特許第6295831号(P6295831)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6295831
(24)【登録日】2018年3月2日
(45)【発行日】2018年3月20日
(54)【発明の名称】パッケージ
(51)【国際特許分類】
   B65D 77/04 20060101AFI20180312BHJP
   B65D 81/34 20060101ALI20180312BHJP
【FI】
   B65D77/04 E
   B65D81/34 U
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-109189(P2014-109189)
(22)【出願日】2014年5月27日
(65)【公開番号】特開2015-224045(P2015-224045A)
(43)【公開日】2015年12月14日
【審査請求日】2017年4月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】矢島 俊輔
【審査官】 吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭57−193663(JP,U)
【文献】 特開2000−296884(JP,A)
【文献】 実開平03−129272(JP,U)
【文献】 特開2000−062857(JP,A)
【文献】 実開昭54−98485(JP,U)
【文献】 実開昭54−67183(JP,U)
【文献】 実開昭58−65273(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 77/04
B65D 81/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口の周囲にフランジが形成されているトレー、および、前記トレーを包装した袋を備えるパッケージであって、
前記袋の縁がシールされた部分である外シール部が形成され、
前記フランジの上面の少なくとも一部と前記袋とが互いにシールされた部分である内シール部が形成されていることにより、前記トレーの内部の空間である収容空間が前記袋により閉鎖され、
前記内シール部と前記外シール部との間に、前記袋同士がシールされた部分である中間シール部が形成されている
パッケージ。
【請求項2】
前記中間シール部のシール強度が、前記内シール部のシール強度よりも高い
請求項1に記載のパッケージ。
【請求項3】
前記外シール部のシール強度が、前記内シール部のシール強度、および、前記中間シール部のシール強度よりも高い
請求項1または2に記載のパッケージ。
【請求項4】
前記袋の内部の空間、かつ、前記トレーの周囲の空間であるトレー外空間が、前記中間シール部が形成されていることにより分割されている
請求項1〜3のいずれか一項に記載のパッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレーが袋により包装されたパッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
パッケージは、一例として、内容物である食品を包装するために用いられる。このパッケージによれば、トレーに載せられた内容物がトレーからこぼれ落ちないように、トレーの開口の周囲とシートとがシールされることにより、その開口がシートにより閉鎖され、さらにそのようにシールされたトレーが包装用の袋に包装される。また、この袋は、例えば、内容物の内容を表示する情報等を印刷するために用いられる。なお、特許文献1は、このようなパッケージの一例を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4543597号公報(段落[0021]等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、パッケージの袋の大きさは、主に、トレーを適切に収容できるかどうか、および、袋の製造に使用する材料に無駄が生じないかどうかという観点から設定される。一方、本願発明者は、パッケージの製造のために使用される材料をより少なくするためには、パッケージの一部分である袋だけではなく、パッケージ全体の構造を見直すことが好ましいと考えた。
【0005】
本発明の目的は、製造のために使用される材料が少なくなるパッケージを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
