(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
〈全体構成〉
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の説明では、本実施の形態にかかる画像表示装置が、自動車のダッシュボードに搭載されたヘッドアップディスプレイとして説明を行うが、本発明はこれに限られるものではない。画像表示装置は、ダッシュボード以外に箇所に取り付けられていてもよい。例えば、画像表示装置を自動車のルームミラー、又はサンバイザーに取り付けてもよい。さらには、画像表示装置は、自動車以外の車両や、車両以外の他の乗物に取り付けてもよく、他の乗物等に取り付けられていてもよい。
【0010】
図1は、本発明が想定する画像表示装置100の典型的使用例を模式的に示した図である。画像表示装置100は、自動車1のダッシュボード10上に搭載されている。
図1では、運転者Pを観察者としている。画像表示装置100からは所望の画像を表示させるように、生成、調整された画像表示光L1が発射される。
【0011】
この画像表示光L1は、コンバイナ(
図1では図示を省略)に射出された後、コンバイナ上で反射されて運転者Pの眼に入射し、網膜上に像を結ぶ。同時に、フロントガラス11には外界からの外光L2も入射して透過していく。したがって、外界からの外光L2と画像表示装置100からの画像表示光L1とがオーバーレイ(重畳)し、運転者Pの視界には外界の実景と画像表示装置100によって生成等された画像とが同時に見えることになる。
なお、以下の説明では、画像表示装置100が自動車1のダッシュボード10上に置かれている状態での方向を基準に説明する。すなわち、自動車1の方向を基準の方向とする。例えば、フロントガラス11側を前方として、運転者P側を後方として説明する。同様に、自動車1のルーフ側を上方とし、地面側を下方とし、自動車1の横方向(左右方向)を側方として説明する。
【0012】
次に、画像表示光L1の光路について、
図2を用いて説明する。
図2は、画像表示光L1の光路を示す図であり、画像表示装置100とその周辺を側方から見た模式図である。画像表示装置100は、プロジェクタ20とスクリーン50とコンバイナ60とを備えている。また、プロジェクタ20はプロジェクタ本体40と投影レンズ32とを備えている。プロジェクタ20を用いることで、小型で高精細な画像を表示することができる。なお、
図2では、プレート33にスクリーン50及びプロジェクタ20が取り付けられている。そして、プレート33が、ダッシュボード10上に置かれている。
【0013】
プロジェクタ本体40は、所定の偏光状態に偏光した画像表示光L1を射出する。また、プロジェクタ本体40には、表示画像に応じた画像信号が外部装置から入力されている。外部装置としては、図示しないカーナビゲーション装置や、メディア再生装置等が考えられる。そして、投影レンズ32は、画像信号に基づく画像表示光L1をスクリーン50に射出することで、画像信号に応じた画像をスクリーン50に投影する。
図2では、プロジェクタ20は、自動車1の後方側に光を射出している。プロジェクタ20からの画像表示光L1によって、スクリーン50には画像信号に基づく中間像Rが形成される。
図2には中間像の一例として、スクリーン50にカーナビゲーション装置から入力された画像信号に基づく左折を示す矢印の中間像Rが形成されている様子を示す。
【0014】
スクリーン50には中間像Rの実像が結像する。スクリーン50に投影される中間像Rとしては、運転に関する情報、例えば、カーナビゲーションの矢印や運転速度等とすることができる。あるいは、ナビゲーションの地図情報や、無線を介して受信された道路混雑情報などを中間像Rとしてもよい。
【0015】
スクリーン50は、反射型拡散スクリーンである。従って、スクリーン50に入射した画像表示光L1は、拡散反射される。反射型拡散スクリーンであるスクリーン50としては、例えば、表面が粗面加工されたスクリーン、ビーズスクリーン、又はホログラムスクリーンを用いることができる。プロジェクタ20がスクリーン50の表面上に中間像Rを拡大投影する。そして、スクリーン50は、自動車の前方、すなわち、フロントガラス11の方向に、画像表示光L1を反射する。
