(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記迎撃システムでは、迎撃対象の弾道をずらしたり、迎撃対象の飛翔姿勢を傾けたりする方式では効果(命中精度及び侵徹威力の低減効果)のばらつきが大きく、更に、運動エネルギー弾の侵徹威力の低減には限界がある。そのため、上記迎撃システムでは、命中精度及び侵徹威力の低下を十分に図ることができず、重装甲の戦車でさえ確実な防御効果が得られなかった。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、速度勾配を有する棒状の迎撃体を迎撃対象に衝突させて破壊することによって無力化する迎撃システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、迎撃体(50)を迎撃対象(1)に衝突させる迎撃システムであって、
前面が開口する弾殻(21)と、該弾殻(21)に充填された炸薬(22)と、該弾殻(21)の後端に設けられて上記炸薬(22)を起爆する起爆装置(24)と、上記弾殻(21)の前面を閉塞するように該弾殻(21)に保持され、上記炸薬(22)の爆轟圧力によって変形しながら上記弾殻(21)の前方に射出されることによって速度勾配を有する棒状の上記迎撃体(50)に生成されるライナ(23)とを備えたEFP弾頭(20)と、上記迎撃体(50)が上記迎撃対象(1)と衝突するように上記起爆装置(24)の作動を制御する制御装置(40)とを備え、上記ライナ(23)は、横長で且つ長手方向の中央が後方に位置するように湾曲した湾曲形状に形成され、上記起爆装置(24)は、上記ライナ(23)の長手方向に対応して湾曲する曲線上に一列に並ぶ複数の起爆点(P1,P2,…,P300)を有し、上記制御装置(40)は、上記複数の起爆点(P1,P2,…,P300)のうち、同時に作動することにより、上記ライナ(23)が上記迎撃対象(1)との会合予測位置に向かって飛翔する速度勾配を有する棒状の上記迎撃体(50)に生成されるように上記炸薬(22)を起爆する2つの起爆点を第1の起爆対として選択し、該第1の起爆対を同時に作動させる。
【0008】
第1の発明では、ライナ(23)を横長で長手方向の中央が後方に位置する凹面状に形成すると共に、弾殻(21)の後端に複数の起爆点(P1,P2,…,P300)をライナ(23)の湾曲形状に合わせて配置したEFP弾頭(20)において、制御装置(40)が選択した2つの起爆点が同時に作動し、炸薬が2カ所で同時に起爆されて爆轟する。この炸薬の爆轟圧力により、凹面状のライナ(23)は、作動した起爆点に対応する箇所が前方に突出するように変形し、突出方向が交わる位置で集積して速度勾配を有する棒状の迎撃体(50)となる。なお、制御装置(40)は、EFP弾頭(20)の複数の起爆点(P1,P2,…,P300)の中から同時に作動する起爆点として、ライナ(23)が迎撃対象(1)との会合予測位置に向かって飛翔する速度勾配を有する棒状の迎撃体(50)に生成されるように炸薬(22)を起爆する2つの起爆点を選択し、それらを同時に作動させる。そのため、ライナ(23)が変形してなる速度勾配を有する棒状の迎撃体(50)は、迎撃対象(1)に向かって飛翔し、迎撃対象(1)に衝突する。
【0009】
ところで、EFP弾頭(20)のライナ(23)から生成される迎撃体(50)は、従来の迎撃システムにおいて迎撃対象に衝突させていた紛状耐熱材に比べて質量が極めて大きいため、飛翔中の運動エネルギーも該紛状耐熱材に比べて極めて大きい。そのため、このような迎撃体(50)を迎撃対象(1)に衝突させることにより、迎撃対象(1)は、その大きな運動エネルギーから変換された衝撃エネルギーによって粉砕されると共に、運動エネルギーから変換された熱エネルギーによって溶融する(破壊される)。このようにして、飛来する迎撃対象(1)は、少なくとも一部が粉砕されると共に溶融することにより、運動エネルギーが散逸し、侵徹威力が著しく低下して攻撃力のない無力化状態となる。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において、上記ライナ(23)は、長手方向が円弧状に湾曲するように形成され、上記複数の起爆点(P1,P2,…,P300)は、上記ライナ(23)の長手方向に対応する円弧上に一列に並べられ、上記制御装置(40)は、上記複数の起爆点(P1,P2,…,P300)のうち、該複数の起爆点(P1,P2,…,P300)が配列された上記円弧の中心(O)と上記会合予測位置とを通る直線(L)に対して線対称な位置に設けられた一対の起爆点を上記第1の起爆対として選択する。
【0011】
第2の発明では、ライナ(23)が、長手方向が円弧状に湾曲するように形成され、複数の起爆点(P1,P2,…,P300)がライナ(23)の長手方向に対応する円弧上に一列に並べられている。このような円弧型のEFP弾頭(20)では、どの2つの起爆点を作動させても、ライナ(23)は、作動した起爆点に対応する箇所が、複数の起爆点(P1,P2,…,P300)が並ぶ円弧の中心(O)に向かって突出するように変形し、円弧の中心(O)に集積して速度勾配を有する棒状の迎撃体(50)となる。このとき、迎撃体(50)は、2つの起爆点を結んだ線分の中点を通る垂線方向に速度勾配を有する棒状体となり、この垂線方向に飛翔する。よって、制御装置(40)が、円弧の中心(O)と会合予測位置を通る直線(L)に対して線対称な位置に設けられた一対の起爆点を選択して作動させると、ライナ(23)から生成された速度勾配を有する棒状の迎撃体(50)は、円弧の中心(O)を通って会合予測位置に向かって飛翔することとなる。
【0012】
第3の発明は、第2の発明において、上記制御装置(40)は、上記円弧上に並ぶ上記複数の起爆点(P1,P2,…,P300)において、両端に配置された起爆点(P1,P300)のうちの上記会合予測位置との距離が遠い方を、上記第1の起爆対のうちの一方の起爆点として選択する。
【0013】
第3の発明では、制御装置(40)によって、円弧上に並ぶ複数の起爆点(P1,P2,…,P300)の両端に配置された起爆点のうちの会合予測位置との距離が遠い方が、第1の起爆対のうちの一方の起爆点として選択される。このように、同時に作動させる第1の起爆対のうちの1つの起爆点を、円弧上に並ぶ複数の起爆点(P1,P2,…,P300)のうちの端に設けられたものとすることにより、第1の起爆対として2点間の距離が最も離れた2つの起爆点が選択されることとなる。これにより、第1の起爆対の一方の起爆点として端に配置された起爆点を選択しない場合に比べて、第1の起爆対の作動によって円弧の中心(O)に集積するライナ(23)の質量が大きくなる。
【0014】
第4の発明は、第2又は第3の発明において、上記制御装置(40)は、上記複数の起爆点(P1,P2,…,P300)のうちの上記第1の起爆対の中間位置に配置された中間起爆点、又は、上記複数の起爆点のうちの該複数の起爆点が配列された上記円弧の中心(O)と上記会合予測位置とを通る直線に対して線対称な位置に設けられた上記第1の起爆対とは異なる一対の起爆点からなる第2の起爆対を、上記第1の起爆対の他に選択し、選択した起爆点を作動させる。
