【文献】
I. BALKRISHNAN,JOURNAL OF MOLECULAR CATALYSIS,1982年11月 1日,V17 N2-3,P261-270
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記形成工程(d)は、前記リン処理されアンモニウム交換されたゼオライトをバインダーと混合して押し出し成形可能な組成物を形成すること、次いで前記組成物を押し出し成形し前記触媒を形成すること、を含む、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【背景技術】
【0002】
リン変性は、例えば、メタノールの炭化水素への変換及びトルエンのメチル化によるキシレンの生成を含む、様々な化学プロセスに向けたゼオライト触媒の性能を向上させる周知の方法である。例えば、特許文献1及び2では、プロパン、プロピレン、又はメタノール等の1つ以上の非芳香族化合物を、ZSM−5等のゼオライトを含む触媒と接触させることによる、芳香族炭化水素の製造方法が開示されている。リン酸アンモニウムの水溶液等の、リン酸イオン源にゼオライトを含浸させることによって酸化リンでゼオライトを変性させ、次いで焼成する。
【0003】
更に、特許文献3では、結合したリン変性ゼオライト触媒の製造方法を開示しており、この場合、ZSM−5等のゼオライトは、NH
4+型又はH
+型であることができ、リン化合物の水溶液でスラリーにされ、次いでスラリーから水を除去してリン変性ゼオライト触媒を形成する。次いで、リン変性し予め焼成したゼオライトは、酸処理した無機系の酸化物バインダー材料と混合され、任意選択である押し出し成形の後、ゼオライト−バインダーの混合物は、約400℃以上の温度で加熱され、結合したゼオライト触媒を形成する。特に、触媒は、メタノールでトルエンをアルキル化してキシレンを生成することに用いることを意図しているが、MTGプロセスに有用であるとも言われている。
【0004】
リン変性したトルエンメチル化触媒を生成する同様のプロセスが、特許文献4、5、6、7、及び8、並びに特許文献9及び10に示される。
【0005】
特許文献11では、蒸気処理工程の際、材料の微細孔容積が減少することを制御するために、酸化物改質剤、好ましくはリンの酸化物と組み合わされた極度に蒸気処理したZSM−5触媒の全体に渡ってトルエンをメタノールで反応させることで、パラ−キシレンを選択的に生成することを開示している。触媒へのリンの取り込みは、都合のよいことに、単独で又はバインダー若しくはマトリックス材料と組み合わせて、ZSM−5を適切なリン化合物の溶液と接触させることで遂行され、次いで乾燥及び焼成させてリンを酸化物の形態に変換する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ゼオライト触媒をリン変性する従来の方法では、複雑さが著しく増大し、結果として触媒生産プロセスの費用が増加する傾向がある。従って、リン変性ゼオライト触媒の作成に向けたより高い生産性及びより費用の低い製造手順を開発することに対する大きな関心が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、より効率的で、より費用の低いリン変性ゼオライト触媒の製造方法が提案され、この場合、合成したままのゼオライト結晶を母液から分離した後であるが、実質的な乾燥工程の前に、この結晶は、NH
4+イオン交換及びリン処理を受けることができる。その後、得られたNH
4+交換されリン処理されたゼオライト結晶は、例えば、有機構造規定剤を除去しゼオライトをNH
4+型からH
+型に変換するために、必要な形状に形成及び焼成されることができる。
【0009】
一の要旨において、本発明は、リン変性(又は修飾)ゼオライト触媒の製造方法にありえ、
前記方法(又はプロセス)は、
(a)シリカ源(又はソース:source)と、有機構造規定剤(有機構造指向剤又は有機指向剤:organic directing agent)源を含む水性反応混合物を加熱する工程であって、有機構造規定剤は、前記混合物から望まれるゼオライトの合成を行うことに効果的であり、加熱は、望まれるゼオライトの結晶を生成(又は製造)するために十分な温度及び時間にて実施される(又は行われる)工程;
