(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記特許文献1に記載された製造法を利用して、パイプ状の中空体と箱体とを一体に連結して一体成形する場合、中空体の端部と箱体との連結部で箱体の内側に中空体の一部が残存してしまう。
【0007】
このように、箱体の内側に残存する中空体の一部は、一般に不要なものであり、従って、その不要部分を連結成形品から切除するための切削工程が必要となる。その結果、連結成形品を製造する際にコスト増加を招来し、また、生産性低下の要因となっていた。
【0008】
本発明は、上述した点を鑑みてなされたものであり、パイプ状の中空体と一面が開放された箱体とをヒンジを介して連結してなる連結成形品を成形する際に中空体の一部が箱体の内側に残存することを防止し、中空体の一部を切除する切削工程を省くことが可能な射出成形装置及び連結成形品を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題を解決するため請求項1に係る射出成形装置は、パイプ状の中空体を成形する中空体キャビティ、一面が開放された箱体を成形する箱体キャビティ及び
前記中空体と
前記箱体とを連結するヒンジを成形するヒンジキャビティを有し、
前記中空体キャビティ、
前記箱体キャビティ及び
前記ヒンジキャビティは相互に連通された金型と、前記中空体キャビティの一端部に配置される発射台座から発射され、
前記中空体キャビティに充填された樹脂中を移動するとともに樹脂を押し出して
前記中空体を成形するフローティングコアとを備え、前記中空体キャビティの
内部に設けられ、前記発射台座と
前記フローティングコアと
により囲まれて、前記中空体の一端部に第1係合部を成形する第1キャビティと、
前記金型に設けられ、前記箱体キャビティ
に連続し、前記第1係合部
に係合する第2係合部を成形する第2キャビティとを備えたことを特徴とする。
【0010】
また、請求項2に係る射出成形装置は、請求項1に記載する射出成形装置であって、前記第1キャビティは第1係合部に凸状部を成形し、前記第2キャビティは第2係合部に前記凸状部に係合する凹状部を成形することを特徴とする。
【0011】
また、請求項3に係る射出
成形装置は、請求項1又は請求項2に記載する射出成形装置であって、前記発射台座には、前記中空体の一端部にスリットを形成する突片が設けられていることを特徴とする。
【0012】
また、請求項4に係る連結成形品は、パイプ状の中空体と、一面が開放された箱体と、前記中空体と前記箱体とを連結するヒンジと、前記中空体の一端部に形成された第1係合部と、前記箱体に形成され、前記第1係合部に係合可能な第2係合部とを備え、前記中空体と箱体とは、前記ヒンジを介して連結された状態で前記第1係合部と第2係合部が係合されることにより、相互に一体化されることを特徴とする。
【0013】
また、請求項5に係る連結成形品は、請求項4に記載する連結成形品であって、前記第1係合部に形成された凸状部と、前記第2係合部に形成され、前記第1係合部の凸状部に係合する凹状部とを備えたことを特徴とする。
【0014】
また、請求項6に係る連結成形品は、請求項4又は請求項5に記載する連結成形品であって、前記中空体の一端部に形成されたスリットを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る射出成形装置では、パイプ状の中空体を成形する中空体キャビティ、一面が開放された箱体を成形する箱体キャビティ及び中空体と箱体とを連結するヒンジを成形するヒンジキャビティを有し、中空体キャビティ、箱体キャビティ及びヒンジキャビティは相互に連通された金型、及び、中空体キャビティの一端部に配置される発射台座から発射され、中空体キャビティに充填された樹脂中を移動するとともに樹脂を押し出して中空体を成形するフローティングコアを備えているので、中空体と箱体をヒンジにより連結した状態で中空体、箱体及びヒンジが一体に成形され、また、中空体は、フローティングコアを中空体キャビティに充填された樹脂中を移動させるとともに樹脂を押し出すことにより成形される。
【0016】
このとき、金型の内部において、中空体キャビティの一端部にて、発射台座とフローティングコアとの協働により中空体の一端部に第1係合部を成形する第1キャビティ、及び、箱体キャビティの一端部にて、第1係合部と係合する第2係合部を成形する第2キャビティが形成されるので、中空体、箱体及びヒンジを一体成形する際、同時に中空体の一端部に第1係合部が成形されるとともに箱体の一端部に第2係合部が成形される。
