特許第6296535号(P6296535)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6296535ダイオードおよびそれを含む信号出力回路
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6296535
(24)【登録日】2018年3月2日
(45)【発行日】2018年3月20日
(54)【発明の名称】ダイオードおよびそれを含む信号出力回路
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/861 20060101AFI20180312BHJP
   H01L 29/868 20060101ALI20180312BHJP
   H01L 21/761 20060101ALI20180312BHJP
   H01L 21/8248 20060101ALI20180312BHJP
   H01L 27/06 20060101ALI20180312BHJP
   H01L 21/8222 20060101ALI20180312BHJP
   H01L 21/8249 20060101ALI20180312BHJP
【FI】
   H01L29/91 C
   H01L29/91 K
   H01L21/76 J
   H01L27/06 101U
   H01L27/06 101D
   H01L27/06 321B
   H01L27/06 321E
【請求項の数】9
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-254396(P2013-254396)
(22)【出願日】2013年12月9日
(65)【公開番号】特開2015-115365(P2015-115365A)
(43)【公開日】2015年6月22日
【審査請求日】2016年11月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087701
【弁理士】
【氏名又は名称】稲岡 耕作
(74)【代理人】
【識別番号】100101328
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 実夫
(74)【代理人】
【識別番号】100086391
【弁理士】
【氏名又は名称】香山 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】矢野 雄二
【審査官】 棚田 一也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−021225(JP,A)
【文献】 特開2012−004460(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/337−338
H01L 21/761
H01L 21/8222
H01L 21/8248
H01L 21/8249
H01L 27/06
H01L 27/095−098
H01L 29/778−868
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
p型半導体基板と、
前記p型半導体基板上に形成されたn型半導体層と、
前記p型半導体基板上に前記n型半導体層の所定領域を取り囲むように形成されたp型分離領域と、
前記所定領域内において、前記p型半導体基板と前記n型半導体層とに跨って形成され、前記n型半導体層よりも不純物濃度が高いn型埋め込み層と、
前記n型半導体層に形成され、前記n型埋め込み層から前記n型半導体層の表面に向かって立ち上がって前記n型半導体層の所定の領域を取り囲み、前記n型半導体層よりも不純物濃度が高いn型コレクタウォールと、
前記n型半導体層の表層部の前記n型コレクタウォールに取り囲まれた領域内のダイオード形成領域に形成されたp型アノード領域およびn型カソード領域と、
前記n型半導体層の表層部の前記ダイオード形成領域と前記p型分離領域との間の領域において、前記ダイオード形成領域を取り囲むように形成され、前記カソード領域に電気的に接続されるp型ガードリングとを含み、
前記p型アノード領域と前記p型ガードリングとそれらの間のn型の半導体とによって漏れ電流低減用トランジスタが形成されており、
前記p型アノード領域と、前記p型半導体基板と、それらの間の前記n型半導体層および前記n型埋め込み層とによって、縦方向の寄生pnpトランジスタが形成されており、
前記p型アノード領域と、前記p型分離領域と、それらの間の前記n型半導体層および前記n型コレクタウォールとによって、横方向の寄生pnpトランジスタが形成されている、ダイオード。
【請求項2】
p型半導体基板と、
前記p型半導体基板上に形成されたn型半導体層と、
前記p型半導体基板上に前記n型半導体層の所定領域を取り囲むように形成されたp型分離領域と、
前記所定領域内において、前記p型半導体基板と前記n型半導体層とに跨って形成され、前記n型半導体層よりも不純物濃度が高いn型埋め込み層と、
前記n型半導体層に形成され、前記n型埋め込み層から前記n型半導体層の表面に向かって立ち上がって前記n型半導体層の所定の領域を取り囲み、前記n型半導体層よりも不純物濃度が高いn型コレクタウォールと、
前記n型半導体層の表層部の前記n型コレクタウォールに取り囲まれた領域内のダイオード形成領域に形成されたp型アノード領域およびn型カソード領域と、
前記n型半導体層の表層部の前記ダイオード形成領域と前記p型分離領域との間の領域において、前記ダイオード形成領域を取り囲むように形成され、前記カソード領域に電気的に接続されるp型ガードリングとを含み、
