特許第6296409号(P6296409)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6296409
(24)【登録日】2018年3月2日
(45)【発行日】2018年3月20日
(54)【発明の名称】サージ防護装置
(51)【国際特許分類】
   H02H 9/04 20060101AFI20180312BHJP
   H02H 7/20 20060101ALI20180312BHJP
   H01C 7/12 20060101ALI20180312BHJP
【FI】
   H02H9/04 A
   H02H7/20 A
   H01C7/12
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-207228(P2017-207228)
(22)【出願日】2017年10月26日
【審査請求日】2017年11月28日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】592074371
【氏名又は名称】株式会社コンド電機
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】近藤 善一
(72)【発明者】
【氏名】小林 好之
【審査官】 古河 雅輝
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−217455(JP,A)
【文献】 特開平06−311643(JP,A)
【文献】 特開平11−041803(JP,A)
【文献】 特開2004−215421(JP,A)
【文献】 特開2014−176267(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01C 7/02− 7/22
H01C 11/00−13/02
H02H 7/00
H02H 7/10− 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源に接続される2つの入力端子と、
継電器の電磁コイルの両端にそれぞれ接続される2つの出力端子と、
前記2つの入力端子の間に接続され、前記2つの入力端子側から侵入する雷サージに対して作用する雷サージ防護手段と、
前記雷サージ防護手段よりも前記2つの出力端子側にて前記2つの出力端子の間に接続され、前記電磁コイルにて発生する開閉サージに対して作用する開閉サージ防護手段と、
を備えることを特徴とするサージ防護装置。
【請求項2】
前記雷サージ防護手段は第1サージ防護素子を備え、
前記開閉サージ防護手段は、第2サージ防護素子と、アノード側に前記第2サージ防護素子が直列接続された第1ダイオードと、を備え、
前記第2サージ防護素子に対して前記第1ダイオードの反対側において、アノード側に前記第2サージ防護素子が直列接続された第2ダイオードを備え、
前記第1サージ防護素子の動作開始電圧をV1、前記第1、第2ダイオードの逆方向耐圧をVd、前記第2サージ防護素子の動作開始電圧をV2とすると、以下の式(1)、(2)
Vd+V2>V1 ・・・ (1)
V2<V1 ・・・ (2)
が成り立つことを特徴とする請求項1に記載のサージ防護装置。
【請求項3】
前記第1サージ防護素子は放電素子またはバリスタであることを特徴とする請求項2に記載のサージ防護装置。
【請求項4】
前記第2サージ防護素子は放電素子、バリスタまたはツェナーダイオードであることを特徴とする請求項2または3に記載のサージ防護装置。
【請求項5】
絶縁性かつ耐熱性を有する樹脂で構成され、前記雷サージ防護手段および前記開閉サージ防護手段を収容する筐体を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載のサージ防護装置。
【請求項6】
前記雷サージ防護手段および前記開閉サージ防護手段と前記筐体との間に絶縁性かつ耐熱性を有する樹脂が充填されていることを特徴とする請求項5に記載のサージ防護装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サージ防護装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鉄道や道路や航空等の交通等に使用される信号装置には、継電器(リレー)が組み込まれている。継電器は、電磁コイルと接点端子とを備えており、電磁コイルに電流を流すことで接点端子を開閉する。接点端子の開閉時には、電磁コイルに逆起電力が生じ、開閉サージ(逆起電力サージとも呼ばれる)が発生する。また、開閉毎に接点接合ノイズ、接点切り替えノイズ、チャタリング等による、完全には除去できないサージが頻発する。このようなサージが信号装置に到達して信号装置を破壊したり、信号装置の動作不良を発生させたりしないように、通常は継電器にサージ防護素子が設けられる。
