特許第6296141号(P6296141)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6296141
(24)【登録日】2018年3月2日
(45)【発行日】2018年3月20日
(54)【発明の名称】配管カバー
(51)【国際特許分類】
   F16L 5/00 20060101AFI20180312BHJP
   F16L 57/00 20060101ALI20180312BHJP
【FI】
   F16L5/00 K
   F16L57/00 A
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-226606(P2016-226606)
(22)【出願日】2016年11月22日
【審査請求日】2017年10月26日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000128968
【氏名又は名称】株式会社オンダ製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】井村 元
(72)【発明者】
【氏名】中野 翔太
【審査官】 大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第06705050(US,B1)
【文献】 特開2012−225476(JP,A)
【文献】 特開2013−113409(JP,A)
【文献】 仏国特許出願公開第02910587(FR,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L3/00−3/26
F16L5/00
F16L41/08−41/16
F16L57/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管の引出孔が形成された施工面に設置される配管カバーであって、
前記施工面に取り付けられる基板と、
前記基板から前記施工面とは反対方向に突出する筒状部と、
前記施工面の側と、前記筒状部の内部とを連通させるように、前記基板に形成された孔と、
前記筒状部の内部と外部とを連通する開口部であって、前記筒状部の軸方向に沿って、前記筒状部の先端から前記基板まで連続する開口部と、
前記筒状部の先端における内面に形成され、正面視において前記筒状部の中心方向に突出するリブと、
を備え、
前記開口部の幅は、前記施工面に近づくほど広い配管カバー。
【請求項2】
配管の引出孔が形成された施工面に設置される配管カバーであって、
前記施工面に取り付けられる基板と、
前記基板から前記施工面とは反対方向に突出する筒状部と、
前記施工面の側と、前記筒状部の内部とを連通させるように、前記基板に形成された孔と、
前記筒状部の内部と外部とを連通する開口部であって、前記筒状部の軸方向に沿って、前記筒状部の先端から前記基板まで連続する開口部と、
を備え、
前記開口部の幅は、前記施工面に近づくほど広く、
前記基板は、前記開口部が形成された側の端部を含む傾斜部であって、前記開口部が形成された側の端部に近づくほど、前記施工面から離れるように傾斜する傾斜部を有する配管カバー。
【請求項3】
請求項2に記載の配管カバーであって、
前記傾斜部における、前記開口部が形成された側の端部と交差する端部から前記施工面に向けて延びる延出部をさらに備える配管カバー。
【請求項4】
配管の引出孔が形成された施工面に設置される配管カバーであって、
前記施工面に取り付けられる基板と、
前記基板から前記施工面とは反対方向に突出する筒状部と、
前記施工面の側と、前記筒状部の内部とを連通させるように、前記基板に形成された孔と、
前記筒状部の内部と外部とを連通する開口部であって、前記筒状部の軸方向に沿って、前記筒状部の先端から前記基板まで連続する開口部と、
を備え、
前記基板は、前記開口部が形成された側の端部を含む傾斜部であって、前記開口部が形成された側の端部に近づくほど、前記施工面から離れるように傾斜する傾斜部を有する配管カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は配管カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、以下のような配管カバーが知られている。配管カバーは、配管の引出孔が形成された施工面に設置される。配管カバーは、施工面に取り付けられる基板と、その基板から施工面とは反対方向に突出する筒状部とを備える。基板には、施工面の側と、筒状部の内部とを連通させるように、孔が形成されている。引出孔から引き出された配管は、基板の孔を通り、筒状部に収容される(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−22866号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の配管カバーに、筒状部の内部と外部とを連通する開口部を形成することが考えられる。この場合、開口部から、配管を筒状部の内部に押し込むことができる。開口部の幅は、筒状部に収容された配管が脱落しにくいという点では、狭いことが望ましい。しかしながら、開口部の幅が狭いと、開口部から配管を筒状部の内部に押し込むことが困難になる。
