(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6295266
(24)【登録日】2018年2月23日
(45)【発行日】2018年3月14日
(54)【発明の名称】制御されたスペクトル特性及び角度分布を備える発光装置
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20180305BHJP
F21V 9/00 20180101ALI20180305BHJP
F21S 8/08 20060101ALI20180305BHJP
F21S 41/00 20180101ALI20180305BHJP
F21S 43/00 20180101ALI20180305BHJP
F21S 45/00 20180101ALI20180305BHJP
F21W 103/00 20180101ALN20180305BHJP
F21W 104/00 20180101ALN20180305BHJP
F21W 105/00 20180101ALN20180305BHJP
F21W 107/13 20180101ALN20180305BHJP
F21W 102/00 20180101ALN20180305BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20180305BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20180305BHJP
【FI】
F21S2/00 100
F21V9/16 100
F21S8/08 110
F21S2/00 311
F21S8/10 130
F21W101:023
F21W101:10
F21Y115:10
F21Y115:30
【請求項の数】12
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-543562(P2015-543562)
(86)(22)【出願日】2013年11月28日
(65)【公表番号】特表2016-502237(P2016-502237A)
(43)【公表日】2016年1月21日
(86)【国際出願番号】IB2013060466
(87)【国際公開番号】WO2014083523
(87)【国際公開日】20140605
【審査請求日】2016年11月24日
(31)【優先権主張番号】61/730,626
(32)【優先日】2012年11月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】フィリップス ライティング ホールディング ビー ヴィ
(74)【代理人】
【識別番号】100163821
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 沙希子
(72)【発明者】
【氏名】ファン ボメル タイス
(72)【発明者】
【氏名】ヒクメット リファト アタ ムスタファ
【審査官】
當間 庸裕
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−175802(JP,A)
【文献】
特表2003−503815(JP,A)
【文献】
特開2012−022986(JP,A)
【文献】
特開2012−084457(JP,A)
【文献】
特表2010−514209(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21S 8/08
F21S 41/00
F21S 43/00
F21S 45/00
F21V 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光装置であり、
第1光部及び第2光部を含む光分布を供給するよう構成される、光源の少なくとも1つのグループを形成する複数の固体光源であって、前記固体光源の少なくとも幾つかが、507±30nmの主波長を持つ第1波長範囲の光を発するよう適応される複数の固体光源と、
前記発光装置を出る出力光であって、中央出力光及び周囲出力光を含む出力光をもたらすために、前記光源によって発せられる光を少なくとも部分的にコリメートするよう適応される少なくとも1つの光学部品とを有する発光装置であって、前記中央出力光が、555±20nmの主波長及び少なくとも3cd/m2の光強度を持ち、前記周囲出力光が、507±30nmの主波長及び3cd/m2未満の光強度を持ち、前記発光装置が、少なくとも、前記第1波長範囲の光を、555±20nmの主波長を持つ第2波長範囲の光に変換することができる第1波長変換部材であって、前記複数の固体光源の少なくとも幾つかによって供給される前記第1光部を受け、少なくとも部分的に変換するよう構成され、且つ前記固体光源によって供給される前記第2光部が前記第1波長変換部材の脇を通ることを可能するよう構成される第1波長変換部材を更に有する発光装置。
