(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態に係る駆動ユニット及び電動補助自転車について説明する。図中、同一又は相当部分には、同一符号を付して、その部材についての説明は繰り返さない。また、各図中の構成部材の寸法は、実際の構成部材の寸法及び各構成部材の寸法比率等を忠実に表したものではない。なお、以下の説明において、前方、後方、左方及び右方は、サドル18に着座し且つハンドル16を握った状態の運転者から見た前方、後方、左方及び右方を意味する。
【0016】
[第1の実施形態]
図1及び
図2を参照しながら、本発明の第1の実施形態による電動補助自転車10について説明する。
図1は、電動補助自転車10の概略構成を示す右側面図である。
図2は、電動補助自転車10が備える駆動ユニット50及び従動スプロケット26の概略構成を示す図である。
【0017】
[電動補助自転車の全体構成]
図1に示すように、電動補助自転車10は、車体フレーム12、前輪14F、後輪14R、ハンドル16、サドル18及び駆動ユニット50を備える。
【0018】
車体フレーム12は、ヘッドパイプ12A、ダウンフレーム12B、シートフレーム12C、ブラケット12D(
図2参照)、一対のチェーンステイ12E及び一対のシートステイ12Fを含む。
【0019】
ヘッドパイプ12Aは、電動補助自転車10の前部に配置され、上下方向に延びる。ヘッドパイプ12Aには、ステム20が回転自在に挿入される。ステム20の上端には、ハンドル18が固定される。ステム20の下端には、フロントフォーク22が固定される。フロントフォーク22の下端には、前輪14Fが回転可能に取り付けられる。
【0020】
ダウンフレーム12Bは、ヘッドパイプ12Aの後方に配置され、前後方向に延びる。ダウンフレーム12Bの前端は、ヘッドパイプ12Aに接続される。ダウンフレーム12Bの後端は、上下方向に延びるシートフレーム12Cの下端部に接続される。
【0021】
シートフレーム12Cには、シートパイプ24が挿入される。シートパイプ24の上端には、サドル18が取り付けられる。
【0022】
図2に示すように、ブラケット12Dは、シートフレーム12Cの後方に取り付けられる。ブラケット12Dの後方には、一対のチェーンステイ12Eが取り付けられる。
【0023】
図1に示すように、一対のチェーンステイ12Eは、それぞれ、前後方向に延びる。一対のチェーンステイ12Eの間には、後輪14Rが配置される。各チェーンステイ12Eの後端において、後輪14Rが回転可能に取り付けられる。後輪14Rの右側には、従動スプロケット26が配置される。従動スプロケット26は、図示しないワンウェイクラッチを介して、後輪14Rに連結される。
【0024】
一対のシートステイ12Fは、それぞれ、前後方向に延びる。各シートステイ12Fの前端は、シートフレーム12Cの上端部に接続される。後輪14Rよりも右側に配置されるシートステイ12Fの後端は、後輪14Rよりも右側に配置されるチェーンステイ12Eの後端に接続される。後輪14Rよりも左側に配置されるシートステイ12Fの後端は、後輪14Rよりも左側に配置されるチェーンステイ12Eの後端に接続される。
【0025】
図2に示すように、ブラケット12Dには、複数の締結金具28により、駆動ユニット50が固定される。駆動ユニット50の詳細については、後述する。
【0026】
図1及び
図2に示すように、駆動ユニット50が備える駆動スプロケット58及び従動スプロケット26には、無端状のチェーン30が巻き掛けられる。
【0027】
図1に示すように、車体フレーム12には、チェーンカバー32が取り付けられる。チェーンカバー32は、駆動ユニット50及びチェーン30を覆う。チェーンカバー32は、メインカバー32A及びサブカバー32Bを含む。メインカバー32Aは、駆動スプロケットを右側から覆い、且つ、前後方向に延びる。サブカバー32Bは、駆動ユニット50の後部を右側から覆う。
【0028】
図1に示すように、駆動ユニット50が備えるクランクシャフト54の軸方向一端にはクランクアーム34Rの一端部が取り付けられ、軸方向他端にはクランクアーム34Lの一端部が取り付けられる。クランクアーム34Rの他端部にはペダル36Rが取り付けられ、クランクアーム34Lの他端部には、ペダル36Lが取り付けられる。
【0029】
図1に示すように、シートフレーム12Cの後方には、駆動ユニット50の電動モータ(
図3参照)に電力を供給するバッテリユニット38が配置される。バッテリユニット38は、バッテリ及び制御部を備える。バッテリは、充放電可能な充電池である。制御部は、バッテリの充放電を制御するとともに、バッテリの出力電流及び残量等を監視する。
【0030】
[駆動ユニット]
続いて、
図3を参照しながら、駆動ユニット50について説明する。
図3は、駆動ユニット50の概略構成を示す縦断面図であって、
図2におけるIII−III断面図である。
【0031】
駆動ユニット50は、ハウジング52、クランクシャフト54、回転部材56、駆動力発生部60、補助スプロケット62及びチェーンテンショナ64を備える。
【0032】
ハウジング52は、第1ハウジング部52A及び第2ハウジング部52Bを含む。第1ハウジング部52Aと第2ハウジング部52Bは、左右方向から組み付けられ、複数の締結金具66により、互いに固定される。ハウジング52は、複数の締結金具28により、ブラケット12Dに取り付けられる。
【0033】
ハウジング52について、もう少し詳しく説明する。第1ハウジング部52Aは、重ね合わせ面53Aを有する。第2ハウジング部52Bは、重ね合わせ面53Bを有する。重ね合わせ面53A及び重ね合わせ面53Bは、それぞれ、クランクシャフト54の軸方向に対して垂直な面である。第1ハウジング部52Aと第2ハウジング部52Bとが組み付けられた状態では、重ね合わせ面53Aと重ね合わせ面53Bとが重ね合わせられる。つまり、第1ハウジング部52Aと第2ハウジング部52Bは、クランクシャフト54の軸方向で重ね合わせられる。
【0034】
第1ハウジング部52A及び第2ハウジング部52Bは、それぞれ、鋳造により成形される。本実施形態では、第1ハウジング部52A及び第2ハウジング部52Bは、それぞれ、ダイキャストにより成形される。
【0035】
クランクシャフト54は、ハウジング52の前端部において、ハウジング52を左右方向に貫通して配置される。クランクシャフト54は、第1軸受68L及び第2軸受68Rにより、回転可能に支持される。第1軸受68Lは、回転部材56よりもクランクシャフト54の軸方向一端側(左端側)に配置され、第1ハウジング部52に固定される。第2軸受68Rは、第1軸受68Lよりもクランクシャフト54の軸方向他端側(右端側)に配置され、第2ハウジング部52Bに固定される。
【0036】
