(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
gpUL75、gpUL115、gpUL55、gpUL74、gpUL100、gpUL73、gpUL128、gpUL130、およびgpUL131Aからなる群より選択される可溶性CMVタンパク質をさらに含む、請求項7または8に記載のワクチン。
タウン(Towne)、トレド(Toledo)、AD169、マーリン(Merlin)、TB20、およびVR1814株からなる群より選択される異なるCMV株からのCMVタンパク質を含む、請求項7〜10のいずれか一項に記載のワクチン。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図面の簡単な説明
図1は、ヘルペスウイルスまたは非ヘルペスウイルスのキャプシドのどちらかをベースとしたCMVウイルス様粒子の異なる変異体を発現させるための、またはCMV−五量体複合体および可溶性CMVタンパク質を発現させるための組換えベクターの概略図である。
【0027】
ならびに2つのターミネーター配列、T1およびT2(T)(これらは、SV40およびHSVtkである)を含有するバキュロウイルス発現系(BEVS)を使用した組換えタンパク質発現を目的としたベクター主鎖pRBT136に、異なる変異体が挿入される。酵母で増殖させるために、ベクターは、複製起点(O)、例えば2ミクロン、およびマーカー遺伝子(m)、例えばURA3を含有する。さらにベクターは、トランスファーベクターからの導入遺伝子をバクミド(bacmid)に転位させるための左のトランスポゾン部位(TL)および右のトランスポゾン部位(TR)、部位特異的な相同組換え(プラスミド融合)のためのloxP部位(L)、複製起点(O)、アンピシリン(A)、クロラムフェニコール(C)、ならびにゲンタマイシン(G)耐性遺伝子、ならびに所定の制限部位を含有する。バキュロウイルスでの導入または一過性発現のいずれかによって哺乳動物細胞で発現させるために、ベクター主鎖pRBT393は、加えてpCMV、ie1、およびlef2から選択されるプロモーター、ならびにSV40pA、BHG pA、およびHSVtkから選択されるターミネーターを含有する。
【0028】
略語:c:コンセンサス配列;H:His−タグ;SH:ストレプトアビジン−His−タグ;V:VR1814株、pcI:プレシジョンプロテアーゼ、pcII:プレシジョンおよびTEVプロテアーゼ、DT:二量体化ツール、T:ターミネーター、O:複製起点、G:ゲンタマイシン耐性、C:クロラムフェニコール耐性、L:loxP部位、TL:左側のトランスポゾン、TR:右側のトランスポゾン。以前のより短いHCMVの学術名(gB、gH、gL、gO、加えて接頭辞のない「UL」、および接尾辞「A」のないUL48)が使用される。遺伝子は、それらの番号でのみ名付けられ、例えば「UL83」の代わりに「83」と名付けられる。
【0029】
図2は、グリセロール−酒石酸塩の濃度勾配をベースとした、配列番号14と組み合わされたCMV−VLP変異体である配列番号7の精製を示す図である。
(A)グリセロール−酒石酸塩の濃度勾配をベースとした精製。タウン株からのキャプシド、機能的な外被および表面タンパク質であるUL86−UL85−UL50−UL48A−UL46−UL74(gO)−UL83−UL80.5−UL75(gH)−UL115(gL)−UL128(c)−UL130−UL131A(配列番号7および配列番号14)を含むCMV−VLP変異体の様々な画分を、SDS−PAGE(4〜12%ビストリスゲル)、続いて免疫ブロッティングによって分析した。外被タンパク質の検証のためにマウス抗pUL83(ウイルシー(Virusy))抗体を使用した。左側に、タンパク質標準をkDaで示す;レーン1〜13:画分1〜13(上から下への精留)、レーン14:陽性対照。
【0030】
(B)キャプシド(UL86、UL85)、外被(UL83)および表面UL75(gH1、gH2)タンパク質に特異的な抗体を使用したELISAアッセイによる免疫ブロットデータの検証。2つのキャプシド、外被タンパク質(UL83)、および表面タンパク質であるUL75(gH)の存在は、選択されたタンパク質(UL86、UL85、gH2:アラバマ大学(University of Alabama)、pUL83:ウイルシー;gH1:サンタクルーズ(Santa Cruz))への抗体結合により示すことができる。バキュロウイルスの存在を、タンパク質gp64に対する抗体(eバイオサイエンス(eBioscience))を用いて検証した。x軸の番号1〜13は、グリセロール−酒石酸塩の濃度勾配の番号を示し(上から下へ分画される)、番号14は陽性対照を示し、番号15は陰性対照を示す。y軸では、VLPにおける抗体のタンパク質への結合強度が光学密度(OD)として示される。同じ画分中に選択されたタンパク質が検出されたことから、それらが共局在していることが示され、それゆえに無傷のCMV−VLPであることが示された。配列番号9、配列番号10、および配列番号13と組み合わされた変異体の配列番号7の発現および精製に関しても類似した結果が得られた。
【0031】
図3は、配列番号14と組み合わされたCMV−VLP変異体の配列番号5のグリセロール−酒石酸塩の濃度勾配をベースとした精製を示す図である。
キャプシドタンパク質であるUL86およびUL85、外被タンパク質であるUL83(UL83)および表面タンパク質であるUL75(gH)に特異的な抗体を使用したELISAアッセイによる免疫ブロットデータの検証。キャプシド(UL86、UL85)、外被(UL83)、および表面タンパク質であるUL75(gH)の存在は、選択されたタンパク質(UL86、UL85、gH1:アラバマ大学から提供された抗体、UL83:ウイルシー;gH2:サンタクルーズ)への抗体結合により示すことができる。バキュロウイルスの存在を、タンパク質gp64に対する抗体(eバイオサイエンス)を用いて検証した。x軸の番号1〜13は、グリセロール−酒石酸塩の濃度勾配の番号を示し(上から下へ分画される)、番号14は陽性対照を示し、番号15は陰性対照を示す。y軸では、VLPにおける抗体のタンパク質への結合強度が光学密度(OD)として示される。同じ画分中に選択されたタンパク質が検出されたことから、それらが共局在していることが示され、それゆえに無傷のCMV−VLPであることが示された。
【0032】
配列番号5および配列番号13で構成されるCMV VLPからほぼ同一なデータが得られた。表面タンパク質の組成を検証するために、配列番号9または10と組み合わされた配列番号5をベースとして生成したCMV VLPを上述した方法で処置したところ、0.1〜0.3の範囲の類似したOD値が示された。
【0033】
図4は、配列番号18と組み合わされたCMV−VLP変異体の配列番号3のグリセロール−酒石酸塩の濃度勾配をベースとした精製を示す図である。
キャプシドタンパク質(UL85)、外被(UL83)、および表面(UL75(gH)、UL55(gB))タンパク質に特異的な抗体を使用したELISAアッセイによる免疫ブロットデータの検証。キャプシド(UL85)、外被(pUL83)、および表面タンパク質(gpUL75、gpUL55)の存在は、選択されたタンパク質(UL85/UL55(gB1):アラバマ大学;UL83/UL55(gB2):ウイルシー;UL75(gH):サンタクルーズ)への抗体結合により示すことができる。x軸の番号1〜7は、グリセロール−酒石酸塩の濃度勾配の番号画分1〜7を示し(上から下へ分画される)、番号8は陰性対照を示す。y軸では、VLPにおける抗体のタンパク質への結合強度が光学密度(OD)として示される。同じ画分中に選択されたタンパク質が検出されたことから、それらが共局在していることが示され、それゆえに無傷のCMV−VLPであることが示された。配列番号3を配列番号9、10、16または19と組み合わせることによって同じ無傷の組成物が観察され、ここでOD値の検出は0.1〜0.4の範囲で異なっている。
【0034】
図5は、配列番号18と組み合わされたCMV−VLP変異体の配列番号2のグリセロール−酒石酸塩の濃度勾配をベースとした精製を示す図である。
外被(UL83)、および表面(UL75、UL55)タンパク質に特異的な抗体を使用したELISAアッセイによる免疫ブロットデータの検証。外被タンパク質(UL83)および表面タンパク質(UL75、UL55)の存在は、選択されたタンパク質(UL83/UL55(gB):ウイルシー;UL75(gH):サンタクルーズ)への抗体結合により示すことができる。バキュロウイルスの存在を、タンパク質gp64に対する抗体(eバイオサイエンス)を用いて検証した。x軸の番号1は、スクロースクッションによる予備精製のサンプルを示し、x軸のレーン2〜14は、グリセロール−酒石酸塩の濃度勾配の番号画分1〜13を示し(上から下へ分画される)、番号15はVLPのための陰性対照を示し、番号16はバキュロウイルスのための陰性対照を示す。y軸では、VLPにおける抗体のタンパク質への結合強度が光学密度(OD)として示される。同じ画分中に選択されたタンパク質が検出されたことから、それらが共局在していることが示され、それゆえに無傷のCMV−VLPであることが示された。キャプシドおよび外被に関しては配列番号2、表面タンパク質に関しては配列番号9、10、16または19で構成されたCMV VLP変異体の場合と同様に、上述したのと同じタンパク質をOD値0.1〜0.3の範囲で検証することができた。
【0035】
図6は、配列番号14と組み合わされた非ヘルペスウイルスのキャプシドベースのCMV−VLP変異体の配列番号20のスクロース濃度勾配をベースとした精製を示す図である。
【0036】
(A)スクロース濃度勾配をベースとした精製。キャプシド(レトロウイルスの前駆体)タンパク質gagおよび表面タンパク質であるUL75(gH)−UL115(gL)−UL128(c)−UL130−UL131A(配列番号20および配列番号14)を含むCMV−VLP変異体の様々な画分を、SDS−PAGE(4〜12%ビストリスゲル)、続いて免疫ブロッティングによって分析した。キャプシドタンパク質の検証のために、マウス抗gag(ダコ・サイトメーション(DakoCytomation))抗体を使用した。画像の左に、タンパク質標準をkDaで示す;レーン1〜13:画分1〜13、レーン14:陽性対照(gagタンパク質)。
【0037】
(B)キャプシド(gag)および表面(UL75[gH]、ストレプトアビジンタグを有するgL)タンパク質に特異的な抗体を使用したELISAアッセイによる免疫ブロットデータの検証。キャプシドタンパク質(gag)および表面タンパク質(gH、ストレプトアビジンタグを介したgL)の存在は、選択されたタンパク質(gag:ダコ・サイトメーション;UL75(gH):サンタクルーズ、ストレプトアビジン:AbDセロテック(AbD Serotec))への抗体結合により示すことができる。x軸の番号1〜13は、スクロース濃度勾配の番号画分1〜13を示し(上から下へ分画される)、番号14はVLPのための陰性対照を示し、番号15はバキュロウイルスのための陰性対照を示し、番号16は陽性対照を示す。y軸では、VLPにおける抗体のタンパク質への結合強度が光学密度(OD)として示される。同じ画分中に選択されたタンパク質が検出されたことから、それらが共局在していることが示され、それゆえに無傷のCMV−VLPであることが示された。キャプシドタンパク質gag(配列番号20)を配列番号9、10、13、15,16または19の外被および表面タンパク質と組み合わせることによって同じ共局在が観察できた。配列番号19の包含は一般的により高いOD値を示し、これはCMV VLPの安定性がより優れていることを意味する。
【0038】
図7は、配列番号18と組み合わされた非ヘルペスウイルスのキャプシドベースのCMV−VLP変異体の配列番号20のスクロース濃度勾配をベースとした精製を示す図である。
【0039】
(A)スクロース濃度勾配をベースとした精製。キャプシド(レトロウイルスの前駆体)タンパク質gagおよび表面タンパク質であるUL75−UL115−UL128−UL130−UL131A−UL55(配列番号20および配列番号18)を含むCMV−VLP変異体の様々な画分を、SDS−PAGE(4〜12%ビストリスゲル)、続いて免疫ブロッティングによって分析した。キャプシドタンパク質の検証のために、マウス抗gag(ダコ・サイトメーション)抗体を使用した。左側に、タンパク質標準をkDaで示す;レーン1〜13は、上から下への精留の濃度勾配の画分1〜13に対応し、レーン14は陽性対照を示す。
