【実施例】
【0092】
[実施例1]
フルチカゾンフランカルボン酸エステルとレボカバスチン塩酸塩とを含有する鼻腔製剤
鼻腔内送達用の製剤は、以下のような成分から調製され得る。
【0093】
【表1】
【0094】
必要であれば、pHを6〜8に調整するために、塩酸又は水酸化ナトリウムを添加することができる。
【0095】
[実施例2]
実施例1の製剤を調製する方法
製剤は、下記のフロー図に従い調製され得る。
【0096】
【表2】
レボカバスチンHCl塩は、本発明の製剤(例えば、実施例1及び2に記載するような)の調製期間中にレボカバスチン遊離塩基に変換することが判明した。レボカバスチン遊離塩基の形態1及び2が、HCl塩の形態スクリーン中において、及びpH溶解度試験中において認められた。実施した競合熟成実験から、レボカバスチン形態1が最も安定な形態の遊離塩基であることが示唆される。驚くべきことに、最終製剤中の遊離塩基の形態は、
19F ssNMRにより形態3と確認された。
【0097】
以下に、レボカバスチン遊離塩基について認められた形態に関する情報を提供する。
【0098】
レボカバスチン遊離塩基の多形形態の調製
レボカバスチン遊離塩基形態1
レボカバスチンHClのスラリー(1.0g)を、反応装置に添加し、4mMリン酸ナトリウムバッファー(pH7.5)100mlと混合した。当該スラリーを1.0NのNaOHで滴定し、pHを約7とした。次に、スラリーを60℃まで加熱し、終夜撹拌した。固形分を減圧濾過により単離した。
【0099】
レボカバスチン遊離塩基形態2
レボカバスチンHClのスラリー(1.0g)を、反応装置に添加し、4mMリン酸ナトリウムバッファー(pH7.5)100mlと混合した。当該スラリーを1.0NのNaOHで滴定し、pHを約7とした。固形分を20℃で減圧濾過により単離した。
【0100】
レボカバスチン遊離塩基形態3
形態3を2通りの方法で調製した。
【0101】
調製1:非種結晶(unseeded)レボカバスチンHCl(100mg)をメタノール5mlに約40℃で溶解した。0.1MのNaOH2.2mlを、約30℃の溶液に添加した。NaOH溶液、約1mlを添加した後、結晶化が認められた。得られた溶液を、結晶化が完了するまでゆっくりと添加した。材料を濾過し、特徴付けのためにバイアルに配置した。
調製2:種結晶(seeded)レボカバスチンHCl(2.5g、5.47mmol)及びメタノール(125ml)を、反応装置に添加し、60℃まで加熱してすべての固形分を溶解した。調製物1の種結晶を、混合物に添加すると、固形分が認められた。0.1NのNaOHの残りを滴下漏斗により60℃で30分かけて添加した。4時間かけて20℃まで冷却し、終夜維持した。固形分を減圧濾過により単離し、漏斗上で2時間乾燥した。当該バッチを減圧濾過により、40℃で4時間、真空下で更に乾燥した。材料を乾燥固形分(2.1g)として単離した。
【0102】
X線粉末回折(XRPD)
レボカバスチン多形形態のX線粉末回折(XRPD)データを、PANalytical X'Pert Pro powder回折計、モデルPW3040 Pro上にて、X'Celerator検出器を用いて取得した。取得条件は、照射:Cu Kα、発電機電圧:45kV、発電機電流:40mA、ステップサイズ:0.017°2θ、1ステップ当たりの時間:500秒、入射ビーム光学:ミラー光学-Cu W/Si(集束式MPD)、1/2度固定式発散スリット、0.02ラジアンソーラスリット、回折ビーム光学:固定式1/4度散乱防止スリットに取り付けられたプログラム可能な散乱防止スリットアセンブリ(X'celeratorモジュール)、0.02ラジアンソーラスリット、測定温度:20〜25℃であった。サンプルは、1.0mmのキャピラリーにサンプルを充填して調製した。PANalytical X'Pert Highscore Plusソフトウェアを用いてピーク位置を求めた。許容誤差は各ピークアサインメントにつき約±0.1°2θである。
【0103】
図4は、レボカバスチン無水結晶形態1のXRPDを表す。一実施形態では、本発明の製剤は、多形形態1のレボカバスチンを提供し、この形態は、約5.6、14.0、16.3、16.4、17.4、18.0、18.3、21.7、23.2°±0.1に、2θ(度)で表される特徴的なピークを有するX線粉末回折(XRPD)パターンを示す。