(b)(a)において生成される混合物から湿潤した(湿った又は濡れた)ゼオライト結晶を分離する工程;
(c)湿潤した(濡れた又は湿った)ゼオライト結晶から全ての水を除去することなく、(i)イオン交換によってゼオライトをアンモニウム型に変換する工程;及び(ii)リン化合物で結晶を処理する工程、を実施する(又は行われる)工程;
(d)(c)よりリン処理されアンモニウム交換されたゼオライトを触媒に形成する工程;及び
(e)1つ以上の段階で結晶を加熱して、ゼオライト結晶から水及び有機構造規定剤を除去し、アンモニウム型のゼオライトを水素型に変換する工程
を含む。
【0010】
都合のよいことに、通常、反応混合物におけるシリカのアルミナに対するモル比が、約20〜約500、例えば約20〜約150になることができるように、アルミナ源を含むこともできる。
【0011】
一実施形態においては、ゼオライトはZSM−5であり、且つ/又は、有機構造規定剤は、n−プロピルアミンを含む。
【0012】
都合のよいことに、(a)における加熱工程は、約12時間〜約120時間の時間、約100℃〜約200℃の範囲の温度で実施されることができる。
【0013】
追加又は代替の実施形態においては、分離工程(b)は、ろ過によって実施されることができる。
【0014】
都合のよいことに、(c)で使用される湿潤したゼオライト結晶は、約0.1〜1.5未満、例えば約0.2〜約0.8の吸着係数(Adsorption Factor)を有することができる。
【0015】
追加又は代替の実施形態においては、変換工程(c)(i)及び処理工程(c)(ii)は、同時に実施されることができる。都合のよいことに、処理工程(c)(ii)は、含浸、特にリン酸素酸(phosphorus oxyacid)のアンモニウム塩によって実施されることができる。
【0016】
都合のよいことに、形成工程(d)は、リン処理されアンモニウム交換されたゼオライトをバインダーと混合して、その後押し出し成形され触媒を形成することができる、押し出し成形可能な組成物を形成することを含むことができる。
【0017】
都合のよいことに、ゼオライト結晶から有機構造規定剤を除去し、ゼオライトを水素型に変換する加熱工程は、単一の加熱工程において実施されることができる。通常、単一の加熱工程は、約2時間〜約12時間の時間、約500℃〜約600℃の温度で、実施されることができる。
【0018】
更なる態様においては、本発明は、本明細書において記載される方法によって製造されるリン変性ゼオライト触媒に、及び/又は有機変換反応における触媒の使用に、特にメタノールを炭化水素に変換する方法に、あり得る。
【0019】
本出願は、各々が2011年10月17日付けで出願された、米国仮特許出願第61/548,015号明細書、米国仮特許出願第61/548,038号明細書、米国仮特許出願第61/548,044号明細書、米国仮特許出願第61/548,052号明細書、米国仮特許出願第61/548,057号明細書、及び米国仮特許出願第61/548,064号明細書に関連し、本明細書において記載される本発明のいかなる部分をも記載するために必要な範囲内において、これら各々の明細書の全ての開示内容は、本明細書中で引用されることにより、本明細書に組み込まれていることに留意されたい。又、本出願は、各々が同日に出願され、且つ、前述の米国仮特許出願の利益を主張し、且つ、「リン変性ゼオライト触媒の製造方法」、「リン変性ゼオライト触媒」、「リン変性ゼオライト触媒」、「リン変性ゼオライト触媒」、及び「ジアルキルエーテルへのアルコールの選択的脱水」と各々題される、5つのその他の同時係属国際(PCT)出願に関連し、本明細書において記載される本発明のいかなる部分をも記載するために必要な範囲内において、これら各々の明細書の全ての開示内容は、本明細書中で引用されることにより、更に本明細書に組み込まれている。
【発明を実施するための形態】
【0021】
リン変性ゼオライト触媒の製造方法が、本明細書において記載される。本方法(又はプロセス)においては、ゼオライトは、有機構造規定剤の存在下にて合成されることができ、且つ、リン成分は、結晶を合成するために使用される水性の反応混合物から、結晶に存在する全ての水を除去する前に、合成したままのゼオライト結晶に加えられることができる。リン付加と同時に実施されることができる、ゼオライト結晶をアンモニウム型に変換するイオン交換の後、リン処理されアンモニウム交換されたゼオライトは、加熱されて、ゼオライト結晶から水及び有機構造規定剤を除去し、ゼオライトを水素型に変換することができる。
