(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の好ましい形態を以下に示す。
本発明のレバー付きコネクタは、前記端子金具が電線の端末部に接続され、前記ハウジングの後面から前記電線が後方に引き出され、前記ハウジングの後面に、前記電線の引出部分を覆う電線カバーが、前記並び方向に交差する交差方向にスライドして取り付けられるものとされ、前記ハウジングの前記並び方向における前記ガイド溝の形成範囲内に、前記電線カバーのスライド動作を案内する案内リブが設けられているものとしてもよい。このような構成によれば、ガイド溝と案内リブとを端子収容部とレバー収容部との並び方向にずらして設ける場合に比して、コネクタの端子収容部とレバー収容部との並び方向の寸法をコンパクトにすることができる。
【0010】
また、本発明のレバー付きコネクタは、前記ハウジングのうち前記ガイド溝の内側に位置する部分に肉抜き部が設けられているものとしてもよい。このような構成によれば、ハウジングのうちガイド溝の内側に位置する部分が厚くなってヒケが生じることを防ぐことができる。
【0011】
また、本発明のレバー付きコネクタは、前記肉抜き部に、補強壁が設けられているものとしてもよい。このような構成によれば、ヒケが生じることを防ぎつつハウジングの強度を高めることができる。
【0012】
また、本発明のレバー付きコネクタは、前記端子収容部に、前記端子金具が個別に収容される端子収容室が、前記交差方向に複数並べて設けられ、前記補強壁が、前記端子収容室の間を仕切る隔壁に前記並び方向に連なって設けられているものとしてもよい。このような構成によれば、補強壁が隔壁からずれている場合に比して、ハウジングの強度を増すことができる。
【0013】
<実施例>
以下、本発明を具体化した一実施例について、
図1〜
図10を参照しつつ詳細に説明する。
本実施例におけるレバー付きコネクタは、互いに嵌合可能なコネクタのうち一方のコネクタ(以後、第1コネクタ10と称する)に備えられたレバー30を回動操作することにより他方のコネクタ(以後、第2コネクタ40と称する)との嵌合または離脱がなされるものである。以下、各構成部材において、互いの嵌合面側をそれぞれ前方とし、また、
図6における上側(後述する第1ハウジング11においてレバー収容部14が設けられた側)を上方、下側(同端子収容部13が設けられた側)を下方として説明する。
【0014】
第2コネクタ40は、基板に固定される基板用コネクタであり、合成樹脂製のハウジング(以後、第2ハウジング41と称する)と、L字形に屈曲された複数の雄側の端子金具(以後、第2端子金具42と称する)とを備えている。
【0015】
第2ハウジング41には、
図3に示すように、第1コネクタ10が個別に嵌合されるコネクタ嵌合部43が複数(本実施例では3つ)設けられている。
各コネクタ嵌合部43は前方に開口したフード部44を備え、このフード部44の内側に第1コネクタ10が嵌合される。各コネクタ嵌合部43には、第2端子金具42が、その先端部をフード部44の内側に突出させた状態で取り付けられている。また、各コネクタ嵌合部43には、第1コネクタ10を嵌合する過程で、第1コネクタ10に保持された雌側の端子金具(以後、第1端子金具12と称する)を短絡する図示しないショート端子の短絡状態を解除する短絡解除部45が、フード部44の内側に突出して設けられている。
【0016】
各コネクタ嵌合部43のフード部44の上壁には、円柱状をなすカムピン46が下方に向かって(フード部44の内部空間に向かって)突出して形成されている。カムピン46は、フード部44の前後方向における中央よりも前端寄りの位置に設けられている。
【0017】
また、各コネクタ嵌合部43のフード部44の上壁には、レバー30の初期ロックを解除するためのロック解除部47が下方に向かって突出して形成されている。ロック解除部47は、フード部44の前端から後端に至るまで前後方向に直線状に延びて設けられている。
【0018】
各コネクタ嵌合部43の下壁には、第1コネクタ10の下面に突設された複数(本実施例では3つ)の嵌合リブ28がそれぞれ前方から嵌合可能な嵌合溝49が設けられている(
