特許第6295679号(P6295679)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6295679現在地取得システム、方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6295679
(24)【登録日】2018年3月2日
(45)【発行日】2018年3月20日
(54)【発明の名称】現在地取得システム、方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01S 19/42 20100101AFI20180312BHJP
【FI】
   G01S19/42
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-13465(P2014-13465)
(22)【出願日】2014年1月28日
(65)【公開番号】特開2015-141081(P2015-141081A)
(43)【公開日】2015年8月3日
【審査請求日】2016年9月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100768
【氏名又は名称】アイシン・エィ・ダブリュ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000660
【氏名又は名称】Knowledge Partners 特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100117466
【弁理士】
【氏名又は名称】岩上 渉
(72)【発明者】
【氏名】▲榊▼ 大介
(72)【発明者】
【氏名】米田 友貴
【審査官】 中村 説志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−245657(JP,A)
【文献】 特開2007−178182(JP,A)
【文献】 特開2006−292532(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/037189(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0002307(US,A1)
【文献】 特開2009−276237(JP,A)
【文献】 特開2013−044651(JP,A)
【文献】 勝田悦子、外3名,“GPS受信状態を用いた屋内外判定法”,情報処理学会研究報告[CD−ROM],2011年12月15日,Vol.2011-MBL-60,No.18,p.1-8
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 5/00− 5/14
G01S19/00−19/55
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
GPS衛星が出力したGPS信号に基づいて現在地を取得する現在地取得システムであって、
現在地が屋内であると判定されている状態において、現在地が屋外であると判定されていた状態から、現在地が屋内であると判定された後の経過時間を前記GPS信号の信頼度として取得する信頼度取得手段と、
前記信頼度が基準信頼度よりも良い場合には、捕捉されている前記GPS衛星から選別された現在地を取得するために使用可能な前記GPS衛星の数を判定要素として現在地が屋外であるか否かを判定し、
前記信頼度が基準信頼度よりも悪い場合には、捕捉されている前記GPS衛星の数を判定要素として現在地が屋外であるか否かを判定する屋外判定手段と、
を備えること特徴とする現在地取得システム。
【請求項2】
前記屋外判定手段は、
前記経過時間が閾値未満の場合には前記信頼度が基準信頼度よりも良いと見なし、
前記経過時間が閾値以上の場合には前記信頼度が基準信頼度よりも悪いと見なす、
請求項1に記載の現在地取得システム。
【請求項3】
GPS衛星が出力したGPS信号に基づいて現在地を取得する現在地取得方法であって、
現在地が屋内であると判定されている状態において、現在地が屋外であると判定されていた状態から、現在地が屋内であると判定された後の経過時間を前記GPS信号の信頼度として取得する信頼度取得工程と、
前記信頼度が基準信頼度よりも良い場合には、捕捉されている前記GPS衛星から選別された現在地を取得するために使用可能な前記GPS衛星の数を判定要素として現在地が屋外であるか否かを判定し、