【0022】
ゼオライトの合成直後及びゼオライトの任意の焼成直前に、ゼオライト結晶をリンで処理することによって、本方法では、リン変性ゼオライト触媒を製造する従来技術の方法に必要な1つの又は更に2つの焼成工程を、有利に排除することができる。追加的に又は代替的に、リン処理がアンモニウム交換と同時に実施されることを可能にすることによって、本方法では、別々に実施されるこうした工程の必要性をなくすことができる。この結果、本方法では、リン変性ゼオライト触媒を生産することにおける著しい簡素化及びあい路打開策を提供することができこれによって、生産速度を増加させ、且つ/又は、生産費用を低減させることができる。
【0023】
好ましい一実施形態においては、ゼオライトは、ZSM−5を含むこと、又はZSM−5であることができ、従って、本明細書における本方法の記載の残りの部分は、リン変性したZSM−5の生成に注目を当てる。しかしながら、本方法は、その他の周知の及び/又は従来のゼオライトのリン変性型を製造するために、容易に変更できることを理解されるであろう。
【0024】
ZSM−5の合成
本方法におけるZSM−5を製造するために、水性の反応混合物は、シリカ源と、ZSM−5の合成を行うことに効果的である有機構造規定剤源と、任意選択的にアルミナ源と、一般的にはアルカリ及び/又はアルカリ土類金属化合物M源と、を含むように初めに調製されることができる。任意のアルミナ源が存在する場合での実施形態においては、反応混合物は、以下のモル組成比(この場合、Rは有機構造規定剤を表す)を有することができる。
【0026】
前述の反応混合物を生成するために使用できる適切なシリカ源としては、コロイドシリカ、沈降シリカ、ケイ酸カリウム、ケイ酸ナトリウム、ヒュームドシリカ等、及びこれらの組み合わせを挙げることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。同様に、適切なアルミナ源としては、存在する場合、水和酸化アルミニウム(ベーマイト、水礬土石、及び/又は擬ベーマイトなど)、アルミン酸ナトリウム、酸素含有アルミニウム塩(硝酸アルミニウムなど)等、及びこれらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。適切なアルカリ及び/又はアルカリ土類金属源としては、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、マグネシア、水酸化ナトリウム、及び/又は水酸化カリウム、特に水酸化ナトリウム及び/又は水酸化カリウムを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0027】
選択されるゼオライトの合成を行うことで知られるいかなる有機化合物をも、有機構造規定剤、Rとして使用されることができ、この規定剤、Rとしては、ZSM−5の場合、テトラプロピルアンモニウム化合物、ジメチルエチルプロピルアンモニウム化合物、1、2−ジアミノシクロヘキサン、エタノールトリプロピルアンモニウム化合物、アルキルジアミン、1、6−ヘキサンジオール、ポリ(エチレングリコール)、トリエチレン−テトラミン等、及びこれらの組み合わせを挙げることができる。しかしながら、実際的な一実施形態においては、有機構造規定剤は、アルキル部位に2〜9個の炭素原子を有する一級モノアルキルアミン、特にn−プロピルアミン(n−PA)を含むこと、このアミンから本質的になること、又はこのアミンであることができ、その理由は、この材料が、比較的低い結晶化温度及び比較的短い結晶化時間で、比較的小さい結晶(例えば、0.05ミクロン以下)を生成することを好むからである。一級モノアルキルアミンの存在下におけるZSM−5の合成の更なる詳細については、例えば、米国特許第4,151,189号明細書において見出すことができ、当明細書の全ての開示内容は、本明細書中で引用されることにより、本明細書に組み込まれている。焼成して構造規定剤を除去する前に、ゼオライト細孔内でのイオン交換(Na
