特許第6296218号(P6296218)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6296218汚染土壌処理方法及び汚染土壌処理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6296218
(24)【登録日】2018年3月2日
(45)【発行日】2018年3月20日
(54)【発明の名称】汚染土壌処理方法及び汚染土壌処理システム
(51)【国際特許分類】
   G21F 9/28 20060101AFI20180312BHJP
   B07B 7/083 20060101ALI20180312BHJP
   G21F 9/30 20060101ALI20180312BHJP
   G01T 1/167 20060101ALI20180312BHJP
   B02C 17/16 20060101ALI20180312BHJP
   B02C 17/18 20060101ALI20180312BHJP
【FI】
   G21F9/28 Z
   B07B7/083
   G21F9/30 531M
   G21F9/30 541A
   G21F9/28 551Z
   G01T1/167 E
   B02C17/16 Z
   B02C17/18 E
【請求項の数】8
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-92428(P2013-92428)
(22)【出願日】2013年4月25日
(65)【公開番号】特開2014-215161(P2014-215161A)
(43)【公開日】2014年11月17日
【審査請求日】2016年3月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068618
【弁理士】
【氏名又は名称】萼 経夫
(74)【代理人】
【識別番号】100104145
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 嘉夫
(74)【代理人】
【識別番号】100135035
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 明夫
(74)【代理人】
【識別番号】100131266
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼ 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】柴尾 敦
(72)【発明者】
【氏名】浅川 肇
(72)【発明者】
【氏名】神坐 圭介
(72)【発明者】
【氏名】富塚 千昭
【審査官】 藤原 伸二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−289963(JP,A)
【文献】 特開2006−234620(JP,A)
【文献】 特開平02−263188(JP,A)
【文献】 特開平07−008821(JP,A)
【文献】 特表2011−530404(JP,A)
【文献】 特開2005−254036(JP,A)
【文献】 米国特許第05436384(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21F 9/28
G21F 9/30
G01T 1/167
B09B 1/00−5/00
B09C 1/00
B02C 1/00−7/18
B02C 15/00−17/24
B07B 1/00−15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚染土壌を粒度に応じて分別し、粒度の細かい土壌を減容して隔離する汚染土壌処理方法であって、
汚染土壌を遠心流動粉砕装置に投入して細粒化し、該汚染土壌の細粒化を行う間、前記遠心流動粉砕装置内の放射線量を測定しながら、前記遠心流動粉砕装置から粒度の細かい土壌を回収し、前記遠心流動粉砕装置内の放射線量が所定値を下回った以後に、前記遠心流動粉砕装置内に残存する土壌を前記遠心流動粉砕装置外部へと排出することを特徴とする汚染土壌処理方法。
【請求項2】
前記遠心流動粉砕装置からの前記粒度の細かい土壌の回収を、前記遠心流動粉砕装置の上方から行い、前記遠心流動粉砕装置内に残存する土壌の前記遠心流動粉砕装置外部への排出を、前記遠心流動粉砕装置の下方へと行うことを特徴とする請求項1記載の汚染土壌処理方法。
【請求項3】
前記遠心流動粉砕装置の粉砕室を構成する壁の下方位置に周方向のクリアランスを形成し、該クリアランスから、前記遠心流動粉砕装置の上方に開口する回収口へと向かう空気流を発生させて、前記粒度の細かい土壌の回収を、前記遠心流動粉砕装置の上方から行い、
前記遠心流動粉砕装置の粉砕室を構成する壁の下方位置に形成した周方向のクリアランスの開口幅を広げ、かつ、前記遠心流動粉砕装置の上方に開口する回収口から、前記周方向のクリアランスへと向かう空気流を発生させて、前記遠心流動粉砕装置内に残存する土壌の前記遠心流動粉砕装置外部への排出を、前記クリアランスを介して、前記遠心流動粉砕装置の下方へと行うことを特徴とする請求項2記載の汚染土壌処理方法。
【請求項4】
前記遠心流動粉砕装置の粉砕室の上方位置に気流式分級装置を配置し、該気流式分級装置に形成された前記回収口を介して、前記粒度の細かい土壌の回収を、前記遠心流動粉砕装置の上方から行うことを特徴とする請求項記載の汚染土壌処理方法。
【請求項5】
汚染土壌を、前記遠心流動粉砕装置の上方に位置するホッパーに一時的に貯留し、該ホッパーから、センターシュートを介して、前記遠心流動粉砕装置内部へと汚染土壌を投入することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の汚染土壌処理方法。
【請求項6】
汚染土壌を粒度に応じて分別し、粒度の細かい土壌を減容して隔離する汚染土壌処理システムであって、
遠心流動粉砕装置と、該遠心流動粉砕装置の上方に開口する回収口を介して粒度の細かい土壌を回収する細粒子回収系統と、前記遠心流動粉砕装置から粒度の細かい土壌を回収した残余の土壌を回収する粗粒子回収系統と、前記遠心流動粉砕装置内の放射線量を測定する放射能センサとを備え、
前記遠心流動粉砕装置の上方位置にて、前記遠心流動粉砕装置と前記細粒子回収系統とが連通し、
前記遠心流動粉砕装置の粉砕室を構成する壁の下方位置に、前記放射能センサを備えると共に、開口幅を調整可能な周方向のクリアランスを備え、該周方向のクリアランスを介して、前記遠心流動粉砕装置と前記粗粒子回収系統とが連通していることを特徴とする汚染土壌処理システム。
【請求項7】
前記遠心流動粉砕装置の粉砕室の上方位置に、気流式分級装置を一体に備え、該気流式分級装置に形成された前記回収口を介して、前記遠心流動粉砕装置と前記細粒子回収系統とが連通していることを特徴とする請求項6記載の汚染土壌処理システム。
【請求項8】
