【実施例】
【0126】
(実施例1)
Quil A/コレステロール(QC)溶液
Quil A(Superfos)を水中に溶解し、50mg/mlのストック溶液を調
製した。コレステロール(Fabri Chem Inc.)をエタノール内に溶解し、18mg/mlのストック溶液を調製した。次に、コレステロールストック溶液を、0.2ミクロンのフィルターを用いてろ過した。
【0127】
様々な製剤におけるQuil Aおよびコレステロールの濃度の範囲は、コレステロール
に対するQuil Aが1/1μg/mlという低いものから、1000/1000μg
/mLという高いものであった。50/50μg/mLのQuil A/コレステロール
ストック溶液を調製するために、Quil Aストック溶液を50μg/mLの濃度まで
水で希釈した。この溶液を撹拌しながら、コレステロールストック溶液を50μg/mLの最終濃度までゆっくりと添加した。
【0128】
(実施例2)
DDA(D)溶液
ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド(DDA、Fluka Analytic
al)をエタノール内に溶解し、18mg/mlのストック溶液を調製した。DDAストック溶液を0.2ミクロンのフィルターを用いてろ過した。
【0129】
(実施例3)
Quil A/コレステロール/DDA(QCD)溶液
Quil A/コレステロールストック溶液を実施例1におけるようにして所望の濃度に
調製した。実施例2において調製したDDAストック溶液を、Quil A/コレステロ
ールストック溶液にゆっくりと添加した。溶液を混合して、所望の最終濃度を得た。溶液のpHを必要に応じてNaOHまたはHClで調節して、通常は約6.9から約7.5の範囲である所望の最終pHを得た。
【0130】
(実施例4)
CARBOPOL(登録商標)(C)溶液。
CARBOPOL(登録商標)(Noveon、Mexico)を脱イオン水に溶解し、1.5%のストック溶液を調製した。別の実施形態において、CARBOPOL(登録商標)を脱イオン水に溶解し、0.75%のストック溶液を調製した。
【0131】
(実施例5)
DDA/CARBOPOL(登録商標)(DC)溶液。
DDAストック溶液を実施例2におけるように調製した。0.75%CARBOPOL(登録商標)ストック溶液を実施例4におけるように調製した。溶液を混合して、所望の最終濃度を得た。
【0132】
(実施例6)
Quil A/コレステロール/DDA/CARBOPOL(登録商標)(QCDC)溶
液
Quil A/コレステロール/DDAストック溶液を実施例3におけるように調製した
。0.75%CARBOPOL(登録商標)ストック溶液を実施例4におけるように調製した。CARBOPOL(登録商標)ストック溶液をQuil A/コレステロール/D
DAストック溶液にゆっくりと添加して、所望の最終濃度を得た。溶液のpHをNaOHまたはHClで調節して、通常は約6.9から約7.5の範囲である所望の最終pHを得
た。
【0133】
(実施例7)
Bay R1005(登録商標)(R)溶液
Bay R1005(登録商標)溶液を調製するために、糖脂質N−(2−デオキシ−2
−L−ロイシルアミノ−β−D−グルコピラノシル)−N−オクタデシルドデカノイルアミドをエタノール内に溶解した(60%v/v)。次に、Tween20および氷酢酸を添加した。1つの実施例において、3.49gmのN−(2−デオキシ−2−L−ロイシルアミノ−β−D−グルコピラノシル)−N−オクタデシルドデカノイルアミドを44.64mLのエタノール/水に溶解した(60%v/v)。これを1.12mLのTween20および0.68mLの氷酢酸と組み合わせた。
【0134】
(実施例8)
Quil A/コレステロール/DDA/CARBOPOL(登録商標)/Bay R1005(登録商標)(QCDCR)溶液
Quil A/コレステロール/DDA/CARBOPOL(登録商標)ストック溶液を
実施例6におけるように調製した。Bay R1005(登録商標)ストック溶液を実施
例7におけるように調製した。Bay R1005(登録商標)溶液をQuil A/コレステロール/DDA/CARBOPOL(登録商標)溶液にゆっくりと添加して、所望の最終濃度を得た。溶液のpHを必要に応じてNaOHまたはHClで調節して、通常は約6.9から約7.5の範囲である所望の最終pHを得た。
【0135】
(実施例9)
DEAEデキストラン溶液(X)
DEAEデキストラン(X)ストック溶液を、200mg/mlのDEAEデキストランを水に溶解することにより調製した。溶液は、摂氏120度(C)で約20分間にわたりオートクレーブにかけることができる。
【0136】
(実施例10)
Quil A/コレステロール/DDA/DEAE溶液(QCDX)
Quil A/コレステロール/DDAストック溶液を実施例3に従って調製した。DE
AEストック溶液を実施例9に従って調製した。溶液を、それらをホモジナイザー内に直接添加することにより組み合わせた。混合は、1,000/秒を超えるせん断力を用いる瞬間混和方法を採用する。混合は、水性溶液を、無極性アジュバントおよび抗原成分を含有する油相内に直接入れ、均質な安定混合物が得られるまで混和することにより行われる。典型的には、これは、所望の粒子サイズに応じて、最低でも数分間、またはそれ以上であり得る。
【0137】
(実施例11)
油組成物(O)
油ストック溶液を、Drakeol鉱油とTween85およびSpan85とを組み合わせることにより調製し、およそ55℃まで加熱し、その後、冷却して無菌ろ過した。この混合物はしたがって、油ベースの担体のための油相の基本成分を含むものである。コレステロールおよび/またはDDAが、これらの組成物の1つについての協働免疫調節物質として選抜された場合、それらは油相において可溶性であるため、それらもまたろ過の前にこの混合物に添加される。
【0138】
(実施例12)
Quil A/コレステロール/DDA/DEAE/油組成物(QCDXO)
Quil A/コレステロール/DDA/DEAEストック溶液を実施例10に従って調
製した。油ストック組成物を実施例11に従って調製した。溶液は、前記濃度の量を得るための、Quil A、DEAEデキストラン、および水の組合せであった。この水性相
を、室温以上で数分間以上にわたり反応液を連続的に撹拌することにより混合し、その後、無菌ろ過して、油相に添加するために保存した。水性相を、連続的に混合されている油相内にゆっくりと添加した。
【0139】
(実施例13)
免疫原性組成物またはワクチン組成物の調製
抗原と上述のアジュバントの1つとを含む免疫原性組成物またはワクチン組成物を調製するために、所望の抗原を適切な緩衝液に添加した。次に、所望のアジュバントの成分を上述のように添加した。得られた溶液を、緩衝液を用いて最終容積にした。
【0140】
(実施例13a)
抗原、Quil A、コレステロール、DDA、CARBOPOL(登録商標)
抗原、Quil A、コレステロール、DDA、およびCARBOPOL(登録商標)を
含む免疫原性組成物またはワクチン組成物を調製するために、所望の抗原を適切な緩衝液に添加した。Quil Aストック溶液を実施例1におけるように調製し、抗原溶液にゆ
っくりと添加した。コレステロールストック溶液を実施例1におけるように調製し、抗原/Quil A溶液にゆっくりと添加した。DDAストック溶液を実施例2におけるよう
に調製し、抗原/Quil A/コレステロール溶液にゆっくりと添加した。抗原/Qu
il A/コレステロール/DDA溶液を均質化およびマイクロ流体化した。0.75%
CARBOPOL(登録商標)溶液を実施例4におけるように調製した。マイクロ流体化の後、CARBOPOL(登録商標)溶液(0.05%v/v)をマイクロ流体化された組成物に添加し、pHをNaOHまたはHClで約6.9から約7.5に調節した。
【0141】
(実施例13b)
抗原、Quil A、コレステロール、DDA、CARBOPOL(登録商標)、Bay R1005(登録商標)
抗原、Quil A、コレステロール、DDA、CARBOPOL(登録商標)、および
Bay R1005(登録商標)を含む免疫原性組成物またはワクチン組成物を調製する
ために、所望の抗原を適切な緩衝液に添加した。Quil Aストック溶液を実施例1に
おけるように調製し、抗原溶液にゆっくりと添加した。コレステロールストック溶液を実施例1におけるように調製し、抗原/Quil A溶液にゆっくりと添加した。DDAス
トック溶液を実施例2におけるように調製し、抗原/Quil A/コレステロール溶液
にゆっくりと添加した。抗原/Quil A/コレステロール/DDA溶液を均質化およ
びマイクロ流体化した。0.75%CARBOPOL(登録商標)溶液を実施例4におけるように調製した。マイクロ流体化の後、CARBOPOL(登録商標)溶液(0.05%v/v)をマイクロ流体化された組成物に添加し、pHをNaOHまたはHClで約6.9から約7.5に調節した。Bay R1005(登録商標)ストック溶液を実施例7
におけるように調製した。DDAを添加した後に、Bay R1005(登録商標)成分
を水性相に添加した。
【0142】
(実施例13c)
抗原、Quil A、コレステロール、DDA、DEAEデキストラン
抗原、Quil A、コレステロール、DDA、およびDEAEデキストランを含む免疫
原性組成物またはワクチン組成物を調製するために、所望の抗原を適切な緩衝液に添加した。Quil Aストック溶液を実施例1におけるように調製し、抗原溶液にゆっくりと
添加した。組成物を均質化した。コレステロールストック溶液を実施例1におけるように調製し、均質化の間に抗原/Quil A溶液にゆっくりと添加した。DDAストック溶
液を実施例2におけるように調製し、均質化の間に抗原/Quil A/コレステロール
溶液にゆっくりと添加した。DEAEデキストラン溶液を実施例9におけるように調製した。均質化の間にDEAEデキストラン溶液を添加し、得られた組成物を最終容積にした。
【0143】
(実施例13d)
抗原、Quil A、コレステロール、DDA、DEAEデキストラン、油
抗原、Quil A、コレステロール、DDA、DEAEデキストラン、および油を含む
免疫原性組成物またはワクチン組成物を調製するために、所望の抗原を適切な緩衝液に添加した。Quil Aストック溶液を実施例1におけるように調製し、抗原溶液にゆっく
りと添加した。組成物を均質化した。コレステロールストック溶液を実施例1におけるように調製し、均質化の間に抗原/Quil A溶液にゆっくりと添加した。DDAストッ
ク溶液を実施例2におけるように調製し、均質化の間に抗原/Quil A/コレステロ
ール溶液にゆっくりと添加した。DEAEデキストラン溶液を実施例9におけるように調製した。均質化の間にDEAEデキストラン溶液を添加した。油組成物を実施例11におけるように調製した。均質化の間に、均質化しながら水性相を油相内に入れることにより油組成物を添加し、得られた組成物を最終容積にした。
【0144】
(実施例14)
ネコ白血病ウイルス(FeLV)ワクチン
ランダム化された完全ブロック設計を用いて、動物を処理群にランダムに割り当てた。表1は研究設計を示す。ブロックは、出生日および一腹産子数に基づくものであった。動物を出生日で分類し、その後、一腹産子数で分類した。4頭からなるブロックを用いた。ブロック内で、動物を処理にランダムに割り当てた。研究のワクチン接種相のために、2つの連続するブロックを組み合わせて8頭の動物からなる群を形成した。動物群を2室にランダムに割り当て、各室が5つの動物群(10ブロック)を含有するようにした。動物群内で、動物を互いに近くに位置している4つのケージにランダムに割り当て、各ケージが同一の処理を有する2頭の動物を含有するようにした。研究のチャレンジ相のために、1つのワクチン接種室の動物を1つまたは2つのチャレンジ室にランダムに割り当てた。2つのチャレンジ室に行くよう選抜されたワクチン接種室は、各チャレンジ室にランダム化された5つのブロックを有するものであった(2.5群、20頭の動物)。他のチャレンジ室は10個のブロックを含有するものであった(5群、40頭の動物)。チャレンジ室内で、同一のブロック内の動物を、互いに近くに位置する4つのケージにランダムに割り当てた。
【0145】
この研究のためのワクチンは、1.5%CARBOPOL(登録商標)ストック溶液を用いたことを除いて、実施例13におけるように調製した。具体的には、LEUKOCELL(登録商標)2(Pfizer,Inc.)を、FeLVの亜群A、B、およびCをFeLVで形質転換されたリンパ球内で増殖させることにより調製した。ウイルス抗原を化学的に不活化し、無菌アジュバントと組み合わせて免疫応答を増強させ、液体形態にパッケージした。全量が100mLの、ネコ白血病ウイルスおよび25μgのQuil A/
水酸化アルミニウム(ALHYDROGEL(登録商標))を含有する試験用獣医学的生成物(IVP)を調製した。全量が94.5mLの1.106×10
5ng/mLのFeLVストック溶液を15分間にわたりゆっくりと混合した。必要であれば、pHを4NのHClまたは18%のNaOHで5.9から6.1に調節した。撹拌しながら、0.5mLの5.0mg/mLのQuil A溶液を抗原溶液に添加した。次に、5.0mLの1
00%v/vのALHYDROGEL(登録商標)をゆっくりと添加した。組成物を4℃で最低2時間にわたり撹拌した。pHを、必要に応じて、18%のNaOHまたは1NのHClで7.0から7.3に調節した。
【0146】
ネコ白血病ウイルスおよび37.5μgのQuil A/水酸化アルミニウム(ALHY
DROGEL(登録商標))を含むIVPを、7.5mlのQuil Aストック溶液を
抗原溶液に添加したことを除いて、25μgのQuil AのIVPと同様の様式で調製
した。
【0147】
全量が350mLの、ネコ白血病ウイルス、Quil A、コレステロール、DDA、お
よびCARBOPOL(登録商標)を含有する試験用獣医学的生成物(IVP)を調製した。349.3mLの1.106×10
5ng/mLのFeLVストック溶液を撹拌しながら、0.14mLの50.0mg/mLのQuil A溶液を抗原溶液にゆっくりと添
加した。次に、0.39mLの18mg/mLのコレステロール/エタノール溶液をゆっくりと添加した。組成物を10,000rpmで3分間にわたり均質化した。全部で0.19mLの18.0mg/mLのDDA/エタノール溶液を、撹拌しながら組成物に添加した。全部で5.0mLの1.5%CARBOPOL(登録商標)溶液を、145.0mLのネコ白血病ウイルス、Quil A、コレステロール、およびDDAの組成物にゆっ
くりと添加した。pHを、必要に応じて、18%のNaOHまたは1NのHClで7.0から7.3に調節した。
【0148】
【表1】
【0149】
全ての動物を毎日観察し、所見を記録した。体温を、第1のワクチン用量投与前の−1日目および第2のワクチン用量投与前の20日目に、鼓膜経路で全ての動物から記録した。血液試料(1.0〜2.0mL)を、−2日目に、頸静脈の静脈穿刺によって各動物から採取した。動物のストレスを最小限にし、かつ血液採取の際に動物取扱者が負傷することを避けるために、鎮静用量のTELAZOL(登録商標)(Fort Dodge Animal Health)を、筋肉内経路により、体重(およそ5.0mg/kg)に従っ
て投与した。血液は血清分離管(SST)内に採取し、血清分離のための処理を行った。血清を試験するまで−20℃以下で保管した。
【0150】
プラセボワクチンまたはFeLVワクチンを1.0mLの用量で皮下経路により子猫に投与した。第1のワクチン接種を0日目に行い、第2のワクチン接種を21日目に行った。全ての動物を、即時型の局所痛反応(刺傷反応)について、第1および第2のワクチン接
種の後およそ1時間にわたり観察した。所見は文書記録した。全ての動物の体温を、第1のワクチン用量投与後の1日目および2日目ならびに第2のワクチン用量投与後の22日目および23日目に鼓膜経路によって測定した。注入部位の反応(腫れ)もまた、第1のワクチン接種後の1日目ならびに第2のワクチン接種後の22日目および23日目に判定した。血液試料(1.0〜2.0mL)を、35日目に、頸静脈の静脈穿刺によって各動物から採取し、血清分離のための処理を行い、試験するまで−20℃以下で保管した。
