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特許6296636半導体デバイスのためのシングルイベントラッチアップ防止技法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6296636
(24)【登録日】2018年3月2日
(45)【発行日】2018年3月20日
(54)【発明の名称】半導体デバイスのためのシングルイベントラッチアップ防止技法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/8238 20060101AFI20180312BHJP
   H01L 27/092 20060101ALI20180312BHJP
   H01L 21/8244 20060101ALI20180312BHJP
   H01L 27/11 20060101ALI20180312BHJP
   H01L 27/06 20060101ALI20180312BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20180312BHJP
   H01L 27/04 20060101ALI20180312BHJP
   H01L 27/10 20060101ALI20180312BHJP
【FI】
   H01L27/092 H
   H01L27/11
   H01L27/06 311C
   H01L27/04 H
   H01L27/10 491
【請求項の数】16
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-155710(P2013-155710)
(22)【出願日】2013年7月26日
(65)【公開番号】特開2014-27279(P2014-27279A)
(43)【公開日】2014年2月6日
【審査請求日】2016年6月24日
(31)【優先権主張番号】13/560,010
(32)【優先日】2012年7月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504199127
【氏名又は名称】エヌエックスピー ユーエスエイ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】NXP USA,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】チアナン ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ ディ.バーネット
(72)【発明者】
【氏名】ブラッド ジェイ.ガーニ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ダブリュ.リストン
(72)【発明者】
【氏名】フイ バン ファン
【審査官】 市川 武宜
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−108368(JP,A)
【文献】 特開2000−058677(JP,A)
【文献】 特開昭58−082560(JP,A)
【文献】 特開昭57−157557(JP,A)
【文献】 特開2006−190424(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/8238
H01L 21/822
H01L 21/8244
H01L 27/04
H01L 27/06
H01L 27/092
H01L 27/10
H01L 27/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体デバイスにおけるシングルイベントラッチアップに対処するための方法において、
前記半導体デバイスの集積回路設計内の寄生シリコン制御整流器の場所を確定する工程であって、前記寄生シリコン制御整流器は、寄生pnpバイポーラ接合トランジスタおよび寄生npnバイポーラ接合トランジスタを含む、確定する工程と、
第1の電源ノードと、前記集積回路設計内の前記寄生pnpバイポーラ接合トランジスタのエミッタとの間に第1のトランジスタを組み込む工程であって、前記第1のトランジスタは、前記第1の電源ノードに結合した第1の端子と、前記寄生pnpバイポーラ接合トランジスタの前記エミッタに結合した第2の端子と、制御端子とを含んでなり、前記第1のトランジスタは、前記寄生pnpバイポーラ接合トランジスタのベースと前記第1の電源ノードとの間に配置されず、前記第1のトランジスタは、シングルイベントラッチアップ(SEL)に続く前記寄生pnpバイポーラ接合トランジスタによって伝導される電流を制限する第1のトランジスタを組み込む工程と、
