特許第6294893号(P6294893)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6294893炎症性及び/又はアレルギー性の状態を治療するためのレボカバスチンとフルチカゾンフランカルボン酸エステルとの併用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6294893
(24)【登録日】2018年2月23日
(45)【発行日】2018年3月14日
(54)【発明の名称】炎症性及び/又はアレルギー性の状態を治療するためのレボカバスチンとフルチカゾンフランカルボン酸エステルとの併用
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/445 20060101AFI20180305BHJP
   A61K 31/56 20060101ALI20180305BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20180305BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20180305BHJP
   A61K 47/18 20060101ALI20180305BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20180305BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20180305BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20180305BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20180305BHJP
   A61P 11/02 20060101ALI20180305BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20180305BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20180305BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20180305BHJP
【FI】
   A61K31/445ZMD
   A61K31/56
   A61K9/10
   A61K47/38
   A61K47/18
   A61K47/34
   A61K47/26
   A61K47/02
   A61K47/10
   A61P11/02
   A61P37/08
   A61P29/00
   A61P43/00 121
【請求項の数】20
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2015-547039(P2015-547039)
(86)(22)【出願日】2013年12月13日
(65)【公表番号】特表2016-502991(P2016-502991A)
(43)【公表日】2016年2月1日
(86)【国際出願番号】EP2013076486
(87)【国際公開番号】WO2014095602
(87)【国際公開日】20140626
【審査請求日】2016年11月15日
(31)【優先権主張番号】61/737,927
(32)【優先日】2012年12月17日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/867,794
(32)【優先日】2013年8月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397009934
【氏名又は名称】グラクソ グループ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100118773
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 節
(74)【代理人】
【識別番号】100122389
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 栄一
(74)【代理人】
【識別番号】100111741
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 夏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100169971
【弁理士】
【氏名又は名称】菊田 尚子
(74)【代理人】
【識別番号】100168893
【弁理士】
【氏名又は名称】岩崎 正路
(72)【発明者】
【氏名】イグナー,ダイアン ミッシェル
(72)【発明者】
【氏名】レヴィン,ダレン スコット
【審査官】 横山 敏志
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−544665(JP,A)
【文献】 特表2008−521812(JP,A)
【文献】 特表2005−521673(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第101757625(CN,A)
【文献】 HAN, Demin et al.,ORL,2011年 8月11日,Vol.73 No.5,pp.260-265
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K31/00−33/44
A61K47/00−47/69
A61K9/00−9/72
A61P1/00−43/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レボカバスチン
【化1】
又はその塩と、フルチカゾンフランカルボン酸エステルとを含む、1日1回投与用の医薬製剤。
【請求項2】
レボカバスチン塩酸塩とフルチカゾンフランカルボン酸エステルとを含む、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項3】
フルチカゾンフランカルボン酸エステルとレボカバスチン又はその塩が、懸濁粒子の形態で存在する、請求項1又は2に記載の医薬製剤。
【請求項4】
水性の医薬製剤である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項5】
鼻腔内送達に適する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項6】
1つ以上の懸濁剤を更に含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項7】
1つ以上の防腐剤を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項8】
1つ以上の湿潤剤を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項9】
1つ以上の等張性調節剤を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項10】
鼻腔の液と等張であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項11】
バッファーを含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項12】
pHが6〜8の間に調整されている、請求項1〜11のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項13】
1つ以上の味覚マスキング剤を含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項14】
フルチカゾンフランカルボン酸エステルが、製剤の総重量に対して0.005%〜1% (w/w)の量で製剤中に存在する、請求項1〜13のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項15】
レボカバスチン又はその塩が、製剤の総重量に対して0.0005%〜2% (w/w)の量で製剤中に存在する、請求項1〜14のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項16】
(i)レボカバスチン又はその塩の水性懸濁物と、
(ii)フルチカゾンフランカルボン酸エステルの水性懸濁物と、
(iii)1つ以上の懸濁剤と、
(iv)1つ以上の防腐剤と、
(v)1つ以上の湿潤剤と、
(vi)バッファーと、
(vii)1つ以上の等張性調節剤と、任意の
(viii)1つ以上の味覚マスキング剤と
を含む、請求項1〜15のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれか一項に記載の医薬製剤を含む、医薬製剤の鼻腔内送達用に適合されたデバイス。
【請求項18】
炎症性及び/又はアレルギー性の状態を有する患者の治療を対象とする1日1回投与用の薬剤における使用のための、請求項1〜16のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項19】