ここで、本実施形態では、第1ハウジング部52A及び第2ハウジング部52Bが、それぞれ、ダイキャストにより成形される。そのため、第1ハウジング部52Aにおいて第1軸受68Lを支持する部分の近くには、型抜きを容易にするための勾配55Aが形成され、第2ハウジング部52Bにおいて第2軸受68Rを支持する部分の近くには、型抜きを容易にするための勾配55Bが形成される。
【0037】
クランクシャフト54は、回転部材56を貫通して配置される。駆動スプロケット58は、ハウジング52の外側であって且つハウジング52よりも右側に配置され、回転部材56とともに回転する。回転部材56の詳細については、後述する。
【0038】
駆動力発生部60は、ハウジング52内でクランクシャフト54よりも後方に配置される。駆動力発生部60は、電動モータ60A及び出力部材60Bを含む。
【0039】
電動モータ60Aは、図示しない制御装置から出力される制御信号に基づいて、電動補助自転車10の走行をアシストするための補助駆動力を発生する。また、電動モータ60Aは、運転者が選択するアシストモードに応じて、補助駆動力を変化させる。
【0040】
電動モータ60Aは、ステータ70、ロータ72及び回転軸74を備える。ステータ70は、第1ハウジング部52Aに固定される。第1ハウジング部52Aには、電動モータ60Aを左側から覆うカバー76が取り付けられる。ロータ72は、ステータ70の内側に配置される。回転軸74は、ロータ72を貫通して配置され、ロータ72に固定される。回転軸74は、軸受78L,78Rにより、回転可能に支持される。軸受78Lは、ロータ72よりも軸方向一端側(左端側)に配置され、カバー76に固定される。軸受78Rは、ロータ72よりも軸方向他端側(右端側)に配置され、第1ハウジング部52Aに固定される。回転軸74の軸方向他端部には、ギア74Aが形成される。
【0041】
出力部材60Bは、ハウジング52内でクランクシャフト54よりも後方に配置される。出力部材60Bは、出力軸80及び出力ギア82を備える。
【0042】
出力軸80は、回転軸74よりも後方に配置される。出力軸80は、軸受84L,84Rにより、回転可能に支持される。軸受84Lは、出力軸80の軸方向一端(左端)に配置され、第1ハウジング部52Aに固定される。軸受84Rは、軸受84Lよりも出力軸80の軸方向他端側(右端側)に配置され、第2ハウジング部52Bに固定される。
【0043】
出力軸80は、出力ギア82を貫通して配置される。出力ギア82は、軸受84Lと軸受84Rとの間に配置される。出力ギア82は、ギア74Aと噛み合う。これにより、電動モータ60Aで発生した補助駆動力が回転軸74から出力ギア82に伝達される。その結果、出力ギア82が回転する。ここで、回転軸64は、前転する方向に回転する。その結果、出力ギア82は後転する。
【0044】
出力軸80と出力ギア82との間には、ラチェット機構86が設けられる。その結果、出力ギア82の後転方向の回転力は出力軸80に伝達されるが、出力ギア82の前転方向の回転力は出力軸80に伝達されない。
【0045】
補助スプロケット62は、出力軸80の軸方向他端部に固定され、ハウジング52の外側であって且つハウジング52よりも右側に配置される。電動モータ60Aで発生した補助駆動力は、出力軸80から補助スプロケット62に伝達される。その結果、補助スプロケット62が後転する。
【0046】
チェーンテンショナ64は、第2ハウジング部52Bの右側面の後端部に配置される。
図2に示すように、チェーンテンショナ64の一端は、引張ばね88を介して、第2ハウジング部52Bに取り付けられる。チェーンテンショナ64の他端は、支持ボルト90により、第2ハウジング部52Bに対して回転可能に取り付けられる。チェーンテンショナ64には、支持ボルト64Aに対して回転可能なテンションスプロケット64Bが設けられている。テンションスプロケット64Bには、チェーン30が巻き掛けられている。チェーン30は、テンションスプロケット64Bを後方に押す。そのため、チェーン30には、適度な張力が付与される。
【0047】
[回転部材]
続いて、
図4〜
図6を参照しながら、回転部材56について説明する。
図4は、クランクシャフト54が挿入された回転部材56の側面図である。
図5は、クランクシャフト54が挿入された回転部材56の断面図である。
図6は、
図5の一部を拡大して示す断面図である。
【0048】
図4及び
図5に示すように、回転部材56は、クランクシャフト54と同軸上に配置され、且つ、クランクシャフト54とともに回転する。回転部材56は、連結軸部56A、トルク検出装置56B及びワンウェイクラッチ56Cを含む。
【0049】
連結軸部56Aは、回転部材56の軸方向一方の端部(左端部)に配置され、ハウジング52内に位置する(
図3参照)。連結軸部56Aは、
図5に示すように、円筒形状を有する。連結軸部56Aには、クランクシャフト54が挿入される。連結軸部56Aは、クランクシャフト54と同軸に配置される。
【0050】
図5及び
図6に示すように、連結軸部56Aの軸方向一端部の内周面には、セレーション92が形成される。セレーション92は、クランクシャフト54の外周面に形成されたセレーション54Aと噛み合う。これにより、連結軸部56Aは、クランクシャフト54に連結される。その結果、クランクシャフト54が前転方向及び後転方向の何れに回転しても、連結軸部56Aはクランクシャフト54とともに回転する。なお、連結軸部56Aの軸方向他端部とクランクシャフト54との間には、すべり軸受106が配置される。
【0051】
トルク検出装置56Bは、
図3に示すように、ハウジング52内に配置され、運転者がペダル36R,36L(
図1参照)を漕ぐときにクランクシャフト54に発生するトルクを検出する。トルク検出装置56Bは、連結軸部56Aに設けられる。トルク検出装置56Bは、磁歪式のトルクセンサである。トルク検出装置56Bは、
図5及び
図6に示すように、取付軸部94、コイル96、検出部98及びシールド100を含む。
【0052】
図5及び
図6に示すように、取付軸部94は、連結軸部56Aの外周面に取り付けられ、連結軸部56Aに対して相対回転する。つまり、取付軸部94は、連結軸部56Aとともに回転しない。コイル96は、取付軸部94の外周面に配置される。検出部98は、連結軸部56Aの歪みに起因するコイル96の電圧変化を検出することにより、クランクシャフト54に発生するトルクを検出する。検出部98は、検出したトルクを制御装置(図示せず)に出力する。制御装置は、検出部98が出力したトルクを参照して、運転者によるペダリングの状態を把握し、電動モータ60Aを制御する。シールド100は、外部磁場に起因して検出部98の検出精度が低下するのを防ぐ。シールド100は、支持板101に取り付けられる。支持板101は、クランクシャフト54の軸方向に対して直交する方向に広がる下面101Aを有する。支持板101は、第1ハウジング部52Aに形成された係合片(図示せず)に係合する。つまり、シールド100は、連結軸部56Aとともに回転しない。
