(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
最外層と最内層とを少なくとも有し、最内層がヒートシール性樹脂層である積層体からなる包材の両側端部を合掌状に貼り合わせて高さ方向に延在する背貼りシール部を形成するとともに前記背貼りシール部の両端位置で底部および天部をシールし、前記背貼りシール部と平行な両側部分に内方への折り込み部によるマチが形成された筒状構造を有する包装袋であって、
前記背貼りシール部における前記高さ方向の前記底部と前記天部との間に設けられ開封のきっかけとなる開封ノッチと、
開封時に前記開封ノッチからの裂け目を前記包装袋の周方向で前記高さ方向と交差する横方向へと誘導する開封誘導線とを有し、
前記開封誘導線が前記横方向に延在する開封誘導線水平部と、該開封誘導線水平部の前記背貼りシール部側から連続して前記背貼りシール部に近づきつつ前記高さ方向に傾斜する開封誘導線傾斜部とからなり、
前記開封誘導線が位置する前記高さ方向範囲内に前記開封ノッチが設けられ、
前記開封誘導線傾斜部の前記背貼りシール部側端部には、さらに前記背貼りシール部に近接する屈曲部が設けられるとともに、
前記開封誘導線水平部と前記開封誘導線傾斜部とが曲線部によって接続されていることを特徴とする包装袋。
該開封誘導線傾斜部は前記高さ方向に複数に分割されて分割傾斜部を形成し、この分割傾斜部における前記開封誘導線水平部側端部が、前記開封誘導線水平部に近づく次の分割傾斜部における前記背貼りシール部側端部よりも、前記高さ方向で前記開封誘導線水平部に近接しかつ前記横方向で前記背貼りシール部に近接するように配置され、前記背貼りシール部側からみて前記分割傾斜部同士が重なる部分を有する
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか記載の包装袋。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、これらの包装袋のいずれも、収容する対象がそれほど重いものを想定していないが、例えば、即席味噌汁等が複数食分収容される包装袋などでは、開封時に裂け目を形成する力に内容物の重量が加わって、開封ノッチからの切れ目が開封誘導線から外れてしまうことがあり、特に背貼りシール部に沿って裂け目が進展することがあるが、開封誘導線に沿って開封したいという要求があった。特に、複数の内容物が収容された商品などでは、開封誘導線から裂け目が外れて開封した場合、開封後も内容物を収容しておくことが必要であり、そのためにも、開封誘導線に沿った開封が好ましい。
【0006】
また、これらの包装袋は、開封時に、開封ノッチから、背貼りシール部と略直交する方向に裂けて、かつ包装袋のマチの部分を超えてまで到達しないように包材を裂くという状態を最初から想定していないため、これらの技術ではこのような開封状態を維持するのが難しい。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、以下の目的を達成しようとするものである。
1.開封ノッチから、背貼りシール部と交差する方向両側に裂けて、折り込み部分で形成されるマチ部分までで裂け目が停止し、内容物が収納された状態を維持可能な開封を容易におこなうこと。
2.所望の開封状態から外れて包材が裂けることを防止すること。
3.収納された内容物が重い場合でも、背貼りシール部に沿って縦方向に裂ける開封状態を防止すること。
4.所望の開封状態に対する再現性を向上すること。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の包装袋は、最外層と最内層とを少なくとも有し、最内層がヒートシール性樹脂層である積層体からなる包材の両側端部を合掌状に貼り合わせて高さ方向に延在する背貼りシール部を形成するとともに前記背貼りシール部の両端位置で底部および天部をシールし、前記背貼りシール部と平行な両側部分に内方への折り込み部によるマチが形成された筒状構造を有する包装袋であって、
前記背貼りシール部における前記高さ方向の前記底部と前記天部との間に設けられ開封のきっかけとなる開封ノッチと、
開封時に前記開封ノッチからの裂け目を前記包装袋の周方向で前記高さ方向と交差する横方向へと誘導する開封誘導線とを有し、
前記開封誘導線が前記横方向に延在する開封誘導線水平部と、該開封誘導線水平部の前記背貼りシール部側から連続して前記背貼りシール部に近づきつつ前記高さ方向に傾斜する開封誘導線傾斜部とからなり、
前記開封誘導線が位置する前記高さ方向範囲内に前記開封ノッチが設けられ、
前記開封誘導線傾斜部の前記背貼りシール部側端部には、さらに前記背貼りシール部に近接する屈曲部が設けられる
とともに、
前記開封誘導線水平部と前記開封誘導線傾斜部とが曲線部によって接続されていることにより上記課題を解決した。
本発明において
、前記開封誘導線傾斜部の前記屈曲部の端部には、さらに前記高さ方向に前記開封誘導線水平部に近づく再屈曲部が設けられることが可能である。
本発明の前記開封誘導線水平部における前記折り込み部側端部には、前記横方向から前記高さ方向に屈曲している終屈曲部が設けられることが可能である。
また、本発明において、前記開封誘導線水平部が、内容物によって折り込み部が広がった前記高さ方向位置に設けられている手段を採用することもできる。
また、前記開封誘導線傾斜部の前記背貼りシール部側端部は、前記横方向において前記背貼りシール部から離間した位置に設けられることができる。