前記p型アノード領域と前記p型ガードリングとそれらの間のn型の半導体とによって漏れ電流低減用トランジスタが形成されており、
前記p型ガードリングが、前記n型コレクタウォールと前記p型分離領域との間の領域において、前記ダイオード形成領域を取り囲むように形成されており、
前記n型の半導体が、前記n型半導体層および前記n型コレクタウォールを含んでいる、ダイオード。
【請求項3】
p型半導体基板と、
前記p型半導体基板上に形成されたn型半導体層と、
前記p型半導体基板上に前記n型半導体層の所定領域を取り囲むように形成されたp型分離領域と、
前記所定領域内において、前記p型半導体基板と前記n型半導体層とに跨って形成され、前記n型半導体層よりも不純物濃度が高いn型埋め込み層と、
前記n型半導体層に形成され、前記n型埋め込み層から前記n型半導体層の表面に向かって立ち上がって前記n型半導体層の所定の領域を取り囲み、前記n型半導体層よりも不純物濃度が高いn型コレクタウォールと、
前記n型半導体層の表層部の前記n型コレクタウォールに取り囲まれた領域内のダイオード形成領域に形成されたp型アノード領域およびn型カソード領域と、
前記n型半導体層の表層部の前記ダイオード形成領域と前記p型分離領域との間の領域において、前記ダイオード形成領域を取り囲むように形成され、前記カソード領域に電気的に接続されるp型ガードリングとを含み、
前記p型アノード領域と前記p型ガードリングとそれらの間のn型の半導体とによって漏れ電流低減用トランジスタが形成されており、
前記p型アノード領域と、前記p型半導体基板と、それらの間の前記n型半導体層および前記n型埋め込み層とによって、縦方向の寄生pnpトランジスタが形成されている、ダイオード。
【請求項4】
p型半導体基板と、
前記p型半導体基板上に形成されたn型半導体層と、
前記p型半導体基板上に前記n型半導体層の所定領域を取り囲むように形成されたp型分離領域と、
前記所定領域内において、前記p型半導体基板と前記n型半導体層とに跨って形成され、前記n型半導体層よりも不純物濃度が高いn型埋め込み層と、
前記n型半導体層に形成され、前記n型埋め込み層から前記n型半導体層の表面に向かって立ち上がって前記n型半導体層の所定の領域を取り囲み、前記n型半導体層よりも不純物濃度が高いn型コレクタウォールと、
前記n型半導体層の表層部の前記n型コレクタウォールに取り囲まれた領域内のダイオード形成領域に形成されたp型アノード領域およびn型カソード領域と、
前記n型半導体層の表層部の前記ダイオード形成領域と前記p型分離領域との間の領域において、前記ダイオード形成領域を取り囲むように形成され、前記カソード領域に電気的に接続されるp型ガードリングとを含み、
前記p型アノード領域と前記p型ガードリングとそれらの間のn型の半導体とによって漏れ電流低減用トランジスタが形成されており、
前記p型アノード領域と、前記p型分離領域と、それらの間の前記n型半導体層および前記n型コレクタウォールとによって、横方向の寄生pnpトランジスタが形成されている、ダイオード。
【請求項5】
前記横方向の寄生pnpトランジスタの電流増幅率が、前記縦方向の寄生pnpトランジスタよりも大きい、請求項1に記載のダイオード。
【請求項6】
前記漏れ電流低減用トランジスタの電流増幅率が、前記縦方向の寄生pnpトランジスタよりも大きい、請求項1、3および5のいずれか一項に記載のダイオード。
【請求項7】
前記ダイオード形成領域に、前記p型アノード領域および前記n型カソード領域を含むダイオード構造部が形成されており、前記ダイオード構造部が、nチャネルDMISトランジスタ構造を有している、請求項1〜6のいずれか一項に記載のダイオード。
【請求項8】
前記ダイオード構造部は、
前記n型半導体層の表層部に形成された前記p型アノード領域と、
前記p型アノード領域の表層部に形成されたn型領域およびp型コンタクト領域と、
前記n型半導体層の表層部に形成され、前記p型アノード領域の両側に間隔をおいて配置された前記n型カソード領域と、
前記n型カソード領域の表層部に形成されたn型コンタクト領域と、
前記n型領域と前記n型コンタクト領域との間の領域において、前記n型半導体層の表面に形成されたゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上に形成され、前記アノード領域に電気的に接続されるゲート電極とを含む、請求項7に記載のダイオード。
【請求項9】
出力端子と、
前記出力端子にアノードが接続された請求項1〜8のいずれか一項に記載のダイオードと、
前記ダイオードのカソードと接地との間に接続されたスイッチング素子とを含む、信号出力回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ダイオードおよびそれを含む信号出力回路に関する。
【背景技術】
【0002】
