(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくとも1つのヒンジに固定される冷蔵装置(20)のドア(21)を、少なくとも1つの別の単軸または多軸ヒンジ(13)に固定される家具本体(10)のドア(11)と連結させるためのスライドドア取付具であり、
前記家具本体の中に前記冷蔵装置(20)が設置され、案内部材(30)と、前記案内部材(30)により案内されるスライダ(40)とを有するスライドドア取付具であって、
前記案内部材(30)が、前記ドア(11、21)の一方に配置され、前記スライダ(40)が他方の前記ドア(21、11)に配置されるスライドドア取付具において、前記スライダ(40)と前記案内部材(30)との間の相対運動を前記相対運動の少なくとも1つの所定の部分に渡って減衰するための少なくとも1つの減衰装置(35)を有し、
前記スライダ(40)の一方の端部に、搬送プレート(42)が旋回可能であるようにヒンジにより接続されていることを特徴とする
スライドドア取付具。
少なくとも1つのヒンジに固定される冷蔵装置(20)のドア(21)を、少なくとも1つの別の単軸または多軸ヒンジ(13)に固定される家具本体(10)のドア(11)と連結させるためのスライドドア取付具であり、
前記家具本体の中に前記冷蔵装置(20)が設置され、案内部材(30)と、前記案内部材(30)により案内されるスライダ(40)とを有するスライドドア取付具であって、
前記案内部材(30)が、前記ドア(11、21)の一方に配置され、前記スライダ(40)が他方の前記ドア(21、11)に配置されるスライドドア取付具において、前記スライダ(40)と前記案内部材(30)との間の相対運動を前記相対運動の少なくとも1つの所定の部分に渡って減衰するための少なくとも1つの減衰装置(35)を有し、
前記スライダ(40)が、柔軟であるとともに端部に搬送プレート(42)が角度をなして配置されるプッシュロッド(41)を有することを特徴とする
スライドドア取付具。
前記スライダ(40)と前記案内部材(30)との間の相対運動を減衰するための少なくとも1つのさらなる減衰装置が設けられており、これが前記減衰装置(35)の減衰方向と反対方向の相対運動を減衰する
請求項1から11のいずれか一項に記載のスライドドア取付具。
前記少なくとも1つの減衰装置(35)および/または前記少なくとも1つのさらなる減衰装置が回転式ダンパであり、前記スライダ(40)が、少なくとも部分的に歯付きロッドとして構成されるプッシュロッド(41)を有する
請求項12または13に記載のスライドドア取付具。
【背景技術】
【0003】
より利便性の高い操作のため、両ドアは相互に連結されており、これにより装置ドアの開閉は家具ドアを動かすことにより行われる。
この目的のために、たとえば特許文献1より2つのドアが相互にこれらの旋回運動の観点で連結され、異なる回転または旋回軸によって生じる2つのドアのヒンジと反対側の縁部のずれが相殺されるスライドドア取付具が公知である。
【0004】
その他の厨房用家具のドアのように、このようなビルトイン式の冷蔵装置のドアに関しても、閉鎖の動作、そして選択的に開放動作も減衰させることが好ましい。
家具ドアの減衰は、ヒンジ内に組み込まれる減衰装置により行われることが多い。
組み込み式の減衰装置を有するヒンジは家具本体の内部に比較的大きく食い込み、家具本体内における冷蔵装置用設置スペースが小さくなってしまうため、このようなヒンジはビルトイン式冷蔵装置用の家具本体のドアの場合には不都合である。
【0005】
家具本体内へのビルトイン式装置として適切な冷蔵装置および/または冷凍庫は、特許文献2より公知である。
この装置では、減衰装置が冷蔵装置のドアに組み込まれている。
しかし、このような組み込み式の減衰装置がない冷蔵装置にも減衰性能を設けられることが好ましい。
【0006】
特許文献3からは、家具ドアと装置ドアとの間のスライドドア取付具に加えて配置される減衰装置が公知である。
しかし、この減衰装置を設置するには深さが必要であり、冷蔵装置ドアと家具ドアとの間の隙間を約数ミリとわずかなものとするためには、冷蔵装置のドアに凹部を設けることが必要となる。
