特許第6296561号(P6296561)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6296561
(24)【登録日】2018年3月2日
(45)【発行日】2018年3月20日
(54)【発明の名称】トルク検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01L 3/10 20060101AFI20180312BHJP
   B62D 5/04 20060101ALI20180312BHJP
【FI】
   G01L3/10 305
   B62D5/04
【請求項の数】1
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-90188(P2015-90188)
(22)【出願日】2015年4月27日
(65)【公開番号】特開2016-206090(P2016-206090A)
(43)【公開日】2016年12月8日
【審査請求日】2017年3月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000155067
【氏名又は名称】株式会社ホンダロック
(74)【代理人】
【識別番号】100071870
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 健
(74)【代理人】
【識別番号】100097618
【弁理士】
【氏名又は名称】仁木 一明
(74)【代理人】
【識別番号】100152227
【弁理士】
【氏名又は名称】▲ぬで▼島 愼二
(72)【発明者】
【氏名】米田 敏宏
【審査官】 森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−194144(JP,A)
【文献】 特開2005−308443(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/128059(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0157740(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 3/10
B62D 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リング状に形成されて第1軸(15)に固定される多極のマグネット(23)と、トーションバー(17)を介して第1軸(15)に同軸に連結される第2軸(16)に固定されるヨークホルダ(27)と、前記マグネット(23)に対向する複数の爪部(29a,30a)をそれぞれ有して前記ヨークホルダ(27)に接着される一対の磁気ヨーク(29,30)と、第1軸(15)および第2軸(16)の回転位相差を検出するセンサ部(20)とを備えるトルク検出装置において、前記磁気ヨーク(29,30)を接着するようにして前記ヨークホルダ(27)に設けられる接着面(31,32)に、接着剤(33,34)を溜め得る凹部(35,36)が形成されることを特徴とするトルク検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リング状に形成されて第1軸に固定される多極のマグネットと、トーションバーを介して第1軸に同軸に連結される第2軸に固定されるヨークホルダと、前記マグネットに対向する複数の爪部をそれぞれ有して前記ヨークホルダに接着される一対の磁気ヨークと、第1軸および第2軸の回転位相差を検出するセンサ部とを備えるトルク検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のパワーステアリング装置に用いられるトルク検出装置が、特許文献1で知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−195333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、一対の磁気ヨークをヨークホルダに固定する際に接着することが考えられるが、その接着剤による接着を確実なものとすることが必要である。