特許第6296353号(P6296353)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6296353
(24)【登録日】2018年3月2日
(45)【発行日】2018年3月20日
(54)【発明の名称】レバーコネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/64 20060101AFI20180312BHJP
   H01R 13/46 20060101ALI20180312BHJP
   H01R 13/629 20060101ALI20180312BHJP
【FI】
   H01R13/64
   H01R13/46 A
   H01R13/629
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-177041(P2014-177041)
(22)【出願日】2014年9月1日
(65)【公開番号】特開2016-51632(P2016-51632A)
(43)【公開日】2016年4月11日
【審査請求日】2017年3月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】特許業務法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 博文
【審査官】 片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−182245(JP,A)
【文献】 特開2008−155747(JP,A)
【文献】 特開2008−103224(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/64
H01R 13/46
H01R 13/629
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタと、
前記コネクタが装着されるコネクタホルダと、
前記コネクタに回動可能に備えられたレバーと、
前記コネクタを前記コネクタホルダの所定の位置にスライドして固定するガイド部とガイド受け部およびロック部とロック受け部を有するロック構造と、
前記レバーに設けられ、前記コネクタが前記所定の位置に装着されていない場合に回動されると、前記コネクタホルダの当接部に当接して前記コネクタを前記所定の位置まで押して矯正する矯正部と、
を備えたレバーコネクタ。
【請求項2】
前記コネクタホルダには前記コネクタが複数装着されるものとされ、
前記当接部が、隣り合う前記コネクタの間に設けられて共用されている請求項1に記載のレバーコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レバーコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コネクタと、コネクタが装着されるコネクタホルダと、回動可能なレバーとを備えたレバーコネクタが知られている。例えば下記特許文献1に記載のレバーコネクタにおいては、コネクタホルダにレバーが回動可能に備えられ、コネクタホルダをコネクタの所定の位置まで押し込んだ後にレバーを回動することで、コネクタホルダとコネクタとの嵌合が進み、やがて完全に嵌合するものとされている。そして、コネクタホルダがコネクタの所定の位置まで至っていない場合には、レバーがコネクタに設けられた受け部に当接して、その回動動作が行えないようになっている。これにより、作業者は、コネクタホルダがコネクタに対して不完全な位置にあることに気付くことができ、コネクタホルダは確実に所定の位置まで押し込まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−103224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のようなレバーコネクタにおいて、コネクタホルダがコネクタに対して不完全な位置にあることに起因してレバーの回動動作が制限されているのにもかかわらず、作業者が、レバーを回動させようとして強い力を加えてしまうことがある。すると、レバーの当接部位に過度の力が作用し、部品の損傷等を招く虞がある。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、レバーの当接部位に部品の損傷を招くほどの過度の力が加わることを防ぐことができ、かつコネクタをコネクタホルダの所定の位置に確実に装着することが可能なレバーコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のレバーコネクタは、コネクタと、前記コネクタが装着されるコネクタホルダと、前記コネクタに回動可能に備えられたレバーと、前記コネクタを前記コネクタホルダの所定の位置にスライドして固定するガイド部とガイド受け部およびロック部とロック受け部を有するロック構造と、前記レバーに設けられ、前記コネクタが前記所定の位置に装着されていない場合に回動されると、前記コネクタホルダの当接部に当接して前記コネクタを前記所定の位置まで押して矯正する矯正部と、を備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、コネクタがコネクタホルダの所定の位置に装着されていない場合にレバーが回動されると、レバーの矯正部がコネクタホルダの当接部に当接してコネクタを所定の位置まで押して矯正し、所定の位置に至ったコネクタはロック部によってコネクタホルダに固定される。