【0053】
ワンウェイクラッチ56Cは、
図5及び
図6に示すように、トルク検出装置56Bよりも駆動スプロケット58側において、クランクシャフト54と同軸に配置される。ワンウェイクラッチ56Cは、駆動部材102及び従動部材104を含む。駆動部材102は、本体部108及び筒部110を含む。
【0054】
図5及び
図6に示すように、本体部108は、リング形状を有する。本体部108には、クランクシャフト54が挿入される。本体部108は、クランクシャフト54と同軸に配置される。
【0055】
図5及び
図6に示すように、本体部108の内周面には、セレーション112が形成される。セレーション112は、連結軸部56Aの軸方向他端部の外周面に形成されたセレーション114と噛み合う。これにより、本体部108、すなわち、駆動部材102は、連結軸部56Aに連結される。その結果、連結軸部56Aが前転方向及び後転方向の何れに回転しても、本体部108、すなわち、駆動部材102は連結軸部56Aとともに回転する。換言すると、クランクシャフト54が前転方向及び後転方向の何れに回転しても、駆動部材102はクランクシャフト54とともに回転する。
【0056】
図5及び
図6に示すように、筒部110は、本体部108よりも駆動スプロケット58側において、本体部108と同軸に配置される。筒部110は、円筒状の部材であり、クランクシャフト54と同軸に配置される。筒部110は、本体部108と一体的に形成される。
【0057】
図5及び
図6に示すように、従動部材104は、円筒形状を有する。従動部材104には、クランクシャフト54が挿入される。従動部材104は、クランクシャフト54と同軸に配置され、且つ、駆動部材102と同軸に配置される。
【0058】
図5に示すように、従動部材104とクランクシャフト54との間には、すべり軸受122,124が配置される。これにより、従動部材104がクランクシャフト54に対して相対回転可能となる。従動部材104とクランクシャフト54との間であって、且つ、前記すべり軸受124よりも軸方向他端側には、シールリップ126が配置される。
【0059】
図5に示すように、従動部材104は、従動軸部116及び出力軸部118を含む。従動軸部116は、出力軸部118よりも駆動部材102側であって、且つ、出力軸部118と同軸に配置される。従動軸部116は、出力軸部118と一体的に形成される。
【0060】
図5及び
図6に示すように、従動軸部116は、クランクシャフト54の中心軸線C1に直交する方向で、筒部110の内側に配置される。従動軸部116と筒部110との間には、ラチェット機構120が配置される。その結果、駆動部材102の前転方向の回転力は、従動軸部116、すなわち、従動部材104に伝達されるが、駆動部材102の後転方向の回転力は、従動軸部116、すなわち、従動部材104に伝達されない。
【0061】
図5に示すように、出力軸部118は、第2軸受68Rによって、回転可能に支持される。出力軸部118は、第2軸受68Rに対して、駆動部材102とは反対側に位置する部分を有する。当該部分には、駆動スプロケット58が取り付けられる(
図3参照)。
【0062】
つまり、ワンウェイクラッチ56Cは、駆動スプロケット58をクランクシャフト54の中心軸線C1周りで前転方向に回転させる回転力が駆動スプロケット58に伝達されることを許容するが、駆動スプロケット58を後転方向に回転させる回転力が駆動スプロケット58に伝達されることを阻止する。
【0063】
[回転検出装置]
続いて、
図3を参照しながら、回転検出装置130について説明する。回転検出装置130は、ハウジング52内に配置され、クランクシャフト54の回転を検出する。回転検出装置130は、被検出部としてのリング磁石132と、検出部134とを含む。
【0064】
リング磁石132は、円筒形状を有する。リング磁石132は、例えば、フェライトボンド磁石である。リング磁石132では、外周面が磁極形成面になる。つまり、リング磁石132では、外周面においてクランクシャフト54の中心軸線C1周りにN極とS極とが交互に形成される。リング磁石132においては、リング磁石132の磁極数は、例えば、32〜44である。リング磁石132の着磁ピッチは、例えば、3.5〜4.8mmである。
【0065】
リング磁石132は、回転部材56に設けられる。リング磁石132は、出力軸部118よりも連結軸部56A側であって、且つ、ハウジング52内において、クランクシャフト54の中心軸線C1周りに位置する。
【0066】
リング磁石132は、駆動部材102に設けられる。特に本実施形態では、リング磁石132は、筒部110に設けられる。この点について、以下に説明する。
【0067】
駆動部材102は、
図4〜
図6に示すように、取付面136を有する。取付面136は、出力軸部118よりも連結軸部56A側であって、且つ、ハウジング52内において、クランクシャフト54の中心軸線C1周りに配置される。本実施形態では、取付面136は、駆動部材102の外周面であり、本体部108の外周面と、筒部110の外周面とを含む。つまり、取付面136は、クランクシャフト54の軸方向に延びる筒状面である。
【0068】
駆動部材102がリング磁石132に挿入され、リング磁石132の内周面と駆動部材102の外周面(取付面136)とが接着される。これにより、リング磁石132が取付面136に取り付けられる。
【0069】
ここで、取付面136には、筒部110の外周面が含まれる。筒部110の外周面にリング磁石132が取り付けられることにより、リング磁石132が筒部110に設けられる。
【0070】
また、駆動部材102は、
図5及び
図6に示すように、突起109を有する。突起109は、クランクシャフト54の中心軸線C1に直交する方向において、取付面136から外側に突出する。上述のようにリング磁石132が取付面136に取り付けられているとき、リング磁石132は、突起109に対して、クランクシャフト54の軸方向で接触する。なお、このことから明らかなように、本実施形態では、駆動部材102は筒部110側からリング磁石132に挿入される。
【0071】
また、上述のようにリング磁石132が取付面136に取り付けられた状態では、
図4に示すように、リング磁石132は、第1軸受68Lと第2軸受68Rとの離隔距離L1の中点LCよりも第2軸受68R側に位置する。つまり、リング磁石132は、第1軸受68Lよりも第2軸受68R側において、回転部材56に設けられる。
【0072】
また、上述のようにリング磁石132が取付面136に取り付けられた状態では、
図3に示すように、リング磁石132の少なくとも一部が第1ハウジング部52Aと第2ハウジング部52Bとの重ね合わせ面53A,53Bよりも第2軸受68R側に位置する。
【0073】
