【発明が解決しようとする課題】
【0004】
活魚輸送において、なるべく早く活魚を流通させるため、あるいはより遠方へ鮮度良く輸送することを企図して、一般的なトラック便ではなく航空便を用いることが考えられる。
エア吹込み装置を備えた活魚輸送容器に水とともに活魚を収容して活きたまま空輸する場合、電磁ノイズを抑制して航空機の運行の安全を確保するために、離陸前にエアポンプ装置のモータを停止させる必要があるので、そのためにエアポンプ装置のスイッチをオフにするように操作して前記モータを停止させなければならない。
その上、着陸後には、エアポンプ装置のモータを駆動してエア吹込み装置を作動させるために、エアポンプ装置のスイッチをオンにする操作を迅速に行う必要がある。
このようなエアポンプ装置のモータの停止及び駆動を切り替えるためのスイッチの操作は、容器本体から蓋体を取り外した状態、又は容器本体からエアポンプ装置を取り出した状態で行う必要があるので作業性が悪いため、空輸する活魚輸送容器の数量が多ければ多い程多くの手間が掛かる。このため、現実には、こうした活魚輸送容器を空輸する試みは実施されるに至っていない。
【0005】
そこで本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、エア吹込み装置を備えた活魚輸送容器に水とともに活魚を収容して活きたまま空輸する場合において、離陸前や着陸後に行うエアポンプ装置のモータの停止及び駆動を切り替える作業の作業性が良い、活魚輸送容器用エア吹込み装置、及びエア吹込み装置を備えた活魚輸送容器、並びに活魚輸送方法を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る活魚輸送容器用エア吹込み装置は、前記課題解決のために、モータ及び前記モータにより駆動されるエアポンプ、並びに前記モータの電源である電池が収容され、活魚輸送容器の容器本体に配置されるエアポンプ装置と、前記容器本体の活魚収容部内に配置されるエア吹出し体と、前記エアポンプ及び前記エア吹出し体を繋ぐエアホースとを備えた活魚輸送容器用エア吹込み装置であって、前記エアポンプ装置の前記電池を収容する電池収容部の電極と前記電池の電極との間である電極間に、可撓性のある長尺のテープ体を介在させるとともに、前記テープ体の一端部を前記エアポンプ装置の外側に位置させ、前記テープ体を引き出す操作により前記テープ体が前記電極間を摺動するように構成してなり、前記テープ体の第1所定長さの引出しにより前記モータが駆動状態となり、前記駆動状態における前記テープ体の第2所定長さの引出しにより前記モータが停止状態となり、前記停止状態における前記テープ体の第3所定長さの引出し又は前記テープ体の引抜きにより前記モータが駆動状態となることを特徴とする(請求項1)。
【0007】
このような構成によれば、可撓性のある長尺のテープ体のエアポンプ装置の外側に位置する部分を引き出す操作により、前記テープ体を第1所定長さ引き出すとエアポンプ装置のモータが駆動状態となるので、エアポンプ装置の外側から前記テープ体を第1所定長さ引き出す簡単な操作により、前記モータを停止状態から駆動状態に切り替えることができる。
その上、前記テープ体をさらに第2所定長さ引き出すと前記モータが停止状態となるので、エアポンプ装置の外側から前記テープ体を第2所定長さ引き出す簡単な操作により、前記モータを駆動状態から停止状態に切り替えることができる。
その上さらに、前記テープ体をさらに第3所定長さ引き出すと前記モータが駆動状態となるので、エアポンプ装置の外側から前記テープ体を第3所定長さ引き出す簡単な操作により、前記モータを停止状態から駆動状態に切り替えることができる。あるいは、前記テープ体を引き抜くと前記電極間に介在する前記テープ体が無くなって前記モータが駆動状態となるので、エアポンプ装置の外側から前記テープ体を引き抜く簡単な操作により、前記モータを停止状態から駆動状態に切り替えることができる。
