(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
当該セル集合体は、互いに並列に配置された3枚以上のストリップ材を有し、このうち互いに隣り合う一対のストリップ材は、それらの長手方向において一定間隔で配置された前記接合部の各々において相互に接合され、このうち一の接合部から、前記一対のストリップ材の長手方向において当該一の接合部の隣に位置する他の接合部までの範囲の前記一対のストリップ材により個々の前記セル構造体が構成され、
前記ストリップ材のうち、互いに隣り合う第1のストリップ材と第2のストリップ材とは、それらの長手方向において一定間隔で配置された第1接合部の各々において相互に接合され、
前記第2のストリップ材と、前記第2のストリップ材に対して前記第1のストリップ材とは反対側に隣接する第3の前記ストリップ材とは、それらの長手方向において一定間隔で配置された第2接合部の各々において相互に接合され、
前記第2接合部の並び方向における各第2接合部の位置は、隣り合う前記第1接合部の中間の位置に設定されている請求項1乃至7の何れか一項に記載のセル集合体。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜に説明を省略する。
【0013】
〔第1の実施形態〕
図1および
図2は第1の実施形態に係るセル集合体2の斜視図である。
図3は第1の実施形態に係るセル集合体2を構成するシート材300を示す図であり、このうち(a)は断面図、(b)および(c)は平面図である。
【0014】
本実施形態に係るセル集合体2は、ハニカム状に配列され且つ互いに一体化された複数のセル構造体1を有する。セル構造体1の各々は、可撓性の一対の帯状体11、12により形成されている。一対の帯状体11、12は、それらの両端部の各々に配置された接合部13において互いに接合されて、セル構造体1を形成している。帯状体11、12の少なくとも一部分の表面に複数の粒子302が配置されていることによって、帯状体11、12の少なくとも一部分の表面が凹凸面とされている。これにより、セル構造体1に対する中詰材8の定着力を向上することができる。なお、中詰材8としては、砂、砕石、現地発生土、コンクリート又はモルタル等を選択することができる。なかでも、中詰材8としてコンクリート又はモルタル等を選択することにより、セル構造体1に対する中詰材8の定着力をより良好にすることができる。
【0015】
セル集合体2は、可撓性の材料により構成された3枚以上の長尺なストリップ材7を有している。これらストリップ材7は、互いに並列に配置されている。これらストリップ材7の並び方向(配列方向)は矢印A方向、これらストリップ材7の長手方向は矢印B方向である。互いに隣り合う一対のストリップ材7は、それらの長手方向(矢印B方向)において一定間隔で配置された接合部13の各々において相互に接合されている。これら接合部13のうち、一の接合部13から、矢印B方向において当該一の接合部13の隣に位置する他の接合部13までの範囲の一対のストリップ材7により個々のセル構造体1が構成されている。複数のストリップ材7のうち、互いに隣り合う第1のストリップ材7と第2のストリップ材7とは、それらの長手方向(矢印B方向)において一定間隔で配置された接合部13(第1接合部)の各々において相互に接合されている。また、第2のストリップ材7と、第2のストリップ材7に対して第1のストリップ材7とは反対側に隣接する第3のストリップ材7とは、それらの長手方向(矢印B方向)において一定間隔で配置された接合部13(第2接合部)の各々において相互に接合されている。第2接合部の並び方向(矢印B方向)における各第2接合部の位置は、隣り合う第1接合部の中間の位置に設定されている。同様に、第1接合部の並び方向(矢印B方向)における各第1接合部の位置は、隣り合う第2接合部の中間の位置に設定されている。
【0016】
ストリップ材7は、高密度ポリエチレンなどの樹脂材料により構成されている。隣り合うストリップ材7どうしを接合部13において相互に接合する手法は特に限定されないが、例えば、超音波溶着によって接合することができる。超音波溶着は、熱可塑性樹脂に超音波振動を加えるとともに加圧することによって溶融させて接合する技術である。
【0017】
1つのセル集合体2が有するセル構造体1の数(セル数)は任意である。なお、
図1に示すセル集合体2と、
図2に示すセル集合体2とでは、互いにセル数が異なる。
【0018】
セル構造体1を構成する帯状体11、12は、互いに隣り合う一対のストリップ材7の長手方向における一部分ずつからなる。帯状体11は、帯状体11により互いに仕切られる複数のセル構造体1に共用の構造である。同様に、帯状体12は、帯状体12により互いに仕切られる複数のセル構造体1に共用の構造である。
【0019】
帯状体11、12には、排水用の複数の孔(図示略)が帯状体11、12の表裏を貫通して形成されていても良いし、形成されていなくても良い。
【0020】
各セル構造体1の帯状体11、12の両端部の間の中間部が互いに離間するようにセル集合体2を変形させることにより、各セル構造体1の開口面積が広がるようにセル集合体2を展張することができる(
図1)。ここで、
図1に示すように、セル集合体2を展張した状態において、接合部13が平面視において千鳥状の配置となるように、各接合部13の位置が設定されている。このため、セル集合体2を展張した状態において、複数のセル構造体1がハニカム状に配列される。なお、
図1では、一部のセル構造体1内に中詰材8が充填され、残りのセル構造体1内には中詰材8が充填されていない状態を示している。
【0021】
本実施形態の場合、セル構造体1を構成する帯状体11、12、ひいてはセル集合体2を構成するストリップ材7は、
図3に示すシート材300からなる。シート材300の長手方向において、
図3(a)に示される範囲は、
図3(b)に示される範囲と同じである。シート材300の長手方向において、
図3(c)に示される範囲は、
図3(b)に示される範囲よりも広い。
【0022】
図3(a)および(b)に示すように、シート材300は、シート状の樹脂からなるシート本体301と、シート本体301の両面にそれぞれ付着している粒子302と、を有する。これにより、帯状体11、12の両面にそれぞれ凹凸面が形成されている。
より具体的には、粒子302は、例えば、接着剤303によってシート本体301の両面にそれぞれ接着固定されている。
【0023】
ストリップ材7は、シート材300をその長手方向において所定の長さに切断することによって作製される。そして、一のストリップ材7の長手方向における一部区間により帯状体11が構成され、他のストリップ材7の長手方向における一部区間により帯状体12が構成される。