第2の電源ノードと、前記集積回路設計内の前記寄生npnバイポーラ接合トランジスタのエミッタとの間に第2のトランジスタを組み込む工程であって、前記第2のトランジスタは、前記第2の電源ノードに結合した第1の端子と、前記寄生npnバイポーラ接合トランジスタの前記エミッタに結合した第2の端子と、制御端子とを含んでなり、前記第1のトランジスタの前記制御端子は、前記寄生npnバイポーラ接合トランジスタの前記エミッタに結合され、前記第2のトランジスタの前記制御端子は、前記寄生pnpバイポーラ接合トランジスタの前記エミッタに結合され、前記第2のトランジスタは、前記寄生npnバイポーラ接合トランジスタのベースと前記第2の電源ノードとの間に配置されない第2のトランジスタを組み込む工程と、
SEL検出回路を使用して、SELイベントに応答してSEL信号を生成する工程とを備える、方法。
【請求項2】
前記第1のトランジスタはpチャネル金属酸化物半導体電界効果トランジスタであり、前記第2のトランジスタはnチャネル金属酸化物半導体電界効果トランジスタであり、前記第1および第2のトランジスタの前記第1の端子はソース端子に対応し、前記第1および第2のトランジスタの前記第2の端子はドレイン端子に対応し、前記第1および第2のトランジスタの前記制御端子はゲート端子に対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記半導体デバイスは、相補的金属酸化物半導体(CMOS)デバイスである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記CMOSデバイスは、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のトランジスタはpチャネル金属酸化物半導体電界効果トランジスタであり、前記第1のトランジスタの前記第1の端子はソース端子に対応し、前記方法は、
前記第1の端子から離れている接続を使用して、前記第1の電源ノードに前記第1のトランジスタの本体を結合する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記半導体デバイスは、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)であり、前記第1の電源ノードはグローバル電源ノードであり、前記第1のトランジスタは、前記グローバル電源ノードとローカル電源ノードとの間のストラップセル内に配置される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
外部リセット信号に応答して前記SEL検出回路をリセットする工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
半導体デバイスであって、
寄生pnpバイポーラ接合トランジスタおよび寄生npnバイポーラ接合トランジスタを含む寄生シリコン制御整流器と、
第1の電源ノードと、前記寄生pnpバイポーラ接合トランジスタのエミッタとの間に結合された第1のトランジスタであって、前記第1のトランジスタは、前記第1の電源ノードに結合した第1の端子と、前記寄生pnpバイポーラ接合トランジスタの前記エミッタに結合した第2の端子と、制御端子とを含み、前記第1のトランジスタは、前記寄生pnpバイポーラ接合トランジスタのベースと前記第1の電源ノードとの間に配置されず、前記第1のトランジスタは、シングルイベントラッチアップ(SEL)に続く前記寄生pnpバイポーラ接合トランジスタによって伝導される電流を制限する第1のトランジスタと、
第2の電源ノードと、前記寄生npnバイポーラ接合トランジスタのエミッタとの間に結合された第2のトランジスタであって、前記第2のトランジスタは、前記第2の電源ノードに結合した第1の端子と、前記寄生npnバイポーラ接合トランジスタの前記エミッタに結合した第2の端子と、制御端子とを含み、前記第1のトランジスタの前記制御端子は、前記寄生npnバイポーラ接合トランジスタの前記エミッタに結合され、前記第2のトランジスタの前記制御端子は、前記寄生pnpバイポーラ接合トランジスタの前記エミッタに結合され、前記第2のトランジスタは、前記寄生npnバイポーラ接合トランジスタのベースと前記第2の電源ノードとの間に配置されない第2のトランジスタと、
SELイベントに応答してSEL信号を生成するように構成されるSEL検出回路とを備える、半導体デバイス。
【請求項9】
前記第1のトランジスタはpチャネル金属酸化物半導体電界効果トランジスタであり、前記第2のトランジスタはnチャネル金属酸化物半導体電界効果トランジスタであり、前記第1および第2のトランジスタの前記第1の端子はソース端子に対応し、前記第1および第2のトランジスタの前記第2の端子はドレイン端子に対応し、前記第1および第2のトランジスタの前記制御端子はゲート端子に対応する、請求項8に記載の半導体デバイス。
【請求項10】
前記第1のトランジスタの本体は前記第1の電源ノードに結合される請求項8に記載の半導体デバイス。
【請求項11】
前記第2のトランジスタの本体は前記第2の電源ノードに結合される請求項8に記載の半導体デバイス。