汚染土壌を、前記遠心流動粉砕装置の上方に位置するホッパーに一時的に貯留し、該ホッパーから、センターシュートを介して、前記遠心流動粉砕装置内部へと汚染土壌を投入することを特徴とする請求項6又は7記載の汚染土壌処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚染土壌処理方法及び汚染土壌処理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、汚染土壌を採取して放射能汚染物質を除去する汚染土壌処理が行われており、汚染土壌から重金属や有害物等の汚染物質を取り除くための手法としては、湿式除染方法と、乾式除染方法(例えば、特許文献1、2参照。)とが挙げられる。湿式除染方法は、汚染土壌を例えば高圧洗浄水で洗浄することで、洗浄水とともに汚染物質を隔離し、洗浄後の土壌を採取地に戻すものである。又、乾式除染方法は、放射性物質の大部分を含む粒径の小さな土壌を分別して回収し、粒径の大きな土壌を採取地に戻すものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−249241号公報
【特許文献2】特開2001−219155号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の湿式除染方法及び乾式除染方法は、各々、次のような課題を有するものであった。まず、湿式除染方法は、汚染水が大量に発生し、洗浄後に大掛かりな濁水処理が必要となる。又、濁水処理プラントを設置するにあたり、大掛かりな基礎の構築が必要不可欠となる。しかも、湿式除染方法は、土壌に含まれるミネラル分等の良質な成分まで洗い流してしまうことから、農地の土壌を除染するには適さないものである。
一方、乾式除染方法は、汚染物質が土壌中の細粒に付着しやすいという性質を利用して、土壌を粒径で分別する分級を行い、粒度の細かい土壌のみ回収するものである。しかしながら、水分の含有量や、土壌の凝集等、処理対象となる土壌の状態によって、分級精度にばらつきが生じ得るものである。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、汚染土壌の処理の際に汚水が発生せず、効率的に除染を行うと共に、土壌から分別された汚染物質を効率的に保管することが可能な、汚染土壌処理技術を提供することにある。
【0006】
(発明の態様)
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本願発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
【0007】
(1)汚染土壌を粒度に応じて分別し、粒度の細かい土壌を減容して隔離する汚染土壌処理方法であって、汚染土壌を遠心流動粉砕装置に投入して細粒化し、該汚染土壌の細粒化を行う間、前記遠心流動粉砕装置内の放射線量を測定しながら、前記遠心流動粉砕装置から粒度の細かい土壌を回収し、前記遠心流動粉砕装置内の放射線量が所定値を下回った以後に、前記遠心流動粉砕装置内に残存する土壌を前記遠心流動粉砕装置外部へと排出する汚染土壌処理方法(請求項1)。
【0008】
本項に記載の汚染土壌処理方法は、汚染土壌を遠心流動粉砕装置に投入して細粒化する。この際、土壌の凝集をほぐす解砕を行うと共に微粉砕して、細粒化することで、土壌の粒度を、粒度に応じた土壌の分別に適した状態となるように調整するものである。そして、凝集がほぐされ、細粒化された土壌を粒度に応じて分別する際に(分級工程)、採取された土壌の水分の含有量や、土壌の凝集等、処理対象となる土壌の状態に起因する分級精度のばらつきの発生を回避し、分級精度を高めるものである。
【0009】
しかも、汚染土壌の細粒化を行う間、遠心流動粉砕装置内の放射線量を測定しながら、遠心流動粉砕装置から粒度の細かい土壌を回収すると、放射性物質の大部分を含む粒径の小さな土壌が、遠心流動粉砕装置内部から除去されて行くことで、遠心流動粉砕装置内の放射線量が低下し、測定される放射線量は、やがて所定値を下回ることとなる。遠心流動粉砕装置内の放射線量が所定値を下回った以後に、遠心流動粉砕装置内に残存する土壌を遠心流動粉砕装置外部へと排出すると、排出された土壌の放射線量は、確実に所定値を下回るものとなる。
【0010】
すなわち、本項に記載の汚染土壌処理方法は、粒度に応じた土壌の分別を行う工程を、必要十分に行うものである。例えば、遠心流動粉砕装置における土壌の粉砕度を、汚染度の高い土壌に合せて、一定に設定した場合において、処理する土壌に含まれる汚染度の低い土壌に対しては、必要以上の粉砕を行うこととなってしまい、粒度の細かい土壌の回収量が増大して、隔離に要する様々な作業工程や、確保すべき保管場所の増大を来たすこととなる。又、残余の土壌の量が減少し、土壌採取地へと戻す土壌が減少してしまうこととなる。
一方、処理すべき土壌の中に、予期しない程汚染度の高い土壌が含まれているような場合には、予め設定された遠心流動粉砕装置における土壌の粉砕度が不十分となり、残余の土壌として遠心流動粉砕装置外部へと排出される土壌の汚染度が、依然として高いままとなる。このような場合には、排出された土壌を再び分級工程へと戻す必要が生じ、処理効率の低下を招くものとなる。
【0011】
この点、本項に記載の汚染土壌処理方法によれば、必要最小限の粉砕、粒度の細かい土壌の回収を行った後、遠心流動粉砕装置内に残存する土壌が、遠心流動粉砕装置から排出された時点で、排出された土壌の放射線量は、確実に所定値を下回るものとなる。そして、土壌の過度の除染も除染不足も回避して、汚染土壌の除染作業の効率化を達成するものとなる。
【0012】
(2)前記汚染土壌を遠心流動粉砕装置に投入して細粒化する工程に先立ち、汚染土壌採取工程と、該汚染土壌採取工程で採取された土壌を乾燥させる乾燥工程とを含み、
前記遠心流動粉砕装置から粒度の細かい土壌を回収する工程にて回収された、粒度の細かい土壌を減容して隔離し、残余の土壌を土壌採取地へと戻す汚染土壌処理方法。
本項に記載の汚染土壌処理方法は、汚染土壌採取工程で採取された土壌を乾燥工程にて乾燥させ、更に、解砕及び微粉砕工程にて、乾燥された土壌の凝集をほぐすと共に微粉砕して、細粒化することで、乾燥させた土壌の粒度を、土壌の分別に適した状態となるように調整するものである。そして、遠心流動粉砕装置に投入して細粒化する工程、すなわち、解砕及び微粉砕工程にて凝集がほぐされ、細粒化された土壌を粒度に応じて分別する際に(分級工程)、採取された土壌の水分の含有量や、土壌の凝集等、処理対象となる土壌の状態に起因する分級精度のばらつきの発生を回避し、分級精度を高めることとなる。そして、分級工程にて分別された土壌のうち、粒度の細かい土壌を、減容して隔離することで土壌の保管の容易性を高めた状態で、放射性物質の大部分を含む粒径の小さな土壌を分別して回収するものとなる。そして、残余の土壌を土壌採取地へと戻すことで、粒径の大きな土壌を採取地に戻すものである。
しかも、以上の各工程により乾式除染方法による土壌洗浄がなされるものであることから、全工程にわたり、汚染水等の副産物が発生することがない。又、土壌の必要成分(栄養分等)を洗い流してしまうことがないので、洗浄後の土壌は、土壌採取地に戻して再利用しやすい状態のものとなる。
【0013】
(3)上記(1)(2)項において、前記遠心流動粉砕装置からの前記粒度の細かい土壌の回収を、前記遠心流動粉砕装置の上方から行い、前記遠心流動粉砕装置内に残存する土壌の前記遠心流動粉砕装置外部への排出を、前記遠心流動粉砕装置の下方へと行う汚染土壌処理方法(請求項2)。