更に、帯状体11、12は、それらの長手方向における両端部の接合部13において、超音波溶着などにより相互に接合されている。接合部13どうしの接合強度を十分に確保するためには、接合部13の表面には粒子302が付着していないことが好ましい。すなわち、接合部13の表面は、上記の凹凸面となっていないことが好ましい。
【0024】
例えば
図3(c)に示すように、シート材300は、粒子302が両面にそれぞれ付着している第1領域300aと、粒子302が両面の何れにも付着していない第2領域300bと、を当該シート材300の長手方向において交互に備えている。シート材300の長手方向において、各第1領域300aの長さは互いに等しく、各第2領域300bの長さは互いに等しく、第1領域300aの長さは第2領域300bの長さよりも長い。互いに隣り合う第2領域300bどうしの間隔、すなわちシート材300の長手方向において互いに隣り合う第2領域300bどうしの中心間距離Lは、帯状体11、12の長手寸法に等しい。
シート材300の第1領域300aの表面は凹凸面となっており、シート材300の第2領域300bの表面は実質的に凹凸面となっておらず滑らかである。
第2領域300bは、帯状体11、12の接合部13を構成する部分であり、第1領域300aは、帯状体11、12における接合部13以外の部分を構成する部分である。したがって、帯状体11、12において接合部13を除く部分の表面が凹凸面となる。
【0025】
粒子302の粒径は特に限定されない。粒子302の粒径がある程度以上大きい方が、中詰材8の定着力をより向上できる傾向があると考えられるが、粒子302の粒径が大きすぎると、帯状体11、12への粒子302自体の定着力が不足したり、粒子302によって帯状体11、12を損傷してしまったりする可能性がある。粒子302の粒径は、中詰材8の粒径に応じて適宜設定することができる。中詰材8が、砂、砕石、現地発生土などの場合、中詰材8の粒径(例えば平均粒径)が大きいほど、粒子302の粒径を大きくすることが好ましい。一例として、粒子302の平均粒径は、0.1mm以上5mm以下とすることができる。或いは、粒子302の平均粒径は、1mm以上2mm以下とすることもできる。或いは、粒子302の平均粒径は、例えば、中詰材8の平均粒径に対して0.1倍以上2倍以下とすることができる。
【0026】
また、粒子302の形状は、特に限定されず、例えば、球形、楕球形、凸レンズ形などが挙げられる。このうち楕球形や凸レンズ形などの扁平な形状の粒子302の場合には、球形の粒子302と比べて平均粒径を大きくしても良く、平均粒径を例えば1cm以下とすることができる。
【0027】
このような粒子302が帯状体11、12の少なくとも一部分の表面に存在することによって、帯状体11、12の少なくとも一部分の表面が凹凸面とされている。これにより、セル構造体1に対する中詰材8の定着力を良好に向上することができる。
【0028】
粒子302の材料は特に限定されない。粒子302は、無機粒子であっても良いし、金属粒子であっても良いし、有機粒子であっても良い。
無機粒子の例としては、例えば、砂、小石、ガラス粉砕物、砕石等が挙げられる。
金属粒子の例としては、アルミナ粒子等が挙げられる。
有機粒子の例としては、シート本体301を構成する樹脂材料とは異種の樹脂材料からなる粒子、有機シリカ粒子等が挙げられる。
【0029】
次に、
図4を参照して、シート材300を製造する方法の一例を説明する。
図4は第1の実施形態に係るセル集合体2を構成するシート材300の製造に用いられる製造装置の一例を示す模式図である。
【0030】
図4に示す製造装置は、例えば、押出装置410と、冷却ローラー420と、搬送ローラー460、470と、粒子塗布装置430、440と、巻取ローラー450と、を備えている。
【0031】
押出装置410は、例えばTダイ(図示略)を備えて構成され、高密度ポリエチレンなどの溶融した樹脂材料を押し出し成形することによりシート本体301を形成する。
【0032】
冷却ローラー420は、押出装置410から押し出されたシート本体301に係合し、該シート本体301を下流側へ搬送する。冷却ローラー420は、その内部に冷却水が通水されており、該冷却ローラー420に係合するシート本体301を冷却する。
【0033】
粒子塗布装置430は、粒子302が混合された接着剤303(以下、粒子含有接着剤という)を、冷却ローラー420による冷却後のシート本体301の一方の面に塗布する。同様に、粒子塗布装置440は、粒子含有接着剤を、冷却ローラー420による冷却後のシート本体301の他方の面に塗布する。
【0034】
粒子塗布装置430、440により粒子302入りの接着剤303を塗布する手法は特に限定されない。例えば、吹き付けにより塗布しても良いし、粒子含有接着剤を含浸させたローラー又は刷毛等を用いて塗布しても良い。
【0035】
粒子塗布装置430と粒子塗布装置440とは、例えば、搬送ローラー460、470により搬送されるシート本体301を間に挟んで対向して配置されており、互いに同期したタイミングで、粒子含有接着剤をシート本体301に対して間欠的に塗布する。
その結果、シート本体301の長手方向において、粒子含有接着剤が両面にそれぞれ付着している第1領域300aと、粒子含有接着剤が両面の何れにも付着していない第2領域300bと、が交互に形成される。
【0036】
このように、シート本体301の両面に、粒子含有接着剤が間欠的に塗布されることによって、シート材300が形成される。
【0037】
例えば、粒子塗布装置430、440の設置領域の上流側には一対の搬送ローラー460が互いに対向して配置され、この一対の搬送ローラー460により挟持されたシート本体301が下流側に搬送されるようになっている。
同様に、粒子塗布装置430、440の設置領域の下流側には一対の搬送ローラー470が互いに対向して配置され、この一対の搬送ローラー470により挟持されたシート材300が下流側に搬送されるようになっている。
【0038】
なお、接着剤303の粘度を低下させるために、接着剤303には、溶剤が加えられている場合がある。この場合、粒子塗布装置430、440の設置領域と一対の搬送ローラー470の設置領域との間には、接着剤303を乾燥させるための乾燥装置が配置されていても良い。
【0039】
両面の接着剤303が乾燥した後、シート材300は、搬送ローラー470の下流側に配置された巻取ローラー450によって巻き取られる。
【0040】
