特許第6296402号(P6296402)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6296402
(24)【登録日】2018年3月2日
(45)【発行日】2018年3月20日
(54)【発明の名称】アップバング用かつら
(51)【国際特許分類】
   A41G 3/00 20060101AFI20180312BHJP
【FI】
   A41G3/00 F
   A41G3/00 H
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-75994(P2016-75994)
(22)【出願日】2016年4月5日
(65)【公開番号】特開2017-186698(P2017-186698A)
(43)【公開日】2017年10月12日
【審査請求日】2016年4月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】513028614
【氏名又は名称】鈴木 隆男
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】特許業務法人 インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120237
【弁理士】
【氏名又は名称】石橋 良規
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 隆男
【審査官】 柿沼 善一
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭49−024487(JP,U)
【文献】 国際公開第2007/046431(WO,A1)
【文献】 特開平11−107023(JP,A)
【文献】 特開2011−111691(JP,A)
【文献】 特開2015−030937(JP,A)
【文献】 特開2016−017250(JP,A)
【文献】 特開2010−196182(JP,A)
【文献】 実公昭53−003901(JP,Y2)
【文献】 国際公開第2016/006608(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41G 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の頭部に取り付けられる本体ベースと、
前記本体ベースよりも薄いシート状の部分ベースと、を備え、
前記部分ベースは、前記本体ベースの前方端部全体の前方であって、装着者の頭部とおでこの境界部分の生え際領域に前記本体ベースと分離して取り付けられることを特徴とするアップング用かつら。
【請求項2】
請求項1に記載のアップング用かつらにおいて、
前記部分ベースは、帯状であって長さ方向における幅が略同一に形成されていることを特徴とするアップング用かつら。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のアップング用かつらにおいて、
前記部分ベースは、複数の前記部分ベースを切り取り可能な大きさを有するシート状の基材を備えていることを特徴とするアップング用かつら。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のアップング用かつらにおいて、
前記本体ベースは凹部を有し、前記凹部に前記部分ベースが配置されることを特徴とするアップング用かつら
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アップング用かつらに関し、詳しくは、複数のベースを備えたアップング用かつらに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、装着者に合わせて、その頭部に装着されるネット状のベースに人毛又は人工毛からなる毛髪を植毛して形成されたかつらが知られている。
【0003】
この種のかつらは、本物の頭髪であるかのように見える点が重要であるものの、かつらの毛髪は、ベースに植毛されたものであるため、そのままで本物の頭髪を完全に再現するのは困難である。
【0004】
一方、本物の頭髪は、頭部の各領域によりその密度が異なり、特に生え際は産毛が混在するとともに、その径も小さい。そこで、本物の頭髪を疑似再現すべく、ベースの前方部(生え際)に、主毛よりも細い毛を植毛したかつらが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−186819号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載のかつらは、生え際に細い毛を植毛することによって産毛等の再現を図っているが、ヘアスタイルを例えばアップバングと称される前髪を上にあげて額を露出させるスタイルにした場合、生え際が目立ってしまい、結局、かつらを装着していることが他人から明らかにわかってしまう。
【0007】
そこで、本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、生え際がわかりにくいアップング用かつらを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は次のような構成を採用する。なお、本発明の理解を容易にするため図面の参照符号を括弧書きで付するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0009】