【0151】
35日目に、動物を個別の隔離ケージに置いた。チャレンジウイルスは、およそ10
6.1TCID50/mLの力価の、ウイルス性ネコ白血病ウイルス(FeLV)のRickard株であった。FeLVチャレンジ材料を解凍し、投与の前に水を含む氷上に保持した。動物を、37、40、42、および44日目に、1.0mLの希釈していないチャンレジ材料を経鼻経路で投与することによりチャレンジした。針を有さない1mLのツベルクリンシリンジを、チャレンジ材料で満たした。各子猫におよそ0.5mLを鼻孔から投与した。42日目に、DEPO−MEDROL(登録商標)の投与のおよそ5時間後に、チャレンジ投与を行った。各日のチャレンジの後、チャレンジ材料試料は確認滴定のために維持した。
【0152】
チャレンジ後、血液試料(1.0〜2.0mL)を、64、85、106、127、134、141、148、および155日目に、頸静脈の静脈穿刺によって各動物から採取した。上述のように、鎮静用量のTELAZOL(登録商標)(Fort Dodge)を
投与した。血液は血清分離管(SST)内に採取し、血清分離のための処理を行い、試験するまで−20℃以下で保管した。血清試料を、ELISA(IDEXX、Westbrook、ME)により、FeLV p27抗原(FeLV感染のマーカー)の存在につい
て試験した。最終結果を、発色の強度、および405/490nmの光学密度で分光光度計により判断した。有効な試験となるには、陽性対照の光学密度は0.131から2.999に収まらなくてはならず、陰性対照は0.0039以下の光学密度を有しているべきである。
【0153】
ウイルスの単離を、−2日目および35日目に採取した血清試料を用いて行った。127日目から155日目の血清試料を、FeLVワクチンの有効性を判断するために検討した。127日目(12週目)、134日目(13週目)、141日目(14週目)、148日目(15週目)、および155日目(16週目)の血清試料を、FeLV p27抗原
の存在について試験した。動物は、127日目(12週目)から155日目(16週目)の間に3つ以上の陽性のFeLV p27抗原試験結果を有している場合に、持続的に感
染していると判断された。
【0154】
処理全体および/または時点ごとの処理の効果が有意であった場合、一般線形反復測定混合モデルを用いて温度を分析し、各時点で、処理T01と処理T02、T03、およびT04との間でペアワイズ処理比較を行った。各時点の各処理について、最小二乗平均、95%信頼区間、最小値、および最大値を計算した。
【0155】
刺傷反応の存在の頻度分布を各処理について計算し、時点データを採取した。注入部位の腫れの存在の頻度分布を各処理について計算し、時点データを採取した。ワクチン接種後の全身反応の存在の頻度分布を各処理について計算した。
【0156】
即時型の反応は、第1および第2のワクチン接種の間に、いずれの処理群においても観察されなかった。有害反応は、第1および第2のワクチン接種のおよそ1時間後にいずれの処理群においても観察されなかった。発熱(体温≧39.5℃)も低体温(体温<37.0℃)も、第1および第2のワクチン接種後にいずれの処理群においても観察されなかった。いずれの時点でも、処理群間で平均体温に有意な差はなかった(p>0.08)。注
入部位の腫れは、第1および第2のワクチン接種後にいずれの処理群においても観察されなかった。
【0157】
チャレンジ後の12週目から16週目の最終結果は、プラセボワクチンを与えた(T01群)19頭の動物のうち16頭(84%)が、FeLVに対して持続的にウイルス血症であることを示した。T02群の19頭の動物のうち13頭(68%)が、FeLVのウイルス性チャレンジから防御された。防御レベルは、プラセボワクチン接種された子猫と比較して統計的に有意であった(p=0.0004)。T03群の19頭の動物のうち12頭(63%)が、FeLVのウイルス性チャレンジから防御された。防御レベルは、プラセボワクチン接種された子猫と比較して統計的に有意であった(p=0.0013)。T04群の20頭の動物うち19頭(95%)が、FeLVのウイルス性チャレンジから防御された。防御レベルは、プラセボワクチン接種された子猫と比較して統計的に有意であった(p=0.0001)。
【0158】
したがって、T02、T03、およびT04群に投与されたワクチンは全て、3週間離れた2回接種レジメンで投与される場合、最低年齢の子猫において安全であることが実証された。さらに、これらの群に投与されたワクチンはまた、3週間離れた2回接種レジメンで投与される場合、最低年齢の子猫においてFeLVの持続的なウイルス血症のレベルを有意に低減させ得た。T02、T03、およびT04群の子猫におけるFeLVの持続的なウイルス血症の確立は、統計的に有意に低減した。さらに、T04と他のワクチン群(T02、T03)との間には統計的に有意な差が存在した。新規なアジュバント製剤を含有するワクチンが、ネコにおいて一般に用いられるアジュバント組成物を含有するワクチンよりも有効であることが証明されたことは驚くべきことであり、かつ予想外のことであった。
【0159】
(実施例15)
ネコ白血病ウイルスワクチン
子猫を、到着後16日間にわたり馴致した。次に動物を室にランダムに割り当て、室内で、処理にランダムに割り当てた(各室において処理当たり1頭の動物)。血液試料(1.0〜2.0mL)を、研究−1日目に、頸静脈の静脈穿刺によって各動物から採取した。動物のストレスを最小限にし、かつ血液採取の際に動物取扱者が負傷することを避けるために、鎮静用量のTELAZOL(登録商標)(Fort Dodge Animal H
ealth)を、筋肉内経路により、体重(およそ5.0mg/kg)に従って投与した。血液は血清分離管内に採取し、血清分離のための処理を行った。全ての動物はまた、毎日観察し、所見を記録した。
【0160】
ワクチンは、1.5%CARBOPOL(登録商標)ストック溶液を用いたことを除いて、実施例13におけるように調製した。LEUKOCELL(登録商標)2を、FeLVの亜群A、B、およびCをFeLVで形質転換されたリンパ球内で増殖させることにより調製した。ウイルス抗原を化学的に不活化し、無菌アジュバントと組み合わせて免疫応答を増強させ、液体形態にパッケージした。全量が500.0mLの、相対効力(RP)が2のネコ白血病ウイルス、Quil A、コレステロール、およびDDAを含有するIV
Pを、以下の様式で調製した。全部で20.7mLのFeLVストック溶液(50.0RP/mL、ここで1RP=3,624ng/mLの抗原)を、478.2mLの0.063%のPBS緩衝液に添加した。撹拌しながら、0.21mLの50.0mg/mLのQuil A溶液を抗原溶液にゆっくりと添加した。次に、0.58mLの18mg/mL
のコレステロール/エタノール溶液をゆっくりと添加した。全部で0.29mLの18.0mg/mLのDDA/エタノール溶液を、撹拌しながら組成物にゆっくりと添加した。組成物を10,000rpmで3分間にわたり均質化した。次に、組成物を、10,000(+500)psiで200ミクロンの限られた直径のチャンバに1回通すことでマイ
クロ流体化した。撹拌しながら、10.0mLの1.5%CARBOPOL(登録商標)溶液を、290.0mLのネコ白血病ウイルス、Quil A、コレステロール、および
DDAの組成物にゆっくりと添加した。pHを、必要に応じて、18%のNaOHまたは1NのHClで7.0から7.3に調節した。
【0161】
RPが5のネコ白血病ウイルスを含有するIVPを、51.7mLのFeLVストック溶液および447.2mLの0.063%のPBS緩衝液を用い、他の成分の量はそのままにして、RPが2のIVPと同様の様式で調製した。
【0162】
RPが10のネコ白血病ウイルスを含有するIVPを、93.1mLのFeLVストック溶液、355.9mLの0.063%のPBS緩衝液、0.19mLのQuil A溶液
、0.52mLのコレステロール溶液、および0.26mLのDDA溶液(450mLの全容積)を用いて、RPが2のIVPと同様の様式で調製した。次に、8.3mLの1.5%CARBOPOL(登録商標)溶液を、241.7mLのネコ白血病ウイルス、Quil A、コレステロール、およびDDAの組成物にゆっくりと添加した。
【0163】
RPが15のネコ白血病ウイルスを含有するIVPを、139.7mLのFeLVストック溶液および309.4mLの0.063%のPBS緩衝液を用い、他の成分の量はそのままにして、RPが10のIVPと同様の様式で調製した。
【0164】
RPが20のネコ白血病ウイルスを含有するIVPを、206.9mLのFeLVストック溶液および292.0mLの0.063%のPBS緩衝液を用い、他の成分の量はそのままにして、RPが2のIVPと同様の様式で調製した。
【0165】
0.5mLの用量を投与するために、300.0mLの、RPが5のネコ白血病ウイルス、Quil A、コレステロール、DDA、およびCARBOPOL(登録商標)を含有
するIVPを、以下の様式で調製した。全部で21.7mLのFeLVストック溶液(35.8RP/mL、ここで1RP=1,864μg/mLの抗原)を、277.7mLの0.063%のPBS緩衝液に添加した。撹拌しながら、0.12mLの50.0mg/mLのQuil A溶液を抗原溶液にゆっくりと添加した。次に、0.35mLの18m
g/mLのコレステロール/エタノール溶液をゆっくりと添加した。全部で0.17mLの18.0mg/mLのDDA/エタノール溶液を、撹拌しながら組成物にゆっくりと添加した。組成物を10,000rpmで3分間にわたり均質化した。次に組成物を、10,000(+500)psiで200ミクロンの限られた直径のチャンバに1回通すことでマイクロ流体化した。撹拌しながら、3.3mLの1.5%CARBOPOL(登録商標)溶液を、96.7mLのネコ白血病ウイルス、Quil A、コレステロール、およ
びDDAの組成物にゆっくりと添加した。pHを、必要に応じて、18%のNaOHまたは1NのHClで7.0から7.3に調節した。
【0166】
1.0mLの用量の、RPが5のネコ白血病ウイルス、Quil A、コレステロール、
DDA、およびCARBOPOL(登録商標)を投与するための、IVPを、量を適切に調節して、0.5mL用量と同様にして調製した。
【0167】
全量が300.0mLの、RPが10のネコ白血病ウイルスおよびCARBOPOL(登録商標)を含有するIVPを調製した。全部で62.1mLのFeLVストック溶液(50.0RP/mL、ここで1RP=3,624μg/mLの抗原)を、237.9mLの0.063%のPBS緩衝液に添加した。組成物を10,000rpmで3分間にわたり均質化した。次に、組成物を、10,000(+500)psiで200ミクロンの限られた直径のチャンバに1回通すことでマイクロ流体化した。撹拌しながら、3.3mLの1.5%CARBOPOL(登録商標)溶液を、96.7mLのネコ白血病ウイルス組成
物にゆっくりと添加した。pHを、必要に応じて、18%のNaOHまたは1NのHClで7.0から7.3に調節した。
【0168】
プラセボワクチンおよびFeLVワクチン(表2)を、研究0日目および研究20日目に、22内径×3/4”針および3ccのシリンジを用いて皮下経路で子猫に投与した。処理群T01には、1.0mL用量のプラセボワクチンを投与した。処理群T02、T04、T05、T06、T07、T08、およびT09には、1.0mL用量のFeLVワクチンを投与した。処理群T03には、0.5mL用量のFeLVワクチンを投与した。処理群T10には、FeLVカナリア痘ウイルスワクチン(Merial)を、皮内銃注入器を用いて皮内経路で投与した。
【0169】
【表2】
【0170】
全ての動物は、第1のワクチン接種(研究0日目)および第2のワクチン接種(研究20日目)の後に、発声、引っかき/噛み、および攻撃的なまたは脱走の試みを含む、試験ワクチン投与での痛みの兆候を観察した。ワクチン接種後の様子(正常または異常)もまた文書記録した。全ての動物は、研究0日目および研究20日目のワクチン投与後のおよそ1時間にわたり、全身性の有害反応の発現についても観察した。所見は文書記録した。ワ
クチン接種部位を触診し、注入部位の痛み、注入部位の発赤、注入部位の腫れ、および腫れのサイズを記録した。観察は、第1のワクチン接種後の研究2日目、5日目、および9日目、ならびに第2のワクチン接種後の研究25日目、28日目、および32日目に行った。所見は文書記録した。
【0171】
血液試料(1.0〜2.0mL)を、研究32日目(チャレンジ前)に、頸静脈の静脈穿刺によって各動物から採取した。動物を、研究34日目、36日目、39日目、および41日目に、1.0mLの希釈していないチャンレジ材料を経鼻経路で投与することによりチャレンジした。針を有さない1mLのツベルクリンシリンジを、チャレンジ材料で満たした。各子猫におよそ0.5mLを鼻孔から投与した。FeLVチャレンジ材料は10
6.1TCID
50/mLの平均力価を有していた。次に、血液試料(1.0〜2.0mL)を、研究61日目、83日目、106日目、126日目、133日目、138日目、146日目、および152日目に、頸静脈の静脈穿刺によって各動物から採取した。
【0172】
結果−安全性
第1の(研究0日目)ワクチン接種の間、処理群T09の3頭の動物が即時型の刺傷型反応を示した。第2のワクチン接種(研究20日目)の間、処理群T05の1頭の動物、処理群T08の4頭の動物、および処理群T09の2頭の動物が、即時型の刺傷型反応を示した。
【0173】
第1のワクチン接種の間、処理群T09の3頭の動物がわずかな発声を示した。第1のワクチン接種で痛みを示した動物は、その時にわずかな発声も示した。第2のワクチン接種の間、処理群T05の1頭の動物、処理群T08の4頭の動物、および処理群T09の2頭の動物が、わずかな発声を示した。第2のワクチン接種で痛みを示した動物は、その時にわずかな発声も示した。
【0174】
第1のワクチン接種の間、処理群T09の3頭の動物が、攻撃的な挙動/脱走の試みを示した。第2のワクチン接種の間、処理群T05の1頭の動物、処理群T08の4頭の動物、および処理群T09の2頭の動物が、攻撃的な挙動/脱走の試みを示した。
【0175】
いずれの処理群も、第1または第2のワクチン接種で注入部位に引っかき/噛みを示さなかった。注入部位の反応は、第1または第2のワクチン接種後に、いずれの処理群においても観察されなかった。有害反応もまた、いずれの処理群においても観察されなかった。
【0176】
結果−有効性
全ての動物は、−1日目に採取された血清試料からのFeLV p27抗原について、ワ
クチン接種の前に陰性という試験結果であった。全ての動物はまた、32日目に採取された血清試料からのFeLV p27抗原について、チャレンジの前に陰性という試験結果
であった。
【0177】
チャレンジ後の12週目から16週目の最終結果(表3)は、処理群T01(プラセボ)の10頭の動物のうち9頭(90%)が、FeLVに対して持続的にウイルス血症であることを示した。同一の期間からの結果は、処理群T02の10頭の動物のうち6頭(60%)が、FeLVのウイルス性チャレンジから防御されたことを示し、この防御レベルは、プラセボワクチン接種された子猫と比較して統計的に有意ではなかった(p=0.0573)。処理群T03の10頭の動物のうち9頭(90%)が、FeLVのウイルス性チャレンジから防御され、この防御レベルは、プラセボワクチン接種された子猫と比較して統計的に有意であった(p=0.0011)。処理群T04の10頭の動物うち10頭(100%)が、FeLVのウイルス性チャレンジから防御され、この防御レベルは、プラセボワクチン接種された子猫と比較して統計的に有意であった(p=0.0001)。処
