(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
[第1実施形態]
以下に本発明の第1実施形態に係る振動発生装置100について説明する。
【0022】
まず始めに第1実施形態における振動発生装置100の構成について
図1ないし
図5を用いて説明する。
図1は、振動発生装置100の外観形状を示す斜視図である。
図2は、振動発生装置100の構成を示す分解斜視図である。
図3は、天板部22を示す図で、天板部22を下(Z2)側から見た斜視図である。
図4は振動体30を示す図で、
図4(a)は振動体30を上(Z1)側から見た斜視図であり、
図4(b)は、振動体30を下(Z2)側から見た斜視図である。
図5は、基板40を示す図で、
図5(a)は、基板40の層構成を示す模式図であり、
図5(b)は、
図2に示すB‐B断面を示す断面模式図である。
【0023】
振動発生装置100は
図1に示すように、振動伝達部材10と、筺体20と、振動体30と、が組み合わされて略直方体状の外観が形成されている。
【0024】
また、振動発生装置100は
図2に示すように、振動伝達部材10と、筺体20を構成する基部21と天板部22と、振動体30と、基板40と、を備え、他に保持板60と、ナット部材70と、弾性部材80と、ネジ部材90を用いている。
【0025】
振動伝達部材10は合成樹脂からなり、
図2に示すように直方体状の外形を有し、矩形状の上面部10aと、その外周から下(
図2に示すZ2)側に延設された側壁部10bと、上面部10aの外周に沿って上(Z1)側に突出した載置部10cが形成されている。上面部10aと側壁部10bとで囲まれた領域には空間が設けられており、筺体20を構成する基部21と組み合わせ可能に形成されている。載置部10cの内側には、中心部に第1の貫通孔10dと、その周囲に複数の第2の貫通孔10eと、が設けられている。なお、本実施形態では、複数の第2の貫通孔10eが3つの場合として説明を進める。
【0026】
基部21は合成樹脂材からなり、
図2に示すように、直方体状の外形を有し、矩形状の基底部21aと、その外周から下(Z2)側に延設された内壁部21bと、内壁部21bを囲む外壁部21cと、が一体的に形成されている。内壁部21bと外壁部21cとの間には、外溝部21dが形成されている。基底部21aと内壁部21bとで囲まれた領域には空間が設けられており、振動体30や基板40が収納可能に形成されている。基底部21aの中心部には第3の貫通孔21eが設けられ、その周囲には、振動体30を固定するためのネジ孔21gと、振動伝達部材10に設けられた第2の貫通孔10eと対応する位置に、3つの円柱状の突起部21fが設けられている。
【0027】
天板部22は合成樹脂からなり、
図2に示すように、矩形板状で中心部に円形状の第4の貫通孔22aを有しており、下(Z2)側の面には
図3に示すように、第4の貫通孔22aを囲むように突出した規制部22bが設けられている。
【0028】
振動体30はソレノイドアクチュエータで
図2に示すように、本体部31と、可動部32と、を有しており、振動体30に加えられる駆動信号によって、可動部32が第1の方向(
図2に示すZ1‐Z2方向)に沿って往復自在に移動する。
【0029】
本体部31は、円筒状の外形を有しており、上(Z1)側の平面には、ネジ止め穴31aが設けられている。また、可動部32は
図4(a)に示すように、第1の方向(Z1‐Z2方向)の一方(Z1)側に突出する金属製の可動軸部32aを有しており、外周の一部にネジ山が形成されたネジ部32bが設けられている。また、可動部32の他方(Z2)側には
図4(b)に示すように、可動軸部32aと鉄等の磁性を有する金属で形成された可動鉄心32cが組み合わされて可動電極32dが設けられている。
【0030】
基板40は、ガラスエポキシ等の基材に銅箔等で電極や不図示の配線パターン等が形成されており、
図2に示すように矩形板状の外形を有している。基板40の上(Z1側)面には固定電極40aが可動電極32dと略同一形状に設けられ、固定電極40aの周囲を取り囲んで、グランド電極40bが配置されている。
【0031】
基板40について
図5を用いて説明する。基板40は、
図5(a)に示すように第1の基材40cと、第2の基材40eと、第3の基材40gとを有しており
図5(b)に示すように第1の基材40cと、第2の基材40eと、第3の基材40gとが積層されて構成されている。基板40の上(Z1)側となる第1の基材40cの上(Z1側)面には固定電極40aが設けられ、固定電極40aの周囲を取り囲んで、グランド電極40bが配置されている。第2の基材40eの上(Z1側)面には、シールド電極40dが固定電極40aと略同一形状に形成され、固定電極40aとシールド電極40dの外形が重なり合うように配置されている。基板40の下(Z2)側となる第3の基材40gの上(Z1側)面には配線領域40fの範囲に配線パターンが形成されており、下(Z2側)面には配線領域40hの範囲に配線パターンが形成されている。なお、