【0005】
本開示の一局面は、配管を筒状部の内部に押し込むことが容易になる配管カバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、配管の引出孔が形成された施工面に設置される配管カバーであって、前記施工面に取り付けられる基板と、前記基板から前記施工面とは反対方向に突出する筒状部と、前記施工面の側と、前記筒状部の内部とを連通させるように、前記基板に形成された孔と、前記筒状部の内部と外部とを連通する開口部であって、前記筒状部の軸方向に沿って、前記筒状部の先端から前記基板まで連続する開口部と、を備え、前記開口部の幅は、前記施工面に近づくほど広い配管カバーである。
【0007】
本開示の配管カバーにおいて、開口部の幅は、施工面に近づくほど広い。そのため、例えば、最初に、開口部のうち、幅が広い部分に配管を押し付け、次に、幅が狭い部分に配管を押し付けるようにすれば、容易に、配管を筒状部の内部に押し込むことができる。また、開口部には幅が狭い部分が存在するので、筒状部に収容している配管が脱落してしまうことを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】配管カバー1の構成を表す斜視図である。
図2】配管カバー1の構成を表す正面図である。
図3】配管カバー1の構成を表す上面図である。
図4】配管カバー1の構成を表す下面図である。
図5】配管カバー1の構成を表す側面図である。
図6】配管カバー1の構成を表す背面図である。
図7図2におけるVII-VII断面での断面図である。
図8】施工面7A、7Bに設置した配管カバー1を表す説明図である。
図9】配管カバー1の使用方法を表す説明図である。
図10図10Aは、内側面29Cの別形態を表す説明図であり、図10Bは、図10AにおけるXB-XB断面での断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の実施形態を図面に基づき説明する。
<第1実施形態>
1.配管カバー1の構成
配管カバー1の構成を図1図8に基づき説明する。図8に示すように、配管カバー1は、施工面7A、7Bに設置される。施工面7A、7Bはいわゆる入隅を構成し、施工面7Aと施工面7Bとは略直交する。施工面7Aには、配管3の引出孔5が形成されている。配管カバー1は引出孔5カバーする。配管カバー1の材質は樹脂である。
【0010】
図1図7に示すように、配管カバー1は、基板9と、筒状部11と、孔13と、開口部15と、を備える。図1図2に示すように、基板9の基本形態は、矩形の板状部材である。図8に示すように、基板9は、その一方の面(以下では第1面16とする)において、施工面7Aにビス等で取り付けられる。筒状部11は、基板9における、第1面16とは反対の面(以下では第2面19とする)から、施工面7Aとは反対方向に突出する。
【0011】
図1図2に示すように、正面視において、筒状部11は、基板9における中心よりも、基板9における一方の端部17寄りの位置にある。筒状部11は、その軸方向Dに沿って貫通されている部材である。
【0012】
図1図4図7に示すように、筒状部11の先端21における内面にリブ18が形成されている。リブ18は、正面視において、筒状部11の中心方向に突出している。リブ18は、筒状部11の内面における全周にわたって形成されている。
【0013】
孔13は、基板9のうち、正面視において筒状部11と重複する位置に形成されている。孔13は基板9を貫通する。孔13の形状は、正面視において円形である。孔13により、施工面7Aの側と、筒状部11の内部とが連通する。
【0014】
図1図2図4図6に示すように開口部15は、筒状部11の内部と外部とを連通する。開口部15は、筒状部11の軸方向Dに沿って、筒状部11の先端21から、筒状部11の側面を通り、基板9まで連続している。開口部15は、筒状部11及び基板9における端部17の側に形成されている。図4に示すように、開口部15の幅Wは、施工面7Aに近づくほど広い。図2に示すように、先端21における開口部15の幅Wは、先端21における筒状部11の内径Rよりも小さい。幅Wは、端部17に平行な方向(すなわち図2における左右方向)における幅である。