【請求項2】
前記第1光部及び前記出力光の中央部を供給するための固体光源の第1グループと、前記第2光部及び前記出力光の周囲部を供給するための固体光源の第2グループとを有する請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
少なくとも1つの第1固体光源によって発せられる光が、前記第1波長変換部材によって受け取られ、少なくとも1つの第2固体光源によって発せられる光が、前記第1波長変換部材によって受け取られない請求項2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの第1固体光源が、第1光混合チャンバ内に配設され、前記第1波長変換部材が、前記第1光混合チャンバの光出射窓を形成し、前記少なくとも1つの第2固体光源が、前記第1光混合チャンバの外に配設される請求項3に記載の発光装置。
【請求項5】
前記中央出力光を形成するために前記第1光部を少なくとも部分的にコリメートするよう構成される第1光学部品と、前記周囲出力光を形成するために前記第2光部を少なくとも部分的にコリメートするよう構成される第2光学部品とを有し、前記第2光学部品が、前記第1光学部品より広い角度分布の光を供給する請求項1に記載の発光装置。
【請求項6】
前記中央出力光を形成するために、前記第2波長範囲の光を前記発光装置の中央光出射窓の方へ向けるよう構成される第1反射器又は屈折光学部品を有する請求項1に記載の発光装置。
【請求項7】
前記周囲出力光を形成するために、前記第2光部の光を前記発光装置の外側光出射窓の方へ向けるよう構成される第2反射器又は第2屈折光学部品を有する請求項1に記載の発光装置。
【請求項8】
前記第1波長変換部材が、量子ドットを有する請求項1に記載の発光装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の発光装置を有するランプ又は照明器具。
【請求項10】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の発光装置を有する街灯。
【請求項11】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の発光装置を有するトーチライト。
【請求項12】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の発光装置を有する、二輪車のランプなどの車両用のヘッドライト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所望のスペクトル特性及び角度分布を持つ出力光を供給するよう適応される固体光源を有する発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人間の眼の感度は、光強度条件に依存する。視覚が桿体細胞によって伝えられる、暗所視状態と呼ばれる、<0.01cd/m
2の低い光強度においては、眼は、507nmあたりに感度ピークを持ち、相対的に短い波長に対してより敏感である。逆に、視覚が主に錐体細胞によって伝えられる、明所視状態と呼ばれる、>3cd/m
2の高い光強度においては、眼は、555nmあたりに感度ピークを持ち、より長い波長に対してより敏感である。
【0003】
WO2006/132533は、夜間における良好な可視性と高い効率を兼ね備える、公共空間のための照明装置を提供することを目的としている。この目的のため、WO2006/132533は、第1波長領域及び第2波長領域の光を生成するのに適した固体光源を有する照明装置を提案している。第1波長領域は、500乃至550nmの波長を有し、第2波長領域は、560乃至610nmの波長を有する。照明装置は、人間の眼の感度が桿状体によって支配される(即ち、暗所視になる)ように第1波長領域からの主波長を持つ光を生成するよう設計される。
【0004】