〔1〕本パッケージの独立した一形態によれば、開口の周囲にフランジが形成されているトレー、および、前記トレーを包装した袋を備えるパッケージであって、前記袋の縁がシールされた部分である外シール部が形成され、前記フランジの上面の少なくとも一部と前記袋とが互いにシールされた部分である内シール部が形成されていることにより、前記トレーの内部の空間である収容空間が前記袋により閉鎖され、前記内シール部と前記外シール部との間に、前記袋同士がシールされた部分である中間シール部が形成されている。
【0007】
本パッケージの袋は、トレーの開口を閉鎖する役割、および、トレーを包装する役割を持つ。このため、トレーの開口がシートによりシートされ、さらに、このトレーが袋により包装されるパッケージと比較して、パッケージの製造のために使用される材料が少なくなる。
【0008】
本パッケージによれば、さらに次の効果が得られる。例えば、食品等のように、加熱されることにより水蒸気を発生する物体がトレーに収容されている場合には、本パッケージが電子レンジ等の加熱手段により加熱されたとき、内容物から水蒸気が発生する。一方、本パッケージのトレーの開口は、袋により閉鎖されている。このため、内容物から発生した水蒸気によりトレーの内部の圧力が次第に上昇し、袋のうちのトレーの開口を閉鎖している部分が膨張する。これにより、内シール部に対して、袋を上面におけるフランジの根本側から剥離させるような力が作用する。
【0009】
そして、この力により、内シール部の一部において袋が上面から剥離したとき、トレーの内部の水蒸気がその剥離した部分を介して袋の内部の空間のうちのトレーの周囲の空間に流れ出る。このため、袋の内部の空間のうちのトレーの周囲の空間の圧力が次第に上昇し、袋のうちのトレーの開口を閉鎖している部分以外の部分も膨張しはじめる。
【0010】
トレーのうち、内シール部が剥離していない部分は、袋の膨張にともないパッケージが置かれている面から離間する方向に持ち上げられる。一方、トレーのうち、内シール部が剥離している部分は、トレーの自重によりパッケージが置かれている面に接近する方向に移動する。このため、袋が膨張する過程においてトレーが傾き、トレーに載せられた内容物がトレーからこぼれ落ちるおそれがある。
【0011】
また、袋が膨張することにより、トレーのうち内シール部が剥離していない部分の持ち上げられる量が大きくなるにつれて、内シール部の剥離していない部分と内シール部が剥離している部分との高低差が大きくなる。このため、袋の膨張量が大きくなるにつれてトレーの傾きが大きくなる。
【0012】
本パッケージは、このような事項を踏まえ、内シール部と外シール部との間に、袋同士がシールされた部分である中間シール部が形成されている。袋のうちの中間シール部が形成されている部分は、袋のうちのトレーの開口を閉鎖している部分以外の部分が膨張しはじめたときに膨張することが妨げられるため、袋の膨張量を小さくすることができる。このため、内シール部が部分的に剥離しても、トレーのうち内シール部が剥離している部分と内シール部が剥離していない部分との高低差が大きくなりにくい。これにより、トレーに載せられた内容物がトレーからこぼれ落ちにくい。
【0013】
〔2〕前記パッケージに従属する一形態によれば、前記中間シール部のシール強度が、前記内シール部のシール強度よりも高い。
本パッケージによれば、中間シール部のシール強度が、内シール部のシール強度よりも高いため、袋が膨張する過程において中間シール部よりも先に内シール部が剥離しやすい。このため、袋が膨張する過程において、中間シール部が剥離したときに、内シール部の全体において袋が上面から剥離している状況が形成されやすくなる。このため、エンドユーザーが、加熱されたパッケージのトレーを袋から引き出すときに、内シール部を剥離させる必要が生じにくくなり、トレーを袋から取り出しやすくなる。
【0014】
〔3〕前記パッケージに従属する一形態によれば、前記外シール部のシール強度が、前記内シール部のシール強度、および、前記中間シール部のシール強度よりも高い。
本パッケージによれば、外シール部のシール強度が、内シール部のシール強度、および、中間シール部のシール強度よりも高いため、外シール部よりも先に内シール部および中間シール部が剥離しやすい。このため、袋が膨張する過程において、外シール部が剥離したときに、内シール部の全体において袋が上面から剥離している状況、および、中間シール部の全体が剥離している状況が形成されやすくなる。このため、エンドユーザーが、加熱されたパッケージのトレーを袋から引き出すときに、内シール部および中間シール部を剥離させる必要が生じにくくなり、トレーを袋から取り出しやすくなる。
【0015】
〔4〕前記パッケージに従属する一形態によれば、前記袋の内部の空間、かつ、前記トレーの周囲の空間であるトレー外空間が、前記中間シール部が形成されていることにより分割されている。
【0016】