炎症性及び/又はアレルギー性の状態が、鼻炎、季節性の鼻炎、通年性の鼻炎である、請求項18に記載の医薬製剤。
【請求項20】
炎症性及び/又はアレルギー性の状態を有する患者を治療するための1日1回投与用の薬剤を製造するための、請求項1〜16のいずれか一項に記載の医薬製剤の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンドロスタンシリーズの抗炎症性グルココルチコイド化合物及びH1拮抗薬/抗アレルギー薬であるレボカバスチンを含む医薬製剤に関する。また、本発明は、特に炎症性及びアレルギー性の状態、特に鼻炎を治療するめに、同製剤を治療用途で使用することに関する。
【背景技術】
【0002】
全世界で何百万人もの個体が、季節性及び通年性のアレルギー性鼻炎に罹患する。季節性及び通年性のアレルギー性鼻炎の症状として、鼻腔のかゆみ、充血、鼻水、くしゃみ、及び涙目が挙げられる。季節性のアレルギー性鼻炎は、「花粉症(hay fever)」として一般的に知られている。このアレルギーは、1年の特定の期間に空気中に存在するアレルゲン、例えば春及び夏の間の樹木花粉により引き起こされる。通年性のアレルギー性鼻炎は、通年環境中に存在するアレルゲン、例えば塵性ダニ、カビ(mould)、白カビ(mildew)、及びペットのフケにより引き起こされる。
【0003】
大部分のアレルギー性鼻炎罹患者は、鼻腔症状(充血、くしゃみ、そう痒、及び鼻漏)、及び眼性症状(発赤、涙目、そう痒、及び灼熱感)を報告し、これらの症状は生活の質に影響を及ぼし、また適切に治療されなければ、かなりのヘルスケアコスト(例えば、副鼻腔炎及び喘息の増悪、鼻腔のポリープ、聴覚障害等)及びその他の経済的影響(例えば、作業効率の低下)にも関わる可能性がある。
【0004】
アレルギー性鼻炎療法の最終目標は、関連する症状を最小限に抑え、生活の質を改善することにより、疾患の急性的及び慢性的兆候の両方を管理することにある。これを実現するために、最新の治療勧告には、アレルゲン回避、免疫療法、及び/又は薬物療法が含まれる。ほとんどの一般的なアレルゲン(例えば、花粉、塵性ダニ)について、回避を実現するのは困難である。免疫療法は、一部の患者において有効な長期療法であるが、時間がかかり、不便なうえ、重篤な潜在的有害作用(例えば、大規模な局所反応及びアナフィラキシー等)を有する。最新の薬物療法オプションには、鼻腔内コルチコステロイド、口腔及び鼻腔内抗ヒスタミン薬(AH)、非ステロイド系抗炎症薬、及び鬱血除去薬が含まれる。
【0005】
有効な鼻腔医薬組成物を処方するには、薬剤は、その薬理学的機能が発揮される鼻腔(標的組織)のすべての部分に容易に送達されなければならない。更に、薬剤は、比較的長期間、標的組織と接触した状態に留まるべきである。薬剤が標的組織と接触した状態に長期間留まるほど、有効性は高まるので、したがって薬剤は、鼻から粒子を排除するように機能する鼻道の力に抵抗する能力を有しなければならない。そのような力は、「粘膜毛様体クリアランス」と呼ばれ、鼻から急速に、例えば粒子が鼻に進入したときから10〜30分以内に粒子を排除する際に極めて有効であることが認識されている。
【0006】
鼻腔組成物のその他の望ましい特徴として、使用者の不快感の原因となる成分を含んではならないこと、満足が得られるレベルの安定性及び貯蔵寿命特性を有すること、及び環境に対して有害と考えられる構成成分、例えばオゾン分解物質を含まないことが挙げられる。グルココルチコイドを投与する場合、望ましくないあらゆる副作用の可能性を、好ましくは最小限に抑えるべきである。
【0007】
抗炎症特性を有するグルココルチコイドは公知であり、また炎症性の障害又は疾患、例えば喘息及び鼻炎等の治療で幅広く用いられている。
【0008】
吸入式コルチコステロイドとして、ベクロメタゾンエステル(例えば、17-プロピオネートエステル又は17,21-ジプロピオネートエステル)、フルチカゾンプロピオネート、ブデソニド、フルニソリド、モメタゾンエステル(例えば、フロ酸エステル)、トリアムシノロンアセトニド、ロフレポニド、及びシクレソニドが挙げられる。吸入式グルココルチコイドも、国際公開第02/12265号、同02/12266号、同05/005452号、同05/005451号、及び同02/088167号に開示されている。
【0009】
国際公開第02/12265号は、一般名フルチカゾンフランカルボン酸エステルとして公知の6α、9α-ジフルオロ-17α-[(2-フラニルカルボニル)オキシ]-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸S-フルオロメチルエステルを開示する。
【0010】
H1拮抗薬/抗アレルギー薬(抗ヒスタミン薬とも呼ばれる)が公知であり、またアレルギー関連の状態、例えば季節性のアレルギー性鼻炎等を治療する鼻腔スプレー及び点眼薬において、及びアレルギー性結膜炎と関連した眼のそう痒治療において利用可能である。抗ヒスタミン薬は、第1、第2、又は第3世代の抗ヒスタミン薬と呼ばれる場合がある。
【0011】
第1世代H1抗ヒスタミン薬として、ピペロキサム(piperoxam)、エチレンジアミン(例えばメピラミン(ピリラミン)、アンタゾリン)、エタノールアミン(例えばジフェンヒドラミン、カルビノキサミン、ドキシラミン、クレマスチン、及びジメンヒドリナート)、アルキルアミン(例えばフェニラミン、クロレナミン(クロルフェニラミン)、デキシクロルフェナミン、ブロムフェニラミン、及びトリプロリジン)、ピペラジン(例えばシクリジン、ヒドロキシジン、及びメクリジン)、及び三環系(例えばプロメタジン、アリメマジン(トリメプラジン)、シプロヘプタジン、及びアザタジン)が挙げられる。
【0012】
第2世代の抗ヒスタミン薬として、全身性の薬物(例えば、アクリバスチン、アステミゾール、セチリジン、ロラタジン、ミゾラスチン、及びテルフェナジン)、及び局所的薬物(例えば、アゼラスチン、レボカバスチン、及びオロパタジン(olopatidine)が挙げられる。レボカバスチンは、例えば米国特許第3,813,384号に開示されるように通常塩酸塩として、鼻炎等の状態を治療する鼻腔スプレーとして投与可能であることが公知である。市販のレボカバスチン製剤は、一般的に1日2回投与を前提とする。
【0013】
第3世代の抗ヒスタミン薬として、レボセチリジン、デスロラタジン(desloratidin)、及びフェキソフェナジンが挙げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明者らは、今回コルチコステロイド及びH1受容体拮抗薬を含む新規製剤を同定した。前記製剤は、鼻腔内投与に適し、また、すでに公知の製剤に対し利点を有し得る。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の1つの態様によれば、レボカバスチン又はその塩、及びフルチカゾンフランカルボン酸エステル(FF)を含む医薬製剤が提供される。レボカバスチンは化学式(I)を、
【0016】
【化1】
また、化学名(3S,4R)-1-[4-シアノ-4-(4-フルオロフェニル)シクロヘキシル]-3-メチル-4-フェニルピペリジン-4-カルボン酸を有する。
【0017】
フルチカゾンフランカルボン酸エステルは、化学式(II)を、
【0018】
【化2】
また、化学名6α,9α-ジフルオロ-17α-[(2-フラニルカルボニル)オキシ]-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸S-フルオロメチルエステルを有する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、治験デザインを表す。
図2図2は、治験デザインを表す。
図3図3は、治験デザインを表す。
図4図4は、レボカバスチン無水結晶形態1のXRPDを表す。
図5図5は、レボカバスチン無水結晶形態2のXRPDを表す。
図6図6は、レボカバスチン無水結晶形態3のXRPDを表す。
図7図7は、無水結晶形態1のレボカバスチンについて、その13C固体NMR(SSNMR)スペクトルを表す。
図8図8は、無水結晶形態1のレボカバスチンについて、その19F固体NMR(SSNMR)スペクトルのアイソトロピック領域を表す。
図9図9は、無水結晶形態2のレボカバスチンについて、その13C固体NMR(SSNMR)スペクトルを表す。
図10図10は、無水結晶形態2のレボカバスチンについて、その19F固体NMR(SSNMR)スペクトルのアイソトロピック領域を表す。
図11図11は、無水結晶形態3のレボカバスチンについて、その13C固体NMR(SSNMR)スペクトルを表す。
図12図12は、本発明による無水結晶形態3のレボカバスチンについて、その19F固体NMR(SSNMR)スペクトルのアイソトロピック領域を表す。
図13図13は、レボカバスチンとフルチカゾンフランカルボン酸エステルとを含む本発明による製剤の19F固体NMR(SSNMR)スペクトルを表す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明による製剤は、優れた抗炎症特性、抗アレルギー特性、及び忍容特性を示し得る。また、製剤は、鼻腔内コルチコステロイド単剤療法と比較して、これよりも迅速な作用発現、及び改善した有効性も示し、また1日1回の投与法になじみ得る。更に、併用は、用いられる成分の一方又は両方の日用量の低減を可能にし、より良好な忍容性/有害事象プロファイルをもたらす。製剤は、その他の鼻腔内抗ヒスタミン薬と関連した否定的なプロファイルを低減する又は取り除く可能性がある。
