(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明について詳述する。
本発明の発光電気化学素子は、第1電極、発光層及び第2電極が、この順番に積層された積層体構造を有している。そして、発光層は、導電性ポリマー、電解質、支持塩及び含窒素共役系化合物を含有し、前記第1電極と前記第2電極との間に電圧を印加することにより、前記導電性ポリマーが青色発光すると共に、前記導電性ポリマーと前記含窒素共役系化合物との間にエキサイプレックスが形成されてエキサイプレックス蛍光を発光し、この複数の発光により白色発光するという特徴を有する。
ここで、エキサイプレックスとは、種類の異なる原子又は分子からなる二量体であり、励起状態の原子又は分子が、他の種類の基底状態の原子又は分子と結合することにより形成される。また、エキサイプレックス蛍光とは、励起状態のエキサイプレックスから発光される蛍光のことである。
【0012】
発光層に含有される電解質としては、ポリマー電解質、無機電解質等を挙げることができる。これらの中でも、ポリマーであることが好ましい。このポリマーとしては、骨格ユニットがそれぞれ−(C−C−O)
n−、−(C−C(CH
3)−O)
n−、−(C−C−N)
n−、若しくは−(C−C−S)
n−であらわされる、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリエチレンイミン、ポリエチレンスルフィド、もしくは、これらを主鎖又は側鎖に有する構造として分岐構造を有している樹脂を挙げることができる。また、例えば、ポリエチレンオキサイド等のこれらの骨格ユニットは、結合する水素原子が、メチル、エチル等のアルキル基、また、フェニル基等のアリール基等で置換されていてもよい。さらに、ポリメチルメタクリレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリルなどの樹脂も本実施形態の電解質のポリマーとして好適に用いることができる。
これら中でも、ポリアルキレンオキサイドが好ましく、更にポリエチレンオキサイドがより好ましい。加工性、イオン伝導度、機械特性、透明性の点で優れているからである。
【0013】
発光層は、電解質のほかに支持塩が含有され、その支持塩としては、イオン液体、リチウム塩、例えばLiCl、LiBr、LiI、LiBF
4、LiClO
4、LiPF
6、LiCF
3SO
3などや、カリウム塩、例えばKCl、KI、KBr、KCF
3SO
3などや、ナトリウム塩、例えばNaCl、NaI、NaBr、或いはテトラアルキルアンモニウム塩、例えば、ほうフッ化テトラエチルアンモニウム、過塩素酸テトラエチルアンモニウム、ほうフッ化テトラブチルアンモニウム、過塩素酸テトラブチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウムハライドなどを挙げることができる。上述の4級アンモニウム塩のアルキル鎖長は同じであっても異なっていても良く、必要に応じて1種のみでも良いし、2種以上組み合わせて用いても良い。これらの中でも、KCF
3SO
3が好ましく、イオン伝導度、相溶性、安定性の点で優れている。
また、本発明のイオン液体とは、室温(25℃)で液体として存在する塩を意味する。
【0014】
イオン液体のカチオンとしては、例えば、イミダゾリウムカチオン、ピリジニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、ピペリジニウムカチオン、テトラアルキルアンモニウムカチオン、ピラゾリウムカチオン、又はテトラアルキルホスホニウムカチオン等が挙げられる。
【0015】
上記イミダゾリウムカチオンとしては、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−アリル−3−メチルイミダゾリウム、1−アリル−3−エチルイミダゾリウム、1−アリル−3−ブチルイミダゾリウム、1,3−ジアリルイミダゾリウム等が挙げられる。
【0016】
上記ピリジニウムカチオンとしては、例えば、1−プロピルピリジニウム、1−ブチルピリジニウム、1−エチル−3−(ヒドロキシメチル)ピリジニウム、1−エチル−3−メチルピリジニウム等が挙げられる。
【0017】
