特許第6295637号(P6295637)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6295637カラーフィルタ用着色組成物、およびカラーフィルタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6295637
(24)【登録日】2018年3月2日
(45)【発行日】2018年3月20日
(54)【発明の名称】カラーフィルタ用着色組成物、およびカラーフィルタ
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/20 20060101AFI20180312BHJP
   C09B 69/10 20060101ALI20180312BHJP
   C09B 23/00 20060101ALN20180312BHJP
【FI】
   G02B5/20 101
   C09B69/10 Z
   !C09B23/00 L
   !C09B23/00 M
【請求項の数】9
【全頁数】105
(21)【出願番号】特願2013-261616(P2013-261616)
(22)【出願日】2013年12月18日
(65)【公開番号】特開2014-224970(P2014-224970A)
(43)【公開日】2014年12月4日
【審査請求日】2016年8月4日
(31)【優先権主張番号】特願2013-94600(P2013-94600)
(32)【優先日】2013年4月26日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】東洋インキSCホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591183153
【氏名又は名称】トーヨーカラー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】宮沢 由昌
(72)【発明者】
【氏名】松本 光久
(72)【発明者】
【氏名】早川 純平
(72)【発明者】
【氏名】西田 和史
(72)【発明者】
【氏名】小原 浩輔
(72)【発明者】
【氏名】水野 佳奈子
【審査官】 野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−250022(JP,A)
【文献】 特開2002−356071(JP,A)
【文献】 特開2013−033194(JP,A)
【文献】 特開2000−321419(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/20
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも着色剤、バインダー樹脂、および有機溶剤からなるカラーフィルタ用着色組成物であって、該着色剤が、
下記一般式(1)で表される構造単位を含むアニオン性基を有するビニル系樹脂と、下記一般式(2)で表されるカチオン性シアニン系染料との反応生成物である造塩化合物(X1)、
含有することを特徴とするカラーフィルタ用着色組成物。

一般式(1)
【化1】
[一般式(1)中、R1は水素原子、または置換もしくは無置換のアルキル基を表す。Qは置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、−CONH−R2−、または−COO−R2−を表し、R2は置換もしくは無置換のアルキレン基を表す。P-は、―SO3-、または−COO-を表す。Y+は無機または有機のカチオンを表す。]

一般式(2)
【化2】
[一般式(2)中、Aは置換基もしくは水素原子を有する炭素原子、または硫黄原子を表す。R3〜R10はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換のアシル基を表す。R11は、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルキル基、またはハロゲン原子を表す。R12およびR13は、それぞれ独立に水素原子、または置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、または重合性官能基を有する有機基を表す。]
【請求項2】
一般式(1)中、P-が―SO3-であることを特徴とする請求項1記載のカラーフィルタ用着色組成物。
【請求項3】
一般式(1)で表される構造単位を含むアニオン性基を有するビニル系樹脂が、ヒドロキシル基、オキセタン基、t−ブチル基、イソシアネート基、および(メタ)アクリロイル基から選ばれる少なくとも1種の熱架橋性官能基を含むことを特徴とする請求項1または2記載のカラーフィルタ用着色組成物。
【請求項4】
前記有機溶剤が、グリコールアセテート類、アルコール類、およびケトン類から選択される1種以上を含有することを特徴とする請求項1〜3いずれか記載のカラーフィルタ用着色組成物。
【請求項5】
前記有機溶剤が、3−メトキシブタノールを含有する事を特徴とする請求項1〜4いずれか記載のカラーフィルタ用着色組成物。
【請求項6】
着色剤が、さらに顔料を含有することを特徴とする請求項1〜5いずれか記載のカラーフィルタ用着色組成物。
【請求項7】
さらに消光剤を含有することを特徴とする請求項1〜6いずれか記載のカラーフィルタ用着色組成物。
【請求項8】
さらに光重合性単量体および/または光重合開始剤を含有することを特徴とする請求項1〜7いずれか記載のカラーフィルタ用着色組成物。
【請求項9】
請求項1〜8いずれか記載のカラーフィルタ用着色組成物により形成されてなるカラーフィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラー液晶表示装置、カラー撮像管素子等に用いられるカラーフィルタの製造に使用されるカラーフィルタ用着色組成物、及びこれを用いて形成されてなるフィルタセグメントを備えるカラーフィルタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、近年その薄型であることゆえの省スペース性や軽量性、また省電力性などが評価され、最近ではテレビ用途への普及が急速に進んでいる。テレビ用途向けでは、輝度やコントラストなどの性能をより高めることが要求されており、カラー液晶表示装置を構成する部材であるカラーフィルタにおいても、さらなる透過度の向上、コントラストの高度化などが望まれている。
【0003】
カラーフィルタの作製方法としては、フォトレジストによるパターン形成の後、パターンを染色する染色法や、予め所定パターンの透明電極を形成しておき、電圧印加により溶媒に溶解・分散された顔料含有樹脂をイオン化させパターン形成する電着法、熱硬化樹脂または紫外線硬化樹脂を含むインクを用いてオフセット印刷等する印刷法、フォトレジスト材料に顔料等の着色剤を分散させたカラーフィルタ用着色組成物を使用する顔料分散法、などが知られており、最近では、顔料分散法が主流になっている。しかし、顔料を着色剤として用いたカラーフィルタは、顔料粒子による光の散乱等により、液晶によって制御された偏光度合いを乱してしまい、その結果、カラー液晶表示装置の輝度やコントラストの低下を招きやすいという問題がある。
【0004】
上記の課題を解決するために、着色剤として顔料ではなく染料を樹脂等に溶解させる技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。染料は一般的に有機溶剤溶解性が悪く、また脆弱な色素骨格故に耐熱性・耐候性が著しく不足しているため、カラーフィルタ用着色組成物としては課題が多いため実用化が難しい。なかでも、シアニン系色素はその発色団であるアゾ結合が熱・光に弱いため耐性が大きく不足する、また、有機溶剤への溶解性も低いため、カラーフィルタ用着色組成物としては課題が多い。このような課題を解決するために、シアニン系色素由来のカチオンと、フタロシアニン系色素に由来するアニオンとを含む塩を、青色フィルタセグメントに着色剤として用いることが提案されている。(例えば特許文献2参照)しかしながら、このような着色剤は、耐性は向上しても色相・明度の観点から、赤色フィルタセグメントには用いることが出来ない。
【0005】
耐熱性を向上させる方法として、シアニン系色素由来のカチオンに、低分子量の各種アニオン(Cl−、Br−、I−、ClO−、OH−、カルボン酸アニオン、スルホン酸アニオン、ホウ酸アニオン、1価の有機金属錯体アニオン)とを含む塩をカラーフィルタ用着色剤として用いることも提案されている(例えば特許文献3、4参照)しかしながら、これらの色素を用いてカラーフィルタを作成しても、耐熱性が不足するため、また、有機溶剤溶解性が低い為、カラーフィルタ基板上で異物の析出が認められ明度低下を引き起こすなど課題が多く、実用化には至っていない。また、経時での異物の析出なども認められ保存安定性が不足している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−75375号公報
【特許文献2】特開2012−162706号公報
【特許文献3】特開2008−242324号公報
【特許文献4】特開2009−235392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、耐熱性、保存安定性、着色力、アルカリ現像性、コントラスト比(CR)に優れたカラーフィルタ用着色組成物、並びに塗膜への異物発生もないカラーフィルタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、前記諸問題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、シアニン系染料由来のアニオンとカチオン性基を有する樹脂とを反応させて得られた造塩化合物、もしくは、シアニン系染料由来のカチオンとアニオン性基を有する樹脂とを反応させて得られた造塩化合物を含有するカラーフィルタ用着色組成物が高い保存安定性、耐熱性を持ち、また塗膜への異物発生もないこと見出し、この知見に基づいて本発明をなしたものである。
【0009】
すなわち、本発明は、少なくとも着色剤、バインダー樹脂、および有機溶剤からなるカラーフィルタ用着色組成物であって、該着色剤が、下記一般式(1)で表される構造単位を含むアニオン性基を有するビニル系樹脂と、下記一般式(2)で表されるカチオン性シアニン系染料とを反応させて得られた造塩化合物(X1)、または、下記一般式(3)で表される構造単位を含むカチオン性基を有するビニル系樹脂と、下記一般式(4)で表されるアニオン性シアニン系染料とを反応させて得られた造塩化合物(X2)、を含有することを特徴とするカラーフィルタ用着色組成物に関する。
【0010】
【化1】

[一般式(1)中、R1は水素原子、または置換もしくは無置換のアルキル基を表す。Qは置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、−CONH−R2−、または−COO−R2−を表し、R2は置換もしくは無置換のアルキレン基を表す。P-は、―SO3-、または−COO-を表す。Y+は無機または有機のカチオンを表す。]
【0011】
一般式(2)
【化2】
[一般式(2)中、Aは置換もしくは水素原子を有する炭素原子、または硫黄原子を表す。R3〜R10はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換のアシル基を表す。R11は、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルキル基、またはハロゲン原子を表す。R12およびR13は、それぞれ独立に水素原子、または置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルキル基を表す。]
【0012】
一般式(3)
【化3】
[一般式(3)中、R14は水素原子、または置換もしくは無置換のアルキル基を表す。R15〜R17 は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、または置換もしくは無置換のアリール基を表す。
Qは置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、―CONH−R32−、または―COO−R32−を表し、R32は直接結合、または置換もしくは無置換のアルキレン基を表す。Y-は無機または有機のアニオンを表す。]
【0013】
一般式(4)
【化4】