【請求項12】
前記第1のトランジスタはpチャネル金属酸化物半導体電界効果トランジスタであり、前記第1のトランジスタの前記第1の端子はソース端子に対応し、前記第1のトランジスタの本体は、前記第1の端子から離れている接続を使用して前記第1の電源ノードに結合することをさらに含む請求項8に記載の半導体デバイス。
【請求項13】
前記半導体デバイスは、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)であり、前記第1の電源ノードはグローバル電源ノードであり、前記第1のトランジスタは、前記グローバル電源ノードとローカル電源ノードとの間のストラップセル内に配置される請求項8に記載の半導体デバイス。
【請求項14】
前記SEL検出回路は、外部リセット信号に応答してリセットされるようにさらに構成される請求項8に記載の半導体デバイス。
【請求項15】
前記第1のトランジスタの前記制御端子はグラウンドに結合される請求項8に記載の半導体デバイス。
【請求項16】
前記第1のトランジスタの前記制御端子は、SELイベントに続いて前記第1のトランジスタをシャットオフし、次に、リセット信号に続いて前記第1のトランジスタを再びターンオンする制御信号を受信するように構成される請求項8に記載の半導体デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シングルイベントラッチアップ一般に関する。より詳細には、半導体デバイスのシングルイベントラッチアップを防止するための技法に関する。
【背景技術】
【0002】
シングルイベントアップセット(SEU)は、マイクロプロセッサ、メモリ、または電力トランジスタのノードなどの、半導体デバイスの敏感なノードに衝突するイオンまたは電磁放射線によって引起される状態の変化である。一般に、状態変化は、論理素子の敏感なノード(たとえば、メモリビットセルのノード)内のまたはその近くの電離によって生成される自由電荷の結果である。高エネルギー粒子の衝突による半導体デバイス出力または動作のエラーは、ソフトエラーアップセットまたはSEUと呼ばれることが多い。
【0003】
通常、SEUは、半導体デバイスの機能に永久的な損傷を与えていない。対照的に、シングルイベントラッチアップ(SEL)、シングルイベントゲート破壊(SEGR)、および/またはシングルイベントバーンアウト(SEB)は、半導体デバイスに永久的に損傷を与える場合がある。SELは、たとえば、半導体デバイス内でシリコン制御整流器を形成する寄生回路要素に起因する場合がある。SEL中、SEL誘起電流は、制限され、迅速に取除かれない場合、半導体デバイスのコンポーネントを破壊する場合がある。一般に、半導体デバイスの動作を回復するために、全ての非壊滅的SELイベントに応答して、半導体デバイスに対する電力の取外しが必要とされてきた。
【0004】
地球上でのSEUは、宇宙粒子が大気内の原子に衝突し、中性子および陽子のカスケードまたはシャワーを生成し、それらが、次に、半導体デバイスの回路と相互作用することによって起こる場合がある。サブミクロンの幾何学形状において、SEUは、大気中の半導体デバイスに悪い影響を及ぼす場合がある。空間内で、高エネルギー粒子は、自然バックグラウンドの一部として存在する。太陽粒子現象および地球の磁気圏に捕捉された高エネルギー陽子もまた、SEUをもたらしうる。宇宙線によって生成される大気2次中性子もまた、極の上または高い高度を飛行時の航空電子工学エレクトロニクスにおいてSELを生じることが可能であるエネルギーレベルに達しうる。集積回路(チップ)パッケージ内の微量の放射性元素もまたSELを引起す場合がある。宇宙空間用途におけるラッチアップを防止するために、電子デバイスは、コストが増加するにもかかわらず、SEL感受性を低減するかまたはなくすために、エピタキシャル基板、シリコン−オン−インシュレータ(SOI)、またはシリコン−オン−サファイア(SOS)技術を使用することができる。
【0005】
相補的金属酸化物半導体(CMOS)技術を利用する半導体デバイスでは、CMOS技術で利用される、ソース/ドレイン領域、n型ウェル、p型ウェル、および基板の組合せから形成される場合がある複数の寄生npnおよびpnpバイポーラ接合トランジスタ(BJT)が存在する。寄生BJTデバイスは、トリガーされると問題を生じる場合がある。たとえば、寄生BJTデバイスをトリガーすることは、電力(VDD)ラインとグラウンド(VSS)ラインを短絡することをもたらす場合があり、関連するチップの破壊または関連する電子システム故障をもたらす場合があり、それは、パワーダウンによって解決される可能性があるだけである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第8045410号明細書