図3参照)。嵌合溝49は、全てのコネクタ嵌合部43において同じ位置に設けられた第1嵌合溝49Fと、コネクタ嵌合部43毎に異なる位置に設けられた第2嵌合溝49Sとを有している。第1嵌合溝49Fは、各コネクタ嵌合部43の左右方向の両端に寄った位置に一対が設けられている。第2嵌合溝49Sは、一対の第1嵌合溝49Fの間に配されている。
そして、フード部44の内周面には、ガイドリブ48が突設されている。ガイドリブ48については後ほど詳しく説明する。
【0019】
第1コネクタ10は、合成樹脂製のハウジング(以後、第1ハウジング11と称する)と、複数の第1端子金具12と、隣り合う一対の第1端子金具12を短絡させる図示しないショート端子とを備えている。
【0020】
第1コネクタ10が第2コネクタ40に嵌合される前においては、ショート端子が対応する一対の第1端子金具12に接触することでそれらを短絡させ、第1コネクタ10が第2コネクタ40に嵌合されると、第2ハウジング41の短絡解除部45によりショート端子と第1端子金具12とが非接触状態になり、第1端子金具12間の短絡状態が解除される。
【0021】
第1ハウジング11は、第1端子金具12が収容される端子収容部13と、レバー30が収容されるレバー収容部14と、を有し、全体として、第2ハウジング41のフード部44内に嵌合可能な略方形のブロック状をなしている。
【0022】
第1コネクタ10には、第2コネクタ40のガイドリブ48が嵌合可能なガイド溝15が設けられ、第1ハウジング11のうちガイド溝15の内側に位置する部分には、肉抜き部16が設けられている。ガイド溝15および肉抜き部16については後ほど詳しく説明する。
【0023】
端子収容部13には、第1端子金具12が個別に収容される端子収容室13Rが複数設けられている。複数の端子収容室13Rは、上下方向に複数段に分けられるとともに、各段に左右方向に並べて配されている。各段には同数の端子収容室13Rが、左右方向に同一ピッチで配されている。
【0024】
各端子収容室13Rには、電線Wの端末部に接続された第1端子金具12が後方から挿入されて収容される。端子収容室13Rに正規の位置まで挿入された第1端子金具12は、端子収容室13Rに設けられた図示しないランスが係止することにより抜け止めされる。各端子収容室13Rに第1端子金具12が収容されると、第1ハウジング11の後面から電線Wが後方に引き出された状態となる。
【0025】
端子収容部13の前面側には、フロントホルダ29が取り付けられている(
図1参照)。フロントホルダ29は、端子収容部13の前面の略全体を覆うことが可能な形状に形成されている。フロントホルダ29により、各端子収容室13Rの前壁が構成されるとともに、後述する肉抜き部16の前端側が塞がれる。
【0026】
端子収容部13には、第1端子金具12を係止するリテーナ26が備えられている(
図6参照)。リテーナ26は、端子収容部13の前後方向の略中央部に設けられたリテーナ装着部27に装着されている。リテーナ装着部27は、端子収容部13の下面側に開口するとともに、最上段の端子収容室13Rまで上下方向に連通している。リテーナ装着部27に装着されたリテーナ26は、第1端子金具12に係止する部分が端子収容室13Rから下側に退避する仮係止位置と、第1端子金具12に係止する部分が端子収容室13Rに進入する本係止位置との間を上下方向に移動可能とされている。
【0027】
第1ハウジング11の下面には、第2コネクタ40に設けられた3つの嵌合溝49にそれぞれ嵌合可能な3つの嵌合リブ28が突設されている(
図1参照)。嵌合リブ28は、第2コネクタ40に嵌合される全ての第1コネクタ10において同じ位置に設けられた第1嵌合リブ28Fと、第1コネクタ10毎に異なる位置に設けられた第2嵌合リブ28Sとを有している。第2嵌合リブ28Sは、各第1コネクタ10が嵌合されるべきコネクタ嵌合部43に設けられた第2嵌合溝49Sに対応する位置に設けられている。そして、第1コネクタ10とコネクタ嵌合部43とが適正な組み合わせで嵌合されるときには、すべての嵌合リブ28が嵌合溝49に嵌合され、第1コネクタ10とコネクタ嵌合部43とが誤った組み合わせで嵌合されようとすると、第1嵌合リブ28Fの先端部が第1嵌合溝49Fに嵌合した後に第2嵌合リブ28Sがフード部44の前端に突き当たって、誤嵌合が防がれるようになっている。
【0028】
第1ハウジング11の後面には、
