特許第6295503号(P6295503)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6295503
(24)【登録日】2018年3月2日
(45)【発行日】2018年3月20日
(54)【発明の名称】加湿装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 6/06 20060101AFI20180312BHJP
【FI】
   F24F6/06
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-209998(P2012-209998)
(22)【出願日】2012年9月24日
(65)【公開番号】特開2014-66378(P2014-66378A)
(43)【公開日】2014年4月17日
【審査請求日】2015年7月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】390010168
【氏名又は名称】東芝ホームテクノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080089
【弁理士】
【氏名又は名称】牛木 護
(74)【代理人】
【識別番号】100161665
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 知之
(72)【発明者】
【氏名】塚田 一郎
(72)【発明者】
【氏名】下峰 実
(72)【発明者】
【氏名】大滝 敏弘
【審査官】 関口 知寿
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−047637(JP,A)
【文献】 特開2009−041796(JP,A)
【文献】 米国特許第03149626(US,A)
【文献】 米国特許第04117045(US,A)
【文献】 実開昭53−014362(JP,U)
【文献】 米国特許第03596886(US,A)
【文献】 特開2008−224188(JP,A)
【文献】 特開2011−027377(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 6/00−6/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレイと、このトレイの上部に回転可能に配置した筒状の気化フィルタと、この気化フィルタ内に配置したファンと、このファンを回転駆動する回転駆動手段と、前記気化フィルタの外側に設けた排気口とを備え、
前記ファンの回転方向と逆方向に前記気化フィルタを回転駆動し、
前記ファンの回転中心位置を前記気化フィルタの回転中心位置より上方に設け、
前記トレイは水の貯留部を備え、この貯留部の水を前記気化フィルタの内側から該気化フィルタに供給し、
前記貯留部内の水に前記気化フィルタの下部が接していないように構成したことを特徴とする加湿装置。
【請求項2】
前記気化フィルタの回転中心軸方向に対して前記ファンを上流側に設けたことを特徴とする請求項1記載の加湿装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気化フィルタとファンを備えた加湿装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、気化式の加湿器は、気化手段で加湿用水を気化することで、本体の外部に加湿用空気を送り出すようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、ヒーターと加湿用空気を併用するハイブリッド式のものや、加熱により蒸気を発生するヒーター式のものや、超音波振動を用いる超音波式のものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−249511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記気化式のものは、消費電力が少ないが、風量が多いため製品が大型し運転音も大きくなり易い。
【0006】
また、上記ハイブリッド式のものは、ヒーターと加湿用空気を併用するため、製品を小型化できるが、消費電力が大きい。
【0007】
さらに、上記ヒーター式のものは、お湯を沸かす方式なので、ボイラーは小型化できるが、熱湯の扱いに注意が必要となる。
