特許第6295967号(P6295967)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6295967
(24)【登録日】2018年3月2日
(45)【発行日】2018年3月20日
(54)【発明の名称】描画装置及び描画方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 26/10 20060101AFI20180312BHJP
   G09G 3/02 20060101ALI20180312BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20180312BHJP
   G09G 3/34 20060101ALI20180312BHJP
【FI】
   G02B26/10 C
   G09G3/02 A
   G09G3/20 612T
   G09G3/34 J
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-9915(P2015-9915)
(22)【出願日】2015年1月22日
(65)【公開番号】特開2016-133746(P2016-133746A)
(43)【公開日】2016年7月25日
【審査請求日】2017年3月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】中野 達矢
【審査官】 右田 昌士
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−317681(JP,A)
【文献】 特開2014−130256(JP,A)
【文献】 特開2014−086426(JP,A)
【文献】 特開2013−164503(JP,A)
【文献】 特開平11−295630(JP,A)
【文献】 特開2009−278270(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0094676(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 26/10 − 26/12
G09G 3/02
G09G 3/20
G09G 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を出力するレーザ光源部と、
前記レーザ光を反射して走査する走査ミラー部と、
表示画像データに基づいて、前記走査ミラー部が走査する走査領域よりも狭い描画範囲において前記レーザ光により表示画像を描画するように、前記レーザ光源部の前記レーザ光の出力値を制御する描画制御部と、
前記出力値を調整するための特性検出レーザ光を、前記走査領域内の前記描画範囲の外であって、少なくとも前記描画範囲の下方及び上方において出力するように、前記レーザ光源部を制御する出力調整制御部と
を備え
前記走査ミラー部は、前記走査領域の上方から下方に向けて2次元的に走査し、前記走査領域の下方から上方に復帰するときに前記描画範囲に重ならないように走査し、
前記出力調整制御部は、前記特性検出レーザ光を、前記復帰するときも出力させる、
描画装置。
【請求項2】
前記出力調整制御部は、前記特性検出レーザ光を前記描画範囲の下方及び上方において出力させるとき及び前記復帰するときにおいて、前記特性検出レーザ光を連続させて出力させる、
請求項に記載の描画装置。
【請求項3】
表示画像データを入力する入力ステップと、
前記表示画像データに基づいてレーザ光の出力値を制御して、前記レーザ光を反射して走査する走査ミラー部の走査により、前記走査ミラー部が走査する走査領域よりも狭い描画範囲において表示画像を描画する描画ステップと、
前記描画範囲の外であって、少なくとも前記描画範囲の下方及び上方において、前記出力値を調整するための特性検出レーザ光を出力する調整ステップと
を有する描画装置の描画方法であって、
前記描画ステップにおいて、前記走査ミラー部は前記走査領域の上方から下方に向けて2次元的に走査し、前記走査領域の下方から上方に復帰するときに前記描画範囲に重ならないように走査し、
前記調整ステップでは、前記特性検出レーザ光を、前記復帰するときも出力する
描画装置の描画方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は描画装置及び描画方法に関する。
【背景技術】
【0002】
描画装置として、半導体レーザから出力したレーザ光を二次元的に走査し、スクリーン上に所望の画像を描画して表示するレーザプロジェクタが開発されている(特許文献1参照)。このとき、二次元的な走査の領域は、画像描画領域とブランキング領域とに区分される。画像描画領域とは、表示したい画像を描画する領域である。ブランキング領域とは、画像描画領域を取り囲む枠状の領域である。
