(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記制御部は、波長と補正係数とが対応付けられた補正係数情報を参照し、当該補正係数情報において、上記ローカル光の波長に対応する補正係数を上記補正に用いる補正係数として特定する、
ことを特徴とする請求項1に記載のコヒーレント光受信器。
上記ローカル光の波長に対応する補正係数が上記補正係数情報に含まれていない場合、上記制御部は、上記補正係数情報に含まれている補正係数から、上記ローカル光の波長に対応する補正係数を内挿演算又は外挿演算によって算出し、算出した補正係数を上記補正に用いる補正係数として特定する、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載のコヒーレント光受信器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の光受信器においては、光電変換素子を用いて信号光の一部を光電流に変換するとともに、得られた光電流の大きさを信号光のパワーに換算する(光電流の大きさに所定の係数を乗じる)ことによって、信号光のパワーを示すモニタ値を得ていた。ところが、光電変換素子の感度は、光電変換素子が受光する光の波長に依存する性質(波長依存性)を有している。このため、上記のように得られたモニタ値には、信号光の波長に依存した誤差が含まれるという問題があった。特に、WDM方式の光通信システムにおいては、複数の波長の中からシステムにより選択された波長を有する信号光が光受信器に入力される。このため、WDM方式の光通信システムを構成する光受信器においては、信号光の波長に依存した誤差を補償するようモニタ値を補正することが重要になる。
【0009】
なお、このような誤差を補償するためには、信号光の波長を特定するための構成、例えば、波長計が必要になるが、コヒーレント光受信器を除く従来の光受信器は、このような構成を有していない。このため、コヒーレント光受信器を除く従来の受信器において信号光の波長に依存した誤差を補償するためには、信号光の波長を特定するための構成を新たに付加する必要があり、コストの高騰が避けられない。
【0010】
また、特許文献1には、モニタ値を算出するために用いるパラメータとして、光通信システムにおいて光受信器が受光し得る信号光のうち最も波長の短い信号光が入力されたときに正確なモニタ値を得ることができる短波長用パラメータと、これらの信号光のうち最も波長の長い信号光が入力されたときに正確なモニタ値を得ることができる長波長用パラメータとを予め求めておき、モニタ値の算出には短波長用パラメータと長波長用パラメータとの平均値を使用することが記載されている。しかしながら、このような構成を採用したとしても、入力される信号光の波長に応じて変化することのないパラメータを用いてモニタ値を算出する点に変わりはなく、信号光の波長に依存した誤差を完全に補償することは不可能であった。
【0011】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、信号光のパワーを表すモニタ値に含まれる、信号光の波長に依存した誤差を補償することによって、より精度の高いモニタ値を得ることが可能なコヒーレント光受信器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様に係るコヒーレント光受信器は、信号光を光電流に変換する、光電変換素子を含む受信パワー測定光学系と、上記光電流の大きさを上記信号光のパワーに換算することにより得たモニタ値を、上記信号光の波長に依存した誤差を補償するように補正する制御部と、を備え、上記制御部は、ローカル光の波長を表す波長情報に基づいて上記補正に用いる補正係数を特定する、ことを特徴とする。
【0013】
上記受信パワー測定光学系は、受光感度において波長依存性を持つ上記光電変換素子を少なくとも含んでいる。また、上記受信パワー測定光学系は、上記光電変換素子以外にも、分岐比において波長性依存特性を持つ光分岐部などを含み得る。したがって、上記光電流の大きさを上記信号光のパワーに換算することにより得た上記モニタ値には、上記信号光の波長に依存した誤差が含まれる。
【0014】
上記の構成によれば、上記モニタ値は、上記ローカル光の波長を表す上記波長情報に基づいて特定した補正係数を用いて上記誤差を補償するように補正される。したがって、上記の構成によれば、より精度の高いモニタ値を得ることができる。なお、上記ローカル光の波長を表す上記波長情報に基づいて特定した補正係数を用いて、上記信号光の波長に依存した上記誤差を補償することができるのは、コヒーレント光受信器においては、その動作の前提として、上記ローカル光の波長が上記信号光の波長に応じて(例えば、上記信号光の波長と所定の精度で一致するように)設定されるからである。
【0015】
