(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6295579
(24)【登録日】2018年3月2日
(45)【発行日】2018年3月20日
(54)【発明の名称】風力発電システム
(51)【国際特許分類】
H02P 9/00 20060101AFI20180312BHJP
F03D 7/04 20060101ALI20180312BHJP
【FI】
H02P9/00 F
F03D7/04 Z
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-206348(P2013-206348)
(22)【出願日】2013年10月1日
(65)【公開番号】特開2015-70781(P2015-70781A)
(43)【公開日】2015年4月13日
【審査請求日】2016年9月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091281
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 雄一
(72)【発明者】
【氏名】上原 深志
(72)【発明者】
【氏名】真下 明秀
【審査官】
上野 力
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−005603(JP,A)
【文献】
特開2011−223724(JP,A)
【文献】
国際公開第2013/042237(WO,A1)
【文献】
特開2012−019642(JP,A)
【文献】
特開2011−147272(JP,A)
【文献】
特開2001−037280(JP,A)
【文献】
特開2007−267465(JP,A)
【文献】
特開2004−285991(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 9/00
F03D 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
風車と、前記風車の回転エネルギーを回転子及び固定子を介して電気エネルギーに変換する永久磁石同期発電機と、前記発電機の発電電力を電源系統に供給するための電力変換器と、を備え、前記回転子の磁石と固定子鉄心との間の空隙の磁束密度の変化によって発生するコギングトルクを第1の推定手段により推定し、前記第1の推定手段により推定したコギングトルクを相殺するトルク指令値に従って前記電力変換器を制御する風力発電システムにおいて、
前記第1の推定手段は、前記発電機の誘起電圧角周波数と、基本周波数の偶数調波の次数設定値と、前記偶数調波の振幅成分設定値と、を用いてそれぞれ演算した複数の偶数調波成分を合成することにより、前記コギングトルクを推定することを特徴とする風力発電システム。
【請求項2】
風車と、前記風車の回転エネルギーを回転子及び固定子を介して電気エネルギーに変換する永久磁石同期発電機と、前記発電機の発電電力を電源系統に供給するための電力変換器と、を備え、前記回転子の磁石と固定子鉄心との間の空隙の磁束密度の変化によって発生するコギングトルクを第1の推定手段により推定し、かつ、前記回転子の磁石と固定子鉄心との間の空隙の磁束密度の高調波成分及び負荷電流によって発生するトルクリプルを第2の推定手段により推定し、前記第1の推定手段により推定したコギングトルクを相殺し、かつ、前記第2の推定手段により推定したトルクリプルを相殺するトルク指令値に従って前記電力変換器を制御する風力発電システムにおいて、
前記第1の推定手段は、前記発電機の誘起電圧角周波数と、基本周波数の偶数調波の次数設定値と、前記偶数調波の振幅成分設定値と、を用いてそれぞれ演算した複数の偶数調波成分を合成することにより、前記コギングトルクを推定することを特徴とする風力発電システム。
【請求項3】
請求項2に記載した風力発電システムにおいて、
前記第2の推定手段は、前記発電機の誘起電圧角周波数の6倍の値に対する余弦波信号と、誘起電圧の第5調波成分及び第7調波成分の各振幅と、を用いて前記トルクリプルを推定することを特徴とする風力発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、風車に接続された永久磁石同期発電機のトルクの脈動を抑制する風力発電システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図5は、風車、永久磁石同期発電機及び電力変換器を備えた風力発電システムの概略的な構成図である。
