(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の透明封止材用樹脂組成物(以下、単に樹脂組成物ともいう。)は、所定のポリシロキサン(A)(以下、(A)成分ともいう。)、テトラアルコキシシラン類の部分縮合物(B−1)(以下、(B−1)成分ともいう。)及び/又はトリアルコキシシラン類の部分縮合物(B−1)(以下、(B−2)成分ともいう。)並びに所定のアミン(C)(以下、(C)成分ともいう。)を必須成分とする。
【0015】
(A)成分は、下記一般式(1)で示される。
【0016】
【化4】
(式(1)中、R
1はメチル、フェニル基又はトリフルオロプロピル基を表し、平均繰り返し単位数aは30〜1000の整数を表す。)
【0017】
(A)成分は、その主鎖構造が有機性の共有結合(C−C、C−O等)を含まず、シロキサン結合(Si−O−Si)のみによって構成されているため、本発明の硬化物の初期透明性、耐熱性及び耐光性に寄与すると考えられる。そして、(A)成分は、主鎖の両末端にシラノール基(SiOH)が直接結合しており、このシラノール基と後述の(B)成分のアルコキシ基とが(C)成分の存在下で反応(脱アルコール反応)し、本発明の硬化物が形成される。
【0018】
(A)成分は、平均繰り返し単位数aが30以上1000以下であるため、後述の(B)成分と良く相溶し、かつ、本発明の樹脂組成物の透明性、粘度安定性及びハンドリング性、並びにその硬化物の初期透明性、耐熱性及び耐光性等が良好になると考えられる。かかる観点より、aは50以上500以下であるのが好ましい。
【0019】
(A)成分としては、前記式(1)で示されるものであれば各種公知のものを特に制限なく使用できる。また、(A)成分の主鎖は、構造が異なる複数の単位が繰り返されていてもよい。(A)成分の具体的例としては、ポリジメチルシロキサン、ポリジメチルジフェニルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン及びポリトリフルオロプロピルシロキサン等からなる群より選ばれる一種が挙げられる。なお、フェニル基を有する(A)成分を用いると、本発明の硬化物の耐光性がやや損なわれる傾向にあるため、(A)成分としてはフェニル基を有しないポリシロキサンが、具体的にはポリジメチルシロキサン及び/又はポリトリフルオロプロピルシロキサンが好ましい。
【0020】
なお、(A)成分とともに、他の一般的な市販のポリシロキサンを併用してもよい。具体的には、例えば、ポリエーテルやポリカーボネート等を主鎖構造中に含むポリシロキサンや、分子末端がアミノプロピル基、グリシドキシプロピル基、カルビトール基、(メタ)アクリル基等の有機性官能基を持つポリシロキサン等が挙げられる。ただしこれらは有機性の共有結合を含むため、後述の(B)成分と組み合わせても、得られる硬化物の耐熱性が不十分である。
【0021】
(B−1)成分の前駆体であるテトラアルコキシシランとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等が挙げられる。また、(B−1)成分は、該テトラアルコキシシラン類に、そのアルコキシ基の総量を1当量とした場合において、通常0.125〜0.5当量程度となる水を加えて、部分的に加水分解させ、次いで縮合させることにより得られる。(B−1)成分のうち、テトラメトキシシラン部分縮合物及び/又はテトラエトキシシラン部分縮合物は、(C)成分の存在下で前述の(A)成分と速やかに硬化反応し、透明性、粘度安定性及びハンドリング性に優れる樹脂組成物を与えるため好ましい。また、該樹脂組成物より得られる硬化物は初期透明性、耐熱性及び耐光性等に優れ、光取り出し効率も良好になる。
【0022】
(B−2)成分の前駆体であるテトラアルコキシシランとしては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。また、(B−2)成分は、該テトラアルコキシシラン類に、そのアルコキシ基の総量を1当量とした場合において、通常0.125〜0.5当量程度となる水を加えて、部分的に加水分解させ、次いで縮合させることにより得られる。(B−2)成分のうち、メチルトリメトキシシラン部分縮合物及び/又はメチルトリエトキシシラン部分縮合物は、(C)成分の存在下で前述の(A)成分と速やかに硬化反応し、透明性、粘度安定性及びハンドリング性に優れる樹脂組成物を与えるため好ましい。また、該樹脂組成物より得られる硬化物は初期透明性、耐熱性及び耐光性等に優れ、光取り出し効率も良好になる。