【0021】
レボカバスチンは、酸と、例示としてハロゲン化水素酸、例えば塩酸又は臭化水素酸、及び硫酸、硝酸、若しくはリン酸等の無機酸、又は例示として酢酸、プロパン酸、2-ヒドロキシ酢酸、2-ヒドロキシプロパン酸、2-オキソプロパン酸、プロパン二酸、ブタン二酸、(Z)-2-ブテン二酸、(E)-2-ブテン二酸、2-ヒドロキシブタン二酸、2,3-ジヒドロキシブタン二酸、2-ヒドロキシ-1,2,3プロパン三酸、安息香酸、3-フェニル-2-プロペン酸、a-ヒドロキシベンゼン酢酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4-メチルベンゼンスルホン酸、シクロヘキサンスルファミン酸、2-ヒドロキシ安息香酸、又は4-アミノ-2-ヒドロキシ安息香酸等の有機酸と塩を形成し得る。
【0022】
1つの実施形態ではレボカバスチンは、塩酸塩として利用される。
【0023】
本発明の1つの態様では、フルチカゾンフランカルボン酸エステルとレボカバスチン又はその塩(例えば、塩酸塩)の両方が、懸濁粒子の形態で存在する医薬製剤が提供される。本発明の1つの態様では、水性の医薬製剤である医薬製剤が提供される。
【0024】
本発明の1つの態様では、鼻腔内送達に適する医薬製剤が提供される。
【0025】
いくつかの実施形態では、製剤は、1つ以上の懸濁剤を含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、製剤は、1つ以上の防腐剤を含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、製剤は、1つ以上の湿潤剤を含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、製剤は、1つ以上の等張性調節剤を含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、製剤は、バッファーを含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、製剤は、1つ以上の味覚マスキング剤(taste-masking agent)を含む。
【0031】
本発明の製剤は、1つ以上の異なる種類の賦形剤を含み得るものと認識される。
【0032】
本発明の1つの態様によれば、下記事項を含む医薬製剤が提供される:
(i)レボカバスチン又はその塩の水性懸濁物、
(ii)フルチカゾンフランカルボン酸エステルの水性懸濁物、
(iii)1つ以上の懸濁剤、
(iv)1つ以上の防腐剤、
(v)1つ以上の湿潤剤、
(vi)バッファー、
(vii)1つ以上の等張性調節剤、及び任意選択的に
(viii)1つ以上の味覚マスキング剤。
【0033】
本発明の別の態様では、防腐剤を含まない医薬製剤が提供される。
【0034】
本発明の製剤は、pHを適切に選択することにより安定化可能である。一般的に、pHは、3.0〜8.0に、1つの実施形態では6.0〜8.0、例えば約7に調整される。
【0035】
必要であれば、製剤のpHを調整するのに利用可能である薬学的に許容される材料の例として、塩酸及び/又は水酸化ナトリウムが挙げられる。また、製剤のpH値を調整するために、例えばクエン酸/硫酸水素ナトリウムホウ酸バッファー、クエン酸/クエン酸塩バッファー、リン酸二ナトリウム、又はリン酸一ナトリウム、オルトリン酸水素ナトリウム、又はリン酸水素二ナトリウム等のリン酸塩、トロメタモール若しくは同等の従来型バッファー等のバッファー物質を製剤に添加することも可能である。1つの実施形態では、バッファーは、リン酸バッファー、例えばリン酸二ナトリウム又はリン酸一ナトリウムを含む。
【0036】
水性成分は、高グレード品質の水、例えば精製水であるのが望ましい。
【0037】
フルチカゾンフランカルボン酸エステル及びレボカバスチン医薬品成分(API)は、20μm未満、1つの実施形態では0.5〜10μm、例えば1〜5μmの質量中央径(MMD)をそれぞれ好適に有する。粒子サイズを小さくする必要がある場合には、これは、例えば微細化及び/又は微流動化等の技法により実現可能である。
【0038】
1つの実施形態では、MMDは、2〜4μmである。
【0039】
いくつかの実施形態では、必要な場合には、粒子サイズの低減は微細化により実現され得る。
【0040】
その他の実施形態では、粒子サイズの低減は微流動化により実現され得る。
【0041】
1つの実施形態では、粒子は結晶であり、例えば超音波照射存在下、連続フローセル中にて、液体溶媒中のフルチカゾンフランカルボン酸エステル又はレボカバスチン流動溶液を、前記薬剤のための流動液体逆溶剤と混合するステップを含むプロセスにより調製される(例えば、国際公開第00/38811号に記載)。
【0042】
本発明の医薬製剤では、フルチカゾンフランカルボン酸エステルは、製剤の総重量に対して、0.005%〜1% (w/w)、1つの実施形態では0.01%〜0.5% (w/w)、例えば0.05〜0.1% (w/w)の量で、製剤中に存在し得る。一般的に、懸濁物50μlは、フルチカゾンフランカルボン酸エステル27.5μgを含む。
【0043】
本発明の医薬製剤では、レボカバスチン(式(I)の化合物)又はその塩は、製剤の総重量に対して0.0005%〜2% (w/w)、1つの実施形態では0.01%〜0.6% (w/w)、例えば0.1〜0.3% (w/w)の量で、製剤中に存在し得る。一般的に、懸濁物50μlは、レボカバスチン50μgを含む。
【0044】
懸濁剤の例として、セルロース、カルボキシメチルセルロース、ビーガム(veegum)、トラガカント、ベントナイト、メチルセルロース、ヒプロメロース、及び、ポリエチレングリコールが挙げられる。1つの実施形態では、懸濁剤は、例えばブランド品のAvicel RC591 (87〜91%の微結晶セルロース及び9〜13%のカルボキシメチルセルロースナトリウムを一般的に含有する)又はAvicel CL611として用いられる微結晶セルロース及びカルボキシメチルセルロースナトリウムである。1つの実施形態では、微結晶微粒子セルロースは、1〜100μmの粒子サイズを有する。本発明者らは、Avicel RC591は製剤にチキソトロピック特性を付与することにより懸濁剤として働き、この場合製剤は、撹拌、振とう、さもなければ揺動したときに安定な懸濁物となり得ると考える。
【0045】
いくつかの実施形態では、懸濁剤のチキソトロピック性は、製剤が静止状態においてゲル様の外観を呈することを確実にするが、この場合、微粒子状の薬剤は、実質的に均一に分散及び懸濁し、高粘度値により特徴付けられる。剪断力、例えばスプレー前の撹拌により引き起こされる力等を組成物に加えると、製剤の粘度は、スプレーデバイスを容易に流通し、またミスト中の微細な粒子のスプレーとして吐出できるようなレベルにまで減少する。この粒子は、次に鼻腔の甲介を取り巻く前鼻部(前部鼻腔)、前頭洞、上顎洞、及び鼻甲介の粘膜表面に浸潤することができる。沈着すると、製剤の粘度はそれがゲル様の形態を呈するのに十分なレベルまで増加し、また鼻腔中に存在する生来の粘膜毛様体の力による鼻腔からの除去に抵抗する。
【0046】
本発明の製剤が懸濁剤を含む場合、この機能を実現するのに適する量で添加されるのが望ましい。いくつかの実施形態では、懸濁剤は、製剤の総重量に対して0.1〜5% (w/w)、例えば1.5% (w/w)の量で製剤内に存在する。
【0047】
安定性を得るために、本発明の製剤は、防腐剤を含めることにより、微生物汚染及び増殖から保護され得る。製剤で利用可能である薬学的に許容される抗微生物薬又は防腐剤の例として、四級アンモニウム化合物(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、セトリミド、塩化セチルピリジニウム、及び塩化ミリスチルピコリニウム)、アルコール性薬剤(例えば、クロロブタノール、フェニルエチルアルコール、及びベンジルアルコール)、抗菌性のエステル(例えば、パラ-ヒドロキシ安息香酸のエステル)、エデト酸二ナトリウム(EDTA)等のキレート剤、及びクロルヘキシジン等のその他の抗微生物薬(例えば、酢酸塩又はグルコン酸塩の形態)、ソルビン酸カリウム、クロロクレゾール、ソルビン酸及びその塩、ポリミキシン、メチルパラベン、及びプロピルパラベンが挙げられる。
【0048】
いくつかの実施形態では、防腐剤はエデト酸二ナトリウム(EDTA)を含み得るが、これは製剤の総重量に対して0.001〜1% (w/w)、例えば約0.015% (w/w)の量で製剤中に存在し得る。
【0049】
いくつかの実施形態では、防腐剤は塩化ベンザルコニウム(BKC)を含み得るが、これは製剤の総重量に対して0.001〜1% (w/w)、例えば約0.015% (w/w)の量で製剤中に存在し得る。
【0050】
いくつかの実施形態では、防腐剤は、エデト酸二ナトリウムと塩化ベンザルコニウムとを、又はエデト酸二ナトリウムとソルビン酸カリウムとを、1つの実施形態では塩化カリウム及び/又はエデト酸二ナトリウムを含み得る。別の実施形態では、防腐剤は、エデト酸二ナトリウムと塩化ベンザルコニウムとを含む。
