(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6296052
(24)【登録日】2018年3月2日
(45)【発行日】2018年3月20日
(54)【発明の名称】電動乗物用バッテリー
(51)【国際特許分類】
B60R 25/24 20130101AFI20180312BHJP
B62H 5/00 20060101ALI20180312BHJP
B62H 5/18 20060101ALI20180312BHJP
E05B 19/00 20060101ALI20180312BHJP
E05B 49/00 20060101ALI20180312BHJP
【FI】
B60R25/24
B62H5/00 Z
B62H5/18
E05B19/00 J
E05B49/00 K
【請求項の数】12
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-514647(P2015-514647)
(86)(22)【出願日】2013年5月27日
(65)【公表番号】特表2015-519252(P2015-519252A)
(43)【公表日】2015年7月9日
(86)【国際出願番号】IB2013054371
(87)【国際公開番号】WO2013179208
(87)【国際公開日】20131205
【審査請求日】2016年5月26日
(31)【優先権主張番号】MO2012A000147
(32)【優先日】2012年6月1日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】505005038
【氏名又は名称】メタ システム エス.ピー.エー.
【氏名又は名称原語表記】META SYSTEM S.P.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100065248
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【弁理士】
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100174883
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 雅己
(72)【発明者】
【氏名】シモナッツィ,ジュセッペ
【審査官】
粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−167137(JP,A)
【文献】
特開2006−273142(JP,A)
【文献】
特開平09−013772(JP,A)
【文献】
特開2003−104170(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/083361(WO,A1)
【文献】
特開2011−183839(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 25/00−40
B62H 5/00
B62H 5/18
E05B 19/00
E05B 49/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動乗物(A)の少なくとも電動モータ(B)に接続可能な電荷蓄積手段(2)と、バッテリー(1)および/又は電動乗物を管理制御する電子処理手段(3)とを備えた電動乗物用のバッテリー(1)であって、
前記電子処理手段(3)は、
−前記バッテリー(1)および/又は前記電動乗物(A)の少なくとも識別コードの少なくとも記憶ユニット(6);
−少なくとも外部制御装置(E)と通信するための少なくとも通信ユニット(7);
−前記記憶ユニット(6)と前記通信ユニット(7)に作動的に結合され、前記外部制御装置(E)によって送信され、かつ、前記通信ユニット(7)によって受信された少なくとも識別コードが、記憶ユニット(6)に格納された前記識別コードと一致するか否かをチェックするチェック手段(8);
−外部制御装置(E)から受信した前記識別コードが記憶ユニット(6)に格納された前記識別コードに一致するとき前記バッテリー(1)および/又は前記電動乗物(A)を作動させる作動/非作動手段(9);を備え、
さらに、前記電荷蓄積手段(2)を再充電するための、前記電荷蓄積手段(2)から、少なくとも他の乗物(I)の電力供給ラインへの接続手段(10)を備えて、前記他の乗物(I)に取り付けられた、又は他の乗物(I)の始動キーに一体化された制御装置によって送信された識別コードが前記記憶ユニット(6)に格納された識別コードと一致するときに、前記電力供給ラインへの接続手段(10)の接続を可能にし、前記電荷蓄積手段(2)を再充電することができることを特徴とする電動乗物用のバッテリー(1)。
【請求項2】