図4に示すように、電線Wの引出部分を覆う電線カバー50が、左右方向(電線Wの引出方向とは交差する方向)にスライドして取り付けられる。第1ハウジング11の後面には、電線カバー50の前縁部が係止して左右方向にスライドされるスライド部17が設けられている。
【0029】
スライド部17は、
図10に示すように、第1ハウジング11の上下両側に設けられ、いずれも後側および左右両側に開放された空間とされている。これにより、電線カバー50は、左右方向の向きを変えて第1ハウジング11に取り付けることが可能とされている。なお、スライド部17の深さ寸法(前後方向の寸法)は、上下方向の寸法よりも若干大きくされている。
【0030】
上側のスライド部17(以後、上側スライド部17Uと称する)と、下側のスライド部17(以後、下側スライド部17Sと称する)とは、同等の大きさとされている。上側スライド部17Uは、ガイド溝15とほぼ同じ高さ位置に形成され、上下方向の寸法はガイド溝15の上下方向の寸法と同等とされている。下側スライド部17Sは、第1ハウジング11の下面に一段下側に突出して設けられている。各スライド部17の左右両端部には、電線カバー50のカバー係止片53が係止可能なカバー係止部18が設けられている(
図5参照)。
【0031】
上側スライド部17Uの下壁および下側スライド部17Sの上壁は、
図2に示すように、第1ハウジング11の全幅に設けられている。また、上側スライド部17Uの上壁は、第1ハウジング11の左右両端部を残した全幅にわたり設けられている。下側スライド部17Sの下壁は、第1ハウジング11の左右方向における略中央部のみに設けられている。この下壁は、第1コネクタ10が電線カバー50を取り付けないで使用される場合に、第2コネクタ40との嵌合作業時に指を当てやすい指当て部19とされている。
各スライド部17には、電線カバー50のスライド動作を案内する案内リブ20が設けられている。なお、案内リブ20については、後ほど詳しく説明する。
【0032】
レバー収容部14は後方に開口し、後方からレバー30が組み付けられるようになっている。レバー収容部14は、第1ハウジング11の上面の幅方向略全体にわたる大きさを有している。
【0033】
レバー収容部14には、
図9に示すように、第2コネクタ40のカムピン46を受け入れる第1受入路21と、ロック解除部47を受け入れる第2受入路22とが設けられている。第1受入路21および第2受入路22はいずれもレバー収容部14の前端から後方に向かって直線状に延びている。第1受入路21は第1ハウジング11の幅方向における略中心部に位置し、第2受入路22は第1ハウジング11の幅方向における一端側に位置している。
【0034】
また、レバー収容室14には、レバー30に設けられた初期ロック片34が係止可能な係止受け部23が設けられている。係止受け部23は、レバー収容室14の後端寄りの位置において第2受入路22に突出する突起である。
【0035】
レバー30は回動式のレバー30であって、合成樹脂製で平板状をなすカム板部31と、レバー30を回動する際に指を当てて操作する操作部32とを備えている。レバー30のカム板部31は、僅かなクリアランスをもってレバー収容部14に組み付けられ、操作部32は、レバー収容部14から後方に突出した状態になる。
【0036】
カム板部31の上面には、第2コネクタ40のカムピン46が係合するカム溝33が形成されている。カム溝33は、カム板部31の端縁から中心側に延びる凹部であり、レバー30が初期位置にあるときには、カム溝33の入口が第1受入路21に位置し、カム溝33へのカムピン46の受け入れが可能となる。
【0037】
カム板部31には、レバー30が初期位置にあるときに、レバー収容室14の係止受け部23に係止してレバー30を初期位置に保持する初期ロック片34が設けられている。初期ロック片34は、カム溝33の入り口近傍からレバー30の回動方向(レバー30が初期位置から嵌合位置に回動する方向)に向かって片持ち状に延出して設けられている。初期ロック片34の延出方向の先端部が、係止受け部23に係止するものとされている。
【0038】
電線カバー50は、
図10に示すように、前面側が開放された断面U字形状をなすとともに、左右方向における一端側のみが開放された形態をなし、第1ハウジング11から引き出された電線Wは、電線カバー50内において屈曲されて開放側(以後、カバー開口部51と称する)から引き出される。なお、電線カバー50の左右方向の寸法は、第1ハウジング11の左右方向の寸法とほぼ同じとされている。