本発明においては、前記開封誘導線傾斜部の延在する角度が、前記横方向に対して30度以上60度以下とされることが望ましい。
また、 該開封誘導線傾斜部は前記高さ方向に複数に分割されて分割傾斜部を形成し、この分割傾斜部における前記開封誘導線水平部側端部が、前記開封誘導線水平部に近づく次の分割傾斜部における前記背貼りシール部側端部よりも、前記高さ方向で前記開封誘導線水平部に近接しかつ前記横方向で前記背貼りシール部に近接するように配置され、前記背貼りシール部側からみて前記分割傾斜部同士が重なる部分を有することがある。
前記開封誘導線は、前記背貼りシール部から離間して形成されていることができる。
【0009】
本発明の包装袋は、最外層と最内層とを少なくとも有し、最内層がヒートシール性樹脂層である積層体からなる包材の両側端部を合掌状に貼り合わせて高さ方向に延在する背貼りシール部を形成するとともに前記背貼りシール部の両端位置で底部および天部をシールし、前記背貼りシール部と平行な両側部分に内方への折り込み部によるマチが形成された筒状構造を有する包装袋であって、
前記背貼りシール部における前記高さ方向の前記底部と前記天部との間に設けられ開封のきっかけとなる開封ノッチと、
開封時に前記開封ノッチからの裂け目を前記包装袋の周方向で前記高さ方向と交差する横方向へと誘導する開封誘導線とを有し、
前記開封誘導線が前記横方向に延在する開封誘導線水平部と、該開封誘導線水平部の前記背貼りシール部側から連続して前記背貼りシール部に近づきつつ前記高さ方向に傾斜する開封誘導線傾斜部とからなり、
前記開封誘導線が位置する前記高さ方向範囲内に前記開封ノッチが設けられ、
前記開封誘導線傾斜部の前記背貼りシール部側端部には、さらに前記背貼りシール部に近接する屈曲部が設けられることにより、開封ノッチから伸展してきた裂け目が、開封誘導線傾斜部に到達した後に開封誘導線水平部とは反対側に進展した場合でも、裂け目が開封誘導線傾斜部の背貼りシール部側端部からそのまま高さ方向に伸展することを防止して、屈曲部において背貼りシール部側へと進むように方向を変えて、高さ方向への裂け目が無制限に伸展して包装袋が内容物を収容可能ではなくなる状態に開封されることを防止して、所望の開封状態を容易に実現することが可能となる。
屈曲部先端が、背貼りシール部つまり、開封ノッチ側に近接することにより、開封時に、開封ノッチからの裂け目が伸展して来た場合に、屈曲部により開封誘導線へ誘導しやすくすることができるとともに、屈曲部そのものでも開封ノッチからの裂け目をキャッチして、裂け目が背貼りシール部側から高さ方向下側に進展してしまうことを防止する。これにより、開封ノッチからの裂け目が開封誘導線傾斜部から外れてしまい、予期せぬ方向へ裂け目が進展してしまうことを防止することができる。これにより、高さ方向の力、特に、内容物が味噌等の重いものである場合に、開封時に開封ノッチよりも上側が支点となって開封ノッチの下側だけが動かされて、開封時に下方への過大な力がかかった際などにおいても、開封ノッチからの裂け目が下方を向き、背貼りシールに沿って裂け目が伸展してしまうことを防止できる。
【0010】
本発明において、前記開封誘導線水平部と前記開封誘導線傾斜部とが曲線部によって接続されていることにより、開封時に開封誘導線に沿って裂け目を誘導し開封する際に、開封誘導線傾斜部から開封誘導線水平部への伝達をなめらかにし、高さ方向に裂け目が進展してしまうことを防止できる。
本発明によれば、開封誘導線傾斜部を分割して、開封誘導線水平部との連結部へ穏やかに到達するようにしたことで、開封時の裂け目が開封誘導線から逸脱することを軽減することができる。
【0011】
さらに、前記開封誘導線傾斜部の前記屈曲部の端部には、さらに前記高さ方向に前記開封誘導線水平部に近づく再屈曲部が設けられることにより、開封ノッチから伸展してきた裂け目が、開封誘導線傾斜部に到達した後に開封誘導線水平部とは反対側に進展した場合でも、裂け目が開封誘導線傾斜部の背貼りシール部側端部からそのまま高さ方向に伸展することを防止して、屈曲部および再屈曲部において背貼りシール部側かつ開封誘導線水平部側へと進むように方向を変えて、高さ方向への裂け目が無制限に伸展して包装袋が内容物を収容可能ではなくなる状態に開封されることを防止して、所望の開封状態を容易に実現することが可能となる。
【0012】
本発明の前記開封誘導線水平部における前記折り込み部側端部には、前記横方向から前記高さ方向に屈曲している終屈曲部が設けられることにより、開封誘導線に沿って進行してきた裂け目が、折り込み部を超える方向に進展しないように開封状態を制御することが可能となる。ここで、開封誘導線水平部における前記折り込み部側端部に設けられた終屈曲部は、開封誘導線水平部に対して、開封誘導線傾斜部側に屈曲してもよいし、開封誘導線傾斜部と反対側に向けて屈曲することもできる。また、終屈曲部の先端は、開封誘導線水平部に対して垂直な方向とすることもでき、さらに、折り込み部の中心折り込み線から遠ざかりつつ開封誘導線水平部に近づいていくように形成することもできる。さらに、前記開封誘導線水平部における前記折り込み部側端部は、前記折り込み部の中心折り込み線に対応する位置とされることができ、これにより、開封誘導線による開封が前記折り込み部の中心折り込み線までとなるように制御することが容易に可能となる。
【0013】
