(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、レーザ光源の駆動電流と出力光量との関係であるI−L特性は、レーザ光源自体の温度変動に起因して容易に変化してしまう。そこで、本願出願人は、レーザ光源から任意のタイミングでレーザ光の出力値を検出するためのレーザ光(以下、特性検出レーザ光)を出力し、そのレーザ光の光量をフォトダイオードで測定することで所定の駆動電流に対する実際の光量を取得し、取得した光量に基づいてレーザ光源の駆動電流を調整するAPC技術(Auto Power Control)を開発している。これにより、レーザ光源自体の温度変動による出力値の誤差を抑えることができる。
【0006】
APC技術においては、特性検出レーザ光がスクリーン上におけるユーザに対して画像を描画する範囲に到達することがないように、特許文献1と同様に、特性検出レーザ光が照射される方向を、遮光板等を用いて遮蔽している。このとき、特性検出レーザ光が遮光板で散乱されることにより生じた迷光が、スクリーン上の画像を描画する範囲に到達することがある。この迷光により、スクリーン上における描画画像の品質が低下するという問題がある。
【0007】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、レーザ光源の出力値を検出するためのレーザ光の照射に起因する描画画像の品質低下を抑制できる画像描画装置、ヘッドアップディスプレイ及び画像輝度調整方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る画像描画装置は、
レーザ光を出射する光源部と、
前記レーザ光の強度を検出する検出部と、
前記光源部から出射されたレーザ光を走査する光スキャナと、
前記光スキャナが走査するスキャンエリア内に、入力画像データに基づく描画画像が前記光スキャナの走査によって生成され、前記レーザ光の強度を検出するための特性検出レーザ光が前記描画画像の描画内容に対応する位置及びパターンで出射されるように前記光源部を制御する光源駆動部と、
前記検出部が検出した前記特性検出レーザ光の検出値に基づき前記レーザ光の出力を調整する調整部と、を備える。
【0009】
本発明に係るヘッドアップディスプレイは、
上述の画像描画装置を用いて、
前記画像描画装置が描画する画像を透明部材に反射させてユーザに描画画像を提示する。
【0010】
本発明に係る画像輝度調整方法は、
レーザ光を出射する光源部と、
前記光源部から出射されたレーザ光を走査する光スキャナと、
を備える画像描画装置を用いた画像輝度調整方法であって、
前記光スキャナが走査するスキャンエリア内に入力画像データに基づく描画画像が前記光スキャナの走査によって生成されるように前記光源部からレーザ光を出射させ、
前記レーザ光の強度を検出するための特性検出レーザ光を前記描画画像の描画内容に対応する位置及びパターンで出射させ、
前記特性検出レーザ光の強度を検出し、
前記特性検出レーザ光の強度検出値に基づき前記レーザ光の出力を調整する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、レーザ光源の出力値を検出するためのレーザ光の照射に起因する描画画像の品質低下を抑制できる画像描画装置、ヘッドアップディスプレイ及び画像輝度調整方法を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1及び
図2に示すように、本実施の形態に係る画像描画装置1は、光源部11と、検出部13と、光スキャナ12と、制御ユニット7と、を有する。
【0014】
光源部11は、入力された電流に応じてレーザ光を出力する。光源部11は、R(赤色)、G(緑色)、B(青色)の3種類のレーザ光源11R,11G,11Bを有し、R、G、Bのレーザ光を出力することができる。もちろん、レーザ光源11R,11G,11Bは、R、G、B以外の色のレーザ光を出力するものでもよい。レーザ光源11R,11G,11Bとしては、例えば、半導体レーザが用いられる。
【0015】