[一般式(4)中、Aは置換もしくは水素原子を有する炭素原子、または硫黄原子を表す。R18〜R25はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換のアシル基を表す。R26は、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルキル基、またはハロゲン原子を表す。R27およびR28は、それぞれ独立に、末端にカルボキシル基もしくはスルホ基であるアニオン性置換基を有する置換もしくは無置換のアルキル基である。]
【0014】
また、本発明は、一般式(1)中、P-が―SO3-であることを特徴とする前記カラーフィルタ用着色組成物に関する。
【0015】
また、本発明は、一般式(1)で表される構造単位を含むカチオン性基を有するビニル系樹脂が、ヒドロキシル基、オキセタン基、、t−ブチル基、イソシアネート基、および(メタ)アクリロイル基から選ばれる少なくとも1種の熱架橋性官能基を含むことを特徴とする前記カラーフィルタ用着色組成物に関する。
【0016】
また、本発明は、前記造塩化合物(X1)が、水溶液中で、アニオン性基を有するビニル系樹脂と、カチオン性シアニン系染料とを混合し、アニオン性基を有するビニル系樹脂の対カチオンとカチオン性シアニン系染料の対アニオンとからなる塩を除去してなる化合物である、もしくは、前記造塩化合物(X2)が、水溶液中で、カチオン性基を有するビニル系樹脂と、アニオン性シアニン系染料とを混合し、カチオン性基を有するビニル系樹脂の対アニオンとアニオン性シアニン系染料の対カチオンとからなる塩を除去してなる化合物である、ことを特徴とする前記カラーフィルタ用着色組成物に関する。
【0017】
また、本発明は、前記有機溶剤が、グリコールアセテート類、アルコール類、およびケトン類から選択される1種以上を含有することを特徴とする前記カラーフィルタ用着色組成物に関する。
【0018】
また、本発明は、前記有機溶剤が、3−メトキシブタノールを含有する事を特徴とする前記カラーフィルタ用着色組成物に関する。
【0019】
また、本発明は、前記着色剤が、さらに顔料を含有することを特徴とする前記カラーフィルタ用着色組成物に関する。
【0020】
また、本発明は、さらに消光剤を含有することを特徴とする前記カラーフィルタ用着色組成物に関する。
【0021】
また、本発明は、さらに光重合性単量体および/または光重合開始剤を含有することを特徴とする前記カラーフィルタ用着色組成物に関する。
【0022】
さらに、本発明は、前記カラーフィルタ用着色組成物により形成されてなる前記カラーフィルタに関する。
【発明の効果】
【0023】
本発明においては、側鎖にアニオン性基を有するビニル樹脂と、シアニン系染料由来のカチオンとを反応させて得られた造塩化合物、もしくは、側鎖にカチオン性基を有するビニル樹脂と、シアニン系染料由来のアニオンとを反応させて得られた造塩化合物を含有するカラーフィルタ用着色組成物を用いることで、高い保存安定性、耐熱性、着色力、アルカリ現像性、コントラスト比(CR)を有し、塗膜形成時の異物発生がないカラーフィルタを得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本願では、「(メタ)アクリロイル」、「(メタ)アクリル」、「(メタ)アクリル酸」、又は「(メタ)アクリレート」と表記した場合には、特に説明がない限り、それぞれ、「アクリロイル及び/又はメタクリロイル」、「アクリル及び/又はメタクリル」、「アクリル酸及び/又はメタクリル酸」、又は「アクリレート及び/又はメタクリレート」を表すものとする。また、本明細書に挙げる「C.I.」は、カラーインデックス(C.I.)を意味する。
【0025】
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、バインダー樹脂と有機溶剤を含む着色剤担体中に、アニオン性基を有するビニル系樹脂と、カチオン性シアニン系染料とを反応させて得られた造塩化合物(X1)、もしくは、カチオン性基を有するビニル系樹脂と、アニオン性シアニン系染料とを反応させて得られた造塩化合物(X2)、を含むカラーフィルタ用着色組成物である。
【0026】
<着色剤>
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、後述のアニオン性基を有するビニル系樹脂と、カチオン性シアニン系染料とを反応させて得られた造塩化合物(X1)、もしくは、カチオン性基を有するビニル系樹脂と、アニオン性シアニン系染料とを反応させて得られた造塩化合物(X2)、を含むことで、高い保存安定性、耐熱性、塗工性を有し、塗膜形成時の異物発生がない優れた効果を有するものとなる。また、顔料を併用して用いることも好ましい。
【0027】
[造塩化合物]
(一般式(1)で示されるアニオン性基を有するビニル系樹脂)
本発明のアニオン性基を有するビニル系樹脂は、下記一般式(1)で表される構造単位を含むビニル系樹脂である。中でもアクリル系樹脂が好ましく用いられる。
【0028】
一般式(1)
【化5】
【0029】
[一般式(1)中、R1は水素原子、または置換もしくは無置換のアルキル基を表す。Qは置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、−CONH−R2−、または−COO−R2−を表し、R2は置換もしくは無置換のアルキレン基を表す。P-は、―SO3-、または−COO-を表す。Y+は無機または有機のカチオンを表す。]
【0030】
一般式(1)中、R1は、水素原子、または置換若しくは無置換のアルキル基を表す。R1におけるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基が挙げられる。該アルキル基としては、炭素数1〜12のアルキル基が好ましく、炭素数1〜8のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基が特に好ましい。
【0031】
1で表されるアルキル基が置換基を有する場合、該置換基としては、例えば、水酸基、アルコキシル基等が挙げられる。上記の中でも、R1としては、水素原子またはメチル基が最も好ましい。
【0032】
当該樹脂を構成する一般式(1)中におけるP-は、−SO3-又は−COO-を表し、耐熱性の観点で−SO3-がより好ましい。
【0033】
一般式(1)中、アクリル部位とP-を連結するQの成分はアルキレン基、アリーレン基、−CONH−R2−、−COO−R2−を表し、R2はアルキレン基を表すが、中でも、重合性、入手性の理由から、−CONH−R2−、−COO−R2−であることが好ましい。また、R2がメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基であることが更に好ましく、エチレン基であることが特に好ましい。
【0034】
当該樹脂を構成する一般式(1)中におけるY+の成分は、無機または有機のカチオンを表し、公知のものが制限なく採用できる。Yとして具体的には、水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム化合物等が挙げられる。その際、アルカリ金属は、ナトリウム、カリウムであり、アルカリ土類金属は、カルシウム、マグネシウムであることが
好ましい。また、アンモニウム化合物とは、NH4+または、そのHを炭化水素基などで置換した化合物のことである。
【0035】
本発明の好ましい様態である下記一般式(1)で表される構造単位を含むビニル系樹脂を得るには、スルホン酸基及び/またはカルボキシル基を有するモノマーを単量体成分として共重合する方法が挙げられる。
【0036】
以下に、一般式(1)で表される構造単位を含むビニル系樹脂を得るために使用可能なスルホン酸基、もしくはカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体の具体例を示す。
【0037】
[カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体]
カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体の例としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、及びクロトン酸等が挙げられ、また、カルボキシル基を有するモノマーとしては、カルボン酸無水物基を有するモノマーも含まれ、カルボン酸無水物基を有するモノマーとしては、無水マレイン酸、及び無水イ
タコン酸等が挙げられる。
【0038】
[スルホン酸基含有エチレン性不飽和単量体]
スルホン酸基を有するモノマーは、式(IV)のモノマーおよびその水溶性塩、殊にア
ルカリ金属塩、例えばカリウムおよび、殊に有利には、ナトリウム塩、およびアンモニウ
ム塩である。
式(IV)
6(R7)C=C(R8)−X−SO3
[式中、R6、R7およびR8は、互いに無関係に、−H、C原子1〜12個を有する直鎖
または分岐鎖のアルキル基、直鎖または分岐鎖のC原子2〜12個を有するモノ不飽和ま
たはポリ不飽和のアルケニル基(その際、後者の2個の基は無置換であるか、または1個
以上の基−NH2、−OHまたは−COOHによって置換されている)、−COOHまた
は−COOR9であり、またR6はXSO3Hであり;R9は、飽和または不飽和の直鎖また
は分岐鎖のC原子1〜12個を有する炭化水素であり;Xは、単結合、n=1〜4である
−(CH2)n−、フェニレン、好ましくは1,4−フェニレン、−CH2−O−フェニレ
ン(好ましくは1,4)、−CH2−O−CH2−CH(OH)−CH2−、k=1〜6で
ある−COO−(CH2)k−、−CO−NH−、m=0〜3である−CO−NH−CR'
R''−(CH2)mまたは−CO−NH−CH2−CH(OH)−CH2−であり;R'は、
−H、−CH3または−C25でありかつR''は、−Hまたは−CH3である。]
【0039】
スルホン酸基を有するモノマーのなかでとりわけ有利なのは、式(IVa)、(IVb
)および/または(IVc)のモノマーである。
2C=CH−X−SO3H (IVa)
2C=C(CH3)−X−SO3H (IVb)
HO3S−X−(R10)C=C(R11)−X−SO3H (IVc)
[式中、R10およびR11は、互いに無関係に、−H、−CH3、−CH2CH3、−CH2
2CH3または−CH(CH32でありかつXは、単結合、n=1〜4の−(CH2)n
−、フェニレン、好ましくは1,4−フェニレン、−CH2−O−フェニレン(好ましく
は1,4)、−CH2−O−CH2−CH(OH)−CH2−、k=1〜6の−COO−(
CH2)k−、−CO−NH−、m=0〜3の−CO−NH−CR'R''−(CH2)m−
または−CO−NH−CH2−CH(OH)−CH2−であり;R'は、−H、−CH3また
は−C25でありかつR''は、−Hまたは−CH3である。]
【0040】
極めて有利なスルホン酸基含有モノマーは、1−アクリルアミド−1−プロパンスルホ
ン酸、2−アクリルアミド−2−プロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチル
−1−プロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−
メタクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸、3−メタクリルアミド−2−
ヒドロキシ−プロパンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸(2−メチル
−2−プロペン−1−スルホン酸)、アリルオキシベンゼンスルホン酸、メタリルオキシ
ベンゼンスルホン酸、2−ヒドロキシ−3−(2−プロペニルオキシ)プロパンスルホン
酸、スチレンスルホン酸、p−スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、イソプレンスル
ホン酸、3−スルホプロピルアクリレート、2−スルホエチルメタクリレート、3−スル
ホプロピルメタクリレート、スルホメタクリルアミド、スルホメチルメタクリルアミドな
らびに挙げられた酸の水溶性の塩およびエステルであって、その際、アルカリ金属塩およ
びアルカリ土類金属塩の形態であること、殊にNa塩およびK塩の形態であることが有利
である。
【0041】
殊に有利なスルホン酸基を有するモノマーは、2−アクリルアミド−2−メチル−1−
プロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、メタリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、ま
たは2−ソジウムスルホエチルメタクリレートである。
【0042】
[その他共重合可能なエチレン性不飽和単量体]
その他、用いることのできるモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル
類、クロトン酸エステル類、ビニルエステル類、マレイン酸ジエステル類、フマル酸ジエ
ステル類、イタコン酸ジエステル類、(メタ)アクリルアミド類、ビニルエーテル類、ビ
ニルアルコールのエステル類、スチレン類、(メタ)アクリロニトリルなどが好ましい。
【0043】
このようなモノマーの具体例としては、例えば以下のような化合物が挙げられる。
【0044】
(メタ)アクリル酸エステル類の例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)ア
クリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、
(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t
−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メ
タ)アクリル酸t−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(
メタ)アクリル酸t−オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オク
タデシル、(メタ)アクリル酸アセトキシエチル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ
)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)
アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−(2−メトキシエトキシ)エチ
ル、(メタ)アクリル酸3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸
ベンジル、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アク
リル酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、(メタ)アクリル酸トリエチレングリ
コールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸トリエチレングリコールモノエチルエー
テル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリ
ル酸ポリエチレングリコールモノエチルエーテル、(メタ)アクリル酸β−フェノキシエ
トキシエチル、(メタ)アクリル酸ノニルフェノキシポリエチレングリコール、(メタ)
アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、
(メタ)アクリル酸トリフロロエチル、(メタ)アクリル酸オクタフロロペンチル、(メ
タ)アクリル酸パーフロロオクチルエチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(
メタ)アクリル酸トリブロモフェニル、(メタ)アクリル酸トリブロモフェニルオキシエ
チルなどが挙げられる。
【0045】
クロトン酸エステル類の例としては、クロトン酸ブチル、及びクロトン酸ヘキシル等が
挙げられる。
【0046】
ビニルエステル類の例としては、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブ
チレート、ビニルメトキシアセテート、及び安息香酸ビニルなどが挙げられる。マレイン
酸ジエステル類の例としては、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、及びマレイン
酸ジブチルなどが挙げられる。
【0047】
フマル酸ジエステル類の例としては、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、及びフマ
ル酸ジブチルなどが挙げられる。
【0048】
イタコン酸ジエステル類の例としては、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、及
びイタコン酸ジブチルなどが挙げられる。
【0049】
(メタ)アクリルアミド類の例としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ
)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリル
アミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチルアクリル(メタ)ア
ミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−シクロヘキシル(メタ)アクリルア
ミド、N−(2−メトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)
アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アク
リルアミド、N−ベンジル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、
ジアセトンアクリルアミドなどが挙げられる。
【0050】
ビニルエーテル類の例としては、メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキ
シルビニルエーテル、及びメトキシエチルビニルエーテルなどが挙げられる。
スチレン類の例としては、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチル
スチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、ヒドロキシスチレ
ン、メトキシスチレン、ブトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロロスチレン、ジク
ロロスチレン、ブロモスチレン、クロロメチルスチレン、酸性物質により脱保護可能な基
(例えばt−Bocなど)で保護されたヒドロキシスチレン、ビニル安息香酸メチル、及
びα−メチルスチレンなどが挙げられる。
【0051】
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、スチレン、(メタ)アクリ
ル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、
または、(メタ)アクリル酸ベンジルが好ましく、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシ
ル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ラウリルまたはスチレンが、造塩化
合物を使用した着色組成物の保存安定性の観点でより好ましい。
【0052】
[その他共重合可能な熱架橋性官能基を含むエチレン性不飽和単量体]
熱架橋性官能基を含むエチレン性不飽和単量体を共重合させることで、カラーフィルタ
の製造における加熱工程において、熱架橋製官能基を有するアクリル樹脂同士、またはバ
インダー樹脂との架橋を形成する。それにより強固な被膜が形成され、塗膜の色変化を防
ぐ、すなわち耐熱性を向上させることができ、また、耐溶剤性も向上する。
【0053】
上記熱架橋性官能基の好適な構造としては特に限定されないが、例えば、ヒドロキシル基、1級または2級アミノ基、イミノ基、オキセタニル基、t−ブチル基、エポキシ基、メルカプト基、イソシアネート基、アリル基、(メタ)アクリル基等が挙げられる。中でもカラーフィルタ用着色組成物という用途における保存安定性や他の材料との反応性
の観点から、ヒドロキシル基、オキセタニル基、t−ブチル基、イソシアネート基、(メタ)アクリル基が好ましく、特にヒドロキシル基を有していることが好ましい。
【0054】
本発明に用いる、アニオン性基を有するビニル系樹脂中の熱架橋性官能基をアニオン性基を有するビニル系樹脂に導入する1つの方法は、熱架橋性官能基を有するエチレン性不飽和単量体を、一般式(1)で表されるアニオン性基に対応するエチレン性不飽和単量体と共重合する方法である。
【0055】
ヒドロキシル基を有するエチレン性不飽和単量体の例としては、特に限定されないが、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシビニルベンゼン、2−ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレートまたはこれらモノマーのカプロラクトン付加物(付加モル数は1〜5が好ましい)などが挙げられる。
【0056】
オキセタニル基を有するエチレン性不飽和単量体としては、3−(アクリロイルオキシメチル)3−メチルオキセタン、3−(メタクリロイルオキシメチル)3−メチルオキセタン、3−(アクリロイルオキシメチル)3−エチルオキセタン、3−(メタクリロイルオキシメチル)3−エチルオキセタン、3−(アクリロイルオキシメチル)3−ブチルオキセタン、3−(メタクリロイルオキシメチル)3−ブチルオキセタン、3−(アクリロイルオキシメチル)3−ヘキシルオキセタン及び3−(メタクリロイルオキシメチル)3−ヘキシルオキセタンなどが挙げられる。
【0057】
t−ブチル基を有するエチレン性不飽和単量体としては、t−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレートなどが挙げられる。
【0058】
イソシアネート基を有するエチレン性不飽単量体としては、例えば、2−イソシアネートエチルメタクリレート、2−イソシアネートエチルアクリレート、4−イソシアネートブチルメタクリレート、4−イソシアネートブチルアクリレートなどが挙げられる。
【0059】
本発明におけるイソシアネート基としては、ブロックイソシアネート基も含まれ、好ましく使用することができる。ブロックイソシアネート基とは、通常の条件では、イソシアネート基を他の官能基で保護することにより該イソシアネート基の反応性を抑える一方で、加熱により脱保護し、活性なイソシアネート基を再生させることができるイソシアネートブロック体のことを示す。
【0060】
このようなブロックイソシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体の市販品としては、例えば、2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボキシアミノ]エチルメタクリレート(カレンズMOI−BP,昭和電工製);メタクリル酸2−(0−[1'メチルプロビリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル(カレンズMOI−BM,昭和電工製)などが挙げられる。
【0061】
また、ブロックイソシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体としては、市販品を使用できるほか、公知の方法で調製して使用することもできる。例えば、エチレン性不飽和結合を有しているイソシアネート化合物とブロック剤とを溶媒中0〜200℃程度の温度で撹拌し、濃縮、濾過、抽出、晶析、蒸留等の公知の分離精製手段を用いて分離することにより得ることができる。
【0062】
本発明に用いるアニオン性基を有するビニル樹脂中の熱架橋性官能基を導入する他の方法は、ビニル樹脂を得た後に、該ビニル樹脂が有する官能基に、前記官能基に対し反応し得る官能基と熱架橋性官能基を有する化合物を反応させる方法である。例えば、カルボキシル基を有するアクリル樹脂中のカルボキシル基に、グリシジル基を有するエチレン性不飽和単量体のグリシジル基を反応させることで、熱架橋性官能基として(メタ)アクリロイル基を有するアクリル樹脂を得ることができる。
【0063】
上記熱架橋性官能基は樹脂中に少なくとも一種類含まれている必要があり、二種類以上含まれていてもよい。
【0064】
本発明に好適な下記一般式(1)で表される構造単位を含むビニル系樹脂を得る方法と
しては、アニオン重合、リビングアニオン重合、カチオン重合、リビングカチオン重合、
フリーラジカル重合、及びリビングラジカル重合等、公知の方法が使用できる。このうち
、フリーラジカル重合またはリビングラジカル重合が好ましい。
【0065】
フリーラジカル重合法の場合は、重合開始剤を使用するのが好ましい。重合開始剤とし
ては例えば、アゾ系化合物及び有機過酸化物を用いることができる。アゾ系化合物の例と
しては、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロ
ニトリル)、1,1'−アゾビス(シクロヘキサン1−カルボニトリル)、2,2'−アゾ
ビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチル−4
−メトキシバレロニトリル)、ジメチル2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート
)、4,4'−アゾビス(4−シアノバレリック酸)、2,2'−アゾビス(2−ヒドロキ
シメチルプロピオニトリル)、または2,2'−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2
−イル)プロパン]等が挙げられる。有機過酸化物の例としては、過酸化ベンゾイル、t
−ブチルパーベンゾエイト、クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカ
ーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エトキシエチル)パ
ーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキ
シビバレート、(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジプロピオニル
パーオキシド、またはジアセチルパーオキシド等が挙げられる。これらの重合開始剤は、
単独で、若しくは2種類以上組み合わせて用いることができる。反応温度は好ましくは4
0〜150℃、より好ましくは50〜110℃、反応時間は好ましくは3〜30時間、よ
り好ましくは5〜20時間である。
【0066】
リビングラジカル重合法は一般的なラジカル重合に起こる副反応が抑制され、更には、
重合の成長が均一に起こる為、容易にブロックポリマーや分子量の揃った樹脂を合成でき
る。
【0067】
中でも、有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物を開始剤とし、遷移金
属錯体を触媒とする原子移動ラジカル重合法は、広範囲の単量体に適応できる点、既存の
設備に適応可能な重合温度を採用できる点で好ましい。原子移動ラジカル重合法は、下記
の参考文献1〜8等に記載された方法で行うことができる。
【0068】
(参考文献1)Fukudaら、Prog.Polym.Sci.2004,29,329
(参考文献2)Matyjaszewskiら、Chem.Rev.2001,101,
2921
(参考文献3)Matyjaszewskiら、J.Am.Chem.Soc.1995
,117,5614
(参考文献4) Macromolecules 1995,28,7901,Scien
ce,1996,272,866
(参考文献5)WO96/030421
(参考文献6)WO97/018247
(参考文献7)特開平9−208616号公報
(参考文献8)特開平8−41117号公報
【0069】
上記重合には有機溶剤を用いることが好ましい。有機溶剤としては、特に限定されるも
のではないが、例えば、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、トルエン、キシ
レン、アセトン、ヘキサン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコ
ールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテ
ート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチ
ルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、またはジ
エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等が用いられる。これらの重合溶媒は
、2種類以上混合して用いてもよい。
【0070】
本発明に好適な下記一般式(1)で表される構造単位を含むビニル系樹脂中に存在する
スルホン酸基およびカルボキシル基を有する構造単位の合計が、共重合組成の合計100
重量%のうち2〜50重量%を含む共重合体であることが好ましく、より好ましくは、5
〜35重量%を含む共重合体であることが好ましい。スルホン酸基、およびカルボキシル
基を有する構造単位の合計が、2重量%より少ないと、造塩反応が起こるカチオン性染料
の割合が低くなる。そのため、未造塩のカチオン性染料が多くなり、その結果、溶剤溶解
性も低くなり異物の析出といった現象が起こる場合がある。また、異物の析出を防止する
ためには、レジスト材中の溶剤量を多くする必要があるが、そうすると塗工性が著しく悪
化する場合がある。一方50重量%より多くなると、一般式(1)で表される構造単位を
含むビニル系樹脂中に造塩されているカチオン染料の量が多くなりすぎてしまうため、耐
熱性が悪化する場合がある。
【0071】
本発明に使用される下記一般式(1)で表される構造単位を含むビニル系樹脂の分子量
は、特に限定されるものではないが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC
)で測定した換算重量平均分子量が1,000〜500,000であることが好ましく、
3,000〜15,000であることがより好ましい。
【0072】
また、本発明に好適な下記一般式(1)で表される構造単位を含むビニル系樹脂は、カ
ラーフィルタ用着色組成物に広く使用される溶剤に溶解する特性を有することが好ましい
。これにより異物発生のない塗膜を得ることができる。特に、グリコールアセテート類、
中でもプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解することが好ましい。
【0073】
(一般式(3)で示されるカチオン性基を有するビニル系樹脂)
本発明のカチオン性基を有する樹脂は、下記一般式(3)で表される構造単位を含むア
クリル樹脂であることを特徴としており、さらに、熱架橋性官能基を有することが好まし
い。
下記一般式(3)で表されるカチオン性基と、アニオン性シアニン系染料由来のアニオ
ン性基を反応させ塩形成することで、本発明の造塩化合物(X2)を得ることができる。
【0074】
一般式(3)
【化6】
【0075】
[一般式(3)中、R14は水素原子、または置換もしくは無置換のアルキル基を表す。R15〜R17 は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、または置換もしくは無置換のアリール基を表す。Qは置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、―CONH−R32−、または―COO−R32−を表し、R32は直接結合、または置換もしくは無置換のアルキレン基を表す。Y-は無機または有機のアニオンを表す。]
【0076】
一般式(3)中、R14は、水素原子、または置換若しくは無置換のアルキル基を表す。R14におけるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基が挙げられる。該アルキル基としては、炭素数1〜12のアルキル基が好ましく、炭素数1〜8のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基が特に好ましい。
【0077】
14で表されるアルキル基が置換基を有する場合、該置換基としては、例えば、水酸基、アルコキシル基等が挙げられる。
【0078】
上記の中でも、R14としては、水素原子またはメチル基が最も好ましい。
【0079】
一般式(3)中、R15〜R17としては、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、または置換されていてもよいアリール基が挙げられる。
【0080】
ここで、R15〜R17におけるアルキル基としては、例えば、直鎖アルキル基(メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−オクチル、n−デシル、n−ドデシル、n−テトラデシル、n−ヘキサデシル及びn−オクタデシル等)、分岐アルキル基(イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、イソヘキシル、2−エチルヘキシル及び1,1,3,3−テトラメチルブチル等)、シクロアルキル基(シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシル等)及び架橋環式アルキル基(ノルボルニル、アダマンチル及びピナニル等)が挙げられる。該アルキル基としては、炭素数1〜18のアルキル基が好ましく、さらに好ましくは炭素数1〜8のアルキル基である。
【0081】
15〜R17におけるアルケニル基としては、例えば、直鎖又は分岐のアルケニル基(ビニル、アリル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−メチル−1−プロペニル、1−メチル−2−プロペニル、2−メチル−1−プロペニル及び2−メチル−2−プロぺニル等)、シクロアルケニル基(2−シクロヘキセニル及び3−シクロヘキセニル等)が挙げられる。該アルケニル基としては、炭素数2〜18のアルケニル基が好ましく、さらに好ましくは炭素数2〜8のアルケニル基である。
【0082】
15〜R17におけるアリール基としては、例えば、単環式アリール基(フェニル等)、縮合多環式アリール基(ナフチル、アントラセニル、フェナンスレニル、アントラキノリル、フルオレニル及びナフトキノリル等)及び芳香族複素環炭化水素基(チエニル(チオフェンから誘導される基)、フリル(フランから誘導される基)、ピラニル(ピランから誘導される基)、ピリジル(ピリジンから誘導される基)、9−オキソキサンテニル(キサントンから誘導される基)及び9−オキソチオキサンテニル(チオキサントンから誘導される基)等)が挙げられる。
【0083】
15〜R17で表されるアルキル基、アルケニル基、アリール基が置換基を有する場合、該置換基としては、例えば、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アルケニル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、及びフェニル基等から選択される置換基が挙げられる。該置換基としては、中でも、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシル基、フェニル基が特に好ましい。
【0084】
15〜R17としては、安定性の観点から置換されていてもよいアルキル基が好ましく、無置換のアルキル基が更に好ましい。
【0085】
また、R15〜R17のうち2つが互いに結合して環を形成しても良い。
【0086】
一般式(3)中、アクリル部位とアンモニウム塩基を連結するQの成分はアルキレン基、アリーレン基、−CONH−R32−、−COO−R32−を表し、R32はアルキレン基を表すが、中でも、重合性、入手性の理由から、−CONH−R32−、−COO−R32−であることが好ましい。また、R32がメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基で
あることが更に好ましく、エチレン基であることが特に好ましい。
【0087】
当該樹脂の対アニオンを構成する一般式(3)中におけるY-の成分は、無機または有
機のアニオンであればよい。対アニオンとしては、公知のものが制限なく採用でき、具体
的には、水酸化物イオン;塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等のハロゲンイ
オン;ギ酸イオン、酢酸イオン等のカルボン酸イオン;炭酸イオン、重炭酸イオン、硝酸
イオン、硫酸イオン、亜硫酸イオン、クロム酸イオン、ニクロム酸イオン、リン酸イオン
、シアン化物イオン、過マンガン酸イオン、さらには、ヘキサシアノ鉄(III)酸イオ
ンのような錯体イオン等が挙げられる。合成適性や安定性の点からは、ハロゲンイオン及
びカルボン酸イオンが好ましく、ハロゲンイオンが最も好ましい。対アニオンがカルボン
酸イオン等の有機酸イオンである場合は、樹脂中に有機酸イオンが共有結合し、分子内塩
を形成していてもよい。
【0088】
一般式(3)で表される構造単位を含むビニル系樹脂を得るには、アンモニウム塩基を有するエチレン性不飽和単量体を単量体成分として共重合する方法だけでなく、アミノ基を有するエチレン性不飽和単量体を単量体成分として共重合したアミノ基を有するアクリル系樹脂を得た後、オニウム塩化剤を反応させ、アンモニウム塩化する方法により得ても良い。
【0089】
以下に、アンモニウム塩基を有するエチレン性不飽和単量体と、アミノ基を有するエチレン性不飽和単量体、およびオニウム塩化剤の具体例を示す。なお、本明細書において「アクリル、メタクリル」、のいずれか或いは双方を示す場合「(メタ)アクリル」、と記載することがある。同様に、「アクリロイル、メタクリロイル」のいずれか或いは双方を示す場合、「(メタ)アクリロイル」と記載することがある。
【0090】
[アンモニウム塩基を有するエチレン性不飽和単量体]
アンモニウム塩基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリエチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルメチルモルホリノアンモニウムクロライド等のアルキル(メタ)アクリレート系第4級アンモニウム塩、(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルアミノエチルトリエチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルアミノエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド等のアルキル(メタ)アクリロイルアミド系第4級アンモニウム塩、ジメチルジアリルアンモニウムメチルサルフェート、トリメチルビニルフェニルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
【0091】
[アミノ基を有するエチレン性不飽和単量体]
アミノ基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジイソプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジイソブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジt−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジプロピルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジイソプロピルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジブチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジイソブチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジt−ブチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のジアルキルアミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステルまたは(メタ)アクリルアミドが挙げられ、ジメチルアミノスチレン、ジメチルアミノメチルスチレン等のジアルキルアミノ基を有するスチレン類、ジアリルメチルアミン、ジアリルアミン等のジアリルアミン化合物、N−ビニルピロリジン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール等のアミノ基含有芳香族ビニル系単量体が挙げられる。
【0092】
[オニウム塩化剤]
オニウム塩化剤としては、例えば、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸、またはジプロピル硫酸等のアルキル硫酸、p−トルエンスルホン酸メチル、またはベンゼンスルホン酸メチル等のスルホン酸エステル、メチルクロライド、エチルクロライド、プロピルクロライド、またはオクチルクロライド等のアルキルクロライド、メチルブロマイド、エチルブロマイド、プロピルブロマイド、またはオクチルクロブロマイド等のアルキルブロマイド、あるいは、ベンジルクロライド、またはベンジルブロマイド等が挙げられる。
【0093】
アミノ基を有するエチレン性不飽和単量体とオニウム塩化剤との反応は、通常はアミノ基に対して等モル以下のオニウム塩化剤を、アミノ基を有するエチレン性不飽和単量体溶液に滴下することによって行うことができる。アンモニウム塩化反応時の温度は90℃程度以下であり、特にビニルモノマーをアンモニウム塩化する場合には30℃程度以下が好ましく、反応時間は1〜4時間程度である。
【0094】
別に、オニウム塩化剤として、アルコキシカルボニルアルキルハライドを使用することもできる。アルコキシカルボニルアルキルハライドは下記一般式(5)で表される。
【0095】
一般式(5)
Z−R30−COOR31
【0096】
(一般式(5)中、Zは、塩素、または臭素等のハロゲン、好ましくは臭素であり、R30
は、炭素数1〜6、好ましくは1〜5、より好ましくは1〜3のアルキレン基であり、R
31は、炭素数1〜6、好ましくは1〜3の低級アルキル基である。)
【0097】
アミノ基を有するエチレン性不飽和単量体とアルコキシカルボニルアルキルハライドとの反応は、アミノ基に対して等モル以下のアルコキシカルボニルアルキルハライドを上記オニウム塩化剤同様に反応させた後、−COOR31を加水分解してカルボキシレートイオン(−COO-)に変換することにより得られる。これにより、カルボキシベタイン構造を有しアンモニウム塩基を有するエチレン性不飽和単量体を得ることができる。
【0098】
[その他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体]
その他、用いることのできるモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル
類、クロトン酸エステル類、ビニルエステル類、マレイン酸ジエステル類、フマル酸ジエ
ステル類、イタコン酸ジエステル類、(メタ)アクリルアミド類、ビニルエーテル類、ビ
ニルアルコールのエステル類、スチレン類、(メタ)アクリロニトリルなどが好ましい。
【0099】
前記、アニオン性基を有するビニル系樹脂で使用可能な「その他の共重合可能なエチレ
ン性不飽和単量体」を適宜用いることができる。
【0100】
[その他共重合可能な熱架橋性官能基を含むエチレン性不飽和単量体]
熱架橋性官能基を含むエチレン性不飽和単量体を共重合させることで、カラーフィルタ
の製造における加熱工程において、熱架橋製官能基を有するアクリル樹脂同士、またはバ
インダー樹脂との架橋を形成する。それにより強固な被膜が形成され、塗膜の色変化を防
ぐ、すなわち耐熱性を向上させることができ、また、耐溶剤性も向上する。
【0101】
前記、アニオン性基を有するビニル系樹脂で使用可能な「その他共重合可能な熱架橋性
官能基を含むエチレン性不飽和単量体」を適宜用いることができる。それ以外で共重合可
能な熱架橋性官能基を含むエチレン性不飽和単量体について以下に記載する。
【0102】
その他、更に、酸基を有するモノマーを用いることが現像性の観点からより好ましい。
【0103】
酸基を有するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、α−クロル
アクリル酸、けい皮酸等の不飽和モノカルボン酸類;マレイン酸、無水マレイン酸、フマ
ル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、メサコン酸等の
不飽和ジカルボン酸またはその無水物類;3価以上の不飽和多価カルボン酸またはその無
水物類;こはく酸モノ(2−アクリロイロキシエチル)、こはく酸モノ(2−メタクリロ
イロキシエチル)、フタル酸モノ(2−アクリロイロキシエチル)、フタル酸モノ(2−
メタクリロイロキシエチル)等の2価以上の多価カルボン酸のモノ〔(メタ)アクリロイ
ロキシアルキル〕エステル類;ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノアクリレート、
ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノメタクリレート等の両末端カルボキシポリマー
のモノ(メタ)アクリレート類等を挙げられる。
【0104】
その他の共重合可能なモノマーとしては、耐熱性の観点から(メタ)アクリル酸メチル
、(メタ)アクリル酸ラウリル、スチレン、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(
メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、または、(メタ)アクリル酸
ベンジルが好ましく、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ラウリルまたはス
チレンが保存安定性の観点より好ましい。
【0105】
本発明に好適な一般式(3)で表される構造単位を含むビニル系樹脂を得る方法に関しては、前述の一般式(1)で表わされる構造単位を含むビニル系樹脂を得る方法と同じ方法を用いることが出来る。
【0106】
カチオン性基を有する樹脂中に存在するアンモニウム塩基の量は、特に限定されるものではないが、樹脂のアンモニウム塩価が10〜200mgKOH/gであることが好ましく、20〜130mgKOH/gであることがより好ましい。アンモニウム塩価10mgKOH/gより少ないと、反応させるアニオン性シアニン系染料の割合が少なくなるため着色力が低下する場合があり、レジスト材中により多くの造塩化合物(X2)を必要とする場合がある。そのため、本来レジスト材中に添加されるバインダー樹脂や硬化性樹脂等が少なくなり、レジスト膜のガラス密着性の悪化やレジスト膜の塗膜耐性の悪化が起こる場合がある。一方200mgKOH/gより多くなると、造塩化合物(X2)の溶剤溶解性が悪化し、レジスト材中に異物として析出してしまう場合がある。
樹脂のアンモニウム塩価が、上記範囲を満たすためには、4級アンモニウム塩基を有する構造単位の好ましい含有量は、樹脂を構成する構造単位の合計100重量%のうち2〜50重量%を含む共重合体であることが好ましく、より好ましくは、10〜40重量%を含む共重合体であることが好ましい。
4級アンモニウム塩基を有する構造単位の合計が、2重量%より少ないと、造塩化合物(X2)中のアニオン性シアニン系染料の割合が低くなるため着色力が大きく不足する場合がある。一方、50重量%より多くなると、造塩化合物(X2)中のアニオン性シアニン系染料の割合が多すぎてしまい、耐熱性と有機溶剤溶解性が不足する場合がある。
【0107】
本発明に使用される下記一般式(3)で表される構造単位を含むビニル系樹脂の分子量
は、特に限定されるものではないが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC
)で測定した換算重量平均分子量が1,000〜500,000であることが好ましく、
3,000〜15,000であることがより好ましい。
【0108】
また、本発明に好適な下記一般式(3)で表される構造単位を含むビニル系樹脂は、カ
ラーフィルタ用着色組成物に広く使用される溶剤に溶解する特性を有することが好ましい
。これにより異物発生のない塗膜を得ることができる。特に、グリコールアセテート類、
中でもプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解することが好ましい。
【0109】
(カチオン性シアニン系染料)
カチオン性シアニン系染料は、下記一般式(2)で表される化合物である。
一般式(2)
【化7】

[一般式(2)中、Aは置換もしくは水素原子を有する炭素原子、または硫黄原子を表す。R3〜R10はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換のアシル基を表す。R11は、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルキル基、またはハロゲン原子を表す。R12およびR13は、それぞれ独立に水素原子、または置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアル
キル基、または重合性官能基を有する有機基を表す。]
【0110】
アリール基としては、フェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、クオーターフ
ェニリル基、ペンタレニル基、インデニル基、ナフチル基、ビナフタレニル基、ターナフ
タレニル基、クオーターナフタレニル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニ
ル基、インダセニル基、フルオランテニル基、アセフェナントリレニル基、アセアントリ
レニル基、フェナレニル基、フルオレニル基、アントリル基、ビアントラセニル基、ター
アントラセニル基、クオーターアントラセニル基、アントラキノリル基、フェナントリル
基、トリフェニレニル基、ピレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基、プレイアデニル
基、ピセニル基、ペリレニル基、ペンタフェニル基、ペンタセニル基、テトラフェニレニ
ル基、ヘキサフェニル基、ヘキサセニル基、ルビセニル基、コロネニル基、トリナフチレ
ニル基、ヘプタフェニル基、ヘプタセニル基、ピラントレニル基、オバレニル基等がある
【0111】
これらのアリール基は置換基を有していてもよい。この場合の置換基としては、炭素数
1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、アリール基が挙げられる。
【0112】
炭素数1〜6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル
基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられ、炭素数1〜4のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、イソプロポキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等が挙
げられる。
【0113】
アシル基としては、アセチル基、エタノイル基、プロパノイル基、イソプロパノイル基
、ブタノイル基、イソブタノイル基、sec−ブタノイル基、tert−ブタノイル基等が挙げ
られる。
【0114】
ハロゲン原子としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
【0115】
本発明で言う重合性官能基を有する有機基は、重合性官能基を含み、全体で炭素原子-水素原子結合を含み、また必要に応じて炭素以外の原子を含んでも良い原子団で構成される基を示す。具体的には、重合性官能基のみからなる場合と、重合性官能基と連結基と含む場合がある。
ここで、重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、エポキシ基、イソシアネート基などが挙げられる。
また、連結基としては(シアニン骨格から見て)、アルキレン基(以下、−X−と表す。)、−XO−基、−XNH−基、アリーレン基、アリーレンオキシ基、−XCONH−基、−XCOO−基、−XOCO−基、−XCOOX−基、−XOCOX−基、−XCOOXCOO−基、−XOCOXCOO−基、などが挙げられる。
重合性官能基を有する有機基の具体例としては、次表に示した通りである。
【0116】
Aの炭素原子とR3、R3とR4、R4とR5、R5とR6、R6とR12、Aの炭素原子とR7、R7とR8、R8とR9、R9とR10、R10とR13はそれぞれ独立に/または同時に脂肪族飽和炭化水素系もしくは芳香族系の環状構造を形成しても良い。
【0117】
一般式(2)で表されるカチオン性シアニン染料としては、前記の中でも、Aが置換もしくは水素原子を有する炭素原子であることが好ましく、中でも、炭素原子に1置換、あるいは2置換でアルキル基が置換されていることがより好ましい。
また、R3〜R10はそれぞれ独立に水素原子、塩素原子、臭素原子、メチル基、メトキシ基、エトキシ基、ニトロ基、フェニル基である事が好ましい。中でもRおよびRがそれぞれ独立に水素原子、メチル基、塩素原子、臭素原子、メトキシ基、またはフェニル基であり、R、R、R、R、R、およびR10が水素原子であることが最も好ましい。
また、R12およびR13は、メチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基、(メタ)アクリロイル基を末端に有する有機基、ビニルアリール基を末端に有する有機基、ビニルオキシ基を末端に有する有機基、アリル基を末端に有する有機基、またはエポキシ基を末端に有する有機基であることが好ましい。
【0118】
カチオン性シアニン系染料の具体例としては、下記に示すカチオン性シアニン系染料等
が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、下記に示したカチオ
ン性シアニン系染料のカウンターは、CA1〜CA91は、Cl-もしくはBr-もしくは
-である。
【0119】
【化8】
【0120】
【化9】
【0121】
【化10】
【0122】
【化11】



