特許第6296277号(P6296277)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6296277表示装置用パネル、表示装置、および、表示装置用パネルの検査方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6296277
(24)【登録日】2018年3月2日
(45)【発行日】2018年3月20日
(54)【発明の名称】表示装置用パネル、表示装置、および、表示装置用パネルの検査方法
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/30 20060101AFI20180312BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20180312BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20180312BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20180312BHJP
【FI】
   G09F9/30 349Z
   G09F9/00 309Z
   G09F9/00 352
   H05B33/14 A
   H05B33/10
【請求項の数】11
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2013-206844(P2013-206844)
(22)【出願日】2013年10月1日
(65)【公開番号】特開2015-72315(P2015-72315A)
(43)【公開日】2015年4月16日
【審査請求日】2016年8月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】514188173
【氏名又は名称】株式会社JOLED
(74)【代理人】
【識別番号】100189430
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100190805
【弁理士】
【氏名又は名称】傍島 正朗
(72)【発明者】
【氏名】戎野 浩平
【審査官】 中村 直行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−192959(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/137711(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0027769(US,A1)
【文献】 国際公開第2011/083509(WO,A1)
【文献】 特開2009−147040(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00 − 9/46
G02F 1/136 − 1/1368
H01L 27/32
H01L 51/50
H05B 33/10 − 33/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の表示画素を含む表示部と、
検査用信号を入力するための検査用パッドが接続された静電保護配線と前記表示画素に接続される配線とに接続された静電保護回路と、
前記静電保護回路に接続された静電保護回路制御線とを備え、
前記静電保護回路は、ゲート電極とドレイン電極とが短絡されたバックゲート型トランジスタを含み、
前記静電保護回路制御線は、一端が前記バックゲート型トランジスタのバックゲート端子に接続されている、
表示装置用パネル。
【請求項2】
前記バックゲート型トランジスタは、ボトムゲート型トランジスタである、
請求項1に記載の表示装置用パネル。
【請求項3】
前記静電保護回路制御線の他端に接続されるバックゲート用パッドを備える、
請求項1または2に記載の表示装置用パネル。
【請求項4】
前記バックゲート用パッドと前記検査用パッドとを接続する第一抵抗回路を備える、
請求項3に記載の表示装置用パネル。
【請求項5】
前記静電保護回路制御線の他端は、通常動作時に、前記配線の電圧よりも低い所定の電圧が印加されるパッドに接続される、
請求項1または2に記載の表示装置用パネル。
【請求項6】
前記静電保護配線が複数の場合に、複数の前記静電保護配線を接続する第二抵抗回路を備える、
請求項1〜5の何れか1項に記載の表示装置用パネル。
【請求項7】
前記表示画素は、有機エレクトロルミネッセンス素子を用いて構成される、
請求項1〜6の何れか1項に記載の表示装置用パネル。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか1項に記載の表示装置用パネルを備える、
表示装置。
【請求項9】
請求項1〜7の何れか1項に記載の表示装置用パネルの検査方法であって、
前記バックゲート型トランジスタのバックゲート端子に対し、点灯検査用のバックゲート電圧を印加するステップと、
前記配線に対し、前記検査用信号を与えるステップとを実行する、
表示装置用パネルの検査方法。
【請求項10】
前記点灯検査用のバックゲート電圧を印加するステップでは、前記バックゲート型トランジスタのドレイン電極に接続された前記配線の電圧よりも高い所定の電圧を、前記バックゲート端子の電圧として、前記静電保護回路制御線に印加する、
請求項9に記載の表示装置用パネルの検査方法。
【請求項11】
前記点灯検査用のバックゲート電圧を与えるステップと前記検査用信号を与えるステップは、前記表示装置用パネルにIC(Integrated Circuit)を実装する前に実行される、
請求項9または10に記載の表示装置用パネルの検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子を用いた表示装置用パネル、表示装置、および、表示装置用パネルの検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電流駆動型の発光素子を用いた画像表示装置として、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子と記す。)を用いた有機ELディスプレイが知られている。この有機ELディスプレイは、視野角特性が良好で、消費電力が少ないという利点を有する。
【0003】
有機ELディスプレイは、有機EL素子および配線等が形成されたガラス基板からなる有機ELパネル(表示パネル)、有機ELパネルを駆動するIC(Integrated Circuit)、および、制御回路等を備えて構成されている。
【0004】
有機ELディスプレイの製造工程では、有機ELパネルの製造後、有機ELパネルが正常に点灯するか否かを検査する点灯検査が実行され、当該点灯検査の実行後、有機ELパネルにICを実装するIC実装工程が実行される。IC実装工程の前に、点灯検査を行うことで、良品の有機ELパネルのみIC実装工程に進むことができるため、製造歩留まりを向上させることができる。言い換えると、不良品に対する無駄なIC実装工程を削減できるため、製造コストを抑制することができる。
【0005】
有機ELパネルの点灯検査では、ICが未実装のため、検査装置から信号を入力する必要がある。このため、有機ELパネルの点灯検査としては、以下の3つの方法が考えられる。
【0006】
1つ目は、検査装置として、FullPin検査装置を用い、有機ELパネルのIC実装用のPadに針を当てて信号入力する方法が考えられる。
【0007】