レーザ光源11R,11G,11Bから出射されたレーザ光はそれぞれ、ミラー14R,14G,14Bにより1つの光路にまとめられて光線L1となって、光源部11から出射される。例えば、ミラー14Rはレーザ光源11Rの赤色レーザ光を反射する。ミラー14Gはダイクロイックミラーであり、レーザ光源11Rの赤色レーザ光を透過させ、レーザ光源11Gの緑色レーザ光を反射する。ミラー14Bはダイクロイックミラーであり、レーザ光源11Rの赤色レーザ光及びレーザ光源11Gの緑色レーザ光を約98%反射し、レーザ光源11Bの青色レーザ光を約98%透過させる。換言すると、ミラー14Bは、レーザ光源11Rの赤色レーザ光及びレーザ光源11Gの緑色レーザ光を約2%透過させ、レーザ光源11Bの青色レーザ光を約2%反射する。
【0016】
光源部11から出射された光線L1は、ミラー15により反射されて、光スキャナ12に入射する。光スキャナ12は、ミラーを揺動させることによって、光源部11が出力した光線L1の反射方向を変化させることにより光線L1を走査する。光スキャナ12としては、例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラーが用いられる。本実施の形態では、光スキャナ12は、光を走査する走査ミラーである。
【0017】
ダイクロイックミラーであるミラー14Bは、入射した光線の一部を検出部13へ導き、残りをミラー15へ導く。このため、ミラー14Bに入射した光線L1の一部は、ミラー14Bを透過して光線L3となり、光線L1の残りは光スキャナ12のミラーにより反射されて、スクリーンへと出射される。
【0018】
検出部13は、光源部11から出力されたレーザ光(光線L3)の強度を検出する。検出部13としては、例えば、フォトダイオードを用いてもよい。検出部13は、レーザ光の強度の検出値についての検出強度信号を調整部74に送る。
【0019】
光スキャナ12によりレーザ光を走査可能な領域をスキャンエリアと称する。
図3に示すように、光スキャナ12によりレーザ光を走査可能なスキャンエリア30は、画像が描画される描画エリア31と、画像が描画されないブランキングエリア32と、を有する。
【0020】
図3に示すように、スキャンエリア30は、矩形状となっている。スキャンエリア30には、光源部11の出力を調整するためにレーザ光が出力される範囲が設定されており、これを調整エリア33と称する。画像描画装置1は、調整エリア33にレーザ光を照射しているときにAPC(Auto Power Control)機能により光源部11の出力を調整する。調整エリア33に照射してレーザ光の強度を検出するためのレーザ光を、特性検出レーザ光と称する。
【0021】
図3においては、矢印で示される方向にレーザ光が走査される。矢印中の二点鎖線の領域では、画像データに基づいて光源部11がレーザ光を出射して、ユーザが描画エリア31における画像を視認することができる。
図3において、描画エリア31は矩形形状となる。ブランキングエリア32は、スキャンエリア30における描画エリア31を除いた範囲であり、描画エリア31を囲うように額縁状になっている。
【0022】
調整エリア33は、一般的にはブランキングエリア32内となるように設定されている。本実施の形態においては、調整エリア33は、描画エリア31に隣接した位置又は描画エリア31における描画パターンとして設定される。描画エリア31では、フレーム毎の画像データ又はAPC処理の指示に基づいて、光源部11にレーザ光を出力させる。
【0023】
図4は、画像描画装置1における調整エリア33の配置の第1例を示す図である。画描画装置1では、調整エリア33はユーザに対して伝える情報が描画される領域である。
図4では、ブランキングエリア32の描画エリア31の上端と接する部分に調整エリア33が配置されている。
【0024】
図4に示すように、調整エリア33は、出力の調整を行うレーザ光源ごとに区分された複数の区分エリア34B,34G,34Rを有する。区分エリア34B,34G,34Rには、一定の輝度値を有する画像データに対応するレーザ光が出射される。
【0025】
区分エリア34B,34G,34Rは、
図4中左側から、B、G、Rの順番で色が描画されるように設定されている。区分エリア34Bでは青色のレーザ光源11B、区分エリア34Gでは緑色のレーザ光源11G、区分エリア34Rでは赤色のレーザ光源11RのAPCを行う。
図4では、区分エリア34B,34G,34Rに照射されるレーザ光の色の違いをハッチングで示している。
【0026】