【0123】
【化12】
【0124】
【化13】

【0125】
【化14】

【0126】
(アニオン性シアニン系染料)
アニオン性シアニン系染料は、下記一般式(4)で表される化合物である。
一般式(4)
【化15】

[一般式(4)中、Aは置換基もしくは水素原子を有する炭素原子、または硫黄原子を表
す。R18〜R25はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、置換もしくは無
置換の炭素数1〜4のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルコキシ基、
置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換のアシル基を表す。R26
、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルキル基、またはハロゲン原子を表
す。R27およびR28は、それぞれ独立に、末端にカルボキシル基もしくはスルホ基である
アニオン性置換基を有する置換もしくは無置換のアルキル基である。]
【0127】
炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられ、炭素数1〜4のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、イソプロポキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等が挙げられる。これら、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基はさらに置換基を有していてもよい。
【0128】
アリール基としては、フェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、クオーターフ
ェニリル基、ペンタレニル基、インデニル基、ナフチル基、ビナフタレニル基、ターナフ
タレニル基、クオーターナフタレニル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニ
ル基、インダセニル基、フルオランテニル基、アセフェナントリレニル基、アセアントリ
レニル基、フェナレニル基、フルオレニル基、アントリル基、ビアントラセニル基、ター
アントラセニル基、クオーターアントラセニル基、アントラキノリル基、フェナントリル
基、トリフェニレニル基、ピレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基、プレイアデニル
基、ピセニル基、ペリレニル基、ペンタフェニル基、ペンタセニル基、テトラフェニレニ
ル基、ヘキサフェニル基、ヘキサセニル基、ルビセニル基、コロネニル基、トリナフチレ
ニル基、ヘプタフェニル基、ヘプタセニル基、ピラントレニル基、オバレニル基等がある
【0129】
これらのアリール基は置換基を有していてもよい。この場合の置換基としては、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、アリール基が挙げられる。
【0130】
炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル
基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられ、炭素数1
〜4のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、イ
ソプロポキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等が挙げられる
【0131】
アシル基としては、アセチル基、エタノイル基、プロパノイル基、イソプロパノイル基
、ブタノイル基、イソブタノイル基、sec−ブタノイル基、tert−ブタノイル基等が挙げ
られる。
【0132】
ハロゲン原子としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
【0133】
末端にカルボキシル基もしくはスルホ基であるアニオン性置換基を有する置換もしくは無置換のアルキル基としては、例えば、末端にカルボキシル基もしくはスルホ基を有する置換もしくは無置換のアルキル基に、アルカリ金属の水酸化物(例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)を中和反応させることで得ることが出来る。(すなわち、末端に−COONa、−SONaを有する置換もしくは無置換のアルキル基を指す。)また、アルキル基としては、炭素数1〜12の置換もしくは無置換のアルキル基であることが好ましい。
【0134】
Aの炭素原子とR18、R18とR19、R19とR20、R20とR21、R21とR27、R22とR23、R23とR24、R24とR25、R25とR28はそれぞれ独立に/または同時に脂肪族飽和炭化水素系もしくは芳香族系の環状構造を形成しても良い。
【0135】
一般式(4)で表されるアニオン性シアニン染料としては、前記の中でも、Aが置換もしくは水素原子を有する炭素原子であることが好ましく、中でも、炭素原子に1置換、あるいは2置換でアルキル基が置換されていることがより好ましい。
また、R18〜R25はそれぞれ独立に水素原子、塩素原子、臭素原子、メチル基、メトキシ基、エトキシ基、ニトロ基、フェニル基である事が好ましい。中でもR19およびR23がそれぞれ独立に水素原子、メチル基、塩素原子、臭素原子、メトキシ基、またはフェニル基であり、R18、R20、R21、R22、R24、およびR25が水素原子である事が最も好ましい。
また、R27およびR28は、末端にスルホ基のナトリウム塩、あるいはカリウム塩を有する無置換の炭素数1〜6のアルキル基であることが好ましい。
【0136】
アニオン性シアニン系染料の具体例としては、下記に示すアニオン性シアニン系染料等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、下記に示したアニオン性シアニン系染料(AC1〜AC16)中の、カルボキル基、あるいはスルホ基をNaOHやKOH等を用いてアニオン化する必要がある。
【0137】
【化16】
【0138】
【化17】
【0139】
[塩形成]
(造塩化合物(X1))
本発明の造塩化合物は、アニオン性基を有するビニル系樹脂と、カチオン性シアニン系
染料とを溶解させた水溶液を攪拌または振動させるか、あるいはアニオン性基を有する樹
脂の水溶液とカチオン性シアニン系染料の水溶液とを攪拌または振動下で混合させること
により、造塩化合物(X1)を容易に得ることができる。水溶液中で、樹脂のアニオン性
基と染料のカチオン性基がイオン化され、これらがイオン結合し、該イオン結合部分が水
不溶性となり造塩化合物(X1)が析出する。逆に、樹脂の対カチオンと塩基性染料の対
アニオンからなる塩は水溶性のため、水洗等により除去が可能となる。使用するアニオン
性基を有する樹脂、およびカチオン性シアニン系染料は、各々単一種類のみを使用しても
、構造の異なる複数種類を使用してもよい。
【0140】
(造塩化合物(X2))
本発明の造塩化合物は、カチオン性基を有するビニル系樹脂と、アニオン性シアニン系
染料とを溶解させた水溶液を攪拌または振動させるか、あるいはカチオン性基を有する樹
脂の水溶液とアニオン性シアニン系染料の水溶液とを攪拌または振動下で混合させること
により、造塩化合物(X2)を容易に得ることができる。水溶液中で、樹脂のカチオン性
基と染料のアニオン性基がイオン化され、これらがイオン結合し、該イオン結合部分が水
不溶性となり造塩化合物(X2)が析出する。逆に、樹脂の対アニオンと塩基性染料の対
カチオンからなる塩は水溶性のため、水洗等により除去が可能となる。使用するカチオン
性基を有する樹脂、およびアニオン性シアニン系染料は、各々単一種類のみを使用しても
、構造の異なる複数種類を使用してもよい。
【0141】
本発明の造塩化合物は、水溶液中でアニオン性基を有するビニル系樹脂とカチオン性シ
アニン系染料とを混合し、アニオン性基を有する樹脂の対カチオンとカチオン性染料の対
アニオンとからなる塩を除去してなる化合物であること、もしくは、水溶液中でカチオン
性基を有するビニル系樹脂とアニオン性シアニン系染料とを混合し、カチオン性基を有す
る樹脂の対アニオンとアニオン性染料の対カチオンとからなる塩を除去してなる化合物が
、耐熱性、保存安定性の観点で好ましい。造塩化合物中に塩形成で生じた副生物(例えば
NaCl)などが存在する場合は、着色組成物中で造塩化合物が経時で析出してしまう可
能性がある。
【0142】
塩形成時に使用する水溶液として、アニオン性基を有する樹脂、およびカチオン性染料
を溶解させるため、もしくは、カチオン性基を有する樹脂、およびアニオン性染料を溶解
させるため水と水溶性有機溶剤との混合溶液を使用してもよい。水溶性有機溶剤としては
、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、1−メトキシ−2−
プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、2
−(メトキシメトキシ)エタノール、2−ブトキシエタノール、2−(イソペンチルオキ
シ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、エチレングリコール、エチレング
リコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリ
コール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエ
ーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレン
ゴリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリ
コールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレン
グリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコール、グ
リセリン、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、アセトン、ジアセトン
アルコール、アニリン、ピリジン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、メチルエチルケトン
、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン(THF
)、ジオキサン、2−ピロリドン、2−メチルピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン
、1,2−ヘキサンジオール、2,4,6−ヘキサントリオール、テトラフルフリルアル
コール、4−メトキシ−4メチルペンタノン等が挙げられる。これらの水溶性有機溶剤は
、水溶液の全重量(100重量%)中、5〜50重量%用いることが好ましく、5〜20
重量%用いることが最も好ましい。
【0143】
アニオン性基を有する樹脂と、カチオン性シアニン系染料との比率は、樹脂の全アニオ
ンユニットとカチオン性シアニン系染料の全カチオン性基とのモル比が10/1〜1/4
の範囲であれば本発明の造塩化合物を好適に調整でき、2/1〜1/2の範囲であればよ
り好ましい。
また、カチオン性基を有する樹脂と、アニオン性シアニン系染料との比率は、樹脂の全
カチオンユニットとアニオン性シアニン系染料の全アニオン性基とのモル比が10/1〜
1/4の範囲であれば本発明の造塩化合物を好適に調整でき、2/1〜1/2の範囲であ
ればより好ましい。
【0144】
<その他の着色剤>
着色剤は、さらに顔料、またはその他の染料を併用して用いることができる。
その他の着色剤と併用する場合には、中でも有機顔料を用いることが色相の調整、および耐性向上のために好ましい。本発明の造塩化合物と有機顔料とを併用する場合、本発明の造塩化合物と有機顔料との使用割合は、有機顔料100重量部に対し本発明の造塩化合物が1〜80重量部であることが好ましい。より好ましくは5〜60重量部である。本発明の造塩化合物の添加量がこの範囲にある場合、色相、および再現可能な色度領域も優れた組成物とすることができる。
【0145】
併用する顔料としては、各色のフィルタセグメントごとに下記のものが用いられる。
【0146】
[赤色フィルタセグメントを形成する顔料]
赤色フィルタセグメントを形成する赤色顔料としては、以下に述べる赤色顔料、または赤色染料を併用して用いることができる。
赤色顔料としては、C.I.ピグメントレッド7、14、41、48:1、48:2、48:3、48:4、57:1、81、81:1、81:2、81:3、81:4、122、146、149、166、168、169、176、177、178、179、184、185、187、200、202、208、210、221、242、246、254、255、264、268、269、270、272、273、274、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、特表2011−523433号公報に記載のジケトピロロピロール顔料、または特開2013−161025号公報に記載のナフトールアゾ顔料等が挙げられるが、特にこれらに限定されない。これらの中でもC.I.ピグメントレッド177、242、254、269を用いることが好ましい。
【0147】
赤色フィルタセグメント形成のためには、さらに、黄色または橙色顔料を併用しても良い。黄色または橙色顔料としては、以下に述べる黄色顔料、橙色顔料等が挙げられる。
【0148】
黄色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、126、127、128、129、138、139、147、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、198、199、213、214、218、219、220、221または特許第4993026号公報に記載のキノフタロン系顔料等が用いられるが、特にこれらに限定されない。橙色顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ38、43、71、または73等が用いられる。
【0149】
これらの顔料は、単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
【0150】
[青色フィルタセグメントを形成する顔料]
青色フィルタセグメントを形成する顔料としては、青色顔料として、例えば、C.I.ピグメントブルー1、1:2、9、14、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64、特開2004−333817号公報、特許第4893859号公報等に記載のアルミニウムフタロシアニン顔料等が挙げられ、紫色顔料としてC.I.ピグメントバイオレット1、19、23、27、29、30、32、37、40、42、50等の紫色顔料を併用することができるが、特にこれらに限定されない。
これらの中でも、明度、コントラスト比の観点から、C.I.ピグメント ブルー15:1、15:6が特に望ましい。
【0151】
[緑色フィルタセグメントを形成する顔料]
緑色フィルタセグメントを形成する顔料としては、例えば、C.I.ピグメントグリーン7、10、36、37、58、特開2008−19383号公報、特開2007−320986号公報、特開2004−70342号公報等に記載の亜鉛フタロシアニン顔料、許第4893859号公報等に記載のアルミニウムフタロシアニン顔料が挙げられるが、特にこれらに限定されない。
これらの中でもC.I.ピグメントグリーン36、58を用いることが好ましい。
また緑色着色組成物には、色相調整のため、黄色顔料を併用することが可能である。中でもC.I.ピグメント イエロー1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、126、127、128、129、138、139、147、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、198、199、213、214、218、219、220、221、特許第4993026号公報に記載のキノフタロン系顔料等を併用することが可能であるが、特にこれらに限定されない。
これらの中でも、C.I.ピグメント イエロー138、150等を用いることが好ましい。
【0152】
本発明のカラーフィルタ用着色組成物において、全不揮発成分に対する着色剤濃度は、充分な色再現性を得る観点から10〜90重量%であることが好ましく、より好ましくは15〜85重量%であり、最も好ましくは20〜80重量%である。着色剤成分の濃度が、10重量%未満になると、十分な色再現性を得ることができない場合があり、90重量%を超えるとバインダー樹脂などの着色剤担体の濃度が低くなり、着色組成物の安定性が悪くなる場合がある。
【0153】
(顔料の微細化)
本発明に用いる顔料は、微細化して用いることが好ましいが、微細化方法は特に限定さ
れるものではなく、例えば湿式磨砕、乾式磨砕、溶解析出法いずれも使用でき、本発明で
例示するように湿式磨砕の1種であるニーダー法によるソルトミリング処理を行うことが
できる。
【0154】
微細化した顔料の一次粒子径は、着色剤担体中への分散が良好なことから、20nm以
上であることが好ましい。また、コントラスト比が高いフィルタセグメントを形成できる
ことから、100nm以下であることが好ましい。特に好ましい範囲は、25〜85nm
の範囲である。なお、顔料の一次粒子径は、顔料のTEM(透過型電子顕微鏡)による電
子顕微鏡写真から一次粒子の大きさを直接計測する方法で行った。具体的には、個々の顔
料の一次粒子の短軸径と長軸径を計測し、平均をその顔料粒子の粒径とした。次に、10
0個以上の顔料粒子について、それぞれの粒子の体積を、求めた粒径の立方体と近似して
平均体積を求め、この平均体積を有している立方体の一辺の長さを平均一次粒子径とする
【0155】
ソルトミリング処理とは、顔料と水溶性無機塩と水溶性有機溶剤との混合物を、ニーダ
ー、トリミックス、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、アトライター、サン
ドミル等の混練機を用いて、加熱しながら機械的に混練した後、水洗により水溶性無機塩
と水溶性有機溶剤を除去する処理である。水溶性無機塩は、破砕助剤として働くものであ
り、ソルトミリング時に無機塩の硬度の高さを利用して顔料が破砕される。顔料をソルト
ミリング処理する際の条件を最適化することにより、一次粒子径が非常に微細であり、ま
た、分布の幅がせまく、シャープな粒度分布をもつ顔料を得ることができる。
【0156】
水溶性無機塩としては、塩化ナトリウム、塩化バリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウ
ム等を用いることができるが、価格の点から塩化ナトリウム(食塩)を用いるのが好まし
い。水溶性無機塩は、処理効率と生産効率の両面から、顔料100重量部に対し、50〜
2000重量部用いることが好ましく、300〜1000重量部用いることが最も好まし
い。
【0157】
水溶性有機溶剤は、顔料及び水溶性無機塩を湿潤する働きをするものであり、水に溶解
(混和)し、かつ用いる無機塩を実質的に溶解しないものであれば特に限定されない。た
だし、ソルトミリング時に温度が上昇し、溶剤が蒸発し易い状態になるため、安全性の点
から、沸点120℃以上の高沸点溶剤が好ましい。例えば、2−メトキシエタノール、2
−ブトキシエタノール、2−(イソペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ
)エタノール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエ
チレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコー
ルモノメチルエーテル、液状のポリエチレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノー
ル、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコー
ルモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、液状のポリプロピ
レングリコール等が用いられる。水溶性有機溶剤は、顔料100重量部に対し、5〜10
00重量部用いることが好ましく、50〜500重量部用いることが最も好ましい。
【0158】
顔料をソルトミリング処理する際には、必要に応じて樹脂を添加してもよい。用いられ
る樹脂の種類は特に限定されず、天然樹脂、変性天然樹脂、合成樹脂、天然樹脂で変性さ
れた合成樹脂等を用いることができる。用いられる樹脂は、室温で固体であり、水不溶性
であることが好ましく、かつ上記有機溶剤に一部可溶であることがさらに好ましい。樹脂
の使用量は、顔料100重量部に対し、5〜200重量部の範囲であることが好ましい。
【0159】
[染料]
次に、本発明の造塩化合物と併用可能な染料について説明する。併用することができる
染料としては、油溶性染料、酸性染料、塩基性染料のいずれかの形態を有するものである
ことが好ましい。
【0160】
(油溶性染料)
油溶性染料を用いる場合、キサンテン系染料、またはアントラキノン系染料が明度の観
点で好ましい。
キサンテン系油溶性染料としては、C.I.ソルベントレッド35、C.I.ソルベントレ
ッド36、C.I.ソルベントレッド42、C.I.ソルベントレッド43、C.I.ソルベン
トレッド44、C.I.ソルベントレッド45、C.I.ソルベントレッド46、C.I.ソル
ベントレッド47、C.I.ソルベントレッド48、C.I.ソルベントレッド49、C.I.
ソルベントレッド72、C.I.ソルベンレッド73、C.I.ソルベントレッド109、C
.I.ソルベントレッド140、C.I.ソルベントレッド141、C.I.ソルベントレッド
237、C.I.ソルベントレッド246、C.I.ソルベントバイオレット2、またはC.
I.ソルベントバイオレット10等が挙げられる。
【0161】
中でも、発色性の高いローダミン系油溶性染料であるC.I.ソルベントレッド35、C
.I.ソルベントレッド36、C.I.ソルベントレッド49、C.I.ソルベントレッド10
9、C.I.ソルベントレッド237、C.I.ソルベントレッド246、C.I.ソルベント
バイオレット2がより好ましい。
【0162】
アントラキノン系油溶性染料としては、C.I.ソルベントレッド172、222、C.
I.ソルベントバイオレット60等が挙げられる。
【0163】
(酸性染料)
トリアリールメタン系酸性染料としては、C.I. アシッドブルー1、3、5、7、9
、11、15、17、19、22、24、38、48、75、83、90、91、93、
93:1、100、103、104、109、110、119、147、269、123
、213、C.I. ダイレクトブルー41、C.I. アシッドバイオレット17、19、2
1、23、25、38、49、72、ダイレクトブルー41などが挙げられる。
【0164】
キサンテン系酸性染料としては、C.I.アシッドレッド51(エリスロシン(食用赤
色3号))、C.I.アシッドレッド52(アシッドローダミン)、C.I.アシッドレ
ッド87(エオシンG(食用赤色103号))、C.I.アシッドレッド92(アシッド
フロキシンPB(食用赤色104号))、C.I.アシッドレッド289、C.I.アシ
ッドレッド388、ローズベンガルB(食用赤色5号)、アシッドローダミンG、C.I
.アシッドバイオレット9を用いることが好ましい。
中でも、耐熱性、耐光性の面で、キサンテン系酸性染料であるC.I.アシッドレッド
87、C.I.アシッドレッド92、C.I.アシッドレッド388、あるいは、ローダ
ミン系酸性染料であるC.I.アシッドレッド52(アシッドローダミン)、C.I.ア
シッドレッド289、アシッドローダミンG、C.I.アシッドバイオレット9を用いる
ことがより好ましい。
この中でも特に、発色性、耐熱性、耐光性に優れる点において、ローダミン系酸性染料
であるC.I.アシッドレッド52、C.I.アシッドレッド289を用いることが最も
好ましい。
【0165】
アントラキノン系酸性染料としては、C.I. アシッドブルー23、25、27、35
、40、41、43、45、47、49、51、53、55、56、62、68、69、
78、80、81:1、11、124、127、127:1、140、150、175、
215、230、277、344、C.I. アシッドバイオレット41、42、43、C.
I. アシッドグリーン25、27、またはダイレクトバイオレット17等が挙げられる。
【0166】
アゾ系酸性染料としては、例えば、C.I. アシッドレッド1、3、4、6、8、11
、12、14、18、26、27、33、37、53、57、88、106、108、1
11、114、131、137、138、151、154、158、159、173、1
84、186、215、257、266、296、337;
C.I. アシッドオレンジ7、10、12、19、20、22、28、30、52、5
6、74、127;
C.I. アシッドバイオレット11、56、58;
C.I. アシッドイエロー1、17、18、23、25、36、38、42、44、54
、59、72、78、151;
C.I. アシッドブラウン2、4、13、248;
C.I. アシッドブルー92、102、113、117などが挙げられる。
アゾ系染料は、蛍光消光剤としての機能が働く為、好ましく使用する事が出来る。
【0167】
(塩基性染料)
塩基性染料を用いる場合、トリアリールメタン系、またはキサンテン系染料が明度の観
点で好ましい。また、アゾ系染料が蛍光消光剤としての利用の観点で好ましい。
【0168】
トリアリールメタン系塩基性染料としては、C.I.ベーシック バイオレット1(メ
チルバイオレット)、同3(クリスタルバイオレット)、同14(Magenta)、C
.I.ベーシック ブルー1(ベーシックシアニン6G)、同5(ベーシックシアニンE
X)、同7(ビクトリアピュアブルー BO)、同26(ビクトリアブルー B con
c.)、C.I.ベーシック グリーン1(ブリリアントグリーンGX)、同4(マラカイ
トグリーン)等があげられる。中でもC.I.ベーシック ブルー7、同グリーン 4、
同バイオレット1、同バイオレット3を用いることが好ましい。
【0169】
ローダミン系塩基性染料としては、C.I.ベーシック レッド1(ローダミン6G、
6GCP)、同3、同8(ローダミンG)、C.I.ベーシック バイオレット10(ロ
ーダミンB)等があげられる。中でもC.I.ベーシック レッド1、同バイオレット1
0、同バイオレット11を用いることが好ましい。
【0170】
フラビン系塩基性染料としては、C.I.ベーシック イエロー1、
オーラミン系塩基性染料としては、C.I.ベーシック イエロー2、3、
サフラニン系塩基性染料としては、C.I.ベーシック レッド2、
フロキシン系塩基性染料としては、C.I.ベーシック レッド12、
アクリジン系塩基性染料としては、C.I.ベーシック イエロー5、
オキサジン系塩基性染料としては、C.I.ベーシック ブルー3、
チアジン系塩基性染料としては、C.I.ベーシック ブルー24、
メチレンブルー系塩基性染料としては、C.I.ベーシック ブルー9(メチレンブルー
FZ、メチレンブルーB)、同25(ベーシック ブルーGO)、同24(ニューメチレ
ンブルーNX)等があげられる。中でもC.I.ベーシック イエロー1、同ブルー9、
同24、同25を用いることが好ましい。
【0171】
アゾ系塩基性染料としては、ベーシックレッド22、ベーシックレッド76、ベーシッ
クイエロー57、ベーシックブラウン16、ベーシックブラウン17等が挙げられる。
【0172】
<バインダー樹脂>
バインダー樹脂は、着色剤、特に造塩化合物および顔料を分散するもの、もしくは造塩
化合物を染色、浸透させるものであって、熱可塑性樹脂等が挙げられる。本発明において
は、着色剤は、前記造塩化合物、または前記造塩化合物と顔料とから構成される。
【0173】
バインダー樹脂としては、可視光領域の400〜700nmの全波長領域において分光
透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上の樹脂であることが好ましい
。また、アルカリ現像型着色レジスト材の形態で用いる場合には、酸性基含有モノマーを
共重合したアルカリ可溶性ビニル系樹脂を用いることが好ましい。また、さらに光感度を
向上させるために、エチレン性不飽和活性二重結合を有するエネルギー線硬化性樹脂を用
いることもできる。
【0174】
熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ブチラール樹脂、スチレンーマレイン
酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル
−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、ビニ
ル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム
系樹脂、セルロース類、ポリエチレン(HDPE、LDPE)、ポリブタジエン、および
ポリイミド樹脂等が挙げられる。
【0175】
酸性基含有エチレン性不飽和モノマーを共重合したアルカリ可溶性樹脂としては、例え
ば、カルボキシル基、スルホン基等の酸性基を有する樹脂が挙げられる。アルカリ可溶性
樹脂として具体的には、酸性基を有するアクリル樹脂、α−オレフィン/(無水)マレイ
ン酸共重合体、スチレン/スチレンスルホン酸共重合体、エチレン/(メタ)アクリル酸
共重合体、またはイソブチレン/(無水)マレイン酸共重合体等が挙げられる。中でも、
酸性基を有するアクリル樹脂、およびスチレン/スチレンスルホン酸共重合体から選ばれ
る少なくとも1種の樹脂、特に酸性基を有するアクリル樹脂は、耐熱性、透明性が高いた
め、好適に用いられる。
【0176】
エチレン性不飽和活性二重結合を有するエネルギー線硬化性樹脂としては、水酸基、カ
ルボキシル基、アミノ基等の反応性の置換基を有する高分子にイソシアネート基、アルデ
ヒド基、エポキシ基等の反応性置換基を有する(メタ)アクリル化合物やケイヒ酸を反応
させて、(メタ)アクリロイル基、スチリル基等の光架橋性基を該高分子に導入した樹脂
が用いられる。また、スチレン−無水マレイン酸共重合物やα−オレフィン−無水マレイ
ン酸共重合物等の酸無水物を含む高分子をヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の
水酸基を有する(メタ)アクリル化合物によりハーフエステル化したものも用いられる。
【0177】
熱可塑性樹脂として、アルカリ可溶性能とエネルギー線硬化性能とを併せもつものも、
カラーフィルタ用着色組成物として好ましい。
【0178】
本発明に使用されるバインダー樹脂の分子量は、特に限定されるものではないが、ゲル
パーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した換算重量平均分子量が5,0
00〜100,000であることが好ましく、より好ましくは7,000〜50,000
である。バインダー樹脂の換算重量平均分子量が、5,000〜100,000であると
、現像時に膜減りが生じにくく、また現像時に非画素部分の抜け性が良好である傾向にあ
り、好ましい。また数平均分子量(Mn)は2,500〜40,000の範囲が好ましく
、Mw/Mnの値は10以下であることが好ましい。
【0179】
ここで重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)は、装置としてHLC−822
0GPC(東ソー株式会社製)を用い、カラムとしてTSK−GEL SUPER HZ
M−Nを2連でつなげて使用し、溶媒としてTHFを用いて測定したポリスチレン換算分
子量である。
【0180】
バインダー樹脂をカラーフィルタ用着色組成物として使用する場合には、着色剤吸着基
および現像時のアルカリ可溶基として働くカルボキシル基、着色剤担体および溶剤に対す
る親和性基として働く脂肪族基および芳香族基のバランスが、着色剤の分散性、浸透性、
現像性、さらには耐久性にとって重要であり、酸価20〜300mgKOH/gの樹脂を
用いることが好ましい。酸価が、20mgKOH/g未満では、現像液に対する溶解性が
悪く、微細パターン形成するのが困難である。300mgKOH/gを超えると、現像で
微細パターンが残らなくなる。
【0181】
バインダー樹脂は、着色剤100重量部に対し、20〜500重量部の量で用いること
が好ましい。20重量部未満では、成膜性および諸耐性が不十分となり、500重量部よ
り多いと着色剤の濃度が低くなり、色特性を発現できないことがある。
【0182】
<熱硬化性化合物>
本発明においては、バインダー樹脂である熱可塑性樹脂と併用して、さらに熱硬化性化
合物を含むことが好ましい。本発明のカラーフィルタ用着色組成物を用いてカラーフィル
タを作製する際、熱硬化性化合物を含むことで、フィルタセグメントの焼成時に反応し塗
膜の架橋密度を高め、そのためフィルタセグメントの耐熱性が向上し、フィルタセグメン
ト焼成時の顔料凝集が抑えられ、コントラスト比が向上するという効果が得られる。
【0183】
熱硬化性化合物としては、例えば、エポキシ化合物及び/又は樹脂、ベンゾグアナミン
化合物及び/又は樹脂、ロジン変性マレイン酸化合物及び/又は樹脂、ロジン変性フマル酸
化合物及び/又は樹脂、メラミン化合物及び/又は樹脂、尿素化合物及び/又は樹脂、およ
びフェノール化合物及び/又は樹脂が挙げられるが、本発明はこれに限定されるものでは
ない。本発明のカラーフィルタ用着色組成物ではエポキシ化合物及び/又は樹脂が好まし
く用いられる。
【0184】
エポキシ化合物は、低分子化合物でもよく、樹脂のような高分子量化合物でもよい。
このようなエポキシ化合物の例としては、ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビス
フェノールF、ビスフェノールS、ビフェノール、ビスフェノールAD等)、フェノール
類(フェノール、アルキル置換フェノール、芳香族置換フェノール、ナフトール、アルキ
ル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、アルキル置換ジヒドロキシベンゼン、ジヒド
ロキシナフタレン等)と各種アルデヒド(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アルキ
ルアルデヒド、ベンズアルデヒド、アルキル置換ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズア
ルデヒド、ナフトアルデヒド、グルタルアルデヒド、フタルアルデヒド、クロトンアルデ