前記信頼度が基準信頼度よりも悪い場合には、捕捉されている前記GPS衛星の数を判定要素として現在地が屋外であるか否かを判定する屋外判定工程と、
を含むことを特徴とする現在地取得方法。
【請求項4】
GPS衛星が出力したGPS信号に基づいて現在地を取得する機能をコンピュータに実現させる現在地取得プログラムであって、
現在地が屋内であると判定されている状態において、現在地が屋外であると判定されていた状態から、現在地が屋内であると判定された後の経過時間を前記GPS信号の信頼度として取得する信頼度取得機能と、
前記信頼度が基準信頼度よりも良い場合には、捕捉されている前記GPS衛星から選別された現在地を取得するために使用可能な前記GPS衛星の数を判定要素として現在地が屋外であるか否かを判定し、
前記信頼度が基準信頼度よりも悪い場合には、捕捉されている前記GPS衛星の数を判定要素として現在地が屋外であるか否かを判定する屋外判定機能と、
をコンピュータに実現させることを特徴とする現在地取得プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現在地取得システム、方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、GPS衛星が出力した信号に基づいて現在地を取得する技術が知られている。例えば、特許文献1においては、検出されるGPS衛星の数に基づいて、車両が開けた場所に存在するか否かを判定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−276237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
GPS衛星を使用した現在地の取得システムにおいては、一般に、検出されているGPS衛星の中から、現在地を取得するために使用可能なGPS衛星が選別され、使用可能なGPS衛星からのGPS信号に基づいて現在地が取得される。検出されているGPS衛星と使用可能なGPS衛星とは現在地取得システムが存在する現在地の周囲の状況等によって異なり得るが、従来の技術においては、検出されているGPS衛星と使用可能なGPS衛星とを区別していない。そして、検出されているGPS衛星の数と使用可能なGPS衛星の数とを比較すると、周囲の状況によっては、前者よりも後者の方が現在地を取得する要素として適切である場合もある。従って、周囲の状況に応じて適切に情報源を選択してはいなかった。
本発明は、前記課題にかんがみてなされたもので、周囲の状況に応じて適切に情報源を選択して現在地を取得する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、現在地取得システムは、GPS衛星が出力したGPS信号に基づいて現在地を取得する現在地取得システムであって、現在地が屋内であると判定されている状態において前記GPS信号の信頼度を取得する信頼度取得手段と、前記信頼度が基準信頼度よりも良い場合には、捕捉されている前記GPS衛星から選別された現在地を取得するために使用可能な前記GPS衛星の数を判定要素として現在地が屋外であるか否かを判定し、前記信頼度が基準信頼度よりも悪い場合には、捕捉されている前記GPS衛星の数を判定要素として現在地が屋外であるか否かを判定する屋外判定手段と、を備える。
【0006】
また、上記の目的を達成するため、現在地取得方法は、GPS衛星が出力したGPS信号に基づいて現在地を取得する現在地取得方法であって、現在地が屋内であると判定されている状態において前記GPS信号の信頼度を取得する信頼度取得工程と、前記信頼度が基準信頼度よりも良い場合には、捕捉されている前記GPS衛星から選別された現在地を取得するために使用可能な前記GPS衛星の数を判定要素として現在地が屋外であるか否かを判定し、前記信頼度が基準信頼度よりも悪い場合には、捕捉されている前記GPS衛星の数を判定要素として現在地が屋外であるか否かを判定する屋外判定工程と、を含むように構成される。
【0007】