本パッケージによれば、袋のうちのトレーの開口を閉鎖している部分以外の部分が膨張しはじめたとき、トレー外空間のうち中間シール部により分割された少なくとも一部の空間に水蒸気が入り込まない。このため、袋の膨張量をより小さくすることができ、内シール部が部分的に剥離しても、トレーのうち内シール部が剥離している部分と内シール部が剥離していない部分との高低差がより大きくなりにくい。これにより、トレーに載せられた内容物がトレーからより一層こぼれ落ちにくい。
【発明の効果】
【0017】
本パッケージによれば、製造のために使用される材料を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施形態のパッケージの平面図。
図2図1のD2−D2線に沿う端面図。
図3図2のトレーの内圧が上昇した状態を示す端面図。
図4図3の内シール部の一部が剥離した状態を示す端面図。
図5図4の内シール部の全てが剥離した状態を示す端面図。
図6図5の中間シール部の一部が剥離した状態を示す端面図。
図7図6の外シール部の一部が剥離した状態を示す端面図。
図8図7の外シール部が切り取られた状態を示す端面図。
図9】その他の実施形態のパッケージの平面図。
図10】その他の実施形態のパッケージの平面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1を参照して、パッケージ1の構成について説明する。
パッケージ1は、一例として液体の内容物100が収容されたトレー20、および、トレー20を包装した袋10を備える。袋10は、一枚の積層シートが折り返され、対向する縁が互いにヒートシールされていることにより、密閉された空間を形成し、この空間にトレー20を収容している。なお、図1に示されている袋10の縁のドットは、折り返された一枚の積層シートの縁が互いにヒートシールされた部分である外シール部15を示している。
【0020】
袋10を形成する積層シートは、一例として、透明な材料により形成された最外層、中間層、および、最内層が積層された3層構造により構成されている。最外層を構成する材料の一例は、ポリエチレンテレフタレートである。中間層は、一例として、印刷層、第1接着層、低密度ポリエチレン層、および、第2接着層により構成されている。印刷層は、最外層の内側に形成され、外面に絵柄および商品説明のテキスト等が印刷されている。第1接着層は、印刷層の内側に形成されている。低密度ポリエチレン層は、第1接着層の内側に形成されている。第2接着層は、低密度ポリエチレン層の内側に形成されている。
【0021】
最内層は、第2接着層の内側に形成されている。最内層を構成する材料の一例は、混合樹脂である。混合樹脂は、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、および、ポリブテン−1を含む。混合樹脂に含まれる直鎖状低密度ポリエチレンの割合の一例は、20重量%である。混合樹脂に含まれる低密度ポリエチレンの割合の一例は、60重量%である。混合樹脂に含まれるポリブテン−1の割合の一例は、20重量%である。
【0022】
外シール部15は、エンドユーザーが加える比較的弱い力により剥離しない程度の範囲において、任意のシール強度を取り得る。外シール部15のシール強度の好ましい範囲の一例は、8N/15mm以上かつ13N/15mm以下である。外シール部15の一例によれば、そのシール強度は、11N/15mmである。
【0023】
外シール部15の一部を袋10の主要な部分から切り取るための切り取り線12が、袋10の短手方向の一方の端部において、袋10の長手方向の全体にわたり形成されている。2つのノッチ13が、外シール部15において切り取り線12と対応する部分に形成されている。袋10から切り取り線12を介して外シール部15の一部が切り取られたとき、袋10の開口14が開封される。
【0024】
袋10の短手方向の一方の端部に形成されている外シール部15よりもトレー20に近い位置に中間シール部17が形成されている。中間シール部17は、袋10の長手方向に延伸する形状を有する。中間シール部17は、袋10の内部の空間のうちトレー20の周囲の空間であるトレー外空間11を一例として2つの空間、すなわち、大きい容積のトレー外空間11A、および、小さい容積のトレー外空間11Bに分割している。中間シール部17は、パッケージ1が搬送される過程等においてパッケージ1にかかる標準的な力により剥離しない程度の範囲において、任意のシール強度を取り得る。中間シール部17のシール強度は、外シール部15のシール強度よりも低いことが好ましく、その好ましい範囲の一例は、7N/15mm以上かつ11N/15mm以下である。中間シール部17の一例によれば、そのシール強度は、9N/15mmである。中間シール部17のシール幅XAは、任意の寸法を取り得る。シール幅XAの好ましい寸法の一例は、5mm以上かつ20mm以下である。一例によれば、シール幅XAの寸法は、7mmである。
