbe3a遺伝子転写物の上方制御をもたらすアンチセンスオリゴヌクレオチドでの標的化に対する最適な領域を評価するために、ホットスポット領域を標的とするASOを用いた処理およびUbe3aのプレmRNAに対してアンチセンスである領域内を標的とするASOを用いた処理を評価した。
【0289】
上記のようにUbe3a−YFP父方+/−マウスから一次ニューロン培養物を調製し、15μM濃度のアンチセンスオリゴヌクレオチドをトランスフェクトした。総RNAをRNeasy 96 Kit(Qiagen)を用いて調製した。オンカラムDNase処理を試料のすべてに対して実施した。qRT−PCRは、One−Step SuperScript qRT−PCR Kit(Qiagen)およびEXPRESS One−Step SYBR GreenER Kit(Qiagen)を使用して実施した。未処置対照の割合(%)として表した結果を表10に提示する。
【0290】
データは、両方の領域を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドを用いた治療が、Ube3a−YFP−ATS mRNA転写の顕著な阻害をもたらしたことを示す。しかしながら、ホットスポット領域を標的とするASOを用いた処理は、Ube3aのプレmRNAに対してアンチセンスである領域内を標的とするASOを用いた処理と比較して、父方由来のUbe3a−YFP転写発現の顕著に高い上方制御をもたらした。
【表11-1】
【表11-2】
【0291】
実施例5:インビボでのUbe3a−ATSのアンチセンス配列のアンチセンス阻害
上記のインビトロスクリーニング研究から選択されるアンチセンスオリゴヌクレオチドを、野生型C57BL6マウスにおけるインビボ有効性について選別した。
【0292】
マウスにおける300μgの脳室内ボーラス注入によってアンチセンスオリゴヌクレオチド投与を達成した。そのマウスを投与の4週間後に安楽死させ、皮質、海馬、および脊髄からの切片を使用してUbe3a−ATS mRNA下方制御のレベルを評価した。実施例4に記載したようにRNA単離およびqRT−PCRを実施した。また、MBII−85、MBII−52、およびSnrpnの発現も評価した。
【0293】
ハウスキーピング遺伝子であるGAPDHに正規化されたデータを表12〜15に提示する。結果は、本発明者らが特定したホットスポット領域を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドを用いた処置が、Ube3a−ATS mRNA転写の阻害をもたらしたことを示す。さらに、Ube3a−ATSのノックダウンに続いて、MBII−85、MBII−52、およびSnrpn発現が維持された。
【表12】
【表13】
【表14】
【表15】
【0294】
実施例6:Ube3a−YFPマウスにおけるUbe3a−ATSのアンチセンス阻害
上記の研究から選択されたアンチセンスオリゴヌクレオチドを、Ube3a−YFPマウスモデルにおけるインビボでの有効性および忍容性について選別した(Dindot,S.V.et al.,Hum.Mol.Genet.2008.17:111−118)。
【0295】
ISIS 592401またはISIS 592489の300μgの脳室内ボーラス注入によって、マウスにアンチセンスオリゴヌクレオチドを投与した。投与の4週間後にマウスを安楽死させた。皮質、海馬、および脊髄におけるUbe3a−YFP−ATS mRNAおよびUbe3a−YFP mRNAのレベルを評価した。先に記載したようにアッセイを実施した(Meng,L.et al.,Hum.Mol.Genet.2012.doi:10.1093/hmg/dds1)。
【0296】
当該の様々な脳の部分からRNAを単離し、qRT−PCRによって分析した。GAPDHに対して正規化された結果を表16および17に提示する。データは、ASO投与が、脳および脊髄においてUbe3a−YFP−ATS転写のおよそ50〜65%のノックダウンをもたらしたことを示す。対応して、ASOで処置されたマウスにおいてUbe3a−YFP mRNAが1.5〜2倍近く増加した。図1に示されるように、抗YFP抗体を使用してウエスタンブロット分析を実施し、ASOを用いた処置が父方由来のUbe3aタンパク質発現を増加させたことを裏付けた。
【0297】
また、MBII−85、MBII−52、およびSnrpnの発現も評価した。表18〜20に提示されるように、Ube3a−YFP−ATSのノックダウンに続いて、MBII−85、MBII−52、およびSnrpn発現が維持された。また、CNS毒性の尺度としてミクログリアマーカーAIF1のレベルも評価した。表21に提示されるように、Aif1レベルにおいて、無視できるほどのわずかな増加が存在し、ASO治療が神経学的に耐容可能であることを示す。
【表16】
【表17】
【表18】
【表19】
【表20】
【表21】
【0298】
実施例7:Ube3a−YFPマウスにおけるUbe3a−ATSのアンチセンス阻害
上記の研究から選択されたアンチセンスオリゴヌクレオチドを、Ube3a−YFPマウスモデルにおけるインビボでの有効性および忍容性について選別した(Dindot,S.V.et al.,Hum.Mol.Genet.Genet.2008.17:111−118)。
【0299】
ISIS 592401の500μgの脳室内ボーラス注入によって、マウスにアンチセンスオリゴヌクレオチドを投与した。投与の4週間後にマウスを安楽死させた。皮質、海馬、および脊髄におけるUbe3a−YFP−ATS mRNA、Ube3a−YFP mRNA、およびUbe3aタンパク質のレベルを評価した。先に記載したようにアッセイを実施した(Meng,L.et al.,Hum.Mol.Genet.2012.doi:10.1093/hmg/dds1)。
【0300】