【0023】
(A)成分と(B−1)成分及び/又は(B−2)成分の反応物には、それらに由来する遊離のアルコキシ基(好ましくはメトキシ基及び/又はエトキシ基)が含まれており、これらがゾルーゲル反応してナノメートルサイズの微細なシリカ粒子を形成する。それゆえ、本発明の硬化物は初期透明性、耐熱性及び耐光性等に優れると考えられる。
【0024】
(C)成分は、前記(A)成分及び(B)成分を加熱下に反応させる際に用いる硬化触媒である。
【0025】
(C)成分は沸点が5℃〜180℃のアミンであり、各種公知のモノアミン、ジアミン及びアルカノールアミンを使用できる。沸点が5℃未満のものは、室温で気体であり取り扱いが難しく、また硬化触媒として作用する前に本発明の樹脂組成物から揮発する傾向が強い。また、180℃を超えるものは硬化物に残留しやすく、該硬化物の初期透明性、耐熱性及び耐光性のいずれか又は全てが損なわれる傾向にあるためである。かかる観点より(C)成分の沸点は好ましくは30〜170℃である。
【0026】
(C)成分としては、下記一般式(2)で示されるモノアミンが好適である。
【0027】
【化5】
(式(2)中、X
1、X
2及びX
3はそれぞれ水素又は炭素数が1〜6の飽和炭化水素を表す(ただし、X
1、X
2及びX
3が同時に水素である場合を除く。)。)
【0028】
一般式(2)で表される(C)成分の具体例としては、ジメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、n−プロピルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリ−n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、シクロプロピルアミン、n−ブチルアミン、ジ−n−ブチルアミン、イソブチルアミン、メチルエチルアミン、メチルプロピルアミン、エチルプロピルアミン、メチルイソブチルアミン、ジイソブチルアミン、t−ブチルアミン、ジ−t−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、ネオペンチルアミン、メチルペンチルアミン、n−ヘキシルアミン及びシクロヘキシルアミン等からなる群より選ばれる一種が挙げられる。これらの中でも、ジエチルアミン、トリエチルアミン及びジイソプロピルアミンからなる群より選ばれる少なくとも一種は、前記(A)成分及び(B)成分の硬化反応が速やかに進行し、かつ初期透明性、耐熱性及び耐光性等のバランスのとれた硬化物を与えるため、好ましい。
【0029】
本発明の組成物は、前記(A)成分、(B)成分及び(C)成分を各種公知の方法で混合することにより得られる。また、混合順序は特に限定されず、それらを一度に混合したり、(A)成分及び(C)成分を含む組成物を主剤とし、これに(B)成分を配合したりすることもできる。
【0030】
本発明の樹脂組成物における(A)成分と(B)成分の比率は特に限定されないが、通常は、(A)成分100重量部に対する(B)成分の使用量が0.10〜20重量部程度となる範囲である。(B)成分をこの範囲で使用することにより、本発明の樹脂組成物の透明性、粘度安定性及びハンドリング性を維持できるとともに、本発明の硬化物の硬度及び耐クラック性、並びに初期透明性、耐熱性及び耐光性が良好になる。かかる観点より、(B)成分の使用量は、好ましくは(A)成分100重量部に対して0.3〜12重量部程度である。
【0031】
本発明の樹脂組成物における、(C)成分の使用量も特に限定されないが、通常は(A)成分及び(B)成分の合計100重量部に対する(C)成分の使用量が0.05〜5.0重量部程度となる範囲である。(C)成分をこの範囲で使用することにより、(A)成分と(B)成分の硬化反応が円滑に進行するようになり、また、本発明の硬化物の硬度及び耐クラック性、並びに初期透明性、耐熱性及び耐光性が良好になる。かかる観点より、(C)成分の使用量は、(A)成分と(B)成分の合計100重量部に対して0.1〜3.5重量部程度である。