さらに、上記の目的を達成するため、GPS衛星が出力したGPS信号に基づいて現在地を取得する機能をコンピュータに実現させる現在地取得プログラムは、現在地が屋内であると判定されている状態において前記GPS信号の信頼度を取得する信頼度取得機能と、前記信頼度が基準信頼度よりも良い場合には、捕捉されている前記GPS衛星から選別された現在地を取得するために使用可能な前記GPS衛星の数を判定要素として現在地が屋外であるか否かを判定し、前記信頼度が基準信頼度よりも悪い場合には、捕捉されている前記GPS衛星の数を判定要素として現在地が屋外であるか否かを判定する屋外判定機能と、をコンピュータに実現させる。
【0008】
GPS信号の信頼度は、GPS信号の強度やGPS信号の通信品質、屋内などの見通しの悪い領域に存在している期間、GPS信号による現在地の取得を停止した後の経過期間など種々の要因によって変動する。そして、一般に、信頼度が高い場合、現在地取得システムが屋外に存在すればGPS衛星の使用可能数が多く、屋内に存在すればGPS衛星の使用可能数が少ない。しかし、信頼度が低い場合には、使用可能なGPS衛星の数が少ない状況が生じたとしても、現在地取得システムが屋内に存在するために当該状況が生じている場合と、ノイズ等の他の原因によって当該状況が生じている場合とを区別することができない。
【0009】
そこで、現在地取得システム、方法、プログラムにおいては、信頼度が基準信頼度よりも良い場合に、現在地を取得するために使用可能なGPS衛星(以下、単に使用可能なGPS衛星とも呼ぶ)の数を判定要素として現在地が屋外であるか否かを判定し、信頼度が基準信頼度よりも悪い場合に、捕捉されているGPS衛星の数を判定要素として現在地が屋外であるか否かを判定する。この結果、周囲の状況に応じて適切に情報源を選択して現在地を取得することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】現在地取得システムを示すブロック図である。
図2】屋外判定処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)ナビゲーションシステムの構成:
(1−1)屋外判定処理:
(2)他の実施形態:
【0012】
(1)ナビゲーションシステムの構成:
図1は、本発明の一実施形態にかかる現在地取得システムを備えたナビゲーションシステムの構成を示すブロック図である。ナビゲーションシステム10は、CPU、RAM、ROM等を備える制御部20を備えており、ROMに記憶されたプログラムを制御部20で実行することができる。本実施形態においては、このプログラムの一つとしてナビゲーションプログラムを実行可能である。記録媒体30には地図情報30aが記録されている。地図情報30aは、車両が走行する道路の端点に対応するノードの位置等を示すノードデータ、ノード間の道路の形状を特定するための形状補間点の位置等を示す形状補間点データ、ノード同士の連結を示すリンクデータ、道路周辺に存在する施設を示す施設データ等を含んでいる。
【0013】
本実施形態にかかる車両は、GPS受信部41と車速センサ42とジャイロセンサ43とユーザI/F部44とを備えている。ユーザI/F部44は、運転者の指示を入力し、また運転者に各種の情報を提供するためのインタフェース部であり、図示しないタッチパネルディスプレイからなる表示部やスイッチ等の入力部、スピーカ等の音声出力部を備えている。ナビゲーションプログラムは、現在地を取得するための現在地取得プログラム21を備えている。制御部20は、現在地取得プログラム21の処理により、自立航法情報(後述)に基づいてマップマッチング処理を行って道路上における車両の現在地(ナビゲーションシステム10の現在地)を特定し、ユーザI/F部44に制御信号を出力して当該現在地を含む地図を表示部に表示する。さらに、ナビゲーションプログラムは、現在地から利用者が指示した目的地までの予定経路を探索し、ユーザI/F部44に制御信号を出力して現在地周辺の地図や予定経路を表示部に表示しつつ予定経路に沿って車両を誘導することによって利用者を目的地まで案内する機能を制御部20に実行させることができる。
【0014】
GPS受信部41は、GPS衛星からの電波を受信し、図示しないインタフェースを介して車両の現在地を算出するためのGPS信号を出力する。なお、本実施形態において制御部20は、捕捉されているGPS衛星から現在地を取得するために使用可能なGPS衛星を選別して現在地を取得する。すなわち、制御部20は、GPS受信部の出力信号に基づいて、GPS衛星を捕捉する。本実施形態において、制御部20は、GPS衛星が出力したGPS信号を検出した場合に、当該GPS衛星を捕捉したと見なし、GPS衛星からのGPS信号が検出される状態が継続している場合に当該GPS衛星を捕捉していると見なす。