当該の様々な脳の部分からRNAを単離し、qRT−PCRによって分析した。GAPDHに対して正規化された結果を表22および23に提示する。データは、ASO投与が、脳および脊髄においてUbe3a−YFP−ATS転写のおよそ65〜85%のノックダウンをもたらしたことを示す。対応して、ASOで治療されたマウスにおいてUbe3a−YFP mRNAが2.5〜4.5倍近く増加した。図2に示されるように、抗YFP抗体を使用してウエスタンブロット分析を実施し、ASOを用いた治療が父方由来のUbe3aタンパク質発現を増加させたことを裏付けた。
【0301】
また、MBII−85、MBII−52、およびSnrpnの発現も評価した。表24〜26に提示されるように、Ube3a−YFP−ATSのノックダウンに続いて、MBII−85、MBII−52、およびSnrpn発現は最小限に影響を受けた。また、CNS毒性の尺度としてミクログリアマーカーAIF1のレベルも評価した。表27に提示されるように、Aif1レベルにおいて無視できるほどのわずかな増加が存在し、ASO治療が神経学的に耐容可能であることを示す。
【表22】
【表23】
【表24】
【表25】
【表26】
【表27】
【0302】
実施例8:母方由来のUbe3aの欠乏を有するマウスにおけるUbe3a−ATSのアンチセンス阻害
上記の研究から選択されたアンチセンスオリゴヌクレオチドを、Jiang,Y.et al.,Neuron.1998.21:799−811に記載のアンジェルマン症候群の遺伝的マウスにおけるインビボ有効性について選別する。マウスは、母方由来のUbe3a対立遺伝子におけるヌル突然変異を有する。標的化ベクターは、母方由来のUbe3a対立遺伝子のエクソン2(GENBANK受託番号U82122における299bp;3−302bp)を含む3kbゲノムDNA断片を置き換え、それにより、最もN側のアミノ酸の100個を欠失させ、リーディングフレームを移動させ、母方由来のUbe3aのすべての推定アイソフォームを不活性化させる。マウスは、正常な神経解剖学を有するが、ヒトアンジェルマン症候群に類似した状況依存的な学習長期増強(LTP)の欠乏、運動機能障害、および誘導性痙攣発作を示す。
【0303】
10μg〜1mg最終濃度の用量範囲で、脳室内ボーラス注入によって本明細書に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドをマウスに投与する。マウスを安楽死させ、海馬または全脳切片を使用してUbe3a−ATS mRNA下方制御、ならびにUbe3aタンパク質誘発のレベルを評価する。
【0304】
表現型欠陥の治療または寛解のための種々の表現型および行動アッセイによって、ASOで処置したマウスを評価する。Miller,B.H.et al.,PloS One.2010.5:e14458に記載のオープンフィールドアッセイを行い、ASO投与によって低活動性表現型が治療されたかどうかを分析する。Njung’e,K.and Handley,S.L.Pharmacol.Biochem.Behav.1991.38:63−67に記載のビー玉埋めアッセイ(marble burying assay)を行い、ASO投与によってマウスにおける不安が治療されたかどうかを分析する。Chen,M.and Xu,R.BMC Neurosci.2011.12:1に記載のロータロッドアッセイおよびダボ試験を行い、ASO投与によるマウスの平衡および運動機能における改善を分析する。
【0305】
足跡分析を使用してASOで処置したマウスの運動機能を試験する。マウスの後足を赤の耐水性インクに浸け、マウスを暗いトンネルの開口端に置く。Clark,H.B.et al.,J.Neurosci.1997.17:7385−7395に記載のように、ステップの長さ、ステップの幅、および左右交互の係数を計算する。
【0306】
ステンレス鋼ケージを横断してプラスチックのペンで引っ掻き、痙攣発作が生じるまで、または最大45秒間、可能な限り迅速および強力に不快感を与えることを含むアッセイによって、ASOで処置したマウスを痙攣発作の減少に関して試験する。各動物は、5〜10週齢の間に一度試験される。Cattanach,B.M.et al.,Mamm.Genome 1997.8:472−478に記載のようにEEG記録が実施される。
【0307】
そこを通してスクランブルフットショックが与えられるステンレス鋼格子床を有する標準試験チャンバを使用する恐怖条件づけアッセイを用いて、ASOで治療したマウスを状況依存的な学習の改善に関して試験する。竦みを評価し、1(竦んでいる姿勢)または0(竦んでいない姿勢)のいずれかで点数化する。1分間隔にわたって点数を平均化し、パーセンテージに変換する。
ある態様において、本発明は以下であってもよい。
[態様1]細胞内で父方由来のUBE3Aの発現を誘発する方法であって、前記細胞をUBE3A−ATSを標的とするアンチセンス化合物と接触させることを含む、方法。
[態様2]UBE3A−ATSが、配列番号1と少なくとも85%同一である核酸配列を含む、態様1に記載の方法。
[態様3]UBE3A−ATSが、配列番号2と少なくとも85%同一である核酸配列を含む、態様1に記載の方法。
[態様4]細胞内で父方由来のUBE3Aの発現を誘発する方法であって、前記細胞を、UBE3AのプレmRNAの少なくとも3’末端に相補的なUBE3A−ATSの領域から上流のUBE3A−ATSの領域を標的とするアンチセンス化合物と接触させることを含む、方法。
[態様5]UBE3A−ATSが、配列番号1と少なくとも85%同一である核酸配列を含む、態様4に記載の方法。
[態様6]UBE3AのプレmRNAの少なくとも3’末端に相補的な前記領域が、配列番号1の核酸塩基1032967で始まる、態様5に記載の方法。
[態様7]UBE3A−ATSが、配列番号2と少なくとも85%同一である核酸配列を含む、態様4に記載の方法。
[態様8]UBE3AのプレmRNAの少なくとも3’末端に相補的な前記領域が、配列番号2の核酸塩基513603で始まる、態様7に記載の方法。
[態様9]細胞内で父方由来のUBE3Aの発現を誘発する方法であって、前記細胞を、UBE3A−ATSの第1の領域を標的とするアンチセンス化合物と接触させることを含み、前記第1の領域は、UBE3AのプレmRNAの少なくとも3’末端に相補的な(a)上流領域および(b)下流領域と隣接する、方法。