但し、当該方法は、特に、有機ELパネルが大型の高精細パネルの場合には、検査装置が非常に高価あるいは実現不可能であるという問題がある。
【0008】
2つ目は、ガラス基板上に、複数の有機ELパネルのIC実装用のPadと、検査用Padとを短絡する配線パターンを形成しておき、検査用のPadに針を当てて信号を入力する方法が考えられる。
【0009】
この方法は、Pad数が少なくて済むため、検査装置が比較的安価で実現可能である。しかし、点灯検査の実行後、IC実装用のPadと、検査用Padとを短絡している配線パターンを割断する必要があり、製造工程が増加するという問題がある。
【0010】
3つ目は、有機ELパネルに、ESD(Electro−Static Discharge、静電気放電)素子(高抵抗素子)が接続されたESD端子(テスト用Pad)を設け、当該ESD端子から信号を入力する方法が考えられる。
【0011】
この方法は、Pad数が少なくて済むため、比較的安価な検査装置を用いることができ、且つ、IC実装用のPadと、検査用Padとの間に高抵抗素子が存在するため、割断工程が不要である(製造工程が増加しない)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平11−142888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、ESD素子を用いた点灯検査の場合、ESD素子を一定以上高抵抗化させると、正常に信号を入力することができず、点灯検査を正常に行えなくなるという問題がある。特に、製造ばらつきによりESD素子の抵抗値が高抵抗化すると、問題が顕著になる。このため、点灯検査のためには、ESD素子を低抵抗化することが求められる。
【0014】
しかし、ESD素子を一定以上低抵抗化させると、通常動作の際に、ESD素子を介したリーク電流が大きくなるという問題がある。リーク電流の増大により、ICの消費電力の増大や、書込み充電率の不足、及び信号波形の遅延の増大による表示ムラの発生等が生じる場合があるという問題がある。
【0015】
そこで、本発明は、点灯検査を正常に実行でき、且つ、通常動作時の消費電力の増大を抑えることができる表示装置用パネルおよびその検査方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一態様に係る画像復号化装置は、複数の表示画素を含む表示部と、検査用信号を入力するための検査用パッドが接続された静電保護配線と前記表示画素に接続される配線とに接続された静電保護回路と、前記静電保護回路に接続された静電保護回路制御線とを備え、前記静電保護回路は、ゲート電極とドレイン電極とが短絡されたバックゲート型トランジスタを含み、前記静電保護回路制御線は、一端が前記バックゲート型トランジスタのバックゲート端子に接続されている。
【発明の効果】
【0017】
本発明の表示装置用パネルおよびその検査方法は、点灯検査を正常に実行でき、且つ、通常動作時の消費電力の増大を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、実施の形態1〜4の表示装置の構成の一例を示すブロック図である。
図2図2は、実施の形態1〜4の表示装置用パネルの全体図を示す図である。
図3図3は、実施の形態1における表示装置用パネルの一部を拡大した部分拡大図である。
図4図4は、実施の形態1〜4の表示画素の構成の一例を示す回路図である。
図5A図5Aは、実施の形態1〜4のバックゲート型トランジスタを用いた静電保護回路の一例を示す回路図である。
図5B図5Bは、図5Aに示すバックゲート型トランジスタの構造を示す断面図である。
図6A図6Aは、バックゲート端子を有しないトランジスタを用いた静電保護回路の一例を示す回路図である。
図6B図6Bは、図6Aに示すトランジスタの構造を示す断面図である。
図7図7は、点灯検査時における電圧の設定方法を示す図である。
図8図8は、通常動作時における電圧の設定方法を示す図である。
図9図9は、トランジスタのIV特性を示すグラフである。
図10図10は、実施の形態2における表示装置用パネルの一部を拡大した部分拡大図である。
図11図11は、実施の形態3における表示装置用パネルの一部を拡大した部分拡大図である。
図12図12は、実施の形態3の静電保護回路において、サージ電圧が生じた場合の状態の一例を示す図である。
図13図13は、実施の形態3の静電保護回路において、サージ電圧が生じた場合の状態の一例を示す図である。
図14図14は、実施の形態4における表示装置用パネルの一部を拡大した部分拡大図である。
図15図15は、実施の形態4における電圧の設定方法の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
このような問題を解決するために、本発明の一態様に係る表示装置用パネルは、複数の表示画素を含む表示部と、検査用信号を入力するための検査用パッドが接続された静電保護配線と前記表示画素に接続される配線とに接続された静電保護回路と、前記静電保護回路に接続された静電保護回路制御線とを備え、前記静電保護回路は、ゲート電極とドレイン電極とが短絡されたバックゲート型トランジスタを含み、前記静電保護回路制御線は、一端が前記バックゲート型トランジスタのバックゲート端子に接続されている。
【0020】
上記構成の表示装置用パネルは、静電保護回路として、バックゲート型トランジスタ(例えば、ESD素子)を用いるので、バックゲート端子の電圧調整により、静電保護回路の抵抗値を制御することが可能になる。
【0021】
これにより、例えば、点灯検査時は、信号の入力を正常に行うために静電保護回路を低抵抗化し、通常動作時は、リーク電流を抑えるために静電保護回路を高抵抗化することが可能になる。つまり、バックゲート端子の電圧調整を適切に行うことにより、点灯検査時における正常な信号の入力、および、通常動作時におけるリーク電流の抑制の2つの効果を同時に奏することが可能である。
【0022】
なお、上記表示装置用パネルは、表示装置ではなく、ICを実装する前のパネルである。また、ここでの通常動作とは、表示装置用パネルが表示装置内に実装された状態において、表示装置用パネルに映像を表示させる動作を意味する。
【0023】
また、上記構成の表示装置用パネルにおいて、配線とは、通常動作時に信号が入力される配線であって、ESD配線以外の配線を意味する。つまり、配線とは、信号線、走査線、制御線、あるいは、これらのうちの複数であっても良い。
【0024】
例えば、前記バックゲート型トランジスタは、ボトムゲート型トランジスタであってもよい。
【0025】
上記構成の表示装置用パネルは、バックゲート型トランジスタとして、ボトムゲート型トランジスタを用いるため、装置構成を簡素化し、製造工程を容易にすることができる。
【0026】
例えば、前記静電保護回路制御線の他端に接続されるバックゲート用パッドを備えていてもよい。
【0027】
上記構成の表示装置用パネルは、静電保護回路制御線に接続される専用のパッド(Pad)として、バックゲート用パッドを備えるため、静電保護回路制御線の制御を的確に実施できる。
【0028】
例えば、前記バックゲート用パッドと前記点灯検査用パッドとを接続する第一抵抗回路を備えていてもよい。
【0029】
上記構成の表示装置用パネルは、バックゲート用パッドと前記検査用パッドとを接続する第一抵抗回路を備えるので、表示装置用パネルの搬送時等においてサージ電圧が入力された場合に対応できる。
【0030】
例えば、前記静電保護回路制御線の他端は、通常動作時に、前記配線の電圧よりも低い所定の電圧が印加されるパッドに接続されていてもよい。