【0015】
第4の発明では、制御装置(40)が、第1の起爆対の他に、該第1の起爆対の中間位置に配置された中間起爆点又は円弧の中心(O)と会合予測位置とを通る直線(L)に対して線対称な位置に設けられた第1の起爆対とは異なる一対の起爆点からなる第2の起爆対を選択し、選択した起爆点を作動させる。中間起爆点は、第1の起爆対を結ぶ直線の中点における垂線上、即ち、円弧の中心(O)と会合予測位置とを通る直線(L)上に位置するものであり、第2の起爆対は、第1の起爆対と同様に、円弧の中心(O)と会合予測位置とを通る直線(L)に対して線対称な位置にあるものである。そのため、第1の起爆対と中間起爆点とを作動させた場合も、第1の起爆対と第2の起爆対とを作動させた場合も、ライナ(23)は、各起爆点に対応する箇所が、円弧の中心(O)に向かって突出するように変形し、円弧の中心(O)において集積して速度勾配を有する棒状の迎撃体(50)となり、第1の起爆対のみを作動させた場合と同様の方向、円弧の中心(O)から会合予測位置に向かう方向に飛翔する。また、このように、第1の起爆対に加えて、中間起爆点又は第2の起爆対を作動させることにより、速度勾配を有する棒状の迎撃体(50)の飛翔方向(指向性)及び質量は変化しないが、ライナ(23)が前方に射出される際における各部の速度勾配が変わる。具体的には、作動する起爆点が増えることにより、円弧の中心に向かって突出するように変形するライナ(23)の速度勾配が小さくなる。その結果、円弧の中心(O)において集積して生成される棒状の迎撃体(50)の飛翔方向の長さが短くなる。
【0016】
第5の発明は、第4の発明において、上記制御装置(40)は、上記第1の起爆対の起爆タイミングと上記中間起爆点又は上記第2の起爆対の起爆タイミングとを、上記迎撃対象(1)の状態に合わせて調節する。
【0017】
第5の発明では、制御装置(40)が、迎撃対象(1)の状態によって、第1の起爆対の起爆タイミングと中間起爆点又は第2の起爆対の起爆タイミングとを調節する。例えば、第1の起爆対の起爆タイミングと中間起爆点又は第2の起爆対の起爆タイミングとを同時にすると、ライナ(23)が前方に射出される際における各部の速度勾配が小さくなるため、ライナ(23)から生成される迎撃体(50)の飛翔方向の長さが短くなる。一方、第1の起爆対の起爆タイミングと中間起爆点又は第2の起爆対の起爆タイミングとをずらすと、同時の場合に比べてライナ(23)が前方に射出される際における各部の速度勾配が大きくなるため、ライナ(23)から生成される迎撃体(50)の飛翔方向の長さが長くなる。つまり、第1の起爆対の起爆タイミングと中間起爆点又は第2の起爆対の起爆タイミングとが同時のとき、迎撃体(50)の飛翔方向の長さは最短になり、起爆タイミングの間隔が大きくなる程、迎撃体(50)の飛翔方向の長さが長くなる。これにより、迎撃対象(1)の長さや飛翔速度によって迎撃対象(1)が会合予測位置を通過する時間が変わるため、会合予測位置において迎撃体(50)を迎撃対象(1)に衝突させるべき対処時間(迎撃対象(1)が会合予測位置を通過する時間)も変わるが、起爆タイミングを調節することにより、迎撃体(50)の飛翔方向の長さが対処時間に応じた長さとなり、迎撃体(50)が無駄なく迎撃対象(1)に衝突することとなる。
【0018】
第6の発明は、第1乃至第5のいずれか1つの発明において、上記EFP弾頭(20)を複数備え、複数の上記EFP弾頭(20)は、横方向に一列に並んでいる。
【0019】
第6の発明では、迎撃システムが、上述のような迎撃体(50)の飛翔方向を容易に変更することができるEFP弾頭(20)を複数備え、この複数のEFP弾頭(20)が、ライナ(23)の長手方向に一列に並べられている。複数のEFP弾頭(20)を横方向に並べることにより、迎撃体(50)を飛翔させることができる範囲が拡がる。また、複数のEFP弾頭(20)における起爆タイミングを変えることにより、複数の迎撃体(50)を迎撃対象(1)に連続して衝突させて対処時間を長くすることや、複数の迎撃体(50)を同時に迎撃対象(1)に衝突させて威力を増大させることが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
第1の発明によれば、ライナ(23)を横長で長手方向の中央が後方に位置する凹面状に形成すると共に、弾殻(21)の後端に複数の起爆点(P1,P2,…,P300)をライナ(23)の湾曲形状に合わせて配置したEFP弾頭(20)を用い、炸薬(22)の爆轟圧力によってライナ(23)から速度勾配を有する棒状の迎撃体(50)を生成し、これを迎撃対象(1)に衝突させることとした。EFP弾頭(20)のライナ(23)から生成される迎撃体(50)は、飛翔中の運動エネルギーが極めて大きいため、この迎撃体(50)を迎撃対象(1)に衝突させることにより、迎撃対象(1)は、その大きな運動エネルギーから変換された衝撃エネルギーによって粉砕されると共に、運動エネルギーから変換された熱エネルギーによって溶融する(破壊される)。このように飛来する迎撃対象(1)にEFP弾頭(20)のライナ(23)から生成される迎撃体(50)を衝突させて迎撃対象(1)の少なくとも一部を破壊することにより、迎撃対象(1)を、侵徹威力が著しく低下した攻撃力のない状態にする(無力化する)ことができる。従って、このような迎撃システムによれば、迎撃対象(1)によって攻撃される防護対象を確実に防護することができる。
【0021】
また、第1の発明によれば、EFP弾頭(20)の湾曲線上に配列された複数の起爆点(P1,P2,…,P300)から、制御装置(40)が、ライナ(23)から生成された迎撃体(50)が会合予測位置に向かって飛翔するような2つの起爆点を選択し、それらの起爆点を同時に作動させるように構成した。このような構成により、制御装置(40)によって選択される起爆点の組合せを変更することによって、ライナ(23)から生成された迎撃体(50)の飛翔方向を容易に変更することができる。従って、上記迎撃システムによれば、迎撃体(50)の迎撃対象(1)への命中精度を向上させることができるため、より確実に迎撃対象(1)の無力化を図ることができる。
【0022】