風車1は、プロペラ形や縦形(ダリウス形等)等の種類があり、ブレードに受けた風を回転エネルギーに変換する。この風車1には、永久磁石同期発電機(以下、単に発電機ともいう)2の永久磁石からなる回転子が直結されており、発電機2の電機子(固定子)コイルから出力される交流電圧は、コンバータ装置3により直流電圧に整流された後、平滑コンデンサ7を介してコンバータ装置4により交流電圧に変換される。この交流電圧は、ACL(交流リアクトル)5及び高調波抑制用のフィルタ回路6を経由して電源系統に供給される。
なお、8は制御装置、9,10は各コンバータ装置3,4の半導体スイッチング素子を制御するための制御回路である。
【0003】
ここで、永久磁石同期発電機2では、その動作原理上、コギングトルク及びトルクリプルという2種類のトルク脈動成分が存在する。
コギングトルクは、永久磁石同期発電機の回転子の磁石と、スロット及び歯部からなる固定子鉄心との位置関係に起因する空隙磁束密度の変化によって発生する。
【0004】
図6は、回転方向に沿った磁石の長さがスロットピッチの整数倍、例えば2倍であるときの固定子鉄心と磁石との位置関係、及び、両者間の空隙の平均磁束密度を示している。
回転子が回転して磁石が位置M
1からM
2に移動し、固定子鉄心と磁石との位置関係が変化しても、磁石の長さがスロットピッチの整数倍であるため、破線の楕円で囲んだ部分の面積の増加分と減少分とは等しい。このため、回転前後の範囲B
1,B
2内の磁束及び磁気エネルギーに変化はなく、コギングトルクは発生しない。
【0005】
これに対し、
図7は、磁石の長さがスロットピッチの整数倍でない場合、例えば2.2倍であるときの固定子鉄心と磁石との位置関係、及び、空隙の平均磁束密度を示している。
回転子が回転して磁石が位置M
1からM
2に移動し、固定子鉄心と磁石との位置関係が変化すると、磁石の長さがスロットピッチの整数倍ではないため、破線の楕円で囲んだ部分の面積の増加分と減少分とは等しくならない。このため、回転前後の範囲B
1,B
2内の磁束及び磁気エネルギーが変化することとなり、コギングトルクが発生する。
【0006】
一方、トルクリプルは、空隙磁束密度の高調波成分と負荷電流とによって発生するトルク脈動成分である。
空隙磁束密度に高調波成分が存在する場合、この高調波成分に応じて相電圧にも高調波成分が現れる。例えば、空隙磁束密度の波形が台形波であり、相電圧に第5調波成分及び第7調波成分が含まれる場合、電流が正弦波であっても数式1のように電力Pに基本周波数の6倍の脈動成分が生じる。この脈動成分がトルクリプル(いわゆる6fトルクリプル)に相当するものであり、発電機の振動や騒音の原因となる。
【0007】
【数1】
【0008】
風力発電システムにおいて、永久磁石同期発電機のコギングトルクやトルクリプルは、風車の始動トルクを増大させ、微風時には風車の回転を妨害する場合があり、何れも風力発電システムの稼働率を低下させる原因となっていた。
このため、例えば特許文献1には、電力変換器の動作により永久磁石同期発電機の電機子巻線にコギングトルクを打ち消すトルクを発生させ、微風下における起動特性を改善するようにした風車の起動アシスト制御装置が記載されている。
【0009】
図8は、特許文献1に記載された従来技術の構成図であり、
図9はその動作を示すフローチャートである。
図8において、31は風車、32は永久磁石同期発電機、33はコンバータ回路、34は平滑コンデンサ、35は降圧チョッパ回路、36はスイッチング素子、37はリアクトル、38はコンデンサ、39は蓄電池、40は負荷である。発電機32には回転子センサ51が設置されており、その出力信号が起動アシスト制御装置50内の磁極位置検出回路52及び回転数検出回路53に入力されている。これらの検出回路52,53により検出された磁極位置及び回転数は起動アシスト制御回路54に入力されると共に、回転数は発電制御回路56にも入力されている。起動アシスト制御回路54の出力はPWMゲートドライバ55に入力されてコンバータ回路33のスイッチング素子に対するゲート信号が生成され、発電制御回路56の出力はPWMゲートドライバ57に入力されて降圧チョッパ回路35内のスイッチング素子36に対するゲート信号が生成される。
