(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
建物の開口部に設置された開閉部材を構成する相対動可能な一対の開閉部材構成体間に設けられて、これらの開閉部材構成体の相対的な位置関係を検出するようにした開閉部材の状態検出装置であって、前記開閉部材構成体の一方に取り付けられた永久磁石と、前記開閉部材構成体の他方に取り付けられ、前記開閉部材構成体の相対動に伴う前記永久磁石の磁力の変化を検出する磁気検出手段とからなり、前記磁気検出手段が、前記永久磁石の磁力を検出する複数のリードスイッチを備え、これらのリードスイッチが、それぞれのスイッチング動作方向が略同一平面内で略直交するように配置されていることを特徴とする開閉部材の状態検出装置。
前記開閉部材構成体が、前記開口部に設置された扉と、この扉に装着されたサムターンであり、このサムターンに前記永久磁石が取り付けられ、前記扉の前記サムターンに近接する部位に前記磁気検出手段が取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の開閉部材の状態検出装置。
前記開閉部材構成体が一対の引き戸であり、これらの引き戸の一方に前記永久磁石が取り付けられているとともに、他方の引き戸に前記磁気検出手段が取り付けられ、前記両引き戸が閉じられた際に、前記複数のリードスイッチの少なくとも一つによって前記永久磁石の磁力が検出されるようになされていることを特徴とする請求項1に記載の開閉部材の状態検出装置。
前記磁気検出手段には、前記リードスイッチのONとOFFを表示する発光体と、前記リードスイッチと前記発光体に接続されて、この発光体の発光制御を行なう制御手段と、前記発光体および制御手段に駆動電力を供給する蓄電池が設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れかに記載の開閉部材の状態検出装置。
【背景技術】
【0002】
建物の玄関や掃き出しあるいは窓等の開口部は、扉やガラス戸等の開閉部材によって開閉可能な構成となっている。
そして、これらの開閉部材が開状態にあるか閉状態にあるか、あるいは、施錠されているか解錠されているかを目視によって確認することができない場合がある。
【0003】
このような不具合に対処するために、従来では、たとえば、特許文献1に示されるように、扉に設けられて回動操作される施錠ノブに永久磁石を装着するとともに、その近傍の扉の表面に磁気センサーを設置しておき、前記施錠ノブの回動に伴う磁気変化を前記磁気センサーによって検出することにより、前記施錠ノブの位置検出を行なって施錠されているか否かを判断することが提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、前記開閉部材は、建物に対して相対動可能に設置されるものであるから、この開閉部材と一体的に設けられる前記施錠ノブや磁気センサー等の検出機器も前記建物から独立して設けなければならない。
【0006】
そして、磁気センサーからの検出信号を処理するために各種デバイスや電源が必要であり、これらも前記磁気センサーと一体化する必要があることから、これらを一つのケーシング内に組み込んでいる。
【0007】
さらに、前記永久磁石の回転に伴う磁力変化を検出する際に、その検出精度を確保するには、前記磁気センサーを極力前記施錠ノブの近くに位置させる必要がある。
【0008】
このように前記磁気センサーを前記施錠ノブに近付けるには、この磁気センサーを前記ケーシングの端面近くに組み込まなければならない。
また、前記磁気センサーは、その作動を確保するために、前記永久磁石の磁力線に対して所定の姿勢で設置することが望まれる。
【0009】
このような条件の下に前記磁気センサーを前記ケーシングに組み込むと、これらの位置関係も固定化されてしまう。
【0010】
ところで、建物の開閉部材は、建物の位置や開口部の用途により形状が異なり、前述した磁気センサー内蔵のケーシングの設置位置が制限されることがある。
【0011】
このように前記ケーシングの設置位置が制限されると、内蔵された前記磁気センサーと前記施錠ノブとの位置関係も制限されることから、前記磁気センサーを、前記施錠ノブに対して磁気検出に最適な状態となるように設置することができなくなることが想定され、その汎用性が狭められる。
【0012】