+などのアルカリイオンのNH
4+での置換)を促進することにおいては、本方法の実施形態によっては、ZSM−5の細孔を完全に塞がないと仮定されている、n−PAなどのより小さい構造規定剤の方を選択することができると考えられる。
【0028】
実施形態によっては、反応混合物は、全反応混合物に対して、少なくとも500wppm、例えば、少なくとも1000wppm、又は少なくとも10000wppm種(seeds)を提供する上で十分な量で、種、通常はZSM−5種を含むことができる。
【0029】
結晶化は、撹拌条件又は静置条件下、好ましくは撹拌条件下にて、約100℃〜約200℃、例えば約110℃〜約150℃の温度で、約12時間〜約120時間、例えば約24時間〜約72時間の時間で、実行されることができる。結晶化が比較的完了した後、得られたZSM−5結晶は、一般的にはろ過又は遠心分離によって、母液から分離されて回収されることができる。構造規定剤としてのn−プロピルアミンを使用することで、一般的に結晶化時間を短縮でき、且つ、約0.05ミクロン以下の平均結晶サイズを有する小さい結晶からなる凝集体の形態で、ZSM−5を有利に生成することができる。
【0030】
ZSM−5結晶の処理
結晶化工程の後に残る母液をろ過又は遠心分離することによって回収したZSM−5結晶は、通常、湿潤したケーキの形態で存在することができ、ZSM−5は、合成混合物においてアルカリ(ナトリウム)イオンが存在することから、主に、アルカリ(ナトリウム)形態である。その後、湿潤したケーキは、水で洗浄され、且つ、残存する水の濃度によって、部分的にではあるが通常は完全にではなく、例えば、約2時間〜約24時間の間、約25℃〜約120℃の温度で湿潤したケーキを加熱することによって、乾燥させることができる。従って、部分的な乾燥は、例えば、湿潤したケーキが、約0.1〜1.5未満の、例えば約0.2〜約0.8の吸着係数を有するまで、実施されることができる。この点においては、用語「吸着係数」は、湿潤したケーキが完全に飽和するまで、湿潤したケーキによって吸着されることができる水量の計測値である。具体的には、吸着係数は、以下の式によって表されることができる。
【数1】
【0031】
部分乾燥後、ZSM−5をアルカリ(ナトリウム)型からアンモニウム型に変換するために、湿潤したケーキをアンモニウム塩溶液でイオン交換することができる。更に、アンモニウム交換の前に、後に、又は同時に、湿潤したケーキは、リン化合物で処理されることができる。リン処理は、リン化合物の溶液で、湿潤したケーキを含浸及び/又は噴霧させることによって実施されることができ、このリン化合物としては、ホスホン酸、亜ホスフィン酸、リン、及び/又はリン酸、リン酸塩、及びリン酸のエステル、及びハロゲン化リン、並びにこれらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。特定の好ましい実施形態においては、アンモニウム交換及びリンの含浸が同時に行われる場合、湿ったケーキは、
リン酸一水素アンモニウム、
リン酸二水素アンモニウム、
リン酸三アンモニウム、
次リン酸アンモニウム、
オルトリン酸アンモニウム、
オルトリン酸二水素アンモニウム、
オルトリン酸一水素アンモニウム、
次亜リン酸アンモニウム、
オルトリン酸二水素アンモニウム等、
又はこれらの混合物などの、リン酸素酸のアンモニウム塩で含浸することができる。
【0032】
リン処理の後、通常、ZSM−5結晶は、ゼオライトのグラム当たり約0.001〜約0.2グラムのリン(約0.1重量%〜約20重量%)、例えば、ゼオライトのグラム当たり約0.005〜約0.1グラムのリン(約0.5重量%〜約10重量%)、又は、ゼオライトのグラム当たり約0.005〜約0.05グラムのリン(約0.5重量%〜約5重量%)の量で、リン(P)を含むことができる。
【0033】
本方法において、結晶が、任意の焼成、例えば、500℃以上での加熱を受けることができる前に、ZSM−5結晶は、アンモニウム交換及びリン処理をともに受けることができることを、前述の記載から理解されるであろう。
【0034】