【0016】
スクリーン50で反射された画像表示光L1は、コンバイナ60に入射する。例えば、コンバイナ60は凹面形状のハーフミラーから形成されている。より具体的には、コンバイナ60は、曲率半径400mmの凹面メニスカス形状のハーフミラーである。
【0017】
コンバイナ60は、入射した光の一部を透過し、残りを反射する。コンバイナ60は、スクリーン50から入射した画像表示光L1の一部を運転者Pの方向に反射する。コンバイナ60は、スクリーン50で反射した画像表示光L1によって、中間像Rに係る虚像Iを表示させる。これにより、運転者Pはフロントガラス11の前方に、虚像Iを拡大観察する。運転者Pは、虚像Iをフロントガラス11及びコンバイナ60越しに認識することができる。運転者Pは、あたかもフロントガラス11の前方空間上に、中間像Rがあるかのように見ることができる。例えば、運転者Pの1〜2m先に虚像Iが形成される。これにより、運転者Pが前方から視線をそらすことなく、運転情報を確認することができる。
【0018】
太陽70からの外光が、フロントガラス11を介してスクリーン50に直接差し込みこむことがある。スクリーン50に入射した外光は、スクリーン50で拡散反射される。画像表示光L1以外の外光がスクリーン50で拡散反射されるとノイズ光となり、画像表示光L1に基づき認識される画像のコントラストの低下を招いてしまう。すなわち、スクリーン50で拡散反射した外光が、コンバイナ60で反射されて運転者Pの瞳に入射してしまう。特に、太陽光は高輝度であるため、太陽光が直接スクリーン50に入射すると、運転者Pが虚像Iを見づらく(認識しづらく)なってしまう。
【0019】
そこで、本実施の形態に係る画像表示装置100は、
図3に示すように、偏光板51を備えている。偏光板51は、スクリーン50からコンバイナ60までの画像表示光L1の光路中に配置されている。ここでは、偏光板51がスクリーン50の前面に取り付けられている。
【0020】
偏光板51は、入射した光の偏光状態に応じて光を透過する偏光素子である。例えば、偏光板51は、透過軸と一致する方向の直線偏光成分を透過する。従って、偏光板51は、不要偏光の光を反射又は吸収する。プロジェクタ本体40から射出された画像表示光L1は直線偏光となっている。偏光板51の配置方向は画像表示光L1の偏光方向に合わせられている。すなわち、投影レンズ32の光軸と垂直な平面において、直線偏光の画像表示光L1の偏光軸が、偏光板51の透過軸と平行となっている。従って、スクリーン50に入射した画像表示光L1のほとんどが偏光板51を透過する。プロジェクタ本体40から射出された画像表示光L1のほとんどが偏光板51を透過して、スクリーン50に入射する。そして、スクリーン50で拡散反射された画像表示光L1のほとんどが偏光板51を透過して、コンバイナ60に入射する。
【0021】
一方、太陽70から発せされた外光L2は、無偏光となっている。このため、偏光板51は、外光L2のほぼ半分を吸収、又は透過する。例えば、偏光板51が反射型の偏光板51であるとする。この場合、外光L2のほぼ半分は、偏光板51の表面で反射されて下方に向かう。そして、外光L2はプレート33に入射する。従って、偏光板51で反射した外光L2は、画像表示光L1の光路から外れる。なお、偏光板51を吸収型の偏光板とした場合、外光L2のほぼ半分は、偏光板51で吸収される。外光L2のほぼ半分は、画像表示光L1による虚像Iの形成には、寄与しなくなる。これにより、外光L2の影響を軽減することができ、高いコントラストで虚像Iを表示させることができる。
【0022】
〈プロジェクタ20の光学系〉
次に、
図4を用いて、プロジェクタ20の光学系について説明する。