その後、シート材300をその長手方向において所定の長さに裁断することにより、ストリップ材7が得られる。そして、複数のストリップ材7を各接合部13すなわち第2領域300bにおいて相互に接合することによって、複数のセル構造体1を有するセル集合体2が得られる。ここで、ストリップ材7どうしを第2領域300bにおいて相互に接合することによって、ストリップ材7どうしの接合強度の低下を抑制することができる。
【0041】
次に、
図5を参照して、シート材300を製造する方法の他の一例を説明する。
図5は第1の実施形態に係るセル集合体2を構成するシート材300の製造に用いられる製造装置の他の一例を示す模式図である。
【0042】
図5に示す製造装置は、例えば、押出装置410と、冷却ローラー420と、搬送ローラー460と、接着剤塗布装置510、560と、粒子供給ローラー520、570と、粒子除去装置530、580と、方向転換ローラー540、550と、巻取ローラー450と、を備えている。
【0043】
押出装置410、冷却ローラー420および搬送ローラー460は、
図4に示すものと同様である。
【0044】
接着剤塗布装置510は、冷却ローラー420による冷却後のシート本体301の一方の面に接着剤303を塗布する。
接着剤塗布装置510により接着剤303を塗布する手法は特に限定されない。例えば、吹き付けにより塗布しても良いし、接着剤303を含浸させたローラー又は刷毛等を用いて塗布しても良い。
【0045】
接着剤塗布装置510は、接着剤303をシート本体301の一方の面に対して間欠的に塗布する。その結果、シート本体301の長手方向において、接着剤303が付着している領域と、接着剤303が付着していない領域と、が交互に形成される。すなわち接着剤塗布装置510は、第1領域300aと対応する領域にのみ選択的に接着剤303を塗布し、第2領域300bと対応する領域には接着剤303を塗布しない。
【0046】
粒子供給ローラー520は接着剤塗布装置510の下流側に配置されている。製造装置は、少なくとも粒子供給ローラー520の配置領域では、接着剤塗布装置510によって接着剤303が塗布された面が上向きの状態で、シート本体301を搬送する。
【0047】
粒子供給ローラー520は、搬送されるシート本体301の上方に配置されており、シート本体301において接着剤塗布装置510により接着剤303が塗布された面上に、粒子302を供給して付着させる。すなわち、シート本体301上に粒子302が供給されることにより、該粒子302はシート本体301の一方の面に対し接着剤303を介して接着される。
【0048】
図6は粒子供給ローラー520を示す斜視図である。
【0049】
図6に示すように、粒子供給ローラー520は、円筒状に形成され、その内部に粒子302を貯留している。粒子供給ローラー520の周面には、多数の排出孔521が形成されている。粒子供給ローラー520は、図示しない回転駆動装置により当該粒子供給ローラー520の軸周りに回転駆動されるようになっている。粒子供給ローラー520がその軸周りに回転駆動されるのに伴い、粒子供給ローラー520内の粒子302は、排出孔521を介して粒子供給ローラー520の外部に排出されて、該粒子302がシート本体301上に供給される。
【0050】
粒子除去装置530は粒子供給ローラー520の下流側に配置されている。粒子除去装置530は、例えばエアブロー装置などであり、シート本体301の一方の面において、接着剤303が塗布されていない領域上の粒子302をシート本体301上から除去する。
【0051】
なお、接着剤303の粘度を低下させるために、接着剤303に溶剤が加えられている場合、粒子供給ローラー520の設置領域と粒子除去装置530の設置領域との間には、接着剤303を乾燥させるための乾燥装置が配置されていても良い。
【0052】
シート本体301は、複数の方向転換ローラー540、550によって、上下反転させられる。例えば、粒子除去装置530の下流側に配置された方向転換ローラー540によって、シート本体301の搬送方向が水平方向における第1の方向から鉛直下向きに変換され、方向転換ローラー540の下流側に配置された方向転換ローラー550によって、シート本体301の搬送方向が鉛直下向きから第1の方向に対する反対方向である第2の方向に変換される。
【0053】
接着剤塗布装置560は、接着剤塗布装置510と同様のものであり、方向転換ローラー550の下流側に配置されている。接着剤塗布装置560は、接着剤303をシート本体301の他方の面に対して間欠的に塗布する。ここで、接着剤塗布装置560は、接着剤塗布装置510により接着剤303が塗布された領域(つまり第1領域300aと対応する領域)の裏面に接着剤303を塗布し、接着剤塗布装置510により接着剤303が塗布されていない領域(つまり第2領域300bと対応する領域)の裏面には接着剤303を塗布しない。
【0054】
粒子供給ローラー570は、粒子供給ローラー520と同様のものであり、接着剤塗布装置560の下流側に配置されている。製造装置は、少なくとも粒子供給ローラー570の配置領域では、接着剤塗布装置560によって接着剤303が塗布された面が上向きの状態で、シート本体301を搬送する。
【0055】
粒子供給ローラー570は、搬送されるシート本体301の上方に配置されており、シート本体301において接着剤塗布装置560により接着剤303が塗布された面上に、粒子302を供給して付着させる。
【0056】
粒子除去装置580は、粒子除去装置530と同様のものであり、粒子供給ローラー570の下流側に配置されている。粒子除去装置580は、シート本体301の他方の面において、接着剤303が塗布されていない領域上の粒子302をシート本体301上から除去する。
【0057】
なお、接着剤303の粘度を低下させるために、接着剤303に溶剤が加えられている場合、粒子供給ローラー570の設置領域と粒子除去装置580の設置領域との間には、接着剤303を乾燥させるための乾燥装置が配置されていても良い。
【0058】
このように、シート本体301の両面に、接着剤303を介して粒子302が接着されることによって、シート材300が形成される。
【0059】
シート材300は、粒子除去装置580の下流側に配置された巻取ローラー450によって巻き取られる。
【0060】
なお、シート本体301上に粒子302を供給する方法としては、上記の粒子供給ローラー520、570を用いる方法に限らず、粒子302を吹き付けて供給する方法を採用しても良い。
【0061】
次に、本実施形態に係るセル集合体の施工方法および本実施形態に係るセル集合体の施工構造を説明する。
本実施形態に係るセル集合体の施工方法は、本実施形態に係るセル集合体2を配置する工程と、セル集合体2の複数のセル構造体1内に中詰材8を充填する工程と、を備える。