前記通信ユニット(7)は、前記制御装置(E)から前記識別コードを受信するように構成された少なくともラジオ周波数受信機を備え、前記制御装置(E)はラジオ周波数識別コード送信装置からなることを特徴とする請求項1記載のバッテリー(1)。
【請求項3】
前記作動/非作動手段(9)は前記電動モータ(B)の制動手段(F)に結合可能であることを特徴とする請求項1又は2記載のバッテリー(1)。
【請求項4】
前記作動/非作動手段(9)は前記電動乗物(A)の変速ギアの施錠手段(G)に結合可能であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のバッテリー(1)。
【請求項5】
前記記憶ユニット(6)は、前記電動乗物(A)の少なくとも1部に対応して印刷された前記電動乗物(A)の少なくとも公的識別コードを格納するように構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のバッテリー(1)。
【請求項6】
前記制御装置は、前記他の乗物(I)に取り付けられた電子機器に含まれることを特徴とする請求項1記載のバッテリー(1)。
【請求項7】
前記制御装置は、前記他の乗物(I)の始動キーと一体化された電子装置に含まれることを特徴とする請求項1記載のバッテリー(1)。
【請求項8】
前記作動/非作動手段(9)は、前記接続手段(10)を前記電荷蓄積手段(2)から、および/又は他の乗物(I)の前記電力供給ラインから分離するように構成された分離手段(11)に結合可能であることを特徴とする請求項1、6、および7のいずれか一項に記載のバッテリー(1)。
【請求項9】
前記電子処理手段(3)は、少なくとも1つの遠隔処理ユニット(L)と通信するように構成された少なくとも追加の通信ユニット(12)を備えることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のバッテリー(1)。
【請求項10】
前記電子処理手段(3)は、位置を特定する少なくとも位置特定装置(13)を備えることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載のバッテリー(1)。
【請求項11】
前記電子処理手段(3)は、前記電動乗物(A)の瞬間的な加速度/減速度の少なくとも測定装置を備えることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載のバッテリー(1)。
【請求項12】
前記電動乗物(A)に結合可能で、少なくとも前記電荷蓄積手段(2)および前記電子処理手段(3)を収容するように構成された少なくとも容器本体(5)を備える請求項1〜11のいずれか一項に記載のバッテリー(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ペダル支援(pedal-assisted)電動自転車又は類似の乗物に特に使用可能な、電動乗物用バッテリーに関する。
【背景技術】
【0002】
電気を用いて推進する乗物の使用は周知であり、益々さらに普及してきている。
【0003】
とくに、ペダル支援電動自転車、つまり使用者のペダル動作に電動モータの動作が追加される自転車の使用は、益々一般的になってきている。
【0004】
そのような電動自転車は、通常、サドルの支柱や下部の管状部に対応するフレームに設置された特定の電気バッテリーを有することが知られている。
【0005】
そのバッテリーは電動モータに接続され、そのモータは一般的に2つの車輪の一方の軸と一体化するか、又はペダルの軸に結合するように設置されている。
【0006】
さらに、国際特許出願公開第WO2011/083361A1号公報から、電荷蓄積バッテリーと、バッテリーそれ自体の使用と状態を管理制御するのに適した電子処理手段とを有する乗物用の電気バッテリーが知られている。
【0007】
特に、そのような出版物によるバッテリーは、蓄電バッテリーおよび電子処理手段を収容した単一の容器を有し、バッテリーそれ自体の自由な貸し出しを管理したり、盗みや不法使用のような異常事態を検知するために用いることができる。
【0008】
しかしながら、周知のバッテリーは、さらなる改善の余地がある。電動乗物又は電気バッテリー単体の盗みや不法使用のような異常事態を制限又は常に検知することができる、より効率的な装置をさらに考案する必要性が必然的にあると思われる。
【0009】
発明の説明
この発明の主目的は、電動乗物又は電気バッテリーそれ自体の盗みや不法使用のような異常事態を制限したり検知することができる電動乗物用のバッテリーを提供することである。
【0010】
この発明の他の目的は、使用するのに簡単で、合理的で、容易で、効率的で、低コストであるという解決策の範囲内で、技術の状態の前記欠点を克服することができる電気乗物用のバッテリーを提供することである。
【0011】