【0017】
かかる成形後に中空体と箱体とを組立てるに際しては、中空体と箱体とをヒンジを介して連結した状態で、中空体の一端部に成形された第1係合部と箱体の一端部に成形された第2係合部とを相互に弾性的に係合させることにより、中空体と箱体とを簡単に組み立てることができる。
【0018】
このように中空体と箱体とを組立てた状態では、箱体の内部に中空体の一部が残存することはなく、従って、箱体内で不要な中空体の一部を切除する切削工程を省くことが可能となる。
【0019】
さらに、中空体の第1係合部と箱体の第2係合部とを弾性的に係合させるだけの作業により、中空体と箱体とを簡単且つ確実に組付接合できる。
【0020】
また、金型中に中空体キャビティ、箱体キャビティ及びヒンジキャビティを設けることにより、中空体、箱体及びヒンジを一体成形することができ、これにより金型サイズのコンパクト化、射出樹脂量の低減化が可能となるので、設備費・材料費等のコストが抑えられる
とともに生産性を向上させることができる。
【0021】
請求項2に係る射出成形装置では、第1キャビティは第1係合部に凸状部を成形し、前記第2キャビティは第2係合部に前記凸状部に係合する凹状部を成形するようにしたので、第1係合部と第2係合部とを係合させるについては、第1係合部に成形される凸部と第2係合部に成形される凹部とを両者の凹凸関係に基づいて係合させるだけでよく、これより中空体と箱体とをより簡単且つ確実に組付接合できるとともに、組付接合の抜け防止をより図ることができる。
【0022】
請求項3に係る射出成形装置では、発射台座に、中空体の一端部にスリットを形成する突片が設けられているので、第1係合部と第2係合部とを係合させる際、突片により中空体の一端部に成形されるスリットを介して、第1係合部を拡張することができ、中空体と箱体とをより一層に簡単且つ確実に組付接合できる。
【0023】
請求項4に係る連結成形品では、パイプ状の中空体と、一面が開放された箱体と、中空体と箱体とを連結するヒンジと、中空体の一端部に形成された第1係合部と、箱体に形成され、第1係合部に係合可能な第2係合部とを備え、中空体と箱体とは、ヒンジを介して連結された状態で第1係合部と第2係合部が係合されることにより、相互に一体化されるので、連結成形品における中空体と箱体とを組立てるに際しては、中空体と箱体とをヒンジを介して連結した状態で、中空体の一端部に成形された第1係合部と箱体の一端部に成形された第2係合部とを相互に弾性的に係合させることにより、中空体と箱体とを簡単に組み立てることができる。
このように中空体と箱体とを組立てた状態では、箱体の内部に中空体の一部が残存することはなく、従って、箱体内で不要な中空体の一部を切除する切削工程を省くことが可能となる。
【0024】
さらに、中空体の第1係合部と箱体の第2係合部とを弾性的に係合させるだけの作業により、中空体と箱体とを簡単且つ確実に組付接合できる。
【0025】
請求項5に係る連結成形品では、第1係合部に形成された凸状部、及び、第2係合部に形成され、第1係合部の凸状部に係合する凹状部を備えている
ので、第1係合部と第2係合部とを係合させるについては、第1係合部に成形される凸部と第2係合部に成形される凹部とを両者の凹凸関係に基づいて係合させるだけでよく、これより中空体と箱体とをより簡単且つ確実に組付接合できるとともに、組付接合の抜け防止をより図ることができる。
【0026】
請求項6に係る連結成形品では、中空体の一端部に形成されたスリットを備えているので、第1係合部と第2係合部とを係合させる際、中空体の一端部に成形されるスリットを介して、第1係合部を拡張することができ、中空体と箱体とをより一層に簡単且つ確実に組付接合できる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明に係る射出成形装置及び連結成形品について、本発明を具体化した第1実施形態に基づき、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0029】
[1.連結成形品]
図1に表したように、第1実施形態に係る連結成形品1は、パイプ状の中空体2、一面(
図2では上面)が開放された箱体3及び両者を連結するインテグラルヒンジ4を有しており、溶融樹脂を射出成形して製造された樹脂成形品である。中空体2は、3次元屈曲パイプからなる。インテグラルヒンジ4は、中空体2と箱体3とを連結し、屈曲自在なヒンジである。