【0039】
電線カバー50の前縁部には、
図4および
図5に示すように、左右方向(スライド方向)に延びるスライド溝52が形成されている。スライド溝52は、電線カバー50の上下両側に設けられ、左右方向における一方の側(カバー開口部51側)が開口し、他方の側が閉塞されている。このスライド溝52には、後述する案内リブ20が入り込むものとされている。
【0040】
電線カバー50の左右方向の一端側には、正規の位置までスライドされた電線カバー50の位置を保持するべく、第1ハウジング11のカバー係止部18に係止するカバー係止片53が設けられている。カバー係止片53は、電線カバー50のカバー開口部51とは反対側の端部(取付時のスライド方向における後側の端部)に設けられている。カバー係止片53は、取付時のスライド方向における後方(
図4では下方向)に向かって片持ち状をなして延びている。
【0041】
さて、第2コネクタ40のフード部44の内周面には、
図3に示すように、ガイドリブ48が突設されている。ガイドリブ48は、フード部44の左右両側に一対が設けられている。一対のガイドリブ48はほぼ同じ高さ位置であって、上下方向における中央よりも上端寄りの位置に設けられている。一対のガイドリブ48は左右に対称な形状をなし、各ガイドリブ48を前方から見ると、左右方向の寸法(フード部44からの突出寸法)が、上下方向の寸法よりも若干大きい長方形状をなしている。各ガイドリブ48の下面は、フード部44の内周面から略直角に立つ略水平な面とされ、上面は、内端縁(突出端縁)から外端縁(フード部44の内周面)に向かって次第に下がるように緩く傾斜した面とされている。
【0042】
ガイドリブ48は、
図6に示すように、フード部44の前端よりも少し後側に入った位置であって、カムピン46よりも前側の位置から後方に直線状に延びている。ガイドリブ48の後端はフード部44の奥壁(後端)に至っている。
【0043】
そして、第1コネクタ10には、フード部44の内周面に突設されたガイドリブ48が上下方向に隙間なく嵌り合うガイド溝15が設けられている。ガイド溝15は、端子収容部13とレバー収容部14との間に設けられている。ガイド溝15は、
図1に示すように、第1ハウジング11の左右両側面に凹み形成された溝であり、前方に開放されている。各ガイド溝15は、フード部44のガイドリブ48に整合する形状に形成され、下面が略水平をなすとともに上面が緩く傾斜している。一対のガイド溝15は、上下方向の位置がほぼ同じであり、左右に対称な形状をなしている。一対のガイド溝15は、第1ハウジング11の上下方向の中心よりも上端寄りに位置している。
【0044】
各ガイド溝15は、
図6に示すように、第1ハウジング11の前端から後方に延び、その後端は第1ハウジング11の後面に近い位置に至っている。なお、第1ハウジング11のうちガイド溝15よりも後側の部分は、電線カバー50に備えられたカバー係止片53が左右方向から係止可能なカバー係止部18とされている。
【0045】
そして、第1ハウジング11の後面には、電線カバー50のスライド動作を案内する案内リブ20が設けられている。案内リブ20は、各スライド部17の後端に立設されている。案内リブ20は、各スライド部17の前後方向の寸法の略半分程度の厚さ寸法を有する壁状をなしている。案内リブ20の寸法は、電線カバー50の前縁部がスライド部17に隙間なく入り込むことが可能なように設定されている。また、上側スライド部17Uの案内リブ20と下側スライド部17Sの案内リブ20とは、
図6に示すように、側方から見ると略同形状をなしている。上側スライド部17Uの案内リブ20は、第1ハウジング11の上下方向におけるガイド溝15の形成範囲内に設けられている。
【0046】
案内リブ20は、
図2に示すように、各スライド部17に複数ずつ設けられている。本実施例では、上側スライド部17Uには案内リブ20が3つ、下側スライド部17Sには案内リブ20が2つ設けられている。
【0047】