したがって、この構成を普遍的に使用する、あるいは後付することが不可能となってしまう。
さらに、追加的な減衰装置によって、家具本体に冷蔵装置を設置する際の取り付けの手間が増加してしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、家具本体のドアおよび冷蔵装置のドアが相互に連結され、冷蔵装置に特殊な設計をすることなく、また家具本体内における冷蔵装置用の設置スペースが減衰機能により減少することなく、両ドアの動作の減衰が達成される家具本体内における冷蔵装置の構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、まず独立請求項1の特徴を有するスライドドア取付具により解決される。
このスライドドア取付具の有利な実施形態および改良は従属請求項の主題である。
【0010】
本発明に係る上述の種のスライドドア取付具は、スライダと案内部材との間の相対運動を相対運動の少なくとも1つの所定の部分で減衰するための少なくとも1つの減衰装置を有することを特徴とする。
【0011】
減衰装置をスライドドア取付具に組み込むことにより、2つのドアの連結において小型な構造が提供され、同時に開放および/または閉鎖の動作の減衰も提供される。
このスライドドア取付具は、ドア連結用にのみ使用される公知の取付具と同様に、市販の冷蔵装置に普遍的に使用、または後付けされることが可能である。
【0012】
スライドドア取付具の好適な実施形態では、スライダは案内部材により滑り支承案内で案内される。
これによりスライドドア取付具の簡単かつ費用効率の高い構造が可能になる。
【0013】
スライドドア取付具の別の好適な実施形態では、複数の減衰装置が設けられ、これらは相互に隣接して案内部材内、または案内部材上、あるいはスライダ内、またはスライダ上に配置される。
複数の減衰装置に減衰作動を配分することにより、最も平坦な減衰装置を使用することが可能になる。
相互に隣接して配置することによって、スライドドア取付具もこれに対応して設置高さが低く抑えられる。
【0014】
さらに別の好適な実施形態では、スライドドア取付具は、少なくとも1つの蓄力器を有し、これはスライドドア取付具により連結されるドアの開放および/または閉鎖によって荷重がかけられるよう配置されている。
この少なくとも1つの蓄力器は好適には、ドアの特定の開閉角度からスライダに案内部材に対する力を加える。
さらに、この少なくとも1つの蓄力器は好適には少なくとも1つの減衰装置に直接的または間接的に動作上接続しており、減衰方向で減衰装置に力を加える。
【0015】
さらなる好適な実施形態では、スライドドア取付具は少なくとも1つの搬送体を有し、これは少なくとも1つの蓄力器と協働する。
この場合、搬送体は制御部材により案内されることが可能であり、その際、制御部材が案内部材内または案内部材上に設けられており、搬送体は相対運動の少なくとも一部分に渡ってスライダと係合しているか、または制御部材はスライダ内またはスライダ上に設けられており、搬送体は相対運動の少なくとも一部分に渡って案内部材と係合している。
少なくとも1つの搬送体は好適には、ドアのいずれか1つの前面に対してほぼ垂直である軸線を中心に旋回可能に取り付けられる。
【0016】
ドアには自動閉鎖機能が設けられるか、またはドアの閉鎖動作は蓄力器により補助される。
これにより、冷蔵装置のドアの操作が簡単になり、装置の機能において重要である装置ドアの閉鎖が確実に行われる。
【0017】
スライドドア取付具の別の好適な実施形態では、スライダと案内部材との間の相対運動の減衰のための少なくとも1つのさらなる減衰装置が設けられ、これは減衰装置の減衰方向と反対方向の相対運動を減衰する。
これにより、ドアは閉鎖動作の際にのみ減衰されるのでなく、最大開放角度までの開放の際にも減衰される。
ヒンジの過剰な伸展やドアがたとえば壁等にぶつかることも回避することが可能である。
【0018】
スライドドア取付具のさらに別の実施形態では、少なくとも1つの減衰装置および/または少なくとも1つのさらなる減衰装置は、シリンダとリフトロッドとを有し直線的に作動する装置である。