また、上述のようにリング磁石132が取付面136に取り付けられた状態では、
図3に示すように、リング磁石132は、クランクシャフト54の軸方向において第2軸受68Rよりも重ね合わせ面53A,53B側に配置される。
【0074】
検出部134は、リング磁石132が回転部材56とともに回転することを検出する。本実施形態では、検出部134は、リング磁石132が回転部材56とともに回転することに伴って発生する磁場の変化を検出する。つまり、本実施形態では、回転検出装置130が磁気式の回転検出センサである。
【0075】
リング磁石132は、回転部材56において、クランクシャフト54とともに回転する駆動部材102に設けられる。そのため、リング磁石132の回転に伴って発生する磁場の変化を検出することにより、クランクシャフト54の回転が検出される。検出部134は、検出したクランクシャフト54の回転を制御装置(図示せず)に出力する。制御装置は、検出部98が検出したトルクだけでなく、検出部134が検出したクランクシャフト54の回転も参照して、運転者によるペダリングの状態を把握し、電動モータ60Aを制御する。
【0076】
検出部134は、ワンチップホールICであり、2つの検出素子を備える。これにより、リング磁石132の横磁場と縦磁場とを検出することができる。その結果、リング磁石132が前転方向及び逆転方向の何れに回転しているかを判定できる。
【0077】
検出部134は、基板138に設けられる。基板138は、電動モータ60Aを制御する制御装置が実装される基板とは別に配置される。基板138は、第1ハウジング部52Aに取り付けられる。この状態で、検出部134は、クランクシャフト54の中心軸線C1に直交する方向で、リング磁石132よりも外側に配置される。検出部134は、リング磁石132の磁極形成面(外周面)に対して、クランクシャフト54の中心軸線C1に直交する方向で対向配置される。
【0078】
電動補助自転車10においては、運転者がペダル36L,36Rを漕ぐことにより、クランクシャフト54が前転方向に回転する。クランクシャフト54が前転方向に回転すると、連結軸部56Aが前転方向に回転する。連結軸部56Aが前転方向に回転すると、駆動部材102が前転方向に回転する。駆動部材102が前転方向に回転すると、従動部材104が前転方向に回転する。なお、駆動部材102が後転方向に回転する場合、つまり、クランクシャフト54が後転方向に回転する場合、駆動部材102は従動部材104に対して相対回転する。従動部材104が前転方向に回転すると、駆動スプロケット58が前転方向に回転する。駆動スプロケット58の回転力は、チェーン30を介して、従動スプロケット26に伝達される。
【0079】
運転者がペダル36L、36Rを漕ぐことにより、クランクシャフト54にトルクが発生する。クランクシャフト54に発生するトルクは、トルク検出装置56Bによって検出される。クランクシャフト54に発生するトルクが予め定められた基準値を超える状態が一定期間以上継続すると、電動モータ60Aのロータ72、つまり、回転軸74が前転方向に回転する。回転軸74が前転方向に回転すると、出力ギア82が後転方向に回転する。出力ギア82が後転方向に回転すると、出力軸80が後転方向に回転する。出力軸80が後転方向に回転すると、補助スプロケット62が後転方向に回転する。補助スプロケット62の回転力は、チェーン30を介して、従動スプロケット26に伝達される。その結果、運転者によるペダリングがアシストされる。
【0080】
ここで、電動補助自転車10においては、回転検出装置130がクランクシャフト54の回転を検出する。そのため、クランクシャフト54に発生するトルクだけでなく、クランクシャフト54の回転も参照して、運転者によるペダリングの状態を把握することができる。その結果、運転者によるペダリングの状態を的確に把握することができるようになるので、例えば、故障を検知し易くなったり、より的確なアシストを行うことができるようになる。
【0081】
また、電動補助自転車10においては、駆動ユニット50を備える。駆動ユニット50は、ハウジング52、クランクシャフト54、トルク検出装置56B、回転部材56及び回転検出装置130を備える。
【0082】
クランクシャフト54は、ハウジング52を貫通して配置される。トルク検出装置56Bは、ハウジング52内に配置され、クランクシャフト54に発生するトルクを検出する。回転部材56は、トルク検出装置56Bを含み、クランクシャフト54と同軸上に配置され且つクランクシャフト54とともに回転する。回転検出装置130は、ハウジング52内に配置され、クランクシャフト54の回転を検出する。
【0083】
回転部材56は、連結軸部56A及び出力軸部118を含む。連結軸部56Aは、回転部材56の軸方向一方の端部に配置され、ハウジング52内でクランクシャフト54に連結される。出力軸部118は、回転部材56の軸方向他方の端部に配置され、駆動スプロケット58が取り付けられる。
【0084】
回転検出装置130は、被検出部(リング磁石132)及び検出部134を含む。リング磁石132は、回転部材56に設けられ、ハウジング52内においてクランクシャフト54の中心軸線周りに位置する。検出部134は、リング磁石132が回転部材56とともに回転することを検出する。リング磁石132は、クランクシャフト54の軸方向で、トルク検出装置56Bとは異なる位置に設けられる。
【0085】
上記構成においては、リング磁石132が回転部材56に設けられる。そのため、リング磁石132がクランクシャフト54の外周面に直接取り付けられる場合と比べて、リング磁石132の内径及び外径を大きくできる。その結果、リング磁石132の磁極数を増やすことができる。リング磁石132の磁極数が増えると、検出部134がクランクシャフト54の回転を検出する精度、つまり、検出部134の検出分解能が向上する。その結果、運転者によるペダリングの状態をさらに把握し易くなる。
【0086】
また、リング磁石132がクランクシャフト54の外周面に直接取り付けられる場合には、クランクシャフト54においてリング磁石132が取り付けられる場所を確保するために、クランクシャフト54を軸方向に長くする必要がある。上記構成においては、リング磁石132が回転部材56に設けられるので、クランクシャフト54においてリング磁石132が取り付けられる場所を確保する必要がない。その結果、リング磁石132がクランクシャフト54の外周面に直接取り付けられる場合と比べて、クランクシャフト54の軸方向長さを短くできる。
【0087】