【0104】
図5は、レボカバスチン無水結晶形態2のXRPDを表す。一実施形態では、本発明の製剤は、多形形態2のレボカバスチンを提供し、この形態は約6.7、7.1、9.6、10.0、14.2、15.2、16.0、16.7、19.8、21.1、28.4°±0.1に、2θ(度)で表される特徴的なピークを有するX線粉末回折(XRPD)パターンを示す。
【0105】
図6は、レボカバスチン無水結晶形態3のXRPDを表す。一実施形態では、本発明の製剤は、多形形態3のレボカバスチンを提供し、この形態は約5.6、8.6、9.9、11.7、14.7、16.1、16.3、16.5、16.8、17.2、18.0、21.3、21.5、22.0、27.3°±0.1に、2θ(度)で表される特徴的なピークを有するX線粉末回折(XRPD)パターンを示す。
【0106】
固体NMR(SSNMR)
図7〜13の
13C及び
19F固体NMRデータを、499.98MHzの
1H周波数で作動するBruker社製Avance 500三重共鳴分光光度計を用いて取得した。提示する
13C SSNMRスペクトルは、Bruker社製4-mm三重共鳴マジック角回転プローブによる交差分極パルスシーケンスを用いて、8kHzのローター周波数にて得た。交差分極効率を増強するために、
1Hチャンネルについて75〜90kHzの線形出力ランプを用いた。5-パルス全サイドバンド抑制パルスシーケンスにより、スピニングサイドバンドを取り除いた。Spinal-64シーケンスを用いて、
1Hデカップリングを実現した。提示する
19F SSNMRスペクトルは、Bruker社製4-mm三重共鳴マジック角プローブによる交差分極パルスシーケンスを用いて、12.5又は13.0kHzのローター周波数にて得た。特徴的な
13C及び
19FのNMRピーク位置は、0ppm(百万分の一)のテトラメチルシランと比較して報告され、装置上の変動及び校正に起因して精度は±0.2ppmである。
【0107】
図7は、無水結晶形態1のレボカバスチンについて、その
13C固体NMR(SSNMR)スペクトルを表す。固体NMRスペクトルを、本明細書に記載する手順に基づき、
13Cの測定につき125.73MHzの周波数、及び8kHzのスピニングスピードで作動する分光光度計上で得た。低強度のピークは、試験対象バッチ中に存在する少量の形態3の結果である。
【0108】
一実施形態では、本発明の製剤は、
図7と実質的に同一の
13C固体核磁気共鳴(SSNMR)スペクトルにより特徴付けられる無水結晶形態1のレボカバスチンを提供するが、この場合、SSNMRスペクトルは、Bruker社製4-mm三重共鳴マジック角回転プローブによる交差分極パルスシーケンスを用いて、
13C測定につき125.73MHzの周波数で作動する分光光度計上で、8kHzのローター周波数にて得た。
【0109】
更なる実施形態では、本発明の製剤は、178.9±0.2、164.6±0.2、162.2±0.2、143.8±0.2、135.7±0.2、130.7±0.2、127.9±0.2、126.7±0.2、124.0±0.2、122.4±0.2、119.4±0.2、115.8±0.2、61.6±0.2、55.4±0.2、53.1±0.2、43.1±0.2、39.6±0.2、36.6±0.2、34.8±0.2、33.9±0.2、25.8±0.2、20.6±0.2、及び15.3±0.2ppmに化学シフトを有する
13C SSNMRスペクトルにより特徴付けられる無水結晶形態1のレボカバスチンを提供する。
【0110】
図8は、無水結晶形態1のレボカバスチンについて、その
19F固体NMR(SSNMR)スペクトルのアイソトロピック領域を表す。全マジック角回転スペクトルも提示する(挿入図)。固体NMRスペクトルを、本明細書に記載する手順に基づき、
19F測定につき470.40MHzの周波数、及び12.5kHzのスピニングスピードで作動する分光光度計上で得た。-116.5ppmの
19F共鳴は、試験対象バッチ中に存在する少量の形態3である。
【0111】
一実施形態では、本発明の製剤は、
図8と実質的に同一の