【0031】
上記構成の表示装置用パネルによれば、静電保護回路制御線が、通常動作時に所定の低電圧、例えば、初期電圧が供給されるパッドに接続されるので、専用のパッドを設ける必要がなくなる。さらに、上記構成の表示装置用パネルによれば、通常動作時に、バックゲート端子に低電圧が供給されるので、通常動作時に静電保護回路を高抵抗化させることが可能になる。また、上記構成の表示装置用パネルによれば、所定の低電圧を供給する既設の電源からの電圧を利用するので、専用の電源を備える必要がなくなる。
【0032】
例えば、前記静電保護配線が複数の場合に、複数の前記静電保護配線を接続する第二抵抗回路を備えていてもよい。
【0033】
上記構成の表示装置用パネルによれば、静電保護回路は、サージ電圧を逃がすための静電保護配線に接続されており、複数の静電保護配線を第二抵抗回路で接続している。これにより、サージ電圧を逃がすための静電保護配線の配線容量を相対的に大きくすることができる。つまり、1本の静電保護配線にサージ電圧を逃がすよりも、複数の静電保護配線に分散してサージ電圧を逃がす方が、より確実に表示部をサージ電圧から保護することが可能になる。
【0034】
例えば、前記表示画素は、有機エレクトロルミネッセンス素子を用いて構成されていてもよい。
【0035】
上記問題を解決するために、本発明の一態様に係る表示装置は、上記何れかの構成の表示装置用パネルを備える。
【0036】
上記構成の表示装置は、上述した表示装置用パネルを備えるため、バックゲート端子の電圧調整により、静電保護回路の抵抗値を制御できる。
【0037】
上記問題を解決するために、本発明の一態様に係る表示装置用パネルの検査方法は、上記何れかの構成の表示装置用パネルの検査方法であって、前記バックゲート型トランジスタのバックゲート端子に対し、点灯検査用のバックゲート電圧を印加するステップと、前記配線に対し、前記検査用信号を与えるステップとを実行する。
【0038】
上記構成の表示装置用パネルの検査方法は、上述した表示装置用パネルにおいて、静電保護回路制御線の電圧を調整して、バックゲート端子の電圧を制御するため、静電保護回路の抵抗値を制御できる。
【0039】
例えば、前記点灯検査用のバックゲート電圧を印加するステップでは、前記バックゲート型トランジスタのドレイン電極に接続された前記配線の電圧よりも高い所定の電圧を、前記バックゲート端子の電圧として、前記静電保護回路制御線に印加してもよい。
【0040】
上記構成の表示装置用パネルの検査方法によれば、静電保護回路を、検査時に低抵抗化させ、通常動作時に高抵抗化させることができるための具体的な電圧設定を得ることができる。
【0041】
例えば、前記点灯検査用のバックゲート電圧を与えるステップと前記検査用信号を与えるステップは、前記表示装置用パネルにIC(Integrated Circuit)を実装する前に実行されてもよい。
【0042】
上記構成の表示装置用パネルの検査方法によれば、スクライブ工程(割断工程)の実行後に、表示装置用パネルを検査できる。これにより、スクライブ工程で不良が発生した表示装置用パネルをスクリーニングすることが可能になる。なお、ここでのケーブルには、フレキシブルケーブル、あるいは、駆動信号を生成する駆動回路を搭載したCOF等が含まれる。
【0043】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD−ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたは記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0044】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0045】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0046】
(実施の形態1)
実施の形態1の表示装置用パネル、当該表示装置用パネルを備えた表示装置、および、表示装置用パネルの検査方法について、図1図9を基に説明する。
【0047】
[1−1.表示装置]
本実施の形態の表示装置の構成について、図1図4を基に説明する。本実施の形態の表示装置は、有機ELディスプレイである。
【0048】
図1は、有機ELディスプレイ100の構成の一例を示すブロック図である。
【0049】
有機ELディスプレイ100は、図1に示すように、有機ELパネル10A(10)、COF(Chip on Film、Chip on Flexible)20、PCB(Printed Circuit Board、プリント基板)30、制御部40、および、電源回路(図示せず)等を備えている。
【0050】
有機ELパネル10は、表示装置用パネルの一例である。
【0051】
[1−1−1.有機ELパネル(表示装置用パネル)の構成]
本実施の形態の有機ELパネル10Aは、映像の表示を行うパネルであり、有機ELディスプレイ100を構成する部品の1つである。図2は、有機ELパネル10Aの全体図を示す図である。図3は、図1の破線で囲んだ部分の拡大図である。
【0052】
有機ELパネルは、図1図3に示すように、表示部11と、回路部12A(12)とを備えている。
【0053】
1)表示部11の構成
表示部11は、マトリクス状に配置された複数の表示画素PIXを備えている。図4は、表示画素PIXの構成の一例を示す回路図である。なお、表示画素PIXは、R(赤)G(緑)B(青)の3原色のいずれか1つに対応している。RGBの3つの表示画素PIXのセットで、1つの画素が構成されている。
【0054】
画素PIXは、図4に示すように、スイッチング素子T1〜T4、容量素子C1、駆動トランジスタT5および有機EL素子(発光素子)OEL1を備えている。
【0055】
スイッチング素子T1は、制御部40から出力される駆動信号に応じて表示画素PIXの選択非選択を切り替える。スイッチング素子T1は、薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)であり、ゲート端子が走査線SCNに、ソース端子が信号線DATAに、ドレイン端子がノードN1にそれぞれ接続されている。
【0056】
スイッチング素子T2は、制御線REFの電圧に応じて参照電圧(パッドVREFの電圧)を供給する。スイッチング素子T2は、薄膜トランジスタであり、ゲート端子が制御線REFに、ソース端子およびドレイン端子の一端がノードN1に接続され、ソース端子およびドレイン端子の他端に参照電圧が入力されている。
【0057】
スイッチング素子T3は、制御線ENBの電圧に応じて駆動電圧(パッドVTFTの電圧)を供給する。スイッチング素子T3は、薄膜トランジスタであり、ゲート端子が制御線ENBに、ソース端子がノードN3にそれぞれ接続され、ドレイン端子に駆動電圧が入力されている。
【0058】
スイッチング素子T4は、制御線INIの電圧に応じて容量素子C1の電荷を放電する。スイッチング素子T4は、薄膜トランジスタであり、ゲート端子が制御線INIに、一端がノードN2にそれぞれ接続され、他端に初期電圧(パッドVINIの電圧)が入力されている。
【0059】
駆動トランジスタT5は、輝度信号の大きさに応じた駆動電流を有機EL素子OEL1に供給する。駆動トランジスタT5は、薄膜トランジスタであり、ゲート端子がノードN1に、ソース端子が有機EL素子OEL1のアノード電極に、ドレイン端子がノードN3にそれぞれ接続されている。
【0060】
有機EL素子OEL1は、駆動電流に応じて発光する自発光素子である。駆動電流は、駆動トランジスタT5から供給される。有機EL素子OEL1は、アノード電極がノードN2に接続され、カソード電極が接地されている。