[態様10]前記上流領域が、少なくとも1つの核小体低分子RNA(snoRNA)の配列を含む、態様9に記載の方法。
[態様11]前記snoRNAが、HBII−52またはMBII−52である、態様10に記載の方法。
[態様12]UBE3A−ATSが、配列番号1と少なくとも85%同一である核酸配列を含み、前記UBE3A−ATSの第1の領域が、配列番号1の核酸塩基997469〜1032966と少なくとも85%同一である核酸塩基から成る、態様9〜11のいずれか1に記載の方法。
[態様13]前記UBE3AのプレmRNAが、配列番号5と少なくとも85%同一である核酸配列を含む、態様12に記載の方法。
[態様14]UBE3A−ATSが、配列番号2と少なくとも85%同一である核酸配列を含み、前記UBE3A−ATSの第1の領域が、配列番号2の核酸塩基446213から513602と少なくとも85%同一である核酸塩基から成る、態様9〜11のいずれか1に記載の方法。
[態様15]前記UBE3AのプレmRNAが、配列番号6と少なくとも85%同一である核酸配列を含む、態様14に記載の方法。
[態様16]細胞内で父方由来のUBE3Aの発現を誘発する方法であって、前記細胞を、前記UBE3AのプレmRNAと相補的な領域の開始から上流の35498核酸塩基内で、UBE3A−ATSを標的とするアンチセンス化合物と接触させることを含み、UBE3A−ATSが、配列番号1の配列と少なくとも85%同一である核酸配列を含む、方法。
[態様17]前記UBE3AのプレmRNAと相補的な前記領域が、配列番号1の核酸塩基1032967〜1110944から成る、態様16に記載の方法。
[態様18]細胞内で父方由来のUBE3Aの発現を誘発する方法であって、前記細胞を、前記UBE3AのプレmRNAと相補的な領域の開始から上流の67390核酸塩基内で、UBE3A−ATSを標的とするアンチセンス化合物と接触させることを含み、UBE3A−ATSが、配列番号2の配列と少なくとも85%同一である核酸配列を含む、方法。
[態様19]前記UBE3AのプレmRNAと相補的な前記領域が、配列番号2の核酸塩基513603〜615382から成る、態様18に記載の方法。
[態様20]前記細胞を前記アンチセンス化合物と接触させることが、前記細胞内のUBE3A−ATSのレベルを低下させる、態様1〜19のいずれか1に記載の方法。
[態様21]前記細胞を前記アンチセンス化合物と接触させることが、前記細胞内の父方由来のUBE3Aタンパク質の発現を誘発する、態様1〜20のいずれか1に記載の方法。
[態様22]前記細胞が、培養細胞である、態様1〜21のいずれか1に記載の方法。
[態様23]前記細胞が、動物である、態様22に記載の方法。
[態様24]動物において父方由来のUBE3Aの発現を誘発する方法であって、前記動物にUBE3A−ATSを標的とするアンチセンス化合物を投与することを含む、方法。
[態様25]UBE3A−ATSが、配列番号1と少なくとも85%同一である核酸配列を含む、態様24に記載の方法。
[態様26]UBE3A−ATSが、配列番号2と少なくとも85%同一である核酸配列を含む、態様24に記載の方法。
[態様27]動物において父方由来のUBE3Aの発現を誘発する方法であって、前記動物にUBE3AのプレmRNAの少なくとも3’末端に相補的なUBE3A−ATSの領域から上流のUBE3A−ATSの領域を標的とするアンチセンス化合物を投与することを含む、方法。
[態様28]UBE3A−ATSが、配列番号1と少なくとも85%同一である核酸配列を含む、態様27に記載の方法。
[態様29]前記UBE3AのプレmRNAと相補的な前記領域が、配列番号1の核酸塩基1032967で開始する、態様28に記載の方法。
[態様30]UBE3A−ATSが、配列番号2と少なくとも85%同一である核酸配列を含む、態様28に記載の方法。
[態様31]前記UBE3AのプレmRNAと相補的な前記領域が、配列番号2の核酸塩基513603で開始する、態様30に記載の方法。
[態様32]動物において父方由来のUBE3Aの発現を誘発する方法であって、前記動物にUBE3A−ATSの第1の領域を標的とするアンチセンス化合物を投与することを含み、前記第1の領域は、UBE3AのプレmRNAと相補的な(a)上流領域および(b)下流領域と隣接する、方法。
[態様33]前記上流領域が、少なくとも1つの核小体低分子RNA(snoRNA)の配列を含む、態様32に記載の方法。
[態様34]前記snoRNAが、HBII−52またはMBII−52である、態様33に記載の方法。
[態様35]UBE3A−ATSが、配列番号1と少なくとも85%同一である核酸配列を含み、前記UBE3A−ATSの第1の領域が、配列番号1の核酸塩基997469〜1032966と少なくとも85%同一である核酸塩基から成る、態様32〜34のいずれか1に記載の方法。
[態様36]前記UBE3AのプレmRNAが、配列番号5と少なくとも85%同一である核酸配列を含む、態様35に記載の方法。
[態様37]UBE3A−ATSが、配列番号2と少なくとも85%同一である核酸配列を含み、前記UBE3A−ATSの第1の領域が、配列番号2の核酸塩基446213から513602と少なくとも85%同一である核酸塩基から成る、態様32〜34のいずれか1に記載の方法。
[態様38]前記UBE3AのプレmRNAが、配列番号6と少なくとも85%同一である核酸配列を含む、態様37に記載の方法。
[態様39]動物において父方由来のUBE3Aの発現を誘発する方法であって、前記動物に、前記UBE3AのプレmRNAと相補的な領域の開始から上流の35498核酸塩基内でUBE3A−ATSを標的とするアンチセンス化合物を投与することを含み、UBE3A−ATSが、配列番号1の配列と少なくとも85%同一である核酸配列を含む、方法。
[態様40]前記UBE3AのプレmRNAと相補的な前記領域が、配列番号1の核酸塩基1032967〜1110944から成る、態様39に記載の方法。