また、上記の構成によれば、より精度の高いモニタ値を得ることができるため、得られたモニタ値に基づく各種判定及び各種制御を従来よりも精度よく実施することができる。得られたモニタ値に基づく判定としては、例えば、回線状態の良否判定が挙げられる。また、得られたモニタ値に基づく制御としては、例えば、受信ダイナミックレンジを広げるために、ローカル光のパワーをモニタ値に応じた大きさに設定する制御(特許文献2参照)や、消費電力を低減するために、モニタ値が所定の閾値を下回ったときにローカル光をオフにすると共に、モニタ値が所定の閾値を上回ったときにローカル光をオンにする制御などが挙げられる。
【0016】
本発明の一態様に係る上記コヒーレント光受信器において、上記制御部は、波長と補正係数とが対応付けられた補正係数情報を参照し、当該補正係数情報において、上記ローカル光の波長に対応する補正係数を上記補正に用いる補正係数として特定する、ことが好ましい。
【0017】
上記の構成によれば、上記補正係数情報において、複数の波長のそれぞれに対して補正係数が対応付けられているので、上記制御部は、当該補正係数情報を参照して、上記ローカル光の波長に対応する補正係数を特定することができる。
【0018】
なお、補正係数情報を参照してローカル光の波長に対応する補正係数を直接的に特定するのみならず、補正係数情報を参照して直接的に特定できる補正係数を用いた内挿演算又は外挿演算によって、ローカル光の波長に対応する補正係数を間接的に特定してもよい。
【0019】
本発明の一態様に係る上記コヒーレント光受信器は、上記光電変換素子又は上記光電変換素子の周囲の温度を検出する温度センサをさらに備え、上記制御部は、温度及び波長と補正係数とが対応付けられた補正係数情報を参照し、当該補正係数情報において、検出した温度、及び、上記ローカル光の波長に対応する補正係数を上記補正に用いる補正係数として特定する、ことが好ましい。
【0020】
上記モニタ値に含まれる上記誤差は、上記信号光の波長に依存するだけではなく、上記光電変換素子又は上記光電変換素子の周囲の温度にも依存する。上記の構成によれば、補正係数情報において、波長及び温度と補正係数が対応づけられているので、上記制御部は、当該補正係数情報を参照して、上記ローカル光の波長、すなわち信号光の波長と、上記光電変換素子又は上記光電変換素子の周囲の温度とに対応する補正係数を特定することができる。これにより、より精度の高いモニタ値を得ることができる。
【0021】
本発明の一態様に係る上記コヒーレント光受信器において、上記受信パワー測定光学系は、上記信号光を所定の比率で分岐することにより得られた上記信号光の一部を上記光電変換素子に供給する光分岐部をさらに含み、上記補正に用いる補正係数は、上記光電流の大きさを上記光分岐部に入力された上記信号光のパワーに換算する際の上記誤差を補償するように定められていてもよい。
【0022】
上記光分岐部が上記信号光を分岐する分岐比は、上記信号光の波長に依存することがある。上記の構成によれば、上記受信パワー測定光学系が上記光分岐部を含む場合であっても、より精度の高いモニタ値を得ることができる。
【0023】
本発明の一態様に係る上記コヒーレント光受信器において、上記ローカル光の波長に対応する補正係数が上記補正係数情報に含まれていない場合、上記制御部は、上記補正係数情報に含まれている補正係数から、上記ローカル光の波長に対応する補正係数を内挿演算又は外挿演算によって算出し、算出した補正係数を上記補正に用いる補正係数として特定する、ことが好ましい。
【0024】
上記の構成によれば、制御部は、上記ローカル光の波長に対応する補正係数を内挿演算又は外挿演算によって算出するので、補正係数情報は、ローカル光の波長として選択される可能性の波長の全てについて、各波長に対応する補正係数を含んでいることを要さず、ローカル光の波長として選択される可能性のある波長の一部について、各波長に対応する補正係数を含んでいれば良い。これにより、補正係数情報のデータサイズを小さくすることができる。また、補正係数情報を作成するために要する工数を削減することができる。
【0025】
本発明の一態様に係る上記コヒーレント光受信器において、上記制御部は、補正後の上記モニタ値が予め定められた閾値より小さいときに、上記ローカル光を生成するローカル光源の出力をオフにする、ことが好ましい。
【0026】
上記の構成によれば、補正後のモニタ値が閾値より小さいときにローカル光源の出力をオフにすることによって、上記コヒーレント光受信器の消費電力を抑えることができる。また、この制御を、信号光の波長に依存した誤差を補償することにより得たより精度の高いモニタ値に基づくことにより、従来よりも精度よく行うことができる。
【0027】
本発明の一態様に係るコヒーレント光受信器の製造方法は、上記何れかのコヒーレント光受信器の製造方法であって、既知のパワーを有する信号光を上記受信パワー測定光学系に入力したときに上記コヒーレント光受信器が得るモニタ値から、該モニタ値を上記既知のパワーに補正するための補正係数を求める第1工程と、上記第1工程にて求めた補正係数から、上記制御部が上記補正に用いる補正係数を特定するために参照する補正係数情報を生成する第2工程と、を含んでいる、ことを特徴とする。
【0028】
上記の方法によれば、上記コヒーレント光受信器において上記信号光の波長に依存する上記誤差を補償することを可能とする補正係数を表す補正係数情報を生成することができる。
【0029】