車載ネットワークの信号出力装置に用いられるダイオードとして、特許文献1の図10に記載されたものが知られている。特許文献1記載のダイオードは、p型半導体基板(P−sub)と、p型半導体基板上に形成されたn型半導体層(Epi)と、p型半導体基板上にn型半導体層の所定領域を取り囲むように形成されたp型分離領域(P,Pwell,L/I,1stL/I)と、前記所定領域内において、p型半導体基板とn型半導体層とに跨って形成されたn型埋め込み層(B/L)と、n型半導体層に形成され、n型埋め込み層の上面周縁部からn型半導体層の表面に向かって立ち上がるn型コレクタウォール(C/W)と、n型半導体層の表層部のn型コレクタウォールに取り囲まれた領域内のダイオード形成領域に形成されたp型アノード領域(P,Pwell)およびn型カソード領域(N,N−Body)とを含んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−250345号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述の従来のダイオードでは、アノードが接続されるp型アノード領域(P,Pwell)とp型半導体基板(P−sub)とそれらの間のn型埋め込み層(B/L)を含むn型半導体によって縦方向のpnp寄生トランジスタが形成され、アノードが接続されるp型アノード領域(P,Pwell)とp型分離領域(P,Pwell,L/I,1stL/I)とそれらの間のコレクタウォール(C/W)を含むn型半導体とによって横方向のpnp寄生トランジスタが形成されている。これらの寄生トランジスタによって電流経路が形成されるため、p型半導体基板側に漏れ電流が流れる。
【0005】
この発明の目的は、漏れ電流の少ないダイオードおよびそれを含む信号出力回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明による第1のダイオードは、p型半導体基板と、前記p型半導体基板上に形成されたn型半導体層と、前記p型半導体基板上に前記n型半導体層の所定領域を取り囲むように形成されたp型分離領域と、前記所定領域内において、前記p型半導体基板と前記n型半導体層とに跨って形成され、前記n型半導体層よりも不純物濃度が高いn型埋め込み層と、前記n型半導体層に形成され、前記n型埋め込み層から前記n型半導体層の表面に向かって立ち上がって前記n型半導体層の所定の領域を取り囲み、前記n型半導体層よりも不純物濃度が高いn型コレクタウォールと、前記n型半導体層の表層部の前記n型コレクタウォールに取り囲まれた領域内のダイオード形成領域に形成されたp型アノード領域およびn型カソード領域と、前記n型半導体層の表層部の前記ダイオード形成領域と前記p型分離領域との間の領域において、前記ダイオード形成領域を取り囲むように形成され、前記カソード領域に電気的に接続されるp型ガードリングとを含んでいる。そして、前記p型アノード領域と前記p型ガードリングとそれらの間のn型の半導体とによって漏れ電流低減用pnpトランジスタが形成されており、前記p型アノード領域と、前記p型半導体基板と、それらの間の前記n型半導体層および前記n型埋め込み層とによって、縦方向の寄生pnpトランジスタが形成されており、前記p型アノード領域と、前記p型分離領域と、それらの間の前記n型半導体層および前記n型コレクタウォールとによって、横方向の寄生pnpトランジスタが形成されている(請求項1)。
【0007】
この構成では、p型アノード領域とp型ガードリングとそれらの間のn型の半導体とによって漏れ電流低減用pnpトランジスタが形成されている。p型ガードリングは、カソード電極に接続されているので、漏れ電流低減用pnpトランジスタに流れる電流は、カソード電極に回収される。
漏れ電流低減用pnpトランジスタのコレクタとなるp型ガードリングは、p型分離領域よりも内側に配置されている。したがって、ダイオード形成領域内からp型分離領域側に向かって流れようとする電流のほとんどは、漏れ電流低減用pnpトランジスタによってカソード電極に回収される。これにより、漏れ電流の少ないダイオードを実現することができる。
縦方向のpnp寄生トランジスタの電流増幅率は、n型埋め込み層の不純物濃度を高く設定することにより、容易に低くできる。一方、n型コレクタウォールは縦方向(p型半導体基板の表面の法線方向)に延びているので、不純物濃度を全域にわたって高く設定することは困難である。このため、縦方向のpnp寄生トランジスタの電流増幅率の低減を図ると、横方向の寄生pnpトランジスタの電流増幅率が、縦方向のpnp寄生トランジスタの電流増幅率よりも高くなる。これにより、横方向のpnp寄生トランジスタによる漏れ電流は、縦方向のpnp寄生トランジスタによる漏れ電流よりも多くなる。
この構成では、漏れ電流低減用pnpトランジスタのコレクタとなるp型ガードリングは、横方向の寄生pnpトランジスタのコレクタとなるp型分離領域よりも内側に配置されている。したがって、ダイオード形成領域内からp型分離領域側に向かって流れようとする電流のほとんどは、漏れ電流低減用pnpトランジスタによってカソード電極に回収される。これにより、横方向の寄生pnpトランジスタに流れる電流を抑制することができるので、漏れ電流の少ないダイオードを実現することができる。
【0008】
この発明による第2のダイオードは、p型半導体基板と、前記p型半導体基板上に形成されたn型半導体層と、前記p型半導体基板上に前記n型半導体層の所定領域を取り囲むように形成されたp型分離領域と、前記所定領域内において、前記p型半導体基板と前記n型半導体層とに跨って形成され、前記n型半導体層よりも不純物濃度が高いn型埋め込み層と、前記n型半導体層に形成され、前記n型埋め込み層から前記n型半導体層の表面に向かって立ち上がって前記n型半導体層の所定の領域を取り囲み、前記n型半導体層よりも不純物濃度が高いn型コレクタウォールと、前記n型半導体層の表層部の前記n型コレクタウォールに取り囲まれた領域内のダイオード形成領域に形成されたp型アノード領域およびn型カソード領域と、前記n型半導体層の表層部の前記ダイオード形成領域と前記p型分離領域との間の領域において、前記ダイオード形成領域を取り囲むように形成され、前記カソード領域に電気的に接続されるp型ガードリングとを含み、前記p型アノード領域と前記p型ガードリングとそれらの間のn型の半導体とによって漏れ電流低減用トランジスタが形成されており、前記p型ガードリングが、前記n型コレクタウォールと前記p型分離領域との間の領域において、前記ダイオード形成領域を取り囲むように形成されており、前記n型の半導体が、前記n型半導体層および前記n型コレクタウォールを含んでいる(請求項2)。