したがって、レバーの当接部位に部品の損傷を招くほどの過度の力が加わることを防ぐことができ、かつコネクタを確実に所定の位置に装着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施例におけるレバーコネクタであって、2つのコネクタがコネクタホルダに固定された状態を示す正面図
図2】2つのコネクタがコネクタホルダに固定された状態のレバーコネクタを示す平面図
図3】コネクタホルダを示す平面図
図4】第1ハウジングを示す底面図
図5】レバーが初期位置にあるときのコネクタおよびコネクタホルダを示す平面図
図6】レバーが初期位置にあるときのコネクタおよびコネクタホルダを示す断面図であって、図5のA−A位置における断面に相当する断面図
図7】レバーが初期位置にあるときのコネクタおよびコネクタホルダを示す断面図であって、図5のB−B位置における断面に相当する断面図
図8】レバーが嵌合完了位置にあるときのコネクタおよびコネクタホルダを示す断面図であって、図5のA−A位置における断面に相当する断面図
図9】レバーが嵌合完了位置にあるときのコネクタおよびコネクタホルダを示す断面図であって、図5のB−B位置における断面に相当する断面図
図10】レバーが初期位置と嵌合完了位置との間にあるときのコネクタおよびコネクタホルダを示す平面図
図11】レバーの矯正部がコネクタホルダの当接部を押す様子を示す断面図であって、図10のC−C位置における断面に相当する断面図
図12】コネクタがコネクタホルダの所定の位置に至っていない状態を示す断面図であって、図10のD−D位置における断面に相当する断面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の好ましい形態を以下に示す。
本発明のレバーコネクタは、前記コネクタホルダには前記コネクタが複数装着されるものとされ、前記当接部が、隣り合う前記コネクタの間に設けられて共用されているものとしてもよい。このような構成によれば、コネクタ毎に当接部を設ける場合に比して、コネクタホルダの構造をシンプルにすることができる。
【0010】
<実施例>
以下、本発明を具体化した一実施例について、図1図12を参照しつつ詳細に説明する。
本実施例におけるレバーコネクタは、コネクタ10と、コネクタ10が装着されるコネクタホルダ40とを備え、レバー30は、コネクタ10に回動可能に備えられている。コネクタホルダ40には、略同形のコネクタ10が複数(本実施例では2つ)装着されるものとされ、コネクタホルダ40は車両のボディ等に固定される。
【0011】
コネクタ10は、互いに嵌合可能な雄側のハウジング(以下、第1ハウジングMと称する)と雌側のハウジング(以下、第2ハウジングFと称する)とを備えている。以下、各構成部材において、コネクタ10をコネクタホルダ40に装着する際の装着方向の前側(図2の左側)をそれぞれ前方とし、また、図1の上側を上方、下側を下方として説明する。
【0012】
第2ハウジングFは、合成樹脂によりブロック状に形成されており、その内部には、図7に示すように、電線Wの端末部に固着された雌側の端子金具T2が収容される。第2ハウジングFの左右両側面には、レバー30のカム溝に挿入可能な一対のカムピン21が突設されている。
【0013】
第1ハウジングMは、合成樹脂により形成されており、その内部には電線Wの端末部に固着された雄側の端子金具T1が収容される。第1ハウジングMの前側には、第2ハウジングFが内嵌可能なフード部11が設けられている。
【0014】
フード部11の左右両側面(図6の表裏面)には一対の軸部12が突設されており、ここには第1ハウジングMを跨ぐようにして、レバー30が組み付けられている。
また、フード部11の左右両側面(図6の表裏面)には、図6に示すように、レバー30に設けられた初期ロック部34が係止可能な一対の凸部13が突設されている。凸部13は、初期ロック部34と整合する側面視方形状をなしている。
【0015】
レバー30は、軸部12に対して回動可能に組み付けられる一対のカム板部31と、両カム板部31を連結する操作部32とを備えている。各カム板部31には、軸部12を嵌め込み可能な軸受孔33が設けられている。また、カム板部31の内側(フード部11に接する面側)には、第2ハウジングFのカムピン21を受入可能な図示しないカム溝が設けられている。
【0016】
レバー30は、両ハウジングM,Fの嵌合操作を開始する初期位置(図5図7参照)と、両ハウジングM,Fが完全に嵌合した状態になる嵌合完了位置(図8および図9参照)との間で回動可能とされている。
