(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、液晶モジュールの前面にタッチパネルが取り付けられた表示装置がある。
図9に示す従来の表示装置100は、液晶モジュール108の前に一定間隔でタッチパネル102が配置されている。タッチパネル102をタッチすることで、液晶モジュール108に表示されたボタンなどを選択することができる。
【0003】
タッチパネル102は、カバーフィルム104および電極の形成された電極フィルム106を備える。電極フィルム106は2枚であり、一の電極フィルム106がX方向、他の電極フィルム106がY方向を検出するための電極が形成されている。電極フィルム106はカバーフィルム104に接着層(図示せず)で取り付けられる。
【0004】
液晶モジュール108は、液晶パネル110の裏面および縁がベゼル112で保持され、ベゼル112が筐体114に取り付けられている。点線Aよりもベゼル112側が非表示領域116であり、反対側が表示領域118である。熱膨張などを考慮して、ベゼル112は液晶パネル110の表示面を押さえつけず、空間120を開けて液晶パネル110の縁を保持している。また筐体114の周縁では、ブラケット122を介してタッチパネル102が取り付けられている。
【0005】
液晶パネル110とベゼル112との間の空間120で発生したゴミが液晶パネル110の表示領域118まで移動すると、表示の見栄えを損なう。タッチパネル102を取り付ける前に、エアを吹き付けて掃除されているが、完全に防ぐことは難しい。
【0006】
特許文献1に液晶モジュール108の周縁を弾性材の枠体で囲むことが開示されている。しかし、液晶モジュール108の周縁を囲んでしまっても、枠体の内側に液晶パネル110とベゼル112との間の空間120があり、ゴミが入ることを防止できない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、液晶パネルなどの表示手段とタッチパネルとの間にゴミが入り込まない表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の表示装置は、タッチパネルと、前記タッチパネルに対して所定間隔離れて配置される表示手段と、前記表示手段を保持するベゼルと、前記表示手段の表示領域とベゼルとの間において、タッチパネルと表示手段の間に設けられた異物侵入防止部材とを備える。
【0010】
タッチパネルと表示手段とが一定間隔で離れて配置された空間において、異物侵入防止部材によって、ベゼルから発生するゴミが表示手段の表示領域にまで侵入することを防止する。
【0011】
前記タッチパネルの一面が表示手段に対向しており、前記表示手段の表示領域とベゼルとの間において、タッチパネルの一面が表示手段に向けて突出する凸部を形成するための段差を有する。突出部によって、タッチパネルと表示手段との距離を調整する。
【0012】
前記異物侵入防止部材は、タッチパネルの凸部と表示手段の間に配置される。凸部によって、タッチパネルと表示手段との距離が近づくため、侵入路が狭くなり、また異物侵入防止部材の厚みを薄くできる。
【0013】
また、前記異物侵入防止部材が、ベゼルと表示手段とによって形成される空間の開口をふさぐように配置されても良い。ベゼルと表示手段とによって形成される空間の開口を直接塞ぐように異物侵入防止部材を配置するため、より確実にベゼルから発生するゴミの侵入を防止できる。
【0014】
前記タッチパネルは、前記凸部を備えた支持基板を含む。タッチパネルは、支持基板によって支えられることで、十分な剛性を確保できる。
【0015】
前記タッチパネルは、前記支持基板と、前記支持基板の上に積層され、電極を備えた電極フィルムと、前記電極フィルムの上に積層された樹脂製のカバーフィルムとを備える。支持基板の上に電極フィルムが積層される。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、異物侵入防止部材がベゼルよりも内方に配置されており、タッチパネルと表示手段との間にゴミが入り込むのを防止できる。凸部によってタッチパネルと表示手段との距離を近づけることにより、異物侵入防止部材の厚みを薄くでき、異物侵入を効果的に防止できる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の表示装置について図面を用いて説明する。図中のX方向は各部材の幅方向であり、Z方向は各部材の厚み方向である。表示手段として液晶パネルを用いて説明するが、有機ELなどの他の表示手段であっても良い。
【0019】
実施形態1
図1に示す表示装置10は、筐体12、筐体12に取り付けられた液晶モジュール14、液晶モジュール14の前方に取り付けられたタッチパネル16、および液晶モジュール14とタッチパネル16の間に設けられた異物侵入防止部材18を備える。