回転部材56は、ワンウェイクラッチ56Cをさらに含む。ワンウェイクラッチ56Cは、トルク検出装置56Bよりも駆動スプロケット58側に配置される。ワンウェイクラッチ56Cは、駆動スプロケット58をクランクシャフト54の中心軸線C1周りで一方向(前転方向)に回転させる回転力を駆動スプロケット58に伝達し、且つ、駆動スプロケット58を前転方向とは反対の方向(逆転方向)に回転させる回転力を駆動スプロケット58に伝達されないようにする。トルク検出装置56Bは、連結軸部56Aに取り付けられる。ワンウェイクラッチ56Cは、クランクシャフト54とともに回転する駆動部材102を含む。被検出部(リング磁石132)は、駆動部材102及び連結軸部56Aの何れかに設けられる。つまり、被検出部(リング磁石132)は、クランクシャフト54とともに回転する部材に取り付けられる。
【0088】
上記構成においては、リング磁石132の内径及び外径を大きくして、リング磁石132の磁極数を増やすことができる。その結果、検出部134の検出分解能を向上できる。
【0089】
被検出部(リング磁石132)は、駆動部材102に設けられる。この場合、リング磁石132は、トルク検出装置56Bよりも駆動スプロケット58側に配置される。ハウジング52内では、トルク検出装置56Bよりも駆動スプロケット58側に形成される空間のほうが、トルク検出装置56に対して駆動スプロケット58とは反対側に形成される空間よりも広い。その理由は、出力軸部118を配置する必要があるからである。そのため、リング磁石132の内径及び外径を大きくして、リング磁石132の磁極数を増やすことができる。その結果、検出部134の検出分解能を向上できる。
【0090】
ワンウェイクラッチ56Cは、従動部材104をさらに含む。従動部材104は、クランクシャフト54の中心軸線C1に直交する方向で駆動部材102よりも内側に配置される。駆動部材102は、クランクシャフト54の中心軸線C1に直交する方向で従動部材104よりも外側に位置する筒部110を含む。被検出部(リング磁石132)の少なくとも一部は、筒部110に設けられる。
【0091】
上記構成においては、リング磁石132の内径及び外径を大きくして、リング磁石132の磁極数を増やすことができる。その結果、検出部134の検出分解能を向上できる。
【0092】
加えて、上記構成においては、クランクシャフト54の中心軸線C1に直交する方向で、ワンウェイクラッチ56Cの外側にリング磁石132が配置される。換言すれば、クランクシャフト54の中心軸線C1に直交する方向で、クランクシャフト54の回転に伴って所定の機能を発揮する部材の外側にリング磁石132が配置される。そのため、リング磁石132と、クランクシャフト54の回転に伴って所定の機能を発揮する部材とを、クランクシャフト54の軸方向に並べる場合と比べて、クランクシャフト54の軸方向の長さを短くできる。
【0093】
従動部材104は、駆動スプロケット58が取り付けられる出力軸部118を含む。この場合、リング磁石132を駆動スプロケット58に近づけて配置することができる。ハウジング52内では、駆動スプロケット58に近いほうの空間が、駆動スプロケット58から離れているほうの空間よりも広い。そのため、リング磁石132の内径及び外径を大きくして、リング磁石132の磁極数を増やすことができる。その結果、検出部134の検出分解能を向上できる。
【0094】
駆動ユニット50は、第1軸受68L及び第2軸受68Rをさらに備える。第1軸受68Lは、クランクシャフト54の軸方向一端側に配置され、クランクシャフト54を回転可能に支持する。第2軸受68Rは、クランクシャフト54の軸方向他端側に配置され、回転部材54(出力軸部118)を回転可能に支持する。被検出部(リング磁石132)は、第1軸受68Lよりも第2軸受68R側において、回転部材56に設けられる。
【0095】
この場合、第2軸受68Rの内径は、第1軸受68Lの内径よりも大きくなる。そのため、ハウジング50内では、第1軸受68Lに近い空間よりも、第2軸受68Rに近い空間のほうが広くなる。その結果、リング磁石132の内径及び外径を大きくして、リング磁石132の磁極数を増やすことができるので、検出部134の検出分解能を向上できる。
【0096】
リング磁石132の外径は、第2軸受68Rの外径よりも小さい(
図3参照)。リング磁石132の外径が第2軸受68Rの外径よりも大きい場合、第2軸受68Rを第2ハウジング部52Bに組み付けるときに、リング磁石132が第2ハウジング部52B内で他の部材に接触するおそれがある。しかしながら、リング磁石132が第2軸受68Rの外径よりも小さい場合には、第2軸受68Rを第2ハウジング部52Bに組み付けるときに、リング磁石132が第2ハウジング部52B内で他の部材に接触するのを回避できる。
【0097】
ここで、第2軸受68Rの外径は、第1軸受68Lの外径よりも大きい。そのため、リング磁石132を第2軸受68Rの近くに配置すれば、リング磁石132を第1軸受68Lの近くに配置する場合よりも、リング磁石132の径を大きくすることができる。
【0098】
駆動ユニット50は、第1軸受68L及び第2軸受68Rをさらに備える。第1軸受68Lは、クランクシャフト54の軸方向一端側に配置され、クランクシャフト54を回転可能に支持する。第2軸受68Rは、クランクシャフト54の軸方向他端側に配置され、回転部材56を回転可能に支持する。第2軸受68Rの外径は、第1軸受68Lの外径よりも大きい。
【0099】
被検出部(リング磁石132)は、第1軸受68Lよりも大きい外径を有する第2軸受68Rによって支持される回転部材56に設けられる。そのため、第2軸受68Rの近辺の広いスペースを利用して、リング磁石132の径を大きくできる。その結果、検出分解能が向上する。
【0100】
ハウジング52は、クランクシャフト54の軸方向で重ね合わせられる第1ハウジング部52A及び第2ハウジング部52Bを含む。第2軸受68Rは、第2ハウジング部52Bに支持される。被検出部(リング磁石132)の少なくとも一部は、第1ハウジング部52Aと第2ハウジング部52Bとの重ね合わせ面53A,53Bよりも第2ハウジング部52B側に位置する(
図3参照)。
【0101】
この場合、リング磁石132を、第2軸受68Rの近辺の広いスペースに配置することができる。そのため、リング磁石132の径を大きくできる。その結果、検出分解能が向上する。
【0102】
被検出部(リング磁石132)は、クランクシャフト54の軸方向において第2軸受68Rよりも重ね合わせ面53A,53B側に配置される(
図3参照)。
【0103】
この場合、リング磁石132を、第2軸受68Rの近辺の広いスペースに配置することができる。そのため、リング磁石132の径を大きくできる。その結果、検出分解能が向上する。
【0104】
第2ハウジング部52Bは、鋳造(本実施形態では、ダイキャスト)により成形される。そのため、第2ハウジング部52Bにおいて第2軸受68Rを支持する部分の近くには、勾配55Bが形成される。その結果、第2ハウジング部52内において重ね合わせ面53Bに近いほど、広いスペースが形成される。広いスペースにリング磁石132を配置することができるので、リング磁石132の径を大きくできる。その結果、検出分解能が向上する。