上側スライド部17Uの案内リブ20は、第1ハウジング11の左右方向の略中央に1つと、その両側に一対が設けられている。上側スライド部17Uの中央部に設けられた案内リブ20(以後、中央案内リブ20Cと称する)の大きさは、他の2つの案内リブ20に比して左右方向には大きくされ、上下方向には小さくされている。中央案内リブ20Cの左右方向の寸法は、指当て部19の左右方向の寸法よりも若干大きくされている。中央案内リブ20Cと、その両側の案内リブ20とは同等の間隔をあけて配置され、また両側の案内リブ20は同じ形とされている。言い換えると、中央案内リブ20Cの左右方向中心線において上側スライド部17Uの案内リブ20は左右方向に対称とされている。
【0048】
下側スライド部17Sの案内リブ20は、第1ハウジング11の左右方向の中心に対して左右に一対が設けられ、一対の案内リブ20はほぼ同じ大きさとされている。一対の案内リブ20の間の中央に指当て部19が位置している。
【0049】
第1ハウジング11のうちガイド溝15の内側に位置する部分には肉抜き部16が設けられている(
図2参照)。肉抜き部16は、左右方向の両端部を残してその中央部の略全体に設けられている。肉抜き部16は、後方から見ると、左右方向に偏平な長方形状をなし、第1ハウジング11の端子収容部13の上側を前後方向に貫通している。
【0050】
肉抜き部16には、補強壁24が設けられている。補強壁24は、肉抜き部16の上面と下面とに連結されて略垂直に立ち、肉抜き部16を左右方向に分けている。補強壁24は、上側スライド部17Uの案内リブ20とは左右方向にずれて設けられ、肉抜き部16を介して端子収容部13の前面側に臨んでいる。補強壁24は、中央案内リブ20Cの両側に一対が設けられている。補強壁24は、前後方向に連続して形成され、その後端は、スライド部17の近傍に至っている。
【0051】
一対の補強壁24は、
図8に示すように、いずれも端子収容室13Rの間を仕切る隔壁に上方向に連なって設けられている。なお、補強壁24と連なった隔壁は、第1ハウジング11の下端まで略垂直に垂下している。そして、補強壁24、補強壁24が連なった隔壁、および端子収容部13の上壁は略直角に交差し、補強壁24の下端には、端子収容部13の上壁と隔壁とが十字形状に交差してクロス部25が形成されている。
【0052】
次に、第1コネクタ10を第2コネクタ40に嵌合する作業の一例について説明する。
まず、第1コネクタ10のレバー30を初期位置にするとともに電線カバー50を取り付ける。
図4に示すように、電線カバー50のカバー開口部51側をスライド方向の先方に配して、全ての電線Wを電線カバー50内に収容しつつ、第1ハウジング11の左端または右端から電線カバー50の前縁部をスライド部17に差し入れる。すると、電線カバー50のスライド溝52に第1ハウジング11の案内リブ20が入り込む。電線カバー50をスライドさせると、電線Wが電線カバー50内において屈曲し、電線カバー50のカバー開口部51が第1ハウジング11の反対側の端まで至る。そして、
図5に示すように、カバー係止片53がカバー係止部18に係止し、反対方向へのスライド移動が制限される。また、案内リブ20がスライド溝52の閉塞された端部に到達し、さらなるスライド動作が制限される。そして、案内リブ20とスライド溝52とが前後方向に係止していることにより、電線カバー50の前後方向の離脱が制限される。こうして電線カバー50の取り付けが完了する。
【0053】
次いで、
図7(電線カバー50および電線Wは図示せず)に示すように、第1コネクタ10をコネクタ嵌合部43のフード部44内に浅く嵌合させる。すると、ガイドリブ48の前端部がガイド溝15の前端部に進入し、その後、
図8に示すように、嵌合リブ28が嵌合溝49に嵌合する。そして、カムピン46が第1受入路21からカム溝33の入口に進入し、また、ロック解除部47が第2受入路22から進入して初期ロック片34と係止受け部23との係止状態を解除する。これにより、初期位置にあるレバー30の回動操作が許容された状態になる。
【0054】
次に、レバー30を回動する。レバー30の操作部32を押圧してレバー30を嵌合位置側へ回動させると、カムピン46とカム溝33との係合によるカム作用によって第1コネクタ10がコネクタ嵌合部43に引き寄せられ、フード部44に対する第1コネクタ10の嵌合が進む(
図9参照)。
【0055】