レバー30が初期位置にあるときには、操作部32はコネクタ10の後側に位置し、操作部32を上前側に移動させるとレバー30が嵌合完了位置に向かって回動する。そして、レバー30が嵌合完了位置に至ったときには、操作部32はコネクタ10の前側に位置する。
【0017】
レバー30には、図6に示すように、レバー30が初期位置にあるときに、コネクタ10の側面に突設された凸部13に係止して、レバー30を初期位置に保持する初期ロック部34が設けられている。初期ロック部34は、カム板部31の周縁部の一部を切り欠くことで形成された凹部であり、互いに略垂直をなす2つの面により構成されている。
【0018】
コネクタ10は、レバー30を初期位置にして両ハウジングM,Fを浅く嵌合させた状態(第2ハウジングFのカムピン21がレバー30のカム溝の入り口に入った状態)でコネクタホルダ40の所定の位置に装着され、レバー30を初期位置から嵌合完了位置まで回動させることで、両ハウジングM,Fが嵌合方向に移動し、正規の嵌合状態に至るものとされている。
【0019】
コネクタホルダ40は、全体として平たい板状をなし、その前端部には、ボディ等に固定される固定部41が設けられている(図3参照)。
コネクタホルダ40には、コネクタ10が装着される装着部42が2つ、左右(図3では上下)に並んで設けられている。コネクタホルダ40に装着された各コネクタ10のレバー30のカム板部31は、図1に示すように、一方がコネクタホルダ40の外側に配され、他方がコネクタホルダ40の左右方向に対する中央部に配される。
【0020】
コネクタホルダ40の幅方向における中央部(一対の装着部42の間)には、レバー30の回動操作時にレバー30のカム板部31の周縁部が入り込む逃がし溝部44が設けられている(図3および図6参照)。逃がし溝部44は、2枚のカム板部31が一度に並べて入ることが可能な幅寸法を有して、前後方向に延びて設けられている。なお、逃がし溝部44の幅寸法は、前後方向に略一定とされている。
【0021】
逃がし溝部44の後端は、後述するガイド部45の後端とほぼ横並びに位置し、前端は、ガイド部45の前端よりも若干後方に位置している。逃がし溝部44の深さ寸法は、図11に示すように、少なくともレバー30のカム板部31の周面が引っかからない程度の寸法を有している。逃がし溝部44の前端面と後端面とはコネクタホルダ40の板面に対して略垂直な面とされている。
【0022】
各装着部42の幅方向における中央部には、コネクタホルダ40にコネクタ10を装着する際に、後述するコネクタ10の弾性片18が通過する経路に沿って通過溝部43が形成されている。通過溝部43は、図3に示すように、コネクタホルダ40の後端から前方に向かって直線状に延びている。
【0023】
コネクタ10とコネクタホルダ40とには、コネクタ10をコネクタホルダ40の所定の位置まで案内するガイド構造と、コネクタホルダ40の所定の位置に装着されるたコネクタ10をコネクタホルダ40に固定するロック構造とが備えられている(図4参照)。
【0024】
ガイド構造は、コネクタホルダ40に設けられたガイド部45と、コネクタ10に設けられたガイド受け部14とを有している。
コネクタホルダ40のガイド部45は、コネクタホルダ40の各装着部42に一対ずつが設けられている(図3参照)。一対のガイド部45は、互いに略平行をなして前後方向に延びている。各ガイド部45は、図1に示すように、コネクタホルダ40の上面から上方に立つガイド脚部46と、ガイド脚部46の上端から左右両側に張り出すガイド張出部47とを備えている。ガイド張出部47の張り出し寸法は、ガイド脚部46を挟んで一方と他方とで異なるものとされている。
【0025】
コネクタ10のガイド受け部14は、図4に示すように、各コネクタ10(第1ハウジングM)の下面の幅方向における両端部に設けられている。ガイド受け部14には、前方からガイド部45が差し入れ可能とされている。
【0026】
ガイド受け部14には、差し入れられたガイド部45のガイド張出部47の下面側に係止するガイド受け片15が設けられている(図1参照)。ガイド受け片15は、第1ハウジングMの幅方向における両端から中央側に向かって張り出す形状をなしている。各ガイド受け片15の張り出し寸法は、係止するガイド張出部47の張り出し寸法と同等とされ、コネクタホルダ40に固定された状態でコネクタホルダ40の中央側に配されるガイド受け片15の張り出し寸法が、外側に配されるガイド受け片15の張り出し寸法よりも大きくされている(図1参照)。
【0027】
そして、ガイド受け部14にガイド部45が差し入れられた状態では、コネクタ10は、上下方向および左右方向の移動を制限された状態で、前後方向への移動のみ許容される。
【0028】
ガイド受け部14の後端部には、差し入れられたガイド部45の後端に当接してコネクタ10の前進を止める止め部16が設けられている(図4参照)。止め部16は、コネクタ10がコネクタホルダ40の所定の位置に至ったときに、コネクタホルダ40のガイド部45に当接するものであり、ガイド受け部14とガイド部45とはロック構造を兼ねている。
【0029】
ロック構造は、図3および図4に示すように、コネクタホルダ40に設けられたロック部48と、コネクタ10に設けられたロック受け部17とを有している。
