(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1実施形態)
以下、図面を参照して、第1実施形態を説明する。
図1に、第1実施形態の画像描画装置1の機能ブロック図を示す。画像描画装置1は、具体的にはヘッドアップディスプレイ装置であり、主に車両に搭載され、ユーザである運転者等に各種情報を虚像として提示する。画像描画装置1が、ヘッドアップディスプレイ装置として用いられる場合は、経路案内を目的とした画像や、警告を目的とした画像、さらには、コンテンツ再生に基づく画像や、各種UI(User Interface)に関する画像などを描画画像に基づく虚像として提示する。また、これらの画像は、静止画または動画を問わない。
【0013】
画像描画装置1は、制御部2、レーザ光源部3、スキャナ部4、DDRメモリ5(Double Data Rate)、遮蔽手段としての遮蔽板9を備える。
【0014】
制御部2は、図示しない中央演算処理器としてのCPU(Central Processing Unit)と、読み書き自由のRAM(Random Access Memory)、読み出し専用のROM(Read Only Memory)等を備えている。そして、CPUがROMに記憶されている画像描画プログラムを読み出して実行することで、画像描画プログラムは、CPUなどのハードウェアを、レーザ光源制御部6、スキャナ制御部7、特性検出制御部8として機能させる。
【0015】
レーザ光源部3は、レーザ光を出力するレーザモジュール10と、レーザモジュール10に備えられているレーザダイオード101を駆動するレーザドライバ11と、を有する。本実施形態において、レーザモジュール10は、赤色レーザダイオード101R、緑色レーザダイオード101G、青色レーザダイオード101B、各々のレーザダイオード101に対応するダイクロイックミラー102、およびフォトダイオード14によって構成されている。レーザモジュール10が備える各々のレーザダイオード101から出力された各色のレーザ光は、ダイクロイックミラー102によって合成されてスキャナ部4に出力される。レーザドライバ11は、制御部2からのレーザ駆動信号に基づき、レーザモジュール10が備えるレーザダイオード101を駆動する。
【0016】
ダイクロイックミラー102Rは、赤色レーザダイオード101Rから出力される赤色の波長の光をほぼ100%反射させる特性を有する。ダイクロイックミラー102Gは、赤色レーザダイオード101Rから出力される赤色の波長の光をほぼ100%透過させるとともに、緑色レーザダイオード101Gから出力される緑色の波長の光をほぼ100%反射させる特性を有する。ダイクロイックミラー102Bは、赤色レーザダイオード101Rから出力される赤色の波長の光および緑色レーザダイオード101Gから出力される緑色の波長の光を約98%反射させるとともに約2%透過させる特性を有する。さらにダイクロイックミラー102Bは、青色レーザダイオード101Bから出力される青色の波長の光を約98%透過させるとともに約2%反射させる特性を有する。
【0017】
上記のようなダイクロックミラー102の構成により、各々のレーザダイオード101から出力されたレーザ光の約98%はスキャナ部12で反射され、約2%のレーザ光は、フォトダイオード14に入射される。フォトダイオード14は、光量測定手段として入射した各々のレーザ光の光量を測定し、測定結果を制御部2に出力する。レーザダイオード101およびダイクロイックミラー102の配置は
図1に示した配置に限らず、スキャナ部4およびフォトダイオード14に同様の出力がされればよい。
【0018】
