(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、インクカートリッジチップの取付位置を検出する方法を改善し、インクジェット画像形成装置における互換インクカートリッジチップが搭載されたインクカートリッジが正確な位置に取り付けられているか否かについて検出不可能という状況を減少又は回避することが可能なインクジェット画像形成装置及び光検出方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
<応用例1>
本発明に係るインクジェット画像形成装置は、
共通バス方式によりインクジェット画像形成装置に接続され、それぞれ発光ユニットを有する複数のインクカートリッジと、
第1取付位置と前記第1取付位置とは異なる第2取付位置とを含む複数の取付位置が移動方向に設けられた移動可能なキャリッジと、
前記複数のインクカートリッジの前記発光ユニットによって放出された光を受信可能な受光ユニットと、
タイムカウントユニットと、
インクカートリッジの識別情報を含むコマンドを送信することにより、前記複数のインクカートリッジにおける前記発光ユニットを点灯又は消灯させるため、且つ、正確なインクカートリッジが前記複数の取付位置のいずれかに取り付けられているか否かを判断するためにも用いられる制御ユニットとを備えている。
【0008】
前記キャリッジの移動によって前記第1取付位置が前記受光ユニットに面する際に、前記制御ユニットは、
前記第1取付位置に取り付けるべきインクカートリッジの識別情報を含む、前記第1取付位置に取り付け
るべきインクカートリッジの発光ユニットを点灯させる
ためのコマンドを送信する。前記受光ユニットがこのときに受信する光度を第1光度という。
【0009】
前記タイムカウントユニットは、前記制御ユニットが前記発光ユニットを点灯させる時刻と、前記受光ユニットが前記第1光度を受信する時刻との時間差を計算するために用いられる。前記キャリッジの移動によって前記第2取付位置が前記受光ユニットに面する際に、前記制御ユニットは、
前記第1取付位置に取り付けるべきインクカートリッジの識別情報を含む、前記第1取付位置に取り付け
るべきインクカートリッジの発光ユニットを点灯させる
ためのコマンドを送信する。前記受光ユニットがこのときに受信する光度を第2光度という。
【0010】
前記制御ユニットは、前記第1光度、前記第2光度及び計算された前記時間差に基づいて、正確なインクカートリッジが前記第1取付位置に取り付けられているか否かを判断する。
【0011】
別の実施形態では、代替方法として、前記インクジェット画像形成装置は、少なくとも点滅周波数が異なる複数の発光モードを記憶する記憶ユニットをさらに備えている。
【0012】
前記キャリッジの移動によって前記第1取付位置が前記受光ユニットに面する際に、前記制御ユニットは、前記記憶ユニットに記憶された前記複数の発光モードの中から1つの発光モードをランダムに選択して、前記第1取付位置に取り付け
るべきインクカートリッジの前記発光ユニットを制御する。前記受光ユニットがこのときに受信する光度を第3光度という。
【0013】
前記制御ユニットは、前記第3光度が前記ランダムに選択された発光モードに対応するか否かに基づいて、正確なインクカートリッジが前記第1取付位置に取り付けられているか否かを判断する。
【0014】
別の実施形態では、代替方法として、
前記キャリッジの移動によって前記第1取付位置が前記受光ユニットに面する際に、前記制御ユニットは、前記第1取付位置に取り付け
るべきインクカートリッジの前記発光ユニットを点灯させる。前記受光ユニットがこのときに受信する光度を第1光度という。前記制御ユニットは、第1プリセット時間後に、当該発光ユニットを消灯させる。前記キャリッジの移動によって前記第2取付位置が前記受光ユニットに面する際に、前記制御ユニットは、前記第1取付位置に取り付け
るべきインクカートリッジの発光ユニットを点灯させる。前記受光ユニットがこのときに受信する光度を第2光度という。前記制御ユニットは、第2プリセット時間後に、当該発光ユニットを消灯させる。
前記第2プリセット時間
は、前記第1プリセット時間の半分
以上1.5倍以下である。或いは、前記第1プリセット時間又は前記第2プリセット時間の長さは、ランダム時間生成ユニットによって確定される。
【0015】
本発明は、複数のインクカートリッジの中の1つがインクジェット画像形成装置に正確に取り付けられているか否かを判断するための光検出方法をさらに提供する。前記インクジェット画像形成装置は、ガイドレールに沿って移動可能であって第1取付位置と前記第1取付位置とは異なる第2取付位置とを含む複数の取付位置が移動方向に設けられたキャリッジと、前記複数のインクカートリッジの発光ユニットによって放出された光を受信するための受光ユニットとを備えている。
前記複数のインクカートリッジは、共通バス方式によりインクジェット画像形成装置に接続され、前記インクジェット画像形成装置は、インクカートリッジの識別情報を含むコマンドを送信することにより、前記複数のインクカートリッジにおける前記発光ユニットを点灯又は消灯させる。前記方法は、
前記キャリッジの移動によって前記第1取付位置が前記受光ユニットに面し、前記第1取付位置に取り付け
るべきインクカートリッジの前記発光ユニット
を点灯させるためのコマンドを送信する際に、前記受光ユニットが受信する第1光度を検出するステップと、
前記発光ユニット
を点灯させるためのコマンドを送信する時刻と前記受光ユニットが前記第1光度を受信する時刻との時間差を計算するステップと、
前記キャリッジの移動によって前記第2取付位置が前記受光ユニットに面し、前記第1取付位置に取り付け
るべきインクカートリッジの前記発光ユニット
を点灯させるためのコマンドを送信する際に、前記受光ユニットが受信する第2光度を検出するステップと、
前記第1光度、前記第2光度及び計算された前記時間差に基づいて、正確なインクカートリッジが前記第1取付位置に取り付けられているか否かを判断するステップとを含む。
【0016】
<応用例2>
本発明に係るインクジェット画像形成装置は、
共通バス方式によりインクジェット画像形成装置に接続され、それぞれ発光ユニットを有する複数のインクカートリッジと、
第1取付位置と前記第1取付位置とは異なる第2取付位置とを含む複数の取付位置が移動方向に設けられた移動可能なキャリッジと、
前記複数のインクカートリッジの前記発光ユニットによって放出された光を受信可能な受光ユニットと、
タイムカウントユニットと、
インクカートリッジの識別情報を含むコマンドを送信することにより、前記複数のインクカートリッジにおける前記発光ユニットを点灯又は消灯させるため、且つ、正確なインクカートリッジが前記複数の取付位置のいずれかに取り付けられているか否かを判断する
ためにも用いられる制御ユニットとを備えている。
【0017】
前記キャリッジの移動によって前記第1取付位置が前記受光ユニットに面する際に、前記制御ユニットは、
前記第1取付位置に取り付けるべきインクカートリッジの識別情報を含む、前記第1取付位置に取り付け
るべきインクカートリッジの発光ユニットを点灯させ
るためのコマンドを送信する。前記受光ユニットがこのときに受信する光度を第1光度という。
【0018】