本発明に係るアップング用かつら(1)は、利用者の頭部に取り付けられる本体ベース(20)と、前記本体ベースよりも薄いシート状の部分ベース(10)と、を備え、前記部分ベースは、前記本体ベースの前方端部全体の前方であって、装着者の頭部とおでこの境界部分の生え際領域(50)に前記本体ベースと分離して取り付けられることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係るアップング用かつらは、請求項1に記載のアップバング用かつらにおいて、前記部分ベースは、前記部分ベースは、長さ方向における幅が略同一に形成されていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係るアップング用かつらは、請求項1又は請求項2に記載のアップング用かつらにおいて、前記部分ベースは、複数の前記部分ベースを切り取り可能な大きさを有するシート状の基材を備えていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係るアップング用かつらは、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のアップング用かつらにおいて、前記本体ベースは凹部を有し、前記凹部に前記部分ベースが配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るかつらは、本体ベースと、本体ベースの前方に取り付けられ、この本体ベースよりも薄いシート状の部分ベースと、を備え、部分ベースは、装着者の生え際領域に取り付けられるとともに、本体ベースと分離して設けられることで、前髪を立たせたヘアスタイルにしてもかつらを装着していることがわかりづらく、他人には極めて自然な頭髪と映る。
【0014】
また、本体ベースと部分ベースが分離されており、本体ベースは肉厚に形成されている点で耐久性を有しており、部分ベースのみを変更可能である。したがって、部分ベースのみを変更したい場合に対応可能であり、装着者はかつらの全部を取り換えなくても良く、取り替えの為のコストの低減化を図れる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1の実施形態に係るかつらが装着される部分を説明するための模式図である。
図2】第1の実施形態に係るかつらの構成を示す模式図である。
図3】複数の部分ベースを備える基材の一例を示す模式図である。
図4】第1の実施形態に係るかつらの装着例を説明するための模式図である。
図5】第1の実施形態に係るかつらを装着した一例を示す模式図である。
図6】第2の実施形態に係るかつらを装着した一例を示す模式図である。
図7】第2の実施形態に係るかつらの構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0017】
まず、図1図5を用いて第1の実施形態のかつら1について説明する。本実施形態のかつら1は、図1に示す前頭部2、頭頂部4、及び後頭部6の前方に装着され、後頭部6の後方と側頭部8は自毛を用いる一例について説明する。
【0018】
図1及び図2に示すように、本実施形態のかつら1は、装着者の頭部の前頭部2、頭頂部4、及び後頭部6の前方に装着され、少なくとも頭髪の生え際を含む生え際領域50に装着される部分ベース10と、その他の領域に装着される本体ベース20と、を別体として分離して備えている。
【0019】
なお、前頭部2とは、おでこ1aよりも後方であって頭頂部よりも前方を言い、頭髪の生え際を含む領域である。また、生え際領域50とは、明確な基準があるわけではないが、人の頭部の左右のこめかみ間であって頭部とおでこ1aの境界を含むその周辺領域を言い、およそ図1に示す位置関係に相当するものと考えればよい。
【0020】
部分ベース10と本体ベース20は、シート状の部材の表面に毛髪が植毛又は縫着されて形成されている。ここで、シート状の部材とは、平たい部材を意味するものであって、略コットン等の天然繊維或いはナイロン、ポリエステルなどの合成繊維の布状又はレースによって形成されたネット状、若しくは柔軟な合成樹脂等で成形した人工皮膚、又はウレタン等で形成されている。この毛髪は、図2中の破線や図5中の実線で示される人毛又は人工毛で形成される。
【0021】
本体ベース20は、図1及び図2に示すように、例えば、装着者の頭頂部4を頂点とした周囲に装着可能な大きさを有する1枚のシート状の部材20aで形成される。本体ベース20は部分ベース10を除く領域に装着されるものであって、部分ベース10が装着される凹部21を有する。なお、本体ベース20に凹部21を形成したのは、部分ベース10を装着した際の境界が凸凹になるのを避けるために適宜形成されるものであって、この凹部21の形状は部分ベース10の形状によって異なる。したがって、装着者の頭部に部分ベース10と本体ベース20を装着した際に、その境界が違和感なく自然な曲線又は直線を描いていれば良く、その場合、本体ベース20には凹部21は必要ない。
【0022】
なお、本実施形態において、全体ベース20は、1枚のシート状の部材で構成されているが、分割して形成されても構わない。
【0023】
この本体ベース20の膜厚は、一般的なかつらのベース部材と同等もしくは若干厚く形成されており、例えば、1〜2mmに形成されている。このように本体ベース20を肉厚とすることで耐久性を持たせることが可能である。
【0024】