【0010】
この従来技術の動作を
図9により説明すると、まず、起動アシスト制御回路54が風車31の回転数Nに基づいて風車停止か否かを判断する(S101)。風車31の停止時には起動アシストモードとなり(S101Yes,S102)、一定時間T
0を経過しても風車31が停止している場合には起動アシスト制御動作を実行する(S103Yes,S104)。起動アシスト制御動作は、蓄電池39を電源としてコンバータ回路33をPWM制御することにより、発電機32の電機子巻線に交流電圧を印加する動作である。
この制御動作では、磁極位置検出値に基づいてコギングトルクを打ち消すような位相制御が行われ、発電機32の起動トルクが軽減される。この状態で風車31に自己起動風速が加わり、その回転数がN
1以上になれば起動アシスト制御をオフとし、発電運転モードに移行する(S105Yes,S107,S101No,S108)。
起動アシスト制御動作を一定時間T
1継続しても所定の回転数N
1が得られない無風状態においても、起動アシスト制御はオフとなる(S105No,S106Yes,S107)。
【0011】
風車31が風力により回転する場合には発電運転モードとなり(S101No,S108)、コンバータ回路33を全ゲートオフすることにより整流回路として動作させる。この場合、回転数Nが発電出力可能な回転数(発電開始回転数)N
2以上になると、PWMゲートドライバ57から、回転数に見合う指令が降圧チョッパ回路35のスイッチング素子36に与えられてPWM制御が行なわれ、発電制御動作が行なわれる(S109Yes,S110)。これにより、発電機32の発電電流は蓄電池39または負荷40に供給される。
その後に回転数NがN
2を下回ると、発電制御オフとなり(S109No,S111)、更に風速が低下して風車31が自然停止したら、再び起動アシストモードに移行する(S101Yes,S102)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特許4236969号公報(段落[0023]〜[0054]、
図1〜
図3等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上述したように、特許文献1では、起動後に発電機32の回転数がN
1未満である期間は、起動アシスト制御動作によりコギングトルクを打ち消すようなトルクが生成される。しかし、発電機32の回転数がN
1以上になると起動アシスト制御がオフされるため、定常回転時に発生するトルク脈動成分に対しては効果がない。
このため、トルク脈動成分によって発電機32が振動し、最悪の場合には、風車タワーが加振されて軸受部分等を損傷してしまうという問題があり、発電機から発生する騒音も、環境や健康を阻害する原因となっていた。
【0014】
そこで、本発明の解決課題は、永久磁石同期発電機の起動時だけでなく定常回転時にもトルク脈動成分を打ち消すようにトルク指令値を与えることにより、発電機の振動や騒音を抑制するようにした風力発電システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、風車と、前記風車の回転エネルギーを回転子及び固定子を介して電気エネルギーに変換する永久磁石同期発電機と、前記発電機の発電電力を電源系統に供給するための電力変換器と、を備え、前記回転子の磁石と固定子鉄心との間の空隙の磁束密度の変化によって発生するコギングトルクを第1の推定手段により推定し、前記第1の推定手段により推定したコギングトルクを相殺するトルク指令値に従って前記電力変換器を制御する風力発電システムにおいて、
前記第1の推定手段は、前記発電機の誘起電圧の角周波数と、基本周波数の偶数調波の次数設定値と、前記偶数調波の振幅成分設定値と、を用いてそれぞれ演算した複数の偶数調波成分を合成することにより、前記コギングトルクを推定するものである。
【0016】
請求項2に係る発明は、風車と、前記風車の回転エネルギーを回転子及び固定子を介して電気エネルギーに変換する永久磁石同期発電機と、前記発電機の発電電力を電源系統に供給するための電力変換器と、を備え、