【0040】
(B)キャプシド(gag)および表面タンパク質(UL75[gH]、UL55[gB])に特異的な抗体を使用したELISAアッセイによる免疫ブロットデータの検証。キャプシドタンパク質(gag)および表面タンパク質(UL75[gH]、UL55[gB])の存在は、選択されたタンパク質(gag:ダコ・サイトメーション;gB:ウイルシー;gH:サンタクルーズ)への抗体結合により示すことができる。バキュロウイルスの存在を、タンパク質gp64に対する抗体(eバイオサイエンス)を用いて検証した。x軸の番号1〜13は、スクロースの濃度勾配の番号画分1〜13を示し(上から下へ分画される)、番号14は、濃度勾配の負荷を示し、番号15は陽性対照を示し、番号16は陰性対照を示す。y軸では、VLPにおける抗体のタンパク質への結合強度が光学密度(OD)として示される。同じ画分中に選択されたタンパク質が検出されたことから、それらが共局在していることが示され、それゆえに無傷のCMV−VLPであることが示された。配列番号22および配列番号18の発現に基づくさらなるCMV変異体から、タンパク質であるUL83による細胞性免疫応答の誘導を裏付ける利点と類似した結果が得られた。
【0041】
図8は、アフィニティークロマトグラフィーによって精製された配列番号14と組み合わされたHis/ストレプトアビジンタグを有するCMV−VLP変異体の配列番号7の分析を示す図である。
【0042】
キャプシド、機能的な外被および表面タンパク質であるUL86−UL85−UL50−UL48A−UL46−UL74−UL83−UL80.5−UL75−UL115(His/ストレプトアビジン)−UL128(c)−UL130−UL131A(配列番号7および配列番号14)を含むCMV−VLP変異体をアイマック(IMAC)法で精製した。
【0043】
このアイマック精製の様々な工程を、SDS−PAGE(4〜12%ビストリスゲル)、続いてマウス抗−UL83抗体(ウイルシー)を使用した外被タンパク質(UL83)に対する免疫ブロッティングによって分析した。左側に、タンパク質標準をkDaで示す。レーン1:精製前のVLP(ローディング)、レーン2:流出液(FT)、レーン3:洗浄;レーン4〜9:イミダゾール量を徐々に増加させながら(55、100、150、230、480、500mM)の溶出、レーン10:陰性対照としての昆虫細胞(Sf9)、レーン11:陽性対照(感染したSf9細胞)。外被タンパク質の存在を矢印で示す(UL83)。
【0044】
図9は、アフィニティークロマトグラフィーによって精製された配列番号14と組み合わされたHis/ストレプトアビジンタグを有する非ヘルペスウイルスのキャプシドベースのCMV−VLP変異体の配列番号20の分析を示す図である。
【0045】
キャプシド(レトロウイルスの前駆体)タンパク質gagおよび表面タンパク質であるUL75−UL115(His/ストレプトアビジン)−UL128(c)−UL130−UL131A(配列番号20および配列番号14)を含むCMV−VLP変異体をアイマックベースの手法で精製した。このアイマック精製の様々な工程を、SDS−PAGE(4〜12%ビストリスゲル)、続いてマウス抗gag抗体(ダコ・サイトメーション)を使用したキャプシドタンパク質(gag、
図9A)に対する免疫ブロッティングおよびストレプトアビジン−Hisタグを有する表面タンパク質であるUL115に対する免疫ブロッティング(gL、
図9B)によって分析した。左側に、タンパク質標準をkDaで示す、レーン1:精製前のVLP(ローディング)、レーン2:流出液(FT)、レーン3:洗浄;レーン4〜9:イミダゾール量を徐々に増加させながら(55、100、150、230、480、500mM)の溶出、レーン10:陰性対照としての昆虫細胞(Sf9)、レーン11:陽性対照(感染したSf9細胞)。キャプシドタンパク質(gag)の存在、加えてストレプトアビジン−ヒスチジンタグを有する表面タンパク質gLの存在を矢印で示す。
【0046】
図10は、His−タグを有する可溶性CMV−五量体複合体の2つのアフィニティークロマトグラフィー工程、それに続くサイズ排除クロマトグラフィーからなる精製プロセスの分析を示す図である。
【0047】
表面タンパク質であるUL75(Hisタグ含有、gH)−UL115(gL)−UL128−UL130−UL131A(配列番号59)を含む五量体複合体を、His−Trapカラムを使用した親和性ベースのクロマトグラフィー(アイマック)、続いてサイズ排除クロマトグラフィー(XK16/60スーパーデックス(Superdex)200pg)によって精製した。
【0048】
(A)2回目のアイマック精製を、SDS−PAGE(4〜12%ビストリスゲル)、続いてクーマシー染色によって分析した。タンパク質標準(レーン1)のサイズ(kDa)は左側に表示される。レーン2:1回目のアイマックのプール(2回目のアイマック過程のローディング)、レーン3:流出液、レーン4:洗浄、レーン5〜14:最大500mMまでイミダゾール濃度を増加させて得られた溶出画分を示す。
【0049】
(B)SDS−PAGE(4〜12%ビストリスゲル)、続いてクーマシー染色によるサイズ排除クロマトグラフィー精製の分析。タンパク質標準のサイズ(kDa)(レーン1)は左側に表示される。レーン1:溶出プールIV−2、沈殿したもの;レーン2:溶出プールIV−2、沈殿しなかったもの;レーン3:溶出プールIV−3;レーン4:溶出プールV;レーン5:溶出プールVI;レーン6:サイズマーカー。五量体複合体のタンパク質(gH、gL、UL128、UL130、UL131A)は矢印で示される。
【0050】
(C)gHのHis−タグに対する抗体を使用した免疫ブロット。レーン1は、溶出プールIV−2(沈殿したもの);レーン2は、溶出プールIV−2(沈殿しなかったもの);レーン3は、溶出プールIV−3;レーン4は、溶出プールV;レーン5は、溶出プールVI;レーン6は、陽性対照を示す。Hisタグを有するgHタンパク質は右側に表示される。
【0051】
図11は、HCMV−VLP変異体の配列番号7および配列番号10(A)ならびに配列番号48および配列番号19(B)の電子顕微鏡写真である。
(A)キャプシド、機能性タンパク質、外被タンパク質、および表面タンパク質であるUL86−UL85−UL50−UL48A−UL46−UL83−UL80.5−UL74−UL75−UL115−UL128(c)−UL130−UL131A(配列番号7および配列番号10)を含む組換えヒトCMV−VLPの、蛍光体のタングステン酸を用いた陰性染色による電子顕微鏡写真。スケールバーは100nmに対応する。
【0052】
(B)キャプシド、キャプシド構築物を支持するタンパク質、外被タンパク質、および表面タンパク質であるUL86−UL85−UL83−UL80.5−UL74−UL75−UL115−UL128−UL130−UL131A−UL55(配列番号48および配列番号19)を含む組換えヒトCMV−VLPの、蛍光体のタングステン酸を用いた陰性染色による電子顕微鏡写真。スケールバーは200nmに対応する。
【0053】
図12は、非ヘルペスウイルスベースのCMV−VLP変異体の配列番号20および配列番号10(A)ならびに配列番号88および配列番号19(B)の電子顕微鏡写真である。
【0054】
(A)キャプシド(レトロウイルスの前駆体)タンパク質gagおよび表面タンパク質であるUL75−UL115−UL128(c)−UL130−UL131A(配列番号20および配列番号10)を含む組換えヒトCMV−VLPの、蛍光体のタングステン酸を用いた陰性染色による電子顕微鏡写真。スケールバーは100nmに対応する。
【0055】
(B)キャプシド(レトロウイルスの前駆体)タンパク質MoMULVのgagおよび表面タンパク質であるUL75−UL115−UL128−UL130−UL131A−UL55−UL83(配列番号88および配列番号19)を含む組換えヒトCMV−VLPの、蛍光体のタングステン酸を用いた陰性染色による電子顕微鏡写真。スケールバーは100nmに対応する。
【0056】
図13は、配列番号59および配列番号22のそれぞれと配列番号18とのワクチン組み合わせを用いたインビボでの研究に基づくマウス血清でのウイルス中和アッセイを示す図である。
【0057】
hCMV抗原を用いたプライム−ブースト−ブーストレジメンでBalb/Cマウスを免疫化した。この中和アッセイのために選択された抗原は、可溶性複合体(配列番号59)と、外被タンパク質であるUL83(配列番号22)と組み合わせたレトロウイルスのキャプシドで構成されるVLPと、CMVタンパク質であるUL55−UL75−UL115−UL128−UL130、およびUL131Aとのタンパク質ミックスである。8匹のマウスから得られた血清のプールの連続2倍希釈液(1:20から1:2560)を、CMVプロモーター下でEGFPを発現する組換えのBACで再構成されたVR1814HCMV株と混合した。MRC−5線維芽細胞(2×10
4細胞/ウェル)を使用して、処置から96時間後に細胞ベースの蛍光アッセイでこのウイルスの浸入を査定した。相対蛍光強度(RFI、%)を、非ヘルペスCMV−VLPおよび五量体のCMV複合体の混合物で免疫化されたマウスからの選択された血清希釈液に対して表示する。対照として空のバキュロウイルスおよびPBSを使用した。可溶性五量体複合体および非ヘルペスウイルスベースのCMV VLPのミックスで免疫化することにより、1:160から1:320の力価範囲内で中和抗体の生成が誘導され、これは、使用されたEGFP−ウイルスに関して事前に評価されたTCID
50を使用したヒト血液ドナーの力価に匹敵していた。
【0058】
1:血清なし、2:1:320、3:1:160、4:1:80。ミックス:五量体およびVLP;BV:バキュロウイルス。
図14は、配列番号59に基づく体液性免疫反応を検証するための中和アッセイを示す図である。
【0059】
ヒトCMV血液ドナーおよびマウス血清の中和抗体力価の比較。5人の陽性(グループG2、D6〜D10)および5人の陰性(グループG1、D1〜D5)HCMV血液ドナーからの血清の連続2倍希釈液(1:20から1:2560)を細胞ベースの蛍光中和アッセイで処理した。予め五量体複合体(配列番号59)で免疫化された8匹のマウスから得られた血清のプールの1:320希釈液と同じ阻害作用を示した血清希釈液(s.d.)を示す。マウスの免疫化に使用された抗原ミックス中の構成要素の1つとしての可溶性五量体複合体の別の分析から、ヒト血液ドナーと比較したところ中和抗体の誘導が示された。
【0060】
PR:五量体、免疫化前、PO:五量体、免疫化後、G1:陰性血液ドナー、G2:陽性血液ドナー。
図15は、可溶性複合体およびreVLP(組換えVLP、配列番号18を有する配列番号22)を含有するワクチン候補の1つの構成要素(可溶性複合体、配列番号59)の品質管理を示す図である。
【0061】
アイマックベースの精製で処理した後の異なる量のイミダゾールで溶出させた画分を示す。これらを、UL75(gH)およびgH上のHisタグの存在に関してテストした。シグナル強度が類似しているということは、gHが損なわれていないこと、それゆえにUL75−UL115−UL128−UL30−UL131Aで構成される複合体全体が損なわれていないことを明示する。1:ローディング、2:流出液、3:洗浄、4:250mMイミダゾール、5〜8:300mMイミダゾール、9〜13:350mMイミダゾール、14:陽性対照、15:陰性対照。
【0062】
図16は、コンフォメーション依存性抗体を使用した、可溶性複合体およびreVLP(組換えVLP、配列番号22/18)を含有するワクチン候補の1つの構成要素(可溶性複合体、配列番号59)の品質管理を示す図である。
【0063】
指定されたタンパク質の共存に関して、サンドイッチELISAアッセイで複合体の異なる生産バッチをテストした。抗gH1(UL75)抗体でサンプルを捕捉し、抗gH2および抗His、加えて抗UL130/131Aおよび抗UL130コンフォメーション依存性(UL130/UL131A)抗体で検出した。シグナルから、複合体中にタンパク質が共存すること、複合体が損なわれていないこと、加えてその生産の再現性が確認された。1:バッチ451−プール1、2:バッチ459−プール2、3:バッチ459−プール1(15mMのEDTA)、4:バッチ459−プール1(20mMのEDTA)、5:バッチ458(15mMのEDTA)、6:陽性対照、7:陰性対照、8:内部標準。