【0061】
容量素子C1は、一端がノードN1に、他端がノードN2に接続されている。
【0062】
2)回路部12Aの構成
回路部12Aには、通常動作で用いられる配線およびパッド、および、点灯検査で用いられるテスト回路等が形成されている。
【0063】
通常動作で用いられる配線には、図3に示すように、複数の走査線SCNおよび複数の信号線DATAが含まれる。
【0064】
通常動作で用いられるパッドには、図3に示すように、信号線DATAに接続するパッドPD1〜PDn(nは信号線DATAの数)、走査線SCNに接続するパッドPS1〜PSm(mは走査線SCNの数)等が含まれる。
【0065】
テスト回路には、図3に示すように、点灯検査用のパッド(以下、「検査用パッド」と略称する)、点灯検査用のESD素子200、および、複数のESD配線LESD(LESD1およびLESD2)を接続するためのESD素子300等が含まれる。ESD配線は、静電気を放電させるための静電保護配線の一例である。
【0066】
検査用パッドは、点灯検査を含む製造時の検査で用いられるパッドであり、専用のパッドであっても良いし、通常動作時に用いられるパッドと兼用しても良い。なお、本実施の形態では、点灯検査のための専用の検査用パッドが設けられている場合について説明する。
【0067】
検査用パッドには、R(赤)の表示画素PIXの信号線のそれぞれに静電保護回路を介して接続される検査用パッドPTR、G(緑)の表示画素PIXの信号線のそれぞれに静電保護回路を介して接続される検査用パッドPTG、B(青)の表示画素PIXの信号線のそれぞれに、静電保護回路を介して接続される検査用パッドPTBが含まれる。また、検査用パッドには、奇数番目の走査線SCNのそれぞれに静電保護回路を介して接続される検査用パッドPEven、偶数番目の走査線SCNのそれぞれに静電保護回路を介して接続される検査用パッドPOdd、点灯検査用のESD素子のバックゲート端子に接続される検査用パッドPBG1が含まれる。検査用パッドPBG1は、バックゲート用パッドの一例である。
【0068】
ESD素子200は、バックゲート型トランジスタを用いたESD素子であり、表示画素PIXを静電気放電から保護するための静電保護回路の一例である。
【0069】
ESD素子200には、一端が信号線DATAに、他端が検査用パッドPTRまたは検査用パッドPTGまたは検査用パッドPTBに接続されたESD素子CESD1と、一端が走査線SCNに、他端が検査用パッドPEvenまたは検査用パッドPOddに接続されたESD素子CESD2とが含まれる。
【0070】
ESD素子200は、より詳しくは、ゲート電極とドレイン電極とが短絡された2つのバックゲート型トランジスタを用いて構成されている。
【0071】
図5Aは、バックゲート型トランジスタを用いた静電保護回路(ESD素子200)の一例を示す回路図である。図5Bは、図5Aに示すバックゲート型トランジスタTBG1およびTBG2の構造を示す断面図である。図5Aでは、説明のため、1行1列目(図面左上)の表示画素PIXに接続される信号線DATAに接続されるESD素子CESD1について示している。なお、ESD素子CESD2の構成は、接続先が異なる点を除き、ESD素子CESD1の構成と同じである。
【0072】
ESD素子CESD1は、図5Aに示すように、2つのバックゲート型トランジスタTBG1およびTBG2を用いて構成される。
【0073】
図5Aに示すように、バックゲート型トランジスタTBG1は、ゲート端子Gおよびドレイン端子Dが信号線DATAに、ソース端子SがESD配線LESD1に、バックゲート端子が制御線LCBG1にそれぞれ接続されている。制御線LCBG1は、静電保護回路制御線の一例である。バックゲート型トランジスタTBG2は、ゲート端子Gおよびドレイン端子DがESD配線LESD1に、ソース端子Sが信号線DATAに、バックゲート端子が制御線LCBG1にそれぞれ接続されている。
【0074】
バックゲート型トランジスタTBG1は、図5Bに示すように、ゲート電極201(図5Aのゲート端子G)と、ゲート絶縁層202と、半導体層203(半導体層)と、絶縁層204と、ソース電極205(図5Aのソース端子S)と、バックゲート電極206(図5Aのバックゲート端子BG)と、ドレイン電極207(図5Aのドレイン端子D)とを備えている。
【0075】
より詳しくは、基板(図示せず)上に、ゲート電極201が形成され、当該ゲート電極201を覆うように、ゲート絶縁層202が形成されている。ゲート絶縁層202上には、ゲート電極201と対向する位置に、半導体層203が形成されている。半導体層203上には、絶縁層204が形成されている。絶縁層204上には、ソース電極205とドレイン電極207とが形成され、それぞれ、絶縁層204内に設けられたコンタクトホールを介して、半導体層203と電気的に接続している。さらに、絶縁層204上には、ソース電極205とドレイン電極207との間に、バックゲート電極206が形成されている。
【0076】
なお、バックゲート型トランジスタTBG2の構成は、バックゲート型トランジスタTBG1と同じである。
【0077】
なお、本実施の形態では、ESD素子として、トランジスタのゲート端子とドレイン端子とを短絡(ダイオード接続)することで、ソースドレイン間の電圧差に応じて、ドレイン電極側からソース電極側の一方向に電流を流すように機能させている。つまり、トランジスタを、スイッチング素子としてではなく、いわゆるダイオードのように機能させている。
【0078】
このため、ダイオード接続された2つのトランジスタを、いわゆる順方向バイアスの向きが逆方向となるように並列に接続することにより、信号線DATA側からESD配線LESD側だけでなく、ESD配線LESD側から信号線DATA側に電流を流す(逃がす)ことが可能になる。また、上述したように、バックゲート型トランジスタを用い、バックゲート端子の電圧を調整可能にすることで、いわゆるダイオードの抵抗値を調整することができる。
【0079】
ESD素子300は、バックゲート端子を備えないトランジスタを用いたESD素子であり、本実施の形態では、複数のESD配線LESDを接続するために用いられている。複数のESD配線LESDを接続することにより、サージを逃がす配線の容量を相対的に大きくすることができる。但し、複数のESD配線LESDを直接接続すると、点灯検査時にショートする可能性があるため、各ESD配線LESDの間に抵抗として機能するESD素子300を設けている。
【0080】
ESD素子300には、一端がESD配線LESD1に、他端がノードNE1にそれぞれ接続されたESD素子CESD3(第二抵抗回路)、および、一端がESD配線LESD2に、他端がノードNE2にそれぞれ接続されたESD素子CESD4(第二抵抗回路)が含まれる。なお、ノードNE1およびノードNE2は、直接接続されている。
【0081】
ESD素子300は、本実施の形態では、ゲート電極とドレイン電極とが短絡された、バックゲート端子を備えない2つのトランジスタを用いて構成されている。
【0082】
図6Aは、ESD素子300の一例を示す回路図である。図6Bは、図6Aに示すバックゲート端子を備えないトランジスタT6およびT7の構造を示す断面図である。図6Aでは、説明のため、検査用パッドPTRに接続されるESD素子CESD3について示している。なお、ESD素子CESD4の構成は、接続先が異なる点を除き、ESD素子CESD3の構成と同じである。
【0083】