【0025】
図2を参照して、トレー20の構成について説明する。
トレー20を構成する材料の一例は、混合樹脂である。混合樹脂は、一例として、ポリプロピレンおよびタルクを含む。混合樹脂に含まれるポリプロピレンの割合の一例は、70重量%である。混合樹脂に含まれるタルクの割合の一例は、30重量%である。
【0026】
トレー20を構成する側壁21および底壁22は、内容物100を収容するための空間である収容空間24を形成している。側壁21により形成されたトレー20の開口23は、袋10により覆われている。
【0027】
収容空間24に向けて底壁22から突出した1つの大きな凸である底壁凸部22A、および、収容空間24に向けて底壁22から突出した複数の小さな凸である微小凸部22Bが、底壁22の内面に形成されている。底壁凸部22Aが形成されていることにより、例えば固体の内容物がトレー20に載せられている場合、底壁22上の水分および油分が内容物に付着しにくい。微小凸部22Bが形成されていることにより、例えば固体の内容物が底壁22上に載せられている場合、内容物が底壁22上において滑りにくい。
【0028】
収容空間24とは反対側に向けて底壁22から突出した複数の小さな凸である微小凸部(図示略)が、底壁22の外面に形成されている。微小凸部が形成されていることにより、底壁22と袋10との接触面積が小さくなるため、袋10の内面上に水分が溜まったとしてもトレー20を袋10に対して動かしやすい。
【0029】
袋10がシールされるフランジ30が、トレー20の開口23の周囲の全体を取り囲むように側壁21の外面に形成されている。フランジ30の根本側の部分を構成している基部31は、側壁21と接続されている。
【0030】
基部31の上面32は、トレー20の高さ方向において側壁21の先端よりも高い位置に形成されている。
パッケージ1によれば、上面32の全部と袋10の内面とが互いにヒートシールされた部分である内シール部16が形成されている。このため、トレー20の開口23が袋10の一部により閉鎖され、内容物100が収容空間24に閉じ込められている。
【0031】
図1に示されている上面32のドットは、内シール部16を示している。
内シール部16は、パッケージ1が搬送される過程等においてパッケージ1にかかる標準的な力により剥離しない程度の範囲において、任意のシール強度を取り得る。内シール部16のシール強度は、外シール部15および中間シール部17のシール強度よりも低いことが好ましく、その好ましい範囲の一例は、6N/15mm以上かつ10N/15mm以下である。内シール部16の一例によれば、そのシール強度は6N/15mmである。また、内シール部16の外縁と中間シール部17の外縁との距離であるシール間距離LAは、任意の寸法を取り得る。シール間距離LAの好ましい寸法は、5mm以上である。一例によれば、シール間距離LAの寸法は、20mmである。
【0032】
取手40が、基部31の周囲に形成されている。取手40は、上面32よりもトレー20の高さ方向において下方に形成されている。取手40の一部は、開口14に面している。
【0033】
図3図8を参照して、パッケージ1の使用方法、および、作用について説明する。
図3に示されるように、パッケージ1が電子レンジ等の加熱手段(図示略)により加熱されることにより、内容物100から水蒸気が発生する。また、水蒸気の発生にともない収容空間24の圧力が次第に上昇し、袋10のうちのトレー20の開口23を閉鎖している部分が膨張し、袋10を上面32における収容空間24側から剥離させるように作用する力が内シール部16に対して加えられる。
【0034】
内シール部16に加えられる力により、内シール部16の一部において袋10が上面32から剥離したとき、収容空間24に閉じ込められていた水蒸気がその剥離した部分を介して大きい容積のトレー外空間11Aに流れ出る。このため、大きい容積のトレー外空間11Aの圧力が次第に上昇し、袋10のうちの大きい容積のトレー外空間11Aを形成している部分が膨張しはじめる。
【0035】
図4は、収容空間24の圧力の上昇により、一例として、図4に示される断面の部分において、内シール部16の一部が剥離し、大きい容積のトレー外空間11Aの圧力が上昇しはじめた状態を示している。トレー20のうち、内シール部16により袋10と繋がっている部分、すなわち、内シール部16が剥離していない部分は、大きい容積のトレー外空間11Aの圧力が上昇して袋10が膨張することにより、パッケージ1が設置されている電子レンジの皿(図示略)等の設置面から持ち上げられる。そして、パッケージ1が設置面から持ち上げられているとき、トレー20および内容物100の自重により、袋10を上面32から剥離させるように作用する力が内シール部16に加えられる。