【特許文献2】米国特許第7847408号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、一般に、シングルイベントラッチアップ(SEL)防止技法を対象とし、より具体的には、相補的金属酸化物半導体(CMOS)デバイス用の1つまたは複数のSEL電流制限器を対象とする。本明細書の論議はCMOSデバイスを含むメモリに的を絞るが、本明細書で開示される技法は他のCMOSデバイスに幅広く適用可能であり、SELを受ける他の技術に適用可能であることが企図される。先に述べたように、バルクCMOS技術において形成することができる寄生バイポーラ接合トランジスタ(BJT)は、高エネルギー粒子によってトリガーされると、SELを引起す場合がある。CMOSメモリの場合、SELは、デバイスを破壊するかまたは記憶されたデータを破損する場合がある。半導体デバイス寸法が減少し、半導体デバイス密度が増加するにつれて、SELはよく起こるようになりつつある。本発明の態様によれば、面積効率性が高く、ラッチアップの確率を減少させ、ラッチアップが実際に起こるとラッチアップ状態からの回復を容易にするSEL防止技法が使用される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態は、例として示され、添付図によって制限されない。添付図では、同じ参照は類似の要素を示す。図内の要素は、簡単かつ明確にするために示され、必ずしも一定比例尺に従って描かれていない。
【0009】
本発明の1つまたは複数の態様によれば、半導体デバイスにおけるシングルイベントラッチアップ(SEL)に対処するための技法は、半導体デバイスの集積回路設計内の寄生シリコン制御整流器(SCR)の場所を確定する工程を備える。この場合、寄生SCRは、寄生pnpバイポーラ接合トランジスタ(BJT)および寄生npnBJTを含む。技法はまた、第1の電源ノード(たとえば、VDD)と、集積回路設計内の寄生pnpBJTのエミッタとの間に第1のトランジスタ(たとえば、pMOS)を組み込む工程を含む。第1のトランジスタ(pMOS)は、第1の電源ノードに結合した第1の端子(たとえば、ソース)と、寄生pnpBJTのエミッタに結合した第2の端子(たとえば、ドレイン)と、制御端子(たとえば、ゲート)とを含む。第1のトランジスタは、pnpBJTのベースと第1の電源ノードとの間に配置されない。
【0010】
本発明の別の態様によれば、技法は、第2の電源ノード(たとえば、VSS)と、集積回路設計内の寄生npnBJTのエミッタとの間に第2のトランジスタ(たとえば、nMOS)を組み込むことをさらに含む。第2のトランジスタは、第2の電源ノードに結合した第1の端子(たとえば、ソース)と、寄生npnBJTのエミッタに結合した第2の端子(たとえば、ドレイン)と、制御端子(たとえば、ゲート)とを含む。第1のトランジスタの制御端子は、寄生npnBJTのエミッタに結合され、前記第2のトランジスタの制御端子は、寄生pnpBJTのエミッタに結合される。第2のトランジスタは、npnBJTのベースと第2の電源ノードとの間に配置されない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】相補的金属酸化物半導体(CMOS)デバイスの関連部分の断面図(CMOSデバイスのシングルイベントラッチアップ(SEL)をもたらす場合がある寄生シリコン制御整流器(SCR)のコンポーネントの場所を概略的に示す)。
図2図1の寄生SCRの略図。
図3図2の寄生SCRに衝突する高エネルギー粒子によって引起されるSELを示すグラフ。
図4図1の寄生SCRによって引起されるSELの作用を低減するために使用された従来の電流制限器の略図。
図5】本発明の一態様による、CMOSデバイス内で寄生SCRによって引起されるSELの作用を低減するために使用される電流制限器を含む寄生SCRの略図。
図6】本発明の別の態様による、CMOSデバイス内で寄生SCRによって引起されるSELの作用を低減するために使用される電流制限器を含む寄生SCRの略図。
図7図4および図5の寄生SCRに衝突する高エネルギー粒子によって引起されるSELを示すシミュレーショングラフ。
図8】SELをシミュレートするために使用されるさらなる回路要素を有する、図6に従って構築された電流制限器を含む寄生SCRの略図。
図9】さらなる回路要素が寄生バイポーラ接合トランジスタ(BJT)を短絡するために利用されるときの、図8の寄生SCRの寄生BJTについてのエミッタ電圧を示すシミュレーショングラフ。
図10】スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)ビットセルに関連して実装される図5の電流制限器の略図。
図11】SRAMビットセルに関連して実装される図6の電流制限器の略図。
図12】7つの従来のストラップセルを含む従来の256×256メモリアレイの関連部分のフロアプラン図。
図13】本発明の1つまたは複数の実施形態に従って構成された単一SELストラップセルを含む256×256メモリアレイの関連部分のフロアプラン図。
図14】従来のストラップセルの略図。