本項に記載の汚染土壌処理方法は、粒度の細かい土壌が、粒度の粗い(粒の大きな)土壌に比べて飛散し易いことを利用して、粒度の細かい土壌の回収を、遠心流動粉砕装置内部で飛散させ、遠心流動粉砕装置の上方から行うことで、粒度の細かい土壌の回収効率を高めるものである。これに対して、遠心流動粉砕装置内に残存する土壌の遠心流動粉砕装置外部への排出を、遠心流動粉砕装置の下方へと行うことで、遠心粉砕装置内で、残余の土壌に加わる重力と遠心力とを利用し、残余の土壌の排出を、必ずしも吸引装置等を用いることなく行うようにするものである。
【0014】
(4)上記(3)項において、前記遠心流動粉砕装置の粉砕室を構成する壁の下方位置に周方向のクリアランスを形成し、該クリアランスから、前記遠心流動粉砕装置の上方に開口する回収口へと向かう空気流を発生させて、前記粒度の細かい土壌の回収を、前記遠心流動粉砕装置の上方から行い、前記遠心流動粉砕装置の粉砕室を構成する壁の下方位置に形成した周方向のクリアランスの開口幅を広げ、かつ、前記遠心流動粉砕装置の上方に開口する回収口から、前記周方向のクリアランスへと向かう空気流を発生させて、前記遠心流動粉砕装置内に残存する土壌の前記遠心流動粉砕装置外部への排出を、前記クリアランスを介して、前記遠心流動粉砕装置の下方へと行う汚染土壌処理方法(請求項3)。
【0015】
本項に記載の汚染土壌処理方法は、遠心流動粉砕装置の粉砕室を構成する壁の下方位置に周方向のクリアランスを形成し、このクリアランスから、遠心流動粉砕装置の上方に開口する回収口へと向かう空気流を発生させるものである。粉砕室内の粒度の細かい土壌は、粉砕室の下方から上方へと向かう空気流に乗って、遠心流動粉砕装置の上方へと浮上させ、遠心流動粉砕装置の上方に開口する回収口から回収する。
一方、遠心流動粉砕装置内に残存する土壌を遠心流動粉砕装置外部へと排出する際には、クリアランスの開口幅を広げ、遠心流動粉砕装置の上方に開口する回収口から、周方向のクリアランスへと向かう空気流を発生させる。そして、残余の土壌に加わる重力と遠心力とに加え、回収口へと向かう空気流によって押し流すことで、遠心流動粉砕装置内に残存する土壌を、クリアランスを介して、遠心流動粉砕装置の下方へと排出するものである。
【0016】
(5)上記(4)項において、前記遠心流動粉砕装置の粉砕室の上方位置に気流式分級装置を配置し、該気流式分級装置に形成された前記回収口を介して、前記粒度の細かい土壌の回収を、前記遠心流動粉砕装置の上方から行う汚染土壌処理方法(請求項4)。
本項に記載の汚染土壌処理方法は、遠心流動粉砕装置の粉砕室の上方位置に気流式分級装置を配置し、遠心流動粉砕装置の粉砕室を構成する壁の下方位置に形成された周方向のクリアランスから、気流式分級装置に開口する回収口へと向かう空気流を発生させるものである。粉砕室内の粒度の細かい土壌は、粉砕室の下方から上方へと向かう空気流に乗って、遠心流動粉砕装置の上方へと浮上し、気流式分級装置において、粒度に応じた土壌の分別に適した状態となるように、調整するものである。そして、気流式分級装置によって分別された粒度の細かい土壌は、気流式分級装置に形成された回収口を介して、遠心流動粉砕装置の上方から行うものである。一方、気流式分級装置において、上方へと向かう空気流から離脱した土壌は、再び遠心流動粉砕装置の粉砕室へと落下し、更なる微細化が促進されるものである。
【0017】
(6)上記(1)から(5)項において、汚染土壌を、前記遠心流動粉砕装置の上方に位置するホッパーに一時的に貯留し、該ホッパーから、センターシュートを介して、前記遠心流動粉砕装置内部へと汚染土壌を投入する汚染土壌処理方法(請求項5)。
本項に記載の汚染土壌処理方法は、汚染土壌を、遠心流動粉砕装置の上方に位置するホッパーに一時的に貯留し、ホッパーから遠心流動粉砕装置内部へと、一気に汚染土壌を投入することで、遠心流動粉砕装置内に残存する土壌を排出した後、次の、汚染土壌処理サイクルを直ちに開始するものである。
しかも、ホッパーから遠心流動粉砕装置内部へと汚染土壌を投入する際に、センターシュートを介することで、ホッパーと遠心流動粉砕装置との間で、汚染土壌の付着や堆積が生じ難いものとなる。
【0018】
(7)上記(1)から(6)項において、分級工程にて分別された土壌のうち、粒度の細かい土壌を、圧縮して減容する汚染土壌処理方法。
本項に記載の汚染土壌処理方法は、分級工程にて分別された土壌のうち、粒度の細かい土壌を、圧縮して減容することで、貯蔵施設内の保管スペースの削減、土壌保管用の容器の削減等に寄与するものとなる。
【0019】
(8)上記(7)項において、分級工程にて分別された土壌のうち、粒度の細かい土壌を圧縮して減容し、土壌保管用の容器に詰める際に、該容器の形状となるように、予め成形する汚染土壌処理方法。
本項に記載の汚染土壌処理方法は、土壌を圧縮して減容し、土壌保管用の容器に詰める際に、該容器の形状となるように予め成形することで、容器に詰め込んだ際のクリアランスをなくし、減容効果を高めるものである。例えば、土壌保管用の容器にドラム缶を用いる場合には、土壌をドラム缶の断面形状に倣って圧縮、減容する。そして、保管容器を完全密閉することで、汚染土壌に含まれる放射性物質が容器内部から外部へと溶出することを回避するものである。
【0020】
(9)上記(1)から(8)項において、前記解砕及び微粉砕を行う際に、土壌の凝集を解砕すると共に土壌粒子の表面部分を剥離させる汚染土壌処理方法。
本項に記載の汚染土壌処理方法は、汚染土壌の解砕及び微粉砕を行う際に、土壌粒子の表面部分を剥離させて土壌の研磨をするとともに、剥離した土壌粒子の表面部分を細粒として分別することで、上記(1)から(8)項の所定の作用を、より効果的に得るものである。すなわち、土壌の細粒子は、その表面部分に多くの汚染物質が付着していることから、土壌を強力な力で一挙に微粉砕するのではなく、研磨するような形で徐々に表面から微粉砕し、剥離した表面部分を、分級工程により細粒子として分別して分離すれば、極めて効率的に汚染物質が付着した細粒子を分離して隔離できることとなる。
【0021】
(10)上記(1)から(9)項において、前記遠心流動粉砕装置から回収される粒度の細かい土壌と、該土壌と共に前記遠心流動粉砕装置から回収される排気ガスとを分離し、該排気ガスを、並列に配置された複数の集塵機に所定時間毎に交互に通過させ、該排気ガスに含まれる微細土壌を捕集する、捕集工程を含む汚染土壌処理方法。
本項に記載の汚染土壌処理方法は、土壌の細粒子と排気ガスとを分離する。そして、排気ガスに含まれる微細土壌を捕集することで、汚染土壌を余すことなく回収するものである。この、排気ガスに含まれる微細土壌を捕集する工程(捕集工程)において、集塵機にバグフィルタを用いる場合には、排気ガスを、並列に配置された複数のバグフィルタに所定時間毎に交互に通過させることで、一つのバグフィルタの清掃を行いながら、他のバグフィルタにより捕集工程を継続し、汚染土壌処理の中断を防ぐものである。
【0022】
