(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の実施形態に係る開口部の防水装置につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0015】
[第1実施形態]
図1から
図4を参照して、第1実施形態について説明する。本実施形態は、開口部の防水装置および開口部の防水シートに関する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る開口部の防水装置を示す斜視図、
図2は、第1実施形態に係る開口部の防水装置の水平断面図、
図3は、第1実施形態に係る開口部の防水装置の鉛直断面図、
図4は、押圧部材の設置状態の一例を示す図である。
【0016】
建物等の構造物の外部開口部には、シャッターが付けられることが多い。例えば、洪水時に浸水しやすい地下駐車場の入口や、浸水すると商品が毀損されやすい店舗の入口等にもシャッターが付けられていることが多い。シャッターは、隙間が多い構造であるため、ゲリラ豪雨や洪水時にはシャッターの隙間を介した浸水によってこれらの施設が被害に遭う可能性がある。
【0017】
浸水対策として、シャッターの下部を防水板(パネル)に変更する方法も考えられるが、一般的に高額となりやすいため、ユーザーにとって受け入れにくい場合がある。
【0018】
本実施形態の開口部の防水装置1−1は、シャッターの前にシートを設置して、簡易的にかつ安価に止水することを可能とする。シートは、シャッターとその周囲の構造物とを一体に覆うことで、シャッターと構造物との隙間を閉塞し、適切に止水することができる。よって、本実施形態の開口部の防水装置1−1によれば、水害による建物内部の被害を軽減することができる。
【0019】
図1に示す開口部の防水装置1−1は、構造物1の開口部2を閉塞し、屋外側から屋内側への水の浸入を抑制するものである。構造物1は、例えば、工場、倉庫、車庫、店舗、家屋等の建築構造物であり、開口部2を有している。開口部2は、構造物1の壁部等に形成されており、構造物1の屋外側と屋内側とを連通している。
【0020】
ここで、屋外側とは、相対的に構造物1の外部空間に近い側を示し、屋内側とは、相対的に構造物1の外部空間から遠い側を示す。言い換えると、屋外側とは、外部空間から構造物1に水が浸入する場合の上流側、すなわち先に水が到達する側である。開口部2は、例えば、構造物1の外部空間(屋外)と内部空間(屋内)とを連通するものとすることができる。本実施形態の開口部2は、構造物1の外殻をなす壁部3に形成されており、壁部3を貫通して構造物1の屋外と屋内とを連通している。なお、これに限らず、開口部2は、構造物1の内部を仕切る壁部に形成されたものであってもよい。
【0021】
シャッターカーテン4は、開口部2を開閉する開閉体である。シャッターカーテン4は、開閉方向、本実施形態では鉛直上下方向に移動する。シャッターカーテン4は、複数のスラット4aを開閉方向に連接して形成されたスラット連接体である。本実施形態では、開方向が上方向、閉方向が下方向となる。
【0022】
図2に示すように、シャッターカーテン4は、ガイドレール5によって案内される。壁部3は、開口部2を形成する壁面3a,3bを有する。壁面3aと壁面3bとは開口部2の幅方向において互いに対向している。ガイドレール5は、壁面3a,3bにそれぞれ配置されており、幅方向において互いに対向している。シャッターカーテン4の幅方向の両端部は、それぞれガイドレール5の溝部5aに挿入されている。溝部5aは、開閉方向に延在しており、シャッターカーテン4を開閉方向に移動自在に案内する。
【0023】
図3に示すように、シャッターカーテン4は、ホイルかご6に巻き取り可能である。ホイルかご6にシャッターカーテン4を巻き取ることで開口部2を開放することができ、ホイルかご6からシャッターカーテン4を繰り出すことで開口部2を閉鎖することができる。シャッターカーテン4の巻き取りおよび繰り出しは、手動でなされても、モータ等の駆動装置によって自動でなされてもよい。ホイルかご6は、ケース7内に配置されている。ケース7は、開口部2の上方の壁部等に取り付けられている。本実施形態のシャッター装置は、シャッターカーテン4、ガイドレール5、ホイルかご6およびケース7を有する。
【0024】
図1に戻り、開口部の防水装置1−1は、シート10、保持部20および押圧部材16を備える。シート10は、開口部2に設置されるものであり、開口部2の鉛直方向下端側の領域を閉塞することが可能な幅および長さを有している。シート10の形状は、例えば、矩形である。シート10は、遮水性を有しており、開口部の防水シートとして機能することができる。また、シート10は、可撓性を有しており、伸縮可能であってもよい。シート10の素材は、例えば、樹脂、ゴム、表面を樹脂などでコーティングした布とすることができる。シート10は、水圧によるシャッターカーテン4等の開閉体の変形に追従できる素材で構成されることが好ましい。
【0025】
シート10の幅は、シャッターカーテン4の幅よりも大きい。また、シート10の幅は、開口部2の幅、言い換えると壁面3aと壁面3bとの距離よりも大きいことが好ましい。シート10の開閉方向の長さは、対応すべき水深に基づいて定められている。すなわち、シャッターカーテン4の下端から鉛直方向上側に向けてどの範囲をシート10によって覆い防水するかに基づいてシート10の全長が定められている。以下の説明では、シャッターカーテン4においてシート10によって覆われるべき部分を「所定部」(
図3の符号41参照)と称する。所定部41は、シャッターカーテン4の鉛直方向下端側の部分である。
【0026】
保持部20は、シート10をシャッターカーテン4よりも屋外側の位置で構造物1に対して保持する。より詳しくは、保持部20は、シャッターカーテン4の所定部41と、構造物1のうち所定部41に隣接する部分とを一体に覆うことで開口部2の鉛直方向下端部を閉塞させるようにシート10を保持する。また、保持部20は、シート10の鉛直方向下端部が床面8に沿って屋外側に向けて延在するようにシート10を保持する。これにより、シート10は、シャッターカーテン4が有する隙間やシャッターカーテン4と構造物1との隙間を塞ぎ、屋内側への浸水を抑制することができる。
【0027】
図2に示すように、保持部20は、レール21およびビード22を有する。レール21は、壁面3a,3bにそれぞれ取り付けられている。なお、レール21は、ガイドレール5に対して固定されてもよい。レール21は、断面C字形状であり、互いに対向する面にスリットが形成されている。レール21は、開閉方向に延在しており、シャッターカーテン4の所定部41に対応する範囲に配置されている。すなわち、レール21は、シャッターカーテン4の下端から所定部41の上端までの範囲に対応して配されている。なお、レール21のスリットは、シャッターカーテン4と対向する面に形成されてもよい。
【0028】
ビード22は、レール21内に挿入可能である。ビード22は、断面C字形状であり、C字の両端部が外側に向けて突出している。ビード22は、軽量でかつ可撓性を有する素材、例えば樹脂素材で形成されている。ビード22は、これに代えて、アルミニウムなどの金属素材で形成されてもよい。なお、レール21とビード22とは一体のものであってもよい。
【0029】
シート10の幅方向の両端には、それぞれジッパー11が配置されている。ジッパー11は、シート10の縁部に配置されており、シート10の長さ方向(開閉方向)に延在している。ジッパー11は、円柱形状であり、ビード22の中空部に挿入可能である。ビード22のスリット幅は、ジッパー11の外径よりも小さいため、ジッパー11がスリットを介してビード22から抜け出ることが規制される。なお、ジッパー11は、断面円形のものには限定されず、例えば、断面が多角形状のものであってもよい。