この発明による第3のダイオードは、p型半導体基板と、前記p型半導体基板上に形成されたn型半導体層と、前記p型半導体基板上に前記n型半導体層の所定領域を取り囲むように形成されたp型分離領域と、前記所定領域内において、前記p型半導体基板と前記n型半導体層とに跨って形成され、前記n型半導体層よりも不純物濃度が高いn型埋め込み層と、前記n型半導体層に形成され、前記n型埋め込み層から前記n型半導体層の表面に向かって立ち上がって前記n型半導体層の所定の領域を取り囲み、前記n型半導体層よりも不純物濃度が高いn型コレクタウォールと、前記n型半導体層の表層部の前記n型コレクタウォールに取り囲まれた領域内のダイオード形成領域に形成されたp型アノード領域およびn型カソード領域と、前記n型半導体層の表層部の前記ダイオード形成領域と前記p型分離領域との間の領域において、前記ダイオード形成領域を取り囲むように形成され、前記カソード領域に電気的に接続されるp型ガードリングとを含み、前記p型アノード領域と前記p型ガードリングとそれらの間のn型の半導体とによって漏れ電流低減用トランジスタが形成されており、前記p型アノード領域と、前記p型半導体基板と、それらの間の前記n型半導体層および前記n型埋め込み層とによって、縦方向の寄生pnpトランジスタが形成されている(請求項3)。
【0009】
この発明による第4のダイオードは、p型半導体基板と、前記p型半導体基板上に形成されたn型半導体層と、前記p型半導体基板上に前記n型半導体層の所定領域を取り囲むように形成されたp型分離領域と、前記所定領域内において、前記p型半導体基板と前記n型半導体層とに跨って形成され、前記n型半導体層よりも不純物濃度が高いn型埋め込み層と、前記n型半導体層に形成され、前記n型埋め込み層から前記n型半導体層の表面に向かって立ち上がって前記n型半導体層の所定の領域を取り囲み、前記n型半導体層よりも不純物濃度が高いn型コレクタウォールと、前記n型半導体層の表層部の前記n型コレクタウォールに取り囲まれた領域内のダイオード形成領域に形成されたp型アノード領域およびn型カソード領域と、前記n型半導体層の表層部の前記ダイオード形成領域と前記p型分離領域との間の領域において、前記ダイオード形成領域を取り囲むように形成され、前記カソード領域に電気的に接続されるp型ガードリングとを含み、前記p型アノード領域と前記p型ガードリングとそれらの間のn型の半導体とによって漏れ電流低減用トランジスタが形成されており、前記p型アノード領域と、前記p型分離領域と、それらの間の前記n型半導体層および前記n型コレクタウォールとによって、横方向の寄生pnpトランジスタが形成されている(請求項4)。
【0012】
この発明の一実施形態では、前記横方向の寄生pnpトランジスタの電流増幅率が、前記縦方向の寄生pnpトランジスタよりも大きい(請求項5)。
この発明の一実施形態では、前記漏れ電流低減用トランジスタの電流増幅率が、前記縦方向の寄生pnpトランジスタよりも大きい(請求項6)。
この発明の一実施形態では、前記ダイオード形成領域に、前記p型アノード領域および前記n型カソード領域を含むダイオード構造部が形成されており、前記ダイオード構造部が、nチャネルDMIS(二重拡散型金属/絶縁膜/半導体)トランジスタ構造を有している(請求項7)。
【0013】
この発明の一実施形態では、前記ダイオード構造部は、前記n型半導体層の表層部に形成された前記p型アノード領域と、前記p型アノード領域の表層部に形成されたn型領域およびp型コンタクト領域と、前記n型半導体層の表層部に形成され、前記p型アノード領域の両側に間隔をおいて配置された前記n型カソード領域と、前記n型カソード領域の表層部に形成されたn型コンタクト領域と、前記n型領域と前記n型コンタクト領域との間の領域において、前記n型半導体層の表面に形成されたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に形成され、前記アノード領域に電気的に接続されるゲート電極とを含んでいる(請求項8)。
【0014】
この発明の信号出力回路は、出力端子と、前記出力端子にアノードが接続された前記ダイオードと、前記ダイオードのカソードと接地との間に接続されたスイッチング素子とを含む(請求項9)。この構成では、ダイオードの漏れ電流が少ないので、スイッチング素子がオフした場合に、出力端子側からダイオードを介して接地側に流れる電流を抑制することができる。これにより、スイッチング素子のオフ時に、適切な出力信号を出力端子が出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、この発明の第1実施形態に係るダイオードが適用された信号出力回路を示す電気回路図である。
図2図2は、本発明の第1実施形態に係るダイオードの構造を示す図解的な平面図である。
図3図3は、図2のIII-III線に沿う断面図である。
図4A図4Aは、図1の信号出力回路の出力信号波形の測定結果を示す波形図である。
図4B図4Bは、図1の信号出力回路におけるローサイド出力部内のダイオードの代わりに比較例を用いた場合の信号出力回路の出力信号波形の測定結果を示す波形図である。