前記タイムカウントユニットは、前記制御ユニットが前記発光ユニットを点灯させてから前記発光ユニットを消灯させるまでの時間の長さと、前記受光ユニットが前記第1光度を受信してから前記第1光度を受信しなくなるまでの時間の長さとの時間差を計算するために用いられる。
【0019】
前記キャリッジの移動によって前記第2取付位置が前記受光ユニットに面する際に、前記制御ユニットは、
前記第1取付位置に取り付けるべきインクカートリッジの識別情報を含む、前記第1取付位置に取り付け
るべきインクカートリッジの発光ユニットを点灯させ
るためのコマンドを送信する。前記受光ユニットがこのときに受信する光度を第2光度という。
【0020】
前記制御ユニットは、前記第1光度、前記第2光度及び計算された前記時間差に基づいて、正確なインクカートリッジが前記第1取付位置に取り付けられているか否かを判断する。
【0021】
別の実施形態では、代替方法として、前記インクジェット画像形成装置は、少なくとも点滅周波数が異なる複数の発光モードを記憶する記憶ユニットをさらに備えている。
【0022】
前記キャリッジの移動によって前記第1取付位置が前記受光ユニットに面する際に、前記制御ユニットは、前記記憶ユニットに記憶された前記複数の発光モードの中から1つの発光モードをランダムに選択して、前記第1取付位置に取り付け
るべきインクカートリッジの前記発光ユニットを制御する。前記受光ユニットがこのときに受信する光度を第3光度という。
【0023】
前記制御ユニットは、前記第3光度が前記ランダムに選択された発光モードに対応するか否かに基づいて、正確なインクカートリッジが前記第1取付位置に取り付けられているか否かを判断する。
【0024】
別の実施形態では、代替方法として、
前記キャリッジの移動によって前記第1取付位置が前記受光ユニットに面する際に、前記制御ユニットは、前記第1取付位置に取り付け
るべきインクカートリッジの前記発光ユニットを点灯させる。前記受光ユニットがこのときに受信する光度を第1光度という。前記制御ユニットは、第1プリセット時間後に、当該発光ユニットを消灯させる。
【0025】
前記キャリッジの移動によって前記第2取付位置が前記受光ユニットに面する際に、前記制御ユニットは、前記第1取付位置に取り付け
るべきインクカートリッジの前記発光ユニットを点灯させる。前記受光ユニットがこのときに受信する光度を第2光度という。前記制御ユニットは、第2プリセット時間後に、当該発光ユニットを消灯させる。
【0026】
前記第2プリセット時
間は、前記第1プリセット時間の半分
以上1.5倍以下である。或いは、前記第1プリセット時間又は前記第2プリセット時間の長さは、ランダム時間生成ユニットによって確定される。
【0027】
本発明は、複数のインクカートリッジの中の1つがインクジェット画像形成装置に正確に取り付けられているか否かを判断するための光検出方法をさらに提供する。前記インクジェット画像形成装置は、ガイドレールに沿って移動可能であって第1取付位置と前記第1取付位置とは異なる第2取付位置とを含む複数の取付位置が移動方向に設けられたキャリッジと、前記複数のインクカートリッジの発光ユニットによって放出された光を受信するための受光ユニットとを備えている。
前記複数のインクカートリッジは、共通バス方式によりインクジェット画像形成装置に接続され、前記インクジェット画像形成装置は、インクカートリッジの識別情報を含むコマンドを送信することにより、前記複数のインクカートリッジにおける前記発光ユニットを点灯又は消灯させる。
【0028】
前記方法は、
前記キャリッジの移動によって前記第1取付位置が前記第1受光ユニットに面し、前記第1取付位置に取り付け
るべきインクカートリッジの前記発光ユニット
を点灯させるためのコマンドを送信する際に、
前記受光ユニットが受信する第1光度を検出するステップと、
前記発光ユニット
を点灯させるためのコマンドを送信してから前記発光ユニット
を消灯させるためのコマンドを送信するまでの時間の長さと、前記受光ユニットが前記第1光度を受信してから前記第1光度を受信しなくなるまでの時間の長さとの時間差を計算するステップと、
前記キャリッジの移動によって前記第2取付位置が前記受光ユニットに面し、前記第1取付位置に取り付け
るべきインクカートリッジの前記発光ユニット
を点灯させるためのコマンドを送信する際に、前記受光ユニットが受信する第2光度を検出するステップと、
前記第1光度、前記第2光度及び計算された前記時間差に基づいて、正確なインクカートリッジが前記第1取付位置に取り付けられているか否かを判断するステップとを含む。
【0029】
<応用例3>
本発明に係るインクジェット画像形成装置は、
それぞれ発光ユニットを有する複数のインクカートリッジと、
ガイドレールに沿って移動可能であって第1取付位置と前記第1取付位置とは異なる第2取付位置とを含む複数の取付位置が移動方向に設けられたキャリッジと、
前記キャリッジの前記ガイドレールでの移動を制御するためのキャリッジ制御ユニットと、
前記複数のインクカートリッジの前記発光ユニットによって放出された光を受信可能な受光ユニットと、
予め設定した乱択アルゴリズムに基づいて、前記複数のインクカートリッジの中から1つ又は複数のインクカートリッジを不確定インクカートリッジとしてランダムに選択するために用いられるランダム選択ユニットと、
前記複数のインクカートリッジの前記発光ユニットを点灯させるため、且つ、正確なインクカートリッジが前記複数の取付位置のいずれかに取り付けられているか否かを判断するためにも用いられる制御ユニットとを備えている。
【0030】
前記キャリッジの移動によって前記第1取付位置が前記受光ユニットに面する際に、前記制御ユニットは、前記第1取付位置に取り付け
るべきインクカートリッジの前記発光ユニットを点灯させる。前記受光ユニットがこのときに受信する光度を第1光度という。
【0031】
前記キャリッジの移動によって前記第2取付位置が前記受光ユニットに面する際に、前記制御ユニットは、前記第1取付位置に取り付け
るべきインクカートリッジの前記発光ユニットを点灯させる。前記受光ユニットがこのときに受信する光度を第2光度という。
【0032】
前記制御ユニットは、前記第1光度及び前記第2光度に基づいて、正確なインクカートリッジが前記第1取付位置に取り付けられているか否かを判断する。
【0033】
正確なインクカートリッジが前記第1取付位置に取り付けられていると判断された後に、前記キャリッジ制御ユニットが前記キャリッジを移動させることによって前記不確定インクカートリッジが取り付け
るべき取付位置が前記受光ユニットに面し、前記制御ユニットが前記不確定インクカートリッジの前記発光ユニットを点灯させる。前記受光ユニットがこのときに受信する光度を第3光度という。
【0034】
前記制御ユニットは、前記第3光度に基づいて、正確なインクカートリッジが前記不確定インクカートリッジの取り付け
るべき取付位置に取り付けられているか否かを判断する。
【0035】
<応用例4>
本発明に係るインクジェット画像形成装置は、
それぞれ発光ユニットを有する複数のインクカートリッジと、
第1取付位置と前記第1取付位置とは異なる第2取付位置とを含む複数の取付位置が移動方向に設けられた移動可能なキャリッジと、
前記複数のインクカートリッジの前記発光ユニットによって放出された光を受信するための第1受光ユニットと、
前記複数のインクカートリッジの前記発光ユニットによって放出された光を受信するための第2受光ユニットと、