(11)汚染土壌を粒度に応じて分別し、粒度の細かい土壌を減容して隔離する汚染土壌処理システムであって、遠心流動粉砕装置と、該遠心流動粉砕装置の上方に開口する回収口を介して粒度の細かい土壌を回収する細粒子回収系統と、前記遠心流動粉砕装置から粒度の細かい土壌を回収した残余の土壌を回収する粗粒子回収系統と、前記遠心流動粉砕装置内の放射線量を測定する放射能センサとを備え、前記遠心流動粉砕装置の上方位置にて、前記遠心流動粉砕装置と前記細粒子回収系統とが連通し、前記遠心流動粉砕装置の粉砕室を構成する壁の下方位置に、前記放射能センサを備えると共に、開口幅を調整可能な周方向のクリアランスを備え、該周方向のクリアランスを介して、前記遠心流動粉砕装置と前記粗粒子回収系統とが連通している汚汚染土壌処理システム(請求項6)。
【0023】
本項に記載の汚染土壌処理システムは、上記(1)項に係る汚染土壌処理方法を実施するためのものであり、上記(1)項に係る汚染土壌処理方法と同等の作用効果を奏するものである。
すなわち、遠心流動粉砕装置に投入された汚染土壌が、粒度の細かい土壌へと細粒化され、遠心流動粉砕装置から、細粒子回収系統へと回収されるものである。又、遠心流動粉砕装置から粒度の細かい土壌を回収した残余の土壌が、遠心流動粉砕装置の上方に開口する回収口を介して、粗粒子回収系統へと回収されるものである。しかも、汚染土壌の細粒化を行う間、前記遠心流動粉砕装置の粉砕室を構成する壁の下方位置に備えられた放射能センサによって、遠心流動粉砕装置内の放射線量を測定しながら、遠心流動粉砕装置から粒度の細かい土壌を回収する。このため、放射性物質の大部分を含む粒径の小さな土壌が、遠心流動粉砕装置内部から除去されて行くことで、遠心流動粉砕装置内の放射線量が低下し、測定される放射線量は、やがて所定値を下回ることとなる。遠心流動粉砕装置内の放射線量が所定値を下回った以後に、遠心流動粉砕装置内に残存する土壌を遠心流動粉砕装置外部へと排出すると、排出された土壌の放射線量は、確実に所定値を下回るものとなる。
【0024】
(12)上記(11)項において、前記遠心流動粉砕装置の粉砕室の上方位置に、気流式分級装置を一体に備え、該気流式分級装置に形成された前記回収口を介して、前記遠心流動粉砕装置と前記細粒子回収系統とが連通している汚染土壌処理システム(請求項7)。
本項に記載の汚染土壌処理システムは、上記(5)項に係る汚染土壌処理方法を実施するためのものであり、上記(5)項に係る汚染土壌処理方法と同等の作用効果を奏するものである。
(13)上記(11)(12)項において、汚染土壌を、前記遠心流動粉砕装置の上方に位置するホッパーに一時的に貯留し、該ホッパーから、センターシュートを介して、前記遠心流動粉砕装置内部へと汚染土壌を投入する汚染土壌処理システム(請求項8)。
本項に記載の汚染土壌処理システムは、上記(6)項に係る汚染土壌処理方法を実施するためのものであり、上記(6)項に係る汚染土壌処理方法と同等の作用効果を奏するものである。
【0025】
(14)上記(11)から(13)項において、前記遠心流動粉砕装置から回収される排気ガスを通過させるための、並列に配置された複数の集塵機と、前記排気ガスを前記複数の集塵機に対し交互に供給するための切替バルブとを含む汚染土壌処理システム。
本項に記載の汚染土壌処理システムは、遠心流動粉砕装置から回収される土壌と排気ガスとを分離し、排気ガスに含まれる微細土壌を、集塵機により捕集することで、汚染土壌を余すことなく回収するものである。集塵機にバグフィルタを用いる場合には、排気ガスを、並列に配置された複数のバグフィルタに所定時間毎に交互に通過させることで、バグフィルタの清掃を行いながら、他のバグフィルタにより排気ガスに含まれる微細土壌を捕集する作業(捕集工程)を継続し、汚染土壌処理の中断を防ぐものである。
【0026】
(15)上記(14)項において、前記遠心流動粉砕装置の回収口及び前記集塵機をつなぐ配管と、前記集塵機の出口配管とに、並列に配置された各集塵機に対して交互に排気ガスを通過させるための、切替バルブを備える汚染土壌処理システム。
本項に記載の汚染土壌処理システムは、切替バルブを切り換えることによって、排気ガスが通過する集塵機により捕集工程を継続しつつ、排気ガスが通過しない集塵機の清掃を行うことを可能とするものである。バルブの切り替えのタイミング及び切り替え及び集塵機の清掃作業は、例えば、一定時間毎に定期的に行うものである。又、切り替え作業は手動、自動のいずれであっても良い。
【0027】
(16)上記(14)(15)項において、前記遠心流動粉砕装置の回収口及び前記集塵機とをつなぐ配管に、サイクロンを備えることを特徴とする汚染土壌処理システム。
本項に記載の汚染土壌処理システムは、遠心流動粉砕装置の回収口及び集塵機をつなぐ配管に設けたサイクロンによって、排気ガスに含まれる微細土壌を分離する。サイクロンは、下方に向けて縮径する円錐状の容器内に排気ガスを導入し、排気ガスを容器の内壁に沿って旋回させる過程で微細土壌を落下させて回収する。そして、サイクロンによっても分離しきれない微細土壌については、排気ガスと共に集塵機へと送るものである。このため、サイクロンを通過した排気ガスに含まれる微細土壌が減少し、集塵機に送られる微細土壌が減少することで、集塵機の清掃作業を実施すべき時間間隔を伸ばし、又集塵機内に移動する総熱量が低下し、熱による集塵機の損傷を低減させることにも繋がる。
【0028】
(17)上記(11)から(16)項において、前記各装置が移動可能に構成され、土壌採取地にて稼動する汚染土壌処理システム。
本項に記載の汚染土壌処理システムは、上記(11)から(16)項記載の各装置が移動可能に構成されることで、土壌採取地にて各装置を稼動させて、乾式除染方法による土壌の採取、解砕、分級の各工程を行い、放射性物質の大部分を含む粒径の小さな土壌を分別して回収し、残余の土壌を採取地に戻すものである。又、上記(11)から(16)項記載の各装置が移動可能となるように、例えば、各装置をトレーラの荷台に搭載し、あるいは、各装置を搭載する特殊車両を構成するものである。これらのトレーラや特殊車両には、各装置の大きさに応じて、各々別々に載置され、又は、一台の車両に複数種類(或いは全て)が載置され、土壌採取地にて、上記所定の作業工程が円滑に実施されるように配置されるものである。しかも、本システムを土壌採取地に設置する際に、基礎工事等が不要であり、設置に要する工期も短く、又、異なる土壌採取地に移動して稼動することが容易なものである。
【発明の効果】
【0029】
本発明はこのように構成したので、汚染土壌の処理の際に汚水が発生せず、効率的に除染を行うと共に、土壌から分別された汚染物質を効率的に保管することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の実施の形態に係る汚染土壌処理方法を示すフローチャートである。
図2図1の汚染土壌処理方法に係る汚染土壌処理システムの概略的構成を示すブロック図である。
図3図2に示される汚染土壌処理システムの応用例を示すブロック図である。
図4図2図3に示される汚染土壌処理システムの、分級装置の構造を模式的に示す断面図である。
図5図4に示される遠心流動粉砕装置の、本発明の実施の形態に係る特徴部分を示す部分断面図であり、(a)は粉砕室を構成する壁の下方位置に形成した周方向のクリアランスの開口幅を変化させる構造部分を、(b)は放射能センサの設置部分を示すものである。
図6図4に示される分級装置を構成する、遠心流動粉砕装置の基本構造を示す模式断面図である。