別の好適な実施形態では、少なくとも1つの減衰装置および/またはさらなる減衰装置は回転式ダンパであり、少なくとも部分的に歯付きロッドとして構成されるプッシュロッドをスライダが有する。
これらの構成ではいずれも、スライダの案内部材に対する直線的な移動動作の減衰が可能である。
いずれの形態の構成でも減衰装置の平坦な構成が可能である。
【0019】
さらに別のスライドドア取付具の好適な実施形態では、スライダの一方の端部で旋回可能であるように搬送プレートが配置されているか、または柔軟であるとともに端部に搬送プレートが角度をなして配置されているプッシュロッドをスライダが有する。
装置ドアおよび家具ドアの2つのドアの異なる旋回軸のため、ドア開閉時にドアの自由端部は相互に対しての移動動作を行うだけでなく、相互に対してわずかに旋回もする。
この旋回は、旋回可能な上述の搬送プレートまたは十分な長さを有する柔軟なプッシュロッドにより可能になる。
【0020】
さらなる好適な実施形態では、スライドドア取付具は少なくとも1つの調節範囲用の少なくとも1つの調節装置を有する。
このような
調節範囲は、実施形態に応じて、特には、減衰作動の大きさおよび/または蓄力器の作動の大きさおよび/または減衰作動が開始するスライダと案内部材との間の相対位置である。
連結されるドアの開閉速度および/または減衰および/または自動引き込み作動が開始するドアの開閉角度もこのようにして個々の要件や冷蔵装置にそれぞれ適応されることが可能である。
【0021】
図面を参照して本発明を例示的な実施形態に基づき以下に詳細に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(実施の形態1)
図1は、たとえば2つのヒンジ13を介して家具本体10の側壁に固定されている家具ドア11が開いた状態の家具本体10の概略斜視図である。
冷蔵装置20、たとえば冷蔵庫または冷凍庫が、家具本体10内に設置されている。
冷蔵装置20は、ここでは閉じられた状態にある装置ドア21を有する。
【0024】
本出願に係るスライドドア取付具が、家具ドア11の自由縁部12の領域に設置されている。
スライドドア取付具は、家具ドア11に固定される案内部材30と、これに対して移動可能であるとともに案内部材30により案内されるスライダ40とを備える。
図1aは、家具ドア11におけるスライドドア取付具の設置を示すために、設置途中の状態を図示している。
【0025】
図1bは、
図1aのスライドドア取付具の領域を拡大して詳細に示している。
案内部材30は、固定用穴32を有するカバー31を有し、この穴を通してスライドドア取付具が家具ドア11にねじ留めされる。
案内部材30は実質的に長方形の底面を有するプレート状に実施されており、これにより案内部材30は家具ドア11の面に配置される。
この底面に対して垂直に、案内部材30は数ミリメートルから約10mmの低い設置高さを有する。
【0026】
スライダ40は、案内部材30の底面に対して平行に位置合わせされるプッシュロッド41を備え、その自由端部にプッシュロッド41とほぼ垂直である搬送プレート42が取り付けられている。
搬送プレート42およびプッシュロッド41は、相互に強固に接続されているのではなく、プッシュロッド41と搬送プレート42とを接続するピンにより形成されるヒンジにより接続されている。
プッシュロッド41と搬送プレート42との間の角度は、ヒンジによりある角度範囲内で変更されることが可能である。
【0027】
図2aは、
図1aと同様に、家具本体10内に設置される冷蔵装置20を示しているが、ここではスライドドア取付具は完全に設置された状態である。
家具ドア11および装置ドア21は、ドア11、21のヒンジと反対側のそれぞれの旋回可能な自由縁部12または22の領域でスライドドア取付具により相互に連結されている。
図示される実施形態では両ドア11、21は開いている。
冷蔵装置20の装置ドア21を支持するヒンジは多くの場合ピンヒンジであるが、この図では見えないようになっている。
【0028】
図2bは、
図1bと同様に、
図2aのスライドドア取付具の領域の詳細を示している。
搬送プレート42が、装置ドア21の自由縁部22上にあり、たとえばねじ接続によりこれに接続されていることが明らかである。