【0020】
筐体12およびブラケット38は、液晶モジュール14およびタッチパネル16を保持する。筐体12およびブラケット38はプラスチックなどの樹脂で形成されている。液晶モジュール14とタッチパネル16に必要なドライバICなども筐体12内に保持される。
【0021】
液晶モジュール14は、液晶パネル20、バックライト(図示せず)、および液晶パネル20とバックライトを保持するベゼル22を含む。液晶パネル20はアレイ基板、カラーフィルター基板、アレイ基板とカラーフィルター基板の間の液晶を含む。液晶パネル20は点線Aより内方が表示領域24になっており、その外方が非表示領域26である。
【0022】
ベゼル22は、上述した液晶パネル20とバックライトを保持して一つにまとめ、筐体12に取り付けるものである。ベゼル22はフロントベゼルとリアベゼルを備え、液晶パネル20の裏面および縁を保持する。ベゼル22の断面は液晶パネル20の縁を保持するために液晶パネル20の裏面側から表示面側に折れ曲がった部分を有し、液晶パネル20との対向部分28は、液晶パネル20に対して空間30を有する。液晶パネル20の熱膨張を考慮し、液晶パネル20を押圧して、表示を乱さないためである。
【0023】
タッチパネル16は、液晶パネル20に対して所定間隔を有して配置される。タッチパネル16は、支持基板32、その支持基板32の上に積層された電極フィルム34、電極フィルム34の上に積層されたカバーフィルム36を備える。タッチパネル16の周縁にブラケット38を取り付け、ブラケット38が筐体12の周縁に取り付けられる。
【0024】
支持基板32は、ガラス、またはアクリルやポリカーボネートなどの樹脂を含む透明の板である。ガラスを使用すると、支持基板32の強度を高めることができる。樹脂を使用すると、割れにくく、加工が容易になる。
【0025】
支持基板32の一面40が液晶モジュール14と対向し、他面42に電極フィルム34が積層されている。支持基板32の一面40の周縁を凹部44にする。一面40において凹部44以外の部分が凸部46になっている。凹部44と凸部46の境界になる段差48は、液晶パネル20の非表示領域26におけるベゼル22よりも内方に配置されるようにする。凹部44にブラケット38が取り付けられ、タッチパネル16が支えられる。凸部46が液晶パネル20の表示領域24および非表示領域26の一部と対向する。
【0026】
タッチパネル16がベゼル22に接しないように、ブラケット38がタッチパネル16を支えている。なお、ブラケット38は必ずしも必要ではなく、タッチパネル16を直接ベゼル22上に固定してもよい。ブラケット38とベゼル22が液晶パネル20よりも上方(図中Z方向)に突出しており、凸部46を形成することによって、支持基板32と液晶パネル20との距離を近づけることができる。特に液晶パネル20における非表示領域26と支持基板32が近づくように調製することによって、異物侵入防止部材18の厚みを薄くすることができる。支持基板32と液晶パネル20との間隔は500μm程度である。
【0027】
電極フィルム34は透明の誘電体材料からなるフィルムに電極を形成したものである。フィルムの材料はポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンナフタレートなどの透明材料が挙げられる。厚みは20〜200μm程度が好ましい。電極フィルム34は、極薄のガラスで形成しても良く、厚みは20〜200μm程度が好ましい。
【0028】
電極フィルム34は2枚であり、これはX方向の座標を検出するための電極を備えた電極フィルム34とY方向の座標を検出するための電極を備えた電極フィルム34を備えるためである。
【0029】
電極は、複数の電極ユニットからなり、導電材料で形成される。例えばITO(酸化インジウムスズ)やZnO(酸化亜鉛)などの透明導電膜をパターニングして形成される。また透明導電膜を、カーボンナノチューブ、カーボンナノワイヤ、カーボンナノファイバー、グラファイトフィブリルなどの極細導電炭素繊維や、銀素材等からなる極細導電繊維をバインダーとして機能するポリマー材料に分散させた複合材を用いて形成してもよい。透明導電薄膜の形成方法は、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法などのPVD法や、CVD法、塗工法、印刷法などを例示することができる。
【0030】