【0064】
図17は、サンドイッチELISAアッセイを用いた非ヘルペスベースのCMV−VLP(配列番号18と組み合わされた配列番号22)の確認を示す図である。
指定されたタンパク質の共存に関して、異なる溶出画分をテストした。コンフォメーション依存性抗体(UL130/UL131A)でサンプルを捕捉したところ、表面タンパク質であるUL130およびUL131Aは天然のコンフォメーションで存在することが示された。検出には、抗gH(UL75)、抗gpUL83(pp65)、および抗キャプシド(gag)抗体を使用した。シグナルからVLP上でのタンパク質の共存が確認され、いくつかのサンプルにおけるテストしたタンパク質の富化が解明される。
【0065】
1:バルク、2:画分7、3:画分8、4:画分9、5:画分8+9、6:陰性対照、nOD:標準化したOD、cap:キャプシド。
図18は、サンドイッチELISAアッセイを用いた非ヘルペスベースのCMV−VLP(配列番号18と組み合わされた配列番号22)の精製プロセスの特徴付けを示す図である。シグナルからVLP上でのタンパク質の共存が確認され、使用された膜吸着体(c2)のより優れた性能が解明される。
【0066】
指定されたタンパク質の共存に関して、2種の異なるクロマトグラフィーマトリックスからの溶出画分(モノリス:c1および膜吸着体:c2)をテストした。コンフォメーション依存性(UL130/UL131A)抗体でサンプルを捕捉し、抗gH、抗pp65、抗gBおよび抗gag(キャプシド)抗体で検出した。
【0067】
1:カラム1(c1)からの溶出画分、2:カラム2(c2)からの溶出画分、3:陽性対照、4:陰性対照。cap:キャプシド(前駆体gagタンパク質)。
図19は、サンドイッチELISAアッセイを用いたヘルペスベースのCMV−VLPの特徴付けを示す図である。
【0068】
2つ(
図19A、UL86およびUL80.5、配列番号2)または3つ(
図19B、UL86−UL85−UL80.5、配列番号3)の異なるキャプシドタンパク質;同じ外被タンパク質であるUL83(pp65)、および異なる表面タンパク質(gH−gL−gB−UL128−UL130−UL131A、配列番号18)でVLPを生産し、それに続く精製工程からの溶出画分をサンドイッチELISAで処理した。表面タンパク質に対するコンフォメーション依存性(UL130/UL131A)抗体でサンプルを捕捉し、外被および表面タンパク質に対する抗体(抗pp65、抗gHおよび抗gB)で検出した。両方のキャプシドタイプから、ただし異なる収量でVLPを得た。gBタンパク質の統合は、3種より多くのタンパク質からなるコアにとっては有益のようであった。1:バルク、2〜10:画分4〜12、11:陰性対照。
【0069】
図20は、非ヘルペスCMV−VLP(配列番号22/配列番号18)と五量体CMV複合体(配列番号59)との組み合わせにより誘導された細胞性免疫応答を示す図である。
【0070】
脾臓細胞を、回収後24時間に様々なペプチド(1〜7)で再刺激し、Th1−タイプサイトカイン、IFN−g(A)およびIL−2(B)、Th2−タイプサイトカイン、IL−4(C)、IL−5(D)およびIL−10(E)、ならびに炎症性サイトカイン、GM−CSF(F)およびTNFa(G)の放出を、製造元のプロトコール(インビトロジェン(Invitrogen))に従って多重アッセイで測定した。ペプチド2〜5は、(SYFPEITHIプログラムで)予測されたエピトープを有する九量体の混合物であり、それに対してペプチド6および7は、市販のもの(JPT、予め規定されたペプチドのミックス)を購入した。再刺激の対照として空のバキュロウイルスおよびPBS(mock)を使用した。
【0071】
1:mock、2:gH、3:gB、4:UL128/130、5:UL131/gL、6:pp65、7:gagキャプシド、ミックス:五量体およびVLP;BV:バキュロウイルス。
【0072】
図21は、ヒトCMV陽性血清を使用するワクチンのための、CMV VLPおよび単一の構成要素(可溶性複合体、配列番号59)の分析を示す図である。
非ヘルペスウイルスベースのCMV VLP(配列番号19と組み合わされた配列番号22)、ヘルペスウイルスベースのCMV VLP(配列番号19と組み合わされた配列番号48)、および可溶性複合体(配列番号59)を、CMV陽性ドナーからのヒト抗体と反応するそれらの能力に関してサンドイッチELISAアッセイでテストして、インビボでの実験を模擬した。異なるCMVタンパク質(gH、gB、UL83、UL85、UL86およびコンフォメーションベースのUL130/UL131A)、Gag、およびHisに対応する抗体でプレートをコーティングした。プレートを可溶性五量体複合体またはVLPのいずれかと共にさらにインキュベートし、その後、CMV陽性ヒト血清(HIV陰性ドナー)で処置した。HRPで標識されたヒト二次抗IgGを検出に使用した。
【0073】
(A)五量体複合体gH−gL−UL128−UL130−UL131A(配列番号59)を、サンドイッチELISAアッセイでヒト血清を用いて分析した。複合体中のgHおよびUL130/UL131Aは、ドナー血清(4人の異なる血清のミックス)中のヒト抗体によって認識される。1:五量体複合体;2:陰性対照(mock);(3)陽性対照(His−発現タンパク質)。
【0074】
(B)gagベースのCMV VLP gag−UL83−gL−gH−UL128−UL130−UL131A−gB−UL83(配列番号19と組み合わされた配列番号22)を、サンドイッチELISAアッセイでヒト血清を用いて分析した。これらのVLP中のUL83は、ドナー血清中のヒト抗体によって認識される。1:GagベースのCMV VLP;2:陰性対照(mock)。MoMULVのgagキャプシド(配列番号19と組み合わされた配列番号88)をベースとしたCMV VLPに関しても極めて類似した結果が得られた。
【0075】
(C)CMVベースのVLP UL86−UL85−UL83−UL80.5−UL74−gL−gH−UL128−UL130−UL131A−gB−UL83(配列番号19と組み合わされた配列番号48)を、サンドイッチELISAアッセイでヒト血清を用いて分析した。これらのVLP中の全てのタンパク質がドナー血清中のヒト抗体によって認識され、UL83、gH、UL85、UL86に関しては極めて明確なシグナルが生じた。1:gagベースのCMV VLP;2:陰性対照(mock)。CMV−VLPおよび可溶性複合体製造中の残りのバキュロウイルスは、ヒト血清の存在下で抗体に結合しなかった。
【0076】
発明の詳細な説明
本発明は、抗HCMVワクチンとして使用するための、抗HCMV処置における治療抗体を開発するための、診断ツールとして、および研究開発ツールとしての新規のウイルス様粒子に関する。本発明は、体液性および細胞性免疫応答を引き起こす非感染性の組換えCMV粒子を生成するいくつかの可能性を説明している。望ましい特性を有する生成物を得るために、様々なタンパク質の組み合わせが作製される。より具体的には、本発明は、異なるタンパク質組成物の多成分VLP変異体および組み合わせ、例えばVLP、タンパク質複合体、可溶性タンパク質、ならびに/またはDNAベースの組成物、例えばベクターならびにペプチドなどに的を絞っている。
【0077】
本発明の組換えVLPは、1〜6種のタンパク質(構築物にとって、主要なキャプシド、重要ではないキャプシド、最も小さいキャプシドタンパク質、および必須のタンパク質)のCMVキャプシドタンパク質の組み合わせのいずれかによって形成されたキャプシドをベースとするか、またはonaレトロウイルスの前駆タンパク質、特にgag、および/もしくはpr55と名付けられたレンチウイルスのヒト免疫不全ウイルス(HIV)のうち1種をベースとする。これらのキャプシドタンパク質に、CMV外被タンパク質および表面タンパク質から選択されるさらなるタンパク質が付加される。このようにして形成されたVLPは、分泌プロセス中に宿主細胞が供給するエンベロープで取り囲まれる。外被および表面タンパク質をそれらの天然のコンフォメーションで連結および/または埋め込むために、それら個々の膜アンカーが存在する。
【0078】
CMVウイルスは、少なくとも5種のキャプシドタンパク質(UL46、UL48A、UL85、UL86、UL104の遺伝子産物)、19種の調節タンパク質、17種の外被タンパク質(UL25、UL45、UL47、UL48、UL69、UL71、UL72、UL76、UL77、UL83、UL88、UL93、UL94、UL95、UL97、UL99、UL103の遺伝子産物)、5種の表面またはエンベロープタンパク質(UL55[gB]、UL73[gN]、U74[gO]、UL75[gH]、UL100[gM]、UL115[gL]の遺伝子産物)、オープンリーディングフレームからの未分類の遺伝子産物であるUL128、UL130、UL131A;15種のベータ−ヘルペスウイルス特異的遺伝子からのタンパク質(UL23、UL24、UL32、UL33、UL35、UL36、UL38、UL43、UL74[gO]、UL78、UL82、UL96、IRS1、US22、TRS1)、ならびにオープンリーディングフレーム(ORF)からのいわゆる機能性タンパク質であるUL50、UL80.5を含有することがこれまでわかっていることから、論理上最大1×10
64種の組み合わせが可能であると予想され、最も大きいVLPは40種より多くのタンパク質を含有する可能性があることから、調節タンパク質は考慮されていない。このウイルスの複雑さのために、これまで、組換えCMV VLPは存在していない。
【0079】
本発明において、用語「表面タンパク質」が使用されるが、用語「エンベロープタンパク質」と同じ意味である。
本発明は、1種またはそれより多くのキャプシドまたはキャプシド前駆タンパク質、サイトメガロウイルス(CMV)からの3種またはそれより多くの異なる表面タンパク質、および場合により1種またはそれより多くの外被タンパク質を含む組換えウイルス様粒子に関する。
【0080】
本発明の好ましい実施態様において、表面タンパク質は、pUL83(pp65)、gpUL75(gH)、gpUL55(gB)、gpUL100(gM)、gpUL73(gN)、gpUL74(gO)、gpUL115(gL)、gpUL75(gH)、gpUL128、gpUL130、およびgpUL131Aからなる群より選択され、好ましくはヒトCMVから選択される。それでも非ヒトCMV株のタンパク質が使用される可能性もある。このような非ヒトCMVタンパク質は、VLPにおいて免疫学的な機能ではなく構造的な機能をもたらす可能性がある。本発明に係る組換えVLPは、HSV(単純疱疹ウイルス)、EBV(エプスタイン−バーウイルス)、およびKSHV(カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス)などの他のヘルペスウイルスファミリーからのタンパク質を含んでいてもよい。
【0081】
種特異性、様々な細胞の指向性、および広範な免疫反応の誘導を引き起こすために、本発明のVLPは、多数のキャプシドおよび外被タンパク質と組み合わせた、1種より多くの表面タンパク質を含有する。
【0082】
他の好ましい実施態様において、CMVキャプシドタンパク質をベースとしたVLPは、6種のタンパク質pUL86、pUL85、pUL48A、pUL46、pUL50、およびpUL80.5から選択される1種のタンパク質またはタンパク質の組み合わせ、例えばこれらのタンパク質のうち2種、3種、4種、5種、また6種の組み合わせで構成される。本発明のさらなる形態において、VLPは、タンパク質pUL104を含む。
【0083】
非ヘルペスウイルスのキャプシドは、レトロウイルスファミリーからのレトロウイルス科、アルファ−、ベータ、ガンマ、デルタおよびイプシロンレトロウイルス、レンチウイルスファミリーまたはスプーマウイルスファミリーから選ばれる。レンチウイルスファミリーのなかでも、トリ(SIV)、ネコ(FIV)、ウシ(BIV)、およびヒト(HIV)前駆タンパク質gag(群特異的抗原)が、非ヘルペスウイルスベースのVLPを生成するためのキャプシドとして使用され、加えてネコ白血病ウイルス(FELV)、モロニーマウス白血病ウイルス(Mo−MuLV)、トリ白血病ウイルス(SLV)またはマウス肉腫ウイルス(MSV)のようなガンマレトロウイルスからの前駆タンパク質gagも使用される。非ヘルペスウイルスのキャプシドをベースとしたVLPは、好ましくはHIV前駆タンパク質gag(pr55)で構成され、このHIV前駆タンパク質gagは、マトリックス(MA、p17)、キャプシド(CA、p24)、ヌクレオキャプシド(NC、p7)、および連結(LI、p6)タンパク質部分で構成される前駆タンパク質である。