【0032】
本発明の樹脂組成物の物性は特に限定されないが、例えばブルックフィールド型粘度計(ローターNo.M3)で測定される粘度が通常0.10〜15Pa·s/25℃程度である。
【0033】
なお、本発明の樹脂組成物には、その所期の作用効果を大きく損なわない範囲であれば、各種公知の添加剤を配合できる。具体的には、例えば、無機蛍光体、老化防止剤、ラジカル禁止剤、紫外線吸収剤、接着性改良剤、難燃剤、界面活性剤、保存安定改良剤、オゾン劣化防止剤、光安定剤、増粘剤、可塑剤、カップリング剤、酸化防止剤、熱安定剤、導電性付与剤、帯電防止剤、放射線遮断剤、核剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、顔料、金属不活性化剤、物性調整剤、有機溶媒及び無機フィラー等が挙げられる。該無機フィラーは、これを配合することにより、本発明の硬化物の屈折率や樹脂組成物の流動性を適切な範囲に調整したり、その硬度を向上させたりできる。該無機フィラーの種類は特に限定されないが、光学特性を低下させない微粒子状のものが好ましく、例えば、アルミナ、水酸化アルミニウム、溶融シリカ、結晶性シリカ、超微粉無定形シリカ、疎水性超微粉シリカ、タルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等が挙げられる。
【0034】
本発明の硬化物は、本発明の樹脂組成物を熱硬化させることにより得られる。熱硬化は一段階で行ってもよいが、次に述べるように二段階で行うステップキュア法を採用するのが好ましい。即ち、(ア)本発明の樹脂組成物を、(C)成分の沸点未満の温度(例えば20〜50℃程度)で加熱し、(A)成分と(B)成分を脱アルコール反応させることによって一次硬化物とする。その後、(イ)該一次硬化物を、該(C)成分の沸点以上の温度(例えば80〜180℃程度)で加熱し、該一次硬化物中で(B)成分をゾル−ゲル反応させるとともに、該一次硬化物から該(C)成分を揮発させることにより、目的とする硬化物を得ることができる。なお、工程(ア)の加熱時間は通常1〜12時間程度であり、工程(イ)の加熱時間は通常1〜5時間程度である。
【0035】
こうして得られる硬化物は、(A)成分に由来するシロキサン結合(Si−O−Si)を主鎖構造とし、かつ、架橋部位として(A)成分のシラノール基と(B)成分のアルコキシ基からなる構造(Si−R
2−O乃至Si−R
3−O)及び(B)成分のアルコキシ基に由来するシリカ(SiO
2)の構造を有しており、炭素−炭素単結合や炭素−酸素結合といった有機性の共有結合を含まないため、硬度及び耐クラック性、並びに初期透明性、耐熱性及び耐光性等が良好であると考えられる。
【0036】
また、本発明の硬化物には、(C)成分が実質的に残留しておらず、残留しているとしてもその量は50ppm未満、具体的には0.1〜50ppm程度である。当該残留量は、各種公知の手段、例えば、ガスクロマトグラフィー法等により求めることができる。
【0037】
本発明の透明封止材は、本発明の硬化物からなるものであり、前記したように炭素−炭素単結合のような有機性の共有結合を含まないため、長時間加熱したり紫外線等の短波長光に曝したりしても劣化し難く、200nm〜400nm程度の短波長光の光取り出し効率に優れる。よって半導体発光素子、特に発光ダイオード(LED)、とりわけ(UV−LED)やその他高出力の発光素子の透明封止材として有用である。
【0038】
本発明の発光ダイオードは、本発明の透明封止材で各種発光素子を封止成形したものである。該発光素子としては、発光ダイオードに利用可能な発光素子であれば特に限定されず、例えば、サファイヤ基板上に窒化物系化合物半導体等の半導体材料を積層して作製したものが挙げられる。
【0039】
前記発光素子の発光波長は特に限定されず、紫外域から赤外域に亘ってよいが、本発明の発光ダイオードを封止する本発明の硬化物は、200nm〜400nm程度の短波長光の光取り出し効率に優れるため、前記発光素子としては、主発光ピーク波長が400nm以下のものが好適である。また、該発光素子は、一種類を用いて単色発光させてもよいし、複数組み合わせて単色又は多色発光させてもよい。
