特許第6295875号(P6295875)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6295875活魚輸送容器用エア吹込み装置及び活魚輸送容器並びに活魚輸送方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6295875
(24)【登録日】2018年3月2日
(45)【発行日】2018年3月20日
(54)【発明の名称】活魚輸送容器用エア吹込み装置及び活魚輸送容器並びに活魚輸送方法
(51)【国際特許分類】
   A01K 63/02 20060101AFI20180312BHJP
【FI】
   A01K63/02 A
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-153488(P2014-153488)
(22)【出願日】2014年7月29日
(65)【公開番号】特開2016-29911(P2016-29911A)
(43)【公開日】2016年3月7日
【審査請求日】2017年5月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000140074
【氏名又は名称】株式会社羽根
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 久由
(74)【代理人】
【識別番号】100163577
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 正人
(72)【発明者】
【氏名】羽根 隆夫
【審査官】 坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−60356(JP,A)
【文献】 特開2013−164925(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3023697(JP,U)
【文献】 特開2006−149247(JP,A)
【文献】 特開2007−189925(JP,A)
【文献】 国際公開第96/013155(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 63/02
H01H 3/00 − 7/16
H01M 2/20 − 2/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ及び前記モータにより駆動されるエアポンプ、並びに前記モータの電源である電池が収容され、活魚輸送容器の容器本体に配置されるエアポンプ装置と、前記容器本体の活魚収容部内に配置されるエア吹出し体と、前記エアポンプ及び前記エア吹出し体を繋ぐエアホースとを備えた活魚輸送容器用エア吹込み装置であって、
前記エアポンプ装置の前記電池を収容する電池収容部の電極と前記電池の電極との間である電極間に、可撓性のある長尺のテープ体を介在させるとともに、前記テープ体の一端部を前記エアポンプ装置の外側に位置させ、前記テープ体を引き出す操作により前記テープ体が前記電極間を摺動するように構成してなり、
前記テープ体の第1所定長さの引出しにより前記モータが駆動状態となり、前記駆動状態における前記テープ体の第2所定長さの引出しにより前記モータが停止状態となり、前記停止状態における前記テープ体の第3所定長さの引出し又は前記テープ体の引抜きにより前記モータが駆動状態となることを特徴とする活魚輸送容器用エア吹込み装置。
【請求項2】
前記テープ体を電気絶縁性にするとともに所定箇所に導通用穴を形成してなり、
前記第テープ体を前記第1所定長さ引き出した際には、前記導通用穴が前記電極間に位置することにより、前記電極間が導通して前記モータが駆動状態となり、
前記テープ体をさらに前記第2所定長さ引き出した際には、前記導通用穴が前記電極間から外れることにより、前記電極間が絶縁されて前記モータが停止状態となり、
前記テープ体をさらに前記第3所定長さ引き出した際には、前記導通用穴が前記電極間に位置することにより、又は、前記テープ体を引き抜いた際には、前記電極間に介在する前記テープ体が無くなることにより、前記電極間が導通して前記モータが駆動状態となる請求項1記載の活魚輸送容器用エア吹込み装置。
【請求項3】