スキャナ部4は、レーザ光源部3から出力されたレーザ光を反射して走査するスキャナ12と、スキャナ12を駆動するスキャナドライバ13と、スキャナ12の走査角を検出する走査角検出手段としての走査角検出部15と、を有する。スキャナ12は、レーザ光を垂直方向(第1走査方向)で走査する垂直ミラー12aと、レーザ光を水平方向(第2走査方向)で走査する水平ミラー12bと、を有する。垂直ミラー12a及び水平ミラー12bは、何れもMEMS(micro electro mechanical system)ミラーによって構成されている。スキャナドライバ13は、制御部2からのスキャナ駆動信号に基づき、スキャナ12を駆動する。走査角検出部15は、垂直ミラー12a及び水平ミラー12bの走査角を検出し、検出結果を制御部2に出力する。
【0019】
スキャナ12を垂直ミラー12aおよび水平ミラー12bとで構成する場合、垂直ミラー12aは、一般的にスキャナドライバ13によって制御される走査角および揺動周波数で動作する。水平ミラー12bは、揺動周波数が高いため一般的には共振による走査角および揺動周波数で動作するが、水平ミラー12bも、垂直ミラー12a同様にスキャナドライバ13によって制御される走査角および揺動周波数で動作する構成であってもよい。
【0020】
制御部2に入力された入力画像データに基づき、レーザ光源部3から出力されたレーザ光がスキャナ部4によって走査されることで、描画画像が生成される。
図1の例においては、スキャナ部4で走査されたレーザ光は、スクリーン16に投映される形態となっている。スクリーン16は、画像描画装置1がヘッドアップディスプレイ装置として用いられる場合は、一般的に中間像スクリーンである。ヘッドアップディスプレイの構造は図示しないが、中間像スクリーン上に投映された描画画像は、凹面鏡等の反射を介して、コンバイナや自動車のウィンドシールドに投映される。
【0021】
DDRメモリ5は、制御部2に入力された入力画像データを一時的に保存するフレームバッファである。
【0022】
遮蔽板9は、レーザ光を遮蔽する板である。遮蔽板9によって遮蔽されたレーザ光は、スクリーン16を越えて投映方向に至ることはない。遮蔽板9は、スキャナ部4が反射するレーザ光のうち、描画画像が描画される範囲のレーザ光は遮蔽せず、特性検出レーザ光を遮蔽する形状である。遮蔽板9は、画像描画装置1の筐体、またはスキャナ部4やレーザ光源部3を備えるユニットの筐体を用いて形成される。また、遮蔽板9が設置される位置は、スキャナ部4がモジュールとして画像描画装置1に設置されている場合、そのモジュールからレーザ光が出射する位置、または画像描画装置1の筐体からスクリーン16にレーザ光が出射される位置、さらにはスクリーン16の前部または後部であってもよい。
【0023】
レーザ光源制御部6は、レーザ駆動信号をレーザドライバ11に出力することで、レーザダイオード10の出力を制御する機能部である。レーザ光源制御部6は、レーザ駆動信号用フレームバッファ6aを有する。レーザ光源制御部6は、DDRメモリ5から1フレーム分の入力画像データを読み込み、読み込んだ入力画像データをレーザ駆動データとしてレーザ駆動信号用フレームバッファ6aにそのまま保存する。
図2には、入力画像データ1フレーム分の描画画像例を示している。説明の便宜上、入力画像データのピクセルサイズはn行m列であるとし、入力画像データの画像は中央に赤い真円が描かれたものとする。
図3は、レーザ駆動データを示している。レーザ駆動データは、スキャナ部4の走査と同期して、n行m列のピクセルサイズである1フレームの画像を生成するように構成される。
図2及び
図3に示すように、レーザ駆動データは、通常、入力画像データと全く同じデータとなる。レーザ光源制御部6は、レーザ駆動信号用フレームバッファ6aに保存しているレーザ駆動データをドットクロックに従ってレーザ駆動信号として順番にレーザドライバ11に出力する。したがって、レーザ光源制御部6は、スキャナ部4が走査する走査範囲内に入力画像データに基づく描画画像が、スキャナ部4の走査によって生成されるように、レーザ光の出力タイミングを制御する。また、レーザ光源制御部6は、入力画像データに基づく描画画像の色や輝度に応じて、適切な出力値となるように、赤色、青色、緑色各々のレーザダイオードの駆動を制御する。