【0008】
また、上記超音波式のものは、消費電力が少なく加湿している実感が得られるが、水を直接噴出させる構造なので、周囲を水で濡らしたり、貯水槽に存在する水垢成分や繁殖雑菌を撒き散らし易くなる。
【0009】
本発明は上記の課題を解決するためになされたもので、消費電力を削減すると共に運転音を低減することができ、加えて、気化フィルタの面積の大型化を抑制すると共に、ファンの回転数を抑えることができる加湿装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明では、気化フィルタとファンの回転方向を逆にすることにより、気化フィルタに与える風速が実質増えて気化量が増えるため、回転駆動手段の回転数を下げることができる。
【0011】
請求項の発明では、下部に向かうファンからの風はトレイで跳ね返されて風速を増してトレイ付近の比較的下側から排出される。一方、トレイと反対の上部から排出される加湿用空気の風速は下側に比べて例えば半分以下の遅い風速となるが、ファンを上方に移すことにより上方からの排出速度を上げ、トレイ付近からの排出速度を下げることができ、全体としてバランスを取ることができる。さらに、トレイは水の貯留部を備え、この貯留部の水を気化フィルタの内側から該気化フィルタに供給する。
【0012】
請求項の発明では、側面吸い込み、外周吹き出しのファンの特質として外側に吹き出した空気は直角方向に吹き出される部分と下流側に流れる部分とに分散される。そして、気化フィルタの中心から下流側にファンを位置させた場合、気化フィルタが受ける風速は軸方向に均一にならず、下流側が早くなり風量が集中する。結果として、目的の加湿量を得るには必要以上に軸方向の寸法を大きくすることになるが、ファンを気化フィルタの軸方向に対して上流側に設けることにより、ファンから外側に吹き出した空気は、直角方向に吹き出される部分と下流側に流れる部分とに分散され、気化フィルタの広範囲をほぼ均一に通過し、気化フィルタに含まれる加湿用液体を効率よく気化させることができる。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、気化フィルタとファンの回転方向を逆にすることにより、気化フィルタの当たる風速が実質的に増加するため、消費電力を図ることができると共に運転音を低減することができる。
【0014】
請求項の発明によれば、トレイに反射して下側から排出される風の風速が高まるのに対して、前記ファンの回転中心位置を気化フィルタの回転中心位置より上方に設けることにより、上側から排出される風の風速を高め、これにより気化フィルタにおける均一な気化が図られ、消費電力の削減を図ることができると共に運転音を低減することができる。また、気化フィルタの内側から該気化フィルタに水を供給するように構成したので、トレイの水に気化フィルタの下部が接しない。そして、トレイは水の貯留部を備え、この貯留部の水を気化フィルタの内側から該気化フィルタに供給することができる。
【0015】
請求項の発明によれば、ファンの風を気化フィルタの軸方向において均一に当てることにより、効率よく気化することができ、気化フィルタの面積の大型化を抑制すると共に、ファンの回転数を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1実施例を示す加湿装置の前面方向から見た斜視図である。
図2】同上、加湿装置の背面方向から見た斜視図である。
図3】同上、加湿装置の分解斜視図である。
図4】同上、加湿装置の縦断面図である。
図5】本発明の第2実施例を示す気化フィルタとファンの軸方向における位置関係を示す断面説明図であり、第2実施例である図5(A)はファンが上流側であり、比較例である図5(B)はファンが中央側であり、比較例である図5(C)はファンが下流側である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明における加湿装置の好ましい幾つかの実施例をそれぞれ説明する。なお、以下の各実施例において、共通する構成には共通する符号を付し、共通する箇所の説明は重複を避けるため極力省略する。
【実施例1】
【0018】
図1図4は、本発明の第1実施例における加湿装置を示している。先ず、加湿装置の全体的な構成について、図1図3を参照しながら説明すると、1は背面側を開口した略円筒有底状の本体、2は本体の背面開口を塞ぐ後カバー、3は後カバー2を覆うように本体1の背面に取り付けられる後パネル、4は本体1の前面に取り付けられる前パネルである。本実施例では、何れも樹脂製の本体1,後パネル3および前パネル4により、加湿装置の外観をなす外郭部材が形成される。
