【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の湿式除染方法及び乾式除染方法は、各々、次のような課題を有するものであった。まず、湿式除染方法は、汚染水が大量に発生し、洗浄後に大掛かりな濁水処理が必要となる。又、濁水処理プラントを設置するにあたり、大掛かりな基礎の構築が必要不可欠となる。しかも、湿式除染方法は、土壌に含まれるミネラル分等の良質な成分まで洗い流してしまうことから、農地の土壌を除染するには適さないものである。
一方、乾式除染方法は、汚染物質が土壌中の細粒に付着しやすいという性質を利用して、土壌を粒径で分別する分級を行い、粒度の細かい土壌のみ回収するものである。しかしながら、水分の含有量や、土壌の凝集等、処理対象となる土壌の状態によって、分級精度にばらつきが生じ得るものである。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、汚染土壌の処理の際に汚水が発生せず、効率的に除染を行うと共に、土壌から分別された汚染物質を効率的に保管することが可能な、汚染土壌処理技術を提供することにある。
【0006】
(発明の態様)
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本願発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
【0007】
(1)汚染土壌を粒度に応じて分別し、粒度の細かい土壌を減容して隔離する汚染土壌処理方法であって、汚染土壌を遠心流動粉砕装置に投入して細粒化し、該汚染土壌の細粒化を行う間、前記遠心流動粉砕装置内の放射線量を測定しながら、前記遠心流動粉砕装置から粒度の細かい土壌を回収し、前記遠心流動粉砕装置内の放射線量が所定値を下回った以後に、前記遠心流動粉砕装置内に残存する土壌を前記遠心流動粉砕装置外部へと排出する汚染土壌処理方法(請求項1)。
【0008】
本項に記載の汚染土壌処理方法は、汚染土壌を遠心流動粉砕装置に投入して細粒化する。この際、土壌の凝集をほぐす解砕を行うと共に微粉砕して、細粒化することで、土壌の粒度を、粒度に応じた土壌の分別に適した状態となるように調整するものである。そして、凝集がほぐされ、細粒化された土壌を粒度に応じて分別する際に(分級工程)、採取された土壌の水分の含有量や、土壌の凝集等、処理対象となる土壌の状態に起因する分級精度のばらつきの発生を回避し、分級精度を高めるものである。
【0009】
しかも、汚染土壌の細粒化を行う間、遠心流動粉砕装置内の放射線量を測定しながら、遠心流動粉砕装置から粒度の細かい土壌を回収すると、放射性物質の大部分を含む粒径の小さな土壌が、遠心流動粉砕装置内部から除去されて行くことで、遠心流動粉砕装置内の放射線量が低下し、測定される放射線量は、やがて所定値を下回ることとなる。遠心流動粉砕装置内の放射線量が所定値を下回った以後に、遠心流動粉砕装置内に残存する土壌を遠心流動粉砕装置外部へと排出すると、排出された土壌の放射線量は、確実に所定値を下回るものとなる。
【0010】
すなわち、本項に記載の汚染土壌処理方法は、粒度に応じた土壌の分別を行う工程を、必要十分に行うものである。例えば、遠心流動粉砕装置における土壌の粉砕度を、汚染度の高い土壌に合せて、一定に設定した場合において、処理する土壌に含まれる汚染度の低い土壌に対しては、必要以上の粉砕を行うこととなってしまい、粒度の細かい土壌の回収量が増大して、隔離に要する様々な作業工程や、確保すべき保管場所の増大を来たすこととなる。又、残余の土壌の量が減少し、土壌採取地へと戻す土壌が減少してしまうこととなる。
一方、処理すべき土壌の中に、予期しない程汚染度の高い土壌が含まれているような場合には、予め設定された遠心流動粉砕装置における土壌の粉砕度が不十分となり、残余の土壌として遠心流動粉砕装置外部へと排出される土壌の汚染度が、依然として高いままとなる。このような場合には、排出された土壌を再び分級工程へと戻す必要が生じ、処理効率の低下を招くものとなる。
