特許第6295838号(P6295838)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6295838
(24)【登録日】2018年3月2日
(45)【発行日】2018年3月20日
(54)【発明の名称】ラジエータグリルと車両
(51)【国際特許分類】
   B60R 19/52 20060101AFI20180312BHJP
【FI】
   B60R19/52 C
【請求項の数】6
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-113461(P2014-113461)
(22)【出願日】2014年5月30日
(65)【公開番号】特開2015-227116(P2015-227116A)
(43)【公開日】2015年12月17日
【審査請求日】2017年4月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100066865
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 信一
(74)【代理人】
【識別番号】100066854
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 賢照
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(74)【代理人】
【識別番号】100117938
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 謙二
(74)【代理人】
【識別番号】100138287
【弁理士】
【氏名又は名称】平井 功
(72)【発明者】
【氏名】榎本 和子
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 祐介
(72)【発明者】
【氏名】磯脇 満秋
(72)【発明者】
【氏名】田中 清貴
(72)【発明者】
【氏名】飯野 忠
(72)【発明者】
【氏名】槇川 洋貴
(72)【発明者】
【氏名】浅野 裕一
【審査官】 梶本 直樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−218023(JP,A)
【文献】 特開平10−297397(JP,A)
【文献】 特開2003−191808(JP,A)
【文献】 実開昭60−070452(JP,U)
【文献】 実開昭58−097065(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 19/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されたラジエータに走行風を導く開口部を有するグリル本体と、前記グリル本体に固定されて前記開口部を覆う別体グリルと、を備えたラジエータグリルにおいて、
前記グリル本体は、前記グリル本体を車両に組み付ける組み付け部を備え、
前記組み付け部は、前記別体グリルが差し込まれた状態で前記別体グリルの移動を規制する溝部を備え、
前記別体グリルが、前記溝部に差し込まれ、前記グリル本体に固定されていることを特徴とするラジエータグリル。
【請求項2】
前記溝部が前記組み付け部の上面に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のラジエータグリル。
【請求項3】
前記溝部が前記別体グリルの表裏方向への移動を規制していることを特徴とする請求項1又は2に記載のラジエータグリル。
【請求項4】
前記組み付け部は、前記グリル本体の裏面に設けられ、空隙を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のラジエータグリル。
【請求項5】
前記別体グリルが前記グリル本体の左右側端部に備えられたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のラジエータグリル。
【請求項6】
車両の前部に備えられたエンジンルームの前方で、前記車両に前記組み付け部により組み付けられる、請求項1〜5のいずれか1項に記載のラジエータグリルと、
前記ラジエータグリルの後方で且つ前記エンジンルーム内に配置されたラジエータと、を備えたことを特徴とする車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されたラジエータに走行風を導く開口部を有するグリル本体と、このグリル本体に固定されて開口部を覆う別体グリルとを備えたラジエータグリルと車両に関する。
【背景技術】
【0002】
冷却システムを必要とする内燃機関などの装置を搭載した車両においては、ラジエータが多く用いられ、このラジエータの前方には、ラジエータグリルが配置されている。通常、このラジエータグリルは一体で樹脂成型されることが多いが、グリル本体と別体グリルを組み合わせたものもある。この別体グリルは、グリル本体とは別工程で製造され、グリル本体を車両に取り付ける前にグリル本体に組み付ける必要がある。
【0003】
このような幾つかの部材によって構成されるラジエータグリルの取付けに関しては、例えば、グリル部材に係合リブを設けると共に、グリル部材に取付けらえるグリルモールに係合突起を設け、この係合突起をグリル部材の係合リブに係合することにより、グリルモールをグリル部材に取付ける車両用ラジエータグリルの取付け構造が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この構成では、係合リブである取付け部分がグリル部材の裏面側に配置され、グリルモールの係合突起を、グリル部材の挿入孔に表面側から挿通させて、グリル部材の裏面側に突設された係合リブに係合させているため、小さい部品であるグリルモールが、大きな部品であるグリル部材の表側に配置される場合は、見栄え上の問題は生じない。