【0019】
本体1には、複数枚の羽根5を放射状に配置してなるファン6と、ファン6の回転駆動手段となる送風モータ7が設けられ、送風モータ7の回転軸8をファン6の中心部に形成した孔部9に貫通させ、ファン6の背面側から突出する回転軸8の先端部にスピンナー10を螺着することにより、ファン6が回転軸8に取付け固定される。その他に本体1は、ファン6の外周を取り囲むドーナツ形で円環状の気化フィルタ11と、気化フィルタ11の下側に配設するトレイ12と、気化フィルタ11に液体である水を送り込む給水用のギアモータ13と、をそれぞれ備えている。
【0020】
ファン6は、側面から空気を吸い込み、外周から空気を吐き出すターボファンやシロッコファンとして構成される。また、送風モータ7の回転軸8は、その軸方向が本体1の前後方向に一致するように配置される。
【0021】
本体1の上面部1Jには、複数のボタンからなる操作部16やLEDなどの表示部17を備えた操作パネル18が設けられると共に、本体1に対して起伏自在な略L字状のハンドル19が設けられる。また、本体1の左右側面部には、多数の開口を有する排気口20がそれぞれ設けられる。排気口20は、ファン6の排気方向に直交して、ファン6の外周を取り囲むように形成される。
【0022】
前記後パネル3には、多数の開口を有する吸気口21が設けられる。吸気口21は、ファン6の吸気方向である回転軸8の軸方向に直交して形成される。また、吸気口21からファン6に向かう空気の流れを遮断しないように、後パネル3とファン6との間にある中間部材としての後カバー2には、空気の流通口22が開口形成される。
【0023】
本体1と前パネル4との間には、液体供給源としてのタンク23が着脱自在に配設される。タンク23は周知のように、水を収納する容器24と、容器24の口部に着脱可能に装着されるキャップ25とからなる。キャップ25には図示しない弁体が設けられており、キャップ25を下にしてタンク23を直立状態で本体1に装着したときに、トレイ12側から弁体が押され、タンク23内の水が有底状に形成されたトレイ12の貯留部27に送出されるようになっている。このときの貯留部27内の液位は、タンク23に収納される水の残量に拘らず、タンク23の下端の位置に規定される。なお、タンク23を本体1から頻繁に着脱する関係で、前パネル4も本体1に対して、例えば爪嵌合などにより着脱自在に配設される。
【0024】
気化フィルタ11は、ドラム状に形成されたフィルタ支持体としてのフィルタケース31に、フィルタ本体たる帯状のフィルタ素材32が巻付くように取り付けられている。フィルタケース31は、リング状に形成された前後一対の枠体33,34の間に、複数本の支柱35を連結して形成され、フィルタ素材32は各支柱35の外側に配設される。
【0025】
トレイ12は、前述した貯留部27の他に、ギアモータ13を駆動源として、貯留部27に貯留した水を気化フィルタ11に導いて供給する給水手段37を備える。給水手段37は、ギアモータ13の回転軸に連結する回動自在な歯車38や、貯留部27に貯留する水を汲み上げるための回動自在な柄杓39の他に、柄杓39で汲み上げた水を、気化フィルタ11の内側に導いて給水するシャワーユニット40などを備えて構成される。そして、ギアモータ13の回転力が歯車38に与えられると、歯車38に噛合する歯部を有する気化フィルタ11がファン6の周りを回転すると共に、気化フィルタ11の回転力が柄杓39に伝達することで、いわゆる水汲み水車構造をなす柄杓39が貯留部27内の水を汲み上げて、気化フィルタ11の内側からフィルタ素材32に向けて給水を行なう構成となっている。
【0026】
本実施例では、送風モータ7を中心として、その周囲にファン6と、気化フィルタ11が配置されている。ここで、操作部16のボタン(例えば、運転切/入ボタン)を操作して、加湿装置の運転を開始すると、送風モータ7に所定の電力が供給され、本体1の内部でファン6が回転軸8を中心に回転する。これにより、吸気口21から流通口22を通してファン6の後側面から取り込まれた加湿用空気は、ファン6の外周方向に向きを変えて気化フィルタ11を通過する。また、加湿装置の運転時には、必要に応じてギアモータ13に所定の電力が供給されるので、本体1の内部で気化フィルタ11を回転させつつ、気化フィルタ11の内側からフィルタ素材32に向けて水が供給され、フィルタ素材32は常に水を含んだ状態になる。したがって、前記ファン6の回転に伴い気化フィルタ11を通過する加湿用空気は、フィルタ素材32から水分を奪って、本体1の側面に形成された排気口20に湿潤空気として排出される。