【0030】
シート10を開口部2に設置する場合、まずシート10のジッパー11がビード22の中空部に挿入される。次いで、
図1に矢印Y1に示すように、ビード22がレール21に対して開閉方向に挿入される。シート10の幅は、開口部2の幅W(
図2参照)、言い換えると壁面3aと壁面3bとの距離よりも大きい。このため、シート10の両端部が保持部20によって保持された状態で、シート10はたるみを有している。つまり、保持部20は、シート10がたるみを有した状態でシート10を保持し、シート10が保持部20よりもシャッターカーテン4側に向けて撓んで所定部41と接触することを許容する。従って、シート10が保持部20によって保持された状態で、シート10をガイドレール5およびシャッターカーテン4に沿わせ、ガイドレール5およびシャッターカーテン4と互いに接触した状態に設置することが可能である。なお、保持部20に保持され、かつ水圧がかかる前の状態において、シート10がシャッターカーテン4、ガイドレール5および壁面3a,3bに密着可能な程度のたるみを有していることが好ましい。
【0031】
なお、シート10を構造物1に対して保持する手段は、ビード22およびレール21によるものには限定されない。例えば、構造物1に設置されたレール21によって直接シート10が保持されてもよい。また、粘着式のテープや面ファスナー等によってシート10が構造物1に固定されてもよい。あるいは、シート10を構造物1に対して保持することができる他の公知の手段が用いられてもよい。
【0032】
図1に示すように、シート10には、マグネット12が設けられている。マグネット12は、シート10の上端部に配置されている。マグネット12の吸引力によって、シート10の上端部がシャッターカーテン4に対して固定される。マグネット12は、予めシート10に固定されていてもよいが、これに代えて、シート10にポケット部を設けておき、シート10の設置時にマグネット12をポケット部に入れるようにしてもよい。マグネット12によってシート10がシャッターカーテン4に向けて吸引されることにより、シート10が垂れ下がることが抑制される。これにより、シート10の上端を狙いとする水位の位置よりも上方に保持しておくことができる。
【0033】
なお、シート10をシャッターカーテン4に対して保持する手段は、マグネット12に限定されるものではない。例えば、粘着式のテープや面ファスナー、吸盤等によってシート10がシャッターカーテン4に対して固定されてもよい。
【0034】
シート10の開閉方向の長さは、シャッターカーテン4の所定部41の開閉方向の長さよりも長い。従って、シート10が保持部20によって保持された状態で、シート10の鉛直方向下端部を床面8上に垂らし、床面8に沿わせることが可能である。シート10は、このシート10の鉛直方向下端部を床面8に沿って屋外側に向けて延在させた状態で設置される。言い換えると、シート10は、鉛直方向下端部が床面8と互いに対向し、かつ先端側へ向かうに従いシャッターカーテン4から離間するように配置される。本明細書では、シート10の鉛直方向下端部であって、シート10が保持部20によって保持された状態で床面8に沿って延在する部分を「シート下部13」と記載する。
【0035】
本実施形態では、押圧部材16がシート下部13に載置される。押圧部材16は、シート10を構造物1に向けて押圧するものであり、例えばシート10を床面8に向けて押圧する。
図1に示すように、押圧部材16は、シート下部13上に開口部2の幅方向に沿って連続的に配置される。押圧部材16は、隙間無く配置されても、隣接する押圧部材16の間に所定の隙間をあけて配置されてもよい。押圧部材16は、棒状あるいは板状であることが好ましい。本実施形態に係る押圧部材16は、板状のフラットバーである。押圧部材16は、例えば金属製であり、浮力に抗してシート下部13を床面8に向けて押圧することができる質量や密度を有している。押圧部材16は、シート下部13が床面8に沿って配置された後でシート下部13の上に設置される。
【0036】
図1および
図3に示すように、押圧部材16は、シャッターカーテン4の下端部の近傍、すなわちシート10がシャッターカーテン4に沿った部分から床面8に沿った部分へと屈曲した位置に配置されている。これにより、シャッターカーテン4の下端部の近傍においてシート10を床面8に密着させておくことができる。
【0037】
洪水やゲリラ豪雨等によって屋外の水嵩が増すと、まずシート下部13が水に接する。水圧によってシート下部13は床面8に向けて押圧されて床面8に密着する。これにより、シート下部13と床面8との間から水が浸入することが抑制される。また、押圧部材16によってシート下部13が床面8に向けて押圧されていることで、低水位の場合であってもシート下部13と床面8との隙間を介した浸水がより確実に抑制される。本実施形態に係る押圧部材16は、開口部2の幅方向に沿って、すなわち開口部2の外周に沿って連続的に設けられている。本実施形態では、複数の押圧部材16が開口部2の幅方向に沿って連続的に配置される。これにより、シート下部13と床面8との間に隙間が生じることが抑制される。また、押圧部材16は、水流等によってシート下部13が浮き上がることを抑制することが可能である。シート10は、水圧によって所定部41と、所定部41に隣接する床面8とを一体に覆うことができる。
【0038】
また、
図2に白抜き矢印で示すように、シート10において、シャッターカーテン4やガイドレール5、壁面3a,3bを覆う部分は、水圧によってシャッターカーテン4、ガイドレール5、壁面3a,3bに向けて押圧される。これにより、シート10は、シャッターカーテン4の所定部41と、所定部41に隣接するガイドレール5、壁面3a,3bとを一体に覆うことができる。シート10は、水圧によって押圧されることにより、シャッターカーテン4、ガイドレール5、壁面3a,3b等に密着し、シート10とシャッターカーテン4、ガイドレール5、壁面3a,3bとの間に水が浸入することを抑制することができる。
【0039】
また、シート10は、水圧によってシャッターカーテン4とガイドレール5との隙間やガイドレール5と壁面3a,3bとの隙間を塞ぐことで、これらの隙間を介した屋内側への浸水を抑制することができる。また、シート10は、互いに隣接するスラット4a,4aの隙間を塞ぐことで、この隙間を介した屋内側への浸水を抑制することができる。また、シート10は、水圧によってシャッターカーテン4の所定部41と、所定部41に隣接する床面8との隙間を塞ぐことで、シャッターカーテン4と床面8との隙間を介した屋内側への浸水を抑制することができる。
【0040】
シート10は、水圧によってシャッターカーテン4等に対して押圧されるため、水位が増加するに従いシャッターカーテン4等に対する密着性が増し、また各隙間を閉塞する閉塞性が増す。よって、シート10は、水位に応じて遮水性能が増し、適切に屋内側への浸水を抑制することができる。
【0041】
また、シート10は、予めたるみを有した状態で保持部20によって保持されているため、水位の増加に応じて水圧によって速やかにシャッターカーテン4やガイドレール5等に密着することが可能である。また、たるみを有しているため、シャッターカーテン4とガイドレール5との隙間など、各部の隙間の形状に対応して適切に変形・屈曲し、各隙間を速やかにかつ適切に閉塞することができる。
【0042】