19F固体核磁気共鳴(SSNMR)スペクトルにより特徴付けられる無水結晶形態1のレボカバスチンを提供するが、この場合、SSNMRスペクトルは、Bruker社製4-mm三重共鳴マジック角回転プローブによる交差分極パルスシーケンスを用いて、
19F測定につき470.40MHzの周波数で作動する分光光度計上で、12.5kHzのローター周波数にて得た。
【0112】
更なる実施形態では、本発明の製剤は、-110.7±0.2ppmにアイソトロピック化学シフトを有する
19F SSNMRスペクトルにより特徴付けられる無水結晶形態1のレボカバスチンを提供する。
【0113】
図9は、無水結晶形態2のレボカバスチンについて、その
13C固体NMR(SSNMR)スペクトルを表す。固体NMRスペクトルを、本明細書に記載する手順に基づき、
13C測定につき125.73MHzの周波数、及び8kHzのスピニングスピードで作動する分光光度計上で得た。
【0114】
一実施形態では、本発明の製剤は、
図9と実質的に同一の
13C固体核磁気共鳴(SSNMR)スペクトルにより特徴付けられる無水結晶形態2のレボカバスチンを提供するが、この場合、SSNMRスペクトルは、Bruker社製4-mm三重共鳴マジック角回転プローブによる交差分極パルスシーケンスを用いて、
13C測定につき125.73MHzの周波数で作動する分光光度計上で、8kHzのローター周波数にて得た。
【0115】
更なる実施形態では、本発明の製剤は、175.5±0.2、163.8±0.2、161.4±0.2、145.9±0.2、132.2±0.2、129.5±0.2、128.5±0.2、127.7±0.2、126.9±0.2、125.1±0.2、114.6±0.2、113.0±0.2、69.2±0.2、56.4±0.2、52.8±0.2、51.9±0.2、39.6±0.2、37.3±0.2、31.4±0.2、27.0±0.2、25.9±0.2、25.4±0.2、及び14.7±0.2ppmに化学シフトを有する
13C SSNMRスペクトルにより特徴付けられる無水結晶形態2のレボカバスチンを提供する。
【0116】
図10は、無水結晶形態2のレボカバスチンについて、その
19F固体NMR(SSNMR)スペクトルのアイソトロピック領域を表す。全マジック角回転スペクトルも提示する(挿入図)。固体NMRスペクトルを、本明細書に記載する手順に基づき、
19F測定につき470.40MHzの周波数、及び12.5kHzのスピニングスピードで作動する分光光度計上で得た。
【0117】
一実施形態では、本発明の製剤は、
図10と実質的に同一の
19F固体核磁気共鳴(SSNMR)スペクトルにより特徴付けられる無水結晶形態2のレボカバスチンを提供するが、この場合、SSNMRスペクトルは、Bruker社製4-mm三重共鳴マジック角回転プローブによる交差分極パルスシーケンスを用いて、
19F測定につき470.40MHzの周波数で作動する分光光度計上で、12.5kHzのローター周波数にて得た。
【0118】
更なる実施形態では、本発明の製剤は、-111.6±0.2ppmにアイソトロピック化学シフトを有する
19F SSNMRスペクトルにより特徴付けられる無水結晶形態2のレボカバスチンを提供する。
【0119】
図11は、無水結晶形態3のレボカバスチンについて、その
13C固体NMR(SSNMR)スペクトルを表す。固体NMRスペクトルを、本明細書に記載する手順に基づき、
13C測定につき125.73MHzの周波数、及び8kHzのスピニングスピードで作動する分光光度計上で得た。低強度ピークは、試験対象バッチ中に存在する少量の形態1の結果である。
【0120】
一実施形態では、本発明の製剤は、
図11と実質的に同一の
13C固体核磁気共鳴(SSNMR)スペクトルにより特徴付けられる無水結晶形態3のレボカバスチンを提供するが、この場合、SSNMRスペクトルは、Bruker社製4-mm三重共鳴マジック角回転プローブによる交差分極パルスシーケンスを用いて、
13C測定につき125.73MHzの周波数で作動する分光光度計上で、8kHzのローター周波数にて得た。
【0121】