図15】本発明の1つまたは複数の実施形態に従って構成されたSELストラップセルの略図。
図16】本発明の1つまたは複数の実施形態に従って構成されたリセット可能なSEL検出回路の略図。
図17】本発明の1つまたは複数の実施形態による、従来のストラップセルの上部と下部に実装された図16のリセット可能なSEL検出回路を有する従来のストラップセルの略図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の例示的な実施形態の以下の詳細な説明では、本発明を実施することができる特定の例示的な実施形態は、当業者が本発明を実施することを可能にするのに十分に詳細に述べられ、また、他の実施形態を利用することができること、および、論理的変更、アーキテクチャ的変更、プログラム的変更、機械的変更、電気的変更、および他の変更が、本発明の趣旨または範囲から逸脱することなく行うことができることが理解される。したがって、以下の詳細な説明は、制限的な意味で考えられず、本発明の範囲は、添付特許請求項の範囲およびその均等物によってだけ規定される。本明細書で使用されるように、用語「結合した(coupled)」は、要素間またはコンポーネント間の直接的な電気接続および1つまたは複数の介在する要素またはコンポーネントを使用して達成される要素間またはコンポーネント間の間接的な電気接続を含む。
【0013】
図1を参照すると、例示的な相補的金属酸化物半導体(CMOS)デバイス100の関連部分の断面図が示され、高エネルギー粒子衝突に応答して、デバイス100についてシングルイベントラッチアップ(SEL)をもたらす場合がある寄生シリコン制御整流器(SCR)106のコンポーネントの場所を概略的に示す。デバイス100は、pチャネル金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)102(p型基板上のn型ウェルで形成される)およびnチャネル(MOSFET)104(p型基板上のp型ウェルで形成される)を含む。デバイス100の示すコンポーネントは、よく知られており、簡潔にするために、本明細書でさらに論じない。図2を参照すると、寄生SCR106の略図が、第1の電源ノード(VDD)および第2の電源ノード(VSS)またはグラウンドに関してさらに示される。図3を参照すると、グラフ300は、図2の寄生SCR106のノードに衝突する高エネルギー粒子によって引起されるSELを示す。すなわち、高エネルギー粒子の衝突がI>I、ββ>1、およびVDD>Vを生じると、寄生SCR106のラッチアップが起こる。VDDがVより大きくなるため、デバイス幾何形状が減少するにつれてラッチアップがより問題となることが認識されるべきである。Rを下げかつラッチアップ閾値を上げるためにエピタキシャル層を付加することができるが、エピタキシャル層の付加は、デバイスコストの増加をもたらし、他の望ましくない特性をもたらす場合がある。
【0014】
図4を参照すると、CMOSデバイス(図4には示さず)内に形成される寄生SCR400に関連するSELに対処するために、従来の電流制限器402が付加されて、SCR400のpnp寄生BJT404のエミッタ電流とベース電流の両方を制限する。制限器402は、ラッチアップを低減するようにある程度まで働くが、CMOSデバイスの破壊を効果的に防止することができず、通常、CMOSデバイスをラッチアップから回復させることが可能でない。
【0015】
図5を参照すると、電流制限器502は、本開示の一態様に従って、CMOSデバイス(図5には示さず)内での高エネルギー粒子の衝突に関連するラッチアップを低減するために寄生SCR500に付加されているものとして示される。制限器502は、CMOSデバイスの設計内に制限器502を組み込むことによって付加されることが認識されるべきである。寄生SCR500の場所は、CMOSデバイスの設計中に電子設計自動化(EDA)ツールによって(設計者によって)手作業で確定することができることが認識されるべきである。代替的に、EDAツールは、CMOSデバイス内で寄生SCRを位置特定するように構成することができる。この態様によれば、関連するpチャネルMOSFET(pMOS)のソースおよびn型ウェル(nウェル)は、制限器502が、pMOSのドレイン(寄生pnpBJTのエミッタに等価である)に付加されるだけであり、nウェル(寄生pnpBJTのベースに等価である)がVDDに直接結合されるため分離される。
【0016】
一般に、制限器502は、pnpBJTのエミッタ−ベース接合の順方向バイアスを減少させ、したがって、ラッチアップを防止または遮断する。通常、制限器502を実装することは、CMOSデバイス(たとえば、CMOSメモリビットセル)にSELを受けにくくさせ、CMOSデバイスがSELから回復することを可能にする。図5の電流制限アプローチでは、1つの電流制限用pMOSだけが寄生pnpBJTのエミッタノードに付加されることが認識されるべきである。一般に、制限器502のゲートは、制限器502が常にオンになるようにVSSに結合(tie)することができる。代替的に、制限器502のゲートは、SELイベントに続いて制限器502をシャットオフし、次に、リセット信号に続いて制限器502を再びターンオンする制御信号を受信するように構成することができる。