しかしながら、WO2006/132533において提案されている解決策の不利な点は、照明装置の真下の位置において、色認識が依然として不十分であることである。従って、当業界においては、屋外照明に適している改善された照明装置のニーズがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、この問題を解決し、発光装置の真下及び前記発光装置から離れたところでの物体及び/又は色の可視性を向上させる発光装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、この及び他の目的は、発光装置であり、
− 第1光部及び第2光部を含む光分布を供給するよう構成される、光源の少なくとも1つのグループを形成する複数の固体光源と、
− 前記発光装置を出る出力光であって、中央出力光及び周囲出力光を含む出力光をもたらすために、前記光源によって発せられる光を少なくとも部分的にコリメートするよう適応される少なくとも1つの光学部品とを有する発光装置であって、前記中央出力光が、555±20nmの主波長及び少なくとも3cd/m
2の光強度を持ち、前記周囲出力光が、507±30nmの主波長及び3cd/m
2未満の光強度を持つ発光装置によって達成される。
【0007】
本発明の発光装置は、とりわけ、夜明け、夕暮れ及び夜のような環境照明が乏しい状態における屋外照明に非常に適している。前記発光装置の真正面(ダウンライトの場合には、真下)に発せられる波長は、色覚が向上されるように、明所視の状態における眼の感度に合うよう適応される。同時に、発せられる光の、強度がより低い周囲領域においては、発せられる波長は、前記光源からより遠く離れている物体の良好な可視性も供給するように、暗所視の状態における眼の感度に厳密に合うよう適応される。
【0008】
本発明の実施例においては、前記固体光源の少なくとも幾つかが、第1波長範囲の光を発するよう適応されてもよい。その場合、前記発光装置は、少なくとも、前記第1波長範囲の光を第2波長範囲の光に変換することができる第1波長変換部材を更に有する。前記波長変換部材は、一般に、前記複数の固体光源によって発せられる前記第1光部を受け、少なくとも部分的に変換するよう構成され、且つ前記固体光源によって発せられる前記第2光部が前記第1波長変換部材の脇を通ることを可能するよう構成される。例えば、少なくとも1つの第1固体光源によって発せられる光は、前記第1波長変換部材によって受け取られることができ、少なくとも1つの第2固体光源によって発せられる光は、前記第1波長変換部材は、前記第1波長変換部材を避け得る(例えば、前記第1波長変換部材の脇を通り得る)。
【0009】
前記第1波長範囲は、507±30nmの主波長を持ち得る。
【0010】
本発明の実施例においては、前記発光装置は、前記第1光部及び前記出力光の中央部を供給するための固体光源の第1グループと、前記第2光部及び前記出力光の周囲部を供給するための固体光源の第2グループとを有し得る。
【0011】
本発明の実施例においては、前記少なくとも1つの第1固体光源は、第1光混合チャンバ内に配設されてもよく、前記波長変換部材は、前記光混合チャンバの光出射窓を形成してもよく、前記少なくとも1つの第2固体光源は、前記第1光混合チャンバの外に配設されてもよい。幾つかの実施例においては、前記少なくとも1つの第2固体光源は、第2光混合チャンバ内に配設されてもよい。
【0012】
本発明の実施例においては、前記波長変換部材は、前記少なくとも1つの第1固体光源を覆い得る。
【0013】
本発明の実施例においては、前記発光装置は、前記周囲光部を受けるよう構成される第2波長変換部材であって、前記第1波長範囲の光を第3波長範囲の光に変換することができる第2波長変換材料を含む第2波長変換部材を更に有する。前記第3波長範囲は、507±30nmの主波長を持ち得る。暗所視の光条件のための所望の波長を供給するために波長変換材料を用いることは、異なる発光スペクトルを持つ光源の使用を可能にする。
【0014】
本発明の実施例においては、前記発光装置は、前記中央出力光を形成するために前記第1光部を少なくとも部分的にコリメートするよう構成される第1光学部品と、前記周囲出力光を形成するために前記第2光部を少なくとも部分的にコリメートするよう構成される第2光学部品とを有してもよく、前記第2光学部品は、前記第1光学部品より広い角度分布の光を供給する。従って、前記光源からの光は、各々、前記中央部及び周囲部を形成するよう効果的に方向付けられ得る。
【0015】
波長変換部材を用いる本発明の実施例においては、前記発光装置は、前記中央出力光を形成するために、前記第2波長範囲の光を前記発光装置の中央光出射窓の方へ向けるよう構成される第1反射器又は屈折光学部品を有してもよい。
【0016】