よって、活魚輸送容器の容器本体にエアポンプ装置を配置した状態で、容器本体の外側から前記テープ体を引き出す簡単な操作により、前記モータの停止及び駆動を切り替えることができるので、前記モータの停止及び駆動を切り替える作業の作業性を向上できる。
また、エアポンプ装置の電池収容部の電極と電池の電極との間である電極間に可撓性のある長尺のテープ体を介在させ、エアポンプ装置の外側から前記テープ体を引き出す操作により前記電極間を摺動させるという簡素な構成であるので、製造コストの増大を抑制できる。
【0008】
ここで、前記テープ体を電気絶縁性にするとともに所定箇所に導通用穴を形成してなり、前記第テープ体を前記第1所定長さ引き出した際には、前記導通用穴が前記電極間に位置することにより、前記電極間が導通して前記モータが駆動状態となり、前記テープ体をさらに前記第2所定長さ引き出した際には、前記導通用穴が前記電極間から外れることにより、前記電極間が絶縁されて前記モータが停止状態となり、前記テープ体をさらに前記第3所定長さ引き出した際には、前記導通用穴が前記電極間に位置することにより、又は、前記テープ体を引き抜いた際には、前記電極間に介在する前記テープ体が無くなることにより、前記電極間が導通して前記モータが駆動状態となると好ましい(請求項2)。
このような構成によれば、全体が電気絶縁性のテープ材の所定箇所に導通用穴を形成するだけで前記テープ体を製造できるので、製造コストを低減できる。
【0009】
また、前記テープ体の前記第1所定長さの引出し及び前記第2所定長さの引出し、又は、前記テープ体の前記第1所定長さの引出し、前記第2所定長さの引出し及び前記第3所定長さの引出しを視認できる視認手段を前記テープ体に設けてなるとさらに好ましい(請求項3)。
このような構成によれば、可撓性のある長尺のテープ体に設けた視認手段により、前記テープ体の第1所定長さの引出し及び第2所定長さの引出し、又は、前記テープ体の第1所定長さの引出し、第2所定長さの引出し及び第3所定長さの引出しを視認できるので、前記テープ体を第1所定長さ引き出してエアポンプ装置のモータを停止状態から駆動状態に切り替える切替操作、及び、前記テープ体をさらに第2所定長さ引き出して前記モータを駆動状態から停止状態に切り替える切替操作、又は、前記テープ体を第1所定長さ引き出して前記モータを停止状態から駆動状態に切り替える切替操作、前記テープ体をさらに第2所定長さ引き出して前記モータを駆動状態から停止状態に切り替える切替操作、及び、前記テープ体をさらに第3所定長さ引き出して前記モータを停止状態から駆動状態に切り替える切替操作の作業性を一層向上できるとともに、前記切替操作の確実性を向上できる。
【0010】
本発明に係る活魚輸送容器は、前記課題解決のために、請求項1〜3の何れか1項に記載の活魚輸送容器用エア吹込み装置と、上面開口から水とともに活魚を収容する容器本体と、前記上面開口を塞ぐ蓋体とからなる活魚輸送容器であって、前記テープ体の前記エアポンプ装置の外側に位置する部分を保持する保持手段を前記容器本体に備えてなることを特徴とする(請求項4)。
このような構成によれば、可撓性があるためにひらひらと動きやすいテープ体のエアポンプ装置の外側に位置する部分が容器本体の保持手段により保持されるので、活魚輸送容器を搬送する際に前記テープ体が何かに引っ掛かって引き出され、エアポンプ装置のモータの所期状態(停止状態又は駆動状態)が不意に変化してしまうことを防止できる。
【0011】
ここで、前記テープ体の前記第1所定長さの引出し及び前記第2所定長さの引出し、又は、前記テープ体の前記第1所定長さの引出し、前記第2所定長さの引出し及び前記第3所定長さの引出しを視認できる視認手段を前記容器本体に設けてなると好ましい(請求項5)。