【0005】
しかしながら、大きな部品のグリル本体の裏面側に小さな部品の別体グリルを取付ける構造に対しては、グリル本体の表面側に取付け部分が配置されることになり、見栄えが悪くなるため、この構成を採用することはできないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−205803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記のことを鑑みてなされたものであり、その目的は、車両に搭載されたラジエータに走行風を導く開口部を有するグリル本体と、このグリル本体に固定されて開口部を覆う別体グリルとを備えたラジエータグリルにおいて、グリル本体に対して別体グリルの組み付けを容易にすることができるラジエータグリルと車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するための本発明のラジエータグリルは、車両に搭載されたラジエータに走行風を導く開口部を有するグリル本体と、前記グリル本体に固定されて前記開口部を覆う別体グリルと、を備えたラジエータグリルにおいて、前記グリル本体は、前記グリル本体を車両に組み付ける組み付け部を備え、前記組み付け部は、前記別体グリルが差し込まれた状態で前記別体グリルの移動を規制する溝部を備え、前記別体グリルが、前記溝部に差し込まれ、前記グリル本体に固定されているように構成される。
【0009】
この構成によれば、組み付け部はグリル本体に備えられ、このグリル本体は車両に組み付けられるが、このグリル本体と車両の前面との間に位置する組み付け部に溝部を設けて、別体グリルの一部を、その溝部に差し込むことで別体グリルを固定して移動を規制したので、グリル本体に対して別体グリルの組み付けを容易にすることができる。
【0010】
上記のラジエータグリルにおいて、前記溝部が前記組み付け部の上面に形成されているように構成すると、この組み付け部で別体グリルを下方から支えることができ、この構成があれば、組み付け時に別体グリルを別の手段で支持する必要がなくなり、グリル本体に別体グリルをより容易に組み付けすることができるようになる。
【0011】
更に、上記のラジエータグリルにおいて、前記溝部が前記別体グリルの表裏方向への移動を規制しているように構成すると、この部分における別体グリルの表裏方向を固定するための固定部材や接合部材が不要になり、グリル本体に別体グリルをより容易に組み付けすることができるようになる。
【0012】
また、上記のラジエータグリルにおいて、前記組み付け部は、前記グリル本体の裏面に設けられ、空隙を有するように構成されると、ラジエータグリルを形成する材料の量を低減することができる。
【0013】
また、上記のラジエータグリルにおいて、前記別体グリルが前記グリル本体の左右側端部に備えられて構成される。
【0014】
そして、上記の目的を達成するための本発明の車両は、車両の前部に備えられたエンジンルームの前方で、前記車両に前記組み付け部により組み付けられる上記のラジエータグリルと、前記ラジエータグリルの後方で且つ前記エンジンルーム内に配置されたラジエータと、を備えて構成される。
【発明の効果】
【0015】
本発明のラジエータグリルと車両によれば、車両に搭載されたラジエータに走行風を導く開口部を有するグリル本体と、このグリル本体に固定されて開口部を覆う別体グリルとを備えたラジエータグリルにおいて、グリル本体と車両の前面との間に溝部を設けて、別体グリルの一部を、この溝部に差し込むことで別体グリルを固定して別体グリルの移動を規制したので、グリル本体に対して別体グリルの組み付けを容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る実施の形態のラジエータグリルの構成を示す図である。
図2】ラジエータグリルへの別体グリルとシール部材の組み付け構造を示す図である。
図3】組み付け部の構成を示す図である。
図4】ラジエータグリルへの別体グリルの組み付け方法を示す図である。
図5】ラジエータグリルに別体グリルを組み付けた構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る実施の形態のラジエータグリル及車両について、図面を参照しながら説明する。なお、図1図5は、ラジエータグリルの取付け方法を示す説明図として提供しており、各図の間で図形的に完全に整合させていないので、寸法比率は必ずしも一致しておらず、部品の図形も完全に同じ形状になっていない。
【0018】
図1に示すように、本発明に係る実施の形態のラジエータグリル10は、車両に搭載されたラジエータに走行風を導く開口部21を有するグリル本体20と、このグリル本体20に固定されて開口部21を覆う、二つの別体グリル30と、一つのシール部材40を備えて構成される。このラジエータグリル10は、例えば、車両の前部に備えられたエンジンルーム内に配置されたラジエータの前方に配置される。
【0019】
なお、以下の説明では、ラジエータグリル10、グリル本体20、別体グリル30に関する方向として、ラジエータグリル10の奥行方向を、ラジエータグリル10、グリル本体20、別体グリル30の表裏方向(表から裏をX方向)と言い、ラジエータグリル10の長手方向を、ラジエータグリル10、グリル本体20、別体グリル30の水平方向(X方向から見て右側から左側をY方向)と言い、ラジエータグリル10の高さ方向を、ラジエータグリル10、グリル本体20、別体グリル30の上下方向(下から上をZ方向)と言うことにする。
【0020】
この実施の形態のラジエータグリル10では、別体グリル30は、見栄えを考慮してグリル本体20と別の色に形成される。この別体グリル30はグリル本体20の左右側端部の二か所に備えられるが、シール部材40は、グリル本体20の右側端部のみの一か所でグリル本体20を裏側から覆うように設けられる。