防水性を高める観点からは、押圧部材16は、シート10の壁面をカバーする部分15の下端15aの上に載置されることが好ましい。本実施形態に係るシート10は、所定部41と、所定部41に隣接する床面8と、所定部41に隣接し、かつ開口部2の幅方向において互いに対向する壁面3a,3bとを一体に覆うものである。シート10のうち、壁面をカバーする部分15の開閉方向の長さは、保持部20の長さよりも大きい。壁面をカバーする部分15は、保持部20によってシート10が保持された状態で、壁面3a,3bと床面8とを一体に覆うことができる。壁面をカバーする部分15の下端15aは、シート下部13の上に重ねられる。
【0043】
壁面をカバーする部分15が壁面3a,3bと床面8とを一体に覆うことで、床面8と壁面3a,3bとが交わる隅部Aからの浸水が抑制される。また、押圧部材16が壁面をカバーする部分15の下端15aの上に載置されることで、隅部Aからの浸水が更に抑制される。
【0044】
防水性を高める観点からは、各押圧部材16が互いに端部を接するようにして開口部2の幅方向に連続的に配置されることが好ましい。このようにすれば、シート下部13と床面8との隙間をより低減することができる。また、押圧部材16は、開口部2の幅方向の一端から他端まで連続的に設けられることが好ましい。例えば、
図4に示すように、押圧部材16が、一方の壁面3aから他方の壁面3bまで連続的に、かつ互いに端部を接して配置されることが好ましい。
【0045】
開口部2の幅方向の端部に配置された押圧部材16は、その端部によってシート10の壁面をカバーする部分15を壁面3a,3bに向けて押圧するように設置されることが好ましい。例えば、最も壁面3b側に配置された押圧部材16は、その壁面3b側の端部によってシート10を壁面3bに向けて押圧するように設置されることが好ましい。これにより、シート10と壁面3a,3bとの隙間を減少させ、屋内側への水の浸入を抑制することができる。
【0046】
なお、本実施形態では、複数の押圧部材16がシート下部13に配置されたが、押圧部材16は一つであってもよい。例えば、複数の押圧部材16の総延長と同じ長さの一本の押圧部材16によってシート下部13を床面8に向けて押圧するようにしてもよい。
【0047】
シート10に取扱説明書や取扱説明図が表示されてもよい。例えば、開口部の防水装置1−1に含まれる構成要素の一覧や設置方法・設置手順をシート10にプリントしておくようにすれば、洪水等の非常時に設置作業を速やかに行うことが可能となる。
【0048】
なお、押圧部材16は、板状のフラットバーに代えて、バラスト(土嚢)であってもよい。バラストは、例えば、シート10に内蔵される。バラストは、例えば、2枚重ねのシート10の間に内蔵されるが、これに限定されるものではなく、シート10の表面に接着・縫製等によって固定されてもよい。バラストは、シート下部13に予め配置されることができる。バラストの設置位置は、例えば、
図1に破線の楕円で示す位置、すなわちフラットバーを載置する位置と同様の位置とすることができる。
【0049】
本実施形態では、壁面をカバーする部分15の下端15aは、シート下部13と分かれているが、これには限定されない。例えば、壁面をカバーする部分15の下端15aは、シート下部13と一体であってもよい。この場合、シート10を開口部2に設置するときに、下端15aとシート下部13との接続部分を折り畳んでシート下部13の上に重ねることが好ましい。押圧部材16は、シート下部13の上に重ねられた折り畳み部分の上に載置されて、折り畳み部分を床面8に向けて押圧することが好ましい。
【0050】
[第1実施形態の第1変形例]
第1実施形態の第1変形例について説明する。
図5は、第1実施形態の第1変形例に係る押圧部材の設置状態を示す斜視図、
図6は、第1実施形態の第1変形例に係る押圧部材の設置状態を示す断面図である。本変形例に係る押圧部材16において、上記第1実施形態の押圧部材16と異なる点は、構造物1の形状に応じて変形可能な点である。
【0051】
図5および
図6に示すように、押圧部材16は、本体16aと変形部16bとを含んで構成されている。本体16aは、上記第1実施形態の押圧部材16と同様のフラットバーであり、金属等の比較的比重が大きい素材や剛性が高い素材で構成されることができる。変形部16bは、弾性変形や塑性変形等の変形が可能なものであり、例えばゴムで構成されている。変形部16bは、板状に形成されており、本体16aの一面と変形部16bの一面とが接着等により固定されている。押圧部材16は、
図6に示すように、変形部16bにおける本体16a側と反対側の面(以下、「設置面」と称する。)16eをシート10に向けて載置される。
【0052】
押圧部材16をシート下部13に設置する場合、押圧部材16は、設置面16eを下方に向けてシート下部13上に載置される。本実施形態の変形部16bは、シート下部13上に載置されると、押圧部材16の自重によって床面8の形状に応じて変形する。例えば、
図6に示すように床面8に凹凸がある場合、押圧部材16の自重によって床面8の凹凸に応じて変形部16bが変形する。変形部16bは、床面8の凸部の形状に応じた凹形状に変形し、床面8の凹部の形状に応じた凸形状に変形する。これにより、凹凸を有する床面8にシート下部13が設置された場合に押圧部材16によってシート下部13を床面8の凹部や凸部に向けて押圧し、シート下部13と床面8との隙間を低減することができる。
【0053】
また、押圧部材16は、床面8が湾曲している場合には、自重によってその湾曲形状に応じて変形することができる。従って、本変形例に係る押圧部材16は、容易に設置でき、シート下部13が床面8から浮き上がることを抑制し、屋内側への浸水を抑制することができる。
【0054】
なお、変形部16bは、床面8等の面に対してユーザーによって押圧されることで面の形状に応じて変形し、ユーザーによる押圧力がなくなった後もその形状を維持するものであってもよい。一例として、ユーザーによる押圧力がなくなった後も自重により形状を維持できる素材で変形部16bを構成するようにしてもよい。
【0055】
本変形例では、押圧部材16の一部が変形部16bであったが、これに代えて、押圧部材16の全体が変形部16bとされてもよい。
【0056】
[第1実施形態の第2変形例]
第1実施形態の第2変形例について説明する。
図7は、隅部における隙間の説明図、
図8は、第1実施形態の第2変形例に係る押圧部材の設置状態を示す斜視図、
図9は、第1実施形態の第2変形例に係る押圧部材の設置状態を示す断面図である。本変形例に係る押圧部材16において、上記第1実施形態の第1変形例に係る押圧部材16と異なる点は、端部に変形部が設けられている点である。
【0057】
図7に示すように、壁面3a,3bと床面8とが交わる隅部Aでは、シート10の壁面をカバーする部分15との間に隙間が生じやすい。シート10に水圧が掛かれば隅部Aに向けて押圧されて隙間が小さくなるものの、水位が低くシート10に掛かる水圧が十分でない場合、隅部Aの隙間からの浸水が無視できないものとなる可能性がある。
【0058】
本変形例に係る押圧部材16は、端部に変形部を有していることによって、隅部Aの隙間を低減させて浸水を抑制することができる。
図8および
図9に示すように、押圧部材16は、端部変形部16cを有する。端部変形部16cは、押圧部材16の長手方向の一端に配置されており、シート下部13上に設置されたときに、開口部2の幅方向において壁面3a,3bと対向する。端部変形部16cは、弾性変形や塑性変形等の変形が可能なものであり、例えばゴムで構成されている。端部変形部16cは、壁面3a,3bに向けて押圧されることで壁面3a,3bの形状に応じて変形可能である。端部変形部16cは、矩形の板状に形成されており、本体16aおよび変形部16bの端面に対して接着等により固定されている。なお、変形部16bと端部変形部16cとは一体に形成されてもよい。