ESD素子300は、図6Aに示すように、バックゲート端子を備えない2つのトランジスタT6およびT7を用いて構成される。
【0084】
図6Aに示すように、トランジスタT6は、ゲート端子Gおよびドレイン端子DがノードNE1に、ソース端子SがESD配線LESD1にそれぞれ接続されている。トランジスタT7は、ゲート端子Gおよびドレイン端子DがESD配線LESD1に、ソース端子SがノードNE1にそれぞれ接続されている。
【0085】
トランジスタT6は、図6Bに示すように、ゲート電極301(図6Aのゲート端子G)と、ゲート絶縁層302と、半導体層303と、絶縁層304と、ソース電極305(図6Aのソース端子S)と、ドレイン電極306(図6Aのドレイン端子D)とを備えている。
【0086】
より詳しくは、基板(図示せず)上に、ゲート電極301が形成され、当該ゲート電極301を覆うように、ゲート絶縁層302が形成されている。ゲート絶縁層302上には、ゲート電極301と対向する位置に、半導体層303が形成されている。半導体層303上には、絶縁層304が形成されている。絶縁層304上には、ソース電極305とドレイン電極306とが形成され、それぞれ、絶縁層304内に設けられたコンタクトホールを介して、半導体層303と電気的に接続している。
【0087】
なお、トランジスタT7の構成は、トランジスタT6と同じである。
【0088】
[1−1−2.COF、PCB、制御回路および電源回路の構成]
COF20は、表示部11に各種信号を供給する駆動回路を備えたフレキシブルケーブルで構成され、有機ELパネルのパッドに接続される。COF20には、図1に示すように、信号線DATAに接続されるCOF21と、走査線SCNに接続されるCOF22とが含まれる。COF21は、信号線DATAに輝度信号に応じた電圧を供給する信号線駆動回路を備えている。COF22は、選択された表示画素に接続された走査線SCNに駆動信号を供給するための走査線駆動回路を備えている。
【0089】
PCB30は、COF20と制御部40とを接続するプリント基板である。なお、図1では、紙面上、全てのCOF20と接続されていないが、実際には、全てのCOF20と制御部40とが接続されている。
【0090】
制御部40は、有機ELパネル10Aにおける映像の表示を制御する回路である。制御部40は、例えば、輝度信号を生成して信号線DATAに印加する。また、制御部40は、表示画素PIXの選択と非選択とを切り替えるための駆動信号を生成して走査線SCNに印加する。
【0091】
電源回路(図示せず)は、制御部40に、有機ELディスプレイ100を構成する各回路で用いられる電源を供給する回路である。電源回路は、例えば、図4に示すパッドVTFTの駆動電圧、パッドVREFの参照電圧、パッドVINIの初期電圧等を供給する。
【0092】
[1−2.有機ELパネルの検査方法]
有機ELパネルの検査方法(点灯検査時における有機ELパネル10の電圧の設定方法)について、図7を基に説明する。図7は、点灯検査時における電圧の設定方法を示す図である。
【0093】
なお、有機ELパネルの点灯検査は、有機ELディスプレイ100の製造工程の1つであり、当該製造工程における有機ELパネルの割断工程の後、COF20を実装するIC実装工程の前に行われる。
【0094】
また、以下の説明において、「検査用信号」とは、点灯検査の際に入力される各種信号を示す。具体的には、点灯検査用の輝度信号(以下、適宜「検査用輝度信号」と称する)、点灯検査用の走査信号(駆動信号)(以下、適宜「検査用駆動信号」と称する)、点灯検査用の制御信号などを意味する。また、「配線」とは、データ線、走査線、制御線(制御線INI、制御線REF、制御線ENB(図2参照))等を意味する。
【0095】
点灯検査では、バックゲート型トランジスタTBG1およびTBG2のバックゲート端子に対し、点灯検査用のバックゲート電圧を与えるステップと、信号線DATAに対し、検査用輝度信号を与えると同時に、走査線SCNに対して検査用駆動信号を与えるステップとを実行する。
【0096】
点灯検査用のバックゲート電圧を与えるステップでは、ESD素子CESD1およびCESD2の抵抗値が低くなるように、つまり、バックゲート型トランジスタTBG1およびTBG2のソースドレイン間の閾値電圧が低くなるように、制御線LCBG1の電圧を調整する。言い換えると、制御線LCBG1に、信号線DATAおよび走査線SCNの電圧よりも高い所定の高電圧を印加する。
【0097】
検査用輝度信号を与えるステップでは、信号線DATAに対し、直接接続されているパッドPD1〜PDnからではなく、ESD素子CESD1を介して各パッドと接続されている検査用パッドPTRから電圧(検査用輝度信号)を印加する。これにより、検査時に電圧を印加するパッド数を削減することができる。また、IC(例えば、COF)が実装された製品の状態では、ICにおいてESD対策が施されているが、当該点灯検査時にはICが未実装のため、ESD対策を行うという目的でもある。つまり、ESD素子CESD1を備えることにより、検査用パッドPTRや、信号線DATAに直接接続されているパッドPD1〜PDnに静電気放電による電流が流れた場合でも、表示部11内の回路の破損を防止可能になる。
【0098】
同様に、ESD素子CESD2を介して検査用駆動信号を入力することにより、駆動信号側のパッド数を削減すると同時に、検査用パッドPEven、POddおよび、走査線SCNに直接接続されているパッドPS1〜PSmに静電気放電による電流が流れた場合でも、表示部11内の回路の破損を防止することが出来る。
【0099】
なお、検査用パッドPBG1の電圧値は、ESD素子CESD1の抵抗値が所定の低抵抗値よりも低くなるように設定すればよい。言い換えると、ESD素子CESD1の抵抗値は、検査用パッドPBG1の電圧値と信号線DATAの電圧値との電圧差に依存して決まることから、電圧差の絶対値が一定の値よりも大きくなるように設定する。
【0100】
つまり、制御線LCBG1に接続される検査用パッドPBG1に、検査用パッドPTRに印加する電圧よりも高い所定の高電圧を印加する。
【0101】
より具体的には、例えば、図7に示すように、検査用パッドPTR、つまり、信号線DATAに10Vを印加し、検査用パッドPBG1に検査用パッドPTRの印加電圧よりも高い20Vを印加する。なお、図7では、1行1列目の表示画素PIXを示しているが、他の表示画素PIXについても、同じように電圧を設定する。また、信号線DATAの電圧値および検査用パッドPBG1の電圧値は、一例であり、これに限るものではない。
【0102】
この場合、バックゲート型トランジスタTBG1およびTBG2のバックゲート端子に、信号線DATAよりも高い20Vの高電圧が印加されることから、ESD素子CESD1の抵抗値が低くなる。このため、検査用パッドPEvenに入力した検査用駆動信号は、あまり減衰することなく、信号線DATAに伝達される。これにより、点灯検査を正常に実行することが可能になる。
【0103】
なお、図7では、1行1列目の表示画素PIXを示しているが、他の表示画素PIXについても、同じように電圧を設定する。
【0104】
また、点灯検査では、検査用輝度信号の電圧値は、複数の輝度値に対応するように順次変更される。このため、検査用パッドPBG1に印加する電圧は、検査用輝度信号の電圧値の最大値よりも大きい電圧値に設定する。なお、検査用パッドPBG1に印加する電圧は、検査用輝度信号の電圧値に応じて適宜変更しても良い。
【0105】
[1−3.ESD素子(静電保護回路)の通常動作時における電圧設定方法]
通常動作時における有機ELパネル10の電圧の設定方法について、図8を基に説明する。図8は、通常動作時における電圧の設定方法を示す図である。