また、本発明において、前記開封誘導線水平部が、内容物によって折り込み部が広がった前記高さ方向位置に設けられていることにより、折り込み部の前後方向幅が広がりきっていない上側位置にあるときには、背貼りシール部が包材を貼り合わせてあるために変形しにくく、開封しにくいために、余計な力をかけてしまうので、裂け目が開封誘導線から離れやすく、特に、高さ方向に裂け目が進展してしまうといった不具合を回避することが容易になる。同時に、内容物の上端に近い位置で横方向に開封できるため、内容物の収容、および、取り出しにおける利便性を損ねることがない。
【0014】
また、前記開封誘導線傾斜部の前記背貼りシール部側端部は、前記横方向において前記背貼りシール部から離間した位置に設けられることにより、背貼りシール部におけるシール状態に影響を与えることなく、シールしたことによる開封誘導線が裂け目を誘導する能力を低減することがないため、背貼りシール部に沿って高さ方向(縦方向)に裂ける等を防止して、所望の開封状態を容易に実現することが可能となる。
【0015】
本発明においては、前記開封誘導線傾斜部の延在する角度が、前記横方向に対して30度以上60度以下とされることにより、この角度範囲でない開封誘導線傾斜部を有する開封誘導線では、開封時の力が高さ方向にかかった場合に、開封誘導線傾斜部の傾斜角が大きすぎて開封誘導線傾斜部が高さ方向を向いているので、開封ノッチからの裂け目が開封誘導線傾斜部の背貼りシール部側端部からそのまま高さ方向に伸展して下方を向いてしまうことや、開封誘導線傾斜部の傾斜角が小さすぎて、開封誘導線傾斜部から前記開封誘導線水平部への移動時に、開封ノッチからの裂け目が開封誘導線傾斜部から到達することなく、予期せぬ方向へ裂け目が進展してしまうことを防止することができる。これにより、高さ方向の力、特に、内容物が味噌等の重いものである場合に、開封時に開封ノッチよりも上側が支点となって開封ノッチの下側だけが動かされて、開封時に下方への過大な力がかかった際などにおいても、開封ノッチからの裂け目が下方を向き、背貼りシールに沿って裂け目が伸展してしまうことを防止できる。
【0016】
また、該開封誘導線傾斜部は前記高さ方向に複数に分割されて分割傾斜部を形成し、この分割傾斜部における前記開封誘導線水平部側端部が、前記開封誘導線水平部に近づく次の分割傾斜部における前記背貼りシール部側端部よりも、前記高さ方向で前記開封誘導線水平部に近接しかつ前記横方向で前記背貼りシール部に近接するように配置され、前記背貼りシール部側からみて前記分割傾斜部同士が重なる部分を有することにより、開封時に開封ノッチから発生した裂け目が背貼りシール部から離間して到達した開封誘導線傾斜部から開封誘導線水平部に沿って裂け目を誘導し開封する際に、分割傾斜部として分離された開封誘導線傾斜部において、背貼りシール部が延在するために開封に必要な力が大きい縦方向(高さ方向)への裂け目の伸展において、分割傾斜部として離間された部分において裂け目の伸展の度合いが断続的に進行することにより、裂け目の伸展方向を横方向に向け直すとともに、分割傾斜部の延在する部分においては勢いを付けて裂け目を伸展することで、開封時に包材にかかる力の勢いが少し溜まって開放されることになり、単純に高さ方向(縦方向)に裂け目を伸展させるのに比べて必要な力を小さくできるので、開封に際して過剰に力を掛ける必要がなくなる。これにより、分離していない開封誘導線傾斜部を有する開封誘導線では、開封誘導線傾斜部が開封誘導線水平部に比べて開封に大きな力を必要とし、場合によっては過剰な力が加わることで水平部との連結部近傍で開封誘導線から逸脱して開封してしまうという問題発生を解決することができ、これにより、開封誘導線水平部に比べて、開封に力を要する開封線傾斜部を複数に分割することで、個々の部位の開封に必要な力を小さくすることができるため、過剰な力が加わることを防ぐことができ、開封誘導線から逸脱してしまうことを防止して、開封誘導線に沿った開封を容易におこなうことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、開封誘導線傾斜部に屈曲部が設けられて開封誘導線の高さ方向下端部が横方向背貼りシール側に屈曲しているため、開封誘導線どおりに縦方向下側に向かって開封されてしまっても屈曲部で裂け目の伸展が止まりやすく、背貼りシール部まで裂け目が到達しにくい。また、仮に背貼りシール部まで裂け目が到達した場合でも、背貼りシール部に直交した状態で到達するため、それ以上裂け目が伸展することを防止でき、さらに背貼りシール部に沿って下方に向けて裂け目が進展してしまうことがない。これにより、裂け目が開封誘導線から逸脱してしまうことを防止して、開封誘導線に沿った開封を容易におこなうことができるとともに、高さ方向の力、特に、内容物が味噌等の重いものである場合に、開封時に開封ノッチよりも上側が支点となって開封ノッチの下側だけが動かされて、開封時に下方への過大な力がかかった際などにおいても、開封ノッチからの裂け目が下方を向き、背貼りシールに沿って裂け目が伸展してしまうことを防止できるという効果を奏することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る包装袋の第1実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1,
図2は、本実施形態における包装袋を示す斜視図であり、図において、符号1は、包装袋である。
【0020】
本実施形態に係る包装袋1は、