更なる実施形態では、本発明の製剤は、177.3±0.2、164.2±0.2、161.9±0.2、143.7±0.2、137.8±0.2、127.7±0.2、125.4±0.2、116.3±0.2、69.7±0.2、55.8±0.2、52.3±0.2、50.8±0.2、43.3±0.2、42.3±0.2、37.1±0.2、31.2±0.2、26.4±0.2、26.1±0.2、24.8±0.2、及び16.4±0.2ppmに化学シフトを有する
13C SSNMRスペクトルにより特徴付けられる無水結晶形態3のレボカバスチンを提供する。
【0122】
図12は、本発明による無水結晶形態3のレボカバスチンについて、その
19F固体NMR(SSNMR)スペクトルのアイソトロピック領域を表す。固体NMRスペクトルを、本明細書に記載する手順に基づき、
19F測定につき470.40MHzの周波数、及び12.5kHzのスピニングスピードで作動する分光光度計上で得た。-110.7ppmの
19F共鳴は、試験対象バッチ中に存在する少量の形態1である。
【0123】
一実施形態では、本発明の製剤は、
図12と実質的に同一の
19F固体核磁気共鳴(SSNMR)スペクトルにより特徴付けられる無水結晶形態3のレボカバスチンを提供するが、この場合、SSNMRスペクトルは、Bruker社製4-mm三重共鳴マジック角回転プローブによる交差分極パルスシーケンスを用いて、
19F測定につき470.40MHzの周波数で作動する分光光度計上で、12.5kHzのローター周波数にて得た。
【0124】
更なる実施形態では、本発明の製剤は、-116.5±0.2ppmにアイソトロピック化学シフトを有する
19F SSNMRスペクトルにより特徴付けられる無水結晶形態3のレボカバスチンを提供する。
【0125】
図13は、レボカバスチンとフルチカゾンフランカルボン酸エステルとを含む本発明による製剤の
19F固体NMR(SSNMR)スペクトルを表す。固体NMRスペクトルを、本明細書に記載する手順に基づき、
19F測定につき470.40MHzの周波数、及び13.0kHzのスピニングスピードで作動する分光光度計上で得た。
【0126】
一実施形態では、本発明の製剤は、-116.5±0.2ppm及び-161.9±0.2、-184.6±0.2、-191.2±0.2ppmにアイソトロピック化学シフトを有する
19F SSNMRスペクトルを提供する。これらの化学シフトは、レボカバスチン遊離塩基形態3及びフルチカゾンフランカルボン酸エステル形態1の化学シフトに一致する。
【0127】
臨床試験
フルチカゾンフランカルボン酸エステル(FF)とレボカバスチン塩酸塩とを含む併用の効果を、ヒト被験者を対象として、以下に記載する試験により調べる。
【0128】
試験1
アレルギー性鼻炎(AR)の被験者を対象とする、レボカバスチン、フルチカゾンフランカルボン酸エステル、プラセボの単独反復投与、及び用量固定式のフルチカゾンフランカルボン酸エステル/レボカバスチン併用投与の効果を評価するランダム化、二重盲検、プラセボ対照、4部分、3方法、不完全ブロック交差試験。
【0129】
目標及びエンドポイント
一次:アレルギー性鼻炎を有する被験者を対象として、アレルゲンチャンバーチャレンジにより誘発された鼻腔症状に対する鼻腔内FF/レボカバスチンによる1日1回投与8日間治療の、FF及びレボカバスチン単独投与と比較した効果。
【0130】
エンドポイント:FF単独8日間反復投与と比較して、FF/レボカバスチン8日間反復投与した後の、8日目TNSS及びTOSS(総眼性症状スコア)。
【0131】
レボカバスチン単独8日間反復投与と比較して、FF/レボカバスチン8日間反復投与した後の、8日目TNSS及びTOSS。
【0132】
二次:アレルギー性鼻炎を有する被験者を対象として、アレルゲンチャンバーチャレンジにより誘発された鼻腔症状について、FF/レボカバスチン第1回投与後の症状緩和が発現するまでの時間を、FF単独と比較して求める。
【0133】
エンドポイント:FF単独投与と比較した、FF/レボカバスチン単回投与後の、TNSS及びTOSSについての症状緩和の発現及び大きさ。
【0134】
レボカバスチン単独投与と比較した、FF/レボカバスチン単回投与後の、TNSS及びTOSSについての症状緩和の発現及び大きさ。
【0135】
治験デザイン
すべての被験者は、
図1に詳記する試験を完了した。本試験に参加した個体毎の個々の期待される総試験期間は、最長20週間である(スクリーニング及びフォローアップを含む)。