更に、波長変換部材を用いる本発明の実施例においては、前記発光装置は、前記周囲出力光を形成するために、前記第2光部の光を前記発光装置の外側光出射窓の方へ向けるよう構成される第2反射器又は第2屈折光学部品を有してもよい。この文脈における「第2」は、その位置及び/又は機能を指すために用いられており、「第1」反射器又は屈折光学部品を必要とするように解釈されるべきではなく、上記のような第1反射器又は光学部品が存在せずとも、前記発光装置が、前記第2光部の光を外側光出射窓の方へ向けるよう構成される前記第2反射器又は第2屈折光学部品を有し得ることが考えられる。
本発明の実施例においては、前記第1光学部品は、第1光源と光学的接触するよう構成されてもよく、前記第2光学部品は、第2光源と光学的接触するよう構成されてもよい。
【0017】
本発明の実施例においては、前記波長変換部材は、量子ドットを有してもよい。第2波長変換部材も用いられる場合、一方の又は両方の波長変換部材が、量子ドットを有してもよい。量子ドットは、はっきりした狭い発光帯を持ち、このことが、量子ドットを、例えば、555±20nmの主波長が望ましい本発明における使用にとりわけ適したものにする。
【0018】
本発明の実施例においては、前記第1波長変換部材と前記固体光源とが、互いに間隔をおいて配置される。あるいは、幾つかの実施例においては、前記第1波長変換部材は、前記固体光源の少なくとも1つの上にじかに配設され得る。
【0019】
別の態様によれば、本発明は、本願明細書に記載されているような発光装置を有するランプ又は照明器具を提供する。
【0020】
更に別の態様によれば、本発明は、本願明細書に記載されているような発光装置を有する街灯を提供する。前記街灯は、発光スペクトルであって、前記発光スペクトルが、発せられる光の強度及び方向と関連付けられると共に、前記発光装置の真下及び前記発光装置から離れたところでの物体及び色の可視性を向上させるよう適応され得る発光スペクトルを供給し得る。従って、前記街灯は、運転者及び歩行者の快適さ及び安全性の向上を供給し得る。
【0021】
他の態様によれば、本願明細書に記載されているような発光装置を有するトーチライト、及び本願明細書に記載されているような発光装置を有する車両用のヘッドライト、とりわけ、二輪車のランプを提供する。
トーチライト及び二輪車のランプは、主に、環境照明が乏しい状態において用いられることから、本発光装置は、このような用途においても非常に有用であり得る。
【0022】
本発明は、請求項において列挙されている特徴の全てのあり得る組み合わせに関することに注意されたい。
【0023】
ここで、本発明の実施例を示す添付の図面を参照して、本発明のこの及び他の態様についてより詳細に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の実施例による、各々、明所視状態及び暗所視状態に適している異なる領域の光を供給する発光装置の側断面図である。
【
図2】本発明の他の実施例による発光装置の側面図の断面図である。
【
図3】本発明の他の実施例による発光装置の側面図の断面図である。
【
図4】本発明の他の実施例による発光装置の側面図の断面図である。
【
図5】本発明の実施例による、各々、明所視状態及び暗所視状態に適している異なる領域の光を供給する街灯を図示する。
【
図6】本発明の実施例による、各々、明所視状態、薄明視状態及び暗所視状態に適している異なる領域の光を供給する街灯を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の現在好ましい実施例が示されている添付図面を参照して、本発明をより詳細に説明する。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で実施されてもよく、本願明細書に記載されている実施例に限定されるものとして解釈されるべきではない。もっと正確に言えば、これらの実施例は、完全及び完璧を期すために示されており、当業者に本発明の範囲を十分に伝える。同様の参照符号は、全体を通して、同様の要素を指す。
【0026】
本発明は、とりわけ、夜明け、夕暮れ及び夜のような環境照明が乏しい状態における(特に屋外の)照明に非常に適している発光装置を開発している。本発光装置は、発光スペクトルであって、前記発光スペクトルが、発せられる光の強度及び方向と関連付けられると共に、発光装置の真下及び発光装置から離れたところでの物体及び色の可視性を向上させるよう適応され得る発光スペクトルを供給する。
【0027】