また、本実施形態に係るセル集合体の施工構造は、本実施形態に係るセル集合体2と、セル集合体2の複数のセル構造体1内に充填された中詰材8と、を備える。
セル集合体2は、例えば、地盤に沿って配置される。
ここで、粒子302の粒径と中詰材8の粒径は、それぞれ特に限定されないが、上記のように、粒子302の粒径は、中詰材8の粒径に応じて適宜設定することができる。上記のように、粒子302の平均粒径は、例えば、中詰材8の平均粒径の0.1倍以上2倍以下とすることができる。
【0062】
以下、本実施形態に係るセル集合体の施工方法および本実施形態に係るセル集合体の施工構造の例として、第1乃至第5施工例を説明する。
【0063】
<第1施工例>
図13は第1施工例により傾斜面3上にセル集合体2を施工した状態を示す図であり、このうち(a)は断面図、(b)は斜視図である。第1施工例では、複数のセル集合体2を連結することにより、地盤としての傾斜面3の保護や緑化などを行う。
【0064】
傾斜面3としては、切土、盛土、既設盛土、自然斜面、造成地面(切土のり面、盛土のり面、既設盛土のり面、道路のり面、工業団地等の造成地面上の傾斜面、河川堤防、海岸堤防、ため池堤体面、鉄道のり面)、崩壊跡地、急傾斜地等が挙げられる。
【0065】
以下、第1施工例の施工手順を説明する。
【0066】
先ず、複数のセル集合体2を展張し、これらセル集合体2を傾斜面3上に並べて配置する。なお、傾斜面3の上端に連なる平坦面(水平面)である上側平坦面4上や、傾斜面3の下端に連なる平坦面(水平面)である下側平坦面5上にも、セル構造体1を敷設しても良い。
このとき、傾斜面3上のセル構造体1は、一対の帯状体11、12が傾斜面3に対して起立し、一対の帯状体11、12の間に形成される空間が傾斜面3側(斜め下方)およびその反対側(斜め上方)に開口した姿勢で、傾斜面3上に配置される。上側平坦面4上および下側平坦面5上にもセル構造体1を敷設する場合、それらセル構造体1は、一対の帯状体11、12が上側平坦面4および下側平坦面5に対して起立するように配置される。
【0067】
次に、セル集合体2の端部(
図1、
図2の矢印B方向における端部)に位置するセル構造体1の各々と、隣のセル集合体2の対応するセル構造体1と、を個別に相互に連結する。
【0068】
セル構造体1どうしを相互に連結する手法は、特に限定しない。ただし、土中での腐食が抑制されるように、樹脂製の連結具、或いは、樹脂を含む複合材料からなる連結具を用いてセル構造体1どうしを相互に連結することが好ましい。このような連結具の好適な例としては、セル構造体1どうしを結束することによって連結する結束バンド、又は紐状体などが挙げられる。紐状体としては、合成繊維の撚り線、または合成繊維と金属細線との撚り線などが挙げられる。なお、セル構造体1どうしの連結は、エアーステープラーを用いて行っても良い。エアーステープラーとは、コンプレッサーを用いたエア駆動式のステープラーであり、門型の連結金具であるステープルを高圧空気によって連結部位に打ち込むものである。
【0069】
なお、隣り合うセル集合体2どうしを連結することにより、これらセル集合体2どうしの継ぎ目6の位置にもセル構造体1が形成される(
図13(b)参照)。
【0070】
隣り合うセル集合体2のセル構造体1どうしをすべて連結し終えたら、各セル構造体1内に、砂、砕石、現地発生土、コンクリート又はモルタル等の中詰材8を充填して締め固めを行う。
【0071】
その後、必要に応じて、セル構造体1を貫通させてアンカーピン25を傾斜面3の地盤に打ち込むことにより、セル構造体1を傾斜面3に固定する。なお、セル構造体1の表面をシート材(図示略)により被覆しても良い。このシート材は、透水性のものであることが好ましい。透水性のシート材としては、不織布等からなるもの、又は、網目構造のものが挙げられる。シート材を設ける場合、シート材およびセル構造体1を貫通するようにアンカーピン25を打ち込むと良い。また、必要に応じて、傾斜面3の上端部に位置するセル集合体2をワイヤー26とアンカー27とを用いて地盤に固定しても良い。
【0072】
<第2施工例>
図14は第2施工例を示す図であり、このうち(a)は構造物基礎70の上に構造物80を設置した状態を示す斜視図であり、(b)は構造物基礎70の斜視図である。第2施工例では、複数のセル集合体2を水平方向に連結することにより構造物基礎70を施工する。
【0073】
構造物基礎70は、その上に設置される構造物80の基礎である。
図14(b)に示すように、平坦な地盤71上に構造物基礎70が敷設される。
図14(a)に示すように、構造物基礎70の上には、構造物80が設置される。なお、構造物基礎70の上に構造物80を直接設置しても良いし、構造物基礎70の上に均しコンクリート72を形成し、その均しコンクリート72の上に構造物80を設置しても良い。構造物80は、例えば、複数のコンクリートブロック81を相互に連結したものである。地盤71と構造物基礎70との間には、必要に応じて、シート材73を配置しても良い。このシート材は73、透水性のものであることが好ましい。透水性のシート材73としては、不織布等からなるもの、又は、網目構造のものが挙げられる。
【0074】
構造物基礎70は、例えば、セル集合体2を地盤71上に1層に並べて配置することにより構成されている。設置される構造物80の寸法に応じて、必要数のセル集合体2が水平方向に並べて配置され、これらセル集合体2が相互に連結されている。なお、水平方向にて隣り合うセル集合体2どうしを連結することにより、これらセル集合体2どうしの継ぎ目6の位置にもセル構造体1が形成される。
【0075】
各セル集合体2のセル構造体1内には中詰材8が充填されている。中詰材8は、砂、砕石、現地発生土、コンクリート又はモルタル等などである。
【0076】
なお、必要に応じて、構造物基礎70を複数層に積層しても良い。この場合、隣り合う層の構造物基礎70どうしの間に上記のシート材73を配置しても良い。
【0077】
以下、第2施工例の施工手順を説明する。
【0078】
先ず、地盤71上において、構造物80が設置される領域に、必要数のセル集合体2を並べて配置する。ここで、各セル集合体2の各セル構造体1の一対の帯状体11、12の間に形成される空間が、上下方向にそれぞれ開口した姿勢となるように、複数のセル集合体2を配置する。なお、構造物基礎70の下にシート材73を配置する場合、地盤71上にシート材73を敷いた後で、セル集合体2をシート材73の上に配置する。
【0079】