本発明の一態様に係る上記コヒーレント光受信器の製造方法において、上記第1工程は、上記モニタ値を上記既知のパワーに補正するための補正係数を、信号光の波長ごとに求める工程であり、上記第2工程にて生成される補正係数情報では、上記信号光の波長と、上記第1工程にて求めた上記補正係数とが対応付けられている、ことが好ましい。
【0030】
上記の方法によれば、(1)上記ローカル光の波長と、(2)上記ローカル光の波長が当該波長に一致するときに、上記コヒーレント光受信器において上記誤差を補償することを可能とする補正係数と、が対応付けられた補正係数情報を生成することができる。
【0031】
本発明の一態様に係る上記コヒーレント光受信器の製造方法において、上記コヒーレント光受信器は、上記光電変換素子又は上記光電変換素子の周囲の温度を検出する温度センサをさらに備えており、上記第1工程は、上記モニタ値を上記既知のパワーに補正するための補正係数を、上記光電変換素子又は上記光電変換素子の周囲の温度を変えながら信号光の波長ごとに求める工程であり、上記第2工程にて生成される補正係数情報では、温度及び上記信号光の波長と、上記第1工程にて求めた上記補正係数とが対応付けられている、ことが好ましい。
【0032】
上記の方法によれば、(1)温度及び上記ローカル光の波長と、(2)上記光電変換素子又は上記光電変換素子の周囲の温度が当該温度に一致し、かつ、上記ローカル光の波長が当該波長に一致するときに、上記コヒーレント光受信器において上記誤差を補償することを可能とする補正係数と、が対応付けられた補正係数情報を生成することができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、信号光の波長に依存した誤差を補償することにより、より精度の高いモニタ値を得ることが可能なコヒーレント光受信器を実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明に係るコヒーレント光受信器の実施形態について、図面に基づいて説明すれば以下のとおりである。なお、本発明に係るコヒーレント光受信器は、ローカル光の波長が信号光の波長に応じて設定されるというコヒーレント光受信器ならではの構成に着目して考案されたものであり、受信した信号光のパワーを測定することにより得たモニタ値を、ローカル光の波長を表す波長情報に基づいて補正する点に最大の特徴がある。
【0036】
≪第1の実施形態≫
〔コヒーレント光受信器の構成〕
本発明の第1の実施形態に係るコヒーレント光受信器3−1について、
図1及び
図2を参照して説明する。本実施形態に係るコヒーレント光受信器3−1は、同様に構成された他のコヒーレント光受信器3−2〜3−nと共に、波長分割多重された信号光を受信する光受信装置1に搭載される。
図1は、光受信装置1の構成を示すブロック図であり、
図2は、コヒーレント光受信器3−1の構成を示すブロック図である。
【0037】
光受信装置1は、
図1に示すように、光分波器2と、コヒーレント光受信器群3とを備えている。コヒーレント光受信器群3は、n個(nは2以上の任意の自然数)のコヒーレント光受信器3−1〜3−nによって構成されている。
【0038】
光分波器2は、波長分割多重された信号光を分波することによって、波長の異なるn個の信号光を得る。光分波器2にて得られた波長λi(i=1〜n)を有する信号光は、対応するコヒーレント光受信器3−iに供給される。
【0039】
コヒーレント光受信器3−1は、波長λ1を有する信号光を復調することによって、電気信号であるデータ信号を得る。コヒーレント光受信器3−1は、
図2に示すように、光分岐部31、入力パワーモニタ部32、ローカル光源33、コヒーレント光受信部34、ディジタル信号処理部35、及び制御部36を備えている。なお、温度センサ37については、後の第2の実施形態において説明する。
【0040】
光分岐部31は、光分波器2から供給された信号光を所定の比率で分岐することによって、2つの分岐光を得る。光分岐部31にて得られた2つの分岐光のうち、一方の分岐光は入力パワーモニタ部32に供給され、他方の分岐光はコヒーレント光受信部34に供給される。なお、光分岐部31としては、例えば、1本の光ファイバを2本以上の光ファイバに分岐させる、光カプラ等の光学素子を使用することができる。なお、光分岐部31は、信号光を入力パワーモニタ部32に導く光伝送路に含まれ、入力パワーモニタ部32は、この光伝送路とともに受信パワー測定光学系を構成している。
【0041】
入力パワーモニタ部32は、光分岐部31から供給された分岐光を電流(以下、「光電流」と記載)に変換する光電変換素子32aと、光電変換素子32aにて得られた光電流を電圧に変換する電流電圧変換回路32bとを備えている。入力パワーモニタ部32にて得られる電圧は、制御部36に供給される。なお、光電変換素子32aとしては、例えば、フォトダイオードを用いることができる。電流電圧変換回路32bとしては、例えば、抵抗器を用いることができる。
【0042】