ヒド、シンナムアルデヒド等)との重縮合物、フェノール類と各種ジエン化合物(ジシク
ロペンタジエン、テルペン類、ビニルシクロヘキセン、ノルボルナジエン、ビニルノルボ
ルネン、テトラヒドロインデン、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジイソプロペ
ニルビフェニル、ブタジエン、イソプレン等)との重合物、フェノール類とケトン類(ア
セトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノ
ン等)との重縮合物、フェノール類と芳香族ジメタノール類(ベンゼンジメタノール、α
,α,α’,α’−ベンゼンジメタノール、ビフェニルジメタノール、α,α,α’,α
’−ビフェニルジメタノール等)との重縮合物、フェノール類と芳香族ジクロロメチル類
(α,α’−ジクロロキシレン、ビスクロロメチルビフェニル等)との重縮合物、ビスフ
ェノール類と各種アルデヒドの重縮合物、アルコール類等をグリシジル化したグリシジル
エーテル系エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、グリ
シジルエステル系エポキシ樹脂等が挙げられるが、通常用いられるエポキシ化合物であれ
ばこれらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を用いても
よい。
【0185】
市販品としては、例えば、エピコート807、エピコート815、エピコート825、
エピコート827、エピコート828、エピコート190P、エピコート191P(以上
は商品名;油化シェルエポキシ(株)製)、エピコート1004、エピコート1256(
以上は商品名;ジャパンエポキシレジン(株)製)、TECHMORE VG3101L
(商品名;三井化学(株)製)、EPPN−501H、502H(商品名;日本化薬(株
)製)、JER 1032H60(商品名;ジャパンエポキシレジン(株)製)、JER
157S65、157S70(商品名;ジャパンエポキシレジン(株)製)、EPPN
−201(商品名;日本化薬(株)製)、JER152、JER154(以上は商品名;
ジャパンエポキシレジン(株)製)、EOCN−102S、EOCN−103S、EOC
N−104S、EOCN−1020(以上は商品名;日本化薬(株)製)、セロキサイド
2021、EHPE−3150(以上商品名;ダイセル化学工業(株)製)、デナコール
EX−810、EX−830、EX−851、EX−512、EX−421、EX−31
3、EX−201、EX−111(以上は商品名;ナガセケムテックス(株)製)などが
挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0186】
エポキシ化合物の配合量は、着色剤100重量に対し、0.5〜300重量部であるこ
とが好ましく、1.0〜50重量部であることがより好ましい。0.5重量部未満では耐
熱性改善効果が小さく、300重量部より多いとフォトリソグラフィーによるフィルタセ
グメント形成時に不具合を生ずる場合がある。
【0187】
また本発明のカラーフィルタ用着色組成物には、熱硬化性化合物の硬化を補助するため
、必要に応じて、硬化剤、硬化促進剤などを含んでいてもよい。硬化剤としては、アミン
系化合物、酸無水物、活性エステル、カルボン酸系化合物、スルホン酸系化合物などが有
効であるが、特にこれらに限定されるものではなく、熱硬化性化合物と反応し得るもので
あれば、いずれの硬化剤を使用してもよい。前記硬化促進剤としては、例えば、アミン化
合物(例えば、ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4−(ジメチルアミノ)−
N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メトキシ−N,N−ジメチルベンジルアミン、4
−メチル−N,N−ジメチルベンジルアミン等)、4級アンモニウム塩化合物(例えば、
トリエチルベンジルアンモニウムクロリド等)、ブロックイソシアネート化合物(例えば
、ジメチルアミン等)、イミダゾール誘導体二環式アミジン化合物及びその塩(例えば、
イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メ
チルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、1−シアノ
エチル−2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチ
ルイミダゾール等)、リン化合物(例えば、トリフェニルホスフィン等)、S−トリアジ
ン誘導体(例えば、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジ
ン、2−ビニル−2,4−ジアミノ−S−トリアジン、2−ビニル−4,6−ジアミノ−
S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシ
エチル−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物等)などを用いることができる。これら
は1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。前記硬化促進剤の含有量とし
ては、熱硬化性化合物100重量部に対し、0.01〜15重量部が好ましい。
【0188】
<有機溶剤>
本発明の着色組成物には、着色剤を充分に着色剤担体中に分散、浸透させ、ガラス基板
等の基板上に乾燥膜厚が0.2〜5μmとなるように塗布してフィルタセグメントを形成
することを容易にするために有機溶剤を含有させることができる。
【0189】
有機溶剤としては、例えば乳酸エチル、ベンジルアルコール、1,2,3−トリクロロ
プロパン、1,3−ブタンジオール、1,3−ブチレングリコール、1,3−ブチレング
リコールジアセテート、1,4−ジオキサン、2−ヘプタノン、2−メチル−1,3−プ
ロパンジオール、3,5,5−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン、3,3,5
−トリメチルシクロヘキサノン、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メチル−1,3
−ブタンジオール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メ
チルブチルアセテート、3−メトキシブタノール、3−メトキシブチルアセテート、4−
ヘプタノン、m−キシレン、m−ジエチルベンゼン、m−ジクロロベンゼン、N,N−ジ
メチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、n−ブチルアルコール、n−ブチ
ルベンゼン、n−プロピルアセテート、o−キシレン、o−クロロトルエン、o−ジエチ
ルベンゼン、o−ジクロロベンゼン、p−クロロトルエン、p−ジエチルベンゼン、se
c−ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、γ−ブチロラクトン、イソブチルアル
コール、イソホロン、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチ
ルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノエ
チルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコール
モノターシャリーブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレング
リコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エ
チレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチ
レングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、ジエチレングリコ
ールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコール
モノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエ
チレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテ
ート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノール、シクロヘキサノ
ールアセテート、シクロヘキサノン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロ
ピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテ
ル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピル
エーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ダイアセトンアルコール、トリ
アセチン、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモ
ノメチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールフェニル
エーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチル
エーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール
モノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコー
ルモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネ
ート、ベンジルアルコール、メチルイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノール、酢酸
n−アミル、酢酸n−ブチル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、酢酸プロピル、二塩基
酸エステル等が挙げられる。
【0190】
中でも、本発明に用いる造塩化合物やオプションとして用いる顔料の分散、溶解が良好
なことから、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピ
レングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテル
アセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のグリコールアセテー
ト類、ベンジルアルコール、3−メトキシブタノール等のアルコール類やシクロヘキサノ
ン等のケトン類を用いることが好ましい。特に、造塩化合物への溶解性の観点で3−メト
キシブタノールを用いることが最も好ましい。
【0191】
これらの有機溶剤は、1種を単独で、若しくは2種以上を混合して用いることができる
。2種以上の混合溶剤とする場合、上記の好ましい有機溶剤が65〜95重量%含有され
ていることが好ましい。
【0192】
また有機溶剤は、着色組成物を適正な粘度に調節し、目的とする均一な膜厚のフィルタ
セグメントを形成できることから、着色剤100重量部に対して、500〜4000重量
部の量で用いることが好ましい。
【0193】
<分散>
本発明の着色組成物は、造塩化合物と前記バインダー樹脂と溶剤とからなる着色剤担体中、さらに顔料を含む場合、好ましくは色素誘導体、樹脂型分散剤などの分散助剤と一緒に、三本ロールミル、二本ロールミル、サンドミル、ニーダー、またはアトライター等の各種分散手段を用いて微細に分散して製造することができる。また、本発明の着色組成物は、顔料、造塩化合物、その他の着色剤等を別々に着色剤担体に分散したものを混合して製造することもできる。
【0194】
[分散助剤]
着色剤を着色剤担体中に分散する際には、適宜、色素誘導体、樹脂型分散剤、界面活性
剤等の分散助剤を用いることができる。分散助剤は、着色剤の分散に優れ、分散後の着色
剤の再凝集を防止する効果が大きいので、分散助剤を用いて着色剤を着色剤担体中に分散
してなる着色組成物を用いた場合には、分光透過率の高いカラーフィルタが得られる。
本発明において、造塩化合物は、顔料の分散助剤としての役割を果たすことも期待され
る。
【0195】
色素誘導体としては、有機顔料、アントラキノン、アクリドンまたはトリアジンに、塩
基性置換基、酸性置換基、または置換基を有していても良いフタルイミドメチル基を導入
した化合物があげられ、例えば、特開昭63−305173号公報、特公昭57−156
20号公報、特公昭59−40172号公報、特公昭63−17102号公報、特公平5
−9469号公報等に記載されているものを使用でき、これらは単独または2種類以上を
混合して用いることができる。
【0196】
色素誘導体の配合量は、添加顔料の分散性向上の観点から、添加顔料の全量を基準(1
00重量%)として、好ましくは0.5重量%以上、さらに好ましくは1重量%以上、最
も好ましくは3重量%以上である。また、耐熱性、耐光性の観点から、添加顔料の全量を
基準(100重量%)として、好ましくは40重量%以下、さらに好ましくは35重量%
以下である。
【0197】
樹脂型分散剤は、添加顔料に吸着する性質を有する顔料親和性部位と、着色剤担体と相
溶性のある部位とを有し、添加顔料に吸着して着色剤担体への分散を安定化する働きをす
るものである。樹脂型分散剤として具体的には、ポリウレタン、ポリアクリレート等のポ
リカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)ア
ミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキ
サン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これら
の変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステル
との反応により形成されたアミドやその塩等の油性分散剤、(メタ)アクリル酸−スチレ
ン共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マ
レイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の水溶性樹脂や水溶
性高分子化合物、ポリエステル系、変性ポリアクリレート系、エチレンオキサイド/プロ
ピレンオキサイド付加化合物、リン酸エステル系等が用いられ、これらは単独または2種
以上を混合して用いることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0198】
市販の樹脂型分散剤としては、ビックケミー・ジャパン社製のDisperbyk−
101、103、107、108、110、111、116、130、140、154、
161、162、163、164、165、166、170、171、174、180、
181、182、183、184、185、190、2000、2001、2020、2
025、2050、2070、2095、2150、2155、6919、21116、
またはAnti−Terra−U、203、204、またはBYK−P104、P104
S、220S、6919、またはLactimon、Lactimon−WSまたはBy
kumen等、日本ルーブリゾール社製のSOLSPERSE−3000、9000、1
3000、13240、13650、13940、16000、17000、18000
、20000、21000、24000、26000、27000、28000、318
45、32000、32500、32550、33500、32600、34750、3
5100、36600、38500、41000、41090、53095、55000
、76500等、BASF社製のEFKA−46、47、48、452、4008、40
09、4010、4015、4020、4047、4050、4055、4060、40
80、4400、4401、4402、4403、4406、4408、4300、43
10、4320、4330、4340、450、451、453、4540、4550、
4560、4800、5010、5065、5066、5070、7500、7554、
1101、120、150、1501、1502、1503、等、味の素ファインテクノ
社製のアジスパーPA111、PB711、PB821、PB822、PB824等が挙
げられる。
【0199】
界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル
硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のアル
カリ塩、ステアリン酸ナトリウム、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキル
ジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウ
リル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノー
ルアミン、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレン
アルキルエーテルリン酸エステル等のアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンオレイ
ルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニル
エーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソ
ルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレート等のノニオン性界面
活性剤;アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物等のカオチン
性界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルベタイン、アルキルイ
ミダゾリン等の両性界面活性剤が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用
いることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0200】
樹脂型分散剤、界面活性剤を添加する場合の配合量は、添加顔料の全量を基準(100
重量%)として、好ましくは0.1〜55重量%、さらに好ましくは0.1〜45重量%
である。樹脂型分散剤、界面活性剤の配合量が、0.1重量%未満の場合には、添加した
効果が得られ難く、配合量が55重量%より多いと、過剰な分散剤により分散に悪影響を
及ぼすことがある。
【0201】
<光重合性単量体>
本発明の着色組成物は、さらに光重合性単量体および/または光重合開始剤を添加し、
カラーフィルタ用感光性着色組成物として使用することができる。
【0202】
本発明の光重合性単量体には、紫外線や熱などにより硬化して透明樹脂を生成するモノ
マーもしくはオリゴマーが含まれ、これらを単独で、または2種以上混合して用いること
ができる。
【0203】
紫外線や熱などにより硬化して透明樹脂を生成するモノマー、オリゴマーとしては、例
えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチ
ル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシ
ル(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレング
リコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、
トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)
アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトー
ルトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、1,
6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA
ジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエ
ーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、
ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アク
リレート、エステルアクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル
、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート等の各種アクリル酸エステルお
よびメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエ
チルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリ
ビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミ
ド、N−ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられるが、必ずしもこれらに限
定されるものではない。
これらの光重合性単量体は、1種を単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上
混合して用いることができる。
【0204】
光重合性単量体の配合量は、着色剤100重量部に対し、5〜400重量部であること
が好ましく、光硬化性および現像性の観点から10〜300重量部であることがより好ま
しい。
【0205】
<光重合開始剤>
本発明の着色組成物には、該組成物を紫外線照射により硬化させ、フォトリソグラフィ
ー法によりフィルタセグメントを形成するために、光重合開始剤を加えて溶剤現像型ある
いはアルカリ現像型感光性着色組成物の形態で調製することができる。
【0206】
光重合開始剤としては、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジ
クロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)
−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェ
ニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパ
ン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[
4−(4−モルフォリニル)フェニル]−1−ブタノン、または2−ベンジル−2−ジメ
チルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等のアセトフェノン
系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾ
インイソプロピルエーテル、またはベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系化合物;
ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾ
フェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4
’−メチルジフェニルサルファイド、または3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパ
ーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;チオキサントン、2
−クロルチオキサントン、2−メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2
,4−ジイソプロピルチオキサントン、または2,4−ジエチルチオキサントン等のチオ
キサントン系化合物;2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6
−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6
−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(ト
リクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル
)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリル−s−トリアジ
ン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、
2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−ト
リアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、または2,4
−トリクロロメチル−(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジン等のトリアジン系化
合物;1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイル
オキシム)〕、またはO−(アセチル)−N−(1−フェニル−2−オキソ−2−(4’
−メトキシ−ナフチル)エチリデン)ヒドロキシルアミン等のオキシムエステル系化合物
;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、または2
,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のホスフィン系化合
物;9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキ
ノン系化合物; ボレート系化合物; カルバゾール系化合物;イミダゾール系化合物;
あるいは、チタノセン系化合物等が用いられる。
これらの光重合開始剤は、1種を単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
【0207】
光重合開始剤の含有量は、着色剤100重量部に対し、2〜200重量部であることが好ましく、光硬化性及び現像性の観点から3〜150重量部であることがより好ましい。
【0208】
<増感剤>
さらに、本発明のカラーフィルタ用着色組成物には、増感剤を含有させることができる。
【0209】
増感剤としては、カルコン誘導体、ジベンザルアセトン等に代表される不飽和ケトン類
、ベンジルやカンファーキノン等に代表される1,2−ジケトン誘導体、ベンゾイン誘導
体、フルオレン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、キサンテン誘導体
、チオキサンテン誘導体、キサントン誘導体、チオキサントン誘導体、クマリン誘導体、
ケトクマリン誘導体、シアニン誘導体、メロシアニン誘導体、オキソノ−ル誘導体等のポ
リメチン色素、アクリジン誘導体、アジン誘導体、チアジン誘導体、オキサジン誘導体、
インドリン誘導体、アズレン誘導体、アズレニウム誘導体、スクアリリウム誘導体、ポル
フィリン誘導体、テトラフェニルポルフィリン誘導体、トリアリールメタン誘導体、テト
ラベンゾポルフィリン誘導体、テトラピラジノポルフィラジン誘導体、フタロシアニン誘
導体、テトラアザポルフィラジン誘導体、テトラキノキサリロポルフィラジン誘導体、ナ
フタロシアニン誘導体、サブフタロシアニン誘導体、ピリリウム誘導体、チオピリリウム
誘導体、テトラフィリン誘導体、アヌレン誘導体、スピロピラン誘導体、スピロオキサジ
ン誘導体、チオスピロピラン誘導体、金属アレーン錯体、有機ルテニウム錯体、またはミ
ヒラーケトン誘導体、α−アシロキシエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチル
フェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキ
ノン、エチルアンスラキノン、4,4’−ジエチルイソフタロフェノン、3,3’または
4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’−ジエ
チルアミノベンゾフェノン等が挙げられる。
これらの増感剤は、1種を単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して
用いることができる。
【0210】
さらに具体的には、大河原信ら編、「色素ハンドブック」(1986年、講談社)、大
河原信ら編、「機能性色素の化学」(1981年、シーエムシー)、池森忠三朗ら編、及
び「特殊機能材料」(1986年、シーエムシー)に記載の増感剤が挙げられるがこれら
に限定されるものではない。また、その他、紫外から近赤外域にかけての光に対して吸収
を示す増感剤を含有させることもできる。
【0211】
増感剤の含有量は、着色組成物中に含まれる光重合開始剤100重量部に対し、3〜6
0重量部であることが好ましく、光硬化性、現像性の観点から5〜50重量部であること
がより好ましい。
【0212】
<多官能チオール>
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、連鎖移動剤としての働きをする多官能チオールを含有することができる。
多官能チオールは、チオール基を2個以上有する化合物であればよく、例えば、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4−ブタンジオールビスチオプロピオネート、1,4−ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4−ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6−トリメルカプト−s−トリアジン、2−(N,N−ジブチルアミノ)−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン等が挙げられる。これらの多官能チオールは、1種を単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
【0213】
多官能チオールの含有量は、カラーフィルタ用着色組成物の全固形分の重量を基準(100重量%)として好ましくは0.1〜30重量%であり、より好ましくは1〜20重量%である。多官能チオールの含有量が0.1重量%未満では多官能チオールの添加効果が不充分であり、30重量%を越えると感度が高すぎて逆に解像度が低下する。
【0214】
<酸化防止剤>
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、酸化防止剤を含有することができる。酸化防止剤は、カラーフィルタ用着色組成物に含まれる光重合開始剤や熱硬化性化合物が、熱硬化やITOアニール時の熱工程によって酸化し黄変することを防ぐため、塗膜の透過率を高くすることができる。そのため、酸化防止剤を含むことで、加熱工程時の酸化による黄変を防止し、高い塗膜の透過率を得る事ができる。
【0215】
本発明における「酸化防止剤」とは、紫外線吸収機能、ラジカル補足機能、または、過酸化物分解機能を有する化合物であればよく、具体的には、酸化防止剤としてヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系、リン系、イオウ系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ヒドロキシルアミン系、サルチル酸エステル系、およびトリアジン系の化合物があげられ、公知の紫外線吸収剤、酸化防止剤等が使用できる。
【0216】
これらの酸化防止剤の中でも、塗膜の透過率と感度の両立の観点から、好ましいものとしては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤またはイオウ系酸化防止剤が挙げられる。また、より好ましくは、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、またはリン系酸化防止剤である。
【0217】
これらの酸化防止剤は、1種を単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合
して用いることができる。
【0218】
酸化防止剤の含有量は、カラーフィルタ用着色組成物の固形分重量を基準(100重量%)として、0.5〜5.0重量%の場合、明度、感度が良好であるためより好ましい。
【0219】
<アミン系化合物>
また、本発明の着色組成物には、溶存している酸素を還元する働きのあるアミン系化合
物を含有させることができる。
【0220】
このようなアミン系化合物としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミ
ン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルア
ミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2−ジメチルア
ミノエチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、及びN,N−ジメチルパ
ラトルイジン等が挙げられる。
【0221】
<レベリング剤>
本発明の着色組成物には、透明基板上での組成物のレベリング性を良くするため、レベ
リング剤を添加することが好ましい。レベリング剤としては、主鎖にポリエーテル構造ま
たはポリエステル構造を有するジメチルシロキサンが好ましい。主鎖にポリエーテル構造
を有するジメチルシロキサンの具体例としては、東レ・ダウコーニング社製FZ−212
2、ビックケミー社製BYK−333などが挙げられる。主鎖にポリエステル構造を有す
るジメチルシロキサンの具体例としては、ビックケミー社製BYK−310、BYK−3
70などが挙げられる。主鎖にポリエーテル構造を有するジメチルシロキサンと、主鎖に
ポリエステル構造を有するジメチルシロキサンとは、併用することもできる。レベリング
剤の含有量は通常、着色組成物の全重量を基準(100重量%)として、0.003〜0
.5重量%用いることが好ましい。
【0222】
レベリング剤として特に好ましいものとしては、分子内に疎水基と親水基を有するいわ