本発明は、このような従来の技術において残されている問題点を解消せんとしてなされたもので、建物の開口部に、この開口部を開閉可能に設置された一対の開閉部材構成体間の相対的な位置関係の検出に、永久磁石と磁気検出手段とを用いて行なう際に、前記磁気検出手段の設置位置が制限されている場合にあっても、磁気変化の有効な検出を可能にして、その汎用性を高めることのできる開閉部材の状態検出装置を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の開閉部材の状態検出装置は、前述した課題を解決するために、建物の開口部に設置された開閉部材を構成する相対動可能な一対の開閉部材構成体間に設けられて、これらの開閉部材構成体の相対的な位置関係を検出するようにした開閉部材の状態検出装置であって、前記開閉部材構成体の一方に取り付けられた永久磁石と、前記開閉部材構成体の他方に取り付けられ、前記開閉部材構成体の相対動に伴う前記永久磁石の磁力の変化を検出する磁気検出手段とからなり、前記磁気検出手段が、前記永久磁石の磁力を検出する複数のリードスイッチを備え、これらのリードスイッチが、それぞれのスイッチング動作方向が略同一平面内で略直交するように配置されていることを特徴とする。
【0014】
このように構成された開閉部材の状態検出装置は、所定の設置位置において、前記磁気検出手段を前記永久磁石に対して姿勢調整することにより、異なるスイッチング方向を有する前記リードスイッチを選択的に前記永久磁石へ対峙させることができる。
【0015】
ここで、前記各リードスイッチのスイッチング方向が異なることから、前記永久磁石の磁力を検出する感度も異なる。
そこで、前記永久磁石に選択に対峙させられる複数のリードスイッチにおける磁力検出の感度を監視することにより、磁気検出効率の高いリードスイッチを選定することができ、この選定されたリードスイッチを前記永久磁石に対峙させた状態で磁気検出手段を設置することができる。
【0016】
したがって、設置可能位置が変わった場合でも、前記磁気検出手段の向きを調整することで、安定した磁気検出を行なうことができるのでその汎用性を高めることができる。
【0017】
前記開閉部材構成体が、前記開口部に設置された扉と、この扉に装着されたサムターンであり、このサムターンに前記永久磁石が取り付けられ、前記扉の前記サムターンに近接する部位に前記磁気検出手段が取り付けられた構成とすることができる。
【0018】
このような構成とすることにより、前記サムターンによる施錠位置と解錠位置とを検出し、これによって、前記扉の施錠や解錠を検出することができる。
【0019】
また、前記開閉部材構成体が一対の引き戸であり、これらの引き戸の一方に前記永久磁石が取り付けられているとともに、他方の引き戸に前記磁気検出手段が取り付けられ、前記両引き戸が閉じられた際に、前記複数のリードスイッチの少なくとも一つによって前記永久磁石の磁力が検出されるようになされた構成とすることができる。
【0020】
このような構成とすることにより、前記磁気検出手段による磁気検出の有無により、引き戸の開閉状態を検出することができる。
【0021】
そして、前述したサムターンに適用する場合と前記引き戸に適用する場合の何れにあっても、前記磁気検出手段の姿勢を調整することにより、磁気検出方向の異なる複数のリードスイッチを永久磁石に選択に対峙させることができるので、安定した磁気検出を確保することができる。
【0022】
さらに、前記磁気検出手段には、前記リードスイッチのONとOFFを表示する発光体と、前記リードスイッチと前記発光体に接続されて、この発光体の発光制御を行なう制御手段と、前記発光体および制御手段に駆動電力を供給する蓄電池が設けられた構成とすることができる。
【0023】
このような構成とすることにより、前記磁気検出手段の機能を、この磁気検出手段単体で完結させることができる。
【0024】
また、前記発光体の発光の有無や発光色の変化によって前記開閉部材の状態を告知することにより、前記開閉部材の状態を容易かつ確実に視認することができる。
【0025】
一方、前記磁気検出手段にMEMS磁気センサーを用いることができる。
そして、MEMS磁気センサーの磁気検出感度を調整することにより、前記開閉部材構成体の位置変化に伴う磁力変化を検出し得るようにして、前記開閉部材構成体と前記磁気検出手段との位置関係にかかわらず、前記開閉部材構成体の状態を検出することができる。
【0026】
さらに、前記永久磁石を、粘着機能を備えた止着体に止着しておき、この止着体を前記開閉部材構成体に取り付けるようにすることもできる。
【0027】