【0084】
異なるレトロウイルスファミリーメンバーからのgag前駆タンパク質の構築物に大きな差はないことが知られている。HIVのgagの他にも、同じサブユニットで構成されるMoMULVのgag変異体が、CMV VLP形成のために3種より多くの異なるCMV外被および/または表面タンパク質を有するレトロウイルスベースのキャプシドとして適しており、加えてワクチンの製造および規制当局による認可において有利である。MoMuLVのgag前駆タンパク質をベースとしたCMV VLP変異体構築物は、HIVのgagベースのVLP構築物に類似している。MoMULVのgagベースのCMV−VLPの収量、より優れた形状およびコンフォメーションに関して大きな利点はない。しかしながら、HIVベースのCMV VLPヒトワクチンとは対照的に、HIVに関する診断テストにおける偽陽性の結果が、MoMuLVのgagキャプシドをベースとしたCMV−VLPワクチンで予想されることはない。
【0085】
好ましいVLPは、それぞれのキャプシドタンパク質の上部に、UL83、UL25、UL32(pp150)、およびUL99からなる群より選択される1または2種の外被タンパク質、および5〜8種の表面タンパク質を含む。表面タンパク質は、好ましくは、UL75(gH)、UL115、(gL)、UL74(gO)、UL55(gB)、UL128、UL130、およびUL131AAからなる群より選択される。本発明のさらなる実施態様において、VLPはさらに、UL100(gM)およびUL73(gN)を含有していてもよい。本発明のVLPにおけるHCMVの表面タンパク質は、それらの天然のコンフォメーションで組換えキャプシド構造に提示され埋め込まれるように、それらそれぞれの膜アンカーと共に選択される。
【0086】
一実施態様において、CMVキャプシドは、主要なキャプシドタンパク質(UL86)のみを含有する。他のあらゆる実施態様において、キャプシドは、1種より多くのタンパク質からなる。好ましい実施態様において、VLPは、pUL86−pUL85−pUL80.5を、外被タンパク質であるpUL83およびppUL32(pp150)、ならびに表面タンパク質であるgpUL75(gH)、gpUL115(gL)、gpUL55(gB)、gpUL128、gpUL130、およびgpUL131Aと組み合わせてを含有する。同様に、上述した外被および表面タンパク質を、pUL86−pUL85−pUL48Aで構成されるキャプシド上で発現させることにより、コアを改善し、それゆえにVLP形状を改善することが好ましい。
【0087】
他の好ましい実施態様において、VLPはさらに、表面タンパク質gpUL74(gO)を含む。それにより粒子形成が強化され、防御免疫応答を誘導するタンパク質の量が多くなる。
【0088】
本発明のさらなる形態において、キャプシドおよび外被タンパク質は、別のヘルペスウイルス、例えば単純疱疹ウイルス、エプスタイン−バーウイルス、HHV−6(ロゼオロウイルス)またはHHV−7(バラ色粃糠疹)由来である。
【0089】
本発明のさらなる形態において、VLPは、非ヒトCMV由来の少なくとも1種の外被タンパク質および/または1種の表面タンパク質を含む。
本発明の他の実施態様において、VLPは、コイルドコイルモチーフを含むペプチドに融合した少なくとも2種の異なるタンパク質を含み、ここでコイルドコイルモチーフは、ジッパー機能を有し、対応するモチーフを有する前記少なくとも2種のタンパク質を連結するコイルドコイルモチーフを含むペプチドに融合している。コイルドコイルモチーフを含むペプチドに融合した好ましいタンパク質は、キャプシドタンパク質のうち1種、好ましくはUL86、および表面タンパク質のうち1種、好ましくはgpUL75であり、それにより構築物を支持して機能的なVLPを形成し、表面上の免疫原性タンパク質の量を増加させることができる。
【0090】
本発明の一実施態様において、多成分の組換えVLPを生成するためのタンパク質は、単一のCMV株から選ばれ、好ましくはタウン、トレド、AD169、マーリン、VR1814株、および/または臨床分離株から選択される。他の実施態様において、VLPを生成するためのタンパク質は、異なるCMV株から選択され、好ましくはタウン、トレド、AD169、マーリン、VR1814株、および/または異なる臨床分離株から選択される。
【0091】
異なるCMV株からのタンパク質配列を含むVLPは、数種の株に対する保護を付与し、類似の株による再感染および/または再活性化を予防する。考慮される異なるCMV株は、タウン、トレド、AD169、マーリン、TB20、およびVR1814株であり、それに加えて他の臨床分離株も考慮される。
【0092】
これらの株は、タウンおよびトレド株を使用したワクチン候補での第II相臨床試験の既存のデータ、よく特徴付けられたAD169ベースのデータ、および製造プロセスを分析するための市販のツールなどのいくつかの根拠に基づき考慮される。さらに臨床分離株VR1814は、線維芽細胞および上皮/内皮細胞などの異なる細胞型への浸入に重要な機能的な複合体を含有する。細菌人工染色体(BAC)から誘導され実験用に適合させたタウン株については、上皮細胞への浸入は、表面上の非機能的なタンパク質組成物のためにブロックされることが知られている。組換えCMV VLPに異なる株を組み合わせることにより、天然の機能不全は回避される。マーリンおよびTB20は、参照株として現在頻繁に使用されている。次世代の配列決定などの新しい技術により、CMV陽性ドナーからの免疫原性エピトープの決定が可能である。対応するウイルス(臨床分離株)の遺伝情報を使用して、改善されたワクチンを生成できる。それゆえにCMV VLPは、異なるウイルス株からのタンパク質で構成される。
【0093】
特にgpUL55、gpUL74、gpUL75、gpUL115、UL128、UL130、およびUL131A、ならびにCMVキャプシドタンパク質(複数可)またはレトロウイルスのgagキャプシドタンパク質のいずれかで構成されるVLPにおいて、タウンとVR1814とのタンパク質配列の組み合わせが好ましい。
【0094】
本発明のタンパク質組成物は、免疫原性タンパク質を含有し、したがって多数の異なるエピトープ、好ましくは体液性および細胞性免疫応答を刺激する種のエピトープを含有する。エピトープによって体液性免疫反応が活性化されると、このようなエピトープを含有するタンパク質に結合すると予想される抗体の生産が起こる。エピトープによって細胞性免疫応答が活性化されると、それらの表面上でこのようなエピトープを提示する細胞を殺す細胞毒性T細胞(また、T
C、CTL、T−キラー細胞、細胞溶解性T細胞、CD8+T細胞、またはキラーT細胞としも知られている)の生産が起こる。本明細書で理解されるようなエピトープは、反復エピトープでもよいし、より大きいタンパク質の一部、特に抗原の一部であってもよい。
【0095】
本発明のエピトープを含む様々なタンパク質は、例えば、gpUL75(gH)、gpUL115(gL)、UL128、UL130、UL131A、gpUL55(gB)、gpUL74(gO)、gpUL100(gM)、gpUL73(gN)、pUL86、pUL85、pUL80.5、pUL82、pUL83、pUL46、pUL48A、pUL50、pUL32、および前初期タンパク質IE−1である。
【0096】
好ましい実施態様において、VLPは、より広範な免疫反応を誘導するために、B細胞および/またはT細胞エピトープと組み合わされた単一または異なるHCMV株および/または非ヒトCMV株からのエピトープを含む。
【0097】
本発明の他の形態は、CDリガンド(例えばCD40L、CD19L)の包有物を含むVLPである。このようなVLPは、結果的にTh1またはTh2応答を引き起こす別個の経路を介して免疫反応を誘導する。
【0098】
本発明のさらなる形態は、CpGモチーフ、サイトカイン、および/またはベータグルカンを含むVLPであり、このようなVLPはB細胞活性化を直接開始させ、特異的なHCMVエピトープによって引き起こされる免疫反応を強化してその範囲を広げる。
【0099】
他の好ましい実施態様において、ウイルス様粒子は、完全なウイルス様表面を形成し、場合によりウイルスキャプシドタンパク質をさらに含むタンパク質からなる。本発明のウイルス様粒子は、蛍光タンパク質、粒子の精製目的または標識を付着させることに有用なタンパク質、および輸送プロセスに必要なタンパク質様構造をさらに含んでいてもよい。
【0100】
本発明は、キャプシド、場合により非ヒトおよび/またはヒトサイトメガロウイルスからの外被および/または表面タンパク質の複数の組み合わせを様々な量で含む組換えウイルス様粒子に関する。これらの粒子は、少なくともキャプシドタンパク質、好ましくは主要なキャプシドタンパク質であるUL86、ppUL83、ppUL32、pUL25、およびIE−1タンパク質からなる群より選択される外被タンパク質、ならびにgpUL75(gH)、gpUL115(gL)、gpUL128、gpUL130、gpUL131A、gpUL55(gB)、gpUL74(gO)、gpUL100(gM)、およびgpUL73(gN)からなる群より選択される表面タンパク質を含有する。表面タンパク質は、好ましくはヒトウイルス由来である。本発明のウイルス様粒子は、(a)1種のHCMV株または(b)異なるHCMV株および/または(c)非ヒトCMV様マウスまたはモルモットCMVのいずれかから選択された様々なタンパク質を含む、1またはそれより多くの、例えば1〜16種のタンパク質のいずれかからなる。好ましくは、単一のHCMV株からの1種もしくはそれより多くの、好ましくは2種もしくはそれより多くの異なるタンパク質、または異なるCMV株からの異なるタンパク質を含む組換えウイルス様粒子である。同様に好ましくは、1種またはそれより多くのキャプシドタンパク質、外被タンパク質であるpUL83およびppUL32、ならびに表面タンパク質であるgpUL55(gB)、gpUL74(gO)、ならびに/またはgpUL75(gH)、gpUL115(gL)、gpUL128、gpUL130、およびgpUL131Aからなる群より選択される五量体構造を形成するタンパク質を含む組換えウイルス様粒子である。本発明の組換えウイルス様粒子はまた、非ヘルペスウイルスのキャプシド、好ましくはレンチウイルスの前駆タンパク質gagをベースとしていてもよいし、さらにCMV表面タンパク質および場合によりCMV外被タンパク質で構成されていてもよい。
【0101】
好ましい実施態様において、本発明のウイルス様粒子は、以下を含む:
a.単一のCMV株または非ヘルペスウイルス株からの1種のキャプシドタンパク質;
b.単一のCMV株からの2種またはそれより多くのキャプシドタンパク質のミックス;
c.異なるCMV株からの2種またはそれより多くのキャプシドタンパク質のミックス;
d.単一のCMV株からの1種のキャプシド、1種の外被および1種の表面タンパク質の組み合わせ;
e.異なるCMV株からの1種のキャプシド、1種の外被および1種の表面タンパク質の組み合わせ;
f.単一のCMV株からの1種またはそれより多くのキャプシドタンパク質;1種またはそれより多くの外被タンパク質、および1種またはそれより多くの表面タンパク質の組み合わせ;
g.異なるCMV株からの1種またはそれより多くのキャプシドタンパク質;1種またはそれより多くの外被タンパク質、および1種またはそれより多くの表面タンパク質の組み合わせ;
h.追加のT細胞エピトープを含む、1種またはそれより多くのCMV株からの1種またはそれより多くのキャプシドタンパク質、1種またはそれより多くの外被タンパク質、および1種またはそれより多くの表面タンパク質の組み合わせ;
i.免疫回避に関与するタンパク質を排除した、1種またはそれより多くのCMV株からの、1種またはそれより多くのキャプシドタンパク質、1種またはそれより多くの外被タンパク質、および1種またはそれより多くの表面タンパク質の組み合わせ;
j.MHCIおよびMHCII発現の阻害に関与するタンパク質を排除した、1種またはそれより多くのCMV株からの1種またはそれより多くのキャプシドタンパク質、1種またはそれより多くの外被タンパク質、および1種またはそれより多くの表面タンパク質の組み合わせ;および