調整エリア33では、画像描画装置1の適用される車両の速度を表すスケールが描画されるように特性検出レーザ光が出射されている。区分エリア34B,34G,34Rがそれぞれ予め定められた速度範囲に対応する。描画エリア31には、スケールに対応する指針36が描画されている。指針36を描画エリア31内でスケールに沿って移動させることにより、車両の現在の速度に対応する位置を指し示す。
【0027】
調整エリア33に描画されたスケールにおいて、区分エリア34B,34G,34Rの境界が特定の値を意味している。区分エリア34Bと区分エリア34Gとの境界は時速50km、区分エリア34Gと区分エリア34Rとの境界は時速100kmを表している。区分エリア34Bの左端は停止状態である時速0km、区分エリア34Rの右端は最高速度である時速180kmと設定されている。
【0028】
スケールは、画像描画装置1が適用される車両の速度を表すものに限定されず、画像描画装置1の適用される対象に関する種々の値を描画してもよい。例えば、
図5に示すように、スケールは、画像描画装置1が適用される車両のエンジン回転数を表してもよい。このとき、指針36は、スケールにおいて車両の現在のエンジン回転数に対応する位置を指し示す。
【0029】
区分エリア34Bと区分エリア34Gとの境界は6000RPM、区分エリア34Gと区分エリア34Rとの境界は11000RPMを表している。区分エリア34Bの左端は停止状態である0RPM、区分エリア34Rの右端は最高回転数である18000RPMと設定されている。
【0030】
図6に示すように、調整エリア33は、複数の走査線S1−S4により構成されている。1本の走査線上において、LAからLBの範囲では光源部11が青色レーザ光のみを出射し、LBからLCの範囲では光源部11が緑色レーザ光のみを出射し、LCからLDの範囲では光源部11が赤色レーザ光のみを出射する。これを複数の走査線S1−S4において繰り返すことにより、B、G、Rの順番に区分エリア34B,34G,34Rが並べられたスケールを描画することができる。
【0031】
図7に調整エリア33に描画されるスケールの変形例を示す。
図7に示すように、B、G、Rの区分エリアの主走査方向の長さは、走査線S1−S4のそれぞれで異なっていてもよい。走査線S1−S4のそれぞれにおける複数の区分エリアは、上下の走査線における複数の区分エリアと、主走査方向において部分的に重なるような入れ子状になっていてもよい。
【0032】
走査線S1及びS3では、LAからLBの範囲の区分エリアで光源部11が青色レーザ光のみを出射し、LBからLDの範囲の区分エリアで光源部11が緑色レーザ光のみを出射し、LDからLFの範囲の区分エリアで光源部11が赤色レーザ光のみを出射する。
【0033】
それに対して、走査線S2及びS4では、LAからLCの範囲の区分エリアで光源部11が青色レーザ光のみを出射し、LCからLEの範囲の区分エリアで光源部11が緑色レーザ光のみを出射し、LEからLFの範囲の区分エリアで光源部11が赤色レーザ光のみを出射する。
【0034】
LAからLBの範囲に対応するスケールの領域35Bでは、走査線S1−S4の全てで光源部11が青色レーザ光のみを出射しており、青色が描画される。LCからLDの範囲に対応するスケールの領域35Gでは、走査線S1−S4の全てで光源部11が緑色レーザ光のみを出射しており、緑色が描画される。LEからLFの範囲に対応するスケールの領域35Rでは、走査線S1−S4の全てで光源部11が赤色レーザ光のみを出射しており、赤色が描画される。
【0035】
LBからLCの範囲において、走査線S1及びS3では光源部11が緑色レーザ光のみを出射し、走査線S2及びS4では光源部11が青色レーザ光のみを出射する。これにより、LBからLCの範囲に対応するスケールの領域35Aでは、青色レーザ光と緑色レーザ光とが混合した結果、水色が描画される。
【0036】
LDからLEの範囲において、走査線S1及びS3では光源部11が赤色レーザ光のみを出射し、走査線S2及びS4では光源部11が緑色レーザ光のみを出射する。LDからLEの範囲に対応するスケールの領域35Yは、緑色レーザ光と赤色レーザ光とが混合した結果、黄色が描画される。
【0037】
これにより、画像描画装置1は、APCに用いられる調整エリア33の機能を損なわずに、スケールの区分を増加させることができる。
【0038】