理群T05の10頭の動物のうち10頭(100%)が、FeLVのウイルス性チャレンジから防御され、この防御レベルは、プラセボワクチン接種された子猫と比較して統計的に有意であった(p=0.0001)。処理群T06の10頭の動物のうち7頭(70%)が、FeLVのウイルス性チャレンジから防御され、この防御レベルは、プラセボワクチン接種された子猫と比較して統計的に有意であった(p=0.0198)。処理群T07の10頭の動物のうち10頭(100%)が、FeLVのウイルス性チャレンジから防御され、この防御レベルは、プラセボワクチン接種された子猫と比較して統計的に有意であった(p=0.0001)。処理群T08の10頭の動物のうち8頭(80%)が、FeLVのウイルス性チャレンジから防御され、この防御レベルは、プラセボワクチン接種された子猫と比較して統計的に有意であった(p=0.0055)。処理群T09の10頭の動物のうち5頭(50%)が、FeLVのウイルス性チャレンジから防御され、この防御レベルは、プラセボワクチン接種された子猫と比較して統計的に有意ではなかった(p=0.1409)。最後に、処理群T10の10頭の動物のうち6頭(60%)が、FeLVのウイルス性チャレンジから防御され、この防御レベルは、プラセボワクチン接種された子猫と比較して統計的に有意ではなかった(p=0.0573)。
【0178】
【表3】
【0179】
考察
処理群T02、T03、T04、T06、およびT07において用いられたワクチンは、第1のワクチン接種の際に、その時点で反応が観察されなかったため、十分な安全性プロフィールを示した。処理群T05の1頭の動物が、第2のワクチン接種で即時型の反応を示した(投与での痛み、わずかな発声、および攻撃的な/脱走の試み)。この事象は、ワクチン製剤の問題よりもむしろ、特定の動物へのワクチン接種に対する悪化した応答に関連する可能性がある。全てのワクチンは、ワクチン接種に関連する局所的反応も不都合な事象も観察されなかったため、ワクチン接種後の十分な安全性プロフィールを示した。
【0180】
ウイルス性FeLVでのチャレンジの後に、80%以上の防御(75%以上の予防的画分)が達成されたため、処理群T03、T04、T05、T07、およびT08に投与されたFeLVワクチンは、十分な有効性を示した。T07群の動物には、T04群およびT05群の抗原用量のそれぞれ25%および33%を与えたため、T07群に与えられたワクチンが100%の防御をもたらしたことは驚くべきことであり、かつ予想外のことである。本明細書において開示および試験されたアジュバントの明らかな利点は、そのアジュバントにより、より少ない用量の抗原を用いながらも依然として完全に防御的な免疫応答
を誘発することが可能になることである。処理群T02、T06、およびT09に投与されたワクチンは、ウイルス性FeLVでのチャレンジの後にある程度低下した有効性(80%未満の防御、75%未満の予防的画分)を示した。処理群T02に投与されたワクチンの有効性の低下は、その群に応答が弱い動物が存在することによる可能性があった。
【0181】
(実施例16)
ニワトリにおけるアイメリア(Eimeria)に対する卵内でのワクチン接種
トリコクシジウム症は、アイメリア(Eimeria)属の原虫により通常は生じる腸疾患であり、家禽産業にとって深刻な世界中の問題となっている。採餌中に摂取される寄生虫は腸管に局在化し、そこで、寄生虫は腸および下層の組織に対する深刻な損傷を生じさせる。ブロイラー鳥と産卵鳥との両方の飼料効率および体重増加が損なわれるため、家禽産業に対して生じる経済的損失は非常に大きなものである。例えば、組換えアイメリア(Eimeria)タンパク質を抗原として用い、かつ様々なアジュバント系を用いる、アイメリア(Eimeria)に対するワクチン接種の試みを含む、最新技術の全体的な要約が、参照することにより、あたかも完全に明記されているかのように本明細書に組み込まれる全ての文献、すなわち、(1)H.S.Lillehojら、J.Parisitol、91(3)、2005、pp.666〜673;(2)H.S.Lillehojら、Avian Diseases、49 2005、112〜117;および(3)R.A.Dalloulら、Expert Rev.Vaccines、5(1)、2006
、pp.143〜163において記載されている。本実施例は、コクシジウム症の背景において優れた性能をもたらすアジュバント成分を採用する新規なワクチン組成物の使用を対象とするものである。
【0182】
本発明の非常に効果的なアジュバントは、全てのアイメリア(Eimeria)種から得られる抗原材料と組み合わせて用いることができ、前記抗原材料には、その精製されたかもしくは部分的に精製されたタンパク質抽出物、または組換えにより発現したその1つもしくは複数のタンパク質、またはあらゆるおよび全てのこのようなタンパク質の断片が含まれ、したがって、中でも、アイメリア・アセルブリナ(Eimeria acervu
lina)、アイメリア・アーサタ(Eimeria ahsata)、アイメリア・ボ
ビス(Eimeria bovis)、アイメリア・ブルネッティ(Eimeria brunetti)、アイメリア・フラテルキュレ(Eimeria fratercula
e)、アイメリア・マキシマ(Eimeria maxima)、アイメリア・メレアグ
リディス(Eimeria meleagridis)、アイメリア・ミチス(Eime
ria mitis)、アイメリア・ネカトリックス(Eimeria necatrix)、アイメリア・プレコックス(Eimeria praecox)、ウサギ肝コクシジ
ウム(Eimeria stiedae)、ニワトリ盲腸コクシジウム(Eimeria tenella)、およびアイメリア・ツェルニー(Eimeria zurnii)か
らもたらされる抗原材料が含まれる。
【0183】
本発明のアジュバント化ワクチンは、限定はしないがオーシスト(胞子形成または非胞子形成)、スポロシスト、スポロゾイト、シゾント、メロゾイト、雄または雌の配偶子細胞を含む原生動物の生活環における1つまたは複数の点で産生されるあらゆるタンパク質または高分子に対して提供され得る。好ましい実施例において、オーシスト段階において大量に糞内に排泄されるタンパク質は、組換えタンパク質抗原の源、または従来の手段によって精製されたようなこのようなタンパク質の部分的にもしくは完全に精製された試料の源として作用するために好ましい材料である。
【0184】
本ワクチンの製剤における抗原の源として有用なアイメリア(Eimeria)タンパク質のさらなる例には、Karkhanisら、Infection and Immunity、1991、pp.983〜989によって記載されているようなものが含まれ、こ
れには、約20から約30kDAの質量範囲を有する、前記文献において記載されてような防御的抗原が含まれる。さらなる例にはアイメリア(Eimeria)の23kDaの3−1Eタンパク質、および、例えばニワトリ盲腸コクシジウム(E.tenella)から回収されるEtp100タンパク質が含まれる。
【0185】
本発明の非常に効果的なアジュバントは、ニューロスポラ・カニナム(Neurospora caninum)から得られる抗原材料と組み合わせて用いることができる。
【0186】
さらに、本発明の非常に効果的なアジュバントは、原生動物病原体、すなわち、クリプトスポリジウム・パルバム(Cryptosporidium parvum)(クリプト
スポリジウム症)、シクロスポラ・カイエタネンシス(Cyclospora caye
tanensis)(サイクロスポーラ症)、戦争イソスポラ(Isospora be
lli)(イソスポラ症)、トキソプラズマ・ゴンディ(Toxoplasma gon
dii)(トキソプラズマ症)、マラリア原虫(Plasmodium)(マラリア)、およびバベシア種(Babesia spp.)(バベシア症)、ならびに、通常はこれ
らのまたは関連する疾患の原因となるアピコンプレクサ群(Apicomplexan)のものである関連する原生動物のいずれかと組み合わせて用いることができる。
【0187】
特定のアジュバント系を含有するワクチンの卵内送達の有効性を以下のように判断した。
【0188】
材料および方法:
1.材料:
(3−1Eタンパク質の)組換えアイメリア・マキシマ(E.maxima)タンパク質を大腸菌(E.coli)内で発現させ、アフィニティーカラム精製した。細胞全体のアイメリア・マキシマ(E.maxima)の高分子(破壊細胞から界面活性剤で可溶化した)の粗調製物もまた抗原として用い、この粗抗原は「EM」と呼ばれる。好ましい実施例において、アジュバントは上記の実施例8において記載されているものであり、実施例のプロトコルに従って、定められているように調製される。したがって、典型的な実施例において、各胚に、約50から約100マイクロリットルのワクチン溶液を羊膜内に注入し(したがって、羊水および羊膜空間を含む)、前記溶液の1MLは、例えば20mMのPBS内に全て提供される、約50または100マイクログラムの組換え3−1Eタンパク質または他のタンパク質種、あるいは、約50または100マイクログラムの粗細胞「EM」の抽出物、約20マイクログラムのQuil A、約20マイクログラムのコレス
テロール、約0.075%(v/v)のCARBOPOL、約10マイクログラムのDDA、および約250マイクログラムのR1005を含む。
【0189】
本明細書において用いるためのサポニンの選抜に関連して、以下のさらなる情報が有益である。定義された用語であるサポニンは、植物由来のグリコシドを指し、その多くが生物学的特性について広く研究されている(The Plant Glycosides、Mcllroy,R.J.、Edward Arnold and co.、London、1
951)。ワクチンの製造のために当技術分野において最も多く用いられているサポニンは、キラヤ・サポナリア・モリナ(Quillaja saponaria molina)、セイヨウトチノキ(Aesculus hippocastanum)、またはジプ
ソフィラ・ストラチウム(Gypsophilla struthium)という植物に
由来するものである。アジュバント活性を有することが知られている、キラヤ・サポナリア・モリナ(Quillaja saponaria molina)の樹皮の抽出物、例えばQuil Aが知られている。また、Quil Aの純粋画分も、アジュバント活性を維持する一方でQuil Aよりも毒性が低いということが記載されており、それは例え
ばQS21である。QS21はまた、Kensilら(1991.J.Immunology vol 146、431〜437)に記載されている。上記および以下に記載される
ように、本発明のさらなるアジュバント成分と混合すると、このようなサポニン含有材料は非常に効果的な材料となる。さらなる効果的な製剤には、セイヨウトチノキの種子に生じるサポニンの混合物としてMerck index(第12版、項目3737)におい
て記載されているエスチンを用いるものが含まれる。本発明の好ましい実施形態において、サポニンは、E.M Sergeant社によりアメリカ合衆国において販売されてい
る「Quil−A」を指す。
【0190】
サポニン抽出物を混合物またはそれから精製された個別の成分として用いることができ、このような画分/生成物には、Antigenics Company、Massach
usetts、USAからのQS−7、QS−17、QS−18、およびQS−21、または、スウェーデンのIsconova Companyにより提供されている類似の粗
サポニン生成物、分画されたサポニン生成物、もしくは純化されたサポニン生成物、およびその混合物が含まれることもさらに理解されるべきである。1つの実施形態において、Quil Aは少なくとも85%の純度である。他の実施形態において、Quil Aは少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の純度である。
【0191】
2.胚のワクチン接種:
卵をMoyers Hatchery、Quakertown、PAから購入した。卵内
での免疫化のために、ブロイラーの卵を18日間インキュベートし、ろうそくに当てて(胚形成18日目に)受精卵を選抜し、次に、20mMのPBSとアジュバント単独または組換え3−1Eタンパク質もしくは「EM」調製物で製剤されたアジュバントとを注入した。注入は「Intelliject」卵内注入器(Avitech、Hebron、MD)を製造業者の指示に従って用いて行った。各卵には、Avitech(Hebron、MD)により提供されている17.5cm長の18内径の針を用いて、100マイクロリットルの試料を羊膜腔内に与えた。50マイクロリットルの用量もまた、本発明の実施における機能可能な用量の範囲内である。
【0192】
3.ニワトリ:
ブロイラーのニワトリが孵化したらすぐに(約21〜22日目)、使い捨てのニワトリ運搬箱(Frederick Packaging,Inc.、Milwaukee、WI
)を用いて前記ニワトリを実験室に移し、次にニワトリをPetersimeユニットに収容し、飼料および水を自由摂取で提供した。
【0193】
鳥をアイメリア(Eimeria)が存在しない施設内の育雛用の檻内で維持し、場所が離れている大きなぶら下がったケージ内に移し、そこでアイメリア・マキシマ(Eimeria maxima)の生のオーシストに感染させ、実験期間が終了するまでそこで維
持した。
【0194】
4.寄生虫:
Animal Parasitic Diseases Laboratory−BARC
において維持され Lillehoj博士の実験室において確立された手順に従って増殖
させたアイメリア・マキシマ(Eimeria maxima)のUSDA BARC株#41を用いた。アイメリア・マキシマ(E.maxima)の株(Beltsville
#41)から新たに産生されたオーシストを5%次亜塩素酸ナトリウム上に浮かべるこ
とで清掃し、PBSで3回洗浄し、血球計を用いてトリパンブルーによって生存率を数えた。
【0195】
5.アイメリア(Eimeria)チャレンジ感染:
7日齢の鳥の羽にタグを付け、感染していない対照群以外の全ての実験群の鳥に、接種針
を用いて食道にアイメリア・マキシマ(E.maxima)を接種し、次にオーシスト採取ケージ内に置いた。
【0196】
6.体重増加の判定:
個別の鳥の体重をアイメリア・マキシマ(E.maxima)での感染後0日目(感染していない)、6日目、および10日目に判定した。
【0197】
7.糞内のオーシスト産生の評価:
動物管理者はケージを清掃しないように指示され、糞落下物が採取された。採取皿を、感染後6日目から開始して5日間にわたり各ケージの下に置き、糞材料を大きなプラスチック製の瓶(2L)に採取した。各瓶内で水道水に浸した糞落下物を、さらなる水(全容量は3L)と共に混和器内ですりつぶし、2つの40mlのランダムな試料を各試料から取り、それらを計数するまで冷蔵庫内に保存した。コクシジアのオーシストを計数するために、まず様々な希釈物を作製して、各試料についてオーシストを数えるために最適な希釈を決定した。オーシストを、Lillehoj博士の実験室において確立されたショ糖浮遊法を用いて、McMaster計数チャンバを用いて顕微鏡により計数した。ニワトリにより排泄されたオーシストの総数を、
全オーシスト/鳥=(オーシスト数×希釈計数×糞試料容積/計数チャンバ容積)/ケージ当たりの鳥数
という式を用いて計算した。
【0198】
8.試料の採取:
感染日後6日目に血液を採取し、血清の抗体応答を判定した。血液試料は個別の鳥(N=4〜5羽/群)から得、4℃で4時間にわたり凝固させ、血清を採取した。血清試料を、ELISAを用いて抗Eimeria抗体について試験した。簡潔に述べると、マイクロタイタープレートを10μg/ウェルの組換えコクシジア抗原Ea3−1E、EtMIF、またはEtMIC2で一晩被覆し、PBS−0.05%Tweenで洗浄し、PBS−1%BSAでブロックした。血清希釈物(1:20、1:40、1:80、1:160、100μl/ウェル)を添加し、連続して穏やかに振とうしながらインキュベートし、洗浄し、そして、結合Abを、ペルオキシダーゼ結合ウサギ抗ニワトリIgG(Sigma)およびペルオキシダーゼ特異的基質で検出した。光学密度(OD)を、マイクロプレートリーダー(Bio−Rad、Richmond、CA)を用いて450nmで判定した。
【0199】