【0030】
中空体2の一端開口部5には、その内面に沿って凸状部25(
図13参照)を有する第1係合部6が設けられる。箱体3の側面には、筒状に突出形成された第2係合部7が設けられる。第2係合部7の外周面根元付近には、環状の凹状部8が設けられる。第2係合部7には、スリットS1が設けられる。
【0031】
図2に表したように、第1実施形態に係る連結成形品1では、インテグラルヒンジ4をU字状に屈曲することにより、中空体2と箱体3とを組付接合することができる。組付接合する際は、箱体3にある筒状の第2係合部7に対して、中空体2の一端開口部5に形成された第1係合部6が第2係合部7の外側から差し込まれる。第2係合部7に第1係合部6が差し込まれると、第2係合部7の凹状部8に第1係合部6の凸状部25が弾性的に係合される。
【0032】
[2.射出成形装置]
第1実施形態に係る連結成形品1を製造するには、
図3に表した金型9が使用される。金型9は、中空体キャビティ10、箱体キャビティ11及びヒンジキャビティ12が設けられる。中空体キャビティ10及び箱体キャビティ11は、ヒンジキャビティ12を介して連通される。
尚、金型9において、箱体キャビティ11の側部(
図3中下側部)には、後述する第2係合部7を成形するための第2キャビティK2が設けられている。
【0033】
中空体キャビティ10では、3次元屈曲パイプである中空体2が成形される。箱体キャビティ11では、一面が開放された箱体3が成形される。ヒンジキャビティ12では、インテグラルヒンジ4が成形される。
【0034】
金型9は、第1実施形態に係る射出成形装置13に備えられる。尚、第1実施形態に係る射出成形装置13に関し、本発明を特定する事項を除く公知技術(例えば、金型9の各キャビティに樹脂を充填するライナー、中空体2の成形時に押し出される樹脂を逃がす構成等)の説明については省略する。
【0035】
以下、中空体2の一端開口部5に設けられる第1係合部6の成形方法について説明する。尚、中空体2の一端開口部5に設けられる第1係合部6が金型9で成形される際には、箱体3及びインテグラルヒンジ4も同時に金型9で成形される。つまり、金型9では連結成形品1が一体に成形されるが、箱体3及びインテグラルヒンジ4の成形技術は公知技術のため、その説明は省略する。
【0036】
第1実施形態に係る射出成形装置13では、
図4に表したように、中空体キャビティ10の一端に発射台座14及びフローティングコア15が装填された後で、型締めが行われる。
ここに、中空体キャビティ10の一端に発射台座14及びフローティングコア15が装填された状態において、
図4に示すように、中空体キャビティ10の一端部(
図4中下端部)にて、発射台座14とフローティングコア15との協働により第1係合部6を成形するための第1キャビティK1が形成される。
【0037】
発射台座14は、
図5及び
図6に表したように、第1円筒部16、環状平面部17、円錐台部18、第2円筒部19及び加圧孔20を有する。第1円筒部16の外周面は、中空体キャビティ10の一端内周面と合致する。従って、中空体キャビティ10の一端に発射台座14が装填された際は、発射台座14の第1円筒部16が中空体キャビティ10の一端に嵌装される。第1円筒部16の上面円周内側には、環状平面部17が設けられる。環状平面部17の内側には、円錐台部18が設けられる。円錐台部18の上面には、第2円筒部19が設けられる。第2円筒部19と第1円筒部16との間には円錐台部18が設けられることから、第2円筒部19の外径は第1円筒部16の外径より小さい。発射台座14の回転中心軸線上には、加圧孔20が貫通されている。
【0038】
図8乃至
図10に表したように、発射台座14には、フローティングコア15が設置される。フローティングコア15は、円筒部21及び円錐部22を有する。円錐部22は、円筒部21の上側に設けられる。一方、円筒部21の底面には、円筒状凹部23が設けられる。円筒状凹部23は、発射台座14の第2円筒部19と嵌合する。
【0039】
従って、発射台座14の第2円筒部19とフローティングコア15の円筒状凹部23とが嵌め合わされることにより、発射台座14にフローティングコア15が設置される。発射台座14にフローティングコア15が設置されると、フローティングコア15の円筒状凹部23は発射台座14の加圧孔20と接する。
【0040】
発射台座14及びフローティングコア15が中空体キャビティ10の一端に装填され(上記
図4参照)、型締めが行われると、