【0051】
製剤、例えば懸濁した薬剤を含む鼻腔製剤は、薬剤の粒子を湿らせて、組成物の水相中でそれが分散するのを促進する機能を有する薬学的に許容される湿潤剤を含み得る。用いられる湿潤剤の量は、混合中に分散物の泡立ちを引き起こさないのが望ましい。
【0052】
粒子を湿らせるのに有効であり、薬学的に許容される任意の薬剤が利用可能であると認識される。利用可能な湿潤剤の例として、脂肪族アルコール、エステル、及びエーテルが挙げられる。1つの実施形態では、湿潤剤は、親水性、非イオン性界面活性剤、例えばポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート(ブランド品ポリソルベート80として供給される)である。
【0053】
本発明の製剤が湿潤剤を含む場合、この機能を実現するのに十分な量で添加するのが望ましい。1つの実施形態では、湿潤剤は、製剤の総重量に対して0.001〜0.05% (w/w)、例えば0.025% (w/w)の量で製剤中に存在し得る。
【0054】
等張性調節剤が存在すれば、体液、例えば鼻腔の液との等張性が得られ、多くの鼻腔製剤と関連した刺激レベルが抑えられる。適する等張性調節剤の例として、グルコース、グリセリン、ソルビトール、塩化ナトリウム、デキストロース、及び塩化カルシウムが挙げられる。1つの実施形態では、等張性調節剤は、デキストロース、例えば無水デキストロースであり得る。
【0055】
本発明の製剤が、等張性調節剤を含む場合、この機能を実現するのに十分な量を添加するのが望ましく、1つの実施形態では、等張性調節剤は、製剤の総重量に対して0.1〜10% (w/w)、例えば5.0% w/wの量で製剤中に存在する。
【0056】
例えば本発明の製剤で用いられる可能性がある更なる補助剤として、ポリビニルピロリドン、ソルビタントリオレエート、ポリエトキシル化ソルビタン脂肪酸エステル(例えば、ポリエトキシル化ソルビタントリオレエート)等のソルビタン脂肪酸エステル、ソルビマクロゴールオレエート、合成アムホテンシド(トリトン)、オクチルフェノールホルムアルデヒド縮合生成物の酸化エチレンエーテル、レシチン等のリン脂質、ポリエトキシル化脂肪、ポリエトキシル化オレオトリグリセリド、及びポリエトキシル化脂肪族アルコールが挙げられる。この文脈において、ポリエトキシル化とは、関連する物質は、一般的に2〜40、特に10〜20の重合度のポリオキシエチレン鎖を含むことを意味する。これらの物質は、レボカバスチン成分の溶解度を改善するのに一般的に用いられる。
【0057】
本発明の製剤は、後鼻漏の量を低減する、及び/又は苦味を最小限に抑える若しくは遮蔽する賦形剤及び/又は担体も更に含み得る。
【0058】
味覚マスキング剤の例として、スクラロース、スクロース、サッカリン又はその塩、フルクトース、デキストロース、コーンシロップ、アスパルテーム、アセスルファム-K、キシリトール、ソルビトール、エリトリトール、グリシルリチン酸アンモニウム、タウマチン、ネオテーム、マンニトール、メントール、ユーカリ油、樟脳、天然の香味剤、人工の香味剤、及びこれらの組み合わせが挙げられる。1つの実施形態では、味覚マスキング剤は、スクラロース及び/又はメントールである。
【0059】
本発明による医薬製剤は、1つ以上の賦形剤を更に含み得る。本明細書で用いる場合、用語「賦形剤」は、無毒性であり、また組成物のその他の成分と有害な相互作用を起こさない、実質的に不活性な材料を意味するように意図されており、これには医薬品グレードの炭水化物、有機及び無機の塩、ポリマー、アミノ酸、リン脂質、湿潤剤、乳化剤、界面活性剤、ポロキサマー、プルロニック、及びイオン交換樹脂、及びこれらの組み合わせが非限定的に含まれるが、その例の非網羅的なリストを下記に記載する。
【0060】
炭水化物、その例としてフルクトース等の、但しこれに限定されない単糖類、ラクトース等の、但しこれに限定されない二糖類並びにその組み合わせ及び誘導体、セルロース等の、但しこれらに限定されない多糖類並びにその組み合わせ及び誘導体、デキストリン等の、但しこれらに限定されないオリゴ糖並びにその組み合わせ及び誘導体、ソルビトール等の、但しこれらに限定されないポリオール並びにその組み合わせ及び誘導体が挙げられる。
【0061】
有機及び無機の塩、その例として、リン酸ナトリウム又はカルシウム、ステアリン酸マグネシウム、並びにその組み合わせ及び誘導体が非限定的に挙げられる。
【0062】
ポリマー、その例として非限定的にゼラチンを含む天然の生分解性タンパク質ポリマー、並びにその組み合わせ及び誘導体が挙げられる。
【0063】
天然の生分解性多糖類ポリマー、その例としてキチン質、及びスターチ、架橋されたスターチ、並びにその組み合わせ及び誘導体が非限定的に挙げられる。
【0064】
半合成の生分解性ポリマー、その例としてキトサンの誘導体が非限定的に挙げられる。
【0065】
合成生分解性ポリマー、その例としてポリエチレングリコール(PEG)、ポリ乳酸(PLA)、ポリビニルアルコールを含む、但しこれに限定されない合成ポリマー、並びにその組み合わせ及び誘導体が非限定的に挙げられる。
【0066】
アミノ酸、その例としてロイシン等の非極性アミノ酸、並びにその組み合わせ及び誘導体が、非限定的に挙げられる。
【0067】
リン脂質、その例としてレシチン並びにその組み合わせ及び誘導体が挙げられる。
【0068】
湿潤剤/界面活性剤/乳化剤、その例としてアカシアガム、コレステロール、脂肪酸が非限定的に挙げられ、その組み合わせ及び誘導体も含まれる。
【0069】
ポロキサマー/プルロニック、その例としてポロキサマー188、プルロニック(登録商標)F-108、並びにその組み合わせ及び派生物が非限定的に挙げられる。
【0070】
イオン交換樹脂、その例としてアンバーライトIR120並びにその組み合わせ及び誘導体が非限定的に挙げられる。
【0071】
及びよく知られた賦形剤の組み合わせ。
【0072】
本発明の医薬製剤において、1つの実施形態では、懸濁剤は微結晶セルロース及びカルボキシメチルセルロースナトリウムであり、防腐剤はEDTA及びソルビン酸カリウムであり、湿潤剤は、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエートであり、また等張性調節剤はデキストロース及び/又はグルコースである。別の実施形態では、懸濁剤は微結晶セルロース及びカルボキシメチルセルロースナトリウムであり、防腐剤はEDTA及び塩化ベンザルコニウムであり、湿潤剤はポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエートであり、そして等張性調節剤はデキストロースである。
【0073】
本発明の製剤を鼻道に適用する好ましい手段は、与圧ポンプ、例えばValois SA製のVP3、VP7又は改変タイプ、モデル等の使用による。この種のポンプの長所は、製剤は、十分な力が加わるまでは放出されない又は噴霧されない、さもなければより少量の用量しか適用され得ないことが確実なので有益である。一般的に、このような与圧ポンプは、8〜50mlの製剤を保持する能力を有するボトル(ガラス製又はプラスチック製)と共に利用可能である。スプレー毎に、50〜100μlのそのような製剤が一般的に送達され、したがって、デバイスは少なくとも100回分の用量(100 metered doses)を提供する能力を有する。好適には、製剤は、適する与圧ポンプ、及び1回の作動毎に50又は100μl、好ましくは50μlを分配するように適合された鼻腔アクチュエーターが取り付けられた容器から分配される。したがって、本発明の医薬製剤を含む医薬製剤を鼻腔内送達のために適合されたデバイスが提供される。
【0074】
本発明の製剤に適する投与法では、鼻に投与する際に、患者は鼻腔を洗浄した後に鼻経由でゆっくりと吸い込む。吸入期間中、製剤は、他方が手で圧迫されている間に一方の鼻孔に適用される。この手順は、次に他方の鼻孔について繰り返される。
【0075】
一般的に、鼻孔毎に1回又は2回の吸入が、上記手順により、各日最大3回、可能であれば1日2回、理想的には1日1回投与される。1つの実施形態では、本発明の製剤は、鼻孔毎に1回又は2回の吸入によって1日1回鼻に投与される。
【0076】
上記投与法は、患者の年齢、体重、及び/又は症状の重症度に応じて調整されるべきであると認識される。
【0077】
本発明の製剤は、特に鼻に局所投与した際に有益であり得るような抗炎症効果又は抗アレルギー効果を有する。したがって、本発明による製剤は、鼻の炎症性及び/又はアレルギー性の障害を治療する、特に1日1回の治療で有用である。
【0078】
本発明による製剤は、成分を水に混合することにより調製され得る。必要な場合には、最終ステップとしてpH調整することができる。そのように調製された製剤は、次に容器に充填され得る。
【0079】
本発明の水性製剤は、その他の局所的炎症状態(例えば、皮膚炎、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)等)を治療するために、直腸、耳腔(aural)、耳内(otic)、口腔、局所、若しくは非経口の投与、又は吸入投与を目的として採用される場合もある。例えば、本発明の製剤は、噴霧化して肺に投与され得る。そのような製剤は、投与経路にふさわしい賦形剤(例えば、防腐剤、バッファー等)を採用することができる。