前記テープ体の前記第1所定長さの引出し及び前記第2所定長さの引出し、又は、前記テープ体の前記第1所定長さの引出し、前記第2所定長さの引出し及び前記第3所定長さの引出しを視認できる視認手段を前記テープ体に設けてなる請求項1又は2記載の活魚輸送容器用エア吹込み装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載の活魚輸送容器用エア吹込み装置と、上面開口から水とともに活魚を収容する容器本体と、前記上面開口を塞ぐ蓋体とからなる活魚輸送容器であって、
前記テープ体の前記エアポンプ装置の外側に位置する部分を保持する保持手段を前記容器本体に備えてなることを特徴とする活魚輸送容器。
【請求項5】
前記テープ体の前記第1所定長さの引出し及び前記第2所定長さの引出し、又は、前記テープ体の前記第1所定長さの引出し、前記第2所定長さの引出し及び前記第3所定長さの引出しを視認できる視認手段を前記容器本体に設けてなる請求項4記載の活魚輸送容器。
【請求項6】
前記容器本体に、その側方から前記エアポンプ装置を出し入れ可能なエアポンプ装置収容部を設けるとともに、前記テープ体を引き出す操作力による前記エアポンプ装置の移動を規制する当止部を設けてなる請求項4又は5記載の活魚輸送容器。
【請求項7】
前記容器本体及び前記蓋体が発泡合成樹脂製である請求項4〜6の何れか1項に記載の活魚輸送容器。
【請求項8】
請求項4〜7の何れか1項に記載の活魚輸送容器を用いて、前記活魚輸送容器の容器本体の活魚収容部内に水とともに活魚を収容し、前記容器本体の上面開口を前記活魚輸送容器の蓋体により塞いだ状態で前記活魚を空輸する活魚輸送方法であって、
空港まで陸路を輸送する際には、前記テープ体を前記第1所定長さ引き出して前記モータを駆動状態とし、
離陸前に、前記テープ体をさらに前記第2所定長さ引き出して前記モータを停止状態として空輸し、
着陸後に、前記テープ体をさらに前記第3所定長さ引き出すか、あるいは前記テープ体を引き抜いて前記モータを駆動状態とすることを特徴とする活魚輸送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活魚を活きたまま確実に輸送するために、空気中の酸素を水中に溶け込ませるためのエア吹込み装置、及びエア吹込み装置を備えた活魚輸送容器、並びに活魚輸送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
活きている魚介類(活魚)を活きたまま輸送する活魚輸送において、容積をなるべく小さくして輸送効率を高めながら活魚を活きたまま確実に輸送するために、空気中の酸素を水中に溶け込ませるためのエア吹込み装置を備えた活魚輸送容器がある(例えば、特許文献1〜4参照)。
このような活魚輸送容器に使用されるエア吹込み装置は、モータ及び前記モータにより駆動されるエアポンプ、並びに前記モータの電源である電池が収容され、活魚輸送容器の容器本体内に配置されるエアポンプ装置と、前記容器本体の活魚収容部内に配置されるエア吹出し体と、前記エアポンプ及び前記エア吹出し体を繋ぐエアホースとを備えており、エアポンプ装置のスイッチ(例えば、特許文献4の図2のスイッチ12参照)を操作することにより、エアポンプを駆動するモータの駆動及び停止が切り替えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3789344号公報
【特許文献2】特許第3914125号公報
【特許文献3】特許第4766979号公報
【特許文献4】特許第4923580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
活魚輸送において、なるべく早く活魚を流通させるため、あるいはより遠方へ鮮度良く輸送することを企図して、一般的なトラック便ではなく航空便を用いることが考えられる。
エア吹込み装置を備えた活魚輸送容器に水とともに活魚を収容して活きたまま空輸する場合、電磁ノイズを抑制して航空機の運行の安全を確保するために、離陸前にエアポンプ装置のモータを停止させる必要があるので、そのためにエアポンプ装置のスイッチをオフにするように操作して前記モータを停止させなければならない。
その上、着陸後には、エアポンプ装置のモータを駆動してエア吹込み装置を作動させるために、エアポンプ装置のスイッチをオンにする操作を迅速に行う必要がある。
このようなエアポンプ装置のモータの停止及び駆動を切り替えるためのスイッチの操作は、容器本体から蓋体を取り外した状態、又は容器本体からエアポンプ装置を取り出した状態で行う必要があるので作業性が悪いため、空輸する活魚輸送容器の数量が多ければ多い程多くの手間が掛かる。このため、現実には、こうした活魚輸送容器を空輸する試みは実施されるに至っていない。