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、磁気ヨークのヨークホルダへの接着を確実なものとするようにしたトルク検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、リング状に形成されて第1軸に固定される多極のマグネットと、トーションバーを介して第1軸に同軸に連結される第2軸に固定されるヨークヨークホルダと、前記マグネットに対向する複数の爪部をそれぞれ有して前記ヨークホルダに接着される一対の磁気ヨークと、第1軸および第2軸の回転位相差を検出するセンサ部とを備えるトルク検出装置において、前記磁気ヨークを接着するようにして前記ヨークヨークホルダに設けられる接着面に、接着剤を溜め得る凹部が形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の上記特徴によれば、ヨークホルダの接着面に形成される凹部に接着剤を溜めることができ、磁気ヨークをヨークホルダに確実に接着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1軸、第2軸、トーションバーおよびトルク検出装置の縦断面図である。
図2】トルク検出装置の分解斜視図である。
図3】マグネット部の斜視図である。
図4図1の4矢示部拡大図である
図5】ステータ部の側面図である。
図6】ヨークホルダの斜視図である。
図7】磁気ヨークをヨークホルダにかしめて固定する際の状態を順次示す縦断面図である。
図8】センサ部をステータ部側から見た正面図である。
図9図8の9−9線に沿う断面図である。
図10】集磁端子の斜視図である。
図11】集磁端子をケースに圧入する際の状態を図1と同一方向から見て順次示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、添付の図1図11を参照しながら説明すると、先ず図1において、電動パワーステアリング装置においてステアリングシャフトの中間部には、トーションバー17で連結される第1軸15および第2軸16間の捩れを検出するようにして本発明に従って構成されるトルク検出装置が設けられる。
【0010】
第1軸15の第2軸16側の端部ならびに第2軸16の第1軸15側の端部はそれぞれ円筒状に形成されており、第1軸15には、その第2軸16寄りの中間部外周から半径方向外方に張り出す鍔部15と、その鍔部15aに関して第2軸16と反対側の部分に比べて外径を小径として前記鍔部15aよりも第2軸16側の部分に配置される小径円筒部15bとが設けられる。また第2軸16の第1軸15側の部分は第1軸15の前記小径円筒部15bを囲繞するように配置される。
【0011】
図2を併せて参照して、前記トルク検出装置は、第1軸15に固定されるマグネット部18と、第2軸16に固定されるステータ部19と、第1軸15および第2軸16の回転位相差すなわち前記マグネット部18および前記ステータ部19間の回転位相差を検出するセンサ部20とを備える。
【0012】
図3を併せて参照して、前記マグネット部18は、第1軸15に圧入によって固定されて円筒状に形成される金属製のマグネットホルダ22と、該マグネットホルダ22を囲繞するリング状に形成されて前記マグネットホルダ22に固定されるマグネット23とを備え、マグネット23は、複数個ずつたとえば8個ずつのN極およびS極が周方向に交互に配置されるようにした多極のものである。
【0013】
前記マグネットホルダ22の一端部には半径方向外方に張り出すフランジ部22aが一体に設けられ、このマグネットホルダ22は、第1軸15の前記鍔部15aに前記フランジ部22aを当接させるようにして第1軸15に圧入される。前記マグネット23は、前記フランジ部22aに一端部を当接させるようにして前記マグネットホルダ22の外周に接着剤によって接着される。
【0014】
しかも前記フランジ部22aの周方向に沿うたとえば2箇所には、位置決め凹部24が形成されており、前記マグネット23の一端部には、前記位置決め凹部24に係合する位置決め突起23aが突設される。また前記マグネットホルダ22の周方向に沿うたとえば1箇所には、前記フランジ部22aとは反対側に開放した略U字状の切欠き25が、切り起こし片22bを切り起こすことを可能として形成されており、前記切り起こし片22bは、前記マグネットホルダ22の外周に接着された前記マグネット23に前記フランジ部22aとは反対側から当接可能である。
【0015】
図4図6を併せて参照して、前記ステータ部19は、合成樹脂から成るヨークホルダ27と、金属によってリング状に形成されるとともに前記ヨークホルダ27にモールド結合されるカラー28と、前記ヨークホルダ27に固定される第1および第2の磁気ヨーク29,30とを備える。
【0016】