図5図5は、本発明の第2実施形態に係るダイオードの構造を示す図解的な平面図である。
図6図6は、図5のVI-VI線に沿う前記ダイオードの構造を示す図解的な断面図である。
図7図7は、本発明の第3実施形態に係るダイオードの構造を示す図解的な断面図である。
図8図8は、本発明の第4実施形態に係るダイオードの構造を示す図解的な断面図である。
図9図9は、本発明をLINに使用される信号出力回路に適用した場合の例を示す電気回路図である
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の第1実施形態に係るダイオードが適用された信号出力回路を示す電気回路図である。
この信号出力回路1は、たとえば車載ネットワークの一種であるCAN(Controller Area Network)に使用される信号出力回路である。信号出力回路1は、ハイサイド出力部2と、ローサイド出力部3と、抵抗分割回路4と、ハイサイド出力端子5と、ローサイド出力端子6とを含む。
【0017】
ハイサイド出力部2は、駆動トランジスタ7と、駆動トランジスタ7に直列接続された逆流阻止用ダイオード8と、逆流阻止用ダイオード8に直列接続された防護トランジスタ9とを含んでいる。この実施形態では、駆動トランジスタ7および防護トランジスタ9は、p型MOSトランジスタ(PMOS)からなる。駆動トランジスタ7のソースは、第1電源VCC1に接続されている。駆動トランジスタ7のドレインは、逆流阻止用ダイオード8のアノードに接続されている。逆流阻止用ダイオード8のカソードは、防護トランジスタ9のソースに接続されている。防護トランジスタ9のドレインは、ハイサイド出力端子5に接続されている。防護トランジスタ9のゲートは接地されている。
【0018】
ローサイド出力部3は、逆流阻止用ダイオード10と、逆流阻止用ダイオード10に直列接続された防護トランジスタ11と、防護トランジスタ11に直列接続された駆動トランジスタ12とを含んでいる。この実施形態では、防護トランジスタ11および駆動トランジスタ12は、n型MOSトランジスタ(NMOS)からなる。逆流阻止用ダイオード10のアノードは、ローサイド出力端子6に接続されている。逆流阻止用ダイオード10のカソードは、防護トランジスタ11のドレインに接続されている。防護トランジスタ11のゲートは、第1電源VCC1に接続されている。防護トランジスタ11のソースは、駆動トランジスタ12のドレインに接続されている。駆動トランジスタ12のソースは、接地されている。
【0019】
抵抗分割回路4は、一端がハイサイド出力端子5に接続された第1抵抗13と、第1抵抗13の他端に一端が接続され、他端が接地された第2抵抗14とを含む。第1抵抗13と第2抵抗14との接続点には、第2電源VCC2が接続されている。
ハイサイド出力端子5は第1バス線に接続され、ローサイド出力端子6は第2バス線に接続されている。第1バス線と第2バス線との間に終端抵抗15が接続されている。
【0020】
駆動トランジスタ7のゲートには制御信号が与えられ、駆動トランジスタ12のゲートには制御信号の反転信号が与えられる。制御信号がLレベルである場合には、両駆動トランジスタ7,12が共にオンする。これにより、ハイサイド出力端子5に3.5V(標準値)のバス信号CANHが出力され、ローサイド出力端子6に1.5V(標準値)のバス信号CANLが出力される(ドミナント状態)。一方、制御信号がHレベルである場合には、両駆動トランジスタ7,12が共にオフする。これにより、ハイサイド出力端子5に2.5V(標準値)のバス信号CANHが出力され、ローサイド出力端子6に2.5V(標準値)のバス信号CANLが出力される(リセッシブ状態)。
【0021】
ローサイド出力部3の逆流阻止用ダイオード10は、この発明の一実施形態に係るダイオードである。逆流阻止用ダイオード10の漏れ電流が多い場合には、駆動トランジスタ12がオフされた場合にも、ローサイド出力端子6側から逆流阻止用ダイオード10を介して接地側に電流が流れる。このため、バス信号CANH、CANLが標準値からずれる。そこで、ローサイド出力部3の逆流阻止用ダイオード10として、漏れ電流の少ない本実施形態のダイオードが使用されている。以下、逆流阻止用ダイオード10(以下、単にダイオード10という。)の構造について、詳しく説明する。
【0022】
図2は、本発明の第1実施形態に係るダイオード10の構造を示す図解的な平面図である。図3は、図2のIII-III線に沿う断面図である。
このダイオード10は、たとえば、図2に示すように、平面視四角形のチップ状に形成されている。ダイオード10は、p型半導体基板(P−SUB)21を備えている。p型半導体基板21の表面には、n型半導体層としてのn型エピタキシャル層(N−epi)22が積層されている。また、p型半導体基板21の表面には、n型エピタキシャル層22の周囲を取り囲む四角環状のp型分離領域23が形成されている。
【0023】
p型分離領域23は、p型半導体基板21に接続された下側分離領域(1st L/I(Low Isolation))24と、下側分離領域24上に形成された中間分離領域(L/I)25と、中間分離領域25上に形成された上側分離領域(HV P−well)26とを備えている。上側分離領域26の上層部には、p型基板コンタクト領域27が形成されている。p型基板コンタクト領域27には、接地された基板電極51が接続されている。
【0024】