【0005】
そこで本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、エア吹込み装置を備えた活魚輸送容器に水とともに活魚を収容して活きたまま空輸する場合において、離陸前や着陸後に行うエアポンプ装置のモータの停止及び駆動を切り替える作業の作業性が良い、活魚輸送容器用エア吹込み装置、及びエア吹込み装置を備えた活魚輸送容器、並びに活魚輸送方法を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る活魚輸送容器用エア吹込み装置は、前記課題解決のために、モータ及び前記モータにより駆動されるエアポンプ、並びに前記モータの電源である電池が収容され、活魚輸送容器の容器本体に配置されるエアポンプ装置と、前記容器本体の活魚収容部内に配置されるエア吹出し体と、前記エアポンプ及び前記エア吹出し体を繋ぐエアホースとを備えた活魚輸送容器用エア吹込み装置であって、前記エアポンプ装置の前記電池を収容する電池収容部の電極と前記電池の電極との間である電極間に、可撓性のある長尺のテープ体を介在させるとともに、前記テープ体の一端部を前記エアポンプ装置の外側に位置させ、前記テープ体を引き出す操作により前記テープ体が前記電極間を摺動するように構成してなり、前記テープ体の第1所定長さの引出しにより前記モータが駆動状態となり、前記駆動状態における前記テープ体の第2所定長さの引出しにより前記モータが停止状態となり、前記停止状態における前記テープ体の第3所定長さの引出し又は前記テープ体の引抜きにより前記モータが駆動状態となることを特徴とする(請求項1)。
【0007】
このような構成によれば、可撓性のある長尺のテープ体のエアポンプ装置の外側に位置する部分を引き出す操作により、前記テープ体を第1所定長さ引き出すとエアポンプ装置のモータが駆動状態となるので、エアポンプ装置の外側から前記テープ体を第1所定長さ引き出す簡単な操作により、前記モータを停止状態から駆動状態に切り替えることができる。
その上、前記テープ体をさらに第2所定長さ引き出すと前記モータが停止状態となるので、エアポンプ装置の外側から前記テープ体を第2所定長さ引き出す簡単な操作により、前記モータを駆動状態から停止状態に切り替えることができる。
その上さらに、前記テープ体をさらに第3所定長さ引き出すと前記モータが駆動状態となるので、エアポンプ装置の外側から前記テープ体を第3所定長さ引き出す簡単な操作により、前記モータを停止状態から駆動状態に切り替えることができる。あるいは、前記テープ体を引き抜くと前記電極間に介在する前記テープ体が無くなって前記モータが駆動状態となるので、エアポンプ装置の外側から前記テープ体を引き抜く簡単な操作により、前記モータを停止状態から駆動状態に切り替えることができる。
よって、活魚輸送容器の容器本体にエアポンプ装置を配置した状態で、容器本体の外側から前記テープ体を引き出す簡単な操作により、前記モータの停止及び駆動を切り替えることができるので、前記モータの停止及び駆動を切り替える作業の作業性を向上できる。
また、エアポンプ装置の電池収容部の電極と電池の電極との間である電極間に可撓性のある長尺のテープ体を介在させ、エアポンプ装置の外側から前記テープ体を引き出す操作により前記電極間を摺動させるという簡素な構成であるので、製造コストの増大を抑制できる。
【0008】
ここで、前記テープ体を電気絶縁性にするとともに所定箇所に導通用穴を形成してなり、前記第テープ体を前記第1所定長さ引き出した際には、前記導通用穴が前記電極間に位置することにより、前記電極間が導通して前記モータが駆動状態となり、前記テープ体をさらに前記第2所定長さ引き出した際には、前記導通用穴が前記電極間から外れることにより、前記電極間が絶縁されて前記モータが停止状態となり、前記テープ体をさらに前記第3所定長さ引き出した際には、前記導通用穴が前記電極間に位置することにより、又は、前記テープ体を引き抜いた際には、前記電極間に介在する前記テープ体が無くなることにより、前記電極間が導通して前記モータが駆動状態となると好ましい(請求項2)。
このような構成によれば、全体が電気絶縁性のテープ材の所定箇所に導通用穴を形成するだけで前記テープ体を製造できるので、製造コストを低減できる。
【0009】
また、前記テープ体の前記第1所定長さの引出し及び前記第2所定長さの引出し、又は、前記テープ体の前記第1所定長さの引出し、前記第2所定長さの引出し及び前記第3所定長さの引出しを視認できる視認手段を前記テープ体に設けてなるとさらに好ましい(請求項3)。