孵化の時点ならびにその6日および10日後に腸組織を採取し、Th1刺激の尺度として、リアルタイムRT−PCRを用いてサイトカイン(IFN−γ、IL−2)の産生について試験した。
【0200】
9.cDNAの合成
全RNAを、TRIzol(Invitrogen、Carlsbad、CA)を用いて腸IELから抽出した。5マイクログラムのRNAを1.0UのDNアーゼIおよび1.0μlの10倍反応緩衝液(Sigma)で処理し、室温で15分にわたりインキュベートし、1.0μlの停止溶液を添加してDNアーゼIを不活化し、混合物を70℃で10分間にわたり加熱した。StrataScript第1鎖合成系(Stratagene、La Jolla、CA)を製造業者の推奨に従って用いて、RNAを逆転写した。
【0201】
10.定量的RT−PCR
ニワトリインターフェロン−γ(IFN−γ)およびGAPDH対照のための定量的RT−PCRオリゴヌクレオチドプライマーを表4に列挙する。増幅および検出を、Mx3000P系およびBrilliant SYBR Green QPCR master mi
x(Stratagene)を用いて、等量の、腸IELからの全RNAを用いて実施した。希釈された標準RNAのlog
10を用いて標準曲線を作製し、個別の転写産物のレベルを、Q遺伝子プログラムによって分析されたGAPDHのレベルに対して標準化した。各分析は3回行った。実験内の試料間でRNAレベルを標準化するため、増幅産物についての平均閾値サイクル(Ct)値を、その実験における全ての試料からの値をプールすることにより計算した。
【0202】
【表4】
【0203】
脾臓細胞増幅アッセイのために、アイメリア・マキシマ(E.maxima)を接種する前、およびDPI(感染後日)10日目に、脾臓を採取した。脾臓を、100U/mlのペニシリンおよび100μg/mlのストレプトマイシン(Sigma、St.Louis、MO)を補った10mlのハンクス平衡塩溶液(HBSS)を有するペトリ皿内に置いた。脾臓リンパ球の単一細胞の懸濁液を調製し、リンパ球の増殖を実施した。簡潔に述べると、脾臓細胞を、10%完全IMDM培地と呼ばれる、10%ウシ胎児血清(FBS)(Hyclone、Logan、UT)、100U/mlのペニシリン、および100μg/mlのストレプトマイシン(Sigma)を補ったIMDM培地(Sigma)内で、5×10
6または1×10
7個細胞/mlに調節した。脾臓細胞(100μl/ウェル)を、5%CO
2および95%空気を有する湿潤化したインキュベーター(Forma、Marietta、OH)内で、48時間にわたり、平底の96ウェルプレート内において41℃でインキュベートした。細胞増殖を2−(2−メトキシ−4−ニトロフェニル)−3−(4−ニトロフェニル)−5−(2,4−ジスルホフェニル)−2H−テトラゾリウム、モノナトリウム塩(WST−8、Cell−Counting Kit−8(登
録商標)、Dojindo Molecular Technologies、Gaithersburg、MD)で判定した。光学密度(OD)を、マイクロプレート分光光度計(BioRad、Richmond、CA)を用いて450nmで測定した。
【0204】
結果
結果は、100マイクロリットルのアジュバント製剤(すなわち、先に定義された用量に
従った組換え3−1Eタンパク質を含む100マイクロリットル)をワクチン接種されたブロイラー鳥が、ワクチン接種していないがアイメリア・マキシマ(E.maxima)に感染した鳥と比較して、さらに約45から85グラムの体重の増加を得たことを示した。
【0205】
本発明のワクチンはまた、マイトジェンリンパ球増殖アッセイにより測定されるような細胞介在性の免疫に対する明らかな効果も示した。Con Aと48時間にわたりインキュ
ベートされた脾臓リンパ球の1×10
7個細胞/mlの増殖の結果は、抗原を伴ってまたは伴わずにファイザー社のアジュバントで免疫化された、アイメリア・マキシマ(E.maxima)に感染したニワトリが、全体として、とりわけ50μgの用量を用いた場合に、高いレベルのリンパ球増幅を示すことを示した。特に脾臓における、IL−1Bの産生、IFN−γの産生、およびIL−15の産生の有意な増強が、本発明のアジュバント化ワクチン組成物の投与の後に見られた。要約すると、これらの結果は、サイトカイン応答に対する本アジュバントの効果を明らかに示し、液性免疫応答よりも細胞介在性免疫応答を増強することに対するその効果を裏付けるものである。
【0206】
本発明のワクチンはまた、糞内のオーシストの産出に対する明らかな効果も示した。感染していない対照鳥はオーシストを全く排泄しなかった。アイメリア・マキシマ(E.maxima)の感染の後、ファイザー社のアジュバントのみで処理した群において糞内のオーシストの産出が有意に低減した。粗精製のアイメリア・マキシマ(Eimeria m
axima)およびアジュバントを卵内でワクチン接種された鳥は、粗アイメリア・マキシマ(Eimeria maxima)調製物のみを接種した群、すなわちEM群と比較
してはるかに少ない糞内のオーシストの産出を示した。
【0207】
精製された組換えアイメリア・マキシマ(E.maxima)タンパク質3−1Eが前述の実験の実施において用いられていても、組換えEa3−1E、EaMIF、およびEtMIC2抗原を単独で、または3−1Eと組み合わせて、または互いに組み合わせて、またはそのいずれかのあらゆる組合せとして使用することもまた、本発明の好ましい実施形態であり、通常、全てのアイメリア(Eimeria)タンパク質抗原は、本発明のアジュバントと混合される限り、本発明の実施において機能可能であることに注意されたい。
【0208】
(実施例17)
牛における大腸菌(Escherichia coli)J5株バクテリンの判断
本研究の目的は、様々な新規な製剤において投与された場合の、大腸菌(Escherichia coli)(J−5株)抗原に対する牛における免疫応答を判断することであ
る。市販されているJ5バクテリンは、乳牛における大腸菌性乳房炎に対する予防的ワクチンとして販売されており、その現在の製剤において中程度に効果的である。ワクチン接種の前に、動物は、ワクチン接種の前に行われた血清試料の分析にそれぞれ基づいて、大腸菌(E.coli)J5に対する抗体について力価が低いことが判定された。
【0209】
肉牛
実験的ワクチンを、不活化大腸菌(E.coli)J5バクテリンを抗原として用いて製剤し、上記の実施例13に従って作製した。各処理群は、最初は7頭の動物を含有していた(表5)。1つの処理群には生理食塩水を与え(T01)、別の群には市販されているJ5ワクチンを与えた(T02−Enviracor(商標)ファイザーJ−5大腸菌(Escherichia coli)バクテリン)。他の処理群には、表5において特定
されるアジュバントを含有する様々な製剤を与えた。全てのワクチン接種では、研究0日目および21日目に皮下注入によって投与した。投与容積は5mLであった。
【0210】
【表5】
【0211】
表5において、QCはQuil A/コレステロールの、DはDDAの、Cはカルボポー
ルの、RはR1005の、XはDEAE−デキストランの、そしてOは油の省略形である。
【0212】
以下のために、ストック溶液を、上記の実施例1から13におけるようにして調製した。大腸菌(E.coli)を、光学顕微鏡によって直接的に計数することによって判定して、1用量当たり約4〜5×10
9生物で与えた。水中のQuil Aは50mg/mlで
あり、エタノール中のコレステロールは17mg/mlであり、エタノール中のDDAは17mg/mlであり、20mMリン酸緩衝液中のR1005は5mg/mlであり、水中のDEAE−デキストランは200mg/mlであり、TE緩衝液中のTLRアゴニストは20mg/mlであり、水中のIscomatrixは5.4mg/mlであった。個別の成分は、左から右の文字記号の順にv/vを添加した。例えば、QCDCでは、適切な容積のQuil Aを添加し、その後にコレステロール、DDAを添加し、最後にカ
ルボポールを添加した。製剤が油を含有していた場合、分離した成分を添加し、混和し、次に、Drakeol(登録商標)5LT鉱油と、Span80およびTween80(QCDO)またはSpan85およびTween85(QCDXO)のいずれかとの混合物内に乳化した。Drakeol(登録商標)は市販されている軽油である。
【0213】
血液試料を、血清学的試験のために、研究0日目、21日目、および49日目に採取した。血清試料における大腸菌(E.coli)J5に対する抗体力価を、J5特異的な間接的ELISAアッセイによって判定した。IgG抗体のアイソタイプをヒツジ抗ウシ抗体コンジュゲート(Bethyl Labs)で判定した。力価は、それらの幾何学的平均
として判定し、表した。
【0214】
結果
研究の血清学的結果を表6〜8に示す。抗体力価が高いほど、通常、ワクチンのさらに良好な防御に関連する。J5特異的IgGの総力価を表6に示す。本発明の製剤のいくつかが、これらの製剤に同様の量のJ5抗原を添加したにも関わらず、市販されている製品よりもはるかに高い力価をもたらした。QCDO、QCDX、およびQCDXO製剤は、これらの牛における良好な免疫応答の誘発においてとりわけ効果的であった。
【0215】
【表6】
【0216】
J5特異的IgG1抗体のアイソタイプを判定した。これらの結果を表7に示す。ここでも、QCDO、QCDX、およびQCDXO製剤は、これらの牛における良好な免疫応答の誘発においてとりわけ効果的であった。これらの製剤は、1回のワクチン接種であっても、2回注入された市販されているワクチンよりもはるかに高い力価をもたらした。
【0217】
【表7】
【0218】
IgG2抗体の力価を表8に示す。この抗体アイソタイプは、乳中での好中球による良好な食作用および動物に対する防御に関連することが多い。QCDO、QCDX、およびQCDXO製剤は、これらの牛における良好な免疫応答の誘発においてとりわけ効果的であった。
【0219】
【表8】
【0220】
乳牛
実験的ワクチンを、不活化大腸菌(E.coli)J5バクテリンを抗原として用いて製剤し、上記の実施例13に従って作製した。各処理群は、最初は7頭の動物を含有していた(表9)。1つの処理群には生理食塩水を与え(T01)、別の群には市販されている
J5ワクチンを与えた(T02−Enviracor(商標)ファイザーJ−5大腸菌(Escherichia coli)バクテリン)。他の処理群には、表9において特定
されるアジュバントを含有する様々な製剤を与えた。全てのワクチン接種では、研究0日目および21日目に皮下注入によって投与した。投与容積は5mLであった。
【0221】
【表9】
【0222】
表9において、QCはQuil A/コレステロールの、DはDDAの、Cはカルボポー
ルの、RはR1005の、XはDEAE−デキストランの、TはTLRアゴニスト(CpG−ODN)の、そしてOは油の省略形である。以下のために、ストック溶液を調製した。大腸菌(E.coli)を、光学顕微鏡によって直接的に計数することによって判定して、1用量当たり約4〜5×10
9生物で与えた。水中のQuil Aは50mg/ml
であり、エタノール中のコレステロールは17mg/mlであり、エタノール中のDDAは17mg/mlであり、20mMリン酸緩衝液中のR1005は5mg/mlであり、水中のDEAE−デキストランは200mg/mlであり、TE緩衝液中のTLRアゴニストは20mg/mlであった。個別の成分は、左から右の文字記号の順もv/vを添加した。例えば、QCDCRでは、適切な容積のQuil Aを添加し、その後にコレステ
ロール、DDAを添加し、最後にカルボポールを添加した。製剤が油を含有していた場合、分離した成分を添加し、混和し、次に、Drakeol 5LT鉱油と、Span80
およびTween80(TXO、QCDO)またはSpan85およびTween85のいずれかとの混合物内に乳化した。
【0223】
血液の採取
血液試料を、血清学的試験のために、研究0日目、21日目、および49日目に採取した。血清試料における大腸菌(E.coli)J5に対する抗体力価を、J5特異的な間接的ELISAアッセイによって判定した。IgG抗体のアイソタイプをヒツジ抗ウシ抗体コンジュゲート(Bethyl Labs)で判定した。力価は、それらの幾何学的平均
として判定し、表した。
【0224】
結果
研究の血清学的結果を表10に示す。抗体力価が高いほど、通常、ワクチンのさらに良好な防御に関連する。J5特異的IgGの総力価を表10に示す。本発明の製剤のいくつかが、これらの製剤に同様の量のJ5抗原を添加したにも関わらず、市販されている製品よりもはるかに高い力価をもたらした。QCDO、TXO、およびQCDXO製剤は、これらの牛における良好な免疫応答の誘発においてとりわけ効果的であった。
【0225】
【表10】
【0226】
J5特異的IgG1抗体のアイソタイプを判定した。これらの結果を表10に示す。ここでも、QCDO、TXO、およびQCDXO製剤は、これらの牛における良好な免疫応答の誘発においてとりわけ効果的であった。これらの製剤は、1回のワクチン接種であっても、2回注入された市販されているワクチンよりもはるかに高い力価をもたらした。
【0227】
この抗体アイソタイプは、乳中での好中球による良好な食作用および動物に対する防御に関連することが多い。QCDXO製剤は、これらの牛における良好な免疫応答の誘発においてとりわけ効果的であった。
【0228】
(実施例18)
ウシウイルス性下痢ウイルスのワクチン
研究の目的
この研究は、未処理子牛におけるBVDV−1でのチャレンジに対して、死滅ウシウイルス性下痢ウイルス1型および2型(BVDV−1およびBVDV−2またはBVD−1/2)の2つのワクチン、ならびに本発明のアジュバントと共に製剤された1つのBVDV−1およびBVDV−2抽出物ワクチンの、安全性、有効性、および交差防御を、1つの陰性対照(生理食塩水)および2つの陽性対照(修飾生BVDV−2ワクチン、および現在入手可能な死滅BVDV−1/2ワクチン)と比較した。表11は、研究設計を表す。
【0229】
この研究はまた、本発明のアジュバントが、BVDVに自然に曝露された動物から得られる本発明のワクチン組成物をワクチン接種された動物を区別するために用いられ得ることを示した。
【0230】
動物
BVDV−1およびBVDV−2について血清反応陰性である、雄または雌の7から15カ月齢の健康な離乳した肉牛を用いた。
【0231】
【表11】
【0232】
ワクチン接種
研究0日目および21日目に、動物(N=10/群)を表11において記載されているようにワクチン接種した。抗原(BVDV)は、ELISAアッセイによって判定して、1用量当たり5500相対効力単位(RU)で与えた。T01群における子牛は対照群として用いた。それらには0.9%塩化ナトリウム無菌溶液を与えた。T02群からT06群における子牛には、表11に示されるアジュバントと有する実験的BVDV1/2ワクチンを与えた。T02群には1回のみのワクチン接種を行った(研究0日目)。それらには、アジュバントを含有しない修飾生ウイルス(MLV)BVDV−2ワクチンを与えた。T03群には、2.5%水中油型エマルジョン(Amphigen)およびQuil A
/コレステロールアジュバント(PreZent A(登録商標))を含有する死滅ウイ
ルスBVDV−1/2ワクチンを与えた。T04群には、Quil A/コレステロール
、DDA、およびカルボポールを含有する死滅ウイルスBVDV−1/2ワクチンを与えた。T05群には、Quil A/コレステロール、DDA、カルボポール、およびR1
005を含有する死滅ウイルスBVDV−1/2ワクチンを与えた。T06群には、Quil A/コレステロール、DDA、およびカルボポールを含有する死滅ウイルスBVD
V−1/2高力価抽出物ワクチンを0日目に与え、同様の低力価抽出物ワクチンを21日目に与えた。全ての処理に、群2を除いて、0日目および21日目に2mL用量を1回皮下投与した。
【0233】
QCDC+/−Rは、100μgのQuil A、100μgのコレステロール、50μ
gのDDA、および0.075%のカルボポールを含有し、含む場合には、前述したように、全て2mLの1用量当たり1,000μgのR1005を含むものであった。