【0003】
一般に、半導体レーザなどのレーザ光源の駆動電流と出力光量との関係であるI―L特性は、レーザ光源自体の温度変動により変化してしまう。そこで、特許文献1記載のレーザプロジェクタでは、遮蔽板によってレーザ光が遮蔽されているときにレーザ光源の駆動電流を適切に調整してレーザ光源自体の温度変動を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−164503号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、本願出願人は、レーザ光源から試験的にレーザ光(以下、「レーザ光の出力値を調整するためのレーザ光」、又は、「特性検出レーザ光」という。)を出力し、特性検出レーザ光の出力光量をフォトダイオードで測定することで当該レーザ光源のI−L特性を取得し、このI−L特性に基づいてレーザ光源の駆動電流を定期的に調整するAPC(Auto Power Control)技術を開発している。APC技術においては、特性検出レーザ光がスクリーンに到達することがないように、例えば、特許文献1記載のレーザプロジェクタと同様の遮蔽板等を用いて遮蔽する。
【0006】
しかしながら、これまでのAPC技術では、画像描画領域上方のブランキング領域において、RGBそれぞれについて任意の輝度の特性検出レーザ光を出力していた。このため、画面解像度をXGA(1024x768ピクセル)からWXGA(例えば、1280x768ピクセル)へ拡大変更したり、画像描画領域などへの迷光の影響を防止するために非発光のラスタ(走査線)を確保しようしたりすると、APCに用いることができるブランキング領域が小さくなり、APCに必要な特性検出レーザ光の発光時間を確保できなくなるという問題があった。
【0007】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、レーザ光の出力値を調整するためのレーザ光の発光時間を十分に確保することができる描画装置及び描画方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、本発明は、レーザ光を出力するレーザ光源部と、レーザ光を反射して走査する走査ミラー部と、表示画像データに基づいて、走査ミラー部が走査する範囲よりも狭い範囲においてレーザ光により表示画像を描画するように、レーザ光源部のレーザ光の出力値を制御する描画制御部と、出力値を調整するための特性検出レーザ光を、走査ミラー部が走査する範囲内の描画の範囲の外であって、少なくとも描画範囲の下方及び上方において出力するように、レーザ光源部を制御する出力調整制御部とを備える描画装置を提供する。
【0009】
また、本発明は、表示画像データを入力するステップと、表示画像データに基づいてレーザ光の出力値を制御して、レーザ光により表示画像を描画するステップと、描画の範囲の外であって、少なくとも描画範囲の下方及び上方において、出力値を調整するための特性検出レーザ光を出力するステップとを有する描画方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、レーザ光の出力値を調整するためのレーザ光の発光時間を十分に確保することができる描画装置及び描画方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態に係る描画装置1の概略構成を示すブロック図である。
図2】実施の形態に係るレーザ光源部20の構成を示すブロック図である。
図3】実施の形態に係る走査領域7と特性検出レーザ光の走査位置との関係を説明するための図である。
図4】実施の形態に係るラインカウンタクロック、水平ミラー312の駆動波形及び垂直ミラー311の駆動波形の時間変化を示すタイミングチャートである。
図5】実施の形態に係る描画方法の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本実施の形態に係る描画装置について説明する。
本実施の形態に係る描画装置は、レーザ光を走査することが可能な範囲内において、レーザ光の出力値を調整するためのレーザ光(特性検出レーザ光)を、表示画像を描画する範囲の外であって、少なくとも当該描画する範囲の下方及び上方において出力することにより、レーザ光源の駆動電流を定期的に調整するAPC(Auto Power Control)に必要な特性検出レーザ光の発光時間を十分に確保するものである。
【0013】
まず、本実施の形態に係る描画装置の構成について説明する。
図1は、本実施の形態に係る描画装置1の概略構成を示すブロック図である。
描画装置1は、例えば、主に車両に搭載され、ユーザである運転者等に各種情報を虚像として提示するヘッドアップディスプレイ装置である。