図示しないが、本体ベース20に植毛等される毛髪は、例えば、通常のかつらに用いられるφ0.05〜0.08mmの大径の毛髪が植設されるが、地肌部分に近い領域に、φ0.03〜0.05mmの小径の毛髪が植設されても構わない。人間の頭髪は、地肌部分から突如として太い径の髪が生えているのではなく、地肌部分に近いほど細く柔らかい髪が生えているのが通常だからである。
【0025】
なお、本体ベース20を前方部、中央部、後方部の領域に区分けし、その領域毎に、植毛密度を変えても良いし、径の異なる毛髪を混在しても良い。一般的に生えている頭髪の植毛密度や毛髪の径を領域毎に近似させることで、かつらの毛をより自然に見せることが可能となる。
【0026】
一方、部分ベース10は、人の頭部の左右のこめかみ間であっておでこの一部を含む生え際領域50に装着され、帯状に形成された1枚のシート状の部材10aで形成される。本実施形態のかつら1において、この部分ベース10は、本体ベース20の凹部21に配置される。
【0027】
また、部分ベース10の膜厚は、本体ベース20の膜厚よりも薄く形成されており、例えば、0.07mmに形成されている。このように生え際領域に設けられる部分ベース10の膜厚を本体ベース20(一般的なかつらのベース部材)の膜厚よりも薄く形成することで、生え際を目立ちにくくさせることが可能となる。
【0028】
この部分ベース10には、本体ベース20と同様に毛髪が植毛されて形成されているが、本体ベース20に植毛されている毛髪よりも細いことが好ましく、例えば、φ0.01〜0.05mmの小径の毛髪が植設される。一般的に、生え際(地肌部分に近い部分)に有する毛の径は、頭頂部付近に生えている毛の径よりも小さいからである。
【0029】
また、部分ベース10の前端から本体ベース20との境界(後端)までの幅Wは略同一幅に形成されている。
【0030】
なお、図示しないが、部分ベース10と本体ベース20の境界は、波状又はギザギザ状等の凹凸部が形成されても構わない。このようにすれば、境界部分がぼかされて目立たちにくくなるからである。なお、この凹凸部を設けるか否かは任意である。
【0031】
このように、本実施形態のかつら1は、部分ベース10の膜厚を本体ベース20(一般的なかつらのベース部材)よりも薄く形成したため、生え際を目立ちにくくさせることができる。
【0032】
したがって、装着者の頭部にかつら1を装着した状態において、極めて自然な頭髪と映るため、他者に違和感を覚えさせることもない。なお、本実施形態では、装着者を男性としているが、特に装着者の性別は限定されるものではない。
【0033】
本実施形態は、ヘアスタイルをいわゆる「アップング」にしたい場合に特に有効であるが、この形態に限定されるものではない。長髪であっても、風などの影響により生え際が立ち上がってもきわめて自然な頭髪とすることが可能だからである。
【0034】
また、図3に示すように、部分ベース10は、所定の形状に形成され、部分ベース10を複数切り取り可能に形成された基材15から切り取られて用いられる。この基材15の表面には、人工毛又は人毛が植毛されている。また、基材15には、例えば、破線等によるカッティングラインCLが設けられており、簡単に所望の形状が得られるように容易にカットすることができるようになっている。
【0035】
次に、本実施形態のかつらの装着方法について図4を用いて説明する。なお、以下の説明では、装着者の頭頂部4近傍に頭髪が生えてない領域がある場合に装着される一例であり、装着者の側頭部8は自毛を用い、装着者の頭部の前頭部2、頭頂部4、後頭部6にかつら1を装着する一例を説明する。
【0036】
まず、図4(a)に示すように、装着者の頭部の頭髪状態に基づいてかつら1を装着する装着領域X(二点鎖線で示す領域)を特定し、図4(b)に示すように、装着者の頭部の装着領域Xをバリカン等で刈り上げる。なお、前頭部2の前端部中央に生え際の髪55を有するときには、例えば、刈らずに残される。この生え際の髪55を残すことによって、かつら1装着時に自然な頭髪とすることができる。なお、生え際の髪55については、残さずに刈ってしまっても構わないし、装着領域Xを確保するためにバリカン等で刈り上げなくとも構わない。
【0037】
次に、図2に示すような、この装着領域Xに装着される本体ベース20と部分ベース10を用意する。本体ベース20は、前頭部2の一部、頭頂部4、後頭部6の前方を覆う1枚のシート状の基材が用意され、部分ベース10は、生え際として規定された図4(b)中斜線部で示される領域Yの形状に対応するシート状の部材が基材15から切り取られて用意される。なお、用意された本体ベース20と部分ベース10の裏面には、頭部への貼着のための両面テープが貼り付けられる。なお、適宜、液体接着剤を塗っても構わない。この際、部分ベース10は装着者の好みや生え際の形状に応じて任意に基材15から切りだすことができるので、装着者の頭部の形状や生え際の形状に応じて自然な頭髪とすることができる。
【0038】
最後に、図4(b)及び図4(c)に示すように、刈らずに残した生え際の髪55の後に、部分ベース10、その後方に本体ベース20を装着して、頭髪を整えて、かつら1の装着処理を終了する。
【0039】
このように、本実施形態に係るかつら1は、部分かつらとして用いられる一例であって、図5に示すように、装着者の頭部の一部に装着されるシート状の本体ベース20と、本体ベース20の前方に取り付けられ、この本体ベース20よりも薄いシート状の部分ベース10と、を備え、部分ベース10は、装着者の生え際領域50に取り付けられるとともに、本体ベース20と分離して設けられることで、前髪を立たせてもかつらを装着していることがわかりづらく、他人には極めて自然な頭髪と映る。