アンモニウム交換およびリン処理の後、ZSM−5結晶は、個別のマトリックス及び/又はバインダーの有無にかかわらず、通常は押し出し成形によって、触媒に形成することができる。適切なマトリックス材料としては、活性及び不活性な材料並びに合成された及び/又は天然由来のゼオライト、並びに粘土、シリカ、及び/又は、例えば、アルミナ、チタニア、及び/又はジルコニア等の金属酸化物などの無機材料を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。後者は、シリカ及び金属酸化物の混合物を含み、天然由来であることができ、且つ/又は、ゼラチン状の沈澱物、ゾル、及び/又はゲルの形態であることができる。活性なマトリックス材料を使用することによって、特定の有機変換方法における触媒の変換及び/又は選択性を向上させることができる。不活性な材料は、所定の方法において、変換量を制御する希釈剤として適切に機能することができ、結果として、速度又は反応を制御するその他の手段を用いることなく、経済的に且つ整然として、製品を得ることができる。結晶性触媒材料は、天然由来の粘土、例えば、ベントナイト及びカオリン等の中に組み入れられている場合が多い。こうした材料(即ち、粘土、酸化物等)は、部分的に、その破砕強度を向上させる触媒用のバインダーとして機能することができる。一般的に、結合した触媒は、約1重量%〜約100重量%の(自己結合した触媒)、及び、通常約15重量%〜約80重量%の活性なZSM−5材料を含むことができる。
【0035】
触媒に形成した後、約25℃〜約120℃の温度で触媒を加熱して、残存する水を除去することができ、次いで約500℃〜約600℃の温度で触媒を焼成して、ZSM−5結晶から有機構造規定剤を除去し、且つ/又は、ZSM−5をアンモニウム型から水素型に変換することができる。乾燥及び焼成工程は、個別の段階/工程において、又は単一の連続加熱操作において遂行されることができる。
【0036】
リン変性したZSM−5触媒の使用
本方法によって生成するリン変性したZSM−5触媒は、触媒の水熱安定性が重要である任意の有機系変換方法に特に有用であることができる。こうした方法の例としては、重質炭化水素をガソリン及びディーゼルの沸点範囲の炭化水素に流動接触分解すること、トルエンをメチル化及び不均化させてキシレンを生成すること、n−パラフィン(例えば、C6以上)を環化すること、メタノールをガソリン及びディーゼルの沸点範囲の炭化水素へ変換すること等、及びこれらの組み合わせ及び/又は統合を挙げることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0037】
追加の又は代替の実施形態
本発明は、追加的又は代替的に、1つ以上の以下の実施形態を含むことができる。
【0038】
実施形態1
リン変性ゼオライト触媒の製造方法であって、
(a)シリカ源と、有機構造規定剤源を含む水性反応混合物を加熱する工程であって、有機構造規定剤は、前記混合物から望まれるゼオライトの合成を行うことに効果的であり、加熱は、望まれるゼオライトの結晶を生成(又は製造)するために十分な温度及び時間にて実施される(又は行われる)工程;
(b)(a)において生成される混合物から湿潤した(湿った又は濡れた)ゼオライト結晶を分離する工程;
(c)湿潤したゼオライト結晶から全ての水を除去することなく、(i)イオン交換によってゼオライトをアンモニウム型に変換する工程;及び(ii)リン化合物で結晶を処理する工程、を実施する(又は行う)工程;
(d)(c)よりリン処理されアンモニウム交換されたゼオライトを触媒に形成する工程;及び
(e)1つ以上の段階で結晶を加熱して、ゼオライト結晶から水及び有機構造規定剤を除去し、アンモニウム型のゼオライトを水素型に変換する工程
を含む方法。
【0039】
実施形態2
前記反応混合物はアルミナ源も含む、実施形態1の方法。
【0040】
実施形態3
反応混合物におけるシリカのアルミナに対するモル比が、約20〜約500、例えば、約20〜約150である、実施形態2の方法。
【0041】
実施形態4
ゼオライト結晶が、約0.05ミクロン以下の平均結晶サイズを有する、前述の実施形態のいずれかの方法。
【0042】
実施形態5
ゼオライトがZSM−5を含み、且つ/又は、前記有機構造規定剤は、n−プロピルアミンを含む、前述の実施形態のいずれかの方法。
【0043】
実施形態6