[態様41]動物において父方由来のUBE3Aの発現を誘発する方法であって、前記動物に、前記UBE3AのプレmRNAと相補的な領域の開始から上流の67390核酸塩基内でUBE3A−ATSを標的とするアンチセンス化合物を投与することを含み、UBE3A−ATSが、配列番号2の配列と少なくとも85%同一である核酸配列を含む、方法。
[態様42]前記UBE3AのプレmRNAと相補的な前記領域が、配列番号2の核酸塩基513603〜615382から成る、態様41に記載の方法。
[態様43]前記アンチセンス化合物が、12〜30個連結されたヌクレオシドから成るオリゴヌクレオチドを含み、前記オリゴヌクレオチドが、UBE3A−ATS核酸配列に少なくとも85%相補的である、態様1〜42のいずれか1に記載の方法。
[態様44]前記オリゴヌクレオチドが、その全長にわたって、UBE3A−ATS核酸配列の等長領域に、少なくとも90%相補的である、態様43に記載の方法。
[態様45]前記オリゴヌクレオチドが、その全長にわたって、UBE3A−ATS核酸配列の等長領域と、少なくとも95%相補的である、態様43に記載の方法。
[態様46]前記オリゴヌクレオチドが、その全長にわたって、UBE3A−ATS核酸配列の等長領域と、100%相補的である、態様43に記載の方法。
[態様47]前記アンチセンス化合物またはオリゴヌクレオチドが、一本鎖オリゴヌクレオチドである、態様1〜46のいずれか1に記載の方法。
[態様48]前記オリゴヌクレオチドが、修飾オリゴヌクレオチドである、態様43〜47のいずれか1に記載の方法。
[態様49]前記修飾オリゴヌクレオチドが、少なくとも1つの修飾ヌクレオシド間結合を含む、態様48に記載の方法。
[態様50]前記修飾ヌクレオシド間結合が、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合である、態様49に記載の方法。
[態様51]少なくとも1つのヌクレオシドが、修飾糖を含む、態様48〜50のいずれか1に記載の方法。
[態様52]前記修飾糖が、前記糖の4’と2’位の間に架橋を含む二環式糖である、態様51に記載の方法。
[態様53]前記架橋が、4’−CH(CH)−O−2’、4’−CH−2’、4’−(CH−2’、4’−CH−O−2’、4’−(CH−O−2’、4’−CH−O−N(R)−2’、および4’−CH2−N(R)−O−2’−から選択され、式中、各R1は独立して、H、保護基、またはC1〜C12アルキルである、態様52に記載の方法。
[態様54]前記架橋が、4’−CH(CH)−O−2’である、態様53に記載の方法。
[態様55]前記架橋が、4’−CH−O−2’および4’−(CH−O−2’から選択される、態様53に記載の方法。
[態様56]前記修飾糖が、2’−O−メトキシエチル基を含む、態様51に記載の方法。
[態様57]少なくとも1つのヌクレオシドが、修飾核酸塩基を含む、態様48〜56のいずれか1に記載の方法。
[態様58]前記修飾核酸塩基が、5−メチルシトシンである、態様57に記載の方法。
[態様59]前記アンチセンス化合物または修飾オリゴヌクレオチドが、少なくとも20%の父方由来のUBE3Aの発現を誘発する、態様1〜58のいずれか1に記載の方法。
[態様60]前記アンチセンス化合物または修飾オリゴヌクレオチドが、少なくとも30%の父方由来のUBE3Aの発現を誘発する、態様1〜58のいずれか1に記載の方法。
[態様61]前記アンチセンス化合物または修飾オリゴヌクレオチドが、少なくとも40%の父方由来のUBE3Aの発現を誘発する、態様1〜58のいずれか1に記載の方法。
[態様62]前記アンチセンス化合物または修飾オリゴヌクレオチドが、少なくとも50%の父方由来のUBE3Aの発現を誘発する、態様1〜58のいずれか1に記載の方法。
[態様63]前記アンチセンス化合物または修飾オリゴヌクレオチドが、少なくとも60%の父方由来のUBE3Aの発現を誘発する、態様1〜58のいずれか1に記載の方法。
[態様64]前記アンチセンス化合物または修飾オリゴヌクレオチドが、少なくとも70%の父方由来のUBE3Aの発現を誘発する、態様1〜58のいずれか1に記載の方法。
[態様65]前記アンチセンス化合物または修飾オリゴヌクレオチドが、少なくとも80%の父方由来のUBE3Aの発現を誘発する、態様1〜58のいずれか1に記載の方法。
[態様66]前記アンチセンス化合物または修飾オリゴヌクレオチドが、少なくとも90%の父方由来のUBE3Aの発現を誘発する、態様1〜58のいずれか1に記載の方法。
[態様67]前記アンチセンス化合物または修飾オリゴヌクレオチドが、少なくとも100%の父方由来のUBE3Aの発現を誘発する、態様1〜58のいずれか1に記載の方法。
[態様68]前記アンチセンス化合物または修飾オリゴヌクレオチドが、少なくとも110%の父方由来のUBE3Aの発現を誘発する、態様1〜58のいずれか1に記載の方法。
[態様69]前記アンチセンス化合物または修飾オリゴヌクレオチドが、少なくとも120%の父方由来のUBE3Aの発現を誘発する、態様1〜58のいずれか1に記載の方法。
[態様70]前記アンチセンス化合物または修飾オリゴヌクレオチドが、少なくとも130%の父方由来のUBE3Aの発現を誘発する、態様1〜58のいずれか1に記載の方法。
[態様71]前記アンチセンス化合物または修飾オリゴヌクレオチドが、少なくとも140%の父方由来のUBE3Aの発現を誘発する、態様1〜58のいずれか1に記載の方法。
[態様72]前記アンチセンス化合物または修飾オリゴヌクレオチドが、少なくとも150%の父方由来のUBE3Aの発現を誘発する、態様1〜58のいずれか1に記載の方法。
[態様73]前記アンチセンス化合物または修飾オリゴヌクレオチドが、少なくとも160%の父方由来のUBE3Aの発現を誘発する、態様1〜58のいずれか1に記載の方法。
[態様74]前記アンチセンス化合物または修飾オリゴヌクレオチドが、少なくとも170%の父方由来のUBE3Aの発現を誘発する、態様1〜58のいずれか1に記載の方法。