【0040】
また、かつら1は、図2に示すように、本体ベース20と部分ベース10は別体として分離して用意されており、本体ベース20は肉厚に形成されている点で耐久性を有していることから、部分ベース10のみを容易に変えることが可能である。また、本体ベース20は耐久性を有しているので、洗濯することで繰り返し使用することが可能である。
【0041】
次に、第2の実施形態のかつら1Aについて図6及び図7を用いて説明する。なお、図6において、図1及び図2と共通する部分には同一符号を付し、それらの詳細な説明は省略する。また、以下の説明において、本体ベース70や部分ベース75の材質や膜厚、及び本体ベース70や部分ベース75に植毛される毛髪等は、上記実施形態の本体ベース20と部分ベース10と共通するためそれらの詳細な説明は省略する。
【0042】
第1の実施形態のかつら1は、側頭部8及び後頭部6の後方は自毛が用いられる一例であるが、第2の実施形態のかつら1Aは、頭部全体にかつら1Aを装着する一例である点で異なる。
【0043】
図6に示すように、本実施形態のかつら1Aは、装着者の頭部の前頭部2、頭頂部4、後頭部6及び側頭部8に装着されるもので、少なくとも頭髪の生え際を含む生え際領域50、50aに装着される部分ベース10、75と、その他の領域に装着される本体ベース70と、を別体として分離して備えている。また、本体ベース70と部分ベース10、75は、シート状の部材の表面に毛髪が植毛又は縫着されて形成されている。
【0044】
なお、前頭部2とは、おでこ1aよりも後方であって頭頂部よりも前方を言い、頭髪の生え際を含む領域である。また、側頭部8とは、こめかみよりも後方であって後頭部6よりも前方を言い、頭髪の生え際を含む領域である。また、生え際領域50、50aとは、明確な基準があるわけではないが、人の頭部の左右のこめかみ間であって頭部とおでこ1aの境界を含むその周辺領域、及び顔面と側頭部8の境界を含むその周辺領域を言い、およそ図6に示す位置関係に相当するものと考えればよい。
【0045】
本体ベース70は、図6及び図7に示すように、例えば、装着者の頭頂部4、後頭部6、側頭部8に装着可能な大きさを有するシート状の部材70aで形成される。この部材70aは、例えば、前頭部2、頭頂部4、後頭部6の前方を含む頭部の中央に配置されるウレタン等の材質で形成された部材71と、その周囲に配置されるレース等で形成されたネット状の部材72と、が一体的に形成されたものである。
【0046】
また、本体ベース70は、部分ベース10、75を除く領域に装着されるものであって、部分ベース10、75が装着される凹部21、81を有する。
【0047】
一方、部分ベース10は、前頭部2前方の生え際領域50に装着され、帯状に形成された1枚のシート状の部材10aで形成される。本実施形態のかつら1Aにおいて、この部分ベース10は、本体ベース20の凹部21に配置される。
【0048】
また、他の部分ベース75は、側頭部8前方の生え際領域50aに装着され、帯状に形成された1枚のシート状の部材75aで形成される。本実施形態のかつら1Aにおいて、この他の部分ベース75は、本体ベース20の凹部81に配置される。
【0049】
また、各部分ベース10、75の膜厚は、本体ベース70の膜厚よりも薄く形成されており、例えば、0.07mmに形成されている。このように生え際領域に設けられる部分ベース10の膜厚を本体ベース70(一般的なかつらのベース部材)の膜厚よりも薄く形成することで、生え際を目立ちにくくさせることが可能となる。
【0050】
また、部分ベース10、75の前端から本体ベース70との境界(後端)までの幅は略同一幅に形成されている。
【0051】
なお、図示しないが、部分ベース10、75と本体ベース70の境界は、波状又はギザギザ状等の凹凸部が形成されても構わない。このようにすれば、境界部分がぼかされて目立たちにくくなるからである。なお、この凹凸部を設けるか否かは任意である。
【0052】
このように、本実施形態に係るかつら1Aは、頭部全体にかつら1Aを装着したい場合の一例であって、図6に示すように、装着者の頭部全体に装着されるシート状の本体ベース70と、本体ベース70の前方に取り付けられ、この本体ベース70よりも薄いシート状の部分ベース10、75と、を備え、部分ベース10、75は、装着者の生え際領域50、50aに取り付けられるとともに、本体ベース70と分離して設けられることで、かつら1Aを装着していることがわかりづらく、他人には極めて自然な頭髪と映る。
【0053】
なお、本実施形態において、本体ベース70は、2枚のシート状の部材を一体的に構成されているが、同質の材料で形成された1枚のシート状の部材で構成されても構わない。
【0054】
また、上述した本実施形態に係るかつらでは、全体ベース20と部分ベース10は分離して別体として設けられているが、一体的に設けられても構わない。この様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれうることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0055】
1 かつら
10 部分ベース
15 基材
20 本体ベース
21 凹部
50 生え際領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7