【0105】
回転部材56は、取付面136をさらに含む。取付面136は、出力軸部118よりも連結軸部56A側であって且つハウジング52内においてクランクシャフト54の中心軸線C1周りに配置される。被検出部(リング磁石132)が取付面136に取り付けられる。
【0106】
この場合、リング磁石132を回転部材56とは別に製造できる。その結果、ハウジング52内におけるリング磁石132と検出部134との位置関係を調整しやすくなる。
【0107】
取付面136がクランクシャフト54の軸方向に延びる筒状面である。この場合、クランクシャフト54の中心軸線C1に直交する方向で、検出部134をリング磁石132の磁極形成面に対向配置することができる。
【0108】
回転部材56は、突起109をさらに含む。突起109は、クランクシャフト54の中心軸線C1に直交する方向で取付面136から外側に突出する。被検出部(リング磁石132)が取付面136に取り付けられているときに、リング磁石132が突起109に対してクランクシャフト54の軸方向で接触する。
【0109】
この場合、クランクシャフト54の軸方向におけるリング磁石132と駆動部材102との相対的な位置関係を規定することができる。その結果、リング磁石132を駆動部材102に組み付ける作業の効率が向上する。
【0110】
[第2の実施形態]
続いて、
図7及び
図8を参照しながら、本発明の第2の実施形態について説明する。
図7は、第2の実施形態による電動補助自転車が備える駆動ユニット50Aの断面図である。
図8は、
図7の一部を拡大して示す断面図である。
【0111】
図7に示すように、駆動ユニット50Aにおいては、駆動ユニット50と比べて、補助スプロケット62が設けられていない。出力部材60Bが回転部材56よりも前方に配置される。回転軸74が出力部材60Bよりも前方に配置される。
【0112】
図7に示すように、駆動ユニット50Aは、出力軸80の代わりに、出力軸80Aを備える。出力軸80Aには、ギア81が形成される。
【0113】
図7に示すように、駆動ユニット50Aは、従動部材104の代わりに、従動部材104Aを備える。従動部材104Aは、入力ギア140を備える。入力ギア140は、出力軸部118と同軸に配置され、クランクシャフト54の中心軸線C1に直交する方向で、出力軸部118の外側に位置する。入力ギア140は、出力軸部118と一体的に形成される。入力ギア140は、ギア81と噛み合う。
【0114】
図7及び
図8に示すように、駆動ユニット50Aにおいては、リング磁石132の代わりに、リング磁石132A及び支持部材142が設けられている。リング磁石132Aは、円環板形状を有する。リング磁石132Aでは、軸方向の端面が磁極形成面になる。つまり、リング磁石132Aでは、軸方向の端面においてクランクシャフト54の中心軸線C1周りにN極とS極とが交互に形成される。
【0115】
図7及び
図8に示すように、支持部材142は、筒部144及び円環部146を備える。筒部144は、クランクシャフト54の軸方向に延びる。筒部144は、筒部110の外周面に固定される。筒部144を筒部110の外周面に固定する方法としては、例えば、圧入や接着がある。
【0116】
図7及び
図8に示すように、円環部146は、筒部144の軸方向一端において、筒部144と同軸に配置される。円環部146は、筒部144と一体的に形成される。円環部146は、取付面136Aを含む。取付面136Aは、円環部146の軸方向の端面であり、クランクシャフト54の中心軸線C1に直交する方向に広がる環状面である。取付面136Aは、基板148の厚さ方向の端面に平行な平面である。
【0117】
本実施形態では、支持部材142が駆動部材102に取り付けられることにより、回転部材56が取付面136Aを含む。
【0118】
図7及び
図8に示すように、駆動ユニット50Aにおいては、円環部146とリング磁石132Aとがクランクシャフト54の軸方向で重ね合わせられる。この状態で、リング磁石132Aの軸方向の端面と取付面136Aとが接着される。
【0119】
図7及び
図8に示すように、駆動ユニット50Aにおいては、基板148に検出部134が配置される。基板148には、電動モータ60Aを制御する制御装置(図示せず)が実装される。つまり、本実施形態では、検出部134を配置するための基板を、上記制御装置が実装される基板の他に別途設けなくてもよい。
【0120】
このような電動補助自転車においては、運転者がペダル36L,36Rを漕ぐことにより、クランクシャフト54が前転方向に回転する。クランクシャフト54が前転方向に回転すると、連結軸部56Aが前転方向に回転する。連結軸部56Aが前転方向に回転すると、駆動部材102が前転方向に回転する。駆動部材102が前転方向に回転すると、従動部材104が前転方向に回転する。なお、駆動部材102が後転方向に回転する場合、つまり、クランクシャフト54が後転方向に回転する場合、駆動部材102は従動部材104に対して相対回転する。従動部材104が前転方向に回転すると、駆動スプロケット58が前転方向に回転する。駆動スプロケット58の回転力は、チェーン30を介して、従動スプロケット26に伝達される。
【0121】
運転者がペダル36L、36Rを漕ぐことにより、クランクシャフト54にトルクが発生する。クランクシャフト54に発生するトルクは、トルク検出装置56Bによって検出される。クランクシャフト54に発生するトルクが予め定められた基準値を超える状態が一定期間以上継続すると、電動モータ60Aのロータ72、つまり、回転軸74が前転方向に回転する。回転軸74が前転方向に回転すると、出力ギア82が後転方向に回転する。出力ギア82が後転方向に回転すると、出力軸80が後転方向に回転する。出力軸80が後転方向に回転すると、入力ギア140が前転方向に回転する。入力ギア140が前転方向に回転すると、駆動スプロケット58が前転方向に回転する。その結果、運転者によるペダリングがアシストされる。
【0122】
上述の駆動ユニット50Aを備える電動補助自転車においては、回転部材56が、環状面を含む。環状面は、クランクシャフト54の軸方向に対して直交する方向に広がる。環状面が取付面136Aである。
【0123】
この場合、クランクシャフト54の軸方向において、検出部134をリング磁石132の磁極形成面に対向配置することができる。
【0124】
また、本実施形態では、入力ギア140が設けられている。そのため、第2ハウジング部52B内であって、且つ、第2軸受68Rの近くに、広いスペースを確保しやすい。その結果、リング磁石132の径を大きくして、検出分解能を向上することができる。
【0125】
特に本実施形態では、入力ギア140が第2軸受68Rの外径よりも大きい。そのため、第2ハウジング部52B内であって、且つ、第2軸受68Rの近くに、広いスペースをさらに確保しやすくなる。
【0126】
