(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1導電型の炭化珪素でできた半導体基板と、前記半導体基板の第1主面上に設けられた、前記半導体基板よりも不純物濃度の低い第1導電型の半導体層と、前記半導体層の表面上に設けられた第2導電型のベース領域と、前記ベース領域の表面領域に設けられた第1導電型のソース領域と、前記ベース領域の表面領域に設けられた、前記ベース領域よりも不純物濃度の高い第2導電型のコンタクト領域と、前記ソース領域及び前記コンタクト領域に接するソース電極と、前記ベース領域の、前記半導体層と前記ソース領域とに挟まれた領域の表面上に設けられたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜の表面上に設けられたゲート電極と、前記半導体基板の第2主面上に設けられたドレイン電極と、を備えた半導体装置の製造方法において、
前記ゲート電極をアルミニウムまたはチタンとアルミニウムを積層した構造の金属で形成し、
前記ゲート電極の終端部の下に、ポリシリコンでできた層を設け、かつ、当該ポリシリコンを当該ゲート電極の終端部より突出させることを特徴とする半導体装置の製造方法。
第1導電型の炭化珪素でできた半導体基板と、前記半導体基板の第1主面上に設けられた、前記半導体基板よりも不純物濃度の低い第1導電型の半導体層と、前記半導体層の表面領域の一部に設けられた第2導電型の半導体領域と、前記半導体領域の表面上に設けられた、前記半導体領域よりも不純物濃度の低い第2導電型のベース領域と、前記半導体層の表面上に前記ベース領域に接して設けられた、前記半導体基板よりも不純物濃度の低い第1導電型の炭化珪素でできたウェル領域と、前記ベース領域の表面領域に前記ウェル領域から離れて設けられた、前記ウェル領域よりも不純物濃度の高い第1導電型のソース領域と、前記半導体領域の表面上に前記ソース領域及び前記ベース領域に接して設けられた、前記ベース領域よりも不純物濃度の高い第2導電型のコンタクト領域と、前記ソース領域及び前記コンタクト領域に接するソース電極と、前記ベース領域の、前記ウェル領域と前記ソース領域とに挟まれた領域の表面上に設けられたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜の表面上に設けられたゲート電極と、前記半導体基板の第2主面上に設けられたドレイン電極と、を備えた半導体装置の製造方法において、
前記ゲート電極をアルミニウムまたはチタンとアルミニウムを積層した構造の金属で形成し、
前記ゲート電極の終端部の下に、ポリシリコンでできた層を設け、かつ、当該ポリシリコンを当該ゲート電極の終端部より突出させることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【背景技術】
【0002】
図5は、従来の半導体装置の第1の例を示す断面図である。
図5に示すように、半導体装置は、n
+型炭化珪素半導体基板101のおもて面上にn型炭化珪素半導体層102を有する。n型炭化珪素半導体層102の表面領域に複数のp型半導体領域103が設けられている。p型半導体領域103の表面領域にn
+型ソース領域104及びp
+型コンタクト領域105が設けられている。n
+型ソース領域104とn型炭化珪素半導体層102との間のp型半導体領域103の上にゲート絶縁膜106を介してゲート電極107が設けられている。n
+型ソース領域104及びp
+型コンタクト領域105にソース電極108が接している。n
+型炭化珪素半導体基板101の裏面にはドレイン電極109が形成されている。
【0003】
図6は、従来の半導体装置の第2の例を示す断面図である。
図6に示すように、半導体装置は、n
+型炭化珪素半導体基板201のおもて面上にn型炭化珪素半導体層202を有する。n型炭化珪素半導体層202の表面領域に複数のp
+型半導体領域210が設けられている。p