前記複数のインクカートリッジにおける前記発光ユニットを点灯又は消灯させるため、且つ、正確なインクカートリッジが前記複数の取付位置のいずれかに取り付けられているか否かを判断するためにも用いられる制御ユニットとを備えている。
【0036】
前記キャリッジの移動によって前記第1取付位置が前記第1受光ユニットに面し、前記第2取付位置が前記第2受光ユニットに面する際に、前記制御ユニットは、前記第1取付位置に取り付け
るべきインクカートリッジの発光ユニットを点灯させる。前記第1受光ユニット及び前記第2受光ユニットがこのときに受信する光度をそれぞれ第1光度及び第2光度という。
【0037】
次に、前記制御ユニットは、前記第1取付位置に取り付け
るべきインクカートリッジの前記発光ユニットを消灯させ、前記第2取付位置に取り付け
るべきインクカートリッジの前記発光ユニットを点灯させる。前記第1受光ユニット及び前記第2受光ユニットがこのときに受信する光度をそれぞれ第3光度及び第4光度という。
【0038】
前記制御ユニットは、前記第1光度、前記第2光度、前記第3光度及び前記第4光度に基づいて、正確なインクカートリッジが前記第1取付位置及び前記第2取付位置にそれぞれ取り付けられているか否かを判断する。
【0039】
インクジェット画像形成装置は、複数の受光ユニットを有するため、キャリッジの移動回数が減少し、それによって、複数のインクカートリッジの取付位置を迅速に検出することができる。
【発明の効果】
【0040】
本発明に係るインクジェット画像形成装置及び光検出方法によって、インクカートリッジの取付位置を検出する方法が改善され、互換インクカートリッジチップが搭載されたインクカートリッジが正確な位置に取り付けられているか否かについて、インクジェット画像形成装置によって検出不可能な状況が減少又は回避される。さらに、印刷の品質が低下
する又はインクジェット画像形成装置が損傷するという問題が回避される。インクジェット画像形成装置に複数の受光ユニットが配置されている場合、インクカートリッジの取付位置を検出する効率の向上も実現される。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、図面と併せて、本発明に係るインクジェット画像形成装置の内部構成及び動作原理について例示的に説明する。本発明の範囲は、実施形態における特定の例に限定されない。
【0043】
図1は、本発明に係るインクジェット画像形成装置に取り外し可能に取り付けられたインクカートリッジの構成図である。当該インクカートリッジ1は、インクジェット画像形
成装置(インクジェットプリンタ)にインクを供給するインク吐出口12と、インクを収容するケース11とを含む。ケース11は、底側面、前側面及び底側面と向き合う上側面を含む。インク吐出口12は、ケース11の底側面に設けられている。ケース11の前側面、1つのインクカートリッジチップ100が取り付けられている。インクカートリッジ1は、発光ユニット101を備えている。発光ユニット101は、前側面の、上側面に近い位置に配置されている。インクカートリッジチップ100は、回路基板103、制御ユニット102及びインターフェース回路104を含む。
【0044】
制御ユニット102は、通常の制御回路及び記憶回路を含む。制御回路は、記憶回路に記憶された制御プログラム及びインクジェット画像形成装置から発信されたコマンドに基づいて各処理を行う。記憶回路は、通常、例えばインクカートリッジ識別情報、製造メーカ、製造日、インクの使用量及びインクの残量などのような制御プログラム情報及びイメージングカートリッジに関連する情報を記憶する。インクカートリッジ識別情報は、インクのカラー情報であってもよく、制御ユニットのデバイスアドレスであってもよく、又は、ほかの異なるインクカートリッジのタイプを区別可能な情報であってもよい。記憶回路として、例えばEPROM、EEPROM、FLASH、強誘電体メモリ及び相変化メモリなど一般的な非揮発性メモリを採用してもよく、例えばSRAM+バッテリ又はコンデンサ、DRAM+バッテリ又はコンデンサのような揮発性メモリに給電電源を加えるという解決手段を採用してもよい。
【0045】
インターフェース回路は、インクジェット画像形成装置に電気接続され、インクジェット画像形成装置から発信されたコマンドを受信するために用いられる。インターフェース回路とインクジェット画像形成装置との間の接続は、有線方式であってもよく、無線方式であってもよい。以下、有線接続を例として説明する。
【0046】
図2は、上述したインクカートリッジが取り付けられることによって画像形成を実現するインクジェットプリンタ200を示している。
図3は、
図2に示した本体カバー201が開いた状態の透視図である。
【0047】
図2に示すように、インクジェットプリンタ200の主要部分は、下記のような機構から形成されている。当該機構は、記録ヘッド及びインクカートリッジが取り付けられたキャリッジ205(
図3)をスキャンすることによって記録を行う。インクジェットプリンタ200の主要部分は、本体カバー201及びほかのケース部分によって被覆されている。インクジェットプリンタ200の主要部分の前方及び後方には、排紙トレイ203及び自動給紙機構(automatic sheet feeder、ASF)202が配置されている。インクジェットプリンタ200は、ディスプレイを有する操作ユニット213をさらに含む。当該ディスプレイは、本体カバー201が閉まった状態及び本体カバー201が開いた状態において、インクジェットプリンタ200の情況をそれぞれ示す。操作ユニット213には、電源スイッチ及びリセットスイッチがさらに設けられている。
【0048】
図3に示すように、本体カバー201が開いた状態において、ユーザは、記録ヘッドユニット105及びインクカートリッジ1K、1C、1M及び1Y(K、C、M及びYは、それぞれblack、cyan、magenta及びyellowの略筆であり、後文におけるこれらのインクカートリッジは、同じ図面標記「1」で表示されるときがある。)が搭載されたキャリッジ205の移動範囲が見える。本体カバー201が開く際に、以下の動作が実行される。キャリッジ205は、自動的に
図3に示すほぼ中心の位置(以下「インクカートリッジ交換位置」と称する。)まで移動する。ユーザは、このインクカートリッジ交換位置で各インクカートリッジを交換することができる。
【0049】
記録ヘッドユニット105は、記録ヘッドユニット105における各色のインクに対応
するシート状の記録ヘッド(
図3に不図示)を含む。これらの記録ヘッドは、キャリッジ205の移動によって、紙などの記録媒体をスキャンし、また、当該スキャンの操作期間に記録媒体にインクを噴射して記録を実現する。即ち、キャリッジ205と、キャリッジ205の移動方向に延在するガイド軸207とは、スライド可能に噛み合っており、キャリッジモータ及び駆動ベルトによって伝送された駆動力を受け入れて移動することができる。それによって、K、C、M及びY色のインクに対応する各記録ヘッドは、本体側のメイン制御回路がフレキシブルケーブル206を介して発信した噴射データに基づいて、インク噴射を実現する。インクジェットプリンタ200には、シート送給ローラ及びシート排出ローラを含むシートフィード機構がさらに配置されている。シートフィード機構によって、自動シートフィード機202から供給された記録媒体(不図示)が排出トレイ203に伝送される。カートリッジホルダと一体的に配置された記録ヘッドユニット105は、キャリッジ205に取り外し可能に取り付けられている。カートリッジホルダには、インクカートリッジを取り付け可能な複数の位置が設けられている。これらのインクカートリッジの取付位置は、キャリッジの移動方向に沿って設けられている。各インクカートリッジ1は、記録ヘッドユニット105に対応して、これらの位置に取り外し可能に取り付けられている。