p型半導体基板21とn型エピタキシャル層22の境界部には、p型半導体基板21とn型エピタキシャル層22とに跨って、n型エピタキシャル層22よりも不純物濃度が高いn型埋め込み層(B/L(Buried Layer))28が形成されている。また、n型エピタキシャル層22には、n型埋め込み層28の上面周縁部からn型エピタキシャル層22の表面に向かって立ち上がり、n型エピタキシャル層22よりも不純物濃度が高いn型コレクタウォール29が形成されている。
【0025】
n型コレクタウォール29は、p型半導体基板21に接続された下側コレクタウォール部(C/W(Collector Wall))30と、下側コレクタウォール部30上に形成された上側コレクタウォール部(2nd C/W)31とを備えている。上側コレクタウォール部(2nd C/W)31の上層部には、n型層32が形成されている。
n型埋め込み層28とn型コレクタウォール29とによって囲まれた領域(n型エピタキシャル層22)内に、平面視で四角状のダイオード形成領域33が設定されている。また、n型エピタキシャル層22の表層部には、ダイオード形成領域33とn型コレクタウォール29との間の領域において、ダイオード形成領域33を取り囲むように、p型ガードリングとしてのp型ウェル34が形成されている。p型ウェル34の表層部には、p型カソードコンタクト領域35が形成されている。
【0026】
図2に示すように、ダイオード形成領域33内には、n型エピタキシャル層22の表層部に、同じ構造を有する複数のダイオード構造部40が形成されている。各ダイオード構造部40は、平面視において、所定方向(図2の紙面の上下方向)に沿ってのびている。複数のダイオード構造部40は、所定の間隔を隔てて、平行にのびている。このため、これらのダイオード構造部40は、平面視で、ストライプ状に形成されている。第1実施形態では、ダイオード構造部40は、nチャネルDMISトランジスタ構造を有している。図3には、複数のダイオード構造部40のうち、ダイオード形成領域33の一端にある1つのダイオード構造部40のみが示されている。
【0027】
ダイオード構造部40は、n型エピタキシャル層22の表層部に形成されたアノード領域(p型ボティ領域)としてp型ウェル(P−BASE)41と、p型ウェル41の両側に間隔をおいてそれぞれ形成されたカソード領域(n型ドリフト層)としての2つのn型ウェル(N−well)42とを含んでいる。p型ウェル41およびn型ウェル42は、平面視において、ダイオード構造部40の長さ方向に細長い矩形状に形成されている。
【0028】
p型ウェル41の表層部には、p型アノードコンタクト領域43とその両側に配置されたn型領域44が形成されている。n型ウェル42の表層部には、n型カソードコンタクト領域45が形成されている。
n型エピタキシャル層22の表面は、p型基板コンタクト領域27、n型層32、p型カソードコンタクト領域35、n型カソードコンタクト領域45、各n型ウェル42上面におけるp型ウェル41に近い部分および2つのn型ウェル42の間の領域を除いて、フィールド酸化膜46により覆われている。
【0029】
ダイオード構造部40は、さらに、ゲート絶縁膜47およびゲート電極48を含んでいる。ゲート絶縁膜47は、n型ウェル42のn型カソードコンタクト領域45とp型ウェル41との間に配置されたフィールド酸化膜46と、p型ウェル41内の当該フィールド酸化膜46に近い側のn型領域44との間の領域において、n型エピタキシャル層22の表面に形成されている。ゲート電極48は、ゲート酸化膜47と、ゲート酸化膜47とn型カソードコンタクト領域45との間に配置されたフィールド酸化膜46の一部とを覆うように形成されている。
【0030】
p型ウェル41のp型アノードコンタクト領域43とゲート電極48とは、アノード電極52に接続されている。n型ウェル42のn型カソードコンタクト領域45とp型ウェル(p型ガードリング)34内のp型カソードコンタクト領域35とは、カソード電極53に接続されている。
p型ウェル41と、その一方側に隣接するn型ウェル42と、それらの間のn型エピタキシャル層22とによってpn接合ダイオードDi1が形成され、p型ウェル41と、その他方側に隣接するn型ウェル42と、それらの間のn型エピタキシャル層22とによってpn接合ダイオードDi2が形成されている。また、p型ウェル41と、p型ガードリング(p型ウェル)34と、それらの間のn型エピタキシャル層22とによって、漏れ電流低減用pnpトランジスタTr1が形成されている。
【0031】
アノード電極52とカソード電極53との間に順方向バイアスがかけられると、アノード電極52から、前記pn接合ダイオードおよび漏れ電流低減用pnpトランジスタTr1を介して、カソード電極53に向かって電流が流れる。
このようなダイオード10は、BiCDMOS(Bipoler CMOS DMOS)プロセスによって製造することができる。p型ガードリングとしてのp型ウェル34は、p型分離領域23の上側分離領域26と同じ工程で形成できる。また、p型ウェル34内のp型カソードコンタクト領域35は、上側分離領域26内のp型基板コンタクト領域27と同じ工程で形成できる。
【0032】
このダイオード10には、p型ウェル41と、p型半導体基板21と、それらの間のn型の半導体(n型エピタキシャル層22およびn型埋め込み層28)とによって、縦方向の寄生pnpトランジスタTr2が形成されている。また、p型ウェル41と、p型分離領域23と、それらの間のn型エピタキシャル層22とによって、横方向の寄生pnpトランジスタTr3が形成されている。
【0033】