+型半導体領域210及びn型炭化珪素半導体層202の上にp型炭化珪素半導体層211が設けられている。p型炭化珪素半導体層211において、隣り合うp
+型半導体領域210とp
+型半導体領域210との間のn型炭化珪素半導体層202の上には、n型半導体領域212が設けられている。p型炭化珪素半導体層211において、各p
+型半導体領域210の上には、p型半導体領域203、n
+型ソース領域204及びp
+型コンタクト領域205が設けられている。n
+型ソース領域204とn型半導体領域212との間のp型半導体領域203の上にゲート絶縁膜206を介してゲート電極207が設けられている。n
+型ソース領域204及びp
+型コンタクト領域205にソース電極208が接している。n
+型炭化珪素半導体基板201の裏面にはドレイン電極209が形成されている。
【0004】
上述した第1の例または第2の例と同様な半導体装置において、ゲート電極がポリシリコンでできているものが開示されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる半導体装置および半導体装置の製造方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。本明細書及び添付図面においては、nまたはpを冠記した層や領域では、それぞれ電子または正孔が多数キャリアであることを意味する。また、nやpに付す+及び−は、それぞれそれが付されていない層や領域よりも高不純物濃度及び低不純物濃度であることを意味する。
【0017】
(実施の形態1)
・実施の形態1にかかる半導体装置の一例
図1は、本発明の実施の形態1にかかる半導体装置の一例を示す断面図である。
図1には、実施の形態1にかかる半導体装置の活性領域が示されている。活性領域には、半導体装置のMOS構造、すなわち素子構造が形成されている。
図1に示す例では、活性領域にMOS構造が1つだけ示されているが、複数のMOS構造が並列に設けられていてもよい。活性領域は、図示しない耐圧構造部によって囲まれていてもよい。
【0018】
図1に示すように、半導体装置は、炭化珪素でできたn
+半導体基板1及びn半導体層2を備えている。n
+半導体基板1は、例えば炭化珪素にN型不純物がドーピングされた炭化珪素単結晶基板であってもよい。n
+半導体基板1は、例えばドレイン領域となる。本実施の形態の説明において、n
+半導体基板1のおもて面は第1主面であり、裏面は第2主面であるとする。
【0019】
n半導体層2は、n
+半導体基板1の第1主面上に設けられている。n半導体層2の不純物濃度は、n
+半導体基板1よりも低い。n半導体層2は、例えば炭化珪素にN型不純物がドーピングされた半導体層であってもよい。n半導体層2は、例えばN型のドリフト層となる。
【0020】
半導体装置は、n
+半導体基板1の第1主面側に、MOS構造として、例えばpベース領域3、n
+ソース領域4、p
+コンタクト領域5、ゲート絶縁膜6、ゲート電極7及びソース電極8を備えている。半導体装置は、n
+半導体基板1の第2主面側に、例えばドレイン電極9となる裏面電極を備えている。
【0021】
pベース領域3は、n半導体層2の表面領域の一部に設けられている。pベース領域3は、例えばn半導体層2の表面領域の別の一部を挟むように設けられていてもよい。つまり、隣り合うpベース領域3とpベース領域3との間にn半導体層2の領域があってもよい。pベース領域3は、例えば炭化珪素にP型不純物がドーピングされた半導体領域であってもよい。
【0022】
n
+ソース領域4は、pベース領域3の表面領域に設けられている。n
+ソース領域4は、隣り合うpベース領域3とpベース領域3との間のn半導体層2の領域から離れて設けられている。n
+ソース領域4の不純物濃度は、n半導体層2よりも高い。
【0023】
p
+コンタクト領域5は、pベース領域3の表面領域において、隣り合うpベース領域3とpベース領域3との間のn半導体層2の領域から離れて設けられている。p