次に、隣り合うセル集合体2の端部に位置するセル構造体1のうち、互いに対応するセル構造体1どうしを相互に連結する。セル集合体2をすべて連結したら、各セル集合体2のセル構造体1内に砂、砕石、現地発生土、コンクリート又はモルタル等の中詰材8を充填し、中詰材8の締め固めを行う。
【0080】
次に、図示しない型枠を用いて、セル集合体2および中詰材8の上に均しコンクリート72を平坦に形成する。なお、構造物基礎70の上にシート材73を配置する場合、構造物基礎70の上にシート材73を敷いた後で、シート材73の上に均しコンクリート72を形成する。その後、型枠を撤去する。これにより、構造物基礎70が形成される。
【0081】
その後、均しコンクリート72の上に複数のコンクリートブロック81を並べて設置し、これらコンクリートブロック81を、金具等を用いて相互に連結することにより、構造物基礎70の上に構造物80が設置される。
【0082】
<第3施工例>
図15(a)および(b)は第3施工例の一連の工程を示す斜視図である。第3施工例では、複数のセル集合体2を連結することにより路盤90を施工する。
【0083】
先ず、
図15(a)に示すように、地盤91上に、複数のセル集合体2を並べて配置する。複数のセル集合体2は、敷設される道路95(
図15(b))の経路に沿って配置する。ここで、上記の矢印B方向が道路95の経路に沿った方向となるように、セル集合体2を配置する(
図15(a))。なお、セル集合体2の下(つまり路盤90の下)には上記と同様のシート材73を配置しても良い。
【0084】
次に、これらセル集合体2のうち、互いに隣り合うセル集合体2どうしを連結する。
【0085】
次に、セル集合体2の各セル構造体1内に、砂、砕石、現地発生土、コンクリート又はモルタル等の中詰材8を充填して締め固めを行う。これにより、路盤90が形成される(
図15(b))。なお、路盤90の周囲(路側)には、現地発生土又は砕石等の路側材93を路盤90と同等の高さまで地盤91上に敷き詰めて、路側材93を締め固める。これにより、
図15(b)に示すように、路盤90が路側材93に埋設された状態となる。路盤90の上には、必要に応じて、アスファルトなどの舗装路面のような道路表層(図示略)を敷設しても良い。
【0086】
<第4施工例>
図16(a)および
図16(b)は第4施工例を示す断面図である。第4施工例では、複数のセル集合体2を連結することにより鉄道路盤210を施工する。
【0087】
先ず、地盤201上に複数のセル集合体2を並べて配置する(
図16(a)の紙面に直交する方向(奥向き)に並べる)。複数のセル集合体2は、敷設されるレール207の経路に沿って配置する。ここで、上記の矢印B方向がレール207の経路に沿った方向となるように、セル集合体2を配置する。
【0088】
図16(a)の例では、セル集合体2どうしを連結した後、各セル構造体1内に中詰材8としてバラスト等の骨材202を充填し、骨材202を締め固める。
【0089】
次に、セル集合体2の上に、型枠203を重ねて配置する。型枠203は、不織布等からなり、浅い箱形状に形成されている。
【0090】
次に、型枠203の上から骨材202を撒くことにより、型枠203内に骨材202を充填し、骨材202を締め固める。なお、型枠203内に骨材202を充填する際に、セル集合体2および型枠203の両側にも骨材202を敷き詰め、その後、その骨材202も締め固める。
【0091】
次に、型枠203の上に枕木205を配置する。更に、枕木205の周囲にも骨材202を撒いて、この骨材202を締め固める。こうして、鉄道路盤210が敷設される。なお、この段階での鉄道路盤210は、途中段階のものである。
【0092】
次に、枕木205の上に一対のレール207を敷設する。その後、レール207上に鉄道車両を所定期間走行させ、全体の骨材202の締め固めを行う。
【0093】
次に、型枠203の上方から流動状態の充填材204を流し込む。この充填材204は、例えば、コンクリート、モルタル、またはアスファルト等である。充填材204は、型枠203内の骨材202どうしの間隙に充填される。次に、この充填材204を硬化させる。
【0094】
こうして、鉄道路盤210が完成する。
【0095】
ここで、
図16(a)の例では、鉄道路盤210は、型枠203内に骨材202と充填材204が充填されることにより構成された補強版220を備えることにより、強固な構造となっている。
【0096】
一方、
図16(b)に示すように、補強版220を省略した形態の鉄道路盤210を敷設しても良い。
図16(b)の例の場合、セル集合体2どうしを連結した後、セル集合体2の上から、バラスト等の骨材202を撒くことにより、各セル構造体1内に中詰材8としての骨材202を充填するとともに、セル集合体2および型枠203の両側にも骨材202を敷き詰める。その後、骨材202を締め固める。こうして、鉄道路盤210が敷設される。その後、鉄道路盤210の上に枕木205を配置する。次に、枕木205の周囲にバラスト206を撒いて、該バラスト206を締め固めた後、枕木205の上に一対のレール207を敷設する。
【0097】
なお、
図16(a)および(b)に図示した例では、セル集合体2の各セル構造体1内には、バラスト等の骨材202のみを充填している。ただし、図示は省略するが、セル集合体2の各セル構造体1内の骨材202の間隙には、コンクリート又はモルタル等を充填しても良い。また、セル集合体2の各セル構造体1内には、骨材202を充填せず、コンクリート又はモルタル等の中詰材8を充填しても良い。
【0098】
<第5施工例>
図17は第5施工例を示す断面図である。第5施工例では、複数の段構造体51からなる擁壁50を構築する。各段の段構造体51は、複数のセル集合体2を連結することにより構成される。
【0099】
擁壁50は、例えば、傾斜面3に沿って配置されて、該傾斜面3を保護(補強)する。傾斜面3としては、切土、盛土、既設盛土、自然斜面、造成地面(切土のり面、盛土のり面、既設盛土のり面、道路のり面、工業団地等の造成地面上の傾斜面、河川堤防、海岸堤防、ため池堤体面、鉄道のり面)、崩壊跡地、急傾斜地等が挙げられる。
【0100】
各段の段構造体51を構成する各セル集合体2の各セル構造体1内には、砂、砕石、現地発生土、コンクリート又はモルタル等の中詰材8を充填する。
【0101】
擁壁50内には、必要に応じて、補強のための棒状連結材(鋼線、鋼撚り線、鉄筋等の鋼棒、FRP(Fiber Reinforced Plastics)ロッドなど)62を挿入しても良い。棒状連結材62は、各セル構造体1のセル形状の保持、および、隣り合う段の段構造体51どうしの一体性の向上に寄与する。
【0102】
