(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
保管品載置用平面、入庫用コンベヤ、出庫用コンベヤ、及び前記保管品載置用平面上の任意の位置と前記入庫用コンベヤ及び出庫用コンベヤとの間で保管品を吊り上げて搬送する入出庫装置を備えた平面保管設備であって、前記保管品載置用平面は、その全体が、それぞれが矩形状の複数の小エリアに分割され、各小エリアには、碁盤目状に配列された保管品載置点が設定されると共に、各小エリアの1つの角に対応して入庫基準点が設定され、入庫作業時には、選択された1つの小エリア内の空き状態の保管品載置点の内、前記入庫基準点との間の距離の長短に基づいて選択された保管品載置点上に、入庫対象保管品を搬送して降ろすように、前記入出庫装置が制御される平面保管設備において、
前記保管品載置用平面上に設定された複数の小エリアには、入庫時の優先順位が設定されている、平面保管設備。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように入出庫装置を自動運転して、保管品の入出庫作業が行われるが、広い平坦な保管品載置用平面に対し入庫作業を開始するとき、一般的には、当該保管品載置用平面の周辺の一箇所に設定された入庫開始点から保管品を順番に詰めて載置させるように入庫作業が行われる。このような入庫方法で運用される平面保管設備では、入庫開始点を保管品載置用平面の周辺の何れの位置に設定しても、常にその一箇所から保管品が順番に詰められることになり、前記入庫開始点から遠く離れた場所は、常に使用率が低い状態になる。この結果、保管品載置用平面上の劣化(傷み)に大きなばらつきが生じることになるので、時期を見計らって入庫開始点を変更しなければならず、入出庫装置の自動制御系の大幅な設定変更を要するなど、その影響は非常に大きい。又、保管品載置用平面には、この保管品載置用平面の周辺に入り込む入庫用コンベヤの搬送終端部や出庫用コンベヤの搬送始端部が存在するだけでなく、場合によっては、通路、排水用凹溝、設置されている設備品などの、保管に利用出来ない領域も有り、これらを除いた複雑な平面形状の保管エリア全体に対して、端から一定間隔おきに保管位置を設定して、入出庫装置を制御しなければならない場合は、入出庫装置の制御が非常に難しくなる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記のような従来の問題点を解消することのできる平面保管設備を提案するものであって、本発明に係る平面保管設備は、後述する実施例との関係を理解し易くするために、当該実施例の説明において使用した参照符号を括弧付きで付して示すと、保管品載置用平面(1)、入庫用コンベヤ(12)、出庫用コンベヤ(13)、及び前記保管品載置用平面(1)上の任意の位置と前記入庫用コンベヤ(12)及び出庫用コンベヤ(13)との間で保管品(C)を吊り上げて搬送する入出庫装置(2)を備えた平面保管設備
であって、前記保管品載置用平面(1)は、その全体が、それぞれが矩形状の複数の小エリア(A1〜B3)に分割され、各小エリア(A1〜B3)には、碁盤目状に配列された保管品載置点(Cp)が設定されると共に、各小エリア(A1〜B3)の1つの角に対応して入庫基準点(A1P〜B3P)が設定され、入庫作業時には、選択された1つの小エリア内の空き状態の保管品載置点(Cp)の内、前記入庫基準点(A1P〜B3P)との間の距離の長短に基づいて選択された保管品載置点(Cp)上に、入庫対象保管品を搬送して降ろすように、前記入出庫装置(2)が制御される
平面保管設備において、前記保管品載置用平面(1)上に設定された複数の小エリア(A1〜B3)には、入庫時の優先順位が設定された構成になっている。
【発明の効果】
【0006】