縦方向の厚みが小さなn型埋め込み層28の不純物濃度は、高く設定することができるので、縦方向のpnp寄生トランジスタTr2の電流増幅率(hfe)は、低くできる。したがって、縦方向のpnp寄生トランジスタTr2を介する漏れ電流の低減は容易である。一方、n型コレクタウォール29は縦方向(p型半導体基板21の表面の法線方向)に延びているので、不純物濃度を全域にわたって高く設定することは困難である。このため、横方向のpnp寄生トランジスタTr3の電流増幅率は、縦方向のpnp寄生トランジスタTr2の電流増幅率よりも高い。これにより、横方向のpnp寄生トランジスタTr3による漏れ電流は、縦方向のpnp寄生トランジスタTr2による漏れ電流よりも多くなる。したがって、漏れ電流の少ないダイオードを実現するためには、横方向のpnp寄生トランジスタTr3に流れる電流を抑制することが重要となる。
【0034】
このダイオード10には、縦方向のpnp寄生トランジスタTr2および横方向のpnp寄生トランジスタTr3とは別に、漏れ電流低減用pnpトランジスタTr1が形成されている。漏れ電流低減用pnpトランジスタTr1の電流増幅率は、縦方向のpnp寄生トランジスタTr2の電流増幅率より大きいことが好ましい。p型ガードリング(p型ウェル)34は、カソード電極53に接続されているので、漏れ電流低減用pnpトランジスタTr1に流れる電流は、カソード電極53に回収される。
【0035】
漏れ電流低減用pnpトランジスタTr1のコレクタとなる平面視環状のp型ガードリング(p型ウェル)34は、横方向の寄生pnpトランジスタTr3のコレクタとなる平面視環状のp型分離領域23よりも内側に配置されている。したがって、n型エピタキシャル層22に、ダイオード形成領域33内からp型分離領域23側に向かって流れようとする電流のほとんどは、漏れ電流低減用pnpトランジスタTr1によってカソード電極53に回収される。これにより、横方向の寄生pnpトランジスタTr3に流れる電流を抑制することができるので、漏れ電流の少ないダイオードを実現することができる。
【0036】
図4Aは、図1の信号出力回路1の出力信号波形の測定結果を示す波形図である。図4Aにおいて、CANHは、ハイサイド出力端子5に出力されるバス信号波形を示し、CANLは、ローサイド出力端子6に出力されるバス信号波形を示している。図4Aにおいて、COMMONは、コモン電圧((CANH+CANL)/2)を示している。両駆動トランジスタ7,12がオンのときには、バス信号CANHは、標準値の3.5Vに近い値となり、バス信号CANLは、標準値の1.5Vに近い値となっている。一方、両駆動トランジスタ7,12がオフのときには、バス信号CANHおよびバス信号CANHは、標準値の2.5Vに近い値となっている。また、両駆動トランジスタ7,12がオンしているときと、オフしているときのコモン電圧COMMONの差も小さい。
【0037】
図3に示すダイオード10からp型ガードリング(p型ウェル)34を除去した構造のダイオードを比較例とする。図1の信号出力回路1におけるダイオード10の代わりに比較例を用いて、出力信号波形を測定した。図4Bは、この場合の測定結果を示す波形図である。図4Bから、バス信号が標準値からずれていることがわかる。特に、両駆動トランジスタ7,12がオフのときのバス信号が標準値(2.5V)よりも大きく低下し、1.5Vに近い値となっていることがわかる。
【0038】
図5は、本発明の第2実施形態に係るダイオード10Aの構造を示す図解的な平面図である。図6は、図5のVI-VI線に沿う断面図である。図5および図6において、前述の図2および図3の各部に対応する各部には図2および図3と同じ符号を付して示す。
第2実施形態に係るダイオード10Aは、第1実施形態に係るダイオード10(図2および図3参照)と比較すると、p型ガードリングとしてのp型ウェル34とn型コレクタウォール29との相対的な位置関係が逆になっている。それ以外は、両者は同じである。具体的には、第1実施形態に係るダイオード10では、p型ガードリングとしてのp型ウェル34は、ダイオード形成領域33とn型コレクタウォール29との間の領域において、ダイオード形成領域33を取り囲むように、形成されている。これに対して、第2実施形態に係るダイオード10Aでは、p型ガードリングとしてのp型ウェル34は、n型コレクタウォール29とp型分離領域23との間の領域において、n型コレクタウォール29の外側からダイオード形成領域33(n型コレクタウォール29)を取り囲むように、形成されている。
【0039】
第2実施形態に係るダイオード10Aにおいても、第1実施形態に係るダイオード10と同様な作用により、漏れ電流の少ないダイオードを実現できる。
前述の2つの実施形態からわかるように、p型ガードリングとしてのp型ウェル34は、ダイオード形成領域33とp型分離領域23の間との間の領域において、ダイオード形成領域33を取り囲むように、形成されていればよい。
【0040】
図7は、本発明の第3実施形態に係るダイオード10Bの構造を示す図解的な断面図である。図7において、前述の図3の各部に対応する各部には図3と同じ符号を付して示す。
第3実施形態に係るダイオード10Bは、第1実施形態に係るダイオード10(図2および図3参照)に類似している。第3実施形態に係るダイオード10Bは、第1実施形態に係るダイオード10に比べて、ダイオード構造部40Aの構成のみが異なっている。
【0041】
第3実施形態に係るダイオード10Bのダイオード構造部40Aは、第1実施形態に係るダイオード10のダイオード構造部40と同様に、n型エピタキシャル層22の表層部に形成されたアノード領域としてp型ウェル(P−BASE)41と、p型ウェル41の両側に間隔をおいてそれぞれ形成されたカソード領域としての2つのn型ウェル(N−well)42とを含んでいる。p型ウェル41の表層部には、p型アノードコンタクト領域43が形成されている。p型アノードコンタクト領域43は、アノード電極52に接続されている。n型ウェル42の表層部には、n型カソードコンタクト領域45が形成されている。n型カソードコンタクト領域45は、カソード電極53に接続されている。