k.CD40L、CD19L、サイトカインおよび非メチル化CpGモチーフからなる群より選択される免疫反応を強化するタンパク質および/またはモチーフをさらに含む、1種またはそれより多くのCMV株からの1種またはそれより多くのキャプシドタンパク質、1種またはそれより多くの外被タンパク質、および1種またはそれより多くの表面タンパク質の組み合わせ;
l.例えばHis−タグ、ストレプトアビジン−タグ、myc−タグ、フラグ−タグ、およびSnap−タグからなる群より選択される精製および分析を容易にするタンパク質、ならびに例えばGFP、YFPおよびレッドチェリー(Red-cherry)からなる群より選択される蛍光タンパク質を有する、1種またはそれより多くのCMV株からの、1種またはそれより多くのキャプシドタンパク質、1種またはそれより多くの外被タンパク質、および1種またはそれより多くの表面タンパク質の組み合わせ;
m.化学物質および/または不活性なナノビーズとカップリングするためのさらなるタンパク質様構造または非タンパク質構造を含む、1種またはそれより多くのCMV株からの、1種またはそれより多くのキャプシドタンパク質、1種またはそれより多くの外被タンパク質、および1種またはそれより多くの表面タンパク質の組み合わせ。
【0102】
本発明において提供される大きく複雑なCMV VLPを得るための方策としては、CMVキャプシド、外被および/または表面タンパク質に関する遺伝子を包含する単一のベクターからの複数の遺伝子の共発現、同様にこれらの共発現ベクターのうちいくつかの共感染が挙げられる。
【0103】
これらの新規の多成分ウイルス様粒子、タンパク質複合体、および可溶性タンパク質の生産は組換え構築技術(rePAXとして知られている)に基づいており、この技術は、以下の工程:遺伝子の構築、様々な系のための発現コンストラクトの生成、タンパク質発現、精製、および生成物の特徴付けを包含する。プラットフォームとして好ましい発現系は、バキュロウイルス系(BEVS)または哺乳動物細胞系である。本発明の他の実施態様において、BacMamとして知られている両方の系の組み合わせが使用される。
【0104】
VLP、タンパク質複合体、および単一のタンパク質などの本明細書で説明されるタンパク質組成物は、特定の遺伝学的およびプロセス工学的なツールの使用により、より短時間で且つ無制限の量で生成される。例えば既述のrePAX技術および遺伝子合成などの現代の分子生物学的方法によって必要な遺伝子を構築する能力により、コード化DNAベクターの迅速な構築が可能になる。これらの技術の使用は、ウイルス様粒子、タンパク質複合体、および可溶性タンパク質の開発、製造または投与中の、場合により危険な感染性または発癌性を有する元の材料の物理的な移動まったく必要としない。したがって本発明のワクチンは安全である。本発明のタンパク質組成物を構築するためには、NCBIデータベースで入手可能なHCMVからのヌクレオチド配列を使用すれば十分である。
【0105】
本発明のVLPを形成するタンパク質をコードするDNA、およびウイルス性またはプラスミドベースのいずれかでこのようなDNAを含むベクターも、本発明の一部である。
BEVS系のための発現コンストラクトを生成するためには、好ましくは、大腸菌(E. coli)および酵母(例えばサッカロミセス・セレビジエ(Saccharomyces cerevisae))で増殖させるための要素、ならびに昆虫細胞でタンパク質発現させるための用途を含有するベクター主鎖pRBT136が使用される。
【0106】
哺乳動物系で発現させるためには、遺伝子の構築、相同組換えのための要素を含有するベクター主鎖pRBT393が使用され、哺乳動物細胞で発現させるためには、好ましくはHEK293、CHO、ヒト哺乳動物細胞(HFF)、および上皮細胞が好ましく使用される。
【0107】
異なる遺伝子の並行の構築は、相同フランキング領域を有し、発現カセット(プロモーター−対象の遺伝子−ターミネーター)を含有するPCR産物、または口蹄疫ウイルス2A切断部位などのプロテアーゼ切断部位と共に1つのオープンリーディングフレーム(ORF)に融合した単一の遺伝子との相同組換えによって行われる。プロモーターは、好ましくは、polh、p10、およびp
XIV超後期(very late)バキュロウイルスプロモーター、vp39バキュロウイルス後期プロモーター、vp39polhバキュロウイルス後期/超後期ハイブリッドプロモーター、pca/polh、pcna、etl、p35、egt、da26バキュロウイルス初期プロモーター;CMV−IE1、UBc、EF−1、RSVLTR、MT、p
DS47、Ac5、ならびにP
GALおよびP
ADHからなる群より選択される。ターミネーターは、好ましくは、SV40、HSVtk、およびBGH(ウシ成長ホルモン)からなる群より選択される。
【0108】
本発明で好ましく使用されるベクター主鎖pRBT136は、大腸菌のための複製起点、例えばpBR322ori、および酵母のための複製起点、例えば2ミクロンori、昆虫細胞で発現させるためのpolhおよびp10プロモーター、ターミネーターSV40およびHSVtk、数種の耐性マーカー(アンピシリン、ゲンタマイシン)、酵母選択マーカー(URA3)、トランスポゾン部位(Tn)、ならびに多重クローニング部位(MCS)を含有する。
【0109】
プロモーター−対象の遺伝子−ターミネーターを含有する発現カセットは、5’部位に35〜40ntのオーバーハングを有する5’部位で、さらに追加の異なる35〜40ntオーバーハングを有する3’部位でPCRによって増幅される。同じ構成を有する第二の発現カセットでの相同組換えのために、PCR産物は、5’部位に、前のPCR産物の3’部位に対して相補的な35〜40ntのオーバーハングの配列を含有する。第一のPCR産物の5’部位および第二のPCR産物の3’部位における残りのオーバーハングは、それぞれ直線状になったベクター(pRBT136)の3’および5’末端と相同である。次いで、酵母、好ましくはサッカロミセス・セレビジエ中で配列中の相同組換えが行われる。以前に説明した方策と並行して構築しようとする発現カセット/PCR産物の数は、構築しようとする遺伝子の必要な数に従って増加する。これは、複数の遺伝子/発現カセットが並行して構築されることを意味する。構築された遺伝子は、トランスポゾン部位を両側に有する。これらは、バキュロウイルスゲノムへの遺伝子の転位に使用される。得られたバキュロウイルス共発現ベクターにより、遺伝子が確実に同じ単一の細胞から共発現されるようになる。収量および産物の組成はタンパク質および生産パラメーターの数に応じて様々である。細胞株、感染時の細胞数(CCI)、組換えウイルス接種材料の量(重複感染度、MOI)、および回収時間(TOH)などの生産パラメーターは、マトリックスシステムおよび小規模の生産システム(2〜20ml;Ries,C.、John C.、Eibl R.(2011)、A new scale down approach for the rapid development of Sf21/BEVS based processes-a case study.In Eibl R.、Eibl D.(編集者):Single-use technology in Biopharmaceutical Manufacture、207〜213、ジョン・ワイリー&サンズ(John Wiley & Sons)、ニュージャージー州ホーボーケン)を使用した収量および初期の回収量に基づき決定される。次いで規定のパラメーターを使用して、それぞれの生成物をより大きいスケールで生産する。本発明の粒子は、高い製造能力をもたらす現代の使い捨ての組織培養技術を使用して製造される。
【0110】
本発明の好ましい生産細胞株は、昆虫細胞系であり、例えばSf9、Sf21、Hi−5、バンキリン(Vankyrin)(VE−1、VE−2、VE−3)、エクスプレス(Express)Sf+、およびS2シュナイダー(Schneider)細胞である。哺乳動物細胞、特にヒト細胞で発現させるためには、例えばHEK293、CHO、HeLa、Huh7、HepG2、BHK、MT−2、ヒト哺乳動物細胞(HFF)、骨髄線維芽細胞、一次神経細胞、または上皮細胞が使用される。酵母のS.セレビジエで発現させるためには、シゾサッカロミセス・ポンベ(S. pombe)、カンジダ・アルビカンス(C. albicans)、またはピチア・パストリス(P. pastoris)細胞が使用される。
【0111】
本発明に係る宿主細胞の培養および増殖は、特定の宿主細胞にとって適切な条件をもたらすあらゆる容器、バイオリアクターまたは使い捨てのユニットでなされる。
本明細書で説明されるCMV粒子は、超遠心分離法ベースの典型的なグリセロール−酒石酸塩およびスクロースの濃度勾配、または現代のクロマトグラフィーベースの技術、好ましくは、膜吸着体およびモノリスなどの大きい多孔質マトリックスを使用した親和性(アイマック)およびイオン交換クロマトグラフィーを使用して精製される。
【0112】
本発明のウイルス様粒子は、治療および/または予防ワクチンとして使用される。さらに本発明のウイルス様粒子は、診断ツールにおける抗原として、および抗体生成のための抗原として使用される。
【0113】
両方のタイプのワクチン、すなわち予防ワクチンまたは治療ワクチンのどちらにとっても、抗原特異的なCD8+、細胞毒性T細胞応答、加えて抗原特異的なCD4+、Tヘルパー細胞応答が最も重要である。それゆえに、VLPのタンパク質組成物は、例えば公知のT細胞刺激因子であるpUL83を発現することによってT細胞を誘導するように適合される。さらに予防ワクチンの様々な必要条件に対処するために、本発明は、VLP、可溶性タンパク質複合体、および単一のタンパク質の組み合わせを含有する。VLPの組成物は、免疫原性糖タンパク質(gpUL75、gpUL55)および別個の複合体の形成に必要なタンパク質(gpUL115、gpUL128、gpUL130、gpUL131A)が含有されるように適合される。これらの組み合わせは、可溶性五量体複合体[gpUL75(gH)、gpUL115(gL)、gpUL128、gpUL130、gpUL131A]およびウイルス様粒子の組み合わせ、1種またはそれより多くの単一の可溶性タンパク質(例えばpUL83、gpUL55)およびウイルス様粒子の組み合わせ、ならびにウイルス様粒子、五量体複合体、および単一の可溶性タンパク質の組み合わせを含む。これらの組み合わせは、一般的に免疫反応を強化することを目的としており、中和抗体の生成および長期にわたる応答を誘導する。中和抗体の誘導について、糖タンパク質であるgpUL75(gH)、gpUL115(gL)、およびgpUL55(gB)が必須の標的であり、したがって、CMV−VLP、好ましくはHCMV−VLPの表面上で発現される。
【0114】
本発明のさらなる形態は、プライム−ブーストレジメンにおける、好ましくはVLPでのプライムおよび五量体複合体でのブーストにおける、CMV−VLPおよび可溶性五量体複合体(gpUL75(gH)、gpUL115(gL)、gpUL128、gpUL130、gpUL131A)の使用である。五量体複合体でのプライムおよびVLPのブーストは、好適な接種スキームである。このようなプライム−ブーストシナリオにおけるVLPと、可溶性タンパク質および/またはVLPおよびDNAとの組み合わせは、本発明の他の形態である。
【0115】
さらなる形態において、本発明は、上述したような組換えウイルス様粒子を含むワクチン、特に、そのようなワクチンであって、gpUL75、gpUL115、gpUL128、gpUL130、およびgpUL131Aからなる五量体複合体、ならびに/またはgpUL75、gpUL115、gpUL55、gpUL74、gpUL100、およびgpUL73;もしくはgpUL128、gpUL130、およびgpUL131A;もしくはpUL83、IE−1、UL99、UL91、およびpp150からなる群より選択される可溶性CMVタンパク質をさらに含むワクチンに関する。このようなワクチンは、水酸化アルミニウム、アラム、AS01、AS02、AS03、AS04、MF59、MPL、QS21、ISCOM、IC31、非メチル化CpG、ADVAX、RNA含有調合物、およびフロイント試薬からなる群より選択されるアジュバントをさらに含んでいてもよく、それに加えて上記で定義されたような本発明のDNAも含んでいてもよい。
【0116】
先天性疾患になる機会を低下させるためには、母親の最初のCMV感染を予防する予防ワクチンが望ましいが、それに対して母親が活動性CMV感染と診断されているケースでは、有効な療法が求められる。
【0117】