【0024】
スキャナ制御部7は、スキャナ駆動信号をスキャナドライバ13に出力することで、スキャナ12によるレーザ光の走査を制御する機能部である。
図4には、垂直ミラー12aの垂直走査角aと水平ミラー12bの水平走査角bの一例を示している。
図4に示すように、垂直走査角aは三角波によって表され、水平走査角bは正弦波によって表される。垂直走査角aの振幅及び走査中心は一定であり、水平走査角bの振幅及び走査中心も一定である。垂直ミラー12aの走査周波数は例えば60Hzである。水平ミラー12bの走査周波数は、垂直ミラー12aの走査周波数よりも高く例えば15kHzである。本明細書では、説明の便宜上、水平ミラー12bの走査周波数は、垂直ミラー12aの走査周波数の12倍としている。
図5には、画像描画装置1が入力画像データに基づいてスクリーン16上に画像を描画した様子を示している。
図5において細い実線は、スキャナ12の走査位置の軌跡を示している。
図5に示すように、スキャナ12の走査位置の軌跡は矩形の枠内に収まっている。この矩形の枠内の領域を走査領域SAと称する。走査領域SAの水平幅SAHは
図4の水平走査角bの振幅HAに対応している。同様に、
図5の走査領域SAの垂直幅SAVは
図4の垂直走査角aの振幅VAに対応している。走査領域SAは、画像描画領域DAとブランキング領域BAに区分される。画像描画領域DAは、走査領域SAの内側の領域であって、画像が実際に描かれる矩形領域である。ブランキング領域BAは、画像描画領域DAを取り囲む矩形枠状の領域であって、描画画像を描画するためのレーザ光が出力されない領域である。ブランキング領域BAは、更に、上ブランキング領域BAUと下ブランキング領域BAD、左ブランキング領域BAL、右ブランキング領域BARを有する。上ブランキング領域BAUは、ブランキング領域BAのうち画像描画領域DAよりも上側となる領域である。上ブランキング領域BAUの水平幅は水平幅SAHと等しい。下ブランキング領域BADは、ブランキング領域BAのうち画像描画領域DAよりも下側となる領域である。下ブランキング領域BADの水平幅は水平幅SAHと等しい。左ブランキング領域BALは、ブランキング領域BAのうち画像描画領域DAよりも左側となる領域である。左ブランキング領域BALの垂直幅は垂直幅SAVと等しい。右ブランキング領域BARは、ブランキング領域BAのうち画像描画領域DAよりも右側となる領域である。右ブランキング領域BARの垂直幅は垂直幅SAVと等しい。上ブランキング領域BAUは、左ブランキング領域BALと右ブランキング領域BARに対して一部重複している。下ブランキング領域BADは、左ブランキング領域BALと右ブランキング領域BARに対して一部重複している。以下、
図4及び
図5を参照して、スキャナ12の走査を詳しく説明する。
【0025】
図4に示すように、垂直走査は、時間軸上、順に、走査位置が上ブランキング領域BAUを下向きに移動する上ブランキング領域走査期間P1、走査位置が上ブランキング領域BAUと下ブランキング領域BADの間で下向きに移動する画像描画領域走査期間P2、走査位置が下ブランキング領域BADを下向きに移動する下ブランキング領域走査期間P3、走査位置が走査領域SAを上向きに移動する垂直復帰走査期間P4、の繰り返しによって成り立っている。入力画像データの画像は画像描画領域走査期間P2でスクリーン16上に描画され、時間軸上で連続する下ブランキング領域走査期間P3と垂直復帰走査期間P4と上ブランキング領域走査期間P1の期間では、スクリーン16上に何も描画されない。以下、画像描画領域走査期間P2を、画像を描画する期間としての画像描画期間Q1と称する。時間軸上で連続する下ブランキング領域走査期間P3と垂直復帰走査期間P4と上ブランキング領域走査期間P1によって構成される期間を、画像を描画しない期間としての非画像描画期間Q2と称する。従って、垂直走査は、時間軸上、画像描画期間Q1と非画像描画期間Q2の繰り返しによって成り立っている。また、時間軸上で連続する1つの垂直復帰走査期間P4と1つの上ブランキング領域走査期間P1と1つの画像描画領域走査期間P2と1つの下ブランキング領域走査期間P3によって構成される期間を、1フレーム分の期間としてのフレーム期間Fと称する。従って、垂直走査は、時間軸上、フレーム期間Fの繰り返しによって成り立っている。