【0136】
被験者約64例が投与及び主要評価を完了するように、被験者約72例が登録される。
【0137】
【表3】
【0138】
被験者は、検証された社内ソフトウェアを用いて、試験開始前にQuantitative Sciencesが作成したランダム化スケジュールに基づき3通りの治療順序(例えば、ABC、BCD、ACD)に割り振られる。
【0139】
各治療計画の説明は下記の通り:
- A =鼻孔毎に、FFスプレー、50μLを2回。総用量100μg
- B =鼻孔毎に、レボカバスチンスプレー、50μLを2回。総用量200μg
- C =鼻孔毎に、FF/レボカバスチン FDC、50μLを2回。総日用量は、FFにつき110μg及びレボカバスチンにつき200μg
- D =鼻孔毎に、プラセボスプレー、50μLを2回。
【0140】
各被験者には、試験薬初回投与前にランダム化番号が割り振られる。ランダム化番号は、最も小さい数から連番で割り振られる。ランダム化番号が被験者に割り振られたら、当該番号を別の被験者に再度割り振ることはできない。
【0141】
アレルゲンチャレンジは、Viennaチャレンジチャンバー(VCC)で採用されたのと同じ密閉されたチャンバー内で実施する。VCCは、確立された鼻炎療法(抗ヒスタミン薬及び局所コルチコステロイドを含む)を評価するのに用いられてきたが、有効性だけでなく、作用の発現及び持続時間をアレルゲン曝露に対する投与量の関係に応じて区別する能力を有する[Zieglmayer、2008年]。
【0142】
チャンバー内で用いられるチャレンジ剤は、スウェーデンのAllergon社より供給され、また4種類の草の混合物 (オオアワガエリ、カモガヤ、多年生のホソムギ及びハルガヤ)である。
【0143】
薬力学分析
被験者72例を募集する。少なくとも1期間のデータを有する被験者を、すべて分析対象とする。欠測データについて補完は行わない。鼻腔症状(鼻腔の充血/閉塞、かゆみ、くしゃみ、及び鼻漏)を0〜3の分類スケールでスコア化する。各被験者及び各時点において、全鼻腔症状スコア(TNSS)を、鼻腔の充血、鼻腔のかゆみ、くしゃみ、及び鼻漏に対する反応の合計として計算する。期間を通じて(すべての投与前の時点を含む)、平均プロファイルTNSS(及びその個々の成分)を、治療群別にプロットする。
【0144】
一次解析は、8日目におけるチャレンジチャンバー開始の数時間後(すなわち、投与の1〜4時間後)の加重平均TNSS (0〜3)についての、そのFDCとFF単独との比較、及びFDCとレボカバスチン単独との比較である。これらの2つの解析は、以下に詳記する方法と同様に個別に行う。
【0145】
導出したパラメーターを、被験者をランダム効果としてフィッティングしながら、ベースライン(チャレンジ前8日目)、期間、治療に起因する項、及び固定効果としてフィッティングした後のベースライン別治療相互作用(treatment by baseline interaction)の項について調整を行う分散モデルの混合効果解析を用いて解析する。治療比較(FDCとFF又はFDCとレボカバスチン)の推定値を、調整後の平均値(LSmeans)間で関連する95%信頼区間と共に計算する。TNSSスコアの個々の成分を同様に解析する。必要な場合には、キャリーオーバーの項もフィッティング可能である。次の比較について二次解析を行う:FFとレボカバスチン、レボカバスチンとプラセボ、FFとプラセボ、及びFDCとプラセボ。
【0146】
試験2
アレルゲンチャレンジチャンバー内で、鼻炎症状を治療対象として1日1回又は1日2回投与したときのレボカバスチンの鼻腔内反復投与効果を評価するための、アレルギー性鼻炎を有する被験者を対象としたランダム化、二重盲検、プラセボ対照、3方法交差試験。
【0147】
目標及びエンドポイント
一次
アレルギー性鼻炎を有する被験者を対象として、アレルゲンチャンバーチャレンジ(環境曝露チャンバー)により誘発された鼻腔症状に対する、1日2回投与と比較して1日1回投与したときの7日間レボカバスチン治療効果の非劣性を調べる。
【0148】
エンドポイント: 1日2回投与と比較して1日1回投与したときの、7日目最終実薬投与後、トラフPKレベル(すなわちそれぞれ約24時間及び12時間)において測定された治療7日後のTNSS。