図7】(a)は、図4に示される分級装置において、粒度の細かい土壌の回収を行う様子を、(b)は遠心流動粉砕装置内に残存する土壌の排出を行う様子を示す断面図である。
図8図2図3に示される汚染土壌処理システムの、ホッパーと、センターシュートと、遠心流動粉砕装置とを示す模式図である。
図9】汚染土壌の圧縮成形に用いられる圧縮装置の一例を示す模式図である。
図10】本発明の実施の形態に係る汚染土壌処理システムを移動可能に構成した場合のイメージを示すものであり、(a)、(b)は、本システムを構成する各装置を搭載する特殊車両のイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明を実施するための形態を添付図面に基づいて説明する。
本発明の実施の形態に係る汚染土壌処理方法は、図1に示される各工程からなるものであり、以下に順を追って説明する。なお、本方法は、図2、3に示される汚染土壌処理システム1により実施されるものである。図2図3の相違点は、後述する回収手段28の細粒子回収系統281中の、サイクロン161の有(図2)無(図3)の違いにある。又、以下の説明では、土壌が、例えば、セシウム137等の放射性物質により汚染された場合を例示している。
【0032】
S100(汚染土壌採取工程):汚染された土壌を採取するものであり、土壌に応じて、バックホウ等適切な土木機械を用いて、又は、必要に応じ人手により、地表面から適切な深さまでの土壌を採取する工程である。
S110(乾燥工程):汚染土壌採取工程(S100)で採取された土壌の水分量の調整が必要な場合には、土壌を乾燥させる。本工程には、いわゆる攪拌乾燥装置等、適切な乾燥装置が用いられる。
S120(分級工程):乾燥工程(S110)にて乾燥された土壌の凝集を、分級装置20(図4参照)を用いて解砕、微粉砕し、粒度に応じて分級を行う工程である。しかも、汚染土壌の細粒化を行う間、分級装置20(図4参照)内の放射線量を測定しながら、分級装置20から粒度の細かい土壌(細粒子)を回収し、分級装置20内の放射線量が所定値を下回った以後に、残存する土壌(粗粒子)を分級装置20の外部へと排出する。本発明の実施の形態に係る、分級装置20については追って説明する。
なお、本工程においては、土壌を強力な力で一挙に微粉砕するのではなく、研磨するような形で徐々に表面から微粉砕していくことが好ましい。というのは、分級装置20を構成する遠心流動粉砕装置4(後述する)に投入される土壌の細粒子は、その表面部分に多くの汚染物質が付着しているから、表面部分が剥離するよう研磨するようにして微粉砕することにより、剥離した表面部分を細粒子として分別して分離すれば、極めて効率的に汚染物質が付着した細粒子を分離して隔離できるからである。
【0033】
ここで、図2を参照しながら、汚染土壌処理システム1の構成を説明する。なお、以下の各装置構成は、本実施の形態に適した装置例を示したものであり、各々、同様の機能を奏する装置に適宜置換して、汚染土壌処理システム1を構成することが可能なものである。
汚染土壌処理システム1は、上述の乾燥工程S110にて乾燥された汚染土壌を、一時的に貯留するためのホッパー22を備えている。ホッパー22は、分級装置20の上方に位置しており、ホッパー22に貯留された汚染土壌は、センターシュート24によって分級装置20の内部へと投入される。更に、分級装置20には、装置内の放射線量を測定する放射能センサ26が設けられている。又、汚染土壌処理システム1は、分級装置20から、粒度の細かい土壌(細粒子)を回収する回収手段28として、細粒子回収系統281と、分級装置20から粒度の細かい土壌を回収した残余の土壌(粗粒子)を回収する、粗粒子回収系統282とを備えている。
【0034】
分級装置20は、図4に示されるように、遠心流動粉砕装置4の粉砕室の上方位置に、気流式分級装置6を一体構成したものである。ここで、遠心流動粉砕装置4の基本構造例について、図6を参照しながら説明し、併せて、本発明の実施の形態に係る分級装置20への適用に際しての改良点についても、図4及び図5を参照しながら言及する。
【0035】
遠心流動粉砕装置4は、図6に例示されるように、本体部分を覆うケーシング408の内側に、連結部材409を介して外周環407が取付けられている。符号410は脚柱であり、ベアリング411を介して回転皿406を枢支している。回転軸402は、減速機構等を介して電動モータ等の動力源に駆動される。ケーシング408の天井408aの中央部分には、土壌の投入管412が設置され、この投入管412の周囲を囲むように開口413が設けられている。なお、図6の例では、この開口413にダクト414が接続されているが、本実施の形態に係る分級装置20への適用にあたり、図4に示されるように、ケーシング408の天井408aの代わりに、気流式分級装置6が一体に設けられた構造となっている。
又、外周環407には、ライナが内張りされると共に、その壁面を貫通するように多数のスリット又は小孔415が穿孔されている。外周環407外面の底部とケーシング408内面との間には、側部カバー416が環状に設けられており、側部カバー416とケーシング408及び外周環407外面との間に空気導入室417が区画形成され、空気導入管418から空気が導入可能となっている。なお、側部カバー416の上端は、外周環407の側部外面に密着固定されている。
【0036】
回転皿406の外周縁と外周環407の底部内周面との間には、クリアランス419が確保されている。このクリアランス419は、底部カバー420がクリアランス419の下側を覆うように環状に配置されている。本実施形態では、側部下バー416に穿孔を施し、あるいは空気導入管を接続するなどして、底部カバー420内への空気導入を可能としている。
底部カバー420及び空気導入室417には、土壌のうちの、粗粒子の抜出し及び搬送用の管路421が接続されている。また、回転皿406の外周縁下側には、スクレーパ422が設置され、底部カバー420内に落下した細粒子を抜出し用の管路421の接続部へ向けて寄せ集めるように構成されている。
回転皿と外周環に鋼球等のボールを入れて原料を微粉砕する遠心流動粉砕タイプの粉砕装置として、例えば、CFMILL(登録商標)等が知られおり、遠心流動粉砕装置のタイプとして、原料を連続処理する連続式タイプのものと、バッチ式に処理するバッチタイプのものがあるが、バッチタイプが本発明の実施の形態に適したものである。
【0037】
上記構成を有する遠心流動粉砕装置4の投入管412から、汚染土壌が投入されると、回転皿406の回転に伴い、ボール423は外周環407の内壁面と皿面とを循環する円運動と、回転皿406の中心軸周りの回転運動との合成による、縄を結うがごとき螺旋運動を生じることで、細粒子の更なる粉砕を行うものである。
そして、空気導入管418から空気導入室417及び底部カバー420内に導入された空気は、クリアランス419、スリット又は小孔415を通って粉砕室内に流入し、粉砕によって生じた粉末を伴ってダクト414内に入り、気流式分級装置6へと送られることとなる。
【0038】