この嵌合過程では、第1コネクタ10の上側が下側よりも相対的に先に進もうとして第1コネクタ10が前のめりになろうとすると、ガイドリブ48とガイド溝15とが上下方向に当接するから傾くことが制限される。したがって、第1コネクタ10は、フード部44内を傾くことなく、すなわち第1端子金具12が第2端子金具42と略平行に配される正しい姿勢を保持したまま前進する。そして、第1コネクタ10がフード部44に対して正規の嵌合位置に至ると、各短絡解除部45により特定の第1端子金具12間のショート端子による短絡状態が解除され、また、各第1端子金具12と第2端子金具42とが電気的に接続された状態になる。こうして、第1コネクタ10を第2コネクタ40の1つのコネクタ嵌合部43に嵌合する作業が完了する。このような嵌合作業を3つの第1コネクタ10について行うと、全ての第1コネクタ10を第2コネクタ40に嵌合する作業が完了する。
【0056】
次に、上記のように構成された実施例の作用および効果について説明する。
本実施例のレバー付きコネクタは、互いに嵌合可能な第1コネクタ10および第2コネクタ40のうち第1コネクタ10に備えられたレバー30を操作することにより第2コネクタ40との嵌合または離脱がなされるものであり、第1コネクタ10が、第2コネクタ40に設けられたフード部44の内側に嵌合されるものとされ、第1コネクタ10の第1ハウジング11は、第1端子金具12が収容される端子収容部13と、レバー30が収容されるレバー収容部14と、を有し、端子収容部13とレバー収容部14との間に、フード部44の内周面に突設されたガイドリブ48が上下方向に嵌り合うガイド溝15が設けられている。
【0057】
この構成によれば、レバー30に近い位置、すなわちレバー30の操作によって前傾しがちな位置において、ガイドリブ48とガイド溝15とが上下方向に当接するから、第1コネクタ10を第2コネクタ40のフード部44に嵌合する際に第1コネクタ10の姿勢が傾くことを防ぐことができる。
【0058】
また、第1端子金具12が電線Wの端末部に接続され、第1ハウジング11の後面から電線Wが後方に引き出され、第1ハウジング11の後面に、電線Wの引出部分を覆う電線カバー50が、左右方向にスライドして取り付けられるものとされ、第1ハウジング11の上下方向におけるガイド溝15の形成範囲内に、電線カバー50のスライド動作を案内する案内リブ20が設けられている。
この構成によれば、ガイド溝15と案内リブ20とを上下方向にずらして設ける場合に比して、第1コネクタ10をコンパクトにすることができる。
【0059】
また、第1ハウジング11のうちガイド溝15の内側に位置する部分に肉抜き部16が設けられている。この構成によれば、第1ハウジング11のうちガイド溝15の内側に位置する部分が厚くなってヒケが生じることを防ぐことができる。
また、肉抜き部16に、補強壁24が設けられている。この構成によれば、ヒケが生じることを防ぎつつ第1ハウジング11の強度を高めることができる。
【0060】
また、端子収容部13に、第1端子金具12が個別に収容される端子収容室13Rが、左右方向に複数並べて設けられ、補強壁24が、端子収容室13Rの間を仕切る隔壁に上方向に連なって設けられている。この構成によれば、補強壁24が隔壁からずれている場合に比して、第1ハウジング11の強度を増すことができる。
【0061】
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施例では、第2コネクタ40に複数の第1コネクタ10が嵌合される形態のレバー付きコネクタについて説明したが、これに限らず、本発明は、例えば、第2コネクタと第1コネクタとが一対一で嵌合するものにも適用することができる。
(2)上記実施例では、第2コネクタ40が基板用コネクタである場合について説明したが、これに限らず、本発明は、第2コネクタが基板用コネクタではない場合にも適用することができる。
(3)上記実施例では、ガイド溝15が第1ハウジング11の左右両側面に設けられているが、これに限らず、ガイド溝を第1ハウジングの左右両側面のうちいずれか一方の面のみに設けてもよい。
(4)上記実施例では、案内リブ20は、各スライド部17に複数ずつ設けられているが、案内リブの数は適宜変更することができる。
(5)上記実施例では、肉抜き部16は、第1ハウジング11の端子収容部13上部を前後方向に貫通しているが、これに限らず、例えば肉抜き部は、第1ハウジングの端子収容部を前後方向に貫通していない凹みであってもよい。
(6)上記実施例では、補強壁24が、端子収容室13Rの間を仕切る隔壁に上方向に連なって設けられているが、これに限らず、補強壁を隔壁とずれた位置に設けてもよい。