図4に示すように、プロジェクタ本体40は、光源21、コリメータレンズ22、フィルタ23、反射型偏光板24、フライアイレンズ25、反射板26、フィールドレンズ27、反射型偏光板28、位相補償板29、表示素子30、アナライザ31、及び投影レンズ32を備えている。例えば、表示素子30はLCOS(Liquid Crystal On Silicon)デバイス等の反射型の液晶表示素子である。なお、表示素子30として、DMD(Digital Micromirror Device)等を用いてもよい。その場合、液要する表示素子に応じた光学系及び駆動回路で構成するものとする。
【0023】
光源21は、例えば、LED(Light Emitting Diode)を有している。具体的には、光源21は、波長430〜440nmの光を射出する青色LED素子を有している。さらに、光源21は、YAG(Yttrium Alminium Garnet)等の蛍光体を有している。そして、青色LED素子から射出した光は、蛍光体に入射する。蛍光体は、入射光に応じた蛍光を発光する。青色光が蛍光体に入射すると、蛍光体は青色光よりも長波長の光(例えば、緑色から赤色)の蛍光を発光する。より具体的には、波長550±50nmの蛍光が発生する。光源21は、一般の照明用途で用いられている白色LEDを用いることができる。光源21は、例えば、±90°の拡がり角を持った光を射出する。
【0024】
コリメータレンズ22は、光源21からの光をほぼ平行な光線束にする。ここでは、コリメータレンズ22が3枚設けられている例を示しているが、コリメータレンズ22の枚数は特に限定されるものではない。ここでコリメータレンズ22の枚数は、1枚、又は2枚でもよく、4枚以上でもよい。コリメータレンズ22の光は、フィルタ23に入射する。
【0025】
フィルタ23は、波長に応じて光をカットする波長フィルタである。具体的には、フィルタ23は、赤外光、及び紫外光を反射して、可視光を透過する。よって、可視光のみが後段の投射光学系に入射する。例えば、フィルタ23として、ダイクロイックフィルタを用いることができる。
【0026】
フィルタ23を透過した可視光は、反射型偏光板24に入射する。反射型偏光板24は、光の偏光状態に応じて、光を透過する。反射型偏光板24は、透過軸の方向の直線偏光成分を透過し、それ以外の偏光成分を反射する。よって、反射型偏光板24を通過した光は、直線偏光となる。すなわち、フィルタ23を透過した光は、透過軸の方向を反射型偏光板24の偏光軸とした直線偏光となる。
【0027】
ここで、コリメータレンズ22で平行な光線束になった光が、フィルタ23に入射している。従って、フィルタ23で反射した光が、コリメータレンズ22の方向に戻される。コリメータレンズ22からの戻り光は、光源21の蛍光体に入射する。蛍光体に入射した紫外光は、蛍光体で別の波長となって、コリメータレンズ22に入射する。すなわち、フィルタ23でカットされた紫外光によって、光源21から可視光の蛍光が発光する。そして、可視光の蛍光がコリメータレンズ22で平行な光線束となる。このような構成を用いることで、フィルタ23でカットされた光を再利用することができる。
【0028】
さらに、反射型偏光板24で、所定の偏光成分以外の光はフィルタ23の方向に戻される。よって、反射型偏光板24で反射された光は、反射型偏光板24、及びフィルタ23を通って、光源21の蛍光体に入射する。蛍光発生時には、戻り光の偏光状態が変化する。従って、反射型偏光板24で反射された光は、光源21の蛍光体に入射する。より長波長の蛍光が発光し、この蛍光は可視光を含む。そして、可視光の蛍光は、コリメータレンズ22、及びフィルタ23を介して、反射型偏光板24に再度入射する。このような構成を用いることで、反射型偏光板24で反射された光を再利用することができる。
【0029】
このように、コリメータレンズ22の後にフィルタ23を配置して、フィルタ23の直後に反射型偏光板24を配置している。このような構成によって光を高効率でLEDの蛍光体に戻すことを可能にし、再利用することで、画像表示光L1の輝度を高くすることができる。よって、明るさの向上、及び省電力化を実現することができる。また、コリメータレンズ22で略略平行光束となった光が、フィルタ23と反射型偏光板24に入射している。従って、フィルタ23と反射型偏光板24からの戻り光を効率よく蛍光体に入射させることができる。この構成によって、輝度を約20%向上することができる。