なお、本発明の実施の形態に係る分級装置20の遠心流動粉砕装置4は、空気導入管418及び管路421が別々の管路ではなく、図4に示されるように、共通の導入・排出管路425に置換されている。又、空気導入室417と、空気導入室を区画形成するための環状の側部カバー416とが無く、導入・排出管路425とクリアランス419とが、直接的に連通している。 従って、クリアランス419及び導入・排出管路425を介して、遠心流動粉砕装置4の粉砕室に対し、空気の導入導出が行われる。又、この導入・排出管路425は、後述のように、土壌の排出にも用いられるものである。
更に、分級装置20には、図5(a)に示されるように、回転皿406に対して外周環407を昇降させるための、油圧ジャッキ427が設けられている。そして、回転皿406に対して外周環407を上昇させて、クリアランス419の開口幅Sを広げることで、土壌が導入・排出管路425へと排出される。なお、クリアランス419の開口幅Sは、少なくとも、鋼球等のボール423の最小ボール径の10〜30%の範囲で変更されるが、土壌の排出効率をより高めるために、ボール423がクリアランス419から排出されない範囲で、開口幅Sをより広くすることとしてもよい。
【0039】
又、本発明の実施の形態に係る分級装置20の、遠心流動粉砕装置4の導入・排出管路425には、放射能センサ26が設けられている。放射能センサ26は、使用するセンサの態様にもよるが、図4の例では、導入・排出管路425の管壁を貫通するようにして設けられている。又、図5(b)に示されるように、複数の導入・排出管路425のいずれか一箇所に放射能センサ26を差込み、放射能センサ26と汚染土壌とが直接的に接触することを防ぐために、アクリル板等のカバー26aで、導入・排出管路425の開口端を塞ぐように設置することとしてもよい。
又、本発明の実施の形態に係る分級装置20の遠心流動粉砕装置4の、土壌の投入管412は、図4に示されるように、気流式分級装置6の中心部を貫通する、センターシュート24を構成するものである。
【0040】
本発明の実施の形態に係る分級装置20の、遠心流動粉砕装置4の上方位置に、一体に構成された気流式分級装置6は、遠心流動粉砕装置4(図4図6)によって粉砕された採取土壌を、気流によって所要の粒度の粉体へと選別するものであり、その分級原理としては重力分級、慣性力分級および遠心力分級に大別される。粉体の大量分級に好適な遠心力分級には、分級室の形状を渦巻状にすることで気流を旋回させる自由渦式のものと、分級室内に設けられた回転羽根によって気流を強制的に旋回させる強制渦のものと、これらふたつの合成である自由渦と強制渦の共用式のものとがある。
図4に例示されるものは、円筒状の分級室601と下方縮径の分散室602の内部に構成されたもので、かつ、分散室602の下端部が、遠心流動粉砕装置4のケーシング408に連続するように構成されている。そして、分級室601の中心に位置するセンターシュート24の外周を囲むようにして、回転可能に支持された垂直円筒状の駆動軸607が配置されている。又、駆動軸607の周囲に一体的に回転する多数の分級羽根608が取付けられている。分級羽根608の外周には、多数のスリット状開孔を構成する固定翼606を同心円状に適当間隔離間して固設し,固定翼606に連結して下方縮径して、下端が開口するガイドコーン610を備えている。
【0041】
ガイドコーン610の下端は、分散室602の内部に開口しており、センターシュート24から供給される土壌は、気流式分級装置6を通過して遠心流動粉砕装置4へと落下する。そして、遠心流動粉砕装置4で微粉砕された土壌のうちの細粒子が舞い上がり、分級室601で分級される。又、固定翼606およびガイドコーン610の内壁を沿って落下してくる粒子とともに、遠心流動粉砕装置4のクリアランス419から吹き上げられる分級用空気の中に投入され、分散する構造としたものである。
【0042】
気流式分級装置6による分級は、回転羽根車608の影響等を受けて、装置内を旋回しながら上昇する空気の流れ(所謂、旋回気流)により行なわれる。
すなわち、舞い上がった粒子の中で所望の大きさになっていない粒子は、旋回気流の流れに乗って上昇し搬送される中で、粒子の重さ、或いは旋回気流の中で粒子にかかる遠心力によって、気流の流れから逸脱し、固定翼606まで到達できず、或いは固定翼606まで到達しても固定翼606又回転羽根車608を通過できずに、落下して遠心流動粉砕装置4内で再度粉砕される。
【0043】
そして、舞い上がった粒子の中で所望の大きさになった細粒子は、旋回気流の流れに乗って、固定翼606及び回転羽根車608を通過し、分級室601の上方に開口する、分級装置20の回収口20aから吸引される。すなわち、分級装置20の粉砕室の上方に位置する気流式分級装置6に開口する回収口20aは、図2図3に示される、回収手段28の細粒子回収系統281と連通している。
一方、遠心流動粉砕装置4の粉砕室を構成する壁の下方位置に、開口幅Sを調整可能な周方向のクリアランス419を介して、図2図3に示される、回収手段28の粗粒子回収系統282と連通している。
【0044】
細粒子回収系統281は、図2図3に示されるように、分級装置20から排出される、土壌の細粒子を含む排気ガスを通過させるための、並列に配置された複数の集塵機12を備えている。図示の例では、集塵機12には2つのバグフィルタ12A、12Bが用いられている。又、分級装置20の排気ガスの排出口でもある回収口20a及び各バグフィルタ12A、12Bをつなぐ配管と、バグフィルタ12A、12Bの出口配管とに、交互に排気ガスを通過させるための、切替バルブ14とを備えるものである。更に、分級装置20の回収口20aと、切替バルブ14との間には、切替バルブ32(321)が配置されている。この切替バルブ32(321)は、回収口20aからバグフィルタ12へのガス流(V1開、V2閉)と、回収口20aから分級装置20内への外気の流入(V1閉、V2開)との切り替えを行うものである。切替バルブ32(321)の切り替えは、手動操作によって行うこととすれば良いが、適宜、放射能センサ26の検知信号に基づき、自動による切り替えを行うこととしても良い。更に、図2の例では、分級装置20の回収口20a及びバグフィルタ12A、12Bとをつなぐ配管に、サイクロン161を備えている。一方、図3の例では、このサイクロン161を備えていない。
又、図2に符号18(181)で示される機器は、排ガスファンであり、回収口20aからバグフィルタ12へのガス流を形成する際に運転されるものである。
【0045】
そして、バグフィルタ12A、12Bによって回収された微細土壌は、後述する成形工程に送られ、圧縮装置8にて圧縮成形される。図2図3に示される細粒子回収系統281の設備構成において、回収20aから排出された排気ガスに含まれる微細土壌を、バグフィルタ12A、12Bにより捕集することで、汚染土壌を余すことなく、圧縮装置8へと回すものである。しかも、排気ガスを、並列に配置された複数のバグフィルタ12A、12Bに所定時間毎に交互に通過させることで、一方のバグフィルタ(例えば12A)の清掃を行いながら、他方のバグフィルタ(例えば12B)により排気ガスに含まれる微細土壌を捕集する作業(捕集工程)を継続し、汚染土壌処理の中断を防ぐものである。