前記温度が約100℃〜約200℃であり、且つ、前記時間が約12時間〜約120時間である、前述の実施形態のいずれかの方法。
【0044】
実施形態7
分離工程(b)は、ろ過によって遂行される(又は行われる)、前述の実施形態のいずれかの方法。
【0045】
実施形態8
(c)で使用される前記湿潤したゼオライト結晶は、約0.1〜1.5未満、例えば約0.2〜約0.8の吸着係数を有する、前述の実施形態のいずれかの方法。
【0046】
実施形態9
変換工程(c)(i)及び処理工程(c)(ii)は、同時に遂行される、前述の実施形態のいずれかの方法。
【0047】
実施形態10
処理工程(c)(ii)は、含浸によって、例えば、リン酸素酸のアンモニウム塩の水溶液でゼオライト結晶を含浸することによって遂行される(又は行われる)、前述の実施形態のいずれかの方法。
【0048】
実施形態11
形成工程(d)は、リン処理されアンモニウム交換されたゼオライトをバインダーと混合して押し出し成形可能な組成物を形成すること、次いで前記組成物を押し出し成形し触媒を形成すること、を含む、前述の実施形態のいずれかの方法。
【0049】
実施形態12
ゼオライト結晶から有機構造規定剤を除去し、ゼオライトを水素型に変換する加熱工程が、単一の加熱工程で、例えば、約2時間〜約12時間の時間、約500℃〜約600℃の温度で遂行される、前述の実施形態のいずれかの方法。
【0050】
実施形態13
前述の実施形態のいずれかの方法によって製造されるリン変性ゼオライト触媒。
【0051】
実施形態14
有機化合物変換条件下、原料を実施形態13のリン変性ゼオライト触媒と接触させることを用いる有機化合物を変換する方法。
【0052】
実施形態15
前記有機化合物変換が、メタノールをガソリンの沸点範囲で沸騰する炭化水素に変換することを含む、実施形態14の方法。
【0053】
次に、本発明を、以下の非限定的な実施例及び添付の図面を参照してより詳細に記載する。
【実施例】
【0054】
実施例においては、アルファ値は、標準の触媒と比較して、触媒の接触分解活性の目安を提供するために、且つ、相対速度定数(単位時間当たり触媒容積当たりのノルマルヘキサンの変換速度)を評価する助けとなるために使用される。アルファ値は、1のアルファ(速度定数≒0.016秒
−1)とするシリカ−アルミナ分解触媒の活性に基づく。アルファ試験は、米国特許第3,354,078号明細書、the Journal of Catalysis,4,527(1965)、同文献6,278(1966)、及び同文献61,395(1980)に記載されており、その記載に関して各々が本明細書中で引用されることにより、本明細書に組み込まれている。本明細書において使用した試験の実験条件は、the Journal of Catalysis,61,395(1980)に詳細に記載されている約538℃の一定温度及び可変流速を含む。
【0055】
実施例1A n−PAを使用する小さいZSM−5結晶の調製
約22%の固形分を有する反応混合物を、脱イオン(DI)水、約50%水酸化ナトリウム溶液、約45%アルミン酸ナトリウム溶液、n−プロピルアミン、Ultrasil(商標)シリカ、及び約1250wppmのZSM−5種結晶を混合することによって調製した。混合物は、以下のモル組成物比を有した。
SiO
2/Al
2O
3 約60
H
2O/SiO
2 約11
OH/SiO
2 約0.17
Na/SiO
2 約0.17
n−PA/Si 約0.25
【0056】
混合した後、反応混合物をオートクレーブに移し、約48時間、約250rpmでの撹拌下、約230°F(約110℃)で反応させた。得られた反応スラリーを放出し、ペール容器に収納した。合成したままの材料のX線回折(XRD)パターンは、通常、ZSM−5のトポロジーの比較的純粋な位相を示した。合成したままの材料のSEM(
図1Aを参照されたい)は、材料が、0.05ミクロン以下のサイズを有する小さな結晶の凝集体からなることを示した。TEM粒径分析は、94%超の結晶が、0.05ミクロン以下であることを示した(
図1Bを参照されたい)。乾燥した結晶のシリカのアルミナに対するモル比は、約50であった。従って、比較的低温及び約48時間のみの反応時間で、小さい結晶ZSM−5を調製することができる。
【0057】
