(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6295587
(24)【登録日】2018年3月2日
(45)【発行日】2018年3月20日
(54)【発明の名称】音響調整コンソール
(51)【国際特許分類】
H04R 3/00 20060101AFI20180312BHJP
【FI】
H04R3/00
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-212815(P2013-212815)
(22)【出願日】2013年10月10日
(65)【公開番号】特開2015-76787(P2015-76787A)
(43)【公開日】2015年4月20日
【審査請求日】2016年8月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101465
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 正和
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 雅文
【審査官】
菊池 充
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−171227(JP,A)
【文献】
特表2009−531808(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0280489(US,A1)
【文献】
実開昭60−130678(JP,U)
【文献】
特開2006−262280(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 3/00− 3/14
H05K 5/00− 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号処理チャンネルにおける音声信号処理のパラメータの値を調整するための複数の操作子を備えるチャンネルストリップが複数列並んで設けられた操作盤と、
物品が載置可能な平坦なブランク領域を有する載置盤と、
前記操作盤と前記載置盤とを接続する段差面と
を筐体上面部に有し、
前記操作盤が上段、前記載置盤が下段となるように前記段差面が設けられ、
前記ブランク領域は、前記段差面側が低くなるように傾斜しており、
前記載置盤は、前記パラメータに関する情報を含む任意の情報を表示可能なディスプレイを備えるディスプレイ盤であることを特徴とする音響調整コンソール。
【請求項2】
前記ブランク領域の表面の傾斜角度は、水平面に対して15°〜40°であることを特徴とする請求項1に記載の音響調整コンソール。
【請求項3】
前記段差面による前記操作盤と前記載置盤との高さの差は8mm〜16mmであることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の音響調整コンソール。
【請求項4】
前記操作盤、前記載置盤および前記段差面は、1枚の金属板の折り曲げ加工により連続して形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の音響調整コンソール。
【請求項5】
前記操作盤は第1金属板により形成され、前記載置盤は第2金属板により形成され、
これら第1金属板および第2金属板は前記段差面を形成するように結合されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の音響調整コンソール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミキシングコンソール等の音響調整コンソールに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の音源(音声信号)を入力され、混合して出力するミキサー等の音響調整機器においては、各信号処理チャンネルに入力された音源ごとに音量や音質を調整するために、各種操作子を備えるチャンネルストリップが複数備えられている。
【0003】
入力された音声信号をアナログ処理するアナログミキサーに加えて、近年では、入力された音声信号をデジタルに変換してから処理するデジタルミキサーも多く用いられている。いずれの場合も、各チャンネルではゲイン調整、イコライザ、パン調整、主音量調整(フェーダー)などの信号処理が行われる。アナログミキサーでは、信号処理チャンネル数分のチャンネルストリップが操作パネル上に複数設けられ、かつ、各チャンネルストリップには複数の各信号処理に関するパラメータを個別に制御する多数の操作子が設けられるため、操作パネルが大型化する。デジタルミキサーの場合は、1つのチャンネルストリップを任意の信号処理チャンネルに割り当てることができ、また、ある操作子を複数の各信号処理のパラメータのうちの、所望のパラメータに割り当てて制御することができるので、操作パネルに配置するチャンネルストリップ乃至操作子の数を減らして筐体をコンパクトにすることができる。複数のチャンネルストリップを筐体上面部に有するコンソールタイプのミキサーは、ミキシングコンソール等と呼ばれている。