【0030】
反射型偏光板24で直線偏光になった光は、フライアイレンズ25に入射する。フライアイレンズ25は、同一の単レンズがアレイ状に配列されたレンズ体である。フライアイレンズ25は、表示素子30上で光を効率よく利用するために、光を集光する。例えば、フライアイレンズ25は、表示素子30の画素に対応する単レンズを有している。これにより、表示素子30上の各画素に光を集光することができる。フライアイレンズ25は、ポリカーボネイト等の樹脂によって形成されている。フィルタ23で紫外光がカットされた光が、フライアイレンズ25に入射する。フィルタ23の後段に、フライアイレンズ25を配置する。以上の構成により、ポリカーボネイト等で形成されたフライアイレンズ25が紫外光によって劣化するのを防ぐことができる。
【0031】
フライアイレンズ25を透過した光は反射板26で反射されて、フィールドレンズ27に入射する。なお、プロジェクタ20を設置するスペースに応じて、反射板26を不要とすることもできる。フィールドレンズ27は、反射板26からの光を屈折して、表示素子30に効率よく入射させる。
図4hでは、フィールドレンズ27が2枚設けられている構成を示しているが、フィールドレンズ27の枚数は特に限定されるものではない。例えば、1枚のフィールドレンズ27を用いる構成であってもよい。
【0032】
フィールドレンズ27からの光は、反射型偏光板28に入射する。反射型偏光板28は、反射型偏光板24と同様の偏光素子であり、偏光状態に応じて光を透過する。すなわち、反射型偏光板28は、透過軸の方向の直線偏光成分を透過し、それ以外の偏光成分を反射する。そして、反射型偏光板24を透過した直線偏光が、反射型偏光板28を透過するように、反射型偏光板28が設置されている。すなわ、光学系において、反射型偏光板24と反射型偏光板28の透過軸は一致している。これにより、光を効率よく利用することができる。
【0033】
反射型偏光板28を通過した光は、位相補償板29を介して、表示素子30に入射する。表示素子30は、例えば、LCOSデバイスである。表示素子30は、画素電極が設けられたシリコン基板30b、及び対向電極が形成された対向基板30aを有している。例えば、対向基板30aは、光を透過するガラス基板によって形成されている。そして、対向基板30aとシリコン基板30bとの間には液晶層が挟持される。典型的な一例では、表示素子30は、800×600画素で、対角0.36インチの反射型液晶パネルである。
【0034】
例えば、画素電極は、光を反射するアルミ電極によって形成されている。また、対向電極は、光を透過する透明導電膜によって形成されている。よって、対向基板30aを通過した光は、画素電極で反射される。さらに、シリコン基板30bには、TFT等を有する画素がアレイ状に配列されている。表示素子30に画像信号を供給することで、画素電極毎に所望の電圧が印加される。これにより、画像信号に応じて液晶層が駆動される。ここで、液晶層の状態に応じて、光の偏光状態が変化する。表示素子30は、入力される画像信号に応じて光を変調して、偏光方向を変える。表示素子30で反射された光は、画像信号に応じた偏光状態となって反射される。
【0035】
なお、表示素子30で反射された光は、位相補償板29を介して、反射型偏光板28に入射する。位相補償板29は、光の位相のずれを補償する位相差板である。例えば、表示素子30に対する入射角の違いによる偏光状態に違いが位相補償板29によって補正される。これにより、コントラストを向上することができる。反射型偏光板28は、上記の通り、透過軸方向の直線偏光成分を透過して、それ以外の成分の光を反射する。表示素子30が偏光状態を変化させて反射しているため、表示素子30からの光は反射型偏光板28で反射する。従って、反射型偏光板28で反射される反射光は、画像信号に応じて変調されている。すなわち、反射型偏光板28で投影レンズ32の方向に反射する成分と反射型偏光板28を透過する成分との割合を、表示素子30が制御する。反射型偏光板28と通過した光は、画像信号に応じた階調となる。