【0080】
本発明の製剤が有用性を有する疾患状態の例として、鼻炎、例えば季節性及び通年性の鼻炎等の、鼻道の炎症性及び/又はアレルギー性状態が挙げられる。本明細書において治療と呼ぶ場合、予防の他、確立した状態の治療まで拡張されるものと、当業者は認識する。
【0081】
上記のように、本発明の製剤は、薬剤において、特に抗炎症薬及び抗アレルギー薬として有用である。
【0082】
したがって、本発明の更なる態様として、薬剤、特に炎症性及び/又はアレルギー性の状態を有する患者の治療を対象とする薬剤で用いるための、レボカバスチン又はその塩とフルチカゾンフランカルボン酸エステルとを含む医薬製剤が提供される。1つの実施形態では、治療は1日1回である。
【0083】
本発明の更なる態様では、アレルギー性鼻炎、例えば季節性のアレルギー性鼻炎又は通年性のアレルギー性鼻炎を有する患者の治療で用いられる、レボカバスチン又はその塩とフルチカゾンフランカルボン酸エステルとを含む医薬製剤が提供される。1つの実施形態では、治療は1日1回である。
【0084】
本発明の別の態様によれば、炎症性及び/又はアレルギー性の状態を有する患者の治療を目的とする薬剤の製造における、レボカバスチン又はその塩とフルチカゾンフランカルボン酸エステルとを含む製剤の使用が提供される。1つの実施形態では、治療は1日1回である。
【0085】
本発明の別の態様によれば、アレルギー性鼻炎、例えば季節性のアレルギー性鼻炎又は通年性のアレルギー性鼻炎を有する患者の治療を目的とする薬剤の製造における、レボカバスチン又はその塩とフルチカゾンフランカルボン酸エステルとを含む製剤の使用が提供される。1つの実施形態では、治療は1日1回である。
【0086】
更なる又は代替的態様では、炎症性及び/又はアレルギー性の状態を有するヒト又は動物対象の治療を目的とする方法が提供され、同方法は、レボカバスチン又はその塩とフルチカゾンフランカルボン酸エステルとを含む製剤を有効量で、前記ヒト又は動物対象に投与するステップを含む。1つの実施形態では、投与は1日1回である。
【0087】
代替的態様では、レボカバスチン又はその塩とフルチカゾンフランカルボン酸エステルとを含む薬学的に許容される量の医薬製剤を患者に投与するステップを含む、アレルギー性鼻炎、例えば季節性のアレルギー性鼻炎又は通年性のアレルギー性鼻炎を治療する方法が提供される。1つの実施形態では、投与は1日1回である。
【0088】
本発明の製剤は、長時間作用型であり得、したがって製剤は、1日1回投与され得るが、また用量は、化合物が呼吸器系障害(例えば、鼻炎)の治療で24時間以上に渡り治療効果を有するように選択され得る。
【0089】
レボカバスチン及びその塩、特に塩酸塩、及びフルチカゾンフランカルボン酸エステルは公知であり、市販されている化合物である。このような化合物を調製するプロセスは、当技術分野において、例えば欧州特許第034415号及び国際公開第02/12265号において周知されている。
【0090】
本明細書及び後続する特許請求の範囲全体を通じて、文脈から別途要求されない限り、単語「を含む(comprise)」、並びに「を含む(comprises)」及び「を含む(comprising)」等の変化形は、記載された整数又はステップ又は整数群が組み込まれ、その他の整数又はステップ又は整数群又はステップ群のいずれも除外されないことを意図するものと理解される。
【0091】
下記の非限定的な実施例は、本発明を説明する。
【実施例】
【0092】
[実施例1]
フルチカゾンフランカルボン酸エステルとレボカバスチン塩酸塩とを含有する鼻腔製剤
鼻腔内送達用の製剤は、以下のような成分から調製され得る。
【0093】
【表1】
【0094】
必要であれば、pHを6〜8に調整するために、塩酸又は水酸化ナトリウムを添加することができる。
【0095】
[実施例2]
実施例1の製剤を調製する方法
製剤は、下記のフロー図に従い調製され得る。
【0096】
【表2】
レボカバスチンHCl塩は、本発明の製剤(例えば、実施例1及び2に記載するような)の調製期間中にレボカバスチン遊離塩基に変換することが判明した。レボカバスチン遊離塩基の形態1及び2が、HCl塩の形態スクリーン中において、及びpH溶解度試験中において認められた。実施した競合熟成実験から、レボカバスチン形態1が最も安定な形態の遊離塩基であることが示唆される。驚くべきことに、最終製剤中の遊離塩基の形態は、19F ssNMRにより形態3と確認された。
【0097】
以下に、レボカバスチン遊離塩基について認められた形態に関する情報を提供する。
【0098】
レボカバスチン遊離塩基の多形形態の調製
レボカバスチン遊離塩基形態1
レボカバスチンHClのスラリー(1.0g)を、反応装置に添加し、4mMリン酸ナトリウムバッファー(pH7.5)100mlと混合した。当該スラリーを1.0NのNaOHで滴定し、pHを約7とした。次に、スラリーを60℃まで加熱し、終夜撹拌した。固形分を減圧濾過により単離した。
【0099】
レボカバスチン遊離塩基形態2
レボカバスチンHClのスラリー(1.0g)を、反応装置に添加し、4mMリン酸ナトリウムバッファー(pH7.5)100mlと混合した。当該スラリーを1.0NのNaOHで滴定し、pHを約7とした。固形分を20℃で減圧濾過により単離した。
【0100】
レボカバスチン遊離塩基形態3
形態3を2通りの方法で調製した。
【0101】
調製1:非種結晶(unseeded)レボカバスチンHCl(100mg)をメタノール5mlに約40℃で溶解した。0.1MのNaOH2.2mlを、約30℃の溶液に添加した。NaOH溶液、約1mlを添加した後、結晶化が認められた。得られた溶液を、結晶化が完了するまでゆっくりと添加した。材料を濾過し、特徴付けのためにバイアルに配置した。
調製2:種結晶(seeded)レボカバスチンHCl(2.5g、5.47mmol)及びメタノール(125ml)を、反応装置に添加し、60℃まで加熱してすべての固形分を溶解した。調製物1の種結晶を、混合物に添加すると、固形分が認められた。0.1NのNaOHの残りを滴下漏斗により60℃で30分かけて添加した。4時間かけて20℃まで冷却し、終夜維持した。固形分を減圧濾過により単離し、漏斗上で2時間乾燥した。当該バッチを減圧濾過により、40℃で4時間、真空下で更に乾燥した。材料を乾燥固形分(2.1g)として単離した。
【0102】
X線粉末回折(XRPD)
レボカバスチン多形形態のX線粉末回折(XRPD)データを、PANalytical X'Pert Pro powder回折計、モデルPW3040 Pro上にて、X'Celerator検出器を用いて取得した。取得条件は、照射:Cu Kα、発電機電圧:45kV、発電機電流:40mA、ステップサイズ:0.017°2θ、1ステップ当たりの時間:500秒、入射ビーム光学:ミラー光学-Cu W/Si(集束式MPD)、1/2度固定式発散スリット、0.02ラジアンソーラスリット、回折ビーム光学:固定式1/4度散乱防止スリットに取り付けられたプログラム可能な散乱防止スリットアセンブリ(X'celeratorモジュール)、0.02ラジアンソーラスリット、測定温度:20〜25℃であった。サンプルは、1.0mmのキャピラリーにサンプルを充填して調製した。PANalytical X'Pert Highscore Plusソフトウェアを用いてピーク位置を求めた。許容誤差は各ピークアサインメントにつき約±0.1°2θである。
【0103】
図4は、レボカバスチン無水結晶形態1のXRPDを表す。一実施形態では、本発明の製剤は、多形形態1のレボカバスチンを提供し、この形態は、約5.6、14.0、16.3、16.4、17.4、18.0、18.3、21.7、23.2°±0.1に、2θ(度)で表される特徴的なピークを有するX線粉末回折(XRPD)パターンを示す。
【0104】
図5は、レボカバスチン無水結晶形態2のXRPDを表す。一実施形態では、本発明の製剤は、多形形態2のレボカバスチンを提供し、この形態は約6.7、7.1、9.6、10.0、14.2、15.2、16.0、16.7、19.8、21.1、28.4°±0.1に、2θ(度)で表される特徴的なピークを有するX線粉末回折(XRPD)パターンを示す。
【0105】
図6は、レボカバスチン無水結晶形態3のXRPDを表す。一実施形態では、本発明の製剤は、多形形態3のレボカバスチンを提供し、この形態は約5.6、8.6、9.9、11.7、14.7、16.1、16.3、16.5、16.8、17.2、18.0、21.3、21.5、22.0、27.3°±0.1に、2θ(度)で表される特徴的なピークを有するX線粉末回折(XRPD)パターンを示す。
【0106】
固体NMR(SSNMR)
図7〜13の13C及び19F固体NMRデータを、499.98MHzの1H周波数で作動するBruker社製Avance 500三重共鳴分光光度計を用いて取得した。提示する13C SSNMRスペクトルは、Bruker社製4-mm三重共鳴マジック角回転プローブによる交差分極パルスシーケンスを用いて、8kHzのローター周波数にて得た。交差分極効率を増強するために、1Hチャンネルについて75〜90kHzの線形出力ランプを用いた。5-パルス全サイドバンド抑制パルスシーケンスにより、スピニングサイドバンドを取り除いた。Spinal-64シーケンスを用いて、1Hデカップリングを実現した。提示する19F SSNMRスペクトルは、Bruker社製4-mm三重共鳴マジック角プローブによる交差分極パルスシーケンスを用いて、12.5又は13.0kHzのローター周波数にて得た。特徴的な13C及び19FのNMRピーク位置は、0ppm(百万分の一)のテトラメチルシランと比較して報告され、装置上の変動及び校正に起因して精度は±0.2ppmである。