したがって、集塵機12を構成するバグフィルタは、図示のごとく最低2つ並列に設置されていれば、上記の機能を発揮するものとなるが、必要に応じて更に多数のバグフィルタを切り替え可能に配置しても良い。又、複数のバグフィルタ12A、12Bを格納するバグハウスも、バグフィルタ12A、12B毎に別々に独立して設置されるものであっても、1つのバグハウスに2つのバグフィルタ12A、12Bが配置されているものであっても良い。又、本実施の形態では、集塵機12にバグフィルタ12A、12Bを用いたが、同様の機能を有する他の形式集塵機を、並列かつ交互に運転可能に設置することとしても良い。
【0046】
又、切替バルブ14の切り替え及びバグフィルタ12A、12Bの清掃作業は、例えば、一定時間毎に定期的に行うこととすれば良く、切替バルブ14の切り替えも、手動操作によって行うこととすれば良いが、適宜、自動による切り替えを行うこととしても良い。
更に、図2の例では、分級装置20の回収口20aと、バグフィルタ12A、12Bをつなぐ配管に、サイクロン161を配置することによって、排気ガスに含まれる微細土壌を、バグフィルタ12の上流でも分離する。このため、サイクロン161を通過した排気ガスに含まれる微細土壌が減少し、バグフィルタ12A、12Bに送られる微細土壌が減少することから、バグフィルタ12A、12Bの清掃作業を実施すべき時間間隔を伸ばし、又集塵機内に移動する総熱量が低下し、熱による集塵機の損傷を低減させることにも繋がる。
【0047】
一方、粗粒子回収系統282にも、分級装置20から排出される、土壌の粗粒子を含む排気ガスを通過させるための集塵機12を備えている。図示の例では、粗粒子回収系統282の集塵機12には、1つのバグフィルタ12Cが用いられている。又、分級装置20の排気ガスの排出口でもある導入・排出管路425とバグフィルタ12Cをつなぐ配管には、切替バルブ32(322)及びサイクロン16(162)を備えている。切替バルブ32(321)は、導入・排出管路425からサイクロン16への粗粒子土壌及びガス流(V3開、V4閉)と、導入・排出管路425から分級装置20内への外気の流入(V3閉、V4開)との切り替えを行うものである。切替バルブ32(322)の切り替えについても、手動操作によって行うこととすれば良いが、適宜、放射能センサ26の検知信号に基づき、自動による切り替えを行うこととしても良い。又、図2に符号18(182)で示される機器は、排ガスファンであり、導入・排出管路425からサイクロン16及びバグフィルタ12へのガス流を形成する際に運転される。
そして、サイクロン16によって粗粒子土壌が分別されると共に、サイクロン16を通過した排気ガス中に含まれる土壌についても、バグフィルタ12Cによって余すことなく回収するものである。
【0048】
又、分級装置20内への汚染土壌の投入は、図2図3に示されるタンク38からベルトコンベヤ40等の搬送手段によってホッパー22に一旦貯留される。ホッパー22への汚染土壌の投入量は、例えば、ベルトコンベヤ40の駆動部にエンコーダ等を取り付け、ベルトコンベヤ40による送り量を監視することで、一定量がホッパー22へと投入されるように制御することが可能である。図8に示されるように、ホッパー22の下端部には、開閉バルブ34が設けられており、ダブルフラップダンパー、ロータリーバルブ等の開閉手段36によって、センターシュート24への汚染土壌の投入時にのみ、開閉バルブ34が開くように制御される。そして、ホッパー22に貯留された汚染土壌は、センターシュート24を通過して、一気に分級装置20の内部へと投入されるものである。
【0049】
図7(a)には、分級装置20内に汚染土壌を投入し、回収手段28の細粒子回収系統281の排ガスファン18(181)を運転して、回収口20aから細粒子回収系統281へのガス流を形成した状態を示している。
センターシュート24を介して分級装置20内に投入された汚染土壌100は、遠心流動粉砕装置4によって解砕・微粉砕されて行く。この際、細粒子回収系統281の排ガスファン18(181)を運転することで、遠心流動粉砕装置4の粉砕室内が負圧となり、切替バルブ32(322)を介して導入・排出管路425から外気が導入され、回転皿406の外周縁と外周環407の底部内周面との間に形成されるクリアランス419から、回収口20aへと向かう空気流が形成される。そして、汚染土壌の微粒子を含むガス102は、回収口20aへと向かう過程で気流式分級装置6を通過する。そして、気流式分級装置6を通過した、汚染土壌の微粒子を含むガス102は、気流式分級装置6に形成された回収口20aから、回収手段28の細粒子回収系統281へと送られる。又、気流式分級装置6を通過することなくガス102から離脱した中粒度の粒子104は、再び遠心流動粉砕装置4へと落下し、解砕・微粉砕される。この間、放射能センサ26によって、遠心流動粉砕装置4内の放射線量を測定する。そして、遠心流動粉砕装置4内の放射線量が所定値を下回った以後に、図7(b)の状態へと移行する。
【0050】
図7(b)には、回収手段28の粗粒子回収系統282の排ガスファン18(182)を運転して、導入・排出管路425から粗粒子回収系統282へのガス流を形成した状態を示している。この状態では、粗粒子回収系統282の排ガスファン18(182)を運転することで、遠心流動粉砕装置4の粉砕室内が負圧となり、切替バルブ32(321)を介して回収口20aから外気が導入され、回転皿406の外周縁と外周環407の底部内周面との間に形成されるクリアランス419から、導入・排出管路425へと向かう空気流が形成される。この際、油圧ジャッキ427によって回転皿406に対して外周環407を昇降させ、クリアランス419の開口幅S(図5参照)を広げることで、土壌の排出を促すものである。そして、土壌の粗粒子及びガス108は、遠心流動粉砕装置4のクリアランス419から、回収手段28の粗粒子回収系統282へと送られる。
【0051】
更に、細粒子回収系統281の圧縮装置8の一例を図9に示す。この圧縮装置8は、一方向から第一段階の圧縮を行うための細粒子圧縮機構821と、第一段階の圧縮方向と直交する方向から、第二段階の圧縮を行うための粗粒子圧縮機構822とを備えている。更に、粗粒子圧縮機構822内で圧縮された土壌を、軸方向に圧縮するための第3の圧縮機構823を備え、第3の圧縮機構823には円筒状加工キャビティ824を備えている。そして、固定型825、液圧シリンダ827に駆動される可動型826、粗粒子固定型829、粗粒子液圧シリンダ831に駆動される粗粒子可動型830、受け型832、及び、第3の液圧シリンダ834に駆動される第3の可動型833によって、細粒子回収系統281に回収された、放射能レベルが高い土壌を、圧縮、減容するものである(成形工程)。
【0052】
しかも、土壌保管用の容器の形状となるように、予め成形することで、容器に詰め込んだ際のクリアランスをなくし、減容効果を高めるものである。図9に示される圧縮装置8は、土壌保管用の容器としてドラム缶を用いる場合において、土壌をドラム缶の断面形状に倣って圧縮、減容するものである。そして、保管容器を完全密閉することで、汚染土壌に含まれる放射性物質が容器内部から外部へと溶出することを回避する。
【0053】
さて、上記構成をなす、本発明の実施の形態によれば、次のような作用効果を得ることが可能である。