【0026】
垂直走査の走査中心の垂直走査角aを垂直走査角中心a0とし、垂直走査の上側の折り返し時における垂直走査角aを上折り返し走査角a1とし、垂直走査の下側の折り返し時における垂直走査角aを下折り返し走査角a2とする。同様に、水平走査の走査中心の水平走査角bを水平走査角中心b0とし、水平走査の右側の折り返し時における水平走査角bを右折り返し走査角b1とし、水平走査の左側の折り返し時における水平走査角bを左折り返し走査角b2と称する。
【0027】
特性検出制御部8は、レーザダイオード101に印加される所定の駆動電流に対して、適切な出力光量が得られているかを定期的に検出する機能部である。例えば、周辺温度の低下などによって、レーザダイオード101がI-L特性の定格値による光量が得られないことがある。この場合、赤色、青色、緑色各々のレーザダイオード101の特性が異なることにより、生成される描画画像の色調が変化してしまう。
図1において、特性検出制御部8は、レーザダイオード101を構成する赤色、青色、緑色各々のレーザダイオード101に特性検出レーザ光を出力させ、特性検出レーザ光の光量を測定したフォトダイオード14からの測定結果に基づいて、各々のレーザダイオード101が適切な光量を出力するように、レーザドライバ11の駆動電流を制御する。このような処理を、以下APC(Auto Power Control)処理とする。特性検出レーザ光とは、各々のレーザダイオード101が出力するレーザ光の出力値を検出するための試験的なレーザ光である。特性検出制御部8は、検出した出力値をレーザ光源制御部6にフィードバックさせることで、レーザ光源制御部6によるレーザドライバ11の制御を最適化している。特性検出制御部8がAPC処理を実行する頻度としては、例えば120フレームにつき1回程度である。
【0028】
また、特性検出制御部8は、APC処理を行うとき、スキャナ12の走査の振幅が所定の振幅(第1の振幅)より拡大された振幅(第2の振幅)で走査されるように、スキャナ制御部7を制御する。所定の振幅とは、垂直ミラー12aの場合は振幅VAであり、水平ミラー12bの場合は振幅HAである。特性検出処理部8によるAPC処理は、描画画像の1フレーム分の期間に実行することが適切である。さらに、特性検出制御部8は、APC処理を行うとき、描画画像が生成される領域外に特性検出レーザ光が出力されるように、レーザ光源制御部6を制御する。
【0029】
以下、説明の便宜上、複数のフレーム期間Fのうち特性検出制御部8によるAPC処理が行われるフレーム期間Fを特別に特性検出フレーム期間FILと称し、特性検出フレーム期間FIL以外のフレーム期間Fを通常フレーム期間FDと称する。
【0030】
以下、画像描画装置1の動作のうち、特性検出制御部8によるAPC処理について詳細に説明する。
【0031】
図6には画像描画装置1の制御フローを示し、
図7には垂直走査角と水平走査角の時間変化を示すグラフを示している。ここでは、
図7に示すように、時間軸上で現れる1つ目のフレーム期間Fと3つ目のフレーム期間Fが通常フレーム期間FDであり、2つ目のフレーム期間Fが特性検出フレーム期間FILであるとする。
【0032】
特性検出制御部8は、先ず、次のフレーム期間Fが特性検出フレーム期間FILであるか判定する(S100)。次のフレーム期間Fが特性検出フレーム期間FILでないと判定した場合は(S100:NO)、次のフレーム期間Fは通常フレーム期間FDであるため、特性検出制御部8は、上記判定を繰り返す。次のフレーム期間Fが特性検出フレーム期間FILであると判定した場合は(S100:YES)、特性検出制御部8は、