図11に表したように、中空体キャビティ10に溶融樹脂24が射出・充填される。その後、発射台座14の加圧孔20から流体が圧入される。
【0041】
流体の圧入によって、
図12に表したように、フローティングコア15は、中空体キャビティ10の一端から他端まで移動させられる。フローティングコア15の移動中、中空体キャビティ10では、その内周壁で冷却固化が始まった溶融樹脂24の外周部が残されつつ、冷却が遅れる溶融樹脂24の中心部が押し出される。さらに、溶融樹脂24の外周部は、流体の圧力によって中空体キャビティ10の内周壁に押し付けられることにより、その形状が維持される。
【0042】
溶融樹脂24が固化すると、金型9から連結成形品1が取り出される。連結成形品1を構成する中空体2の一端開口部5では、
図13に表したように、第1係合部6が成形される。さらに詳しく言えば、第1係合部6には、断面が直角三角形状の凸状部25が成形される。
【0043】
凸状部25を有する第1係合部6は、中空体キャビティ10の一端部(
図4中下端部)にて、発射台座14とフローティングコア15との協働により形成される第1キャビティK1内で、溶融樹脂24が充填・固化されることで成形される。
【0044】
[3.まとめ]
以上より、第1実施形態に係る射出成形装置13では、連結成形品1が、パイプ状の中空体2と箱体3とをインテグラルヒンジ4で連結させた状態(上記
図1参照)で、金型9によって一体成形される(上記
図3参照)。一体成形の際は、フローティングコア15が発射台座14に設置された後に(上記
図4参照)、フローティングコア15が発射台座14から金型9の中空体キャビティ10を移動することにより(上記
図11及び上記
図12参照)、中空体2が成形される(上記
図13参照)。
【0045】
さらに、中空体キャビティ10の一端部(
図4中左端部)にて、発射台座14とフローティングコア15との協働により形成される第1キャビティK1で中空体2の一端開口部5に第1係合部6が成形される(上記
図3、上記
図11乃至上記
図13参照)。また、金型9において、箱体キャビティ11の側部(
図3中左側部)に形成された第2キャビティK2によって、第2係合部7が箱体3に成形される(上記
図1及び上記
図3参照)。第2係合部7に第1係合部6が差し込まれると、第2係合部7の凹状部8に第1係合部6の凸状部25が弾性的に係合する。これにより、中空体2と箱体3とは相互に係合連結される。
【0046】
従って、第1実施形態に係る射出成形装置13で製造された連結成形品1では、パイプ状の中空体2と箱体3とがインテグラルヒンジ4で連結されており(上記
図1参照)、インテグラルヒンジ4を屈曲すると、中空体2の一端開口部5に成形された第1係合部6と箱体3に成形された第2係合部7とを係合させることができる(上記
図2参照)。このように、連結成形品1の成形時に箱体3の内側には中空体2の一部が残存することは全くないので、中空体2の一部分を不要部分として切除するための切削工程を省くことができる。
【0047】
さらに、第1実施形態に係る射出成形装置13で製造された連結成形品1では、第1係合部6と第2係合部7とを弾性的に係合させることによって、中空体2と箱体3とを簡単且つ確実に組付接合できる。
【0048】
また、第1実施形態に係る射出成形装置13では、連結成形品1を構成する中空体2、箱体3及びインテグラルヒンジ4が金型9によって一体成形される(上記
図1及び上記
図3参照)。よって、金型サイズのコンパクト化や射出樹脂量の低減化が可能となるので、設備費・材料費等のコストが抑えられる共に生産性を向上させることができる。
【0049】
また、第1実施形態に係る射出成形装置13では、中空体2の一端開口部5にある第1係合部6に凸状部25が成形され(上記
図13参照)、箱体3にある第2係合部7に凹状部8が成形される(上記
図1参照)。
【0050】
第1実施形態に係る射出成形装置13で製造された連結成形品1では、第1係合部6と第2係合部7とを係合させる際には、
図14に表したように、第1係合部6に成形された凸状部25と第2係合部7に成形された凹状部8とを相互の凹凸関係のみで係合するだけであり、中空体2と箱体3とをよりワンタッチで簡単且つ確実に組付接合できるとともに、組付接合の抜け防止をより図ることができる。
【0051】
[4.第2実施形態]
以下、第2実施形態を説明する。尚、第2実施形態に関し、上記第1実施形態と実質的に共通する事項は、図面を用いた説明を省略する場合がある。