上記ピロリジニウムカチオンとしては、例えば、N−メチル−N−プロピルピロリジニウム、N−メチル−N−ブチルピロリジニウム、N−メチル−N−メトキシメチルピロリジニウム等が挙げられる。
【0018】
上記ピペリジニウムカチオンとしては、例えば、N−メチル−N−プロピルピペリジニウム等が挙げられる。
【0019】
上記テトラアルキルアンモニウムカチオンとしては、例えば、N,N,N−トリメチル−N−プロピルアンモニウム、メチルトリオクチルアンモニウム等が挙げられる。
【0020】
上記ピラゾリウムカチオンとしては、例えば、1−エチル−2,3,5−トリメチルピラゾリウム、1−プロピル−2,3,5−トリメチルピラゾリウム、1−ブチル−2,3,5−トリメチルピラゾリウム等が挙げられる。
【0021】
また、上記カチオンと組み合わされてイオン液体を構成するアニオンとしては、例えば、BF
4−、NO
3−、PF
6−、SbF
6−、CH
3CH
2OSO
3−、CH
3CO
2−、または、CF
3CO
2−、CF
3SO
3−、(CF
3SO
2)
2N
−[ビス(トリフルオロメチルスルフォニル)イミド]、(CF
3SO
2)
3C
−などのフルオロアルキル基含有アニオンが挙げられる。
【0022】
また、発光層は、発光化合物としての導電性ポリマーを含有する。導電性ポリマーは、自ら発光すると共に、含窒素共役系化合物との間にエキサイプレックスを形成しエキサイプレックス蛍光を発光する。また、本発明の導電性ポリマーは、電子及び/又は正孔輸送機能を有するものであり、電子及び/又はホールを効率よく輸送できるポリマーである。なかでも、含窒素共役系化合物との組み合わせにおいて良好なエキサイプレックス蛍光を発光する点で、フルオレン骨格を有すポリマー又はコポリマーが好ましい。フルオレン骨格を有すポリマー又はコポリマーは、自ら青色発光すると共に、エキサイプレックスを形成してエキサイプレックス蛍光を発光することができる。
【0023】
上記フルオレン骨格を有するポリマーとしては、下記式(1)に示されるポリマーが好ましい。高白色度の白色光が得られるからである。
【化1】
[式(1)中、Rは炭素数1〜20のアルキル基であり、mは重合度を示し、5以上、好ましくは10以上、さらに好ましくは20以上の整数を表す。]
【0024】
上記式(1)のフルオレン骨格を有するポリマー又はコポリマーとしては、以下を例として挙げることができる。
下記式(2)のポリ(9,9-ジ-n-ヘキシルフルオレニル-2,7-ジイル)。
【化2】
[式(2)中、nは重合度を示し、5以上、好ましくは10以上、さらに好ましくは20以上の整数を表す。]
【0025】
下記式(3)のポリ[9,9-ビス-(2-エチルヘキシル)-9H-フルオレン-2,7-ジイル]。
【化3】
[式(3)中、nは重合度を示し、5以上、好ましくは10以上、さらに好ましくは20以上の整数を表す。]
【0026】
下記式(4)のポリ(9,9-ジ-n-オクチルフルオレニル-2,7-ジイル)。
【化4】
[式(4)中、nは重合度を示し、5以上、好ましくは10以上、さらに好ましくは20以上の整数を表す。]
【0027】
下記式(5)のポリ(9,9-ジ-n-ドデシルフルオレニル-2,7-ジイル)。
【化5】
[式(5)中、nは重合度を示し、5以上、好ましくは10以上、さらに好ましくは20以上の整数を表す。]
【0028】
また、共重合体として、下記式(6)のポリ[(9,9-ジオクチルフルオレニル-2,7-ジイル)-co-ビチオフェン]。
【化6】
[式(6)中、m、nは重合度を示し、5以上、好ましくは10以上、さらに好ましくは20以上の整数を表す。]
【0029】
下記式(7)のポリ[(9,9-ジ-n-オクチルフルオレニル-2,7-ジイル)-alt-(ベンゾ[2,1,3]チアジアゾール-4,8-ジイル)]。
【化7】
[式(7)中、nは重合度を示し、5以上、好ましくは10以上、さらに好ましくは20以上の整数を表す。]
【0030】
下記式(8)のポリ(9,9-n-ジヘキシル-2,7-フルオレン-alt-9-フェニル-3,6-カルバゾール)。
【化8】
[式(8)中、nは重合度を示し、5以上、好ましくは10以上、さらに好ましくは20以上の整数を表す。]
【0031】
下記式(9)のポリ[(9,9-ジヘキシルフルオレン-2,7-ジイル)-co-(アントラセン-9,10-ジイル)]。
【化9】