【0040】
前記発光素子を封止する方法は特に限定されず、公知の手段を適用できる。例えば、底部に発光素子を配置したカップやキャビティ、パッケージ凹部等に、本発明の透明封止材用硬化性シリコーン樹脂組成物を、ディスペンサーその他の手段で注入、加熱して硬化させてもよいし、当該組成物を一旦加熱してある程度流動性をもつ重合物とした後にこれを注入し、更に加熱して硬化させてもよい。
【0041】
前記発光素子を配置する基材の素材は特に限定されず、例えばポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ABS樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリフタルアミド樹脂等が挙げられる。
【0042】
一方、本発明の発光ダイオードは、本発明の樹脂組成物をモールド型枠中にあらかじめ注入し、そこに発光素子が固定されたリードフレーム等を浸漬した後、該組成物を熱硬化させる方法によっても得ることができる。
【0043】
また、本発明の発光ダイオードは、前記発光素子を挿入した型枠中に、本発明の樹脂組成物をディスペンサー等により注入し、トランスファー成形や射出成形等により本発明の樹脂組成物からなる封止層を形成し、これを硬化させる方法や、本発明の樹脂組成物を発光素子上に単に滴下したり、これをコーティングしたりして硬化させる方法、発光素子上に本発明の樹脂組成物を孔版印刷やスクリーン印刷、マスクを介して塗布し、これを硬化させる方法、本発明の樹脂組成物を予め板状或いはレンズ状等に部分硬化或いは完全硬化させたものを前記発光素子上に固定する方法等によって得ることもできる。
【0044】
また、本発明の発光ダイオードの形状も特に限定されず、用途に合わせて適宜変更できる。具体的には、例えば、照明器具等で採用されている砲弾型形状や、表面実装型形状等が挙げられる。
【実施例】
【0045】
以下、実施例及び比較例をあげて本発明を具体的に説明するが、これらによって本発明の範囲は限定されない。なお、各例中、部及び%は特記しない限り重量基準である。
【0046】
実施例1
両末端にシラノール基を有するポリジメチルシロキサン(商品名:YF3057、Momentive製)100重量部、テトラメトキシシラン部分縮合物(商品名:Mシリケート51、多摩化学工業(株)製)5.0部、及びトリエチルアミン(和光純薬(株)製)2.1部を配合し、よく撹拌したのちに真空脱泡し、シリコーン組成物を得た。次いで、該組成物を、硬化後の厚みが1mmになる量で、テフロン(登録商標)コートを施した金型に注入し、25℃で5時間、次いで150℃で1時間加熱することにより、硬化物を得た。
【0047】
実施例2〜5
実施例1において、用いる原料と使用量を表1に示すものに変更した他は同様にして、硬化物を得た。
【0048】
比較例1〜2(特許文献5又は6の樹脂組成物に対応)
実施例1において、用いる原料と使用量を表1に示すものに変更し、かつ表1に示される硬化条件に従い、硬化物を得た。得られた硬化物はいずれも硬化反応が十分に進行しており、ゴム状で適度な硬度を有していた。
【0049】
比較例3〜5
実施例1において、用いる原料と使用量を表1に示すものに変更し、かつ表1に示される硬化条件に従い、硬化物を得た。得られた硬化物はいずれも硬化反応が十分に進行しており、ゴム状で適度な硬度を有していた。
【0050】
比較例6
実施例1において、用いる原料と使用量を表1に示すものに変更し、調製した組成物を表1に示す条件に従い硬化させようとしたが、反応は進行せず、該組成物は液状のまま残った。
【0051】
【表1】
【0052】
(A)1:両末端にシラノール基を有するポリジメチルシロキサン(繰り返し単位数a=430)、商品名「YF3057」、Momentive製
(A)2:両末端にシラノール基を有するポリジメチルシロキサン(繰り返し単位数a=470)、商品名「RHODORSILOILS48V3500」、BLUESTAR SILICONES製
(A)3:両末端にシラノール基を有するポリジフェニルジメチルシロキサン(繰り返し単位数a=350)、商品名「PLY−7661」、NuSil Technology製
(A)4:両末端にシラノール基を有するポリジメチルシロキサン(繰り返し単位数a=80)、商品名「YF3800」、Momentive製