【0052】
[4.−1 連結成形品]
図15に表したように、第2実施形態に係る連結成形品101は、パイプ状の中空体102、一面(
図15、
図16では上面)が開放された箱体103及び両者を連結するインテグラルヒンジ104を有しており、溶融樹脂を射出成形して製造された樹脂成形品である。中空体102は、3次元屈曲パイプからなる。インテグラルヒンジ104は、中空体102と箱体103とを連結し、屈曲自在なヒンジである。
【0053】
中空体102の一端開口部105には、その内面に沿って凸状部125の第1係合部106が設けられる。箱体103の側面には、筒状に突出形成された第2係合部107が設けられる。第2係合部107の外周面根元付近には、環状の凹状部108が設けられる。第2係合部107には、スリットS2が設けられる。
【0054】
さらに、中空体102の一端開口部105には、3個のスリットSSが等間隔で設けられる。
【0055】
図16に表したように、第2実施形態に係る連結成形品101では、インテグラルヒンジ104をU字状に屈曲することにより、中空体102と箱体103とを組付接合することができる。組付接合する際は、箱体103にある筒状の第2係合部107に対して、中空体102の一端開口部105に形成された第1係合部106が第2係合部107の外側から差し込まれる。第2係合部107に第1係合部106が差し込まれると、第2係合部107の凹状部108に第1係合部106の凸状部125が弾性的に係合される。
【0056】
さらに、第2係合部107に第1係合部106が差し込まれる際には、中空体102の一端開口部105が各スリットSSにより拡張される。
【0057】
尚、前記第1実施形態に係る連結成形品1では、インテグラルヒンジ4が箱体3の底面に設けられているが(上記
図1及び上記
図2参照)、第2実施形態に係る連結成形品101では、インテグラルヒンジ104が箱体103の側面に設けられる。
【0058】
[4.−2 射出成形装置]
第2実施形態に係る連結成形品101を製造するには、
図17に表した金型109が使用される。金型109は、中空体キャビティ110、箱体キャビティ111及びヒンジキャビティ112が設けられる。中空体キャビティ110及び箱体キャビティ111は、ヒンジキャビティ112を介して連通される。
尚、金型109において、箱体キャビティ111の側部(
図17中下側部)には、後述する第2係合部107を成形するための第2キャビティK4が設けられている。
【0059】
中空体キャビティ110では、3次元屈曲パイプである中空体102が成形される。第2キャビティK4では、一面が開放された箱体103が成形される。ヒンジキャビティ112では、インテグラルヒンジ104が成形される。
【0060】
金型109は、第2実施形態に係る射出成形装置113に備えられる。尚、第2実施形態に係る射出成形装置113に関し、本発明を特定する事項を除く公知技術(例えば、金型109の各キャビティに樹脂を充填するライナー、中空体102の成形時に押し出される樹脂を逃がす構成等)の説明については省略する。
【0061】
以下、中空体102の一端開口部105にある第1係合部106の成形方法について説明する。尚、中空体102の一端開口部105に設けられる第1係合部106が金型109で成形される際には、箱体103及びインテグラルヒンジ104も同時に金型109で成形される。つまり、金型109では連結成形品101が一体に成形されるが、箱体103及びインテグラルヒンジ104の成形技術は公知技術のため、その説明は省略する。
【0062】
第2実施形態に係る射出成形装置113では、
図18に表したように、中空体キャビティ110の一端に発射台座114及びフローティングコア115が装填された後で、型締めが行われる。
ここに、中空体キャビティ110の一端に発射台座114及びフローティングコア115が装填された状態において、
図18に示すように、中空体キャビティ110の一端部(
図18中下端部)にて、発射台座114とフローティングコア115との協働により第1係合部6を成形するための第1キャビティK3が形成される。
【0063】
発射台座114は、
