(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
水栓取付壁の開口部に取付けられ、水栓取付壁の内面側に配置されるコンセント本体と、水栓取付壁の外面に配置される外面部材とを備え、内部に水栓継手が収容される給水用コンセントであって、
前記コンセント本体と外面部材との間には、外面部材とコンセント本体に密着するアジャスタを介在させ、
前記アジャスタは枠状に形成され、水栓取付壁の開口部に挿入されており、
前記コンセント本体は外面側が開口するボックス状に形成され、その底壁には水栓継手から滲み出す水を受ける漏水案内溝を設け、アジャスタの底壁部には漏水案内溝に連通し、水を外面側に案内する延長案内溝を設け、
前記漏水案内溝はアジャスタ側に突出されているとともに、当該突出部分が入り込むことが可能なように、延長案内溝はコンセント本体側が欠かれており、漏水案内溝と延長案内溝との連通部分は、水栓取付壁の開口部内に位置している給水用コンセント。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を具体化した実施形態を
図1〜
図8に従って詳細に説明する。
図1及び
図2に示すように、例えば建物内の水栓取付壁11に設けられた開口部12には、洗濯機、湯沸器等の機器に給水するための給水用コンセント10が取付けられる。水栓取付壁11の内方の柱13には、外面側が開口されたコンセント本体14が複数本のビス50により取付けられている。
【0011】
図5(a)〜(c)に示すように、前記コンセント本体14は外面側が開口する縦長の有底四角箱状に形成され、その外面側には水栓取付壁11の内面に当接する四角枠部15が設けられるとともに、その四角枠部15の外面には水栓取付壁11の開口部12に挿入される突出枠部16が設けられている。該突出枠部16の四隅には、それぞれ中心に雌ねじ17を有する支持筒部18が設けられている。
【0012】
なお、コンセント本体14の外周面には、深さ方向に平行に延びる複数の補強リブ19が突出形成され、コンセント本体14を補強している。また、この補強リブ19は、四角枠部15の外周面と同一の高さに設定されることにより、コンセント本体14を柱13に取付ける際に水栓取付壁11に対して垂直な取付が可能となる。
【0013】
図1、
図5(a)及び(b)に示すように、コンセント本体14の底壁14aの中心部には、鞘管20で被覆された樹脂管21が挿入される円筒状の筒部22が設けられている。樹脂管21は図示しない給水源に接続され、水が供給されるようになっている。コンセント本体14の底壁14aの筒部22より外面側には、コンセント本体14内に収容される水栓継手23から滲み出す水を受ける漏水案内溝24が設けられている。この漏水案内溝24は中央部がわずかに低くなるように断面V字状に形成されている。また、漏水案内溝24は外面側ほど若干低くなる傾斜状に形成されている。
【0014】
図1及び
図2に示すように、コンセント本体14の外面側には、四角枠状に形成されたアジャスタ25が配置されている。
図1及び
図6(a)〜(c)に示すように、アジャスタ25の四隅部には、それぞれ中心部にねじ部材としての雄ねじ26が挿通される挿通孔27が形成された接続筒部28が設けられている。
【0015】
また、アジャスタ25の底壁部25aには、コンセント本体14の漏水案内溝24に連通し、水を外面側に案内する延長案内溝29が設けられている。この延長案内溝29は中央部がわずかに低くなるように断面V字状に形成されている。また、延長案内溝29は外面側ほど若干低くなる傾斜状に形成されている。前記コンセント本体14の漏水案内溝24とアジャスタ25の延長案内溝29との接続部分は、接着剤で接合され、漏水案内溝24と延長案内溝29との間で水が漏れないシール構造となっている。
【0016】
図1及び
図4に示すように、水栓取付壁11の外面側には四角板状の外面部材30が配置され、前記アジャスタ25を介してコンセント本体14に雄ねじ26により取付けられるようになっている。
【0017】
図7(a)〜(c)に示すように、外面部材30の四隅部には、それぞれ中心部に貫通孔31を有する外面側筒部32が設けられている。該外面側筒部32は外面部材30の内方へ若干突出している。この外面部材30がアジャスタ25を介してコンセント本体14に組付けられたとき、外面部材30の外面側筒部32がアジャスタ25の接続筒部28に当接し、その接続筒部28がコンセント本体14の支持筒部18に当接するようになっている。同時に、外面部材30の貫通孔31がアジャスタ25の挿通孔27からコンセント本体14の雌ねじ17に連通するようになっている。
【0018】