[態様75]前記アンチセンス化合物または修飾オリゴヌクレオチドが、少なくとも180%の父方由来のUBE3Aの発現を誘発する、態様1〜58のいずれか1に記載の方法。
[態様76]前記アンチセンス化合物または修飾オリゴヌクレオチドが、少なくとも190%の父方由来のUBE3Aの発現を誘発する、態様1〜58のいずれか1に記載の方法。
[態様77]前記アンチセンス化合物または修飾オリゴヌクレオチドが、少なくとも200%の父方由来のUBE3Aの発現を誘発する、態様1〜58のいずれか1に記載の方法。
[態様78]前記アンチセンス化合物または修飾オリゴヌクレオチドが、少なくとも210%の父方由来のUBE3Aの発現を誘発する、態様1〜58のいずれか1に記載の方法。
[態様79]前記アンチセンス化合物または修飾オリゴヌクレオチドが、少なくとも220%の父方由来のUBE3Aの発現を誘発する、態様1〜58のいずれか1に記載の方法。
[態様80]前記アンチセンス化合物または修飾オリゴヌクレオチドが、少なくとも230%の父方由来のUBE3Aの発現を誘発する、態様1〜58のいずれか1に記載の方法。
[態様81]前記アンチセンス化合物または修飾オリゴヌクレオチドが、少なくとも240%の父方由来のUBE3Aの発現を誘発する、態様1〜58のいずれか1に記載の方法。
[態様82]前記アンチセンス化合物または修飾オリゴヌクレオチドが、少なくとも250%の父方由来のUBE3Aの発現を誘発する、態様1〜58のいずれか1に記載の方法。
[態様83]UBE3A−ATSを標的とするアンチセンス化合物で動物を治療する方法であって、その方法を必要とする動物を選択することと、前記動物にUBE3A−ATSを標的とするアンチセンス化合物を投与することと、を含む、方法。
[態様84]UBE3A−ATSが、配列番号1と少なくとも85%同一である核酸配列を含む、態様83に記載の方法。
[態様85]UBE3A−ATSが、配列番号2と少なくとも85%同一である核酸配列を含む、態様83に記載の方法。
[態様86]UBE3A−ATSを標的とするアンチセンス化合物で動物を治療する方法であって、その方法を必要とする動物を選択することと、前記動物に、UBE3AのプレmRNAの少なくとも3’末端に相補的なUBE3A−ATSの領域から上流のUBE3A−ATSの領域を標的とするアンチセンス化合物を投与することと、を含む、方法。
[態様87]UBE3A−ATSが、配列番号1と少なくとも85%同一である核酸配列を含む、態様86に記載の方法。
[態様88]UBE3AのプレmRNAの少なくとも3’末端に相補的な前記領域が、配列番号1の核酸塩基1032967で始まる、態様87に記載の方法。
[態様89]UBE3A−ATSが、配列番号2と少なくとも85%同一である核酸配列を含む、態様86に記載の方法。
[態様90]UBE3AのプレmRNAの少なくとも3’末端に相補的な前記領域が、配列番号2の核酸塩基513603で始まる、態様89に記載の方法。
[態様91]UBE3A−ATSを標的とするアンチセンス化合物で動物を治療する方法であって、その方法を必要とする動物を選択することと、前記動物に、UBE3A−ATSの第1の領域を標的とするアンチセンス化合物を投与することと、を含み、前記第1の領域は、UBE3AのプレmRNAの少なくとも3’末端に相補的な(a)上流領域および(b)下流領域と隣接する、方法。
[態様92]前記上流領域が、少なくとも1つの核小体低分子RNA(snoRNA)の配列を含む、態様91に記載の方法。
[態様93]前記snoRNAが、HBII−52またはMBII−52である、態様92に記載の方法。
[態様94]UBE3A−ATSが、配列番号1と少なくとも85%同一である核酸配列を含み、前記UBE3A−ATSの第1の領域が、配列番号1の核酸塩基997469〜1032966と少なくとも85%同一である核酸塩基から成る、態様91〜93のいずれか1に記載の方法。
[態様95]前記UBE3AのプレmRNAが、配列番号5と少なくとも85%同一である核酸配列を含む、態様94に記載の方法。
[態様96]UBE3A−ATSが、配列番号2と少なくとも85%同一である核酸配列を含み、前記UBE3A−ATSの第1の領域が、配列番号2の核酸塩基446213から513602と少なくとも85%同一である核酸塩基から成る、態様91〜93のいずれか1に記載の方法。
[態様97]前記UBE3AのプレmRNAが、配列番号6と少なくとも85%同一である核酸配列を含む、態様96に記載の方法。
[態様98]UBE3A−ATSを標的とするアンチセンス化合物で動物を治療する方法であって、その方法を必要とする動物を選択することと、前記動物に、前記UBE3AのプレmRNAと相補的な領域の開始から上流の35498核酸塩基内でUBE3A−ATSを標的とするアンチセンス化合物を投与することと、を含み、UBE3A−ATSが、配列番号1の配列と少なくとも85%同一である核酸配列を含む、方法。
[態様99]前記UBE3AのプレmRNAと相補的な前記領域が、配列番号1の核酸塩基1032967〜1110944から成る、態様98に記載の方法。
[態様100]UBE3A−ATSを標的とするアンチセンス化合物で動物を治療する方法であって、その方法を必要とする動物を選択することと、前記動物に、前記UBE3AのプレmRNAと相補的な領域の開始から上流の67390核酸塩基内でUBE3A−ATSを標的とするアンチセンス化合物を投与することと、を含み、UBE3A−ATSが、配列番号2の配列と少なくとも85%同一である核酸配列を含む、方法。
[態様101]前記UBE3AのプレmRNAと相補的な前記領域が、配列番号2の核酸塩基513603〜615382から成る、態様100に記載の方法。
[態様102]前記動物が、アンジェルマン症候群を有する、態様83〜101のいずれか1に記載の方法。
[態様103]UBE3AのプレmRNAの少なくとも3’末端に相補的なUBE3A−ATSの領域から上流のUBE3A−ATSの領域を標的とするアンチセンス化合物を含む、化合物。
[態様104]UBE3A−ATSが、配列番号1と少なくとも85%同一である核酸配列を含む、態様103に記載の化合物。