+コンタクト領域5は、pベース領域3及びn
+ソース領域4に接する。p
+コンタクト領域5の不純物濃度は、pベース領域3よりも高い。
【0024】
ゲート絶縁膜6は、pベース領域3の、隣り合うpベース領域3とpベース領域3との間のn半導体層2の領域とn
+ソース領域4とに挟まれた領域の表面上に設けられている。ゲート絶縁膜6は、例えばn半導体層2の領域を挟んで隣り合う一方のpベース領域3の表面上から、n半導体層2の領域の表面上を経て、他方のpベース領域3の表面上まで伸びていてもよい。
【0025】
ゲート電極7は、ゲート絶縁膜6の表面上に設けられている。ゲート電極7は、例えばn半導体層2の領域を挟んで隣り合う一方のpベース領域3の上から、n半導体層2の領域の表面上を経て、他方のpベース領域3の上まで伸びていてもよい。ゲート電極7は、ポリシリコンよりも抵抗の小さい導電性の材料でできていてもよい。ゲート電極7は、例えば金属でできていてもよい。ゲート電極7は、例えばアルミニウム(Al)若しくは窒化チタン(TiN)、またはチタン(Ti)とアルミニウムとを積層した構造の金属(Ti/Al)でできていてもよい。ゲート電極7の終端部分の下には、ポリシリコンでできたポリシリコン層10が設けられている。
【0026】
ソース電極8は、n
+ソース領域4及びp
+コンタクト領域5の表面に、n
+ソース領域4及びp
+コンタクト領域5に接して設けられている。ソース電極8は、n
+ソース領域4及びp
+コンタクト領域5に電気的に接続されている。ソース電極8は、図示しない層間絶縁膜によって、ゲート電極7から絶縁されている。
【0027】
ドレイン電極9は、n
+半導体基板1の第2主面上に設けられている。ドレイン電極9は、導電性の膜、例えば金属膜でできていてもよい。ドレイン電極9は、n
+半導体基板1にオーミック接合している。
【0028】
・実施の形態1にかかる半導体装置の製造方法の一例
まず、N型の炭化珪素でできたn
+半導体基板1を用意する。このn
+半導体基板1の第1主面上に、N型不純物をドーピングしながら炭化珪素でできたn半導体層2をエピタキシャル成長させる。
【0029】
次いで、フォトリソグラフィ技術及びイオン注入法によって、n半導体層2の表面領域の、pベース領域3となる領域に、P型不純物をイオン注入する。次いで、フォトリソグラフィ技術及びイオン注入法によって、pベース領域3となるイオン注入領域の、n
+ソース領域4となる領域に、N型不純物をイオン注入する。
【0030】
次いで、フォトリソグラフィ技術及びイオン注入法によって、pベース領域3となるイオン注入領域の、p
+コンタクト領域5となる領域に、P型不純物をイオン注入する。なお、pベース領域3を設けるためのイオン注入、n
+ソース領域4を設けるためのイオン注入、及びp
+コンタクト領域5を設けるためのイオン注入の順序は、上述した順序に限らず、種々変更可能である。
【0031】
次いで、熱処理(アニール)を行って、例えばpベース領域3、n
+ソース領域4及びp
+コンタクト領域5となる各イオン注入領域を活性化させる。それによって、pベース領域3、n
+ソース領域4及びp
+コンタクト領域5ができる。なお、上述したように1回の熱処理によって各イオン注入領域をまとめて活性化させてもよいし、イオン注入を行うたびに熱処理を行って活性化させてもよい。
【0032】
次いで、pベース領域3、n
+ソース領域4及びp
+コンタクト領域5が設けられた側の面を熱酸化して、この面全体にゲート絶縁膜6を設ける。次いで、ゲート絶縁膜6上に、ポリシリコンでできた層を設ける。このポリシリコンでできた層をパターニングして、ゲート電極7の終端部に対応する位置に残すことによって、ポリシリコン層10を設ける。
【0033】