【0050】
記録ヘッドユニット105は、各インクカートリッジ1に対応するコネクタを有する。コネクタは、フレキシブルケーブル206に接続されている。各コネクタは、対応するインクカートリッジ1に搭載されたインクカートリッジチップのインターフェース回路104と電気接続されている。従って、本体側のメイン制御回路は、フレキシブルケーブル206を介してインクカートリッジチップにおける各発光ユニット101の点灯及び消灯を制御することができる。
【0051】
より具体的には、上述したインクカートリッジ交換位置において、あるインクカートリッジ1のインクの残量が不足している場合、当該インクカートリッジ1における発光ユニット101は、交互に点灯又は消灯し、それによって、点滅する光信号が形成される。このような情況において、ユーザは、インクジェットプリンタ200の上方からインクカートリッジ1を調べることによって、この点滅する光信号を観察することができる。それによって、ユーザにインクの残量状態を知らせるという目的を達成する。
【0052】
受光素子を有する受光ユニット210は、キャリッジの移動範囲の端部に近い位置に配置されている。各インクカートリッジ1の発光ユニット101は、キャリッジ205が移動するプロセスにおいて、受光ユニット210を経過する際に点灯(即ち、発光)する。受光ユニット210は、発光ユニット101が放出した光を受信する。このときのキャリッジ205の位置に基づいて、キャリッジ205における各インクカートリッジ1の位置を検出することができる。
【0053】
図4は、各インクカートリッジ1の回路基板100と併せて、フレキシブルケーブル206におけるインクカートリッジ1と本体側のメイン制御回路300とを接続するための配線構造を示す。
図4に示すように、4つのインクカートリッジ1を電気接続するための回線は、4つの信号線を含み、4つのインクカートリッジ1に対して共用(即ち「
共通バス接続」)である。つまり、各インクカートリッジ1に用いられる接続回線は、4本の信号線(即ち、電源信号線“VDD”、接地信号線“GND”、データ信号線“DATA”及びクロック信号線“CLK”)を含む。以下に説明するように、電源信号線“VDD”は、インクカートリッジチップに給電するために用いられる。データ信号線“DATA”は、メイン制御回路300からインクカートリッジチップに、例えば発光ユニット101を点灯させる及び発光ユニット101を点滅させるなどの操作と関連する制御信号(制御データ)を伝送する。本実施形態では、4本の信号線を使用しているが、これに限定されない。例えば、ほかの方法によって接地信号を取得すれば、接地信号線“GND”を省略
することができる。また、信号線“CLK”と“DATA”とを組み合わせてもよい。この場合、インクカートリッジ1ごとに1本の信号線“DATA”を提供する必要がなく、フレキシブルケーブル206の信号線の数が減少する。例えば、プリンタにおいて、8色のインクカートリッジ中の1つごとに1本のデータ信号線DATAを設定する場合、11本の信号線(即ち、8本のデータ信号線DATA、1本の電源信号線VDD、1本の接地信号線GND及び1本のクロック信号線CLK)が必要である。これでは、フレキシブルケーブル206の配線構造が複雑になり、コストが増加する。従って、上述した
共通バス接続は、複数色のインクカートリッジが取り付けられたインクジェットプリンタに対して低コストを提供するというメリットがある。インクカートリッジチップに記憶された識別情報を利用して、上述した
共通バス接続によって、インクカートリッジチップに上述した識別情報を有する読み書き操作コマンド(例えば、読み取りコマンド及び書き込みコマンド)又は光線制御コマンド(例えば光点灯コマンド及び光消灯コマンド)を発信すれば、特許文献1(CN1636744A)のように特定のインクカートリッジを具体的に制御することができる。
【0054】
メイン制御回路300は、インクジェットプリンタ200において、データ処理及び操作制御を実行する。従って、図示していないが、メイン制御回路300は、通常CPU、操作制御に用いられるプログラムが記憶されたROM、及び、作業領域としてのRAMを含む。メイン制御回路300におけるROMに記憶されたプログラムに基づいて、メイン制御回路300は、発光ユニットの発光、受信した光度に基づいて行われた光電流の検出、キャリッジ205の移動及びインクカートリッジ1の位置の検出等を制御することができる。
【0055】
図5は、インクカートリッジチップの発光ユニット及び受光ユニット210の回路図を示す。発光ユニットは、LEDから構成され、スイッチングトランジスタを介してLEDの陰極が接地GNDに接続されているか否かについて制御することで、LEDを点灯又は消灯させる。従って、スイッチングトランジスタが導通する際に、LEDの陰極がGND端に接続され、LEDが点灯する。発光ユニット210は、ほかの光を放出する素子から構成されてもよい。発光ユニット210は、可視光を放出してもよく、赤外光のような不可視光を放出してもよい。受光ユニット210は、フォトトランジスタから形成されたセンサであり、その光電流は、受光ユニットが受信した光度によって変化する。
図5に示した回路のように、光電流の変化は、負荷抵抗における分圧に直接的な影響を与える。つまり、光度の変化は電圧の変化に転換され、受信した光度は、電圧で表示されてよい。
【0056】
<実施形態1>
実施形態1に係るインクジェット画像形成装置は、上述した複数のインクカートリッジ、キャリッジ205、キャリッジモータ、受光ユニット210及びメイン制御回路300を備えている。
【0057】
メイン制御回路300は、
図6A,
図6B〜
図9A,
図9Bに示すインクカートリッジの位置検出のプロセスによって、正確なインクカートリッジが該当する取り付
け位置に取り付けられているか否かを判断する。キャリッジ205は、ガイド軸207に沿って移動可能であり、左側から順番に設けられた4つの位置を含む。これらの4つの位置は、ブラック位置(K)、シアン位置(C)、
マゼンタ位置(M)及びイエロー位置(Y)である。ブラックインクカートリッジ1K、シアンインクカートリッジ1C、
マゼンタインクカートリッジ1M及びイエローインクカートリッジ1Yは、それぞれブラック位置(K)、シアン位置(C)、
マゼンタ位置(M)及びイエロー位置(Y)に取り付けられている。受光ユニット210は、プリンタ200に固定されている。
図6Aから
図9Bは、インクカートリッジ1がキャリッジ205における正確な位置に正確に取り付けられている状態を示す。本発明に係る「インクカートリッジの取り付
け位置」は、インクカートリッジが
正確に取り付けられるべき位置(例えば、ブラックインクカートリッジ1Kの取り付