【0003】
一方、通信機器等の電子機器には、直撃雷や誘導雷によって生じた雷サージや誘導雷サージ(以下、雷サージと誘導雷サージとを単に雷サージと記載する)が侵入し、電子機器を破壊したり、動作不良を発生させたりすることがある。そこで、電子機器には、サージ防護素子が設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−270331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、雷の発生の増加によって、雷サージが信号装置の破壊または動作不良の原因となることが問題となっている。継電器に設けられたサージ防護素子は、雷サージが信号装置に侵入することを防止する効果もある。しかし、サージ防護素子が継電器で頻繁に発生するサージによって劣化する場合がある。この場合、雷サージの侵入を防止できずに信号装置の破壊または動作不良が発生することがある。このような問題は、信号装置に限らず、継電器を備える電子機器にて発生しうることであるが、特に、交通に使用される信号装置に破壊または動作不良が発生すると、交通の混乱を引き起こし、社会的に大きな問題となる。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、継電器における開閉サージ、および雷サージから電子機器を好適に保護することができるサージ防護装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様に係るサージ防護装置は、電源に接続される2つの入力端子と、継電器の電磁コイルの両端にそれぞれ接続される2つの出力端子と、前記2つの入力端子の間に接続され、前記2つの入力端子側から侵入する雷サージに対して作用する雷サージ防護手段と、前記雷サージ防護手段よりも前記2つの出力端子側にて前記2つの出力端子の間に接続され、前記電磁コイルにて発生する開閉サージに対して作用する開閉サージ防護手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の一態様に係るサージ防護装置は、前記雷サージ防護手段は第1サージ防護素子を備え、前記開閉サージ防護手段は、第2サージ防護素子と、アノード側に前記第2サージ防護素子が直列接続された第1ダイオードと、を備え、前記第2サージ防護素子に対して前記第1ダイオードの反対側において、アノード側に前記第2サージ防護素子が直列接続された第2ダイオードを備え、前記第1サージ防護素子の動作開始電圧をV1、前記第1、第2ダイオードの逆方向耐圧をVd、前記第2サージ防護素子の動作開始電圧をV2とすると、以下の式(1)、(2)
Vd+V2>V1 ・・・ (1)
V2<V1 ・・・ (2)
が成り立つことを特徴とする。
【0009】
本発明の一態様に係るサージ防護装置は、前記第1サージ防護素子は放電素子またはバリスタであることを特徴とする。
【0010】
本発明の一態様に係るサージ防護装置は、前記第2サージ防護素子は放電素子、バリスタまたはツェナーダイオードであることを特徴とする。
【0011】
本発明の一態様に係るサージ防護装置は、絶縁性かつ耐熱性を有する樹脂で構成され、前記雷サージ防護手段および前記開閉サージ防護手段を収容する筐体を備えることを特徴とする。
【0012】
本発明の一態様に係るサージ防護装置は、前記雷サージ防護手段および前記開閉サージ防護手段と前記筐体との間に絶縁性かつ耐熱性を有する樹脂が充填されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、継電器における開閉サージ、および雷サージから電子機器を好適に保護することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、実施形態に係るサージ防護装置の回路図である。
図2図2は、ユニット化したサージ防護装置の一例の模式図である。
図3図3は、図2に示すサージ防護装置の分解図である。
図4図4は、図2、3に示すサージ防護装置の組み込み方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、図面を参照して本発明に係るサージ防護装置の実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、各図面において、同一または対応する要素には適宜同一の符号を付している。
【0016】
図1は、実施形態に係るサージ防護装置の回路図である。サージ防護装置100は、2つの入力端子11a、11bと、2つの出力端子12a、12bと、雷サージ防護手段である第1サージ防護素子13と、開閉サージ防護手段を構成する第2サージ防護素子14および第1ダイオード15と、第2ダイオード16と、を少なくとも備えている。