図1は、所望の明所視の光スペクトル及び所望の暗所視の光スペクトルを供給するために用いられ得る発光装置の実施例を図示している。発光装置100は、支持物107に配設される複数の固体光源101を有する。光源101の前方には、第1波長変換部材102が、光源101のグループによって発せられる光の中央部を受けるために配設される。前記波長変換部材を出る変換光は、波長変換光、及び変換されずに波長変換部材102を通して伝達されるあらゆる未変換光が、中央出力光として発光装置を出ることができるように、後に、中央反射器104の凹状面104aによって、部分的に向け直される。
【0028】
本発明の実施例によれば、発光装置によって発せられる光の中央部は、少なくとも3cd/m
2の強度を持つ明所視の光であり、555nm±20nmの、即ち、535乃至575nmの波長範囲内の主波長を持つ。一般に、この明所視の光は、白色の又は白っぽい光であり得る。
【0029】
更に、光源101によって周囲方向に発せられる光は、随意に少なくとも1つの横方向光出射窓を介して、波長変換部材102を避け、後に、中央反射器を例えば同心で囲む周辺凹状反射器106によって、向け直される。随意に、この周囲の未変換光は、一般に、中央反射器104の凸状外面104bによっても、向け直される。結果として、低い強度の未変換光、即ち、暗所視の光が、発光装置から周囲方向に出て行き得る。周囲光は、一般に、507nm±30nmの主波長を持つ。
【0030】
従って、本発明の実施例によれば、発光装置によって発せられる光の周囲部は、0.01cd/m
2未満の強度を持つ暗所視の光(S)であり、507nm±30nmの、即ち、477乃至537nmの波長範囲内の主波長を持つ。一般に、この暗所視の光は、白色の又は白っぽい光であり得る。
【0031】
波長変換部材102は、変換されるべきである波長範囲、及び所望の変換波長範囲、及び変換光と未変換(透過)光との組み合わせであり得る出力光の所望の主波長に関して選択される少なくとも1つの波長変換材料を有する。例えば、第2波長範囲の光(変換光)は、555nm±20nmの主波長を持ち得る。
【0032】
本発明によれば、507nm±30nmの主波長を持つ光を供給するための様々な解決策がある。
図1に図示されている実施例においては、光源101が、507nm±30nmの主波長を持つ第1波長範囲の光を発するよう適応される。しかしながら、他の実施例においては、「第1波長範囲」に対応する、光源によって発せられる光は、より短い波長の光、一般に、青色光であってもよく、透明な横方向出射窓105の代わりに、光源101によって発せられる(例えば、青色)光の一部を507nm±30nmの主波長を持つ光に変換することができる第2波長変換部材が設けられてもよい。これらの実施例においては、依然として、波長変換部材102が、前記第1波長範囲を前記第2波長範囲に変換する。
図2は、本発明の発光装置の別の実施例を示している。ここでは、発光装置200は、光源の2つのグループを有する。中央光源201aとも呼ばれる光源201aの第1グループは、支持プレート207上の中央に配設される。くさび形波長変換部材202が、光源201aによって発せられる全ての光を受けるよう光源201aの上に配設される。くさびは、発光方向に向いており、波長変換部材202の側面は、発光装置の周囲に面する。他の例においては、波長変換部材202は、角錐、半球又は半円柱の形状をしていてもよい。波長変換部材202を出る光は、一般に555nm±20nmの主波長を持つ中央出力光を形成するよう、凹状反射器204によって、部分的に向け直される。発光装置は、支持プレート207上の周囲に配設される光源201bの第2グループを更に有する。周囲光源201bは、波長変換部材202によって覆われず、周囲光源201bによって発せられる光は、大部分は、反射器204に向け直されずに発光装置を出る。光源201aは、波長変換部材202によって前記第2波長範囲に変換され得る任意の適切な波長の光を発するよう適応され得る。例えば、光源201aは、青色光又は507nm±30nmの主波長を持つ光を発し得る。光源201bは、507nm±30nmの主波長を持つ光を発するよう適応され得る。他の例においては、光源201bは、異なる(一般に、より短い)波長範囲の光を発してもよく、例えば、発せられる光を、507nm±30nmの主波長を持つ光に変換することができる第2波長変換部材が、光源201bの1つ以上の真上に配設されてもよい。