け位置は、ブラック位置(K))である。メイン制御回路300におけるROMに記憶されたプログラムに基づいて、後述する発光ユニットの発光、受信した光度に基づいて行われた光電流の検出、キャリッジ205の移動及びインクカートリッジ1の位置の検出を制御する。
【0058】
図6A及び
図6Bにおいては、ブラックインクカートリッジ1KのLED101が最初に点灯する。
図6Aは、受光ユニット210がブラックインクカートリッジ1Kに面する位置を示す。このような状況において受光ユニット210が受信する光度は563mVである。以下、
図6Aにおける、ある特定のインクカートリッジチップを点灯させ、受光ユニットが特定のインクカートリッジに面する取り付
け位置に対して光検出を行うプロセスを、正面位置の検出と定義する。
図6Bは、キャリッジ205がガイド軸207に沿って左側へ1つのインクカートリッジ相当の距離を移動し、受光ユニット210がシアンインクカートリッジ1Cに面している状態を示す。このような状況において、ブラックインクカートリッジ1KのLED101の点灯により、受光ユニット210に到達する光度は、20mVである。この光度は、受光ユニット210がブラックインクカートリッジ1
Kに面するときの光度より遥かに小さい。以下、
図6Bにおける、ある特定のインクカートリッジチップを点灯させ、受光ユニットが当該特定のインクカートリッジに面する取り付
け位置の隣接位置に対して光検出を行うプロセスを、隣接位置の検出と定義する。インクカートリッジが取り付
け位置に取り付けられる際(つまり、インクカートリッジが正確に取り付けられる際)に正面位置の検出段階において受光ユニットが受信する光度は、隣接位置の検出段階において受光ユニットが受信する光度より必ず遥かに大きくなる。受光ユニット210が受信する光は、周囲光を含む可能性がある。例えば
図6Bにおいて受光ユニットが受信する光度20mVは、ブラックインクカートリッジ1Kの発光ユニット101から散乱された光であるかもしれないし、インクジェット画像形成装置の内部及び周囲の周囲光であるかもしれない。
【0059】
図7Aから
図9Bは、シアンインクカートリッジ1CのLED101が点灯している状態、
マゼンタインクカートリッジ1MのLED101が点灯している状態及びイエローインクカートリッジ1YのLED101が点灯している状態において、上述した操作を順番に実行する状況の概略図である。各図面における表は、点灯したインクカートリッジと、各インクカートリッジの取り付
け位置において受光ユニット210が受信する光度との関係を示す。製造上の誤差のため、たとえ同じ回路に同じ電流が流れるとしても、各インクカートリッジの複数のLEDが放出する光度に変化があり、その結果、各インクカートリッジに取り付けられたLED101に変化をもたらす場合がある。また、インクカートリッジ1の交換頻度が異なるため、例えばインクで形成されたインクのミスト(mist)の汚れがインクカートリッジ1に付着することで、放出光の光度が減少する場合がある。従って、各インクカートリッジ1の放出光の光度は、変化するときがある。
【0060】
以下、インクカートリッジ1の位置を判断する方法について説明する。
【0061】
上述した図における表に対応するデータは、インクジェットプリンタ200の記憶ユニットに記憶される。当該データに基づいて、インクカートリッジの取付位置が判断される。先ず、ブラックインクカートリッジ1Kの位置を判断することが好ましい。ブラックインクカートリッジ1KのLED101が点灯する際に、受光ユニット210が最大光度を受信した位置を見つける。ブラック位置K箇所の光度が、最大で且つしきい値(例えば100mV)を超える563mVである。従って、ブラックインクカートリッジ1Kがブラック位置(K)に取り付けられていると判断することができる。この方式によれば、点灯するインクカートリッジの色と、光度を受信する最大箇所であるキャリッジ205の位置の色とが一致する際に、そのインクカートリッジが正確な位置(即ち、取り付
け位置)に
取り付けられていると判断される。同様に、各色に関する最大値を探すことによって、シアンインクカートリッジ、
マゼンタインクカートリッジ及びイエローインクカートリッジがそれぞれシアン位置、
マゼンタ位置及びイエロー位置に取り付けられているか否かを判断することができる。
【0062】
次に、誤った位置に取り付けられたインクカートリッジ1を検出する方法について説明する。
【0063】
図10A及び
図10Bは、シアンインクカートリッジ1Cと
マゼンタインクカートリッジ1Mとの取付位置が逆の場合(即ち、シアンインクカートリッジ1Cが
マゼンタ位置(M)に取り付けられ、
マゼンタインクカートリッジ1Mがシアン位置(C)に取り付けられている場合)に、位置検出された箇所の概略図を示す。
図10Aは、シアンインクカートリッジ1Cが点灯し、受光ユニット210がシアン位置(C)に取り付けられた
マゼンタインクカートリッジ1Mに面している状況を示す。このような状況において受光ユニット210が受信する光度は20mVである。
図10Bは、キャリッジ205がガイド軸207に沿って左へ1つのインクカートリッジ相当の距離を移動し、受光ユニット210が
マゼンタ位置(M)に取り付けられたシアンインクカートリッジ1Cに面している状態を示す。このような状況においてシアンインクカートリッジ1CのLED101の点灯により受光ユニット210に到達する光度は320mVである。シアンインクカートリッジ1CのLED101が点灯する際に受光ユニット210が最大光度を受信する位置は、
マゼンタ位置(M)である。従って、インクジェットプリンタ200のメイン制御回路は、シアンインクカートリッジ1Cが
マゼンタ位置(M)に誤って取り付けられていると判断することができる。同様に、
マゼンタインクカートリッジのLED101が点灯する際に受光ユニット210が最大光度を受信する位置を探すことによって、
マゼンタインクカートリッジ1Mがシアン位置(C)に誤って取り付けられていると判断することができる。
【0064】
背景技術に記載したように、従来のインクジェット画像形成装置は、単に本発明の
図6A〜
図9Bに類似する、規則性のある検出方法を採用してインクカートリッジの取付位置を判断するだけであり、検出方法の欠陥が発見されやすい。そこで、実施形態1では、従来の方法に基づいて正確なインクカートリッジがそれぞれの取り付
け位置に取り付けられていると判断した後に、複数のインクカートリッジから1つ又は複数のインクカートリッジをさらにランダムサンプリングして、インクカートリッジの取付位置について追加の検出を行う。
【0065】
インクジェットプリンタのメイン制御回路には、ランダム選択モジュール又はランダム選択プログラムが含まれてもよく、予め設定した乱択アルゴリズムに基づいて、複数のインクカートリッジの中から1つ又は複数のインクカートリッジを不確定インクカートリッジとしてランダムに選択してよい。
【0066】
上記の予め設定した乱択アルゴリズムは、複数のインクカートリッジに対して番号を付与した後に、従来の乱数生成法を採用して、インクカートリッジに対応可能な1つ又は複数の番号をランダムに生成することができる。複数のインクカートリッジの数をNとして、N個のインクカートリッジをそれぞれ1からNまでの1つの数字に対応させ、1〜Nの1つ又は複数の乱数を生成させる。これにより、1つ又は複数の不確定インクカートリッジをランダムに選択することができる。また、乱数は、現時点のインクジェット画像形成装置の時計に基づいて生成されてもよい。例えば、現時点のインクジェット画像形成装置の内部時計の秒針数値を取得する。例えば、秒針数値が37である場合、37をNで割って、取得した余りに1を足せば乱数となる。