コネクタホルダ40のロック部48は、図3に示すように、コネクタホルダ40の装着部42に一ずつ設けられている。ロック部48は、各装着部42の幅方向における略中央に配されている。
【0030】
ロック部48の幅方向における中央部には、コネクタ10の弾性片18が係止可能な係止部49が設けられている(図9参照)。係止部49は、通過溝部43の前端寄りの途中位置において通過溝部43の上方に掛け渡された形態で設けられている。係止部49は、弾性片18の係止爪18Nの後面に係止してコネクタ10の後方への移動を制限する。係止部49の前面には、若干下前側に傾く傾斜をなして全体的には略垂直に切り立つ面が形成され、また、係止部49の後面には、係止爪18Nの乗り越えを誘導するべく傾斜した面が形成されている。なお、通過溝部43のうち係止部49と対向する部分には、コネクタホルダ40を上下方向に貫通して開口部51が形成されている。
【0031】
係止部49の両側には、図1に示すように、ロック部48がロック受け部17に差し入れられると、ロック受け部17と係止することで、コネクタ10の上下方向および左右方向の移動を制限する制限部52が設けられている。一対の制限部52は、図3に示すように、通過溝部43の両側に沿って設けられ、その後端部同士が係止部49によって連結された形態とされている。
【0032】
制限部52は、図1に示すように、コネクタホルダ40の上面から上方に立つ制限脚部53と、制限脚部53の上端から左右両側に張り出す制限張出部54とを備えて、前後方向に延びている。制限張出部54は、係止部49とは反対側への張り出し寸法が大きくされている。なお、制限部52の高さ寸法および前後方向の寸法は、いずれもガイド部45の同方向の寸法よりも小さくされている。
【0033】
コネクタ10のロック受け部17は、図4に示すように、第1ハウジングMの下面の幅方向における中央部に設けられている。ロック受け部17の幅方向における中央部には、前方に向かって片持ち状に延び、後端部を支点として上下方向に弾性撓み可能とされた弾性片18が備えられている(図9参照)。弾性片18の前端部には、係止爪18Nが上方に突出して設けられている。弾性片18は、前端から後端に向かって次第に薄くなる(上下方向の寸法が小さくなる)形状とされている。
【0034】
ロック受け部17のうち弾性片18の両側には、図1に示すように、ロック部48に備えられた制限張出部54の下面側に係止するロック受け片19が設けられている。ロック受け片19の張り出し寸法は、係止する制限張出部54の張り出し寸法と同等とされている。
【0035】
さて、レバー30には、コネクタ10がコネクタホルダ40の所定の位置に装着されていない場合に回動されると、コネクタホルダ40の当接部55に当接してコネクタ10を所定の位置まで押して矯正する矯正部35が設けられている(図11参照)。
【0036】
矯正部35は、一対のカム板部31のうち、コネクタ10がコネクタホルダ40に装着された際にコネクタホルダ40の中央側に配されるカム板部31に設けられている。
矯正部35は、初期ロック部34を構成する2つの面のうちレバー30が初期位置から嵌合完了位置に向かう際の回動方向における後側に位置する面とされている。
【0037】
矯正部35は、レバー30が初期位置にあるときには、図6に示すように、コネクタ10の前端部に配され、コネクタ10の下面よりも若干上方の高さに位置している。そして、矯正部35は、レバー30が嵌合完了位置に向かうにつれて後方へ移動するとともにコネクタ10の下面と同等の高さまで下がり、その後、さらに後方へ移動しつつ上昇し、最終的には、図8に示すように、初期に配されていた位置よりも高い位置に至るものとされている。なお、矯正部35は、レバー30が初期位置にあるときには略水平に配される。
【0038】
当接部55は、コネクタホルダ40のうち一対の装着部42の間(隣り合うコネクタ10の間)に設けられている。当接部55は、図11に示すように、コネクタホルダ40に形成された逃がし溝部44の後端面とされ、隣接するコネクタ10によって共用されている。
【0039】
次に、上記のように構成されたコネクタ10をコネクタホルダ40に固定する作業の一例について説明する。
まず、一対のハウジングM,Fを浅く嵌合する。レバー30を初期位置におき、両ハウジングM,Fの前面側を対向させ、第1ハウジングMのカムピン21がレバー30のカム溝の入り口に進入した状態にする。
【0040】
次に、コネクタ10をコネクタホルダ40に装着する。コネクタ10のガイド受け部14に、コネクタホルダ40のガイド部45が前方から挿入されるようにして、コネクタ10をコネクタホルダ40の上面に沿って後方から前方に向けてスライド移動させる。コネクタ10を前方へ押すと、ガイド部45およびガイド受け部14に案内されてコネクタ10は前進し、やがて所定の位置に至ると、ロック受け部17にロック部48が差し入れられてコネクタ10が固定される。この際、ロック受け部17の弾性片18が、下側に弾性変形してロック部48の係止部49を乗り越えた後、弾性復帰して係止部49の前面側に係止する。また、ガイド受け部14の止め部16がガイド部45の後面に突き当たる。これにより、コネクタ10は前後方向の移動が制限された状態になる。