図3に図示されている別の実施例においては、発光装置300は、底部支持物307と、少なくとも1つの反射壁308aと、光出射窓を形成する波長変換部材302とによって境界を定められる光混合チャンバ308内に配設される、第1波長範囲の光を発するための光源301aの第1中央グループを有する。ここでは凹状反射器カップである、反射器304が、光出射窓(即ち、波長変換部材)を介して光混合チャンバを出る光を少なくとも部分的に向け直すよう、光出射窓のまわりに配設される。光混合チャンバを出る、第2波長範囲の光を有する、少なくとも部分的に波長変換された光は、従って、発光装置によって発せられる光の中央部を供給し、前記中央部は、555nm±20nmの主波長を持つ。更に、周囲光を発するための光源301bの第2グループが、光混合チャンバの外に配設され、従って、光源301bによって発せられる光は、波長変換部材302によって変換されるのを回避する。図に図示されているように、光源301bは、少なくとも1つの支持部材309に配設されてもよく、前記少なくとも1つの支持部材309は、例えば、反射器304の内面上又は内部に取り付けられ得る。光源301bの第2グループは、周囲光を供給する。
【0033】
光源301aは、波長変換部材302によって前記第2波長範囲に変換され得る任意の適切な波長の光を発するよう適応され得る。例えば、光源301aは、青色光又は507nm±30nmの主波長を持つ光を発し得る。光源301bは、507nm±30nmの主波長を持つ光を発するよう適応され得る。幾つかの実施例においては、光源301bは、上で、光源201bに関して記載したような直接蛍光体変換光源、例えば、青色光を発する光源であって、光源301bの真上に配設される、507nm±30nmの主波長を持つ光への変換のための波長変換部材を持つ光源であり得る。
【0034】
図4に図示されている更に別の実施例においては、発光装置は、少なくとも2つの、別々の光混合チャンバ、即ち、光源401aの第1グループを有する第1光混合チャンバ409と、光源401bの第2グループを有する第2光混合チャンバ410とを有する。第1光混合チャンバは、反射支持物と、少なくとも1つの反射側壁と、光出射窓を形成する第1波長変換部材402とを有する。ここでは第1反射器である、第1光学部品404が、第1光混合チャンバ409を出る光を部分的に向け直すよう、光出射窓の外側周囲に配設される。光混合チャンバを出る光は、反射器404によって実質的にコリメートされ得る。ここでは第2反射器である、第2光学部品406が、反射器404によってもたらされる光分布より大きい角度に光が分布させられるような、より低い程度の光コリメーションをもたらすコリメーションを供給する。本発明の実施例においては、光学部品404、406の一方又は両方が、TIR光学部品のような屈折光学部品であり得る。
【0035】
第2光混合チャンバ410は、反射支持物と、少なくとも1つの反射側壁と、透明な光出射窓411とを有する。例えば、透明な光出射窓は、透明なプレートを有し得る。透明な光出射窓411の外側周囲には、第2反射器406が、第2光混合チャンバを出る光を少なくとも部分的に向け直すよう配設される。
幾つかの実施例においては、光源401aは、555nm±20nmの主波長を持つ光を発し得るのに対して、光源401bは、507nm±30nmの主波長を持つ光を発し得る。この場合には、波長変換部材402は、透明な光出射窓402に置き換えられ得る。更に、光源401a及び401bは、結果として生じる出力光が所望のスペクトル特性を持つように、波長変換部材402及び/又は透明な光出射窓411の位置における第1及び/又は第2波長変換部材と適切に組み合わされる場合には、如何なる波長範囲の光を発してもよい。幾つかの実施例においては、光混合チャンバ409、410の一方又は両方が、更なる波長変換素子403を有してもよく、更なる波長変換素子403は、反射側壁の少なくとも一部に取って代わるよう配設され得る。
【0036】
図5に図示されている本発明の更に別の実施例においては、発光装置500は、支持物502に配設される複数の個別の固体光源501a、501b、501cを有する。各光源501a、501b、501cは、光の所望の程度のコリメーションを供給する各々の光学部品503a、503b、503cと組み合わせて用いられる。例えば、発光装置を出る光の中央部を供給することを目的とする光源501aは、光学部品503aと関連付けられ、前記光学部品503aは、発光装置を出る周囲光を供給するよう適応される光源501cと関連付けられる光学部品503cと比べてより高い程度のコリメーションを供給する。光学部品503a乃至503cは、全内部反射(TIR)によって光を方向づける、所謂TIR光学部品であり得る。
【0037】