前記ヨークホルダ27は、第2軸16の第1軸15側端部を囲繞する第1の円筒部27aと、第1の円筒部27aよりも大径に形成されて前記マグネット23を囲繞する第2の円筒部27bと、第1および第2の円筒部27a,27b間を連結するリング状の連結部27cとを一体に有するように形成され、前記カラー28は、第1の円筒部27aの内周にモールド結合され、そのカラー28が、第2軸16の第1軸15側の端部外周に圧入される。
【0017】
第1の磁気ヨーク29は、第2の円筒部27bの内周側に配置されつつ前記マグネット23の外周に対向するように配置される複数個たとえば8個の爪部29aと、それらの爪部29aが周方向に等間隔をあけた複数箇所たとえば8箇所で内周に直角に連設されるようにしたリング板部29bとを一体に有するように形成される。また第2の磁気ヨーク30は、第2の円筒部27bの内周側に配置されつつ前記マグネット23の外周に対向するように配置される複数個たとえば8個の爪部30aと、それらの爪部30aが周方向に等間隔をあけた複数箇所たとえば8箇所で内周に直角に連設されるようにしたリング板部30bとを一体に有するように形成される。
【0018】
第1の磁気ヨーク29のリング板部29bは、前記ヨークホルダ27における第2の円筒部27bの一端に形成されるリング状の第1の接着面31に接着剤33で接着され、第2の磁気ヨーク30のリング板部30bは、前記ヨークホルダ27における第2の円筒部27bの他端に形成されるリング状の第2の接着面32に接着剤34で接着される。
【0019】
前記ヨークホルダ27の第2の円筒部27bに第1および第2の磁気ヨーク29,30が固定された状態で、第1の磁気ヨーク29の爪部29aと、第2の磁気ヨーク30の爪部30aとは周方向に交互に配置されるものであり、それらの爪部29a,30aの総数は前記マグネットに23おけるN極およびS極の総数に対応して設定される。
【0020】
ところで第2の磁気ヨーク30のリング板部30bを接着するようにして前記ヨークホルダ27における第2の円筒部27bに設けられるリング状の第2の接着面32には、図6で明示するように、凹部36が形成され、この実施の形態で、前記凹部36は、第2の接着面32の外周寄りの部分に周方向に間隔をあけて配置される複数の突部32aが前記凹部36によって生じるように形成される。また第1の磁気ヨーク29のリング板部29bを接着するようにして前記ヨークホルダ27における第2の円筒部27bに設けられるリング状の第1の接着面31には、前記凹部36と同様の凹部35が形成され、この凹部35は、第1の接着面31の外周寄りの部分に周方向に間隔をあけて配置される複数の突部31aが前記凹部35によって生じるように形成される。
【0021】
第1の接着面31の凹部35ならびに第2の接着面32の凹部36には、図4で明示するように、接着剤33,34を溜めることが可能である。
【0022】
ところで第1および第2の磁気ヨーク29,30は、前記ヨークホルダ27の第2の円筒部27bに接着されるとともに第2の円筒部27bの外周にかしめて固定されるものであり、第2の円筒部27bの外周の軸方向中間部に設けられる係止溝37に係合するようにかしめられる複数個ずつたとえば4個ずつのかしめ片29c,30cが、前記リング板部29b,30bの外周に直角に連なって第2の円筒部27bの外周に沿って延びるようにしつつ第1および第2の磁気ヨーク29,30に一体に設けられる。
【0023】
第1の磁気ヨーク29のかしめ片29cは、第1の磁気ヨーク29が有する爪部29aのうち選択された特定の爪部29aに第2の円筒部27bの半径方向でラップする位置に配置されるものであり、この実施の形態では、爪部29aよりも幅を狭くした4個のかしめ片29cが、相互に等間隔をあけた4個の特定の爪部29aに、第2の円筒部27bの周方向に沿う中心位置を一致させるように配置される。
【0024】
また第2の磁気ヨーク30の第2かしめ片20cは、第2の磁気ヨーク30が有する爪部30aのうち選択された特定の爪部30aに第2の円筒部27bの半径方向でラップする位置に配置されるものであり、この実施の形態では、爪部30aよりも幅を狭くした4個のかしめ片30cが、相互に等間隔をあけた4個の特定の爪部30aに、第2の円筒部27bの周方向に沿う中心位置を一致させるように配置される。
【0025】
ところで第1の磁気ヨーク29のかしめ片29cが、8個の爪部29aのうち相互に等間隔をあけた4個の特定の爪部29aに第2の円筒部27bの半径方向でラップする位置に配置され、第2の磁気ヨーク30のかしめ片30cが、爪部29aと周方向で交互に配置される8個の爪部30aのうち相互に等間隔をあけた4個の特定の爪部30aに第2の円筒部27bの半径方向でラップする位置に配置されるので、4個ずつのかしめ片29c,30cは、第2の円筒部27bの周方向で交互に配置されることになる。