実施例1B:n−PAを使用する小さいZSM−5結晶の調製
実施例1Aの方法を繰り返し、合成したままの材料のXRDパターンは、この場合にも通常、ZSM−5のトポロジーの比較的純粋な位相を示した。合成したままの材料のSEM(
図1Cを参照されたい)は、材料が、0.05ミクロン以下のサイズを有する小さな結晶の凝集体からなることを示した。乾燥した結晶のシリカのアルミナに対するモル比は、この場合にも約50であった。得られたスラリーを、綿状に固め、デカントし、DI水で洗浄し、その後、イオン交換のため硝酸アンモニウム溶液で容器中にて再分散した。この工程を2回繰り返し、ZSM−5結晶をNH
4型に変換した。約1000°F(約540℃)で約4時間、NH
4ZSM−5結晶の空気焼成を遂行して、結晶を水素型に変換し、約930のアルファ値及び約495(約418+約77)m
2/gの表面積を有する最終生産物を生成した(以下の第1表を参照されたい)。
【0058】
実施例2A−2C:ZSM−5及びリン含有ZSM−5の調製
綿状に固め、デカントし、DI水で洗浄した後、得られた湿潤したケーキを3つの部位に分割した以外は、実施例1Bの方法を繰り返した。部位1番は、約250°F(約121℃)で一晩(約8から16時間)乾燥させ、実施例2Aを作成した。約0.24の吸着係数を有する部位2番を、高せん断混合機を使用して、約34グラムのリン酸アンモニウム及び約465グラムのDI水と混合させた。その後、得られたペーストを、約250°F(約121℃)で一晩乾燥させて、実施例2Bを作成した。約0.24の吸着係数を有する部位3番を、高せん断混合機を使用して、約68グラムのリン酸アンモニウム及び約438グラムのDI水と混合させた。その後、得られたペーストを、約250°F(約121℃)で一晩乾燥させて、実施例2Cを作成した。これらの得られた生成物は、実施例2Bの場合、約0.75重量%のリン、及び実施例2Cの場合、約1.5重量%のリンを示した。
【0059】
実施例3A−3C:蒸気処理した合成したままの結晶の調製
実施例2A、2B、及び2Cの生成物のそれぞれ約30グラムを、約48時間、約1000°F(約540℃)の比較的高温で蒸気処理し、水熱安定性を確認した。得られた生成物の特性を比較のため以下の第1表に示す。
【0060】
実施例4A−4C:蒸気処理し焼成した結晶の調製
実施例2A、2B、及び2Cの生成物のそれぞれ約30グラムを、約4時間、約1000°F(約540℃)で空気中で焼成し、その後約48時間、約1000°F(約540℃)の比較的高温で蒸気処理し、水熱安定性を確認した。これらの3つの試料のXRDスペクトルを
図2に示すが、全ての蒸気処理した試料は、水熱的に安定であることを示した(構造においては依然として結晶性である)。焼成し蒸気処理した実施例の特性を比較のため以下の第1表にまとめる。
【0061】
【表2】
【0062】
第1表における結果は、本方法によって生成したリン処理した触媒(焼成あり及びなし)は、約1000°F(約540℃)及び約1気圧(約100kPa)蒸気で約48時間、激しく蒸気処理した後に、100以上の比較的高いアルファ値(リン処理しない触媒の場合の25未満と比較して)を維持したことを示している。
【0063】
実施例5:アルミナと結合した0.75重量%のリンを含有するZSM−5結晶
約65重量部(基本:焼成約538℃)の実施例2Bの結晶を、約35重量部のVersal(商標)300擬ベーマイトアルミナ(基本:焼成約538℃)と、混和機中にて混合した。十分な水を加えて、約2’’Bonnot(商標)押し出し成形機にて、押し出し成形可能なペーストを作成した。P−ZSM−5結晶、擬ベーマイトアルミナ、及び水を含有するペーストの混合物を、押し出し成形し、約121℃で一晩(約8から16時間)、ホットパックオーブン(hotpack oven)にて乾燥させた。五酸化二リンを含む乾燥した押し出し成形物を、約538℃で空気中にて焼成して、ZSM−5を水素型に変換させた。得られた触媒のアルファ値は、約360であった。
【0064】
本発明は、特定の実施形態を参照して記載及び例示される一方、当業者は、本発明が、本明細書において必ずしも例示されない変形に適することを理解するであろう。このため、本発明の真の範囲を設定する目的のため添付の特許請求の範囲を専ら参照されたい。