また、第2の発明によれば、ライナ(23)を、長手方向が円弧状に湾曲するように形成し、複数の起爆点(P1,P2,…,P300)を、ライナ(23)の長手方向に対応する円弧上に一列に並ぶようにEFP弾頭(20)を構成することとした。このような円弧型のEFP弾頭(20)を用いることにより、どの2つの起爆点を作動させても、ライナ(23)は、作動した起爆点に対応する箇所が、複数の起爆点(P1,P2,…,P300)が並ぶ円弧の中心に向かって突出するように変形し、円弧の中心(O)に集積して速度勾配を有する棒状の迎撃体(50)となる。そして、迎撃体(50)は、2つの起爆点を結んだ線分の中点を通る垂線方向に飛翔する。そのため、制御装置(40)が、円弧の中心(O)と会合予測位置を通る直線(L)に対して線対称な位置に設けられた一対の起爆点を選択して作動させることにより、容易に迎撃体(50)を会合予測位置に向かって飛翔させて迎撃対象(1)に衝突させることができる。つまり、このような円弧型のEFP弾頭(20)を用いることにより、速度勾配を有する棒状の迎撃体(50)を迎撃対象(1)に衝突させるために作動させる起爆点を容易に選択することができる。
【0023】
また、第3の発明によれば、制御装置(40)が、円弧上に並ぶ複数の起爆点(P1,P2,…,P300)の両端に配置された起爆点のうちの会合予測位置との距離が遠い方を、第1の起爆対のうちの一方の起爆点として選択するように構成した。このように、同時に作動させる第1の起爆対のうちの1つの起爆点を、円弧上に並ぶ複数の起爆点(P1,P2,…,P300)のうちの端に設けられたものとすることで、第1の起爆対として2点間の距離が最も離れた2つの起爆点が選択されることとなる。これにより、第1の起爆対の一方の起爆点として端に配置された起爆点を選択しない場合に比べて、第1の起爆対の作動によって円弧の中心(O)に集積するライナの質量を大きくすることができる。つまり、迎撃対象(1)に向かって飛翔する迎撃体(50)の質量を最大限大きくすることができるため、迎撃対象(1)に衝突させた際に、迎撃対象(1)の運動エネルギーをより低減することができる。従って、上記迎撃システムによれば、迎撃体(50)の質量を最大限に大きくして迎撃体(50)の威力を最大限に増大させることにより、より確実に迎撃対象(1)の無力化を図ることができる。
【0024】
また、第4の発明によれば、制御装置(40)が、第1の起爆対の他に、該第1の起爆対の中間位置に配置された中間起爆点又は円弧の中心と会合予測位置とを通る直線(L)に対して線対称な位置に設けられた第1の起爆対とは異なる一対の起爆点からなる第2の起爆対を選択し、選択した起爆点を作動させるようにした。中間起爆点は、円弧の中心(O)と会合予測位置とを通る直線(L)上に位置するものであり、第2の起爆対は、第1の起爆対と同様に、円弧の中心(O)と会合予測位置とを通る直線(L)に対して線対称な位置にあるものである。そのため、第1の起爆対に、中間起爆点又は第2の起爆対を加えて作動させることにより、ライナ(23)から生成される迎撃体(50)の飛翔方向(指向性)及び質量を変えることなく、ライナ(23)が前方に射出される際における各部の速度勾配を変えることにより、ライナ(23)から生成される棒状の迎撃体(50)の飛翔方向の長さを短くすることができる。つまり、迎撃対象(1)の長さが短い場合や迎撃対象(1)の飛翔速度が速い場合などには、迎撃対象(1)が会合予測位置を通過する時間が短いため、会合予測位置において迎撃体(50)を迎撃対象(1)に衝突させるべき対処時間が短くなる。このような場合には、起爆点を追加して短い棒状の迎撃体(50)を生成することで、迎撃体(50)を無駄なく迎撃対象(1)に衝突させることができる。また、迎撃体(50)を短く生成することにより、単位長さ当たりの質量が増大するため、威力を増大させることができる。従って、上記迎撃システムによれば、効率よく迎撃対象(1)を無力化することができる。
【0025】
また、第5の発明によれば、制御装置(40)が、迎撃対象(1)の状態によって、第1の起爆対の起爆タイミングと中間起爆点又は第2の起爆対の起爆タイミングとを調節することとした。第1の起爆対の起爆タイミングと中間起爆点又は第2の起爆対の起爆タイミングとが同時のとき、迎撃体(50)の飛翔方向の長さは最短になり、起爆タイミングの間隔が大きくなる程、迎撃体(50)の飛翔方向の長さが長くなる。迎撃対象(1)の長さや飛翔速度によって迎撃対象(1)が会合予測位置を通過する時間が変わり、会合予測位置において迎撃体(50)を迎撃対象(1)に衝突させるべき対処時間も変わるが、この起爆タイミングと迎撃体(50)の飛翔方向の長さの関係を利用して起爆タイミングを調節することにより、迎撃体(50)の飛翔方向の長さを対処時間に応じた長さにすることができる。上記迎撃システムによれば、このように起爆タイミングを調節することにより、迎撃対象(1)との対処時間に応じた飛翔方向の長さを有する迎撃体(50)を生成することができるため、迎撃体(50)を無駄なく迎撃対象(1)に衝突させることができ、効率よく迎撃対象(1)を無力化することができる。
【0026】
また、第6の発明によれば、迎撃システムに、上述のような迎撃体(50)の飛翔方向を容易に変更することができるEFP弾頭(20)を複数設け、複数のEFP弾頭(20)を、ライナ(23)の長手方向に一列に並べることとした。このように複数のEFP弾頭(20)を横方向に並べることにより、迎撃体(50)を飛翔させることができる範囲を拡げることができる。また、複数のEFP弾頭(20)における起爆タイミングを変えることにより、複数の迎撃体(50)を迎撃対象(1)に連続して衝突させて対処時間を長くすることや、複数の迎撃体(50)を同時に迎撃対象(1)に衝突させて威力を増大させることが可能となる。従って、迎撃対象(1)に合わせて、複数の迎撃体(50)を迎撃対象(1)に衝突させるタイミングを変えることにより、効率よく迎撃対象(1)を無力化することができる。また、このような迎撃システムは、軽装甲車にも適用可能であり、軽装甲車を確実に防護することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0029】
《発明の実施形態1》
図1は、本発明の実施形態1に係る迎撃システム(10)の概略構成を示している。迎撃システム(10)は、対戦車用の装弾筒付翼安定徹甲弾(APFSDS)等の運動エネルギー弾(1)を迎撃対象とし、該運動エネルギー弾(1)に迎撃体を衝突させて破壊することによって、運動エネルギー弾(1)を破壊して無力化するものである。
【0030】
迎撃システム(10)は、迎撃体としてのEFP(Esplosively Formed Projectile/Penetrator)を発射するEFP弾頭(20)と、迎撃対象である運動エネルギー弾(1)を検知する検知装置(30)と、迎撃体が迎撃対象に衝突するようにEFP弾頭(20)の作動を制御する制御装置(40)とを備えている。
【0031】
[EFP弾頭]
EFP弾頭(20)は、戦車(2)等、防護する対象物の上部に、衝撃緩衝装置(3)を介して固定されている。EFP弾頭(20)は、後述するライナ(23)が斜め下方に射出されるように、前面が斜め下方向きに設けられている。EFP弾頭(20)は、前面に直交する方向(ライナ(23)が射出される方向)が、水平方向と30°〜45°の角度をなす向きに設けられている。
【0032】
図2及び
図3に示すように、EFP弾頭(20)は、弾殻(21)と、炸薬(22)と、ライナ(23)と、起爆装置(24)とを備えている。なお、以下の説明では、説明の便宜上、