【0234】
チャレンジ
42日目に、全ての動物を、5mLの1用量当たり5.4log
10TCID
50の濃度の、約4mL(鼻孔ごとにおよそ2mL)の非細胞変性BVDV−1株(株NY−1;CVB、USDA、Ames、IA)を用いて、鼻腔内でチャレンジした。
【0235】
所見
第1の注入部位(左頸部)について、注入部位の所見を、研究0日目(ワクチン接種前)、1日目、2日目、3日目、7日目、および21日目に記録した。第2の注入部位(同様に左頸部)についての所見を、研究21日目(ワクチン接種前)、22日目、23日目、24日目、28日目、および35日目に記録した。全ての明白な注入部位反応を測定した
(L×W×H、cm)。最初のワクチン接種では、直腸温度を研究−1日目、0日目(ワクチン接種前)、1日目、2日目、および3日目に記録した。追加ワクチン接種での温度を、研究20日目、21日目(ワクチン接種前)、22日目、23日目、および24日目に記録した。
【0236】
血液のサンプリング
血液試料を、研究−1日目、20日目、34日目、および49日目に、血清分離管(SST)を用いて、利用可能な各動物から採取した。血液試料を、研究33から35日目(チャレンジ前)および36から49日目にEDTA管を用いて採取した。血液試料を、研究34日目(チャレンジ前)および36から49日目に細胞調製管(CPT)を用いて採取した。
【0237】
結果
表12は、その研究日の、血球凝集アッセイによる、BVDウイルスに対する血清中和抗体力価の幾何学的な最小二乗平均(GLSM)を示す。結果は、本発明のアジュバントが、研究が進むにつれてBVDV−1およびBVDV−2の両方に対する力価を増大させたことを示す。UDSAでの許容できる力価は、力価8を超える。これらのデータは5,000を超える力価を実証し、このことは、生ウイルスが感染および疾患の可能性を有する動物に入った場合にそのウイルスを停止させ得る、強力な抗体産生を示す。
【0238】
【表12】
【0239】
表13は、研究43〜56日目の白血球減少のデータを表す。研究日の白血球減少の結果は、MLVワクチン(T02)がチャレンジの特異的ウイルスによる感染を予防したことを実証する。白血球減少の測定値は、USDAによるMLV製品の認可の基準である。しかし、不活化ウイルスでは、白血球減少はUSDAによる基準ではないが、データにより
、本発明のアジュバントが動物の最大20%のみにおいて白血球減少を有する一方で、ほとんどの不活化ウイルスワクチンが100%の白血球減少を有することが示唆される。これは、本発明のアジュバントが不活化抗原と共に強力なTh1応答を促進し得たことを示す。これは、不活化生成物では行うことが困難であり、ほとんど見られない。
【0240】
【表13】
【0241】
表14は、41日目(第2のワクチン接種後20日目、チャレンジ前)の血清中和力価を表す。修飾生ウイルスは、ワクチン内の正確なウイルスに対する抗体応答のみを発現し得る。これは、T02群がBVDV−2のみに対する防御を示すことからうかがえる。しかし、T03(PreZent−A)、T04(QCDC)、およびT05(QCDCR)アジュバント化不活化ワクチンは、免疫開始の初期において、および動物研究の生存相を通して、血清学的に種々のBVDVパネルに対して強力な抗体応答を示した。このことは、これらのアジュバントが、同種チャレンジだけではなく異種チャレンジにおいても、牛を防御するためのチャレンジモデルにおいて、安全性および有効性をもたらす能力を有することを示す。
【0242】
【表14】
【0243】
マーカー活性。ここでは、本発明のアジュバントが、本発明のワクチン組成物でワクチン接種された動物とBVDVに自然に曝露された動物とを区別するために用いられ得ることを示すデータを表す。これは、ウイルスの構造遺伝子産物と非構造遺伝子産物との間の抗体プロフィールの差を判定することにより見ることができる。マーカー活性は、放射性免疫沈降アッセイによるゲルのランにより実証される(
図1)。BVDVのNS2/3およ
びE2タンパク質に対する抗体応答は、MLVワクチンでワクチン接種された動物、また
はBVDVもしくはPreZent−Aアジュバント化不活化ワクチンに自然に曝露された動物において非常に顕著である。しかし、本発明のアジュバントはE2タンパク質のみに対する抗体応答を示し、NS2/3タンパク質に対しては示さなかった。したがって、本発明のアジュバントを含む不活化BVDVワクチンでワクチン接種された動物は、自然感染した動物またはMLVワクチン接種された動物またはPreZent−Aワクチン接種された動物のいずれかとの間で区別化することができる。これは、動物集団におけるこれらのタイプの疾患の根絶に有益なマーカー−ワクチンであろうと考えられる。
【0244】
(実施例19)
ブタにおけるマイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopn
eumonia)
背景
ブタのマイコプラズマ肺炎(MPS)または流行性肺炎は、咳、成長遅延、および飼料効率の低減を特徴とする、蔓延している慢性疾患である。病原因子はマイコプラズマ・ハイオニューモニエ(M.hyopneumoniae)であるが、自然に生じる疾患は細菌感染とマイコプラズマ感染との組合せによることが多い。
【0245】
MPSは、ブタが飼育されている全ての領域において多大なる経済的損失の原因となっている。世界中の様々な場所で行われた調査は、MPSで見られる病変に典型的な病変が、屠殺体重のブタの30%〜80%において生じることを示す。マイコプラズマによる病変はブタが屠殺体重に達する前に解消し得るため、実際の発症はより高い可能性がある。慢性ブタ肺炎におけるマイコプラズマ・ハイオニューモニエ(M.hyopneumoniae)感染の罹患率は、25%〜93%の範囲であると報告されている。全ての年齢の豚がMPSに感染しやすいが、この疾患は成長中のブタおよび肥育仕上げ期のブタにおいて最も一般的である。現在の証拠によって、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(M.hyopneumoniae)がエアロゾルによって、または感染したブタからの気道分泌物との直接的な接触によって伝染することが示されている。雌豚から泌乳中の豚への伝染が可能である。MPSは、一度確立されると、感染した群れにおいて毎年生じ、その重症度は、季節、換気、およびブタの密度などの環境要因で変化する。
【0246】
研究の目的
ウイルス性マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(M.hyopneumoniae)肺ホモジネートで気管内チャレンジした後の、本発明の新規なアジュバントと共に製剤されたマイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopneumon
iae)ワクチンの有効性と、実験的な一連の市販されているマイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopneumoniae)バクテリンの有効性
とを比較することである。
【0247】
動物
66頭の臨床的に健康な、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(M.hyopneumoniae)およびPRRSVにより生じる疾患または同一の生物に対するワクチン接種の経験がない、およそ17日齢の交配豚を、本研究において用いた。研究場所に移送する前に、また到着後2日間にわたり、豚を、後肢の筋肉内で、ラベルの指示の通りにNaxcel(登録商標)で処理して、ブタ連鎖球菌(Streptococcus suis
)などのストレス関連の疾患を予防した。動物を、ランダム化プランに従って、処理および檻に割り当てた。研究設計を表15に示す。
【0248】
【表15】
【0249】
試験用獣医学的生成物(IVP)
抗原および試験用獣医学的生成物(IVP)を表16に示す。処理群T02、T03、およびT04(T05以外全て)のためのワクチンを、以下の表16において示される成分の濃度を用いて、実施例13に従って調製した。成分を、表に列挙された順に添加した。
【0250】
生理食塩水増量剤を器に添加し、均質化を開始し、調製手順の間中、継続した。不活化マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(M.hyopneumoniae)を、800リットルの最終製剤生成物当たり75リットルの混和容積の発酵物から調製し、1用量当たり0.09375mlの濃度まで添加した。Quil Aを、表16に列挙された濃度まで
添加した。次に、コレステロール/エタノール溶液を添加した。DDA/エタノール溶液を添加し、その後、Bay R1005糖脂質溶液を添加した。次にカルボポールを添加
し、溶液を、生理食塩水増量剤を用いて最終容積にした。
【0251】
処理群T05(Amphigenベースのワクチン製剤)に対するワクチンは、市販されている製品Respisure(登録商標)(Pfizer,Inc)であった。
【0252】
【表16】
【0253】
ワクチン接種
NTX処理群における動物にはワクチン接種またはチャレンジを行わなかった。およそ3週齢(0日目−右頸部)および5週齢(14日目−左頸部)に、処理群を明らかにされていない有資格者が、T01、T02、T03、T04、およびT05に、1用量当たり2mLを筋肉内にワクチン接種した。
【0254】
チャレンジ材料
T01からT05の動物を、第2のワクチン接種の3週間後(およそ8週齢−研究35日目)に、気管内にチャレンジした。動物は、5mL用量の、Friis培地において1:50希釈の、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(M.hyo)11株(LI36)の10%凍結肺ホモジネートでチャレンジした。
【0255】
血液のサンプリング
−1日目または0日目(第1のワクチン接種の前)、13日目または14日目(第2のワクチン接種の前)、34日目または35日目(チャレンジの前)、および63日目(剖検時)に、全ての豚から血液試料(血清分離管におよそ5から10mL)を採取し、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(M.hyopneumoniae)の血清学について試験した(ELISA−IDEXX)。
【0256】
体重
全ての動物は、割り当ての目的のために到着時に、34日目または35日目(チャレンジ前)に、および62日目または63日目(剖検前)に体重測定した。
【0257】
剖検
63日目に、全ての生存している動物を、部位特異的手順に従って安楽死させた。肺を、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(M.hyopneumoniae)感染に起因す
る特徴的な病変について肉眼で判断し、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(M.hyopneumoniae)チャレンジに起因する病変についてスコア付けした。肺の病変のスコアは、各肺葉についての肺病変のパーセンテージとして記録した。各肺葉(左上葉、左中葉、左下葉、右上葉、右中葉、右下葉、および副葉)についての硬化のパーセンテージを、0〜100%の実測値としてスコア付けした。各肺葉についてのパーセンテージを、病変を有する肺の全パーセンテージを計算するための重み付けされた式において用いた。6頭のNTX動物をチャレンジ前の34日目または35日目に剖検し、それらの肺を病変についてスコア付けした。
【0258】
肺病変スコア
病変を有する肺全体のパーセンテージは、病変を有する肺全体のパーセンテージ=100×{(0.10×左上葉)+(0.10×左中葉)+(0.25×左下葉)+(0.10×右上葉)+(0.10×右中葉)+(0.25×右下葉)+(0.10×副葉)}という式を用いて計算した。分析の前に、逆正弦平方根変換を、病変を有する肺全体のパーセンテージに適用した。変換された肺病変を、一般線形混合モデルを用いて分析した。処理の効果について試験した後に、パラメータ推定値の線形結合を演繹的対比(prior
contrasts)において用いた。病変を有する肺全体の有意な(P≦0.10)パーセンテージの逆変換最小二乗平均、それらの標準誤差、およびそれらの90%信頼区間、ならびに最小値および最大値を計算した。
【0259】
結果
以下の表17の結果により示されるように、本発明のアジュバントは、アジュバントAmphigen(登録商標)を含有していた油アジュバント化処理群T05と等しく機能した。典型的には、3未満の肺病変スコアは、ワクチン処理により付与された有効性を有すると考えられる。本発明のアジュバントの組合せは全てこの基準を満たすものであり、QCDCRは、個別の動物の間で、スコアおよび範囲において最良に機能した。
【0260】
【表17】
【0261】
(実施例20)
ネコトリインフルエンザウイルス(FAIV)
この研究は、ウイルス性トリインフルエンザウイルス株でチャレンジすることにより、ネ
コにおける、本発明のアジュバントを用いたインフルエンザワクチンの有効性を判断した。
【0262】
方法および結果
ワクチン接種の前に行った口腔咽頭スワブおよび血清試料の分析にそれぞれに基づいて、ワクチン接種の前に、動物がインフルエンザウイルスおよびインフルエンザウイルスに対する抗体の両方について陰性であることを判定した。
【0263】
不活化病原性トリインフルエンザおよび精製ヘマグルチニン(HA)を用いて、実験的ワクチンを製剤した。各処理群は最初、6頭の動物を含有していた(表18)。2つの処理群には実験的FAIVワクチンを与え(T01のワクチン抗原は精製H5HAタンパク質であり、T02のワクチン抗原は不活化H5N2株であった)、1つの処理群には不活化修飾H5N1ウイルス株ワクチンを与え(T03)、1つのプラセボ対照群にはアジュバントのみのワクチンを与え(T04)、そして1つの陰性対照群には生理食塩水のみを与えた(T05)。全てのワクチン接種では、研究0日目および21日目に皮下注入によって投与した。投与量は1mLであった。ワクチン接種の後、動物が回復し直立することができるまで動物を常に観察し、有害反応がないことを確認した。ワクチン接種のおよそ1時間後の所見を記録し、ワクチン接種後に観察されるあらゆる他の合併症を記録した。
【0264】
アジュバント組成物は、1用量当たりQuil A(20μg)、コレステロール(20
μg)、DDA(10μg)、およびカルボポール(0.05%)を用いるQCDCの実施例により上記に記載された。抗原は、不活化された全ウイルスまたは精製H5HAタンパク質である。
【0265】
動物を、ワクチンに対する注入部位の反応および血清学的応答について評価した。3頭の動物(T02−不活化H5N2の2頭、およびT05−生理食塩水の1頭)を、チャレンジの前に、先天性高シュウ酸尿症のために安楽死させた。研究49日目に、全ての生存している猫を、H5N1 A/Vietnam/1194/04株で気管内経路を介してチ
ャレンジして、ワクチン候補の有効性を判断した。動物を、10
5TCID
50を含有する5.0mLの材料でチャレンジし、前記材料は、気管鏡を用いて気管内に入れた小さなカテーテルを用いて、分岐点の真上で放出した。動物を観察し、チャレンジ後5日間にわたりサンプリングした。動物相の最後に(研究54日目)、全ての生存している動物を安楽死させ、それぞれに対して剖検を行った。
【0266】
【表18】
【0267】
血液試料を、研究−14日目(ワクチン接種前)、0日目、21日目、および49日目に、血清学的試験のために採取した。研究49日目および54日目に、血液試料を、ウイルス学的試験のために採取した。研究42日目に、予定していなかった血液試料を全ての生存している動物から採取し、チャレンジ前の血清で腎機能を試験した。
【0268】
チャレンジ前の研究−14日目、49日目、および50日目から54日目に、全ての動物から口腔咽頭スワブを採取した。チャレンジ前の研究49日目、および50日目から54日目に、全ての動物から直腸スワブを採取した。スワブの採取は研究日49日目のチャレンジの直前に行った。