【0149】
アレルギー性鼻炎を有する被験者を対象に、プラセボと比較して、アレルゲンチャンバーチャレンジ(環境曝露チャンバー)により誘発された鼻腔症状に対する7日間レボカバスチン治療(1日1回及び2回投与)効果の優位性を調べる。
【0150】
エンドポイント:プラセボと比較して、7日目最終投与後、トラフPKレベルにおいて測定された7日間レボカバスチン治療後の全鼻腔症状スコア(TNSS)。
【0151】
二次
健常男性及び女性被験者を対象に、定常状態におけるレボカバスチン単独鼻腔内投与の忍容性を調べる。
【0152】
エンドポイント:個々の成分(鼻腔の充血、鼻漏、鼻腔のかゆみ、及びくしゃみ)、
1日1回及び2回、鼻腔内レボカバスチン投与の忍容性。
【0153】
治験デザイン
治験デザインを
図2に示す。
【0154】
すべての個体は、試験参加の適格性を評価するために初回スクリーニング来院する。すべての被験者は、全3期間の治療を受け、また順番はランダム化スケジュールに基づきランダム化コードを用いて決定する。
【0155】
すべての被験者は、全3期間の治療を受け、また順番はランダム化コードを用いて決定する。被験者は、ランダム化スケジュールに基づき、6通りの治療順序(ABC、BCA、CAB、ACB、BAC、CBA)のうちの1つにランダムに割り振られる。
【0156】
被験者は、全3治療計画において12時間間隔(1日2回)で薬物を投与される必要がある。被験者には、2つのボトルが供与される:「朝方用」ボトル及び「夕方用」ボトル(しかるべくラベル表示された)。ODにランダム化された場合、「朝方用」ボトルには、実薬が含まれ、また「夕方用」には、プラセボが含まれる。BDにランダム化された場合、両ボトルには、実薬が含まれる。プラセボにランダム化された場合、両ボトルには、プラセボが含まれる。すべての3治療計画において、最初の投与は実現可能であれば朝方投与から開始する。最初と最後の投与は診療所で投与される。すべての残りの投与は、自宅で行われる。各治療計画期間において、14〜20日間の休薬が設けられる。被験者は、各期間の7日目に診療所に終夜留まり、投与後12時間経過してアレルゲンチャレンジを受ける必要がある(8日目、すなわちODの場合、投与後約24時間、及びBDの場合、実薬投与後約12時間)。下記の表を参照。
【0157】
【表4】
【0158】
治療A、B、Cの順序は、期間1、2、3通じてランダム化する。
【0159】
投薬は朝方及び夕方に実施する。試験全体を通じて被験者毎にできる限り接近して投与が行われるように努力すべきであり、また被験者は投与時期について説明を受けるべきである。アレルゲンチャレンジは、各期間の8日目に施設により、上記表及びタイミングにしたがって、被験者毎にできる限り一定に実施すべきである。最後2回の投与の時期と日程は被験者のソースノートに記載される。すべての被験者は、期間3後の最終投与後に行われる7〜14日間のフォローアップ来院のために再来院する。
【0160】
フォローアップ:
被験者は、7〜14日間のフォローアップ来院のために、期間3後の最終試験薬投与後にユニットに参加する必要がある。各参加者の予想される総試験期間は、スクリーニング及びフォローアップを含め最長13週間である。
【0161】
【表5】
【0162】
チャレンジ薬剤
EECのアレルゲンチャレンジで用いられる花粉は、ブタクサ(short ragweed)花粉(Ambrosia artemisiifolia、Greer Laboratories, Inc.、Lenoir、Carolinaより調達)である。空気伝播性のブタクサ曝露は、EECにおいて花粉粒子3500±500個/m
3以内である。
【0163】
薬力学的解析
鼻腔症状(鼻腔の充血/閉塞、かゆみ、くしゃみ、及び鼻漏)を、0〜3の分類スケールでスコア化する。各被験者及び各時点において、全鼻腔症状スコア(TNSS)を、鼻腔の充血、鼻腔のかゆみ、くしゃみ、及び鼻漏に対する反応の合計として計算する。期間を通じて(すべての投与前の時点を含む)、平均プロファイルTNSS(及びその個々の成分)を、治療群別にプロットする。
【0164】