図2の紙面表裏方向及び
図3の左右方向を「横方向」と言い、
図2の左右方向及び
図3の紙面表裏方向を「縦方向」と言う。また、
図2及び
図3の上下方向において上方を「前方」と言い、
図2及び
図3の上下方向において下方を「後方」と言う。
【0033】
弾殻(21)は、鋼鉄など、高密度の金属(鉄以上の密度)によって横長で前面が開口する凹部(21a)が形成された有底筒状に形成されている。また、弾殻(21)は、長手方向である横方向の中央が後方に位置する円弧状に湾曲した円弧形状に形成されている。弾殻(21)の開口面を有する前端は、開口の中央に向かって突出してライナ(23)を保持する爪部(21b)に構成されている。弾殻(21)に形成された凹部(21a)は、後方ほど縦方向の幅が狭くなるように裾窄まりの形状に形成されている。なお、本実施形態では、弾殻(21)は、横方向の長さ(弾頭長)が300mm、円弧角αが120°となるように形成されている。
【0034】
炸薬(22)は、弾殻(21)の凹部(21a)の後部の一部分を除く部分に充填されている。本実施形態では、炸薬(22)は、縦方向の長さ(薬幅)と前後方向の長さ(薬長)が共に60mmとなるように凹部(21a)に充填されている。なお、凹部(21a)の後部には、起爆装置(24)が収容されている。
【0035】
ライナ(23)は、銅、ニッケル、タンタル等の横長矩形状の金属板を湾曲させることによって形成されている。ライナ(23)は、弾殻(21)と同様に湾曲し、凹部(21a)に炸薬(22)が充填された弾殻(21)の前面の横長の矩形状の開口を閉塞するように、弾殻(21)の前端の爪部(21b)に保持されている。具体的には、ライナ(23)は、長手方向(横方向)の中央が後方に位置するように円弧状に湾曲している。ライナ(23)の円弧中心Oと、弾殻(21)の円弧中心Oとは一致するように形成されている。本実施形態では、ライナ(23)は、厚さ3.5mmの金属板によって構成されている。
【0036】
起爆装置(24)は、伝爆薬(25)と、起爆列(26)とを有している。伝爆薬(25)と起爆列(26)とは、弾殻(21)の凹部(21a)の炸薬(22)の後方に収容されている。凹部(21a)において、伝爆薬(25)は、炸薬(22)のすぐ後ろに配置され、起爆列(26)は、伝爆薬(25)のさらに後方の凹部(21a)の後端部に配置されている。
【0037】
伝爆薬(25)は、炸薬(22)よりも敏感で炸薬(22)よりも反応速度の遅い火薬によって構成されている。伝爆薬(25)は、後方の起爆列(26)の作動により爆発してその爆発を前方の炸薬(22)に伝えることにより、炸薬(22)を起爆する。
【0038】
起爆列(26)は、本実施形態では、中程が幅狭に形成された金属箔の幅狭部分にポリイミドシートを載せたEFI(Exploding Foil Initiator)で構成された複数の起爆部が横方向に並ぶ列によって構成されている。各起爆部(EFI)では、金属箔に立ち上がりが急峻な大電流を流すことにより、金属箔の幅狭部分で発生する熱によってポリイミドシートが昇華し、その昇華の際に伝爆薬(25)に衝撃を与えることにより、伝爆薬(25)を起爆するように構成されている。つまり、各起爆部(EFI)においてポリイミドシートが載せられた金属箔の幅狭部分が本発明に係る起爆点(P1,P2…,P300)となる。
【0039】
複数の起爆部(EFI)は、隣り合う金属箔が絶縁した状態で重なり合いながら、弾殻(21)の凹部(21a)の後端において長手方向(横方向)に一列に並べられている。複数の起爆部(EFI)は、起爆点(P1,P2…,P300)の間隔が1mm程度になるように配列されている。本実施形態では、複数の起爆点(P1,P2…,P300)は、円弧中心Oからの距離(半径)が150mmの円弧上に配列されている。起爆列(26)の円弧長は314mmであり、起爆列(26)には、300個のEFIが配列されている。つまり、本実施形態では、起爆装置(24)は、ライナの長手方向に対応して湾曲する円弧上に一列に並ぶ300個の起爆点(P1,P2…,P300)を有している。なお、
図4は、EFP弾頭(20)を模式的に示すものであるため、起爆点(P1,P2…,P300)の個数が実際の数よりも少なく描かれている。
【0040】
本実施形態では、起爆列(26)は、両端部に配置された起爆点(P1,P300)が、炸薬(22)の端部から20mm程度内側寄りに位置するように形成されている。また、ライナ(23)と弾殻(21)との境界が剛境界となるように構成されている。これは、後述するライナ(23)の変形時に、全ての部位で同一方向の速度ベクトルを有する棒状の迎撃体(50)を生成するには、ライナ(23)の飛翔方向に対して対称な拘束力を保持する必要があり、このような拘束力の対称性を満たすために上述のように構成されている。なお、拘束力の対称性を満たすためには、上述のような構成の他、起爆列(26)の両端の起爆点(P1,P300)が、炸薬(22)の端部から薬長と同等以上(本実施形態では、60mm以上)内側寄りに位置するように構成するようにしてもよい。
【0041】
[検知装置]
検知装置(30)は、レーダ、レーザレーダ等によって出力した電磁波の反射波を受け、この反射波から迎撃対象である運動エネルギー弾(1)の速度、弾道、飛翔断面積を検知する。検知装置(30)は、制御装置(40)と有線又は無線によって通信可能に接続され、運動エネルギー弾(1)の速度、弾道、飛翔断面積の検知データを制御装置(40)に送信する。
【0042】
[制御装置]
制御装置(40)は、検知装置(30)から受信した運動エネルギー弾(1)の速度、弾道、飛翔断面積に関する検知データに基づいて、運動エネルギー弾(1)の種類を特定し、EFP弾頭(20)で生成される迎撃体(EFP)(50)と衝突させる会合予測位置と、対処時間(運動エネルギー弾(1)の前端から後端までが会合予測位置を通過するのに要する時間)を決定するように構成されている。
【0043】
また、制御装置(40)は、EFP弾頭(20)の複数の起爆点(P1,P2…,P300)の中から、ライナ(23)が、運動エネルギー弾(1)との会合予測位置に向かって飛翔する迎撃体(50)に生成されるように炸薬(22)を起爆する複数の起爆点を選択すると共に、迎撃体(50)の飛翔方向の長さが対処時間に応じた長さになるように複数の起爆点の起爆タイミングを決定するように構成されている。さらに、制御装置(40)は、選択した複数の起爆点を決定した起爆タイミングで作動させるようにEFP弾頭(20)に作動信号を送信するように構成されている。なお、制御装置(40)の具体的な動作については後述する。
【0044】
本実施形態では、制御装置(40)は、本願で開示するように動作するマイクロコンピュータと、実施可能な制御プログラムが記憶されたメモリやハードディスク等とを含んでいる。なお、上記制御装置(40)は、迎撃システム(10)の制御装置の一例であり、制御装置(40)の詳細な構造やアルゴリズムは、本発明に係る機能を実行するどのようなハードウェアとソフトウェアとの組み合わせであってもよい。