【0027】
41は、本体1内部に組み込まれた霧化装置である。霧化装置41は、加湿装置の運転時に操作部16の別なボタン(例えば、ピコイオンボタン)を操作することで動作し、操作パネル18と排気口20との間に形成されたミスト放出口42から、マイナスイオンを帯電した微小な粒子径を有する微細ミストが放出されるようになっている。
【0028】
ところで、気化式加湿装置は、環境温度と湿度などの使用環境が一定であるなら、気化量は前記気化フィルタ11を通る加湿用空気の風速に依存する。このため、気化フィルタ11の素材独自の気化特性に合った風速に調整することが気化効率を高める要素のひとつである。また、風速を上げれば気化量の絶対値は増えるが効率低下を招き、消費電力と運転音の増加に繋がる。一方、風速を下げれば加湿量そのものが減ることになる。また、気化効率を高めるためには、気化フィルタ11全体に均一な風速を与えることが重要である。
【0029】
そこで、本発明は以下の特徴構成を採用している。
【0030】
前記トレイ12は、本体1内の下部側に配置され、使用状態で本体1の載置面たる床に近い側に配置されている。前記気化フィルタ11,ファン6及び送風モータ7は本体1内において前記トレイ12の上方に配置されている。
【0031】
図4に示すように、気化フィルタ11内に非接触状態でファン6を配置し、気化フィルタ11の回転中心軸11Aとファン6の回転中心軸6Aとを前後方向の向きに配置すると共に、相互に平行に配置し、さらに、ファン6の回転中心軸6Aを気化フィルタ11の回転中心軸11Aより上方に配置している。また、回転中心軸6A,11Aは、同一の垂直面に位置するように配置することが好ましい。尚、ファン6は、正面から見て略円形をなす送風モータ7を取り囲むように、送風モータ7の回転軸8である送風モータ7の中心軸に対して同心位置に設けられる。
【0032】
前記本体1の排気口20の下部の左右側面下部1L,1Rと前記上面部1Jは閉塞しており、また、前パネル4は吸気口21の下部が閉塞しており、加湿装置内において前記トレイ12はほぼ閉塞された内部空間に配置されている。
【0033】
また、トレイ12は、上部が開口した有底箱型をなし、左右方向に長い底面部12Tと、この底面部12Tの四方から立設した前後側面部12F,12Bと、左右側面部12L,12Rとを一体に有し、前記本体1の下部空間51に収納され、それら側面部12F,12B,12L,12Rは、前記本体1の前記左右側面下部1L,1Rとほぼ同一高さを有する。
【0034】
そして、送風モータ7を中心としてその周囲にファン6,気化フィルタ11が配置されており、回転するファン6により吸気口21及び流通口22を通って吸い込まれた加湿用空気は、図4の矢印に示すように、気化フィルタ11を通過して排気口20から本体1の外に湿潤空気として排出される。
【0035】
その気化フィルタ11は、フィルタケース31にフィルタ素材32が巻き付けるように取り付けられており、ギアモータ13の回転力を歯車38により気化フィルタ11に伝達して気化フィルタ11を回転すると共に、気化フィルタ11の回転により柄杓39が貯留部27内の水を汲み上げて、気化フィルタ11の内側からフィルタ素材32に給水が行われる。この場合、汲み上げた水は、シャワーユニット40の受け皿40Aに設けた孔(図示せず)からフィルタ素材32の内側に滴下される。
【0036】
また、気化フィルタ11の回転方向に対して、ファン6は逆方向に回転駆動するように構成している。言い換えれば、側面から空気を吸い込むとともに外周から空気を吐き出す方向に回転駆動するファン6に対して、気化フィルタ11を逆方向に回転駆動している。この場合、本体1は、ファン6の回転方向と逆方向に気化フィルタ11を回転駆動するように制御する制御手段(図示せず)を備える。また、気化フィルタ11はファン6に比べて低速で回転する。
【0037】