【0059】
端部変形部16cを有する押圧部材16は、端部変形部16cにおける本体16a側と反対側の面(以下、「押圧面」と称する。)16fを壁面3a,3bに向け、かつ設置面16eを床面8に向けて、シート下部13上に載置される。押圧部材16は、端部変形部16cによってシート10を壁面3a,3bに向けて押圧するように設置されることが好ましい。端部変形部16cが壁面3a,3bに向けて押圧されて壁面3a,3bの形状に応じて変形することで、シート10と壁面3a,3bとの隙間やシート10と隅部Aとの隙間からの浸水が抑制される。
【0060】
図9に示すように、端部変形部16cは、角部16dを有している。押圧部材16は、角部16dを有していることによって、隅部Aの隙間を低減させて浸水を抑制することができる。角部16dは、シート下部13上に載置されたときに隅部Aに対応する角部、すなわち押圧部材16の下面と端面とがなす角部である。角部16dの形状は、隅部Aの形状に対応している。本実施形態では、隅部Aは直角であり、これに対応して角部16dは直角に形成されている。押圧部材16は、角部16dと隅部Aとの間にシート10を挟んで設置される。端部変形部16cを壁面3a,3bに向けて押圧して押圧部材16が設置されると、角部16dは、シート10を隅部Aに向けて押圧する。これにより、隅部Aとシート10との隙間が低減し、水位が低い場合であっても隅部Aからの浸水が適切に抑制される。
【0061】
端部変形部16cを壁面3a,3bに向けて押圧して設置するためには、例えば、押圧部材16の総延長を開口部2の幅Wよりも大きくするようにすればよい。このようにして、
図4に示すように押圧部材16を開口部2の幅方向の一端から他端まで連続的に配置する場合、端部変形部16cが押し縮められた状態となる。よって、端部変形部16cによって、シート10を壁面3a,3bおよび隅部Aに向けて押圧し、密着性を高めることができる。
【0062】
なお、シャッター装置の構成によっては、シート10を押し付けることができる壁面が存在しない場合もある。
図10は、押圧部材によってシートをガイドレールに向けて押圧する設置方法の説明図である。
図10に示すように、保持部20がガイドレール5に取り付けられることがある。この場合、押圧部材16によってガイドレール5に向けてシート10を押圧することで、防水性を高めることができる。
【0063】
図10に示すように、本体16aおよび端部変形部16cによってシート10をガイドレール5に向けて押圧するようにして、押圧部材16がシート下部13上に設置される。これにより、シート10とガイドレール5との隙間が低減される。また、ガイドレール5と床面8とが交わる隅部における隙間が低減される。よって、床面8近くの隙間を極力小さくして低水位の状態での浸水を抑制することができる。
【0064】
図11は、シートをガイドレールに向けて押圧する押圧部材の他の一例を示す図である。
図11に示す押圧部材16は、本体16aに対して長手方向と直交する方向に突出する変形部16gを有する。変形部16gは、弾性変形や塑性変形等の変形が可能なものであり、例えばゴムで構成されている。変形部16gは、押圧部材16の端部の側面に配置されている。変形部16gは、端部変形部16cや変形部16bの一部を突出させたものであってもよい。押圧部材16は、変形部16gによってシート10をガイドレール5に向けて押圧するように設置される。なお、
図11に示す押圧部材16では、本体16aをフラットバーに代えてアングル鋼としてもよい。
【0065】
[第1実施形態の第3変形例]
図12に示すように、シート下部13の幅方向の端部は、開口部2の幅に応じて予め端部処理がなされていてもよい。
図12は、第1実施形態の第3変形例に係るシートの幅方向の端部を示す図である。シート下部13の幅が、開口部2の幅よりも大きい場合、シート下部13を床面8に密着させるためには、幅方向の両端部13aを適切に処理する必要がある。ここで、シート下部13の両端部13aになんら処理が施されていない状態で、設置時にシート下部13の両端部13aを現場の納まりに合わせようとすると、シート10の折り目などでしわ等ができる虞がある。この場合、生じたしわ等による隙間から水が浸入しやすくなり、止水性能の低下につながる可能性がある。また、施工者によってシート10の納まりが異なり、止水性能に影響する可能性がある。
【0066】
本変形例では、シート下部13の両端部13aが、予め折りたたまれている。両端部13aは、シート下部13の下面側、すなわち設置時に床面8と対向する側に折り返された状態に固定されている。固定方法は、両面テープ等による接着・縫製等の方法によることができる。これにより、しわ等が生じていない状態でシート下部13を床面8に設置することが可能となる。シート下部13の幅は、両端部13aが折り返された状態で開口部2の幅と一致している。これにより、シート下部13と壁面3a,3bとの間に隙間が生じることが抑制される。なお、シート下部13の両端部13aは、シート下部13の上面側に折り返されてもよい。
【0067】
予めシート下部13がコーナーの納まりに合わせて折りたたんだ状態とされていることで、現場で行うシート10の取付け調整がし易くなる。標準的な取付けができ、取付け時間が短縮されると共に、止水性能がアップするという利点がある。
【0068】
なお、シート下部13の両端部13aを折りたたんだ状態としておくことに代えて、シート下部13の両端部を開口部2の幅に応じて予めカットしておくようにしてもよい。この場合において、壁面3a,3bに凹凸がある場合、その凹凸に合わせた形状にシート下部13の両端部をカットしておくようにしてもよい。その他、現場での調整作業量を低減し、あるいは調整作業を不要とできるようにシート下部13の両端部13aの端部処理がなされることができる。すなわち、壁面3a,3bやガイドレール5、レール21等の形状や凹凸に合わせて両端部13aを予め形作っておく他の手段が採用されてもよい。
【0069】
[第1実施形態の第4変形例]
第1実施形態の第4変形例について説明する。
図13は、第1実施形態の第4変形例に係るシートを示す図である。シート10に、押圧部材16の設置位置が表示されてもよい。この表示は、例えば、帯状のマークとすることができる。
【0070】
なお、シート下部13を床面8に向けて押圧する方法は、磁力によるものであってもよい。例えば、床面8に鉄板等を予め埋め込んでおき、マグネットの磁力によってシート下部13を鉄板に向けて押圧することが可能である。
【0071】
また、シート10には、開閉方向の位置合わせの目安となるマーク17が表示されている。マーク17は、保持部20によって保持されたシート10のシャッターカーテン4に沿った範囲の下端を示す。つまり、マーク17は、シート10におけるシャッターカーテン4の下端に対応する位置を示すものである。このマーク17に基づいてシート10の開閉方向における位置決めがなされることで、シート10の下端側におけるカバー漏れの発生が抑制される。
【0072】
[第1実施形態の第5変形例]
第1実施形態の第5変形例について説明する。
図14は、第1実施形態の第5変形例に係る開口部の防水装置1−1を示す図である。本変形例に係る押圧部材18は、吸水性を有する。押圧部材18は、例えば棒状あるいは板状の部材であり、その長さはシート下部13の幅に対応している。従って、押圧部材18は、シート下部13の幅方向の一端から他端までを押さえてシート10の浮き上がりを抑制することができる。押圧部材18は、シート10に予め取付けられている。