【0067】
すべての正確なインクカートリッジがそれぞれの取り付
け位置に取付されていると判断
された後、キャリッジ205は、キャリッジ制御ユニット(即ち、キャリッジのモータ)によって移動する。それによって、不確定インクカートリッジが取り付け
るべき取付位置(即ち、不確定インクカートリッジの色に対応する取付位置)が受光ユニット210に面する。次に、メイン制御回路は、プリセット規則に基づいて、不確定インクカートリッジの発光ユニットを点灯又は消灯させる。前述した
図6Aから
図9Bに示した検出方法はすべて、先に正面位置の検出を行い、次に隣接位置の検出を行う。そのため、不確定インクカートリッジに対して追加の検出を行う際に、上述したプリセット規則において、同様に“正面位置―隣接位置”の検出を行うことができる。また、同様の“正面位置―隣接位置”の検出を重複する際に簡単に避けられることを回避するために、先に隣接位置の検出を行い、次に正面位置の検出を行ってもよい。即ち、“隣接位置―正面位置”の検出、ひいては“隣接位置―正面位置―隣接位置”の検出又は“正面位置―隣接位置―正面位置”の検出である。当該プリセット規則は、ニーズに応じて設定することができる。
【0068】
一方、受光ユニット210が受信する光度は、プリセット規則によって異なる。メイン制御回路は、受光ユニット210が受信する光度の規則がプリセット規則に対応するか否かを判断する。それによって、不確定インクカートリッジが取り付
け位置に取り付けられているか否かを判断する。即ち、正確なインクカートリッジが不確定インクカートリッジに対応する取り付
け位置に取り付けられているか否かを判断する。例えば、メイン制御回路300が、“隣接位置―正面位置―隣接位置”の規則に基づいて、不確定インクカートリッジの発光ユニットを点灯又は消灯させる際に、受光ユニットが受信した光度が“小―大―小”のように“隣接位置―正面位置―隣接位置”の検出の規則に適合すれば、不確定インクカートリッジが取り付
け位置に取り付けられていることを示す。
【0069】
ランダム選択モジュール又はプログラムによって選択された不確定インクカートリッジが1つのみでない場合、ほかの不確定インクカートリッジについて、類似するプリセット規則を採用して追加の検出を行う。
【0070】
実施形態1に係るインクジェット画像形成装置では、追加された位置検出がランダム性を有するため、インクカートリッジの取付位置を検出する方法が改善され、互換インクカートリッジチップが搭載されたインクカートリッジが正確な位置に取り付けられているか否かについて、インクジェット画像形成装置によって検出不可能な状況が減少又は回避される。これによって、印刷の品質が低下する又はインクジェット画像形成装置が損傷するという問題が回避される。
【0071】
また、実施形態1において、インクジェット画像形成装置は、複数のインクカートリッジに対して
図6A〜
図9Bに示した従来の方法で先に光検出を行わなくてもよい。ランダム選択モジュール又はプログラムを利用して直接に不確定インクカートリッジを選択し、その後、上述したプリセット規則に基づいて不確定インクカートリッジの発光ユニットを点灯又は消灯させ、受光ユニットが受信した光度によって不確定インクカートリッジが取り付
け位置に取り付けられているか否かを判断する。ランダムに選択された不確定インクカートリッジのすべてが正確な位置に取り付けられている際に、すべてのインクカートリッジが正確な位置に取り付けられていると大まかに判断してよい。
【0072】
<実施形態2>
上述した実施形態1において、メイン制御回路が正面位置の検出段階又は隣接位置の検出段階において受光ユニット210が受信する光度に対して時間を制限せず、正面位置の検出段階において比較的大きな光度を受信すればよいという要件だけなら、メイン制御回路は互換インクカートリッジチップに騙されやすい。例えば、正面位置の検出段階における発光ユニットの連続発光の時間は2秒であるが、受光ユニットは、最大の光度を受信したか否かを判断するだけであり、受信した光度の持続する時間が約2秒であるか否かは判
断しない。このような状況を回避するために、実施形態2に係るインクジェットプリンタのメイン制御回路は、タイムカウントモジュール又はタイムカウントプログラムをさらに含む。タイムカウントモジュール又はタイムカウントプログラムは、正面位置の検出段階又は隣接位置の検出段階に対して受光ユニットがプリセット光度を受信する際にタイムカウントを行うために用いられる。
【0073】
図6A及び
図6Bを例に説明する。
図6Aにおいて、キャリッジの移動によってブラック位置(K)が受光ユニット210に面する際に、メイン制御回路は、ブラック位置(K)に取り付け
るべきブラックインクカートリッジ1Kの発光ユニット101を点灯させる。受光ユニット210がこのときに受信する光度を、第1光度という。タイムカウントモジュール又はタイムカウントプログラムは、メイン制御回路が発光ユニットを点灯させる時刻と、受光ユニットが第1光度を受信する時刻との時間差を計算するために用いられる。
図11に示すように、例えば、発光ユニットが点灯したときからタイムカウントを開始し、受光ユニットが第1光度を受信した際にタイムカウントモジュール又はタイムカウントプログラムがカウントした時間(例えば600ミリ秒)を判断すれば、この両方の時間差(600ミリ秒)を取得することができる。
【0074】
又は、
図12に示すように、キャリッジの移動によってブラック位置(K)が受光ユニット210に面する際に、メイン制御回路は、ブラック位置(K)に取り付け
るべきブラックインクカートリッジ1Kの発光ユニット101を点灯させる。受光ユニット210がこのときに受信する光度を、第1光度という。タイムカウントモジュール又はタイムカウントプログラムは、メイン制御回路が発光ユニットを点灯させてから発光ユニットを消灯させるまでの時間の長さT1を計算し、受光ユニット210が第1光度を受信してからこれ以上第1光度を受信しなくなるまでの時間の長さT2を計算して、この2つの時間の長さT1とT2との時間差を比較するために用いられる。
【0075】
図6Bにおいて、キャリッジの移動によってブラック位置(K)と異なるシアン位置(C)が受光ユニット210に面する際に、メイン制御回路は、ブラック位置(K)に取り付け
るべきブラックインクカートリッジ1Kの発光ユニット101を点灯させる。受光ユニット210がこのときに受信する光度を、第2光度という。
【0076】
メイン制御回路は、上述した第1光度、第2光度及び計算された時間差のいずれか1つに基づいて、正確なインクカートリッジがブラック位置(K)に取り付けられているか否かを判断する。メイン制御回路が上述した第1光度及び第2光度に基づいて正確なインクカートリッジが正確な位置に取り付けられているか否かを判断する原理については、実施形態1で既に説明したため、ここでは説明を省略する。異なるバッチ間の部品には多くの場合小さい相違が存在するため、上述した時間差の絶対値が小さい場合(第1プリセット時間長値以下であると定義し、例えば50ミリ秒)、工程又は部品が原因であると理解してよい。しかし、上述した時間差が大きい場合(第1プリセット時間長値より大きいと定義して、例えば100ミリ秒)、不当であると理解する。従って、第1光度、第2光度及び計算された時間差がすべて上述した要件を満たしている場合に限り、正確なインクカートリッジが正確な取付位置に取り付けられていると判断することができる。残りのインクカートリッジについても、同様の方法を採用して正確な取付位置に取り付けられているか否かについて確認することができる。