【0026】
図7において、前記ヨークホルダ27に第1および第2の磁気ヨーク29,30をかしめて固定するにあたっては、前記ヨークホルダ27内に嵌合して該ヨークホルダ27を受ける受け治具39と、前記ヨークホルダ27における第2の円筒部27bの外側方に配置される複数個のかしめ刃40と、前記受け治具39および前記かしめ刃40間に設けられる戻しばね41と、前記ヨークホルダ27とは反対側で前記かしめ刃40の外側面に形成される傾斜カム面43に接触しつつ前記ヨークホルダ27の軸方向にシリンダ(図示せず)等で駆動される押圧ローラ42とを備えるかしめ装置が用いられる。
【0027】
ところで第2の円筒部27bの周方向で第1および第2の磁気ヨーク29,30のかしめ片29c,30cは交互に配置されるのであるが、第2の円筒部27bの周方向で相互に隣接して対をなすかしめ片29c,30cが、同一のかしめ刃40で同時にかしめられる位置に配置される。
【0028】
したがって前記かしめ装置において、前記かしめ刃40は、一対ずつ4組のかしめ片29c,30cに対応して第2の円筒部27bの周方向に等間隔をあけた4箇所に配置されるものであり、それらのかしめ刃40が第2の円筒部27bの前記係止溝37に対応する部分に有する押圧かしめ部40aは、第2の円筒部27bの周方向で相互に隣接して対をなすかしめ片29c,30cを同時にかしめることができるように形成される。
【0029】
第1および第2の磁気ヨーク29,30が接着された状態のヨークホルダ27が前記受け治具39で支持された状態で、前記押圧ローラ42を図7(a)の位置から図7(b)の位置まで移動させることにより、各かしめ刃40が戻しばね41のばね力に抗して前記ヨークホルダ27側に前進し、第2の円筒部27bの周方向で相互に隣接するかしめ片29c,30cが、かしめ刃40の前記押圧かしめ部40aで係止溝37に係合するように同時にかしめられる。
【0030】
図8および図9を併せて参照して、前記センサ部20は、第1軸15および第2軸16に対して固定位置にある合成樹脂製のケース45と、第1および第2の磁気ヨーク29,30に個別に対応して前記ケース45に圧入される金属製の第1および第2の集磁端子46,47と、第1および第2の集磁端子46,47間に配置される磁気検出素子としてのホールIC48とを備える。
【0031】
前記ケース45は、前記ステータ部19の半径方向外方に固定配置されるものであり、前記ステータ部19側に先端部を開放しつつ第1軸15および第2軸16の軸線に直交する方向に長い楕円形の横断面形状を有して筒状に形成されるケース主部45aと、該ケース主部45aの基端から側方に張り出す取付け鍔部45bと、第1軸15および第2軸16の軸線に沿う方向に延びて前記ケース主部45aの基端部に直角に連なるコネクタ部45cとを一体に有するように形成される。また前記取付け鍔部45bには、ケース45を車体側に締結するボルトを挿通させるための一対の円筒状のカラー49(図2参照)がモールド結合される。
【0032】
図10において、第1の集磁端子46は、第1の磁気ヨーク29のリング板部29bに第1軸15および第2軸16の軸方向外方から対向して円弧状に形成される円弧板部46aと、その円弧板部46aの周向中央部から相互に平行に並んで外側方に突出する一対の集磁片46bと、それらの集磁片46bの周方向両側で前記円弧板部46aに連なるとともに前記集磁片46bと平行にして外側方に突出する一対の圧入片46cと、前記円弧板部46aの周方向両端から前記前記集磁片46bおよび前記圧入片46cと平行にして外側方に突出する一対のガイド片46dとを一体に有するように形成される。
【0033】
ところで第1の集磁端子46は、前記ケース45のケース主部45aに圧入によって固定されるものであり、前記集磁片46b、前記圧入片46cおよび前記ガイド片46dは、第1の集磁端子46の前記ケース主部45aへの圧入方向50に沿って平行に延びるようにして前記円弧板部46aに一体に連設される。
【0034】
第2の集磁端子47は、第1および第2軸15,16の軸方向に直交する平面に関して第1の集磁端子46と対称な形状を有するように形成されるものであり、円弧板部47aと、一対の集磁片47bと、一対の圧入片47cと、一対のガイド片47dとを一体に有するように形成される。
【0035】