【0045】
−動作及び作用−
次に、迎撃システム(10)による迎撃動作について説明する。
【0046】
まず、迎撃システム(10)では、検知装置(30)によって、戦車(2)に向かって飛来する迎撃対象としての運動エネルギー弾(1)の速度、弾道、飛翔断面積が検知され、その検知データが制御装置(40)に送信される。
【0047】
制御装置(40)は、検知装置(30)から受信した運動エネルギー弾(1)の速度、弾道、飛翔断面積に関する検知データに基づいて、EFP弾頭(20)から発射される迎撃体(50)と衝突させる会合位置と時間を決定すると共に、運動エネルギー弾(1)の無力化を図るために会合予測位置(先に決定した会合位置)において迎撃体(50)を衝突させるべき対処時間(運動エネルギー弾(1)の前端から後端までが会合予測位置を通過するのに要する時間)を決定する。
【0048】
また、制御装置(40)は、EFP弾頭(20)の複数の起爆点(P1,P2…,P300)の中から、ライナ(23)が、運動エネルギー弾(1)との会合予測位置に向かって飛翔する迎撃体(EFP)に生成されるように炸薬(22)を起爆する複数の起爆点を選択し、迎撃体(EFP)の飛翔方向の長さが、対処時間に応じた長さ(迎撃体(50)の前端から後端までが会合予測位置を通過するのに要する時間が対処時間となるような長さ)になるように複数の起爆点の起爆タイミングを決定する。そして、制御装置(40)は、選択した複数の起爆点が決定した起爆タイミングで作動するようにEFP弾頭(20)に作動信号を送信する。
【0049】
制御装置(40)から作動信号を受信したEFP弾頭(20)は、作動信号に従い、制御装置(40)が選択した複数の起爆点を、制御装置(40)が決定した起爆タイミングで作動させる。その結果、複数箇所において炸薬(22)が起爆され、炸薬(22)の爆轟圧力により、ライナ(23)が前方に突出するように変形する。本実施形態のような円弧型のEFP弾頭(20)では、ライナ(23)は、作動した起爆点に対応する箇所が円弧中心Oに向かって突出するように変形し、円弧中心Oに集積して所望の長さの速度勾配を有する棒状の迎撃体(50)に生成される。迎撃体(50)は、会合予測位置に向かって飛翔し、会合予測位置において運動エネルギー弾(1)に衝突する。
【0050】
ところで、EFP弾頭(20)のライナ(23)から生成される迎撃体(50)は、従来の迎撃システムにおいて迎撃対象に衝突させていた紛状耐熱材に比べて質量が極めて大きいため、飛翔中の運動エネルギーも該紛状耐熱材に比べて極めて大きい。そのため、このような迎撃体(50)を迎撃対象である運動エネルギー弾(1)に衝突させることにより、運動エネルギー弾(1)は、その大きな運動エネルギーから変換された衝撃エネルギーによって粉砕されると共に、運動エネルギーから変換された熱エネルギーによって溶融する(破壊される)。このようにして、飛来する運動エネルギー弾(1)は、少なくとも一部が粉砕されると共に溶融することにより、運動エネルギーが散逸し、侵徹威力が著しく低下して攻撃力のない無力化状態となる(無力化されることとなる)。
【0051】
[起爆点の選択について]
以下、制御装置(40)による起爆点の選択について詳述する。
【0052】
制御装置(40)は、複数の起爆点(P1,P2…,P300)のうち、該複数の起爆点(P1,P2…,P300)が配列された円弧の中心Oと会合予測位置とを通る直線Lに対して線対称な位置に設けられた一対の起爆点を第1の起爆対として必ず選択する。例えば、
図4のような位置に会合予測位置がある場合、第1起爆点(P1)と第9起爆点(P9)、第2起爆点(P2)と第8起爆点(P8)、第3起爆点(P3)と第7起爆点(P7)、及び第4起爆点(P4)と第6起爆点(P6)が、円弧中心Oと会合予測位置とを通る直線Lに対して線対称な位置に設けられた一対の起爆点となる。制御装置(40)は、この4組の起爆対の中から1組を、同時に作動させる(同時に炸薬を起爆する)第1の起爆対として選択し、作動させる。
【0053】
ところで、本迎撃システム(10)で用いるライナ(23)が円弧状に湾曲し、複数の起爆点(P1,P2,…,P300)がライナ(23)に対応する円弧上に一列に並べられた円弧型のEFP弾頭(20)では、どの2つの起爆点を作動させても、ライナ(23)は、作動した起爆点に対応する箇所が、円弧中心Oに向かって突出するように変形し、円弧中心Oに集積して速度勾配を有する棒状の迎撃体(50)となる。そして、棒状の迎撃体(50)は、2つの起爆点を結んだ線分の中点を通る垂線方向に飛翔する。
【0054】
そのため、制御装置(40)が、円弧中心Oと会合予測位置を通る直線Lに対して線対称な位置に設けられた一対の起爆点を第1の起爆対として選択して作動させると、ライナ(23)から生成された棒状の迎撃体(50)は、円弧中心Oを通って会合予測位置に向かって飛翔することとなる。つまり、会合予測位置に応じて第1の起爆対の選択を変更することで、容易に迎撃体(50)の飛翔方向を変えることができる。
【0055】
また、本実施形態では、制御装置(40)は、起爆列(26)において端に配置された2つの起爆点(P1,P300)のうち、会合予測位置との距離が遠い方を、第1の起爆対のうちの一方の起爆点として選択する。例えば、
図4の場合、会合予測位置との距離が遠い第1起爆点(P1)を、第1の起爆対のうちの一方の起爆点として選択する。これにより、制御装置(40)は、第1の起爆対の他方の起爆点として第9起爆点(P9)を選択する。つまり、本実施形態では、
図4の場合、制御装置(40)が、第1起爆点(P1)と第9起爆点(P9)を、第1の起爆対として選択する。
【0056】
このように同時に作動させる第1の起爆対のうちの1つの起爆点として、円弧状の起爆列(26)において端に配置された起爆点を選択することにより、第1の起爆対として2点間の距離が最も離れた2つの起爆点(第1起爆点(P1)と第9起爆点(P9))が選択されることとなる。これにより、第1の起爆対の一方の起爆点として端に配置された起爆点を選択しない場合に比べて、第1の起爆対の作動によって円弧中心Oに集積するライナ(23)の質量が大きくなる。
【0057】
ところで、第1の起爆対の起爆点を同時に作動させることで、ライナ(23)から迎撃体(50)を生成して所望の方向に飛翔させることはできるが、迎撃体(50)の飛翔方向の長さを調節することはできない。そのため、迎撃対象である運動エネルギー弾(1)の長さが短い場合や運動エネルギー弾(1)の飛翔速度が速い場合などには、迎撃体(50)に求められる対処時間が短くなるのに対し、第1の起爆対のみ作動させると、速度勾配を有する棒状の迎撃体(50)が無駄に細長く生成されることがある。このように対処時間に対して細長すぎる迎撃体(50)では、一部分のみが運動エネルギー弾(1)に衝突し、大部分が無力化に寄与しないため、効率が悪い。