【0015】
さらに、制御部20は、GPS衛星の捕捉数が最低個数である4個以上である状態において、捕捉されているGPS衛星の中から現在地を取得するために使用可能なGPS衛星を選別する。すなわち、制御部20は、強度が所定の強度以上である、マルチパスによる影響が所定の程度以下であるなど、予め決められた選別条件に基づいて捕捉しているGPS衛星から使用可能なGPS衛星を選別する。そして、制御部20は、選別されたGPS衛星が最低個数である4個以上である場合に、各GPS衛星のGPS信号に基づいて後述の誤差円を特定するなど、現在地を取得するための処理を行う。
【0016】
車速センサ42は、車両が備える車輪の回転速度に対応した信号を出力する。制御部20は、図示しないインタフェースを介してこの信号を取得し、車速を取得する。ジャイロセンサ43は、車両の水平面内の旋回についての角加速度を検出し、車両の向きに対応した信号を出力する。制御部20は、車速センサ42、ジャイロセンサ43等の出力情報を自立航法情報として取得する。
【0017】
そして、制御部20は、現在地取得プログラム21の処理により、車速センサ42およびジャイロセンサ43の出力情報である自立航法情報と地図情報30aとに基づいて車両の現在地が存在し得る比較対象道路を複数設定し、GPS受信部41にて取得されたGPS信号の誤差円に基づいて比較対象道路を絞り込んだ上で、当該比較対象道路の形状と自立航法軌跡とが最も一致する道路を車両が走行している道路とみなすマップマッチング処理を行い、当該マップマッチング処理によって特定された道路上で現在地を特定する。
【0018】
以上のように、マップマッチング処理はGPS信号の誤差円に基づいて比較対象を絞り込み、比較対象道路の形状と自立航法軌跡とを比較することによって行われるため、現在地が、GPS信号の信頼度が悪く、かつ、地図情報30aにおいて道路が定義されていない屋内(リンクが設定されていない領域)に存在する場合には、マップマッチング処理を行うことはできない。そこで、本実施形態において制御部20は、現在地が屋内に存在する場合、マップマッチング処理を停止し、自立航法情報に基づいて現在地を特定する状態に移行する。
【0019】
このため、現在地取得プログラム21は、制御部20に現在地を取得する処理を実行させるとともに、現在地が屋外であるか否かを判定する判定処理を実行させる。現在地取得プログラム21は、当該判定処理の一部を制御部20に実現させるプログラムモジュールであり、現在地が屋内であると判定された後に、制御部20は、現在地取得プログラム21の処理により、現在地が屋外となったか否かを判定する機能を実行する。
【0020】
(1−1)屋外判定処理:
この機能を実現するため、現在地取得プログラム21は、信頼度取得部21aと屋外判定部21bとを備えている。図2は、現在地取得プログラム21によって実行される屋外判定処理のフローチャートである。当該屋外判定処理は、現在地が屋内であると判定された後、所定期間毎(例えば、100ms毎)に制御部20によって実行される。信頼度取得部21aは、現在地が屋内であると判定されている状態においてGPS信号の信頼度を取得する機能を制御部20に実現させるプログラムモジュールである。本実施形態において、制御部20は、現在地が屋内であると判定された後の経過時間を信頼度と見なしており、屋外判定処理が開始されると、制御部20は、信頼度取得部21aの処理により、現在地が屋内であると判定された後の経過時間を取得する(ステップS100)。すなわち、本実施形態において、制御部20は、図示しない計時回路を備えており、マップマッチング処理を行っている状態からマップマッチング処理を行うことができない状態に移行した場合には、その時刻を記録媒体30に記録する処理を常時実行している。そして、ステップS100が実行されると、制御部20は、計時回路に基づいて現在時刻を取得し、現在時刻からマップマッチング処理を行うことができない状態に移行した場合の時刻を減じた値を経過時間として取得する。
【0021】
屋外判定部21bは、信頼度が基準信頼度よりも良い場合には、捕捉されているGPS衛星から選別された現在地を取得するために使用可能なGPS衛星の数を判定要素として現在地が屋外であるか否かを判定し、信頼度が基準信頼度よりも悪い場合には、捕捉されているGPS衛星の数を判定要素として現在地が屋外であるか否かを判定する機能を制御部20に実現させるプログラムモジュールである。ステップS100において、経過時間が信頼度として取得されると、制御部20は、屋外判定部21bの処理により、現在地が屋内であると判定された後の経過時間と所定の閾値とを比較し、経過時間が閾値未満であるか否かを判定する(ステップS105)。