【0077】
<実施形態3>
従来の技術では、光検出の効率を向上させるために、メイン制御回路が正面位置の検出段階及び隣接位置の検出段階において発光ユニットを点灯させる持続時間が異なる。具体的には、正面位置の検出段階での発光ユニットの点灯する持続時間が長く、隣接位置の検出段階での発光ユニットの点灯する持続時間が短い。このような規則性のため、互換イン
クカートリッジチップは、光線制御コマンドを受信する際に、実行を遅延することができる。遅延時間によって隣接位置の検出段階をちょうどブロックすることができれば、正面位置の検出段階において大きな光度を受信することが確保される一方、隣接位置の検出段階において光を受信することはできない。このようにしても、互換インクカートリッジチップは、インクジェットプリンタのメイン制御回路を騙すことができる。
【0078】
このような状況を回避するために、実施形態3に係るインクジェットプリンタのメイン制御回路は、ランダム時間生成モジュール又はランダム時間生成プログラムをさらに含む。ランダム時間生成モジュール又はランダム時間生成プログラムは、ランダムな長さの時間を生成するために用いられる。
【0079】
図6A及び
図6Bを例に説明する。
図6Aにおいて、キャリッジの移動によってブラック位置(K)が受光ユニット210に面する際に、メイン制御回路は、ブラック位置(K)に取り付け
るべきブラックインクカートリッジ1Kの発光ユニット101が点灯させる。受光ユニット210がこのときに受信する光度を、第1光度という。制御ユニットは、第1プリセット時間後に、当該発光ユニットを消灯させる。
図6Bにおいて、キャリッジの移動によってブラック位置(K)と異なるシアン位置(C)が受光ユニット210に面する際に、メイン制御回路は、ブラック位置(K)に取り付け
るべきブラックインクカートリッジ1Kの発光ユニット101を点灯させる。受光ユニット210がこのときに受信する光度を、第2光度という。制御ユニットは、第2プリセット時間後に当該発光ユニットを消灯させる。即ち、ブラックインクカートリッジにおける発光ユニットの連続点灯時間は、正面位置の検出段階及び隣接位置の検出段階において、それぞれ、第1プリセット時間及び第2プリセット時間である。第1プリセット時間と第2プリセット時間との差は、第1プリセット時間の半分以下である。或いは、第1プリセット時間又は第2プリセット時間の長さは、ランダム時間生成ユニットによって確定される。
【0080】
メイン制御回路は、上述した第1光度及び第2光度に基づいて、正確なインクカートリッジがブラック位置(K)に取り付けられているか否かを判断する。残りのインクカートリッジについても、同様の方法を採用して、正確な取付位置に取り付けられているか否か判断することができる。
【0081】
実施形態3において、正面位置の検出段階及び隣接位置の検出段階において発光ユニットが点灯される持続時間は、互いにほぼ同じであるか、又は、ランダム時間生成ユニットによって確定される。それによって、互換インクカートリッジチップが遅延又は光検出の規則を記録する方式によってインクジェット画像形成装置を騙すことが回避され、インクカートリッジの取付位置を検出する機能を正常に実施することが確保され、さらに、印刷品質の低下又はインクジェット画像形成装置の損傷が回避される。
【0082】
<実施形態4>
従来の技術において、インクジェット画像形成装置における受光ユニットは、発光ユニットが発光するか否かを検出するだけに用いられる。即ち、受信した光度がある一定のしきい値を超えているか否かを判断することによって、発光ユニットが発光するか否かを検出する。しかし、このような固定された検出及び判断方式は、規則性を形成しやすく、互換インクカートリッジチップに騙されやすい。そのため、実施形態4に係るインクジェット画像形成装置(インクジェットプリンタ)は、実施形態1と同様に、複数のインクカートリッジ、キャリッジ、受光ユニット及び制御ユニットを備え、実施形態1と異なる箇所として、少なくとも点滅周波数が異なる複数(少なくとも2つ)の発光モードが記憶された記憶ユニットをさらに備えている。異なる点滅周波数の発光モードは、定常点滅周波数の発光モード及び非定常点滅周波数の発光モードを含む。
図13に示した方形波信号は、
図5に示したスイッチングトランジスタを制御するために用いられる。スイッチングトラ
ンジスタは、方形波信号が高電位である際に導通されると仮定する。発光モード1及び発光モード2は、両方とも定常点滅周波数の発光モードである。発光モード1の点滅周波数は、発光モード2の点滅周波数より高い。発光モード3は、非定常点滅周波数の発光モードであり、点滅周波数が徐々に遅くなる。実施形態4において、
図13に示した50%のデューティ比が発光ユニットを制御することに限定されず、ほかの比率のデューティ比又は変化可能なデューティ比であってもよい。
【0083】
図6Aをさらに例として、キャリッジの移動によってブラック取付位置(K)が受光ユニット210に面する際に、インクジェット画像形成装置のメイン制御回路によって、記憶ユニットに記憶された複数の発光モードの中から1つの発光モードがランダムに選択され、ブラック取付位置(K)に取り付け
るべきブラックインクカートリッジ1Kの発光ユニットを制御する。ランダムに選択されたのが
図13に示した発光モード1であるとすると、発光ユニットは、1秒に4回点滅する方式(即ち、点滅周波数4Hz)に基づいて、順番に点灯及び消灯する。受光ユニットがこのときに受信する光度は、ランダムに選択された発光モード1に対応して、デューティ比が約50%であり、周波数が約4Hzの方形波信号である(なお、騒音などの要因により、はっきりした標準の方形波信号でない場合がある)。受光ユニットが受信した光度が発光モード1に対応するため、メイン制御回路は、ブラックインクカートリッジ1Kが正確なブラック取付位置(K)に取り付けられていると判断することができる。
【0084】
ランダムに選択されたのがほかの発光モードである場合、メイン制御器は、受光ユニットが受信した光度がランダムに選択された発光モードに対応するか否かによって、正確なインクカートリッジが取り付
け位置に取り付けられているか否かを判断することができる。
【0085】
また、
図6Bに示すように、キャリッジの移動によってブラック位置(K)と異なるシアン位置(C)が受光ユニット210に面する際に、メイン制御回路は、ブラック取付位置(K)に取り付け
るべきブラックインクカートリッジ1Kの発光ユニット101を点灯させる。受光ユニット210がこのときに受信する光度を、第2光度という。制御ユニットは、正面位置の検出において、発光ユニット210が放出した光に対して検査を行う以外に、第2光度と併せて、正確なインクカートリッジが取り付
け位置に取り付けられているか否かを判断することもできる。
【0086】
<実施形態5>