擁壁50は、土のう63を有していても良い。土のう63は、例えば、擁壁50の最上段の段構造体51の上に設けられ、アンカーピン64によって段構造体51に固定されている。土のう63の設置後、その背面側の段構造体51上および上側平坦面4上に充填材5aを充填して擁壁50の天端部を形成する。土のう63を設けることにより、擁壁50の天端を流れた雨水等の水が天端における法面側端部から法面部を伝って流下する際に擁壁50上部の段構造体51の中詰材8が流出してしまうことを抑制することができる。また、積雪が擁壁50の天端における法面側端部から滑り落ちる際の段構造体51のめくれを抑制できる。土のう63としては、緑化のための植生土のう、または、透水性を有する袋に中詰材として砕石を詰めることにより構成されたもの、などが挙げられる。
【0103】
擁壁50の安定化のために、例えば、擁壁50の下部は、地盤に形成された溝61内に埋設する。具体的には、例えば、擁壁50の最下段の段構造体51を溝61に埋設する。溝61の側壁によって、最下段の段構造体51の側面を支えることができる。
【0104】
以上のような第1の実施形態によれば、セル集合体2の各セル構造体1を構成する帯状体11、12の少なくとも一部分の表面に複数の粒子302が配置されていることによって、帯状体11、12の少なくとも一部分の表面が凹凸面とされている。これにより、セル構造体1に対する中詰材8の定着力を向上することが可能である。中詰材8の定着力が向上する理由としては、以下の理由が挙げられる。
1)セル構造体1の表面が凹凸面となることによって、セル構造体1の表面が平坦な場合と比べてその表面積が増大し、中詰材8とセル構造体1との接合力が増大すること。
2)セル構造体1の表面の凹凸によって垂直方向における中詰材8の支持力が向上し、中詰材8の沈下が抑制されること。なお、中詰材8の粒子のうち、セル構造体1の表面に接している粒子の沈下が抑制される結果、それに隣接する粒子の沈下も抑制され、ひいてはセル構造体1内の多くの中詰材8の沈下が抑制される。
3)セル構造体1の表面の粒子302と、土やコンクリート等の中詰材8と、が同等の材質である場合に、セル構造体1の表面と中詰材8との親和性が得られ、中詰材8とセル構造体1との一体性および接合力が向上すること。例えば、粒子302としてコンクリート又はモルタルに混入される骨材と同等のもの(砂等)を選択した場合などが該当する。
【0105】
また、帯状体11、12は、その両面に粒子302が配置されていることにより、両面に凹凸面が形成されている。よって、帯状体11、12の両面について、中詰材8の定着力を向上することが可能である。
【0106】
また、帯状体11、12において接合部13を除く部分に凹凸面が形成されているので、超音波溶着などにより接合された接合部13の接合強度の低下を抑制することができる。
【0107】
また、粒子302は、帯状体11、12の表面に接着固定されている。このため、シート本体301の押し出し成形後に粒子302を接着固定することによって、帯状体11、12を構成するシート材300を容易に作製することができる。
【0108】
〔第2の実施形態〕
図7は第2の実施形態に係るセル集合体2を構成するシート材300を示す断面図である。本実施形態に係るセル集合体2は、以下に説明する点で、上記の第1の実施形態に係るセル集合体2と相違し、その他の点では、上記の第1の実施形態に係るセル集合体2と同様に構成されている。
【0109】
本実施形態の場合、粒子302は、当該粒子302の一部分がシート材300の表面に露出する状態で、シート材300の表層に埋め込まれている。すなわち、粒子302は、当該粒子302の一部分が帯状体11、12の表面に露出する状態で、帯状体11、12の表層に埋め込まれている。
【0110】
シート材300は、粒子302が両面にそれぞれ付着している(埋め込まれている)第1領域300aと、粒子302が両面の何れにも付着していない(埋め込まれていない)第2領域300bと、を当該シート材300の長手方向において交互に備えている。第1領域300aおよび第2領域300bの範囲は上記の第1の実施形態と同様である。
【0111】
次に、
図8を参照して、シート材300を製造する方法の一例を説明する。
図8は第2の実施形態に係るセル集合体2を構成するシート材300の製造に用いられる製造装置の一例を示す模式図である。
【0112】
図8に示す製造装置は、例えば、押出装置410と、搬送ローラー460と、粒子塗布装置430、440と、押圧ローラー630、640と、冷却ローラー420と、巻取ローラー450と、を備えている。
【0113】
押出装置410、搬送ローラー460、粒子塗布装置430、440、冷却ローラー420および巻取ローラー450は、
図4に示すものと同様である。
【0114】
搬送ローラー460は、押出装置410により押し出し成形されたシート本体301を下流側へ搬送する。
【0115】
粒子塗布装置430は、粒子含有接着剤をシート本体301の一方の面に塗布し、粒子塗布装置440は、粒子含有接着剤をシート本体301の他方の面に塗布する。
粒子塗布装置430と粒子塗布装置440とは、例えば、搬送されるシート本体301を間に挟んで対向して配置されており、互いに同期したタイミングで、粒子含有接着剤をシート本体301に対して間欠的に塗布する。
その結果、シート本体301の長手方向において、粒子含有接着剤が両面にそれぞれ付着している第1領域300aと、粒子含有接着剤が両面の何れにも付着していない第2領域300bと、が交互に形成される。
【0116】
押圧ローラー630、640は、互いに対向して配置されている。押圧ローラー630、640は、それらの間にシート本体301を挟持するとともに、図示しない回転駆動装置によって、シート本体301を下流側へ搬送する方向に回転駆動される。
【0117】
シート本体301の表面に付着している粒子302は、シート本体301が押圧ローラー630、640の間を通過する際に、シート本体301の両面側からシート本体301の内部へ向けて、押圧ローラー630、640によって押し込まれる。これにより、
図7に示すように、第1領域300aに付着した粒子302は、一部分がシート本体301から露出した状態となるように、シート本体301内に埋め込まれる。
【0118】
ここで、本実施形態の場合、シート本体301は、押圧ローラー630、640を通過するまで冷却ローラー420によって冷却されない。このため、シート本体301は、押圧ローラー630、640を通過する段階では、まだ完全には硬化しておらず、粒子302を容易にシート本体301内に埋め込むことができる。
【0119】
冷却ローラー420は、押圧ローラー630、640を通過した後のシート本体301に係合し、該シート本体301を冷却しながら下流側へ搬送する。こうして、シート材300が形成される。