上記本発明の構成によれば、入庫作業に際し、複数の小エリアの内、空き状態の保管品載置点が存在する小エリアの1つを、予め設定した選択条件に合わせて選択しさえすれば、後は、その選択した小エリア内の空き状態の保管品載置点の内、前記入庫基準点との間の距離の長短に基づいて、例えば入庫基準点に最も近い位置か又は最も遠い位置にある保管品載置点を検索して、入庫対象の保管品載置点を決定し、これに入庫するように入出庫装置を自動運転すれば良い。換言すれば、全ての小エリアから入庫対象小エリアを適宜切り換えるだけで、保管品が一定の領域に集中するのを避けることが可能であり、これによって、従来のように保管品載置用平面上の劣化(傷み)に大きなばらつきが生じるという問題点を解消出来るだけでなく、全体としては複雑な平面形状の保管品載置用平面上に保管品載置点を設定して入出庫装置を制御する場合と比較して、保管品載置点の設定や入出庫装置の制御が容易になる。
【0007】
勿論、保管品載置用平面の全体を万遍なく使用するという目的に限られるものではなく、例えば、保管品の種類や予想される保管期間の長さなどに応じて入庫対象エリアを選択すれば、非常時の手作業による出庫作業も非常に容易に行える。更に、それぞれが矩形状の小エリアに分割する際に、保管に利用出来ない領域のサイズや位置などにより、他の小エリアと比較して大幅に小さな小エリアが形成されてしまう場合もあり得るが、このように保管品載置用平面の分割によって形成される矩形状の小エリアは、サイズがまちまちになる場合が多いので、平面サイズが小さい保管品はサイズの小さな小エリアに入庫し、平面サイズが大きな保管品はサイズの大きな小エリアに入庫するように、保管品の平面サイズに応じて入庫対象小エリアを選択するように制御すれば、無駄な床スペースを最小限に抑えて保管品載置用平面の全体を効率良く活用出来る。
【0008】
更に本発明によれば、前記保管品載置用平面上に設定された複数の小エリアに、入庫時の優先順位
が設定されているので、複数の小エリアの何れにも入庫可能な保管品を取り扱う場合、その入庫可能な複数の小エリアに、予め設定されている優先順位に従って自動的に入庫先を振り分けることが出来る。この場合の優先順位は、優先順位が先の小エリアが保管品で満杯になった後に次の優先順位の小エリアに入庫先を切り換えるようなものであっても良いし、保管品を1つずつ、入庫先の小エリアを設定された優先順位の順番に切り換えながら入庫してゆくようなものであっても良い。
【0009】
又、各小エリアに入庫基準点を設定せず、保管品載置用平面の中央部領域内に、入庫対象の小エリアを選択するための入庫先選択基準ポイントを設定しておき、入庫作業時には、各小エリア内の空き状態の前記保管品載置点の内、前記入庫先選択基準ポイントとの間の距離の長短に基づいて、例えば入庫先選択基準ポイントに最も近い位置か又は最も遠い位置にある保管品載置点を検索して、選択された保管品載置点上に、入庫対象保管品を搬送して降ろすように、前記入出庫装置を制御することも可能である。この構成によれば、複数ある小エリアの何れを入庫対象にするかの選択のための制御と、選択された1つの小エリア内の空き状態の保管品載置点の何れを入庫対象にするかの選択のための制御の二段階制御を行わずに、全ての小エリア内の空き状態の保管品載置点を対象にして、入庫先選択基準ポイントとの間の距離の長短に基づいて入庫対象の保管品載置点を決定することが出来るので、入庫作業時の入出庫装置の制御が容易になる。
【0010】
しかも、入庫先選択基準ポイントに近い位置の保管品載置点を入庫先に優先させたときは、保管品載置用平面の中央部から保管品を詰めるように入庫することが出来、反対に、入庫先選択基準ポイントから遠い位置の保管品載置点を入庫先に優先させたときは、保管品載置用平面の周辺部から保管品を詰めるように入庫することが出来る。従って、ユーザーには分割された小エリアを意識させずに、保管品入庫作業を、中央部優先か又は周辺部優先かの何れかを選択して行うことが出来る。
【0011】
更に、前記保管品載置用平面は、保管品の平面サイズ別に複数の保管領域に分けておき、各保管領域内に前記小エリアを