図5では配線領域40fおよび配線領域40hの全体が一体的に矩形状となっている図を例示しているが、実際には適宜配線パターンが形成される。基板40の上(Z1側)面または下(Z2側)面には不図示のICや電子部品によって、緩衝増幅器50が構成されている。
【0032】
保持板60は鉄等の金属からなり、
図2に示すように円形状で、その中心部には可動部32の可動軸部32aが挿通可能な長円状の孔60aが設けられている。保持板60は2つ用いられており、振動伝達部材10を挟んで上下にそれぞれ配置されている。
【0033】
ナット部材70は鉄等の金属からなり、
図2に示すように外周が六角形状で内周が円筒状に形成されており、内周には、ネジ溝が形成されている。本実施形態では、ナット部材70を2つ用いてダブルナットを構成している。
【0034】
弾性部材80は鋼等の弾性を有する金属線が巻き回されたコイルバネが形成されている。なお、
図2では弾性部材80が3つ用いられる例を示している。
【0035】
次に振動発生装置100の構造について
図2、
図3および
図6を用いて説明する。
図6は、
図1に示す振動発生装置100のA‐A断面を示す断面図である。なお、
図6では図面が煩雑にならないよう基板40には固定電極40aとグランド電極40bのみ記載しその他の詳細な構成は省略している。
【0036】
図6に示すように、筺体20を構成する基部21には、第3の貫通孔21eから、可動部32の可動軸部32aを上(Z1)側に突出させた状態で、基底部21aの下(Z2)側に振動体30の本体部31がネジ部材90によって支持されている。
【0037】
可動部32の可動軸部32aには、第1の方向(
図2に示すZ1‐Z2方向)の一方側に振動伝達部材10が配設され、2つの保持板60に狭持されてナット部材70によって接続されている。
【0038】
保持板60は、中心部に設けられた長円状の孔60aに可動軸部32aが挿通されており、振動伝達部材10に設けられた第1の貫通孔10dを上下(Z1‐Z2)方向に挟んで配置されている。
【0039】
振動伝達部材10は、上面部10aの中心部に設けられた第1の貫通孔10dの直径が、可動軸部32aの直径よりも余裕をもって大きく設定されており、可動軸部32aが挿通されている。また、第2の貫通孔10e(
図2参照)に基部21の基底部21aに設けられた突起部21fが挿通されており、基底部21aと振動伝達部材10の間に弾性部材80が配置され、振動伝達部材10を上(Z1)側に付勢している。このため、振動伝達部材10は上側に付勢されて、天板部22に設けられた規制部22bに押し付けられた状態で静止している。この状態では、側壁部10bが、基部21の内壁部21bと外壁部21cとにガイドされてこれらの間に設けられた外溝部21dに負荷なく挿入された状態となる。
【0040】
ナット部材70を、可動軸部32aに設けられたネジ部32b(
図3参照)に締め付けることで、2つの保持板60の間に振動伝達部材10の上面部10aが挟持され、振動伝達部材10と、可動部32とが接続される。この状態では、可動部32の、第1の方向(Z1‐Z2方向)の一方(Z1)側に振動伝達部材10が配設されている。
【0041】
筺体20を構成する天板部22は、基部21の基底部21aに設けられた突起部21fに、接着もしくは溶着等によって基部21と一体に固定される。
【0042】
基板40は、不図示の固定手段によって筺体20の基部21の内側に形成されている空間に、振動体30に設けられた可動電極32dと対向して支持されている。基板40は、固定電極40aが可動電極32dと向かい合う位置となるように配置されており、可動電極32dと固定電極40aの外形が重なり合うように、上下(Z軸)方向に距離D1だけ離れた位置に配置されている。このように基板40が配置された状態では、シールド電極40dは、固定電極40aを挟んで可動電極32dと向かい合う位置に配置され、可動電極32dと固定電極40aとシールド電極40dとが、それぞれの外形が重なり合うように配置されることとなる。
【0043】
次に振動発生装置100の電気的な接続について
図7を用いて説明する。
図7は本実施形態の振動発生装置100の電気的な接続を示すブロック図である。
【0044】
振動発生装置100は
図7に示すように、振動体30と、振動体30に設けられた可動電極32dと、固定電極40aと、グランド電極40bと、シールド電極40dと、緩衝増幅器50と、を備えている。また振動発生装置100には、容量検出部500と制御部510とが接続されている。