上記目的は請求項1による電動乗物用バッテリーによって達成される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
この発明の他の特徴や利点は、添付図に単に実施例として示されるがそれに限定されない、好ましいが唯一でない電動自転車用バッテリーの実施形態の説明からさらに明らかになるであろう。
【
図1】
図1はこの発明によるバッテリーの動作を示す概略図である。
【
図2】
図2はこの発明によるバッテリーのブロック図である。
【0013】
これらの図を参照すると、電動乗物用バッテリーは全体的に1で示される。
【0014】
図1の実施例で概略的に示されるように、バッテリー1は、ペダル支援電動自転車Aのタイプの電動乗物用として好適に用いることができる。しかしながら、バッテリー1を異なるタイプの電動乗物に使用することも可能である。
【0015】
バッテリー1は、従来のタイプの少なくとも1つの蓄電バッテリーから構成され
図2に概略的に示され、かつ、参照番号2で全体的に示された電荷蓄積手段を備える。
【0016】
蓄電バッテリー2は、自転車それ自体の通常の電力ラインによって電動自転車Aの電動モータBに接続することができる。
【0017】
都合のよいことに、バッテリー1は、バッテリーそれ自体又は電動自転車Aを管理制御するのに適した、参照番号3で全体的に示された電子処理手段を備える。
【0018】
特に、電子処理手段3は、電動自転車Aの又はバッテリー1の盗みや不法使用のような異常事態を、限定したり、常に検知するのに適している。
【0019】
電子処理手段3は、例えばマイクロプロセッサ等で作られ、参照番号4で
図1に全体的に示される管理制御ユニットを備える。
【0020】
バッテリー1は単一の容器本体5を実用的に備え、その容器本体5は蓄電バッテリー2と電子処理手段3の両方を収容するのに適しており、例えば、電動自転車Aのサドルの支柱Cに、又はフレームの下側管状部Dに固定できる。
【0021】
電子処理手段3は、バッテリー1および/又は電動自転車Aに対して一義的に追跡可能な少なくとも1つの識別コードを格納するのに適した記憶ユニット6を備えるのが有利である。
【0022】
記憶ユニット6は、少なくとも自転車それ自体の一部分、例えばフレームに有役に印刷もされる、電動自転車Aの公共の識別コードを格納するのに適するのが好ましい。
【0023】
電動自転車Aに印刷された公共の識別コードは、各電動自転車Aを一義的に各バッテリー1に関連づけることができるのが有利である。
【0024】
結果的に、これは電動自転車Aの、又はバッテリー1の、又は両方の盗難に対する抑止力になることを示している。
【0025】
記憶ユニット6は、管理制御ユニット4に作動的に接続される。
【0026】
電子処理手段3は、バッテリー1の外部にある少なくとも制御装置Eと通信するのに適した通信ユニットを備える。
【0027】
とくに、制御装置Eは、バッテリー1又は電動自転車を起動および/又は停止させるために、識別コードを送信するのに適している。
【0028】
バッテリー1の1つの特別な実施形態において、通信ユニット7は、上記識別コードを含むラジオ周波数信号を受信するのに適したラジオ周波数受信機を備え、一方、制御装置Eはラジオ周波数識別装置からなる。
【0029】
例えば、制御装置Eは、識別コードを送信することが可能な適当なトランスポンダーから作ることができる。
【0030】
この場合、そのような制御装置Eを所有する使用者は、単に接近するだけで、備えられたすべての盗難防止装置を解除し、電動自転車Aの使用を可能にできる。
【0031】
電子処理手段3はまた、制御装置Eによって送信され、かつ、通信ユニット7によって受信された識別コードが記憶ユニット6に格納された識別コードと一致するか否かをチェックするのに適したチェック手段8を備える。
【0032】
例えば、チェック手段8は、管理制御ユニット4によって管理される適当なソフトウェアプログラムによって作ることができる。
【0033】
電子処理手段3はまた、
図1に概略的に示され、参照番号9で全体的に示される作動/非作動手段を備え、その手段は、制御装置Eによって送信され、かつ、通信ユニット7によって受信された識別コードが記憶ユニット6に格納された識別コードに一致する場合に、バッテリー1および/又は電動自転車Aを作動させるのに適している。
【0034】
作動/非作動手段9は、バッテリー1内に一体化された適当なハードウェアとソフトウェアによって作られるのが好ましい。
【0035】
作動/非作動手段9は、電動モータBの制動手段Fに作動的に接続できるのが有利である。
【0036】
好ましくは、制動手段Fは、通常、電動自転車Aを使用不能にするように作動する。
【0037】
使用者が制御装置Eを用いて通信ユニット7へ識別コードを含む信号を送信する場合には、