予防方法において、本発明のVLPの医薬組成物が使用される。ヒトへの接種方法は、VLPを含む本発明の医薬組成物を10μg〜10mg/用量の範囲で使用する。平均的な70kgのヒトは、少なくとも単回の接種を受けると考えられる。好ましくは、0週目、8週目、および24週目に3回の用量を投与し、場合によりそれに続いて最後の免疫化の約12〜24ヶ月後に2回目の接種を行うことを含む投薬レジメンが選ばれる。好ましい投与経路は、皮下(sc)および筋肉内(im)投与であるが、皮内および鼻腔内も好適な投与である。
【0118】
本発明のVLPの医薬組成物は同様に、治療的処置方法でも使用される。処置目的でのヒトへの接種方法は、本発明のVLPを含む医薬組成物を10μg〜10mg/用量の範囲で使用する。平均的な70kgのヒトは、少なくとも単回の接種を受けると考えられる。好ましくは、0週目、8週目、および24週目に3回の用量を投与し、場合によりそれに続いて最後の免疫化の約12〜24ヶ月後に2回目の接種を行うことを含む投薬レジメンが選ばれる。本発明の医薬組成物は、女性の場合はVLPを5μg〜10mg/用量の範囲で含み、子供の場合はこの用量の半分である。
【0119】
処置のさらなる形態において、医薬組成物は、プライム−ブーストレジメンのための別々の、または組み合わされた医薬組成物として、VLP、五量体複合体、および/または可溶性タンパク質を含む。各構成要素は、それぞれ10μg〜10mg/用量の範囲で使用される。VLPと五量体複合体および/または可溶性タンパク質との組み合わせの医薬組成物の各構成要素は、それぞれ10μg〜10mg/用量の範囲内である。同様に異なる比率の構成要素も考えられる。平均的な70kgのヒトは、少なくとも1回の単一の接種を受けると考えられる。好ましくは、0週目、8週目、および24週目に3回の用量を投与し、場合によりそれに続いて最後の免疫化の約12〜24ヶ月後に2回目の接種を行うことを含む投薬レジメンが選ばれる。好ましい投与経路は、皮下(sc)および筋肉内(im)投与であるが、皮内および鼻腔内も好適な投与である。
【0120】
本発明の処置方法は、固形臓器、骨髄、および/または幹細胞の移植受容者にとって特に重要である。これらの患者にとって、迅速且つ有効なCD8+およびCD4+T細胞応答が重要である。この問題を処理するためには、本発明の医薬組成物は、10μg〜10mg/用量の範囲である。平均的な70kgのヒトは、少なくとも一回の接種を受けると考えられる。好ましくは、移植から0週前、2週前、および4週前に3回の用量を投与し、場合によりそれに続いて移植の約1、4、8週間後に2回目の接種を行うことを含む投薬レジメンが選ばれる。
【0121】
本発明に係るワクチンは、組換えウイルス様粒子、五量体複合体、および/または可溶性タンパク質を水溶液中で含み、場合により、当業界公知の追加の粘度を調節する化合物、安定化化合物、および/または免疫原性を増加させるアジュバントも含む。
【実施例】
【0122】
実施例1:組換え発現ベクターRBT136−7およびRBT136−9の構築
BEVS系のための発現コンストラクトを生成するために、大腸菌および酵母(例えばサッカロミセス・セレビジエ)で増殖させるための要素、ならびに昆虫細胞でタンパク質発現させるための要素を含有するベクター主鎖pRBT136が使用された。様々なVLP変異体に応じて、キャプシド、外被および表面タンパク質が提供されるように異なる遺伝子を選んだ。
【0123】
これらの遺伝子は、スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)に特異的に最適化された遺伝子合成によって生成され、以下のサイトメガロウイルス遺伝子のグループ:キャプシド区画からの第一のグループ、例えばpUL86、pUL85、pUL46、pUL48、pUL50、およびpUL80.5(UL80A);外被部分からの第二のグループ、例えばpUL83、pUL25、ppUL32、およびpUL99、ならびに表面部分からの第三のグループ、例えばgpUL55(gB)、gpUL75(gH)、gpUL115(gL)、gpUL74(gO)、gpUL100(gM)、gpUL73(gN)、gpUL128、gpUL130、およびgpUL131Aから選ばれる。HCMVキャプシドを構築するために、場合により機能的な遺伝子であるpUL48aおよびpUL50と組み合わせた、pUL86、pUL85、pUL46、およびpUL80aの複数の遺伝子の組み合わせを使用した。選ばれた外被はpUL83であり、それに対して表面はgpUL55(gB)、gpUL75(gH)、gpUL115(gL)、gpUL74(gO)、gpUL128、gpUL130、およびgpUL131Aから製造した。
【0124】
1つの発現ベクターへのpUL86−pUL85−pUL50−pUL48−pUL46−pUL83−pUL80.5−gpUL74(gO)の並行の構築、加えて第二の発現ベクター中でのgpUL75(gH)−gpUL115(gL)−gpUL128−gpUL130−gpUL131Aの構築を、プロモーター−遺伝子−ターミネータータイプの様々な発現カセットを提示するPCR産物の相同組換えによって行った。ベクター主鎖pRBT136は、大腸菌および酵母のための複製起点、昆虫細胞で発現させるためのpolhおよびp10プロモーター、ターミネーターSV40およびHSVtk、数種の耐性マーカー(アンピシリン、ゲンタマイシン)、トランスポゾン部位(Tn)、および多重クローニング部位(MCS)を含有する。プロモーター−UL86−ターミネーターを含有する発現カセットを、プライマーRBT155(TGATTTGATAATAATTCTTATTTAAC、配列番号63)を有する5’部位と、35〜40ntのオーバーハング(GGCTAGCTTTGTTTAACTTTAAGAAGGAGATACATCTAGA、配列番号64)を有する3’部位とでPCRによって増幅した。プロモーター−UL85−ターミネーターを含有する発現カセットでの相同組換えのために、PCRによって、前のPCR産物のC末端における35〜40ntのオーバーハングと相補的な配列を有するN末端でこの部分を増幅した。酵母(サッカロミセス・セレビジエ)で相同組換えが起こった。一晩の培養物を500×gで、25℃で5分遠心分離し、上清を吸引し、ペレットを水とトリス−EDTA−LiOAc緩衝液で洗浄した。ベクターをEcoRIおよびHindIII(1μl)で直線状にし、サケ精子DNA(8μl)と発現カセットを提示するPCR産物(1〜4μl)とを50μlの洗浄された酵母に添加し、30℃で30分インキュベートし、続いて42℃でヒートショックを与え、それぞれのアミノ酸欠失ウラシル非含有寒天プレートで平板培養し、3日間インキュベートした。酵母細胞を凍結(液体窒素、2分間)と融解(95℃、1分間)により溶解させて、得られたベクターを酵母細胞から単離した。同体積のクロロホルムを添加した後、2倍体積のエタノールでベクターを沈殿させた。沈殿したベクター(5μl)を50μlのコンピテントXL−1ブルー(ストラタジーン(Stratagene))に添加し、続いて製造元のプロトコールに従い形質転換を行った。氷上で30分インキュベートし、続いて42℃で45秒ヒートショックを与え、4℃で2分コールドショックを与え、200μlの2YT培地を添加し、37℃で1時間、220rpmでインキュベートした。次いで培養物を、100μgのアンピシリンおよび100μgのゲンタマイシンを含有する2YT寒天プレート上で平板培養した。増殖したクローンを、PCRスクリーニング、分析のための消化、および配列決定によって検証し、全ての構築された遺伝子の存在を証明した。
【0125】
遺伝子UL83およびUL80.5をベクターpRBT4に構築して、cre−lox組換えによってpUL86−pUL85−pUL50−pUL48−pUL46−gpUL74(gO)を含有するpRBT136と組み合わせた。合計体積が10μlになるようにして1μlのcre−リコンビナーゼを500ngのpRBT5およびpRBT136に添加し、37℃で30分インキュベートした。70℃で10分、熱不活性化した後、XL−1ブルーコンピテント細胞での形質転換を上記で説明したようにして行った。PCRスクリーニング、分析のための消化、および配列決定によってクローンを検証した。対応するバキュロウイルスゲノム(バクミド)を生成するために、配列決定したプラスミドを使用した。Tn7に向けられた転位によるコンピテントDH10MB細胞への部位特異的な相同組換えによって、対象の遺伝子を移した。10ngの配列決定したプラスミドを100μlのコンピテントDH10MB細胞に添加し、4℃で30分インキュベートした。42℃で45秒ヒートショックを与え、4℃で2分コールドショックを与えた後、400μlの2YT培地を添加し、37℃で4時間、220rpmでインキュベートし、耐性マーカーおよび青白スクリーニング用のIPTG/X−galに応じて抗生物質を含有する適切な2YT寒天プレート上で1:10希釈液を平板培養した。正しいクローンを選択し、増殖させ、BirnboimおよびDolyの方法(Nucleic Acids Res.1979;7(6):1513〜23)を使用してDNAを単離した。フージーン試薬(3μl、ロシュ(Roche)、スイス)を使用した昆虫細胞の最初のトランスフェクション(Sf9、1×10
6細胞
/6ウェル)のために4つの正しいバクミドクローン(各1μg)を選択し、組換え種ウイルス(V
0)を生成した。このウイルスを、200mlの培養物で0.05pfu/細胞の重複感染度(MOI)を使用して2回連続して増幅を行い、マスターの種ウイルス(V
1)および作業用種ウイルス(V
2)を生成した。作業用種ウイルスの感染力価を、典型的なプラークアッセイによって決定した。ウイルス希釈液(10
5〜10
8、体積1ml)を1×10
6細胞/6ウェルのSf9細胞培養に添加し、27℃で1時間インキュベートした。ウイルスを吸引した後、Sf900−1.3培地中の4%アガロースを用いて細胞をその上に重ねて置き、続いて加湿したチャンバー中27℃でインキュベートした。様々なコンストラクトの感染力価は、1〜5×10
7pfu/細胞の範囲であった。
【0126】
細胞株、感染時の細胞数(CCI)、組換えウイルス接種材料の量(重複感染度、MOI)、および回収時間(TOH)などの生産パラメーターを、50mlのバイオリアクター(カルティフラスク(Cultiflask)、ザルトリウス・ステディム(Sartorius Stedim))で20mlの昆虫細胞培養物を感染させることにより決定した。異なるCCIのマトリックス(0.5;1、2×10
6細胞/ml)、MOI(0.1、0.4、1、2、4)および回収時間(TOH)を7日間行って、収量の観点で最良の生産パラメーターを決定した(Ries,C.、John C.、Eibl R.(2011)、A new scale down approach for the rapid development of Sf21/BEVS based processes-a case study.In Eibl R.、Eibl D.(編集者):Single-use technology in Biopharmaceutical Manufacture、207〜213、ジョン・ワイリー&サンズ、ニュージャージー州ホーボーケン)。毎日のサンプリング、細胞数および生存率の決定によって生産を制御した。免疫ブロッティングおよびELISAによってサンプルを分析した。最高の強度(ドットブロット)および最高のOD(ELISA)と評価された収量の観点で最良の生産パラメーターは、感染(p.i.)後3日目に達成され、共感染に使用された各ウイルスで感染細胞数(CCI)は2×10
6細胞/mLであり、MOIは0.2であった。
【0127】
免疫ブロッティングのために、100μlの細胞培養サンプルを、ドット−ブロットチャンバー(バイオ・ラッド(BioRAD))を使用してろ過することによりニトロセルロースメンブレン(バイオ・ラッド)に晒した。5%の脱脂粉乳を含むトリスCl−トウィーン20(0.1%)溶液で30分、非特異的な結合部位ブロックした後、メンブレンを、外被タンパク質であるUL83に対する抗体と共に4℃で一晩インキュベートした。二次抗マウス抗体とカップリングしたアルカリホスファターゼ(セル・シグナリング(Cell signaling))と共にインキュベートした後、NBT/BCIP(サーモフィッシャー(ThermoFisher))溶液を用いてタンパク質の検出を行った。
【0128】
ELISAアッセイのために、96ウェルの吸着処理済みELISAプレート(ヌンク(Nunc))で、100μl/ウェルのコーティング緩衝液(0.1MのNa