【0017】
入力端子11a、11bは、DC電源である電源10に接続されている。具体的には、入力端子11aがスイッチ30を介して電源10の正極側に接続され、入力端子11bが電源10の負極側に接続されている。
【0018】
出力端子12a、12bは、継電器40の電磁コイル41の両端にそれぞれ接続されている。また、出力端子12aは入力端子11aに接続され、出力端子12bは入力端子11bに接続されている。なお、継電器40は接触端子42を備えている。
【0019】
第1サージ防護素子13は、例えばアレスタ等の放電素子やバリスタであるが、本実施形態ではアレスタである。第1サージ防護素子13は、入力端子11a、11bの間に接続されている。
【0020】
第2サージ防護素子14は、例えば放電素子やバリスタやツェナーダイオードであるが、本実施形態では酸化亜鉛バリスタである。第2サージ防護素子14の一方の端子が第1ダイオード15のアノード側に接続され、第2サージ防護素子14と第1ダイオード15とが直列接続されることによって、開閉サージ防護手段が構成されている。また、第1ダイオード15のカソードが出力端子12aに接続され、第2サージ防護素子14の別の一方の端子が出力端子12bに接続されている。これにより、開閉サージ防護手段は、第1サージ防護素子13よりも出力端子12a、12b側にて出力端子12a、12bの間に接続される。
【0021】
第2ダイオード16は、第2サージ防護素子14に対して第1ダイオード15の反対側においてアノード側に第2サージ防護素子14が接続され、カソードが入力端子11b側に接続されている。すなわち、第2サージ防護素子14の一方の端子は第1ダイオード15のアノード側に接続し、別の一方の端子は第2ダイオード16のアノード側に接続している。
【0022】
つぎに、継電器40の動作について説明する。スイッチ30をオフ状態からオン状態にすると、電源10から入力端子11a、出力端子12a、電磁コイル41、出力端子12b、第2ダイオード16、入力端子11bを経由して電流が流れる。これにより、電磁コイル41が磁力を発生する。この磁力によって、接触端子42の2つのアームが電磁コイル41の両端に吸引されて接触端子42が開状態から閉状態となる。スイッチ30をオフ状態にすると接触端子42は開状態になる。継電器40の開閉状態に応じて、継電器40を備える、または継電器40に接続された電子機器が制御される。
【0023】
つぎに、アレスタである第1サージ防護素子13の作用を説明する。第1サージ防護素子13は、入力端子11a、11b側から侵入してきた両極性の雷サージS1、S2に対してサージ防護作用を発揮する。具体的には、第1サージ防護素子13は、通常の電源10の電圧が印加されている状態では電流は流れないが、動作開始電圧以上の電圧の雷サージS1、S2が侵入してくると、放電を開始して雷サージS1、S2をバイパスさせる。その結果、第1サージ防護素子13は、継電器40を雷サージS1、S2から防護する。
【0024】
つぎに、酸化亜鉛バリスタである第2サージ防護素子14、および第1ダイオード15の作用を説明する。第2サージ防護素子14、および第1ダイオード15は、継電器40に発生する開閉サージS3に対してサージ防護作用を発揮する。具体的には、スイッチ30をオン状態からオフ状態にすると、継電器40の電磁コイル41の自己誘導作用によって逆起電力が生じ、開閉サージS3が発生する。第2サージ防護素子14の動作開始電圧と第1ダイオード15の順方向電圧との和以上の電圧の開閉サージS3は、第2サージ防護素子14、第1ダイオード15、電磁コイル41によって形成されるループを流れながらこれらの抵抗成分によってエネルギーが消費され、やがて吸収される。
【0025】
すなわち、雷サージS1、S2と開閉サージS3が別個に侵入または発生した場合でも、重畳した場合でも、サージ防護装置100はこれらのサージに対して防護作用を発揮する。
【0026】
以上のように、サージ防護装置100によれば、雷サージS1、S2および開閉サージS3から、継電器40を備える、または継電器40に接続された電子機器を好適に保護することができる。
【0027】
なお、第1サージ防護素子13と、第2サージ防護素子14と第1ダイオード15とは、並列接続されているので、雷サージS1、S2が第2サージ防護素子14と第1ダイオード15とにも流れ、および/または開閉サージS3が第1サージ防護素子13にも流れる場合が有りうる。
【0028】
そこで、第1サージ防護素子13の動作開始電圧をV1、第1ダイオード15、第2ダイオード16の逆方向耐圧をVd、第2サージ防護素子14の動作開始電圧をV2とすると、以下の式(1)、(2)