描画装置1は、制御部10、レーザ光源部20、スキャナ部30などを備える。
【0014】
レーザ光源部20は、レーザ光を出力するレーザモジュール21、レーザモジュール21が有するレーザダイオードを駆動するレーザドライバ22、レーザ光の光量を測定するフォトダイオード23などを有する。
【0015】
図2は、本実施の形態に係るレーザ光源部20の構成を示すブロック図である。
レーザモジュール21は、赤色レーザダイオード211R、緑色レーザダイオード211G、青色レーザダイオード211B、各レーザダイオード211R、211G、211Bにそれぞれ対応するダイクロイックミラー212R、212G、212Bなどを有する。レーザダイオード211から出力された各色のレーザ光は、ダイクロイックミラー212によって合波されてスキャナ部30に出力される。
【0016】
ダイクロイックミラー212Rは、赤色レーザダイオード211Rから出力される赤色の波長の光をほぼ100%反射する特性を有する。ダイクロイックミラー212Gは、赤色レーザダイオード211Rから出力される赤色の波長の光をほぼ100%透過させるとともに、緑色レーザダイオード211Gから出力される緑色の波長の光をほぼ100%反射する特性を有する。ダイクロイックミラー212Bは、赤色レーザダイオード211Rから出力される赤色の波長の光及び緑色レーザダイオード211Gから出力される緑色の波長の光を約98%反射するとともに約2%透過させる特性を有する。さらにダイクロイックミラー212Bは、青色レーザダイオード211Bから出力される青色の波長の光を約98%透過させるとともに約2%反射する特性を有する。
【0017】
このようなダイクロイックミラー212の構成により、レーザダイオード211から出力されたレーザ光の約98%はスキャナ部30に入射され、レーザ光の約2%は、フォトダイオード23に入射される。
レーザドライバ22は、制御部10からのレーザ駆動信号に基づいてレーザダイオード211を駆動する。
【0018】
フォトダイオード23は入射したレーザ光の光量を測定し、測定結果を制御部10に出力する。
なお、レーザダイオード211及びダイクロイックミラー212の配置は図2に示したものに限らず、スキャナ部30及びフォトダイオード23に同様の出力がなされれば良い。
【0019】
スキャナ部30は、レーザ光源部20から出力されたレーザ光を反射して走査するスキャナ(走査ミラー部)31、スキャナ31を駆動するスキャナドライバ32、スキャナ31の走査角を検出する走査角検出部(図示せず)などを有する。
スキャナ31は、レーザ光を反射して垂直方向に走査する垂直ミラー311、レーザ光を反射して水平方向に走査する水平ミラー312などを有する。垂直ミラー311及び水平ミラー312は、MEMS(micro electro mechanical system)ミラーによって構成される。
【0020】
スキャナドライバ32は、制御部10からのスキャナ駆動信号に基づき、スキャナ31を駆動する。
スキャナ31を垂直ミラー311及び水平ミラー312で構成する場合に、一般的には、垂直ミラー311はスキャナドライバ32によって制御される走査角及び揺動周波数で動作し、水平ミラー312は揺動周波数が高いために共振による走査角及び揺動周波数で動作する。なお、水平ミラー312は垂直ミラー311と同様にスキャナドライバ32によって制御される走査角及び揺動周波数で動作するようにしても良い。
【0021】
制御部10は、画像処理部11、レーザ光源制御部12、スキャナ制御部13などを有する。
画像処理部11は、入力した表示画像データを往復描画のデータに並び変えてレーザドライバ22に出力する。また、画像処理部11は、レーザ光源部20とスキャナ部30との同期処理、レーザドライバ22の制御処理などを行う。
【0022】
また、画像処理部11は、フォトダイオード23が検出した特性検出レーザ光の強度に基づいてレーザ光源部20の状態を判断し、描画するときのレーザダイオード211の駆動電流値を決定するAPC処理を行う。
また、画像処理部11は、ラインカウンタ(図示せず)を有しており、出力中の表示画像データのライン(画素行)数をカウントし、出力中のラインが画像描画領域なのか、ブランキング領域なのかなどを判断する。
【0023】
レーザ光源制御部12は、レーザ駆動信号をレーザドライバ22に出力して、レーザダイオード211の出力を制御する。このとき、レーザ光源制御部12は、表示画像データに基づく描画画像の色や輝度に応じて、赤色、青色、緑色のレーザダイオード211R、211G、211Bの駆動を制御する。このために、レーザ光源制御部12は、描画制御部121、出力調整制御部122などを有する。
【0024】