スキャンエリア30における調整エリア33の配置は、
図4の構成に限定されるものではなく、種々の態様が考えられる。
図8に示すように、調整エリア33は、ブランキングエリア32において描画エリア31の下方に接するように配置されていてもよい。
【0039】
調整エリア33の配置場所はブランキングエリア32内に限定されるものではない。例えば、描画エリア31内に調整エリア33を有してもよい。
図9に示すように、調整エリア33は、描画エリア31内の上部においてブランキングエリア32に下方から接するように配置されていてもよい。
図10に示すように、調整エリア33は、描画エリア31内の下部においてブランキングエリア32に上方から接するように配置されていてもよい。
図11に示すように、調整エリア33は、描画エリア31の内側においてブランキングエリア32と上下に接しないように配置されていてもよい。
【0040】
調整エリア33を
図9から
図11のような配置とする場合、スケールを描画するための描画データは、描画エリア31に画像を描画するための画像データに含まれていてもよい。この場合は、特性検出レーザ光の出力値は画像データにおける調整エリア33を描画するためのデータとして与えられる。
【0041】
図12に示すように、描画エリア31中のスケールと関連する情報を描画していない領域には、他の情報を描画することができる。例えば、ナビゲーションに連動した簡易的な方向指示形状を描画してもよい。
図12では、150m先を左折するように指示する方向指示形状37が描画されている。
【0042】
図1に示すように、制御ユニット7は、調整部74と、光源駆動部73と、を有する。制御ユニット7は、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで実現されてもよいし、外部の記憶装置に記憶されたプログラムとCPU(Central Processing Unit)とにより実現されてもよい。
【0043】
調整部74は、検出部13により検出された、複数の区分エリア34B,34G,34Rのそれぞれに対して出射されたレーザ光の強度に基づいて、複数のレーザ光源の出力を調整する。調整部74は、検出部13の複数の区分エリア34B,34G,34Rのそれぞれに対応する検出値が目標値となるように、複数のレーザ光源の出力を調整する。光源駆動部73は、画像を構成する画像データに応じた光を出力させるために、調整部74の調整結果に基づいて光源部11を駆動する。
【0044】
画像描画装置1は、検出部13の検出値が一定になるように光源部11に入力する電流を調整するAPC機能を有する。
図1を用いて、画像描画装置1がAPCを行うときの制御ユニット7における処理を説明する。
【0045】
調整部74は、検出部13の検出値が目標値となるように光源部11の出力を調整する。調整部74はパワー設定信号を光源駆動部73へと送る。パワー設定信号は、光源部11へと入力する電流量を設定する信号である。
図3に示される調整エリア33に照射されるレーザ光に基づき、調整部74は、光源部11へと入力する電流量を変化させることにより、光源部11の出力を調整する。
【0046】
光源駆動部73は、画像データに応じた光を出力させるために、調整部74の調整結果に基づいて光源部11を駆動する。これにより、描画エリア31では、画像データ中のRGBデータに基づく画像を適切に描画することができる光強度で光源部11が発光する。また、光源駆動部73は、調整エリア33にレーザ光を照射しているときに、所定の出力値である特性検出レーザ光を出力させ、検出部13による光量検出値が目標値になるように、光源部11を発光させる。
【0047】
図13を用いて、画像描画装置1を用いた画像輝度調整方法を説明する。
【0048】
光源駆動部73は、次に描画されるフレームが、APCを実行するフレームであるか否か判定する(ST601)。次に描画されるフレームがAPCを実行するフレームではない場合(ST601 NO)、光源駆動部73は、描画エリア31及び調整エリア33にレーザ光を出射することにより、描画エリア31に所定の指針36が含まれる画像を描画させ、調整エリア33に指針36に対するスケールを描画させる(ST605)。このとき、調整エリア33ではAPCを行わずに通常の描画を行う。
図4及び
図5に示す例においては、光源駆動部73は調整エリア33での描画後に描画エリア31での画像の描画を行う。また、