前記回転子の磁石と固定子鉄心との間の空隙の磁束密度の変化によって発生するコギングトルクを第1の推定手段により推定し、かつ、前記回転子
の磁石と固定子鉄心との間の空隙の磁束密度の高調波成分及び負荷電流によって発生するトルクリプルを第2の推定手段により推定し、
前記第1の推定手段により推定したコギングトルクを相殺し、かつ、前記第2の推定手段により推定したトルクリプルを相殺するトルク指令値に従って前記電力変換器を制御する風力発電システムにおいて、
前記第
1の推定手段は、前記発電機の誘起電圧角周波数
と、基本周波数の偶数調波の次数設定値と、前記偶数調波の振幅成分設定値と、を用いてそれぞれ演算した複数の偶数調波成分を合成することにより、前記
コギングトルクを推定する
ことを特徴とする。
【0017】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載した風力発電システムにおいて、前記第2の推定手段は、前記発電機の誘起電圧角周波数の6倍の値に対する余弦波信号と、誘起電圧の第5調波成分及び第7調波成分の各振幅と、を用いて前記トルクリプルを推定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、永久磁石同期発電機から発生するコギングトルクやトルクリプルを推定し、これらの推定値を相殺するトルク指令値を生成して電力変換器を制御することにより、発電機のトルク脈動を抑制することができる。これにより、発電機の振動が低減され、風車タワーの加振による軸受部分等の損傷や騒音の発生を防止することが可能である。
また、本発明におけるトルク脈動成分の演算はソフトウェアにて実現可能であり、専用のハードウェアは不要であるため、装置の大型化を招くおそれもない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の第1実施形態の主要部の構成図である。
【
図2】本発明の第1実施形態における、発電機のU相誘起電圧、コギングトルクの偶数調波成分、及びコギングトルク合成値の一例を示す波形図である。
【
図3】本発明の第2実施形態の主要部の構成図である。
【
図8】特許文献1に記載された従来技術の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図に沿って本発明の実施形態を説明する。
図1は、第1実施形態の主要部を示す構成図であり、永久磁石同期発電機のコギングトルクを打ち消すための最終トルク指令値を生成するブロック図である。なお、この最終トルク指令値は、例えば前述した
図5におけるコンバータ装置3側の制御回路9において、コンバータ装置3内の半導体スイッチング素子を制御するために用いられる。
【0021】
図1において、発電機トルクパターン11は、永久磁石同期発電機の回転速度に応じたトルクパターンであり、風力発電システムとして出力すべきトルク指令値τ
gを出力する。前述したごとく、コギングトルクは永久磁石同期発電機の磁石と、スロット及び歯部からなる固定子鉄心との間の空隙磁束密度の変化によって発生するので、コギングトルクは発電機誘起電圧の基本周波数の偶数調波成分を合成した波形となる。実際には、各次数の大きさ及び位相が異なる複数の波形が合成されることになり、6次までの偶数調波で考えると、コギングトルクの第2調波成分、第4調波成分、第6調波成分はそれぞれ以下の数式2,数式3,数式4となり、これらが数式5のように合成されることとなる。
[数式2]
τ
c2=A
2sin(2ωt+φ
2)
[数式3]
τ
c4=A
4sin(4ωt+φ
4)
[数式4]
τ
c6=A
6sin(6ωt+φ
6)
[数式5]
τ
c=τ
c2+τ
c4+τ
c6
【0022】
なお、数式2〜数式5において、
τ
c:コギングトルクの合成値〔N・m〕
τ
c2:コギングトルクの第2調波成分〔N・m〕
τ
c4:コギングトルクの第4調波成分〔N・m〕
τ
c6:コギングトルクの第6調波成分〔N・m〕
A
2,A
4,A
6:各偶数調波成分の振幅〔N・m〕
ω:誘起電圧の角周波数〔rad/s〕
φ
2,φ
4,φ
6:各偶数調波成分の位相〔rad/s〕
である。
【0023】