描画制御部121は、入力した表示画像データに基づいて、スキャナ31が走査する範囲よりも狭い範囲においてレーザ光により表示画像を描画するように、レーザ光源部20のレーザ光の出力値を制御する。
出力調整制御部122は、レーザ光源部20のレーザ光の出力値を調整するための特性検出レーザ光を、RGBそれぞれ任意の輝度で、表示画像を描画する範囲の外側であって、少なくとも当該描画範囲の下方及び上方において出力するように、レーザ光源部20を制御する。
【0025】
スキャナ制御部13は、スキャナ駆動信号をスキャナドライバ32に出力してスキャナ31によるレーザ光の走査を制御する。スキャナ制御部13は、スキャナ31の走査角を検出する走査角検出部(図示せず)の検出信号を監視して、スキャナ31の走査角、波形の生成、揺動周波数の制御などを行う。
【0026】
このような構成において、制御部10が入力した表示画像データに基づいてレーザ光源部20が出力したレーザ光を、スキャナ部30が反射して走査しスクリーン6に投映することで、表示画像71を描画する。スクリーン6は、描画装置1がヘッドアップディスプレイ装置である場合は、一般的に中間像スクリーンである。ヘッドアップディスプレイ装置の構造は図示しないが、中間像スクリーン上に投映された描画画像は、凹面鏡等の反射を介して、コンバイナや自動車のウィンドシールドに投映される。
【0027】
なお、制御部10が実現する各構成要素は、例えば、コンピュータである制御部10が備える演算装置(図示せず)の制御によって、プログラムを実行させることによって実現できる。より具体的には、制御部10は、記憶部(図示せず)に格納されたプログラムを主記憶装置(図示せず)にロードし、演算装置の制御によってプログラムを実行して実現する。また、各構成要素は、プログラムによるソフトウェアで実現することに限ることなく、ハードウェア、ファームウェア、及びソフトウェアのうちのいずれかの組み合わせ等により実現しても良い
【0028】
上述したプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。
【0029】
また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されても良い。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0030】
次に、本実施の形態に係る描画方法について説明する。
図3は、本実施の形態に係る走査領域7と特性検出レーザ光の走査位置との関係を説明するための図である。
走査領域7は、スキャナ31によりレーザ光を走査することができる領域であって、上記したように画像描画領域71とブランキング領域72とに区分される。画像描画領域71は描画画像を描画するためのレーザ光が出力される矩形領域である。ブランキング領域72は描画画像を描画するためのレーザ光が出力されない領域である。
【0031】
ここでは、ブランキング領域72が、上ブランキング領域72U、下ブランキング領域72D、左ブランキング領域72L、右ブランキング領域72Rで構成されるものとする。上ブランキング領域72Uは、ブランキング領域72のうち画像描画領域71よりも上方となる領域である。下ブランキング領域72Dは、ブランキング領域72のうち画像描画領域71よりも下方となる領域である。同様に、左ブランキング領域72L、右ブランキング領域72Rは、それぞれブランキング領域72のうち画像描画領域71よりも左方、右方となる領域である。
【0032】
本実施の形態に係る描画方法では、スキャナ31の走査軌跡81(細い実線)は走査領域7の範囲に収まる。スキャナ31は走査領域7を上側から下側に向けて、走査領域7の左側、右側を往復するようにラスタースキャンをしながら走査し、また、下側から上側に復帰するように走査する。
【0033】
また、スキャナ31の走査軌跡81のうち、特性検出レーザ光が出力されている期間に対応する走査軌跡82(太い実線)は、下ブランキング領域72D、左ブランキング領域72L、上ブランキング領域72Uの範囲に収まる。つまり、スキャナ31は、下ブランキング領域72D下端まで走査した後に、画像描画領域71内を走査することなく、左ブランキング領域72L内を走査して、上ブランキング領域72Uの上端に復帰する。なお、スキャナ31は、下ブランキング領域72D下端まで走査した後に、右ブランキング領域72R内を走査して、上ブランキング領域72Uの上端に復帰しても良い。
【0034】
図4は、本実施の形態に係るラインカウンタクロック、水平ミラー312の駆動波形及び垂直ミラー311の駆動波形の時間変化を示すタイミングチャートである。図4の横方向が時間軸であり、水平ミラー312の駆動波形は正弦波で表され、垂直ミラー311の駆動波形は三角波で表される。
【0035】