【0011】
この点、本項に記載の汚染土壌処理方法によれば、必要最小限の粉砕、粒度の細かい土壌の回収を行った後、遠心流動粉砕装置内に残存する土壌が、遠心流動粉砕装置から排出された時点で、排出された土壌の放射線量は、確実に所定値を下回るものとなる。そして、土壌の過度の除染も除染不足も回避して、汚染土壌の除染作業の効率化を達成するものとなる。
【0012】
(2)前記汚染土壌を遠心流動粉砕装置に投入して細粒化する工程に先立ち、汚染土壌採取工程と、該汚染土壌採取工程で採取された土壌を乾燥させる乾燥工程とを含み、
前記遠心流動粉砕装置から粒度の細かい土壌を回収する工程にて回収された、粒度の細かい土壌を減容して隔離し、残余の土壌を土壌採取地へと戻す汚染土壌処理方法。
本項に記載の汚染土壌処理方法は、汚染土壌採取工程で採取された土壌を乾燥工程にて乾燥させ、更に、解砕及び微粉砕工程にて、乾燥された土壌の凝集をほぐすと共に微粉砕して、細粒化することで、乾燥させた土壌の粒度を、土壌の分別に適した状態となるように調整するものである。そして、遠心流動粉砕装置に投入して細粒化する工程、すなわち、解砕及び微粉砕工程にて凝集がほぐされ、細粒化された土壌を粒度に応じて分別する際に(分級工程)、採取された土壌の水分の含有量や、土壌の凝集等、処理対象となる土壌の状態に起因する分級精度のばらつきの発生を回避し、分級精度を高めることとなる。そして、分級工程にて分別された土壌のうち、粒度の細かい土壌を、減容して隔離することで土壌の保管の容易性を高めた状態で、放射性物質の大部分を含む粒径の小さな土壌を分別して回収するものとなる。そして、残余の土壌を土壌採取地へと戻すことで、粒径の大きな土壌を採取地に戻すものである。
しかも、以上の各工程により乾式除染方法による土壌洗浄がなされるものであることから、全工程にわたり、汚染水等の副産物が発生することがない。又、土壌の必要成分(栄養分等)を洗い流してしまうことがないので、洗浄後の土壌は、土壌採取地に戻して再利用しやすい状態のものとなる。
【0013】
(3)上記(1)(2)項において、前記遠心流動粉砕装置からの前記粒度の細かい土壌の回収を、前記遠心流動粉砕装置の上方から行い、前記遠心流動粉砕装置内に残存する土壌の前記遠心流動粉砕装置外部への排出を、前記遠心流動粉砕装置の下方へと行う汚染土壌処理方法(請求項2)。
本項に記載の汚染土壌処理方法は、粒度の細かい土壌が、粒度の粗い(粒の大きな)土壌に比べて飛散し易いことを利用して、粒度の細かい土壌の回収を、遠心流動粉砕装置内部で飛散させ、遠心流動粉砕装置の上方から行うことで、粒度の細かい土壌の回収効率を高めるものである。これに対して、遠心流動粉砕装置内に残存する土壌の遠心流動粉砕装置外部への排出を、遠心流動粉砕装置の下方へと行うことで、遠心粉砕装置内で、残余の土壌に加わる重力と遠心力とを利用し、残余の土壌の排出を、必ずしも吸引装置等を用いることなく行うようにするものである。
【0014】
(4)上記(3)項において、前記遠心流動粉砕装置の粉砕室を構成する壁の下方位置に周方向のクリアランスを形成し、該クリアランスから、前記遠心流動粉砕装置の上方に開口する回収口へと向かう空気流を発生させて、前記粒度の細かい土壌の回収を、前記遠心流動粉砕装置の上方から行い、前記遠心流動粉砕装置の粉砕室を構成する壁の下方位置に形成した周方向のクリアランスの開口幅を広げ、かつ、前記遠心流動粉砕装置の上方に開口する回収口から、前記周方向のクリアランスへと向かう空気流を発生させて、前記遠心流動粉砕装置内に残存する土壌の前記遠心流動粉砕装置外部への排出を、前記クリアランスを介して、前記遠心流動粉砕装置の下方へと行う汚染土壌処理方法(請求項3)。
【0015】