また、外面部材30の上部には、支持孔33が透設され、コンセント本体14内に収容される水栓継手23の外端部が突出されるように構成されている。さらに、外面部材30の底部30aの中央外面部には、アジャスタ25の延長案内溝29に対応するように水を排出する切欠き46が設けられている。さらに、外面部材30の枠部30bには、複数の係合孔48が開口されている。
【0019】
そして、
図1に示すように、雄ねじ26が外面部材30の貫通孔31からアジャスタ25の挿通孔27を通ってコンセント本体14の雌ねじ17に螺合され、外面部材30がアジャスタ25を介在してコンセント本体14に連結されるように構成されている。
【0020】
図2に示すように、外面部材30がコンセント本体14に雄ねじ26により連結されるときには、アジャスタ25は水栓取付壁11の開口部12に挿入された状態で外面部材30とコンセント本体14とに密着されるようになっている。このアジャスタ25の幅は、水栓取付壁11の厚さに対応して設定されている。
【0021】
図1及び
図2に示すように、前記コンセント本体14内に収容される水栓継手23のブラケット34には一対の透孔35が形成され、それらの透孔35にビス36が挿通されてコンセント本体14のねじ孔37に螺合され、水栓継手23がコンセント本体14に固定されるようになっている。水栓継手23の一端は下方へ延びる継手部38において、鞘管20で被覆された架橋ポリエチレン製の樹脂管21がワンプッシュ操作で接続されるようになっている。
【0022】
水栓継手23の他端は斜め上方へ延び、内部に図示しないボールバルブが設けられている。ボールバルブの図示しないニップルにはストップカプラ40を介して給水管が接続され、洗濯機、湯沸器等の機器へ給水できるようになっている。また、ボールバルブにはスピンドルを介してハンドル39が接続され、そのハンドル39の回動操作により給水又は停止を行うことができるようになっている。前記水栓継手23の下端部には皿状の水受け41が配置され、水栓継手23から滲み出す水を受けるようになっている。
【0023】
図1及び
図3に示すように、前記外面部材30の外面には、外面部材30を覆うカバー部材43が着脱可能に配置されている。すなわち、
図2に示すように、カバー部材43の内面側には複数の係合突起49が突設され、外面部材30の前記係合孔48に着脱可能に係合されている。このカバー部材43には、水栓継手23のストップカプラ40とハンドル39を装着するための第1装着部44と第2装着部45が開口されている。
【0024】
次に、水栓取付壁11に対する給水用コンセント10の取付け工程について説明する。
図8(a)に示すように、まず水栓取付壁11の内面側に位置する柱13の側面に対してコンセント本体14を複数のビス50により取付ける。このとき、コンセント本体14の四角枠部15の外面が柱13の外面に一致するように取付ける。
【0025】
続いて、
図8(b)に示すように、コンセント本体14の筒部22に下方から鞘管20で覆われた樹脂管21を挿通するとともに、樹脂管21の端部を水栓継手23の継手部38に向ける。そして、
図8(c)及び
図2に示すように、樹脂管21の端部を水栓継手23の継手部38に接続し、水栓継手23をコンセント本体14内に収容する。その状態で、ビス36を水栓継手23のブラケット34の一対の透孔35に挿通してコンセント本体14のねじ孔37に螺合することにより、水栓継手23がコンセント本体14に固定される。
【0026】
次いで、
図8(d)に示すように、コンセント本体14の突出枠部16を水栓取付壁11の開口部12に内面側から挿入するとともに、水栓取付壁11の外面側にアジャスタ25、外面部材30、4本の雄ねじ26及びカバー部材43を配置する。そして、
図2に示すように、アジャスタ25を水栓取付壁11の開口部12に挿入してコンセント本体14の突出枠部16に当接させる。
【0027】
このとき、アジャスタ25の四隅部の接続筒部28はコンセント本体14の四隅部の支持筒部18に当接し、アジャスタ25の各挿通孔27がコンセント本体14の各雌ねじ17に対向する。その後、外面部材30の枠部30bを水栓取付壁11の外面に当てるとともに、外面部材30の四隅部の外面側筒部32をアジャスタ25の四隅部の接続筒部28に当接させる。このとき、外面部材30の貫通孔31はアジャスタ25の挿通孔27に連通する。
【0028】
その後、4本の雄ねじ26を外面部材30の貫通孔31からアジャスタ25の挿通孔27を通してコンセント本体14の雌ねじ17に順次螺入して締付けることにより、外面部材30を、アジャスタ25を介してコンセント本体14に固定することができる。そして、