図1,
図2に示すように、最内層にヒートシール性樹脂層を有する積層体からなる包材2の両側端部を合掌状に貼り合せて高さ方向Zに延在する背貼りシール部3を形成し、底部および天部をシールしてそれぞれボトムシール部4とトップシール部5を形成してなるとともに、背貼りシール部3と平行な両側端に内方への折り込み部8による前後方向Yに広がるマチが形成されたが形成されたガセットタイプの筒状構造を有する包装袋である。
【0021】
包装袋1は、背貼りシール部3の所定部位に、開封のきっかけとなる開封ノッチ7を有し、包材2の幅方向中央部に、開封時に開封ノッチ7からの裂け目αを包装袋2の周方向で高さ方向Zと交差する横方向Xへと誘導する開封誘導線6を有する。
開封誘導線6は、横方向Xに延在する開封誘導線水平部61と、開封誘導線水平部61の背貼りシール部3側端部61aから連続して背貼りシール部3に近づきつつ高さ方向Zに傾斜する開封誘導線傾斜部62とからなる。つまり、開封誘導線6は、開封誘導線水平部61と、開封誘導線水平部61の端部61aから所定の角度θをもって背貼りシール部3に向かう開封誘導線端部傾斜部62とからなる。
【0022】
本実施形態に係る開封誘導線6は、
図1,
図2に示すように、背貼りシール部3に対してほぼ線対称となるように背貼りシール部3の両側に設けられて、背貼りシール部3から、折り込み部8までの間に延在し、その両端は、いずれも背貼りシール部3と折り込み部8とから離間して形成されている。
図3においては、背貼りシール部3の右側における開封誘導線6のみを示す。
【0023】
開封誘導線水平部61は、
図2に示すように、内容物Mが収納された際に、その上端位置と等しい高さ方向Z位置とされ、下向きにトップシール部5から高さ方向Zにマチが広がって折り込み部8がほぼ開いた状態となる最も高い位置に設けられる。
【0024】
図3は、本実施形態における包装袋の開封誘導線を示す模式図であり、
図4は、本実施形態における包装袋の開封誘導線を示す模式拡大図である。
【0025】
開封誘導線水平部61の背貼りシール3側の端部61aは、
図3,
図4に示すように、曲線部61Aを介して開封誘導線傾斜部62に接続されている。曲線部61Aは、開封誘導線水平部61の延在する横方向Xから開封誘導線傾斜部62の延在する高さ方向Zと角度θをなす方向まで曲率半径R61aで曲がるように設定されている。
曲率半径R61aの設定としては3〜10mm、好ましくは5mm程度とすることができる。開封誘導線水平部61の折り込み部8側の端部61bは、
図3に示すように、折り込み部8における横方向Xの中心に位置する中心折り込み線8hに対応する位置になるように配置され、これにより、開封誘導線6によって誘導された裂け目αが中心折り込み線8までとなるように開封状態を設定可能にされている。
【0026】
本実施形態においては、開封誘導線傾斜部62の背貼りシール部3側端部62dには、端部62dからさらに背貼りシール部3側に近接する屈曲部64が設けられる。
屈曲部64の先端64dは、
図3、
図4に示すように、開封誘導線傾斜部62の延在する方向に対して、背貼りシール部3側に近接するように屈曲しており、好ましくは、横方向Xで背貼りシール部3に向かう方向となるように設定されている。屈曲部64は、開封誘導線傾斜部62の延在する高さ方向Zと角度θをなす方向から開封誘導線水平部61と同じ方向である横方向Xまで曲率半径R62dで曲がるように設定されている。
曲率半径R62dの設定としては3〜10mm、好ましくは5mm程度とすることができる。
【0027】
屈曲部64の先端部64dは背貼りシール部3から1mm以上横方向Xに外側にあり、開封ノッチ7は、開封誘導線6の高さ方向Zにおける位置範囲Z6内に存在する。なお、開封ノッチ7は、Iノッチ、Uノッチ、Vノッチ等のいずれでもよい。
【0028】
開封ノッチ7が、
図4に示す開封誘導線高さZ6の範囲に存在することにより、包装袋1を開封する段階において、開封時に開封ノッチ7から発生した裂け目αが背貼りシール部3から横方向Xに離間した位置の屈曲部64に到達し、屈曲部64に沿って端部62dへ走るか、または、
図3に示すように、直接開封誘導線傾斜部62に到達する。
【0029】
開封誘導線6等における高さ方向Zにおけるそれぞれの位置を順に並べると、
図4に示すように、開封誘導線水平部61のZ位置Z61、開封ノッチ7のZ位置Z7、開封誘導線傾斜部62の終端部62dのZ位置Z62d、このZ位置Z62dと同じ位置として、屈曲部64のZ位置Z64およびその先端部64dのZ位置Z64d、の順に並んでいる。
【0030】
開封誘導線6等における横方向Xにおけるそれぞれの位置を順に並べると、
図4に示すように、開封誘導線水平部61の背貼りシール部3側端部61aのX位置X61a、開封誘導線傾斜部62の終端部62dのX位置X62d、屈曲部64の先端部64dのX位置X64d、背貼りシール3境界のX位置X3、開封ノッチ7のX位置X7の順に並んでいる。
【0031】
この構成によれば、包装袋1を開封する段階において、開封時に開封ノッチ7から発生した裂け目αが背貼りシール部3から横方向Xに離間した位置の屈曲部64に到達し、屈曲部64に沿って端部62dへ走るか、または、
図3に示すように、直接開封誘導線傾斜部62に到達する。その後、裂け目αは、開封誘導線傾斜部62に沿って端部61aへ、それ以降は、曲線部61Aから開封誘導線水平部61に沿って端部61bへと誘導されて開封が完了する。その結果、開封操作が円滑になされ、開封後の包装袋の切り口もきれいなものとなる。