−管理制御ユニット4は、受信した識別コードが記憶ユニット6に格納された識別コードに一致するか否かをチェックし、
−識別コードが一致する場合には、管理制御ユニット4は作動/非作動手段9に制動手段Fを非作動にするように指令して、電動モータBを解放し、電動自転車Aの使用を可能にする。
【0038】
さらに、作動/非作動手段9は、電動自転車Aの変速ギアHの施錠手段Gに作動的に接続することができる。
【0039】
有役なことに、作動/非作動手段9は変速ギアHの施錠手段Gとは別に、又は共に、電動自転車Aのスタンドの施錠手段に作動的に接続することができる。
【0040】
好ましいことに、変速ギアの、又はスタンドの施錠手段Gは通常、電動自転車Aの使用を困難にするように作動する。
【0041】
使用者が制御装置Eを使用して、通信ユニット7へ識別コードを含む信号を送信する場合に、
−管理制御ユニット4は、受信識別コードが記憶ユニット6に格納された識別コードに一致するか否かをチェックし、
−識別コードが一致する場合には、管理制御ユニット4は作動/非作動手段9に施錠手段Hを非作動にするように指令して、変速ギアHを解放し、電動自転車Aを使用可能にする。
【0042】
都合のよいことには、バッテリー1は、蓄電バッテリー2を他の乗物、例えば乗物Iの電力供給ラインに接続して蓄電バッテリーそれ自体を再充電するのに適した接続手段10を備える。
【0043】
接続手段10は、乗物Iの通常のタバコのライターのソケットに直接に接続できることが好ましい。
【0044】
通常、他の制御装置Eは、通信ユニット7と通信可能で乗物Iに適合する電子装置から作ることができる。
【0045】
例えば、制御装置Eは、乗物Iの始動キーと一体化できる。
【0046】
この場合、作動/非作動手段9は、蓄電バッテリー2から接続手段10を切り離すのに適した分離手段11に作動的に接続される。
【0047】
分離手段11は通常、他の乗物への蓄電バッテリー2の電気的な接続を阻止するように作動するのが好ましい。
【0048】
使用者が乗物Iに適合するか、又は乗物Iの始動キーに一体化された制御装置Eを用いて識別コードを通信ユニット7に送信した場合に、
−管理制御ユニット4は、受信された識別コードが記憶ユニット6に格納された識別コードと一致するか否かをチェックし、
−識別コードが一致するときには、管理制御ユニット4は作動/非作動手段9に分離手段11を非作動にするように指令して、乗物Iの電力供給ラインへの蓄電バッテリー2の接続を可能にし、蓄電バッテリーそれ自体を充電する。
【0049】
都合のよいことに、電子処理手段3は、少なくとも1つの遠隔処理ユニットLと通信するのに適した追加の通信ユニット12を備える。
【0050】
追加の通信ユニット12は、例えば、GSM(登録商標),GPRS,UMTSなどのような自動車電話の分野で通常用いられるプロトコルによって作動する1つ以上の送信機および/又は受信機を備える。
【0051】
追加の通信ユニット12はまた、遠隔処理ユニットLに対して信号を送受信するための少なくともアンテナを備える。
【0052】
また、追加の通信ユニット12は、電動自転車Aに適合する1つ以上の外部アンテナに結合することができる。
【0053】
通常、遠隔処理ユニットLは、追加の通信ユニット12からの情報を管理して、例えば、バッテリー1又は電動自転車Aの盗みや不法使用のような異常事態をすべてチェックするためにそのような情報を使用したり、又はバッテリー1や電動自転車Aを賃貸したりするのに適した、適当なソフトウェアプログラムを備えることができる。
【0054】
通常、電子処理手段3は、
図1に参照番号13によって全体的に示され、乗物の位置を特定する位置特定装置を備えることができる。
【0055】
位置特定装置13は、管理制御ユニット4に作動的に接続される。
【0056】
特に、位置特定装置13は、地球位置特定システム(GPS)、ガリレオ位置特定システム、衛星航行指示システム等に用いられるタイプの、衛星Mによって送信される衛星信号の少なくとも受信機を備える。
【0057】
通常、位置特定装置13は、盗難の場合にバッテリー1の位置を決定するために用いることができる。
【0058】
バッテリー1の内部で、電子処理手段3はまた、
図1において参照番号14によって全体的に示された、乗物の瞬間的な加速度/減速度を測定する測定装置を備える。
【0059】
好ましくは、瞬間的な加速度/減速度を測定する測定装置14は、3軸加速度計から作られる。
【0060】
加速度計14は、例えば盗みを企てる場合におけるバッテリー1又は電動自転車Aの傾きの変化を検出するために用いることができる。
【0061】
実際、提案された目的を上記発明が、どのように達成するかが確かめられた。
【0062】
特に、この発明によるバッテリーは、電動自転車やバッテリーそれ自体の盗難や不法使用のような異常な事態を制限又は検知できるということが、強調される。