【0022】
ここで、閾値は、現在地が屋外であるか否かを判定するための判定要素を規定するために予め決められた値である。すなわち、GPS衛星を利用した現在地取得システムにおいては、捕捉されているGPS衛星の中から現在地を取得するために使用可能なGPS衛星が選別されるため、捕捉されているGPS衛星の数と使用可能なGPS衛星の数は異なり得る。そして、屋外から屋内に移動した場合、一般には、使用可能なGPS衛星の数が減少し、その後、捕捉されているGPS衛星の数が減少していく。
【0023】
従って、現在地が屋外から屋内に移動することによって現在地が屋内であると判定された後の経過時間が短い場合には、使用可能なGPS衛星の数があまり減少しておらず、使用可能なGPS衛星の数で現在地が屋内であるか否か判定可能であると見なすことができる。さらに、現在地が屋外から屋内に移動することによって現在地が屋内であると判定された後の経過時間が長い場合には、使用可能なGPS衛星の数が減少しており、使用可能なGPS衛星の数よりも時間的な数の減少の程度が少ない、捕捉されているGPS衛星の数によって現在地が屋内であるか否か判定した方がよいと見なすことができる。
【0024】
そこで、ステップS105において、現在地が屋内であると判定された後の経過時間が閾値未満であると判定された場合、制御部20は信頼度が基準信頼度よりも良いと見なし、屋外判定部21bの処理により、使用可能なGPS衛星の数を現在地が屋外であるか否かの判定要素として取得する(ステップS110)。すなわち、制御部20は、GPS受信部41からGPS信号を取得し、常時、GPS衛星の捕捉と使用可能なGPS衛星の特定を行っているため、使用可能なGPS衛星を特定する処理の結果、現在使用可能とされているGPS衛星を特定し、その数を使用可能なGPS衛星の数として取得する。
【0025】
一方、ステップS105において、経過時間が閾値未満であると判定されない場合、制御部20は信頼度が基準信頼度よりも悪いと見なし、屋外判定部21bの処理により、捕捉されているGPS衛星の数を現在地が屋外であるか否かの判定要素として取得する(ステップS130)。すなわち、制御部20は、GPS衛星を捕捉する処理の結果、捕捉されたGPS衛星を特定し、その数を捕捉しているGPS衛星の数として取得する。この構成によれば、経過時間という簡易な指標によって現在地が屋外であるか否かを判定するための判定要素を選択することができる。
【0026】
ステップS110において、現在地が屋外であるか否かを判定する判定要素として使用可能なGPS衛星の数が取得されると、制御部20は、屋外判定部21bの処理により、使用可能なGPS衛星の数が第1基準値以上であるか否かを判定する(ステップS115)。そして、ステップS115において、使用可能なGPS衛星の数が第1基準値以上であると判定された場合、制御部20は、屋外判定部21bの処理により、現在地が屋外であると判定する(ステップS120)。一方、ステップS115において、使用可能なGPS衛星の数が第1基準値以上であると判定されない場合、制御部20は、屋外判定部21bの処理により、現在地が屋外であると判定しない(ステップS125)。
【0027】
一方、ステップS130において、現在地が屋外であるか否かを判定する判定要素として捕捉しているGPS衛星の数が取得されると、制御部20は、屋外判定部21bの処理により、捕捉しているGPS衛星の数が第2基準値以上であるか否かを判定する(ステップS135)。そして、ステップS135において、捕捉しているGPS衛星の数が第2基準値以上であると判定された場合、制御部20は、屋外判定部21bの処理により、現在地が屋外であると判定する(ステップS140)。一方、ステップS135において、捕捉しているGPS衛星の数が第2基準値以上であると判定されない場合、制御部20は、屋外判定部21bの処理により、制御部20は、現在地が屋内であると判定する(ステップS145)。以上の構成によれば、周囲の状況に応じて適切に情報源を選択して現在地が屋外であるか否かを判定し、現在地を取得することができる。
【0028】