このような構成によれば、可撓性のある長尺のテープ体に設けた視認手段により、前記テープ体の第1所定長さの引出し及び第2所定長さの引出し、又は、前記テープ体の第1所定長さの引出し、第2所定長さの引出し及び第3所定長さの引出しを視認できるので、前記テープ体を第1所定長さ引き出してエアポンプ装置のモータを停止状態から駆動状態に切り替える切替操作、及び、前記テープ体をさらに第2所定長さ引き出して前記モータを駆動状態から停止状態に切り替える切替操作、又は、前記テープ体を第1所定長さ引き出して前記モータを停止状態から駆動状態に切り替える切替操作、前記テープ体をさらに第2所定長さ引き出して前記モータを駆動状態から停止状態に切り替える切替操作、及び、前記テープ体をさらに第3所定長さ引き出して前記モータを停止状態から駆動状態に切り替える切替操作の作業性を一層向上できるとともに、前記切替操作の確実性を向上できる。
【0010】
本発明に係る活魚輸送容器は、前記課題解決のために、請求項1〜3の何れか1項に記載の活魚輸送容器用エア吹込み装置と、上面開口から水とともに活魚を収容する容器本体と、前記上面開口を塞ぐ蓋体とからなる活魚輸送容器であって、前記テープ体の前記エアポンプ装置の外側に位置する部分を保持する保持手段を前記容器本体に備えてなることを特徴とする(請求項4)。
このような構成によれば、可撓性があるためにひらひらと動きやすいテープ体のエアポンプ装置の外側に位置する部分が容器本体の保持手段により保持されるので、活魚輸送容器を搬送する際に前記テープ体が何かに引っ掛かって引き出され、エアポンプ装置のモータの所期状態(停止状態又は駆動状態)が不意に変化してしまうことを防止できる。
【0011】
ここで、前記テープ体の前記第1所定長さの引出し及び前記第2所定長さの引出し、又は、前記テープ体の前記第1所定長さの引出し、前記第2所定長さの引出し及び前記第3所定長さの引出しを視認できる視認手段を前記容器本体に設けてなると好ましい(請求項5)。
このような構成によれば、容器本体に設けた視認手段により、可撓性のある長尺のテープ体の第1所定長さの引出し及び第2所定長さの引出し、又は、前記テープ体の第1所定長さの引出し、第2所定長さの引出し及び第3所定長さの引出しを視認できるので、前記テープ体を第1所定長さ引き出してエアポンプ装置のモータを停止状態から駆動状態に切り替える切替操作、及び、前記テープ体をさらに第2所定長さ引き出して前記モータを駆動状態から停止状態に切り替える切替操作、又は、前記テープ体を第1所定長さ引き出して前記モータを停止状態から駆動状態に切り替える切替操作、前記テープ体をさらに第2所定長さ引き出して前記モータを駆動状態から停止状態に切り替える切替操作、及び、前記テープ体をさらに第3所定長さ引き出して前記モータを停止状態から駆動状態に切り替える切替操作の作業性を一層向上できるとともに、前記切替操作の確実性を向上できる。
【0012】
また、前記容器本体に、その側方から前記エアポンプ装置を出し入れ可能なエアポンプ装置収容部を設けるとともに、前記テープ体を引き出す操作力による前記エアポンプ装置の移動を規制する当止部を設けてなるとさらに好ましい(請求項6)。
このような構成によれば、容器本体の側方からエアポンプ装置を出し入れできるので、エアポンプ装置の出し入れが容易である。
その上、可撓性のある長尺のテープ体を引き出す操作力によるエアポンプ装置の移動が容器本体に設けた当止部により規制されるので、前記テープ体を引き出す操作を行ってもエアポンプ装置が移動しないため、エアポンプ装置のモータを停止状態又は駆動状態に切り替える切替操作を前記テープ体の引出しにより行う作業の確実性をさらに向上できる。
【0013】
さらに、前記容器本体及び前記蓋体が発泡合成樹脂製であると一層好ましい(請求項7)。
このような構成によれば、活魚輸送容器の容器本体及び蓋体が発泡合成樹脂製であるので、軽量であるとともに断熱性に優れているため、活魚の輸送に好適なものとなる。
その上、容器本体及び蓋体を発泡ポリスチレン製にすることにより低コスト化を図ることができる。
【0014】
本発明に係る活魚輸送方法は、前記課題解決のために、請求項4〜6の何れか1項に記載の活魚輸送容器を用いて、前記活魚輸送容器の容器本体の活魚収容部内に水とともに活魚を収容し、前記容器本体の上面開口を前記活魚輸送容器の蓋体により塞いだ状態で前記活魚を空輸する活魚輸送方法であって、空港まで陸路を輸送する際には、前記テープ体を前記第1所定長さ引き出して前記モータを駆動状態とし、離陸前に、前記テープ体をさらに前記第2所定長さ引き出して前記モータを停止状態として空輸し、着陸後に、前記テープ体をさらに前記第3所定長さ引き出すか、あるいは前記テープ体を引き抜いて前記モータを駆動状態とすることを特徴とする(請求項8)。