図19に表したように、第1円筒部116、環状平面部117、円錐台部118、第2円筒部119及び加圧孔120を有する。第1円筒部116の外周面は、中空体キャビティ110の一端内周面と合致する。従って、中空体キャビティ110の一端に発射台座114が装填された際は、発射台座114の第1円筒部116が中空体キャビティ110の一端に嵌装される。第1円筒部116の上面円周内側には、環状平面部117が設けられる。環状平面部117の内側には、円錐台部118が設けられる。円錐台部118の上面には、第2円筒部119が設けられる。第2円筒部119と第1円筒部116との間には円錐台部118が設けられることから、第2円筒部119の外径は第1円筒部116の外径より小さい。発射台座114の回転中心軸線上には、加圧孔120が貫通されている。
【0064】
さらに、発射台座114において、3個の突片Pが環状平面部117に等間隔で立設される。各突片Pの根本付近は、円錐台部118に沿って突出されている。各突片Pの外周面は、第1円筒部116の外周面と面一となる。従って、各突片Pの外周面は、中空体キャビティ110の一端内周面と合致する。
【0065】
図20及び
図21に表したように、発射台座114には、フローティングコア115が設置される。フローティングコア115は、円筒部121及び円錐部122を有する。円錐部122は、円筒部121の上面に設けられる。一方、円筒部121の底面には、円筒状凹部123が設けられる。円筒状凹部123は、発射台座114の第2円筒部119と嵌合する。
【0066】
従って、発射台座114の第2円筒部119とフローティングコア115の円筒状凹部123とが嵌め合わされることにより、発射台座114にフローティングコア115が設置される。発射台座114にフローティングコア115が設置されると、フローティングコア115の円筒状凹部123は発射台座114の加圧孔120と接する。
【0067】
さらに、フローティングコア115が有する円筒部121の底面には、円筒状凹部123の周囲にて、円筒部121に向かって上側に広がるテーパ面が設けられる。また、発射台座114にフローティングコア115が設置されると、フローティングコア115の円筒部121が発射台座114の各突片Pと嵌合する。
【0068】
発射台座114及びフローティングコア115が中空体キャビティ110の一端に装填され(上記
図18参照)、型締めが行われると、上記第1実施形態と同様にして(上記
図11参照)、中空体キャビティ110に溶融樹脂が射出・充填される。その後、発射台座114の加圧孔120から流体が圧入される。
【0069】
流体の圧入によって、上記第1実施形態と同様にして(上記
図12参照)、フローティングコア115は、中空体キャビティ110の一端から他端まで移動させられる。フローティングコア115の移動中、中空体キャビティ110では、その内周壁で冷却固化が始まった溶融樹脂の外周部が残されつつ、冷却が遅れる溶融樹脂の中心部が押し出される。さらに、溶融樹脂の外周部は、流体の圧力によって中空体キャビティ110の内壁に押し付けられることにより、その形状が維持される。
【0070】
溶融樹脂が固化すると、金型109から連結成形品101が取り出される。連結成形品101を構成する中空体102の一端開口部105では、上記
図15に表したように、第1係合部106が成形される。さらに詳しく言えば、第1係合部106には、
図22に表したように、断面が二等辺三角形状の凸状部125が成形される。
【0071】
凸状部125を有する第1係合部106は、中空体キャビティ110の一端部(
図18中下端部)にて、発射台座114とフローティングコア115との協働により形成される第1キャビティK3内で、溶融樹脂24が充填・固化されることで成形される。
【0072】
さらに、第1係合部106は、発射台座114の各突片Pにより、上記
図15及び上記
図16に表すように、各スリットSSが形成される。
【0073】
尚、上記第1実施形態に係る連結成形品1では、第1係合部6の凸状部25の断面が直角三角形状である(上記
図13参照)が、第2実施形態に係る連結成形品101では、第1係合部106の凸状部125の断面が二等辺三角形状である。
【0074】
[4.−3 まとめ]
以上より、第2実施形態に係る射出成形装置113では、連結成形品101が、樹脂製パイプ状の中空体102と樹脂製の箱体103とを樹脂製のインテグラルヒンジ104で連結させた状態(上記
図15参照)で、金型109によって一体成形される(上記
図17参照)。一体成形の際は、フローティングコア115が発射台座114に設置された後に(上記
図18参照)、フローティングコア115が発射台座114から金型109の中空体キャビティ110を移動することにより、中空体102が成形される。
【0075】
さらに、中空体キャビティ110の一端部(