なお、第1基準値は、使用可能なGPS衛星の数が当該第1基準値以上である場合に現在地が屋外であると見なすことができるように定義されていれば良く、例えば、現在地が屋外である場合において使用可能であるGPS衛星の最低個数を統計的に特定するなどによって定義される。第2基準値は、捕捉しているGPS衛星の数が当該第2基準値以上である場合に現在地が屋外であると見なすことができるように定義されていれば良く、例えば、現在地が屋外である場合において捕捉されるGPS衛星の最低個数を統計的に特定するなどによって定義される。
【0029】
(2)他の実施形態:
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、信頼度に応じて使用可能なGPS衛星の数と捕捉されているGPS衛星の数とのいずれかを判定要素として現在地が屋外であるか否かを判定する限りにおいて、他にも種々の実施形態を採用可能である。例えば、ナビゲーションシステム10は、上述の実施形態のように車両に固定的に搭載されていても良いし、持ち運び可能なナビゲーションシステム10が車両内に持ち込まれて利用される態様であっても良い。むろん、車両以外の経路、例えば、歩行者の経路を案内するナビゲーションシステムに本発明が適用されても良い。さらに、制御部20が実行する機能の一部が他の装置、例えば、GPS受信部41によって実行されても良い。
【0030】
さらに、現在地取得システム、方法、プログラムにおいては、GPS衛星が出力したGPS信号に基づいて現在地を取得することができればよい。すなわち、現在地取得システム、方法、プログラムにおいては、GPS衛星の捕捉数が最低個数(通常は4個)以上である状態において、捕捉されているGPS衛星の中から現在地を取得するために使用可能なGPS衛星が選別される。さらに、使用可能なGPS衛星が最低個数以上選別されると、当該使用可能なGPS衛星が出力したGPS信号に基づいて現在地が取得される。むろん、GPS信号と他の情報とが併用されて現在地が取得されても良く、例えば、現在地取得システムの移動軌跡と地図情報が示す道路形状とのマッチングによって現在存在し得る道路を限定する構成と併用しても良い。
【0031】
信頼度取得手段は、現在地が屋内であると判定されている状態においてGPS信号の信頼度を取得することができればよく、少なくとも、現在地取得システムにおいて現在地が屋内であると判定された後に、GPS信号の信頼度を取得すれば良い。信頼度は、GPS信号に基づいて特定される現在地が正確である度合いを示す指標であれば良く、GPS信号の強度やGPS信号の通信品質、屋内などの見通しの悪い領域に存在している期間、GPS信号による現在地の取得を停止した後の経過期間など種々の要因によって決定可能である。また、屋内であるか否かの判定は、種々の手法で実施可能であり、例えば、地図情報が示す道路上に現在地が存在しないと見なされる場合に屋内であると見なしても良いし、地図情報が示す施設上に現在地が存在すると見なされる場合に屋内であると見なしても良い。
【0032】
屋外判定手段は、信頼度が基準信頼度よりも良い場合には、捕捉されているGPS衛星から選別された現在地を取得するために使用可能なGPS衛星の数を判定要素として現在地が屋外であるか否かを判定し、信頼度が基準信頼度よりも悪い場合には、捕捉されているGPS衛星の数を判定要素として現在地が屋外であるか否かを判定することができればよい。すなわち、GPS信号の信頼度が基準信頼度より良い場合には、信頼度が基準信頼度よりも悪い場合よりも使用可能なGPS衛星の数によってより正確に現在地が屋内であるか否かを推定できるように、予め基準信頼度を定義しておく。このように基準信頼度が定義されていれば、屋内におけるGPS信号の信頼度と基準信頼度とを比較することによって、使用可能なGPS衛星の数または捕捉されているGPS衛星の数から判定要素を決定することができる。
【0033】
また、使用可能なGPS衛星の数や捕捉されているGPS衛星の数は、現在地が屋外であるか否かの判定要素となっていれば良く、使用可能なGPS衛星の数または捕捉されているGPS衛星の数のいずれかに基づいて屋外であるか否かを判定しても良いし、他の判定要素と併用して屋外であるか否かを判定しても良い。前者としては、例えば、使用可能なGPS衛星の数や捕捉されているGPS衛星の数と予め決められた基準値を比較することによって屋外であるか否かを判定する構成を採用可能である。後者としては、例えば、使用可能なGPS衛星の数または捕捉されているGPS衛星の数と現在地取得システムの移動軌跡とに基づいて屋外であるか否かを判定する構成を採用可能である。