ローカル光源33は、信号光の復調に用いるローカル光を生成する。ローカル光の波長、すなわち、ローカル光源33の発振波長は、所定の精度(例えば、±20pm)で信号光の波長λ1と一致するように制御部36によって設定される。ローカル光源33にて生成されたローカル光は、コヒーレント光受信部34に供給される。なお、ローカル光源33としては、例えば、波長可変レーザを用いることができる。ローカル光源33は、局部発振光源と呼ばれることもある。
【0043】
コヒーレント光受信部34は、光分岐部31から供給された分岐光と、ローカル光源33から供給されたローカル光とを干渉させることによって、分岐光の複素振幅に応じたI成分とQ成分とを有するアナログ信号を生成する。コヒーレント光受信部34にて生成されたアナログ信号は、ディジタル信号処理部35に供給される。
【0044】
ディジタル信号処理部35は、コヒーレント光受信部34から供給されたアナログ信号をアナログ−ディジタル変換することによって、ディジタル信号に得ると共に、得られたディジタル信号に対して波長分散補償や符号誤り訂正などの各種ディジタル信号処理を施すことによって、データ信号を復号する。
【0045】
制御部36は、入力パワーモニタ部32から供給された電圧をアナログ−ディジタル変換することによって、電圧値(ディジタル値)を得るA/Dコンバータ36aと、A/Dコンバータ36aにて得られた電圧値を信号光のパワーに換算することによって、モニタ値を得るモニタ値算出部36bと、モニタ値算出部36bにて得られたモニタ値を補正するモニタ値補正部36cとを備えている。ここで、モニタ値算出部36bにて行われる換算は、受信パワー測定光学系の感度の波長依存性を考慮しない演算であり、例えば、信号光の波長に依存しない係数を電圧値に乗じることによってモニタ値を得る。したがって、モニタ値算出部36bにて得られたモニタ値には、信号光の波長λ1に依存した誤差が含まれる。モニタ値補正部36cは、この誤差を補償するべく、ローカル光の波長を表す波長情報に基づいて特定した補正係数を用いて、モニタ値算出部36bにて得られたモニタ値を補正する。ここで、ローカル光の波長を表す波長情報に基づいて特定した補正係数を用いて、信号光の波長に依存した誤差を補償するようにモニタ値を補正することができるのは、ローカル光の波長が信号光の波長と所定の精度で一致するように設定されているためである。
【0046】
なお、本実施形態に係るコヒーレント光受信器3−1に入力される可能性のある信号光の波長λ1は、例えばITU−T勧告にて規定されたCバンド(Conventional-band:1530〜1565nm)又はLバンド(Long-band:1565〜1625nm)に属する波長であり、波長間隔が50GHzグリッドである場合、予め定められた88通りの波長(1570.414nm、1570.819nm、1571.233nm、…、1607.025nm)の何れかである。制御部36は、入力される信号光の波長λ1に対応するチャンネル番号LOch(λ1=1570.414nmであればLOch=1、λ1=1570.819nmであればLOch=2、…、λ1=1607.025nmであればLOch=88)を特定すると共に、ローカル光の波長、すなわち、ローカル光源33の発振波長を、特定したチャンネル番号LOchに対応する波長と所定の精度で一致するように設定する。これにより、コヒーレント光受信器3−1の状態が、入力される信号光を復調することが可能な状態に切り替える。なお、制御部36は、入力される信号光の波長λ1に対応するチャンネル番号LOchを、ホスト装置である光受信装置1からの通知に基づき特定するように構成されていてもよいし、自身で特定するように構成されていてもよい。入力される信号光の波長λ1に対応するチャンネル番号LOchを制御部36自身で特定する方法としては、例えば、コヒーレント光受信部34にて得られるデータ信号の信号品質を監視しながらローカル光の波長をスイープさせ、信号品質が最良となる波長に対応するチャンネル番号を、信号光の波長λ1に対応するチャンネル番号LOchと見做す方法などが挙げられる(特許文献3参照)。
【0047】
また、本実施形態に係るコヒーレント光受信器3−1において、制御部36は、上記のように特定したチャンネル番号を、制御部36に内蔵された揮発性メモリ36dに記憶させる。ローカル光の波長は、所定の精度で信号光の波長と等しく設定されるので、揮発性メモリ36dに記憶されたチャンネル番号は、信号光の波長を表す波長情報と見做すこともできるし、ローカル光の波長を表す波長情報と見做すことができる。また、制御部36に接続された不揮発性メモリ38には、チャンネル番号と補正係数とが対応付けられた補正係数テーブルが格納されている。波長チャンネルのチャンネル番号は、ローカル光の波長を表すので、不揮発性メモリ38に格納された補正係数テーブルは、ローカル光の波長に対応する補正係数を表す補正係数情報と見做すことができる。制御部36は、揮発性メモリ36dに記憶されたチャンネル番号及び不揮発性メモリ38に格納された補正係数テーブルを参照して、モニタ値の補正に用いる補正係数を決定する。具体的な方法については、参照する図面を代えて後述する。
【0048】
〔光電変換素子の受光感度及び光分岐部の分岐比の波長依存性〕