【0269】
剖検の間、全ての肺葉を無菌的に取り出し、秤量し、FAIV感染に起因する特徴的な病変について肉眼で判断した。肺の硬化の程度を同定するために、パーセンテージを用いた。左肺を、組織病理学のために、10%中性緩衝ホルマリンで固定した。右肺を採取し、ウイルス学的試験のためにサンプリングした。肺に加え、腎臓試料および肉眼での病理を有するあらゆる組織もまたサンプリングし、組織病理学のために、10%中性緩衝ホルマリン内に保存した。
【0270】
血液試料、口腔咽頭スワブ、および直腸スワブ、ならびに肺組織試料におけるウイルス力価を、H5N1特異的TaqMan PCRによって判定した。簡潔に述べると、Mag
naPure LC系およびMagnaPure LC全核酸単離キット(Roche D
iagnostics、Almere、The Netherlands)を用いてRN
Aを単離し、リアルタイムRT−PCRアッセイを用いてインフルエンザAウイルスを検出した。データは対照希釈単位(CDU)として表した。CDUは、連続希釈したウイルスストックから作成された標準曲線から判定し、この各希釈物は核酸抽出し、試験試料と同様の様式でTaqMan PCR増幅を行ったものである。
【0271】
RT−PCR陽性の口腔咽喉スワブおよび肺組織試料はまた、Madine Darby
イヌ腎(MDCK)細胞でのウイルスの単離および適定によっても分析した。結果は、試料のミリリットルまたはグラム当たりの50%組織培養感染用量のlog
10(log
10TCID
50/mLまたはlog
10TCID
50/g)として表した。
【0272】
ウイルス中和および血球凝集阻害によって、血漿試料を分析した。血球凝集阻害(HI)アッセイでは、インフルエンザ株Vietnam 1194/04(H5N1、クレード
1)またはIndonesia 05/2005(H5N1、クレード2)のウイルス懸
濁液を、コレラろ過物(ビブリオ・コレレ(Vibrio cholerae)の培養物
から得られた)で事前処理した血清試料の連続(2倍)希釈物と共にインキュベートした。その後、赤血球を希釈物に添加し、インキュベーションの後、血球凝集の完全な阻害を示す最大希釈の作用物質をHIの力価として規定した。
【0273】
ウイルス中和(VN)アッセイは、血清の限界希釈に基づくものであった。簡潔に述べると、一定量のウイルスを連続(2倍)希釈の血清試料と混合した。ウイルス中和を、指標細胞としてMDCK細胞を用いて読み取り、赤血球の凝集によって視覚化した。接種された細胞培養物の50%が赤血球の凝集を示した、血清の最大希釈を取ることにより、VNの力価をスコア付けした。
【0274】
左の肺を剖検時に採取し、組織病理学のために、10%中性緩衝ホルマリンで固定した。固定の後、組織をパラフィン内に包埋し、組織切片を調製し、組織学的試験のために、ヘマトキシリンおよびエオシンで染色した。観察された病理学的変化の説明および程度を記録した。
【0275】
結果
5つの処理群のいずれの動物も、第1および第2のワクチン接種の後に注入部位で痛みまたは腫れを全く示さなかった。さらに、注入部位での皮膚異常も記録されなかった。線形混合モデル分析によると、ワクチン接種の後、かつチャレンジの前では、処理間の体温において、0.1の有意性レベルでは有意な差はなかった。0日目の第1のワクチン接種の前、およびその後数日間、1頭のT01動物は発熱していた(≧40℃)。個別の動物における40℃以上までの散発性の体温上昇をワクチン接種の後に記録した(0日目および21日目)。ワクチン接種に関連する異常な健康状態は研究の間には観察されなかった。3頭の動物(T02−H5N2の2頭、およびT05−生理食塩水の1頭)を、チャレンジの前に、先天性高シュウ酸尿症のために安楽死させた。全ての処理からの数頭の動物は、温度記録装置の移植の後に創傷合併症を示した。0日目から、研究が完了するまで、同時処理は投与しなかった。
【0276】
ワクチン接種されたT01、T02、およびT03の動物は、チャレンジ後に、対照T04およびT05の動物と比較して小さい臨床兆候を示し、死亡は示さなかった。T01において、1頭の動物が、チャレンジの2日後に、鬱状態および呼吸努力の増大を示した。残りの5頭のT01動物のいずれも、チャレンジ後に異常な健康状態を全く示さなかった。T02(n=4)およびT03(n=6)において、全ての動物はチャレンジ後に健康のままであった。T04(n=6)において、第1の異常な臨床兆候(鬱状態および呼吸努力の増大)が、チャレンジの2日後に2頭の動物において見られた。チャレンジの3日後、T04における全ての6頭の動物が鬱状態となり、呼吸努力の増大を示した。結局、2頭の動物を福祉上の理由から安楽死させなくてはならなかった。チャレンジの4日後(53日目)、1頭の動物が死亡していることが確認され、残りの3頭のT04動物は、鬱状態、呼吸努力の増大、瞬膜突出、および鼻水を示し、福祉上の理由から安楽死させた。T05(n=5)において、鬱状態および呼吸努力の増大という第1の異常な臨床兆候が、チャレンジの1日後に1頭の動物において見られた。チャレンジの2日後、さらに2頭の動物がこれらの兆候を示し始めた。チャレンジの3日後、1頭の動物が死亡していることが確認され、残りの4頭の動物は、鬱状態、呼吸努力の増大、瞬膜突出を示した。1頭の動物を、福祉上の理由から、その後に安楽死させた。チャレンジの4日後、3頭の残りの動物の1頭において呼吸努力が悪化し、別の動物もさらに鼻水を示した。全ての3頭の残りの動物を、チャレンジの4日後(53日目)に、福祉上の理由から安楽死させた。
【0277】
チャレンジの後に、ワクチン接種された動物(T01、T02、およびT03)において、平均体温は40.0℃未満のままであった。対照動物(T04およびT05)の平均体温は、チャレンジの1日後から40.0℃以上に上昇した。線形混合モデル分析によると、処理間の平均体温の差は有意であった(p=0.0001)。個別の動物のデータは、T01、T02、およびT03動物の少数において、53日目の散発的な時点で、体温が40.0℃以上に上昇したことを示した。T01において、2頭の動物が、1つの時点で、それぞれ発熱した(40.0から40.1℃の範囲)。T02において、2頭の動物が、1つおよび3つの時点で、それぞれ発熱した(40.0から40.3℃の範囲)。T03において、1頭の動物が、3つの時点で発熱した(40.0から40.3℃の範囲)。T04およびT05において、全ての動物が、50日目から51日目の少なくとも12時間にわたり発熱した。
【0278】
インフルエンザ株Vietnam 1194/04(H5N1、クレード1)およびIn
donesia 05/2005(H5N1、クレード2)に対するHI抗体の力価を、
第1および第2のワクチン接種の前ならびにチャレンジの前に判定した。判定の下限値は5であった。ワクチン接種の前に、全ての5つの処理群における力価は、下限値5より低かった。ワクチン接種の後、全てのワクチン接種された(T01、T02、およびT03
)動物は5を超えるHI抗体力価を発現し、ワクチン接種前の値と比較して少なくとも6倍増大した力価を示した。T01およびT03において、Vietnam 1194/0
4に対する力価は、第1のワクチン接種の後には20から160の範囲であり、第2のワクチン接種の後には140から960の範囲であった。T02において、Vietnam
1194/04に対する力価は、T01およびT03において見られたものよりも低く
、第1のワクチン接種の後には5から30の範囲であり、第2のワクチン接種の後には5から70の範囲であった。Indonesia 05/2005に対するHI抗体の力価
は、Vietnam 1194/04に対するものと同様であった。
【0279】
チャレンジの前後に取った血漿試料を、ウイルスのロードについて、H5N1特異的リアルタイムRT−PCRによって試験した。全ての動物は、チャレンジ前に、ウイルス陰性の試料を有していた。チャレンジの後、T01およびT03の動物の血漿においてウイルスは検出されなかった。逆に、T02動物の25%(4頭のうち1頭)、T04動物の67%(6頭のうち4頭)、およびT05動物の60%(5頭のうち3頭)は、チャレンジ後の血漿においてウイルス陽性であった。線形混合モデル分析によると、処理間の差は有意であった(p=0.0247)。
【0280】
チャレンジ後のウイルスの排泄を、喉のスワブ試料においてリアルタイムRT−PCRおよびウイルス滴定によって判断し、直腸のスワブ試料においてリアルタイムRT−PCRによって評価した。喉からのウイルスの排泄が、チャレンジ後にT01動物において検出されなかった。T02において、全ての4頭の動物(100%)がチャレンジ後の1つの時点でウイルスを排泄した。T03において、6頭の動物のうち全部で2頭(33%)がチャレンジ後にウイルスを排泄した。T04において、6頭の動物のうち3頭(50%)がチャレンジ後にウイルスを排泄した。T05において、5頭の動物のうち4頭(80%)がチャレンジ後にウイルスを排泄した。全ての動物がそれまでに死亡したため、チャレンジの5日後にはT04およびT05の動物から試料は採取されなかった。しかし、統計分析を目的として、研究の最終日の前に死亡したかまたは安楽死させられた動物の最後の試験結果は、研究の最終日に繰り越した。
【0281】
RT−PCRで陽性の結果(≧1.8CDU)であった喉の試料をまた、ウイルス滴定アッセイにおいて使用した。ウイルス滴定により、全てのRT−PCR陽性の試料が感染性インフルエンザウイルスを含有することが確認された(データは示されていない)。感染性ウイルスの力価は、対照動物(T04およびT05)よりもワクチン接種された動物(T02およびT03)において低かった。これらの差は、T02またはT03とT04とを比較した場合にはチャレンジの3日後に有意であり、T02またはT03とT05とを比較した場合にはチャレンジの3日後、4日後、および5日後に有意であった。T02およびT03の動物における力価は、0.5log
10TCID
50であった。T04において見られた力価は、2.3から4.3log
10TCID
50の範囲であった。T05において見られた力価は、1.5から3.8log
10TCID
50の範囲であった。
【0282】
直腸のスワブにより評価された糞内の排泄を、チャレンジの3日後または4日後に、T02を除いた全ての処理群で検出した。RT−PCRによって検出されたウイルス量は、T01においては2.2から2.3log
10CDUであり、T03においては3.2log
10CDUであり、T04においては2.0から2.7log
10CDUであり、T05においては2.2log
10CDUであった。チャレンジ後のいずれの日においても、処理間で0.1の有意性レベルでは有意な差はなかった。
【0283】
肺の病理学は、対照動物(T04およびT05)よりもワクチン接種された動物(T01、T02、およびT03)において重症度が低かった。全てのワクチン接種された動物は、軽度の多発性の亜急性気管支間質性肺炎を示した。対照動物は、中程度(2頭のT04
動物および1頭のT05動物)または重度の(4頭のT04動物および4頭のT05動物)の亜急性気管支間質性肺炎を示し、びまん性分布を示した2頭の対照動物(1頭のT04動物および1頭のT05動物)を除いた全ての動物が多発性分布を伴っていた。肺全体を硬化の程度について評価し、それを全肺組織の硬化のパーセンテージで表した。肺の病理の所見と一致して、硬化のパーセンテージは対照動物(T04およびT05)よりもワクチン接種された動物(T01、T02、およびT03)において有意に低かった。
【0284】
死亡または安楽死の時点で採取した肺組織におけるウイルスのロードを、ウイルス滴定およびH5N1のRT−PCRにより評価した。ワクチン接種された動物(T01、T02、およびT03)の肺組織は、対照(T04およびT05)のものよりも有意に低い平均ウイルス力価を有していた。ワクチン接種された動物(T01、T02、およびT03)の肺組織における平均力価間には有意な差はなかった。RT−PCRによる分析では同一の結果が得られた。
【0285】
病原性の高いH5N1トリインフルエンザ株でチャレンジした後、熱、死亡、ウイルス血症、喉からのおよび糞内へのウイルスの排泄、肺のウイルス感染、ならびに硬化を含む肺の病理を含む、臨床兆候が、アジュバント(T04)または生理食塩水(T05)を与えた対照動物において観察された。
【0286】
精製H5HAタンパク質(T01)でのワクチン接種は、病原性の高いH5N1トリインフルエンザ株でチャレンジした後に、6頭の若い猫において、ウイルス血症、喉からのウイルスの排泄、および死亡を防御した。さらに、精製H5HAタンパク質(T01)でのワクチン接種は、熱、肺におけるウイルスのロード、および硬化を含む肺の病理を含む臨床兆候を低減させた。
【0287】
不活化H5N2株(T02)でのワクチン接種は、病原性の高いH5N1トリインフルエンザ株でチャレンジした後に、4頭の若い猫において、臨床兆候、糞内へのウイルスの排泄、および死亡を防御した。さらに、不活化H5N2タンパク質(T02)でのワクチン接種は、ウイルス血症、熱、喉からのウイルスの排泄、肺におけるウイルスのロード、および硬化を含む肺の病理を低減させた。
【0288】
不活化H5N1株(T03)でのワクチン接種は、病原性の高いH5N1トリインフルエンザ株でチャレンジした後に、6頭の若い猫において、臨床兆候、ウイルス血症、および死亡を防御した。さらに、不活化H5N1株(T03)でのワクチン接種は、熱、喉からのウイルスの排泄、肺におけるウイルスのロード、および硬化を含む肺の病理を低減させた。
【0289】
概要
注入部位の反応は、不活化または精製HA抗原のいずれかおよびQC/DCアジュバントと共に製剤されたワクチンでは観察されなかった。ワクチンは、ワクチン接種された猫において臨床疾患および死亡の完全な防御をもたらし、血液および組織におけるウイルスのロードを有意に低減させ、ウイルスの排泄を有意に低減させた。
【0290】
(実施例21)
癌
背景
この研究は、異所性モデルおよび同所性モデルを作製するために、ヒトおよびラットの肝細胞癌細胞を用いて、免疫不全ラットおよび免疫適格性ラットにおいて実施した。
【0291】
動物
6〜8週齢の雄のヌード(Crl:NIH−mu)ラットをCharles River
(Wilmington MA)から購入した。ラットをポリカーボネート製のマイクロ
アイソレーターケージに対で収容し、逆浸透水および放射線照射された標準的なラット飼料を自由摂取とし、全ての水および床敷きはオートクレーブにかけたものである。体重を1週間に2回記録した。動物はおよそ7週間にわたり維持し、実験の最後にCO
2吸入により安楽死させた。
【0292】
実験設計では2相を組み込んだ。I相において、ラットをそれらの体重に基づいて2つの群にランダム化した。群1におけるラットには腫瘍細胞の注入を行わず、一方、群2のラットには腫瘍細胞を皮下注入した。腫瘍注入の3週間後、群2におけるラットをII相のために2つの群にランダム化し(腫瘍サイズおよび獲得率に基づく−表19を参照されたい)、一方の群は、1)生理食塩水を与えた非担腫瘍対照(対照群)、2)アジュバントのみで処理した担腫瘍対照(腫瘍群)、および3)ワクチンを投与した担腫瘍対象(腫瘍処理)(2週間の間隔をあけて、2回の皮下注入)という2つの亜群を含むものであった。全ての動物を、第2のワクチン投与の14日後に剖検した。
【0293】
ワクチン
ワクチンは、1用量当たり0.2mlで、皮下注入により投与した。
【0294】
【表19】
【0295】
ワクチン調製物
ワクチンを、糖脂質Bay R1005(登録商標)(1,000μg/用量)および抗
原を伴って、または伴わずに、Quil A(20μg/用量)、コレステロール(20
μg/用量)、DDA(10μg/用量)、カルボポール(0.05%)を用いて調製した。ホモジナイザーを用いて組成物を混和し、上述の添加順で添加した。
【0296】
抗原調製物
HepG2細胞(クローンHB−8065)をAmerican Type Culture Collection(ATCC、Manassas、VA)から得た。HepG2