【0015】
図1図3図5に示すように、基板9は、端部17と、境界線23との間に傾斜部25を有する。境界線23は、端部17と平行であり、正面視において筒状部11を横切る直線である。
【0016】
図5に示すように、傾斜部25は、端部17に近づくほど、施工面7Aから離れるように傾斜している。また、側面視において、傾斜部25は、略円弧形状を有する。図5に示すように、傾斜部25は、施工面7Aから離間している。傾斜部25のうち、端部17は、施工面7Bのうち、施工面7Aから離間した部分に当接する。
【0017】
基板9のうち、傾斜部25を除く部分(以下では平坦部27とする)は平坦である。平坦部27は施工面7Aのうち、施工面7Bから離間した部分に当接する。
基板9は、平坦部27のうち、施工面7Aとは反対側の面に、凹部28を備える。また、基板9は、傾斜部25のうち、施工面7A、7Bとは反対側の面に、凹部30を備える。凹部28、30は、ビスの打ち付け位置の目安となる。凹部28、30を備えることにより、上下方向や左右方向においてビスの打ち付け位置がずれることを抑制できる。その結果、施工後の美観を向上させることができる。
【0018】
図1図4図6に示すように、配管カバー1は、基板9の両側にそれぞれ延出部29を備える。傾斜部25における、端部17と交差する端部を端部33とする。延出部29は、端部33から施工面7Aに向けて延びる板状部材である。延出部29の板厚方向は、端部17と平行であり、基板9の板厚方向と直交する。
【0019】
図5に示すように、延出部29における施工面7A側の端部29Aは、平坦部27を外挿した平面上にある。延出部29における施工面7B側の端部29Bは、端部17を通り、端部29Aと直交する。側面視において、延出部29は、傾斜部25よりも、施工面7A、7Bに近い。端部29Aと端部29Bとが交差する頂点を頂点29Dとする。図4図6図7に示すように、延出部29の内側面29Cは、頂点29Dに近づくほど板厚が減少するように、階段状に薄肉化されている。
【0020】
2.配管カバー1の使用方法
配管カバー1の使用方法を図9に基づき説明する。配管カバー1を施工面7A、7Bに設置する前に、図9に示すように、配管カバー1に対し、配管3をPの位置に押し付ける。このとき、開口部15の幅Wが広い、筒状部11の根元側では、配管3が開口部15を通り、筒状部11及び孔13の内部に進入している。一方、筒状部11における先端21の側では、配管3は、筒状部11に進入していない。
【0021】
次に、配管3を、図9における時計回りに回転し、筒状部11における先端21の側でも、配管3を筒状部11に進入させる。その結果、配管3は、筒状部11の全体及び孔13を通る位置Pに移動する。すなわち、配管3は筒状部11に収容される。次に、配管カバー1を、図8に示すように、施工面7A、7Bに設置する。
【0022】
3.配管カバー1が奏する効果
(1A)配管カバー1において、開口部15の幅Wは、施工面7Aに近づくほど広い。そのため、上述したように、最初に、開口部15のうち、幅Wが広い部分(すなわち筒状部11の根元側)に配管3を押し付け、次に、幅Wが狭い部分(すなわち筒状部11の先端21の側)に配管3を押し付けるようにすれば、容易に、配管3を筒状部11の内部に押し込むことができる。
【0023】
また、開口部15には幅Wが狭い部分が存在するので、筒状部11に収容している配管3が脱落してしまうことを抑制できる。
(1B)基板9は傾斜部25を有する。傾斜部25は端部17を含む。傾斜部25は、端部17に近づくほど、施工面7Aから離れるように傾斜する。施工面7Aと施工面7Bとで構成される隅7C(図8参照)が、配管カバー1の方向に突出している場合がある。この場合でも、配管カバー1は、傾斜部25を備えることにより、隅7Cと配管カバー1とが干渉してしまうことを抑制できる。
【0024】
(1C)配管カバー1は、端部33から施工面7Aに向けて延びる延出部29をさらに備える。延出部29により、引出孔5に対する遮光性が一層向上する。
また、延出部29と隅7Cとが干渉する場合は、延出部29の一部を削除する等の方法で、容易に干渉を抑制することができる。延出部29の内側面29Cは、頂点29Dに近づくほど板厚が減少するように、階段状に薄肉化されているので、延出部29の一部を削除することは一層容易である。なお、延出部29の一部を削除した場合でも、基板9が損傷することはない。
【0025】
内側面29Cは、階段状に薄肉化されているので、延出部29における削除量の確認が容易である。その結果、延出部29を過大に削除してしまうことを抑制できる。また、両側の延出部29における削除量を均一化できるので、施工後の美観が向上する。