【0106】
通常動作時は、ESD素子CESD1およびCESD2の抵抗値が高くなるように、つまり、バックゲート型トランジスタTBG1およびTBG2の閾値電圧が高くなるように、制御線LCBG1の電圧を調整する。言い換えると、制御線LCBG1の電圧に、信号線DATAおよび走査線SCNの電圧よりも低い所定の低電圧を印加する。
【0107】
つまり、制御線LCBG1に接続される検査用パッドPBG1に、信号線DATAに接続するパッドPD1に印加する電圧よりも低い所定の低電圧を印加する。
【0108】
より具体的には、例えば、図8に示すように、パッドPD1、つまり、信号線DATAに0Vを印加し、検査用パッドPBG1にパッドPD1の印加電圧よりも低い電圧(例えば、−10V)を印加する。但し、検査用パッドPBG1およびパッドPD1の設定方法は、これに限るものではない。
【0109】
なお、図8では、1行1列目の表示画素PIXを示しているが、他の表示画素PIXについても、同じように電圧を設定する。
【0110】
この場合、バックゲート型トランジスタTBG1およびTBG2のバックゲート端子に、信号線DATAよりも高い所定の高電圧が印加されることから、ESD素子CESD1およびCESD2の抵抗値が高くなる。このため、図8に示すように、ESD素子CESD1およびCESD2に流れるリーク電流を低減することができる。これにより、通常動作時における消費電力の増大を抑えると同時に、表示部11の特性の低下を防止可能になる。
【0111】
[1−4.効果等]
上述したように、本実施の形態の有機ELパネル10A(表示装置用パネル)は、バックゲート型トランジスタを用いて構成されたESD素子(静電保護回路)を介して、点灯検査用の電圧が表示部11に対して印加される。
【0112】
ここで、図9は、トランジスタのIV特性(ソースドレイン間電圧とソースドレイン間電流との関係)を示すグラフである。図9において、GBGHは、バックゲート型トランジスタのバックゲート端子に、高電圧を印加した場合のIV特性を示している。GBGLは、バックゲート型トランジスタのバックゲート端子に、低電圧を印加した場合のIV特性を示している。GBGNは、バックゲート端子を備えないトランジスタのIV特性を示している。
【0113】
図9に示すように、バックゲート端子に高電圧を印加した場合は、低抵抗化して電流量が大きくなっていることが分かる。また、バックゲート端子に低電圧を印加した場合は、高抵抗化して電流量が小さくなっていることが分かる。
【0114】
本実施の形態では、このようなバックゲート型トランジスタのIV特性を利用し、点灯検査時と通常動作時とでESD素子CESD1およびCESD2の抵抗状態を切り替える。
【0115】
これにより、点灯検査時には、バックゲート端子の電圧を調整するのみで、ESD素子を低抵抗化して点灯検査用の信号を正常に入力し、通常動作時には、ESD素子を高抵抗化してリーク電流の増大を抑えるという2つの効果を同時に奏することが可能になる。
【0116】
また、点灯検査を、有機ELパネル10Aを切り出す割断工程の実行後に行うので、割断工程による不良をスクリーニングすることが可能になる。
【0117】
(実施の形態2)
実施の形態2の表示装置用パネル、当該表示装置用パネルを備えた表示装置、および、表示装置用パネルの検査方法について、図10を基に説明する。
【0118】
本実施の形態の表示装置は、実施の形態1の表示装置とは、表示装置用パネル(有機ELパネル)の構成が異なる。なお、表示装置用パネルの検査方法は、実施の形態1と同じである。
【0119】
本実施の形態の表示装置は、実施の形態1と同様に、有機ELディスプレイ100である。有機ELディスプレイ100は、実施の形態1と同様に、有機ELパネル10B(10)、COF20、PCB30、制御部40、および、電源回路(図示せず)等を備えている。なお、COF20、PCB30、制御部40、および、電源回路の構成は、実施の形態1と同じである。
【0120】
[2−1.有機ELパネル(表示装置用パネル)の構成]
本実施の形態の有機ELパネル10Bは、実施の形態1と同様に、映像の表示を行うパネルであり、有機ELディスプレイ100を構成する部品の1つである。図10は、図1の破線で囲んだ部分の拡大図である。
【0121】
有機ELパネル10Bは、図10に示すように、表示部11と、回路部12B(12)とを備えている。なお、表示部11の構成は、実施の形態1と同じである。
【0122】
回路部12Bには、通常動作で用いられる配線およびパッド、および、点灯検査で用いられるテスト回路が形成されている。なお、通常動作で用いられる配線およびパッドの構成は、実施の形態1と同じである。
【0123】
テスト回路には、図10に示すように、検査用パッド、点灯検査用のESD素子CESD1およびCESD2、並びに、複数のESD配線LESD(LESD1およびLESD2)を接続するためのESD素子CESD5およびCESD6(第二抵抗回路)等が含まれる。なお、検査用パッド、並びに、ESD素子CESD1およびCESD2の構成は、実施の形態1と同じである。
【0124】
ここで、実施の形態1では、複数のESD配線LESDを接続するために、バックゲート端子を備えないESD素子CESD3およびCESD4が用いられているのに対し、本実施の形態では、ESD素子CESD5およびCESD6が用いられている。
【0125】
ESD素子CESD5は、一端がESD配線LESD1に、他端がノードNE1に接続されている。ESD素子CESD6は、一端がESD配線LESD2に、他端がノードNE2に接続されている。ESD素子CESD5およびCESD6の構成は、実施の形態1の図5Aおよび図5Bに示すESD素子CESD1と同じである。
【0126】
ESD素子CESD5およびCESD6を構成するバックゲート型トランジスタTBG1およびTBG2のバックゲート端子は、制御線LCBG2に接続されている。制御線LCBG2は、静電保護回路制御線の一例であり、検査用パッドPBG2に接続されている。検査用パッドPBG2は、バックゲート用パッドの一例である。
【0127】
点灯検査時は、検査用パッドPBG2に低電圧を与えて高抵抗化させることにより、複数のESD配線LESDを分離できる。また、通常動作時は、検査用パッドPBG2に高電圧を与えて低抵抗化させることにより、ESD配線LESDの相対的な容量を増加させることができる。
【0128】
[2−2.効果等]
本実施の形態の有機ELパネル10Bは、複数のESD配線LESDを接続するESD素子に、バックゲート型トランジスタを用いたESD素子CESD5およびCESD6を用いている。これにより、点灯検査時は、検査用パッドPBG2に低電圧を与えて高抵抗化させ、複数のESD配線LESDを分離することが可能になり、より適切に、表示部11への検査用輝度信号を正常に入力することが可能になる。また、通常動作時は、検査用パッドPBG2に高電圧を与えて低抵抗化させ、ESD配線LESDの相対的な容量を増加させることができる。
【0129】
また、本実施の形態の有機ELパネル10Bは、実施の形態1と同様に、バックゲート型トランジスタを用いて構成されたESD素子(静電保護回路)を介して、点灯検査用の電圧が表示部11に対して印加される。これにより、実施の形態1と同様に、点灯検査時には、バックゲート端子の電圧を調整するのみで、ESD素子を低抵抗化して点灯検査用の信号を正常に入力し、通常動作時には、ESD素子を高抵抗化してリーク電流の増大を抑えるという2つの効果を同時に奏することが可能になる。
【0130】
(実施の形態3)