このような構成とすることにより、既存の開閉部材構成体への適用を容易にすることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の開閉部材の状態検出装置によれば、設置位置が制限されている場合にあっても、磁気検出手段の向きを調整することにより、永久磁石に対し、スイッチング方向の異なる複数のリードスイッチを選択的に対峙させて、前記永久磁石の磁力を有効に検出することができる。
また、前記磁気検出手段としてMEMS磁気センサーを用いることにより、このMEMS磁気センサーの磁気検出感度を調整して、前記永久磁石の位置検出、すなわち、前記開閉部材構成体の状態検出の精度を高めることができる。
これによって、適用可能な前記開閉部材構成体の種類や設置可能位置の範囲を広げ、その汎用性を高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の一実施形態について
図1および
図2を参照して説明する。
これらの図において、符号1は本実施形態に係わる状態検出装置を示し、この状態検出装置1は、建物の開口部に開閉可能に装着された開閉部材を構成する開閉部材構成体Aとしての扉2と、この扉2に取り付けられたサムターン3と、前記扉2の表面に取り付けられた磁気検出手段4とによって構成されている。
【0031】
前記サムターン3は平板状の操作部3aを備えており、この操作部3aに永久磁石が組み込まれて、その回転中心に対して半径方向一方側がS極、他方側がN極となされている。
【0032】
前記磁気検出手段4は、略直方体状のケースCを備えている。
このケースC内には収納凹部Dが形成されており、この収納凹部Dが仕切り壁5によって上下に分割されて、下方が電池収納部D1となされ、上方がデバイス収納部D2となされている。
【0033】
前記電池収納部D1には、乾電池、あるいは、充放電可能な二次電池が収納されるようになっている。
【0034】
前記デバイス収納部D2には、磁気センサーとしての複数のリードスイッチ6(6a・6b・6c)と、これらのリードスイッチ6からの検出信号によって発光動作させられる発光体7と、前記リードスイッチ6からの検出信号に基づき、前記発光体7の発光を制御する制御手段8と、これらの起動をなすスイッチ9とを備えている。
【0035】
前記各リードスイッチ6(6a・6b・6c)は、前記ケースCの長さ方向の両端部において、前記仕切り壁5の上面に組み込まれているとともに、その一つのリードスイッチ6aが、前記ケースCの長さ方向に沿うように組み込まれ、他の二つのリードスイッチ6b・6cが、前記ケースCの幅方向に沿うように組み込まれている。
【0036】
これによって、前記リードスイッチ6aのスイッチング方向が、他の二つのリードスイッチ6b・6cのスイッチング方向に対して略直交するように設置されている。
また、他の二つのリードスイッチ6b・6cは、略同一線上に所定の間隔をおいて設置されている。
【0037】
前記発光体7は、本実施形態においては、たとえばLEDによって構成されて、赤色と青色とに選択的に発光させられるようになっている。
そして、前記リードスイッチ6(6a・6b・6c)において磁気検出がなされた場合に、前記制御手段8によって青色に発光させられ、磁気検出がなされなかった場合に赤色に発光させられるようになっている。
【0038】
このように構成された本実施形態の状態検出装置1は、
図2に示すように、前記扉2に装着された前記サムターン3の下方に前記磁気検出手段4を取り付けることによって、前記サムターン3の施錠や解錠を検出する。
【0039】
ここで、前記扉2において、前記サムターン3の上方にはドアハンドル10が装着され、また、前記サムターン3の内側には、前記扉2に凹み2aが形成されていることにより、前記磁気検出手段4を設置できる領域が、前記サムターン3の下方に制限されている。
【0040】
したがって、前記磁気検出手段4は、そのケースCを前記扉2の縁に沿うようにして上下に向けて設置しなければならない。
【0041】
一方、前記サムターン3を水平状態とした場合、その磁力を検出するには、前記リードスイッチ6を、このサムターン3によって生成される磁力線と平行となるように設置しなければならない。
【0042】
この条件のもとに前記磁気検出手段4を設置するには、前記ケースCの幅方向に沿って設けられている前記リードスイッチ6b・6cの何れか一方を、前記サムターン3に対峙させる。
【0043】
また、磁気検出には、前記磁気検出手段4と前記サムターン3との距離も考慮に入れなければならない。
【0044】
このためには、前記磁気検出手段4の前記スイッチ9を操作して制御手段8等を起動しておき、前記磁気検出手段4と前記サムターン3との距離を狭めていく。