【0073】
押圧部材18は、例えば、スポンジ、フェルト、布等の水を吸い込む素材で構成されている。これらの素材は、シート10と共に折りたたみやすく、かつ乾燥時には軽くなるため、収納・運搬・設置等における利便性が向上する。なお、押圧部材18の素材は、例示したものには限定されず、他の公知の素材が用いられてもよい。
【0074】
シート下部13の縁部の浮き上がりを抑制する観点からは、押圧部材18によってシート下部13を縁取ることが好ましい。押圧部材18は例えば、シート下部13における最も屋外側の縁部13bに配置される。
図15は、押圧部材18の配置の一例を示す図である。押圧部材18は、屋外側の縁部13bに加えて、幅方向の端部の縁部13cに配置されてもよい。
図15に示す押圧部材18は、屋外側の縁部13bに沿って延在する第一の部分18aと、幅方向の両端の縁部13cに沿って延在する第二の部分18bとを有する。第一の部分18aと第二の部分18bとは一体に形成されている。第二の部分18bは、幅方向の両端の縁部13cにおける先端側の所定の範囲に配置されている。このように押圧部材18がシート下部13の隅部を押さえるように配置されることで、シート下部13の浮き上がりが効果的に抑制される。
【0075】
[第1実施形態の第6変形例]
第1実施形態の第6変形例について説明する。本変形例では、シート10の一部がシャッターカーテン4と床面8との間に挟まれ、シャッターカーテン4によって床面8に向けて押圧される。これにより、シャッターカーテン4を錘代わりに用いてシート下部13の浮き上がりを抑制することができる。
図16、
図17、および
図18は、本変形例に係るシート10を示す断面図である。
【0076】
図16に示すシート10は、シート下部13の先端側の一部が屋内側に向けて折り返されている。シート下部13における屈曲部13dよりも先端側の部分13eは、シャッターカーテン4の座板4bよりも屋内側まで延在するように設置される。例えば、シャッターカーテン4を全閉位置よりもわずかに開方向に移動させた状態で、先端側の部分13eが座板4bと床面8との間に差し込まれる。その後、シャッターカーテン4は全閉位置まで移動され、先端側の部分13eを床面8に向けて押圧する。
【0077】
このようにシャッターカーテン4によって先端側の部分13eが押さえられていることで、シート下部13の浮き上がりが抑制される。また、シャッターカーテン4と床面8との間にシート下部13が挟まれてシャッターカーテン4と床面8との隙間を閉塞する。これにより、シャッターカーテン4と床面8との隙間を介した浸水が抑制される。
【0078】
図17に示すシート10は、第一のシート25と第二のシート26とが接続されたものである。第一のシート25は、シャッターカーテン4と互いに対向して配置され、開閉方向に延在するシートである。第二のシート26は、床面8と互いに対向して配置されるシートである。第一のシート25は、第二のシート26の上面に接続されている。第二のシート26において、第一のシート25よりも屋外側の部分26aがシート下部13として機能する。第二のシート26において、第一のシート25よりも屋内側の部分26bは、シャッターカーテン4と床面8との間に挟まれるように配置される。
【0079】
図18に示すシート10は、第一のシート27と第二のシート28とが接続されたものである。第一のシート27は、シャッターカーテン4と互いに対向して配置される部分27bと、床面8と互いに対向して配置される部分27cとを有する。床面8と互いに対向して配置される部分27cは、シート下部13として機能する。第一のシート27と第二のシート28とは、長さ方向の一端27a、28aを互いに重ね合わせるようにして接続されている。具体的には、第一のシート27のシート下部13の先端27aと、第二のシート28の先端28aとが重ね合わされている。第二のシート28は、第一のシート27に対して下面側に接続されている。
【0080】
第二のシート28は、第一のシート27と重ね合わされた端部28aがシャッターカーテン4よりも屋外側に位置し、かつ他端28bがシャッターカーテン4よりも屋内側に位置するように床面8と互いに対向して配置される。第二のシート28は、シャッターカーテン4と床面8との間に挟まれ、床面8に向けて押圧される。第一のシート27と第二のシート28とが重ね合わされて接続されることで、屋外側の端部27a,28aの浮き上がりが抑制される。
【0081】
[第1実施形態の第7変形例]
第1実施形態の第7変形例について説明する。上記第1実施形態では、開口部2を開閉する開閉体がシャッターカーテン4であったが、これには限定されない。例えば、開閉体は、スイング式の開き戸であってもよい。
図19は、開き戸に設置される開口部の防水装置1−2を示す図である。構造物1の壁面3a,3bには、ドア枠29が配置されている。ドア30は、ヒンジ31を介してドア枠29によって回動自在に支持されている。シート10は、ドア30よりも屋外側に設置される。シート10の両端は、例えば、上記第1実施形態の保持部20と同様の保持部20によって保持される。より簡易的には、粘着式のテープや面ファスナー等を介してシート10が構造物1によって保持されてもよい。シート10は、ドア30と、ドア枠29、ヒンジ31、壁面3a,3bとを一体に覆う。これにより、ドア30とドア枠29との隙間やドア30と床面8との隙間等からの浸水が抑制される。
【0082】
また、開閉体は、自動ドア等のスライド式のものであってもよい。
図20は、自動ドアに設置される開口部の防水装置1−3を示す図である。
図20には、開口部2の幅方向に開閉する2枚のドア34を有する引分け式の自動ドアが示されている。構造物1の一部をなす側壁32の端部には、方立て33が接続されている。ドア34は、方立て33よりも屋内側に配置されている。シート10は、保持部20を介して方立て33によって保持されている。シート10は、一対のドア34と各方立て33とを一体に覆う。これにより、ドア34と方立て33との隙間やドア34と床面との隙間等からの浸水が抑制される。
【0083】
また、開閉体は、グリル式のシャッターであってもよい。
図21は、グリルシャッター44に対するシート10の取付け方法の一例を示す図である。グリルシャッター44は、複数のパイプ45が開閉方向に所定の間隔で配置され、かつ互いに連結されている。シート10は、フック35を介してパイプ45によって保持される。シート10には、取付孔19が形成されており、取付孔19はハトメによって補強されている。S字形状のフック35の一端が取付孔19に挿入され、他端がパイプ45に掛けられる。これにより、グリルシャッター44に対して容易にシート10を配置することができる。
【0084】
なお、グリルシャッター44にシート10を配置する場合、シート10とグリルシャッター44との間に、板状部材や網状部材等の補助部材を配置するようにしてもよい。補助部材は、グリルシャッター44の所定部をカバーするものである。補助部材が水圧に抗してシート10を支持することで、シート10が互いに隣接するパイプ45の間から屋内側に突出することが抑制される。
【0085】
その他に開口部の防水装置1−1を適用可能な開閉体としては、スラットやパイプ以外に、パネルやシート状物、ネット状物を開閉方向へ単数もしくは複数連接してなる態様、あるいはスラット、パネル、パイプ、シート状物、ネット状物等を適宜に組み合わせてなる態様のものが挙げられる。
【0086】