実施の形態3の表示装置用パネル、当該表示装置用パネルを備えた表示装置、および、表示装置用パネルの検査方法について、図11図13を基に説明する。
【0131】
本実施の形態の表示装置は、実施の形態1の表示装置とは、表示装置用パネル(有機ELパネル)の構成が異なる。なお、表示装置用パネルの検査方法は、実施の形態1と同じである。
【0132】
本実施の形態の表示装置は、実施の形態1と同様に、有機ELディスプレイ100である。有機ELディスプレイ100は、実施の形態1と同様に、有機ELパネル10C(10)、COF20、PCB30、制御部40、および、電源回路(図示せず)等を備えている。なお、COF20、PCB30、制御部40、および、電源回路の構成は、実施の形態1と同じである。
【0133】
[3−1.有機ELパネル(表示装置用パネル)の構成]
本実施の形態の有機ELパネル10Cは、実施の形態1と同様に、映像の表示を行うパネルであり、有機ELディスプレイ100を構成する部品の1つである。図11は、図1の破線で囲んだ部分の拡大図である。
【0134】
有機ELパネル10Cは、図11に示すように、表示部11と、回路部12C(12)とを備えている。なお、表示部11の構成は、実施の形態1と同じである。
【0135】
回路部12Cには、通常動作で用いられる配線およびパッド、および、点灯検査で用いられるテスト回路が形成されている。なお、通常動作で用いられる配線およびパッドの構成は、実施の形態1と同じである。
【0136】
テスト回路には、図11に示すように、検査用パッド、点灯検査用のESD素子CESD1およびCESD2、並びに、複数のESD配線LESD(LESD1およびLESD2)を接続するためのESD素子CESD3およびCESD4等が含まれる。なお、検査用パッド、並びに、ESD素子CESD1〜CESD4の構成は、実施の形態1と同じである。
【0137】
本実施の形態のテスト回路は、さらに、抵抗R1および抵抗R2(第一抵抗回路)を含んでいる。
【0138】
抵抗R1は、検査用パッドPEvenと検査用パッドPBG1との間に設けられている。抵抗R2は、検査用パッドPOddと検査用パッドPBG1との間に設けられている。また、抵抗R1およびR2は、バックゲート端子を備えないESD素子を用いてもよいし、通常の抵抗素子を用いてもよい。抵抗R1および抵抗R2の抵抗値は、例えば、通常動作時におけるESD素子CESD1の抵抗値としてもよい。さらに、抵抗R1および抵抗R2の抵抗値は、同じであってもよいし、異なっていても良い。
【0139】
なお、抵抗R1およびR2は、有機ELパネル10の搬送時あるいは表示装置の製造時等におけるサージ電圧による不具合を低減するために設けられている。
【0140】
以下、パッドPD1から、(1)電圧値の高いサージ電圧が進入した場合および(2)電圧値が低いサージ電圧が進入した場合のそれぞれにおける回路の状態について、図12および図13を基に説明する。
【0141】
図12は、パッドPD1から電圧値の高いサージ電圧が入力された場合のESD素子CESD1の状態を示す回路図である。図13は、パッドPD1から電圧値の低いサージ電圧が入力された場合のESD素子CESD1の状態を示す回路図である。
【0142】
(1)パッドPD1から電圧値の高いサージ電圧が入力された場合、図12に示すように、パッドPD1から、バックゲート型トランジスタTBG1を介して、ESD配線LESD1に電流が逃げる。本実施の形態では、検査用パッドPEvenとPBG1とが抵抗R1により短絡され、同電位となっているため、バックゲートソース間電圧Vbsは、0Vとなる。このため、ESD素子CESD1は低抵抗(バックゲートを備えないトランジスタとほぼ同等の抵抗、図9のIV特性GBGNを参照)となっており、表示部11側に電流が入るのを防止できる。
【0143】
(2)パッドPD1から電圧値の低いサージ電圧が入力された場合、図13に示すように、ESD配線LESD1から、バックゲート型トランジスタTBG2を通って、パッドPD1側に電流が流出する。本実施の形態では、上述したように、抵抗R1により、バックゲートソース間電圧Vbsは0Vであり、ESD素子CESD1は、例えば、図9に示すIV特性GBGNのバックゲートを備えないトランジスタとほぼ同等の抵抗となっている。これにより、表示部11側に電流が入るのを効果的に防止できる。仮に、抵抗R1が無い状態でPBG1に負の電荷が蓄積された場合、Vbs<0の状態で電圧が保持され、例えば図9に示すGBGLのようにESD素子CESD1は高抵抗化することになる。すると、パッドPD1に入力されたサージ電圧を十分ESD配線LESD1に逃がすことが出来なくなる。抵抗R1は上記を防ぐために設けられたバックゲートソース間のバイパス抵抗である。
【0144】
なお、抵抗R1により検査用パッドPEvenと検査用パッドPBG1とが短絡されているため、点灯検査時に、一方の検査用パッドから他方の検査用パッドにリーク電流が生じ、パッドに入力される信号が減衰することが考えられる。しかし、抵抗R1は十分高抵抗であり、かつ、検査用パッドには外部電源から直接信号を入力するため、点灯検査には影響を与えないと考えてよい。具体的には、抵抗R1の抵抗値が1kΩ、検査用パッドPEvenの電圧値と検査用パッドPBG1の電圧値との差であるPAD間電圧が20Vの場合、リーク電流は20mAである。このため、20mAよりも大きい駆動能力の外部電源を用いることで、点灯検査を正常に行うことが可能である。
【0145】
[3−2.効果等]
本実施の形態の有機ELパネル10C(表示装置用パネル)は、搬送時あるいは表示装置の製造時におけるサージ電圧対策用の抵抗R1および抵抗R2を設けている。これにより、搬送時あるいは表示装置の製造時等において、外部からサージ電圧が進入した場合でも、バックゲートソース間電圧Vbsが0Vになるため、ESD素子CESD1およびCESD2が高抵抗化するのを防止することが可能になる。
【0146】
また、本実施の形態の有機ELパネル10Cは、実施の形態1および実施の形態2と同様に、バックゲート型トランジスタを用いて構成されたESD素子(静電保護回路)を介して、点灯検査用の電圧が表示部11に対して印加される。これにより、実施の形態1と同様に、点灯検査時には、バックゲート端子の電圧を調整するのみで、ESD素子を低抵抗化して点灯検査用の信号を正常に入力し、通常動作時には、ESD素子を高抵抗化してリーク電流の増大を抑えるという2つの効果を同時に奏することが可能になる。
【0147】
(実施の形態4)
実施の形態4の表示装置用パネル、当該表示装置用パネルを備えた表示装置、および、表示装置用パネルの検査方法について、図14および図15を基に説明する。
【0148】
本実施の形態の表示装置は、実施の形態1の表示装置とは、表示装置用パネル(有機ELパネル)の構成が異なる。なお、表示装置用パネルの検査方法は、実施の形態1と同じである。
【0149】
本実施の形態の表示装置は、実施の形態1と同様に、有機ELディスプレイ100である。有機ELディスプレイ100は、実施の形態1と同様に、有機ELパネル10D(10)、COF20、PCB30、制御部40、および、電源回路(図示せず)等を備えている。なお、COF20、PCB30、制御部40、および、電源回路の構成は、実施の形態1と同じである。
【0150】
[4−1.有機ELパネル(表示装置用パネル)の構成]
本実施の形態の有機ELパネル10Dは、実施の形態1と同様に、映像の表示を行うパネルであり、有機ELディスプレイ100を構成する部品の1つである。図14は、図1の破線で囲んだ部分の拡大図である。
【0151】