【0015】
このような活魚輸送方法によれば、空港まで陸路を輸送する際には、可撓性のある長尺のテープ体を第1所定長さ引き出す簡単な操作を行うことにより、エアポンプ装置のモータを駆動状態にできるので、エア吹込み装置により空気中の酸素を水中に溶け込ませながら輸送できる。
その上、空港まで陸路を輸送した後、航空機に積み込んで離陸する前に、前記テープ体をさらに第2所定長さ引き出す簡単な操作を行うことにより、前記モータを停止状態にできるので、電磁ノイズを抑制できるため航空機の運行の安全が確保される。
その上さらに、航空機が着陸した後には、前記テープ体をさらに第3所定長さ引き出す簡単な操作か、あるいは前記テープ体を引き抜く簡単な操作を行うことにより、前記モータを駆動状態にできるので、エア吹込み装置により空気中の酸素を水中に溶け込ませながら輸送できる。
よって、活魚輸送容器の容器本体にエアポンプ装置を配置した状態で、容器本体の外側から前記テープ体を引き出す簡単な操作により、前記モータの停止及び駆動を切り替えることができるので、前記モータの停止及び駆動を切り替える作業の作業性を向上できる。
なお、活魚輸送容器の容器本体にエアポンプ装置を配置するについては、容器本体内にエアポンプ装置を配置するのが、エアポンプ装置をしっかりと設置するのに最も好ましいが、容器本体の外側に適切な手段にて配置することも可能であり適宜選択できる。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明に係る活魚輸送容器用エア吹込み装置及び活魚輸送容器並びに活魚輸送方法によれば、エア吹込み装置を備えた活魚輸送容器に水とともに活魚を収容して活きたまま空輸する場合において、
(1)活魚輸送容器の容器本体にエアポンプ装置を配置した状態で、容器本体の外側から可撓性のある長尺のテープ体を引き出す簡単な操作により、エアポンプ装置のモータの停止及び駆動を切り替えることができるので、前記モータの停止及び駆動を切り替える作業の作業性を向上できること、
(2)エアポンプ装置の電池収容部の電極と電池の電極との間である電極間に前記テープ体を介在させ、エアポンプ装置の外側から前記テープ体を引き出す操作により前記電極間を摺動させるという簡素な構成であるので、製造コストの増大を抑制できること、
等の顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施の形態に係る活魚輸送容器を示す斜視図である。
図2】活魚輸送容器の容器本体及び蓋体、並びにエア吹込み装置を示す分解斜視図である。
図3図2において、容器本体にエア吹込み装置を収容した状態を示す分解斜視図である。
図4】本発明の実施の形態に係るエア吹込み装置のエアポンプ装置の構造を示す縦断面図、及びテープ体の引出しによるモータの駆動・停止の切替操作の説明図であり、前記説明図において、(a)は使用前におけるモータが停止している状態、(b)はテープ体を第1所定長さ引き出してモータが駆動している状態、(c)はテープ体をさらに第2所定長さ引き出してモータが停止している状態、(d)はエアポンプ装置からテープ体を引き抜いてモータが駆動している状態を示している。
図5】視認手段の例を示す要部拡大側面図であり、(a)は使用前におけるモータが停止している状態、(b)はテープ体を第1所定長さ引き出してモータが駆動している状態、(c)はテープ体をさらに第2所定長さ引き出してモータが停止している状態、(d)はエアポンプ装置からテープ体を引き抜いてモータが駆動している状態を示している。
図6】活魚輸送容器内に水とともに活魚を収容した状態を示す縦断面図であり、(a)は使用前におけるモータが停止している状態、(b)はテープ体を第1所定長さ引き出してモータが駆動している状態を示している。
図7】同じく縦断面図であり、(a)はテープ体をさらに第2所定長さ引き出してモータが停止している状態、(b)はエアポンプ装置からテープ体を引き抜いてモータが駆動している状態を示している。
図8】輸送の際に多数の活魚輸送容器を並べた例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に本発明の実施の形態を添付図面に基づき詳細に説明するが、本発明は、添付図面に示された形態に限定されず特許請求の範囲に記載の要件を満たす実施形態の全てを含むものである。