透明導電膜の他、電極を非常に幅の細い金属等の導体線を用いて形成してもよい。線幅は、視認性向上の観点から10μm以下が好ましく、5μm以下がさらに好ましく、2μm以下がさらに好ましい。また透過性を確保するため開口率は十分確保する必要があり、各導体線のパターンのピッチは例えば100μm〜1000μm程度が好ましい。また導体線を網目状に形成することで、電気的なパスを多くなり、表面抵抗値を低くするとともに、断線リスクも低減できる。導体線の形成方法は、導電性微粒子を含むペーストを用いた印刷法や、金属薄膜をフォトリソグラフィ等でパターニングする方法などを例示できる。
【0031】
電極フィルム34の支持基板32側が一面50であり、反対側が他面52である。電極フィルム34の他面52に電極が形成される。その他、電極フィルム34の他面52上の周囲部分には、電極からドライバICに電気的に接続するための引き回し配線やコネクタが設けられる。
【0032】
上側の電極フィルム34の他面52にカバーフィルム36が積層される。カバーフィルム36は電極を保護するものである。カバーフィルム36はアクリル系やポリエステル系などの樹脂またはガラスなどで形成される。カバーフィルム36の厚みは、100〜2000μm程度である。
【0033】
支持基板32とカバーフィルム36において、少なくともいずれか一方にガラスを使用すれば、タッチパネル16の強度を高めることができる。支持基板32とカバーフィルム36の両方で樹脂を使用すれば、タッチパネル16が割れにくく、かつ温湿度変化による反りも小さくなる。
【0034】
カバーフィルム36の周縁には、液晶パネル20の非表示領域26、ベゼル22、ブラケット38などを視認されないために、黒インクなどで形成された遮蔽部(図示せず)を有する。
【0035】
電極フィルム34の一面50に電極を形成した場合、カバーフィルム36を省略することが可能である。
【0036】
タッチパネル16の上述した部材同士を取り付けるために各部材間に接着層を有する。接着層は、シリコーン系、エポキシ系またはアクリル系の光学透明接着剤などを使用する。接着層の厚みは、たとえば10〜200μm程度である。
【0037】
異物侵入防止部材18は、ベゼル22やその近傍で発生したゴミが液晶パネル20の表示領域24に入り込まないようにするものである。異物侵入防止部材18は、液晶パネル20の非表示領域26と支持基板32の凸部46との間をふさぐように配置される。異物侵入防止部材18は、ベゼル22より表示装置10の内方にあり、液晶パネル20の表示の邪魔にならない。液晶パネル20の非表示領域26は約0.5〜3mmと非常に狭い。そのため、異物侵入防止部材18の幅も非常に狭くしなければならない。タッチパネル16に凸部46を設け、液晶パネル20とタッチパネル16の距離を近づけることにより、異物侵入防止部材18の厚みを薄くすることができ、取り付けやすくなる。
【0038】
異物侵入防止部材18は、柔軟性の多孔質部材やゴムなのどの弾性部材などで形成する。多孔質部材は、ウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの材料を発泡させたものである。多孔質部材や弾性部材によって、液晶パネル20に圧力をかけずに、液晶パネル20とタッチパネル16の間をふさぐことができる。液晶パネル20の表示に影響を与えず、表示領域の前にゴミが入り込まなくなる。
【0039】
表示装置10の製造方法は、(1)液晶モジュール14およびタッチパネル16をそれぞれ製造する。その際に、
図2のように、タッチパネル16の凸部46に異物侵入防止部材18を取り付けておく。確実に隙間ができないようにするため、異物侵入防止部材18の厚みを液晶パネル20とタッチパネル16の間隔よりも少し厚くしておくことが好ましい。液晶パネル20の表示に影響を与えないようにするため、異物侵入防止部材18は液晶パネル20には固定しない。
【0040】
なお、液晶モジュール14に異物侵入防止部材18を取り付けておいても良い。また、液晶モジュール14とタッチパネル16の両方に異物侵入防止部材18を取り付けておいても良い。但し、いずれの場合も取り付けていない側には固定しない。
【0041】
(2)液晶モジュール14を筐体12に取り付け、次いでタッチパネル16もブラケット38を介して筐体12に取り付ける。異物侵入防止部材18が少し押しつぶされながら液晶モジュール14とタッチパネル16の凸部46の間をふさぐ。異物侵入防止部材18は多孔質部材であるため、液晶モジュール14に不要な圧力をかけない。
【0042】
以上のように本発明はベゼル22よりも内方に異物侵入防止部材18が設けられており、ベゼル22やその近傍で発生したゴミが液晶パネル20の表示領域24に侵入することが無い。ゴミが液晶パネル20の表示の邪魔になることが無い。異物侵入防止部材18の幅が非常に狭くなる恐れがあるが、凸部46によって液晶パネル20とタッチパネル16の距離を近づけており、幅の狭い異物侵入防止部材18の形成や取り付けが容易になる。
【0043】