本項に記載の汚染土壌処理方法は、遠心流動粉砕装置の粉砕室を構成する壁の下方位置に周方向のクリアランスを形成し、このクリアランスから、遠心流動粉砕装置の上方に開口する回収口へと向かう空気流を発生させるものである。粉砕室内の粒度の細かい土壌は、粉砕室の下方から上方へと向かう空気流に乗って、遠心流動粉砕装置の上方へと浮上させ、遠心流動粉砕装置の上方に開口する回収口から回収する。
一方、遠心流動粉砕装置内に残存する土壌を遠心流動粉砕装置外部へと排出する際には、クリアランスの開口幅を広げ、遠心流動粉砕装置の上方に開口する回収口から、周方向のクリアランスへと向かう空気流を発生させる。そして、残余の土壌に加わる重力と遠心力とに加え、回収口へと向かう空気流によって押し流すことで、遠心流動粉砕装置内に残存する土壌を、クリアランスを介して、遠心流動粉砕装置の下方へと排出するものである。
【0016】
(5)上記
(4)項において、前記遠心流動粉砕装置の粉砕室の上方位置に気流式分級装置を配置し、該気流式分級装置に形成された前記回収口を介して、前記粒度の細かい土壌の回収を、前記遠心流動粉砕装置の上方から行う汚染土壌処理方法(請求項4)。
本項に記載の汚染土壌処理方法は、遠心流動粉砕装置の粉砕室の上方位置に気流式分級装置を配置し、遠心流動粉砕装置の粉砕室を構成する壁の下方位置に形成された周方向のクリアランスから、気流式分級装置に開口する回収口へと向かう空気流を発生させるものである。粉砕室内の粒度の細かい土壌は、粉砕室の下方から上方へと向かう空気流に乗って、遠心流動粉砕装置の上方へと浮上し、気流式分級装置において、粒度に応じた土壌の分別に適した状態となるように、調整するものである。そして、気流式分級装置によって分別された粒度の細かい土壌は、気流式分級装置に形成された回収口を介して、遠心流動粉砕装置の上方から行うものである。一方、気流式分級装置において、上方へと向かう空気流から離脱した土壌は、再び遠心流動粉砕装置の粉砕室へと落下し、更なる微細化が促進されるものである。
【0017】
(6)上記(1)から(5)項において、汚染土壌を、前記遠心流動粉砕装置の上方に位置するホッパーに一時的に貯留し、該ホッパーから、センターシュートを介して、前記遠心流動粉砕装置内部へと汚染土壌を投入する汚染土壌処理方法(請求項5)。
本項に記載の汚染土壌処理方法は、汚染土壌を、遠心流動粉砕装置の上方に位置するホッパーに一時的に貯留し、ホッパーから遠心流動粉砕装置内部へと、一気に汚染土壌を投入することで、遠心流動粉砕装置内に残存する土壌を排出した後、次の、汚染土壌処理サイクルを直ちに開始するものである。
しかも、ホッパーから遠心流動粉砕装置内部へと汚染土壌を投入する際に、センターシュートを介することで、ホッパーと遠心流動粉砕装置との間で、汚染土壌の付着や堆積が生じ難いものとなる。
【0018】
(7)上記(1)から(6)項において、分級工程にて分別された土壌のうち、粒度の細かい土壌を、圧縮して減容する汚染土壌処理方法。
本項に記載の汚染土壌処理方法は、分級工程にて分別された土壌のうち、粒度の細かい土壌を、圧縮して減容することで、貯蔵施設内の保管スペースの削減、土壌保管用の容器の削減等に寄与するものとなる。
【0019】
(8)上記(7)項において、分級工程にて分別された土壌のうち、粒度の細かい土壌を圧縮して減容し、土壌保管用の容器に詰める際に、該容器の形状となるように、予め成形する汚染土壌処理方法。
本項に記載の汚染土壌処理方法は、土壌を圧縮して減容し、土壌保管用の容器に詰める際に、該容器の形状となるように予め成形することで、容器に詰め込んだ際のクリアランスをなくし、減容効果を高めるものである。例えば、土壌保管用の容器にドラム缶を用いる場合には、土壌をドラム缶の断面形状に倣って圧縮、減容する。そして、保管容器を完全密閉することで、汚染土壌に含まれる放射性物質が容器内部から外部へと溶出することを回避するものである。
【0020】
(9)上記(1)から(8)項において、前記解砕及び微粉砕を行う際に、土壌の凝集を解砕すると共に土壌粒子の表面部分を剥離させる汚染土壌処理方法。