有機ELパネル10Dは、図14に示すように、表示部11と、回路部12D(12)とを備えている。なお、表示部11の構成は、実施の形態1と同じである。
【0152】
回路部12Dには、通常動作で用いられる配線およびパッド、および、点灯検査で用いられるテスト回路が形成されている。なお、通常動作で用いられる配線およびパッドの構成は、実施の形態1と同じである。
【0153】
テスト回路には、図14に示すように、検査用パッド、点灯検査用のESD素子CESD1およびCESD2、並びに、複数のESD配線LESD(LESD1およびLESD2)を接続するためのESD素子CESD3およびCESD4(第二抵抗回路)等が含まれる。なお、ESD素子CESD1〜CESD4の構成は、実施の形態1と同じである。
【0154】
本実施の形態の検査用パッドには、検査用パッドPTR、検査用パッドPTG、検査用パッドPTB、検査用パッドPEven、検査用パッドPOddが含まれる。これらの検査用パッドの構成は、実施の形態1と同じである。
【0155】
本実施の形態では、実施の形態1の検査用パッドPBG1は設けられず、制御線LCBG1は、初期電圧が供給されるパッドVINIに接続される。
【0156】
ここで、パッドVINIは、図4に示す表示画素PIXの駆動トランジスタT5のソース端子(ノードN2)に初期電圧を供給するためのパッドである。この初期電圧は、スイッチング素子T4を介して駆動トランジスタT5のソース端子に入力される。
【0157】
[4−2.電圧設定方法]
本実施の形態の有機ELパネル10Dの電圧設定方法について、図15を用いて説明する。
【0158】
(1)通常動作時
図15は、本実施の形態における通常動作時の表示画素PIXの電圧の設定方法を示す図である。
【0159】
図15に示すように、通常動作時は、ESD素子CESD1は、バックゲート端子の電圧(=VINI)が−6V、信号線DATAの電圧が1.5〜11.5Vとなる。つまり、制御線LCBG1の電圧(−6V)が信号線DATAの電圧(1.5〜11.5V)よりも低いため、ESD素子CESD1は高抵抗となる。これにより、パッドPD1の電圧を表示画素PIXに供給する際、リーク電流を抑えることが可能になる。
【0160】
(2)点灯検査時
点灯検査時は、例えば、実施の形態1と同様に、点灯検査用パッドPTRに10Vを印加し、パッドVINIに20Vを印加してもよい。この時、スイッチング素子T4のゲート端子にはオフ電圧(例えば−5V)を印加しておけば、パッドVINIとノードN2が電気的に切り離されるので、パッドVINIの電圧が点灯検査に影響を与えることはない。このように設定すれば、制御線LCBG1の電圧(20V)がESD配線LESD1の電圧(10V)よりも高いため、ESD素子CESD1は低抵抗となる。これにより、点灯検査用パッドPTRの電圧が表示画素PIXに供給されることになる。
【0161】
[4−3.実施の形態4の変形例]
なお、本実施の形態において、制御線LCBG1を、パッドVINIに接続される電源線以外の配線、例えば、パッドVREFに接続される電源線に接続してもアプリケーションによっては構わない。
【0162】
例えば、図15では通常動作時において、選択された表示画素PIXの信号線DATAに印加される電圧範囲は1.5V〜11.5Vである。この場合、信号線DATAに印加される電圧が3V以上の範囲においては、パッドVREFに接続される電源線の電圧3Vが印加されているESD素子CESD1のバックゲート端子よりも、ソース端子の方が高電圧となり、Vbs<0となって、リーク電流を減少させることが出来る。しかし、信号線DATAに印加される電圧が1.5V〜3Vの範囲においてはVbs>0となり、リーク電流が増加することになる。この場合、高階調の表示画像を主体とする画像(例えば、白い背景色を多用するウェブサイトのような画面)を主に扱うようなアプリケーションにおいては、信号線DATAの電圧がほぼ3V以上となるため、実質的にはリーク電流は殆ど増加することは無く、問題ないと言える。
【0163】
[4−4.効果等]
本実施の形態の有機ELパネル10Dでは、実施の形態1の検査用パッドPBG1を設けず、通常動作で用いられるパッドの1つを、検査用パッドPBG1として用いる(兼用する)ので、バックゲート端子の電圧の制御において、専用の検査用パッドを設ける必要がなくなる。
【0164】
また、本実施の形態の有機ELパネル10Dは、実施の形態1〜実施の形態3と同様に、バックゲート型トランジスタを用いて構成されたESD素子(静電保護回路)を介して、点灯検査用の電圧が表示部11に対して印加される。これにより、実施の形態1〜実施の形態3と同様に、点灯検査時には、バックゲート端子の電圧を調整するのみで、ESD素子を低抵抗化して点灯検査用の信号を正常に入力し、通常動作時には、ESD素子を高抵抗化してリーク電流の増大を抑えるという2つの効果を同時に奏することが可能になる。
【0165】
(他の実施の形態等)
(1)上記各実施の形態では、主に、信号線DATAについて、バックゲート型トランジスタを用いた静電保護回路を適用する場合について説明したが、走査線SCNに適用しても良いし、信号線DATAおよび走査線SCNの両方に適用しても良い。
【0166】
(2)また、上記各実施の形態において、各構成要素(制御部40等)は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。ここで、上記各実施の形態の画像復号化装置などを実現するソフトウェアは、次のようなプログラムである。
【0167】
すなわち、このプログラムは、コンピュータ(表示装置用パネルの検査装置)に、表示装置用パネルに対し、バックゲート型トランジスタの閾値電圧が高くなるように静電保護回路制御線の電圧を調整し、表示装置用パネルの検査を行うステップを実行させる。
【0168】
以上、一つまたは複数の態様に係る表示装置用パネル、表示装置、表示装置用パネルの検査方法について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、一つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0169】
本発明は、例えば、有機ELディスプレイ等の表示装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0170】
10、10A、10B、10C、10D 有機ELパネル
11 表示部
12、12A、12B、12C、12D 回路部
20、21、22 COF
30 PCB
40 制御部
100 有機ELディスプレイ
200、300 ESD素子
201、301 ゲート電極
202、302 ゲート絶縁層
203、303 半導体層
204、304 絶縁層
205、305 ソース電極
206 バックゲート電極
207、306 ドレイン電極
ESD1、CESD2、CESD3、CESD4、CESD5、CESD6 ESD素子
CBG1、LCBG2 制御線
ESD、LESD1、LESD2 ESD配線
Even、POdd、PBG1、PBG2、PTR、PTG、PTB 検査用パッド
D1、PS1、VINI、VREF、VTFT パッド
SCN 走査線
DATA 信号線
REF、ENB、INI 制御線
N1、N2、N3、NE1、NE2 ノード
TBG1、TBG2 バックゲート型トランジスタ
T1、T2、T3、T4 スイッチング素子
T5 駆動トランジスタ
T6、T7 トランジスタ
C1 容量素子
OEL1 有機EL素子
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15