本発明の実施の形態に係る、汚染土壌処理システム1により実施される汚染土壌処理方法は、汚染土壌を分級装置20を構成する遠心流動粉砕装置4に投入して、細粒化するものである。この際、土壌の凝集をほぐすと共に微粉砕して、細粒化することで、土壌の粒度を、粒度に応じた土壌の分別に適した状態となるように調整するものである。そして、凝集がほぐされ、細粒化された土壌を粒度に応じて分別する際に、採取された土壌の水分の含有量や、土壌の凝集等、処理対象となる土壌の状態に起因する分級精度のばらつきの発生を回避し、分級精度を高めるものである。
【0054】
しかも、図7(a)に示される、汚染土壌の細粒化を行う間、遠心流動粉砕装置4内の放射線量を、放射能センサ26により測定しながら、遠心流動粉砕装置4から粒度の細かい土壌を回収すると、放射性物質の大部分を含む粒径の小さな土壌が、遠心流動粉砕装置4の内部から除去されて行くことで、遠心流動粉砕装置4内の放射線量が低下し、測定される放射線量は、やがて所定値を下回ることとなる。そして、遠心流動粉砕装置4内の放射線量が所定値を下回った以後に、図7(b)に示されるように、遠心流動粉砕装置4内に残存する土壌を遠心流動粉砕装置4の外部へと排出すると、排出された土壌の放射線量は、確実に所定値を下回るものとなる。
【0055】
又、本発明の実施の形態に係る汚染土壌処理方法は、汚染土壌採取工程(S100)で採取された土壌を乾燥工程(S110)にて乾燥させ、更に、分級工程(S120)にて、乾燥された土壌の凝集をほぐすと共に微粉砕して、細粒化することで、乾燥させた土壌の粒度を、土壌の分別に適した状態となるように調整するものである。そして、遠心流動粉砕装置4に投入して細粒化する工程、すなわち、解砕及び微粉砕工程にて凝集がほぐされ、細粒化された土壌を粒度に応じて分別する際に(分級工程)、採取された土壌の水分の含有量や、土壌の凝集等、処理対象となる土壌の状態に起因する分級精度のばらつきの発生を回避し、分級精度を高めることとなる。そして、分級工程にて分別された土壌のうち、粒度の細かい土壌を、減容して隔離することで土壌の保管の容易性を高めた状態で、放射性物質の大部分を含む粒径の小さな土壌を分別して回収するものとなる。そして、残余の土壌を土壌採取地へと戻すことで、粒径の大きな土壌を採取地に戻すものである。
【0056】
又、本発明の実施の形態では、粒度の細かい土壌が粒度の粗い(粒の大きな)土壌に比べて飛散し易いことを利用して、前記粒度の細かい土壌の回収を、遠心流動粉砕装置4の上方から行うことで、粒度の細かい土壌の回収効率を高めるものである(図7(a))。これに対して、遠心流動粉砕装置4内に残存する土壌の遠心流動粉砕装置4外部への排出を、遠心流動粉砕装置4の下方へと行うことで(図7(b))、遠心粉砕装置4内で、残余の土壌に加わる重力と遠心力とを利用し、残余の土壌の排出を、必ずしも吸引装置等を用いることなく行うことを可能とするものである。なお、本発明の実施の形態では、粗粒子回収系統282の排ガスファン18(182)を運転することで、遠心流動粉砕装置4の粉砕室内が負圧となり、切替バルブ32(321)を介して回収口20aから外気が導入され、遠心流動粉砕装置4内に残存する土壌の遠心流動粉砕装置4外部への排出が促される。
【0057】
又、本発明の実施の形態では、遠心流動粉砕装置4の粉砕室を構成する壁の下方位置に周方向のクリアランス419を形成し、このクリアランス419から、遠心流動粉砕装置4の上方に開口する回収口20aへと向かう空気流を発生させるものである(図7(a))。粉砕室内の粒度の細かい土壌は、粉砕室の下方から上方へと向かう空気流に乗って、遠心流動粉砕装置4の上方へと浮上し、遠心流動粉砕装置4の上方に開口する回収口20aから回収することが可能となる。
一方、遠心流動粉砕装置4内に残存する土壌を遠心流動粉砕装置4外部へと排出する際には、遠心流動粉砕装置4の上方に開口する回収口20aから、周方向のクリアランス419へと向かう空気流を発生させるものである(図7(b))。そして、残余の土壌に加わる重力と遠心力とに加え、回収口20aから流れ込む空気流によって押し流すことで、遠心流動粉砕装置4内に残存する土壌を、遠心流動粉砕装置4の下方へと排出することが可能となる。
【0058】
又、本発明の実施の形態では、遠心流動粉砕装置4の粉砕室の上方位置に気流式分級装置6を配置し、遠心流動粉砕装置4の粉砕室を構成する壁の下方位置に形成された周方向のクリアランス419から、気流式分級装置6に開口する回収口20aへと向かう空気流を発生させるものである。粉砕室内の粒度の細かい土壌は、粉砕室の下方から上方へと向かう空気流に乗って、遠心流動粉砕装置4の上方へと浮上し、気流式分級装置6において、粒度に応じた土壌の分別に適した状態となるように、調整するものである。そして、気流式分級装置6によって分別された粒度の細かい土壌は、気流式分級装置6に形成された回収口20aを介して、遠心流動粉砕装置の上方から行うものである。一方、気流式分級装置6において、上方へと向かう空気流から離脱した土壌は、再び遠心流動粉砕装置4の粉砕室へと落下し、更なる微細化が促進されるものである。
【0059】
更に、本発明の実施の形態では、汚染土壌を、遠心流動粉砕装置4を含む分級装置20の上方に位置するホッパー22に一時的に貯留し、ホッパー22から遠心流動粉砕装置4内部へと、一気に汚染土壌を投入することで、遠心流動粉砕装4置内に残存する土壌を排出した後、次の、汚染土壌処理サイクルを直ちに開始することが可能となる。
しかも、ホッパー22から遠心流動粉砕装置4内部へと汚染土壌を投入する際に、センターシュート24を介することで、ホッパー22と遠心流動粉砕装置4との間で、汚染土壌の付着や堆積が生じ難いものとなる。
【0060】
更には、図10(a)、(b)にイメージされるように、汚染土壌処理システム1を構成する上記各装置が移動可能となるように、上述の各装置をトレーラの荷台に搭載し、又は、各装置を搭載する特殊車両を構成することとしてもよい。これらの特殊車両等10には、各装置の大きさに応じて、各々の装置が別々に載置され、又は、一台の車両に複数種類(或いは全て)が載置され、土壌採取地にて、上記所定の作業工程が円滑に実施されるように配置されるものである。しかも、汚染土壌処理システム1を土壌採取地に設置する際に、基礎工事等が不要であり、設置に要する工期も短く、異なる土壌採取地に移動して稼動することが容易なものとなる。
加えて、汚染土壌処理システム1の設置認可が不要であり、設置にあたって地元の承諾も得やすいといった、副次的効果も期待できるものとなる。
本発明の実施の形態では、以上のごとく、土壌が放射性物質により汚染された場合の、汚染土壌処理方法及び汚染土壌処理システムを例示して説明したが、他の汚染源に対する土壌処理技術にも対応可能であることは、理解されるであろう。
【符号の説明】
【0061】
1:汚染土壌処理システム、 4:遠心流動粉砕装置、 6:気流式分級装置、 8:圧縮装置、 12:集塵機、 12A、12B:バグフィルタ、 14:切替バルブ、 16:サイクロン、 18:排ガスファン、 20:分級装置、 22:ホッパー、 24:センターシュート、 26:放射能センサ、 28:回収手段、 281:細粒子回収系統、 282:粗粒子回収系統、 S100:汚染土壌採取工程、 S110:乾燥工程、 S120:分級工程
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