1フレーム期間Fは、スキャナ31の走査が上ブランキング領域72Uを下向きに移動する上ブランキング領域走査期間P1、上ブランキング領域72Uと下ブランキング領域72Dとの間を下向きに移動する画像描画領域走査期間P2、下ブランキング領域72Dを下向きに移動する下ブランキング領域走査期間P3、左ブランキング領域72Lを上向きに移動する垂直復帰走査期間P4で構成されるものとする。
【0036】
図5は、本実施の形態に係る描画方法の処理手順を示すフローチャートである。図4、5を参照しながら、本実施の形態に係る描画方法の処理手順を説明する。
まず、画像処理部11は、ラインカウンタクロックで、走査領域7上部から描画するレーザ光の発光ライン、特性検出レーザ光の発光ラインをカウントする。そして、下ブランキング領域72Dの所定のラインになったこと、つまり、下ブランキング領域走査期間P3になったこと(ステップS10のYes)を検出して、特性検出レーザ光の発光を開始する(ステップS20)。
【0037】
次に、画像処理部11は、垂直復帰走査期間P4になったこと(ステップS30のYes)を検出して、ラスタースキャンを行っていた水平ミラー312の駆動波形をHIGH又はLOWのどちらかに駆動して固定し、特性検出レーザ光が左ブランキング領域72L又は右ブランキング領域72Rを走査するようにする(ステップS40)。
【0038】
次に、画像処理部11は、上ブランキング領域72Uのラインになったこと、つまり、上ブランキング領域走査期間P1になったこと(ステップS50のYes)を検出して、ラスタースキャンを再開させる(ステップS60)。
次に、画像処理部11は、上ブランキング領域72Uの所定のラインになったこと、つまり、これから画像描画領域走査期間P2になること(ステップS70のYes)を検出して、特性検出レーザ光の発光を停止し(ステップS80)、ステップS10に戻る。そして、この処理(ステップS10〜ステップS80)は表示画像データの出力の終了後も継続される。
【0039】
つまり、本実施の形態に係る描画方法では、レーザ光源部20は、画像描画領域走査期間P2において描画するためのレーザ光を出力し、下ブランキング領域走査期間P3、垂直復帰走査期間P4、上ブランキング領域走査期間P1において、連続的に特性検出レーザ光を出力する。
【0040】
なお、APCに必要な特性検出レーザ光の発光時間を十分に確保できるのであれば、レーザ光源部20は、走査期間P3、走査期間P1でだけ特性検出レーザ光を出力するようにしても良いし、走査期間P3、P4、P1又は走査期間P3、P1において、断続的に特性検出レーザ光を出力するようにしても良い。
【0041】
また、本実施の形態に係る描画方法では、スキャナ31は走査領域7を上側から下側に向けて、走査領域7の左側、右側を往復するようにラスタースキャンをしながら走査し、下側から上側に復帰するものとしたが、スキャナ31は走査領域7を下側から上側に向けて2次元的に走査したり、左側側から右側に向けて又は右側側から左側に向けて2次元的に走査したりしても良い。このような場合あっても、画像描画領域71の外側全てをAPCに利用することができる。
【0042】
上述したように、本実施の形態に係る描画装置1は、レーザ光を出力するレーザ光源部20と、レーザ光を反射して走査する走査ミラー部31と、表示画像データに基づいて、走査ミラー部31が走査する範囲よりも狭い範囲においてレーザ光により表示画像を描画するように、レーザ光源部20のレーザ光の出力値を制御する描画制御部121と、出力値を調整するための特性検出レーザ光を、走査ミラー部31が走査する範囲内の描画の範囲の外であって、少なくとも描画範囲の下方及び上方において出力するように、レーザ光源部20を制御する出力調整制御部122とを備えるものである。
このような構成により、レーザ光の出力値を調整するためのレーザ光の発光時間を十分に確保することができることができる。
【0043】
また、本実施の形態に係る描画装置1は、走査ミラー部31は、描画範囲の上方から下方に向けて2次元的に走査し、描画範囲の下方から上方に復帰するときに描画範囲に重ならないように走査し、出力調整制御部122は、特性検出レーザ光を、描画範囲の下方から上方に復帰するときも出力させることが好ましい。
【0044】
また、本実施の形態に係る描画装置1は、出力調整制御部122は、特性検出レーザ光を描画範囲の下方及び上方において出力させるとき及び描画範囲の下方から上方に復帰するときにおいて、特性検出レーザ光を連続させて出力させることが好ましい。
【符号の説明】
【0045】
1 描画装置
10 制御部
11 画像処理部
12 レーザ光源制御部
121 描画制御部
122 出力調整制御部
13 スキャナ制御部
20 レーザ光源部
30 スキャナ部
311 垂直ミラー
312 水平ミラー
7 走査領域
71 画像描画領域
72 ブランキング領域
図1
図2
図3
図4
図5