【0021】
更に、図1及び図2に示すように、グリル本体20は、このグリル本体20を車両に組み付けるための組み付け部22を備えて構成され、図3に示すように、この組み付け部22は、グリル本体20の裏面に設けられ、空隙25を有してボックス形状に構成される。この空隙25を有することで、ラジエータグリル10を形成する材料の量を低減することができる。また、この組み付け部22は射出成型でグリル本体20と一体成型される。この組み付け部22の空隙25は、射出成型時に中子をY方向に引き抜くことにより容易に形成できる。
【0022】
この組み付け部22は、図3に示すように、別体グリル30が差し込まれた状態で別体グリル30の移動を規制する溝部23を備えて構成される。溝部23は、別体グリル30の一部30aが差し込まれると別体グリル30をグリル本体20に固定するように形成される。
【0023】
つまり、別体グリル30の一部30aを、その溝部23に差し込むことで別体グリル30のX方向への移動を規制することができる。これにより、この部位における別体グリル30を固定するためのネジなどの接合部材が不要になり、その結果、接合作業が不要になるので、グリル本体20に対して別体グリル30の組み付け作業が簡略化され容易となる。
【0024】
なお、この溝部23は組み付け部22の側面側(Y方向側)に設けてもよいが、組み付け部22の上面22aに形成することが好ましく、この構成にすると、別体グリル30を組み付け部22で下方から支えてグリル本体20に載置することができるので、組み付け時に別体グリル30を別の手段で保持する必要がなくなり、グリル本体20に別体グリル30をより容易に組み付けすることができるようになる。
【0025】
特に、この溝部23を別体グリル30のX方向への移動を規制するように構成すると、この部分における別体グリル30のX方向の固定部材や接合部材が不要になり、別体グリル30の組み付け作業の手間が減少し、グリル本体20に別体グリル30をより容易に、また、より簡便に組み付けすることができるようになる。
【0026】
この溝部23は、例えば、別体グリル30の取付けのグリル本体20の部位において、別体グリル30のY方向に延びる溝で形成する。この溝は、組み付け部22の上面22aに上側に開口して設ける。この構成により、別体グリル30のX方向の位置決めの効果に加えて、Z方向の位置決めができる。
【0027】
なお、この溝部23は、組み付け部22の上面22aの端から端まで設けてもよく、上面22aの端から途中までに設けてもよい。途中まで設ける場合は、別体グリル30の一部30aを溝部23の水平方向の奥部(溝の途中)に突き当てることにより、Y方向に対しての位置決め効果も生じさせることができる。
【0028】
さらに、この組み付け部22は、その先端部(−X方向から見たときの表面)22bに、ラジエータグリル10を車両に取り付ける際に使用するクリップ(フロントグリルクリップ)等の取付け部材50を係合して固定するための係合部24を設けて構成される。この係合部24は、例えば、取付け部材50が組み付け部22のX方向と垂直な方向(Y−Z平面内の方向:例えばY方向やZ方向)から挿入されたときに、取付け部材50の溝部51と係合して、取付け部材50を組み付け部22に固定できるように構成される。
【0029】
この構成では、組み付け部22をボックス形状に形成することより、溝部23と取付け部材50を固定する係合部24の形成が容易となり、それぞれの部位の強度も容易に確保できるようになる。また、それと共に、一つの組み付け部22において、別体グリル30と取付け部材50の二つの部品20、50を組み付けて固定できるので、部品点数を減少することができる。
【0030】
そして、この取付け部材50により、ラジエータグリル10は、グリル本体20に別体グリル30を組み付けた状態で車両に組み付けることができるようになる。この組み付けでは、取付け部材50が車両側の取り付け部と係合して固定されることにより、ラジエータグリル10は車両に固定されることになる。
【0031】
このラジエータグリル10は、グリル本体20を車両に取り付けた際に裏面となる面から車両側に延出する組み付け部22に溝部23を設け、この溝部23に別体グリル30を差込み、グリル本体20を車両に取り付けた際のX方向の移動を規制してから別体グリル30をグリル本体20に組み付けて組み立てられる。さらに、この組み付け部22に、ラジエータグリル10を車両に取付ける際に使用する取付け部材50を取付ける。
【0032】
つまり、図4図5示すように、別体グリル30は、四隅の内の一か所が組み付け部22の溝部23で固定されると共に、四隅の内の三か所が挿通孔31でネジ(スクリュー)60によりグリル本体20に設けられたボス部26に組み付けられる。そして、更にシール部材40が二か所の挿通孔41でネジ(スクリュー)61によりグリル本体20に設けられたボス部27に固定される。これにより、ラジエータグリル10の組み付けが完了する。
【0033】
そして、本発明の実施の形態の車両は、車両の前部に備えられたエンジンルームの前方で、車両に組み付け部22により組み付けられるラジエータグリル10と、このラジエータグリル10の後方で且つエンジンルーム内に配置されたラジエータとを備えて構成される。
【符号の説明】
【0034】
10 ラジエータグリル
20 グリル本体
21 開口部
22 組み付け部
22a 組み付け部の上面
22b 組み付け部の先端部
23 溝部
24 係合部
25 空隙
26、27 ボス部
30 別体グリル
30a 別体グリルの一部(挿入部)
31 挿通孔
40 シール部材
41 挿通孔
50 取付け部材
51 取付け部材の溝部
60、61 ネジ(スクリュー)
図1
図2
図3
図4
図5