2HPO
4、pH9)中で、収集された全ての細胞培養サンプルを1:10に希釈し、4℃で一晩インキュベートした。その後プレートを195μl/ウェルの洗浄緩衝液(1×PBS、0.05%トウィーン20)で3回洗浄し、続いて1×PBS溶液中の3%BSAを195μl/ウェルで用いて室温で1時間ブロックした。3回洗浄工程を行った後、3%BSA、1×PBS、0.05%トウィーン20、pH7中1μg/mlの濃度で特異的な抗体を添加し(100μl/ウェル)、室温で1時間インキュベートした。表面タンパク質であるgHの検出にはマウス抗gH(サンタクルーズ)抗体を使用し、それに対して外被タンパク質であるUL83の検証にはマウス抗UL83抗体(ウイルシー)を用いた。3回洗浄工程を行った後、適切な二次抗体(抗マウス−IgG−HRP、3%BSA、1×PBS、0.05%トウィーン20、pH7での1:1000希釈液)と共に1時間インキュベートした。VLPへの特異的な抗体(UL83、gH)の結合を、100μl/ウェルのTMP基質試薬(BDバイオサイエンス(BD Biosciences)、米国サンディエゴ;製造元のプロトコールに従った)を使用して検出し、その後、3〜15分後に100μlの1MのHClを用いて反応を止め、続いてマイクロプレートリーダーで450nmでOD測定を行った。
【0129】
以下に示すCMV−VLP変異体生成のための発現ベクター(pRBT136−x)を実施例1で説明されているようにして処理した。
略語:c:コンセンサス配列;H:His−タグ;SH:ストレプトアビジン−His−タグ;V:VR1814、pcI:プレシジョンプロテアーゼ、pcII:プレシジョンおよびTEVプロテアーゼ、DT:二量体化ツール。表1に記載の遺伝子の説明については、より短いHCMV学術名(gB、gH、gL、gO、加えて接頭辞のない「UL」、および接尾辞「A」のないUL48)を使用した。
【0130】
【表1-1】
【0131】
【表1-2】
【0132】
【表1-3】
【0133】
【表1-4】
【0134】
実施例2:発現ベクターpRBT136CMV−1;pRBT136CMV−8、およびpRBT136CMV−20
発現ベクターpRBT136CMV−1;pRBT136CMV−8、およびpRBT136CMV−20を得るために、対象の各遺伝子、すなわちUL86、UL55(gB)、およびgagを、BamHI(5’)およびHindIII(3’)での消化および同じ酵素で切断した主鎖pRBT136へのライゲーションによってpBluescriptベクターからサブクローニングした。20μlの総体積中の2μgの切断されたpRBT136、10μgのフラグメント、および1μlのT4−リガーゼ(NEB)を用いてライゲーションを行い、続いて実施例1で説明されているようにしてコンピテントXL−1ブルー細胞での形質転換を行った。
【0135】
実施例3:キャプシド変異体pRBTCMV−2のための発現コンストラクト
CMV−VLPを生成するためのキャプシド変異体pRBTCMV−2の発現コンストラクトを得るために、UL86を含有する発現カセットとUL83を有する別の発現カセットとを、実施例1で説明されているようにして並行して構築した。フォワードプライマーとしてRBT204(TGCTGCCCACCGCTGAGCAATAACTATCATAACCCCCGGAATATTAATAGATCATGG、配列番号65)およびリバースプライマーとしてRBT189(GTAGCGTCGTAAGCTAATACG、配列番号66)を使用して実施例2で説明されているようにしてライゲートすることにより、PCR産物をライゲートしてUL80.5発現カセットの統合を行った。
【0136】
実施例4:キャプシド変異体pRBTCMV−3のための発現コンストラクト
キャプシド変異体pRBTCMV−3のための発現コンストラクトを生成するために、変異体pRBTCMV−2のプラスミドを制限酵素AvrIIで切断した。遺伝子UL85を有する発現カセットをプライマーpRBT526(5’)およびpRBT189(3’)で増幅し、実施例1で説明されているような相同組換えによってプラスミドpRBTCMV−2に導入した。
【0137】
実施例5:CMV−VLP変異体5の発現、精製、および特徴付け
系統的な最適化(実施例1)の後に規定されたタンパク質発現パラメーターに従って、UL86−UL85−UL50−UL48−UL46−UL83−UL80.5−UL74−gH−gL−UL128−UL130−UL131Aを含むウイルス様粒子(VLP)を、使い捨ての1L振盪フラスコ(培養体積300mL)中で、それぞれ複数の遺伝子を含有する2種のバキュロウイルス(配列番号5および配列番号12)の共感染によりヨトウムシ(fall army worm)であるスポドプテラ・フルギペルダの細胞(Sf9)で生産した。生産パラメーターは以下の通りであった:感染時の最初の細胞数(CCI)は2×10
6細胞/mlであり、各ウイルス0.2pfu/mlの場合の重複感染度(MOI)は0.4pfu/mlであり、インキュベートは27℃で100rpmであった。感染後(p.i.)の3日目に生存率約80%で回収を行った。毎日のサンプリング、細胞数および生存率の決定により生産を制御した。分子量カットオフ(MWCO)が100kDaであり、フィルター領域が80ml/分の流速で0.02m
2であり(ザルトリウス・ステディム)、膜貫通圧力が1〜1.5barのハイドロサート・サートコン・スライス(Hydrosart Sartocon Slice)200カセットにより接線流ろ過を使用して、VLPを含有する上清を3倍濃縮した。2工程のグリセロール−酒石酸塩の濃度勾配超遠心分離によって保持液を精製した。第一の工程において、25mlの保持液を、6mLの30%スクロースクッション(w/v、50mMトリス、100mMのNaCl、pH7.4)上に載せ、SW28ローターを使用して、16000rpmおよび16℃で1.5時間ペレット化した。ペレットを0.5mlのTN緩衝液(50mMトリス、100mMのNaCl、pH7.4)に再懸濁した。グリセロール−酒石酸塩の濃度勾配(15〜35%酒石酸塩と混合した30%グリセロール、体積12ml)を調製し、0.5mlの精製前の材料に重ね合わせ、SW41ローターを使用して24000rpmおよび16℃で16時間遠心分離した。濃度勾配を上から0.9ml量で分画し、精製したVLPを生化学的方法によって分析した。製造元のプロトコールに従って150μlの異なる濃度勾配画分を4〜12%ビストリスNuPAGEゲル(インビトロジェン)にローディングし、MOPS泳動緩衝液を使用して150Vで15分間および180Vで45分間泳動した。ゲルをシンプリーブルー・セーフステイン(SimplyBlue SafeStain)試薬(インビトロジェン)で一晩染色し、水で脱色した。
【0138】
免疫ブロッティングのために、半乾式装置(バイオ・ラッド)を使用して19Vで1時間かけてニトロセルロースメンブレン(バイオ・ラッド)上にタンパク質を移した。非特異的な結合部位を5%脱脂粉乳含有トリスHCl−トウィーン20(0.1%)溶液で30分ブロックした後に、メンブレンを、外被タンパク質pUL83などの特異的なタンパク質に対する抗体と共に4℃で一晩インキュベートした。二次抗マウス抗体とカップリングしたアルカリホスファターゼ(セル・シグナリング)と共にインキュベートした後、NBT/BCIP(サーモフィッシャー)溶液を用いてタンパク質の検出を行った。
【0139】
総タンパク質を、96ウェルプレートの様式に合わせたブラッドフォードアッセイ(BCA、ピアース(Pierce))によって決定した。20μlの未知のサンプルまたは標準サンプルを180μlの緩衝液で希釈した。標準サンプルで3連で(純粋なウシ血清アルブミン)または未知のサンプルで連続2倍希釈を行った。ウェルごとに100μlの2×ストックブラッドフォード試薬(ピアース)を添加した。次いでプレートを混合し、マイクロタイタープレートリーダーで595nmで吸光度を測定した。グリセロール−酒石酸塩の濃度勾配での分画により得られた様々な画分中に含有されるCMV−VLPをさらに、外被UL83(マウス抗UL83、ウイルシー)および表面タンパク質であるgH(マウス抗gH、サンタクルーズ)に特異的な抗体の結合を調査することによって分析した。それゆえに、96ウェルの吸着処理済みELISAプレート中で異なる濃度勾配の画分を100μl/ウェルのコーティング緩衝液(0.1MのNa
2HPO
4、pH9)で1:10希釈し、4℃で一晩インキュベートした。その後プレートを195μl/ウェルの洗浄緩衝液(1×PBS、0.05%トウィーン20)で3回洗浄し、続いて195μl/ウェルの1×PBS溶液中の3%BSAで室温で1時間ブロックした。3回洗浄工程を行った後、3%BSA、1×PBS、0.05%トウィーン20、pH7中1μg/mlの濃度で特異的な抗体、抗表面抗体(抗gH)、加えて抗外被抗体(抗UL83)を添加し(100μl/ウェル)、室温で1時間インキュベートし、続いてさらに3回の洗浄工程を行った。検出のために適切な二次抗体(抗マウス−IgG−HRP、3%BSA、1×PBS、0.05%トウィーン20、pH7での1:1000希釈液)と共に1時間インキュベートした。VLPへの特異的な抗体の結合を、100μl/ウェルのTMP基質試薬(BDバイオサイエンス、米国サンディエゴ;製造元のプロトコールに従った)を使用して検出し、その後、3〜15分後に100μlの1MのHClを用いて反応を止め、続いてマイクロプレートリーダーで450nmでOD測定を行った。
【0140】
以下の表2は、実施例5で説明されているようにして発現、精製、および特徴付けられたCMV−VLP変異体の概説である。表1で説明した遺伝学的コンストラクトは、対応するバキュロウイルスの生成などのさらなる操作にそれらを使用する前に配列決定することによって品質管理された。生成したバキュロウイルスの完全性は、単一の遺伝子それぞれの存在に関してPCRベースで導入遺伝子を制御することによって品質管理された。表2に、タンパク質の、特にこれらCMV VLPの免疫原性表面タンパク質の収量および共局在などに関する製造および規制当局による認可に関する最も重要な特性を記載する。
【0141】
【表2-1】
【0142】
【表2-2】
【0143】
実施例6:五量体のCMV複合体の発現、精製、および特徴付け
系統的な最適化(実施例1、VLPに関して)に基づき規定されたタンパク質発現パラメーターによれば、使い捨ての2L振盪フラスコ(培養体積700ml)中で、単一のバキュロウイルス(配列番号59)からの共発現により、ヨトウムシであるスポドプテラ・フルギペルダ細胞(Sf9)でgpUL75(gH−His)−gpUL115(gL)−gpUL128−gpUL130−gpUL131Aを含む五量体のCMV複合体を生産した。生産パラメーターは以下の通りであった:感染時の最初の細胞数(CCI)は2×10
6細胞/mlであり、重複感染度(MOI)は0.25pfu/mlであり、インキュベートは27℃で100rpmでなされた。感染後(p.i.)の3日目に生存率約80%で回収を行った。毎日のサンプリング、細胞数および生存率の決定によって生産を制御した。複合体を含有する上清を、2×5mlのHisTrapカラム(GEヘルスケア(GE Healthcare))にローディングした。カラム体積の50倍量(CV、500mlと等量)でゼロから500mMの直線的な濃度勾配のイミダゾールを使用して複合体を精製した。異なるクロマトグラフ画分を生化学的方法によって分析した。150μlの様々な画分をアセトンで沈殿させて、30μlの20mMトリス,150mMのNaCl緩衝液、pH7.4に再懸濁した。4〜12%ビストリスNuPAGEゲル(インビトロジェン)にローディングするために、4×ローディング色素を製造元のプロトコールに従って添加し、続いてMOPS泳動緩衝液を使用して150Vで15分および180Vで45分電気泳動した。ゲルをシンプリーブルー・セーフステイン試薬(インビトロジェン)で一晩染色し、水で脱色した。濃縮しさらに精製するために、2回目のアイマッククロマトグラフィーを、1mlのHisTrapカラムを使用して、50のカラム体積にわたり0から500mMのイミダゾールの直線的な濃度勾配によって行った。1回目のアイマック工程と同様にクーマシー染色されたSDS−PAGEおよび抗His抗体を使用した免疫ブロッティングによって様々な画分を分析した。全ての複合体を含有する分画をプールし、濃縮して、50kDaカットオフのアミコン(Amicon)フィルターユニット(ミリポア(Millipore))を使用して5mlの最終容量にし、最終的な精製工程のためにサイズ排除カラム(XK16/69、スーパーデックス200pg)にローディングし、SDS−PAGE、続いてクーマシー染色および抗His抗体を使用した免疫ブロッティングによって分析した。総タンパク質を、96ウェルプレートの様式に合わせたブラッドフォードアッセイ(BCA、ピアース)によって決定した。20μlの未知のサンプルまたは標準サンプルを180μlの緩衝液で希釈した。標準サンプルで3連で(純粋なウシ血清アルブミン)または未知のサンプルで連続2倍希釈を行った。ウェルごとに100μlの2×ストックブラッドフォード試薬(ピアース)を添加した。次いでプレートを混合し、マイクロタイタープレートリーダーで595nmで吸光度を測定した。クロマトグラフベースの精製からの様々な画分中に含有される五量体のCMV複合体をさらに、gpUL75に付加されたHis−タグ(gH、マウス抗His、AbDセロテック)およびgpUL75それ自身(gH、マウス抗gH、サンタクルーズ)に特異的な抗体の結合を調査することによって分析した。したがって異なるサンプルを、96ウェルの吸着処理済みELISAプレート中で、100μl/ウェルのコーティング緩衝液(0.1MのNa