図18中下端部)にて、発射台座14とフローティングコア15との協働により形成される第1キャビティK3で中空体2の一端開口部5に第1係合部6が成形される(上記
図15及び
図17参照)。また、金型109において、箱体キャビティ111の側部(
図17中下側部)に形成された第2キャビティK4によって、第2係合部107が箱体103に成形される(上記
図15及び上記
図17参照)。第2係合部107に第1係合部106が差し込まれると、第2係合部107の凹状部108に第1係合部106の凸状部125が弾性的に係合する。これにより、中空体2と箱体3とは相互に係合連結される。
【0076】
従って、第2実施形態に係る射出成形装置113で製造された連結成形品101では、樹脂製パイプ状の中空体102と樹脂製の箱体103とが樹脂製のインテグラルヒンジ104で連結されており(上記
図15参照)、インテグラルヒンジ104を屈曲すると、中空体102の一端開口部105に成形された第1係合部106と箱体103に成形された第2係合部107とを係合させることができる(上記
図16参照)。このように、連結成形品101の成形時に箱体103の内側には中空体102の一部が残存することは全くないので、中空体102の一部分を不要部分として切除するための切削工程を省くことが可能である。
【0077】
さらに、第2実施形態に係る射出成形装置113で製造された連結成形品101では、第1係合部106と第2係合部107とを弾性的に係合させることによって、中空体102と箱体103とを簡単且つ確実に組付接合できる。
【0078】
また、第2実施形態に係る射出成形装置113では、連結成形品101を構成する中空体102、箱体103及びインテグラルヒンジ104が金型109によって一体成形される(上記
図15及び上記
図17参照)。よって、金型サイズのコンパクト化や射出樹脂量の低減化が可能となるので、設備費・材料費等のコストが抑えられる共に生産性を向上させることができる。
【0079】
また、第2実施形態に係る射出成形装置113では、中空体102の一端開口部105にある第1係合部106に凸状部125が成形され(上記
図22参照)、箱体103にある第2係合部107に凹状部108が成形される(上記
図15参照)。
【0080】
従って、第2実施形態に係る射出成形装置113で製造された連結成形品101では、第1係合部106と第2係合部107とを係合させる際には、上記
図22に表したように、第1係合部106に成形された凸状部125と第2係合部107に成形された凹状部108とを相互の凹凸関係のみで係合するだけであり、中空体102と箱体103とをワンタッチでより簡単且つ確実に組付接合できると共に、組付接合の抜け防止をより図ることができる。
【0081】
また、第2実施形態に係る射出成形装置113では、発射台座114に設けられた各突片Pによって(上記
図19及び上記
図20参照)、中空体102の一端開口部105に各スリットSSが成形される(上記
図15及び上記
図16参照)。
【0082】
従って、第2実施形態に係る射出成形装置113で製造された連結成形品101では、第1係合部106と第2係合部107とを係合させる際には、中空体102の一端開口部105に成形された各スリットSSにより、中空体102の一端開口部105に成形された第1係合部106が拡張するので、中空体102と箱体103とをより一層簡単且つ確実に組付接合できる。
【0083】
[5.変形例]
尚、本発明は上記各実施形態1及び2に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、上述した射出成形装置13,113では、中空体キャビティ10,110の一端に発射台座14,114及びフローティングコア15,115が装填される(例えば、上記
図4及び上記
図18参照)。
【0084】
しかしながら、そのような装填に代え、中空体キャビティ10,110の一端を形成する金型9,109に対して、発射台座14,114の環状平面部17,117を圧接させてもよい。この変形例では、中空体キャビティ10,110の一端に、発射台座14,114の円錐台部18,118及び第2円筒部19,119が挿入されると共に、フローティングコア15,115も挿入される。
【0085】
さらに、この変形例において、中空体キャビティ110の一端に発射台座114の円錐台部118及び第2円筒部119が挿入されるケースでは、発射台座114の各突片Pが嵌合する各切込部を、金型109(中空体キャビティ110の一端内壁)に形成する。