以上のように本実施例では、トレイ12と、このトレイ12の上部に回転可能に配置した筒状の気化フィルタ11と、この気化フィルタ11内に配置したファン6と、このファン6を回転駆動する回転駆動手段する送風モータ7と、気化フィルタ11の外側に設けた排気口20とを備え、ファン6の回転方向と逆方向に気化フィルタ11を回転駆動するから、気化フィルタ11に与える風速が実質増えて送風モータ7の回転を下げることができ、消費電力を図ることができると共に運転音を低減することができ、ファン6の回転数を抑えた効率の高い加湿装置を得ることができる。
【0038】
また、従来品は、床方向に向かうファン6からの風はトレイ12で跳ね返されて風速を増して排気口20の下側から排出され、一方、上部から排出される加湿用空気の風速は床に近い部分に比べて半分以上の遅い風速になる。
【0039】
そこで、本実施例では、ファン6の回転中心位置を気化フィルタ11の回転中心位置より上方に設けたから、排気口20の上側からの排出速度を上げると共に、排気口20の下側から排出される風速を下げることによりバランスを取ることができる。
【0040】
また、ファン6の回転中心位置を気化フィルタ11の回転中心位置より上方に設けることにより、ファン6の下部外周と気化フィルタ11の下部内周との間に、シャワーユニット40の受け皿40Aを配置する空間を確保することができると共に、本体1へのシャワーユニット40の組付け作業性を向上することができる。
【0041】
さらに、気化フィルタ11は、そのフィルタケース31の枠体33に歯部を設けると共に、この歯部に歯合して回転を伝達する歯部を柄杓39に設けたから、ギアモータ13により気化フィルタ11と柄杓39の両者を回転駆動することができる。
【0042】
また、気化フィルタ11の内側から貯留部27の水を該気化フィルタ11のフィルタ素材32に向けて給水を行なうように構成し、貯留部27内の水に気化フィルタ11の下部が接していないため、停止時に余分な水が気化フィルタ11に供給されることがない。
【実施例2】
【0043】
図5は、本発明の実施例2の加湿装置の要部を示している。同図に示すように、回転軸方向において気化フィルタ11をファン6より長く形成し、フィルタ素材32もファン6より長く形成し、実施例に対応する図5(A)では、ファン6を気化フィルタ11の軸方向の上流側に配置し、比較例である図5(B)では、ファン6を気化フィルタ11の軸方向のほぼ中央に配置し、比較例である図5(C)では、ファン6を気化フィルタ11の軸方向の下流側に配置している。尚、いずれの実施例も気化フィルタ11内にファン6が配置されている。
【0044】
上記のように側面吸い込み・外周吐き出しのファン6の特質として、外周に吹き出す風は直角方向に吐出される部分と下流側に流れる部分とに分散される。
【0045】
このため図5(B)(C)の位置にファン6を配置した場合、気化フィルタ11が受ける風速は軸方向に均一にならず下流側が早くなり風量が集中する。結果として目的の加湿量を得るには必要以上に軸方向の寸法を大きくする必要がある。
【0046】
図5(A)に示すように、ファン6を気化フィルタ11の軸方向の上流側に配置した場合、ファン6の周方向に吹き出す風と下流側に流れる風により、気化フィルタ11のフィルタ素材32の軸方向全長にほぼ均一に風が当たることになり、加湿効果が向上する。
【0047】
以上のように本実施例では、気化フィルタ11の回転中心軸方向に対してファン6を上流側に設けたから、ファン6から外側に吹き出した空気は、ファン6の回転中心軸6Aと直交する外周方向に吹き出される部分と下流側に流れる部分とに分散され、気化フィルタ11の広範囲をほぼ均一に通過し、気化フィルタ11に含まれる液体を効率よく気化させることができ、このように軸方向における風速分布を均一化して効率の高い加湿装置を得ることができる。
【0048】
また、ファン6の軸方向の長さは、フィルタ素材32の軸方向長さの2分の1以上であるから、ファン6の下流に流れる空気が下流側の2分の1未満の部分に当たって加湿用空気を形成することができる。
【0049】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更可能である。例えば、第2実施例におけるファン6と気化フィルタ11の位置関係を、第1実施例に適用してもよいなど、各実施例における特徴を別な実施例のものと適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 本体
6 ファン
6A 回転中心軸
7 送風モータ(回転駆動手段)
11 気化フィルタ
11A 回転中心軸
12 トレイ
27 貯留部
図1
図2
図3
図4
図5