【0036】
反射型偏光板28で反射された光は、アナライザ31で高コントラス化されて、投影レンズ32に入射する。なお、アナライザ31は、光学系の光軸に対して傾斜している。従って、アナライザ31からの戻り光が、表示素子30で反射されたとしても、投影レンズ32の外側を通過する。これにより、ゴーストの発生を防ぐことができる。
【0037】
投影レンズ32、例えば、複数のレンズを有しており、プロジェクタ本体40からの画像をスクリーン50上に拡大投影する。ここでは、運転者Pから2m離れた位置に約10インチ(25.4cm)に拡大された虚像を運転者Pが観察することができる。このように、プロジェクタ20は、所定の偏光状態に偏光した画像表示光を射出して、画像信号に応じた画像を投影させる。そして、上記したように、スクリーン50には、プロジェクタ20からの画像表示光によって中間像Rが形成される。
【0038】
〈偏光板51〉
次に、スクリーン50の前面側に配置された偏光板51について、
図5〜
図7を用いて説明する。
図5は、光線束の光路を説明するための側面図である。
図6は、スクリーン50の前面側における偏光板51の配置を示す側面図である。
図7は、スクリーン50の前面側における偏光板51の配置を示す斜視図である。
【0039】
図6、
図7に示すように、プロジェクタ本体40はプレート33に取り付けられている。本実施の形態では、例えば、プレート33が
図1のダッシュボード10上に固定される。プレート33には、スクリーン50が固定されている。例えば、スクリーン50は、鉛直上方に立設されている。さらに、スクリーン50の前面には、偏光板51が配置されている。
【0040】
偏光板51は、ホルダ52によって、スクリーン50に取り付けられている。ホルダ52は、偏光板51がスクリーン50に対して傾斜するように、偏光板51をスクリーン50に固定する。すなわち、
図6に示すように、偏光板51の表面がスクリーン50の表面から傾いている。
図6に示すように、側面視において、ホルダ52は、くさび状になっている。こうすることで、偏光板51の表面とスクリーン50の表面が平行にならない。すなわち、偏光板51の光を反射する光反射面を、スクリーン50の結像面に対して傾けることができる。
【0041】
また、プロジェクタ20の上方にはコンバイナ60が設置されている。コンバイナ60は、角度調整機構61を介して、プレート33に取り付けられている。角度調整機構61は、コンバイナ60の角度を調整する。すなわち、角度調整機構61を回転軸として、コンバイナ60のあおり角が調整される。これにより、運転者Pに対する虚像Iの形成位置を変えることができる。運転者Pや周囲の状況に応じて、運転者Pが虚像Iを適切な位置で観察することができる。例えば、運転者Pの座高に応じて、コンバイナ60の角度を調整することができる。
【0042】
プロジェクタ20からの画像表示光L1は、偏光板51を介して、スクリーン50に入射する。ここでは、偏光板51が吸収型偏光板となっている。従って、偏光板51は、所定の透過軸と平行な直線偏光成分を透過して、それ以外の偏光成分を吸収する。偏光板51の透過軸は反射型偏光板28の透過軸に対応している。すなわち、偏光板51の透過軸と反射型偏光板28の透過軸は平行になっており、偏光板51はプロジェクタ20からの直線偏光の画像表示光L1を透過する。これにより、プロジェクタ20から入射した画像表示光L1を効率よく利用することができる。
【0043】
偏光板51を透過した画像表示光L1によって、スクリーン50に中間像Rの実像が形成される。ここで、プロジェクタ20から射出した画像表示光L1のうち、スクリーン50で反射した画像表示光を画像表示光L3とする。スクリーン50で反射された画像表示光L3は、偏光板51を介して、コンバイナ60に入射する。コンバイナ60に入射した画像表示光L3の一部は、運転者Pの方向に反射される。よって、コンバイナ60がスクリーン50に形成された中間像Rの虚像を、運転者Pの前方に表示させる。