【0120】
シート材300は、冷却ローラー420の下流側に配置された巻取ローラー450によって巻き取られる。
【0121】
本実施形態においても、施工例については上記の第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0122】
以上の第2の実施形態によっても、上記の第1の実施形態と同様の効果が得られる。また、粒子302は、粒子302の一部分が帯状体11、12の表面に露出する状態で、帯状体11、12の表層に埋め込まれているので、帯状体11、12から粒子302が脱落しにくい構造とすることができる。
【0123】
〔第3の実施形態〕
図9は第3の実施形態に係るセル集合体2を構成するシート材300を示す断面図である。本実施形態に係るセル集合体2は、以下に説明する点で、上記の第1の実施形態に係るセル集合体2と相違し、その他の点では、上記の第1の実施形態に係るセル集合体2と同様に構成されている。
【0124】
本実施形態の場合、シート材300は、粒子302を含有しており、一部の粒子302の一部分がシート材300の表面に露出している。すなわち、帯状体11、12は、粒子302を含有しており、一部の粒子302の一部分が帯状体11、12の表面に露出している。
【0125】
ここで、シート材300において、上記の第1の実施形態における第1領域300aに相当する領域は、第3領域300cであり、上記の第1の実施形態における第2領域300bに相当する領域は、第4領域300dであるものとする。
第3領域300cにおいては、粒子302の一部分が帯状体11、12の表面に露出しているが、第4領域300dにおいては、粒子302が帯状体11、12の内部に埋設されており、実質的に露出していない。
【0126】
次に、
図10を参照して、シート材300を製造する方法の一例を説明する。
図10は第3の実施形態に係るセル集合体2を構成するシート材300の製造に用いられる製造装置の一例を示す模式図である。
【0127】
図10に示す製造装置は、例えば、押出装置410と、冷却ローラー420と、搬送ローラー460、470と、粒子露出装置710、720と、巻取ローラー450と、を備えている。
【0128】
押出装置410、冷却ローラー420、搬送ローラー460、470および巻取ローラー450は、
図4に示すものと同様である。
【0129】
本実施形態の場合、押出装置410は、予め粒子302が混合され、且つ溶融された溶融樹脂を押し出し成形することによってシート材300を形成する。
【0130】
冷却ローラー420は、押出装置410から押し出されたシート材300に係合し、該シート本体301を下流側へ搬送しながら冷却する。
【0131】
粒子露出装置710は、例えばサンドブラスト装置であり、冷却ローラー420による冷却後のシート材300の一方の面に研磨剤を吹き付けることによって、シート材300のシート本体301の表層を削り取る。これにより、一部の粒子302の一部分がシート本体301の一方の面の表面に露出した状態となる(
図9参照)。
【0132】
粒子露出装置720は、粒子露出装置710と同様のものであり、冷却ローラー420による冷却後のシート材300の他方の面に研磨剤を吹き付けることによって、シート材300のシート本体301の表層を削り取る。これにより、一部の粒子302の一部分がシート本体301の他方の面の表面に露出した状態となる(
図9参照)。
【0133】
こうして、結果的に、一部の粒子302は、その一部分が帯状体11、12の表面に露出する状態で、帯状体11、12に埋め込まれた状態となる。
【0134】
粒子露出装置710と粒子露出装置720とは、例えば、搬送ローラー460、470により搬送されるシート材300を間に挟んで対向して配置されており、互いに同期したタイミングで、間欠的に、シート本体301の表層を削り取る。
その結果、シート材300の長手方向において、粒子302が表面に露出している第3領域300cと、粒子302が実質的に表面に露出していない第4領域300dと、が交互に形成される(
図9参照)。
【0135】
なお、粒子露出装置710、720は、サンドブラスト装置に限らない。粒子露出装置710、720は、例えば、ガス又は液体を高圧で吹き付けることによってシート本体301の表層を削り取るものであっても良い。
【0136】
例えば、粒子露出装置710、720の設置領域の上流側には一対の搬送ローラー460が互いに対向して配置され、この一対の搬送ローラー460により挟持されたシート本体301が下流側に搬送されるようになっている。
同様に、粒子露出装置710、720の設置領域の下流側には一対の搬送ローラー470が互いに対向して配置され、この一対の搬送ローラー470により挟持されたシート材300が下流側に搬送されるようになっている。
【0137】
巻取ローラー450は、例えば搬送ローラー470の下流側に配置され、シート材300を巻き取る。
【0138】
本実施形態においても、施工例については上記の第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0139】
以上の第3の実施形態によっても、上記の第1の実施形態と同様の効果が得られる。また、粒子302は、その一部分が帯状体11、12の表面に露出する状態で、帯状体11、12に埋め込まれているので、帯状体11、12から粒子302が脱落しにくい構造とすることができる。
【0140】
〔第4の実施形態〕
図11は第4の実施形態に係るセル集合体2を構成するシート材300を示す断面図である。本実施形態に係るセル集合体2は、以下に説明する点で、上記の第2の実施形態に係るセル集合体2と相違し、その他の点では、上記の第2の実施形態に係るセル集合体2と同様に構成されている。
【0141】
本実施形態の場合、シート材300の表面に接着剤303が付着していない。すなわち、帯状体11、12の表面に接着剤303が付着していない。
粒子302は、シート材300の表層に埋め込まれることによって、シート材300に定着している。
【0142】
次に、
図12を参照して、シート材300を製造する方法の一例を説明する。
図12は第4の実施形態に係るセル集合体2を構成するシート材300の製造に用いられる製造装置の一例を示す模式図である。
【0143】
図12に示す製造装置は、例えば、押出装置410と、冷却ローラー420と、搬送ローラー460と、加熱装置810、830と、粒子供給ローラー520、570と、押圧ローラー840、850、860、870と、方向転換ローラー540、550と、巻取ローラー450と、を備えている。
【0144】