【0032】
本実施形態においては、開封ノッチ7から伸展してきた裂け目αが、開封誘導線傾斜部62に到達した後に開封誘導線水平部61とは反対側に進展した場合でも、裂け目αが開封誘導線傾斜部62の背貼りシール部3側端部62dからそのまま縦方向(高さ方向)Zに伸展することを防止して、図において裂け目α1として示すように、屈曲部64において背貼りシール部3側へと進むように方向を変えて、縦方向(高さ方向)Zへの裂け目が無制限に伸展して包装袋1が内容物を収容可能ではなくなる状態に開封されることを防止できる。この場合、裂け目α1は、背貼りシール部3の境界で伸展が停止する。これにより、所望の開封状態を容易に実現することが可能となる。
【0033】
さらに、 開封誘導線水平部61と開封誘導線傾斜部62とが曲線部61Aによって接続されていることで、裂け目αの伸展方向を開封誘導線6に沿って横方向Xに向け直すことができ、縦方向Zに裂け目αが進展して開封誘導線6から逸脱してしまうことを防止できる。
【0034】
開封誘導線水平部61が、
図2に示す折り込み部8の前後方向Yの幅寸法が広がりきっていない上側の高さ方向位置Z61wに設けられた場合には、背貼りシール部3が包材2を貼り合わせてあるために変形しにくく開封しにくいために余計な力をかけてしまう可能性があり、裂け目αが開封誘導線6から離れやすく、特に、高さ方向Zに裂け目αが進展してしまうといった不具合が起きやすい。これに対し、本実施形態において、開封誘導線水平部61が、内容物Mによって折り込み部8が広がった高さ方向Zの位置Z61に設けられていることにより、このような縦方向Zへの裂け目の不必要な伸展を回避することが容易になる。同時に、内容物Mの上端に近い位置で横方向に開封できるため、内容物の収容、および、取り出しにおける利便性を損ねることがない。
【0035】
本発明において、積層体からなる包材2の外層として使用するフィルムとしては、包装袋1を構成する基本素材となることから、たとえば、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリカーボネート系、ポリアセタール系等の合成樹脂フィルムを用いることができる。この外層として使用する合成樹脂フィルムには、一般的に内層側の面に印刷が施されることが多いために、印刷適性が求められる。このため外層として使用する合成樹脂フィルムとしては、2軸方向に延伸した延伸フィルムが好ましい。
【0036】
外層フィルムの厚みとしては基本素材としての強度、剛性などについて必要最低限に保持され得る厚さであればよく、12〜25μm程度が適当である。また、前記フィルムとしてアルミニウムや酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化錫、酸化ジルコニウム等の無機物の蒸着層が形成されたフィルムを使用した場合、包材にバリア性を付与することも可能となる。さらに、易カット性を向上させるために、セロファンや手切れ性の良いポリエステルフィルム等を使用しても良い。
【0037】
次に、最内層として使用するヒートシール性を有する樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、アイオノマー樹脂、エチレンーアクリル酸共重合体樹脂、エチレンーアクリル酸メチル共重合体樹脂、エチレンーメタクリル酸共重合体樹脂、エチレンープロピレン共重合体樹脂等の、熱によって溶融し相互に融着し得るものが挙げられる。これらは単体または2種以上使用しても良く、樹脂およびこれらをフィルム化したシートを使用しても良い。厚みとしては15〜100μmが望ましく、30〜50μmがより好ましい。
【0038】
本発明においては、前記外層と前記内層の間に中間層を設けてもよい。例えば、アルミニウム、鉄、銅、錫等の金属箔、あるいは、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、エチレンープロピレン共重合体樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、ポリ塩化ビニリデン樹脂等のフィルム、あるいはこれらにアルミニウムや酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化錫、酸化ジルコニウム等の無機物の蒸着を施したフィルムを使用することができ、これらは単体または2種以上組み合わせて使用しても良い。
これらのフィルムを中間層に設けることにより、ガスバリア性、水蒸気バリア性、機械的強度、耐屈曲性、耐突き刺し性、耐衝撃性、耐磨耗性、耐寒性、耐熱性、耐薬品性等を向上させることが可能となる。
【0039】
次に開封誘導線6を形成するための方法について説明する。
開封誘導線6は、包材2を構成する積層体の少なくとも外層を切断し、最内層を残したハーフカット線とするのが好ましい。ハーフカット線を形成する方法としては、刃物による方法やレーザー加工機による方法がある。
レーザー加工機としては、連続またはパルス発振形式を有する炭酸ガスレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザーなどを用いたレーザー加工機が挙げられるが、食品等、内容物のガスバリア性が要求される場合には、例えば最内層のシーラント層のみを残すような選択的なカットが可能な炭酸ガスレーザーの使用がより好ましい。