光電変換素子32aは、入力光のパワーに対する光電流の大きさの比である受光感度が、入力光の波長に依って変化する性質を有している。すなわち、光電変換素子32aの受光感度は、波長依存性を有している。また、光分岐部31は、一方の分岐光に対する他方の分岐光のパワーの比である分岐比が、入力光の波長に依って変化する性質を有している。すなわち、光分岐部31の分岐比は、波長依存性を有している。
【0049】
特に、コヒーレント光受信器3−1が備える光分岐部31においては、コヒーレント光受信部34に供給される分岐光に対する入力パワーモニタ部32に供給される分岐光の比が極めて小さい値に設定される。入力パワーモニタ部32に供給される分岐光は、コヒーレント光受信に利用することができず損失となるため、そのパワーをできるだけ小さく抑えることが好ましいからである。このため、光分岐部31の分岐比の波長依存性は、光電変換素子32aの受信感度の波長依存性と同様、モニタ値に対して無視することのできない影響を与える。
【0050】
以下では、これらの波長依存性について、
図9を参照して説明する。
図9の(a)は、光電変換素子32aの受光感度の波長依存性を示す図であり、(b)は、光分岐部31の分岐比の波長依存性を示す図である。
【0051】
光電変換素子32aの受光感度は、受光感度(A/W)=出力電流(光電流)の大きさ(A)/入力光のパワー(W)によって表される。
図9の(a)は、光通信において広く使用されている2つの波長帯域であるCバンド及びLバンド付近における受光感度の波長依存性の一例を示している。
図9の(a)に示すように、受光感度は、Cバンド付近では変化が小さく、ほぼ一定になるのに対し、波長が1570nmを越えるあたりから波長の増加に伴い受光感度が大きく低下する。この傾向は、光電変換素子32aの温度に依らず共通している。
【0052】
一方、光分岐部31の分岐比も、Cバンド及びLバンド付近の波長帯域において、波長の増加に伴い低下する。この傾向も、光分岐部31の温度に依らず共通している。
【0053】
以上のように、光分岐部31の分岐比及び光電変換素子32aの受光感度は、波長依存性を有している。したがって、光分岐部31及び光電変換素子32aを含む受信パワー測定光学系の入出力特性は、波長依存性を有することになる。このため、受信パワー測定光学系にて得られた光電流を信号光のパワーに換算することにより得られたモニタ値には、信号光の波長に依存した誤差が含まれることになる。この誤差は、信号光の波長がLバンドに属するときに特に大きくなる。したがって、Lバンドで使用するコヒーレント光受信器3−1を実現するためには、この誤差を補償するようモニタ値を補正することが重要となる。
【0054】
〔モニタ値の算出及び補正〕
次に、制御部36がモニタ値を算出及び補正する処理について、
図3及び
図5を参照して説明する。
図3は、制御部36がモニタ値を算出及び補正する手順を示すフローチャートである。
図5は、制御部36がモニタ値を補正するために参照する補正係数テーブル<1>を例示した図である。
【0055】
本実施形態において、制御部36がモニタ値を補正するために参照する補正係数テーブル<1>は、
図5に示すように、Cバンド又はLバンドに属する88個の波長チャンネル全てについて、チャンネル番号LOchと補正係数αとが対応付けて記録されたものである。以下、補正係数テーブル<1>において、チャンネル番号LOchに対応付けられた補正係数αをα[LOch]と記載する。例えば、チャンネル番号LOch=1には、補正係数α[1]=1.01が対応付けられており、チャンネル番号LOch=88には、補正係数α[88]=1.14が対応付けられている。この補正係数テーブル<1>の作成手順については後述する。
【0056】
図3に示すように、制御部36は、まず、不揮発性メモリ38から補正係数テーブル<1>を読み出し、読み出した補正係数テーブル<1>を揮発性メモリ36d上に展開する(ステップS1)。その後、制御部36は、以下に説明するステップS2〜S5を繰り返し実行する。
【0057】
ステップS2:モニタ値算出部36bが、A/Dコンバータ36aにて得られた電圧値を信号光のパワーに換算することによってモニタ値RxPowを得る。なお、本ステップS2における換算は、受信パワー測定光学系の受光感度の波長依存性を考慮しない演算であり、本ステップS2にて得られるモニタ値RxPowには、信号光の波長λ1に依存した誤差が含まれる。
【0058】
ステップS3:モニタ値補正部36cが、ステップS1において読み出した補正係数テーブル<1>において、揮発性メモリ36dに記憶されたチャンネル番号LOchに対応する補正係数α[LOch]を特定する。
【0059】
ステップS4:モニタ値補正部36cが、ステップS2にて算出したモニタ値RxPowにステップS3にて特定した補正係数α[LOch]を乗じることによって、ステップS2にて算出したモニタ値RxPowを補正する。本ステップS4にて得られた補正後モニタ値RxPow’=RxPow×α[LOch]は、揮発性メモリ36d上の予め定められた特定のアドレスを有する記憶領域に記憶される。なお、本ステップS4にて得られる補正後モニタ値RxPow’は、信号光の波長λ1に依存した誤差が補償されたモニタ値、すなわち、より精度の高いモニタ値となる。