【0004】
デジタルミキサー(デジタル方式のミキシングコンソール)では一般に、各種設定のため本体にディスプレイが備えられている。また、音質、音量の調整、ディレイ、リバーブなどの信号処理がソフトウェアにより実現され、半導体(CPU、DSP、メモリ等)の高集積化や高速化等により、内部に配置する回路素子やプリント基板等の面積を、アナログミキサーに比べて大幅に小さくすることができ、これによりさらなる多機能・省スペース化が可能となっている。
【0005】
このようなミキシングコンソールにおいて、例えば特許文献1に記載されているように筐体上部にスピーカー、キーボード、マウスなどを載置可能な構造や、特許文献2に記載されているように多数のチャンネルを備えながら装置幅が狭く、省スペース化が可能な構造などが提案されている。また、特許文献3には、ミキシングコンソールの操作盤上に台本置き台を有する構造が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−171227号公報
【特許文献2】特開2010−226261号公報
【特許文献3】特開平05−123224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
アナログ方式のミキシングコンソールでは各操作子に単一の機能が割り当てられるため、多数の操作子がチャンネルストリップに備えられ、操作パネルのほぼ全面に操作子が配列される。これに対して、デジタル方式のミキシングコンソールでは、操作子の数を減らすことができるので、操作パネルに設定用のディスプレイを 配置したとしても、操作子等のないブランク領域を操作パネル等に設けることができる。
【0008】
また近年では、液晶画面に指を触れて操作するタブレット端末が一般的に利用されるようになっており、このようなタブレット端末をサブディスプレイを兼ねたリモートコントローラとするなどの機能を備えるミキサーも開発されている。このため、タブレット端末をミキサーの操作部近傍に置いて作業することが想定される。
【0009】
この場合、特許文献3に記載のミキサーのようにミキサー本体とは別体のステーなどを設けることも考えられるが、部品点数、材料の加工・組み立て工程の増大等、コストの増大につながる。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、コスト増大を招くことなく、タブレット端末等を安定して載置可能な構造を有する音響調整コンソールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、信号処理チャンネルにおける音声信号処理のパラメータの値を調整するための複数の操作子を備えるチャンネルストリップが前記音声信号の入力チャンネルに対応して複数列並んで設けられた操作盤と、物品が載置可能な平坦なブランク領域を備える載置盤と、前記操作盤と前記載置盤とを接続する段差面とを筐体上面部に有し、前記操作盤が上段、前記載置盤が下段となるように前記段差面が設けられ、前記ブランク領域は、前記段差面側が低くなるように傾斜して
おり、前記載置盤は、前記パラメータに関する情報を含む任意の情報を表示可能なディスプレイを備えるディスプレイ盤である。
【0012】
この音響調整コンソールによれば、載置盤のブランク領域と段差面とによって、別部材の製造や組立を必要とすることなく、タブレット端末等を安定して載置可能な構造が実現される。
【0014】
この音響調整コンソールにおいて、前記ブランク領域の表面の傾斜角度は、水平面に対して15°〜40°であることが好ましい。この場合、ブランク領域に載置したタブレット端末やノートパソコンなどを操作しやすい。
【0015】
この音響調整コンソールにおいて、前記段差面による前記操作盤と前記ディスプレイ盤との高さの差は8mm〜16mmであることが好ましい。この場合、ディスプレイ盤のディスプレイと操作盤との連続性、またディスプレイ盤上に載置したタブレット端末等と操作盤との連続性が良いので、視認性および操作性が良い。
【0016】
この音響調整コンソールにおいて、前記操作盤、前記ディスプレイ盤および前記段差面は、1枚の金属板の折り曲げ加工により連続して形成されていることが好ましい。この場合、材料の加工および組立が容易であり、製造コストの増大を抑えることができる。
【0017】
この音響調整コンソールにおいて、前記操作盤は第1金属板により形成され、前記ディスプレイ盤は第2金属板により形成され、これら第1金属板および第2金属板は前記段差面を形成するように結合されていることが好ましい。この場合、操作盤とディスプレイ盤とが別体なので、材質や色などを異ならせることが容易である。
【発明の効果】
【0018】
本発明の音響調整コンソールによれば、コスト増大を招くことなく、タブレット端末等を安定して載置可能な構造を有する音響調整コンソールを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明に係る音響調整コンソールの一実施形態を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示す音響調整コンソールの側面図である。