光源501a乃至501cは、所望のスペクトル特性を持つ光を発するよう適応され得る。従って、周囲光を供給することを目的とする光源は、507nm±30nmの主波長を持つ光を発してもよく、中央光を供給することを目的とする光源は、555nm±20nmの主波長を持つ光を発してもよい。他の例においては、光源の幾つか又は全てが、上で、
図2及び3に関して記載したような直接変換光源であり得る。即ち、光源は、光源の真上に配設される波長変換部材によって後に所望の波長範囲に変換される光を発し得る。例えば、全ての光源が、青色光を発してもよく、前記青色光は、2つの異なるタイプの波長変換部材によって、各々、507nm±30nm又は555nm±20nmの主波長を持つ光に変換される。他の例においては、全ての光源が、507nm±30nmの主波長を持つ光を発してもよく、中央光を供給することを目的とする光源は、この光の少なくとも一部を第2波長範囲に変換することができる波長変換部材を具備してもよい。
【0038】
従って、明所視及び暗所視の条件を満たす所望の光スペクトルが、随意に1つ以上の直接変換光源を用いる光源において、直接、得られることができ、コリメート光学部品が、各光源からの所望の光角度分布を得るために用いられ得る。
【0039】
図6は、本発明の実施例による発光装置を内蔵する街灯1の一部を図示している。発光装置は、街灯の真下に、明所視の光(P)(即ち、高い強度)を供給する。光強度は、発光装置からの横方向距離が大きくなればなるほど、弱くなり、暗所視(S)の状態をもたらす。上記のように、発光装置によって発せられる光の中央部は、一般に、少なくとも3cd/m
2の強度を持ち、555nm±20nmの、即ち、535乃至575nmの波長範囲内の主波長を持ち得る。一般に、この明所視の光は、白色の又は白っぽい光であり得る。更に、発光装置によって発せられる光の周囲部は、一般に、0.01cd/m
2未満の強度を持ち、507nm±30nmの、即ち、477乃至537nmの波長範囲内の主波長を持ち得る。この暗所視の光は、白色の又は白っぽい光であり得る。
【0040】
図7は、本発明の他の実施例による発光装置を内蔵する街灯2の一部を図示している。ここでは、街灯から、中央部と、最も外側の周囲部との間の方向に発せられる光は、0.01cd/m
2から3cd/m
2までの範囲内の、即ち、暗所視の条件と明所視の条件との間の強度を持つ。このような光は、薄明視の光(M)と呼ばれる。本発明の実施例によれば、発光装置は、0.01乃至3cd/m
2の強度を持ち、532±30nmの、即ち、502乃至562nmの範囲内の主波長を持つ、半周囲の薄明視の光を発するよう適応され得る。このようなスペクトル及び出力光分布は、
図1乃至4の実施例のいずれかに光源の付加的なグループ及び/又は付加的な波長変換素子を付加することによって、達成されることができ、前記付加的な光源又は付加的な波長変換部材は、532±30nmの主波長を持つ半周囲光を供給する。
図5に示されている実施例においては、中央光源501bが、随意に直結蛍光体と組み合わせて、前記薄明視の光を供給するよう適応され得る。
図7に示されている光分布を得るよう、様々な出力スペクトルに対して光の角度分布を調節するために、随意に、1つ以上の反射器又はコリメータも用いられ得る。
【0041】
本発明において用いられる光源は、固体光源であり、一般に、発光ダイオード(LED)又はレーザダイオードである。
【0042】
上述のように、本願明細書に記載されているような波長変換部材は、第1波長範囲の光を第2波長範囲の光に変換することができる波長変換材料を有する。波長変換材料は、変換されるべきである第1波長範囲と、第2波長範囲と、出力光の所望の主波長とに関して、選択される。様々な光条件下で可視性を向上させるために非常に有用である狭い波長範囲又は主波長を供給するために、波長変換部材は、量子ドットを含み得る。
【0043】
量子ドット、量子ロッド又は量子テトラポッドは、一般にわずか数ナノメートルの幅又は直径を持つ半導体材料の小さな結晶である。量子ドットは、入射光によって励起される際に、結晶の材料及びサイズによって決定される色の光を発する。それ故、量子ドットのサイズを適応させることによって、特定の色の光が生成され得る。本発明の実施例においては、量子ドットは、例えば、少なくとも1つの方向において、1乃至10nmの範囲内のサイズを持ち得る。量子ドットの変形例として、量子ロッドが用いられてもよく、前記量子ロッドは、1乃至10nmの範囲内の幅及び最大で1mm以上までの長さを持ち得る。更に、量子ドットは、非常に狭い発光帯を持ち、従って、飽和色を示す。
【0044】