前記ケース部45a内の内奥部には、前記ケース主部45aに一体に設けられた一対の支持突部52を挿通させるようにしてIC基板51が配置され、前記支持突部52の一部を溶融することで前記IC基板51が前記ケース主部45aに固定される。このIC基板51には、一対の前記ホール素子48が配設される。
【0036】
前記ケース45には、一端部を前記コネクタ部45c内に配置するとともに他端部が前記IC基板51に接続されるようにした複数のバスバー54が合成樹脂から成るバスバーホルダ55にモールドされて成るバスバーユニット53が、前記ケース主部45aおよび前記コネクタ部45c間にわたるようにしてモールド結合される。
【0037】
一対の前記ホールIC48は、第1の集磁端子46が有する一対の集磁片46bの先端部と、第2の集磁端子47が有する一対の集磁片47bの先端部との間に配置されるものであり、第1および第2の集磁端子46,47の前記集磁片46b,47bは、第1および第2の集磁端子46,47が前記ケース45に圧入、固定された状態で先端部が相互に近接するように、屈曲して形成される。
【0038】
前記ケース45の前記ケース主部45aには、第1の集磁端子46が備える一対の圧入片46cならびに第2の集磁端子47が備える一対の圧入片47cを圧入するための一対ずつ2組の圧入孔56,57が設けられており、圧入片46cを圧入するための圧入孔56の内面に係合する複数の係合爪58が前記圧入片46cに一体に設けられ、この実施の形態では、前記圧入片46cの幅方向両側に複数ずつの前記係合爪58が設けられる。また第2集磁端子47の圧入片47cにも、図示はしないが、前記圧入孔57の内面に係合する複数の係合爪が一体に設けられる。
【0039】
また前記圧入孔56,57は矩形の横断面形状を有するように形成されており、その圧入孔56,57の内面のうち前記圧入片46c,47cをその板厚方向の両側から挟む二面の一方に、前記圧入片46c,47cを前記二面の他方側に押圧するリブ60,61が、前記圧入方向50に沿って延びるようにして突設される。
【0040】
ところで第1および第2の集磁端子46,47の圧入片46c,47cは、図11で示すような圧入治具64で圧入方向50に押圧されることで圧入孔56,57に圧入されるものであり、圧入片46c,47cには、前記圧入治具64で押圧されるようにして圧入方向50と対向する屈曲部65,66が設けられる。
【0041】
すなわち図11(a)で示すように、第1および第2の集磁端子46,47の一部を前記ケース主部45a内に挿入した後に、図11(b)で示すように、圧入治具64を前記屈曲部65,66に当接させて圧入方向50に押圧することで、圧入片46c,47cが圧入孔56,57に圧入され、第1および第2集磁端子46,47がケース45に固定されることになる。
【0042】
さらに前記ケース主部45aには、第1および第2の集磁端子46,47のガイド片46d,47dをガイドするガイド凹部67,68が設けられており、前記圧入治具64による押圧時に第1および第2の集磁端子46,47は圧入方向50に沿って確実にガイドされる。しかも前記ガイド片46d,47dは、第1および第2の集磁端子46,47の円弧板部46a,47aの周方向両端に連設されるものであり、円弧板部46a,47aの周方向両端部が前記ケース主部45aで支持されることになり、前記円弧板部46a,47aに反りが生じることを防止することができる。
【0043】
また前記ケース45に、第1および第2の集磁端子46,47が圧入、固定された後に、前記圧入孔56,57内には接着剤が充填され、前記ケース主部45a内には、図1で示すように、ポッティング剤69が充填される。
【0044】
次にこの実施の形態の作用について説明すると、トーションバー17を介して第1軸15に同軸に連結される第2軸16にヨークホルダ27に、第1および第2の磁気ヨーク29,30を接着するための第1および第2の接着面31,32が設けられ、第1および第2の接着面31,32に、接着剤33,34を溜め得る凹部35,36が形成されるので、それらの凹部35,36に接着剤を溜めることで第1および第2の磁気ヨーク29,30をヨークホルダ27に確実に接着することができる。
【0045】