[態様105]UBE3AのプレmRNAの少なくとも3’末端に相補的な前記領域が、配列番号1の核酸塩基1032967で始まる、態様104に記載の化合物。
[態様106]UBE3A−ATSが、配列番号2と少なくとも85%同一である核酸配列を含む、態様103に記載の化合物。
[態様107]UBE3AのプレmRNAの少なくとも3’末端に相補的な前記領域が、配列番号2の核酸塩基513603で始まる、態様106に記載の化合物。
[態様108]UBE3A−ATSの第1の領域を標的とするアンチセンス化合物を含む化合物であって、前記第1の領域は、UBE3AのプレmRNAの少なくとも3’末端に相補的な(a)上流領域および(b)下流領域と隣接する、化合物。
[態様109]前記上流領域が、少なくとも1つの核小体低分子RNA(snoRNA)の配列を含む、態様108に記載の化合物。
[態様110]前記snoRNAが、HBII−52またはMBII−52である、態様109に記載の化合物。
[態様111]UBE3A−ATSが、配列番号1と少なくとも85%同一である核酸配列を含み、前記UBE3A−ATSの第1の領域が、配列番号1の核酸塩基997469〜1032966と少なくとも85%同一である核酸塩基から成る、態様108〜110のいずれか1に記載の化合物。
[態様112]前記UBE3AのプレmRNAが、配列番号5と少なくとも85%同一である核酸配列を含む、態様111に記載の化合物。
[態様113]UBE3A−ATSが、配列番号2と少なくとも85%同一である核酸配列を含み、前記UBE3A−ATSの第1の領域が、配列番号2の核酸塩基446213から513602と少なくとも85%同一である核酸塩基から成る、態様108〜110のいずれか1に記載の化合物。
[態様114]前記UBE3AのプレmRNAが、配列番号6と少なくとも85%同一である核酸配列を含む、態様113に記載の化合物。
[態様115]UBE3AのプレmRNAと相補的な領域の開始から上流の35498核酸塩基内でUBE3A−ATSを標的とするアンチセンス化合物を含み、UBE3A−ATSが、配列番号1の配列と少なくとも85%同一である核酸配列を含む、化合物。
[態様116]前記UBE3AのプレmRNAと相補的な前記領域が、配列番号1の核酸塩基1032967〜1110944から成る、態様115に記載の化合物。
[態様117]UBE3AのプレmRNAと相補的な領域の開始から上流の67390核酸塩基内でUBE3A−ATSを標的とするアンチセンス化合物を含み、UBE3A−ATSが、配列番号2の配列と少なくとも85%同一である核酸配列を含む、化合物。
[態様118]前記UBE3AのプレmRNAと相補的な前記領域が、配列番号2の核酸塩基513603〜615382から成る、態様117に記載の化合物。
[態様119]前記アンチセンス化合物が、12〜30個連結されたヌクレオシドから成るオリゴヌクレオチドを含み、前記オリゴヌクレオチドが、UBE3A−ATS核酸配列に少なくとも85%相補的である、態様103〜118のいずれか1に記載の化合物。
[態様120]前記オリゴヌクレオチドが、その全長にわたり、UBE3A−ATS核酸配列の等長領域と、少なくとも90%相補的である、態様119に記載の化合物。
[態様121]前記オリゴヌクレオチドが、その全長にわたり、UBE3A−ATS核酸配列の等長領域と、少なくとも95%相補的である、態様119に記載の化合物。
[態様122]前記オリゴヌクレオチドが、その全長にわたり、UBE3A−ATS核酸配列の等長領域と、少なくとも100%相補的である、態様119に記載の化合物。
[態様123]前記アンチセンス化合物またはオリゴヌクレオチドが、一本鎖オリゴヌクレオチドである、態様103〜122のいずれか1に記載の化合物。
[態様124]前記オリゴヌクレオチドが、修飾オリゴヌクレオチドである、態様119〜123のいずれか1に記載の化合物。
[態様125]前記修飾オリゴヌクレオチドが、少なくとも1つの修飾ヌクレオシド間結合を含む、態様124に記載の化合物。
[態様126]前記修飾ヌクレオシド間結合が、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合である、態様125に記載の化合物。
[態様127]少なくとも1つのヌクレオシドが、修飾糖を含む、態様124〜126のいずれか1に記載の化合物。
[態様128]前記修飾糖が、前記糖の4’と2’位の間に架橋を含む二環式糖である、態様127に記載の化合物。
[態様129]前記架橋が、4’−CH(CH)−O−2’、4’−CH−2’、4’−(CH−2’、4’−CH−O−2’、4’−(CH−O−2’、4’−CH−O−N(R)−2’、および4’−CH2−N(R)−O−2’−から選択され、式中、各R1は独立して、H、保護基、またはC1〜C12アルキルである、態様128に記載の化合物。
[態様130]前記架橋が、4’−CH(CH)−O−2’である、態様129に記載の化合物。
[態様131]前記架橋が、4’−CH−O−2’および4’−(CH−O−2’から選択される、態様129に記載の化合物。
[態様132]前記修飾糖が、2’−O−メトキシエチル基を含む、態様127に記載の化合物。
[態様133]少なくとも1つのヌクレオシドが、修飾糖を含む、態様124〜132のいずれか1に記載の化合物。
[態様134]前記修飾核酸塩基が、5−メチルシトシンである、態様133に記載の化合物。
[態様135]前記アンチセンス化合物または修飾オリゴヌクレオチドが、少なくとも20%の父方由来のUBE3Aの発現を誘発することができる、態様103〜134のいずれか1に記載の化合物。
[態様136]前記アンチセンス化合物または修飾オリゴヌクレオチドが、少なくとも30%の父方由来のUBE3Aの発現を誘発することができる、態様103〜134のいずれか1に記載の化合物。
[態様137]前記アンチセンス化合物または修飾オリゴヌクレオチドが、少なくとも40%の父方由来のUBE3Aの発現を誘発することができる、態様103〜134のいずれか1に記載の化合物。