Vd+V2>V1 ・・・ (1)
V2<V1 ・・・ (2)
が成り立つことが好ましい。式(1)が成り立つことによって、雷サージS1、S2は第1サージ防護素子13側のみに流れやすくなる。また、式(2)が成り立つことによって、開閉サージS3は第2サージ防護素子14と第1ダイオード15側のみに流れやすくなる。これにより、第1サージ防護素子13を雷サージS1、S2に対して最適に設計しやすくなり、第2サージ防護素子14および第1ダイオード15を開閉サージS3に対して最適に設計しやすくなる。すなわち、雷サージと開閉サージのそれぞれに対して別個に最適化をすることが可能になり、雷サージと開閉サージとの大小関係に依らず、雷サージと開閉サージの両方に対してより好適に動作可能なサージ防護装置100とすることができる。例えば、Vd=90V、V1=90V、V2=56Vとすることで、式(1)、(2)が成り立つ。
【0029】
このサージ防護装置100は、図2に示すようにユニット化することで、組み立ての作業性の向上、継電器40に取り付ける際の誤配線の防止を実現でき、生産性を向上できる。
【0030】
ユニット化したサージ防護装置100は、絶縁性かつ耐熱性を有する樹脂を成型することで構成された、直方体形状の筐体20を備える。筐体20を構成する樹脂は、外気環境に曝されることから、経年劣化を考慮しながら難燃性が求められる。そこで、例えばUL94規格における垂直燃焼試験グレードがV−0に相当する難燃性を有することが好ましい。例えば、筐体20を構成する樹脂としては、耐熱温度が100℃から140℃であり、融点が168℃のポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ユリア樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂等が用いられ、更なる耐熱性を増すために、ガラスフリットを添加する等の技法が用いられる。筐体20の両端面からはそれぞれ入力端子11a、11b、出力端子12a、12bが突出している。また、該両端面と略直交する面にはU字形の溝部21が形成されている。この溝部21は継電器40の電磁コイル41の側面に沿った形状を有しており、サージ防護装置100を電磁コイル41の近傍に配置しやすくする効果がある。
【0031】
図3は、図2に示すサージ防護装置100の分解図である。入力端子11a、11b、出力端子12a、12b、第1サージ防護素子13、第2サージ防護素子14、第1ダイオード15、および第2ダイオード16は、回路基板17に実装されている。入力端子11a、11b、出力端子12a、12bは、回路基板17の対向する側面17a、17bとは直交する側面側に取り付けられている。入力端子11a、11bは平端子であり、出力端子12a、12bは中空丸端子である。入力端子11a、11bの根元には、シリコーン樹脂等の絶縁性を有する樹脂18a、18bが塗布形成されている。
【0032】
また、筐体20は、蓋を取り外した状態で図示されている。筐体20は、蓋が取り付けられる側が開口し、開口側とは反対側に底面を有している。底面には入力端子11a、11bを挿通するための角形端子孔22a、22bが形成されている。また、筐体20の開口側の内面には、2つの突起を備えた基板ガイド部23a、23bがそれぞれ設けられている。
【0033】
ユニット化したサージ防護装置100を組み立てる際には、まず、回路基板17に各部品を実装し、樹脂18a、18bを塗布形成する。つづいて、回路基板17を筐体20に差し込む。このとき、回路基板17の側面17a、17bがそれぞれ基板ガイド部23a、23bの2つの突起部の間を通過するように差し込むことで、回路基板17がガイドされ、入力端子11a、11bが角形端子孔22a、22bにスムーズに挿入される。これにより第1サージ防護素子13、第2サージ防護素子14、第1ダイオード15および第2ダイオード16が筐体20に収容される。
【0034】
つづいて、筐体20内に、絶縁性かつ耐熱性を有する樹脂を流し込み、筐体20と、第1サージ防護素子13、第2サージ防護素子14、第1ダイオード15および第2ダイオード16との間に充填する。充填する樹脂は、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、フェノール樹脂をベース材として、適量のシリカ粉末、炭酸カルシュウム粉末、アルミナ粉末等を添加し、耐熱性や放熱性を加味しながら最適条件の樹脂としたものや、上記ベース材のみからなる樹脂である。このとき、入力端子11a、11bの根元に塗布形成した樹脂18a、18bは、入力端子11a、11bと角形端子孔22a、22bの縁との間を閉塞し、充填した樹脂が漏れないように機能する。その後、充填した樹脂は80℃や120℃等の高温下、または常温下で硬化される。硬化した樹脂は、回路基板17に搭載した各素子の損傷や振動による脱落を防止し、かつ各素子を外部からの塵や粉じん、湿気から保護するように作用し、サージ防護装置100の信頼性を高める。その後に、筐体20に蓋を固着する。この蓋には、端子孔が形成されており、出力端子12a、12bは端子孔に挿通される。これにより、サージ防護装置100のユニット化が完成する。