ゆる界面活性剤の一種で、親水基を有しながらも水に対する溶解性が小さく、着色組成物
に添加した場合、その表面張力低下能が低いという特徴を有し、さらに表面張力低下能が
低いにも拘らずガラス板への濡れ性が良好なものが有用であり、泡立ちによる塗膜の欠陥
が出現しない添加量において十分に帯電性を抑止できるものが好ましく使用できる。この
ような好ましい特性を有するレベリング剤として、ポリアルキレンオキサイド単位を有す
るジメチルポリシロキサンが好ましく使用できる。ポリアルキレンオキサイド単位として
は、ポリエチレンオキサイド単位、ポリプロピレンオキサイド単位があり、ジメチルポリ
シロキサンは、ポリエチレンオキサイド単位とポリプロピレンオキサイド単位とを共に有
していてもよい。
【0223】
また、ポリアルキレンオキサイド単位のジメチルポリシロキサンとの結合形態は、ポリ
アルキレンオキサイド単位がジメチルポリシロキサンの繰り返し単位中に結合したペンダ
ント型、ジメチルポリシロキサンの末端に結合した末端変性型、ジメチルポリシロキサン
と交互に繰り返し結合した直鎖状のブロックコポリマー型のいずれであってもよい。ポリ
アルキレンオキサイド単位を有するジメチルポリシロキサンは、東レ・ダウコーニング株
式会社から市販されており、例えば、FZ−2110、FZ−2122、FZ−2130
、FZ−2166、FZ−2191、FZ−2203、FZ−2207が挙げられるが、
これらに限定されるものではない。
【0224】
レベリング剤には、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、または両性の界面活性剤を
補助的に加えることも可能である。界面活性剤は、2種以上混合して使用しても構わない
【0225】
レベリング剤に補助的に加えるアニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンア
ルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸
共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニル
エーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸ト
リエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、
ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のモ
ノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルなどが挙げら
れる。
【0226】
レベリング剤に補助的に加えるカオチン性界面活性剤としては、アルキル4級アンモニ
ウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物が挙げられる。レベリング剤に補助的に加え
るノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエ
チレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチ
レンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート
、ポリエチレングリコールモノラウレートなどの;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン
などのアルキルベタイン、アルキルイミダゾリンなどの両性界面活性剤、また、フッ素系
やシリコーン系の界面活性剤が挙げられる。
【0227】
<消光剤>
シアニン系色素は、微弱ながら蛍光を発光することが知られている。この蛍光がコントラスト比(CR)を低下させてしまうため、消光剤を添加する事が好ましい。
シアニン系色素の消光剤としては、一般的によく知られている既存の消光剤であればどれでも一定の消光効果がある。中でも、アゾ系色素や、テトラシアノキノジメタンが特に効果的である。アゾ系色素の例としては、前述のアニオン性アゾ染料やカチオン性アゾ染料などの各種既存染料や、BJT株式会社製 アゾ系クエンチャー色素であるBHQ−1([(4-(2-ニトロ-4-メチル-フェニル)-アゾ)-イル-((2-メトキシ-5-メチル-フェニル)-アゾ)]-アニリン)、BHQ-2([(4-(1-ニトロ-フェニル)-アゾ)-イル-((2,5-ジメトキシ-フェニル)-アゾ)]-アニリン)などが挙げられる。
これらの中で好ましい消光剤としては、テトラシアノキノジメタン、BHQ-2([(4-(1-ニトロ-フェニル)-アゾ)-イル-((2,5-ジメトキシ-フェニル)-アゾ)]-アニリン)である。
【0228】
<その他の添加剤成分>
本発明の着色組成物には、組成物の経時粘度を安定化させるために貯蔵安定剤を含有さ
せることができる。また、透明基板との密着性を高めるためにシランカップリング剤等の
密着向上剤を含有させることもできる。
【0229】
貯蔵安定剤としては、例えば、ベンジルトリメチルクロライド、ジエチルヒドロキシア
ミンなどの4級アンモニウムクロライド、乳酸、シュウ酸などの有機酸およびそのメチル
エーテル、t−ブチルピロカテコール、テトラエチルホスフィン、テトラフェニルフォス
フィンなどの有機ホスフィン、亜リン酸塩等が挙げられる。貯蔵安定剤は、着色剤100
重量部に対し、0.1〜10重量部の量で用いることができる。
【0230】
密着向上剤としては、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルエトキシ
シラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン類、γ−メタクリロキシプロピルト
リメトキシシラン等の(メタ)アクリルシラン類、β−(3,4−エポキシシクロヘキシ
ル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメ
トキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β
−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプ
ロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシ
シラン類、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(ア
ミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミ
ノプロピルメチルジエトキシシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−ア
ミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラ
ン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン類、γ−メ
ルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等の
チオシラン類等のシランカップリング剤が挙げられる。密着向上剤は、着色組成物中の着
色剤100重量部に対して、0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部の量
で用いることができる。
【0231】
<粗大粒子の除去>
本発明の着色組成物は、遠心分離、焼結フィルタ、メンブレンフィルタ等の手段にて、
5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm
以上の粗大粒子および混入した塵の除去を行うことが好ましい。このように着色組成物は
、実質的に0.5μm以上の粒子を含まないことが好ましい。より好ましくは0.3μm
以下であることが好ましい。
【0232】
<カラーフィルタ>
次に、本発明のカラーフィルタについて説明する。本発明のカラーフィルタは、本発明
のカラーフィルタ用着色組成物を用いて形成されたフィルタセグメントを具備するもので
ある。カラーフィルタとしては、赤色フィルタセグメント、緑色フィルタセグメント、お
よび青色フィルタセグメントを具備するもの、またはマゼンタ色フィルタセグメント、シ
アン色フィルタセグメント、およびイエロー色フィルタセグメントを具備するものが挙げ
られる。
【0233】
透明基板としては、ソーダ石灰ガラス、低アルカリ硼珪酸ガラス、無アルカリアルミノ
硼珪酸ガラスなどのガラス板や、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチ
レンテレフタレートなどの樹脂板が用いられる。また、ガラス板や樹脂板の表面には、パ
ネル化後の液晶駆動のために、酸化インジウム、酸化錫などからなる透明電極が形成され
ていてもよい。
【0234】
<カラーフィルタの製造方法>
本発明のカラーフィルタは、印刷法またはフォトリソグラフィー法により、製造することができる。
【0235】
印刷法によるフィルタセグメントの形成は、印刷インキとして調製した着色組成物の印
刷と乾燥を繰り返すだけでパターン化ができるため、カラーフィルタの製造法としては、
低コストであり、かつ量産性に優れている。さらに、印刷技術の発展により高い寸法精度
および平滑度を有する微細パターンの印刷を行うことができる。印刷を行うためには、印
刷の版上にて、あるいはブランケット上にてインキが乾燥、固化しないような組成とする
ことが好ましい。また、印刷機上でのインキの流動性制御も重要であり、分散剤や体質顔
料によってインキ粘度の調整も行うことができる。
【0236】
フォトリソグラフィー法によりフィルタセグメントを形成する場合は、上記溶剤現像型
あるいはアルカリ現像型着色レジスト材として調製した着色組成物を、透明基板上に、ス
プレーコートやスピンコート、スリットコート、ロールコート等の塗布方法により、乾燥
膜厚が0.2〜5μmとなるように塗布する。必要により乾燥された膜には、この膜と接
触あるいは非接触状態で設けられた所定のパターンを有するマスクを通して紫外線露光を
行う。その後、溶剤またはアルカリ現像液に浸漬するかもしくはスプレーなどにより現像
液を噴霧して未硬化部を除去して所望のパターンを形成したのち、同様の操作を他色につ
いて繰り返してカラーフィルタを製造することができる。さらに、着色レジスト材の重合
を促進するため、必要に応じて加熱を施すこともできる。フォトリソグラフィー法によれ
ば、上記印刷法より精度の高いカラーフィルタが製造できる。
【0237】
現像に際しては、アルカリ現像液として炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液が使用され、ジメチルベンジルアミン、トリエタノールアミン等の有機アルカリを用いることもできる。また、現像液には、消泡剤や界面活性剤を添加することもできる。なお、紫外線露光感度を上げるために、上記着色レジスト材を塗布乾燥後、水溶性あるいはアルカリ水溶性樹脂、例えばポリビニルアルコールや水溶性アクリル樹脂等を塗布乾燥し酸素による重合阻害を防止する膜を形成した後、紫外線露光を行うこともできる。
【0238】
本発明のカラーフィルタは、上記方法の他に電着法、転写法などにより製造することができるが、本発明の着色組成物はいずれの方法にも用いることができる。なお、電着法は、基板上に形成した透明導電膜を利用して、コロイド粒子の電気泳動により各色フィルタセグメントを透明導電膜の上に電着形成することでカラーフィルタを製造する方法である。また、転写法は剥離性の転写ベースシートの表面に、あらかじめフィルタセグメントを形成しておき、このフィルタセグメントを所望の基板に転写させる方法である。
【0239】
透明基板あるいは反射基板上に各色フィルタセグメントを形成する前に、あらかじめブラックマトリクスを形成することができる。ブラックマトリクスとしては、クロムやクロム/酸化クロムの多層膜、窒化チタニウムなどの無機膜や、遮光剤を分散した樹脂膜が用いられるが、これらに限定されない。また、前記の透明基板あるいは反射基板上に薄膜トランジスター(TFT)をあらかじめ形成しておき、その後に各色フィルタセグメントを形成することもできる。また本発明のカラーフィルタ上には、必要に応じてオーバーコート膜や透明導電膜などが形成される。
【0240】
カラーフィルタは、シール剤を用いて対向基板と張り合わせ、シール部に設けられた注入口から液晶を注入したのち注入口を封止し、必要に応じて偏光膜や位相差膜を基板の外側に張り合わせることにより、液晶表示パネルが製造される。
【0241】
かかる液晶表示パネルは、ツイステッド・ネマティック(TN)、スーパー・ツイステッド・ネマティック(STN)、イン・プレーン・スイッチング(IPS)、ヴァーティカリー・アライメント(VA)、オプティカリー・コンベンセンド・ベンド(OCB)等のカラーフィルタを使用してカラー化を行う液晶表示モードに使用することができる。
【実施例】
【0242】
以下に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、特にことわりがない限り、「部」、「%」とは「重量部」、「重量%」を意味する。
【0243】
また、顔料の平均一次粒子径、および樹脂の重量平均分子量(Mw)の測定方法は以下の通りである。
【0244】
(顔料の平均一次粒子径)
顔料の平均一次粒子径は、透過型(TEM)電子顕微鏡を使用して、電子顕微鏡写真から一次粒子の大きさを直接計測する方法で測定した。具体的には、個々の顔料の一次粒子の短軸径と長軸径を計測し、平均をその顔料一次粒子の粒径とした。次に、100個以上の顔料粒子について、それぞれの粒子の体積(重量)を、求めた粒径の立方体と近似して求め、体積平均粒径を平均一次粒子径とした。
【0245】
(樹脂の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn))
ここで重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)は、装置としてHLC−8220GPC(東ソー株式会社製)を用い、カラムとしてTSK−GEL SUPER HZM−Nを2連でつなげて使用し、溶媒としてTHFを用いて測定したポリスチレン換算分子量である。
【0246】
<バインダー樹脂の製造方法>
(バインダー樹脂溶液1の調製)
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、撹拌装置を取り付けた反
応容器にシクロヘキサノン70.0部を仕込み、80℃に昇温し、反応容器内を窒素置換
した後、滴下管よりn−ブチルメタクリレート13.3部、2−ヒドロキシエチルメタク
リレート4.6部、メタクリル酸4.3部、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変
性アクリレート(東亞合成株式会社製「アロニックスM110」)7.4部、2,2'−
アゾビスイソブチロニトリル0.4部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更
に3時間反応を継続し、アクリル樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2
gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹
脂溶液に不揮発分が20重量%になるようにメトキシプロピルアセテートを添加してバイ
ンダー樹脂溶液1を調製した。重量平均分子量(Mw)は26000であった。
【0247】
(バインダー樹脂溶液2の調製)
温度計、冷却管、窒素ガス導入管、滴下管及び撹拌装置を備えたセパラブル4口フラス
コにシクロヘキサノン207部を仕込み、80℃に昇温し、フラスコ内を窒素置換した後
、滴下管より、メタクリル酸20部、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アク
リレート(東亜合成社製アロニックスM110)20部、メタクリル酸メチル45部、2
−ヒドロキシエチルメタクリレート8.5部、及び2,2'−アゾビスイソブチロニトリ
ル1.33部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応を継続し、
共重合体溶液を得た。
次に得られた共重合体溶液全量に対して、窒素ガスを停止し乾燥空気を1時間注入しな
がら攪拌したのちに、室温まで冷却した後、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネ
ート(昭和電工社製カレンズMOI)6.5部、ラウリン酸ジブチル錫0.08部、シク
ロヘキサノン26部の混合物を70℃で3時間かけて滴下した。
樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、
先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20重量%になるようにシクロヘキサノンを添加して
バインダー樹脂溶液2を調製した。重量平均分子量(Mw)は18000であった。
【0248】
(バインダー樹脂溶液3の調製)
温度計、冷却管、窒素ガス導入管、滴下管及び撹拌装置を備えたセパラブル4口フラス
コにシクロヘキサノン207部を仕込み、80℃に昇温し、フラスコ内を窒素置換した後
、滴下管より、メタクリル酸20部、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アク
リレート(東亜合成社製アロニックスM110)20部、メタクリル酸メチル45部、グ
リセロールモノメタクリレート8.5部及び2,2'−アゾビスイソブチロニトリル1.
33部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応を継続し、共重合
体溶液を得た。
次に得られた共重合体溶液全量に対して、窒素ガスを停止し乾燥空気を1時間注入しな
がら攪拌したのちに、室温まで冷却した後、2−メタクリロイオキシルエチルイソシアネ
ート6.5部、ラウリン酸ジブチル錫0.08部、シクロヘキサノン26部の混合物を7
0℃で3時間かけて滴下した。
樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、
先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20重量%になるようにシクロヘキサノンを添加して
バインダー樹脂溶液3を調製した。重量平均分子量(Mw)は19000であった。
【0249】
(バインダー樹脂溶液4の調製)
温度計、冷却管、窒素ガス導入管、滴下管及び撹拌装置を備えたセパラブル4口フラスコにシクロヘキサノン370部を仕込み、80℃に昇温し、フラスコ内を窒素置換した後、滴下管より、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亜合成社製アロニックスM110)18部、ベンジルメタクリレート10部、グリシジルメタクリレート18.2部、メタクリル酸メチル25部、及び2,2'−アゾビスイソブチロニトリル2.0部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下後、更に100℃で3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル1.0部をシクロヘキサノン50部で溶解させたものを添加し、更に100℃で1時間反応を続けた。次に、容器内を空気置換に替え、アクリル酸9.3部(グリシジル基の100モル%)にトリスジメチルアミノフェノール0.5部及びハイドロキノン0.1部を上記容器内に投入し、120℃で6時間反応を続け固形分酸価0.5となったところで反応を終了し、共重合体溶液を得た。
更に、引き続きテトラヒドロ無水フタル酸19.5部(生成した水酸基の100モル%)、トリエチルアミン0.5部を加え120℃で3.5時間反応させカルボキシル基と、共重合体溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20重量%になるようにシクロヘキサノンを添加してバインダー樹脂溶液4を調製した。重量平均分子量(Mw)は19000であった。
【0250】
<微細化顔料の製造方法>
(青色微細化顔料(P−1):PB15:6)
フタロシアニン系青色顔料C.I.ピグメント ブルー 15:6(トーヨーカラー株
式会社「リオノールブルーES」)100部、粉砕した食塩800部、およびジエチレン
グリコール100部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、70℃
で12時間混練した。この混合物を温水3000部に投入し、約70℃に加熱しながらハ
イスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩
および溶剤を除いた後、80℃で24時間乾燥し、98部の青色微細化顔料(P−1)を
得た。得られた顔料の平均一次粒子径は28.3nmであった。
【0251】
(紫色微細化顔料(P−2):PV23)
ジオキサジン系紫色顔料C.I.ピグメント バイオレット 23(Clariant
社製「Fast Violet RL」)120部、粉砕した食塩1600部、およびジエ
チレングリコール100部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、
90℃で18時間混練した。この混合物を温水5000部に投入し、約70℃に加熱しな
がらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえし
て食塩および溶剤を除いた後、80℃で24時間乾燥し、118部の紫色微細化顔料(P
−2)を得た。得られた顔料の平均一次粒子径は26.4nmであった。
【0252】
(赤色微細化顔料(P−3):PR254)
ジケトピロロピロール系赤色顔料C.I.ピグメント レッド 254(BASF社製
「IRGAZIN RED 2030」)120部、粉砕した食塩1000部、およびジ
エチレングリコール120部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み
、60℃で10時間混練した。この混合物を温水2000部に投入し、約80℃に加熱し
ながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえ
して食塩および溶剤を除いた後、80℃で24時間乾燥し、115部の赤色微細化顔料(
P−3)を得た。得られた顔料の平均一次粒子径は24.8nmであった。
【0253】
(黄色微細化顔料(P−4):PY150)
ニッケル錯体系黄色顔料C.I.ピグメント イエロー 150(ランクセス社製「E
−4GN」)100部、塩化ナトリウム700部、およびジエチレングリコール180部
をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、80℃で6時間混練した。
この混合物を温水2000部に投入し、約80℃に加熱しながらハイスピードミキサーで
約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩および溶剤を除いた後
、80℃で24時間乾燥し、95部の黄色微細化顔料(P−4)を得た。得られた顔料の
平均一次粒子径は39.2nmであった。
【0254】
(緑色微細化顔料(P−5):PG36)
フタロシアニン系緑色顔料C.I.ピグメント グリーン 36(トーヨーカラー株式
会社製「リオノールグリーン 6YK」)120部、塩化ナトリウム1600部、および
ジエチレングリコール270部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込
み、70℃で12時間混練した。この混合物を温水5000部に投入し、約70℃に加熱
しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりか
えして食塩および溶剤を除いた後、80℃で24時間乾燥し、117部の緑色微細化顔料
(P−5)を得た。得られた顔料の平均一次粒子径は32.6nmであった。
【0255】
(赤色微細化顔料(P−6):PR177)
アントラキノン系赤色顔料C.I.ピグメント レッド 177(BASF社製「クロモフタルレッド A2B」)120部、粉砕した食塩1000部、およびジエチレングリコール120部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、60℃で10時間混練した。この混合物を温水2000部に投入し、約80℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩および溶剤を除いた後、80℃で24時間乾燥し、115部の赤色微細化顔料(P−6)を得た。得られた顔料の平均一次粒子径は38.9nmであった。
【0256】
<顔料ペーストの製造方法>
(顔料ペーストPP−1の作製)
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM−250 MKII」)で5時間分散した後、5.0μmのフィルタで濾過し着色組成物(PP−1)を作製した。
微細化顔料(P−1) :10.0部
バインダー樹脂溶液1 :35.0部
シクロヘキサノン :20.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート :20.0部
樹脂型分散剤 :15.0部
(味の素ファインテクノ社製「アジスパーPB821」の20%PGMAc溶液)
【0257】
(顔料ペーストPP−2〜6の作製)
表1に記載した微細化顔料の種類に変更した以外は、顔料ペースト(PP−1)と同様に顔料ペースト(PP−2〜6)を得た。
【0258】
【表1】
【0259】
<一般式(1)で示されるアニオン性基を有するビニル系樹脂の製造方法>
(アニオン性基を有する樹脂1)
温度計、攪拌機、蒸留管、冷却器を具備した4つ口セパラブルフラスコに、メチルエチルケトン67.3 部を仕込み窒素気流下で75 ℃ に昇温した。別途、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸5.0部、メチルメタクリレート27.5部、n−ブチルメタクリレート20.0部、2−エチルヘキシルメタクリレート28.0部、メタクリル酸3.0部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート16.5部、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を6.5部、およびメチルエチルケトン25.1部を均一にした後、滴下ロートに仕込み、4つ口セパラブルフラスコに取り付け、2時間かけて滴下した。滴下終了2時間後、固形分から重合収率が98%以上であり、重量平均分子量(Mw)が、3240である事を確認し、50℃へ冷却した。ここへ、塩化メチル3.2部、エタノール22.0 部を追加し、50℃で2時間反応させた後、1時間かけて80℃まで加温し、更に、2時間反応させた。このようにして樹脂成分が47重量%のアニオン性基を有する樹脂1を得た。
【0260】
(アニオン性基を有する樹脂2〜樹脂14、及び樹脂16)
表2に示した材料組成に変更した以外は樹脂1と同様にして樹脂2〜14、及び樹脂16を得た。
【0261】
(アニオン性基を有する樹脂15)
アニオン性基を有する樹脂15は、中間体であるアニオン性基及びカルボキシル基含有
アクリル樹脂を合成した後、カルボキシル基とGMAのグリシジル基を反応させることに
よって、熱架橋性基(メタクリロイル基)を有する、アニオン性基を有する樹脂15を得
た。以下に手順を示す。
温度計、攪拌機、蒸留管、冷却器を具備した4つ口セパラブルフラスコに、イソプロピ
ルアルコール75.1部を仕込み、窒素気流下で75 ℃ に昇温した。別途、メチルメタ
クリ6.7部、n−ブチルメタクリレレート1ート10.7部、2−エチルヘキシルメタ
クリレート15.0部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート21.1部、メタクリル酸
20.9部、2−アクリルアミド−2−メチルプパンスルホン酸25.6部、および別途
メチルエチルケトン23.4部に溶解した2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロ
ニトリル)6.5部を、均一にした後、滴下ロートに仕込み、4つ口セパラブルフラスコ
に取り付け、2時間かけて滴下した。滴下終了2時間後、固形分から重合収率が98%以
上であることを確認し、中間体として側鎖にアニオン性基を有するTgが40℃の樹脂1
5'を得た。
次に、ブチルセロソルブを106.6部添加した後、80℃以上に加熱し、イソプロピ
ルアルコールおよびメチルエチルケトンをブチルセロソルブと共沸させてイソプロピルア
ルコールおよびメチルエチルケトンを留去した。内温が100℃に達すると、これを1g
サンプリングして、180℃20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、樹脂溶液の不揮発分
が50%であることを確認した。その後、グリシジルメタクリレート28.1部、ジメチ
ルベンジルアミン1.0部、メトキノン0.2部を仕込み、酸素を100ml/minで
バブリングした。その後、100℃に昇温し、6h時間攪拌した。6時間後、1gサンプ
リングして、180℃20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、反応率が90%以上である
ことを確認し50℃へ冷却、アニオン性基を有する樹脂15を得た。メタクリル酸とグリ
シジルメタクリレートは等モルで反応するため、前駆体のメタクリル酸は20.9部は1
7.0部消費され、メタクリル酸・グリシジルメタクリレート変性物となっている。この
場合、グリシジルメタクリレート残基部分28.1部と含めると45.1部となる。ここ
まで反応を終えた段階で、全てのモノマーを合計すると128.1部であるため、100
.0部に換算した場合、メタクリル酸・グリシジルメタクリレート変性物は35.2部と
なる。
【0262】
【表2】
【0263】
MOI−BM:(メタクリル酸2−[O−(1'−メチルプロピリデンアミノ)
カルボキシアノ]エチル)
【0264】
<一般式(3)で示されるカチオン性基を有するビニル系樹脂の製造方法>
(カチオン性基を有する樹脂17)
温度計、攪拌機、蒸留管、冷却器を具備した4つ口セパラブルフラスコに、メチルエチ
ルケトン67.3 部を仕込み窒素気流下で75 ℃ に昇温した。別途、メタクリル酸ジ
メチルアミノエチルメチルクロライド塩12.2部、メチルメタクリレート27.5部、
n−ブチルメタクリレート20.0部、2−エチルヘキシルメタクリレート28.0部、
メタクリル酸3.0部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート16.5部、2,2’−ア
ゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を6.5部、およびメチルエチルケトン25
.1部を均一にした後、滴下ロートに仕込み、4つ口セパラブルフラスコに取り付け、2
時間かけて滴下した。滴下終了2時間後、固形分から重合収率が98%以上であり、重量
平均分子量(Mw)が、3330である事を確認し、50℃へ冷却した。ここへ、塩化メ
チル3.2部、エタノール22.0 部を追加し、50℃で2時間反応させた後、1時間
かけて80℃まで加温し、更に、2時間反応させた。このようにして樹脂成分が47重量
%のカチオン性基を有する樹脂17を得た。
【0265】
(カチオン性基を有する樹脂18〜樹脂28)
表3に示した材料組成に変更した以外は樹脂17と同様にして樹脂18〜28を得た。
【0266】
(カチオン性基を有する樹脂29)
カチオン性基を有する樹脂29は、中間体であるカチオン性基及びカルボキシル基含有
アクリル樹脂を合成した後、カルボキシル基とGMAのグリシジル基を反応させることに
よって、熱架橋性基(メタクリロイル基)を有する、側鎖にカチオン性基を有する樹脂2
9を得た。以下に手順を示す。
温度計、攪拌機、蒸留管、冷却器を具備した4つ口セパラブルフラスコに、イソプロピ
ルアルコール75.1部を仕込み、窒素気流下で75 ℃ に昇温した。別途、メチルメタ
クリ6.7部、n−ブチルメタクリレレート1ート10.7部、2−ヒドロキシエチルメ
タクリレート21.1部、2−エチルヘキシルメタクリレート15.0部、メタクリル酸
20.9部、メタクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライド塩25.6部、および
別途メチルエチルケトン23.4部に溶解した2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバ
レロニトリル)6.5部を、均一にした後、滴下ロートに仕込み、4つ口セパラブルフラ
スコに取り付け、2時間かけて滴下した。滴下終了2時間後、固形分から重合収率が98
%以上であることを確認し、中間体として側鎖にカチオン性基を有するTgが40℃の樹
脂29'を得た。
次に、ブチルセロソルブを106.6部添加した後、80℃以上に加熱し、イソプロピルアルコールおよびメチルエチルケトンをブチルセロソルブと共沸させてイソプロピルアルコールおよびメチルエチルケトンを留去した。内温が100℃に達すると、これを1gサンプリングして、180℃20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、樹脂溶液の不揮発分が50%であることを確認した。その後、グリシジルメタクリレート28.1部、ジメチルベンジルアミン1.0部、メトキノン0.2部を仕込み、酸素を100ml/minでバブリングした。その後、100℃に昇温し、6h時間攪拌した。6時間後、1gサンプリングして、180℃20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、反応率が90%以上であることを確認し50℃へ冷却、カチオン性基を有する樹脂29を得た。メタクリル酸とグリシジルメタクリレートは等モルで反応するため、前駆体のメタクリル酸は20.9部は17.0部消費され、メタクリル酸・グリシジルメタクリレート変性物となっている。この場合、グリシジルメタクリレート残基部分28.1部と含めると45.1部となる。ここまで反応を終えた段階で、全てのモノマーを合計すると128.1部であるため、100.
0部に換算した場合、メタクリル酸・グリシジルメタクリレート変性物は35.2部とな
る。
【0267】
(アニオン性基、カチオン性基いずれも有さない樹脂30)
表3に示した材料組成に変更した以外は樹脂17と同様にして樹脂30を得た。
【0268】
【表3】
【0269】
MOI−BM::(メタクリル酸2−[O−(1'−メチルプロピリデンアミノ)
カルボキシアノ]エチル)
【0270】
<カチオン性シアニン系染料の製造方法>
(カチオン性シアニン系染料1aの合成方法)
【化18】