一次解析は、8日目におけるチャレンジチャンバー開始の数時間後(すなわち、実薬投与の約24又は12時間後)の加重平均TNSS (0〜4)についての、その治療間における比較である。導出したパラメーターを、被験者をランダム効果としてフィッティングしながら、ベースライン(8日目チャレンジ前)、期間、治療に起因する項、及び固定効果としてフィッティングした後のベースライン別治療交互作用の項について調整を行う分散モデルの混合効果解析を用いて解析する。3つのペア毎の治療差異(レボカバスチンBDとプラセボ、レボカバスチンODとプラセボ、及びレボカバスチンODとレボカバスチンBD B)の推定値を、調整後の平均値(LSmeans)間で、関連する95%信頼区間と共に計算する。この解析は、ITT及びPPの両母集団について実施する。
【0165】
TNSSスコアの個々の成分を同様に解析する。必要な場合には、キャリーオーバーに関する項のフィッティングも可能である。8日目に各時点の各エンドポイントを処理することにより、平均95%信頼区間の値を示す平均プロファイルプロットも生成される。アレルゲンチャレンジチャンバーにおける0〜4時間にわたるプロファイルプロットについて推定値を得るために、被験者をランダム効果とし、また時間を反復効果として、期間、時間、治療、及び固定効果としての時間*治療交互作用をフィッティングするのに、分散モデルの混合効果解析を用いる。ベースライン(8日目のチャレンジ前TNSS)及びベースライン*時間交互作用が、共変量としてモデルに含まれ得る。
【0166】
TNSSの個々の症状スコア(鼻腔の充血/閉塞、鼻漏、かゆみ、及びくしゃみ)も解析し、上記のように提示する。
【0167】
試験3
フルチカゾンフランカルボン酸エステルとレボカバスチンとの用量固定型併用の薬物動態を、レボカバスチン単独及びフルチカゾンフランカルボン酸エステル単独の場合と比較する相対的生物学的利用能試験
【0168】
この試験の目的は、健常男性及び女性志願者を対象として、フルチカゾンフランカルボン酸エステルとレボカバスチンとの用量固定型併用の生物学的利用能を、レボカバスチン単独及びフルチカゾンフランカルボン酸エステル単独と共に調べることにある。この試験は、非盲検、ランダム化、反復投与、3方法交差試験である。被験者は、3通りの各治療期間につき、最低14日間の休薬期間を置いて、毎朝、7日間連続して治療を受ける。各治療期間の7日目の投与後に、薬物動態解析用の血液サンプルを一定間隔で採取する。フォローアップ来院が、最終投与後7〜14日間行われる。韓国人患者12例を含め、患者最低30例が登録する。
【0169】
【表6】
【0170】
治療アサインメント
被験者は、妥当性確認された社内のソフトウェアを用いて、試験開始前に、Clinical Statisticsにより生成されるランダム化スケジュールに基づき、6通りの治療順序(ABC、ACB、BAC、BCA、CAB、CBA)のうちの1つに割り振られる。
【0171】
各治療計画の説明は下記の通り:
- A =鼻孔毎にFF/LEV FDCスプレー、50μLを2回(合計4スプレー)。総日用量FF 110μg及びLEV 200μg。
- B =鼻孔毎にFFスプレー、50μLを2回(合計4スプレー)。総用量110μg。
- C =鼻孔毎にLEVスプレー、50μLを2回(合計4スプレー)。総用量200μg。
【0172】
各被験者には、試験薬初回投与を受ける前にランダム化番号が割り振られる。ランダム化番号は、最も小さい数から連番で割り振られる。ランダム化番号が被験者に割り振られたら、当該番号を別の被験者に再度割り当てることはできない。
【0173】
生物学的利用能
この試験は、FF及びLEVが単独で投与された場合と比較した、成分FF及びLEVがFDCとして投与された場合の相対的生物学的利用能を推定するように設計される。公式な仮説について試験されない。一次薬物動態エンドポイント毎に、対照治療の幾何平均に対する試験治療の幾何平均の比、μ(試験)/μ(対照)を得るために、点推定及び対応90%信頼区間が構築される。
【0174】
【表7】
本発明の実施形態として例えば以下を挙げることができる。
[実施形態1]
レボカバスチン
【化3】
又はその塩と、フルチカゾンフランカルボン酸エステルとを含む医薬製剤。
[実施形態2]
レボカバスチン塩酸塩とフルチカゾンフランカルボン酸エステルとを含む、実施形態1に記載の医薬製剤。