【0017】
図6を参照すると、電流制限器502および604は、本開示の別の態様に従って、関連するCMOSデバイス(図6には示さず)内での高エネルギー粒子の衝突に関連するラッチアップを低減するために寄生SCR600に付加されているものとして示される。制限器502および604は、CMOSデバイスの設計内に制限器502および604を組み込むことによって付加されることが認識されるべきである。図6に示すように、電流制限器502は、寄生pnpBJTのエミッタと第1の電源ノード(VDD)との間に付加されるpMOSであり、電流制限器604は、寄生pnpBJTのエミッタと第1のグラウンド(VSS)との間に付加されるnチャネルMOSFET(nMOS)である。同様に示すように、制限器604のゲートは、寄生pnpBJTのエミッタに結合され、制限器502のゲートは、寄生npnBJTのエミッタに結合される。
【0018】
電流制限器502は、図5に関して先に論じたように、寄生pnpBJTのエミッタ−ベース接合の順方向バイアスを低減し、したがって、SELに関連するラッチアップを防止または遮断するように機能する。同様に、電流制限器604は、寄生npnBJTのエミッタ−ベース接合の順方向バイアスを低減し、したがって、ラッチアップを防止または遮断するように機能する。一般に、2電流制限器アプローチは、(図5の1電流制限器アプローチに比べて)CMOSデバイス(たとえば、CMOSメモリビットセル)にSELをさらに受けにくくさせ、CMOSデバイスがSELからより速く回復することを可能にする。
【0019】
図7を参照すると、シミュレーショングラフ700は、図4および図5の寄生SCRに衝突する高エネルギー粒子によって引起されるSELを示す。曲線706は、SELが図5の寄生SCR500についてシミュレートされるときのnウェル電圧を示し、曲線708はそのときのp型ウェル(pウェル)電圧を示す。曲線704は、SELが図4の寄生SCR400についてシミュレートされるときのnウェル電圧を示し、曲線702はそのときのpウェル電圧を示す。pMOS制限器502が図5の寄生SCR500に付加された状態では、ラッチアップは、シングルイベント高エネルギー粒子衝突後に回避される。対照的に、従来の制限器402を有する図4の寄生SCR400の場合、ラッチアップは、シングルイベント高エネルギー粒子衝突後に起こる(すなわち、pウェル電圧およびnウェル電圧は、両者の衝突前のレベルに戻らない)。
【0020】
図8を参照すると、寄生SCR800は、SELをシミュレートするために実装される制限器502およびさらなる回路要素(すなわち、pMOS802およびnMOS804)と共に示される。ラッチアップイベントが起こると、寄生pnpBJTおよび寄生npnBJTのエミッタとコレクタが事実上短絡する。シミュレーションのために、pMOS802およびnMOS804は、それぞれpnpBJTおよびnpnBJTに並列に結合されて、pMOS802およびnMOS804がターンオンするときのラッチアップイベントをシミュレートする。図9を参照すると、シミュレーショングラフ900は、pMOS802およびnMOS804が寄生BJTを短絡するために利用されるとき(曲線902および904参照)のエミッタ電圧曲線904および908(図8の寄生BJTについてのエミッタ電圧を示す)を示す。グラフ900に示すように、ラッチアップが起こると、制限器502および604は、ラッチアップ(関連するCMOSデバイスを破壊するかまたはビットセルの状態変化を引起す場合がある)を止め、次に、内部ノードを元の値に戻すように機能する。シミュレーションでは、イオンの衝突は、ベース−pnpノード電圧をグラウンドにプルダウンする(最悪の場合の状況)ことによってシミュレートすることができる。グラフ900から、寄生BJTが、種々のノードで電流スパイクに応答し、その時点で、ノードが、それらの元のレベル(すなわち、VDDおよびVSSまたはグラウンド)に戻されることが認識されるべきである。
【0021】
図10を参照すると、SEL保護式スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)ビットセル1000が示され、そのビットセル1000は、図5の電流制限器502によってSELから保護されるSRAMビットセル1010を含む(明確にするために、寄生SCRは図10に示されず、CMOSデバイス内の寄生SCRの場所については図1参照)。図に示すように、制限器502のゲートはグラウンド(VSS)に結合され、制限器502のソースおよび本体は電源ノード(VDD)に別々に結合され、制限器502のドレインは、ビットセル1010の高電圧側に結合される。図11を参照すると、SEL保護式SRAMビットセル1100が示され、そのビットセル1100は、SELに対処するために配置された図6の電流制限器502および604によって保護されるSRAMビットセル1010を含む(寄生SCR600は図11に示されず)。示すように、制限器502のゲートはグラウンド(VSS)に結合され、制限器502のソースおよび本体は電源ノード(VDD)に別々に結合され、制限器502のドレインは、ビットセル1010の高電圧側に結合される。同様に示すように、制限器604のゲートは電源ノード(VDD)に結合され、制限器604のソースおよび本体はグラウンド(VSS)に別々に結合され、制限器604のドレインは、ビットセル1010の低電圧側に結合される。