【0045】
そして、前記距離が磁気検出範囲になった時点で、前記リードスイッチ6において磁気検出がなされ、その信号に基づいて、前記制御手段8によって前記発光体7の発光処理がなされる。
【0046】
これによって、前記サムターン3に対する前記磁気検出手段4の適切な距離が設定される。
【0047】
このような発光処理は、たとえば、前記発光体7が前述したように2色の発光体である場合、磁気検出がなされていない状態においては赤色に発光させておき、磁気検出がなされた際に青色に発光させるようにすることもできる。
【0048】
そして、前述したように前記磁気検出手段4の設置を行なった後に、前記サムターン3を回動させると、このサムターン3によって生成される磁力線も回転し、前記磁気検出手段4による磁気検出ができなくなる。
【0049】
このような磁気検出の有無により、前記サムターン3の回動位置の検出を行なうことができ、たとえば、磁気検出がなされた場合に前記サムターン3が施錠状態にあるとし、また、磁気検出がなされていない場合に前記サムターン3が解錠状態にあるとすることができる。
【0050】
そして、前記磁気検出の有無に対応して前記発光体7の発光を制御する(施錠状態で青色発光とし、解錠状態で赤色発光とする)ことにより、前記扉2の施錠状態を告知させることができる。
【0051】
また、前記磁気検出手段4に通信機能を付加しておき、前述した施錠状態を携帯情報端末に送信することにより、外出先で施錠状態を確認できるようにすることもできる。
【0052】
一方、前記磁気検出手段4の設置位置が前記サムターン3の側方にしか確保できない場合にあっては、
図2(b)に示すように、前記ケースCを前記サムターン3の側部に位置させるとともに、前記ケースCの長さ方向に沿って配置されているリードスイッチ6aを前記サムターン3に対峙させる。
これによって、前記サムターン3の発する磁力線を検出することができる。
【0053】
図3は、本発明の他の実施形態を示すもので、一対の引き戸11(11a・11b)に前記状態検出装置1を装着したものである。
【0054】
この例においては、前記状態検出装置1の設置位置が、前記両引き戸11が閉じられた状態において、両引き戸11が重畳する部分に制限される。
【0055】
すなわち、前記両引き戸11が重畳する部分において、前記引き戸11を構成する枠12の厚みが薄いことから、前記磁気検出手段4の設置位置が、前記枠12の端面に制限され、この枠12の端面に前記ケースCを沿わせるように貼着することによって前記磁気検出手段4が取り付けられる。
【0056】
また、前記状態検出装置1を構成する永久磁石13は、前記磁気検出手段4に対峙させられるようにして他の引き戸11に取り付けられる。
【0057】
このように、本発明の状態検出装置1にあっては、各構成部材の取り付け位置が制限されている場合であっても、前記磁気検出手段4の向きを変えて、異なるリードスイッチ6を選択して永久磁石に対峙させることができ、これによって、前記永久磁石の磁力を確実に検出することができる。
【0058】
この結果、極めて汎用性の高い開閉部材の状態検出装置1を提供することができる。
【0059】
ついで、本発明の第2の実施形態について
図4および
図5を参照して説明する。
本実施形態においては、永久磁石14を、粘着層(図示略)が設けられた止着体15に一体に取り付け、この止着体15を、その粘着層を用いて前記サムターン3の操作部3aに止着することにより、前記永久磁石14をサムターン3の操作部3aに取り付けるようにしている。
【0060】
このような構成とすることにより、前記操作部3a自体に磁力を付与する必要がなくなり、既存のサムターン3へ容易に適用することができる。
【0061】
さらに、本発明の第3の実施形態について
図6を参照して説明する。
本実施形態においては、前述した第1の実施形態において用いたリードスイッチ6に代えて、前記永久磁石14の磁気強度の検出感度を調整可能なMEMS磁気センサー16を用いている。
【0062】
このような構成とすると、前記MEMS磁気センサー16が磁界の向きを検出することができるので、たとえば、磁気検出感度の閾値を調整することにより、前記永久磁石14の位置変化の検出を可能にして、前記サムターン3の操作部3aの姿勢検出を行なうことができる。
したがって、前記磁気検出手段4の設置位置の自由度を高めることができる。
【0063】
なお、前記各実施形態において示した各構成部材の諸形状や寸法等は一例であって、設計要求等に基づき種々変更可能である。