【0044】
プロジェクタ20から偏光板51に入射した画像表示光L1の一部は、偏光板51の表面で反射する。通常、偏光板は平行平板のガラス基板によって形成されており、反射防止膜を施した場合でも数%程度の表面反射率を有している。例えば、偏光板51はガラス板に吸収タイプの偏光板が貼り合わされて構成されており、そのガラス板が約1パーセントの表面反射率を有している。そのため、プロジェクタ20から偏光板51に入射した画像表示光L1の一部はスクリーン50で結像する手前で反射されることになる。ここで、プロジェクタ20から射出した画像表示光L1のうち、偏光板51で反射した光を反射光L4とする。なお、
図5では、反射光L4を点線で示している。
【0045】
偏光板51が反射した反射光L4がコンバイナ60に入射すると、ユーザが認識する虚像のコントラストが低下する要因となってしまう。そこで、本実施の形態では、偏光板51の設置角度を、スクリーン50の表面の角度から傾けている。すなわち、偏光板51が、スクリーン50の表面の角度から傾いて設置されている。ここでは、偏光板51の表面が下側(プロジェクタ20側)を向くように配置している。よって、偏光板51の反射光L4がコンバイナ60の下側、例えば、コンバイナ60とプロジェクタ20との間周辺に入射する。
【0046】
これにより、虚像Iを構成する光線束の光路から、偏光板51で反射した光線束の光路の少なくとも一部が外れるようになる。換言すると、偏光板51で反射した光の光路の少なくとも一部が、虚像Iを構成する光の光路と一致しないように、スクリーン50が配置されている。プロジェクタ20から射出した画像表示光L1のうち、反射光L4の光線束の光路と画像表示光L3の光線束の光路とが分岐することになる。反射光L4の光線束の少なくとも一部が、コンバイナ60に入射せずに、コンバイナ60の外側を通過するようになる。換言すると、反射光L4の少なくとも一部は、コンバイナ60から運転者Pまでの光路外を伝播するようになる。
【0047】
また、反射光L4の光線束の一部がコンバイナ60に入射して、運転者Pの方向に反射したとしても、運転者Pの瞳に向かう反射光L4の方向が、運転者Pの瞳に向かう画像表示光L3の方向から大きくずれることになる。反射光L4による虚像(例えば、投影レンズ32の絞り等)の位置は、画像表示光L3による虚像Iの位置からずれる。このため、反射光L4による虚像と画像表示光L3による虚像Iの位置とが重ならない状態で、運転者Pが画像を視認することができる。よって、画像表示光L3による中間像Rの虚像のコントラストの低下を防ぐことができる。これにより、運転者Pが運転情報を確実に視認することができる。
【0048】
さらに、反射光L4の光線束の光路が、コンバイナ60から外れるようにすることが好ましい。すなわち、反射光L4の光線束の全てが、コンバイナ60に入射しないように、偏光板51の取り付け角度を設定する。偏光板51で反射した光の光路上にコンバイナ60が位置しないように偏光板51を配置する。こうすることで、偏光板51による反射光L4がコンバイナ60を介して、運転者Pの瞳に入射されなくなる。このように、反射光L4の光線束をコンバイナ60の外側を通過させることで、反射光L4による虚像が視認されなくなる。これにより、画像表示光L3による虚像Iのコントラストを高くすることができる。特に、偏光板51の表面反射での反射光L4は拡散されないため、画像表示光L3よりも単位面積として高輝度になることもある。このような場合でも、コントラストの低下を防ぐことができる。
【0049】
なお、画像表示装置100は、通常の自動車に限らず、その他の特殊車両など、他の乗物に搭載されていてもよい。以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。