【0019】
図1の斜視図、図2及び図3の分解斜視図、図4の縦断面図に示すように、本発明の実施の形態に係るエア吹込み装置1は、エアポンプ装置2、エア吹出し体3、並びにエアポンプP(図4参照)及びエア吹出し体3を繋ぐエアホース4からなる。
また、本発明の実施の形態に係る活魚輸送容器11は、容器本体12、及び容器本体12の上面開口12Aを塞ぐように容器本体12の上端部に嵌合する蓋体13、並びにエア吹込み装置1からなり、エア吹込み装置1のエアポンプ装置2は、エアポンプ装置収容部12C(図2参照)に収容された状態で容器本体12に保持される。
ここで、容器本体12及び蓋体13は、軽量であるとともに断熱性に優れた、発泡ポリスチレン系樹脂、発泡ポリエチレン系樹脂、発泡ポリプロピレン系樹脂等の発泡ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン変性発泡ポリエチレン等のポリスチレン変性発泡ポリオレフィン系樹脂、硬質発泡ウレタン系樹脂等の発泡合成樹脂製であり、主にコスト面から発泡ポリスチレンが好ましい。
【0020】
図4に示すように、エアポンプ装置2は、モータM及びモータMにより駆動されるエアポンプP、電池収容部5に収容される、モータMの電源であり乾電池又は二次電池である並列電池B,B、並びにテープ体6からなる。
テープ体6は、長尺で可撓性を有する電気絶縁性のテープ材であり、一端部6Aはエアポンプ装置2の外側に、他端部6Bは電池収容部5内に位置し、中間部分が電池収容部5の電極TA,TAと電池B,Bの電極TB,TBとの間である電極間に介在するとともに、所定箇所に導通用穴7,8が形成される。
【0021】
図1に示す容器本体12に形成された、保持手段である上下方向の凹条10の幅(溝幅)はテープ体6の幅よりも若干小さく形成されている。したがって、テープ体6のエアポンプ装置2の外側に位置する部分を凹条10内に入れることにより、凹条10内に入った状態で保持される。
なお、このような保持手段は、凹条10に限定されるものではなく、容器本体12の適宜箇所に形成されたスリット等であってもよく、可撓性を有するテープ体6を保持できるものであればよい。
【0022】
このような保持手段(例えば凹条10)を設けることにより、可撓性があるためにひらひらと動きやすいテープ体6のエアポンプ装置2の外側に位置する部分が容器本体12の保持手段により保持されるので、活魚輸送容器11を搬送する際にテープ体6が何かに引っ掛かって引き出され、エアポンプ装置2のモータMの所期状態(停止状態又は駆動状態)が不意に変化してしまうことを防止できる。
【0023】
次に、可撓性のある長尺のテープ体6のエアポンプ装置2の外側に位置する部分を引き出す操作による、エアポンプ装置2のモータMの駆動・停止の切替えについて説明する。
【0024】
テープ体6の導通用穴7,8が図4中の説明図(a)のように電極TA,TAから外れている状態(使用前の状態)では、前記電極間に電気絶縁性のテープ体6が介在するので、モータMに電源が供給されないため、モータMは停止している。
このモータMの停止状態から、図4中の説明図(b)のように、テープ体6をエアポンプ装置2から第1所定長さL1引き出すと、テープ体6が前記電極間を摺動して導通用穴7,8が電極TA,TAに重なる位置まで移動するので、導通用穴7,8を介して前記電極間が導通してモータMに電源が供給されるため、モータMは駆動する。
このモータMの駆動状態から、図4中の説明図(c)のように、テープ体6をエアポンプ装置2からさらに第2所定長さL2引き出すと、テープ体6が前記電極間を摺動して導通用穴7,8が電極TA,TAから外れた位置まで移動するので、前記電極間に電気絶縁性のテープ体6が介在してモータMに電源が供給されなくなるため、モータMは停止する。
次に、このモータMの停止状態から、図4中の説明図(d)のようにテープ体6をエアポンプ装置2から引き出し、エアポンプ装置2から引き抜くと、前記電極間に介在する電気絶縁性のテープ体6が無くなるので、前記電極間が導通してモータMに電源が供給されるため、モータMは駆動する。
【0025】
次に、テープ体6の所定長さの引出しを視認するためにテープ6及び容器本体12に設ける視認手段について説明する。
【0026】
図4中の説明図(a)〜(c)、及び図5の要部拡大側面図に示すように、テープ体6の一端部6Aに近い適宜箇所には、例えば「ON」、「OFF」の文字や色分けである視認手段9Aが設けられる。