【0107】
図7は、無水結晶形態1のレボカバスチンについて、その13C固体NMR(SSNMR)スペクトルを表す。固体NMRスペクトルを、本明細書に記載する手順に基づき、13Cの測定につき125.73MHzの周波数、及び8kHzのスピニングスピードで作動する分光光度計上で得た。低強度のピークは、試験対象バッチ中に存在する少量の形態3の結果である。
【0108】
一実施形態では、本発明の製剤は、図7と実質的に同一の13C固体核磁気共鳴(SSNMR)スペクトルにより特徴付けられる無水結晶形態1のレボカバスチンを提供するが、この場合、SSNMRスペクトルは、Bruker社製4-mm三重共鳴マジック角回転プローブによる交差分極パルスシーケンスを用いて、13C測定につき125.73MHzの周波数で作動する分光光度計上で、8kHzのローター周波数にて得た。
【0109】
更なる実施形態では、本発明の製剤は、178.9±0.2、164.6±0.2、162.2±0.2、143.8±0.2、135.7±0.2、130.7±0.2、127.9±0.2、126.7±0.2、124.0±0.2、122.4±0.2、119.4±0.2、115.8±0.2、61.6±0.2、55.4±0.2、53.1±0.2、43.1±0.2、39.6±0.2、36.6±0.2、34.8±0.2、33.9±0.2、25.8±0.2、20.6±0.2、及び15.3±0.2ppmに化学シフトを有する13C SSNMRスペクトルにより特徴付けられる無水結晶形態1のレボカバスチンを提供する。
【0110】
図8は、無水結晶形態1のレボカバスチンについて、その19F固体NMR(SSNMR)スペクトルのアイソトロピック領域を表す。全マジック角回転スペクトルも提示する(挿入図)。固体NMRスペクトルを、本明細書に記載する手順に基づき、19F測定につき470.40MHzの周波数、及び12.5kHzのスピニングスピードで作動する分光光度計上で得た。-116.5ppmの19F共鳴は、試験対象バッチ中に存在する少量の形態3である。
【0111】
一実施形態では、本発明の製剤は、図8と実質的に同一の19F固体核磁気共鳴(SSNMR)スペクトルにより特徴付けられる無水結晶形態1のレボカバスチンを提供するが、この場合、SSNMRスペクトルは、Bruker社製4-mm三重共鳴マジック角回転プローブによる交差分極パルスシーケンスを用いて、19F測定につき470.40MHzの周波数で作動する分光光度計上で、12.5kHzのローター周波数にて得た。
【0112】
更なる実施形態では、本発明の製剤は、-110.7±0.2ppmにアイソトロピック化学シフトを有する19F SSNMRスペクトルにより特徴付けられる無水結晶形態1のレボカバスチンを提供する。
【0113】
図9は、無水結晶形態2のレボカバスチンについて、その13C固体NMR(SSNMR)スペクトルを表す。固体NMRスペクトルを、本明細書に記載する手順に基づき、13C測定につき125.73MHzの周波数、及び8kHzのスピニングスピードで作動する分光光度計上で得た。
【0114】
一実施形態では、本発明の製剤は、図9と実質的に同一の13C固体核磁気共鳴(SSNMR)スペクトルにより特徴付けられる無水結晶形態2のレボカバスチンを提供するが、この場合、SSNMRスペクトルは、Bruker社製4-mm三重共鳴マジック角回転プローブによる交差分極パルスシーケンスを用いて、13C測定につき125.73MHzの周波数で作動する分光光度計上で、8kHzのローター周波数にて得た。
【0115】
更なる実施形態では、本発明の製剤は、175.5±0.2、163.8±0.2、161.4±0.2、145.9±0.2、132.2±0.2、129.5±0.2、128.5±0.2、127.7±0.2、126.9±0.2、125.1±0.2、114.6±0.2、113.0±0.2、69.2±0.2、56.4±0.2、52.8±0.2、51.9±0.2、39.6±0.2、37.3±0.2、31.4±0.2、27.0±0.2、25.9±0.2、25.4±0.2、及び14.7±0.2ppmに化学シフトを有する13C SSNMRスペクトルにより特徴付けられる無水結晶形態2のレボカバスチンを提供する。
【0116】
図10は、無水結晶形態2のレボカバスチンについて、その19F固体NMR(SSNMR)スペクトルのアイソトロピック領域を表す。全マジック角回転スペクトルも提示する(挿入図)。固体NMRスペクトルを、本明細書に記載する手順に基づき、19F測定につき470.40MHzの周波数、及び12.5kHzのスピニングスピードで作動する分光光度計上で得た。
【0117】
一実施形態では、本発明の製剤は、図10と実質的に同一の19F固体核磁気共鳴(SSNMR)スペクトルにより特徴付けられる無水結晶形態2のレボカバスチンを提供するが、この場合、SSNMRスペクトルは、Bruker社製4-mm三重共鳴マジック角回転プローブによる交差分極パルスシーケンスを用いて、19F測定につき470.40MHzの周波数で作動する分光光度計上で、12.5kHzのローター周波数にて得た。
【0118】
更なる実施形態では、本発明の製剤は、-111.6±0.2ppmにアイソトロピック化学シフトを有する19F SSNMRスペクトルにより特徴付けられる無水結晶形態2のレボカバスチンを提供する。
【0119】
図11は、無水結晶形態3のレボカバスチンについて、その13C固体NMR(SSNMR)スペクトルを表す。固体NMRスペクトルを、本明細書に記載する手順に基づき、13C測定につき125.73MHzの周波数、及び8kHzのスピニングスピードで作動する分光光度計上で得た。低強度ピークは、試験対象バッチ中に存在する少量の形態1の結果である。
【0120】
一実施形態では、本発明の製剤は、図11と実質的に同一の13C固体核磁気共鳴(SSNMR)スペクトルにより特徴付けられる無水結晶形態3のレボカバスチンを提供するが、この場合、SSNMRスペクトルは、Bruker社製4-mm三重共鳴マジック角回転プローブによる交差分極パルスシーケンスを用いて、13C測定につき125.73MHzの周波数で作動する分光光度計上で、8kHzのローター周波数にて得た。
【0121】
更なる実施形態では、本発明の製剤は、177.3±0.2、164.2±0.2、161.9±0.2、143.7±0.2、137.8±0.2、127.7±0.2、125.4±0.2、116.3±0.2、69.7±0.2、55.8±0.2、52.3±0.2、50.8±0.2、43.3±0.2、42.3±0.2、37.1±0.2、31.2±0.2、26.4±0.2、26.1±0.2、24.8±0.2、及び16.4±0.2ppmに化学シフトを有する13C SSNMRスペクトルにより特徴付けられる無水結晶形態3のレボカバスチンを提供する。
【0122】
図12は、本発明による無水結晶形態3のレボカバスチンについて、その19F固体NMR(SSNMR)スペクトルのアイソトロピック領域を表す。固体NMRスペクトルを、本明細書に記載する手順に基づき、19F測定につき470.40MHzの周波数、及び12.5kHzのスピニングスピードで作動する分光光度計上で得た。-110.7ppmの19F共鳴は、試験対象バッチ中に存在する少量の形態1である。
【0123】
一実施形態では、本発明の製剤は、図12と実質的に同一の19F固体核磁気共鳴(SSNMR)スペクトルにより特徴付けられる無水結晶形態3のレボカバスチンを提供するが、この場合、SSNMRスペクトルは、Bruker社製4-mm三重共鳴マジック角回転プローブによる交差分極パルスシーケンスを用いて、19F測定につき470.40MHzの周波数で作動する分光光度計上で、12.5kHzのローター周波数にて得た。
【0124】
更なる実施形態では、本発明の製剤は、-116.5±0.2ppmにアイソトロピック化学シフトを有する19F SSNMRスペクトルにより特徴付けられる無水結晶形態3のレボカバスチンを提供する。
【0125】
図13は、レボカバスチンとフルチカゾンフランカルボン酸エステルとを含む本発明による製剤の19F固体NMR(SSNMR)スペクトルを表す。固体NMRスペクトルを、本明細書に記載する手順に基づき、19F測定につき470.40MHzの周波数、及び13.0kHzのスピニングスピードで作動する分光光度計上で得た。
【0126】
一実施形態では、本発明の製剤は、-116.5±0.2ppm及び-161.9±0.2、-184.6±0.2、-191.2±0.2ppmにアイソトロピック化学シフトを有する19F SSNMRスペクトルを提供する。これらの化学シフトは、レボカバスチン遊離塩基形態3及びフルチカゾンフランカルボン酸エステル形態1の化学シフトに一致する。
【0127】
臨床試験
フルチカゾンフランカルボン酸エステル(FF)とレボカバスチン塩酸塩とを含む併用の効果を、ヒト被験者を対象として、以下に記載する試験により調べる。
【0128】
試験1