【0058】
そこで、本実施形態では、制御装置(40)は、迎撃体(50)に求められる対処時間の長さに応じて、第1の起爆対の他に、ライナ(23)が会合予測位置に向かって飛翔するよう迎撃体(50)に生成されるように炸薬(22)を起爆する起爆点を選択し、この起爆点を作動させる。具体的には、制御装置(40)は、第1の起爆対の中間位置に配置された中間起爆点、又は、起爆列(26)の円弧中心Oと会合予測位置とを通る直線Lに対して線対称な位置に設けられた第1の起爆対とは異なる一対の起爆点からなる第2の起爆対を選択する。
【0059】
例えば、
図4に示す位置に会合予測位置がある場合、制御装置(40)は、
図5に示すように、第1起爆点(P1)と第9起爆点(P9)とからなる第1の起爆対と異なる第2の起爆対として、第3起爆点(P3)と第7起爆点(P7)を選択し、第2の起爆対を第1の起爆対と共に作動させる。このように作動させる起爆点が増えると、ライナ(23)が円弧中心Oに向かって突出する箇所が増え、生成される迎撃体(50)の飛翔方向における速度勾配が小さくなる(
図5の太二点鎖線を参照)。これにより、迎撃体(50)は、
図5に示すように、第1の起爆対のみを作動させた場合に生成される
図4に示す迎撃体(50)に比べて太短く生成されることとなる。
【0060】
なお、第2の起爆対の代わりに、第1の起爆対の中間に位置する中間起爆点を選択して第1の起爆対と共に作動させることとしても、迎撃体(50)の飛翔方向は第1の起爆対のみが作動する場合から変わらない。具体的には、例えば、
図4に示す位置に会合予測位置がある場合、制御装置(40)は、第1起爆点(P1)と第9起爆点(P9)とからなる第1の起爆対の他に、これらの中間に位置する第5起爆点(P5)を中間起爆点として選択し、第1の起爆対と共に作動させる。この場合も、第2の起爆対を選択した場合と同様に、迎撃体(50)が、第1の起爆対のみを作動させた場合に比べて、太短く生成されることとなる。
【0061】
また、
図6に示すように、制御装置(40)は、第1の起爆対と第2の起爆対と中間起爆点の全てを選択して作動させることもできる。この場合、作動させる起爆点がさらに増えたことにより、ライナ(23)が円弧中心Oに向かって突出する箇所が増え、生成される迎撃体(50)の飛翔方向における速度勾配がより小さくなる(
図6の太二点鎖線を参照)。その結果、迎撃体(50)は、
図6に示すように、第1の起爆対と第2の起爆対又は中間起爆点とを作動させた場合に生成される
図5に示す迎撃体(50)に比べてさらに太短く生成されることとなる。
【0062】
[起爆点の作動タイミングの調節について]
上述のように、作動させる起爆点を増やすことにより、生成される迎撃体(50)の飛翔方向における長さを短くすることができるが、本実施形態では、制御装置(40)が、運動エネルギー弾(1)の状態によって、第1の起爆対の起爆タイミングと第2の起爆対(又は中間起爆点)の起爆タイミングとを調節することにより、迎撃体(50)の飛翔方向の長さを制御することとしている。
【0063】
制御装置(40)は、検知装置(30)の検知データから、運動エネルギー弾(1)の種類を特定し、その種類から対処時間を決定する。そして、迎撃体(50)の飛翔方向の長さが、その対処時間に応じた長さとなるように、第1の起爆対の起爆タイミングに対して、第2の起爆対(又は中間起爆点)の起爆タイミングを遅らせる。このように起爆タイミングに時間差を設けると、起爆タイミングが同時である場合に比べてライナ(23)が前方に射出される際における各部の速度勾配が大きくなるため、ライナ(23)から生成される迎撃体(50)の飛翔方向の長さが長くなる。
【0064】
具体的には、第1の起爆対の起爆タイミングと第2の起爆対(又は中間起爆点)の起爆タイミングとが同時のとき、第1の起爆対及び第2の起爆対(又は中間起爆点)の2組の起爆対を作動させた場合における迎撃体(50)の飛翔方向の長さが最短となる。そして、起爆タイミングの時間差が大きくなる程、迎撃体(50)の飛翔方向の長さは長くなり、その時間差が、第1の起爆対と第2の起爆対(又は中間起爆点)との距離(第2の起爆対の場合、第1起爆点(P1)と第3起爆点(P3)との距離、中間起爆点の場合、第1起爆点(P1)と第5起爆点(P5)との距離)を炸薬(22)の爆轟速度で除した値になるとき、第1の起爆対及び第2の起爆対(又は中間起爆点)の2組の起爆対を作動させた場合における迎撃体(50)の飛翔方向の長さが最長となる。この第1の起爆対及び第2の起爆対(又は中間起爆点)の2組の起爆対を作動させた場合における最長の迎撃体(50)の飛翔方向の長さは、第1の起爆対のみを作動させた場合における迎撃体(50)の飛翔方向の長さに等しくなる。
【0065】
このようにして、迎撃対象である運動エネルギー弾(1)の長さや飛翔速度によって運動エネルギー弾(1)が会合予測位置を通過する時間が変わるため、対処時間も変わるが、起爆タイミングを調節することにより、迎撃体(50)の飛翔方向の長さが対処時間に応じた長さとなり、迎撃体(50)が無駄なく運動エネルギー弾(1)に衝突することとなる。
【0066】
−実施形態1の効果−
本迎撃システム(10)によれば、ライナ(23)を横長で長手方向の中央が後方に位置する凹面状に形成すると共に、弾殻(21)の後端に複数の起爆点(P1,P2,…,P300)をライナ(23)の円弧形状に合わせて配置したEFP弾頭(20)を用い、炸薬(22)の爆轟圧力によってライナ(23)から棒状の迎撃体(50)を生成し、これを運動エネルギー弾(1)に衝突させることとした。このように、EFP弾頭(20)のライナ(23)から生成される迎撃体(50)は、飛翔中の運動エネルギーが極めて大きいため、この迎撃体(50)を迎撃対象(1)に衝突させることにより、迎撃対象である運動エネルギー弾(1)は、その大きな運動エネルギーから変換された衝撃エネルギーによって粉砕されると共に、運動エネルギーから変換された熱エネルギーによって溶融する(破壊される)。このように飛来する運動エネルギー弾(1)にEFP弾頭(20)のライナ(23)から生成される迎撃体(50)を衝突させて運動エネルギー弾(1)の少なくとも一部を破壊することにより、運動エネルギー弾(1)を、侵徹威力が著しく低下した攻撃力のない状態にする(無力化する)ことができる。従って、このような本迎撃システム(1)によれば、運動エネルギー弾(1)によって攻撃される防護対象(本実施形態では戦車(2))を確実に防護することができる。
【0067】
また、本迎撃システム(10)によれば、EFP弾頭(20)の湾曲線上に配列された複数の起爆点(P1,P2,…,P300)から、制御装置(40)が、ライナ(23)から生成された迎撃体(50)が会合予測位置に向かって飛翔するような2つの起爆点を選択し、それらの起爆点を同時に作動させるように構成した。このような構成により、制御装置(40)によって選択される起爆点の組合せを変更することによって、ライナ(23)から生成された上記迎撃体(50)の飛翔方向を容易に変更することができる。従って、上記迎撃システムによれば、迎撃体(50)の運動エネルギー弾(1)への命中精度を向上させることができるため、より確実に運動エネルギー弾(1)の無力化を図ることができる。