また、図1及び図5に示すように、容器本体12には、例えば矢印である視認手段9Bが設けられる。
そして、テープ体6を保持手段である上下方向の凹条10内に入れた状態で、テープ体6の弛みを無くした状態にしておき、図4中の説明図(a)に対応する図5(a)の状態では、視認手段9Bの矢印が視認手段9Aの「OFF」を指しており、エアポンプ装置2のモータMは停止している。
このモータMの停止状態から、図5(a)の矢印A1のようにテープ体6に操作力を加え、テープ体6を第1所定長さL1(図4参照)引き出した図4中の説明図(b)に対応する図5(b)の状態では、視認手段9Bの矢印が視認手段9Aの「ON」を指しており、エアポンプ装置2のモータMは駆動している。
このモータMの駆動状態から、図5(b)の矢印A2のようにテープ体6に操作力を加え、テープ体6をさらに第2所定長さL2(図4参照)引き出した図4中の(c)に対応する図5(c)の状態では、視認手段9Bの矢印が視認手段9Aの「OFF」を指しており、エアポンプ装置2のモータMは停止している。
【0027】
このような視認手段9A,9Bを設けることにより、テープ体6の第1所定長さL1の引出し及び第2所定長さL2の引出しを視認できるので、テープ体6を第1所定長さL1引き出してエアポンプ装置2のモータMを停止状態から駆動状態に切り替える切替操作、及び、テープ体6をさらに第2所定長さL2引き出してモータMを駆動状態から停止状態に切り替える切替操作の作業性及び確実性を向上できる。
【0028】
また、図1図3の斜視図、並びに図6及び図7の縦断面図に示すように、容器本体12のエアポンプ装置収容部12Cは、側方からエアポンプ装置2を出し入れ可能なように形成されているので、エアポンプ装置2を容易に出し入れできる。
さらに、エアポンプ装置2をエアポンプ装置収容部12Cに収容した状態で、テープ体6を引き出す際における操作力(図6及び図7中の矢印A1,A2,A3参照)によるエアポンプ装置2の移動を規制する当止部14が容器本体12に設けられているので、テープ体6を引き出す操作を行ってもエアポンプ装置2が移動しないため、エアポンプ装置2のモータMを停止状態又は駆動状態に切り替える切替操作をテープ体6の引出しにより行う作業の確実性をさらに向上できる。
【0029】
次に、図4中の説明図(a)〜(d)、図5の要部拡大側面図、並びに図6及び図7の縦断面図を参照して、本発明の実施の形態に係る活魚輸送容器11を用いた活魚輸送方法について説明する。
【0030】
先ず、空港まで陸路を輸送する前に、図6(a)の縦断面図に示すように、容器本体12の上面開口12Aから活魚収容部12B内に水(淡水、塩分を含んだ水、または海水等)Wとともに活魚Fを収容し、蓋体13を容器本体12の上端部に嵌合させて上面開口12Aを塞いだ状態にする。
この状態でテープ体6を図5(a)及び図6(a)の矢印A1のように引く操作力を加え、テープ体6を第1所定長さL1(図4参照)引き出した図5(b)及び図6(b)の状態では、エアポンプ装置2のモータMが駆動し、モータMによりエアポンプPが駆動され、エア吹出し体3から空気が水W中に供給されるため、この状態で空港まで陸路を輸送する。
以上において、容器本体12の活魚収容部12B内に水Wを入れ、テープ体6を操作してエア吹出し体3から空気を水W中に供給するようにしてから、活魚Fを入れて蓋体13により閉蓋するようにしてもよいし、あるいはエア吹出し体3から空気を供給する状態にし、活魚収容部12B内に水Wと活魚Fを入れて蓋体13により閉蓋するようにしてもよいのは勿論であり適宜選択すればよい。
【0031】
次に、空港に着いてから航空機が離陸するまでの間に、図5(b)及び図6(b)の矢印A2のように引く操作力を加え、テープ体6を第2所定長さL2(図4参照)引き出した図5(c)及び図7(a)の状態では、エアポンプ装置2のモータMが停止するので、電磁ノイズを抑制して航空機の運行の安全を確保できるため、この状態で空輸する。
次に、航空機が目的地に着陸した後に、図5(c)及び図7(a)の矢印A3のように引く操作力を加え、テープ体6を引き抜いた図5(d)及び図7(b)の状態では、エアポンプ装置2のモータMが駆動し、モータMによりエアポンプPが駆動され、エア吹出し体3から空気が水W中に供給されるため、この状態で陸路を輸送する。
【0032】
以上のように活魚輸送容器11を空輸する場合、図7(a)のように航空機の離陸時から着陸時までエアポンプ装置2のモータM(エアポンプP)が停止しているので、活魚Fを活きたまま輸送できる時間に制限がある。