[第3の実施形態]
続いて、
図9及び
図10を参照しながら、本発明の第3の実施形態について説明する。
図9は、第3の実施形態による電動補助自転車が備える駆動ユニット50Bの断面図である。
図10は、
図9の一部を拡大して示す断面図である。
【0127】
図9に示すように、駆動ユニット50Bは、第2の実施形態による駆動ユニット50Aと比べて、回転検出装置130の代わりに、回転検出装置150を備える。
【0128】
図9及び
図10に示すように、回転検出装置150においては、リング磁石132Aが設けられていない。その代りに、環状部としての円環部146において、複数のスリット147が形成されている。複数のスリット147は、クランクシャフト54の中心軸線C1の周りに等間隔に形成される。
【0129】
図9及び
図10に示すように、回転検出装置150においては、検出部134が設けられていない。その代りに、発光部152と、検出部としての受光部154とが設けられている。
【0130】
図9及び
図10に示すように、発光部152は、円環部144よりもクランクシャフト54の軸方向他方側に配置される。受光部154は、円環部144よりもクランクシャフト54の軸方向一方側に配置される。
【0131】
発光部152が発する光を受光部154が検出する。ここで、円環部146が回転すると、スリット147が形成されている位置では、受光部154は、発光部152が発する光を検出できるが、スリット147が形成されていない位置では、受光部154は、発光部152が発する光を検出できない。そのため、受光部154は、回転部材56の回転を検出できる。つまり、本実施形態では、回転検出装置150が光学式の回転検出センサであり、円環部146が被検出部として機能する。
【0132】
上記駆動ユニット50Bを備える電動補助自転車においては、回転部材56が、環状部(円環部146)をさらに含む。円環部146は、クランクシャフト54の軸方向に対して直交する方向に延びる。円環部146が被検出部である。
【0133】
このような態様においても、クランクシャフト54の回転を検出できる。
【0134】
[第4の実施の形態]
続いて、
図11及び
図12を参照しながら、本発明の第4の実施の形態について説明する。
図11は、第4の実施の形態による電動補助自転車が備える駆動ユニット50Cの断面図である。
図12は、
図11の一部を拡大して示す断面図である。
【0135】
駆動ユニット50Cは、駆動ユニット50Aと比べて、リング磁石132A、検出部134及び支持部材142を備えていない。その代わりに、リング磁石132B及び検出部134Aを備えている。
【0136】
リング磁石132Bは、リング磁石132と同様な形状及び構成を有する。リング磁石132Bは、クランクシャフト54の軸方向で、トルク検出装置56Bとは異なる位置に設けられる。リング磁石132Bは、トルク検出装置56Bとともに、連結軸部56Aに設けられる。
【0137】
この状態で、リング磁石132Bは、連結軸部56Aの外周面に接している。つまり、リング磁石132Bは、連結軸部56Aの外周面に直接設けられる。別の表現をすれば、リング磁石132Bは、連結軸部56Aとの間に他の回転可能な部材を介さないで、連結軸部56Aに固定される。
【0138】
リング磁石132Bは、クランクシャフト54の軸方向で、トルク検出装置56Bとワンウェイクラッチ56Cとの間に配置される。より具体的には、リング磁石132Bは、クランクシャフト54の軸方向で、支持板101とワンウェイクラッチ56Cとの間に配置される。
【0139】
検出部134Aは、支持板101の下面101Aに取り付けられる。検出部134Aは、検出部134と同様な構成及び機能を有する。
【0140】
駆動ユニット50Cにおいては、リング磁石132Bが回転部材56に設けられる。そのため、リング磁石132Bがクランクシャフト54の外周面に直接取り付けられる場合と比べて、リング磁石132Bの内径及び外径を大きくできる。その結果、リング磁石132Bの磁極数を増やすことができる。リング磁石132Bの磁極数が増えると、検出部134Aがクランクシャフト54の回転を検出する精度、つまり、検出部134Aの検出分解能が向上する。その結果、運転者によるペダリングの状態をさらに把握し易くなる。
【0141】
駆動ユニット50Cにおいて、リング磁石132Bは、クランクシャフト54の軸方向で、トルク検出装置56Bとは異なる位置に設けられる。そのため、トルク検出装置56Bによるトルク検出の精度を維持しながら、回転検出装置130の検出分解能を向上させることができる。
【0142】
駆動ユニット50Cにおいて、リング磁石132Bは、連結軸部56Aに設けられる。この場合、リング磁石132Bと連結軸部56Aとの間に、他の部材が配置されない。そのため、クランクシャフト54の中心軸線C1に対するリング磁石132Bの位置決め精度が確保しやすくなり、リング磁石132Bと検出部134Aとの間隔を小さくすることが容易になる。
【0143】
駆動ユニット50Cにおいて、ハウジング52は、クランクシャフト54の軸方向で重ね合わせられる第1ハウジング部52A及び第2ハウジング部52Bを含む。リング磁石132Bは、トルク検出装置56Bよりも、第1ハウジング部52Aと第2ハウジング部52Bとの重ね合わせ面53A、53Bの近くに配置される。
【0144】
ハウジング52内では、トルク検出装置56Bよりも重ね合わせ面53A,53Bに近い空間のほうが、トルク検出装置56Bに対して重ね合わせ面53A,53Bとは反対側の空間よりも広い。その理由は、ワンウェイクラッチ56Cを配置する必要があるからである。そのため、リング磁石132の内径及び外径を大きくして、リング磁石132Bの磁極数を増やすことができる。その結果、検出部134の検出分解能を向上できる。
【0145】
駆動ユニット50Cにおいて、トルク検出装置56Bは、磁歪式のトルクセンサである。この場合、遊星歯車方式のトルクセンサと比べて、ペダルにより生成される駆動力のロスをなくせる。この点について、もう少し詳しく説明する。遊星歯車方式のトルクセンサでは、クランクシャフトと同軸上に配置された遊星歯車機構でペダル踏力を分割する。一方のペダル踏力は直接の駆動力として用いられ、他方のペダル踏力は力の伝達経路の下流側に配置されたポテンショメータでトルク量を検出するために用いられる。この構造では、遊星歯車を同時に動かさなければならないため、駆動力として用いられない余分な踏力が要求される。これに対して、磁歪式のトルクセンサは、磁歪効果を利用するものであり、機械的な接触なしでトルクを検出する。つまり、磁歪式のトルクセンサは、非接触式のトルクセンサである。そのため、遊星歯車方式のトルクセンサと比べて、ペダルにより生成される駆動力のロスをなくせる。
【0146】