本項に記載の汚染土壌処理方法は、汚染土壌の解砕及び微粉砕を行う際に、土壌粒子の表面部分を剥離させて土壌の研磨をするとともに、剥離した土壌粒子の表面部分を細粒として分別することで、上記(1)から(8)項の所定の作用を、より効果的に得るものである。すなわち、土壌の細粒子は、その表面部分に多くの汚染物質が付着していることから、土壌を強力な力で一挙に微粉砕するのではなく、研磨するような形で徐々に表面から微粉砕し、剥離した表面部分を、分級工程により細粒子として分別して分離すれば、極めて効率的に汚染物質が付着した細粒子を分離して隔離できることとなる。
【0021】
(10)上記(1)から(9)項において、前記遠心流動粉砕装置から回収される粒度の細かい土壌と、該土壌と共に前記遠心流動粉砕装置から回収される排気ガスとを分離し、該排気ガスを、並列に配置された複数の集塵機に所定時間毎に交互に通過させ、該排気ガスに含まれる微細土壌を捕集する、捕集工程を含む汚染土壌処理方法。
本項に記載の汚染土壌処理方法は、土壌の細粒子と排気ガスとを分離する。そして、排気ガスに含まれる微細土壌を捕集することで、汚染土壌を余すことなく回収するものである。この、排気ガスに含まれる微細土壌を捕集する工程(捕集工程)において、集塵機にバグフィルタを用いる場合には、排気ガスを、並列に配置された複数のバグフィルタに所定時間毎に交互に通過させることで、一つのバグフィルタの清掃を行いながら、他のバグフィルタにより捕集工程を継続し、汚染土壌処理の中断を防ぐものである。
【0022】
(11)汚染土壌を粒度に応じて分別し、粒度の細かい土壌を減容して隔離する汚染土壌処理システムであって、遠心流動粉砕装置と、該遠心流動粉砕装置
の上方に開口する回収口を介して粒度の細かい土壌を回収する細粒子回収系統と、前記遠心流動粉砕装置から粒度の細かい土壌を回収した残余の土壌を回収する粗粒子回収系統と、前記遠心流動粉砕装置内の放射線量を測定する放射能センサとを備え、前記遠心流動粉砕装置の上方位置にて、前記遠心流動粉砕装置と前記細粒子回収系統とが連通し、前記遠心流動粉砕装置の粉砕室を構成する壁の下方位置に、
前記放射能センサを備えると共に、開口幅を調整可能な周方向のクリアランスを備え、該周方向のクリアランスを介して、前記遠心流動粉砕装置と前記粗粒子回収系統とが連通している汚汚染土壌処理システム(請求項6)。
【0023】
本項に記載の汚染土壌処理システムは、上記(1)項に係る汚染土壌処理方法を実施するためのものであり、上記(1)項に係る汚染土壌処理方法と同等の作用効果を奏するものである。
すなわち、遠心流動粉砕装置に投入された汚染土壌が、粒度の細かい土壌へと細粒化され、遠心流動粉砕装置から、細粒子回収系統へと回収されるものである。又、遠心流動粉砕装置から粒度の細かい土壌を回収した残余の土壌が、遠心流動粉砕装置
の上方に開口する回収口を介して、粗粒子回収系統へと回収されるものである。しかも、汚染土壌の細粒化を行う間、
前記遠心流動粉砕装置の粉砕室を構成する壁の下方位置に備えられた放射能センサによって、遠心流動粉砕装置内の放射線量を測定しながら、遠心流動粉砕装置から粒度の細かい土壌を回収する。このため、放射性物質の大部分を含む粒径の小さな土壌が、遠心流動粉砕装置内部から除去されて行くことで、遠心流動粉砕装置内の放射線量が低下し、測定される放射線量は、やがて所定値を下回ることとなる。遠心流動粉砕装置内の放射線量が所定値を下回った以後に、遠心流動粉砕装置内に残存する土壌を遠心流動粉砕装置外部へと排出すると、排出された土壌の放射線量は、確実に所定値を下回るものとなる。
【0024】
(12)上記(11)項において、前記遠心流動粉砕装置の粉砕室の上方位置に、気流式分級装置を一体に備え、該気流式分級装置に形成された前記回収口を介して、前記遠心流動粉砕装置と前記細粒子回収系統とが連通している汚染土壌処理システム(請求項7)。
本項に記載の汚染土壌処理システムは、上記(5)項に係る汚染土壌処理方法を実施するためのものであり、上記(5)項に係る汚染土壌処理方法と同等の作用効果を奏するものである。