また前記ヨークホルダ27は、第1軸15に固定されるリング状のマグネット23を囲む第2の円筒部27bを有するように形成され、第1および第2の磁気ヨーク29,30が、第2の円筒部27bの内側でマグネット23に対向する複数の爪部29a,30aをそれぞれ有して前記ヨークホルダ27に固定されるのであるが、第2の円筒部27bの外周にかしめられる複数ずつのかしめ片29c,30cが、第1および第2の磁気ヨーク29,30にそれぞれ設けられ、それらのかしめ片29c,30cが、複数の前記爪部29a,30aのうち選択された特定の爪部29a,30aに第2の円筒部27bの半径方向でラップする位置に配置されるとともに前記爪部29a,30aよりも幅を狭くして形成されるので、かしめ片29c,30cのかしめ時にヨークホルダ27の内周側の爪部29a,30aを受け具39で受けるようにすることで爪部29a,30aに変形が生じることを防止することができる。
【0046】
また前記かしめ片29c,30cが、第2の円筒部27bの周方向に沿う中心位置を前記特定の爪部29a,30aと一致させるように配置されるので、かしめ加工時に、磁気ヨーク29,30のうち周方向で爪部29a,30aがない部分にかかる応力を最小とし、その部分の変形を防止することができる。
【0047】
また第1および第2の磁気ヨーク29,30の爪部29a,30aが第2の円筒部27bの周方向に交互に配置され、第2の円筒部27bの周方向で相互に隣接して対をなす爪部29a,30aが、同一のかしめ刃40で同時にかしめられる位置に配置されるので、生産性を高めることができる。しかもこの実施の形態では、一対ずつ4組のかしめ片29c,30cに対応して第2の円筒部27bの周方向に等間隔をあけた4箇所に配置されるかしめ刃40を有するかしめ装置によって、4方向から同時にかしめ加工が行なわれるようにしており、生産性をより高めることができる。
【0048】
また第1軸15および第2軸16の回転位相差を検出するセンサ部20は、固定位置にあるケース45に圧入される第1および第2の集磁端子46,47と、それらの集磁端子46,47間に配置されるホールIC48とを有するのであるが、第1および第2の集磁端子46,47に、圧入治具64で押圧されるようにして圧入方向50と対向する屈曲部65,66を有する一対の圧入片46c,47cがそれぞれ設けられるので、圧入治具64による圧入時に第1および第2の集磁端子46,47に変形が生じることを防止することができる。
【0049】
またケース45が、前記圧入片46c,47cを圧入するための圧入孔56,57を有して合成樹脂により形成され、金属製である第1および第2の集磁端子46,47の前記圧入片46c,47cに、前記圧入孔56,57の内面に係合する複数の係合爪58が一体に設けられるので、圧入孔56,57に圧入片46c,47cが圧入された状態で第1および第2の集磁端子46,47のケース45への確実な固定が可能となる。
【0050】
また矩形の横断面形状を有する前記圧入孔56,57の内面のうち前記圧入片46c,47cをその板厚方向の両側から挟む二面の一方に、前記圧入片46c,47cを前記二面の他方側に押圧するリブ60,61が、前記圧入方向50に沿う方向に延びるようにして突設されるので、圧入孔56,57内での圧入片46c,47cのがたつきをなくして第1および第2の集磁端子46,47をケース45に確実に固定することができる。
【0051】
さらに第1軸15に固定される円筒状のマグネットホルダ22の外周に、該マグネットホルダ22を囲繞するリング状のマグネット23が接着されるのであるが、マグネットホルダ22に、その一端部から半径方向外方に張り出すフランジ部22aが前記マグネット23の一端部を当接させるようにして一体に設けられ、前記フランジ部22aに形成される位置決め凹部24に前記マグネット23の前記一端部に突設される位置決め突起23aが係合されるので、マグネットホルダ22に対するマグネット23の周方向が一定に定めれ、また前記フランジ部22aとは反対側から前記マグネッ23に当接し得る切り起こし片22bがマグネットホルダ22に形成されるので、マグネットホルダ22に対するマグネット23の軸方向位置が一定に定められる。したがって前記マグネットホルダ22の外周へのマグネット23の接着状態が解除されたとしても、マグネットホルダ22に対するマグネット23の周方向および軸方向位置を一定に保持するようにして、マグネットホルダ22へのマグネット23の固定を確実なものとすることができる。
【0052】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0053】
15・・・第1軸
16・・・第2軸
17・・・トーションバー
20・・・センサ部
23・・・マグネット
27・・・ヨークホルダ
29,30・・・磁気ヨーク
29,30a・・・爪部
31,32・・・接着面
33,34・・・接着剤
35,.36・・・凹部
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