図2に示すように、外面部材30の外面にカバー部材43を押付け、カバー部材43の各係合突起49を外面部材30の各係合孔48に係合させ、カバー部材43を外面部材30に取付ける。
【0029】
引き続いて、
図8(e)に示すように、カバー部材43の第1装着部44にストップカプラ40を対向させるとともに、第2装着部45にハンドル39を対向させる。そして、
図8(f)に示すように、ストップカプラ40を、第1装着部44を介して水栓継手23のニップルに取着するとともに、ハンドル39を、第2装着部45を介して水栓継手23のスピンドルに取着することにより、給水用コンセント10の取付けを完了する。
【0030】
次に、上記のように構成された給水用コンセント10の作用を説明する。
図8(d)に示すように、コンセント本体14が柱13に取付けられ、その突出枠部16が水栓取付壁11の開口部12に挿入されるとともに、コンセント本体14内に水栓継手23が収容され、固定された状態で、アジャスタ25が水栓取付壁11の外面側からその開口部12へ挿入される。このとき、アジャスタ25は、その四隅に位置する接続筒部28がそれぞれコンセント本体14の四隅に位置する支持筒部18に当たって止まる。その後、外面部材30の内面を水栓取付壁11の外面に当接させると、外面部材30の四隅に位置する外面側筒部32がアジャスタ25の四隅に位置する接続筒部28に各々当接する。
【0031】
図2に示すように、その状態で、4本の雄ねじ26を外面部材30の貫通孔31からアジャスタ25の挿通孔27を通してコンセント本体14の雌ねじ17に順に螺入することにより、外面部材30をコンセント本体14に固定することができる。このとき、外面部材30とコンセント本体14との間にはアジャスタ25が介在され、外面部材30の四隅に位置する外面側筒部32がアジャスタ25の接続筒部28にそれぞれ当接し、さらにアジャスタ25の接続筒部28がコンセント本体14の支持筒部18にそれぞれ当接している。
【0032】
このため、雄ねじ26を強く締付けても、その締付け力が外面部材30だけに作用することはなく、外面部材30からアジャスタ25を介してコンセント本体14に受け止められる。従って、外面部材30に集中して異常な力が働くおそれはなく、その損傷が回避される。
【0033】
また、前記コンセント本体14の底壁14aには漏水案内溝24が設けられ、アジャスタ25には漏水案内溝24に連通する延長案内溝29が設けられ、さらに外面部材30の底部30aには切欠き46が設けられている。このため、水栓継手23から伝って漏れ出た水は、漏水案内溝24から延長案内溝29を経て切欠き46から流れ出る。
【0034】
このとき、漏水案内溝24と延長案内溝29との接続部分は接着剤によってシールされており、その接続部分からの水漏れを抑えることができる。さらに、漏水案内溝24及び延長案内溝29は外面側ほど低い傾斜状に形成されていることから、水を外面側へ誘導することができる。従って、給水用コンセント10の外面から目視によって漏水を簡単に視認することができる。
【0035】
以上の実施形態によって発揮される効果について、以下にまとめて記載する。
(1)この実施形態における給水用コンセント10では、コンセント本体14と外面部材30との間にアジャスタ25が介在されている。このため、雄ねじ26で外面部材30がコンセント本体14に連結されるときには、アジャスタ25が外面部材30とコンセント本体14に密着している。従って、雄ねじ26による締付け力が外面部材30に過剰に働くことを避けることができ、例えば水栓取付壁11が厚く、コンセント本体14と外面部材30との間に隙間が生じる場合であっても、外面部材30の傷付きを抑えることができる。
【0036】
よって、本実施形態の給水用コンセント10によれば、外面部材30を雄ねじ26によりコンセント本体14に強く締付けた場合でも外面部材30の損傷を抑制することができるという優れた効果を奏する。
【0037】
(2)前記アジャスタ25は、水栓取付壁11の開口部12に挿入されている。このため、アジャスタ25の構造を開口部12に合わせて簡易に構成できるとともに、その位置決めを容易に行うことができる。
【0038】
(3)前記ねじ部材は雄ねじ26であり、コンセント本体14には前記雄ねじ26が螺合される雌ねじ17が形成されるとともに、外面部材30には雄ねじ26が貫通される貫通孔31が形成され、アジャスタ25には雄ねじ26が挿通される挿通孔27が形成されている。従って、雄ねじ26を外面部材30の貫通孔31からアジャスタ25の挿通孔27を通ってコンセント本体14の雌ねじ17に螺合することにより、外面部材30を、アジャスタ25を介してコンセント本体14に容易に連結させることができる。
【0039】