アレルギー性鼻炎(AR)の被験者を対象とする、レボカバスチン、フルチカゾンフランカルボン酸エステル、プラセボの単独反復投与、及び用量固定式のフルチカゾンフランカルボン酸エステル/レボカバスチン併用投与の効果を評価するランダム化、二重盲検、プラセボ対照、4部分、3方法、不完全ブロック交差試験。
【0129】
目標及びエンドポイント
一次:アレルギー性鼻炎を有する被験者を対象として、アレルゲンチャンバーチャレンジにより誘発された鼻腔症状に対する鼻腔内FF/レボカバスチンによる1日1回投与8日間治療の、FF及びレボカバスチン単独投与と比較した効果。
【0130】
エンドポイント:FF単独8日間反復投与と比較して、FF/レボカバスチン8日間反復投与した後の、8日目TNSS及びTOSS(総眼性症状スコア)。
【0131】
レボカバスチン単独8日間反復投与と比較して、FF/レボカバスチン8日間反復投与した後の、8日目TNSS及びTOSS。
【0132】
二次:アレルギー性鼻炎を有する被験者を対象として、アレルゲンチャンバーチャレンジにより誘発された鼻腔症状について、FF/レボカバスチン第1回投与後の症状緩和が発現するまでの時間を、FF単独と比較して求める。
【0133】
エンドポイント:FF単独投与と比較した、FF/レボカバスチン単回投与後の、TNSS及びTOSSについての症状緩和の発現及び大きさ。
【0134】
レボカバスチン単独投与と比較した、FF/レボカバスチン単回投与後の、TNSS及びTOSSについての症状緩和の発現及び大きさ。
【0135】
治験デザイン
すべての被験者は、図1に詳記する試験を完了した。本試験に参加した個体毎の個々の期待される総試験期間は、最長20週間である(スクリーニング及びフォローアップを含む)。
【0136】
被験者約64例が投与及び主要評価を完了するように、被験者約72例が登録される。
【0137】
【表3】
【0138】
被験者は、検証された社内ソフトウェアを用いて、試験開始前にQuantitative Sciencesが作成したランダム化スケジュールに基づき3通りの治療順序(例えば、ABC、BCD、ACD)に割り振られる。
【0139】
各治療計画の説明は下記の通り:
- A =鼻孔毎に、FFスプレー、50μLを2回。総用量100μg
- B =鼻孔毎に、レボカバスチンスプレー、50μLを2回。総用量200μg
- C =鼻孔毎に、FF/レボカバスチン FDC、50μLを2回。総日用量は、FFにつき110μg及びレボカバスチンにつき200μg
- D =鼻孔毎に、プラセボスプレー、50μLを2回。
【0140】
各被験者には、試験薬初回投与前にランダム化番号が割り振られる。ランダム化番号は、最も小さい数から連番で割り振られる。ランダム化番号が被験者に割り振られたら、当該番号を別の被験者に再度割り振ることはできない。
【0141】
アレルゲンチャレンジは、Viennaチャレンジチャンバー(VCC)で採用されたのと同じ密閉されたチャンバー内で実施する。VCCは、確立された鼻炎療法(抗ヒスタミン薬及び局所コルチコステロイドを含む)を評価するのに用いられてきたが、有効性だけでなく、作用の発現及び持続時間をアレルゲン曝露に対する投与量の関係に応じて区別する能力を有する[Zieglmayer、2008年]。
【0142】
チャンバー内で用いられるチャレンジ剤は、スウェーデンのAllergon社より供給され、また4種類の草の混合物 (オオアワガエリ、カモガヤ、多年生のホソムギ及びハルガヤ)である。
【0143】
薬力学分析
被験者72例を募集する。少なくとも1期間のデータを有する被験者を、すべて分析対象とする。欠測データについて補完は行わない。鼻腔症状(鼻腔の充血/閉塞、かゆみ、くしゃみ、及び鼻漏)を0〜3の分類スケールでスコア化する。各被験者及び各時点において、全鼻腔症状スコア(TNSS)を、鼻腔の充血、鼻腔のかゆみ、くしゃみ、及び鼻漏に対する反応の合計として計算する。期間を通じて(すべての投与前の時点を含む)、平均プロファイルTNSS(及びその個々の成分)を、治療群別にプロットする。
【0144】
一次解析は、8日目におけるチャレンジチャンバー開始の数時間後(すなわち、投与の1〜4時間後)の加重平均TNSS (0〜3)についての、そのFDCとFF単独との比較、及びFDCとレボカバスチン単独との比較である。これらの2つの解析は、以下に詳記する方法と同様に個別に行う。
【0145】
導出したパラメーターを、被験者をランダム効果としてフィッティングしながら、ベースライン(チャレンジ前8日目)、期間、治療に起因する項、及び固定効果としてフィッティングした後のベースライン別治療相互作用(treatment by baseline interaction)の項について調整を行う分散モデルの混合効果解析を用いて解析する。治療比較(FDCとFF又はFDCとレボカバスチン)の推定値を、調整後の平均値(LSmeans)間で関連する95%信頼区間と共に計算する。TNSSスコアの個々の成分を同様に解析する。必要な場合には、キャリーオーバーの項もフィッティング可能である。次の比較について二次解析を行う:FFとレボカバスチン、レボカバスチンとプラセボ、FFとプラセボ、及びFDCとプラセボ。
【0146】
試験2
アレルゲンチャレンジチャンバー内で、鼻炎症状を治療対象として1日1回又は1日2回投与したときのレボカバスチンの鼻腔内反復投与効果を評価するための、アレルギー性鼻炎を有する被験者を対象としたランダム化、二重盲検、プラセボ対照、3方法交差試験。
【0147】
目標及びエンドポイント
一次
アレルギー性鼻炎を有する被験者を対象として、アレルゲンチャンバーチャレンジ(環境曝露チャンバー)により誘発された鼻腔症状に対する、1日2回投与と比較して1日1回投与したときの7日間レボカバスチン治療効果の非劣性を調べる。
【0148】
エンドポイント: 1日2回投与と比較して1日1回投与したときの、7日目最終実薬投与後、トラフPKレベル(すなわちそれぞれ約24時間及び12時間)において測定された治療7日後のTNSS。
【0149】
アレルギー性鼻炎を有する被験者を対象に、プラセボと比較して、アレルゲンチャンバーチャレンジ(環境曝露チャンバー)により誘発された鼻腔症状に対する7日間レボカバスチン治療(1日1回及び2回投与)効果の優位性を調べる。
【0150】
エンドポイント:プラセボと比較して、7日目最終投与後、トラフPKレベルにおいて測定された7日間レボカバスチン治療後の全鼻腔症状スコア(TNSS)。
【0151】
二次
健常男性及び女性被験者を対象に、定常状態におけるレボカバスチン単独鼻腔内投与の忍容性を調べる。
【0152】
エンドポイント:個々の成分(鼻腔の充血、鼻漏、鼻腔のかゆみ、及びくしゃみ)、
1日1回及び2回、鼻腔内レボカバスチン投与の忍容性。
【0153】
治験デザイン
治験デザインを図2に示す。
【0154】
すべての個体は、試験参加の適格性を評価するために初回スクリーニング来院する。すべての被験者は、全3期間の治療を受け、また順番はランダム化スケジュールに基づきランダム化コードを用いて決定する。
【0155】
すべての被験者は、全3期間の治療を受け、また順番はランダム化コードを用いて決定する。被験者は、ランダム化スケジュールに基づき、6通りの治療順序(ABC、BCA、CAB、ACB、BAC、CBA)のうちの1つにランダムに割り振られる。
【0156】
被験者は、全3治療計画において12時間間隔(1日2回)で薬物を投与される必要がある。被験者には、2つのボトルが供与される:「朝方用」ボトル及び「夕方用」ボトル(しかるべくラベル表示された)。ODにランダム化された場合、「朝方用」ボトルには、実薬が含まれ、また「夕方用」には、プラセボが含まれる。BDにランダム化された場合、両ボトルには、実薬が含まれる。プラセボにランダム化された場合、両ボトルには、プラセボが含まれる。すべての3治療計画において、最初の投与は実現可能であれば朝方投与から開始する。最初と最後の投与は診療所で投与される。すべての残りの投与は、自宅で行われる。各治療計画期間において、14〜20日間の休薬が設けられる。被験者は、各期間の7日目に診療所に終夜留まり、投与後12時間経過してアレルゲンチャレンジを受ける必要がある(8日目、すなわちODの場合、投与後約24時間、及びBDの場合、実薬投与後約12時間)。下記の表を参照。
【0157】
【表4】
【0158】
治療A、B、Cの順序は、期間1、2、3通じてランダム化する。
【0159】
投薬は朝方及び夕方に実施する。試験全体を通じて被験者毎にできる限り接近して投与が行われるように努力すべきであり、また被験者は投与時期について説明を受けるべきである。アレルゲンチャレンジは、各期間の8日目に施設により、上記表及びタイミングにしたがって、被験者毎にできる限り一定に実施すべきである。最後2回の投与の時期と日程は被験者のソースノートに記載される。すべての被験者は、期間3後の最終投与後に行われる7〜14日間のフォローアップ来院のために再来院する。
【0160】
フォローアップ:
被験者は、7〜14日間のフォローアップ来院のために、期間3後の最終試験薬投与後にユニットに参加する必要がある。各参加者の予想される総試験期間は、スクリーニング及びフォローアップを含め最長13週間である。
【0161】
【表5】
【0162】
チャレンジ薬剤