次いで、ゲート絶縁膜6及びポリシリコン層10の上に、例えばアルミニウム若しくは窒化チタン、またはチタンとアルミニウムとを積層した構造の金属層を設ける。例えばスパッタリングなどの物理気相成長(PVD:Physical Vapor Deposition)法や化学気相成長(CVD:Chemical Vapor Deposition)法によって、ゲート電極7となる金属層を設けてもよい。この金属層をパターニングして、pベース領域3の、n
+ソース領域4とn半導体層2とに挟まれた領域上のゲート絶縁膜6の上、及びポリシリコン層10の上に残すことによって、ゲート電極7を設ける。
【0034】
次いで、n
+ソース領域4及びp
+コンタクト領域5に接するように、ソース電極8を設ける。次いで、n
+半導体基板1の第2主面上に、ドレイン電極9を設ける。そして、熱処理を行って、n
+半導体基板1とドレイン電極9とをオーミック接合する。以上のようにして、
図1に示す半導体装置が完成する。
【0035】
(実施の形態2)
・実施の形態2にかかる半導体装置の一例
図2は、本発明の実施の形態2にかかる半導体装置の一例を示す断面図である。
図2には、実施の形態2にかかる半導体装置の活性領域が示されている。活性領域に半導体装置のMOS構造が形成されていること、活性領域に複数のMOS構造が設けられていてもよいこと、活性領域が耐圧構造部によって囲まれていてもよいことは、実施の形態1と同様である。
【0036】
図2に示すように、半導体装置は、n
+半導体基板1及びn半導体層2を備えている。n
+半導体基板1及びn半導体層2については、実施の形態1と同様であるため、重複する説明を省略する。
【0037】
半導体装置は、n
+半導体基板1の第1主面側に、MOS構造として、例えばpベース領域3、n
+ソース領域4、p
+コンタクト領域5、ゲート絶縁膜6、ゲート電極7、ソース電極8、p
+半導体領域11及びnウェル領域12を備えている。半導体装置は、n
+半導体基板1の第2主面側に、例えばドレイン電極9となる裏面電極を備えている。
【0038】
p
+半導体領域11は、n半導体層2の表面領域の一部に設けられている。p
+半導体領域11は、例えばn半導体層2の表面領域の別の一部を挟むように設けられていてもよい。つまり、隣り合うp
+半導体領域11とp
+半導体領域11との間にn半導体層2の領域があってもよい。p
+半導体領域11は、例えば炭化珪素にP型不純物がドーピングされた半導体領域であってもよい。
【0039】
pベース領域3は、p
+半導体領域11の表面上に設けられている。pベース領域3の不純物濃度は、p
+半導体領域11よりも低い。pベース領域3は、例えば炭化珪素にP型不純物がドーピングされた半導体領域であってもよい。pベース領域3は、例えばエピタキシャル成長法によってn半導体層2の上に積層されたp半導体層の一部であってもよい。
【0040】
nウェル領域12は、n半導体層2の、隣り合うp
+半導体領域11とp
+半導体領域11との間の領域の表面上に、設けられている。nウェル領域12は、pベース領域3に接して設けられている。nウェル領域12の不純物濃度は、n
+半導体基板1よりも低い。nウェル領域12は、例えば上述したようにエピタキシャル成長法によってn半導体層2の上に積層されたp半導体層の一部の導電型を、N型不純物のイオン注入及び熱処理によって反転させた領域であってもよい。nウェル領域12は、例えばn半導体層2とともにn型のドリフト領域となる。
【0041】
n
+ソース領域4は、p
+半導体領域11の上のpベース領域3の表面領域に設けられている。n
+ソース領域4は、nウェル領域12から離れて設けられている。n
+ソース領域4の不純物濃度は、nウェル領域12よりも高い。
【0042】
p
+コンタクト領域5は、pベース領域3を挟んでnウェル領域12の反対側、すなわちnウェル領域12から離れて設けられている。p
+コンタクト領域5は、pベース領域3及びn
+ソース領域4に接する。p
+コンタクト領域5は、例えば上述したようにn半導体層2の上のpベース領域3となるp半導体層を貫通して、p