【0041】
次に、レバー30を嵌合完了位置に向けて回動させ、両ハウジングM,Fを完全嵌合状態に至らしめる。レバー30の回動操作に伴って、カムピン21とカム溝との係合によるカム作用により、両ハウジングM,Fが互いに引き寄せられる。この際、カム板部31の周縁部は逃がし溝部44に入り込み、レバー30はスムーズに回動される。そして、レバー30が嵌合完了位置にいたると、図9に示すように、両ハウジングM,Fは雄雌の端子金具T1,T2が電気的に接続された完全嵌合状態になる。
【0042】
ところで、図12に示すように、コネクタ10がコネクタホルダ40の所定の位置に装着されていないにもかかわらず、レバー30の回動動作がなされる場合がある。このような場合には、コネクタ10が所定の位置よりも後方に位置しているため、図11に示すように、回動されたレバー30の矯正部35がコネクタホルダ40の当接部55に当接してレバー30の回動が途中で止まる。これにより、作業者は、コネクタ10が所定の位置に装着されていないことに気づくから、コネクタ10を所定の位置に装着しなおし、引き続きレバー30の回動動作を行うことで、両ハウジングM,Fを完全嵌合状態に至らしめることができる。
【0043】
ここで、作業者が、レバー30に強い力を加えて、レバー30の回動を続けようとする場合がある。そのような場合には、矯正部35が当接部55を押してレバー30が回動し、それに伴ってコネクタ10が前方に移動する。そして、コネクタ10は所定の位置に至り、先述のようにロック構造により固定される。また、レバー30の矯正部35が当接部55から離れ、レバー30はスムーズに回動されて嵌合完了位置に至り、両ハウジングM,Fは完全嵌合状態になる。
こうして、コネクタ10をコネクタホルダ40に固定する作業が完了する。
【0044】
次に、上記のように構成された実施例の作用および効果について説明する。
本実施例のレバーコネクタは、コネクタ10と、コネクタ10が装着されるコネクタホルダ40と、コネクタ10に回動可能に備えられたレバー30と、コネクタ10がコネクタホルダ40の所定の位置に装着されるとコネクタ10をコネクタホルダ40に固定するロック構造とを有し、レバー30には、コネクタ10が所定の位置に装着されていない場合に回動されると、コネクタホルダ40の当接部55に当接してコネクタ10を所定の位置まで押して矯正する矯正部35が設けられている。
【0045】
この構成によれば、コネクタ10がコネクタホルダ40の所定の位置に装着されていない場合にレバー30が回動されると、レバー30の矯正部35がコネクタホルダ40の当接部55に当接してコネクタ10を所定の位置まで押して矯正し、所定の位置に至ったコネクタ10はロック構造によってコネクタホルダ40に固定される。したがって、レバー30の当接部位に部品の損傷を招くほどの過度の力が加わることを防ぐことができ、かつコネクタ10を確実に所定の位置に装着することができる。
【0046】
また、コネクタホルダ40にはコネクタ10が複数装着されるものとされ、当接部55が、隣り合うコネクタ10の間に設けられて共用されている。この構成によれば、コネクタ毎に当接部を設ける場合に比して、コネクタホルダ40の構造をシンプルにすることができる。
【0047】
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施例では、矯正部35がレバー30の周縁部に設けられているが、これに限らず、例えば、当接部をコネクタホルダの上面に立設し、矯正部をカム板部の板面に突設してもよい。
(2)上記実施例では、矯正部35が初期ロック部34を構成する面とされているが、これに限らず、矯正部と初期ロック部とを別々に設けても良い。
(3)上記実施例では、2つのコネクタ10において当接部55が共用されているが、これに限らず、各コネクタに一ずつ当接部を設けても良い。
(4)上記実施例では、一対のカム板部31のうち一方のカム板部31のみに矯正部35が設けられているが、これに限らず、一対のカム板部の両方に矯正部を設けても良い。
(5)上記実施例では、1のコネクタホルダ40に2のコネクタ10が装着される場合について説明したが、これに限らず、1のコネクタホルダに1のコネクタのみ、または3以上のコネクタが装着されるものとしてもよい。
(6)上記実施例では、レバー30は、雄側のハウジングMに組み付けられているが、これに限らず、レバーは雄雌いずれのハウジングに組み付けられていてもよい。
(7)上記実施例では、ロック構造として、ガイド受け部14、ロック受け部17、ガイド部45およびロック部48が備えられているが、ロック構造の具体的な構造は、コネクタをコネクタホルダの所定の位置にスライドして固定可能であれば、どのような構造であってもよい。
【符号の説明】
【0048】
10…コネクタ
14…ガイド受け部
17…ロック受け部
40…コネクタホルダ
45…ガイド部
48…ロック部
30…レバー
35…矯正部
55…当接部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12