【0042】
一方、第3実施形態に係るダイオード10Bのダイオード構造部40Aには、p型ウェル41の表層部に第1実施形態のようなn型領域43は形成されていない。また、このダイオード10Bのダイオード構造部40Aには、第1実施形態のようなゲート酸化膜47およびゲート電極48は設けられていない。
第3実施形態に係るダイオード10Bにおいても、第1実施形態に係るダイオード10と同様な作用により、漏れ電流の少ないダイオードを実現できる。
【0043】
図8は、本発明の第4実施形態に係るダイオード10Cの構造を示す図解的な断面図である。図8において、前述の図3の各部に対応する各部には図3と同じ符号を付して示す。
第4実施形態に係るダイオード10Cは、第2実施形態に係るダイオード10A(図5および図6参照)に類似している。第4実施形態に係るダイオード10Cは、第2実施形態に係るダイオード10Aに比べて、ダイオード構造部40Bの構成のみが異なっている。第4実施形態に係るダイオード10Cのダイオード構造部40Bは、前述の第3実施形態に係るダイオード10B(図7参照)のダイオード構造部40Aと同じ構成である。
【0044】
つまり、第4実施形態に係るダイオード10Cのダイオード構造部40Bは、n型エピタキシャル層22の表面部に形成されたアノード領域としてp型ウェル(P−BASE)41と、p型ウェル41の両側に間隔をおいてそれぞれ形成されたカソード領域)としての2つのn型ウェル(N−well)42とを含んでいる。p型ウェル41の表層部には、p型アノードコンタクト領域43が形成されている。p型アノードコンタクト領域43は、アノード電極52に接続されている。n型ウェル42の表層部には、n型カソードコンタクト領域45が形成されている。n型カソードコンタクト領域45は、カソード電極53に接続されている。
【0045】
一方、第4の実施形態に係るダイオード10Cのダイオード構造部40Bには、p型ウェル41の表層部に第1実施形態のようなn型領域43は形成されていない。また、このダイオード10Cのダイオード構造部40Bには、第1実施形態のようなゲート酸化膜47およびゲート電極48は設けられていない。
第4実施形態に係るダイオード10Cにおいても、第2実施形態に係るダイオード10Aと同様な作用により、漏れ電流の少ないダイオードを実現できる。
【0046】
以上、この発明をCANに使用される信号出力回路用のダイオードに適用した場合の実施形態について説明したが、この発明は、LIN(Local Interconnect Network)、FlexRay等の他の車載ネットワークに使用される信号出力回路用のダイオードや、車載スイッチIC用のダイオード、DC/DCコンバータ用のダイオード等にも適用することができる。また、この発明は、車載用回路以外の回路に使用されるダイオード等にも適用することができる。
【0047】
図9は、この発明をLINに使用される信号出力回路に適用した場合の例を示す電気回路図である。
この信号出力回路101は、抵抗102と、出力端子103と、逆流阻止用ダイオード104と、防護トランジスタ105と、駆動トランジスタ106とを含む。抵抗102の一端は第3電源VCC3に接続され、抵抗102の他端は出力端子103に接続されている。逆流阻止用ダイオード104のアノードは出力端子103に接続され、逆流阻止用ダイオード104のカソードは、防護トランジスタ105のドレインに接続されている。防護トランジスタ105のソースは、駆動トランジスタ106のドレインに接続されている。駆動トランジスタ106のソースは接地されている。防護トランジスタ105のベースは、第4電源VCC4に接続されている。出力端子103はバス線に接続されている。
【0048】
駆動トランジスタ106がオンされると出力端子103にローレベルのバス信号が出力される。一方、駆動トランジスタ106がオフされると、出力端子103にハイレベルのバス信号が出力される。
逆流阻止用ダイオード104の漏れ電流が多い場合には、駆動トランジスタ106がオフされた場合にも、出力端子103側から逆流阻止用ダイオード106を介して接地側に電流が流れるので、出力端子103に出力される電圧が標準値からずれる。そこで、逆流阻止用ダイオード103として、前述した実施形態に係るダイオードが使用されている。
【0049】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0050】
1、101 信号出力回路
6 ローサイド出力端子
10、10A、10B、10C、104 ダイオード
12、106 駆動トランジスタ
103 出力端子
21 p型半導体基板
22 n型エピタキシャル層
23 p型分離領域
27 p型基板コンタクト領域
28 n型埋め込み層
29 n型コレクタウォール
33 ダイオード形成領域
34 p型ウェル(p型ガードリング)
35 p型カソードコンタクト領域
40、40A、40B ダイオード構造部
41 p型ウェル(p型アノード領域)
42 n型ウェル(n型カソード領域)
43 p型アノードコンタクト領域
44 n型領域
45 n型カソードコンタクト領域
46 フィールド酸化膜
47 ゲート絶縁膜
48 ゲート電極
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9