図8に示す例においては、光源駆動部73は描画エリア31での画像の描画後に、調整エリア33での描画を行う。さらには、
図9から
図11に示す例においては、光源駆動部73は描画エリア31の描画中に調整エリア33の描画を行う。
【0049】
ST601において、次に描画されるフレームがAPCを実行するフレームである場合(ST601 YES)、光源駆動部73は、ST605の処理と同様にレーザ光を出射させる(ST602)。その際に、調整部74は、調整エリア33に対して出射されるレーザ光の強度を検出する(ST603)。
【0050】
次に、調整部74は、調整の結果に基づいたパワー設定信号の大きさを決定する(ST604)。光源駆動部73は、調整の結果に基づいたパワー設定信号に基づいて光源部11を駆動させることにより、調整エリア33の描画以降の描画エリア31の描画又は次のフレームにおける描画において、適切な光量でレーザ光を出射させることができる。
【0051】
このような構成とすることで、画像描画装置1は、APCに用いる特性検出レーザ光を遮光板により遮蔽せずにスクリーン上に投影している。これにより、特性検出レーザ光が遮光板により散乱されることがなく、散乱光が描画画像に入り込むこともないので、特性検出レーザ光の照射に起因する描画画像の品質低下を抑制できる。
【0052】
さらに、画像描画装置1は、APCに用いる特性検出レーザ光を遮蔽するための遮光板を有していないので、部品点数を少なくできて、製造コストを低減できる。
【0053】
また、画像描画装置1は、特性検出レーザ光を遮光板により遮蔽していないので、特性検出レーザ光がスクリーン上に投影されて、ユーザが特性検出レーザ光による描画を目視できる。そこで、本実施の形態に係る画像描画装置1は、特性検出レーザ光によりユーザに対して情報を伝える画像を描画することにより、ユーザが特性検出レーザ光を不快に感じないようにできる。
【0054】
以上、説明したように、本実施の形態に係る画像描画装置1によれば、レーザ光源の出力値を検出するためのレーザ光の照射に起因する描画画像の品質低下を抑制できる画像描画装置を提供できる。
【0055】
本実施の形態に係る画像描画装置1を用いたヘッドアップディスプレイ100について説明する。まず、
図14を用いて、ヘッドアップディスプレイ100の構成を説明する。
図14に示すように、ヘッドアップディスプレイ100は、画像描画装置1と、第1平面ミラー2と、スクリーン3と、第2平面ミラー4と、凹面ミラー5と、投影部6と、筐体8と、を有する。
【0056】
図14を用いて、画像描画装置1から出射された光線L1がユーザUの目に到達するまでの光路を説明する。画像描画装置1から出射された光線L1は、第1平面ミラー2に反射されることにより光路が曲げられて、スクリーン3に入射する。光線L1は、スクリーン3上に描画画像の中間像を形成する。スクリーン3は光透過型のものであり、例えば、拡散板やマイクロレンズアレイがスクリーン3として用いられる。マイクロレンズアレイは、マイクロレンズをマトリックス状に配列したものである。マイクロレンズアレイは、レーザ光のスペックルを低減する効果があり、放射角や色むらが最適になるように設計されている。
【0057】
スクリーン3から出射された光線L1は、第2平面ミラー4に反射されることにより光路が曲げられて、凹面ミラー5に入射する。凹面ミラー5に反射された光線L1は、筐体8の外に出射されて、投影部6に入射する。投影部6は、入射した光線の一部を反射し、残りを透過させる。投影部6は、画像をユーザに提示するための透明部材であり、投影部6には、コンバイナを用いたり、自動車のウィンドシールドを用いることもできる。
【0058】
ヘッドアップディスプレイ100では、筐体8の開口から出射されて投影部6により反射された光線L1と、投影部6を透過した光線L2とが、投影部6により重ねられてユーザUに向かう。ユーザUから見ると、投影部6越しの景色に、画像描画装置1が描画する画像が虚像として重ねられて見えることになる。
【0059】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、光スキャナ12は、MEMSミラーやガルバノミラー等の走査ミラーに限定されるものではなく、電気光学効果を用いた光スキャナであってもよい。