温度計、滴下ろうと、冷却管、窒素フロー管を具備した100 mL4口フラスコに1,2,
3,3-テトラメチルインドレニンヨージド 5g、無水酢酸15 mL加え、加熱還流させた
。そこへ滴下ろうとを用いてオルトギ酸トリエチル 2.56 g滴下した。1時間後、室
温まで冷却し、固体を析出させた。析出した固体を吸引ろかし、酢酸エチル 30 mL、イ
オン交換水 30mLで洗浄した。熱風乾燥機にて40 ℃で1晩加熱乾燥し、3.42 gの
生成物を得た。収率は85%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルト
ニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。m/z=464.25
(分子量484.14)で目的物であることを確認した。
【0271】
(カチオン性シアニン系染料2aの合成方法)
【化19】

温度計、滴下ろうと、冷却管、窒素フロー管を具備した100 mL4口フラスコに1,2,
3,3-テトラメチル-4,5-ベンゾ-3H-インドールヨージド 5 g、無水酢酸15 mL加え、
加熱還流させた。そこへ滴下ろうとを用いてオルトギ酸トリエチル 2.10 g滴下した
。1時間後、室温まで冷却し、固体を析出させた。析出した固体を吸引ろかし、酢酸エチ
ル 30 mL、イオン交換水 30mLで洗浄した。熱風乾燥機にて40 ℃で1晩加熱乾燥し
、3.41 gの生成物を得た。収率は82%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブ
ルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。m/z
=584.33(分子量584.17)で目的物であることを確認した。
【0272】
(カチオン性シアニン系染料3aの合成方法)
【化20】

温度計、滴下ろうと、冷却管を具備した100 mL4口フラスコに4-ニトロフェニルヒド
ラジン 10g、エタノール 30mL、イソプロピルメチルケトン 5.62 gを加え、0
度に冷却した。そこへエタノール 10 mLにナトリウムエトキシド 3.94 gを溶かし
、滴下ろうとで滴下した。滴下後、4時間加熱還流した。その後エバポレーターにて溶媒
を留去した。2N硫酸を80 mL加え、1時間加熱還流した。室温まで冷却し、炭酸ナトリ
ウムで中和し、ジエチルエーテル 50 mLで有機層を抽出し、エバポレーターにて溶媒を
留去し、固体を吸引ろ過した。熱風乾燥機にて40 ℃で1晩加熱乾燥し、7.33 gの
生成物を得た。収率は55%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルト
ニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。m/z=204.25
(分子量204.09)で目的物であることを確認した。
【化21】

温度計、滴下ろうと、冷却管を具備した100 mL4口フラスコに5-ニトロ-2,3,3-ト
リメチルインドレニン 5 g、ヨードメタン 6.95 g、アセトニトリル 30 mLを加え
、24時間加熱還流した。室温まで冷却後、エバポレーターにて溶媒を留去し、固体を析
出させた。そこへジエチルエーテル40 mL加え、洗浄し吸引ろ過した。7.54 gの生
成物を得た。収率は89%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニ
クス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。m/z=346.22(
分子量364.02)で目的物であることを確認した。
【化22】

温度計、滴下ろうと、冷却管、窒素フロー管を具備した100 mL4口フラスコに5-ニトロ-1,2,3,3-テトラメチルインドレニンヨージド 5g、無水酢酸15 mL加え、加熱還流させた。そこへ滴下ろうとを用いてオルトギ酸トリエチル 2.14 g滴下した。1時間後、室温まで冷却し、固体を析出させた。析出した固体を吸引ろかし、酢酸エチル 30 mL、イオン交換水 30mLで洗浄した。熱風乾燥機にて40 ℃で1晩加熱乾燥し、2.32 gの生成物を得た。収率は56%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。m/z=574.31(分子量574.11)で目的物であることを確認した。
【0273】
(カチオン性シアニン系染料4aの合成方法)
【化23】

温度計、滴下ろうと、冷却管を具備した100 mL4口フラスコに4-ブロモフェニルヒドラジン塩酸塩 10g、エタノール 30 mL、イソプロピルメチルケトン 3.85 gを加え、0度に冷却した。そこへエタノール 10 mLにナトリウムエトキシド 2.74 gを溶かし、滴下ろうとで滴下した。滴下後、4時間加熱還流した。その後エバポレーターにて溶媒を留去した。2N硫酸を80 mL加え、1時間加熱還流した。室温まで冷却し、炭酸ナトリウムで中和し、ジエチルエーテル 50 mLで有機層を抽出し、エバポレーターにて溶媒を留去し、固体を吸引ろ過した。熱風乾燥機にて40 ℃で1晩加熱乾燥し、6.39 gの生成物を得た。収率は60%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。m/z=237.12(分子量237.02)で目的物であることを確認した。
【化24】

温度計、滴下ろうと、冷却管を具備した100 mL4口フラスコに5-ブロモ-2,3,3-ト
リメチルインドレニン 5 g、ヨードメタン 5.95 g、アセトニトリル 30 mLを加え
、24時間加熱還流した。室温まで冷却後、エバポレーターにて溶媒を留去し、固体を析
出させた。そこへジエチルエーテル40 mL加え、洗浄し吸引ろ過した。6.54 gの生
成物を得た。収率は82%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニ
クス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。m/z=378.99(
分子量378.94)で目的物であることを確認した。
【化25】

温度計、滴下ろうと、冷却管、窒素フロー管を具備した100 mL4口フラスコに5-ブロ
モ-1,2,3,3-テトラメチルインドレニンヨージド 5g、無水酢酸15 mL加え、加熱還
流させた。そこへ滴下ろうとを用いてオルトギ酸トリエチル 1.95 g滴下した。1時
間後、室温まで冷却し、固体を析出させた。析出した固体を吸引ろかし、酢酸エチル 3
0 mL、イオン交換水 30mLで洗浄した。熱風乾燥機にて40 ℃で1晩加熱乾燥し、3.22 gの生成物を得た。収率は76%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。m/z=640.10(分子量639.96)で目的物であることを確認した。
【0274】
(カチオン性シアニン系染料5aの合成方法)
【化26】

温度計、滴下ろうと、冷却管を具備した100 mL4口フラスコに4-クロロフェニルヒド
ラジン塩酸塩 10g、エタノール 30 mL、イソプロピルメチルケトン 4.80 gを加
え、0度に冷却した。そこへエタノール 10 mLにナトリウムエトキシド 3.42 gを
溶かし、滴下ろうとで滴下した。滴下後、4時間加熱還流した。その後エバポレーターに
て溶媒を留去した。2N硫酸を80mL加え、1時間加熱還流した。室温まで冷却し、炭酸
ナトリウムで中和し、ジエチルエーテル 50 mLで有機層を抽出し、エバポレーターにて
溶媒を留去し、固体を吸引ろ過した。熱風乾燥機にて40 ℃で1晩加熱乾燥し、5.8
4 gの生成物を得た。収率は54%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・
ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。m/z=193
.17(分子量193.07)で目的物であることを確認した。
【化27】

温度計、滴下ろうと、冷却管を具備した100 mL4口フラスコに5-クロロ-2,3,3-ト
リメチルインドレニン 5 g、ヨードメタン 7.32 g、アセトニトリル 30 mLを加え
、24時間加熱還流した。室温まで冷却後、エバポレーターにて溶媒を留去し、固体を析
出させた。そこへジエチルエーテル40 mL加え、洗浄し吸引ろ過した。7.71 gの生
成物を得た。収率は89%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニ
クス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。m/z=335.02(
分子量334.99)で目的物であることを確認した。
【化28】

温度計、滴下ろうと、冷却管、窒素フロー管を具備した100 mL4口フラスコに5-クロ
ロ-1,2,3,3-テトラメチルインドレニンヨージド 5g、無水酢酸15 mL加え、加熱還
流させた。そこへ滴下ろうとを用いてオルトギ酸トリエチル 2.20 g滴下した。1時
間後、室温まで冷却し、固体を析出させた。析出した固体を吸引ろかし、酢酸エチル 3
0 mL、イオン交換水 30mLで洗浄した。熱風乾燥機にて40 ℃で1晩加熱乾燥し、3
.09 gの生成物を得た。収率は75%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカ
ー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。m/z=5
52.12(分子量552.06)で目的物であることを確認した。
【0275】
(カチオン性シアニン系染料6aの合成方法)
【化29】

温度計、滴下ろうと、冷却管、窒素フロー管を具備した100 mL4口フラスコに1,2,
3,3-テトラメチルインドレニンヨージド 5g、無水酢酸15 mL加え、加熱還流させた
。そこへ滴下ろうとを用いてオルトプロピオン酸トリエチル 2.92 g滴下した。1時
間後、室温まで冷却し、固体を析出させた。析出した固体を吸引ろかし、酢酸エチル 3
0 mL、イオン交換水 30mLで洗浄した。熱風乾燥機にて40 ℃で1晩加熱乾燥し、2
.76 gの生成物を得た。収率は65%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカ
ー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。m/z=5
12.26(分子量512.17)で目的物であることを確認した。
【0276】
(カチオン性シアニン系染料7aの合成方法)
【化30】
温度計、滴下ろうと、冷却管、窒素フロー管を具備した100 mL4口フラスコに5-ブロ
モ-1,2,3,3-テトラメチルインドレニンヨージド 5g、無水酢酸15 mL加え、加熱還
流させた。そこへ滴下ろうとを用いてオルトプロピオン酸トリエチル 2.32 g滴下し
た。1時間後、室温まで冷却し、固体を析出させた。析出した固体を吸引ろかし、酢酸エ
チル 30 mL、イオン交換水 30 mLで洗浄した。熱風乾燥機にて40 ℃で1晩加熱乾
燥し、3.39 gの生成物を得た。収率は77%であった。質量分析装置(TOF−MS
:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。m
/z=6678.03(分子量667.99)で目的物であることを確認した。
【0277】
(カチオン性シアニン系染料8aの合成方法)
【化31】

温度計、滴下ろうと、窒素フロー管を具備した100 mL3口フラスコに1,1',3,3',
3,3'-ヘキサメチルインドカルボシアニンヨージド5 g、塩化アルミニウム 4.12 g
、1,2-ジクロロエタン30 mL加え、0度で冷却撹拌させた。そこへ滴下ろうとを用い
てアセチルクロリド 1.43 g滴下した。1時間後、室温まで昇温させた。イオン交換
水 30mLを加え、有機層を抽出しエバポレーターにて溶媒を留去し、固体を析出させた
。析出した固体を吸引ろかし、酢酸エチル 30 mLで洗浄した。熱風乾燥機にて40 ℃
で1晩加熱乾燥し、3.29 gの生成物を得た。収率は56%であった。質量分析装置(
TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を
行なった。m/z=568.28(分子量568.16)で目的物であることを確認した
【0278】
(カチオン性シアニン系染料1bの合成方法)
【化32】

温度計、滴下ろうと、冷却管、窒素フロー管を具備した100 mL4口フラスコに3-エチ
ル-2-メチルベンゾチアゾリウムヨージド 5 g、無水酢酸15 mL加え、加熱還流させた
。そこへ滴下ろうとを用いてオルトギ酸トリエチル 2.43 g滴下した。1時間後、室
温まで冷却し、固体を析出させた。析出した固体を吸引ろかし、酢酸エチル 30 mL、イ
オン交換水 30 mLで洗浄した。熱風乾燥機にて40 ℃で1晩加熱乾燥し、3.02 g
の生成物を得た。収率は75%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダル
トニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。m/z=492.2
3(分子量492.02)で目的物であることを確認した。
【0279】
(カチオン性シアニン系染料2bの合成方法)
【化33】

温度計、滴下ろうと、冷却管、窒素フロー管を具備した100 mL4口フラスコに3-エチ
ル-2-2-メチルナフト[1,2-d]チアゾールヨージド 5 g、無水酢酸15 mL加え、加熱還
流させた。そこへ滴下ろうとを用いてオルトギ酸トリエチル 2.09 g滴下した。1時
間後、室温まで冷却し、固体を析出させた。析出した固体を吸引ろかし、酢酸エチル 3
0 mL、イオン交換水 30mLで洗浄した。熱風乾燥機にて40 ℃で1晩加熱乾燥し、3
.25 gの生成物を得た。収率は78%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカ
ー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。m/z=5
92.16(分子量582.05)で目的物であることを確認した。
【0280】
(カチオン性シアニン系染料3bの合成方法)
【化34】

温度計、滴下ろうと、冷却管、窒素フロー管を具備した100 mL4口フラスコに5-ブロ
モ-3-エチル-2-メチルベンゾチアゾリウムヨージド 5g、無水酢酸15 mL加え、加熱
還流させた。そこへ滴下ろうとを用いてオルトギ酸トリエチル 1.92 g滴下した。1
時間後、室温まで冷却し、固体を析出させた。析出した固体を吸引ろかし、酢酸エチル
30 mL、イオン交換水 30mLで洗浄した。熱風乾燥機にて40 ℃で1晩加熱乾燥し、
3.47 gの生成物を得た。収率は82%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブル
カー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。m/z=
647.99(分子量647.84)で目的物であることを確認した。
【0281】
(カチオン性シアニン系染料4bの合成方法)
【化35】

温度計、滴下ろうと、冷却管、窒素フロー管を具備した100 mL4口フラスコに5-ブ
ロモ-3-エチル-2-メチルベンゾチアゾリウムヨージド 5 g、無水酢酸15 mL加え、加
熱還流させた。そこへ滴下ろうとを用いてN,N'-ジフェニルホルムアミジン 3.08 g滴
下した。1時間後、室温まで冷却し、ジエチルエーテル 30 mL加え30分撹拌し、固体
を析出させた。析出した固体を吸引ろかし、ジエチルエーテル 30 mL、イオン交換水
30mLで洗浄した。熱風乾燥機にて40 ℃で1晩加熱乾燥し、3.80 gの生成物を得
た。この生成物を温度計、滴下ろうと、冷却管、窒素フロー管を具備した100 mL4口フ
ラスコに加えた。そこへさらにエタノール 30 mL、トリエチルアミン 0.5 mL、5-
クロロ-3-エチル-2-メチルベンゾチアゾリウムヨージド 4 g加え、1時間加熱還流し
た。室温まで冷却し、ジエチルエーテル 30 mL加え、固体を析出させた。析出した固体
を吸引ろかし、酢酸エチル 30 mL、イオン交換水 30mLで洗浄した。熱風乾燥機にて
40 ℃で1晩加熱乾燥し、2.76 gの生成物を得た。収率は35%であった。質量分
析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物
の同定を行なった。m/z=603.98(分子量603.89)で目的物であることを
確認した。
【0282】
(カチオン性シアニン系染料5bの合成方法)
【化36】

温度計、滴下ろうと、冷却管、窒素フロー管を具備した100mL 4口フラスコに6-ブロ
モ-2,3-ジメチルメチルベンゾチアゾリウムヨージド 5 g、無水酢酸15 mL加え、加
熱還流させた。そこへ滴下ろうとを用いてオルトギ酸トリエチル 1.92 g滴下した。
1時間後、室温まで冷却し、固体を析出させた。析出した固体を吸引ろかし、酢酸エチル
30 mL、イオン交換水 30 mLで洗浄した。熱風乾燥機にて40 ℃で1晩加熱乾燥し
、3.22 gの生成物を得た。収率は80%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブ
ルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。m/z
=619.94(分子量619.81)で目的物であることを確認した。
【0283】
(カチオン性シアニン系染料6bの合成方法)
【化37】

温度計、滴下ろうと、冷却管、窒素フロー管を具備した100 mL4口フラスコに5-ブロ
モ-3-ブチル-2-メチルベンゾチアゾリウムヨージド 5 g、無水酢酸15 mL加え、加熱
還流させた。そこへ滴下ろうとを用いてN,N'-ジフェニルホルムアミジン 2.98 g滴下
した。1時間後、室温まで冷却し、ジエチルエーテル 30 mL加え30分撹拌し、固体を
析出させた。析出した固体を吸引ろかし、ジエチルエーテル 30 mL、イオン交換水 3
0mLで洗浄した。熱風乾燥機にて40 ℃で1晩加熱乾燥し、3.92 gの生成物を得た
。この生成物を温度計、滴下ろうと、冷却管、窒素フロー管を具備した100 mL4口フラ
スコに加えた。そこへさらにエタノール 30 mL、トリエチルアミン 0.5 mL、2,3-
ジメチルベンゾチアゾリウムヨージド 4 g加え、1時間加熱還流した。室温まで冷却し
、ジエチルエーテル 30 mL加え、固体を析出させた。析出した固体を吸引ろかし、酢酸
エチル 30 mL、イオン交換水 30 mLで洗浄した。熱風乾燥機にて40 ℃で1晩加熱
乾燥し、2.91 gの生成物を得た。収率は37%であった。質量分析装置(TOF−M
S:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。
m/z=584.03(分子量583.95)で目的物であることを確認した。
【0284】
(カチオン性シアニン系染料7bの合成方法)
【化38】

温度計、滴下ろうと、冷却管、窒素フロー管を具備した100 mL 4口フラスコに3-エ
チル-2,5-ジメチルベンゾチアゾリウムヨージド 5 g、無水酢酸15 mL加え、加熱還
流させた。そこへ滴下ろうとを用いてオルトギ酸トリエチル 2.32 g滴下した。1時
間後、室温まで冷却し、固体を析出させた。析出した固体を吸引ろかし、酢酸エチル 3
0 mL、イオン交換水 30mLで洗浄した。熱風乾燥機にて40 ℃で1晩加熱乾燥し、3
.50 gの生成物を得た。収率は86%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカ
ー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。m/z=5
20.18(分子量520.05)で目的物であることを確認した。
【0285】
(カチオン性シアニン系染料8bの合成方法)
【化39】

温度計、滴下ろうと、冷却管、窒素フロー管を具備した100 mL4口フラスコに5-ブロ
モ-2,3-ジメチルベンゾチアゾリウムヨージド 5g、無水酢酸15 mL加え、加熱還流さ
せた。そこへ滴下ろうとを用いてオルトプロピオン酸トリエチル 1.98 g滴下した。
1時間後、室温まで冷却し、固体を析出させた。析出した固体を吸引ろかし、酢酸エチル
30 mL、イオン交換水 30 mLで洗浄した。熱風乾燥機にて40 ℃で1晩加熱乾燥し
、3.47 gの生成物を得た。収率は79%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブ
ルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。m/z
=647.99(分子量647.84)で目的物であることを確認した。
【0286】
(カチオン性シアニン系染料9bの合成方法)
【化40】

温度計、滴下ろうと、冷却管、窒素フロー管を具備した100 mL4口フラスコに2,3-
ジメチルベンゾチアゾリウムヨージド 5g、無水酢酸15 mL加え、加熱還流させた。そ
こへ滴下ろうとを用いてオルトプロピオン酸トリエチル 1.98 g滴下した。1時間後
、室温まで冷却し、固体を析出させた。析出した固体を吸引ろかし、酢酸エチル 30mL
、イオン交換水 30 mLで洗浄した。熱風乾燥機にて40 ℃で1晩加熱乾燥し、3.5
5 gの生成物を得た。収率は84%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・
ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。m/z=492
.22(分子量492.02)で目的物であることを確認した。
【0287】
以下カチオン性シアニン系染料(A−1〜7、B−1〜4、C−1〜5、D−1〜5、E−1〜5及びF−1〜5)はJ. Org. Chem., 1995, 60 (8), pp 2411-2422、J. Am. Chem. Soc., 2011, 133 (40), pp 15870-15873を参考にし,下記反応スキーム1〜3に従って合成した。
【0288】
(カチオン性シアニン系染料A−1の合成)
カチオン性シアニン系染料A−1は、まず中間体A−1を合成した後に、次のステップで目的物であるカチオン性シアニン系染料A−1を合成した。(反応スキーム1)
【0289】
反応スキーム1
【化41】
【0290】
(中間体A−1の合成)
温度計、滴下ろうと、冷却管を具備した100 mL4口フラスコに2,3,3−トリメチルインドレニン 5 g、ヨードエタン 7.35 g、アセトニトリル 10 mLを加え、24時間加熱還流した。室温まで冷却後、エバポレーターにて溶媒を留去し、固体を析出させた。そこへジエチルエーテル40 mL加え、洗浄し吸引ろ過した。8.61 gの生成物を得た。収率は87%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=188.25(分子量188.14)で目的物であることを確認した。
【0291】
(A−1の合成)
温度計、滴下ろうと、冷却管、窒素フロー管を具備した100 mL4口フラスコに中間体A−1 8.61 g、無水酢酸15 mL加え、そこへ滴下ろうとを用いてオルトギ酸トリエチル 4.05 g滴下し、加熱還流させた。1時間後、室温まで冷却し、固体を析出させた。析出した固体を吸引ろかし、酢酸エチル 30 mL、イオン交換水 30 mLで洗浄した。熱風乾燥機にて40 ℃で1晩加熱乾燥し、6.16 gの生成物を得た。収率は88%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=385.33(分子量385.26)で目的物であることを確認した。
【0292】
(カチオン性シアニン系染料A−2の合成)
【化42】

中間体A−1のヨードエタンをヨードブタンに変更した以外は、中間体A−1と同様に合成し、9.49 gの生成物(中間体A−2)を得た。収率は88%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=216.29(分子量216.17)で目的物であることを確認した。中間体A−2を用いた以外は、A−1と同様に合成し、6.68 gの生成物(A−2)を得た。収率は85%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=441.45(分子量441.33)で目的物であることを確認した。
【0293】
(カチオン性シアニン系染料A−3の合成)
【化43】

中間体A−1のヨードエタンをヨードヘキサンに変更した以外は、中間体A−1と同様に合成し、9.79 gの生成物(中間体A−3)を得た。収率は84%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=244.35(分子量244.21)で目的物であることを確認した。中間体A−3を用いた以外は、A−1と同様に合成し、6.92 gの生成物(A−3)を得た。収率は84%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=497.51(分子量497.39)で目的物であることを確認した。
【0294】
(カチオン性シアニン系染料A−4の合成)
【化44】

中間体A−1のヨードエタンを3−ヨードプロピレンに変更した以外は、中間体A−1と同様に合成し、9.04 gの生成物(中間体A−4)を得た。収率は88%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=200.28(分子量200.14)で目的物であることを確認した。中間体A−4 を用い、反応温度を80 ℃に変更した以外は、A−1と同様に合成した。4.60 gの生成物(A−4)を得た。収率は62%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=409.36(分子量409.26)で目的物であることを確認した。
【0295】
(カチオン性シアニン系染料A−5の合成)
カチオン性シアニン系染料A−5は、まず中間体A−5を合成した後に、次のステップで目的物であるカチオン性シアニン系染料A−5を合成した。(反応スキーム2)
【0296】
反応スキーム2
【化45】
【0297】
(中間体A−5の合成)
温度計、滴下ろうと、冷却管を具備した100 mL4口フラスコに2,3,3-トリメチルインドレニン 5 g、2−(4−ブロモ−ブトキシメチル)−オキシラン 9.85 g、ヨウ化カリウム 5.21 g、アセトニトリル 10 mLを加え、24時間加熱還流した。室温まで冷却後、エバポレーターにて溶媒を留去し、固体を析出させた。そこへジエチルエーテル40 mL加え、洗浄し吸引ろ過した。5.87 gの生成物(中間体A−5)を得た。収率は52%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。m/z=288.31(分子量288.20)で目的物であることを確認した。
【0298】
(A−5の合成)
中間体A−5を用いた以外は、A−4と同様に合成した。5.54 gの生成物(A−5)を得た。収率は58%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=585.49(分子量585.37)で目的物であることを確認した。
【0299】
(カチオン性シアニン系染料A−6の合成)
【化46】

中間体A−5の2−(4−ブロモ−ブトキシメチル)−オキシランを(4−ブロモ−ブチル)−カルバミック酸ビニルエステルに変更した以外は、中間体A−5と同様に合成し、7.93 gの生成物(中間体A−6)を得た。収率は59%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=301.31(分子量301.19)で目的物であることを確認した。中間体A−6を用いた以外はA−4と同様に合成し、3.76 gの生成物(A−6)を得た。収率は55%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=611.48(分子量611.36)で目的物であることを確認した。
【0300】
(カチオン性シアニン系染料A−7の合成)
カチオン性シアニン系染料A−7は、まず中間体A−7aを合成した後に、次のステップで中間体A−7bを合成し、さらに次のステップで目的物であるカチオン性シアニン系染料A−7を合成した。(反応スキーム3)
【0301】
反応スキーム3
【化47】
【0302】
(中間体A−7aの合成)
中間体A−5の2−(4−ブロモ−ブトキシメチル)−オキシランを3−ブロモプロピオン酸に変更した以外は、中間体A−5と同様に合成し、5.87 gの生成物(中間体A−7a)を得た。収率は52%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。m/z=232.25(分子量232.13)で目的物であることを確認した。
【0303】
(中間体A−7bの合成)
温度計、滴下ろうと、冷却管を具備した100 mL3口フラスコに中間体A−7a 9.81g、ジクロロメタン15 mL、4−(N, Nジメチル)アミノピリジン 0.40 g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート 2.55 g、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩3.44 gを加え、室温にて24時間撹拌させた。イオン交換水 30mLにて分液操作を2回行った後、飽和食塩水50 mLで2回有機層を洗浄した。硫酸マグネシウムを5 g加え、30分撹拌後、硫酸マグネシウムをろ過し、溶媒を留去した。真空燥機にて40 ℃で1晩加熱乾燥し、5.46 gの生成物(中間体A−7b)を得た。収率は71%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=344.31(分子量344.19)で目的物であることを確認した。
【0304】
(A−7の合成)
中間体A−7bを用いた以外は、A−4と同様に合成した。5.54 gの生成物(A−7)を得た。収率は58%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=824.38(分子量824.25)で目的物であることを確認した。
【0305】
(カチオン性シアニン系染料B−1の合成)
【化48】