【0040】
レーザー加工機を用いて開封誘導線6を形成する工程としては、印刷済みの広幅原反を所定の包材幅にスリット加工する時点で行なうこともできるし、スリット加工後に行うこともできる。本発明に係る包装袋に用いる包材2は、先に説明した開封誘導線マージンが存在するために、隣り合う開封誘導線6同士が離れており、従って後からスリットする時に、開封誘導線6の間をねらってスリット予定位置の位置をスリットすることができる。このように印刷済みの広幅原反をスリット加工する前に開封誘導線6を形成することが可能であるため、開封誘導線6の形成を効率的に行うことができる。開封誘導線6の形成に当たっては、印刷時点で形成したレジスターマークを読み取り、絵柄に合せて所定の位置に形成する。
【0041】
本発明に係る包装袋の製造工程としては、外層フィルムに所定の絵柄を印刷する印刷工程、外層フィルムに中間層、最内層を貼り合わせて包材原反を作成する工程、印刷を施した包材原反にレーザー加工法によって開封誘導線を形成する工程、印刷を施した包材原反を所定巾にスリットする工程、背貼りシール部を形成し、開封ノッチを設ける工程が少なくとも含まれる。開封誘導線を形成する工程としては、スリット工程の直前あるいは直後、製袋機や充填包装機において背貼りシール部を形成する直前等に設けることが可能であるが、本発明の特徴を最も有効に発揮させるのは、スリット工程の直前である。
【0042】
一方、スリット工程後に開封誘導線を設ける場合には、レーザー加工機による開封誘導線加工工程を独立に設けてもよいし、あるいは製袋機や充填包装機上にレーザー加工機を設置して、製袋加工の直前に開封誘導線を形成してもよい。いずれの場合も、レーザー加工機としては、スリット後の狭巾に対応するものでよいため、レーザー加工機のコストは大幅に低減する。近年、製袋と同時に充填を行う充填包装機も一般化しており、このような充填包装機にレーザー加工機を設置すれば、開封誘導線の形成と製袋に加えて、内容物の充填までを一貫して一工程で実施することができる。このような充填包装機としては、一般的な横ピロー包装機、縦ピロー包装機や給袋包装機等が含まれる。
【0043】
いずれの場合であっても、レーザー加工の位置決めは、印刷工程において設けられたレジスターマークを読み取ることによって行われるが、レーザー加工機をソフト的に制御することにより、必ずしも包材原反が一定速度で流れている時に限らず、加減速時や、停止時にも可能である。
【0044】
また、前記包材の開封誘導線を含む垂直方向の破断強度が5N/15mm以上とすることができ、これにより、包材の流れ方向の強度が保たれ、包材が製造工程、使用時において開封線を発端とした破断、ピンホール、バリア性低下、局所的な伸びを発することなく、安定した物性を保ちながら製造、使用することが出来る。該破断強度が5N/15mm未満であると、製袋加工時のテンションにより破断が発生する等、後加工適性が得られないという問題が生じる。
さらにまた、前記包材の開封誘導線に沿った引裂き強度が、JIS K−7125 C法による測定で、0.01N〜2Nとすることができ、これにより、他方向に曲がることなく、またシーラント層の伸びによる引裂き強度過剰になることなく、適度な強度で誘導線に沿った綺麗な開封を行なうことが可能である。該引裂き強度が2Nを超えると、開封誘導線に実開封線を誘導できないという問題が生じる。また、0.01N未満であると、後加工適性、流通適性等の問題が生じる。
【0045】
以下、本発明に係る包装袋の第2実施形態を、図面に基づいて説明する。
図5は、本実施形態における包装袋の開封誘導線を示す模式図であり、
図6は、本実施形態における包装袋の開封誘導線を示す模式拡大図である。
本実施形態において上述した第1実施形態と異なるのは再屈曲部65に関する点であり、これ以外の対応する構成要素に関しては、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0046】
本実施形態においては、屈曲部64の端部64dには、屈曲部64からさらに高さ方向Zに開封誘導線水平部61に近づく再屈曲部65が設けられる。
再屈曲部65の先端65dは、
図7に示すように、屈曲部64の延在する方向に対して、さらに高さ方向Zに開封誘導線水平部61側に近接するように屈曲しており、好ましくは、縦方向Zで上側となる天部トップシール5に向かう方向となるように設定されている。
【0047】
これにより、開封ノッチ7から伸展してきた裂け目αが、開封誘導線傾斜部62に到達した後に開封誘導線水平部61とは反対側に進展した場合でも、裂け目αが開封誘導線傾斜部62の背貼りシール部3側端部62dからそのまま縦方向(高さ方向)Zに伸展することを防止しさらに、背貼りシール部3に向かうことを防止して、屈曲部64および再屈曲部65において先に形成された裂け目αに向かって進むように方向を変えて、縦方向(高さ方向)Zへの裂け目が無制限に伸展することや、背貼りシール部3に沿って裂け目が無制限に伸展して包装袋1が内容物を収容可能ではなくなる状態に開封されることを防止できる。この場合、裂け目αは、背貼りシール部3に到達しない。これにより、所望の開封状態を容易に実現することが可能となる。
【0048】
再屈曲部65の先端65dは高さ方向Zに向かって開封誘導線水平部61側に近接することができるが、屈曲部64の向かう横方向Xからこの高さ方向Zまでの間の傾斜として、開封誘導線水平部61側に近接すると同時に背貼りシール部3側にも近接する状態であればこれ以外の角度とすることも可能である。