【0068】
また、本迎撃システム(10)によれば、ライナ(23)を、長手方向が円弧状に湾曲するように形成し、複数の起爆点(P1,P2,…,P300)を、ライナ(23)の長手方向に対応する円弧上に一列に並ぶようにEFP弾頭(20)を構成することとした。このような円弧型のEFP弾頭(20)を用いることにより、どの2つの起爆点を作動させても、ライナ(23)は、作動した起爆点に対応する箇所が、複数の起爆点(P1,P2,…,P300)が並ぶ円弧の中心に向かって突出するように変形し、円弧の中心(O)に集積して速度勾配を有する棒状の上記迎撃体(50)となる。そして、迎撃体(50)は、2つの起爆点を結んだ線分の中点を通る垂線方向に飛翔する。そのため、制御装置(40)が、円弧の中心(O)と会合予測位置を通る直線(L)に対して線対称な位置に設けられた一対の起爆点を選択して作動させることにより、容易に迎撃体(50)を会合予測位置に向かって飛翔させて運動エネルギー弾(1)に衝突させることができる。つまり、このような円弧型のEFP弾頭(20)を用いることにより、迎撃体(50)を運動エネルギー弾(1)に衝突させるために作動させる起爆点を容易に選択することができる。
【0069】
また、本迎撃システム(10)によれば、制御装置(40)が、円弧上に並ぶ複数の起爆点(P1,P2,…,P300)の両端に配置された起爆点のうちの会合予測位置との距離が遠い方を、第1の起爆対のうちの一方の起爆点として選択するように構成した。このように、同時に作動させる第1の起爆対のうちの1つの起爆点を、円弧上に並ぶ複数の起爆点(P1,P2,…,P300)のうちの端に設けられたものとすることで、第1の起爆対として2点間の距離が最も離れた2つの起爆点が選択されることとなる。これにより、第1の起爆対の一方の起爆点として端に配置された起爆点を選択しない場合に比べて、第1の起爆対の作動によって円弧の中心(O)に集積するライナの質量を大きくすることができる。つまり、運動エネルギー弾(1)に向かって飛翔する棒状の迎撃体(50)の質量を最大限大きくすることができるため、運動エネルギー弾(1)に衝突させた際に、運動エネルギー弾(1)の運動エネルギーをより低減することができる。従って、上記迎撃システムによれば、迎撃体(50)の質量を最大限に大きくして迎撃体(50)の威力を最大限に増大させることにより、より確実に運動エネルギー弾(1)の無力化を図ることができる。
【0070】
また、本迎撃システム(10)によれば、制御装置(40)が、第1の起爆対の他に、該第1の起爆対の中間位置に配置された中間起爆点又は円弧の中心と会合予測位置とを通る直線(L)に対して線対称な位置に設けられた第1の起爆対とは異なる一対の起爆点からなる第2の起爆対を選択し、選択した起爆点を作動させるようにした。中間起爆点は、円弧の中心(O)と会合予測位置とを通る直線(L)上に位置するものであり、第2の起爆対は、第1の起爆対と同様に、円弧の中心(O)と会合予測位置とを通る直線(L)に対して線対称な位置にあるものである。そのため、第1の起爆対に、中間起爆点又は第2の起爆対を加えて作動させることにより、ライナ(23)から生成される上記迎撃体(50)の飛翔方向(指向性)及び質量を変えることなく、ライナ(23)が前方に射出される際における各部の速度勾配を変えることにより、ライナ(23)から生成される上記迎撃体(50)の飛翔方向の長さを短くすることができる。つまり、運動エネルギー弾(1)の長さが短い場合や運動エネルギー弾(1)の飛翔速度が速い場合などには、運動エネルギー弾(1)が会合予測位置を通過する時間が短いため、会合予測位置において迎撃体(50)を運動エネルギー弾(1)に衝突させるべき対処時間が短くなる。このような場合には、起爆点を追加して短い棒状の上記迎撃体(50)を生成することで、迎撃体(50)を無駄なく運動エネルギー弾(1)に衝突させることができる。また、迎撃体(50)を短く生成することにより、単位長さ当たりの質量が増大するため、威力を増大させることができる。従って、上記迎撃システムによれば、効率よく運動エネルギー弾(1)を無力化することができる。
【0071】
また、本迎撃システム(10)によれば、制御装置(40)が、運動エネルギー弾(1)の状態によって、第1の起爆対の起爆タイミングと中間起爆点又は第2の起爆対の起爆タイミングとを調節することとした。第1の起爆対の起爆タイミングと中間起爆点又は第2の起爆対の起爆タイミングとが同時のとき、迎撃体(50)の飛翔方向の長さは最短になり、起爆タイミングの間隔が大きくなる程、迎撃体(50)の飛翔方向の長さが長くなる。運動エネルギー弾(1)の長さや飛翔速度によって運動エネルギー弾(1)が会合予測位置を通過する時間が変わり、会合予測位置において迎撃体(50)を運動エネルギー弾(1)に衝突させるべき対処時間も変わるが、この起爆タイミングと迎撃体(50)の飛翔方向の長さの関係を利用して起爆タイミングを調節することにより、迎撃体(50)の飛翔方向の長さを対処時間に応じた長さにすることができる。上記迎撃システムによれば、このように起爆タイミングを調節することにより、運動エネルギー弾(1)との対処時間に応じた飛翔方向の長さを有する迎撃体(50)を生成することができるため、迎撃体(50)を無駄なく運動エネルギー弾(1)に衝突させることができ、効率よく運動エネルギー弾(1)を無力化することができる。
【0072】
また、本迎撃システム(10)によれば、起爆部をEFIで構成することにより、複数の起爆点(P1,P2…,P300)を狭い間隔(1mm間隔)で設けることができる。そのため、迎撃体(50)の命中精度を上げることができる。また、EFIによって比較的鈍感な伝爆薬(25)を起爆する構成としたため、複数の起爆点(P1,P2…,P300)を狭い間隔(1mm間隔)で配置するように構成しても、メタルシャッター等を用いることなく、瞬時にライナ(23)が前方に射出するようなEFP弾頭(20)を構成することができる。
【0073】
《発明の実施形態2》
実施形態2の迎撃システム(10)は、実施形態1では1つであったEFP弾頭(20)の個数を3つに変更したものである。
【0074】
具体的には、
図7に示すように、実施形態2の迎撃システム(10)は、第1〜第3のEFP弾頭(20A,20B,20C)を備えている。第1〜第3のEFP弾頭(20A,20B,20C)は、実施形態1と同様に、戦車(2)の上に設置されている。また、第1〜第3のEFP弾頭(20A,20B,20C)は、それぞれの長手方向である横方向に一列に並んでいる。各EFP弾頭(20A,20B,20C)の構成は、実施形態1のEFP弾頭(20)の構成と同様であるため、説明を省略する。
【0075】