EECのアレルゲンチャレンジで用いられる花粉は、ブタクサ(short ragweed)花粉(Ambrosia artemisiifolia、Greer Laboratories, Inc.、Lenoir、Carolinaより調達)である。空気伝播性のブタクサ曝露は、EECにおいて花粉粒子3500±500個/m3以内である。
【0163】
薬力学的解析
鼻腔症状(鼻腔の充血/閉塞、かゆみ、くしゃみ、及び鼻漏)を、0〜3の分類スケールでスコア化する。各被験者及び各時点において、全鼻腔症状スコア(TNSS)を、鼻腔の充血、鼻腔のかゆみ、くしゃみ、及び鼻漏に対する反応の合計として計算する。期間を通じて(すべての投与前の時点を含む)、平均プロファイルTNSS(及びその個々の成分)を、治療群別にプロットする。
【0164】
一次解析は、8日目におけるチャレンジチャンバー開始の数時間後(すなわち、実薬投与の約24又は12時間後)の加重平均TNSS (0〜4)についての、その治療間における比較である。導出したパラメーターを、被験者をランダム効果としてフィッティングしながら、ベースライン(8日目チャレンジ前)、期間、治療に起因する項、及び固定効果としてフィッティングした後のベースライン別治療交互作用の項について調整を行う分散モデルの混合効果解析を用いて解析する。3つのペア毎の治療差異(レボカバスチンBDとプラセボ、レボカバスチンODとプラセボ、及びレボカバスチンODとレボカバスチンBD B)の推定値を、調整後の平均値(LSmeans)間で、関連する95%信頼区間と共に計算する。この解析は、ITT及びPPの両母集団について実施する。
【0165】
TNSSスコアの個々の成分を同様に解析する。必要な場合には、キャリーオーバーに関する項のフィッティングも可能である。8日目に各時点の各エンドポイントを処理することにより、平均95%信頼区間の値を示す平均プロファイルプロットも生成される。アレルゲンチャレンジチャンバーにおける0〜4時間にわたるプロファイルプロットについて推定値を得るために、被験者をランダム効果とし、また時間を反復効果として、期間、時間、治療、及び固定効果としての時間*治療交互作用をフィッティングするのに、分散モデルの混合効果解析を用いる。ベースライン(8日目のチャレンジ前TNSS)及びベースライン*時間交互作用が、共変量としてモデルに含まれ得る。
【0166】
TNSSの個々の症状スコア(鼻腔の充血/閉塞、鼻漏、かゆみ、及びくしゃみ)も解析し、上記のように提示する。
【0167】
試験3
フルチカゾンフランカルボン酸エステルとレボカバスチンとの用量固定型併用の薬物動態を、レボカバスチン単独及びフルチカゾンフランカルボン酸エステル単独の場合と比較する相対的生物学的利用能試験
【0168】
この試験の目的は、健常男性及び女性志願者を対象として、フルチカゾンフランカルボン酸エステルとレボカバスチンとの用量固定型併用の生物学的利用能を、レボカバスチン単独及びフルチカゾンフランカルボン酸エステル単独と共に調べることにある。この試験は、非盲検、ランダム化、反復投与、3方法交差試験である。被験者は、3通りの各治療期間につき、最低14日間の休薬期間を置いて、毎朝、7日間連続して治療を受ける。各治療期間の7日目の投与後に、薬物動態解析用の血液サンプルを一定間隔で採取する。フォローアップ来院が、最終投与後7〜14日間行われる。韓国人患者12例を含め、患者最低30例が登録する。
【0169】
【表6】
【0170】
治療アサインメント
被験者は、妥当性確認された社内のソフトウェアを用いて、試験開始前に、Clinical Statisticsにより生成されるランダム化スケジュールに基づき、6通りの治療順序(ABC、ACB、BAC、BCA、CAB、CBA)のうちの1つに割り振られる。
【0171】
各治療計画の説明は下記の通り:
- A =鼻孔毎にFF/LEV FDCスプレー、50μLを2回(合計4スプレー)。総日用量FF 110μg及びLEV 200μg。
- B =鼻孔毎にFFスプレー、50μLを2回(合計4スプレー)。総用量110μg。
- C =鼻孔毎にLEVスプレー、50μLを2回(合計4スプレー)。総用量200μg。
【0172】
各被験者には、試験薬初回投与を受ける前にランダム化番号が割り振られる。ランダム化番号は、最も小さい数から連番で割り振られる。ランダム化番号が被験者に割り振られたら、当該番号を別の被験者に再度割り当てることはできない。
【0173】
生物学的利用能
この試験は、FF及びLEVが単独で投与された場合と比較した、成分FF及びLEVがFDCとして投与された場合の相対的生物学的利用能を推定するように設計される。公式な仮説について試験されない。一次薬物動態エンドポイント毎に、対照治療の幾何平均に対する試験治療の幾何平均の比、μ(試験)/μ(対照)を得るために、点推定及び対応90%信頼区間が構築される。
【0174】
【表7】
本発明の実施形態として例えば以下を挙げることができる。
[実施形態1]
レボカバスチン
【化3】
又はその塩と、フルチカゾンフランカルボン酸エステルとを含む医薬製剤。
[実施形態2]
レボカバスチン塩酸塩とフルチカゾンフランカルボン酸エステルとを含む、実施形態1に記載の医薬製剤。
[実施形態3]
フルチカゾンフランカルボン酸エステルとレボカバスチン又はその塩が、懸濁粒子の形態で存在する、実施形態1又は2に記載の医薬製剤。
[実施形態4]
水性の医薬製剤である、実施形態1〜3のいずれか一項に記載の医薬製剤。
[実施形態5]
鼻腔内送達に適する、実施形態1〜4のいずれか一項に記載の医薬製剤。
[実施形態6]
1つ以上の懸濁剤を更に含む、実施形態1〜5のいずれか一項に記載の医薬製剤。
[実施形態7]
懸濁剤が、微結晶セルロース及びカルボキシメチルセルロースナトリウムである、実施形態6に記載の医薬製剤。
[実施形態8]
1つ以上の防腐剤を含む、実施形態1〜7のいずれか一項に記載の医薬製剤。
[実施形態9]
防腐剤が、塩化ベンザルコニウム及び/又はエデト酸(EDTA)二ナトリウムを含む、実施形態8に記載の医薬製剤。
[実施形態10]
1つ以上の湿潤剤を含む、実施形態1〜9のいずれか一項に記載の医薬製剤。
[実施形態11]
湿潤剤が、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエートを含む、実施形態18に記載の医薬製剤。
[実施形態12]
1つ以上の等張性調節剤を含む、実施形態1〜11のいずれか一項に記載の医薬製剤。
[実施形態13]
等張性調節剤が、デキストロース及び/又はグルコースを含む、実施形態12に記載の医薬製剤。
[実施形態14]
鼻腔の液と等張であることを特徴とする、実施形態1〜13のいずれか一項に記載の医薬製剤。
[実施形態15]
バッファーを含む、実施形態1〜14のいずれか一項に記載の医薬製剤。
[実施形態16]
バッファーが、リン酸バッファーを含む、実施形態15に記載の医薬製剤。
[実施形態17]
pHが6〜8の間に調整されている、実施形態1〜16のいずれか一項に記載の医薬製剤。
[実施形態18]
pHが、塩酸及び/又は水酸化ナトリウムを用いて調整される、実施形態17に記載の医薬製剤。
[実施形態19]
1つ以上の味覚マスキング剤を含む、実施形態1〜18のいずれか一項に記載の医薬製剤。
[実施形態20]
味覚マスキング剤が、スクラロース及び/又はメントールから選択される、実施形態19に記載の医薬製剤。
[実施形態21]
フルチカゾンフランカルボン酸エステルが、製剤の総重量に対して0.005%〜1% (w/w)の量で製剤中に存在する、実施形態1〜20のいずれか一項に記載の医薬製剤。
[実施形態22]
レボカバスチン又はその塩が、製剤の総重量に対して0.0005%〜2% (w/w)の量で製剤中に存在する、実施形態1〜21のいずれか一項に記載の医薬製剤。
[実施形態23]
(i)レボカバスチン又はその塩の水性懸濁物と、
(ii)フルチカゾンフランカルボン酸エステルの水性懸濁物と、
(iii)1つ以上の懸濁剤と、
(iv)1つ以上の防腐剤と、
(v)1つ以上の湿潤剤と、
(vi)バッファーと、
(vii)1つ以上の等張性調節剤と、任意の
(viii)1つ以上の味覚マスキング剤と
を含む、実施形態1〜22のいずれか一項に記載の医薬製剤。
[実施形態24]
防腐剤を含まない、実施形態23に記載の医薬製剤。
[実施形態25]
実施形態1〜24のいずれか一項に記載の医薬製剤を含む医薬製剤を、鼻腔内送達のために適合されたデバイス。
[実施形態26]
実施形態1〜24のいずれか一項に記載の医薬製剤を、薬学的に許容される量で、患者に投与するステップを含む、アレルギー性鼻炎の治療方法。
[実施形態27]
投与が、1日1回である、実施形態26に記載の方法。
[実施形態28]
炎症性及び/又はアレルギー性の状態を有する患者の治療を対象とする薬剤における使用のための、実施形態1〜24のいずれか一項に記載の医薬製剤。
[実施形態29]
炎症性及び/又はアレルギー性の状態が、鼻炎、季節性の鼻炎、通年性の鼻炎である、実施形態28に記載の使用。
[実施形態30]
炎症性及び/又はアレルギー性の状態を有する患者を治療するための薬剤を製造するための、実施形態1〜24のいずれか一項に記載の医薬製剤の使用。
[実施形態31]
実施形態1〜24のいずれか一項に記載の医薬製剤を、炎症性及び/又はアレルギー性の状態を有するヒト対象に有効量投与するステップを含む、前記ヒト対象を治療する方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13