[式(9)中、m、nは重合度を示し、5以上、好ましくは10以上、さらに好ましくは20以上の整数を表す。]
【0032】
下記式(10)のポリ[(9,9-ジヘキシルフルオレン-2,7-ジイル)-co-(9-エチルカルバゾール-2,7-ジイル)]。
【化10】
[式(10)中、m、nは重合度を示し、5以上、好ましくは10以上、さらに好ましくは20以上の整数を表す。]
【0033】
下記式(11)のポリ[(9,9-ジヘキシルフルオレン-2,7-ジイル)-alt-(2,5-ジメチル-1,4-フェニレン)]。
【化11】
[式(11)中、nは重合度を示し、5以上、好ましくは10以上、さらに好ましくは20以上の整数を表す。]
【0034】
さらに、2,7-9,9-ジ-n-オクチルフルオレンジイルと2,7-9,9-ジイソアミルフルオレンジイルとの共重合化合物等が挙げられる。
【0035】
上記フルオレン骨格を有するポリマーとしては、特に、式(5)に示すポリ(9,9-ジ-n-ドデシルフルオレニル-2,7-ジイル)がより好ましい。より一層高白色度の白色光が得られるからである。
【0036】
また、本発明の発光層に含有される含窒素共役系化合物としては、上記発光化合物である導電性ポリマーとの間でエキサイプレックスを形成するものであれば特に制限はないが、電圧を印加した際に、正孔を効率よく輸送する役割を果たすものである。なかでも、良好なエキサイプレックス蛍光を発光する点で、トリフェニルアミン骨格を有する低分子化合物及び高分子化合物を用いることができる。
【0037】
上記トリフェニルアミン骨格を有する低分子化合物としては、以下の式(12)を挙げることができる。例えば、トリフェニルアミン、N―(4―ブチルフェニル)―N,N―ジフェニルアミン、N,N’−ジフェニル―N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン、N,N’−ビス(3−メチルフェニル−N,N’−ビス(2−ナフチル)−[1,1’−ビフェニル]―4,4’−ジアミン等が挙げられる。なお、これらトリフェニルアミン系化合物の芳香族性の環に置換可能な基としては、炭素数1〜22のアルキル基、アルコキシ基等が挙げられる。
【化12】
[式(12)中、n
1〜n
3は1〜3の整数を表し、Ar
1〜Ar
3は全て同じであっても又は異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜22のアルキル基、及び芳香族基から選択される基を表す。]
【0038】
また、他の低分子化合物としては、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニル−アミノ)トリフェニルアミン(TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニル−アミノ]トリフェニルアミン(m−MTDATA)、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(TPD)、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル(α−NTPD)、4,4’−ビス[N−(4−(N,N−ジ−m−トリル)アミノ)フェニル−N−フェニルアミノ]ビフェニル(DNTPD)、4,4’,4”−トリス[ビフェニル−2−イル(フェニル)アミノ]トリフェニルアミン、4,4’,4”−トリス[ビフェニル−4−イル(3−メチルフェニル)アミノ]トリフェニルアミン、4,4’、4”−トリス[9,9−ジメチル−2−フルオレニル(フェニル)アミノ]トリフェニルアミン、4,4’,4’’−トリス[2−ナフチル(フェニル)アミノ]トリフェニルアミン(2−TNATA)、4,4’,4’’−トリ(N−カルバゾールイル)トリフェニルアミン(TCTA)などの芳香族アミン系化合物も用いることができる。
【0039】
これらの中でも、下記式(13)のm−MTDATAが好ましく、導電性ポリマーとの間でエキサイプレックスを良好に形成してエキサイプレックス蛍光を発光できる。
【化13】
【0040】
また、上記トリフェニルアミン骨格を有する高分子化合物としては、下記式(14)又は(15)に示される高分子化合物を使用できる。正孔移動度が高く、効率良くエキシトンを形成でき、高白色度の白色光が得られる。
【化14】