実施形態2においても、制御装置(40)は、各EFP弾頭(20A,20B,20C)に対し、概ね、実施形態1と同様に制御する。それに加え、実施形態2では、制御装置(40)は、各EFP弾頭(20A,20B,20C)と会合予測位置までの予測飛翔距離(スタンドオフ)に応じて、各EFP弾頭(20A,20B,20C)における起爆タイミングを変更するように構成されている。本実施形態では、制御装置(40)は、予測飛翔距離が短いほど、起爆タイミングに時間差を設け、予測飛翔距離が長いほど、起爆タイミングの時間差を小さくする。
【0076】
具体的には、例えば、第1〜第3のEFP弾頭(20A,20B,20C)と会合予測位置とが、
図7のような位置関係にある場合について説明する。この場合、各EFP弾頭(20A,20B,20C)において、起爆列(26)の中心と円弧中心Oとを結ぶ中心線Mと、円弧中心Oと会合予測位置とを結ぶ線分Lとがなす会合角度βは、第2のEFP弾頭(20B)が最も小さく、第3のEFP弾頭(20C)、第1のEFP弾頭(20A)の順に大きくなる。
【0077】
このとき、制御装置(40)は、
図8に示すように、予測飛翔距離が短いD1の場合、まず、会合角度βが小さいものから第2のEFP弾頭(20B)、第3のEFP弾頭(20C)、第1のEFP弾頭(20A)の順に、略等しい時間間隔で連続的に起爆させる(
図8のT1、T2、T3で連続的に起爆)。一方、予測飛翔距離が長いD3の場合、第1〜第3のEFP弾頭(20A,20B,20C)をほぼ同時に起爆させる(
図8のT21で同時に起爆)。また、予測飛翔距離が中程度のD2の場合、まず、会合角度βが小さい第2のEFP弾頭(20B)を起爆させ(
図8のT11で起爆)、その後、時間を空けて会合角度βが中程度の第3のEFP弾頭(20C)と会合角度βが大きい第1のEFP弾頭(20A)とをほぼ同時に起爆させる(
図8のT12で起爆)。
【0078】
図8に示す各EFP弾頭(20A,20B,20C)の迎撃体(50)(EFP)を示す矩形ブロックは、高さが各迎撃体(50)の単位長さ当たりの運動エネルギー(威力)を示し、横方向の長さが会合予測位置での対処時間を示す。
図8に示すように、迎撃体(50)は、予測飛翔距離が長くなればなるほど、前端と後端との速度差によって飛翔方向の長さが長くなるため、会合予測位置での対処時間が長くなる一方、単位長さ当たりの運動エネルギー(威力)が小さくなる。逆に、予測飛翔距離が短くなればなるほど、迎撃体(50)の飛翔方向の長さは短くなるため、会合予測位置での対処時間が短くなる一方、単位長さ当たりの運動エネルギー(威力)が大きくなる。そのため、実施形態2では、3つのEFP弾頭(20A,20B,20C)の起爆タイミングを、予測飛翔距離に応じて変更することにより、運動エネルギー弾(1)の無力化の確実性を上げることとしている。
【0079】
具体的には、予測飛翔距離が短い場合には、1つ1つの迎撃体(50)の運動エネルギー弾(1)に与える単位長さ当たりの破壊エネルギー(迎撃体(50)の飛翔速度成分に運動エネルギー弾(1)との衝突時に発生する反対方向の速度成分を合算した速度から計算される迎撃体(50)の運動エネルギーに基づいて算出される)は大きいが、対処時間が短いため、起爆タイミングをずらしてこれらが連続的に運動エネルギー弾(1)に衝突するようにすることで、対処時間を長くしている。逆に、予測飛翔距離が長い場合には、1つ1つの迎撃体(50)の対処時間は長いが、それぞれの運動エネルギー弾(1)に与える単位長さ当たりの破壊エネルギー(威力)が小さいため、起爆タイミングを同時にしてこれらが同時に運動エネルギー弾(1)に衝突するようにすることで、運動エネルギー弾(1)に与える単位長さ当たりの破壊エネルギー(威力)を増大させている。
【0080】
実施形態2によれば、迎撃システム(10)に、迎撃体(50)の飛翔方向を容易に変更することができるEFP弾頭(20)を複数設け、複数のEFP弾頭(20)を、ライナ(23)の長手方向に一列に並べることとした。このように複数のEFP弾頭(20)を横方向に並べることにより、迎撃体(50)を飛翔させることができる範囲を拡げることができる。
【0081】
また、実施形態2によれば、複数のEFP弾頭(20)における起爆タイミングを変えることにより、複数の迎撃体(50)を迎撃対象である運動エネルギー弾(1)に連続して衝突させて対処時間を長くすることや、複数の迎撃体(50)を同時に運動エネルギー弾(1)に衝突させて威力を増大させることが可能となる。例えば、上述のように、予測飛翔距離(スタンドオフ)に合わせて3つのEFP弾頭(20A,20B,20C)の起爆タイミングを変えることとすると、3つの迎撃体(50)が運動エネルギー弾(1)に衝突するタイミングが変わり、効果的に運動エネルギー弾(1)の運動エネルギーを低下させることができる。従って、迎撃対象である運動エネルギー弾(1)の無力化をより確実に図ることができる。
【0082】
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0083】
上記各実施形態では、複数の起爆部をEFIで構成していたが、起爆部はEFIに限られない。上述のように、複数の起爆点を円弧上に配置することができるものであれば、いかなるものであってもよい。
【0084】
また、上記各実施形態では、第1の起爆対のみを作動させる場合、第1の起爆対と第2の起爆対とを作動させる場合、第1の起爆対と中間起爆点とを作動させる場合、第1の起爆対と第2の起爆対と中間起爆対とを作動させる場合について説明したが、第1及び第2の起爆対の他に第1及び第2の起爆対とは別の直線Lに対して線対称な位置に設けられた第3の起爆対を選択し、第3の起爆対も作動させることとしてもよい。
【0085】
また、上記各実施形態では、ライナ(23)が、迎撃対象である運動エネルギー弾(1)との会合予測位置に向かって飛翔する上記迎撃体(50)に生成されるように炸薬(22)を起爆する起爆点を選択し、該起爆点を作動させていた。このとき、ライナ(23)において、第1の起爆対に対応する箇所にはさまれるその内側の部分は、上記迎撃体(50)の生成に寄与するが、外側の部分は上記迎撃体(50)の生成に寄与しない無効な部分となる。そのため、この外側の部分に対応する起爆点を、炸薬(22)を爆轟させない爆発、爆燃レベルのエネルギーで作動させることにより、無効な部分に対応する炸薬(22)を爆轟させることなく爆発又は爆燃させることにより、副次被害の低減を図ることができる。
【0086】
また、EFP弾頭(20)の大きさ(弾頭長、円弧角、薬長、薬幅、ライナの厚さ、ライナの大きさ)は、上記各実施形態のものに限られない。想定した迎撃対象に合わせ、該迎撃対象の運動エネルギーが散逸して防護対象に対する攻撃力のない状態にまで迎撃対象が破壊される迎撃弾(EFP)(50)の質量を算出し、この質量を確保できるような大きさとすればよい。
【0087】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。