【0060】
ステップS5:ホスト装置である光受信装置1から補正後モニタ値RxPow’の読み出し要求があった場合、コヒーレント光受信器3−1の制御部36は、揮発性メモリ36dに記憶された補正後モニタ値RxPow’をホスト間通信インタフェースを介して光受信装置1に提供する。
【0061】
なお、ステップS5において、制御部36は、補正後モニタ値RxPow’を光受信装置1に提供する処理に加え、算出した補正後モニタ値RxPow’に基づき回線状態の良否を判定する処理(例えば、読み出した補正後モニタ値RxPow’が閾値以下になったときに回線状態が不良と判定する)、又は、読み出した補正後モニタ値RxPow’に基づき故障の有無を判定する処理(例えば、読み出した補正後モニタ値RxPow’が閾値以下になったときに故障が有ると判定する)を実行してもよい。また、ステップS5において、制御部36は、これらの判定処理に加え、回線状態が不良と判定した場合又は故障が有ると判定した場合に、光受信装置1にアラートを出す処理、回線状態が不良と判定した場合又は故障が有ると判定した場合に、光受信装置1へのデータ信号の供給を停止する処理、又は、回線状態が不良と判定した場合又は故障が有ると判定した場合に、ローカル光源33の出力をオフにして、消費電力の低減を図る処理を実行してもよい。
【0062】
また、本実施形態においては、全ての波長チャンネルについて、チャンネル番号LOchと補正係数αとが対応付けて記録された補正係数テーブル<1>を補正係数情報として用いる構成について説明したが、本発明はこれに限定されない。すなわち、一部の波長チャンネルについて、チャンネル番号LOchと補正係数αとが対応付けて記録された補正係数テーブルを補正係数情報として用いる構成を採用してもよい。後者の場合、波長補正テーブル<1>に含まれていないチャンネル番号に対応する補正係数αは、波長と補正係数αとの関係を近似関数(線形関数又は非線形関数)で表せる場合には、その近似関数と補正係数テーブル<1>に含まれている補正係数αとを用いた内挿演算又は外挿演算によって間接的に求めることができる。補正係数αを間接的に求める形態では、補正係数テーブルに含める項目数を減らし、補正係数テーブル<1>のデータサイズを小さくすることができるとともに、補正係数テーブル<1>を作成する工数を減らすことができる。補正係数テーブル<1>の作成は、コヒーレント光受信器3−1,3−2,…3−nのそれぞれについて行うので、補正係数テーブル<1>の作成工数を減らせることは、光受信装置1全体の調整工数の大幅な削減に寄与する。なお、補正係数αの変動が小さい波長帯域では、補正係数テーブルに含める項目数を更に減らしてもよい。
【0063】
〔コヒーレント光受信器の製造方法〕
本実施形態に係るコヒーレント光受信器3−1の製造方法は、上述した補正テーブル<1>を作成する補正テーブル作成工程を含んでいる。以下、この補正テーブル作成工程について、
図4を参照して説明する。
図4は、この補正テーブル作成工程の手順を示すフローチャートである。なお、光受信装置1の製造に際しては、各コヒーレント光受信器3-iについて、この補正係数テーブル作成工程を繰り返すことになる。
【0064】
製造装置は、波長チャンネルのチャンネル番号を表す変数LOchの値を1に設定した後(S11)、変数LOchの値をインクリメントしながら(S14)、変数LOchの値が88(波長チャンネルの総数)を超えるまで(S15)、下記のステップS12〜S13を繰り返し実行する。すなわち、各波長チャンネルLOchを設定対象として、下記のステップS12〜S13を繰り返し実行する。
【0065】
ステップS12:コヒーレント光受信器3?1のローカル光の波長を処理対象とする波長チャンネルLOchに対応する波長に設定する。そして、当該波長を持つリファレンス光のパワーを既知の値REFPow[mW]に正確に調整したうえで、リファレンス光をコヒーレント光受信器3?1に入力する。コヒーレント光受信器3?1のモニタ値算出部36bは、リファレンス光のパワーを表すモニタ値RxPow[mW]を算出する。
【0066】
ステップS13:コヒーレント光受信器3?1のモニタ値算出部36bが算出したモニタ値RxPowを読み取り、読み取ったモニタ値RxPowとリファレンス光の既知のパワーREFPowとから、設定対象とした波長チャンネルLOchに対応する補正係数α[LOch]を下記式に従って算出する。
【0067】
補正係数α[LOch]=リファレンス光のパワー/モニタ値
=REFPow/RxPow
上記のステップS12〜S13を繰り返し実行することにより、各波長チャンネルLOchに対応する補正係数α[LOch]を算出することができる。製造装置は、算出した補正係数α[LOch]を波長チャンネルLOchに対応付けた補正係数テーブル<1>を作成し、作成した補正係数テーブル<1>をコヒーレント光受信器3−1の不揮発性メモリ38に格納する(S16)。こうして、不揮発性メモリ38には、前述した
図5に示す補正テーブル<1>が保存される。
【0068】
≪第2の実施形態≫
本発明の第2の実施形態について、