中間体A−1の2,3,3−トリメチルインドレニンを2,3,3−トリメチル−4,5−ベンゾ−3H−インドールに変更した以外は、中間体A−1と同様に合成し、7.59 gの生成物(中間体B−1)を得た。収率は87%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=238.28(分子量238.16)で目的物であることを確認した。中間体B−1を用いた以外は、A−1と同様に合成し、5.79 gの生成物(B−1)を得た。収率は91%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=485.42(分子量485.30)で目的物であることを確認した。
【0306】
(カチオン性シアニン系染料B−2の合成)
【化49】

中間体B−1のヨードエタンをヨードブタンに変更した以外は、中間体B−1と同様に合成し、8.27 gの生成物(中間体B−2)を得た。収率は88%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=266.30(分子量266.19)で目的物であることを確認した。中間体B−2を用いた以外は、A−1と同様に合成し、6.33 gの生成物(B−2)を得た。収率は90%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=541.48(分子量541.36)で目的物であることを確認した。
【0307】
(カチオン性シアニン系染料B−3の合成)
【化50】

中間体B−1のヨードエタンをヨードヘキサンに変更した以外は、中間体B−1と同様に合成し、8.56 gの生成物(中間体B−3)を得た。収率は85%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=294.32(分子量294.22)で目的物であることを確認した。中間体B−3を用いた以外は、A−1と同様に合成し、6.48 gの生成物(B−3)を得た。収率は88%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=597.55(分子量597.42)で目的物であることを確認した。
【0308】
(カチオン性シアニン系染料B−4の合成)
【化51】

中間体B−1のヨードエタンを3−ヨードプロピレンに変更した以外は、中間体B−1と同様に合成し、4.96 gの生成物(中間体B−4)を得た。収率は55%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=250.35(分子量250.16)で目的物であることを確認した。中間体B−4を用いた以外は、A−4と同様に合成し、2.68 gの生成物(B−4)を得た。収率は64%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=569.41(分子量569.30)で目的物であることを確認した。
【0309】
(カチオン性シアニン系染料C−1の合成)
【化52】


中間体A−1の2,3,3−トリメチルインドレニンを5−ブロモ−2,3,3−トリメチルインドレニンに変更した以外は、中間体A−1と同様に合成し、7.53 gの生成物(中間体C−1)を得た。収率は91%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=266.18(分子量266.05)で目的物であることを確認した。中間体C−1を用いた以外は、A−1と同様に合成し、5.89 gの生成物(C−1)を得た。収率は92%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=541.20(分子量541.08)で目的物であることを確認した。
【0310】
(カチオン性シアニン系染料C−2の合成)
【化53】


中間体C−1のヨードエタンをヨードブタンに変更した以外は、中間体C−1と同様に合成し、7.80 gの生成物(中間体C−2)を得た。収率は88%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=294.20(分子量294.09)で目的物であることを確認した。中間体C−2を用いた以外は、A−1と同様に合成し、6.04 gの生成物(C−2)を得た。収率は90%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=599.59(分子量599.46)で目的物であることを確認した。
【0311】
(カチオン性シアニン系染料C−3の合成)
【化54】


中間体C−1のヨードエタンをヨードヘキサンに変更した以外は、中間体C−1と同様に合成し、8.04 gの生成物(中間体C−3)を得た。収率は85%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=322.24(分子量322.12)で目的物であることを確認した。中間体C−3を用いた以外は、A−1と同様に合成し、6.14 gの生成物(C−3)を得た。収率は88%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=653.33(分子量653.21)で目的物であることを確認した。
【0312】
(カチオン性シアニン系染料C−4の合成)
【化55】


中間体C−1のヨードエタンを3−ヨードプロピレンに変更した以外は、中間体C−1と同様に合成し、4.43 gの生成物(中間体C−4)を得た。収率は52%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=278.16(分子量278.05)で目的物であることを確認した。中間体C−4 を用いた以外は、A−4と同様に合成し、2.50 gの生成物(C−4)を得た。収率は66%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=565.21(分子量565.08)で目的物であることを確認した。
【0313】
(カチオン性シアニン系染料C−5の合成)
【化56】

中間体A−7aの2,3,3-トリメチルインドレニンを5−ブロモ−2,3,3−トリメチルインドレニンに変更した以外は、中間体A−7aと同様に合成し5.06 gの生成物(中間体C−5a)を得た。収率は55%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=310.16(分子量310.04)で目的物であることを確認した。
中間体C−5a を用いた以外は中間体A−7bと同様に合成し、4.57 gの生成物(中間体C−5b)を得た。収率は72%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=422.22(分子量422.10)で目的物であることを確認した。中間体C−5bを用いた以外は、A−7と同様に合成し4.74 gの生成物(C−5)を得た。収率は58%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=853.28(分子量853.17)で目的物であることを確認した。
【0314】
(カチオン性シアニン系染料D−1の合成)
【化57】

中間体A−1の2,3,3−トリメチルインドレニンを5−クロロ−2,3,3−トリメチルインドレニンに変更した以外は、中間体A−1と同様に合成し、8.12 gの生成物(中間体D−1)を得た。収率は90%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=222.23(分子量222.10)で目的物であることを確認した。
中間体D−1を用いた以外は、A−1と同様に合成し、6.15 gの生成物(D−1)を得た。収率は91%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=453.30(分子量453.19)で目的物であることを確認した。
【0315】
(カチオン性シアニン系染料D−2の合成)
【化58】

中間体D−1のヨードエタンをヨードブタンに変更した以外は、中間体D−1と同様に合成し、8.58 gの生成物(中間体D−2)を得た。収率は88%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=250.28(分子量250.14)で目的物であることを確認した。中間体D−2を用いた以外は、A−1と同様に合成し、6.44 gの生成物(D−2)を得た。収率は89%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=509.38(分子量509.25)で目的物であることを確認した。
【0316】
(カチオン性シアニン系染料D−3の合成方法)
【化59】


中間体D−1のヨードエタンをヨードヘキサンに変更した以外は、中間体D−1と同様に合成し、9.11 gの生成物(中間体D−3)を得た。収率は87%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=278.27(分子量278.17)で目的物であることを確認した。中間体D−3を用いた以外は、A−1と同様に合成し、6.85 gの生成物(D−3)を得た。収率は88%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=565.44(分子量565.31)で目的物であることを確認した。
【0317】
(カチオン性シアニン系染料D−4の合成方法)
【化60】

中間体D−1のヨードエタンを3−ヨードプロピレンに変更した以外は、中間体D−1と同様に合成し、5.60 gの生成物(中間体D−4)を得た。収率は60%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=234.21(分子量234.10)で目的物であることを確認した。中間体D−4 を用いた以外は、A−4と同様に合成し、2.91 gの生成物(D−4)を得た。収率は62%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=477.30(分子量477.19)で目的物であることを確認した。
【0318】
(カチオン性シアニン系染料D−5の合成方法)
【化61】

中間体A−5の2,3,3−トリメチルインドレニンを5−クロロ−2,3,3−トリメチルインドレニンに変更した以外は、中間体A−5と同様に合成し、4.57 gの生成物(中間体D−5)を得た。収率は57%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=322.28(分子量322.16)で目的物であることを確認した。中間体D−5 を用いた以外は、A−5と同様に合成し、3.74 gの生成物(D−5)を得た。収率は65%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=653.41(分子量653.29)で目的物であることを確認した。
【0319】
(カチオン性シアニン系染料E−1の合成方法)
【化62】

中間体A−1の2,3,3−トリメチルインドレニンを2,3,3,5−テトラメチルインドレニンに変更した以外は、中間体A−1と同様に合成し、8.46 gの生成物(中間体E−1)を得た。収率は89%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=202.35(分子量202.16)で目的物であることを確認した。中間体E−1を用いた以外は、A−1と同様に合成し、6.32 gの生成物(E−1)を得た。収率は91%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=413.48(分子量413.36)で目的物であることを確認した。
【0320】
(カチオン性シアニン系染料E−2の合成方法)
【化63】

中間体E−1のヨードエタンをヨードブタンに変更した以外は、中間体E−1と同様に合成し、9.07 gの生成物(中間体E−2)を得た。収率は88%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=230.31(分子量230.19)で目的物であることを確認した。中間体E−2を用いた以外は、A−1と同様に合成し、6.44 gの生成物(E−2)を得た。収率は85%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=469.46(分子量469.36)で目的物であることを確認した。
【0321】
(カチオン性シアニン系染料E−3の合成方法)
【化64】

中間体E−1のヨードエタンをヨードヘキサンに変更した以外は、中間体E−1と同様に合成し、9.34 gの生成物(中間体E−3)を得た。収率は84%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=258.35(分子量258.22)で目的物であることを確認した。中間体E−3を用いた以外は、A−1と同様に合成した。6.25 gの生成物(E−3)を得た。収率は79%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=525.53(分子量525.42)で目的物であることを確認した。
【0322】
(カチオン性シアニン系染料E−4の合成方法)
【化65】

中間体E−1のヨードエタンを3−ヨードプロピレンに変更した以外は、中間体E−1と同様に合成し、6.11 gの生成物(中間体E−4)を得た。収率は62%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=214.28(分子量214.16)で目的物であることを確認した。中間体E−4 を用いた以外は、A−4と同様に合成し、2.93 gの生成物(E−4)を得た。収率は58%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=437.41(分子量437.30)で目的物であることを確認した。
【0323】
(カチオン性シアニン系染料E−5の合成方法)
【化66】

中間体A−6の2,3,3−トリメチルインドレニンを2,3,3,5−テトラメチルインドレニンにに変更した以外は、中間体A−6と同様に合成し、7.40 gの生成物(中間体E−5)を得た。収率は58%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=315.33(分子量315.21)で目的物であることを確認した。中間体E−5 を用いた以外は、A−6と同様に合成し、3.98 gの生成物(E−5)を得た。収率は62%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=639.51(分子量639.39)で目的物であることを確認した。
【0324】
(カチオン性シアニン系染料F−1の合成方法)
【化67】


中間体A−1の2,3,3−トリメチルインドレニンを5−メトキシ−2,3,3−トリメチルインドレニンに変更した以外は、中間体A−1と同様に合成し、8.03 gの生成物(中間体F−1)を得た。収率は88%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=218.26(分子量218.15)で目的物であることを確認した。中間体F−1を用いた以外は、A−1と同様に合成し、6.06 gの生成物(F−1)を得た。収率は91%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=445.41(分子量445.29)で目的物であることを確認した。
【0325】
(カチオン性シアニン系染料F−2の合成方法)
【化68】

中間体F−1のヨードエタンをヨードブタンに変更した以外は、中間体F−1と同様に合成し、8.58 gの生成物(中間体F−2)を得た。収率は87%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=246.32(分子量246.19)で目的物であることを確認した。中間体F−2を用いた以外は、A−1と同様に合成し、6.36 gの生成物(F−2)を得た。収率は88%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=501.46(分子量501.35)で目的物であることを確認した。
【0326】
(カチオン性シアニン系染料F−3の合成方法)
【化69】

中間体F−1のヨードエタンをヨードヘキサンに変更した以外は、中間体F−1と同様に合成し、9.01 gの生成物(中間体F−3)を得た。収率は85%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=274.33(分子量274.22)で目的物であることを確認した。中間体F−3を用いた以外は、A−1と同様に合成し、6.61 gの生成物(F−3)を得た。収率は86%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=557.51(分子量557.41)で目的物であることを確認した。
【0327】
(カチオン性シアニン系染料F−4の合成方法)
【化70】

中間体F−1のヨードエタンを3−ヨードプロピレンに変更した以外は、中間体F−1と同様に合成し、6.23 gの生成物(中間体F−4)を得た。収率は66%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=230.26(分子量230.15)で目的物であることを確認した。中間体F−4 を用いた以外は、A−4と同様に合成し、3.17 gの生成物(F−4)を得た。収率は61%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=469.40(分子量469.28)で目的物であることを確認した。
【0328】
(カチオン性シアニン系染料F−5の合成方法)
【化71】

中間体A−7aの2,3,3-トリメチルインドレニンを5−メトキシ−2,3,3−トリメチルインドレニンに変更した以外は、中間体A−7bと同様に合成し、5.55 gの生成物(中間体F−5a)を得た。収率は54%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=262.28(分子量262.14)で目的物であることを確認した。中間体F−5a を用いた以外は、A−7bと同様に合成し、5.29 gの生成物(中間体F−5b)を得た。収率は74%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z=374.39(分子量374.26)で目的物であることを確認した。中間体F−5bを用いた以外は、A−7と同様に合成し、5.42 gの生成物(F−5)を得た。収率は58%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。カチオン成分m/z= 757.49(分子量757.37)で目的物であることを確認した。
【0329】
<アニオン性シアニン系染料の製造方法>
(アニオン性シアニン系染料1cの合成方法)
【化72】
温度計、滴下ろうと、冷却管を具備した100 mL4口フラスコに2,3,3-トリメチルイ
ンドレニン 5 g、4-ブロモ酪酸 10.48 g、ヨウ化カリウム 10.22 g、アセト
ニトリル 30 mLを加え、24時間加熱還流した。室温まで冷却後、エバポレーターにて
溶媒を留去し、固体を析出させた。そこへジエチルエーテル40 mL加え、洗浄し吸引ろ
過した。8.31 gの生成物を得た。収率は71%であった。質量分析装置(TOF−M
S:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。
m/z=373.21(分子量373.05)で目的物であることを確認した。
【化73】

温度計、滴下ろうと、冷却管、窒素フロー管を具備した100 mL4口フラスコに1-酪酸
-2,3,3-テトラメチルインドレニンヨージド 5g、無水酢酸15 mL加え、加熱還流さ
せた。そこへ滴下ろうとを用いてオルトギ酸トリエチル 2.20 g滴下した。1時間後
、室温まで冷却し、固体を析出させた。析出した固体を吸引ろかし、酢酸エチル 30mL
、イオン交換水 30 mLで洗浄した。熱風乾燥機にて40 ℃で1晩加熱乾燥し、2.8
0 gの生成物を得た。収率は53%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・
ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。m/z=642
.29(分子量642.20)で目的物であることを確認した。
【0330】
(アニオン性シアニン系染料2cの合成方法)
【化74】
温度計、滴下ろうと、冷却管を具備した100 mL4口フラスコに2,3,3-トリメチルイ
ンドレニン 5 g、3-ブロモプロパンスルホン酸ナトリウム 14.13 g、ヨウ化カリ
ウム 10.22 g、アセトニトリル 30 mLを加え、24時間加熱還流した。室温まで
冷却後、エバポレーターにて溶媒を留去し、2N塩酸 10 mL加え、固体を析出させた。
そこへジエチルエーテル40 mL加え、洗浄し吸引ろ過した。6.68 gの生成物を得た
。収率は52%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製
autoflexII)で化合物の同定を行なった。m/z=409.13(分子量40
9.02)で目的物であることを確認した。
【化75】

温度計、滴下ろうと、冷却管、窒素フロー管を具備した100 mL4口フラスコに1-プ
ロパンスルホン酸-2,3,3-テトラメチルインドレニンヨージド 5g、無水酢酸15 mL
加え、加熱還流させた。そこへ滴下ろうとを用いてオルトプロピオン酸トリエチル 2.
10 g滴下した。1時間後、室温まで冷却し、固体を析出させた。析出した固体を吸引ろ
かし、酢酸エチル 30 mL、イオン交換水 30 mLで洗浄した。熱風乾燥機にて40 ℃
で1晩加熱乾燥し、2.31 gの生成物を得た。収率は52%であった。質量分析装置(
TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を
行なった。m/z=728.21(分子量728.15)で目的物であることを確認した
【0331】
(アニオン性シアニン系染料3cの合成方法)
【化76】


温度計、滴下ろうと、冷却管、窒素フロー管を具備した100 mL4口フラスコに1-プロ
パンスルホン酸-2,3,3-テトラメチルインドレニンヨージド 5 g、無水酢酸15 mL加
え、加熱還流させた。そこへ滴下ろうとを用いてN,N'-ジフェニルホルムアミジン 2.3
9 g滴下した。1時間後、室温まで冷却し、ジエチルエーテル 30 mL加え30分撹拌し
、固体を析出させた。析出した固体を吸引ろかし、ジエチルエーテル 30 mL、イオン交
換水 30mLで洗浄した。熱風乾燥機にて40 ℃で1晩加熱乾燥し、3.59 gの生成物
を得た。この生成物を温度計、滴下ろうと、冷却管、窒素フロー管を具備した100mL4
口フラスコに加えた。そこへさらにエタノール 30 mL、トリエチルアミン 0.5 mL、
2,3-ジメチルベンゾチアゾリウムヨージド 2.20 g加え、1時間加熱還流した。室
温まで冷却し、ジエチルエーテル 30 mL加え、固体を析出させた。析出した固体を吸引
ろかし、酢酸エチル 30 mL、イオン交換水 30 mLで洗浄した。熱風乾燥機にて40
℃で1晩加熱乾燥し、3.14 gの生成物を得た。収率は43%であった。質量分析装置
(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定
を行なった。m/z=592.24(分子量592.13)で目的物であることを確認し
た。
【0332】
(アニオン性シアニン系染料4cの合成方法)
【化77】

温度計、滴下ろうと、冷却管、窒素フロー管を具備した100 mL4口フラスコに1-プロ
パンスルホン酸-2,3,3-テトラメチルインドレニンヨージ 5g、無水酢酸15 mL加え
、加熱還流させた。そこへ滴下ろうとを用いてオルトギ酸トリエチル 1.80 g滴下し
た。1時間後、室温まで冷却し、固体を析出させた。析出した固体を吸引ろかし、酢酸エ
チル 30 mL、イオン交換水 30 mLで洗浄した。熱風乾燥機にて40 ℃で1晩加熱乾
燥し、3.46 gの生成物を得た。収率は81%であった。質量分析装置(TOF−MS
:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。m
/z=642.29(分子量642.20)で目的物であることを確認した。
【0333】
(アニオン性シアニン系染料1dの合成方法)
【化78】

温度計、滴下ろうと、冷却管を具備した100 mL4口フラスコに2-メチルベンゾチアゾ
ール 5 g、4-ブロモ酪酸 11.19 g、ヨウ化カリウム 11.05 g、アセトニトリ
ル 30 mLを加え、24時間加熱還流した。室温まで冷却後、エバポレーターにて溶媒を
留去し、固体を析出させた。そこへジエチルエーテル40 mL加え、洗浄し吸引ろ過した
。10.22 gの生成物を得た。収率は84%であった。質量分析装置(TOF−MS:
ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。m/
z=363.09(分子量362.98)で目的物であることを確認した。
【化79】

温度計、滴下ろうと、冷却管、窒素フロー管を具備した100 mL4口フラスコに3-酪
酸-2-メチルベンゾチアゾリウムヨージド 5g、無水酢酸15 mL加え、加熱還流させた
。そこへ滴下ろうとを用いてオルトギ酸トリエチル 2.04 g滴下した。1時間後、室
温まで冷却し、固体を析出させた。析出した固体を吸引ろかし、酢酸エチル 30 mL、イ
オン交換水 30 mLで洗浄した。熱風乾燥機にて40 ℃で1晩加熱乾燥し、2.72 g
の生成物を得た。収率は65%であった。質量分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダル
トニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。m/z=642.2
9(分子量642.20)で目的物であることを確認した。
【0334】
(アニオン性シアニン系染料2dの合成方法)
【化80】

温度計、滴下ろうと、冷却管を具備した100 mL4口フラスコに2-メチルベンゾチアゾ
ール 5 g、3-ブロモプロパンスルホン酸ナトリウム 15.08 g、ヨウ化カリウム 1
1.05 g、アセトニトリル 30 mLを加え、24時間加熱還流した。室温まで冷却後、
エバポレーターにて溶媒を留去し、固体を析出させた。そこへジエチルエーテル40mL
加え、洗浄し吸引ろ過した。10.43 gの生成物を得た。収率は78%であった。質量
分析装置(TOF−MS:ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合
物の同定を行なった。m/z=399.12(分子量398.95)で目的物であること
を確認した。
【化81】

温度計、滴下ろうと、冷却管、窒素フロー管を具備した100 mL4口フラスコに3-プ
ロパンスルホン酸-2-メチルベンゾチアゾリウムヨージド 5g、無水酢酸15 mL加え、
加熱還流させた。そこへ滴下ろうとを用いてオルトギ酸トリエチル 1.85 g滴下した
。1時間後、室温まで冷却し、固体を析出させた。析出した固体を吸引ろかし、酢酸エチ
ル 30 mL、イオン交換水 30 mLで洗浄した。熱風乾燥機にて40 ℃で1晩加熱乾燥
し、2.85 gの生成物を得た。収率は67%であった。質量分析装置(TOF−MS:
ブルカー・ダルトニクス社製 autoflexII)で化合物の同定を行なった。m/
z=680.07(分子量679.96)で目的物であることを確認した。
【0335】
<造塩化合物の製造方法>
(造塩化合物(ZS−1))
下記の手順でカチオン性シアニン系染料とアニオン性基を有する樹脂3とからなる造塩化合物(ZS−1)を製造した。
【0336】
水2000部に55部のアニオン性基を有する樹脂3と、水酸化ナトリウム1.5部を
添加し、十分に攪拌混合を行った後、60℃に加熱する。一方、45部の水、45部のメ
タノールに10部のカチオン性シアニン系染料(1a)を溶解させた水溶液を調製し、先
ほどの樹脂溶液に少しずつ滴下していく。滴下後、60℃で120分攪拌し、十分に反応
を行う。反応の終点確認としては濾紙に反応液を滴下して、にじみがなくなったところを
終点として、造塩化合物が得られたものと判断した。その後、エバポレーターにて減圧下
で溶剤を飛ばし濃縮させ、濃縮液を水1000部中に攪拌しながら滴下し、得られた析出
物を、吸引濾過にて取り出し、水洗後、濾紙上に残った造塩化合物を乾燥機で乾燥し、3
2部のカチオン性シアニン系染料(1a)とアニオン性基を有する樹脂3との造塩化合物
(ZS−1)を得た。染料と樹脂の塩交換反応による副生成物である塩、微量の未反応染
料、未反応樹脂は、濃縮液を水中に攪拌しながら滴下したときに水に溶解するため吸引濾
過時に除去できている。また、その後の水洗でわずかに残る副生成物は完全に除かれる。
【0337】
(造塩化合物(ZS−2〜ZS−32、ZS−51〜ZS−81))
表4、表5に示すカチオン性シアニン系染料とアニオン性基を有する樹脂の種類と重量部に変更した以外は、造塩化合物(ZS−1)と同様にして、カチオン性シアニン系染料とアニオン性基を有する樹脂とからなる造塩化合物(ZS−2〜ZS−32,ZS−51〜ZS−81)を製造した。
【0338】
(造塩化合物(ZS−33))
下記の手順でアニオン性シアニン系染料とカチオン性基を有する樹脂19とからなる造
塩化合物(ZS−33)を製造した。
【0339】
水2000部に40部のカチオン性基を有する樹脂19と、水酸化ナトリウム1.5部
を添加し、十分に攪拌混合を行った後、60℃に加熱する。一方、45部の水、45部の
メタノールに10部のアニオン性シアニン系染料(1c)を溶解させた水溶液を調製し、
先ほどの樹脂溶液に少しずつ滴下していく。滴下後、60℃で120分攪拌し、十分に反
応を行う。反応の終点確認としては濾紙に反応液を滴下して、にじみがなくなったところ
を終点として、造塩化合物が得られたものと判断した。その後、エバポレーターにて減圧
下で溶剤を飛ばし濃縮させ、濃縮液を水1000部中に攪拌しながら滴下し、得られた析
出物を、吸引濾過にて取り出し、水洗後、濾紙上に残った造塩化合物を乾燥機で乾燥し、
23部のアニオン性シアニン系染料(1c)とカチオン性基を有する樹脂3との造塩化合
物(ZS−33)を得た。染料と樹脂の塩交換反応による副生成物である塩、微量の未反
応染料、未反応樹脂は、濃縮液を水中に攪拌しながら滴下したときに水に溶解するため吸
引濾過時に除去できている。また、その後の水洗でわずかに残る副生成物は完全に除かれ
る。
【0340】
(造塩化合物(ZS−34〜Z−50))
表6に示すアニオン性シアニン系染料とカチオン性基を有する樹脂の種類と重量部に変更した以外は、造塩化合物(ZS−33)と同様にして、アニオン性シアニン系染料とカチオン性基を有する樹脂とからなる造塩化合物(ZS−34〜ZS−50)を製造した。
【0341】
(造塩用化合物とカチオン性シアニン系染料との混合物(KK1〜9))
表7に示すカチオン性シアニン系染料と造塩用化合物の種類と重量部に変更した以外は、造塩化合物(ZS−1)と同様にして、カチオン性シアニン系染料と造塩用化合物とからなる造塩化合物(KK−1〜KK−9)の製造を試みた。
【0342】
(造塩用化合物とアニオン性シアニン系染料との混合物(KK10〜11))
表7に示すアニオン性シアニン系染料と造塩用化合物の種類と重量部に変更した以外は、造塩化合物(ZS−33)と同様にして、アニオン性シアニン系染料と造塩用化合物とからなる造塩化合物(KK−10〜KK−11)の製造を試みた。
【0343】
<造塩化合物の評価>
得られた造塩化合物について、溶剤溶解性に関する試験を下記の方法で行った。試験の結果を上記表4〜表7に示す。
【0344】
(溶剤溶解性試験方法)
評価は5wt%の濃度に調製した造塩化合物溶液の溶解状態を観察して行った。溶剤に
はシクロヘキサノンとプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMAC
)を用いた。各造塩体溶液は5wt%の濃度に調製後、ミキサーにて攪拌し、さらに1時
間静置させものを評価溶液とした。溶解状態は以下に示す4段階の基準で評価した。
◎:完全溶解
○:殆ど溶解
△:一部溶解
×:不溶
【0345】
アニオン性基を有する樹脂と、カチオン性シアニン系染料との造塩化合物(ZS−1〜32、51−80)に関しては、シクロヘキサノン、PGMACいずれの溶剤への溶解性も良好であった。しかし、アニオン性基を有する低分子量の化合物と、カチオン性染料とを造塩させた造塩化合物(KK−2〜KK-7)に関しては、シクロヘキサノン、PGMACいずれの溶剤への溶解性も大きく劣る。また、造塩部位を有さない樹脂30と、カチオン性シアニン系染料との造塩を試みた化合物(KK-1、9)に関しては、造塩反応が起こらなかったため、染料と樹脂の単なる混合物状態となっており、溶剤溶解性は著しく悪かった。(すなわち、KK−8と同様の結果となった。)
また、カチオン性基を有する樹脂と、アニオン性シアニン系染料との造塩化合物(ZS−33〜ZS-50)に関しては、シクロヘキサノン、PGMACいずれの溶剤への溶解性も良好であった。しかし、カチオン性基を有する低分子量の化合物と、アニオン性シアニン系染料とを造塩させた造塩化合物(KK−10〜KK-11)に関しては、シクロヘキサノン、PGMACいずれの溶剤への溶解性は大きく劣った。
【0346】
【表4】
【0347】
【表5】
【0348】
【表6】
【0349】
【表7】
【0350】
NaBF4:ほうふっ化ナトリウム
【0351】
<染料ペースト、及び着色組成物の製造方法>
[実施例1]
(染料ペーストDP−1の作製)
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM−250 MKII」)で5時間分散した後、5.0μmのフィルタで濾過し着色組成物(DP−1)を作製した。
造塩化合物(ZS−1) :10.0部
バインダー樹脂溶液1 :50.0部
シクロヘキサノン :20.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート :20.0部