よって、モータM(エアポンプP)の停止状態で活魚Fを活きたまま輸送できる時間を延ばすために、水Wとして、高濃度酸素水又は酸素ナノバブル水を用いると好ましい。
高濃度酸素水を用いた場合には通常の水よりも多量の酸素が溶かし込まれていることから、又酸素ナノバブル水を用いた場合には活魚が活性化されることから、エアポンプ装置2のモータM(エアポンプP)を停止させた状態で活魚Fを活きたまま輸送できる時間を延ばすことができるため、より遠方への空輸が可能になる。
【0033】
以上のような本発明の実施の形態に係るエア吹込み装置1、及びエア吹込み装置1を備えた活魚輸送容器11、並びに活魚輸送方法によれば、エア吹込み装置1を備えた活魚輸送容器11に水Wとともに活魚Fを収容して活きたまま空輸する場合において、活魚輸送容器11の容器本体12にエアポンプ装置2を配置した状態で、容器本体12の外側から可撓性のある長尺のテープ体6を引き出す簡単な操作により、エアポンプ装置2のモータMの停止及び駆動を切り替えることができるので、モータMの停止及び駆動を切り替える作業の作業性を向上できる。
また、エアポンプ装置2の電池収容部5の電極TA,TAと電池B,Bの電極TB,TBとの間である電極間にテープ体6を介在させ、エアポンプ装置2の外側からテープ体6を引き出す操作により前記電極間を摺動させるという簡素な構成であるので、製造コストの増大を抑制できる。
【0034】
以上の説明においては、航空機が目的地に着陸した後におけるエアポンプ装置2のモータMを駆動するための操作をテープ体6の引抜きにより行う場合を示したが、前記操作を、テープ体6を第2所定長さL2引き出した状態から、テープ体6をさらに第3所定長さ引き出すことにより行うようにしてもよい。その場合には、例えば、テープ体6を第3所定長さ引き出した際に電池収容部5の電極TA,TAと電池B,Bの電極TB,TBとの間に位置する導通用穴をテープ体6に形成しておけばよい。
なお、航空機が目的地に着陸した後には、なるべく早くエアポンプ装置2のモータMを駆動してエア吹出し体3から水W中に空気を供給する必要があるので、テープ体6を引き出す作業における作業性を考慮すると、モータMを駆動するための操作をテープ体6の引抜きにより行う構成の方がより好ましい実施態様である。何故なら、テープ体6を引き抜く作業であれば、引き出し長さの確認が不要であるので、より迅速な作業が可能であるためである。
特に、図8の斜視図に示すように多数の活魚輸送容器11,11,…を空輸する場合には、モータMを駆動するための操作をテープ体6の引抜きにより行う構成が好ましい。
また、多数の活魚輸送容器11,11,…を空輸する場合において、多数のテープ体6,6,…の一端部6A,6A,…に穴をあけておき、航空機の離陸前に多数のテープ体6,6,…の穴に紐を通しておくようにすれば、航空機の着陸後に前記紐を引っ張る作業を行うことにより、多数の活魚輸送容器11,11,…のモータM,M,…を一括して駆動できる。
【0035】
以上の説明においては、可撓性のある長尺のテープ体6を電気絶縁性とし、図4に示すように導通用穴7,8が形成する構成を示したが、テープ体6を、その長手方向に絶縁体と導電体が交互になるように形成しておくようにしてもよい。
すなわち、その場合は、テープ体6をエアポンプ装置2から第1所定長さL1引き出すと、前記電極間に導電体が位置してモータMが駆動され、テープ体6をエアポンプ装置2からさらに第2所定長さL2引き出すと、前記電極間に絶縁体が位置してモータMが停止するようにすればよい。
ただし、可撓性のある長尺のテープ体6を電気絶縁性として適宜箇所に導通用穴を形成する構成の方が、全体が電気絶縁性のテープ材の所定箇所に導通用穴を形成するだけで製造できるので、製造コストを低減できる。
【符号の説明】
【0036】
B 電池
F 活魚
L1 第1所定長さ
L2 第2所定長さ
M モータ
P エアポンプ
TA 電池収容部の電極
TB 電池の電極
W 水
1 エア吹込み装置
2 エアポンプ装置
3 エア吹出し体
4 エアホース
5 電池収容部
6 テープ体
6A 一端部
6B 他端部
7,8 導通用穴
9A,9B 視認手段
10 凹条(保持手段)
11 活魚輸送容器
12 容器本体
12A 上面開口
12B 活魚収容部
12C エアポンプ装置収容部
13 蓋体
14 当止部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8