図1及び
図6〜
図9を参照して説明する。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0069】
〔コヒーレント光受信器の構成〕
図1に示すように、本実施形態に係るコヒーレント光受信器3−1は、第1の実施形態で説明した構成に加えて、温度センサ37を備えている。温度センサ37は、入力パワーモニタ部32の光電変換素子32aの温度、又は、光電変換素子32aの周囲温度を検出し、検出した温度を示す温度情報を制御部36のモニタ値補正部36cに送る。モニタ値補正部36cは、後述するように、制御部36に内蔵された揮発性メモリに記憶された波長情報、及び、温度センサ37から得た温度情報に基づいて、波長及び温度に依存した誤差を補償するべく、モニタ値算出部36bにて算出されたモニタ値を補正する。
【0070】
〔光電変換素子の受光感度及び光分岐部の分岐比の温度依存特性〕
図9の(a)(b)は、光電変換素子32aの受光感度及び光分岐部31の分岐比が、温度に依って変化する性質、すなわち温度依存性を有していることをも示している。
【0071】
光電変換素子32aの受光感度は、
図9の(a)に示すように、Cバンド付近では温度に依る変化が小さいが、波長が1570nmを越えるあたりから、温度が25℃、0℃、−10℃と下がるほど、より大きく低下する。
【0072】
また、光分岐部31の分岐比は、
図9の(b)に示すように、Cバンド及びLバンド付近の波長帯域において、温度の上昇に伴い低下する。なお、分岐比が波長の増大とともに低下する割合は、温度に依らずほぼ一定である。
【0073】
〔モニタ値の算出及び補正〕
次に、制御部36がモニタ値を算出及び補正する処理について、
図6及び
図8を参照して説明する。
図6は、制御部36がモニタ値を算出及び補正する手順を示すフローチャートである。
図8は、制御部36がモニタ値を補正するために参照する補正係数テーブル<2>を例示した図である。
【0074】
本実施形態において、制御部36がモニタ値を補正するために参照する補正係数テーブル<2>は、
図8に示すように、光電変換素子32aの取り得る温度範囲から選択された複数の代表温度(0℃、5℃、10°、・・・、70℃)の各々に対応する補正係数テーブルの集合である。各代表温度RxTempに対応する補正係数テーブルは、第1の実施形態のおける補正係数テーブル<1>と同様、Cバンド又はLバンドに属する88個の波長チャンネル全てについて、チャンネル番号LOchと補正係数αとが対応付けて記録されたものである。以下、代表温度RxTempに対応する補正係数テーブルにおいて、チャンネル番号LOchに対応付けられた補正係数αを、α[LOch][RxTemp]と記載する。例えば、温度RxTemp=0℃において、チャンネル番号LOch=1には、補正係数α[1][0]=1.12が対応付けられており、温度RxTemp=70℃において、チャンネル番号LOch=88には、補正係数α[88][70]=1.06が対応付けられている。この補正係数テーブル<2>の作成手順については後述する。
【0075】
なお、補正係数テーブル<2>では、光電変換素子32aの受光感度が波長の増加に伴い低下する割合が、温度が低いほど大きいことと、光分岐部31の分岐比が温度が高いほど低いこととを考慮して、補正係数α[LOch][RxTemp]が設定されている。ただし、光電変換素子32aの受光感度が低温ほど低下する割合は、光分岐部31の分岐比が高温ほど低下する割合を上回っている。このため、傾向として、補正係数補正係数α[LOch][RxTemp]は、同じ波長チャンネルに対し、低温ほど大きく設定されている。なお、補正係数テーブル<2>に関する上記の説明はあくまでも一例に過ぎない。
【0076】
図6に示すように、制御部36は、まず、不揮発性メモリ38から補正係数テーブル<2>を読み出し、読み出した補正係数テーブル<2>を揮発性メモリ36d上に展開する(ステップS21)。その後、制御部36は、以下に説明するステップS22〜S25を繰り返し実行する。
【0077】
ステップS22:モニタ値算出部36bが、A/Dコンバータ36aにて得られた電圧値を信号光のパワーに換算することによってモニタ値RxPowを得る。なお、本ステップS22における換算は、受信パワー測定光学系の受光感度の波長依存性及び温度依存性を考慮しない演算であり、本ステップS22にて得られるモニタ値RxPowには、信号光の波長及び光電変換素子32aの温度に依存した誤差が含まれる。
【0078】
ステップS23:モニタ値補正部36cが、温度情報を温度センサ37から取得する。そして、ステップS21にて読み出した補正係数テーブル<2>に含まれる各代表温度に対応する補正係数テーブルのうち、取得した温度情報が表す温度(に最も近い代表温度)RxTempに対応する補正係数テーブルにおいて、揮発性メモリ36dに記憶されたチャンネル番号LOcに対応する補正係数α[LOch][RxTemp]を特定する。
【0079】