(4)前記アジャスタ25には挿通孔27を形成する接続筒部28が設けられ、外面部材30には貫通孔31を形成する外面側筒部32が設けられるとともに、コンセント本体14には雌ねじ17を形成する支持筒部18が設けられている。このため、外面部材30が雄ねじ26によりアジャスタ25を介してコンセント本体14に締付けられたとき、外面部材30の外面側筒部32を、アジャスタ25の接続筒部28を介してコンセント本体14の支持筒部18に密着させることができ、外面部材30に過大な負荷を及ぼすことなく、雄ねじ26を安定した状態で締付けることができる。
【0040】
(5)前記コンセント本体14は外面側が開口するボックス状に形成され、その底壁14aには水栓継手23から滲み出す水を受ける漏水案内溝24を設け、アジャスタ25には漏水案内溝24に連通し、水を外面側に案内する延長案内溝29が設けられている。そのため、水栓継手23から水漏れが発生したとき、その水をコンセント本体14の漏水案内溝24からアジャスタ25の延長案内溝29を経て外面側に案内することができ、漏水検出を的確に行うことができる。
【0041】
(6)前記コンセント本体14の漏水案内溝24とアジャスタ25の延長案内溝29との接続部分が接着剤によりシール構造になっている。このため、漏水案内溝24と延長案内溝29との接続部分から水が漏れることを抑制することができ、漏水検出を一層的確に行うことができる。
【0042】
(7)前記漏水案内溝24及び延長案内溝29は、外面側ほど低くなる傾斜状に形成されている。そのため、水栓継手23から漏れ出した水を外面側へ速やかに導くことができ、漏水検出を迅速に行うことができる。
【0043】
なお、前記実施形態を、次のように変更して具体化することも可能である。
・
図9(a),(b)に示すように、アジャスタ25の延長案内溝29を前記実施形態よりも長くなるように形成するとともに、その内面側の端部を円弧部47とし、該円弧部47がコンセント本体14の筒部22の外周に係合するように構成してもよい。この場合には、水栓継手23からの漏水を直接延長案内溝29に導くことができ、コンセント本体14の漏水案内溝24を省略することができる。
【0044】
・前記コンセント本体14の漏水案内溝24とアジャスタ25の延長案内溝29の接続部分を、凹凸係合構造にしたり、嵌合構造にしたりして、シール構造を形成してもよい。
【0045】
・前記コンセント本体14の漏水案内溝24とアジャスタ25の延長案内溝29の接続部分において、漏水案内溝24と延長案内溝29に跨るようにシールテープを貼り付け、シール構造を形成してもよい。
【0046】
・前記コンセント本体14の雌ねじ17を省略して単に真っ直ぐに延びる小さな孔とし、その孔に雄ねじ26がねじ込まれるように構成してもよい。
【0047】
[その他の技術思想]
次に、上記実施形態から把握できる技術的思想について記載する。
(イ)請求項1に記載の給水用コンセントにおいて、前記ねじ部材は雄ねじであり、コンセント本体には前記雄ねじが螺合される雌ねじが形成されるとともに、外面部材には雄ねじが貫通される貫通孔が形成され、アジャスタには雄ねじが挿通される挿通孔が形成され、雄ねじが外面部材の貫通孔からアジャスタの挿通孔を通ってコンセント本体の雌ねじに螺合され、外面部材がアジャスタを介してコンセント本体に連結されるように構成されていることを特徴とする給水用コンセント。
【0048】
(ロ)前記(イ)に記載の給水用コンセントにおいて、前記アジャスタには挿通孔を形成する接続筒部が設けられ、外面部材には貫通孔を形成する外面側筒部が設けられるとともに、コンセント本体には雌ねじを形成する支持筒部が設けられ、外面部材が雄ねじによりアジャスタを介してコンセント本体に締付けられたとき、外面部材の外面側筒部がアジャスタの接続筒部を介してコンセント本体の支持筒部に密着するように構成されていることを特徴とする給水用コンセント。
【0049】
(ハ)請求項1、前記(イ)、及び前記(ロ)のうちのいずれか一つに記載の給水用コンセントにおいて、前記コンセント本体は外面側が開口するボックス状に形成され、その底壁には水栓継手から滲み出す水を受ける漏水案内溝を設け、アジャスタの底壁部には漏水案内溝に連通し、水を外面側に案内する延長案内溝を設けたことを特徴とする給水用コンセント。
【0050】
(二)前記(ハ)に記載の給水用コンセントにおいて、前記コンセント本体の漏水案内溝とアジャスタの延長案内溝との接続部分をシール構造としたことを特徴とする給水用コンセント。
【0051】
(ホ)前記(ハ)又は前記(二)に記載の給水用コンセントにおいて、前記漏水案内溝及び延長案内溝は、外面側ほど低くなる傾斜状に形成されていることを特徴とする給水用コンセント。