[第1実施形態の第8変形例]
第1実施形態の第8変形例について説明する。押圧部材は、シート10を床面8に向けて押圧するように設置されることに加えて、シート10を壁面3a,3bに向けて押圧するように設置されてもよい。
図22は、第1実施形態の第8変形例に係る押圧部材を示す図である。
図22に示すように、本変形例に係る押圧部材50は、本体50aと、変形部50bとを含んで構成されている。取扱を容易にできるように、押圧部材50は軽量な素材で構成されることが好ましい。本体50aは、フラットバーであり、剛性が高い素材で構成されることができる。変形部50bは、弾性変形や塑性変形等の変形が可能なものであり、例えばゴムで構成されている。変形部50bは、板状に形成されており、本体50aの一面と変形部50bの一面とが接着等により固定されている。押圧部材50は、変形部50bにおける本体50a側と反対側の設置面50cをシート10に向けて設置される。
【0087】
押圧部材50は、例えば、押圧装置51によって壁面3a,3bに向けて押圧される。押圧装置51は、本体52と固定部53とを有する。本体52は、平面視における形状が直角三角形の部材である。本体52は、直角を挟む一辺52aによって押圧部材50を壁面3a,3bに向けて押圧した状態で、直角を挟むもう一方の辺が固定部53によって床面8に固定される。固定部53は、例えば、ボルトとナットの組合せによって本体52を床面8に対して固定する。本変形例に係る押圧部材50および押圧装置51は、シート10を保持する保持部として機能することができる。
【0088】
なお、押圧部材50を壁面3a,3bに向けて押圧する手段は、例示したものには限定されない。例えば、突っ張り棒によって押圧部材50が壁面3a,3bに向けて押圧されてもよい。また、磁力によって押圧部材50が壁面3a,3bに向けて吸引されるようにしてもよい。
【0089】
[第2実施形態]
図23を参照して、第2実施形態について説明する。第2実施形態については、上記実施形態で説明したものと同様の機能を有する構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図23は、本実施形態に係る開口部の防水装置2−1の支持部材を示す図である。本実施形態の開口部の防水装置2−1において、上記第1実施形態の開口部の防水装置1−1,1−2,1−3と異なる点は、開閉体を支持する支持部材を備える点である。シャッター装置の強度は、耐風圧性能を満足するように設計されているが、ゲリラ豪雨などの洪水時にシャッター装置に係る水圧は、風圧よりも遙かに大きい。このため、シート10を設置して止水する場合、水圧による力に抗してシャッターカーテン4を支持しておけることが好ましい。
【0090】
図23に示すように、シャッターカーテン4よりも屋内側の床面8には、取付孔36が設けられている。取付孔36は、シャッターカーテン4の厚さ方向に沿って配列されている。支持部材37は、当接部37aおよび取付孔36に対応する突起37bを有している。当接部37aは、シャッターカーテン4と当接してシャッターカーテン4の厚さ方向(以下、単に「厚さ方向」と記載する。)の変形を抑制する。支持部材37は、三角形状をなしており、当接部37aはその一辺である。突起37bは、他の一辺に配置されており、外方に向けて突出している。支持部材37は、例えば、直角三角形であり、この場合、当接部37aの一辺と突起37bを有する一辺とは直交する。突起37bは、取付孔36に挿入されて、支持部材37が厚さ方向に移動することを規制する。
【0091】
支持部材37は、突起37bおよび取付孔36によって位置決めされて、例えば、シャッターカーテン4の座板4bと厚さ方向において互いに対向するように設置される。屋外側からシャッターカーテン4にかかる水圧によってシャッターカーテン4が屋内側に撓むと、座板4bが支持部材37の当接部37aと当接する。これにより、座板4bの更なる変形が抑制される。座板4bの変形が抑制されることで、座板4bと連接された各スラット4aの変形も抑制される。つまり、支持部材37は、屋外側からの水圧による力に抗してシャッターカーテン4を支持することでシャッターカーテン4の変形を抑制する。
【0092】
支持部材37は、座板4bを支持することにより、シャッターカーテン4の変形を抑制し、シャッターカーテン4がガイドレール5から抜け出ることを抑制することができる。また、支持部材37は、シャッターカーテン4の変形に起因する浸水を抑制することができる。支持部材37を備えることで、間口の広い開口部2や、比較的強度の低い開閉体が配置された開口部2であっても、開口部の防水装置2−1を適用可能とすることができる。
【0093】
[第2実施形態の第1変形例]
第2実施形態の第1変形例について説明する。本変形例の支持部材は、床面8に収納される点が上記第2実施形態の支持部材37と異なる。
図24は、本変形例に係る支持部材38を示す図、
図25は、本変形例に係る他の支持部材40を示す図である。
【0094】
図24に示すように、支持部材38は、床面8に形成された凹部8aに収納される。支持部材38は、三角形状をなしており、凹部8aの底面8bに対してヒンジ等を介して連結されている。支持部材38は、ヒンジの軸線周りに回動自在であり、凹部8a内に収まるように倒された状態と、起立して凹部8aから突出した状態とに切り替え可能である。支持部材38は、起立した状態で当接部38aがシャッターカーテン4と厚さ方向において互いに対向する。支持部材38が凹部8a内に収納されるときには、凹部8aに蓋39がなされる。
【0095】
図25に示す支持部材40は、支持部材38と同様に、凹部8aに収納される。支持部材40は、円柱形状をなしており、凹部8aの底面8bに対してヒンジ等を介して連結されている。支持部材40は、ヒンジの軸線周りに回動自在であり、凹部8a内に収まるように倒された状態と、起立して凹部8aから突出した状態とに切り替え可能である。支持部材40は、起立した状態でシャッターカーテン4と厚さ方向において互いに対向する。支持部材40が凹部8a内に収納されるときには、凹部8aに蓋41がなされる。
【0096】
本変形例の支持部材38,40によれば、支持部材38,40を持ち運ぶ必要がないため、設置時間の短縮が可能となる。また、蓋39,41によって床面8がフラットな状態に保たれるため、通行の支障となることもない。
【0097】
[第2実施形態の第2変形例]
第2実施形態の第2変形例について説明する。本変形例の支持部材は、屋外側に配置される点が上記第2実施形態の第1変形例の支持部材38,40と異なる。
図26は、本変形例に係る支持部材42を示す図、
図27は、本変形例に係る他の支持部材43を示す図である。
【0098】
図26に示す支持部材42は、ワイヤーその他の紐状部材であり、床面8と座板4bとを連結する。支持部材42の一端は座板4bと連結されており、他端は座板4bよりも屋外側の床面8と連結されている。これにより、支持部材42は、屋外側からの水圧による力に抗してシャッターカーテン4を支持し、シャッターカーテン4が屋内側に向けて撓むことを抑制することができる。
【0099】
図27に示す支持部材43は、フック状の部材であり、床面8と座板4bとを連結する。支持部材43は、湾曲したU字形状あるいはJ字形状の部材である。支持部材43の一端は、座板4bよりも屋外側の床面8に形成された取付孔に挿入され、他端は座板4bの受け部に挿入される。受け部は、座板4bに形成された凹部や孔部であり、支持部材43と係合する。支持部材43は、屋外側からの水圧による力に抗してシャッターカーテン4を支持し、シャッターカーテン4が屋内側に向けて撓むことを抑制することができる。