【0049】
以下、本発明に係る包装袋の第3実施形態を、図面に基づいて説明する。
図7は、本実施形態における包装袋の開封誘導線を示す模式図である。
本実施形態において上述した第1および第2実施形態と異なるのは終屈曲部63に関する点であり、これ以外の対応する構成要素に関しては、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0050】
本実施形態の包装袋1においては、
図7に示すように、開封誘導線水平部61における折り込み部8側端部61bに、横方向Xから高さ方向Zに屈曲している終屈曲部63が設けられる。
本実施形態の終屈曲部63は、その終端側の向いた方向が、開封誘導線水平部61の延在する横方向Xに対して、
図7(a)に示すように上側になるタイプと、
図7(b)に示すように下側になるタイプとを例示することができる。終屈曲部63の終端部側は、横方向Xに対して45度〜90度程度の角度を有する向きになるように設定されている。
なお、
図7においては、開封誘導線水平部61の説明を主にするために、開封誘導線傾斜部62が分割していないように示している。
【0051】
本実施形態の包装袋1においては、終屈曲部63を設けることにより、開封誘導線6に沿って進行してきた裂け目αが、中心折り込み線8hに対応する位置で停止し、横方向Xにおいて折り込み部8の中心折り込み線8hを超える側に進展しないように開封状態を制御することが可能となる。ここで、開封誘導線水平部61における折り込み部側端部61bに設けられた終屈曲部63は、開封誘導線水平部61に対して、開封誘導線傾斜部62と同じ下側に屈曲してもよいし、開封誘導線傾斜部62と反対の上側に向けて屈曲することもできる。また、終屈曲部63の先端(終端)は、開封誘導線水平部61に対して垂直な方向とすることもでき、さらに、折り込み部8から遠ざかりつつ開封誘導線水平部61に近づいていくように形成することもできる。この終屈曲部63により、開封誘導線6に沿って進行してきた裂け目αを中心折り込み線8hに対応する位置で停止させ、背貼りシール部3から中心折り込み線8hまでを開封することが容易になる。
【0052】
図8(a)〜(c)は、本実施形態における開封誘導線6を示す模式図である。なお、図においては、説明のため簡略化してあり、屈曲部64および再屈曲部65を図示していない。
また、上記の各実施形態においては、
図8に示すように、開封誘導線6において、開封誘導線傾斜部62の延在する方向が、開封誘導線水平部61の延在する横方向Xとなす角度θが30度以上60度以下とすることができる。角度θの、より好ましい値としては、40度以上50度以下とすることができる。
【0053】
上記の角度範囲でない開封誘導線傾斜部62を有する開封誘導線6では、開封時の力が高さ方向Zにかかった際に、開封誘導線傾斜部62の傾斜角が大きすぎて開封誘導線傾斜部62が高さ方向Zに近い方向を向いている場合には、開封ノッチ7からの裂け目αが開封誘導線傾斜部62の背貼りシール部3側端部62dからそのまま高さ方向Z下方に伸展してしまうため好ましくない。また、開封誘導線傾斜部62の傾斜角θが小さすぎて、開封ノッチ7からの裂け目αを開封誘導線6で拾えずに予期せぬ方向へ裂け目が進展してしまうことや、開封誘導線傾斜部62から開封誘導線水平部61への裂け目αの移動時に、裂け目αが開封誘導線6から外れてしまい、予期せぬ方向へ裂け目が進展してしまうため好ましくない。
【0054】
本実施形態においては、開封誘導線傾斜部62の傾斜角を小さくして、横方向Xとなす角度θが30度〜45度とした場合には、開封ノッチ7からの裂け目αに対する開封誘導線傾斜部62から開封誘導線水平部61への誘導において、開封誘導線6から外れてしまい、裂け目αが開封誘導線傾斜部62と開封誘導線水平部61との境界付近で高さ方向Zに進展することを防止できる。また、開封誘導線傾斜部62の傾斜角を大きくして、横方向Xとなす角度θが45度〜60度とした場合には、開封ノッチ7からの裂け目αに対する開封誘導線傾斜部62への誘導において、開封誘導線6から外れてしまい、裂け目αが開封誘導線傾斜部62に到達する前に高さ方向Zに進展することを防止できる。
【0055】
本実施形態によれば、開封誘導線水平部61の延在する横方向Xとなす角度θが30度以上60度以下としたことにより、高さ方向Zの力、特に、内容物Mが味噌等の重いものである場合に開封時に開封ノッチ7よりも上側が支点となって開封ノッチ7の下側だけが動かされて、開封時に下方への過大な力がかかった際などに、開封ノッチ7からの裂け目αが下方を向き、背貼りシール3に沿って裂け目が伸展してしまうことを防止できる。
本実施形態によれば、開封誘導線傾斜部62の角度を設定して、開封ノッチ7からの裂け目αを開封誘導線水平部61へ穏やかに到達するようにしたことで、開封時の裂け目αが開封誘導線6から逸脱することを軽減することができる。
【0056】
また、上記の各実施形態においては、
図9に示すように、開封誘導線傾斜部62を複数に分割することができる。
図9(a)は、この実施形態における開封誘導線6を示す模式図、
図9(b)は、本実施形態における開封誘導線傾斜部62付近を示す拡大模式図である。なお、図においては、説明のため簡略化してあり、屈曲部64および再屈曲部65を図示していない。
開封誘導線傾斜部62は、