【0022】
図12を参照すると、従来の256×256メモリアレイ1200が示され、メモリアレイ1200は、メモリアレイ1200の32×256サブアレイのためにVDDおよびVSSをストラップするために使用される7つの従来のストラップセル1204(図14参照)を含む。一般に、VDDおよびVSSは、メモリアレイを横切って延びる長い金属(たとえば、銅またはアルミニウム)ラインによって設けられる。メモリアレイ1200は、ローカルVDDラインが実質的に同じ電位(すなわち、電源電位)に維持されること、および、ローカルVSSラインが実質的に同じ電位(すなわち、グラウンド)に維持されることを保証するために、32行毎に従来のストラップセル1204を実装した40ナノメートルCMOSメモリ技術の例である。
【0023】
図13を参照すると、256×256メモリアレイ1300の関連部分が示され、関連部分は、メモリアレイ1300の上側128×256サブアレイ1302の電力ラインをメモリアレイ1300の下側128×256サブアレイ1306の電力ラインに結合するために本開示の1つまたは複数の実施形態に従って構成される単一SELストラップセル1304(図15参照)を含む。本開示のこの態様によれば、複数の制限器502(図15において1502および1504と表示される)が、SELストラップセル設計内に実装されて、VDDおよびVSSをストラップするために必要とされるストラップセルの数を低減する。この態様によれば、ストラップセルの数は、256行について1ストラップセルまで減少する。図15を参照すると、pMOS1502は、サブアレイ1302のグローバルVDD(vdda)をローカルVDD(vdd_column_top)に結合するために利用され、pMOS1504は、サブアレイ1306のグローバルVDD(vdda)をローカルVDD(vdd_column_bot)に結合するために利用される。一般に、256×256メモリアレイの場合、SELストラップセル1304を使用することは、メモリアレイ1200の場合の面積と比較して、メモリアレイ1300の場合の面積を約5%だけ減少させる。
【0024】
図16を参照すると、リセット可能なSEL検出回路1600が示され、回路1600は、本発明の1つまたは複数の実施形態に従って構成される。回路1600は、グローバルVDD(vdda)とローカルVDD(vdd_column)との間に付加されるpMOS1602を含み、ローカルVDD(vdd_column)についての生成された出力信号(sel_pd)1606で示すように、ラッチアップイベントに続いて回路1600をリセットすることを容易にするリセット信号(reset)1604を受信するように構成される。pMOS1602が、内部制御式であり、外部制御信号を受信しないことが留意されるべきである。pMOS1602は、寄生SCR500(図16に示さず、図1および図5参照)に関連する電流を制限し、ラッチアップを防止するように機能する(図5の電流制限器502参照)。図17を参照すると、回路1700は、従来のSELストラップセル1204であって、本開示の1つまたは複数の実施形態に従って図16のリセット可能なSEL検出回路1600の2つがSELストラップセル1204の上部と下部に実装された、従来のSELストラップセル1204を含む。
【0025】
したがって、相補的金属酸化物半導体デバイスのノードが高エネルギー粒子衝突を受けるときのシングルイベントラッチアップの可能性を低減する技法が本明細書で開示された。
【0026】
本発明は、特定の実施形態を参照して本明細書で述べられるが、種々の修正および変更が、添付特許請求の範囲に述べる本発明の範囲から逸脱することなく行われうる。たとえば、本明細書で開示される技法は、一般に、データ通信を容易にするシステムに幅広く適用可能である。したがって、仕様および図は、制限的な意味ではなく、例証的な意味で考えられ、全てのこうした修正は、本発明の範囲に含まれることが意図される。特定の実施形態に関して述べる任意の利益、利点、または問題に対する解決策は、任意のまたは全ての特許請求項の重要な、必要とされる、または本質的な特徴または要素とみなされることを意図されない。
図1
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