実施形態2
図3の表示装置60に示すように、液状の樹脂を硬化させた異物侵入防止部材62を使用することができる。樹脂は、アクリル、シリコ−ン、ウレタンなどの材料が挙げられる。ブラケット38を介してタッチパネル16を筐体12に取り付ける前に、凸部46の周縁を1周するように液体状の樹脂を滴下し、硬化させる。液晶パネル20に不要な圧力をかけずに樹脂の異物侵入防止部材62を形成することができる。異物侵入防止部材62は軟質性の樹脂が好ましい。凸部26があることによって、滴下する樹脂の量を少なくでき、幅の狭い異物侵入防止部材62を形成しやすくなる。
【0044】
異物侵入防止部材62を凸部46の周縁に形成する代わりに、凸部46の周縁と対抗する液晶パネル20の非表示領域26に形成しても良い。凸部46と液晶パネル20の非表示領域26の両方に形成しても良い。
【0045】
実施形態3
図4の表示装置70のように、ベゼル22と液晶パネル20によって形成される空間30の開口をふさぐ異物侵入防止部材72であっても良い。異物侵入防止部材72は柔軟性の多孔質部材やゴムなのどの弾性部材などを使用する。異物侵入防止部材72がベゼル22の上部から液晶パネル20の非表示領域26まで配置され、異物侵入防止部材72の断面がL字状になっている。異物侵入防止部材72の一端が液晶パネル20に接しており、ベゼル22と液晶パネル20で形成される空間30を直接ふさいでいる。異物侵入防止部材72によりベゼル22で発生したゴミが空間30から出ないようになっている。
【0046】
異物侵入防止部材72の取り付け方は以下の2つの方法がある。
図5(a)のように、異物侵入防止部材72をベゼル22の上部に取り付ける。その際、異物侵入防止部材72の一部がベゼル22の上部から液晶パネル20のある方向に向かって飛び出すようにする。タッチパネル16を取り付けるとき、タッチパネル16の凸部46が異物侵入防止部材72の飛び出した部分を押えて下方に向くように折り曲げ、異物侵入防止部材72の一端が液晶パネル20に接する。
【0047】
また
図5(b)のように、支持基板32の段差48に沿うように異物侵入防止部材72を接着剤等で取り付け、ブラケット38を介してタッチパネル16を筐体12に取り付けたときに、異物侵入防止部材72の一端が液晶パネル20に接するようにしても良い。
【0048】
図5(a)、(b)のいずれの方法であっても、異物侵入防止部材72は、液晶パネル20に接するよりも少し長くしておくことが好ましい。異物侵入防止部材72は柔軟性を有し、異物侵入防止部材72が液晶パネル20に接した際、異物侵入防止部材72が変形し、液晶パネル20に不要な圧力はかけない。
【0049】
異物侵入防止部材72の断面はL字状に限定されず、
図6の表示装置74ように、直線状の異物侵入防止部材76であっても良い。
【0050】
実施形態4
上記実施形態の支持基板32は1枚の板であったが、
図7の表示装置80のように、複数の板84、86で形成された支持基板82であっても良い。たとえば、一の板84に凸部46となる他の板86を取り付ける。一の板84の周縁は凹部44になる。
【0051】
凹部44となる一の板84がタッチパネル16を支えるため、一の板84をガラス、他の板86を樹脂で形成することで、ガラス製の一の板84によって強度を確保しつつ、樹脂製の他の板86を容易に貼れる。凹部44を形成するために、支持基板の周縁を削る作業の代わりに他の板86を取り付ける作業になり、製造も容易である。
【0052】
実施形態5
図8の表示装置90のように、支持基板32、82を省略したタッチパネル92を使用しても良い。カバーフィルム36の厚みを厚くし、強度を高めることが望ましい。電極フィルム34と液晶パネル20の間に異物侵入防止部材94が配置される。非表示領域26の幅が十分広い場合に、支持基板32、82の凸部46がなくても、異物侵入防止部材94の取り付けは可能である。
【0053】
実施形態6
電極フィルム34の枚数は、電極の形状や形成方法によって変更される。たとえば、1枚の電極フィルム34の一面50と他面52にX方向とY方向の電極を形成した場合、1枚の電極フィルム34になる。または、X方向とY方向の電極が絶縁体を挟んだりジャンパーを利用したりして交差することにより、1枚の電極フィルム34の一面50または他面52のいずれかに両電極を形成することができる。
【0054】
電極フィルム34の一面50に電極を形成することで、カバーフィルム36を省略することも可能である。
【0055】
その他、本発明は、その主旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づき種々の改良、修正、変更を加えた態様で実施できるものである。各実施形態は独立的なものではなく、各実施形態を組み合わせて実施しても良い。