【
図3】本発明に係る音響調整コンソールにおける操作盤、段差面およびディスプレイ盤の構成例を示す模式図である。
【
図4】本発明に係る音響調整コンソールにおける筐体上面部の取付構造を示す模式図である。
【
図5】本発明に係る音響調整コンソールにおける操作盤、段差面およびディスプレイ盤の構成例を示す模式図である。
【
図6】本発明に係る音響調整コンソールの変形例1を示す斜視図である。
【
図7】本発明に係る音響調整コンソールの変形例2を示す斜視図である。
【
図8】本発明に係る音響調整コンソールの変形例3を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る音響調整コンソールの実施形態について説明する。音響調整コンソール10は、例えばデジタルミキサーであり、
図1に示すように、入力チャンネルにおける音声信号処理のパラメータの値を調整するための複数の操作子22を備えるチャンネルストリップ21が複数列並んで設けられた操作盤20と、タブレット端末等の物品が載置可能な平坦なブランク領域32を備える載置盤30と、操作盤20と載置盤30とを接続する段差面40とを筐体上面部52に有している。筐体上面部52は、段差面40を介して操作盤20が上段、載置盤30が下段となる段差状に設けられ、下部筐体部50に取り付けられている。ブランク領域32は、段差面40側が低くなるように傾斜している。なお、本実施形態の音響調整コンソール10における載置盤30は、任意の情報を表示可能なディスプレイ31と各種操作子等(マスターボリュームなど)が設けられた操作領域33とを配列したディスプレイ盤30である。
【0021】
図2に示すように、音響調整コンソール10の筐体上面部52において、操作盤20は略水平もしくは段差面40側が高くなるように僅かに(例えば、水平面に対して0°〜40°、ただしディスプレイ盤30の水平面に対する傾斜以下)傾斜して設けられている。一方、ディスプレイ盤30は段差面40側が低くなるように、ディスプレイ31の表面が水平面に対して例えばα=15°〜40°傾斜するように形成されている。また、段差面40による操作盤20とディスプレイ盤30との高さの差、すなわち段差面40の幅は例えばd=8mm〜16mmである。
【0022】
換言すると、筐体上面部52において、操作盤20の一端から起立するディスプレイ盤30の下端部に、操作盤20上面からくぼんでディスプレイ盤30に接続する段差面40が設けられている。このため、ディスプレイ盤30上に物品を載置しようとした場合、物品は段差面40によって支えられる状態となる。
【0023】
これら操作盤20、ディスプレイ盤30および段差面40は、
図3に示すように1枚の金属板12の折り曲げ加工により連続して形成されている。この金属板12の折り曲げ加工において、操作盤20と段差面40との境目は直線状の山折り、段差面40とディスプレイ盤30との境目は直線状の谷折りである。
【0024】
図2〜4に示すように、金属板12は、操作盤20側の端縁部12aが丸められており、下部筐体部50に設けられたヒンジ51に対してこの端縁部12aが係合されることにより、下部筐体部50に対して回動可能に取り付けられる。これにより、この音響調整コンソール10は、筐体上面部52を下部筐体部50に対して容易に開閉できるため、内部のメインテナンスを容易に行うことができる。
【0025】
筐体上面部52の裏面においては、操作盤20の裏面に取り付けられた基板60aとディスプレイ盤30の裏面に取り付けられた基板60bとが、段差面40をまたいで結線されている。また、下部筐体部50の内部においては、音響調整コンソール10の背面14に設けられた入出力端子62を備える基板60c,60d,60e,60fが、上下方向に積層状態で取り付けられている。これらの基板60c〜60fは、水平面に対して傾斜したディスプレイ盤30によって形成される、比較的高さが大きい空間内に効率よく配置される。
【0026】
このように構成された音響調整コンソール10は、複数の音声信号が複数の信号処理チャンネルに入力され、信号処理チャンネルごとの信号処理により信号レベル等の特性が調節された音声信号を混合して出力することができる。各信号処理チャンネルにおける信号処理に係る各種パラメータ(ゲイン調整、イコライザ、パン調整、主音量調整等のためのパラメータ)は、その信号処理チャンネルが割り当てられたチャンネルストリップ21に備えられた各種操作子22等の操作により調整される。各チャンネルストリップ21は縦長に構成され、操作盤20において、横方向に並んで複数設けられている。
【0027】
各操作子22は、ロータリーボリュームやロータリーエンコーダ等のノブ、スライド操作子(フェーダー操作子)、スイッチ等であり、1つのチャンネルストリップ21について1セットの各種操作子22と、必要に応じてLEDやLCD等の各種表示器とが備えられている。各操作子22は、板状の金属を折り曲げ加工してなる金属板12に設けられた小孔、スリット等(図示略)を貫通して金属板12の上面側に露出している。
【0028】