(13)上記(11)(12)項において、汚染土壌を、前記遠心流動粉砕装置の上方に位置するホッパーに一時的に貯留し、該ホッパーから、センターシュートを介して、前記遠心流動粉砕装置内部へと汚染土壌を投入する
汚染土壌処理システム(請求項8)。
本項に記載の汚染土壌処理システムは、上記(6)項に係る汚染土壌処理方法を実施するためのものであり、上記(6)項に係る汚染土壌処理方法と同等の作用効果を奏するものである。
【0025】
(14)上記(11)から(13)項において、前記遠心流動粉砕装置から回収される排気ガスを通過させるための、並列に配置された複数の集塵機と、前記排気ガスを前記複数の集塵機に対し交互に供給するための切替バルブとを含む汚染土壌処理システム。
本項に記載の汚染土壌処理システムは、遠心流動粉砕装置から回収される土壌と排気ガスとを分離し、排気ガスに含まれる微細土壌を、集塵機により捕集することで、汚染土壌を余すことなく回収するものである。集塵機にバグフィルタを用いる場合には、排気ガスを、並列に配置された複数のバグフィルタに所定時間毎に交互に通過させることで、バグフィルタの清掃を行いながら、他のバグフィルタにより排気ガスに含まれる微細土壌を捕集する作業(捕集工程)を継続し、汚染土壌処理の中断を防ぐものである。
【0026】
(15)上記(14)項において、前記遠心流動粉砕装置の回収口及び前記集塵機をつなぐ配管と、前記集塵機の出口配管とに、並列に配置された各集塵機に対して交互に排気ガスを通過させるための、切替バルブを備える汚染土壌処理システム。
本項に記載の汚染土壌処理システムは、切替バルブを切り換えることによって、排気ガスが通過する集塵機により捕集工程を継続しつつ、排気ガスが通過しない集塵機の清掃を行うことを可能とするものである。バルブの切り替えのタイミング及び切り替え及び集塵機の清掃作業は、例えば、一定時間毎に定期的に行うものである。又、切り替え作業は手動、自動のいずれであっても良い。
【0027】
(16)上記(14)(15)項において、前記遠心流動粉砕装置の回収口及び前記集塵機とをつなぐ配管に、サイクロンを備えることを特徴とする汚染土壌処理システム。
本項に記載の汚染土壌処理システムは、遠心流動粉砕装置の回収口及び集塵機をつなぐ配管に設けたサイクロンによって、排気ガスに含まれる微細土壌を分離する。サイクロンは、下方に向けて縮径する円錐状の容器内に排気ガスを導入し、排気ガスを容器の内壁に沿って旋回させる過程で微細土壌を落下させて回収する。そして、サイクロンによっても分離しきれない微細土壌については、排気ガスと共に集塵機へと送るものである。このため、サイクロンを通過した排気ガスに含まれる微細土壌が減少し、集塵機に送られる微細土壌が減少することで、集塵機の清掃作業を実施すべき時間間隔を伸ばし、又集塵機内に移動する総熱量が低下し、熱による集塵機の損傷を低減させることにも繋がる。
【0028】
(17)上記(11)から(16)項において、前記各装置が移動可能に構成され、土壌採取地にて稼動する汚染土壌処理システム。
本項に記載の汚染土壌処理システムは、上記(11)から(16)項記載の各装置が移動可能に構成されることで、土壌採取地にて各装置を稼動させて、乾式除染方法による土壌の採取、解砕、分級の各工程を行い、放射性物質の大部分を含む粒径の小さな土壌を分別して回収し、残余の土壌を採取地に戻すものである。又、上記(11)から(16)項記載の各装置が移動可能となるように、例えば、各装置をトレーラの荷台に搭載し、あるいは、各装置を搭載する特殊車両を構成するものである。これらのトレーラや特殊車両には、各装置の大きさに応じて、各々別々に載置され、又は、一台の車両に複数種類(或いは全て)が載置され、土壌採取地にて、上記所定の作業工程が円滑に実施されるように配置されるものである。しかも、本システムを土壌採取地に設置する際に、基礎工事等が不要であり、設置に要する工期も短く、又、異なる土壌採取地に移動して稼動することが容易なものである。