【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載された電解槽は、陽極室と、陰極室と、これらを区画する隔膜と、ガスケットを外枠で囲むことで、一体的な電解ユニットを形成することができ、ガスケットシール面の組み立て精度が向上する。
【0006】
また、このような電解槽は、陽極室で発生したガスを、電解ユニット外に排出する場合、ガスとともに陽極室内や陰極室内の電解液も排出されるため、ガスと電解液とを分離する気液分離室が設けられる。
【0007】
このような気液分離室を、一体的に形成された電解ユニットの外枠内に設ける場合、例えば、外枠と、ガスケットにより外枠に押さえ付けられるフランジパンと、隔壁と、ガスケットに囲まれた一部が空間となる。
【0008】
しかしながら、フランジパンを外枠に押さえ付けるガスケットの面圧が一定でなかった場合、フランジパンと外枠等が互いに当接する部分のシール面が凹んだりしてしまい、このシール面から電解液が漏れてしまう場合があった。また、例えば、特許文献2に記載されたような従来の電解槽に多くみられるように、上部の気液分離器構造が電解槽のガスケットシール面を兼ねており、他の外辺のように外枠フレームがなく、ガスケット面圧が一定ではなく、気液分離器のシール面が凹んだりして、液漏れなどが発生するおそれがあった。
【0009】
本発明は、気液分離室からの電解液の漏洩を確実に防止可能な複極式電解槽を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1) 電解液を電解して酸素及び水素を生成する複極式電解槽であって、
陽極及び陰極の間に配置され、前記陽極との間に陽極室を形成し、前記陰極との間に陰極室を形成する隔壁と、
上下方向に延び、前記隔壁と前記陽極とを連結し、前記陽極室を複数に区画する複数の陽極リブと、
上下方向に延び、前記隔壁と前記陰極とを連結し、前記陰極室を複数に区画する複数の陰極リブと、
前記陽極、前記陰極及び前記隔壁の外縁に配置され、これらを支持する外枠と、前記外枠の上部に配置され、複数に区画された前記陽極室が配列された方向に延びる中空形状の陽極気液分離室と、
前記外枠の上部に配置され、複数に区画された前記陰極室が配列された方向に延びる中空形状の陰極気液分離室と、を備え、
複数に区画された前記陽極室は、前記外枠を貫通する連通管により、それぞれ前記陽極気液分離室に連通し、
複数に区画された前記陰極室は、前記連通管により、それぞれ前記陰極気液分離室に連通している電解槽のプレスフランジ同士の積層構造において、
前記プレスフランジに押圧されるガスケットシールを、断面略C字状の外枠パンで囲み固定してガスケットシール面の面圧を一定にすると共に、外枠の当該プレスフランジの外周縁に環状のガスケットが嵌装される段付部
を一体に形成した。
【0011】
(1)の発明によれば、電解槽は、陽極及び陰極と、隔壁と、複数の陽極リブと、複数の陰極リブと、外枠と、陽極気液分離室と、陰極気液分離室と、を備え、電解液を電解して酸素及び水素を生成する。
隔壁は、陽極及び陰極の間に配置され、陽極との間に陽極室を形成し、陰極との間に陰極室を形成する。
複数の陽極リブは、上下方向に延び、隔壁と陽極とを連結し、陽極室を複数に区画する。
複数の陰極リブは、上下方向に延び、隔壁と陰極とを連結し、陰極室を複数に区画する。
外枠は、陽極、陰極及び隔壁の外縁に配置され、これらを支持する。
陽極気液分離室は、外枠の上部に配置され、複数に区画された陽極室が配列された方向に延び、中空形状である。
複数に区画された陽極室は、外枠を貫通する連通管により、それぞれ陽極気液分離室に連通している。
複数に区画された前記陰極室は、前記連通管により、それぞれ前記陰極気液分離室に連通している電解槽のプレスフランジを積層する構造において、
前記プレスフランジに押圧されるガスケットを、断面略C字状の外枠フレームで囲み固定してガスケットシール面の面圧を一定にした。
【0012】
これにより、電解槽は、陽極室において電解液を電解し酸素(ガス)を生成し、陰極室において電解液を電解した水素(ガス)を生成する。
陽極室で生成されたガスは電解液とともに、連通管を通って、陽極気液分離室に流入し、ガスと電解液とに分離される。また、陰極室で生成されたガスは電解液とともに、連通管を通って、陰極気液分離室に流入し、ガスと電解液とに分離される。
複数に区画された前記陰極室は、前記連通管により、それぞれ前記陰極気液分離室に連通している電解槽のプレスフランジ同士を積層する構造において、
前記プレスフランジに押圧されるガスケットシール面を、断面略C字状の外枠フレームで囲み固定してガスケットシール面の面圧を一定にした。
このとき、プレスフランジに押圧されるガスケットシール面を、全て外枠フレームで固定し、前記電解槽のガスケットシール面の面圧を一定にし、気液分離器を上部外枠フレームから、外部に突出構造にし、パイプで接続して気液分離器からの液漏れを防止する構造とし
たので、このようなプレスフランジ同士の接合部から電解液が漏れるおそれがない。
したがって、気液分離室から電解液が漏れてしまうことを防止可能な複極外枠の外周縁にヘラ絞り加工を施し、ガスケットが嵌装される段
付部が形成されている電解槽を提供できる。
【0013】
(2) 外枠の外周縁にガスケットが嵌装される段部が形成されている(1)に記載の電解槽。
【0014】
(2)の発明によれば、高圧負荷によるガスケットの離脱を防止できる。