[態様138]前記アンチセンス化合物または修飾オリゴヌクレオチドが、少なくとも50%の父方由来のUBE3Aの発現を誘発することができる、態様103〜134のいずれか1に記載の化合物。
[態様139]前記アンチセンス化合物または修飾オリゴヌクレオチドが、少なくとも60%の父方由来のUBE3Aの発現を誘発することができる、態様103〜134のいずれか1に記載の化合物。
[態様140]前記アンチセンス化合物または修飾オリゴヌクレオチドが、少なくとも70%の父方由来のUBE3Aの発現を誘発することができる、態様103〜134のいずれか1に記載の化合物。
[態様141]前記アンチセンス化合物または修飾オリゴヌクレオチドが、少なくとも80%の父方由来のUBE3Aの発現を誘発することができる、態様103〜134のいずれか1に記載の化合物。
[態様142]前記アンチセンス化合物または修飾オリゴヌクレオチドが、少なくとも90%の父方由来のUBE3Aの発現を誘発することができる、態様103〜134のいずれか1に記載の化合物。
[態様143]前記アンチセンス化合物または修飾オリゴヌクレオチドが、少なくとも100%の父方由来のUBE3Aの発現を誘発することができる、態様103〜134のいずれか1に記載の化合物。
[態様144]前記アンチセンス化合物または修飾オリゴヌクレオチドが、少なくとも110%の父方由来のUBE3Aの発現を誘発することができる、態様103〜134のいずれか1に記載の化合物。
[態様145]前記アンチセンス化合物または修飾オリゴヌクレオチドが、少なくとも120%の父方由来のUBE3Aの発現を誘発することができる、態様103〜134のいずれか1に記載の化合物。
[態様146]前記アンチセンス化合物または修飾オリゴヌクレオチドが、少なくとも130%の父方由来のUBE3Aの発現を誘発することができる、態様103〜134のいずれか1に記載の化合物。
[態様147]前記アンチセンス化合物または修飾オリゴヌクレオチドが、少なくとも140%の父方由来のUBE3Aの発現を誘発することができる、態様103〜134のいずれか1に記載の化合物。
[態様148]前記アンチセンス化合物または修飾オリゴヌクレオチドが、少なくとも150%の父方由来のUBE3Aの発現を誘発することができる、態様103〜134のいずれか1に記載の化合物。
[態様149]前記アンチセンス化合物または修飾オリゴヌクレオチドが、少なくとも160%の父方由来のUBE3Aの発現を誘発することができる、態様103〜134のいずれか1に記載の化合物。
[態様150]前記アンチセンス化合物または修飾オリゴヌクレオチドが、少なくとも170%の父方由来のUBE3Aの発現を誘発することができる、態様103〜134のいずれか1に記載の化合物。
[態様151]前記アンチセンス化合物または修飾オリゴヌクレオチドが、少なくとも180%の父方由来のUBE3Aの発現を誘発することができる、態様103〜134のいずれか1に記載の化合物。
[態様152]前記アンチセンス化合物または修飾オリゴヌクレオチドが、少なくとも190%の父方由来のUBE3Aの発現を誘発することができる、態様103〜134のいずれか1に記載の化合物。
[態様153]前記アンチセンス化合物または修飾オリゴヌクレオチドが、少なくとも200%の父方由来のUBE3Aの発現を誘発することができる、態様103〜134のいずれか1に記載の化合物。
[態様154]前記アンチセンス化合物または修飾オリゴヌクレオチドが、少なくとも210%の父方由来のUBE3Aの発現を誘発することができる、態様103〜134のいずれか1に記載の化合物。
[態様155]前記アンチセンス化合物または修飾オリゴヌクレオチドが、少なくとも220%の父方由来のUBE3Aの発現を誘発することができる、態様103〜134のいずれか1に記載の化合物。
[態様156]前記アンチセンス化合物または修飾オリゴヌクレオチドが、少なくとも230%の父方由来のUBE3Aの発現を誘発することができる、態様103〜134のいずれか1に記載の化合物。
[態様157]前記アンチセンス化合物または修飾オリゴヌクレオチドが、少なくとも240%の父方由来のUBE3Aの発現を誘発することができる、態様103〜134のいずれか1に記載の化合物。
[態様158]前記アンチセンス化合物または修飾オリゴヌクレオチドが、少なくとも250%の父方由来のUBE3Aの発現を誘発することができる、態様103〜134のいずれか1に記載の化合物。
[態様159]細胞内のUBE3A−ATSを減少させる方法であって、前記細胞をUBE3A−ATSを標的とするアンチセンス化合物と接触させることを含む、方法。
[態様160]UBE3A−ATSが、配列番号1と少なくとも85%同一である核酸配列を含む、態様159に記載の方法。
[態様161]UBE3A−ATSが、配列番号2と少なくとも85%同一である核酸配列を含む、態様159に記載の方法。
[態様162]細胞内のUBE3A−ATSを減少させる方法であって、前記細胞を、UBE3AのプレmRNAの少なくとも3’末端に相補的なUBE3A−ATSの領域から上流のUBE3A−ATSの領域を標的とするアンチセンス化合物と接触させることを含む、方法。
[態様163]UBE3A−ATSが、配列番号1と少なくとも85%同一である核酸配列を含む、態様162に記載の方法。
[態様164]UBE3AのプレmRNAの少なくとも3’末端に相補的な前記領域が、配列番号1の核酸塩基1032967で始まる、態様163に記載の方法。
[態様165]UBE3A−ATSが、配列番号2と少なくとも85%同一である核酸配列を含む、態様162に記載の方法。
[態様166]UBE3AのプレmRNAの少なくとも3’末端に相補的な前記領域が、配列番号2の核酸塩基513603で始まる、態様165に記載の方法。
[態様167]細胞内のUBE3A−ATSを減少させる方法であって、前記細胞を、UBE3A−ATSの第1の領域を標的とするアンチセンス化合物と接触させることを含み、前記第1の領域は、UBE3AのプレmRNAの少なくとも3’末端に相補的な(a)上流領域および(b)下流領域と隣接する、方法。