このようなデジタルミキサーにおいて、各操作子22に信号処理に係る各種のパラメータのうち所望のパラメータを割り当てて当該パラメータの調整を行うことにより、信号処理に係る各種パラメータの調整を少数の操作子22によって行うことが可能になっている。例えば、チャンネルストリップ21と同数のチャンネルを1セットとしたレイヤを複数、予め定義しておき、操作領域33に備えられたレイヤスイッチによりいずれか1つのレイヤが選択されると、選択されたレイヤのチャンネルが複数のチャンネルストリップ21に割り当てられる。各チャンネルストリップの各操作子22には、信号処理に係る各種のパラメータのうち所望のパラメータが割り当てられている。それらのチャンネルにおける各種パラメータがディスプレイ31あるいは各チャンネルストリップの表示器に表示される。
【0029】
すなわち、デジタルミキサーにおいては、レイヤを切り替える等の操作により、1つのチャンネルストリップ21に割り当てるチャンネルを変更することができ、1つのチャンネルストリップ21の操作子22を用いて、複数のチャンネルのパラメータを調整することが可能である。ただし、通常、各チャンネルの信号処理に係る各種パラメータの数は、1つのチャンネルストリップ21の操作子22の数より多い。そのため、一般的なデジタルミキサーにおいては、何れか1つのチャンネルを選択し、この選択されたチャンネルに関する複数のパラメータをディスプレイ31に表示し、操作領域33の操作子等を用いて集中的に調整できるよう構成されている(以下、選択チャンネル編集機能という)。
【0030】
各種設定等に関する表示を行うディスプレイ31を備える音響調整コンソール10においては、チャンネルストリップ21の近傍にディスプレイ31が配置されていることが、操作性および視認性において好ましい。このため、ディスプレイ31は操作盤20に隣接して設けられたディスプレイ盤30上に配置され、操作盤20の各操作子22を操作する操作者にとって見やすいように所定の角度で傾斜している。
【0031】
上記選択チャンネル編集機能に係るディスプレイ31での表示内容や操作態様は、選択チャンネル編集機能の仕様目的等に応じて比較自由に設計することができる。本実施形態に係る、音響調整コンソール10においては、ディスプレイ31と操作領域33との設置面積を抑えることにより、表示デバイスや操作子等がなく平坦なブランク領域32をさら形成している。
【0032】
一方、この音響調整コンソール10は、ネットワークを介して外部機器(リモート制御端末)からリモート制御を受ける機能を備えている。こういったリモート制御端末としてはリモート制御用のアプリケーションプログラム等の所定のソフトウェアを実行するノートパソコンやタブレット端末等を利用することができる。音響調整コンソール10とリモート制御端末との接続には、無線・有線を問わず種々のネットワークを利用することができる。リモート制御端末では、上記選択チャンネル編集機能に係るディスプレイ31の表示内容および操作領域33の操作子に相当するGUI操作子部品等を用いて、上記選択チャンネル編集機能相当の機能を実現したり、本体のディスプレイ31に加えてこれらの端末のディスプレイにも各種設定等に関する表示をさせることで表示機能や編集機能を拡張したりすることができる。例えば、リモート制御端末(
図1ではタブレット端末Tを例示)をディスプレイ盤30のブランク領域32に載置すれば、各チャンネルストリップ21における各操作子22の操作を、リモート制御端末のディスプレイを見ながら行うこともできる。また、リモート制御端末に搭載されたソフトウェアを用いて、音響調整コンソール10の個々のパラメータの値を調整あるいは編集することができる。
【0033】
ブランク領域32が形成されたディスプレイ盤30とその下部に接続された段差面40とによって、下方に凹む載置棚54が形成される。ブランク領域32は段差面40側が低くなるように水平面に対して15°〜40°傾斜しているので、このブランク領域32に載置されたタブレット端末Tは傾斜に沿って段差面40にも接触し、安定して保持される。なお、この載置棚54には、タブレット端末T等のリモート制御端末に限らず、必要に応じて台本やマイク等も載置することができる。
【0034】
ブランク領域32上に載置されたタブレット端末T等のリモート制御端末の表示画面は、ブランク領域32と同様に水平面に対して15°〜40°傾斜するので、操作者による視認性に優れる。また、このリモート制御端末が表示画面としてタッチパネルを有するタブレット端末Tやキーボードを有するノートパソコン等である場合には、リモート制御端末の操作面がブランク領域32と同様に水平面に対してほぼ15°〜40°傾斜するので、操作性に優れる。
【0035】
以上説明した音響調整コンソール10によれば、操作盤20とディスプレイ盤30との間に段差面40が設けられることによって、タブレット端末、ノートパソコン等のリモート制御端末を安定して保持できる載置棚54が形成される。この載置棚54において、ディスプレイ盤30に設けられたブランク領域32が水平面に対して15°〜40°傾斜しているので、リモート制御端末を視認性および操作性よく利用できる。この傾斜角度が小さすぎると、ブランク領域32に載置されたリモート制御端末の操作者による視認性および操作性が低下し、傾斜角度が大きすぎるとリモート制御端末を安定して載置することが困難になるおそれがある。本実施形態に係る音響調整コンソール10においては、ブランク領域32の傾斜角度が水平面に対して15°〜40°としたが、音響調整コンソール10や操作盤20のサイズや傾斜角度、あるいはリモート制御端末を用いて実現する表示機能や編集機能等を総合的に考慮して傾斜角度を設定することが好ましい。