現在、可視範囲内の発光を持つほとんどの量子ドットが、硫化カドミウム(CdS)及び硫化亜鉛(ZnS)などのシェルを備えるセレン化カドミウム(CdSe)をベースにしている。リン化インジウム(InP)並びに硫化銅インジウム(CuInS
2)及び/又は硫化銀インジウム(AgInS
2)などのカドミウムを含まない量子ドットも用いられ得る。当業界において知られている如何なるタイプの量子ドットも、適切な波長変換特性を持つ場合には、本発明において用いられ得る。例えば、本発明の実施例においては、CdSe、InP、CuInS
2又はAgInS
2を有する量子ドットが用いられ得る。しかしながら、環境の安全性及び懸念の理由のため、カドミウムを含まない量子ドット又は少なくともカドミウム含有量が少ない量子ドットを用いることが好ましいかもしれない。
【0045】
他の例においては、波長変換部材は、有機又は無機蛍光体を含み得る。波長変換材料としての使用に適した有機蛍光体材料の例は、例えば、BASFによりLumogen(登録商標)というブランド名で販売されている、ペリレン誘導体をベースにしたルミネセンス材料を含む。従って、適切な市販製品の例は、Lumogen(登録商標) Red F305、Lumogen(登録商標) Orange F240、Lumogen(登録商標) Yellow F170及びそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0046】
波長変換材料に適した無機蛍光体の例は、セリウムをドープしたイットリウムアルミニウムガーネット(YAG:Ce又はCeをドープしたYAGとも呼ばれるY
3Al
5O
12:Ce
3+)又はルテチウムアルミニウムガーネット(LuAG; Lu
3Al
5O
12)、α-SiAlON:Eu
2+(黄色)、及び M
2Si
5N
8:Eu
2+(赤色)を含むが、これらに限定されず、ここで、Mは、Ca、Sr及びBaから選択されるすくなくとも1つの元素である。一般に青色光を発する光源との組み合わせにおいて、本発明の実施例において用いられ得る無機蛍光体の別の例は、YAG:Ceである。更に、アルミニウムの一部は、ガドリニウム(Gd)又はガリウム(Ga)と置換されてもよく、より多くのGdは、黄色発光の赤色シフトをもたらす。他の適切な材料は、赤色範囲内の光を発するSr
2Si
5N
8:Eu
2+などの、(Sr
1-x-yBa
xCa
y)
2-zSi
5-aAl
aN
8-aO
a:Eu
z2+を含んでもよく、ここで、0≦a<5、0≦x≦1、0≦y≦1、0<z≦1且つ(x+y)≦1である。
【0047】
随意に、波長変換部材は、散乱素子、例えば、Al
2O
3又はTiO
2の粒子も含み得る。
【0048】
当業者には、本発明が、決して、上記の好ましい実施例に限定されないことは分かるであろう。逆に、添付の請求項の範囲内で多くの修正及び変更が可能である。例えば、図面は、複数の光源を用いる実施例を示しているが、当業者には理解されるだろうように、幾つかの実施例においては、単一の光源だけを、又は本図面においては光源のグループが示されている場所で単一の光源を用いることも可能である。例えば、光源101のグループの代わりに、単一の光源が用いられてもよく、且つ/又は単一の光源が、光源201a、301a、501aの第1グループに取って代わってもよく、且つ/又は単一の光源が、光源201b、301b、501bの第2グループに取って代わってもよい。更に、図示されている実施例は、光源から或る距離を置いて配置される波長変換素子(所謂、遠隔蛍光体構成)を示しているが、複数の波長変換部材であってもよい波長変換部材は、とりわけ、波長変換のために量子ドットが用いられる場合には、光源のより近くに配設され得る、又はそれどころか、光源上にじかに配設され得ると考えられる。
【0049】
本願明細書に記載されている発光装置の、街灯以外の考えられる用途は、車両のヘッドライト、とりわけ、二輪車のヘッドライト、及びトーチ(フラッシュ)ライト、一般に、ハンドヘルドトーチライトを含む。
【0050】
更に、当業者は、請求項記載の発明の実施において、図面、明細及び添付の請求項の研究から、開示されている実施例に対する変形を、理解し、達成することができる。請求項において、「有する」という用語は、他の要素又はステップを除外せず、単数形表記は、複数の存在を除外しない。特定の手段が、相互に異なる従属請求項において引用されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利になるように使用されることができないと示すものではない。