【0045】
可動電極32dは、基準電位となるグランドに電気的に接続されている。また、グランド電極40bもグランドに接続されている。
【0046】
固定電極40aには、固定電極40aと可動電極32dとで形成される静電容量値を検出する容量検出部500が接続され、容量検出のための電圧信号が容量検出部500から固定電極40aに印加される。
【0047】
緩衝増幅器50は、演算増幅器等で構成されたボルテージフォロワ等が用いられ、入力が固定電極40aに接続され、出力がシールド電極40dに接続されている。また、緩衝増幅器50は入力された電圧と略同じ電圧を出力する。このためシールド電極40dには、固定電極40aに現れる電圧と略同一電圧が印加されることとなる。固定電極40aとシールド電極40dに同一電圧が印加されているので、固定電極40aとシールド電極40dとの間に生じる静電容量を打ち消すことができ、固定電極40aに影響を与えずに、シールド電極40dを配置することができる。また、シールド電極40dを設けることで、固定電極40aが配置される面と異なる層や面、固定電極40aの近傍等に配置される他の配線および、電源やグランドなどの配線パターンとの静電結合を低減することができる。固定電極40aとシールド電極40dは、緩衝増幅器50を介して接続されているので、固定電極40aはシールド電極40dの影響を受けることなく回路的に分離されている。
【0048】
容量検出部500は、固定電極40aと制御部510に接続されており、検出電圧を固定電極40aに印加することで固定電極40aと可動電極32dとで形成される静電容量値を検出し、結果を制御部510に出力する。
【0049】
制御部510は、容量検出部500と振動体30に接続されており、検出された静電容量値に基づいて振動体30に対して駆動信号を加えることで、振動発生装置100が振動を発生することができる。
【0050】
次に、振動発生装置100の動作について、
図6を用いて説明する。
【0051】
初期状態では振動発生装置100は、
図6に示す状態で、筺体20の天板部22に設けられた規制部22bと振動伝達部材10の上面部10aとが、押し付けられた状態で静止している。可動電極32dと固定電極40aの面積をSとすると、初期状態では、可動電極32dと固定電極40aの間には、式(1)で示される値の静電容量Ctが形成されている。
【0052】
(式1)
Ct=ε
0・ε
r(S/D1)(但しε
0は真空の誘電率、ε
rは空気の比誘電率とする。)
【0053】
振動伝達部材10に、弾性部材80の付勢力に抗して第1の方向(Z1‐Z2方向)に下(Z2)側の力Fが加えられた場合には、保持板60を介して可動部32が押し下げられて、可動部32が下(Z2)側に移動する。このため、可動部32の他方(Z2)側に設けられた可動電極32dが下(Z2)側に移動し、基板40に設けられた固定電極40aとの距離D1が減少する。このため、向かい合う可動電極32dと固定電極40aとで形成される静電容量Ctの値が変化する。この静電容量値の変化を検出することで振動伝達部材10に、第1の方向(Z1‐Z2方向)に下(Z2)側の力Fが加えられたことを検出することができる。
【0054】
以下、第1実施形態としたことによる効果について説明する。
【0055】
第1実施形態の振動発生装置100では、可動部32を有する振動体30と、可動部32と接続される振動伝達部材10と、振動体30を支持する筺体20と、筺体20に支持される基板40を有し、可動部32が、第1の方向(Z1‐Z2方向)に沿って往復自在に移動し、可動部32の、第1の方向(Z1‐Z2方向)の一方(Z1)側に振動伝達部材10が配設され、他方(Z2)側に可動電極32dが設けられ、基板40が、可動電極32dと対向して配置されるとともに、可動電極32dと向かい合う位置に固定電極40aが設けられるよう構成した。
【0056】
これにより、可動電極32dと向かい合う位置に固定電極40aが設けられているので、可動電極32dと固定電極40aとで静電容量Ctを形成する。このため、振動伝達部材10が押圧されることで加えられる第1の方向に沿った力(F)による可動部32の移動に伴う可動電極32dと固定電極40aとの距離D1の変化量を静電容量Ctの変化として検出することができ、押圧操作に対応することができる振動発生装置を提供することができる。
【0057】
また、第1実施形態の振動発生装置100では、基板40に、固定電極40aを挟んで可動電極32dと向かい合う位置に、シールド電極40dが配置され、シールド電極40dと固定電極40aは、シールド電極40dと固定電極40aを回路的に分離する緩衝増幅器50を介して接続され、シールド電極40dには、固定電極40aと同一電圧が印加されるよう構成した。
【0058】