【0026】
(1D)配管カバー1は、筒状部11の内面にリブ18を備える。配管カバー1が配管3を収容したとき、リブ18は、配管3の外周面に食い込む。そのため、筒状部11と配管3との隙間からの水の浸入を抑制できる。
【0027】
(1E)筒状部11の先端21において、開口部15の幅Wは、筒状部11の内径Rより小さい。そのため、筒状部11に収容している配管3が開口部15から脱落してしまうことを一層抑制できる。
【0028】
(1F)配管カバー1は、埃、虫、水分(例えば雨)等が引出孔5に入ることを抑制できる。
(1G)凹部30は、隅7C(図8参照)と対向する。凹部30にビスを打ち、そのビスを隅7C又はその近傍にねじ込むことにより、延出部29を隅7Cにしっかり押し当てることができる。
【0029】
隅7Cの裏側の壁内には、柱が配置されることが多い。凹部30にビスを打ち、そのビスを上記の柱にねじ込むことができる。その結果、配管カバー1の取り付け強度が向上する。
【0030】
凹部30にビスを打つとき、傾斜部25のうち、凹部30又はその近傍の面に直交する方向にビスを打つことができる。この場合、最後までねじ込まれたビスの頭は、傾斜部25に対し傾かない。その結果、施工後の美観を向上させることができる。
【0031】
大型の工具(例えば、インパクトレンチ等)を用いて、ビスを凹部30に打つことがある。その場合、工具の位置は、隅7Cから見て、斜め上方にあり、施工面7A、7Bから離れている。その結果、工具の使用が容易である。
<他の実施形態>
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
【0032】
(1)配管カバー1は、入隅以外の施工面に配置されるものであってもよい。例えば、配管カバー1は、平坦な施工面に設置されるものであってもよい。
(2)基板9は、傾斜部25を備えないものであってもよい。例えば、基板9の全体が平坦な形状を有していてもよい。
【0033】
(3)配管カバー1は、延出部29を備えていなくてもよい。
(4)リブ18の位置は、先端21から離れた位置であってもよい。
(5)基板9と、施工面7A、7Bとの間に、パッキンや気密性のシートを設けてもよい。
【0034】
(6)図10A図10Bに示すように、内側面29Cは、階段状に薄肉化されている形態ではなく、複数の溝35が互いに平行に形成されている形態であってもよい。溝35の形状は、例えば、直線状である。溝35同士の間隔は、例えば、一定である。溝35の長手方向と、施工面7A、7Bとが成す角度は、例えば、それぞれ45度である。
【0035】
(7)上記各実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素に分担させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に発揮させたりしてもよい。また、上記各実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記各実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。なお、特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【0036】
(8)上述した配管カバー1の他、当該配管カバー1を構成要素とするシステム、配管カバー1の配置方法等、種々の形態で本開示を実現することもできる。
【符号の説明】
【0037】
1…配管カバー、3…配管、5…引出孔、7A、7B…施工面、7C…隅、9…基板、11…筒状部、13…孔、15…開口部、16…第1面、17…端部、18…リブ、19…第2面、21…先端、23…境界線、25…傾斜部、27…平坦部、29…延出部、29A、29B…端部、29C…内側面、29D…頂点、33…端部
【要約】
【課題】配管を筒状部の内部に押し込むことが容易になる配管カバーを提供すること。
【解決手段】配管カバーは、配管の引出孔が形成された施工面に設置される。配管カバーは、前記施工面に取り付けられる基板と、前記基板から前記施工面とは反対方向に突出する筒状部と、前記施工面の側と、前記筒状部の内部とを連通させるように、前記基板に形成された孔と、前記筒状部の内部と外部とを連通する開口部であって、前記筒状部の軸方向に沿って、前記筒状部の先端から前記基板まで連続する開口部とを備える。前記開口部の幅は、前記施工面に近づくほど広い。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10