駆動ユニット50Cにおいて、トルク検出装置56Bは、磁歪式のトルクセンサである。この場合、位相検知式のトルクセンサにおいて大きな変位を得るためのばね要素や、大きな歪みを得るための肉抜きが不要になる。また、歪みゲージ方式や遊星歯車方式のような特殊な機構も不要になる。構成が複雑ではないため、機械的強度を確保しやすい。
【0147】
駆動ユニット50Cにおいて、トルク検出装置56Bは、磁歪式のトルクセンサである。この場合、必要な部品点数が少ないので、部品のがたつきを抑制できる。また、非接触であるため、摩耗しない。加えて、機械的強度が高いため、歪みのヒステリシスループを小さくできる。その結果、同じ大きさのトルクに対する信号の再現性が高くなる。
【0148】
駆動ユニット50Cにおいて、トルク検出装置56Bは、磁歪式のトルクセンサである。この場合、コイル96を高周波で励磁して使用するため、連結軸部56Aの歪みを瞬時に検出できる。つまり、トルクの発生に対する応答性がよい。
【0149】
駆動ユニット50Cにおいて、トルク検出装置56Bは、磁歪式のトルクセンサである。この場合、トルクを非接触で検出できるため、摩耗の影響で検出素子98の出力が変化しない。一方、ポテンショメータを用いる場合には、摩耗を考慮した設計が必要になる。
また、遊星歯車方式では、機械損失が大きいが、磁歪式では、機械損失が少なくなる。
【0150】
駆動ユニット50Cにおいて、回転検出装置130は、磁気式の回転検出センサである。この場合、永久磁石(リング磁石132B)が発する大きな磁気を検出するため、被検出部(リング磁石132B)と検出部134Aとの間の空隙が大きくなってもよい。そのため、被検出部(リング磁石132B)及び検出部134Aの位置決めが容易になる。なお、コイルに高周波電流を流して、磁気抵抗の変化で位相を検出する方式(自励方式)の回転検出センサでは、微弱な磁界を利用するので、被検出部と検出部との間の空隙を磁気式よりも小さくする必要がある。また、自励方式の回転検出センサでは、常に電流を消費するが、磁気式の回転検出センサでは、そのようなことはない。
【0151】
駆動ユニット50Cにおいて、回転検出装置130は、磁気式の回転検出センサである。例えば、磁気抵抗の変化で発生する誘起電圧により位相を検出する方式の回転検出センサでは、一定の回転数以上にならないと、信号を検出できない。また、回転数が高くなると、誘起される電圧も高くなるため、保護回路を設ける必要がある。一方、磁気式の回転検出センサでは、このようなことはない。
【0152】
駆動ユニット50Cにおいて、回転検出装置130は、磁気式の回転検出センサである。この場合、検出部134Bを容易に配置できる。また、リング磁石132Bの横磁場と縦磁場とを検出するために、追加の検出素子を配置することも容易になる。
【0153】
[第5の実施の形態]
続いて、
図13及び
図14を参照しながら、本発明の第5の実施の形態について説明する。
図13は、第5の実施の形態による電動補助自転車が備える駆動ユニット50Dの断面図である。
図14は、
図13の一部を拡大して示す断面図である。
【0154】
駆動ユニット50Dは、駆動ユニット50Aと比べて、リング磁石132A、検出部134及び支持部材142を備えていない。その代わりに、リング磁石132C及び検出部134Bを備えている。
【0155】
リング磁石132Cは、リング磁石132と同様な形状及び構成を有する。リング磁石132Cは、クランクシャフト54の軸方向で、トルク検出装置56Bとは異なる位置に設けられる。リング磁石132Cは、トルク検出装置56Bとともに、連結軸部56Aに設けられる。
【0156】
この状態で、リング磁石132Cは、連結軸部56Aの外周面に接している。つまり、リング磁石132Cは、連結軸部56Aの外周面に直接設けられる。別の表現をすれば、リング磁石132Cは、連結軸部56Aとの間に他の回転可能な部材を介さないで、連結軸部56Aに固定される。
【0157】
リング磁石132Cは、クランクシャフト54の軸方向で、トルク検出装置56Bに対して、ワンウェイクラッチ56Cとは反対側に配置される。具体的には、リング磁石132Cは、クランクシャフト54の軸方向で、トルク検出装置56Bと第1軸受68Lとの間に配置される。
【0158】
検出部134Bは、検出部134と同様な構成及び機能を有する。検出部134Bは、基板160に設けられる。
【0159】
基板160は、支持部材162を介して、第1ハウジング部52Aに取り付けられる。支持部材162は、支持部162Aと、取付部162Bとを備える。支持部162Aは、検出部134Bを支持する部分である。取付部162Bは、基板160を第1ハウジング部52Aに取り付ける部分である。支持部162Aは、取付部162Bが第1ハウジング部52Aに取り付けられた状態で、クランクシャフト54の中心軸線C1と平行に延びる。そのため、検出部134Bは、被検出部132Cに対して、クランクシャフト54の中心軸線C1に直交する方向で対向して配置される。
【0160】
駆動ユニット50Dにおいては、リング磁石132Cが回転部材56に設けられる。そのため、リング磁石132Cがクランクシャフト54の外周面に直接取り付けられる場合と比べて、リング磁石132Cの内径及び外径を大きくできる。その結果、リング磁石132Cの磁極数を増やすことができる。リング磁石132Cの磁極数が増えると、検出部134Bがクランクシャフト54の回転を検出する精度、つまり、検出部134Bの検出分解能が向上する。その結果、運転者によるペダリングの状態をさらに把握し易くなる。
【0161】
駆動ユニット50Dにおいて、リング磁石132Cは、クランクシャフト54の軸方向で、トルク検出装置56Bとは異なる位置に設けられる。そのため、トルク検出装置56Bによるトルク検出の精度を維持しながら、回転検出装置130の検出分解能を向上させることができる。
【0162】
駆動ユニット50Dにおいて、リング磁石132Cは、連結軸部56Aに設けられる。この場合、リング磁石132Cと連結軸部56Aとの間に、他の部材が配置されない。そのため、クランクシャフト54の中心軸線C1に対するリング磁石132Bの位置決め精度が確保しやすくなり、リング磁石132Cと検出部134Bとの間隔を小さくすることが容易になる。
【0163】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【0164】
第1の実施形態では、リング磁石132が筒部110の外周面に取り付けられていたが、例えば、筒部110に磁極を形成してもよい。
【0165】
第2の実施形態では、リング磁石132Aが円環部146の軸方向端面に取り付けられていたが、例えば、円環部146に磁極を形成してもよい。
【0166】
第3の実施形態では、発光部152が円環部144よりもクランクシャフト54の軸方向一方側に配置され、受光部154が円環部144よりもクランクシャフト54の軸方向他方側に配置されていたが、発光部152と受光部154の配置は逆であってもよい。