[態様168]前記上流領域が、少なくとも1つの核小体低分子RNA(snoRNA)の配列を含む、態様167に記載の方法。
[態様169]前記snoRNAが、HBII−52またはMBII−52である、態様168に記載の方法。
[態様170]UBE3A−ATSが、配列番号1と少なくとも85%同一である核酸配列を含み、前記UBE3A−ATSの第1の領域が、配列番号1の核酸塩基997469〜1032966と少なくとも85%同一である核酸塩基から成る、態様167〜169のいずれか1に記載の方法。
[態様171]前記UBE3AのプレmRNAが、配列番号5と少なくとも85%同一である核酸配列を含む、態様170に記載の方法。
[態様172]UBE3A−ATSが、配列番号2と少なくとも85%同一である核酸配列を含み、前記UBE3A−ATSの第1の領域が、配列番号2の核酸塩基446213から513602と少なくとも85%同一である核酸塩基から成る、態様167〜169のいずれか1に記載の方法。
[態様173]前記UBE3AのプレmRNAが、配列番号6と少なくとも85%同一である核酸配列を含む、態様172に記載の方法。
[態様174]細胞内のUBE3A−ATSを阻害する方法であって、前記細胞を、UBE3AのプレmRNAと相補的な領域の開始から上流の35498核酸塩基内でUBE3A−ATSを標的とするアンチセンス化合物と接触させることを含み、UBE3A−ATSが、配列番号1の配列と少なくとも85%同一である核酸配列を含む、方法。
[態様175]前記UBE3AのプレmRNAと相補的な前記領域が、配列番号1の核酸塩基1032967〜1110944から成る、態様174に記載の方法。
[態様176]細胞内のUBE3A−ATSを阻害する方法であって、前記細胞を、UBE3AのプレmRNAと相補的な領域の開始から上流の67390核酸塩基内でUBE3A−ATSを標的とするアンチセンス化合物と接触させることを含み、UBE3A−ATSが、配列番号2の配列と少なくとも85%同一である核酸配列を含む、方法。
[態様177]前記UBE3AのプレmRNAと相補的な前記領域が、配列番号2の核酸塩基513603〜615382から成る、態様176に記載の方法。
[態様178]前記細胞を前記アンチセンス化合物と接触させることが、前記細胞内のUBE3A−ATSのレベルを低下させる、態様159〜178のいずれか1に記載の方法。
[態様179]前記細胞を前記アンチセンス化合物と接触させることが、前記細胞内の父方由来のUBE3Aタンパク質の発現を誘発する、態様159〜178のいずれか1に記載の方法。
[態様180]前記細胞が、培養細胞である、態様1〜179のいずれか1に記載の方法。
[態様181]前記細胞が、動物である、態様180に記載の方法。
[態様182]前記アンチセンス化合物が、12〜30個連結されたヌクレオシドから成るオリゴヌクレオチドを含み、前記オリゴヌクレオチドが、UBE3A−ATS核酸配列に少なくとも85%相補的である、態様159〜181のいずれか1に記載の方法。
[態様183]前記オリゴヌクレオチドが、その全長にわたり、UBE3A−ATS核酸配列の等長領域と、少なくとも90%相補的である、態様182に記載の方法。
[態様184]前記オリゴヌクレオチドが、その全長にわたり、UBE3A−ATS核酸配列の等長領域と、少なくとも95%相補的である、態様182に記載の方法。
[態様185]前記オリゴヌクレオチドが、その全長にわたり、UBE3A−ATS核酸配列の等長領域と、100%相補的である、態様182に記載の方法。
[態様186]前記アンチセンス化合物またはオリゴヌクレオチドが、一本鎖オリゴヌクレオチドである、態様159〜185のいずれか1に記載の方法。
[態様187]前記オリゴヌクレオチドが、修飾オリゴヌクレオチドである、態様182〜186のいずれか1に記載の方法。
[態様188]前記修飾オリゴヌクレオチドが、少なくとも1つの修飾ヌクレオシド間結合を含む、態様187に記載の方法。
[態様189]前記修飾ヌクレオシド間結合が、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合である、態様188に記載の方法。
[態様190]少なくとも1つのヌクレオシドが、修飾糖を含む、態様187〜189のいずれか1に記載の方法。
[態様191]前記修飾糖が、前記糖の4’と2’位の間に架橋を含む二環式糖である、態様190に記載の方法。
[態様192]前記架橋が、4’−CH(CH)−O−2’、4’−CH−2’、4’−(CH−2’、4’−CH−O−2’、4’−(CH−O−2’、4’−CH−O−N(R)−2’、および4’−CH2−N(R)−O−2’−から選択され、式中、各R1は独立して、H、保護基、またはC1〜C12アルキルである、態様191に記載の方法。
[態様193]前記架橋が、4’−CH(CH)−O−2’である、態様192に記載の方法。
[態様194]前記架橋が、4’−CH−O−2’および4’−(CH−O−2’から選択される、態様192に記載の方法。
[態様195]前記修飾糖が、2’−O−メトキシエチル基を含む、態様190に記載の方法。
[態様196]少なくとも1つのヌクレオシドが、修飾核酸塩基を含む、態様187〜195のいずれか1に記載の方法。
[態様197]前記修飾核酸塩基が、5−メチルシトシンである、態様196に記載の方法。
[態様198]Snrpn、MBII−85/HBII−85、および/またはMBII−52/HBII−52レベルが減少されない、態様1〜102または159〜197のいずれか1に記載の方法。
[態様199]Snrpn、MBII−85/HBII−85、および/またはMBII−52/HBII−52レベルが、約0%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%より多く減少されない、態様198に記載の方法。
図1
図2
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]