図1において、第1の推定手段としてのコギングトルク推定手段100Cは、永久磁石同期発電機の誘起電圧角周波数ωと偶数調波成分の次数2,4,6とをそれぞれ乗算する乗算手段12と、その乗算結果に各偶数調波成分の位相φ
2,φ
4,φ
6をそれぞれ加算する加算手段13と、その加算結果X(各偶数調波成分についての加算結果X
2,X
4,X
6)が入力されて各々対応する正弦波信号sinX(sinX
2,sinX
4,sinX
6)を出力する正弦波テーブル14と、正弦波信号sinX(sinX
2,sinX
4,sinX
6)に各偶数調波成分の振幅A
2,A
4,A
6をそれぞれ乗算する乗算手段15と、各偶数調波成分の演算結果を合成してコギングトルク推定値τ
cを演算する合成手段16と、を備えている。
なお、次数2,4,6、位相φ
2,φ
4,φ
6、及び振幅A
2,A
4,A
6は、コギングトルク推定値τ
cを演算するための補正パラメータQとしてメモリに記憶されている。
【0024】
コギングトルク推定手段100Cは、上記の各手段12〜16によって数式2〜5を演算し、その結果求めたコギングトルク推定値τ
cを減算手段17にてトルク指令値τ
gから減算することにより、発電機が発生するコギングトルクを相殺する最終トルク指令値τ
*を求める。この最終トルク指令値τ
*に基づいて、例えば
図5の制御回路9がコンバータ装置3を介して発電機2を制御することにより、コギングトルクを打ち消すことが可能になる。
なお、
図2は、発電機のU相誘起電圧、コギングトルクの第2調波成分,第4調波成分,第6調波成分、及び合成値(コギングトルク推定値)の一例を示す波形図である。
【0025】
次に、
図3は第2実施形態の主要部を示す構成図であり、永久磁石同期発電機のトルクリプルを打ち消すための最終トルク指令値を生成するブロック図である。
数式1によって説明したように、空隙磁束密度の波形が台形波であって相電圧に第5調波成分及び第7調波成分が含まれる場合、電流が正弦波であっても電力Pに基本周波数の6倍の脈動成分が生じ、この脈動成分がトルクリプルとなる。従って、発電機の誘起電圧を解析して第5調波成分及び第7調波成分を事前に求めることができれば、発電機のトルクリプルτ
rを推定することができる。
【0026】
図3において、第2の推定手段としてのトルクリプル推定手段100Rは数式1に基づいて構成されており、誘起電圧角周波数ωを6倍する乗算手段18と、その乗算結果Yが入力されて余弦波信号cosYを出力する余弦波テーブル19と、余弦波信号cosYに誘起電圧の第5調波成分の振幅V
5,第7調波成分の振幅V
7をそれぞれ乗算する乗算手段20,21と、これらの乗算手段20,21による乗算結果を加算することにより基本周波数の6倍の脈動成分としてのトルクリプル推定値τ
rを演算する加算手段22と、を備えている。
こうして求めたトルクリプル推定値τ
rを減算手段23にてトルク指令値τ
gから減算することにより、発電機が発生するトルクリプルを相殺する最終トルク指令値τ
*を求める。この最終トルク指令値τ
*に基づいて、例えば
図5の制御回路9がコンバータ装置3を介して発電機2を制御することにより、トルクリプルを打ち消すことができる。
【0027】
図4は、本発明の第
2実施形態の
全体構成図である。
この実施形態では、第1実施形態によりコギングトルク推定手段100Cが求めたコギングトルク推定値τ
cを減算手段17にてトルク指令値τ
gから減算し、その結果τ
g’から、
前記トルクリプル推定手段100Rが求めたトルクリプル推定値τ
rを減算手段23にて減算することにより、最終トルク指令値τ
*を求めている。
この実施形態によれば、発電機のコギングトルク及びトルクリプルの両方を打ち消してトルク脈動の抑制機能を一層向上させることができる。
【符号の説明】
【0028】
1:風車
2:永久磁石同期発電機
3,4:コンバータ装置
5:ACL
6:フィルタ回路
7:平滑コンデンサ
8:制御装置
9,10:制御回路
11:発電機トルクパターン
12,15,18,20,21:乗算手段
13,22:加算手段
14:正弦波テーブル
16:合成手段
17,23:減算手段
19:余弦波テーブル
100C:コギングトルク推定手段
100R:トルクリプル推定手段
Q:補正パラメータ