は、高分化型の肝細胞癌を有する15歳の白人男性の肝組織に由来する恒久的な細胞系である。細胞を標準的な細胞培養条件下で拡張させ、Matrigel内に1×10
7個細胞/mlの濃度で注入するために調製した。各ラットに、0.5mlの細胞懸濁液を、第2の乳頭部位に皮下的に注入した。
【0297】
測定
cm
3単位の容積={[W(mm)×W(mm)]/2×L(mm)}/1000である測径方法を用いて、研究を通して、腫瘍サイズを1週間に2回測定した。血清の化学およびバイオマーカーの測定のために、血液を、後眼窩を出血させることにより採取した。動物を、出血手順の間にCO
2/O
2で軽く麻酔した。化学の終点を、Hitachi 9
17自動分析器(Roche、Indianapolis、IN)を用いて分析した。末端の血液を、CO
2麻酔下で心穿刺により採取した。血清の終点を、商業的なELISAアッセイであるAlpha−Feto Protein(R&D Systems、Minneapolis MN)およびHuman Albumin(Bethyl Labor
atories、Montgomery TX)を用いて判断した。動物はCO
2吸引に
より安楽死させた。腫瘍を切り出し、秤量し、組織学のためにホルマリンの中に置いた。
【0298】
対応のないスチューデントT検定を用いて、処理群ラットと対照群ラットとの間で様々なパラメータを比較した。全ての値は平均±SDとして表し、p値<0.05を統計的に有意であると判断した。
【0299】
結果
体重の測定値を、腫瘍重量を差し引くことにより補正した(容積データおよび1cm
3=1gという仮定に基づく)。データを、処理群ごと、および担腫瘍動物または非担腫瘍動物ごとという2つの方法で分析した。担腫瘍動物および非担腫瘍動物における体重を比較すると、終点の時点で群間に有意な差があり、ベースラインでは差はなかった。おそらく研究期間が短かったため、処理群ごとに比較した場合には体重は有意に異ならなかったが、対照よりも両方の担腫瘍群において体重が減少する十分な傾向があり、抗原を有さない媒剤を与えた担腫瘍動物と比較して、ワクチンを与えた動物において回復する正の傾向があった(表20)。また、実験期間にわたる体重の変化のパーセンテージと、腫瘍の容積(r
2=0.72)または終点時の重量(切り出したもの)(r
2=0.73)における変化のパーセンテージとの間に、ある程度の相関があった。
【0300】
【表20】
【0301】
腫瘍サイズ
4週間の期間にわたり、対照ラットにおける腫瘍サイズを、ワクチン処理したラットにおける腫瘍サイズと比較した。比較した群の間で統計的に有意な差は見られなかったが(腫瘍サイズにおける大きなばらつきのため)、全腫瘍容積が減少する強い傾向があり(表21)、また、ワクチンを与えたラットにおける切り出した腫瘍重量の平均が減少した(表22)。
【0302】
【表21】
【0303】
【表22】
【0304】
血清アッセイ
研究中の様々な時点で、ヒトアルファフェトタンパク質(AFP)をELISAによって測定した。これらのデータを体重および腫瘍サイズのデータと併せて用いて、動物を処理群にランダム化した。この研究からのデータおよび組織学的データは、AFPが担腫瘍動物においてのみ検出可能であることを示す。腫瘍対照群および処理群における長期的なAFPデータの比較は、AFPが第1のワクチン注入の後に処理動物において減少し、研究の最後では担腫瘍対照よりも処理ラットにおいて非常に低かったことを示し、それぞれ、媒剤処理ラットでは4.78±3.2ng/mlであり、ワクチン処理ラットでは0.97±2.5ng/mlである。さらに、AFPは、腫瘍容積と切り出した腫瘍重量との両方に対して相関を示した。
【0305】
研究中の様々な時点で、ヒトアルブミン(hALB)をELISAによって測定した。この研究からのデータおよび組織学的データは、hALBが担腫瘍動物においてのみ検出可能であることを示す。腫瘍対照群および処理群におけるhALBデータの比較は、hALBが、研究の最後では担腫瘍対照よりも処理ラットにおいて低かったことを示す(データは示されていない)。さらに、AFPと同様に、hALBは、腫瘍容積と切り出した腫瘍重量との両方に対して相関を示した(データは示されていない)。
【0306】
核血清化学パネルを、研究を通して様々な時点でアッセイした。パネルは、AST、ALT、コレステロール、アルカリホスファターゼ、GGT、BUN、グルコース、クレアチニン、全ビリルビン、全タンパク質、アルブミン、グロブリン、ならびに無機物Ca、P
、Na、K、およびClを含むものであった。体重と同様に、データを処理群ごと、および担腫瘍動物または非担腫瘍動物ごとという2つの方法で分析した。差が観察された唯一の終点は、AST、ALT、およびコレステロールであった。両方の比較により、ベースラインの時点では群間で有意な差はなかった(データは示されていない)。担腫瘍動物と非担腫瘍動物とにおいて化学的指標を比較すると、最終点で群間に有意な差があり、担腫瘍動物においてはAST、ALT、およびコレステロールが上昇した(データは示されていない)。
【0307】
結論
本発明者らのデータを総合すると、腫瘍組織量は、媒剤を与えた対照の担腫瘍群と比較して、HepG2腫瘍細胞系に対して調製されたワクチンで処理された動物において低減したことが実証される。
【0308】
(実施例22)
CpG
背景
本明細書において記載されるアジュバントは、CpGのための送達系としてアジュバントを用いることにより免疫応答を強化するためのORN/ODN(CpG)を用いることにより増強され得る、潜在的なワクチンアジュバントプラットフォームである。
【0309】
材料および方法
体重が約18〜20gの雌のC57BI/6マウス(群当たりn=10)を、本研究において用いた。それらを、研究0日目、14日目、および21日目に、全容積が50μlの左前脛骨筋内への筋肉内(IM)注入を介して免疫化した。
【0310】
試薬用量
組成物の用量は、様々な組合せで、以下の成分の1つまたは複数を含むものであった。
緩衝液:WFI内に溶解し、0.1μmのフィルターで無菌ろ過した、NaH
2PO
4・2H
2O(229.32mg/L)、NaCl(1168.00 mg/L)、およびN
a
2HPO
4(1144.00mg/L)
オボアルブミン(OVA抗原):10μg
CpG ODN:10μg
コレステロール:1μg
Quil A:1μg
DDA:0.5μg
カルボポール:0.0375%
R1005:50μg
【0311】
ワクチン調製物
緩衝液を、撹拌棒と共に50mlのフラスコの中に入れ、全ての以下のステップを通して一定の速度で撹拌した。成分を、抗原(OVA)、CPG ODN、Quil A、コレステロール(液滴)、DDA(液滴)、Carbopol(登録商標)、およびBay R
1005(登録商標)の順で添加した。組成物を最低でも30分間にわたり室温(およそ25℃)で撹拌し、その間、ホイルで被服することにより光から保護した。溶液を25Gの針に押し通してシリンジ内に入れ、均一の(濁った)懸濁液を得るためにあらゆる大きな浮遊粒子を破壊し、保存のために無菌のガラスバイアルに移した。
【0312】
試料採取
以下の試料を採取した。
血漿:プライムワクチン接種の4週間後(第2の追加ワクチン接種の1週間後)
細胞傷害性Tリンパ球(CTL)(プライムワクチン接種の6週間後(第2の追加ワクチン接種の3週間後)
上清におけるサイトカイン分泌物(プライムワクチン接種の4週間後)
24時間の上清(IL−2、IL−4、IL−10、TNF)
72時間の上清(IFN−g)
四量体(プライムワクチン接種の4週間後)
サイトカイン産生T細胞(プライムワクチン接種の6週間後)
【0313】
結果は、アジュバントの効果を示す各アジュバントについての相対的スコアとして示す。終点は、個別の細胞傷害性Tリンパ球応答の合計に基づく相対的スケールである。
【0314】
結果および考察
表23に示すように、QCDCRにOVAを加えたものは、その下位成分よりも強いCTL応答をもたらしたが、全体的な応答は低かった(<20%)。QCDCRまたはその下位成分をCPGと組み合わせると、OVA特異的なCTL応答が有意に向上した。QCDCR/CPGにOVAを加えたものの全体は、最も高いCTL応答をもたらしたが、この群とコレステロール/CPGにOVAを加えたものとの間で応答に有意な差はなかった(25:1の比率)。OVA(1mg/ml)で刺激した脾細胞からの培養上清を、ELISAによりサイトカインについてアッセイした。QCDCR単独またはその下位成分は、非常に弱いサイトカイン応答のみをもたらした。QCDCRまたはその下位成分とCPGとを組み合わせると、抗原特異的IL−2およびIFN−g(Th1バイアスを有するサイトカイン)の分泌が増強した。QCDCRおよびCpGは、細胞性免疫応答を増大させる潜在性において等しい。2つを組み合わせると相乗効果が示される。QCDCRの下位成分をCpGで分析すると、Quil Aとの組合せは最良の応答をもたらし、その次に
、CpGを有するコレステロール包含物が続く。
【0315】
【表23】
【0316】
(実施例23)
イヌコロナウイルス(CCV)
範囲
イヌコロナウイルス(CCV)および新規な組合せのアジュバントを用いてマウスモデル
を採用し、所与の抗原成分とのアジュバントの能力を判断した。
【0317】
動物
処理群当たり10頭のCF−1マウスに、各処理群の動物当たり0.2mLを皮下的に投与した。
【0318】
処理群
表24に示した試験製剤は、以下に示す濃度を有する1.0mLフィールドの用量容積として調製した。わずか0.2mLのワクチンを各マウスに投与した。
【0319】
【表24】
【0320】
ワクチン調製物
本発明のアジュバントのためのワクチン調製物は、上記の実施例1〜13に記載されている。アジュバント成分の濃度を表24に示す。アジュバントを表に列挙された順で添加した。
【0321】
生理食塩水増量剤を器に添加し、均質化を開始した。不活化CCVを表24に示されている濃度まで添加した。Quil Aを、表24に列挙された濃度で添加した。次に、均質
化を継続しながら、エタノール溶液中のコレステロールを添加した。次に、DDA/エタノール溶液を均質化の間に添加した。混合物を10,000psiでマイクロ流体化した。次に、カルボポールを混合しながら添加し、pHを6.8から7.2に調節した。次に、Bay R1005(登録商標)糖脂質を混合しながら添加した。最後に、組成物を、
生理食塩水増量剤を用いて最終容積にした。
【0322】
市販されているAbISCO製品(Isconova、Sweden)を与えた処理群のためのワクチンを、ラベルの指示に従って調製した。AbISCO製品は、キラヤサポニンと、高度に精製されたサポニンを用いるISCOM技術とに基づくものである。
【0323】
アッセイ方法:ベータCCV血清の中和
血清を56℃で30から40分間にわたり熱不活化した。清潔な無菌プレート内で、各血
清の連続希釈(希釈なし、2、4、8など)を、120μlを120μlの希釈物に入れることにより行った。希釈当たり少なくとも2つの複製ウェルを用いた。必要であれば、1:16の希釈を最初に用いた。作業用のチャレンジストックを、120μl内に約240個のウイルス粒子を含有するレベルまで生CCVを希釈することにより調製した。次に、120μlの各血清希釈物を120μlのウイルス溶液と組み合わせて、全体で240μlとした。溶液を混合し、中和を可能にするために室温(およそ25℃)で30から60分間にわたり保持した。次に、120μlの各連続希釈物を、準備してある、7から12日前に播種されたNLFK細胞のむきだしの単層上に移した。CPEを4から6日後に評価した。逆滴定により、50から316個のウイルス粒子が各単層に当たったことを確認した。
【0324】
結果
【0325】
【表25】
【0326】
概説
各成分の化学的特性を考慮してCCVと製剤したアジュバントの組み合わされた効果は、ワクチンアジュバントに優れた特性をもたらした。
【0327】
研究の血清学的結果を表25に示す。さらに高い血清中和抗体力価は、通常、ワクチンによりもたらされるさらに良好な防御と関連する。本発明のアジュバント製剤のいくつかは、添加されたCCV抗原の量が同様であっても、商業的なアジュバント化製品よりもはるかに高い力価をもたらした。QCDC、QCR、DRC、QCRC、およびQCDRC製
剤は、マウスにおける良好な免疫応答の誘発においてとりわけ効果的であった。
【0328】
(実施例24)
ウシロタウイルス抗原
範囲
ウシロタウイルスおよび本発明の組合せアジュバントを用いてマウスモデルを採用し、所与の抗原成分とのアジュバントの能力を判断した。
【0329】
動物
処理群当たり10頭のCF−1マウスに、各処理群の動物当たり0.2mLを皮下的に投与した。
【0330】
処理群
表26に示した試験製剤は、以下に示す濃度を有する2.0mLフィールドの用量容積として調製した。わずか0.2mLのワクチンを各マウスに投与した。
【0331】
【表26】
【0332】
ワクチン調製物
本発明のアジュバントのためのワクチン調製物は、上記の実施例1〜13に記載されている。アジュバント成分の濃度を表26に示す。アジュバントを表に列挙された順で添加した。
【0333】
生理食塩水増量剤を器に添加し、均質化を開始した。不活化ウシロタウイルスを表26に示されている濃度まで添加した。Quil Aを、表26に列挙された濃度で添加した。
次に、均質化を継続しながら、コレステロール/エタノール溶液を添加した。次に、DDA/エタノール溶液を均質化の間に添加した。混合物を10,000psiでマイクロ流
体化した。次に、Carbopol(登録商標)を混合しながら添加し、pHを6.8から7.2に調節した。次に、Bay R1005(登録商標)糖脂質を混合しながら添加
した。最後に、組成物を、生理食塩水増量剤を用いて最終容積にした。
【0334】
市販されているAbISCO製品(Isconova、Sweden)を与えた処理群のためのワクチンを、ラベルの指示に従って調製した。AbISCO製品は、キラヤサポニンと、高度に精製されたサポニンを用いるISCOM技術とに基づくものである。
【0335】
結果
【0336】
【表27】
【0337】
ウシロタウイルスと製剤し、各成分の化学的特性を考慮したアジュバントの、組み合わされた効果は、ワクチンアジュバントに優れた特性をもたらした(表27を参照されたい)。
【0338】
アジュバント製剤のいくつかは同様のレベルの血清中和抗体力価をもたらした一方で、QCDCRアジュバントは最も高いレベルをもたらした。
【0339】
(実施例25)
イヌインフルエンザウイルス
範囲/研究設計
イヌインフルエンザウイルス(CIV)および新規な組合せアジュバントを用いてイヌモデルを採用し、所与の抗原成分とのアジュバントの能力を判断した。
【0340】
この研究は、ランダム化された完全ブロック設計を有する(表28を参照されたい)。動物を出生日で分類し、サイズ5のブロックを形成した。ブロック内で、動物を処理にランダムに割り当てた。同一ブロック内の動物を、互いに近くに位置している檻(ケージ)にランダムに割り当てた。動物は良好な健康状態であり、商業的なワクチンに対する過敏の経験がないものであった。動物にはCIVに対するワクチンを与えなかった。
【0341】
【表28】
【0342】
【表29】
【0343】
ワクチン調製物
本発明のアジュバントのためのワクチン調製物は、上記の実施例1〜13に記載されている。アジュバント成分の濃度を表29に示す。アジュバントを、表に列挙された順に添加した。
【0344】
生理食塩水増量剤を器に添加し、均質化を開始した。不活化イヌインフルエンザウイルスを表29に示された濃度まで添加した。Quil Aを、表29に列挙された濃度で添加
した。次に、均質化を継続しながら、コレステロール/エタノール溶液を添加した。次に、DDA/エタノール溶液を均質化の間に添加した。混合物を10,000psiでマイクロ流体化した。次に、カルボポールを混合しながら添加し、pHを6.8から7.2に調節した。最後に、組成物を、生理食塩水増量剤を用いて最終容積にした。
【0345】
試験
血清学を、USDAによる標準的なアッセイ方法による血球凝集阻害(HAI)アッセイを用いて評価した。