押出装置410、冷却ローラー420および搬送ローラー460は、
図4に示すものと同様である。
【0145】
加熱装置810は、搬送ローラー460の下流側に配置されている。加熱装置810は、搬送ローラー460により下流側に搬送されたシート本体301を加熱して、少なくともシート本体301の一方の面(加熱装置810の配置領域におけるシート本体301の上面)側の表層を軟化させる。
【0146】
粒子供給ローラー520は、加熱装置810の下流側において、搬送されるシート本体301の上方に配置されている。粒子供給ローラー520は、シート本体301の軟化した上面に粒子302を供給する。
【0147】
ここで、本実施形態における粒子供給ローラー520は、その全周に亘って排出孔521が形成されているのではなく、周方向における一部の領域には排出孔521が形成されていない点で、
図5および
図6の粒子供給ローラー520と相違する。
粒子供給ローラー520の回転速度は、シート本体301の搬送速度と同期制御される。すなわち、シート本体301が上記中心間距離Lだけ搬送される間に、粒子供給ローラー520が軸周りに一回転するようになっている。これにより、シート本体301において第1領域300aと対応する領域の上面には粒子302が供給されるが、第2領域300bと対応する領域の上面には粒子302が供給されないようになっている。すなわち、粒子供給ローラー520は、シート本体301の上面に対し、間欠的に粒子302を供給する。
【0148】
押圧ローラー840、850は、粒子供給ローラー520の下流側において、互いに対向して配置されている。押圧ローラー840、850は、それらの間にシート本体301を挟持するとともに、図示しない回転駆動装置によって、シート本体301を下流側へ搬送する方向に回転駆動される。
粒子供給ローラー520によってシート本体301の表面に供給された粒子302は、シート本体301が押圧ローラー840、850の間を通過する際に、シート本体301の上面側からシート本体301の内部へ向けて、押圧ローラー840によって押し込まれる。これにより、第1領域300aと対応する領域に供給された粒子302は、一部分がシート本体301から露出した状態となるように、シート本体301内に埋め込まれる。
なお、押圧ローラー840、850は、内部にヒータを備えていて、シート本体301を加熱しながら、シート本体301に粒子302を押し込むように構成されていても良い。
【0149】
方向転換ローラー540、550は、
図5に示すものと同様であり、シート本体301を上下反転させる。
【0150】
加熱装置830は、加熱装置810と同様のものであり、方向転換ローラー550の下流側に配置されている。加熱装置830は、方向転換ローラー550の下流側に搬送されたシート本体301を加熱して、少なくともシート本体301の一方の面(加熱装置830の配置領域におけるシート本体301の上面)側の表層を軟化させる。
【0151】
粒子供給ローラー570は、粒子供給ローラー520と同様のものであり、加熱装置830の下流側において、搬送されるシート本体301の上方に配置されている。粒子供給ローラー570は、シート本体301の軟化した上面に対し、間欠的に粒子302を供給する。ここで、粒子供給ローラー570は、粒子供給ローラー520により粒子302が供給された領域(つまり第1領域300aと対応する領域)の裏面に粒子302を供給し、粒子供給ローラー570により粒子302が供給されていない領域(つまり第2領域300bと対応する領域)の裏面には粒子302を供給しない。
【0152】
押圧ローラー860、870は、押圧ローラー840、850と同様のものであり、粒子供給ローラー570の下流側において、互いに対向して配置されている。押圧ローラー860、870は、それらの間にシート本体301を挟持するとともに、図示しない回転駆動装置によって、シート本体301を下流側へ搬送する方向に回転駆動される。
粒子供給ローラー570によってシート本体301の表面に供給された粒子302は、シート本体301が押圧ローラー860、870の間を通過する際に、シート本体301の上面側からシート本体301の内部へ向けて、押圧ローラー840によって押し込まれる。これにより、第1領域300aと対応する領域に供給された粒子302は、一部分がシート本体301から露出した状態となるように、シート本体301内に埋め込まれる。
【0153】
こうして、第1領域300aの両面にそれぞれ多数の粒子302が埋め込まれたシート材300が形成される。
【0154】
シート材300は、押圧ローラー860、870の下流側に配置された巻取ローラー450によって巻き取られる。
【0155】
なお、
図12を参照した製法例では、冷却ローラー420による冷却後のシート本体301を再度軟化させて、シート本体301に粒子302を埋め込む例を説明したが、押出装置410による押出後、冷却される前の軟化点以上の温度のシート本体301に粒子302を埋め込んでも良い。
シート本体301に粒子302を埋め込む手法は、上記のように押圧ローラーにより押し込む手法に限らない。例えば、粒子302を吹き付けることによって埋め込んでも良い。すなわち、シート本体301の両面側に配置された吹付装置(図示略)から粒子302を高速で吹き付けることによって、シート本体301の表層に粒子302を埋め込むことができる。粒子302の吹き付け動作を間欠的に行うことにより、第1領域300aに選択的に粒子302を埋め込むことができる。
【0156】
本実施形態においても、施工例については上記の第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0157】
以上の第4の実施形態によっても、上記の第1の実施形態と同様の効果が得られる。また、粒子302は、粒子302の一部分が帯状体11、12の表面に露出する状態で、帯状体11、12の表層に埋め込まれているので、帯状体11、12から粒子302が脱落しにくい構造とすることができる。また、本実施形態では、加熱により軟化したシート本体301に粒子302を埋め込むため、接着剤303を用いる必要がない。
【0158】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0159】
例えば、粒子302は、モルタル・コンクリートとの親和性が高い炭素繊維やガラス繊維等の繊維を細かく(例えば1mm以上2mm以下程度の長さに)粉砕又は裁断したものであっても良い。このような粒子302をシート材300に混入させるか又はシート材300の表面に付着させることによって、セル構造体1とモルタル又はコンクリートからなる中詰材8との接合力を向上することができる。