【0036】
一方、トレー20のうち内シール部16が剥離している部分は、大きい容積のトレー外空間11Aの圧力が上昇して袋10が膨張しているとき、トレー20および内容物100の自重により設置面に接近する方向に移動する。このため、大きい容積のトレー外空間11Aの圧力が上昇して袋10が膨張することにより、トレー20が傾く。パッケージ1は、中間シール部17が形成されていることにより、内容物100から発生した水蒸気が大きい容積のトレー外空間11Aから小さい容積のトレー外空間11Bに入り込まない。このため、中間シール部17により、小さい容積のトレー外空間11Bを形成している袋10の膨張が妨げられる。
【0037】
図5に示されるように、大きい容積のトレー外空間11Aの圧力が上昇して袋10が膨張することにより、内シール部16の全部が剥離したとき、トレー20が袋10から完全に分離し、設置面上に存在する袋10の内面上に落下する。
【0038】
図6に示されるように、トレー20が袋10から完全に分離した後も内容物100が水蒸気を発生し続けることにより、大きい容積のトレー外空間11Aの圧力がさらに上昇し、その圧力が中間シール部17を剥離させる程度の大きさに達したとき、中間シール部17の一部が剥離する。これにより、大きい容積のトレー外空間11Aと小さい容積のトレー外空間11Bとが連通する。このため、水蒸気が大きい容積のトレー外空間11Aから小さい容積のトレー外空間11Bに流れ出る。これにより、トレー外空間11の圧力がさらに上昇する。
【0039】
図7に示されるように、トレー外空間11の圧力が外シール部15を部分的に剥離させる程度の大きさに達したとき、外シール部15の一部が剥離してトレー外空間11の水蒸気がトレー外空間11から袋10の外部に流れ出る。このため、外シール部15の一部が剥離していないときと比較して、袋10の内圧の上昇が抑えられる。これにより、袋10の内圧が過度に上昇して袋10が破裂するような状況が生じにくくなる。パッケージ1の加熱が終了した後、エンドユーザーは、一例として、外シール部15のうち剥離していない部分を掴んで加熱されたパッケージ1を加熱手段の外部に取り出し、外シール部15の一部を切り取り線12に沿って切り取る。
【0040】
図8に示されるように、エンドユーザーは、加熱が終了し外シール部15の一部が切り取られた袋10の開口14を開封する。パッケージ1によれば、トレー20の取手40の一部が開口14と面しているため、開口14が開封されたとき、取手40の一部が開口14を介して外部を臨む。このため、エンドユーザーが取手40に手を掛けやすい。そして、エンドユーザーは、取手40を掴んで、トレー20を袋10から取り出す。
【0041】
パッケージ1によれば、以下の効果が得られる。
(1)パッケージ1の袋は、トレー20の開口23を閉鎖する役割、および、トレー20を包装する役割を持つ。このため、トレー20の開口23がシートによりシートされ、さらに、このトレー20が袋10により包装されるパッケージと比較して、製造のために使用される材料が少なくなる。
【0042】
(2)袋10が膨張することにより、トレー20のうち内シール部16が剥離していない部分の持ち上げられる量が大きくなるにつれて、内シール部16の剥離していない部分と内シール部16が剥離している部分との高低差が大きくなる。このため、図4に示されるようなトレー20の傾きは、袋10の膨張量が大きくなるにつれて大きくなる。
【0043】
パッケージ1は、このような事項を踏まえ、内シール部16と外シール部15との間に、袋10同士がシールされた部分である中間シール部17が形成されている。袋10のうちの中間シール部17が形成されている部分は、袋10のうちのトレー20の開口23を閉鎖している部分以外の部分が膨張しはじめたときに膨張することが妨げられるため、袋10の膨張量を小さくすることができる。このため、内シール部16が部分的に剥離しても、トレー20のうち内シール部16が剥離している部分と内シール部16が剥離していない部分との高低差が大きくなりにくい。これにより、トレー20に載せられた内容物100がトレー20からこぼれ落ちにくい。
【0044】
(3)パッケージ1によれば、中間シール部17のシール強度が、内シール部16のシール強度よりも高いため、袋10が膨張する過程において中間シール部17よりも先に内シール部16が剥離しやすい。このため、袋10が膨張する過程において、中間シール部17が剥離したときに、内シール部16の全体において袋10が上面32から剥離している状況が形成されやすくなる。このため、エンドユーザーが、加熱されたパッケージ1のトレー20を袋10から引き出すときに、内シール部16を剥離させる必要が生じにくくなり、トレー20を袋10から取り出しやすくなる。