インクジェット画像形成装置に取り付けられたインクカートリッジが5個である場合、
図6A〜
図9Bに示した方法に基づいて、インクカートリッジの取付位置を判断するために、キャリッジを4回移動させる必要がある。画像形成の色彩に対するニーズがますます豊富であるため、インクジェット画像形成装置に取り付けられるインクカートリッジは、8個(即ち、8色)、多い場合は12個にも達する。従来技術のようにインクカートリッジ1個ずつを移動検査する場合、毎回長時間を費やして検出をしなければならず、インクジェット画像形成装置の作業効率に影響を与えてしまう。そのため、実施形態5に係るインクジェット画像形成装置は、上述した複数のインクカートリッジ、キャリッジ及びメイン制御回路に加えて、少なくとも2つの受光ユニットを備えている。
図14A〜
図15Bに示した第1受光ユニット210及び第2受光ユニット220を含むインクジェット画像形成装置を例として、実施形態5の具体的な解決手段について説明する。
【0087】
図14A及び14Bにおいて、ブラックインクカートリッジ1KのLED101及びシアンインクカートリッジ1CのLED101は、順番に点灯される。
図14Aは、受光ユニット210がブラックインクカートリッジ1Kに面する位置及び受光ユニット220がシアンインクカートリッジ1Cに面する位置にあり、ブラックインクカートリッジ1Kの
LED101が最初に点灯された状況を示す。このような状況において受光ユニット210が受信する光度は563mVである。一方、受光ユニット220が受信する光度は20mVであり、これは、ブラックインクカートリッジ1Kに面する受光ユニット210が受信する光度より遥かに小さい。しかしながら、
図14Bに示すように、メイン制御回路によって、ブラック取付位置(K)に取り付け
るべきブラックインクカートリッジ1Kの発光ユニット101が消灯され、シアン取付位置(C)に取り付け
るべきシアンインクカートリッジ1Cの発光ユニット101が点灯される。このような状況において、シアンインクカートリッジ1CのLED101の点灯により、受光ユニット210に到達する光度は20mVであり、受光ユニット220に到達する光度は320mVである。
【0088】
図15Aは、キャリッジ205がガイド軸207に沿って左へ2つのインクカートリッジ相当の距離を移動し、受光ユニット210が
マゼンタインクカートリッジ1Mに面し、受光ユニット220がイエローインクカートリッジ1Yに面している状態を示す。
図14A及び14Bにおける制御方法と同様に、上記の操作を順番に実行し、
マゼンタインクカートリッジ1M及びイエローインクカートリッジ1Yの発光ユニットを順次に点灯させ、受光ユニット210及び受光ユニット220が受信した光度を記録する。
図14A〜
図15Bにおける表は、点灯されたインクカートリッジと、各インクカートリッジの取り付
け位置において受光ユニットが受信する光度との関係を示す。
【0089】
以下、インクカートリッジ1の位置を判断する方法について説明する。
【0090】
上述した図における表に対応するデータは、インクジェットプリンタ200の記憶ユニットに記憶されている。当該データに基づいて、インクカートリッジの取付位置が判断される。先ず、ブラックインクカートリッジ1Kの位置を判断することが好ましい。ブラックインクカートリッジ1KのLED101が点灯する際に、最大光度を受信する受光ユニット(受光ユニット210又は受光ユニット220)を見つけ、当該受光ユニットの位置を見つける。ブラック位置K箇所の光受信機210が受信する光度は、最大で且つしきい値(例えば100mV)を超える563mVである。また、ブラック位置Kに面しない受光ユニット220が受信する光度は、非常に小さい(20mV)。そのため、ブラックインクカートリッジ1Kがブラック位置(K)に取り付けられていると判断することができる。この方式によれば、点灯されたインクカートリッジの色と、光度を受信する最大箇所である受光ユニットの位置の色とが一致する際に、インクカートリッジが正確な位置(即ち、取り付
け位置)に取り付けられていると判断される。同様に、各色に関する最大値を探すことにより、受光ユニットが受信する光度がそれぞれ1つの大及び1つの小である際に、シアンインクカートリッジ、
マゼンタインクカートリッジ及びイエローインクカートリッジが、それぞれシアン位置、
マゼンタ位置及びイエロー位置に取り付けられているか否かを判断することができる。
【0091】
従って、インクジェット画像形成装置は、少なくとも2つの受光ユニットを有するため、キャリッジの移動回数が減少する。これにより、複数のインクカートリッジの取付位置を迅速に検出することができる。2つ以上の受光ユニットを備えたインクジェット画像形成装置は、キャリッジの移動回数がさらに減少するため、検出の速度が大幅に向上する。特に、インクジェット画像形成装置に配置された受光ユニットの数とインクカートリッジの数とが同じである場合、キャリッジを移動させることなく、カスタム発光制御方法によって、1回でインクカートリッジの取付位置を判断することができ、検出をより迅速に完了する。カスタム発光制御方法は、複数あってもよい。例えば、走馬灯の方式を利用して、各インクカートリッジにおける発光ユニットを順次に点灯及び消灯させ、インクカートリッジの数と同じ数の受光ユニットを利用して、受信した光度を同時に検出する。複数の受光ユニットが受信した光度の規則が走馬灯の発光方法に対応すれば、すべてのインクカートリッジが取り付
け位置(即ち、正確な位置)に取り付けられていると判断することが
できる。
【0092】
<変形例>
説明を明確にするために、上記の各実施形態は、通常不規則性を持つ発光制御方法又は、インクジェット画像形成装置の配置及び対応する検出方法を採用するだけである。これらの解決手段の不規則の程度又は検出効率を向上させるために、上記の各実施形態の2つ又は2つ以上の検出手段を統合させてもよい。例えば、実施形態1のランダム選択ユニットと実施形態2のタイムカウントユニットとを統合させてよい。また例えば、実施形態3のランダム時間生成ユニットと実施形態4の複数の受光ユニットとを統合させてよい。さらに例えば、実施形態1〜4のいずれか1つ又は複数の解決手段を実施形態5に適用してよい。また、ほかの統合方式で取得した解決手段を使用してもよい。
【0093】
当業者が理解するように、上記の各方法の実施形態を実現する全部又は一部のステップは、プログラムコマンド又は関連するハードウエアを介して実現することができる。上記のプログラムは、コンピュータの読み取り可能な記憶媒体に記憶することができる。当該プログラムを実行する際に、上記の各方法の実施形態を含むステップを実行する。一方、上記の記憶媒体は、ROM、RAM、磁気ディスク、コンパクトディスク(CD)等、各種のプログラムのコードを記憶可能な媒体を含む。
【0094】
最後に説明すべきことは、上記の各実施形態は、本発明に係る技術的解決手段を説明するためだけのものであり、本発明を限定するものではない。上記の各実施形態を参照しながら本発明について詳細に説明したにもかかわらず、当業者は以下の点について理解すべきである。上記の各実施形態に記載した技術的解決手段について、改変又はその中の一部又は全部の技術的特徴について同等置換することができる。これらの改変や置換によって、対応する技術的解決手段の本質が、本発明に係る各実施形態の技術的解決手段の範囲から逸脱することはない。