(着色組成物(DB−1)の作製)
次に、顔料ペースト(PP−3)と、染料ペースト(DP−1)を乾燥塗膜の色度が、顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP−SP100」C光源)測定においてx=0.640、y=0.322となるような配合比にて調整し、1時間ディスパーにて攪拌混合することで、着色組成物(DB−1)を得た。
【0352】
[実施例2〜50、実施例106〜136、比較例1〜11]
(染料ペースト(DP−2〜DP−92)及び、着色組成物(DB−2〜92)の作製)
表8〜11に示す造塩化合物の種類を変更した以外は、染料ペーストDP−1と同様にして染料ペーストDP−2〜DP−92を作製した。
次に、表12〜15に示す顔料ペースト、染料ペーストの種類に変更した以外は着色組成物DB−1と同様にして着色組成物(DB−2〜92)を製造した。
【0353】
<着色組成物の評価>
得られた着色組成物(DB−1〜92)について、耐熱性、保存安定性(異物評価)、および着色力に関する試験を下記の方法で行った。試験の結果を表12〜15に示す。
【0354】
(塗膜の耐熱性評価)
着色組成物(DB−1〜92)を、100mm×100mm、1.1mm厚のガラス基
板上に、スピンコーターを用いて塗布し、次に70℃で20分乾燥し、ついで220℃で
30分間加熱、放冷することで塗膜基板を作製した。作製した塗膜基板は、220℃での
熱処理後で、表面形状測定装置「Dektak8(Veeco社製)」を用いて測定した
膜厚が約2.0μmとなるようにした。得られた塗膜のC光源での色度([L*(1)、a
*(1)、b*(1)])を顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP−SP100」)
を用いて測定した。さらにその後、耐熱性試験として230℃で1時間加熱し、C光源で
の色度([L*(2)、a*(2)、b*(2)])を測定し、下記計算式により、色差ΔEa
b*を求め、下記の5段階で評価した。
ΔEab* =√((L*(2)- L*(1))2+ (a*(2)- a*(1)) 2+( b*(2)- b*(1))2)
◎◎:ΔEab*が1.5未満
◎:ΔEab*が1.5以上、3.0未満
○:ΔEab*が3.0以上、5.0未満
△:ΔEab*が5.0以上、10.0未満
×:ΔEab*が10.0以上
【0355】
(塗膜異物試験方法)
調製直後の着色組成物(DB−1〜92)にて試験基板を作製し、粒子の数をカウント
することで評価した。先ず、100mm×100mm、1.1mm厚の透明ガラス基板上
に乾燥後の膜厚が約2.0μmとなるように着色組成物をスピンコーターで塗布し、オー
ブンで230℃で20分加熱して試験基板を得た。その後、オリンパスシステム社製の金
属顕微鏡「BX60」を用いて表面観察を行い(倍率は500倍)、透過により任意の5
視野にて観測可能な粒子の数をカウントする。
【0356】
(保存安定性試験方法)
作製した着色組成物(DB−1〜92)を、40℃の恒温室にて7日間保存後に、既に
述べた塗膜異物試験方法と同じ方法で異物試験を行う。
◎:5個未満
○:5個以上20個未満
△:20個以上100個未満
×:100個以上
【0357】
(塗膜の着色力評価)
得られた着色組成物(DB−1〜92)を、100mm×100mm、1.1mm厚の
ガラス基板上に、乾燥塗膜のC光源での色度が顕微分光光度計(オリンパス光学社製「O
SP−SP100」C光源)にて測定時に、x=0.640、y=0.322スピンコー
ターを用いて塗布した。次に70℃で20分乾燥した塗膜基板の膜厚(t)を表面形状測
定装置「Dektak8(Veeco社製)」を用いて測定した。その値により着色力を
評価した。×は使用困難なレベルである。
◎◎:t=2.5um未満
◎:t=2.5um以上、3.5um未満
○:t=3.5um以上、5.0um未満
×:t=5.0um以上
【0358】
【表8】

【0359】
【表9】

【0360】
【表10】

【0361】
【表11】
【0362】
NaBF4:ほうふっ化ナトリウム
【0363】
【表12】
【0364】
【表13】
【0365】
【表14】
【0366】
【表15】
【0367】
アニオン性基を有する樹脂と、カチオン性シアニン系染料との造塩化合物(ZS−1〜ZS-32、ZS−51〜81)を用いた着色組成物に関しては、耐熱性、保存安定性、着色力いずれも良好であった。熱架橋性官能基であるヒドロキシル基、カルボキシル基を有する共重合モノマーを使用しているアニオン性基を有する樹脂を含有する造塩部化合物(ZS−9)を含む着色組成物は使用していないアニオン性基を有する樹脂を含有する造塩部化合物(ZS−25、27)を含む着色組成物より耐熱性の観点でさらに良好であった。また、イソシアネート基、(メタ)アクリロイル基を有する共重合モノマーを使用しているアニオン性基を有する樹脂を含有する造塩部化合物(ZS−30、31)を含む着色組成物は、使用していないアニオン性基を有する樹脂を含有する造塩部化合物(ZS−9)を含む着色組成物より耐熱性の観点でさらに良好だった。またアニオン性基部分がカルボン酸であるアニオン性基を有する樹脂を含有する造塩部化合物(ZS−32)を含む着色組成物は、アニオン性基部分がスルホン酸であるアニオン性基を有する樹脂を含有する造塩部化合物(ZS−9)を含む着色組成物と比較すると耐熱性でやや劣る結果となった。アニオン性基を有する低分子量の化合物と、カチオン性染料とを造塩させた造塩化合物(KK−2〜KK-7)である着色組成物に関しては、着色力は十分だが、耐熱性、保存安定性において実施例と比べると大きく劣る結果となった。
また、造塩部位を有さない樹脂30と、カチオン性シアニン系染料との造塩を試みた化合物(KK-1、9)を用いた着色組成物に関しては、造塩反応が起こらなかったため、染料と樹脂の単なる混合物状態となっており、保存安定性、耐熱性が著しく悪かった。(すなわち、KK−8を用いた着色組成物と同様の結果となった。)
また、カチオン性基を有する樹脂と、アニオン性シアニン系染料との造塩化合物(ZS−33〜ZS-50)を用いた着色組成物に関しては、耐熱性、着色力、保存安定性いずれも良好であった。熱架橋性官能基であるヒドロキシル基、カルボキシル基を有する共重合モノマーを使用しているカチオン性基を有する樹脂を含有する造塩部化合物(ZS−38)を含む着色組成物は使用していないカチオン性基を有する樹脂を含有する造塩部化合物(ZS−44、46)を含む着色組成物より耐熱性の観点で良好であった。また、イソシアネート基、(メタ)アクリロイル基を有する共重合モノマーを使用しているカチオン性基を有する樹脂を含有する造塩部化合物(ZS−49、50)を含む着色組成物は、使用していないカチオン性基を有する樹脂を含有する造塩部化合物(ZS−38)を含む着色組成物より耐熱性の観点でさらに良好だった。しかし、カチオン性基を有する低分子量の化合物と、アニオン性シアニン系染料とを造塩させた造塩化合物(KK−10〜KK-11)である着色組成物に関しては、耐熱性、保存安定性が実施例と比べると大きく劣った。
【0368】
<感光性着色組成物(レジスト材)の製造>
[実施例51]
(レジスト材(R−1))
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1.0μmのフィルタで濾過して、アルカリ現像型レジスト材(R−1)を作製した。
着色組成物(DB−1) :60.0部
バインダー樹脂溶液1 :11.0部
トリメチロールプロパントリアクリレート : 4.2部
(新中村化学社製「NKエステルATMPT」)
光重合開始剤(BASF社製「イルガキュアー907」) : 1.2部
増感剤(保土ヶ谷化学社製「EAB−F」) : 0.4部
シクロヘキサノン : 5.2部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート :18.0部
【0369】
[実施例52〜82、実施例88〜105、実施例137〜167、比較例12〜22]
(レジスト材(R−2〜32、R−37〜〜96))
以下、着色組成物(DB−1)を表16〜表19に示す着色組成物に変更した以外は実施例100と同様にして、アルカリ現像型レジスト材(R−2〜32、R−37〜96)を作製した。
【0370】
[実施例83]
(レジスト材(R−33))
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1.0μmのフィルタで濾過して、アルカリ現像型レジスト材(R−33)を作製した。
着色組成物(DB−9) :60.0部
バインダー樹脂溶液1 :10.8部
トリメチロールプロパントリアクリレート : 4.0部
(新中村化学社製「NKエステルATMPT」)
光重合開始剤(BASF社製「イルガキュアー907」) : 1.2部
増感剤(保土ヶ谷化学社製「EAB−F」) : 0.4部
消光剤(テトラシアノキノジメタン) : 0.1部
消光剤(BJT株式会社製 「BHQ−2」) : 0.1部
シクロヘキサノン : 5.2部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート :18.0部
【0371】
[実施例84]
(レジスト材(R−34))
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1.0μmのフィルタで濾過して、アルカリ現像型レジスト材(R−34)を作製した。
着色組成物(DB−9) :60.0部
バインダー樹脂溶液2 :11.0部
トリメチロールプロパントリアクリレート : 4.0部
(新中村化学社製「NKエステルATMPT」)
光重合開始剤(BASF社製「イルガキュアー907」) : 1.2部
増感剤(保土ヶ谷化学社製「EAB−F」) : 0.4部
シクロヘキサノン : 5.2部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート :18.0部
【0372】
[実施例85]
(レジスト材(R−35))
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1.0μmのフィルタで濾過して、アルカリ現像型レジスト材(R−35)を作製した。
着色組成物(DB−9) :60.0部
バインダー樹脂溶液3 :11.0部
トリメチロールプロパントリアクリレート : 4.0部
(新中村化学社製「NKエステルATMPT」)
光重合開始剤(BASF社製「イルガキュアー907」) : 1.2部
増感剤(保土ヶ谷化学社製「EAB−F」) : 0.4部
シクロヘキサノン : 5.2部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート :18.0部
【0373】
[実施例86]
(レジスト材(R−36))
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1.0μmのフィルタで濾過して、アルカリ現像型レジスト材(R−36)を作製した。
着色組成物(DB−9) :60.0部
バインダー樹脂溶液4 :11.0部
トリメチロールプロパントリアクリレート : 4.0部
(新中村化学社製「NKエステルATMPT」)
光重合開始剤(BASF社製「イルガキュアー907」) : 1.2部
増感剤(保土ヶ谷化学社製「EAB−F」) : 0.4部
シクロヘキサノン : 5.2部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート :18.0部
【0374】
[実施例87]
(レジスト材(R−21M))
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1.0μmのフィルタで濾過して、アルカリ現像型レジスト材(R−21M)を作製した。
着色組成物(DB−21) :60.0部
バインダー樹脂溶液1 :11.0部
トリメチロールプロパントリアクリレート : 4.0部
(新中村化学社製「NKエステルATMPT」)
光重合開始剤(BASF社製「イルガキュアー907」) : 1.2部
増感剤(保土ヶ谷化学社製「EAB−F」) : 0.4部
シクロヘキサノン : 5.2部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート : 9.0部
3−メトキシブタノール : 9.0部
【0375】
<感光性着色組成物(レジスト材)の評価>
得られたレジスト材(R−1〜96、R−21M)について、耐熱性、保存安定性(異物評価)、アルカリ現像性、CR(コントラスト比)、着色力、に関する試験を下記の方法で行った。試験の結果は表16〜表19に示した。
【0376】
(塗膜の耐熱性評価)
得られたレジスト材を、100mm×100mm、1.1mm厚のガラス基板上に、スピンコーターを用いて塗布し、次に70℃で20分乾燥し、超高圧水銀ランプを用いて、積算光量150mJ/cm2で紫外線露光を行い、23℃のアルカリ現像液で現像を行い、ついで220℃で30分間加熱、放冷することで塗膜基板を作製した。作製した塗膜基板は、220℃での熱処理後で、表面形状測定装置「Dektak8(Veeco社製)」を用いて測定した膜厚が約2.0μmとなるようにした。得られた塗膜のC光源での色度([L*(1)、a*(1)、b*(1)])を顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP−SP100」)を用いて測定した。さらにその後、耐熱性試験として230℃で1時間加熱し、C光源での色度([L*(2)、a*(2)、b*(2)])を測定し、下記計算式により、色差ΔEab*を求め、下記の5段階で評価した。
ΔEab* =√((L*(2)- L*(1))2+ (a*(2)- a*(1)) 2+( b*(2)- b*(1)) 2)
◎◎:ΔEab*が1.5未満
◎:ΔEab*が1.5以上、3.0未満
○:ΔEab*が3.0以上、5.0未満
△:ΔEab*が5.0以上、10.0未満
×:ΔEab*が10.0以上
【0377】
(塗膜異物試験方法)
得られたレジスト材を用いて試験基板を作製し、粒子の数をカウントすることで評価した。先ず、100mm×100mm、1.1mm厚の透明ガラス基板上に乾燥後の膜厚が約2.0μmとなるように着色組成物をスピンコーターで塗布し、超高圧水銀ランプを用いて、積算光量150mJ/cm2で紫外線露光を行い、23℃のアルカリ現像液で現像を行い、オーブンで230℃で20分加熱して試験基板を得た。その後、オリンパスシステム社製の金属顕微鏡「BX60」を用いて表面観察を行い(倍率は500倍)、透過により任意の5視野にて観測可能な粒子の数をカウントする。
【0378】
(保存安定性試験方法)
得られたレジスト材を、40℃の恒温室にて7日間保存後に、既に述べた塗膜異物試験方法と同じ方法で異物試験を行った。
◎:5個未満
○:5個以上20個未満
△:20個以上100個未満
×:100個以上
【0379】
(アルカリ現像性試験)
得られたレジスト材を100mm×100mm、1.1mm厚の透明ガラス基板上に乾燥後の膜厚が約2.0μmとなるようにスピンコーターで塗布し、70℃で20分乾燥後、幅100μmのストライプ状の開口部を有するフォトマスクを介して超高圧水銀ランプを用いて積算光量150mJ/cm2で紫外線露光を行った。界面活性剤入りの0.05%水酸化カリウム水溶液で未露光部を洗い流して現像を行う時に、適正現像時間、+10秒、+20秒で現像を行い、現像されたガラス表面を顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP−SP200」)を用いて測定し、残渣の有無によりアルカリ現像性を判定した。
◎:適正現像時間で残渣無し
○:適正現像時間+10秒で残渣無し
△:適正現像時間+20秒で残渣無し
×:適正現像時間+20秒で残渣有り
【0380】
(コントラスト比(CR)の評価)
得られたレジスト材を、100mm×100mm、1.1mm厚のガラス基板上に、スピンコーターを用いて、回転数を変えて、230℃での熱処理後の膜厚が約1.5μm前後となるように3枚の基板に塗布し、次に70℃で20分乾燥し、超高圧水銀ランプを用いて、積算光量150mJ/cm2で紫外線露光を行い、23℃のアルカリ現像液で現像を行い、塗膜基板を得た。ついで220℃で30分間加熱、放冷後、得られた塗膜基板のそれぞれ膜厚およびコントラスト比を測定し、3点のデータから膜厚が1.5μmにおけるコントラストを一次相関法で求めた。×は使用困難なレベルである。
◎◎:CR≧10000以上
◎:CR=5000以上、10000未満
○:CR=3000以上、5000未満
×:CR=3000未満
【0381】
(塗膜の着色力評価)
得られたレジスト材を、100mm×100mm、1.1mm厚のガラス基板上に、乾燥塗膜のC光源での色度が顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP−SP100」C光源)にて測定時に、x=0.640、y=0.322スピンコーターを用いて塗布した。次に70℃で20分乾燥し、超高圧水銀ランプを用いて、積算光量150mJ/cm2で紫外線露光を行い、23℃のアルカリ現像液で現像を行った塗膜基板の膜厚(t)を表面形状測定装置「Dektak8(Veeco社製)」を用いて測定した。その値により着色力を評価した。×は使用困難なレベルである。
◎◎:t=2.5um未満
◎:t=2.5um以上、3.5um未満
○:t=3.5um以上、5.0um未満
×:t=5.0um以上
【0382】
【表16】
【0383】
【表17】
【0384】
【表18】
【0385】
【表19】
【0386】
アニオン性基を有する樹脂と、カチオン性シアニン系染料との造塩化合物(ZS−1〜ZS-32、ZS−51〜81)を用いたレジスト材関しては、耐熱性、保存安定性、着色力、いずれも良好であった。消光剤を併用したレジスト材(R−33)は、使用していないレジスト材(R−9)と比べCRの観点でより優れていた。また、熱硬化性樹脂を使用したレジスト材(R−34〜36)は、使用していないレジスト材(R−9)と比べ耐熱性の観点でより優れていた。また、3−メトキシブタノールを使用したレジスト材(R−37)は、使用していないレジスト材(R−21)に比べて保存安定性の観点でより優れていた。
しかし、アニオン性基を有する低分子量の造塩用化合物と、カチオン性染料とを造塩させた造塩化合物(KK−2〜KK-7)に関しては、着色力は十分だが、耐熱性、保存安定性において実施例と比べると大きく劣る結果となった。また、造塩部位を有さない樹脂30と、カチオン性シアニン系染料との造塩を試みた化合物(KK-1、9)を用いたレジスト材に関しては、造塩反応が起こらなかったため、染料と樹脂の単なる混合物状態となっており、保存安定性、耐熱性が著しく悪かった。(すなわち、KK−8を用いたレジスト剤と同様の結果となった。)また、熱架橋性官能基であるヒドロキシル基、カルボキシル基を有する共重合モノマーを使用しているアニオン性基を有する樹脂を含有する造塩部化合物(ZS−9)を含むレジスト剤は使用していないアニオン性基を有する樹脂を含有する造塩部化合物(ZS−25、27)を含むレジスト剤より耐熱性の観点でさらに良好であった。また、イソシアネート基、(メタ)アクリロイル基を有する共重合モノマーを使用しているアニオン性基を有する樹脂を含有する造塩部化合物(ZS−30、31)を含むレジスト剤は、使用していないアニオン性基を有する樹脂を含有する造塩部化合物(ZS−9)を含むレジスト剤より耐熱性の観点でさらに良好だった。またアニオン性基部分がカルボン酸であるアニオン性基を有する樹脂を含有する造塩部化合物(ZS−32)を含むレジスト剤は、アニオン性基部分がスルホン酸であるアニオン性基を有する樹脂を含有する造塩部化合物(ZS−9)を含むレジスト剤と比較すると耐熱性でやや劣る結果となった。
また、カチオン性基を有する樹脂と、アニオン性シアニン系染料との造塩化合物(ZS−33〜ZS-50)を用いたレジスト剤に関しては、耐熱性、着色力、保存安定性いずれも良好であった。しかし、カチオン性基を有する低分子量の造塩用化合物と、アニオン性シアニン系染料とを造塩させた造塩化合物(KK−10〜KK-11)を用いたレジスト剤に関しては、耐熱性、保存安定性が実施例と比べると大きく劣った。また、熱架橋性官能基であるヒドロキシル基を有する共重合モノマーを使用しているカチオン性基を有する樹脂を含有する造塩部化合物(ZS−38)を含むレジスト剤は使用していないカチオン性基を有する樹脂を含有する造塩部化合物(ZS−44)を含む着色組成物レジスト剤より耐熱性の観点で良好であった。また、カルボキシル基を有するカチオン性基を有する樹脂を含有する造塩部化合物(ZS−38)を使用しているレジスト剤は、現像性、耐熱性の観点で、カルボキシル基を有する共重合モノマーを使用していないカチオン性基を有する樹脂を含有する造塩部化合物(ZS−46)レジスト剤より優れている。またイソシアネート基、(メタ)アクリロイル基を有する共重合モノマーを使用しているカチオン性基を有する樹脂を含有する造塩部化合物(ZS−49、50)を含む着色組成物レジスト剤は、使用していないカチオン性基を有する樹脂を含有する造塩部化合物(ZS−38)を含むレジスト剤より耐熱性の観点でさらに良好だった。
【0387】
<カラーフィルタの製造>
まず、カラーフィルタの作製に使用する青色感光性着色組成物、及び緑色感光性着色組成物の作製を行った。尚、赤色については感光性着色組成物(R−9)を使用した。
【0388】
(青色感光性着色組成物(RB−1)の作製)
下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1.0μmのフィルタで濾過し、青色感光性着色組成物(RB−1)を作製した。
顔料ペースト(PP−1) 24.0部
顔料ペースト(PP−2) 10.0部
バインダー樹脂溶液1 15.2部
光重合性単量体(東亞合成社製「アロニックスM400」) 3.3部
光重合開始剤(BASF社製「イルガキュアー907」) 2.0部
増感剤(保土谷化学工業社製「EAB−F」) 0.4部
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート 45.1部
【0389】
(緑色感光性着色組成物(RG−1)の作製)
下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1.0μmのフィルタで濾過し、緑色感光性着色組成物(RG−1)を作製した。
顔料ペースト(PP−4) 17.0部
顔料ペースト(PP−5) 17.0部
バインダー樹脂溶液1 15.2部
光重合性単量体(東亞合成社製「アロニックスM400」) 3.3部
光重合開始剤(BASF社製「イルガキュアー907」) 2.0部
増感剤(保土谷化学工業社製「EAB−F」) 0.4部
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート 45.1部
【0390】
(カラーフィルタの作製)
ガラス基板上にブラックマトリクスをパターン加工し、該基板上にスピンコーターで赤色感光性着色組成物(R−9)を、膜厚が2.0umになるように塗布し着色被膜を形成した。該被膜にフォトマスクを介して、超高圧水銀ランプを用いて300mJ/cm2の紫外線を照射した。次いで0.2重量%の炭酸ナトリウム水溶液からなるアルカリ現像液によりスプレー現像して未露光部分を取り除いた後、イオン交換水で洗浄し、この基板を230℃で20分加熱して、赤色フィルタセグメントを形成した。同様の方法により、本発明の緑色感光性着色組成物(RG−1)を膜厚が2umになるように、青色感光性着色組成物(RB−1)を膜厚が2umになるように、それぞれ塗布し、緑色フィルタセグメント、青色フィルタセグメントを形成して、カラーフィルタを得た。
【0391】
本発明の赤色感光性着色組成物(R−9)を用いることにより、高コントラスト比、高明度であるカラーフィルタを作製することが可能であった。