家具ドア11または装置ドア21を開くと、2つのドア11、21のそれぞれの自由縁部12または22の相互に対する相対運動が生じ、これにより一方で移動が行われ、他方では相互に対して2つの縁部12、22のわずかな旋回が生じる。
2つの縁部12、22の相互に対する旋回は、搬送プレート42のプッシュロッド41に対する傾動性により相殺される。
縁部12、22の相互に対する移動により、スライダ40の案内部材30に対する移動が生じる。
したがって、
図2bではスライダ40は、
図1aおよび1bに見られるその休止位置から外れて案内部材30内へ押される。
このような案内部材30への動作は、角度をなして突出する搬送プレート42があるものの、カバー31内の対応する凹部により可能になる。
【0029】
図3aから3cは、本出願に係るスライドドア取付具の例示的な実施形態をより詳細に示している。
スライドドア取付具の内部構造を見せるため、これら3つの図においてスライドドア取付具はカバー31のない状態で示されている。
【0030】
図3a、3b、3cでは、スライダ40の案内部材30に対する位置がそれぞれ異なっている。
図3aは、スライドドア取付具のスライダ40が休止位置にある状態を示しており、これは
図1aおよび1bでも示されている。
図3cは、スライダ40が案内部材30内に最大限押し込まれているスライダ40の終端位置を示している。
図3bは、
図3aの休止位置と
図3cの終端位置との間のスライダ40の中央位置を示している。
【0031】
案内部材30は、ベースプレート33を有し、この上に
図1bおよび2bで示されているカバー31が配置される。
したがって、ここでは細長い穴として実施されている固定用穴32がベースプレート33にカバー31と同じ位置に設けられている。
カバー31はベースプレート33と係止されることが可能である。
設置された状態では、共通の固定ねじで追加的に保持される。
ベースプレート33は、たとえばアルミニウムまたは亜鉛ダイカスト部品またはプラスチック射出成型部品として一体的に製造可能である。
【0032】
ベースプレート33の長手方向に位置合わせされる案内部34が、たとえば蟻継ぎまたはT溝式の滑り支承案内として、ベースプレート33内に設けられる。
案内部34は、ベースプレート33の横方向に対して中央に配置される。
スライダ40は、案内部34の形状に適合されるプッシュロッド41で案内部34に挿入される。
【0033】
案内部材30内の搬送体プレート42に対向する端部でプッシュロッド41はT字状にハンマー状の頭部43に移行する。
この頭部43が、
図3aでのみ示されている減衰装置35のリフトロッド36と相互作用する。
減衰装置35はたとえば、空気または流体減衰装置であることが可能である。
ここでは、4つの減衰装置35が設けられており、これらはそれぞれ2つの組になって案内部34に隣接して対称的に配置される。
基本的には、それ以外の数の減衰装置35を設けることも可能である。
相互に隣接して配置される複数の減衰装置35は、スライドドア取付具の構造上の高さが低くても、十分な大きさの減衰効果が得られるという長所を有する。
【0034】
図示される実施形態では、直線的に作動する公知のシリンダダンパが減衰装置35として使用される。
そのリフトロッド36はわずかにばね荷重を受けて頭部43を押圧して、頭部が図示される休止位置から終端位置の方向へ(図面では左方向へ)減衰作動なしで移動可能になる。
休止位置への逆方向の動きの際は、減衰装置35の減衰作動は、頭部43がリフトロッド36の自由端部に当たると開始する。
ここで図示される実施形態では、リフトロッド36のストロークは、スライダ40の休止位置と終端位置との間の移動距離より小さい。
したがって、減衰は全体の距離に渡って行われるのではなく、リフトロッド36のストロークにより画定される、休止位置の前の部分でのみ行われる。
【0035】
案内部34内には、一定量の遊びが設けられることが可能であり、これはベースプレート33の縁領域に向かって徐々に大きくなる。
こうして、プッシュロッド41は案内方向に対して垂直、またベースプレートに対して平行の方向に遊びを得る。