複数設定し、各小エリア内には、この小エリアが属する保管領域に割り当てられた保管品平面サイズに対応した間隔で前記保管品載置点を設定し、入庫される保管品は、当該保管品の平面サイズに適合した保管領域内で選択された小エリア内の空いている保管品載置点に入庫されるように構成することが出来る。この構成によれば、平面サイズが種々異なる保管品を入庫する場合、当該入庫対象保管品の平面サイズに合わせて、複数の保管領域から1つの適合する保管領域を選択し、この選択した保管領域内の空いている保管品載置点を選択して入庫するだけで、保管品載置用平面の全体の保管効率を高めることが出来る。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1において、1は矩形状の保管品載置用平面、2は入出庫装置である。3はY方向横動体であって、X方向(左右方向)と平行な2本のガイドレール3a,3bを備えている。4a,4bは、保管品載置用平面1のX方向の両外側でY方向と平行に架設された一対の固定ガイドレールであって、Y方向横動体3のX方向の両端部を、保管品載置用平面1の一定高さ上方でY方向(前後方向)に平行移動自在に支持する。入出庫装置2は、Y方向横動体3の2本のガイドレール3a,3bによってX方向に移動自在に支持された台車5と、この台車5に昇降自在に支持された保管品把持手段6から構成されている。
【0014】
保管品把持手段6は、取り扱う保管品に適合するように構成された種々のものが考えられるが、この実施例における保管品把持手段6は、
図2Aに示すように、X方向に互いに接近離間移動自在なX方向一対の把持ユニット7A,7Bを備えている。両把持ユニット7A,7Bは、Y方向横動体3の2本のガイドレール3a,3b間を昇降するように、台車5に互いに同期昇降自在に支持されたもので、それぞれY方向一対の把持用柱状体8a〜9bと、把持用柱状体8a,8b間の中央位置及び把持用柱状体9a,9b間の中央位置に位置する吊上げ具10,11を備えている。この実施例において取り扱う保管品Cは、平面形状が、Y方向の巾WとX方向の長さLを有する矩形状のプラスチック製搬送用コンテナであって、その外側面には、全周にわたって連続する補強用張出しリブCxを備えている。
【0015】
各把持用柱状体8a〜9bは、保管品Cの四隅に外側から嵌合可能な、横断面L字形の柱状体であり、吊上げ具10,11は、保管品CのY方向と平行な両側辺の中央部における補強用張出しリブCaに係脱自在な剣山構造の係合具10a,11aが、昇降柱状体10b,11bの少なくとも下端部内側に設けられたものである。剣山構造の係合具10a,11aは、Y方向と平行な垂直矩形面から突出する多数のX方向と平行なピンを備え、各ピンは、バネにより内側へ突出した突出姿勢に保持されている。
【0016】
上記構成の保管設備によれば、Y方向横動体3のY方向の横動と、このY方向横動体3上での台車5のX方向の移動とにより、保管品把持手段6を、保管品載置用平面1上の任意の位置(後述する入庫用搬送終端部と出庫用搬送始端部を含む)の上方一定高さに移動させることが出来る。一方、この保管品把持手段6は、把持作用解除状態と把持作用状態とに切り換えることが出来る。保管品把持手段6の把持作用解除状態では、把持ユニット7A,7Bが、X方向に互いに離間したX方向後退限位置にあると共に、把持用柱状体8a〜9bが、吊上げ具10,11に対してY方向に互いに離間したY方向後退限位置にある。保管品把持手段6の把持作用状態では、把持ユニット7A,7Bが、保管品CのX方向長さLに対応する間隔まで、X方向に互いに接近移動すると同時に、各把持用柱状体8a〜9bが、保管品CのY方向巾Wに対応する間隔まで、吊上げ具10,11に対してY方向に互いに接近移動して、
図2Bに示すように、4本の把持用柱状体8a〜9bが、保管品Cの四隅に外から嵌合して、当該保管品Cを位置決めすると同時に、一対の吊上げ具10,11の各係合具10a,11aが、保管品CのY方向と平行な外側面の補強用張出しリブCaに係合することになる。この係合具10a,11aが、保管品Cの補強用張出しリブCaに係合した状態では、各係合具10a,11aの少なくとも同一高さの2本の突出姿勢のピンが保管品Cの補強用張出しリブCaの下側に入り込み、当該補強用張出しリブCaに衝突するピンは、付勢力に抗して後退した状態になる。