【0346】
結果/概説
HAI Geo.の平均力価の、42日目および180日目のTHE血清学的結果を表3
0に示す。
【0347】
【表30】
【0348】
インフルエンザウイルスと製剤し、各成分の化学的特性を考慮したアジュバントの、組み合わされた効果は、ワクチンアジュバントに優れた特性をもたらした。
【0349】
さらに高い抗体力価は、通常、ワクチンのさらに良好な防御と関連する。通常、アルミニウムアジュバント(T02)と本発明のアジュバント(T03、T04、およびT05)との両方によりHAI力価が上昇したが、本発明のアジュバントにより生じる応答は、高用量群(T05)において180日目に優れており、力価はより高かった。本発明のアジュバントの低用量および中用量についての力価は、インフルエンザのための従来のアルミニウム含有ワクチンのものと等しかった。さらに、本発明のアジュバントはヘルパーT細胞1の免疫応答をもたらすのに対しアルミニウムはもたらさないため、免疫性の期間は、より速いリコールメカニズムを伴って、より長くなると予想される。
【0350】
本願発明は以下のものに関する。
[請求項1]
アジュバント製剤と免疫学的に効果的な量の抗原成分とを含む免疫原性組成物であって、アジュバント製剤が、サポニン、ステロール、第4級アンモニウム化合物、およびポリマーを含む免疫原性組成物。
[請求項2]
サポニンが1用量当たり約1μgから約5,000μgの量で存在し、ステロールが1用量当たり約1μgから約5,000μgの量で存在し、第4級アンモニウム化合物が1用量当たり約1μgから約5,000μgの量で存在し、ポリマーが約0.0001容量%(v/v)から約75%v/vの量で存在する、請求項1に記載の免疫原性組成物。
[請求項3]
サポニンがQuil Aまたはその精製画分であり、ステロールがコレステロールであり
、第4級アンモニウム化合物がジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド(DDA)であり、ポリマーがポリアクリル酸である、請求項1に記載の免疫原性組成物。
[請求項4]
Th2刺激物質をさらに含む、請求項1に記載の免疫原性組成物。
[請求項5]
Th2刺激物質が糖脂質である、請求項4に記載の免疫原性組成物。
[請求項6]
Th2刺激物質がN−(2−デオキシ−2−L−ロイシルアミノ−β−D−グルコピラノシル)−N−オクタデシルドデカンアミドアセタートである、請求項5に記載の免疫原性組成物。
[請求項7]
糖脂質が1用量当たり約0.01mgから約10mgの量で存在する、請求項5に記載の免疫原性組成物。
[請求項8]
前記抗原成分が不活化ウイルスを含む、請求項1に記載の免疫原性組成物。
[請求項9]
a)緩衝液中で抗原成分の組成物を調製するステップ、
b)ステップaの組成物にサポニンを添加するステップ、
c)ステップbの組成物にステロールを添加するステップ、
d)ステップcの組成物に第4級アンモニウム化合物を添加するステップ、
e)ステップdの組成物にポリマーを添加するステップ
を含む、請求項1に記載の免疫原性組成物を調製する方法。
[請求項10]
サポニンがQuil Aまたはその精製画分であり、ステロールがコレステロールであり
、第4級アンモニウム化合物がDDAであり、ポリマーがポリアクリル酸である、請求項9に記載の方法。
[請求項11]
ステップaの組成物を均質化し、ステップaからdの各ステップの間に均質化を継続するステップをさらに含む、請求項9に記載の方法。
[請求項12]
ステップdの組成物のマイクロ流体化を含むステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
[請求項13]
ステップeの組成物にTh2刺激物質を添加するステップf)をさらに含む、請求項9に記載の方法。
[請求項14]
Th2刺激物質が糖脂質である、請求項13に記載の方法。
[請求項15]
Th2刺激物質がN−(2−デオキシ−2−L−ロイシルアミノ−β−D−グルコピラノシル)−N−オクタデシルドデカンアミドアセタートである、請求項14に記載の方法。[請求項16]
アジュバント製剤と治療上効果的な量の抗原成分とを含むワクチン組成物であって、アジュバント製剤が、サポニン、ステロール、第4級アンモニウム化合物、およびポリマーを含むワクチン組成物。
[請求項17]
サポニンが1用量当たり約1μgから約5,000μgの量で存在し、ステロールが1用量当たり約1μgから約5,000μgの量で存在し、第4級アンモニウム化合物が1用量当たり約1μgから約5,000μgの量で存在し、ポリマーが約0.0001%v/vから約75%v/vの量で存在する、請求項16に記載のワクチン組成物。
[請求項18]
サポニンがQuil Aまたはその精製画分であり、ステロールがコレステロールであり
、第4級アンモニウム化合物がDDAであり、ポリマーがポリアクリル酸である、請求項16に記載のワクチン組成物。
[請求項19]
Th2刺激物質をさらに含む、請求項16に記載のワクチン組成物。
[請求項20]
Th2刺激物質が糖脂質である、請求項19に記載のワクチン組成物。
[請求項21]
Th2刺激物質がN−(2−デオキシ−2−L−ロイシルアミノ−β−D−グルコピラノシル)−N−オクタデシルドデカンアミドアセタートである、請求項20に記載のワクチン組成物。
[請求項22]
糖脂質が1用量当たり約0.01mgから約10mgの量で存在する、請求項20に記載のワクチン組成物。
[請求項23]
前記抗原成分が不活化ウイルスを含む、請求項16に記載のワクチン組成物。
[請求項24]
a)緩衝液中で抗原成分の組成物を調製するステップ、
b)ステップaの組成物にサポニンを添加するステップ、
c)ステップbの組成物にステロールを添加するステップ、
d)ステップcの組成物に第4級アンモニウム化合物を添加するステップ、
e)ステップdの組成物にポリマーを添加するステップ
を含む、請求項16に記載のワクチン組成物を調製する方法。
[請求項25]
サポニンがQuil Aまたはその精製画分であり、ステロールがコレステロールであり
、第4級アンモニウム化合物がDDAであり、ポリマーがポリアクリル酸である、請求項24に記載の方法。
[請求項26]
ステップaの組成物を均質化し、ステップaからdの各ステップの間に均質化を継続するステップをさらに含む、請求項24に記載の方法。
[請求項27]
ステップdの組成物のマイクロ流体化を含むステップをさらに含む、請求項26に記載の方法。
[請求項28]
ステップeの組成物にTh2刺激物質を添加するステップf)をさらに含む、請求項24に記載の方法。
[請求項29]
Th2刺激物質が糖脂質である、請求項28に記載の方法。
[請求項30]
Th2刺激物質がN−(2−デオキシ−2−L−ロイシルアミノ−β−D−グルコピラノシル)−N−オクタデシルドデカンアミドアセタートである、請求項28に記載の方法。[請求項31]
油をさらに含む、請求項1に記載の免疫原性組成物。
[請求項32]
油をさらに含む、請求項16に記載のワクチン組成物。
[請求項33]
抗原成分がネコ白血病ウイルスを含む、請求項1から8のいずれかに記載の免疫原性組成物。
[請求項34]
抗原成分がネコ白血病ウイルスを含む、請求項9から15のいずれかおよび請求項24から30のいずれかに記載の方法。
[請求項35]
抗原成分がネコ白血病ウイルスを含む、請求項16から23のいずれかに記載のワクチン組成物。
[請求項36]
ネコ白血病ウイルスが約100ng/mLから約350,000ng/mLまでの量で存在する、請求項35に記載のワクチン組成物。
[請求項37]
抗原成分が、KT−FeLV−UCD−1ネコ白血病ウイルス株に持続感染したFL−74細胞系により産生されたgp70を含む、請求項1に記載のワクチン組成物。
[請求項38]
請求項35に記載のワクチン組成物をネコに投与することを含む、ネコ白血病ウイルスにより生じる感染に対してネコを治療する方法。
[請求項39]
ネコ白血病ウイルスにより生じる感染に対してネコを治療するための医薬品の調製におけ
る、請求項35に記載のワクチンの使用。
[請求項40]
卵内投与のためのトリコクシジウム症ワクチンであって、
(a)Quil AまたはQS21を含むその精製画分、コレステロール、CARBOP
OL、DDA、およびR1005を含むアジュバントと、
(b)次の(1)〜(3)から選択される原生動物の抗原
(1)組換えにより発現した1つまたは複数のタンパク質、
(2)従来の手段により前記原生動物から単離された1つまたは複数のタンパク質または他の高分子、および
(3)前記原生動物からの全細胞抽出物または調製物
とを含むワクチン。
[請求項41]
抗原成分が大腸菌(Escherichia coli)J−5株バクテリンを含む、請
求項1から7および31のいずれかに記載の免疫原性組成物。
[請求項42]
抗原成分が大腸菌(Escherichia coli)J−5株バクテリンを含む、請
求項9から15のいずれかおよび請求項24から30のいずれかに記載の方法。
[請求項43]
抗原成分が大腸菌(Escherichia coli)J−5株バクテリンを含む、請
求項16から22および32のいずれかに記載のワクチン組成物。
[請求項44]
請求項43に記載のワクチン組成物をウシに投与することを含む、大腸菌(Escherichia coli)により生じる感染に対してウシを治療する方法。
[請求項45]
大腸菌(Escherichia coli)により生じる感染に対してウシを治療する
ための医薬品の調製における、請求項43に記載のワクチン組成物の使用。
[請求項46]
抗原成分がウシウイルス性下痢ウイルス(BVDV)を含む、請求項1から8のいずれかに記載の免疫原性組成物。
[請求項47]
抗原成分がBVDV1型(BVDV−1)およびBVDV2型(BVDV−2)を含む、請求項46に記載の免疫原性組成物。
[請求項48]
抗原成分がBVDVを含む、請求項9から15のいずれかおよび請求項24から30のいずれかに記載の方法。
[請求項49]
抗原成分がBVDV−1およびBVDV−2を含む、請求項48に記載の方法。
[請求項50]
抗原成分がBVDVを含む、請求項16から23のいずれかに記載のワクチン組成物。
[請求項51]
抗原成分がBVDV−1およびBVDV−2を含む、請求項50に記載のワクチン組成物。
[請求項52]
請求項50または請求項51に記載のワクチン組成物をウシに投与することを含む、BVDVにより生じる感染に対してウシを治療する方法。
[請求項53]
BVDVにより生じる感染に対してウシを治療するための医薬品の調製における、請求項50または請求項51に記載のワクチン組成物の使用。
[請求項54]
抗原成分がマイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopne
umonia)(M.hyopneumonia)を含む、請求項1から7のいずれかに記載の免疫原性組成物。
[請求項55]
抗原成分がマイコプラズマ・ハイオニューモニエ(M.hyopneumonia)を含む、請求項9から15のいずれかおよび請求項24から30のいずれかに記載の方法。
[請求項56]
抗原成分がマイコプラズマ・ハイオニューモニエ(M.hyopneumonia)を含む、請求項16から22のいずれかに記載のワクチン組成物。
[請求項57]
請求項56に記載のワクチン組成物をブタに投与することを含む、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(M.hyopneumonia)により生じる感染に対してブタを治療する方法。
[請求項58]
マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(M.hyopneumonia)により生じる感染に対してブタを治療するための医薬品の調製における、請求項56に記載のワクチン組成物の使用。
[請求項59]
抗原成分がネコインフルエンザウイルス(FIV)を含む、請求項1から8のいずれかに記載の免疫原性組成物。
[請求項60]
抗原成分がFIVを含む、請求項9から15のいずれかおよび請求項24から30のいずれかに記載の方法。
[請求項61]
抗原成分がFIVを含む、請求項16から23のいずれかに記載のワクチン組成物。
[請求項62]
請求項61に記載のワクチン組成物をネコに投与することを含む、FIVにより生じる感染に対してネコを治療する方法。
[請求項63]
FIVにより生じる感染に対してネコを治療するための医薬品の調製における、請求項61に記載のワクチン組成物の使用。
[請求項64]
抗原成分が癌抗原を含む、請求項1から7のいずれかに記載の免疫原性組成物。
[請求項65]
抗原成分が癌抗原を含む、請求項9から15のいずれかおよび請求項24から30のいずれかに記載の方法。
[請求項66]
抗原成分が癌抗原を含む、請求項16から22のいずれかに記載のワクチン組成物。
[請求項67]
請求項66に記載のワクチン組成物を対象に投与することを含む、癌に対して対象を治療する方法。
[請求項68]
癌に対して対象を治療するための医薬品の調製における、請求項66に記載のワクチン組成物の使用。
[請求項69]
ORN/ODNをさらに含む、請求項1から8のいずれかに記載の免疫原性組成物。
[請求項70]
ORN/ODNがCpGである、請求項69に記載の免疫原性組成物。
[請求項71]
ステップaの組成物にORN/ODNを添加するステップをさらに含む、請求項9から15のいずれかおよび請求項24から30のいずれかに記載の方法。
[請求項72]
ORN/ODNがCpGである、請求項71に記載の方法。
[請求項73]
ORN/ODNをさらに含む、請求項16から23のいずれかに記載のワクチン組成物。[請求項74]
ORN/ODNがCpGである、請求項73に記載のワクチン組成物。
[請求項75]
抗原成分がイヌコロナウイルス(CCV)を含む、請求項1から8のいずれかに記載の免疫原性組成物。
[請求項76]
抗原成分がCCVを含む、請求項9から15のいずれかおよび請求項24から30のいずれかに記載の方法。
[請求項77]
抗原成分がCCVを含む、請求項16から23のいずれかに記載のワクチン組成物。
[請求項78]
請求項77に記載のワクチン組成物をイヌに投与することを含む、CCVにより生じる感染に対してイヌを治療する方法。
[請求項79]
CCVにより生じる感染に対してイヌを治療するための医薬品の調製における、請求項77に記載のワクチン組成物の使用。
[請求項80]
抗原がウシロタウイルスを含む、請求項1から8のいずれかに記載の免疫原性組成物。
[請求項81]
抗原成分がウシロタウイルスを含む、請求項9から15のいずれかおよび請求項24から30のいずれかに記載の方法。
[請求項82]
抗原成分がウシロタウイルスを含む、請求項16から23のいずれかに記載のワクチン組成物。
[請求項83]
請求項82に記載のワクチン組成物をウシに投与することを含む、ウシロタウイルスにより生じる感染に対してウシを治療する方法。
[請求項84]
ウシロタウイルスにより生じる感染に対してウシを治療するための医薬品の調製における、請求項82に記載のワクチン組成物の使用。
[請求項85]
抗原成分がイヌインフルエンザウイルス(CIV)を含む、請求項1から8のいずれかに記載の免疫原性組成物。
[請求項86]
抗原成分がCIVを含む、請求項9から15のいずれかおよび請求項24から30のいずれかに記載の方法。
[請求項87]
抗原成分がCIVを含む、請求項16から23のいずれかに記載のワクチン組成物。
[請求項88]
請求項87に記載のワクチン組成物をイヌに投与することを含む、CIVにより生じる感染に対してイヌを治療する方法。
[請求項89]
CIVにより生じる感染に対してイヌを治療するための医薬品の調製における、請求項87に記載のワクチン組成物の使用。
[請求項90]
BVDVに自然に感染した動物と、請求項50または51のワクチン組成物でワクチン接
種された動物とを区別する方法であって、試験動物から試料を得ること、ならびに前記試料におけるE2タンパク質およびNS2/3タンパク質のレベルを測定することを含み、NS2/3タンパク質が存在しないことにより、動物が前記ワクチン組成物でワクチン接種されたことが示される方法。