家具ドア11および装置ドア21の回転または旋回軸が相互に正確に平行に延伸していない場合、これはドア11、21の旋回時に、装置ドア21の縁部22がその高さにおいて家具ドア11の縁部12に対してずれることとなる。
このような動作は、上述のプッシュロッド41の遊びにより相殺されることが可能である。
【0036】
さらに、ここではフック状の湾曲部37として設けられる2つの制御部材がベースプレート33内に組み込まれる。
各制御部材内で搬送体38が移動する。
搬送体38は、相互に対向している凹部を有し、この中にスライダ40の頭部43がその延長部で係合する。
以下この部分は始動部材44と称する。
また、ここではばね39として実施されている蓄力器が各搬送体38に割り当てられる。
ばね39は引張ばねとして構成されており、一方の端部で搬送体38に固定され、他方の端部ではベースプレート33の固定点に固定され、これによりスライダ40が始動部材44および搬送体38によって休止位置へ引っ張られる。
ここでは、ばね39は休止位置で予荷重をかけられることが可能である。
【0037】
図3bは、ドア11、21の約50°の開放角度に相当するスライダ40の位置でのスライドドア取付部を示している。
開放角度0°はドア11、21の閉鎖された状態、ならびに約90°の開放角度はドア11、21が直角に開かれた状態である。
【0038】
図3bでは、ダンパ35のリフトロッド36がすでに完全に延伸しており頭部43を押圧していないことが見られる。
他方で、搬送体38の案内頭部がフック状湾曲部の端部にほぼ達しており、図面では始動部材44と協働する受容開口部の左端が、始動部材44とはもう係合していない程度に相互から離間したことも見ることができる。
したがって、引張ばね39がさらに荷重を受けることなく、スライダ40が終端位置の方向へさらに移動することが可能である。
【0039】
フック状湾曲部37の形状、また搬送体38のカンチレバーアームにおけるばね39の力がかかる個所によって、このアームはフック状湾曲部37の端部内に留まる。
これは、スライダ40が終端位置にある、
図3cに示されている。
【0040】
スライドドア取付具の使用時には、必ずしもこの終端位置に達するわけではない。
しかし、スライドドア取付具は、その移動距離によって家具ドア11および装置ドア21の所望の最大開放角度が得られるように寸法決めされなくてならない。
ドア11、21の最大開放角度は、スライドドア取付具の終端位置により画定されることが考えられる。
しかし、最大開放位置は、家具本体10のヒンジ13または冷蔵装置のヒンジにより定められることも可能である。
【0041】
ドア11、21の閉鎖作動の際には、スライダ40はまず休止位置の方向へ(
図3aから3cでは右へ)移動する。
図3bに示される中央位置を通過する際、搬送体38はまずフック状湾曲部37の端部位置から出るように移動し、その際ばね39の引張力が搬送体38およびスライダ40に加わり、ドア11、21の自動閉鎖機能が提供される。
さらに閉鎖される際には、頭部43が減衰装置35のリフトロッド36の端部上に配置され、これにより冷蔵装置の休止位置まで減衰されて閉鎖が行われる。
【0042】
(実施の形態2)
スライドドア取付具の別の実施形態では、家具ドア11または装置ドア21の閉鎖時の減衰機能に加えて、ドア11、21の最大開放角度への移動時に減衰させることも考えられる。
この目的のため、1つまたは複数のさらなる減衰装置が、案内部材30内で減衰装置35に加えてベースプレート33の対向する端部領域に配置可能であり、ここに頭部43が終端位置への移動時に当たる。
このさらなる減衰装置もたとえば空気または流体減衰装置として実施されることが可能である。
さらなる減衰装置でドア11、21の最大開放角度への移動時に減衰される距離が極めて小さい可能性もあるため、さらなる減衰装置は柔軟性を有する部材として実施されることも可能である。
【0043】
(実施の形態3)
スライドドア取付具の別の実施形態では、
図3aから3cに示される直線的に作動する減衰装置35が、1つまたは複数の回転ダンパとして設けられることも可能である。
この目的のため、プッシュロッド41はたとえば歯付ロッドとして実施可能である。