このような構成によれば、容器本体に設けた視認手段により、可撓性のある長尺のテープ体の第1所定長さの引出し及び第2所定長さの引出し、又は、前記テープ体の第1所定長さの引出し、第2所定長さの引出し及び第3所定長さの引出しを視認できるので、前記テープ体を第1所定長さ引き出してエアポンプ装置のモータを停止状態から駆動状態に切り替える切替操作、及び、前記テープ体をさらに第2所定長さ引き出して前記モータを駆動状態から停止状態に切り替える切替操作、又は、前記テープ体を第1所定長さ引き出して前記モータを停止状態から駆動状態に切り替える切替操作、前記テープ体をさらに第2所定長さ引き出して前記モータを駆動状態から停止状態に切り替える切替操作、及び、前記テープ体をさらに第3所定長さ引き出して前記モータを停止状態から駆動状態に切り替える切替操作の作業性を一層向上できるとともに、前記切替操作の確実性を向上できる。
【0012】
また、前記容器本体に、その側方から前記エアポンプ装置を出し入れ可能なエアポンプ装置収容部を設けるとともに、前記テープ体を引き出す操作力による前記エアポンプ装置の移動を規制する当止部を設けてなるとさらに好ましい(請求項6)。
このような構成によれば、容器本体の側方からエアポンプ装置を出し入れできるので、エアポンプ装置の出し入れが容易である。
その上、可撓性のある長尺のテープ体を引き出す操作力によるエアポンプ装置の移動が容器本体に設けた当止部により規制されるので、前記テープ体を引き出す操作を行ってもエアポンプ装置が移動しないため、エアポンプ装置のモータを停止状態又は駆動状態に切り替える切替操作を前記テープ体の引出しにより行う作業の確実性をさらに向上できる。
【0013】
さらに、前記容器本体及び前記蓋体が発泡合成樹脂製であると一層好ましい(請求項7)。
このような構成によれば、活魚輸送容器の容器本体及び蓋体が発泡合成樹脂製であるので、軽量であるとともに断熱性に優れているため、活魚の輸送に好適なものとなる。
その上、容器本体及び蓋体を発泡ポリスチレン製にすることにより低コスト化を図ることができる。
【0014】
本発明に係る活魚輸送方法は、前記課題解決のために、請求項4〜6の何れか1項に記載の活魚輸送容器を用いて、前記活魚輸送容器の容器本体の活魚収容部内に水とともに活魚を収容し、前記容器本体の上面開口を前記活魚輸送容器の蓋体により塞いだ状態で前記活魚を空輸する活魚輸送方法であって、空港まで陸路を輸送する際には、前記テープ体を前記第1所定長さ引き出して前記モータを駆動状態とし、離陸前に、前記テープ体をさらに前記第2所定長さ引き出して前記モータを停止状態として空輸し、着陸後に、前記テープ体をさらに前記第3所定長さ引き出すか、あるいは前記テープ体を引き抜いて前記モータを駆動状態とすることを特徴とする(請求項8)。
【0015】
このような活魚輸送方法によれば、空港まで陸路を輸送する際には、可撓性のある長尺のテープ体を第1所定長さ引き出す簡単な操作を行うことにより、エアポンプ装置のモータを駆動状態にできるので、エア吹込み装置により空気中の酸素を水中に溶け込ませながら輸送できる。
その上、空港まで陸路を輸送した後、航空機に積み込んで離陸する前に、前記テープ体をさらに第2所定長さ引き出す簡単な操作を行うことにより、前記モータを停止状態にできるので、電磁ノイズを抑制できるため航空機の運行の安全が確保される。
その上さらに、航空機が着陸した後には、前記テープ体をさらに第3所定長さ引き出す簡単な操作か、あるいは前記テープ体を引き抜く簡単な操作を行うことにより、前記モータを駆動状態にできるので、エア吹込み装置により空気中の酸素を水中に溶け込ませながら輸送できる。
よって、活魚輸送容器の容器本体にエアポンプ装置を配置した状態で、容器本体の外側から前記テープ体を引き出す簡単な操作により、前記モータの停止及び駆動を切り替えることができるので、前記モータの停止及び駆動を切り替える作業の作業性を向上できる。
なお、活魚輸送容器の容器本体にエアポンプ装置を配置するについては、容器本体内にエアポンプ装置を配置するのが、エアポンプ装置をしっかりと設置するのに最も好ましいが、容器本体の外側に適切な手段にて配置することも可能であり適宜選択できる。