[式(14)中、Lはアルキレンであり、nは重合度を示し、5以上、好ましくは10以上、さらに好ましくは20以上の整数を表す。]
【0041】
【化15】
[式(15)中、Arはp−フェニレン基又はm−フェニレン基を示す。nは重合度を示し、5以上、好ましくは10以上、さらに好ましくは20以上の整数を表す。]
【0042】
上記トリフェニルアミン骨格を有する高分子化合物の具体例としては、上記式(14)のアルキレン基(L)が、「−CH(CH
3)−」(下記式(4))、「−CH(C
2H
5)−」である高分子化合物等を挙げることができる。特に、下記式(16)を挙げることができる。より一層高白色度の白色光が得られるからである。
【化16】
[式(16)中、nは重合度を示し、5以上、好ましくは10以上、さらに好ましくは20以上の整数を表す。]
【0043】
エキサイプレックスを形成するために、導電性ポリマーと含窒素共役系化合物の含有比は、導電性ポリマー100重量部に対して含窒素共役系化合物が1〜200重量部であることが好ましく、10〜120重量部であることがより好ましい。含窒素共役系化合物が前記下限値未満である場合、エキサイプレックス蛍光が少なくなることがあり、白色光を得られない場合がある。窒素共役系化合物が前記上限値を超える場合、発光色と発光効率が悪くなるおそれがある。
【0044】
本発明の発光層の層厚としては、原理的には発光性能は膜厚に依存することはないことから任意の層厚とすることができるが、通常、実用性の点で、5nm〜10mmの範囲で所望の層厚を適用する。層厚が前記下限値より小さい場合、短絡することがあり、前記上限値を超える場合は、エキサイプレックス形成の効率が低くなる場合もある。
【0045】
本発明の発光電気化学素子を構成する第1電極及び第2電極は、少なくとも一方の電極が透光性電極、すなわち透明電極である。発光した光を取り出すためである。透明電極の材料としては、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、インジウムスズオキサイド、酸化インジウム・酸化亜鉛化合物、酸化錫・アンチモン化合物、酸化ガリウム・酸化亜鉛化合物、白金などの金属、などを挙げることができる。
また、他方の電極としては透明電極である必要はなく、例えば、アルミニウム、インジウム、マグネシウム、タングステン、チタン、モリブデン、カルシウム、ナトリウム、カリウム、イットリウム、リチウム、マンガン、金、銀、銅、パラジウム、白金、錫、鉛、ニッケル等の金属、これらの金属の合金などを使用できる。
なお、第1、第2電極としては、透明性を有するITO(酸化インジウムスズ)が好ましく、これ以外に、導電性、経済性の点でアルミニウムが好ましい。
透明基板上に、これら電極層を形成する方法としては、スパッタリング法、真空蒸着法等を例示できる。
【0046】
上記構成である本発明の発光電気化学素子は、第1電極と第2電極の間に電圧を印加することにより、発光層が青色発光する。また、導電性ポリマーと含窒素共役系化合物との間にエキサイプレックスが形成されてエキサイプレックス蛍光が発光される。この発光層の青色発光とエキサイプレックス蛍光が混合されて、外部には白色光として発光される。
【0047】
本発明の発光装置は、上記本発明の発光電気化学素子、及び該発光電気化学素子に電圧を印加するための電圧部を有する構成である。当該電圧部としては、直流電圧又は交流電圧の何れであってもよい。
【0048】
次に、本発明の発光電気化学素子の製造方法例について、
図1を参照しながら説明する。
【0049】
図1に示す発光電気化学素子10は、ガラス等の基板上に第1電極(陽極)1として設けられたITO電極等の表面に、導電性ポリマー、電解質、支持塩及び含窒素共役系化合物を溶媒に溶解・分散した分散溶液を、例えばスピンコート成膜法により塗付し、溶媒を乾燥除去して発光層2を積層する。ここで、分散溶液のための溶媒は、各構成成分を溶解するものであれば特に限定されないが、例えば、クロロホルム、シクロヘキサノン、トルエン及び混合溶媒等の溶媒を使用することができる。
続いて、発光層2上に第2電極(陰極)3としてのアルミニウムを、例えば、真空蒸着法により蒸着、製膜させることにより積層する。
以上の様にして発光電気化学素子10を作製することができる。