プッシュロッド41の歯車の歯と協働する歯車が取り付けられる回転ダンパは、ベースプレート33内に配置される。
この場合、休止位置の領域内の所定の移動距離でのみ減衰が行われるよう、歯はプッシュロッド41に部分的にのみ設けられていることが考えられる。
【0044】
(実施の形態4)
スライドドア取付具のさらに別の実施形態では、プッシュロッド41の長さが、搬送プレート42が案内部材30の底面外に配置されており、スライダ40の移動経路全体に渡ってベースプレート33の上には直接配置されないよう、十分な長さに実施されることが可能である。
カバー31はしたがって、上側に切欠きを有する必要がなく、側部にプッシュロッド用の凹部があればよい。
この実施形態では、案内部材30は、家具ドア11と装置ドア21との間に完全に隠されて設置されることができ、ドア11、21の開放時にも見えなくなっている。
さらにプッシュロッド41が、わずかに柔軟性を有するよう構成されていると、開放動作の際の2つのドア11、21の縁部12または22の相互に対する旋回が、長く柔軟なプッシュロッド41により相殺されるため、搬送プレート42のプッシュロッド41に対する旋回性は省略することができる。
すると搬送プレート42はプッシュロッド41と一体的に、たとえばプラスチック射出成型部品として実施されることが可能である。
【0045】
(実施の形態5)
スライドドア取付具のさらに別の実施形態では、少なくとも1つの減衰装置35の減衰作動の調節を可能にする調節装置が備えられることが可能である。
減衰装置35が空気または流体減衰装置として実施されている場合、減衰作動の調節は、たとえばスロットルねじを使用して公知の方法で行われることが可能である。
この調節装置により、たとえば協働するドア11、21の閉鎖および/または開放速度を調節することが可能である。
これは、既存のビルトイン式の家庭用装置と家具本体ドアに後付けする際に必要となり得る。
【0046】
(実施の形態6)
スライドドア取付具のさらに別の実施形態では、少なくとも1つの減衰装置35に作用する蓄力器、すなわちたとえばばね39の閉鎖および/または開放の力が調節可能であることによって、閉鎖および/または開放速度の調節を可能にする調節装置が設けられることが可能である。
これはたとえば、調節ねじまたはウォームギアによるばね39の長さ調整により行われることが可能である。
たとえば蓄力器がコイルばねとして実施されている場合、力の変更のために、調節装置によりコイルばねをより多くまたはより少なく巻き上げることが可能である。
【0047】
(実施の形態7)
スライドドア取付具のさらに別の実施形態では、少なくとも1つの減衰装置35の減衰作動が開始する閉鎖および/または開放角度が変更できる調節装置が設けられることが可能である。
図示される実施形態では、細長い穴として構成される固定用穴32が、この種の簡単な調節装置として示されている。
スライドドア取付具がドアの1つに固定的にねじ締めされた後に作動可能である調節装置も考えられる。
たとえば、少なくとも1つの減衰装置が、ウォームギアまたは調節ねじにより対応位置に移動されることが考えられる。
選択的にまたは追加で、少なくとも1つの減衰装置35を始動させる手段、たとえばスライダ40の頭部43の減衰装置35に対する相対位置がスライドドア取付具内において変更されることが考えられる。
この目的のため、たとえば少なくとも1つの減衰装置35は、スライドドア取付具内で案内部材30に対して移動可能であるよう設置されることが可能であり、これによりスライダ40の頭部43が、スライダ40の様々な位置で減衰装置35のリフトロッド36の端部に配置される。
【0048】
上述の調節装置は、スライドドア取付具の少なくとも1つの調節範囲に作用する。
この調節範囲は、実施形態に応じて、特には、
減衰作動の大きさおよび/または蓄力器の作動の大きさおよび/または減衰作動が開始するスライダと案内部材との間の相対位置である。
【0049】
ここでは冷蔵装置に関連してスライドドア取付具の説明をしたが、家具ドアを有する家具本体内に設置され、個別の装置ドアを有するその他のビルトイン式の家庭用装置にも使用可能であることは自明である。