図9に示すように、高さ方向Zに複数に分割されて分割傾斜部62Aを形成し、この分割傾斜部62Aにおける開封誘導線水平部61側端部62aが、開封誘導線水平部61に近づく次の分割傾斜部62Bにおける背貼りシール部3側端部62bよりも、高さ方向Zにおいて開封誘導線水平部61側に近接するとともに横方向Xで背貼りシール部3側に近接するように配置されて、背貼りシール部3側からみて分割傾斜部と分割傾斜部とが重なる部分を有する。
【0057】
つまり、開封誘導線傾斜部62は、
図9(a)に示すように、開封誘導線水平部61の端部61aから所定の角度θをもって背貼りシール部3に向かう分割傾斜部62Aと分割傾斜部62Bとを有し、分割傾斜部62Aは、その延在する方向よりも背貼りシール3側に向けて屈曲した曲部62Cを有する。この曲部62Cの高さ方向Z上側の端部62aは、分割傾斜部62Bにおける端部62bよりも高さ方向Zにおいて上側に位置し、横方向Xにおいて折り込み部8に近い右側(外側)に位置している。分割傾斜部62Aは、端部62cにおいて、その延在する方向から曲がって曲部62Cに接続されている。
曲部62Cは、開封誘導線水平部61の延在する横方向Xに対して角度30〜60度、好ましくは45度を為すように設定されることができる。
【0058】
開封誘導線6等における高さ方向Zにおけるそれぞれの位置を順に並べると、
図9(b)に示すように、開封誘導線水平部61のZ位置Z61、曲部62Cの端部62aのZ位置Z62a、分割傾斜部62Bの端部62bのZ位置Z62b、分割傾斜部62Aの端部62cのZ位置Z62c、分割傾斜部62Aの終端部62dのZ位置Z62dの順に並んでいる。
【0059】
開封誘導線6等における横方向Xにおけるそれぞれの位置を順に並べると、
図9(b)に示すように、開封誘導線水平部61の背貼りシール部3側端部61aのX位置X61a、分割傾斜部62Bの端部62bのX位置X62b、分割傾斜部62Aの端部62cのX位置X62c、曲部62Cの端部62aのX位置X62a、分割傾斜部62Aの終端部62dのX位置X62d、背貼りシール3境界のX位置X3の順に並んでいる。
【0060】
このように、分割傾斜部62A(曲部62C)と分割傾斜部62Bとは、背貼りシール部3側からみて重なる部分であるZ位置Z62aからZ位置Z62bまでを有する。
分割傾斜部62A(曲部62C)と分割傾斜部62Bとにおいて、端部62aと端部62bは、いずれも、X方向およびZ方向に0.5mm程度離間することが好ましい。
【0061】
この構成によれば、開封時に開封ノッチ7から発生した裂け目αが背貼りシール部3から横方向Xに離間した位置の分割傾斜部62Aに到達し、分割傾斜部62Aに沿って端部62cへ、そして、曲部62Cに沿って端部62aまで走る。
端部62aまで到達した裂け目αは、
図9(a)に示すように、分割傾斜部62Bに到達し、分割傾斜部62Bに沿って端部61aへ、それ以降は、開封誘導線水平部61に沿って端部61bへと走る。その結果、開封操作が円滑になされ、開封後の包装袋の切り口もきれいなものとなる。
この際に、分離された開封誘導線傾斜部62では、背貼りシール部3が延在するために開封に必要な力が大きい縦方向(高さ方向)Zへの裂け目αの伸展を補助することになるが、このときに、分割傾斜部62Aの端部62aから分割傾斜部62Bの端部62bへの開封誘導線6が離間された部分において、裂け目の伸展の度合いが断続的に進行することになる。
【0062】
これにより、分割傾斜部62Aに沿った部分では開封誘導線6に誘導されて裂け目αが進展するが、分割傾斜部62A,62Bの延在する間の断続部分においては勢いを付けて裂け目αを伸展することになり、開封時に包材2にかかる力の勢いが少し溜まって開放されることになる。これにより、単純に高さ方向(縦方向)に裂け目を伸展させるのに比べて必要な力を小さくできるので、開封に際して過剰に力を掛ける必要がなくなる。
従って、分離していない開封誘導線傾斜部を有する場合に比べて開封に大きな力を必要とせず、過剰な力が加わることで水平部との連結部近傍で開封誘導線から逸脱して開封してしまうという問題発生を防止することができる。
【0063】
ここでは、開封誘導線傾斜部62を2分割したが、さらに多数に分割することもできる。例えば、
図10に示すように、四分割したものを例示でき、この例では、開封誘導線水平部61側から、分割傾斜部62B、分割傾斜部62A、分割傾斜部62D、分割傾斜部62Fが設けられ、それぞれが背貼りシール3側から見たときに、重なる部分を有するように、分割傾斜部62Bと分割傾斜部62Aとの間における曲部62Cの関係に対応する構成である曲部62E、曲部62Gを有することが可能である。
【実施例】
【0064】
以下、本発明にかかる実施例を説明する。
【0065】
厚さ12μm、720mm幅の二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムと厚さ30μm、720mm幅の低密度ポリエチレン(LDPE)樹脂フィルムをドライラミネーション法により貼合せ、包材を得た。
続いて、炭酸ガスレーザー加工機を用いて開封誘導線を形成した後、140mm幅となるようにスリット加工を施した。開封誘導線の詳細は、
図3,
図4に示した通りである。次に、背貼りシール部の幅が20mmとなる、
図1に示したようなガセットピロー包装袋を作製し、開封ノッチを設けた。これにより好適に開封をおこなうことができた。