【0017】
保管品把持手段6によって保管品Cを、保管品載置用平面1上の任意の2つの位置(後述する入庫用搬送終端部と出庫用搬送始端部を含む)の間で搬送するときは、保管品把持手段6を、Y方向横動体3のY方向の横動と、このY方向横動体3上での台車5のX方向の移動とにより、入出庫対象の保管品Cの真上位置まで移動させる。次に、前記把持作用解除状態にある保管品把持手段6の把持ユニット7A,7Bを、台車5に対して入出庫対象の保管品Cの高さまで下降させた後、保管品把持手段6を前記把持作用状態に切り換える。この結果、
図2Bに示すように、4本の把持用柱状体8a〜9bが、保管品Cの四隅に外から嵌合して、当該保管品Cを位置決めすると同時に、一対の吊上げ具10,11の各係合具10a,11aが、保管品Cの補強用張出しリブCaに係合することになるので、次に、この把持作用状態にある保管品把持手段6を、台車5に対して上昇限高さ又は保管品Cの水平搬送に支障のない高さまで上昇させる。
【0018】
上記のようにして入出庫対象の保管品Cを所定高さまで吊り上げたならば、次に保管品把持手段6によって把持されている保管品Cを、Y方向横動体3のY方向の横動と、このY方向横動体3上での台車5のX方向の移動とにより、目的の降ろし位置まで水平搬送させる。このY方向横動体3の横動と台車5の移動とは、入出庫対象の保管品Cを所定高さまで吊り上げる過程で同時に行わせても良い。この後、保管品Cを把持している保管品把持手段6を台車5に対して所定高さまで下降させ、続いて、把持作用状態の保管品把持手段6を前記把持作用解除状態に切り換えることにより、この保管品把持手段6から保管品Cを開放して、目的の位置に降ろすことが出来る。この後は、把持作用解除状態の保管品把持手段6を台車5に対して所定高さまで上昇させることにより、一連の保管品吊上げ搬送が完了する。
【0019】
尚、保管品Cが段積み可能なものであるときは、段積み状態の複数の保管品Cを、その最下段の保管品Cに対する保管品把持手段6の把持作用により、まとめて吊上げ搬送することが出来る。このとき、最下段の保管品Cのみが保管品把持手段6の吊上げ具10,11によって吊り上げられるが、当該最下段の保管品Cを含めて、段積み状態の全ての保管品Cは、4つの把持用柱状体8a〜9bによって四隅を位置決めされるので、段積み状態は安定的に保持される。勿論、数多く段積みされた保管品を取り扱えるように、吊上げ具10,11には、その昇降柱状体10b,11bに上下複数段に係合具10a,11aを設けることも出来る。又、上記の保管品把持手段6の運用により、段積み状態の複数の保管品Cの内の特定の保管品Cのみを搬出することや、保管品載置用平面1上に保管されている保管品Cの上に新たに別の保管品Cを段積みすることも可能である。
【0020】
上記の保管設備において、取り扱う保管品Cとして、例えば
図3A〜
図3Dに示すように、平面サイズが異なる4種類の保管品Ca〜Cdがあったとすると、平面サイズが350
mm×420mmの範囲に収まる保管品Ca,CbはAグループ、平面サイズが350mm×420mmの範囲を超えて、550mm×650mmの範囲に収まる保管品Cc,CdはBグループ、のように平面サイズ別にグループ分けしておく。一方、
図1には図示省略したが、保管品載置用平面1は、