2HPO
4、pH9)で1:10希釈し、4℃で一晩インキュベートした。その後プレートを195μl/ウェルの洗浄緩衝液(1×PBS、0.05%トウィーン20)で3回洗浄し、続いて1×PBS溶液中の3%BSAを195μl/ウェルで用いて室温で1時間ブロックした。3回洗浄工程を行った後、3%BSA、1×PBS、0.05%トウィーン20、pH7中1μg/mlの濃度で特異的な抗体、抗His抗体(抗His)、加えて抗gpUL75(抗gH)を添加し(100μl/ウェル)、室温で1時間インキュベートし、続いてさらに3回の洗浄工程を行った。検出のために、適切な二次抗体(抗マウス−IgG−HRP、3%BSA、1×PBS、0.05%トウィーン20、pH7での1:1000希釈液)と共に1時間インキュベートした。五量体複合体への特異的な抗体の結合を、100μl/ウェルのTMP基質試薬(BDバイオサイエンス、米国サンディエゴ;製造元のプロトコールに従った)を使用して検出し、その後、3〜15分後に100μlの1MのHClを用いて反応を止め、続いてマイクロプレートリーダーで450nmでOD測定を行った。
【0144】
実施例7:生成した構築物の電子顕微鏡法による視覚的な検証
精製されたVLPの形状を検証するために、電子顕微鏡法を行った。銅で被覆されたEMグリッド上で1滴10μlのVLPサンプルを10分インキュベートし、5μlの蛍光体のタングステン酸で5〜10分染色し、水で2回、1分脱色した。ワットマン(Whatman)ペーパーでグリッド上の液体を除去し、グリッドをJEOL3000顕微鏡に移し、粒子を調査しその写真を撮った。
【0145】
実施例8:サンドイッチELISAの使用による結合アッセイ
結合アッセイとしてサンドイッチELISAを行い、異なるreVLP(組換えVLP)の表面タンパク質の存在および接近容易性を決定した。したがって3%BSA、1×PBS、0.05%トウィーン20、pH7中1μg/mlの濃度で特異的な表面および/または外被抗体を、96ウェルの吸着処理済みELISAプレート中のコーティング緩衝液(0.1MのNa
2HPO
4、pH9)に添加し(100μl/ウェル)、4℃で一晩インキュベートした。その後プレートを195μl/ウェルの洗浄緩衝液(1×PBS、0.05%トウィーン20)で3回洗浄し、続いて1×PBS溶液中の3%BSAを195μl/ウェルで用いて室温で1時間ブロックした。3回洗浄工程を行った後、3%BSA、1×PBS、0.05%トウィーン20、pH7中の1:10希釈液中の異なるVLPを添加し(100μl/ウェル)、室温で1時間インキュベートした。3回洗浄工程を行った後、3%BSA、1×PBS、0.05%トウィーン20、pH7中1μg/mlの濃度で特異的な抗体、抗表面抗体(抗gH、抗gB)、加えて抗外被抗体(抗UL83)を添加し(100μl/ウェル)、室温で1時間インキュベートし、続いてさらに3回の洗浄工程を行った。検出のために、適切な二次抗体(抗マウス−IgG−HRP、3%BSA、1×PBS、0.05%トウィーン20、pH7での1:1000希釈液)と共に1時間インキュベートした。VLPへの特異的な抗体の結合を、100μl/ウェルのTMP基質試薬(BDバイオサイエンス、米国サンディエゴ;製造元のプロトコールに従った)を使用して検出した。3〜15分後に100μlの1MのHClを用いて反応を止め、続いてマイクロプレートリーダーで450nmでOD測定を行った。
【0146】
実施例9:マウスにおけるインビボの研究
インビボでの研究のために、プライム−ブースト−ブーストレジメンでBalb/Cマウスを使用した。各グループは8匹のマウスで構成され、各マウスに注射1回あたり20μgのタンパク質を与えた。組み合わせるために(CMV−reVLP+五量体複合体)、総量40μgのタンパク質を注射した。マウス検疫(0日目)の14日後に免疫前の血清を採取した。10日後に1回目の注射を行い、続いて42日目にブースター注射を行った。49日目に第一の採血を行った。61日目に2回目のブースター注射を行い、続いて70日目にさらなる採血を行った。85日目に最後の採血を行い、続いて体液性および細胞性免疫応答を調査した。
【0147】
実施例10:中和アッセイに基づく体液性免疫反応
実施例9からのマウス血清の中和アッセイによって、CMV陰性およびCMV陽性ヒト血液ドナーからの血清と比較して、CMV−reVLP(vRBT−20)および五量体複合体(配列番号:59)の組み合わせをベースとしたワクチン候補の体液性免疫反応を調査した。分析上の理由(fix−EGFP)のためにGFP分子を有するBAC(細菌人工染色体)で再構成されたVR1814株を、線維芽細胞(MRC−5)および上皮(ARPE−19)細胞に感染させるために使用して、実施例9からのマウス血清の中和能を可視化した。10%FCS(ウシ胎児血清)を含有するRPMI培地中の96ウェルプレートに2×10
4細胞/ウェルを植え付けた。8匹のマウスの血清プールを作製し、これを、100μl/ウェルのRPMI/FCS培地中で、連続2倍希釈(1:20〜1:2560)で添加した。上述したfix−EGFP VR1814ウイルスを、予備アッセイで決定された1000ウイルス分子/ウェルの感染能のある用量(TCID)で組織培養に添加した。96ウェルプレートを、CO
2制御された雰囲気中で37℃で8日間インキュベートした。プレートリーダーで、以下のパラメーターを用いて緑色細胞の決定を行った:フルオレセイン−フィルター[励起485/20、放出530/25)、ボトムリーディングモード、時間:0.1秒、96時間インキュベート後に測定25回/ウェル。50%のウイルス感染阻害を示すことができる血清の希釈率として中和効力を決定した。以下の対照:細胞対照(細胞+PBS)、ウイルス対照(感染させた細胞のみ)、ならびにヒト血液ドナーからの5種のCMV陽性および5種のCMV陰性血清を試験した。
【0148】
実施例11:EliSpotデータ(多重アッセイ)に基づく細胞性免疫応答
インビボでの研究の85日目に(実施例9)、マウスを殺し、10種の異なるサイトカインを分析するために脾細胞を調製した。脾細胞の再刺激のために、CMV−reVLP、加えて合成ペプチドのミックスを使用した。以下のタンパク質を検証した:HIVgag、pUL83、gpUL75、gpUL115、gpUL55、gpUL128、gpUL130、およびgpUL131A。数種のバイオインフォマティクスアルゴリズムを使用して各タンパク質のエピトープ予測を行った。脾細胞の再刺激のために、タンパク質ごとに4種のペプチドのミックスを作製した。HIVgagについては、市販の130種のペプチドのペプチドミックス(JPT、ベルリン)を使用した。サイトカイン(IFN−ガンマ、IL−1ベータ、IL−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−10、IL−12、gCMSF、およびTNFアルファ)を、インビトロジェン製の多重アッセイキットによって、製造元のプロトコールに従い調査した。
【0149】
実施例12:CMV陽性血清中に存在する抗体の反応に基づく結合アッセイ
ワクチンの一部としての様々なCMV VLPおよび可溶性複合体を特徴付けるために、サンドイッチELISA様式での二重結合アッセイを行った。精製されたモノクローナル抗体とHCMV陽性血液ドナーの血清ミックス中に存在する抗体との組み合わせによって、様々なreVLPのキャプシド、外被および表面タンパク質の存在および接近容易性を調査した。したがって抗gH、抗gB、抗UL83、抗UL86、抗UL85、抗UL130/UL131A、抗gag、抗Hisなどの抗CMVモノクローナル抗体を、96ウェルの吸着処理済みELISAプレート(100μl/ウェル)中で、コーティング緩衝液(0.1、0.1MのNa
2HPO
4、pH9)で最終濃度1μg/mlに希釈し、4℃で一晩インキュベートした。その後プレートを195μl/ウェルの洗浄緩衝液(1×PBS、0.05%トウィーン20)で3回洗浄し、続いて1×PBS溶液中の3%BSAを195μl/ウェルで用いて室温で1時間ブロックした。3回洗浄工程を行った後、3%BSA、1×PBS、0.05%トウィーン20、pH7で1:10に希釈された様々なCMV VLPおよび可溶性複合体を添加し(100μl/ウェル)、室温で1時間インキュベートした。3回洗浄工程を行った後、3%BSA、1×PBS、0.05%トウィーン20、pH7で1:300に希釈された4種のCMV陽性ヒト血清のミックスを添加し(100μl/ウェル)、室温で1時間インキュベートし、続いてさらに3回の洗浄工程を行った。
【0150】
検出のために、適切な二次抗体(抗ヒト−IgG−HRP、3%BSA、1×PBS、0.05%トウィーン20、pH7での1:1000希釈液)と共に1時間インキュベートした。VLPおよび可溶性複合体で構成されるタンパク質へのヒト血清中に存在する抗体の結合を、100μl/ウェルのTMP基質試薬(BDバイオサイエンス、米国サンディエゴ;製造元のプロトコールに従った)を使用して検出した。3〜15分後に100μlの1MのHClを用いて反応を止め、続いてマイクロプレートリーダーで450nmでOD測定を行った。一方の側におけるモノクローナル抗体への結合と他方の側におけるCMV陽性血清中に存在する抗体への結合とに基づくCMV VLPおよび可溶性複合体の完全性を検証するために、この種のサンドイッチアッセイを選んだ。血清中でのヒト抗体への結合から、CMV VLPおよび可溶性複合体のタンパク質の接近容易性が示された。
【0151】
実施例13:CMV陽性ドナーからの血清を使用した様々なCMV−reVLPおよび可溶性複合体の特徴付け
異なるCMV−reVLP変異体を実施例5で説明されているようにして生産し、スクロースクッションベースの超遠心分離法によって濃縮した。25mlの細胞培養上清を、6mLの30%スクロースクッション(w/v、50mMトリス、100mMのNaCl、pH7.4)上に載せ、SW28ローターを使用して20,000rpmおよび16℃で1.5時間ペレット化した。ペレットを0.2〜0.4mlのTN緩衝液(50mMトリス、100mMのNaCl、pH7.4)に再懸濁した。50μlの再懸濁したペレットを、製造元のプロトコールに従って4〜12%ビストリスNuPAGEゲル(インビトロジェン)上にローディングし、MOPS泳動緩衝液を使用して150Vで15分間および180Vで60分間泳動した。ゲルをシンプリーブルー・セーフステイン試薬(インビトロジェン)で一晩染色し、水で脱色した。
【0152】
免疫ブロッティングのために、半乾式装置(バイオ・ラッド)を使用して19Vで1時間かけてニトロセルロースメンブレン(バイオ・ラッド)上にタンパク質を移した。非特異的な結合部位を5%脱脂粉乳含有トリスCl−トウィーン20(0.1%)溶液で30分ブロックした後に、5%脱脂粉乳含有トリスCl−トウィーン20(0.1%)で1:500希釈した、マウスからの血清(1グループあたり8匹のマウスのプール)または実施例10に記載のヒト血液ドナーからの血清のいずれかと共にメンブレンを4℃で一晩インキュベートした。二次抗マウス抗体とカップリングしたアルカリホスファターゼ(セル・シグナリング)と共にインキュベートした後、NBT/BCIP(サーモフィッシャー)溶液を用いてタンパク質の検出を行った。