【0100】
[第2実施形態の第3変形例]
第2実施形態の第3変形例について説明する。本変形例の支持部材は、床面8に形成された凹凸部である点が上記第2実施形態の第1変形例および第2変形例の支持部材38,40,42,43と異なる。
図28は、本変形例に係る支持部材46を示す図、
図29は、本変形例に係る他の支持部材47を示す図である。
【0101】
図28に示す支持部材46は、床面8に形成された凸部である。支持部材46は、シャッターカーテン4の座板4bよりも屋内側に配置されている。支持部材46は、厚さ方向において座板4bと互いに対向している。支持部材46は、屋外側からの水圧による力に抗してシャッターカーテン4を支持し、シャッターカーテン4が屋内側に向けて撓むことを抑制することができる。
【0102】
図29に示す支持部材47は、床面8に形成された溝部である。溝部47は、シャッターカーテン4の鉛直方向下方の床面8に配置されており、開口部2の幅方向に延在している。ガイドレール5は、溝部47内まで設けられていることが好ましい。溝部47は、蓋48によって閉塞可能である。浸水を抑制するときには、溝部47から蓋48が取り外され、溝部47にシャッターカーテン4の座板4bが収納される。これにより、溝部47は、屋外側からの水圧による力に抗してシャッターカーテン4を支持し、シャッターカーテン4が屋内側に向けて撓むことを抑制することができる。
【0103】
[第2実施形態の第4変形例]
第2実施形態の第4変形例について説明する。本変形例の支持部材は、組立式である点が上記第2実施形態の第1変形例、第2変形例、第3変形例の支持部材38,40,42,43,46,47と異なる。
図30は、本変形例に係る支持部材49の設置時を示す図、
図31は、本変形例に係る支持部材49の収納時を示す図である。
【0104】
図30および
図31に示すように、支持部材49は、本体部49a、当接部49bおよびリンク部49cを有する。本体部49aは、床面8に対して固定される。当接部49bは、シャッターカーテン4と当接する。リンク部49cは、本体部49aと当接部49bとを連結する。
【0105】
本体部49aの一端には当接部49bが、他端にはリンク部49cがそれぞれ連結されている。本体部49aと当接部49bの基端部とは、相対回転自在に連結されている。また、本体部49aとリンク部49cの基端部とは、相対回転自在に連結されている。当接部49bは、連結孔49dを有している。また、リンク部49cの先端部には、連結孔49eが形成されている。当接部49bの連結孔49dと、リンク部49cの連結孔49eとをボルト・ナット等の連結部材で連結することで、支持部材49をトラス構造とすることができる。このときに、当接部49bは、鉛直方向に延在していることが好ましい。本体部49aは、例えば、上記第2実施形態の取付孔36および突起37bによって床面8に対して固定される。
【0106】
本変形例の支持部材49によれば、当接部49bとリンク部49cとの連結を解除することで、コンパクトに収納することができる。また、設置時にはトラス構造となることで、十分な強度を有してシャッターカーテン4を支持することができる。
【0107】
[第3実施形態]
図32および
図33を参照して、第3実施形態について説明する。第3実施形態については、上記各実施形態で説明したものと同様の機能を有する構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。本実施形態の開口部の防水装置3−1において、上記各実施形態の開口部の防水装置1−1,1−2,1−3,2−1と異なる点は、シート10が、床面8と壁面3a,3bとが交わる隅部からの水の漏れをより効果的に抑制する構成を有する点である。
図32は、開口部に設置された第3実施形態に係るシートの要部を示す斜視図、
図33は、第3実施形態に係るシートの展開図である。
【0108】
本実施形態に係るシート10は、上記第1実施形態のシート10(
図1、
図2参照)と同様に、シャッターカーテン4の所定部41と、所定部41に隣接する床面8と、所定部41に隣接し、かつ開口部2の幅方向において互いに対向する壁面3a,3bとを一体に覆うものである。ここで、シート10を開口部2に設置した状態で、
図32に示す隅部A、すなわち壁面3a,3bと床面8とが交わる隅部Aにおいて水の漏れが生じやすい。シート10と隅部Aとに隙間が生じていると、その隙間を介して水が屋内側に浸入してしまうこととなる。本実施形態に係る開口部の防水装置3−1では、シート10は、床面8に対応する部分(後述する下方縁部62)の幅方向の端部62aと、壁面3a,3bに対応する部分(後述する側方縁部60)の下端部60aとを重ね合わせて設置することができる。これにより、隅部Aとシート10との間に隙間が生じることが抑制され、水漏れが抑制される。
【0109】
本明細書では、シート10において壁面3a,3bに対応する部分を「側方縁部60」と記載する。側方縁部60は、シート10が保持部20によって保持された状態で、壁面3a,3bと開口部2の幅方向において対向する部分を含む領域である。側方縁部60には、壁面3a,3bと対向する部分の延長上の部分、例えば開閉方向に延長した部分も含まれる。
【0110】
また、シート10において床面8に対応する部分を「下方縁部62」と記載する。下方縁部62は、シート10が保持部20によって保持された状態で、床面8と対向する部分およびその幅方向の延長上の部分を含む。
図33に示すように、シート10には、側方縁部60の下端部60aと下方縁部62との間にスリット61が形成されている。スリット61は、シート10の下端部に形成されており、開閉方向に延在している切れ目である。下方縁部62の幅方向の長さは、開口部2の幅と同一か、あるいは開口部2の幅よりも小さい。
【0111】
図32に示すように、側方縁部60は隅部Aに沿って折り曲げられ、側方縁部60の下端部60aは、下方縁部62の幅方向の端部62aの上に重ね合わされる。これにより、隅部Aを含む壁面3a,3bと床面8とを側方縁部60によって一体に覆うことができる。よって、隅部Aとシート10との間に隙間が生じることが抑制される。また、下方縁部62と側方縁部60の下端部60aとが重ね合わされることで、下方縁部62と側方縁部60とを密着させ、屋内側への水の浸入を抑制することができる。
【0112】
屋外側の水位が増し、シート10に掛かる水圧が増加すると、側方縁部60が隅部Aに向けて押圧される。これにより、シート10と隅部Aとの隙間が更に縮小し、屋内側への水の浸入を更に抑制することができる。また、水圧が増加すると、側方縁部60の下端部60aと下方縁部62の幅方向の端部62aとが密着し、屋内側への水の浸入が抑制される。本実施形態に係るシート10では、側方縁部60の下端部60aと下方縁部62の幅方向の端部62aとがスリット61によって分けられていることで、下端部60aと端部62aとを容易に重ね合わせることができる。
【0113】
なお、本実施形態では、側方縁部60の下端部60aが下方縁部62の上に重ね合わされたが、これに代えて、側方縁部60の下端部60aの上に下方縁部62の幅方向の端部62aが重ね合わされてもよい。
【0114】
[第3実施形態の第1変形例]
第3実施形態の第1変形例について説明する。
図34は、開口部に設置された第3実施形態の第1変形例に係るシートの要部を示す斜視図、
図35は、第3実施形態の第1変形例に係るシートの展開図である。
【0115】