【0035】
その後、図4に示すように、電磁コイル41を構成する巻線の両端部41a、41bのそれぞれに取り付けられた丸端子43a、43bを、それぞれ出力端子12a、12bに差し込み、回路基板50に設けられた、電源10と電気的に接続された圧接端子受51a、51bに入力端子11a、11bを差し込むことによって、サージ防護装置100を電源10および継電器40と接続することができる。
【0036】
このように、サージ防護装置100を構成する各素子を、耐熱性を有する材料で密封、保護することにより、個々の素子が発熱した場合でも、他の素子に与える影響を低減できる。
【0037】
(実施例)
図2〜4に示す構成のサージ防護装置100を作製し、その特性を測定した。なお、電源10として24VのDC電源を用いた。また、インダクタンスが270μヘンリーの電磁コイル41を備えた継電器40を使用した。第1サージ防護素子13として動作開始電圧が100Vのガスアレスタを用いた。第2サージ防護素子14として動作開始電圧が85Vの酸化亜鉛バリスタを用いた。第1ダイオード15、第2ダイオード16として逆方向耐圧が42Vのダイオードを用いた。
【0038】
作製したサージ防護装置100に対して、IEC 61000−4−5 第3版の規定に従って雷サージ耐性試験を行った。試験レベルとしてはコンモードを用い、電源10からの24VのDC電圧に対して、サージ試験機から1.2μ×50のサージ電圧を、レベル4の4kVにて重畳し、サージ防護装置100に印加したところ、各素子に異常は見られなかった。さらに、この雷サージ耐性試験を、サージ電圧(重畳電圧)のレベルを1kV、2kV、3kV、4kV、5kVとして行いながら、継電器40の開閉動作を1分間隔で10回行う負荷試験を実行した。結果、各素子や回路基板には異常は見られなかった。さらに、各素子を回路基板から取り外して、素子単体としての電気特性評価を行ったが、いずれの素子も、試験前の初期特性に近い特性を維持していた。表1は、試験結果を示すものである。表1において、吸収電圧とは、第1サージ防護素子13が吸収した電圧を示している。また、表1に示すように、開閉サージにおける逆起電力が600Vであったところ、第2サージ防護素子14はいずれの重畳電圧においても、63Vで吸収を開始した。また、いずれの重畳電圧においてもサージ防護装置100は正常に動作し、外観に損傷などの異常は見られなかった。また、サージ防護装置100に対して開閉サージ出力600Vにおける保護回路寿命試験を行ったところ、25万回の連続試験結果でも機器の損傷は皆無であり、その後も正常に動作することが実証された。
【0039】
【表1】
【0040】
なお、上記実施形態により本発明が限定されるものではない。上記した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、上記の実施形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0041】
10 電源
11a、11b 入力端子
12a、12b 出力端子
13 第1サージ防護素子
14 第2サージ防護素子
15 第1ダイオード
16 第2ダイオード
17 回路基板
17a、17b 側面
20 筐体
21 溝部
22a、22b 角形端子孔
23a、23b 基板ガイド部
30 スイッチ
40 継電器
41 電磁コイル
41a、41b 端部
42 接触端子
43a、43b 丸端子
50 回路基板
51a、51b 圧接端子受
100 サージ防護装置
S1、S2 雷サージ
S3 開閉サージ
【要約】
【課題】継電器における開閉サージ、および雷サージから電子機器を好適に保護することができるサージ防護装置を提供すること。
【解決手段】サージ防護装置は、電源に接続される2つの入力端子と、継電器の電磁コイルの両端にそれぞれ接続される2つの出力端子と、前記2つの入力端子の間に接続され、前記2つの入力端子側から侵入する雷サージに対して作用する雷サージ防護手段と、前記雷サージ防護手段よりも前記2つの出力端子側にて前記2つの出力端子の間に接続され、前記電磁コイルにて発生する開閉サージに対して作用する開閉サージ防護手段と、を備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4