図4に示すように、一般的には矩形状のもので、入庫用コンベヤ12と出庫用コンベヤ13が併設される。これら入庫用コンベヤ12と出庫用コンベヤ13は、その入庫用搬送終端部12aと出庫用搬送始端部13aが、保管品載置用平面1の側辺から内側に入り込むように設けられる。そしてこれら入庫用コンベヤ12と出庫用コンベヤ13は、保管品載置用平面1の周辺の任意の場所に設けることが出来るが、図では、保管品載置用平面1の互いに平行な二側辺に振り分けられている。又、保管品載置用平面1には、これを横断する通路領域など、保管品の載置面として利用出来ない利用不可領域14が存在する場合があるが、このような利用不可領域14などが存在するときは、この利用不可領域14を除く領域が、Aグループ保管品Cabを保管する保管領域Aと、Bグループ保管品Ccdを保管する保管領域Bとに分けられている。この保管領域A,Bの面積比は、Aグループ保管品CabとBグループ保管品Ccdの取扱量に応じて任意に設定すれば良い。図示例では、保管領域A,Bは、利用不可領域14としての通路を境界にして分けられている。
【0021】
保管品載置用平面1の保管領域A,Bそれぞれの形状は、入庫用搬送終端部12aと出庫用搬送始端部13aの入り込みによって、1つの矩形ではなくなっているので、これら各保管領域A,Bを、それぞれが矩形状の複数の小エリアA1〜A3及びB1〜B3に分割する。保管領域Aの小エリアA1は、入庫用コンベヤ12の片側で4つの角a〜dで囲まれた矩形領域、小エリアA3は、入庫用コンベヤ12の反対側で4つの角e〜hで囲まれた矩形領域、そして小エリアA2は、両小エリアA1,A3間で4つの角i,d,j,fで囲まれた矩形領域となっている。保管領域Bの小エリアB1は、出庫用コンベヤ13の片側で4つの角k〜nで囲まれた矩形領域、小エリアB3は、出庫用コンベヤ13の反対側で4つの角o〜rで囲まれた矩形領域、そして小エリアB2は、両小エリアB1,B3間で4つの角m,s,o,tで囲まれた矩形領域となっている。尚、各保管領域A,Bの小エリアA1,A3及びB1,B3は、小エリアA3,B3と比較して相当に大きな矩形領域となっているが、このように1つの矩形領域でまとめることが出来る領域は、全て1つの矩形領域としなければならないものではなく、大きな1つの矩形領域を複数の矩形領域に分割することも可能である。
【0022】
而して、保管領域Aの各小エリアA1〜A3内には、平面サイズが350mm×420mmの保管品載置面が一定向きで碁盤目状に整列設定され、保管領域Bの各小エリアB1〜B3内には、平面サイズが550mm×650mmの保管品載置面が一定向きで碁盤目状に整列設定されるが、各保管品載置面間には、保管品把持手段6の把持用柱状体8a〜9b及び吊上げ具10,11が、当該保管品載置面上の保管品に対する把持作用と把持解除作用とを支障なく行えるだけの巾の遊び領域が確保されている。これら保管領域A,B内の全ての保管品載置面には、その中心に保管品載置点Cpが設定されている。入出庫装置2の制御プログラム上は、入庫用搬送終端部12aと出庫用搬送始端部13aにおける保管品載置点を含めて、保管品載置用平面1上の全ての保管品載置点Cpに対して、絶対番地(例えばX−Y座標値)が設定されている。一方、入出庫装置2上の入出庫基準点は、保管品把持手段6が把持する保管品Cの平面視における中心点、換言すれば、4本の把持用柱状体8a〜9bで囲まれた矩形平面の中心点となっており、入出庫作業時における保管品Cの把持作用と把持解除作用とは、入出庫装置2の入出庫基準点が保管品載置用平面1上の保管品載置点Cpと、平面視において合致する状態で行われる。
【0023】
保管品載置用平面1上の全ての小エリアA1〜A3及びB1〜B3には、それぞれの4つの角の内の1つに対応して入庫基準点A1P〜A3P及びB1P〜B3Pが設定されている。図では、各小エリアA1〜A3及びB1〜B3の特定の角に最も近い保管品載置点Cpを入庫基準点としているが、各小エリアの特定の角そのものを入庫基準点としても良い。
【0024】
保管領域A内の小エリアA1〜A3と保管領域B内の小エリアB1〜B3には、入庫に関する優先順位が設定されている。例えば、保管領域Aでは、入庫すべき保管品を、小エリアA1→A2→A3→A1の順番で入庫保管品単位(1つの保管品、又は段積みされて一体に取り扱われる段積み保管品、以下同じ)ずつ入庫を行い、保管領域Bでは、入庫すべき保管品を、小エリアB1→B2→B3→B1の順番で入庫保管品単位ずつ入庫を行うように設定され、各小エリアA1〜A3及びB1〜B3内では、入庫基準点A1P〜A3P及びB1P〜B3Pに最も近い保管品載置点Cpが入庫先として選択されるように、入庫基準点A1P〜A3P及びB1P〜B3Pが入庫開始点に設定されている。勿論、入庫先となった小エリア内が既に保管品で満杯の場合は、同一保管領域A,B内の次の入庫順に当たる他の小エリア内から、入庫先となる保管品載置点Cpが選択される。