図7に示すように、特性検出フレーム期間FILにおいてスキャナ12が拡大された振幅で走査されるようにスキャナ制御部7に指令する(S110)。本実施形態では、スキャナ制御部7は、特性検出フレーム期間FILにおいて垂直走査の振幅を拡大する。
図7に示すように、スキャナ制御部7は、特性検出フレーム期間FILにおける垂直走査の振幅VAILが、通常フレーム期間FDにおける垂直走査の振幅VAと比較して大きくなるように、特性検出フレーム期間FILにおける垂直走査の振幅を拡大する。一方で、スキャナ制御部7は、特性検出フレーム期間FILにおける水平走査を、通常フレーム期間FDにおける水平走査のままとする。
【0033】
次に、特性検出制御部8は、特性検出フレーム期間FILで使用されるレーザ駆動データを生成するようにレーザ光源制御部6に指令する(S115)。具体的には、レーザ光源制御部6は、通常フレーム期間FDにおける垂直走査の振幅VAと、特性検出フレーム期間FILにおける垂直走査の振幅VAILと、の比率に基づいて、特性検出フレーム期間FILのレーザ駆動データを生成する。
図8は、特性検出フレーム期間FILのレーザ駆動データ例を示している。振幅VAILが振幅VAの1.2倍に設定された場合は、レーザ光源制御部6は、
図2の画像を垂直方向で83%となるように縮小させることで、特性検出フレーム期間FILのレーザ駆動データを生成する。これにより、
図9に示すように、特性検出フレーム期間FILにおいて描画される描画画像の大きさは、通常フレーム期間FDにおいて描画される描画画像(
図5参照)の大きさと等しくなり、ユーザにとって違和感が生じ難くなる。
【0034】
次に、特性検出制御部8は、特性検出フレーム期間FILでレーザモジュール10から特性検出レーザ光を出力するように、レーザ光源制御部6に指令する(S120)。
図7は、特性検出レーザ光が出力されるタイミングを示している。特性検出レーザ光は、特性検出フレーム毎に、赤色、青色、緑色各々のレーザダイオード101から出力され、各々のレーザダイオード101の出力光量をフォトダイオード14が測定する。
図9には、特性検出レーザ光が投映される領域を、走査の軌跡に重ね合わせるように太線で示している。
図7及び
図9に示すように、レーザ光源制御部6は、通常フレーム期間FDにおける走査領域SA(以下、単に走査領域SAと称する。)の外側をスキャナ12が走査している間に、レーザモジュール10から特性検出レーザ光を出力するように各々のレーザダイオード101の出力を制御する。
図1に示す遮蔽板9は、走査領域SAの外側をスキャナ12が走査している間にレーザモジュール10から出力された特性検出レーザ光を遮蔽するような位置に配置されている。以上の処理によれば、描画画像の形状を殆ど変化させることなく、特性検出レーザ光が投映される位置を描画画像の位置から垂直方向にさらに離間させることができる。このため、遮蔽板9によって遮蔽されている特性検出レーザ光の乱反射による迷光が、描画画像領域DAに映りこんでしまうことを低減し、描画画像の品位の低下を抑制することができる。
【0035】
次に、特性検出制御部8は、特性検出レーザ光の光量を測定したフォトダイオード14からの測定結果を取得し(S130)、取得した測定結果に基づいて各々のレーザダイオード101の実際の出力値を検出し(S140)、検出結果に基づいて各々のレーザダイオード101が適切な光量を出力するように、レーザ光源制御部6を制御する。
【0036】
以上に、第1実施形態を説明したが、上記第1実施形態は以下のように変更できる。
【0037】
例えば、特性検出レーザ光を出力するタイミングとしては、走査領域SAの外側をスキャナ12が走査している間であれば、どのタイミングであっても構わない。例えば、そのタイミングが、垂直復帰走査期間P4内であっても、上ブランキング領域走査期間P1、画像描画領域走査期間P2、下ブランキング領域走査期間P3内であっても構わない。