これにより、基板40の固定電極40aを挟んで可動電極32dと向かい合う位置に、シールド電極40dが配置されているので、固定電極40aが配置される面と異なる層や面、固定電極40aの近傍等に配置される他の配線やグランドなどの配線パターンとの静電結合を低減することができる。また、シールド電極40dには、固定電極40aと同一電圧が印加されているので、シールド電極40dが固定電極40aに与える影響を除去することができる。また、シールド電極40dと固定電極40aは、シールド電極40dと固定電極40aを回路的に分離する緩衝増幅器50を介して接続されているので、固定電極40aに影響を与えずに、シールド電極40dを配置することができる。
【0059】
また、第1実施形態の振動発生装置100では、基板40には、固定電極40aの周囲を取り囲んで、グランド電極40bが配置されるよう構成した。
【0060】
これにより、固定電極40aの近傍に配置される他の配線やグランドなどの配線パターンとの静電結合を一層低減することができる。
【0061】
また、第1実施形態の振動発生装置100では、可動電極32dと固定電極40aとシールド電極40dとが、同一形状に形成され、それぞれの外形が重なり合うように配置される構成とした。
【0062】
これにより、可動電極32dと固定電極40aとが同一形状に形成され外形が重なり合うように配置されているので、所望の静電容量を必要最小限の面積で構成することができる。また、固定電極40aとシールド電極40dとが、同一形状に形成され、外形が重なり合うように配置されているので、必要最小限の面積で他の配線やグランドなどの配線パターンとの静電結合を低減することができる。このため、電極を配置する面積を極小化できるので、省スペースな振動発生装置を提供することができる。
【0063】
[第2実施形態]
以下に第2実施形態における入力装置200について説明する。
図8は、本発明の第2実施形態に係る入力装置200の外観形状を示す斜視図である。
図9は、
図7に示す入力装置200のC‐C断面を示す断面図である。なお、第1実施形態と同一構成については、同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0064】
第2実施形態の入力装置200は、
図8に示すように、第1実施形態で説明した振動発生装置100と、タッチパッド210と、を備えている。
【0065】
タッチパッド210は、液晶表示装置(LCD)等の平面型表示装置と、操作者がタッチパッド210の表面に接触して操作することによって変化する静電容量や電気抵抗等の電気信号を検出することができる操作入力部211が一体に構成されている。
【0066】
タッチパッド210は
図9に示すように、操作入力部211を上(Z1)側として、振動発生装置100の振動伝達部材10に設けられた載置部10cの上(Z1)側に固定されている。このため、振動発生装置100が発生する振動がタッチパッド210に伝わり、タッチパッド210に振動を発生させることができる。
【0067】
操作入力部211は、操作者がその表面を接触することによって接触操作されるとともに、上(Z1)側から下(Z2)側に向かって押圧することによって押圧操作される。押圧した圧力はタッチパッド210を介して振動伝達部材10に伝えられる。
【0068】
以下、第2実施形態としたことによる効果について説明する。
【0069】
第2実施形態の入力装置200では、タッチパッド210を備え、第1実施形態の振動発生装置100が、タッチパッド210に振動を発生させるように設けられている構成とした。
【0070】
これにより、押圧操作に対応することができる振動発生装置を用いた入力装置を提供することができる。
【0071】
以上のように、本発明の実施形態に係る振動発生装置および入力装置を具体的に説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施することが可能である。例えば次のように変形して実施することができ、これらの実施形態も本発明の技術的範囲に属する。
【0072】
(1)本実施形態において、弾性部材80がコイルバネを用いた例を示して説明を行ったが、適用される用途や使用条件等に合わせて適宜変更して実施しても良い。また、材料の特性に応じて形状も適宜変更して実施することができる。
【0073】
(2)本実施形態において、基板40の配線層が4層の構成を示して説明を行ったが、層構成を変更して、2層または4層より多い層構成の基板を用いて実施しても良い。
【0074】
(3)本実施形態において、可動電極32d、固定電極40a、シールド電極40dは略円形状の図を示して説明を行ったが、形状は適用される振動発生装置および用いられる振動体などに合わせて適宜変更して実施しても良い。