なお、上記では第1電極を陽極、第2電極を陰極として説明したが、発光電気化学素子においては、電極をこのように固定する必要はなく、例えば、第1電極及び第2電極に同じ材料を使用し、任意に陽極及び陰極を決定して電圧を付加することができる。
【0050】
本発明の発光電気化学素子10の素子特性は、輝度−電圧(L−V)特性、ELスペクトル図、PLスペクトル図及び色度図(色度座標)で評価できる。
L−V特性評価では、駆動電圧と発光光の輝度との関係を評価できる。ELスペクトル図では、電圧を印加した場合の波長ごとの発光強度により発光色の詳細を把握できる。PLスペクトル図では、波長ごとの発光強度により発光色の詳細を把握できる。さらに、色度図を用いてxy座標の数値によって発光色を表すことができ、本発明の一目的である白色光の白色の度合いをxy座標の数値で評価することができる。
【実施例】
【0051】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0052】
実施例1
<発光層:組成物1>
組成物1として、下記成分(A1)〜(A4)を表1の配合比で混合し、下記クロロホルム/シクロヘキサノン混合溶媒に溶解して使用した。
(A1)導電性ポリマー:上記式(5)のポリ(9,9-ジ-n-ドデシルフルオレニル-2,7-ジイル)(PFD)(Aldrich社製:Poly(9,9-di-n-dodecylfluorenyl-2,7-diyl))を使用した。
(A2)含窒素共役系化合物:4,4’,4”-トリス[フェニル(m−トリル)アミノ]トリフェニルアミン(m−MTDATA)
(A3)電解質:ポリエチレンオキサイド
(A4)支持塩:KCF
3SO
3
【0053】
<発光電気化学素子:素子Aの作製>
ガラス基板上に第1電極(陽極)1として、ITO電極を設けてUVオゾン洗浄した。その後、当該第1電極1上に、上記組成物1をクロロホルム/シクロヘキサノン(1.08:1.0)混合溶媒に溶解した溶液14.6(mg/mL溶媒)をスピンコート成膜法により塗付し、続いて当該混合溶媒を乾燥除去して150nmの発光層2を積層した。更に、この発光層2上にアルミニウムを真空蒸着して100nmの第2電極(陰極)3を積層した。
以上の様にして素子Aを作製した。得られた素子AについてL−V特性、ELスペクトル、PLスペクトル、並びに色度図での発光色評価を実施した。L−V特性を
図2に、ELスペクトルを
図3に、PLスペクトルを
図4に、色度図を
図5に、及び色度図上の色度座標のxy座標を表2に示す。
【0054】
実施例2、3
<発光層:組成物2、3>
組成物2、3として、上記成分(A1)〜(A4)を表1の配合比で混合し、組成物1と同様にクロロホルム/シクロヘキサノン混合溶媒に溶解して使用した。
<発光電気化学素子:素子B、Cの作製>
発光層を、実施例1の組成物1の代わりに組成物2、3にそれぞれ変更した以外は実施例1と同様にして素子B、Cを作製し、同様に評価した。結果を
図2〜5及び表2に示す。
【0055】
比較例1
<発光層:組成物4>
組成物4として、上記成分(A1)、(A2)及び(A4)を表1の配合比で混合し、組成物1と同様にクロロホルム/シクロヘキサノン混合溶媒に溶解して使用した。
<発光電気化学素子:素子Dの作製>
発光層を、実施例1の組成物1の代わりに組成物4に変更した以外は実施例1と同様にして素子Dを作製し、同様に評価した。結果を
図2〜5及び表2に示す。
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
【0058】
図5の色度図より、発光電気化学素子A〜Cは、いずれも、駆動電圧7.5V〜8.5Vで白色発光することが分かる。また、
図2より、発光開始電圧は何れも3.5〜4.5Vであり、低電圧で発光を開始していることがわかる。また、
図3のELスペクトル図と
図4のPLスペクトル図を比較すると、ELスペクトル
図3において赤色発光を示す波長:600nm〜700nmに肩ピークが認められるが、PLスペクトル
図4では波長:600nm〜700nmに蛍光が現れていないことから、PFDとm−MTDATAとの間にエキサイプレックスが形成されて発光していることが分かる。
図5の色度図より、素子A〜Cの何れも限りなく白色に近い白色発光が得られていることが分かる。
なお、いわゆる純白色光は、その色度座標が(x、y)=(0.33,0.33)とされている。