図35に示すように、スリット63は、シート10の下端の角部を2つの三角形の部分に分けるように斜めに形成されている。スリット63により、下方縁部62には幅方向に突出する先細のヒレ部62bが形成され、側方縁部60には開閉方向に突出する先細のヒレ部60bが形成されている。一方のヒレ部62bの先端から他方のヒレ部62bの先端までの長さは、開口部2の幅よりも大きい。従って、シート10を開口部2に設置したときに、ヒレ部62bを床面8から立ち上げるように隅部Aに沿って下方縁部62を折り曲げ、ヒレ部62bを壁面3a,3bに沿って延在させることができる。また、ヒレ部60bは、シート10のジッパー11よりも下方(閉方向側)に設けられている。よって、シート10を開口部2に設置したときに、側方縁部60を隅部Aに沿って折り曲げ、ヒレ部60bを床面8に沿って延在させることができる。
【0116】
図34に示すように、シート10は、側方縁部60のヒレ部60bを下方縁部62に重ね合わせ、下方縁部62のヒレ部62bを側方縁部60に重ね合わせて設置される。本実施形態では、ヒレ部60bが下方縁部62の上に重ねられており、ヒレ部62bは側方縁部60に対して幅方向の外側に重ねられている。つまり、開口部2に対するシート10の設置が完了した状態で、ヒレ部62bは側方縁部60に隠れている。本変形例に係るシート10によれば、下方縁部62の幅方向の端部と、側方縁部60の下端部とを重ね合わせて設置することで、下方縁部62および側方縁部60のそれぞれによって、床面8と壁面3a,3bとを一体に覆うことができる。よって、隅部Aとシート10との隙間からの水の浸入を効果的に抑制することができる。
【0117】
なお、側方縁部60の下端部と下方縁部62の幅方向の端部との重ね方は、図示したものには限定されない。例えば、ヒレ部60bの上に下方縁部62を重ね、ヒレ部62bを側方縁部60に対して幅方向の内側に重ねるようにしてもよい。
【0118】
[第3実施形態の第2変形例]
第3実施形態の第2変形例について説明する。
図36は、開口部に設置された第3実施形態の第2変形例に係るシートの要部を示す斜視図、
図37は、第3実施形態の第2変形例に係るシートの展開図である。
【0119】
図37に示すように、側方縁部60および下方縁部62には、ヒレ部60c,62cがそれぞれ設けられている。ヒレ部60cは、側方縁部60の下端部に設けられており、ジッパー11よりも下方(閉方向側)に設けられている。よって、シート10を開口部2に設置したときに、側方縁部60を隅部Aに沿って折り曲げ、ヒレ部60cを床面8に沿って延在させることができる。ヒレ部60cは、矩形であり、開口部2の幅方向におけるヒレ部60cの長さは、下方縁部62の開閉方向の長さに対応している。
【0120】
ヒレ部62cは、矩形であり、下方縁部62の幅方向の端部に設けられている。一方のヒレ部62cの先端から他方のヒレ部62cの先端までの長さは、開口部2の幅よりも大きい。従って、シート10を開口部2に設置したときに、ヒレ部62cを床面8から立ち上げるように隅部Aに沿って下方縁部62を折り曲げ、ヒレ部62cを壁面3a,3bに沿って延在させることができる。
【0121】
図36に示すように、シート10は、側方縁部60のヒレ部60cを下方縁部62に重ね合わせ、下方縁部62のヒレ部62cを側方縁部60に重ね合わせて設置される。本実施形態では、ヒレ部60cが下方縁部62の上に重ねられており、ヒレ部62cは側方縁部60に対して幅方向の外側に重ねられている。
【0122】
本変形例に係るシート10によれば、下方縁部62および側方縁部60のそれぞれによって、床面8と壁面3a,3bとを一体に覆うことができ、かつ隅部Aの近傍において床面8や壁面3a,3bとヒレ部60c,62cとの接触面積を大きなものとすることができる。また、ヒレ部60cと下方縁部62との接触面積やヒレ部62cと側方縁部60との接触面積を大きなものとすることができる。これにより、屋内側への水の浸入を抑制する効果が高くなるという利点がある。
【0123】
なお、側方縁部60の下端部と下方縁部62の幅方向の端部との重ね方は、図示したものには限定されない。例えば、ヒレ部60cの上に下方縁部62を重ね、ヒレ部62cを側方縁部60に対して幅方向の内側に重ねるようにしてもよい。また、ヒレ部60c,62cの形状は、矩形に限らず任意に定めることができる。
【0124】
[第3実施形態の第3変形例]
第3実施形態の第3変形例について説明する。
図38は、開口部に設置された第3実施形態の第3変形例に係るシートの要部を示す斜視図、
図39は、第3実施形態の第3変形例に係るシートの展開図である。
【0125】
図38に示すように、本変形例に係るシート10は、角部64(
図39参照)を破線64aで折り、かつ角部64を下方縁部62に重ねることにより、側方縁部60の下端部と下方縁部62の幅方向の端部とを重ね合わせることができる。
図39に示すように、角部64は、シート10の下端でかつ幅方向の端部に位置する矩形の領域、例えば略正方形の領域である。角部64は、側方縁部60の一部として機能することができ、下方縁部62の一部として機能することもできる。
【0126】
図39に示す破線64aで山折りにし、破線64b,64cで谷折りすることにより、角部64は三角形に折り畳まれた形状となる。三角形に折り畳まれた部分は、下方縁部62の上に重ね合わされる。側方縁部60を破線64bで隅部Aに沿って折り曲げることにより、側方縁部60によって床面8と壁面3a,3bとを一体に覆うことができる。よって、シート10と隅部Aとの間に隙間が生じることを抑制し、屋内側への水の浸入を抑制することができる。
【0127】
なお、角部64の折り方、および側方縁部60の下端部と下方縁部62の幅方向の端部との重ね方は、図示したものには限定されない。例えば、折り畳まれた角部64は、下方縁部62に重ねることに代えて、側方縁部60に重ねられてもよい。また、角部64は、破線64aで山折りにされることに代えて、谷折りされてもよい。この場合、折り畳まれた角部64は、下方縁部62の下に重ねられるか、あるいは側方縁部60に対して幅方向の外側に重ねることができる。
【0128】
[第3実施形態の第4変形例]
第3実施形態の第4変形例について説明する。上記第3実施形態および第3実施形態の各変形例において、側方縁部60の下端部と下方縁部62の幅方向の端部とを重ね合わせた部分を押圧部材によって床面8に向けて押圧するようにしてもよい。押圧部材は、例えば、
図5に示すフラットバー16のようなものとすることができる。押圧部材は、隅部Aに向けてシート10を押圧できる角部を有するものであることが好ましい。側方縁部60の下端部と下方縁部62の幅方向の端部とを重ね合わせた状態で、シート10を隅部Aに向けて押圧するように押圧部材を載置することで、シート10と隅部Aとの隙間を極力少なくすることができる。
【0129】
例えば、上記第3実施形態に係るシート10(
図32参照)に対しては、側方縁部60を隅部Aに向けて押圧するように、側方縁部60の下端部60aの上に押圧部材を載置することが好ましい。また、上記第3実施形態の第1変形例に係るシート10(
図34参照)に対しては、側方縁部60を隅部Aに向けて押圧するように、ヒレ部60bの上に押圧部材を載置することが好ましい。また、上記第3実施形態の第2変形例に係るシート10(
図36参照)に対しては、側方縁部60を隅部Aに向けて押圧するように、ヒレ部60cの上に押圧部材を載置することが好ましい。また、上記第3実施形態の第3変形例に係るシート10(
図38参照)に対しては、側方縁部60および角部64を隅部Aに向けて押圧するように、角部64の上に押圧部材を載置することが好ましい。
【0130】
上記の各実施形態および変形例に開示された内容は、適宜組み合わせて実行されることができる。