[実施形態3]
フルチカゾンフランカルボン酸エステルとレボカバスチン又はその塩が、懸濁粒子の形態で存在する、実施形態1又は2に記載の医薬製剤。
[実施形態4]
水性の医薬製剤である、実施形態1〜3のいずれか一項に記載の医薬製剤。
[実施形態5]
鼻腔内送達に適する、実施形態1〜4のいずれか一項に記載の医薬製剤。
[実施形態6]
1つ以上の懸濁剤を更に含む、実施形態1〜5のいずれか一項に記載の医薬製剤。
[実施形態7]
懸濁剤が、微結晶セルロース及びカルボキシメチルセルロースナトリウムである、実施形態6に記載の医薬製剤。
[実施形態8]
1つ以上の防腐剤を含む、実施形態1〜7のいずれか一項に記載の医薬製剤。
[実施形態9]
防腐剤が、塩化ベンザルコニウム及び/又はエデト酸(EDTA)二ナトリウムを含む、実施形態8に記載の医薬製剤。
[実施形態10]
1つ以上の湿潤剤を含む、実施形態1〜9のいずれか一項に記載の医薬製剤。
[実施形態11]
湿潤剤が、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエートを含む、実施形態18に記載の医薬製剤。
[実施形態12]
1つ以上の等張性調節剤を含む、実施形態1〜11のいずれか一項に記載の医薬製剤。
[実施形態13]
等張性調節剤が、デキストロース及び/又はグルコースを含む、実施形態12に記載の医薬製剤。
[実施形態14]
鼻腔の液と等張であることを特徴とする、実施形態1〜13のいずれか一項に記載の医薬製剤。
[実施形態15]
バッファーを含む、実施形態1〜14のいずれか一項に記載の医薬製剤。
[実施形態16]
バッファーが、リン酸バッファーを含む、実施形態15に記載の医薬製剤。
[実施形態17]
pHが6〜8の間に調整されている、実施形態1〜16のいずれか一項に記載の医薬製剤。
[実施形態18]
pHが、塩酸及び/又は水酸化ナトリウムを用いて調整される、実施形態17に記載の医薬製剤。
[実施形態19]
1つ以上の味覚マスキング剤を含む、実施形態1〜18のいずれか一項に記載の医薬製剤。
[実施形態20]
味覚マスキング剤が、スクラロース及び/又はメントールから選択される、実施形態19に記載の医薬製剤。
[実施形態21]
フルチカゾンフランカルボン酸エステルが、製剤の総重量に対して0.005%〜1% (w/w)の量で製剤中に存在する、実施形態1〜20のいずれか一項に記載の医薬製剤。
[実施形態22]
レボカバスチン又はその塩が、製剤の総重量に対して0.0005%〜2% (w/w)の量で製剤中に存在する、実施形態1〜21のいずれか一項に記載の医薬製剤。
[実施形態23]
(i)レボカバスチン又はその塩の水性懸濁物と、
(ii)フルチカゾンフランカルボン酸エステルの水性懸濁物と、
(iii)1つ以上の懸濁剤と、
(iv)1つ以上の防腐剤と、
(v)1つ以上の湿潤剤と、
(vi)バッファーと、
(vii)1つ以上の等張性調節剤と、任意の
(viii)1つ以上の味覚マスキング剤と
を含む、実施形態1〜22のいずれか一項に記載の医薬製剤。
[実施形態24]
防腐剤を含まない、実施形態23に記載の医薬製剤。
[実施形態25]
実施形態1〜24のいずれか一項に記載の医薬製剤を含む医薬製剤を、鼻腔内送達のために適合されたデバイス。
[実施形態26]
実施形態1〜24のいずれか一項に記載の医薬製剤を、薬学的に許容される量で、患者に投与するステップを含む、アレルギー性鼻炎の治療方法。
[実施形態27]
投与が、1日1回である、実施形態26に記載の方法。
[実施形態28]
炎症性及び/又はアレルギー性の状態を有する患者の治療を対象とする薬剤における使用のための、実施形態1〜24のいずれか一項に記載の医薬製剤。
[実施形態29]
炎症性及び/又はアレルギー性の状態が、鼻炎、季節性の鼻炎、通年性の鼻炎である、実施形態28に記載の使用。
[実施形態30]
炎症性及び/又はアレルギー性の状態を有する患者を治療するための薬剤を製造するための、実施形態1〜24のいずれか一項に記載の医薬製剤の使用。
[実施形態31]
実施形態1〜24のいずれか一項に記載の医薬製剤を、炎症性及び/又はアレルギー性の状態を有するヒト対象に有効量投与するステップを含む、前記ヒト対象を治療する方法。