【0034】
さらに、捕捉されているGPS衛星は、現在地取得システムによって存在することが特定されているGPS衛星であればよく、GPS信号が実際に検出されているGPS衛星に加え、GPS信号を検出するための追跡が行われているGPS衛星が含まれても良い。さらに、使用可能なGPS衛星は、捕捉されているGPS衛星の中から現在地を取得するために選別された衛星であれば良く、現在地を取得するために実際に使用しているGPS衛星に加え、現在地を取得するための使用できる状態にあるGPS衛星が含まれても良い。
【0035】
さらに、信頼度取得手段が、現在地が屋内であると判定された後の経過時間を信頼度として取得し、屋外判定手段が、経過時間が閾値未満の場合には信頼度が基準信頼度よりも良いと見なし、経過時間が閾値以上の場合には信頼度が基準信頼度よりも悪いと見なす構成を採用しても良い。すなわち、GPS衛星を利用した現在地取得システムにおいては、捕捉されているGPS衛星の中から現在地を取得するために使用可能なGPS衛星が選別されるため、捕捉されているGPS衛星の数と使用可能なGPS衛星の数は異なり得る。そして、屋外から屋内に移動した場合、一般には、使用可能なGPS衛星の数が減少し、その後、捕捉されているGPS衛星の数が減少していく。
【0036】
従って、現在地が屋外から屋内に移動することによって現在地が屋内であると判定された後の経過時間が短い場合には、使用可能なGPS衛星の数があまり減少しておらず、使用可能なGPS衛星の数で現在地が屋内であるか否か判定可能であると見なすことができる。さらに、現在地が屋外から屋内に移動することによって現在地が屋内であると判定された後の経過時間が長い場合には、使用可能なGPS衛星の数が減少しており、使用可能なGPS衛星の数よりも時間的な数の減少の程度が少ない、捕捉されているGPS衛星の数によって現在地が屋内であるか否か判定した方がよいと見なすことができる。
【0037】
そこで、経過時間が閾値未満の場合には信頼度が基準信頼度よりも良いと見なし、使用可能なGPS衛星の数を判定要素として現在地が屋外であるか否かを判定し、経過時間が閾値以上の場合には信頼度が基準信頼度よりも悪いと見なし、捕捉されているGPS衛星の数を判定要素として現在地が屋外であるか否かを判定する構成とする。この構成によれば、簡易な指標によって現在地が屋外であるか否かを判定するための判定要素を選択することができる。なお、ここでは現在地が屋内であると判定された後の経過時間を信頼度の指標としたが、他の時点から計測を開始した経過時間を信頼度の指標としても良い。例えば、現在地取得システムの利用が停止された(電源がオフされた等)後の経過時間を信頼度の指標としても良い。むろん、経過時間に応じて値が変化する他の指標に基づいて信頼度を定義しても良い。
【0038】
さらに、本発明のように信頼度に応じて使用可能なGPS衛星の数と捕捉されているGPS衛星の数とのいずれかを判定要素として現在地が屋外であるか否かを判定する手法は、プログラムや方法としても適用可能である。また、以上のようなシステム、プログラム、方法は、単独の装置として実現される場合や、複数の装置によって実現される場合、車両に備えられる各部と共有の部品を利用して実現される場合が想定可能であり、各種の態様を含むものである。例えば、以上のような装置を備えたナビゲーションシステムや方法、プログラムを提供することが可能である。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、システムを制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのソフトウェアの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし光磁気記録媒体であってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。
【符号の説明】
【0039】
10…ナビゲーションシステム、20…制御部、21…現在地取得プログラム、21a…信頼度取得部、21b…屋外判定部、30…記録媒体、30a…地図情報、41…GPS受信部、42…車速センサ、43…ジャイロセンサ、44…ユーザI/F部
図1
図2