【0025】
入出庫装置2を自動運転するための制御装置に、上記のような入庫に関する設定がなされていることにより、当該制御装置は、入庫作業に際して次のように入出庫装置2を自動制御することが出来る。即ち、保管領域Aに保管すべきAグループ保管品Cabが入庫用コンベヤ12の入庫用搬送終端部12aに送り込まれると、保管領域A内の小エリアA1〜A3の内、その時点での優先順位1番の小エリア、例えば小エリアA1を選択し、次に、当該小エリアA1内の空き状態の保管品載置点Cpの内、入庫基準点A1Pに最も近い位置にある保管品載置点Cpを検索し、この検索した保管品載置点Cp上に、入庫用搬送終端部12a上のAグループ保管品Cabを入庫するように、先に説明した要領で入出庫装置2を自動運転することになる。又、保管領域Bに保管すべきBグループ保管品Ccdが入庫用搬送終端部12aに送り込まれたときは、保管領域B内の小エリアB1〜B3の内、その時点での優先順位1番の小エリア、例えば小エリアB2を選択し、次に、当該小エリアB2内の空き状態の保管品載置点Cpの内、入庫基準点B2Pに最も近い位置にある保管品載置点Cpを検索し、この検索した保管品載置点Cp上に、出庫用搬送終端部13a上のBグループ保管品Ccdを入庫するように、先に説明した要領で入出庫装置2を自動運転することになる。
【0026】
上記要領でAグループ保管品Cab及びBグループ保管品Ccdの入庫作業が繰り返される結果、
図5に示すように、保管領域A及び保管領域B内の各小エリアA1〜A3及びB1〜B3に分散されるように、そして各小エリアA1〜A3及びB1〜B3内では、その入庫基準点A1P〜A3P及びB1P〜B3Pに近い角から詰められるように、保管品Cab及びCcdが入庫されることになる。
【0027】
上記の実施例では、保管領域A及び保管領域B内の各小エリアA1〜A3及びB1〜B3に設定された入庫基準点A1P〜A3P及びB1P〜B3Pは、各小エリアA1〜A3及びB1〜B3の4つの角の内、この保管品載置用平面1の全体の中央部に近い角に対応して設定され、且つこれら入庫基準点A1P〜A3P及びB1P〜B3Pが入庫開始点に設定されているので、保管品載置用平面1の全体から見ると、保管品は、保管品載置用平面1の全体の中央部から詰められて、周囲に広がるように保管されることになる。これとは逆に、
図5に仮想線で示すように、各小エリアA1〜A3及びB1〜B3の4つの角の内、この保管品載置用平面1の全体の中央部から最も遠い角に対応して、入庫開始点となる入庫基準点A1P’〜A3P’及びB1P’〜B3P’を設定するか又は、前記入庫基準点A1P〜A3P及びB1P〜B3Pを、これら入庫基準点A1P〜A3P及びB1P〜B3Pから最も遠い位置にある空き状態の保管品載置点Cpを選択して入庫する、入庫最終点に設定して制御すれば、保管品載置用平面1の全体から見て、保管品を、保管品載置用平面1の全体の周辺部から詰められて、中央部に狭まるように保管されることになる。
【0028】
又、保管領域A及び保管領域B内の各小エリアA1〜A3及びB1〜B3に対する入庫優先順位を、各小エリアを順番に保管品で満杯にすることを前提に、例えば小エリアA1→A3→A2→A1及びB1→B3→B2→B1の順番に優先順位を設定することも出来る。この設定によれば、優先順位が最後又は最後に近い小エリアの使用率が非常に低くなるので、この優先順位が最後又は最後に近い小エリアを、人が出入りできる通路や作業スペースに利用し易くなる。
【0029】
次に、