【0038】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態を説明する。以下、本実施形態が上記第1実施形態と異なる点を中心に説明し、重複する説明は省略する。
【0039】
上記第1実施形態において特性検出制御部8は、特性検出フレーム期間FILにおいて垂直走査の振幅を拡大することとした。これに対し、本実施形態では、
図10及び
図12に示すように、特性検出フレーム期間FILにおいて水平走査の振幅を拡大することとしている。
【0040】
即ち、特性検出制御部8は、先ず、次のフレーム期間Fが特性検出フレーム期間FILであるか判定する(S100)。次のフレーム期間Fが特性検出フレーム期間FILでないと判定した場合は(S100:NO)、次のフレーム期間Fは通常フレーム期間FDであるため、特性検出制御部8は、上記判定を繰り返す。次のフレーム期間Fが特性検出フレーム期間FILであると判定した場合は(S100:YES)、特性検出制御部8は、
図10に示すように、特性検出フレーム期間FILにおいてスキャナ12が拡大された振幅で走査されるようにスキャナ制御部7に指令する(S110)。
図10に示すように、スキャナ制御部7は、特性検出フレーム期間FILにおける水平走査の振幅HAILが、通常フレーム期間FDにおける水平走査の振幅HAと比較して大きくなるように、特性検出フレーム期間FILにおける水平走査の振幅を拡大する一方で、スキャナ制御部7は、特性検出フレーム期間FILにおける垂直走査を、通常フレーム期間FDにおける垂直走査のままとする。
【0041】
次に、特性検出制御部8は、特性検出フレーム期間FILで使用されるレーザ駆動データを生成するようにレーザ光源制御部6に指令する(S115)。具体的には、レーザ光源制御部6は、通常フレーム期間FDにおける水平走査の振幅HAと、特性検出フレーム期間FILにおける水平走査の振幅HAILと、の比率に基づいて、特性検出フレーム期間FILのレーザ駆動データを生成する。
図11には、特性検出フレーム期間FILのレーザ駆動データを示している。振幅HAILが振幅HAの1.2倍に設定された場合は、レーザ光源制御部6は、
図2の画像を水平方向で83%となるように縮小させることで、特性検出フレーム期間FILのレーザ駆動データを生成する。これにより、
図12に示すように、特性検出フレーム期間FILにおいて描画される描画画像の大きさは、通常フレーム期間FDにおいて描画される描画画像(
図5参照)の大きさと等しくなり、ユーザにとって違和感が生じ難くなる。
【0042】
次に、特性検出制御部8は、特性検出フレーム期間FILでレーザモジュール10から特性検出レーザ光を出力するように、レーザ光源制御部6に指令する(S120)。
図10には、特性検出レーザ光が出力されるタイミングを示している。特性検出レーザ光は、特性検出フレーム毎に、赤色、青色、緑色各々のレーザダイオード101から出力され、各々のレーザダイオード101の出力光量をフォトダイオード14が測定する。
図12には、特性検出レーザ光が投映される領域を、走査の軌跡に重ね合わせるように太線で示している。
図10及び
図12に示すように、レーザ光源制御部6は、走査領域SAの外側をスキャナ12が走査している間に、レーザモジュール10から特性検出レーザ光を出力するように各々のレーザダイオード101の出力を制御する。
図1に示す遮蔽板9は、走査領域SAの外側をスキャナ12が走査している間にレーザモジュール10から出力された特性検出レーザ光を遮蔽するような位置に配置されている。以上の処理によれば、描画画像の形状を殆ど変化させることなく、特性検出レーザ光が投映される位置を描画画像の位置から水平方向にさらに離間させることができる。このため、遮蔽板9によって遮蔽されている特性検出レーザ光の乱反射による迷光が、描画画像領域に映りこんでしまうことを低減し、描画画像の品位の低下を抑制することができる。