ステップS24:モニタ値補正部36cが、ステップS22にて算出したモニタ値RxPowにステップS23にて特定した補正係数α[LOch][RxTemp]を乗じることによって、ステップS22にて算出したモニタ値RxPowを補正する。本ステップS24にて得られた補正後モニタ値RxPow’=RxPow×α[LOch][RxTemp]は、揮発性メモリ36d上の予め定められた特定のアドレスを有する記憶領域に記憶される。なお、本ステップS24にて得られる補正後モニタ値RxPow’は、信号光の波長λ1に依存した誤差が補償されたモニタ値、すなわち、より精度の高いモニタ値となる。
【0080】
ステップS25:ホスト装置である光受信装置1から補正後モニタ値RxPow’の読み出し要求があった場合、コヒーレント光受信器3−1の制御部36は、揮発性メモリ36dに記憶された補正後モニタ値RxPow’をホスト間通信インタフェースを介して光受信装置1に提供する。
【0081】
なお、ステップS25において、制御部36は、補正後モニタ値RxPow’を光受信装置1に提供する処理に加え、算出した補正後モニタ値RxPow’に基づき回線状態の良否を判定する処理(例えば、読み出した補正後モニタ値RxPow’が閾値以下になったときに回線状態が不良と判定する)、又は、読み出した補正後モニタ値RxPow’に基づき故障の有無を判定する処理(例えば、読み出した補正後モニタ値RxPow’が閾値以下になったときに故障が有ると判定する)を実行してもよい。また、ステップS25において、制御部36は、これらの判定処理に加え、回線状態が不良と判定した場合又は故障が有ると判定した場合に、光受信装置1にアラートを出す処理、回線状態が不良と判定した場合又は故障が有ると判定した場合に、光受信装置1へのデータ信号の供給を停止する処理、又は、回線状態が不良と判定した場合又は故障が有ると判定した場合に、ローカル光源33の出力をオフにして、消費電力の低減を図る処理を実行してもよい。
【0082】
〔コヒーレント光受信器の製造方法〕
本実施形態に係るコヒーレント光受信器3−1の製造方法は、上述した補正テーブル<2>を作成する補正テーブル作成工程を含んでいる。以下、この補正テーブル作成工程について、
図7を参照して説明する。
図7は、この補正テーブル作成工程の手順を示すフローチャートである。なお、光受信装置1の製造に際しては、各コヒーレント光受信器3-iについて、この補正係数テーブル作成工程を繰り返すことになる。
【0083】
製造装置は、調整環境温度を0℃に設定した後(S31)、調整環境温度を5℃ずつ上げながら(S39)、調整環境温度が70℃(代表温度の最大値)を超えるまで(S37)、下記のステップS32〜S36を繰り返し実行する。すなわち、各代表温度RxTempを調整環境温度として、下記のステップS32〜S36を実行する。
【0084】
製造装置は、波長チャンネルのチャンネル番号を表す変数LOchの値を1に設定した後(S32)、変数LOchの値をインクリメントしながら(S35)、変数LOchの値が88(波長チャンネルの総数)を超えるまで(S36)、下記のステップS33〜S34を繰り返し実行する。すなわち、各波長チャンネルLOchを設定対象として、下記のステップS33〜S34を繰り返し実行する。
【0085】
ステップS33:コヒーレント光受信器3?1のローカル光の波長を処理対象とする波長チャンネルLOchに対応する波長に設定する。そして、当該波長を持つリファレンス光のパワーを既知の値REFPow[mW]に正確に調整したうえで、リファレンス光をコヒーレント光受信器3?1に入力する。コヒーレント光受信器3?1のモニタ値算出部36bは、リファレンス光のパワーを表すモニタ値RxPow[mW]を算出する。
【0086】
ステップS34:コヒーレント光受信器3?1のモニタ値算出部36bが算出したモニタ値RxPowを読み取り、読み取ったモニタ値RxPowとリファレンス光の既知のパワーREFPowとから、調整環境温度とした代表温度RxTempにおいて、設定対象とした波長チャンネルLOchに対応する補正係数α[LOch]を下記式に従って算出する。
【0087】
補正係数α[LOch][RxTemp]=リファレンス光のパワー/モニタ値
=REFPow/RxPow
設定対象とする波長チャンネルLOchを切り替えながら、上記のステップS33〜S34を繰り返し実行することにより、調整環境温度とした代表温度RxTempにおいて、各波長チャンネルLOchに対応する補正係数α[LOch][RxTemp]を算出することができる。そして、調整環境温度とする代表温度RxTempを切り替えながら、上記のステップS32〜S36を繰り返すことによって、各代表温度RxTempにおいて、各波長チャンネルLOchに対応する補正係数α[LOch][RxTemp]を算出することができる。製造装置は、算出した補正係数α[LOch][RxTemp]を代表温度RxTemp及び波長チャンネルLOchに対応付けた補正係数テーブル<2>を作成し、作成した補正係数テーブル<2>をコヒーレント光受信器3−1の不揮発性メモリ38に格納する(S38)。こうして、不揮発性メモリ38には、前述した
図8に示す補正テーブル<1>が保存される。
【0088】
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。