【0045】
(4)パッケージ1によれば、外シール部15のシール強度が、内シール部16のシール強度、および、中間シール部17のシール強度よりも高いため、外シール部15よりも先に内シール部16および中間シール部17が剥離しやすい。このため、袋10が膨張する過程において、外シール部15が剥離したときに、内シール部16の全体において袋10が上面32から剥離している状況、および、中間シール部17の全体が剥離している状況が形成されやすくなる。このため、エンドユーザーが、加熱されたパッケージ1のトレー20を袋10から引き出すときに、内シール部16および中間シール部17を剥離させる必要が生じにくくなり、トレー20を袋10から取り出しやすくなる。
【0046】
(5)パッケージ1によれば、袋10のうちのトレー20の開口23を閉鎖している部分以外の部分が膨張しはじめたとき、中間シール部17により分割されている小さい容積のトレー外空間11Bに水蒸気が入り込まない。このため、袋10のうちの小さい容積のトレー外空間11Bを形成している部分の膨張が妨げられるため、袋10の膨張量を小さくすることができる。このため、内シール部16が部分的に剥離しても、トレー20のうち内シール部16が剥離している部分と内シール部16が剥離していない部分との高低差がより大きくなりにくい。これにより、トレー20に載せられた内容物100がトレー20からより一層こぼれ落ちにくい。
【0047】
(6)本願発明者が実施した試験によれば、シール間距離LAが5mm以上に設定されている場合、パッケージ1の加熱にともない内容物100から水蒸気が発生したとき、内シール部16がより剥離しやすい。
【0048】
パッケージ1によれば、この結果を踏まえ、シール間距離LAが5mm以上に設定されている。このため、そのようにシール間距離LAが設定されていない場合と比較して、パッケージ1が加熱されることにともない内シール部16が剥離しやすくなる。
【0049】
(7)本願発明者が実施した試験によれば、シール幅XAの寸法が5mm以上の大きさに設定されている場合、パッケージ1の加熱にともない内容物100から水蒸気が発生したとき、内シール部16の全体において袋10が上面32から剥離した後に中間シール部17が剥離しやすい。また、シール幅XAの寸法が、20mm以下の大きさに設定されている場合、パッケージ1の加熱にともない内容物から水蒸気が発生したとき、外シール部15の一部が剥離する前に中間シール部17が剥離しやすい。
【0050】
パッケージ1によれば、この結果を踏まえ、中間シール部17のシール幅XAの寸法が5mm以上かつ20mm以下の範囲に設定されている。このため、パッケージ1の加熱にともない内容物100から水蒸気が発生したとき、内シール部16の全体において袋10が上面32から剥離した状況が形成された後に、中間シール部17、および、外シール部15の順に剥離しやすい。
【0051】
本パッケージが取り得る具体的な形態は、上記実施形態に例示された形態に限定されない。本パッケージは、上記実施形態とは異なる各種の形態を取り得る。以下に示される上記実施形態の変形例は、本パッケージが取り得る各種の形態の一例である。
【0052】
・変形例のパッケージによれば、図9に示されるように、中間シール部170がパッケージの長手方向の中央に1か所形成される。
・変形例のパッケージによれば、図10に示されるように、中間シール部270が、袋10の角の周辺に2ヶ所形成される。
【0053】
・変形例のパッケージによれば、2枚以上の積層シートの縁が互いにシールされることにより袋10が形成される。
・変形例のパッケージによれば、上面32の一部と袋10とがシールされることにより内シール部16が形成される。
【0054】
・変形例のパッケージによれば、内シール部16のシール強度が、中間シール部17および外シール部15のシール強度の少なくとも一方よりも高い。
・変形例のパッケージによれば、中間シール部17のシール強度が、外シール部15のシール強度よりも高い。
【0055】
・変形例のパッケージによれば、トレー20に固体の内容物100が載せられている。
【符号の説明】
【0056】
1…パッケージ
10…袋
11…トレー外空間
15…外シール部
16…内シール部
17…中間シール部
20…トレー
23…開口
24…収容空間
30…フランジ
32…上面
100…内容物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10