【0053】
(B−1):テトラメトキシシラン部分縮合物、商品名「Mシリケート51」、多摩化学工業(株)製
(B−2):メチルトリメトキシシラン部分縮合物、商品名「MTMS−A」、多摩化学工業(株)製
【0054】
(C)1:トリエチルアミン(沸点90℃)、和光純薬(株)製
(C)2:ジエチルアミン(沸点55℃)、和光純薬(株)製
(C)3:ジイソプロピルアミン(沸点84℃)、和光純薬(株)製
(C)4:シクロヘキシルアミン(沸点134℃)、和光純薬(株)製
【0055】
硬化触媒1:ジブチルスズジラウレート、商品名「ネオスタンU−100」、日東化成(株)製
硬化触媒2:ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート、商品名「ALCH」、川研ファインケミカル(株)製
硬化触媒3:2−エチル−4−メチルイミダゾール(沸点292〜295℃)、商品名「キュアゾール2E4MZ」、四国化成(株)製
硬化触媒4:1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(沸点261℃)、商品名 DBU、サンアプロ(株)製
硬化触媒5:トリブチルアミン(沸点216℃)、和光純薬(株)製
硬化触媒6:酢酸、キシダ化学(株)製
【0056】
比較例7(特許文献3又は4の樹脂組成物に対応)
白金化合物を触媒として含む付加硬化型ポリジメチルシロキサン組成物(ビニル基を有するシリコーンポリマーと、SiH基を有するシリコーンポリマーとの混合物。商品名「KER−2500」、信越化学(株)製)を、硬化後の厚みが1mmになる量で、テフロン(登録商標)コートを施した金型に注入し、100℃で1時間、次いで150℃で5時間加熱することによって、硬化物を得た。
【0057】
比較例8(特許文献3又は4の樹脂組成物に対応)
白金化合物を触媒として含む付加硬化型ポリフェニルメチルシロキサン組成物(ビニル基を有するシリコーンポリマーと、SiH基を有するシリコーンポリマーとの混合物。商品名「OE−6636」、ダウコーニング社製)を、硬化後の厚みが1mmになる量で、テフロン(登録商標)コートを施した金型に注入し、150℃で1時間加熱することによって、硬化物を得た。
【0058】
<硬化物の評価>
(硬化性)
実施例1〜5並びに比較例1〜5及び7〜8の各硬化物は、硬化が十分に進行したゴム状物であり、いずれも硬化性を○と判断した。結果を表2に示す。
【0059】
(初期透過率)
実施例1〜5並びに比較例1〜5及び7〜8の各硬化物のそれぞれについて、紫外可視光の吸収スペクトルを、紫外可視分光光度計V−560(日本分光(株)製)で測定し、300nmにおける透過率を読みとった。そして、その値が80%未満のものを×と、その値が80%以上のものを○とした。結果を表2に示す。
【0060】
(耐光性試験(透過率))
実施例1〜5並びに比較例1〜5及び7〜8の各硬化物のそれぞれを、超促進耐候性試験機(製品名「アイ スーパーUVテスターSUV−F11」、岩崎電機(株)製))内に静置し、波長295〜450nmの光を100mW/cm
2の強度で168h照射した。このとき、各硬化物の温度は55〜60℃であった。その後、各硬化物について、前記同様の方法に従い、300nmにおける紫外線の透過率を読み取った。そして、その値がその値が80%未満のものを×と、80%以上のものを○とした。結果を表2に示す。
【0061】
(耐熱試験(透過率))
実施例1〜5並びに比較例1〜5及び7〜8の各硬化物のそれぞれを、200℃の順風乾燥機内に静置し、168h放置した。その後、各硬化物について、前記同様の方法に従い、300nmにおける紫外線の透過率を読み取った。そして、その値が80%未満のものを×と、80%以上のものを○とした。結果を表2に示す。
【0062】
(耐熱性試験(重量減少))
実施例1〜5並びに比較例1〜5及び7〜8の各硬化物のそれぞれを、200℃の順風乾燥機内に静置し、168h放置した。その後、各硬化物の重さを量り、加熱前の重さと比較して、重量減少率(%)を算出した。そして、その値が70%未満のものを×と、70%以上80%未満のものを△と、80%以上のものを○とした。結果を表2に示す。
【0063】
【表2】