+半導体領域11に接する。p
+コンタクト領域5の不純物濃度は、pベース領域3よりも高い。
【0043】
ゲート絶縁膜6は、pベース領域3の、nウェル領域12とn
+ソース領域4とに挟まれた領域の表面上に設けられている。ゲート絶縁膜6は、例えばnウェル領域12を挟んで隣り合う一方のpベース領域3の表面上から、nウェル領域12の表面上を経て、他方のpベース領域3の表面上まで伸びていてもよい。
【0044】
ゲート電極7は、ゲート絶縁膜6の表面上に設けられている。ゲート電極7は、例えばnウェル領域12を挟んで隣り合う一方のpベース領域3の上から、nウェル領域12の上を経て、他方のpベース領域3の上まで伸びていてもよい。ゲート電極7は、ポリシリコンよりも抵抗の小さい導電性の材料、例えば金属でできていてもよい。ゲート電極7は、例えばアルミニウム若しくは窒化チタン、またはチタンとアルミニウムとを積層した構造の金属でできていてもよい。ゲート電極7の終端部分の下には、ポリシリコンでできたポリシリコン層10が設けられている。
【0045】
ソース電極8及びドレイン電極9については、実施の形態1と同様であるため、重複する説明を省略する。
【0046】
・実施の形態2にかかる半導体装置の製造方法の一例
まず、N型の炭化珪素でできたn
+半導体基板1を用意する。このn
+半導体基板1の第1主面上に、N型不純物をドーピングしながら炭化珪素でできたn半導体層2をエピタキシャル成長させる。
【0047】
次いで、フォトリソグラフィ技術及びイオン注入法によって、n半導体層2の表面領域の、p
+半導体領域11となる領域に、P型不純物をイオン注入する。次いで、n半導体層2の表面上に、P型不純物をドーピングしながら炭化珪素でできたp半導体層をエピタキシャル成長させる。このp半導体層は、pベース領域3となる。
【0048】
次いで、フォトリソグラフィ技術及びイオン注入法によって、pベース領域3となるp半導体層の、nウェル領域12となる領域に、N型不純物をイオン注入する。次いで、フォトリソグラフィ技術及びイオン注入法によって、pベース領域3となるp半導体層の、n
+ソース領域4となる領域に、N型不純物をイオン注入する。
【0049】
次いで、フォトリソグラフィ技術及びイオン注入法によって、pベース領域3となるp半導体層の、p
+コンタクト領域5となる領域に、P型不純物をイオン注入する。なお、p
+半導体領域11を設けるためのイオン注入、nウェル領域12を設けるためのイオン注入、n
+ソース領域4を設けるためのイオン注入、及びp
+コンタクト領域5を設けるためのイオン注入の順序は、上述した順序に限らず、種々変更可能である。
【0050】
次いで、熱処理(アニール)を行って、例えばp
+半導体領域11、nウェル領域12、n
+ソース領域4及びp
+コンタクト領域5となる各イオン注入領域を活性化させる。それによって、p
+半導体領域11、nウェル領域12、n
+ソース領域4及びp
+コンタクト領域5ができる。なお、上述したように1回の熱処理によって各イオン注入領域をまとめて活性化させてもよいし、イオン注入を行うたびに熱処理を行って活性化させてもよい。
【0051】
次いで、pベース領域3、n
+ソース領域4、p
+コンタクト領域5及びnウェル領域12が設けられた側の面を熱酸化して、この面全体にゲート絶縁膜6を設ける。次いで、ゲート絶縁膜6上に、ポリシリコンでできた層を設ける。このポリシリコンでできた層をパターニングして、ゲート電極7の終端部に対応する位置に残すことによって、ポリシリコン層10を設ける。
【0052】
次いで、ゲート絶縁膜6及びポリシリコン層10の上に、例えばスパッタリングなどの物理気相成長法や化学気相成長法によって、例えばアルミニウム若しくは窒化チタン、またはチタンとアルミニウムとを積層した構造の金属層を設ける。この金属層をパターニングして、pベース領域3の、n