【0036】
また、段差面40による操作盤20とディスプレイ盤30との高さの差が8mm〜16mmであることにより、操作盤20とディスプレイ盤30との連続性が良く、ブランク領域32に載置されたタブレット端末T(リモート制御端末)と操作盤20との連続性も良い。この高さの差が小さすぎると、リモート制御端末を安定して載置することが困難になり、高さの差が大きすぎると操作盤20とディスプレイ31およびタブレット端末T(リモート制御端末)との連続性が低下し、視認性および操作性が低下するおそれがある。本実施形態に係る音響調整コンソール10においては、この高さの差を8mm〜16mmとしたが、載置が想定されるリモート制御端末の形状等(主に段差面40と接する部分の幅・厚み等)を考慮して設定することが好ましい。
【0037】
さらに、1枚の金属板12を直線的に折り曲げるという比較的容易な加工によって段差面40を形成できるので、部品点数や加工工程の増大によるコストの増大を抑えることができる。
【0038】
なお、本発明は前記実施形態の構成のものに限定されるものではなく、細部構成においては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば
図5に示すように、操作盤20は第1金属板15により形成され、ディスプレイ盤30は第2金属板16により形成され、これら第1金属板15および第2金属板16が段差面40を形成するように結合されていてもよい。操作盤20とディスプレイ盤30とを別部材とすることにより、例えば、第1金属板15と第2金属板16とを異なる色で塗装しておくことにより、低コストでツートンカラーにできる。
【0039】
この場合、第1金属板15の後端(図の右端)を所定の山折り幅d1で山折りし、第2金属板16の前端(図の左端)を所定の山折り幅d2<d1で山折りしておき、各端縁を一致させた状態で第1金属板15と第2金属板16とをねじや溶接等によって固定することにより、山折り幅d1とd2との差分に応じた高さの段差面40が形成される。
【0040】
図6〜8に本発明の変形例1〜3を示す。本発明は、載置盤に固定ディスプレイを備えない音響調整コンソールにも適用可能である。
図6に示す変形例1に係る音響調整コンソール110は、載置盤111の固定ディスプレイを廃止することにより左右方向のサイズが短縮されており、複数台横に並べてカスケード接続(特許4992483号等参照)して使用することができる。この場合、並べた台数だけブランク領域112を広げることができ、さらに複数台のリモート制御端末や台本等を並べて載置することが可能となる。
【0041】
図7に示す変形例2に係る音響調整コンソール120は、本体の厚みを増すことにより操作盤121の下部スペースを大きくでき、内部に配置する基板の面積を拡大することが可能となる。
【0042】
図8に示す変形例3に係る音響調整コンソール130では、操作盤131の奥行きを小さくすることにより載置盤132が操作者に近く、例えば載置盤132にリモート制御端末(
図8ではクラムシェル型のノートパソコンNを例示)を載置した場合に表示画面が遠くならない。
【0043】
本実施形態に係る音響調整コンソールは、それ自身が音声信号の処理を行うものであっても良いし、音響調整コンソールは各種操作のためのユーザインターフェース(操作子22やディスプレイ31、操作領域33等)機能のみを有し、信号処理はエンジンと呼ばれる外部機器にて行うものであってもよい。この場合、音響調整コンソールとエンジンとはネットワークを介して接続されており、音響調整コンソール(およびリモート制御端末)はエンジンをリモート制御する構成となる。
【0044】
或いは、パーソナルコンピュータ(PC)等で動作するデジタルワークステーション(DAW)として知られるアプリケーションプログラム用のフィジカルコントローラに適用してもよく、さらに、そのDAWが動作するPCは、音響調整コンソールの載置盤に載置されるリモート制御端末であってもよい。その場合、DAWを実行しているPC(リモート制御端末)が上記エンジンに相当する。
【符号の説明】
【0045】
10,110,120,130 音響調整コンソール
12 金属板
12a 端縁部
14 背面
15 第1金属板
16 第2金属板
20,121,131 操作盤
21 チャンネルストリップ
22 操作子
30 ディスプレイ盤(載置盤)
31 ディスプレイ
32,112 ブランク領域
33 操作領域
40 段差面
50 下部筐体部
51 ヒンジ
52 筐体上面部
54 載置棚
60a〜60f 基板
62 入出力端子
111,132 載置盤
N ノートパソコン(リモート制御端末)
T タブレット端末(リモート制御端末)