図6に基づいて本発明の別実施例を説明すると、この実施例においても先の実施例と同様に、保管品載置用平面1は、2つの保管領域A,Bに分けられ、各保管領域A,Bは、それぞれが矩形状の小エリアA1〜A3及びB1〜B3に分けられ、全ての小エリアA1〜B3内には、保管品載置点Cpが設定されている。異なる点は、各小エリアA1〜A3及びB1〜B3には、入庫基準点が設定されておらず、代わりに、入庫先選択基準ポイントPが、この保管品載置用平面1の中央部領域内に設定されている点である。入庫制御面では、入庫時に、入庫対象の保管品の平面サイズに応じて保管領域A又はBが選択される点は、先の実施例と同じであるが、保管領域A又はB内の入庫先保管品載置点Cpの選択に関して、この実施例では、小エリアA1〜A3及びB1〜B3には無関係に、入庫時点で、入庫先選択基準ポイントPに最も近い位置にある空き状態の保管品載置点Cpが選択される点に特徴がある。
【0030】
上記のように入庫先を選択して入庫作業を行った状態が、
図7に示されている。この
図7では、保管領域Aに対するAグループ保管品Cabの入庫作業が、入庫先選択基準ポイントPに最も近い保管品載置点Cpから、当該入庫先選択基準ポイントPを中心とする半径rAの切円形領域内にまで広がり且つ、保管領域Bに対するBグループ保管品Ccdの入庫作業が、入庫先選択基準ポイントPに最も近い保管品載置点Cpから、当該入庫先選択基準ポイントPを中心とする半径rBの切円形領域内にまで広がった状況を示している。このように保管品Cab,Ccdは、各保管領域A,B内の小エリアA1〜B3とは無関係に、入庫先選択基準ポイントPが設定されている保管品載置用平面1の中央部から詰められ、周辺部に広がるように入庫されることになる。これとは逆に、前記入庫先選択基準ポイントPから最も遠い位置にある空き状態の保管品載置位置Cpに入庫するように制御すれば、
図7に仮想線で示すように、保管品Cab,Ccdは、やはり各保管領域A,B内の小エリアA1〜B3とは無関係に、入庫先選択基準ポイントPが設定されている保管品載置用平面1の中央部から最も遠い位置、即ち、保管品載置用平面1の周辺部から詰められ、中央部に向かって近づくように入庫されることになる。
【0031】
図5に示す実施例での、各小エリアA1〜B3の入庫基準点A1P〜B3Pの設定の仕方や、これら入庫基準点A1P〜B3Pを利用した入庫先の選択方法によって、或いは
図7に示す実施例での、入庫先選択基準ポイントPを利用した入庫先の選択方法によって、保管品載置用平面1の中央部から保管品を詰めて、周辺部に広がるように入庫させる中心部優先入庫と、保管品載置用平面1の周辺部から保管品を詰めて、中央部に近づくように入庫させる周辺部優先入庫とを選択することが出来るのであるが、何れの場合も、入庫作業とは別に出庫作業、即ち、その出庫対象保管品が、入出庫装置2によって出庫用コンベヤ13の出庫用搬送始端部13a上まで吊り上げ搬送される出庫作業も随時行われるので、入庫作業の開始の際に、先に優先入庫された領域内にも空き状態の保管品載置点Cpが存在することは普通にあり得る。このようなときは、出庫跡の空き状態の保管品載置点Cpも含めて入庫先の保管品載置点Cpが検索され、この検索された出庫跡の保管品載置点Cpに保管品Cab,Ccdが入庫されることになる。
【0032】
上記の中心部優先入庫のためのプログラムと周辺部優先入庫のためのプログラムは、その両方とも制御装置に設定しておき、或るときは中央部優先入庫作業、又或るときは周辺部優先入庫作業、というように状況に応じて両プログラムを使い分けられるように構成することが出来るが、場合によっては、ユーザーの選択した何れか一方の入庫作業のみを実行出来るように構成しても良い。又、実施例に示した保管品の平面サイズ別の保管領域を設定して、入庫対象保管品の平面サイズによって入庫先保管領域を分ける入庫方法は、必要に応じて採用出来るものであって、特に本発明に必須のものではない。更に、保管品載置用平面に併設される入庫用コンベヤと出庫用コンベヤの位置は、状況に応じて自由に設定すれば良く、場合によっては、1つの入出庫兼用のコンベヤを利用することも可能である。