+ソース領域4とnウェル領域12とに挟まれた領域上のゲート絶縁膜6の上、及びポリシリコン層10の上に残すことによって、ゲート電極7を設ける。
【0053】
次いで、n
+ソース領域4及びp
+コンタクト領域5に接するように、ソース電極8を設ける。次いで、n
+半導体基板1の第2主面上に、ドレイン電極9を設け、熱処理を行って、n
+半導体基板1とドレイン電極9とをオーミック接合する。以上のようにして、
図2に示す半導体装置が完成する。
【0054】
実施の形態1または実施の形態2にかかる半導体装置において、ソース電極8に対してドレイン電極9に正の電圧が印可された状態で、ゲート電極7にしきい値電圧Vth未満の電圧が印可されるとする。この場合、実施の形態1にかかる半導体装置では、pベース領域3とn半導体層2との間のPN接合、実施の形態2にかかる半導体装置では、pベース領域3とnウェル領域12との間のPN接合が、それぞれ逆バイアスされた状態となるため、半導体装置には電流が流れない。
【0055】
一方、実施の形態1または実施の形態2にかかる半導体装置において、ソース電極8に対してドレイン電極9に正の電圧が印可された状態で、ゲート電極7にしきい値電圧Vth以上の電圧が印可されるとする。この場合、ゲート電極7の下のpベース領域3に反転層が形成されるため、半導体装置には電流が流れる。このように、ゲート電極7に印加する電圧によって、半導体装置のスイッチング動作を行うことができる。
【0056】
・実施例
図1または
図2に示す実施の形態にかかる半導体装置、すなわちゲート電極7が金属でできている半導体装置を実施例とする。
図5または
図6に示す従来の半導体装置、すなわちゲート電極107,207がポリシリコンでできている半導体装置を比較例とする。
【0057】
実施例と比較例とについて、ターンオン時の電流−電圧波形を評価した。
図3は、本発明の実施の形態1、2にかかる半導体装置のターンオン時の電流−電圧波形の一例を示す波形図である。
図4は、従来の半導体装置のターンオン時の電流−電圧波形の一例を示す波形図である。
図3及び
図4において、縦軸はゲート電圧、ドレイン−ソース間電圧及びドレイン電流であり、横軸は時間である。
図4に示すように、比較例では、ターンオン時に過渡的に過大な電流が流れているのがわかる。それに対して、
図3に示すように、実施例では、ターンオン時に過渡的に流れる電流が抑えられているのがわかる。
【0058】
実施の形態1または実施の形態2によれば、ゲート電極7が金属でできているため、ゲート−ドレイン間の容量とゲート電極の抵抗との積で決まる時定数が小さくなる。それによって、ドレイン−ソース間の容量に充電された電荷がターンオン時に放電され、ゲート−ソース間電位が下がり、過渡的なしきい値電圧Vthの低下が抑制される。従って、ターンオン時の電流の増加を抑制し、ターンオン時の損失を抑えることができる。また、実施の形態1または実施の形態2によれば、チップ内にてアンバランスが発生しにくくなるため、チップ内に発生する局所的なアンバランスによる過度的なしきい値電圧Vthの低下が抑制される。従って、ターンオン時の電流の増加を抑制し、ターンオン時の損失を抑えることができるとともに、過度的なアンバランスを抑制することができる。また、実施の形態1または実施の形態2によれば、ゲート電極7の終端部の下にポリシリコン層10が設けられているため、ポリシリコン層10の表面の凹凸によって、ゲート電極7の終端部とポリシリコン層10の表面との密着強度が高まる。従って、ゲート電極7が剥がれるのを防ぐことができる。また、実施の形態1または実施の形態2によれば、ゲート電極7の中心部の下にポリシリコンがないため、ゲート容量を低減することができる。
【0059】
以上において本発明は、上述した各実施の形態に限らず、種々変更可能である。例えば、各実施の形態では第1導電型をN型とし、第2導電型をP型としたが、本発明は第1導電型をP型とし、第2導電型をN型としても同様に成り立つ。