【0043】
次に、特性検出制御部8は、特性検出レーザ光の光量を測定したフォトダイオード14からの測定結果を取得し(S130)、取得した測定結果に基づいて各々のレーザダイオード101の実際の出力値を検出し(S140)、検出結果に基づいて各々のレーザダイオード101が適切な光量を出力するように、レーザ光源制御部6を制御する。
【0044】
以上に、第2実施形態を説明したが、上記第2実施形態は以下のように変更できる。
【0045】
例えば、特性検出レーザ光を出力するタイミングとしては、走査領域SAの外側をスキャナ12が走査している間であれば、どのタイミングであっても構わない。例えば、そのタイミングが、垂直復帰走査期間P4内であっても、上ブランキング領域走査期間P1、画像描画領域走査期間P2、下ブランキング領域走査期間P3内であっても構わない。
【0046】
以上に、第1実施形態及び第2実施形態を説明したが、上記各実施形態は、以下の特長を有している。
【0047】
(1)画像描画装置1は、レーザ光を出力するレーザ光源部3と、レーザ光源部3から出力されたレーザ光を反射させて走査するスキャナ部4と、スキャナ部4が走査する走査領域内に入力画像データに基づく描画画像がスキャナ部4の走査によって生成されるように、レーザ光源部3のレーザ光出力タイミングおよびレーザ光の出力値を制御し、レーザ光源部3が出力するレーザ光の出力値を検出するための特性検出レーザ光をレーザ光源部3に出力させる制御を行うレーザ光源制御部6と、スキャナ部4がレーザ光を所定振幅VA(又は振幅HA)で走査するように、スキャナ部4の走査を制御するスキャナ制御部7と、レーザ光源部3が出力するレーザ光の出力値を調整するときに、スキャナ部4の垂直走査(又は水平走査)の振幅が所定振幅(VA又はHA)より拡大された振幅で走査されるようにスキャナ制御部7を制御すると共に、描画画像が生成される領域外に特性検出レーザ光を出力するように、レーザ光源制御部6を制御して、特性検出レーザ光によるレーザ光の出力値の検出結果に基づきレーザ光の出力値を調整する特性検出制御部8と、を備える。以上の構成によれば、APC処理時に出力される特性検出レーザ光の照射による描画画像の描画品質低下を抑制することができる。
【0048】
(2)また、特性検出制御8は、スキャナ部4が拡大された振幅で走査されるとき、所定振幅と拡大された振幅との比率に基づいて、描画画像のサイズが一定となるようにレーザ光源制御部6を制御する。
【0049】
上記各実施形態は、例えば、以下のように変更できる。
【0050】
特性検出フレーム期間FILの描画データは、入力画像データの平均色調による単一色調、及び、入力画像データの平均輝度による単一輝度としてもよい。
【0051】
このように、入力画像データの平均色調による単一色調、及び、入力画像データの平均輝度による単一輝度の画像を、特性検出フレーム期間FILに挿入する理由としては、所定振幅と拡大された振幅との比率に基づいて描画画像のサイズが一定となるように描画された描画画像であっても、完全に同一の画像ではないためである。連続した複数のフレームのうち1フレームにそのような描画画像が挿入されることにより、違和感を感じる場合がある。
【0052】
入力画像データの平均色調による単一色調、及び、入力画像データの平均輝度による単一輝度の画像は、入力画像データに基づいて、特性検出制御部8が生成する。特性検出生成部8は、特性検出フレーム期間FILの直前のフレーム期間の描画データに対して、1フレームを構成する描画画像の全画素に対する色情報および輝度情報から、平均色調および平均輝度を算出し、算出した平均色調および平均輝度からなる描画画像を生成する。
【0053】
このような処理により、簡易な制御で、特性検出制御部8によるAPC処理の前後で発生する違和感を抑えることができる。